説明

迅速分解ポリマー

本発明は、生物学的に活性な化合物を送達するための局所投与の後60時間未満で分解するポリ酸無水物を提供する。本発明は特に、動物への局所投与に適した組成物であって、投与の60時間以内に分解し、生物学的に活性な化合物を提供するバックボーンを有するポリ酸無水物を含む組成物を提供する。別の実施形態では、本発明は、投与の60時間以内に分解するマイクロスフェアを含む動物への局所投与に適した組成物を提供し、これらマイクロスフェアは、ヒドロキシアリールカルボン酸を含むバックボーンを有するポリ酸無水物を含む。別の実施形態では、本発明は、医学的治療における使用のために、本発明の組成物を提供する。別の実施形態では、本発明は、動物(例えば、哺乳動物)に投与されるとき、抗酸化、防腐、または抗菌効果を促進するための医薬を調製するために本発明の組成物の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(政府の財政的支援)
本明細書中に記載される発明は、国立衛生研究所により授与された認可番号DE13207の下の政府の支援でなされた。米国政府は本発明に特定の権利を有する。
【0002】
(発明の優先権)
本出願は、2005年5月23日に出願された米国仮出願番号第60/683,831号からの優先権を主張している。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
生分解性ポリ酸無水物は、組織エンジニアリングおよび薬物送達のための生体材料としての使用のために広範に研究されている。大部分のポリ酸無水物は、インビトロおよびインビボで加水分解を受け、水溶性の生体適合性分解産物を放出する、生分解性かつ生体適合性ポリマーである。これらポリマーは、無水物結合の加水分解に不安定な性質に起因して完全に分解し、そしてそれらの分解速度は、ポリマー組成を操作することによって制御され得る。ポリ酸無水物は、大部分が表面腐食性であり、これは、制御放出を可能にし、それ故、所望されない副作用を引き起こし得る破裂放出を回避する。これら特徴のすべては、ポリ酸無水物を、生物学的に活性な化合物を送達するために有用にする。非特許文献1;2;3;4;5;6;7;8;9;10;11;12;13;14;15;16;17;および18を参照のこと。
【0004】
先に、Erdmannらは、新規生分解性生体材料としてサリチル酸(SA)を含むポリ(酸無水物−エステル)の合成を報告し、そこでは、この薬物、すなわち、SAがポリマーバックボーン中に化学的に取り込まれ、そして側鎖基としては結合しないか、または物理的に混合されない。この特有のシステムは、バックボーン中のエステルと酸無水物との結合の加水分解に際し、多量のサリチル酸およびセバシン酸を放出する。
【0005】
フェノール性化合物は、それらの広範な生物学的活性について知られ、とりわけ、それらの抗酸化剤活性および抗微生物活性が突出している。バニリン酸(VA)およびシリンガ酸(SGA)のような天然の非毒性フェノール性誘導体を含むコポリエステルが先に調製され、そしてそれらの機械的性質が研究された(非特許文献19;20;および21を参照のこと)。しかし、これらのコポリエステルからのフェノール性誘導体放出に関する研究は報告されなかった。非特許文献22;23;24;25;26および27を参照のこと。
【非特許文献1】Uhrich,K.ら、Macromolecules 1995、28、2184〜2193
【非特許文献2】Uhrich,K.ら、J.Polym.Sci.、Polym.Chem.Ed.1996、34、1261〜1269
【非特許文献3】Langer,R. Acc.Chem.Res.2000、33、94〜101
【非特許文献4】Anastasiou,T.,Uhrich、K. Macromolecules 2000、33、6217〜6221
【非特許文献5】Mathiowitz,E.ら、Nature 1997、386、410〜414
【非特許文献6】Chasin,M.,Langer、R.Biodegradable polymers as drug delivery systems:New York、1990
【非特許文献7】;Brem,H.ら、Lancet 1995、345、1008〜1012
【非特許文献8】Hanes,J.,Chiba,M.,Langer,R. Biomaterials 1998、19、163〜172
【非特許文献9】Leong,K.ら、Biomaterials 1986、7、364〜371
【非特許文献10】Leong,K.ら、J.Biomed.Mater.Res.1986、20、51〜64
【非特許文献11】Sanders,A.ら、Polym.Prepr.1999、40、888
【非特許文献12】Gopferich,A.,Tessmar,J. Adv.Drug Del.Rev.2002、54、911〜931
【非特許文献13】Gopferich,A. Biomaterials 1996、17、103〜114
【非特許文献14】Whitaker−Brothers,K.,Uhrich,K. J.Biomed.Mater.Res.2004、70A、309〜318
【非特許文献15】Prudencio,A.,Schmeltzer,R.C.,Uhrich,K.E. Macromolecules 2005、38、6895〜6901
【非特許文献16】Von Burkersroda,F.,Schedl,L.,Gopferich,A. Biomaterials 2002、23、4221〜4231
【非特許文献17】Tamada,J.,Langer,R. Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1993、90、552〜556
