説明

農薬組成物

【課題】農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上となる農薬活性成分を含有し、崩壊分散性に優れ、顆粒状水和剤又は水和懸濁剤に適した農薬組成物を提供する。
【解決手段】農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上となる農薬活性成分(a2)を組成物全体に対し0.1〜70重量%、並びにアルキル硫酸エステル塩等の湿展剤(b)を組成物全体に対し0.1〜10重量%含有し、前記農薬活性成分(a2)が、チオファネートメチル又はジフルフェニカンであることを特徴とする農薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿潤性に乏しい農薬活性成分、具体的には、分子中にフッ素原子を4以上有し、かつ、LogPの値が3以上である農薬活性成分、又は、農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上となる農薬活性成分を含有する農薬組成物に関する。
本願は、2006年8月10日に、日本に出願された特願2006−217891号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、農薬分野等において、フッ素原子を化合物に導入することにより薬理効果の発現、増強又は作用選択性の向上に好ましい結果を与える場合があることが知られており、多くのフッ素原子を導入した農薬活性化合物が開発されている。
【0003】
しかしながら、一般的に、分子中にフッ素原子を多く含む化合物や、LogPが大きい化合物は、撥水性・撥油性を有し、湿潤性に乏しい。特に、分子中にフッ素原子を4以上有し、かつ、LogPが3以上である化合物のような撥水性に富む化合物は、撥水性・撥油性を有し、湿潤性に乏しい。そのため、このような撥水性を有する農薬活性化合物と湿展剤とを用いて、顆粒状水和剤や水和懸濁剤等の農薬製剤を製造することは困難であった。
従って、このような撥水性を有し、湿潤性に乏しい農薬活性化合物を農薬原体として用いる、顆粒状水和剤や水和懸濁剤等の農薬製剤を簡便に製造する方法の開発が求められていた。
【0004】
本発明に関連して、特許文献1には、塩化カリウム等の無機塩類、アルキル硫酸エステル塩等の界面活性剤、及びバチルス・チューリンゲンシス菌由来の産物を有効成分とする顆粒状農薬製剤が記載されている。しかし、この文献に記載されている顆粒状農薬製剤は、フッ素原子を多く導入した農薬活性成分を有効成分とするものでもなく、その湿潤性を改良するものでもない。
【0005】
また特許文献2には、(i)0.1〜60重量%の農薬活性成分、(ii)1〜20重量%のアリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩、(iii)0.1〜10重量%のカルボキシル基を有する共重合体のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、(iv)30〜70重量%の糖類、及び(v)5〜30重量%の鉱物質担体を含有する顆粒状水和剤が記載されている。そこでは、(i)の農薬活性成分として、分子中に多くのフッ素原子を含む化合物、例えば、5−クロロ−6−(1−フルオロエチル)−N−[2−[4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]エチル]ピリミジン−4−イルアミンが用いられている。
【0006】
しかしながら、この文献に記載された顆粒状水和剤は、崩壊助剤として30〜70重量%の糖類を用いるものであるため、特に低温の水に希釈した場合に、崩壊分散性が悪く、水希釈液中での有効成分の不均一化が生じ易く、散布むらの原因となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−10915号公報
【特許文献2】特開2003−95809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、分子中にフッ素原子を4以上有し、かつ、LogPが3以上である農薬活性成分か、または、農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上となる農薬活性成分を用い、崩壊分散性に優れ、顆粒状水和剤や水和懸濁剤に適した農薬組成物を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、分子中にフッ素原子を4以上有し、かつ、LogPの値が3以上である農薬活性成分(a1)、又は、農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上となる農薬活性成分(a2)、を有効成分とする農薬組成物について鋭意研究した。その結果、前記農薬活性成分の湿展剤として特定の界面活性剤を用いることで、流動性及び崩壊分散性に優れる農薬組成物が得られることを見出した。また、崩壊助剤として塩化カリウムをさらに添加することで、低温の水に希釈した場合であっても崩壊分散性に優れる農薬組成物を簡便に製造できることを見出し、これらの知見を一般化することにより、本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして、本発明によれば、下記の(1)〜(8)の農薬組成物が提供される。
(1)農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上となる農薬活性成分(a2)を、組成物全体に対し0.1〜70重量%、並びに、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルケニルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル塩、およびN−アシルアミノ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の湿展剤(b)を、組成物全体に対し0.1〜10重量%含有し、
前記農薬活性成分(a2)が、式〔1〕
【0011】
【化1】

【0012】
(式中、Rはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10の分枝状アルキル基、炭素数3〜7の脂環構造で置換された炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基、または炭素数7〜9のアラルキル基を表し、Xはハロゲン原子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、Xは水素原子またはハロゲン原子を表し、nは0〜2の整数を表す。)で示される1,5−ジフェニル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸アミド誘導体のうち、チオファネートメチル又はジフルフェニカンであることを特徴とする農薬組成物。
【0013】
(2)さらに、アルカリ金属ハロゲン化物(c)を組成物全体に対し1〜40重量%、および、粉末担体(d)を組成物全体に対し10〜40重量%含有することを特徴とする(1)に記載の農薬組成物。
(3)前記アルカリ金属ハロゲン化物(c)を組成物全体に対し5〜20重量%含有することを特徴とする(2)に記載の農薬組成物。
(4)アルカリ金属ハロゲン化物(c)が、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムであることを特徴とする(2)または(3)に記載の農薬組成物。
(5)粉末担体(d)が、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、および珪藻土からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする(2)〜(4)のいずれかに記載の農薬組成物。