【非特許文献18】Quick,D.およびMacdonald,K.,Anseth,K.J. Control.Rel.2004、97、333〜343
【非特許文献19】Nagata,M. J.Applied Polymer Sci.2000、78、2474〜2481
【非特許文献20】Kricheldorf,H.ら、Polymer 1995、36、1697〜1705
【非特許文献21】Fan,J.ら、J.Applied Polymer Sci.2006、100、1214〜1221
【非特許文献22】San Roman,J.ら、J.Biomed.Mater.Res.1996、32、19〜27
【非特許文献23】Sato,H.ら、Biomater.Sci.Polymer.Ed.1991、2、1〜13
【非特許文献24】Elvira,C.ら、Polymer 1999、40、6911〜6924
【非特許文献25】Chafi,N.,Montheard,J.,Vergnaud,J. Int J Pharm 1989、52、203〜211
【非特許文献26】Rivas,B.ら、J.Membrane Sci.2001、192、187〜191
【非特許文献27】Elvira,C.,San Roman,J. J.Master.Sci.、Mater.in Med.1997、8、743〜746
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の開示にかかわらず、広範な範囲の適用に適用され得る新規材料に対する必要性が残っている。例えば、局所投与を経由して生物学的に活性な化合物を送達するために用いられ得る迅速分解ポリマーに対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
1つの実施形態では、本発明は、生物学的に活性な化合物を提供するために投与の60時間以内に分解するバックボーンを有するポリ酸無水物を含む、動物への局所投与に適切な組成物である、本発明の組成物を提供する。
【0008】
別の実施形態では、本発明は、投与の60時間以内に分解するマイクロスフェアを含む動物への局所投与に適した組成物を提供し、これらマイクロスフェアは、ヒドロキシアリールカルボン酸を含むバックボーンを有するポリ酸無水物を含む。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、動物において抗酸化、防腐、または抗菌効果を促進する方法を提供し、動物に本発明の組成物を局所投与する工程を包含する。
【0010】
動物に生物学的に活性な化合物を投与する方法は、生物学的に活性な化合物を提供するために、付与の60時間以内に分解するバックボーンを有するポリ酸無水物を含む組成物を動物に局所付与する工程を包含する。
【0011】
別の実施形態では、本発明は、医学的治療における使用のために、本発明の組成物を提供する。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、動物(例えば、哺乳動物)に投与されるとき、抗酸化、防腐、または抗菌効果を促進するための医薬を調製するために本発明の組成物の使用を提供する。
【0013】
別の実施形態では、本発明は、以下の式(I):
【0014】
【化7】

の単位を含むポリ酸無水物を提供し、
ここで、
各Rは、独立して、Hまたはメトキシであり;そして
Lが、1〜20の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、この鎖が、必要に応じて、炭素上で、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルカノイル、(C−C)アルカノイルオキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシからなる群から選択される1つ以上(例えば、1、2、3、または4)置換基で置換されている。本発明の1つの詳細な実施形態では、ポリ酸無水物は、式(I)の繰り返し単位を含むバックボーンを有する。
【0015】
別の実施形態では、本発明は、式(I):
【0016】
【化8】

のポリ酸無水物を調製する方法を提供し、式(II):
【0017】
【化9】

の対応する化合物を重合する工程、を包含する。
【0018】
別の実施形態では、本発明は、式(II)の化合物を調製する方法を提供し、式(III):
【0019】
【化10】

の対応する二塩基酸をアシル化する工程、を包含する。
【0020】
別の実施形態では、本発明は、式(III):
【0021】
【化11】

の化合物;またはその薬学的に受容可能な塩を提供し、
ここで:
各Rは、独立して、Hまたはメトキシであり;そして
Lが、1〜20の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、この鎖が、必要に応じて、炭素上で、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルカノイル、(C−C)アルカノイルオキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシからなる群から選択される1つ以上(例えば、1、2、3、または4)置換基で置換されている。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、抗酸化、防腐、または抗菌効果を促進する方法を提供し、動物(例えば、哺乳動物)に式(III)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を局所投与する工程を包含する。
【0023】
別の実施形態では、本発明は、医学的治療における使用のための式(III)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を提供する。
【0024】
別の実施形態では、本発明は、哺乳動物に投与されるとき、抗酸化、防腐、または抗菌効果を促進するための医薬を調製するために式(III)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の使用を提供する。
【0025】
本発明はまた、式(I)のポリ酸無水物を調製するために有用である、本明細書中に開示されるプロセスおよび中間体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(詳細な説明)
ポリマー中に多量(67重量%から78重量%まで)の生物学的に活性な分子をもつバニリン酸(VA)およびシリンガ酸(SGA)のような天然の非毒性芳香族ヒドロキシ酸に基く、いくつかのポリ(酸無水物−エステル)の合成を以下に記載する。さらに、フェノール性ヒドロキシ酸(2)に分解されるバニリン酸およびシリンガ酸ならびにカルボン酸リンカー(3)を取り込むポリマー(1)の分解(図3)が記載される。
【0027】
芳香族環上のメトキシ置換とポリマー組成物との間の関係、および対応するポリマーの物理的性質が、生物学的に活性な化合物の送達に関して評価された。インビトロの分解研究が実施された。細胞毒性および細菌阻害アッセイが、抗菌性ポリマー材料としての可能な適用を評価するために行われた。従って、これらポリマーの分解およびそれらの細胞毒性が評価された。
【0028】
基、置換基、および範囲について本明細書中で識別された詳細な値は、例示のみのためであり;それらは、その他の規定された値、または基および置換基について規定された範囲内のその他の値を排除しない。
【0029】
(分解)
本発明は、投与の後迅速に分解し、1つ以上の生物学的に活性な化合物を送達するポリ酸無水物を含む組成物を提供する。本発明の1つの実施形態では、このポリ酸無水物は、投与の60時間以内に分解する。本明細書で一般に用いられる場合、用語「分解」は、ポリマーのバックボーン中の少なくとも60%の酸無水物結合が、決められた時間の期間に加水分解したことを意味する。本発明の1つの詳細な実施形態では、ポリマーのバックボーン中の少なくとも約75%の酸無水物結合が、決められた時間の期間に加水分解される。本発明の別の詳細な実施形態では、ポリマーのバックボーン中の少なくとも約90%の酸無水物結合が、決められた時間の期間に加水分解される。本発明の別の詳細な実施形態では、ポリマーのバックボーン中の少なくとも約98%の酸無水物結合が、決められた時間の期間に加水分解される。本発明の別の詳細な実施形態では、ポリマーのバックボーン中の酸無水物結合のすべてが、決められた時間の期間に加水分解される。
【0030】
ポリマーの分解速度は、ポリマーバックボーン中の芳香族環中に電子供与基を取り込むことにより、そして広い表面積を有し、そしてそれ故増加した表面腐食を可能にするマイクロスフェアの形態のポリマーを提供することにより増大され得る。
【0031】
(本発明のポリマー)
本発明の生体適合性、生分解性のポリ酸無水物は、生物学的に活性な化合物の送達が所望される種々の適用で有用である。このような適用の例として、制限されないで、医学的使用、歯科使用および化粧品使用が挙げられる。迅速に分解するポリマーは、局所投与により生物学的に活性な化合物を送達するために特に有用である。
【0032】
本発明のポリマーは、価値のある物理的性質および化学的性質をもつ種々の有用産物を産生する合成ポリマーの分野で一般に採用される方法に従って調製され得る。これらポリマーは、ペースト、フィルム、コーティング、マイクロスフェアおよびファイバーに容易に加工され得、そしてまた圧縮成形および押出しによって加工され得る。
【0033】
本発明のポリマーはまた、経口処方物中、および皮膚湿潤剤、クレンザー、パッド、硬膏、ローション、クリーム、ゲル、軟膏、溶液、シャンプー、なめし製品および局所適用のためのリップスティックのような製品中に取り込まれ得る。
【0034】
好ましくは、本発明のポリマーは、生物学的に活性な化合物およびリンカー基(L)が、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合により一緒に結合されるか、またはそれらの混合物のバックボーンを含む。このエステル、チオエステル、および/またはアミド結合の存在に起因して、これらポリマーは、生理学的条件下で加水分解され得、生物学的に活性な化合物を提供する。それ故、本発明のポリマーは、生物学的に活性な化合物のための制御放出供給源として、または選択された部位への生物学的に活性な化合物の局在化送達のための媒体として特に有用であり得る。
【0035】
上記ポリ酸無水物は、Conix、Macromol.Synth.、2、95〜99(1996)に記載される方法により、そして国際特許出願公開番号WO 02/009767号に記載される方法により調製され得る。例えば、ジカルボン酸は、還流温度で過剰の無水酢酸中においてアセチル化され、次に、得られる無水カルボン酸の180℃における2〜3時間の溶融縮合によりポリ酸無水物のポリマーが提供される。これらポリマーは、適切な溶媒中への沈殿により単離され得る(例えば、メチレンクロライドからジエチルエーテル)。有用なポリ酸無水物は、ホモポリマーおよび混合されたポリマーの両方を含む。
【0036】