【0014】
(6)さらに、分散剤(e)として、アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、およびカルボキシル基を有する共重合体の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を、組成物全体に対し1〜20重量%含有することを特徴とする(2)〜(4)のいずれかに記載の農薬組成物。
(7)前記分散剤(e)を、組成物全体に対し3〜20重量%含有することを特徴とする(6)に記載の農薬組成物。
(8)顆粒状水和剤または水和懸濁剤である(1)〜(7)のいずれかに記載の農薬組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、分子中にフッ素原子を4以上有し、かつ、LogPの値が3以上である農薬活性成分(a1)か、又は、農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上となる、湿潤性に乏しい農薬活性成分(a2)を含有する、顆粒状水和剤に適した農薬組成物が提供される。
本発明の農薬組成物は製造が容易で、流動性及び崩壊分散性に優れる。
本発明の農薬組成物は、特に、低温(5℃)の水で希釈した場合においても優れた崩壊分散性を有しており、顆粒状水和剤及び水和懸濁剤に適した組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、分子中にフッ素原子を4以上有し、かつ、LogPの値が3以上である農薬活性成分(a1)、又は、農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上となる農薬活性成分(a2)を、組成物全体に対し0.1〜70重量%、並びにアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルケニルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル塩、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル塩、及びN−アシルアミノ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の湿展剤(b)を、組成物全体に対し0.1〜10重量%含有することを特徴とする。
【0017】
(a)農薬活性成分
本発明に用いる農薬活性成分(以下、「農薬活性成分(a)」ということがある。)は、(a1)分子中にフッ素原子を4以上有し、かつ、LogPの値が3以上である農薬活性成分(以下、「農薬活性成分(a1)」ということがある。)、又は、(a2)農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上となる農薬活性成分(以下、「農薬活性成分(a2)」ということがある。)である。
本発明において、農薬活性成分とは、農薬活性成分(a1)あるいは、農薬活性成分(a2)だけでなく、除草活性、農園芸作物の病害虫に対する防除活性、植物成長調節作用等の生理活性を有する化合物をいう。
また、本発明は、撥水性・撥油性を有するために、湿潤性が悪い農薬活性成分を農薬原体として用い、流動性及び崩壊分散性に優れる農薬組成物を提供するものである。
【0018】
(a1)農薬活性成分
本発明に用いる農薬活性成分(a1)は、農薬活性を有し、分子中にフッ素原子を4以上、好ましくは5以上を有し、かつ、LogPの値が3以上である化合物である。
【0019】
ここで、LogPとは、化合物における1−オクタノール/水分配係数の対数値であり、化学物質の親油性を表す指標である。LogP値が大きい化合物ほど、親油性が高いと言える。
【0020】
本発明に用いる農薬活性成分(a1)の具体例としては、次の(1)〜(14)に示す化合物が挙げられる。もちろん、本発明に用いる農薬活性成分(a1)は、これらに限定されるものではない。
【0021】
(1)アクリナトリン(ISO名:acrinathrin、CAS名:(S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル(Z)−(1R,3S)−2,2−ジメチル−3−〔2−(2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエトキシカルボニル)ビニル〕シクロプロパンカルボキシレート、LogP=5.25)、(2)ジフルフェニカン(ISO名:diflufenican、CAS名:2’,4’−ジフルオロ−2−(α,α,α−トリフルオロ−m−トリルオキシ)ニコチンアニリド、LogP=4.9)、(3)フィプロニル(ISO名:fipronil、CAS名:(±)−5−アミノ−1−(2,6−ジクロロ−α,α,α−トリフルオロ−p−トリル)−4−トリフルオロメチルスルフィニルピラゾール−3−カルボニトリル、LogP=4)、(4)フルアズロン(ISO名:fluazuron、CAS名:1−〔4−クロロ−3−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)フェニル〕−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア、LogP=5.1、(5)フルフェノクスロン(ISO名:flufenoxuron、CAS名:1−〔4−〔2−クロロ−α,α,α−(トリフルオロ−p−トリル)〕−2−フルオロフェニル〕−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア、LogP=4.01、(6)フルメトラリン(ISO名:flumetralin、CAS名:N−(2−クロロ−6−フルオロベンジル)−N−エチル−α,α,α−トリフルオロ−2,6−ジニトロ−p−トルイジン、LogP>3、(7)ヘキサフルムロン(ISO名:hexaflumuron、CAS名:1−〔3,5−ジクロロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル〕−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア、LogP=4.68、(8)ルフェニュロン(ISO名:lufenuron、CAS名:(RS)−1−〔2,5−ジクロロ−4−(1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル)フェニル〕−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア、LogP=5.12、(9)スルフルラミド(ISO名:sulfluramid、CAS名:N−エチルペルフルオロオクタン−1−スルホンアミド、LogP>6.85)、(10)テフルベンズロン(ISO名:teflubenzuron、CAS名:1−(3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア、LogP=4.3、(11)テフルスリン(ISO名:tefluthrin、CAS名:2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル(Z)−(1RS,3RS)−3−(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、LogP=6.5)、(12)テトラコナゾール(ISO名:tetraconazole、CAS名:(RS)2−(2,4−ジクロロフェニル)−3−(1H−1,2,4−トリアゾリル)プロピル−1,1,2,2−テトラフルオロエチルエーテル、LogP=3.53)、(13)チアゾピル(ISO名:thiazopyr、CAS名:メチル−2−ジフルオロメチル−4−イソブチル−5−(4,5−ジヒドロ−1,3−トリアゾール−2−イル)−6−トリフルオロメチル−ピリジン−3−カルボキシレート、LogP=3.89)、(14)トランスフルスリン(ISO名:transfluthrin、CAS名:2,3,5,6−テトラフルオロベンジル(1R,3S)−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシレート、LogP=5.46)等。