本発明のポリ酸無水物は、代表的には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって狭い分子量ポリスチレン標準に対して算出される、約1500ダルトンと約90,000ダルトンまでの間の範囲で平均分子量を有する。いくつかの芳香族ポリ酸無水物は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって狭い分子量ポリスチレン標準に対して算出される、約1500ダルトンの、約30,000ダルトンまでの平均分子量を有する。その他の芳香族ポリ酸無水物は、約3000ダルトンの、約25,000ダルトンまでの平均分子量を有する。
【0037】
(マイクロスフェア)
ポリマーマイクロスフェアは、油/水エマルジョンを用いる溶媒蒸発技法(Yeagy,B.ら、J.Microencapsulation 2006、受理)により製作され得る。例えば、ポリマーは、メチレンクロライド中に溶解され(10w/v%または1mL中0.1g)、そして1w/v%のポリ(ビニルアルコール)の均一化溶液中に滴下して添加され(40倍過剰または40mL)、そして水相および有機相が、速度設定5で2分間(PowerGen 700、Fisher Scientific、Pittsburgh、PA)の均質化処理により乳化される。乳化された溶液を次いで、室温で攪拌し、有機溶媒を蒸発させる。ポリマーは、メチレンクロライドが蒸発するにつれ沈殿し、そして硬化したマイクロスフェアを減圧濾過し、脱イオン水で数回洗浄し(遠心分離および再懸濁による)、そして凍結乾燥される(Freeze Dry System/Freezone 4.5、Labconco、Kansas City、MO)。
【0038】
(治療)
ポリ酸無水物は、数時間〜数日の期間に亘り生物学的に活性な化合物の送達を可能にするように迅速に分解するように設計される。従って、本発明の1つの実施形態では、生物学的に活性な化合物は、ポリマーのマトリックス中に分散され得、そしてこのポリマーの分解に際し、放出され得る。本発明の別の実施形態では、生物学的に活性な化合物は、所定の条件下で加水分解してこの生物学的に活性な化合物を放出する結合で、本発明のポリマーに付加され得る(すなわち、ポリマーのバックボーン中ではない)。本発明の別の実施形態では、このポリマーバックボーン自体が、このバックボーンの分解(例えば、加水分解)に際し、1つ以上の生物学的に活性な化合物を提供する基を含む。本発明の上記の実施形態の組み合わせもまた可能である。例えば、ポリマーバックボーン自体が、このバックボーンの分解(例えば、加水分解)に際し、1つ以上の生物学的に活性な化合物を提供する基を含み得、そしてまた、生物学的に活性な化合物はポリマーバックボーンに付加され得るか、またはポリマーのマトリックス中に分散され得る。
【0039】
(組み合わせ治療)
本発明はまた、2つ以上の生物学的に活性な化合物を送達するために有用である組成物および方法を提供する。例えば、本発明の1つの実施形態では、2つ以上の生物学的に活性な化合物がボリマーマトリックス内に分散され、そしてこのポリマーの分解に際し放出され得る。本発明の別の実施形態では、ポリマーバックボーン自体が、このバックボーンの分解(例えば、加水分解)に際して2つ以上の生物学的に活性な化合物を提供する基を含む。本発明の上記の実施形態の組み合わせもまた可能である。例えば、ポリマーバックボーン自体が、このバックボーンの分解(例えば、加水分解)に際し、1つ以上の生物学的に活性な化合物を提供する基を含み得、そしてまた、他の生物学的に活性な化合物は、ポリマーのマトリックス中に分散され得る。あるいは、各々がバックボーン中に異なる生物学的に活性な化合物をもつ本発明の2つのポリマーが、単一組成物中で一緒に投与され得る。
【0040】
(生物学的に活性な化合物)
用語「生物学的に活性な化合物」は、動物(例えば、ヒトのような哺乳動物)に投与されるとき、治療的に所望される効果を提供する薬剤を含む。本明細書中に記載される組成物中に含まれ得る治療剤として、鎮痛薬、麻酔薬、抗パーキンソン病薬剤、抗感染剤、抗座瘡剤、抗生物質、抗コリン作用性剤、抗凝固剤、抗痙攣薬、抗糖尿病剤、抗ジスキネシア薬、抗線維症薬剤、抗線維症剤、抗真菌剤、抗緑内障薬剤、抗炎症薬剤、抗酸化剤、抗新生物剤、抗骨粗鬆症剤、抗パジェト病剤、抗胞子剤、解熱剤、防腐剤/消毒薬、抗血栓形成剤、骨再吸収阻害剤、カルシウム調節剤、心臓保護剤、心臓血管剤、中枢神経系刺激剤、コリンエステラーゼ阻害剤、避妊薬、脱臭剤、ドーパミンセレプターアゴニスト、勃起不全薬剤、受胎促進薬、胃腸管薬剤、痛風薬剤、ホルモン、睡眠薬、免疫調節剤、免疫抑制剤、角質溶解剤、片頭痛薬剤、乗り物酔い薬剤、筋弛緩剤、ヌクレオシドアナログ、肥満薬剤、眼科薬剤、骨粗鬆症薬剤、副交感神経遮断剤、副交感神経作用剤、プロスタグラジン類、精神療法薬剤、呼吸器系薬剤、硬化薬、鎮静剤、皮膚および粘膜薬剤、禁煙薬剤、交感神経遮断、合成抗菌薬剤、紫外線遮断剤、尿路系薬剤、膣薬剤、および血管拡張薬が挙げられる(Physician’s Desk Reference、55版、2001、Medical Economics Company、Inc.Montvale、New Jersey、201〜202頁を参照のこと)。
【0041】
生物学的に活性な化合物はまた、ポリマーの性質を改変するため(例えば、分岐のため、架橋のため、このポリマーにその他の分子(例えば、別の生物学的に活性な化合物)を付加するため、ポリマーの可溶性を変化させるため、またはポリマーの生体分布をため)に用いられ得る、官能基(水酸基、メルカプト基、アミン基、およびカルボン酸基、ならびにその他を含む)を含み得る。治療薬剤のリストは、例えば;Physician’s Desk Reference、55版、2001、Medical Economics Company、Inc.Montvale、New Jersey;USPN Dictionary of USAN and International Drug Names、2000、The United States Pharmacopeial Convention、Inc.Rockville、Maryland;およびThe Merk Index、12版、1996、Merck&Co.、Inc.、Whitehouse Station、New Jersey中に見出され得る。当業者は、これらのリストから、本発明のポリマー中への取り込みのための必要な官能基を所有する治療薬を容易に選択し得る。
【0042】
本発明における使用のために適する抗菌化合物の例として、制限されないで、4−スルファニルアミドサリチル酸、アセジアスルホン、アムフェナク、アモキシリン、アンピシリン、アパルシリン、アピサイクリン、アスポキシシリン、アズトレオナム、ベンベルマイシン、ビアペネム、カルベニシリン、カルモナム、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セフブペラゾン、セフクリジン、セフディニル、セフディトレン、セフェピメ、セフェタメット、セフィキシム、セフメノキシム、セフミノックス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピロム、セフプロジル、セフロキサジン、セフタジジム、セフテラム、セフチブテン、セフトリアキソン、セフゾナム、セファレキシン、セファログリシン、セファロスポリンC、セファラジン、シプロフロキサシン、クリナフロキサシン、シクラシリン、エノキサシン、エピシリン、フロモキセフ、グレパフロキサシン、ヘタシリン、イミペネム、ロメフロキサシン、ライメサイクリン、メロペネム、モキサラクタム、ムピロシン、ナディフロキサシン、ノルフロキサシン、パニペネム、パズフロキサシン、ペニシリンN、ピペミジン酸、キナシリン、リチペネム、サラゾスルファジミジン、スパルフロキサシン、スクシスルホン、スルファクリソイジン、スルファロキシ酸、テイコプラニン、テマフロキサシン、テモシリン、チカルシリン、チゲモナム、トスフロキサシン、トロバフロキサシン、バンコマイシンなどが挙げられる。
【0043】
本発明における使用に適切な抗真菌化合物の例として、制限されないで、アンホテリシンB、アザセリン、カンジシジン、ルセンソマイシン、ナタマイシン、ナイスタチンなどが挙げられる。
【0044】
本発明における使用に適切な抗新生物化合物の例として、制限されないで、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、アザセリン、カルジノフィリンA、デノプテリン、エダトレキセート、エフロルニチン、メルファラン、メトトレキセート、マイコフェノール酸、ポドフィリン酸2−エチルヒドラジド、プテロプテリン、ストレプトニグリン、Tomudex(登録商標)(N−((5−(((1,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソ−6−キナゾリニル)メチル)メチルアミノ)−2−チエニル)カルボニル)−L−グルタミン酸)、ウベニメックスなどが挙げられる。
【0045】
本発明における使用のための抗血栓症化合物の例として、制限されないで、アルガトロバン、イロプロスト、ラミフィバン、タプロステン、チロフィバンなどが挙げられる。
【0046】
本発明における使用に適切な免疫抑制化合物の例として、制限されないで、ブシラミン、マイコフェノール酸、プロコダゾール、ロムルチド、ウベニメックスなどが挙げられる。
【0047】
本発明における使用に適切なNSAID化合物の例として、制限されないで、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、アセクロフェナク、アルミノプロフェン、ブロムフェナク、ブマジゾン、カルプロフェン、ジクロフェナク、ジフルニサル、エンフェナム酸、エトドラク、フェンドサル、フルフェナム酸、ゲンチシン酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メサラミン、ニフルム酸、オルサラジンオキサセプロール、S−アデノシルメチオニン、サチリル酸、サルサラート、スルファサラジン、トルフェナム酸などが挙げられる。
【0048】
本発明における使用に適切な抗酸化化合物の例として、バニリン酸、シリンガ酸、p−クマリン酸、カフェイン酸、没食子酸、フェルル酸、シナピン酸、プロトカテキュ酸、またはp−ヒドロキシ安息香酸が挙げられる。
【0049】
本明細書中に記載されるような分解性ポリマーのバックボーン中に取り込まれ得る生物学的に活性な化合物は、代表的には、約1,000ダルトンまたはそれより小さい分子量を有する。さらに、この生物学的に活性な化合物がポリ酸無水物のバックボーン中に取り込まれるべき場合、それは、その分子構造内に1つのカルボン酸基、および、カルボン酸(−COOH)、アミン(−NHR)、チオール(−SH)、アルコール(−OH)およびフェノール(−Ph−OH)から選択される少なくとも1つのその他の官能基を含まなければならない。
【0050】