【0022】
かかる化合物の好ましい具体例としては、1,5−ジフェニル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボン酸アミド誘導体が挙げられる。なかでも、フルポキサム(ISO名:flupoxam、CAS名:1−[4−クロロ−3−[(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)メチル]フェニル]−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミド)が特に好ましい。
【0023】
(a2)農薬活性成分
本発明に用いる農薬活性成分(a2)は、農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上である化合物である。
【0024】
ここで、液状確認試験とは、日本国の「危険物の規制に関する規則」第69条の2に規定される液状物であるか否かを確認する試験をいう。具体的には、垂直にした試験管(内径30mm、高さ120mmの平底円筒型のガラス製のものとする。以下「試験管」という。)に、農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、及び水48重量部からなる混合物を、試験管の底からの高さが55mmとなるまで入れ、当該試験管を水平にした場合に、当該物品の移動面の先端が試験管の底からの距離が85mmの部分を通過するまでの時間を測定する試験をいう。
【0025】
農薬活性成分(a2)としては、
TPN、アゾキシストロビン、イソプロチオラン、イプロジオン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、イミベンコナゾール、エクロメゾール、オキシカルボキシ、キャプタン、クレソキシムメチル、クロロネブ、シプロコナゾール、シメコナゾール、水和硫黄、チウラム、チオファネートメチル、チフルザミド、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリアジメホン、トリクロホスメチル、トリフミゾール、トリホリン、トルクロホスメチル、パリダマイシン、パリダマイシンA、ビテルタノール、ヒドロキシイソキサゾール、ピリブチカルブ、フェナリモル、フェリムゾン、フルトラニル、プロシミドン、プロパモカルブ塩酸塩、プロピコナゾール、ベノミル、ペンシクロン、ホセチル、ポリオキシン、ポリオキシンD、ポリオキシンD亜鉛塩、ポリカーバメイト、ミクロブタミル、メタラキシル、メプロニル、有機銅、などの殺菌剤;
【0026】
BT、CVMP、CVP、CYAP、DDVP、DEP、MEP、MIPC、NAC、PHC、アセタミプリド、アセフェート、イソキサチオン、イミダクロプリド、エトフェンプロックス、クロチアニジン、クロルピリホス、シハロトリン、シラフルオフェン、スタイナー・グラセライ、スタイナーネマ・カーボカプサエ、スピノサド、ダイアジノン、チアメトキサム、チオジカルブ、テブフェノシド、テフルベンズロン、トラロメトリン、ビフェントリン、ピリダフェンチオン、フェノブカルブ、ブルウェルア・ロウカルア、プロチオホス、ペルフメトリンマイクロカプセル、ペルメトリン、ベンスルタップ、メソミル、モノクロホス、アクリナトリン、フィプロニル、フルアズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェニュロン、スルフルラミド、テフルベンズロン、テフルスリン、トランスフルスリン等の殺虫剤;
【0027】
2,4−PA、CAT、MCPP、MCP、イソプロピルアミン塩、MDBA、SAP、アシュラム、アミプロホスメチル、アラクロール、イソキサベン、イマザキンアンモニウム、イマゾスルフロン、エトキシスルフロン、エンドタールニナトリウム塩、オキザジアルギル、オキサジクロメホン、オリザリン、オルソベンカーブ、カフェンストロール、ザントモナスキャンペストリス、シアナジン、シクロスルファムロン、ジチオピル、シデュロン、シノスルフロン、シンメチリン、テニルクロール、トリアジフラム、トリクロピル、トリフロキシスルフロンナトリウム塩、ナプロパミド、ハロスルフロンメチル、ピフェノックス、ピリブチカルブ、ブタミホス、フラザスルフロン、プロジアミン、プロピザミド、フロラスラム、ベスロジン、ペンディメタリン、メコプロップPカルシウム塩、メチルダイムロン、メトスルフロンメチル、レナシル、ジフルフェニカン、チアゾピルなどの除草剤;フルメトラリンなどの植物成長調節剤;等が挙げられる。
【0028】
これらの農薬活性成分(a1)又は農薬活性成分(a2)からなる農薬活性成分(a)は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を組み合わせて用いる場合、その配合比は任意に選択することができる。また、用いる農薬活性成分(a)に、複数の光学異性体、幾何異性体等が存在する場合には、これらの異性体を単独で用いても、或いは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
農薬活性成分(a)の配合量は、組成物全体に対し0.1〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。
【0030】
本発明の農薬組成物には、農薬活性成分(a)のいずれかに加えて、農薬活性成分(a)以外の他の農薬活性成分をさらに含有していてもよい。農薬活性成分(a)と他の農薬活性成分とを組み合わせて用いることにより、相加効果や著しい相乗効果が得られることがある。
【0031】
他の農薬活性成分としては、特に制約はなく、液体でも固体でも、有機化合物でも無機化合物でも、また単一化合物でも混合物であってもよい。
【0032】
他の農薬活性成分として具体的には、以下に示す殺菌剤、殺虫剤、除草剤等を例示することができる。
【0033】
(殺菌剤)
TPN、アゾキシストロビン、イソプロチオラン、イプロジオン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、イミベンコナゾール、エクロメゾール、オキシカルボキシ、キャプタン、クレソキシムメチル、クロロネブ、シプロコナゾール、シメコナゾール、水和硫黄、チウラム、チオファネートメチル、チフルザミド、テトラコナゾール、テブコナゾール、トリアジメホン、トリクロホスメチル、トリフミゾール、トリホリン、トルクロホスメチル、パリダマイシン、パリダマイシンA、ビテルタノール、ヒドロキシイソキサゾール、ピリブチカルブ、フェナリモル、フェリムゾン、フルトラニル、プロシミドン、プロパモカルブ塩酸塩、プロピコナゾール、ベノミル、ペンシクロン、ホセチル、ポリオキシン、ポリオキシンD、ポリオキシンD亜鉛塩、ポリカーバメイト、ミクロブタミル、メタラキシル、メプロニル、有機銅等。
【0034】
(殺虫剤)
BT、CVMP、CVP、CYAP、DDVP、DEP、MEP、MIPC、NAC、PHC、アセタミプリド、アセフェート、イソキサチオン、イミダクロプリド、エトフェンプロックス、クロチアニジン、クロルピリホス、シハロトリン、シラフルオフェン、スタイナー・グラセライ、スタイナーネマ・カーボカプサエ、スピノサド、ダイアジノン、チアメトキサム、チオジカルブ、テブフェノシド、テフルベンズロン、トラロメトリン、ビフェントリン、ピリダフェンチオン、フェノブカルブ、ブルウェルア・ロウカルア、プロチオホス、ペルフメトリンマイクロカプセル、ペルメトリン、ベンスルタップ、メソミル、モノクロホス、アクリナトリン、フィプロニル、フルアズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェニュロン、スルフルラミド、テフルベンズロン、テフルスリン、トランスフルスリン等。