特定の生物学的に活性な化合物は、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、アセクロフェナク、アセジアスルホン、アルミノプロフェン、アムフェナク、アモキシリン、アムホテリシンB、アンピシリン、アパルシリン、アピサイクリン、アスポキシシリン、アザセリン、アズトレオナム、ベンベルマイシン、ビアペネム、ブロムフェナク、ブシラミン、ブマジゾン、カンジシジン、カルベニシリン、カプロフェン、カルモナム、カルジノフィリンA、セファドロキシル、セファマンドール、セファトリジン、セフブペラゾン、セフクリジン、セフジニル、セフジトレン、セフェピム、セフェタメット、セフィキシム、セフメノキシム、セフミノックス、セフォジジム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォラニド、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォゾプラン、セフピミゾール、セフピラミド、セフピローム、セフプロジル、セフロキサジン、セフタジジン、セフテラム、セフチブテン、セフトリアキソン、セフゾナム、セファレキシン、セファログリシン、セファロスポリンC、セフラジン、シプロフロキサシン、クリナフロキサシン、シクラシリン、デノプテリン、ジクロフェナク、エダトレキセート、エフロルニチン、エンフェナム酸、エノキサシン、エピシリン、エトドラク、フロモキセフ、フルフェナム酸、グレパフロキサシン、ヘタシリン、イミペネム、ロメフロキサシン、ルセンソマイシン、リメサイクリン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メルファラン、メロペネム、メトトレキセート、モキサラクタム、ムピロシン、マイコフェノール酸、ミコフェノール酸、ナディフロキサシン、ナタマイシン、ニフルム酸、ノルフロキサシン、ナイスタチン、オキサセプロール、パニペネム、パズフロキサシン、ペニシリンN、ピペミジン酸、ポドフィリン酸2−エチルヒドラジド、プロコダゾール、プテロプテリン、キナシリン、リチペネム、ロムルチド、S−アデノシルメチオニン、サラゾスルファジミジン、スパルフロキサシン、ストレプトニグリン、スクシスルホン、スルファクリソイジン、スルファロキシ酸、テイコプラニン、テマフロキサシン、テモシリン、チカルシリン、チゲモナム、トルフェナム酸、Tomudex(登録商標)(N−((5−(((1,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソ−6−キナゾリニル)メチル)メチルアミノ)−2−チエニル)カルボニル)−L−グルタミン酸)、トスフロキサシン、トロバフロキサシン、ウベニメックスまたはバンコマイシンである。
【0051】
(連結基「L」)
本発明のポリマー中の連結基「L」の性質は、この本発明のポリマーが選択された治療適用のために受容可能な機械的性質および放出動力学を所有することを条件に重要ではない。この連結基Lは、代表的には、約25ダルトン〜約400ダルトンまでの分子量を有する二価の有機基である。より好ましくは、Lは、約40ダルトン〜約200ダルトンまでの分子量を有する。
【0052】
この連結基Lは、標準的な結合長さおよび角度を用いて、代表的には、約5オングストローム〜約100オングストロームの長さを有する。より好ましくは、この連結基Lは、約10オングストローム〜約50オングストロームの長さを有する。
【0053】
この連結基は、生物学的に不活性であり得るか、またはそれ自体生物学的活性を所有し得る。この連結基はまた、ポリマーの性質を改変するため(例えば、分岐のため、架橋のため、このポリマーにその他の分子(例えば、別の生物学的に活性な化合物)を付加するため、ポリマーの可溶性を変化させるため、またはポリマーの生体分布をもたらすため)に用いられ得るその他の官能基(水酸基、メルカプト基、アミン基、およびカルボン酸基、ならびにその他を含む)を含み得る。
【0054】
Lのための特定の値は、1〜20の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、この鎖は、必要に応じて、炭素上で、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルカノイル、(C−C)アルカノイルオキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシからなる群から選択される1つ以上(例えば、1、2、3、または4)置換基で置換されている。
【0055】
Lのための別の値は、1〜20の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、これら炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換されている。
【0056】
Lのためのより詳細な値は、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、これら炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換され、そして上記鎖が、必要に応じて、炭素上で、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルカノイル、(C−C)アルカノイルオキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシからなる群から選択される1つ以上(例えば、1、2、3、または4)置換基で置換されている。
【0057】
Lのための別のより詳細な値は、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、これら炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換されている。
【0058】
Lのための別のより詳細な値は、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖である。
【0059】
のための別のより詳細な値は、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐の炭化水素鎖である。
【0060】
Lのための別のより詳細な値は、6〜10の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐の炭化水素鎖である。
【0061】
Lのための別のより詳細な値は、7、8、または9の炭素原子を有する、二価の炭化水素鎖である。
【0062】
Lのための別のより詳細な値は、8の炭素原子を有する、二価の炭化水素鎖である。
【0063】
Lのための別のより詳細な値は、4〜8の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐の炭化水素鎖である。
【0064】
Lのための別のより詳細な値は、−CHCHCHCH−である。
【0065】
本発明の組成物は、生物学的に活性な化合物を局所的に送達するために用いられ得る種々の製品中に取り込まれ得る。例えば、本発明の組成物は、脱臭剤、ボディケア製品(例えば、おむつ(diaper)およびタオル)、化粧品、女性用衛生用品、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、およびコンディショナー)、家庭用クリーナー(例えば、石鹸およびタオル)洗濯用品および織物ケア製品(例えば、石鹸、織物軟化剤)紙製品(例えば、タオル)、身体浄化用品(例えば、石鹸)および皮膚ケア用品(例えば、湿潤剤)中に取り込まれ得る。
【0066】
局所投与のためには、上記ポリマーを、固形または液体であり得る皮膚科学的に受容可能なキャリアと組み合わせて、組成物または処方物として皮膚に投与することが一般に所望され得る。
【0067】
有用な固形キャリアは、タルク、粘土、微結晶セルロース、シリカ、アルミナなどのような微細に分割された固体を含む。有用な液体キャリアは、水、アルコールまたはグリコールまたは水−アルコール/グリコールブレンドを含み、ここでは、本発明の化合物は、必要に応じて非毒性界面活性剤の補助で、有効レベルで溶解または分散され得る。芳香剤およびさらなる抗微生物薬剤のようなアジュバントが、所定の使用のための性質を最適化するために添加され得る。得られる液体組成物は、吸収剤パッドから付与され得、包帯およびその他の外傷用医療材料を含浸するために用いられるか、またはポンプタイプまたはエアロゾル噴霧器を用いてもたらされる領域上にスプレーされる。
【0068】
合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪アルコール、改変セルロースまたは改変ミネラル材料のような増粘剤がまた、液体キャリアとともに採用され得、使用者の皮膚への直接適用のために展開可能なパスタ剤、ゲル、軟膏、石鹸などを形成する。
【0069】
皮膚に式Iの化合物を送達するために用いられ得る有用な皮膚科学的組成物の例は、当該技術分野で公知であり;例えば、Jacquetら(米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smithら(米国特許第4,559,157号)およびWortzman(米国特許第4,820,508号)を参照のこと。
【0070】
薬学的に受容可能な塩は、当該技術分野で周知の標準的な手順を用いて得られ得、例えば、アミンのような十分に塩基性の化合物を、生理学的に受容可能なアニオンを与える適切な酸と反応させることによる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムもしくはリチウム)塩またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩もまた、作製され得る。
【0071】
生物学的に活性な化合物Iの有用な投薬量は、それらのインビトロ活性と、動物モデルにおけるインビボ活性とを比較することにより決定され得る。マウス、およびその他の動物における有効な投薬量のヒトへの外挿のための方法は、当該技術分野で公知である;例えば、米国特許第4,938,949号を参照のこと。
【0072】
一般に、ローションのような液体組成物中の生物学的に活性な化合物の濃度は、約0.1〜25wt%、好ましくは約0.5〜10wt%である。ゲルまたは粉末のような半固形または固形組成物中の濃度は、約0.1〜5wt%、好ましくは約0.5〜2.5wt%である。
【0073】
本発明を、ここで、以下の非制限的な実施例により説明する。
【実施例】
【0074】
(実施例1)
材料および方法。テトラヒドロフラン(THF)、ピリジン、無水酢酸、メチレンクロライド、およびジエチルエーテルを、Fisher(Fair Lawn、NJ)から購入した。すべてのその他の化学薬品および溶媒は、Aldrich(Milwaukee、WI)から得、そして受けたまま用いた。
【0075】
プロトン核磁気共鳴(HNMR)スペクトルは、Varian 300MHzスペクトロメーターで記録した。サンプル(5〜10mg)を、内部基準としてもまた用いた重水素化溶媒(DMSO−d)中に溶解した。赤外(IR)スペクトルは、Thermo Nicolet/Avatar 360FT IRスペクトロメーターで、サンプルをNaClプレート上に堆積するか(液体である場合)、またはメチレンクロライドからNaClプレート上への溶媒キャスティング(solvent−casting)(固体である場合)により測定した。