【0035】
(除草剤)
2,4−PA、CAT、MCPP、MCP、イソプロピルアミン塩、MDBA、SAP、アシュラム、アミプロホスメチル、アラクロール、イソキサベン、イマザキンアンモニウム、イマゾスルフロン、エトキシスルフロン、エンドタールニナトリウム塩、オキザジアルギル、オキサジクロメホン、オリザリン、オルソベンカーブ、カフェンストロール、ザントモナスキャンペストリス、シアナジン、シクロスルファムロン、ジチオピル、シデュロン、シノスルフロン、シンメチリン、テニルクロール、トリアジフラム、トリクロピル、トリフロキシスルフロンナトリウム塩、ナプロパミド、ハロスルフロンメチル、ピフェノックス、ピリブチカルブ、ブタミホス、フラザスルフロン、プロジアミン、プロピザミド、フロラスラム、ベスロジン、ペンディメタリン、メコプロップPカルシウム塩、メチルダイムロン、メトスルフロンメチル、レナシル、ジフルフェニカン、チアゾピル等。
(植物成長調節剤)
フルメトラリン等。
【0036】
他の農薬活性成分の配合量は、農薬活性成分(a)と他の農薬活性成分の合計量が、組成物全体に対し0.1〜70重量%、好ましくは10〜60重量%となる量である。
【0037】
本発明の農薬組成物には、補助成分を更に添加してもよい。農薬活性成分(a)又は農薬活性成分(a)及び他の農薬活性成分と、補助成分とを組み合わせて用いることにより、相加効果や著しい相乗効果が得られることがある。
【0038】
補助成分としては、特に制約はなく、液体でも固体でも、有機化合物でも無機化合物でも、また単一化合物でも混合物であってもよい。
【0039】
具体的には、以下に示す共力剤、解毒剤、薬害軽減剤、防菌剤、防黴剤、防藻剤を例示することができる。
【0040】
(共力剤・解毒剤・薬害軽減剤)
オクタクロロジプロピルエーテル、ピペロニルブトキサイド、サイネピリン、IBTA、ベノキサコール、クロキントセットメチル、シオメトリニル、ジクロルミド、フェンクロラゾールエチル、フェンクロリム、フルラゾール、フラクソフェニミ、フリラゾール、メフェンピルジエチル、MG191、ナフタリック アンヒドライド、オキサベトリニル等。
【0041】
(防菌剤・防黴剤・防藻剤)
トリアルキルトリアミン、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、トリスニトロ、クロロブタノール、プロノポール、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、α−ブロムシンアムアルデヒド、スケーンM−8、ケーソンCG、NS−500W、BIT、n−ブチルBIT、イソチオシアン酸アリル、チアベンダゾール、2−ベンツイミダゾリルカルバミン酸メチル、ラウリシジン、バイオバン、トリクロカルバン、ハロカルバン、グラシイシカル、安息香酸、ソルビン酸、カプリル酸、プロピオン酸、10−ウンデシレン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸カリウム、安息香酸カリウム、フタル酸モノマグネシウム、ウンデシレン酸亜鉛、8−ヒドロキシキノリン、キノリン銅、TMTD、トリクロサン、ジクロヘルアニリド、トリフルアニド、しらこタンパク、卵白リゾチーム、ベンチアゾール、カーバムナトリウム、トリアジン、テビコナゾール、ヒノキチオール、テトラクロロイソフタロニトリル、テクタマール38、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩酸塩、ポリヘキサメチレンビグアナイド、ポリビグアナイド塩酸塩、ダントプロム、クライダント、ピリチオンナトリウム、ジンクピリチオン、デンシル、カッパーピリチオン、チモール、イソプロピルメチルフェノール、OPP、フェノール、ブチルバラペン、エチルパラベン、メチルパラペン、プロピルパラペン、メタクレゾール、オルトクレゾール、パラクレゾール、オルトフェニルフェノールナトリウム、クロロフェン、パラクロルフェノール、パラクロロメタキシレート、パラクロロクレゾール、フルオロフォルペット、ポリリジン、バイオパンP−1487、ジョートメチルパラトリルスルフォン、ポリビニルピロリドンパラクロロイソシアネル、過酸化水素、安定化二酸化塩素、過酢酸、ナフテン酸銅、ノパロンAG300、塩化銀、酸化チタン、銀、リン酸亜鉛カルシウム、シルバーエース、銀亜鉛アルミノケイ酸塩、銀亜鉛ゼオライト、ノバロンAGZ330、ホロンキラー、ダイマー136、ペンザルコニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、バーダック2250/80、塩化ベンゾトニウム、ハイアミン3500J、臭化セチルアンモニウム、セトリミド、CTAB、セタブロン、ダイマー38、塩化ペンザルコニウム、バーダック170P、DC−5700、セチルピリジニウムクロライド、キトサン、デュウロン、DCMU、プリペントールA6、CMI、2Cl−OIT、BCM、ZPT、BNP、OIT、IPBC、TCMSP等。
これらの補助成分は一種単独で、あるいは二種以上を混合して用いることができる。
【0042】
(b)湿展剤
本発明の農薬組成物は、組成物全体に対し0.1〜10重量%の湿展剤を含有する。
湿展剤は、農薬活性成分(a)を湿潤させ、農薬組成物に優れた崩壊分散性を付与する役目を有する。
【0043】
本発明に用いる湿展剤は、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルケニルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル塩、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル塩、及びN−アシルアミノ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも一種である。
【0044】
ここで、ポリオキシアルキレンのアルキルエーテルとしては、R−(EO)x、R−O−(PO)yおよびポリオキシエチレンとポリオキシエチレンの共重合体のエーテルが挙げられ、共重合体はR−O−(EO)x−(PO)y、R−O−(PO)y−(EO)x、R−O−(EO)x−(PO)y−(EO)z、R−O−(EO)z−(PO)y−(EO)xなどが挙げられる。
EO:エチレンオキシ基
PO:プロピレンオキシ基
R:アルキル基
x:平均で1〜30の数
y:平均で1〜30の数
z:平均で1〜30の数
また、本発明において用いられるポリオキシエチレン基部分は、重合度2〜50、好ましくは重合度4〜40である。
さらに、本発明において用いられるポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル塩、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル塩としては、ホルムアルデヒド縮合物、サルフェートの塩およびフォスフェートの塩が挙げられる。
これらの塩の陽イオンとしてはカリウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、モノ−、ジ−、またはトリ−エタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩であるものが挙げられる。
【0045】
また、N−アシルアミノ酸塩のN−アシル基としては、ヤシ油脂肪酸アシル基、ステアロイル基等の炭素数6〜24の高級脂肪酸アシル基が挙げられ、N−アシルアミノ酸塩のアミノ酸としては、L−グルタミン酸等のL−アミノ酸等が挙げられ、N−アシルアミノ酸塩の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩;等が挙げられる。好ましい具体例としては、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸二ナトリウムが挙げられる。
【0046】
これらの中でも、本発明に用いる湿展剤としては、顆粒状水和剤を製造する場合には、アルキル硫酸エステル塩、又はポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル硫酸塩を用いるのが好ましく、アルキル硫酸エステル塩が特に好ましい。
【0047】
これらの湿展剤の配合量は、本発明の農薬組成物に対して、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0048】
本発明の農薬組成物においては、さらに、アルカリ金属ハロゲン化物(c)、及び粉末担体(d)を含有するのが好ましい。
【0049】
(c)アルカリ金属ハロゲン化物
本発明に用いるアルカリ金属ハロゲン化物は、水温5℃の水100g中に0.1g以上溶解する無機塩であり、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の、フッ化物、塩化物、臭化物等が挙げられる。これらのアルカリ金属ハロゲン化物は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、塩化カリウム又は塩化ナトリウムが特に好ましい。塩化ナトリウム又は塩化カリウムは、顆粒状水和剤としたときに水中での崩壊性を良好にする観点から、予め直径10〜500μmの微粒子に粉砕して用いるのが好ましい。
【0050】
アルカリ金属ハロゲン化物(c)の配合量は、組成物全体に対して、通常1〜40重量%、好ましくは5〜20重量%である。
【0051】
(d)粉末担体
本発明に用いる粉末担体としては、珪藻土、カオリンクレー、酸性白土、タルク、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、アタパルジャイトクレー等が挙げられる。これらの粉末担体は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、珪藻土、炭酸カルシウム及び硫酸カルシウムが好ましく、珪藻土が特に好ましい。
【0052】
粉末担体(d)の配合量は、組成物全体に対して、通常10〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。
【0053】
本発明においては、5℃〜室温の水中において良好な崩壊性を持つ顆粒状水和剤を製造することが出来る。好ましくは、5〜20℃の水中において良好な崩壊性を持つ顆粒状水和剤を製造することが出来る。このような顆粒状水和剤を製造するためには、本発明の農薬組成物が、アルカリ金属ハロゲン化物(c)と粉末担体(d)の両者がともに含まれているのが好ましい。また、アルカリ金属ハロゲン化物(c)と粉末担体(d)の混合比(重量比)は、1:1〜1:15であるのが好ましい。
【0054】
(e)分散剤
本発明の農薬組成物においては、分散剤として、さらにアリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、及びカルボキシル基を有する共重合体の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種(e)を含有するのが好ましい。このような化合物を用いることにより、撥水性を有する農薬活性成分を用いても、常温又は低温の水中における顆粒の崩壊性が良好な顆粒状水和剤を製造することができる。
【0055】
アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物としては、例えばフェニルスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、トリルフェニルスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ナフチルフェニルスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、特殊芳香族スルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等を挙げることができ、それらは2種以上の混合物であってもよい。
【0056】
アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩としては、前記アリールスルホン酸のナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩等のホルムアルデヒド縮合物を挙げることができる。また、アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物とアリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩との任意の割合の混合物であっても良い。
【0057】
カルボキシル基を有する共重合体の塩としては、例えばマレイン酸とジイソブチレンとの共重合体のナトリウム塩、該共重合体のカルシウム塩、マレイン酸とイソブチレンとの共重合体のナトリウム塩、該共重合体のカルシウム塩、アクリル酸とイタコン酸との共重合体のナトリウム塩、該共重合体のカルシウム塩、マレイン酸とスチレンとの共重合体のナトリウム塩、該共重合体のカルシウム塩等を挙げることができる。
【0058】
アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物又はその塩及びカルボキシル基を有する共重合体の塩の合計含有量は、組成物全体に対して、通常0.1〜70重量%、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは3〜20重量%である。
【0059】
後述するように、本発明の農薬組成物が顆粒状水和剤又は水和懸濁剤である場合、農薬組成物に粘結剤又は増粘剤を含有させてもよい。
【0060】
用いる粘結剤又は増粘剤としては、特に限定されない。例えば、澱粉、デキストリン、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドキシプロピルセルロース、カルボキシメチルデンプン、プルラン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアゴム、キサンタンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、エチレン・プロピレンブロックポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、カラギーナン等が挙げられる。
これらの粘結剤又は増粘剤は1種単独で、あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0061】
粘結剤又は増粘剤の添加量は特に限定されないが、添加効果と経済性の観点から、組成物100重量部に対して、0.1〜40重量部であるのが好ましい。
【0062】
本発明の農薬組成物においては、本発明の効果が損なわれない範囲で界面活性剤をさらに添加することができる。
用いる界面活性剤としては、前記湿展剤として用いることができるものとして列記した以外のものであれば、特に制約はなく、従来公知の、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、又はこれらの組合せが挙げられる。
【0063】
本発明の農薬組成物は、上記した成分に加え、さらに補助剤を含有させてもよい。用いる補助剤としては、特に限定されない。例えば、上述したような、共力剤、解毒剤、薬害軽減剤、防菌剤、防黴剤、防藻剤や、防腐剤、溶剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、結晶析出防止剤等が挙げられる。
【0064】
また本発明の農薬組成物は、安定剤のような固形又は液状補助剤、例えばエポキシ化された、又はエポキシ化されていない植物油(例えばエポキシ化したココナッツ油、ナタネ油又はダイズ油)、消泡剤(例えば、シリコーンオイル)、粘度調節剤、結合剤及び/又は接着剤、並びに他の有効成分例えば殺細菌剤、殺カビ剤、殺バクテリア剤、殺虫剤又は殺ダニ剤も含有していてもよい。
【0065】
これらの中でも、本発明の農薬組成物としては、顆粒状水和剤又は水和懸濁剤であるのが好ましく、前記農薬活性成分(a)を組成物全体に対し0.1〜70重量%、湿展剤(b)を組成物全体に対し0.1〜10重量%、所望により、アルカリ金属ハロゲン化物(c)を組成物全体に対し1〜40重量%、粉末担体(d)を10〜40重量%、及びアリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、及びカルボキシル基を有する共重合体の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種(e)を組成物全体に対し1〜20重量%含有する、顆粒状水和剤又は水和懸濁剤がより好ましく、前記農薬活性成分(a)を組成物全体に対し0.1〜70重量%、湿展剤(b)を組成物全体に対し0.1〜10重量%、所望により、アルカリ金属ハロゲン化物(c)を組成物全体に対し1〜40重量%、粉末担体(d)を10〜40重量%、及びアリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、及びカルボキシル基を有する共重合体の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種(e)を組成物全体に対し1〜20重量%含有する顆粒状水和剤が特に好ましい。
顆粒状水和剤である本発明の農薬組成物は、水温5℃及び20℃において良好な水中崩壊性を示し、標高の高い場所や寒冷地、冬季から春季にかけての水が冷たい時期に希釈液を調製しても顆粒の溶け残りがなく、希釈液中での有効成分の不均一化を防ぐことが期待される。
【0066】
本発明の農薬組成物は流動性に優れる。本発明の農薬組成物は、好ましくは、混合直後の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒未満である。更に、好ましくは、混合24時間後の液状確認試験においても、85mmの移動時間が90秒未満である。
ここで、液状確認試験は上述したとおりの試験である。
【0067】
本発明の農薬組成物は既知の方法に従って種々の製剤形態とすることができる。
例えば、顆粒状水和剤(water dispersible granule)は、水和剤に水を添加して混練りして押し出して乾燥して整粒することにより製造することができる。
水和剤(wettable powder)は、ウルマックス(日曹エンジニアリング(株)社製)等のジェットミルで空気粉砕することにより製造することができる。
【0068】
水和懸濁剤(suspension concentrate)は、農薬活性成分と界面活性剤、増粘剤、防腐剤、消泡剤等を混合してビーズを充填した湿式粉砕機にて粉砕することにより製造することができる。
乳剤(emulsifiable concentrate)は、農薬活性成分と界面活性剤を有機溶媒に溶解することにより製造することができる。
【0069】
乳液剤(emulsion, oil in water)は、農薬活性成分と界面活性剤を有機溶媒に溶解した溶液を水に添加しながらホモジナイズするか、農薬活性成分と界面活性剤とを有機溶媒に溶解した溶液に、水を徐々に添加しながらホモジナイズすることにより製造することができる。
また、乳化懸濁剤(suspoemulsion)は、乳液剤(emulsion, oil in water)と水和懸濁剤(suspension concentrate)をスリーワンモーター等で攪拌することにより製造することができる。
【0070】
製剤化された本発明の農薬組成物は、水等で希釈して、植物体、水面又は土壌に施用される。また、他の殺菌剤、除草剤、殺虫剤、肥料、土壌改良剤等と併用することもできる。
本発明の農薬組成物の施用量は、通常1ヘクタール当たり、農薬活性成分量にして1〜1000g、好ましくは10〜500gである。
【実施例1】
【0071】
以下、実施例及び比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下に「部」とあるのはすべて「重量部」を意味する。
【0072】
(実施例1〜17(参考例)、比較例1〜18)
フルポキサム(1−[4−クロロ−3−[(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)メチル]フェニル]−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミド)50部、下記第1表及び第2表に示す湿展剤2部、及び水48部を混合して、実施例1〜17、比較例1〜18の農薬組成物を調製した。
【0073】
第1表及び第2表に示す湿展剤は、下記のものである。
なお、POEはポリオキシエチレンを意味し、POAはポリオキシアルキレンを意味し、POPはポリオキシプロピレンを意味する。
(b−1):ラウリル硫酸ナトリウム(商品名:ニューカルゲンLX−C、竹本油脂社製)
(b−2):α−オレフィンスルホネート/リン酸塩 配合品(商品名:SORPOL 5160、東邦化学工業社製)
(b−3):α−オレフィンスルホネート(商品名:SORPOL 5115、東邦化学社製)
(b−4):POE(17)トリスチリルフェニルエーテルホスフェート(商品名:SORPOL 7777、東邦化学工業社製)
(b−5):POE(14)トリスチリルフェニルエーテルサルフェート/シリカ 配合品(商品名:SORPOL 5096、東邦化学工業社製)
(b−6):POE(14)トリスチリルフェニルエーテル(商品名:SORPOL T−15、東邦化学工業社製)
(b−7):POE(19)トリスチリルフェニルエーテル(商品名:SORPOL T−20、東邦化学工業社製)
(b−8):POE(24)トリスチリルフェニルエーテル(商品名:SORPOL T−26、東邦化学工業社製)
(b−9):POE(30)トリスチリルフェニルエーテル(商品名:SORPOL T−32、東邦化学工業社製)
【0074】
(b−10):POE(21)ジスチリルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名:SORPOL F−15、東邦化学工業社製)
(b−11):POE(26)ジスチリルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名:SORPOL F−18、東邦化学工業社製)
(b−12):POE(34)ジスチリルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名:SORPOL F−24、東邦化学工業社製)
(b−13):POE(38)ジスチリルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物(商品名;SORPOL F−27、東邦化学工業社製)
(b−14):POAアルキルエーテル(HLB13.4、商品名:エマルゲン LS−110、花王社製)
(b−15):POAアルキルエーテル(HLB14.0、商品名;エマルゲン LS−114、花王社製)
(b−16):N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム(商品名:アミソフトHS−11、味の素社製)
(b−17):N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(商品名:アミソフトCS−11、味の素社製)
【0075】
(b−18):ソルビタンモノオレエート(商品名:ニューカルゲンD−935、竹本油脂社製)
(b−19):ポリカルボン酸金属塩(商品名:ニューカルゲンWG−5、竹本油脂社製)
(b−20):アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム塩(商品名:ニューカルゲンBX−C、竹本油脂社製)
(b−21):ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(商品名:ニューカルゲンSX−C、竹本油脂社製)
(b−22):ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩(商品名;ニューカルゲンPS−P、竹本油脂社製)
(b−23):POEアリルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩(商品名:ニューカルゲンNX−6529、竹本油脂社製)
(b−24):ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩(商品名:ニューカルゲンEX−70、竹本油脂社製)
(b−25):POE脂肪酸エステル(商品名:ニューカルゲンNV−2420,竹本油脂社製)
(b−26):フェノールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩(商品名:ニューカルゲンTX−C、竹本油脂社製)
(b−27):POP−POEブロックコポリマー(POE80%)(商品名:PLURONIC PE6800、BASF社製)
(b−28):POP−POEブロックコポリマー(POE50%)(商品名:PLURONIC PE10500、BASF社製)
(b−29):POEソルビタンモノオレエート(商品名:ニューカルゲンD−945、竹本油脂社製)
(b−30):POE化ヒマシ油エーテル(商品名:ニューカルゲンD−212、竹本油脂社製)
(b−31):POE硬化ヒマシ油エーテル(商品名:ニューカルゲンD−225K、竹本油脂社製)
(b−32):POEステアリルエーテル(商品名:エマルゲン320P、花王社製)
(b−33):POEオレイルエーテル(商品名:エマルゲン420、花王社製)
(b−34):シリコン系界面活性剤(商品名:SILWET408、GE東芝シリコン社製)
(b−35):POEアルキル(C16−18)エーテル(商品名:Newcol−1606、日本乳化剤社製)
【0076】
(液状確認試験)
上記で調製した実施例1〜18、比較例1〜18の農薬組成物のそれぞれを、垂直にした試験管(内径30mm、高さ120mmの平底円筒型のガラス製のもの。以下「試験管」という。)に底からの高さが55mmとなるまで入れ、全容を均一に混合した直後、及び混合してから24時間経過後のそれぞれの場合について、当該試験管を水平にした場合に、農薬組成物の移動面の先端が試験管の底(一端)からの距離が85mmの部分を通過するまでの時間(以下「T」と略す。)を測定した。
【0077】
測定した結果、混合直後及び24時間経過後において、Tが90秒未満である場合には○(長時間保存しても流動性がある場合)、混合直後においてはTは90秒未満であるが、24時間経過後においてはTが90秒以上である場合には△〔調製直後は流動性があるが、時間が経過すると流動性がなくなる(固化する)場合〕、調製直後において、Tが90秒以上である場合には×(流動性がない、又は農薬活性化合物が湿潤しない場合)、として評価した。
評価結果を第1表及び第2表に示す。
【0078】
【表1】

【0079】
【表2】

【0080】
(実施例18)
チオファネートメチル50部、POE(14)トリスチリルフェニルエーテル(商品名:SORPOL T−15、東邦化学工業社製)2部及び水48部を混合して、実施例18の農薬組成物を調製した。
【0081】
(実施例19)
ジフルフェニカン50部、POE(14)トリスチリルフェニルエーテル(商品名:SORPOL T−15、東邦化学工業社製)2部、及び水48部を混合して、実施例19の農薬組成物を調製した。
【0082】
(比較例19)
チオファネートメチル50部、ソルビタンモノオレエート(商品名:ニューカルゲンD−935、竹本油脂社製)2部、及び水48部を混合して、比較例19の農薬組成物を調製した。
【0083】
(比較例20)
ジフルフェニカン50部、ソルビタンモノオレエート(商品名:ニューカルゲンD−935、竹本油脂社製)2部、及び水48部を混合して、比較例20の農薬組成物を調製した。
【0084】
(液状確認試験)
上記で調製した実施例18、19、及び比較例19、20の農薬組成物のそれぞれについて、上記と同様の液状確認試験を行った。
測定した結果、混合直後及び24時間経過後において、実施例18、19では、Tが90秒未満であって、長時間保存しても流動性があった。
一方、比較例19および20の組成物は調製直後において、Tが90秒以上であり、流動性がなかった。
【0085】
(実施例20〜25(参考例)、比較例21〜30)
下記に示す(a)農薬活性成分、(b)湿展剤、(c)水溶性無機塩(アルカリ金属ハロゲン化物)、(d)粉末担体、及び、所望により(e)界面活性剤(アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、又はカルボキシル基を有する共重合体の塩)を、第3表及び第4表に示す割合で混合し、得られた混合物をハンマーミルで粉砕したものに水45部を加え、混練りし、0.7mmのスクリーンを用いて押し出し造粒し、70℃で24時間乾燥し、0.59〜0.84mmのふるいに残った部分を分取して、実施例20〜25、及び比較例21〜30の顆粒状水和剤を得た。
【0086】
(a)農薬活性成分:
フルポキサム(1−[4−クロロ−3−[(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)メチル]フェニル]−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミド)
【0087】
(b)湿展剤:
A:ラウリル硫酸ナトリウム(商品名:ニューカルゲンLX−C、竹本油脂社製)
B:アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム(商品名:ニューカルゲンBX−C、竹本油脂社製)
【0088】
(c)水溶性無機塩(アルカリ金属ハロゲン化物):
A:塩化カリウム
B:硫酸アンモニウム
C:リン酸二水素カリウム
【0089】
(d)粉末担体:
A:珪藻土(商品名:クニライト201、クニミネ工業社製)
B:炭酸カルシウム
C:乳糖(商品名:DMV乳糖#200、DMV社製)
D:カオリン(商品名:カオリンNSW、カナヤ興産社製)
【0090】
(e)界面活性剤(アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、又はカルボキシル基を有する共重合体の塩):
A:ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩(商品名:ニューカルゲンPS−P、竹本油脂社製)
B:ポリカルボン酸金属塩(商品名:ニューカルゲンWG−5、竹本油脂社製)
C:リグニンスルホン酸ナトリウム(商品名:ニューカルゲンRX−B、竹本油脂社製)
【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
(試験例1)20℃及び5℃の水を用いた顆粒状水和剤の崩壊分散性試験
実施例20〜25、及び比較例21〜30の顆粒状水和剤について、以下の試験を行った。
(1)自己分散性の評価試験
ネスラー管に3度の硬水100mlを入れ、顆粒状水和剤100mgを容器のふちから投入して静置し、顆粒状水和剤が自然に分散する状態を観察し、次のような基準にて判定を行った。
○:ネスラー管の半分より上で崩壊が始まった場合
△:ネスラー管の半分より下で崩壊が始まった場合
×:全く崩壊しなかった場合
評価結果を第5表に示す。
【0094】
(2)崩壊転倒回数の測定
水温5℃の水における顆粒状水和剤の崩壊転倒回数が10回以下であり、かつ、水温20℃におけるそれが5回以下であるものが望ましい崩壊分散性を有する農薬製剤である。
測定結果を第5表に示す。
【0095】
【表5】

【0096】
第5表より、実施例20〜25の顆粒状水和剤は、5℃の水を用いた場合であっても、優れた崩壊分散性を有していた。
それに対して、塩化カリウム(アルカリ金属ハロゲン化物)の含有量が多い比較例21の顆粒状水和剤、アルカリ金属ハロゲン化物を含有しない比較例22の顆粒状水和剤、及びアルカリ金属ハロゲン化物に加えてカオリンNSWを含有する比較例25の顆粒状水和剤は、崩壊性が劣っていた。
アルカリ金属ハロゲン化物に加えてDMV乳糖を含有する比較例23の顆粒状水和剤、及びアルカリ金属ハロゲン化物に代えてDMV乳糖を含有する比較例24の顆粒状水和剤は、特に低温(5℃)の水を用いる場合の崩壊性が劣っていた。
アルカリ金属ハロゲン化物に代えて、硫酸アンモニウムを用いる比較例26の顆粒状水和剤、リン酸二水素ナトリウムを用いる比較例27の顆粒状水和剤は、実施例のものと比して、崩壊性及び自己分散性が大きく劣っていた。
【0097】
実施例において用いられているナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩(界面活性剤A)に代えて、ポリカルボン酸金属塩(界面活性剤B)、及びリグニンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤C)を用いた比較例28の顆粒状水和剤、並びに、実施例において用いられているポリカルボン酸金属塩(界面活性剤B)に代えて、リグニンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤C)を用いた比較例29の顆粒状水和剤は、実施例のものに比して自己分散性に劣っていた。
また、湿展剤Aに代えて、湿展剤B(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム)を用いた比較例30の顆粒状水和剤は、実施例のものに比して自己分散性及び崩壊性が共に劣っていた。
【0098】
(実施例26)(参考例)
フルポキサム(1−[4−クロロ−3−[(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)メチル]フェニル]−5−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミド)25.8部に、ポリオキシエチレン(14モル)トリスチリルフェニルエーテル20部、ジオクチルスルホサクシネート0.5部、シリコン系消泡剤(商品名:アンチフォームSE39、旭化成ワッカーシリコーン社製)0.5部、1,2−ベンズイソチアゾリン含有製剤(商品名:プロキセルGXL(s)、Avecia社製)0.1部、及び水35.8部を加えて混合した。
得られた混合物を、遊星ミル(P−7型、FRITSCH社製)を用いて、下記の条件にて湿式粉砕を行い、湿式粉砕物を得た。
【0099】
(湿式粉砕の条件)
・使用したガラスビーズ:1.6〜2.0mm(ハイビーズD−11)5ml
・回転数:800rpm
・粉砕時間:15分
【0100】
この湿式粉砕物に、プロピレングリコール5.0部、及びキサンタンガム(商品名:ロードポール23、ローヌ・プーラン社製)0.3部を水30部に溶解させた溶液を混合することにより、懸濁状組成物(水和懸濁剤)(1)を得た。
【0101】
(比較例31)
実施例26において、ポリオキシエチレン(14モル)トリスチリルフェニルエーテル2.0部を、POP−POEブロックコポリマー(POE80%)(商品名:PLURONIC PE6800、BASF社製)2.0部に変更した以外は実施例26と同様にして、懸濁状組成物(水和懸濁剤)(2)を得た。
【0102】
実施例26及び比較例31で調製した懸濁状組成物(1)、(2)を用いて、上記と同様の液状確認試験を行い、同様に評価した。
試験及び評価の結果、懸濁状組成物(1)は、混合直後及び24時間経過後において、Tが90秒未満であり、懸濁状組成物(2)は、混合直後においてはTは90秒未満であるが、24時間経過後においてはTが90秒以上であった。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明によれば、分子中にフッ素原子を4以上有し、かつ、LogPの値が3以上であるか、又は、農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上となる、湿潤性に乏しい農薬活性成分を含有する、顆粒状水和剤に適した農薬組成物が提供される。
本発明の農薬組成物は製造が容易で、流動性及び崩壊分散性に優れる。
本発明の農薬組成物は、特に、低温(5℃)の水で希釈した場合においても優れた崩壊分散性を有しており、顆粒状水和剤及び水和懸濁剤に適した組成物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬活性成分50重量部、ソルビタンモノオレエート2重量部、および水48重量部からなる混合物の液状確認試験において、85mmの移動時間が90秒以上となる農薬活性成分(a2)を、組成物全体に対し0.1〜70重量%、並びに、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルケニルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル塩、ポリオキシエチレンジスチリルフェニルエーテル塩、およびN−アシルアミノ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種の湿展剤(b)を、組成物全体に対し0.1〜10重量%含有し、
前記農薬活性成分(a2)が、チオファネートメチル又はジフルフェニカンであることを特徴とする農薬組成物。
【請求項2】
さらに、アルカリ金属ハロゲン化物(c)を組成物全体に対し1〜40重量%、および、粉末担体(d)を組成物全体に対し10〜40重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の農薬組成物。
【請求項3】
前記アルカリ金属ハロゲン化物(c)を組成物全体に対し5〜20重量%含有することを特徴とする請求項2に記載の農薬組成物。
【請求項4】
アルカリ金属ハロゲン化物(c)が、塩化カリウムまたは塩化ナトリウムであることを特徴とする請求項2または3に記載の農薬組成物。
【請求項5】
粉末担体(d)が、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、および珪藻土からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の農薬組成物。
【請求項6】
さらに、分散剤(e)として、アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、アリールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物の塩、およびカルボキシル基を有する共重合体の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を、組成物全体に対し1〜20重量%含有することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の農薬組成物。
【請求項7】
前記分散剤(e)を、組成物全体に対し3〜20重量%含有することを特徴とする請求項6に記載の農薬組成物。
【請求項8】
顆粒状水和剤または水和懸濁剤である請求項1〜7のいずれかに記載の農薬組成物。

【公開番号】特開2012−77097(P2012−77097A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−15688(P2012−15688)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【分割の表示】特願2008−528853(P2008−528853)の分割
【原出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】