【0076】
重量平均分子量(Mw)は、Series 200屈折率検出器、Series 200LCポンプ、およびISS 200アドバンストサンプルプロセッサーからなるPerkin−Elmer液体クロマトグラフィーシステムでゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定された。Dell OptiPlex GX110コンピューターで稼動するPerkin−Elmer TurboChrom 4ソフトウェアを、データ収集および処理のための用い、そしてPerkin−Elmer Nelson 900 Series Interfaceおよび600 Series Linkを経由して分析を自動化した。ポリマーをメチレンクロライドに溶解し(5mg/mL)、そして溶出の前に0.45μmのポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)シリンジフィルター(Whatman、Clifton、NJ)を通して濾過した。サンプルを、Jordiジビニルベンゼン混合ベッドGPCカラム(7.8×300mm)(Alltech Associates、Deerfield、IL)によって、25℃で、メチレンクロライドを溶出液として0.5mL/分の流速で分析した。分子量は、狭い分子量のポリスチレン標準(Polysciences、Dorval、Canada)に対して較正した。
【0077】
熱分析は、TAC 7/DX機器コントローラーを備えたPyris 1 DSCおよびTGA 7アナライザーからなるPerkin−Elmerシステムで実施した。Perkin−Elmer Pyrisソフトウェアを、Dell OptiPlex GX110コンピューターでデータ収集のために用いた。DSCには、サンプル(5mg)を、乾燥窒素ガス下で加熱した。データは、2サイクル最小で、10℃/分の加熱および冷却速度で収集した。ガラス転移温度は、外挿された半分のCpとして算出された。TGAには、サンプル(10mg)を、乾燥窒素ガス下で加熱した。データは、10℃/分の加熱速度で収集した。分解温度は、分解の開始として規定した。
【0078】
元素分析は、QTI(Whitehouse、NJ)によって提供された。200℃未満の融点は、1℃/分の加熱速度でMel−Temp装置で得、その一方、200℃を超える融点は、Pyris 1 DSC(上記を参照のこと)で決定された。
【0079】
ポリマーディスク上のリン酸緩衝溶液の座滴(sessile−drop)接触角度は、DROPimage Advancedソフトウェアを備えた自動化Rame−hart角度計(Model 250、Netcong、NJ)を用いて測定された。角度は、各ポリマーについて3つの異なるディスクに対して測定され、そして平均値をとった。ポリマー(150mg)ディスクは、砕いたポリマー(約150±5mg)を、IRペレットダイ(International Crystal Laboratories、Garfield、NJ)中、ベンチ−トップ水圧プレス(Carver model M、Wabash、IN)で、5000psiの圧力を5分付与することにより、直径13mm×厚さ1mmのディスクに圧縮することにより調製された。
【0080】
分解媒体中のバニリン酸(VA)およびシリンガ酸(SGA)濃度は、785A吸光度検出器(Applied Biosystems、Foster City、CA)、Series 200 4基LCランプ、およびISS 200オートサンプラーからなるPerkin−Elmer HPLCシステムで決定された。Perkin−Elmer TurboChrom 4 ソフトウェアを稼動するDell OptiPlex GX110コンピューターを、データ収集および処理のために用い、そしてPerkin−Elmer Nelson 900 Series Interfaceおよび600 Series Linkを経由して分析を自動化した。分解媒体は、溶出前、0.45μmのポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)シリンジフィルター(Whatman、Clifton、NJ)を通して濾過した。サンプルは、溶出液として、メタノール:DDW:TFA 50:49.05:0.05v/v/vの混合物を用い、Zorbax C−8逆相カラム(4.6×150mm)(Agilent、Foster City、CA)により25℃で、1.0mL/分の流速で分離され、251nmでのUV検出によりVAを、そして261nmでのUV検出によりSGAを決定した。
【0081】
ポリ(酸無水物−エステル)前駆体:二塩基酸合成(5)。二塩基酸を、塩基(ピリジン)の存在下においてバニリン酸(2a)またはシリンガ酸(2b)の適切なアシルクロライドとの反応により調製した。5aの調製が例として提供される。バニリン酸(2a)(3.6g、21mmol)を、THF(40mL)およびピリジン(5.2mL、64mmol)中に溶解した。テトラヒドロフラン(10mL)中に溶解されたアジポイルクロライド(4a)(1.6mL、11mmole)を室温で攪拌反応混合物に5分間に亘って滴下し、懸濁物を与えた。この反応物を室温で2時間攪拌し、水(400mL)に注ぎ、そして攪拌しながら、濃縮塩酸を用いてpH約2まで酸性にした。形成された灰色がかった白色の固体(二塩基酸、5a)を、減圧濾過によって単離し、水で洗浄し(3×100mL)そして減圧下室温で一晩乾燥した。
【0082】
1,6−ビス(3−メトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−ヘキサノエート(5a)
【0083】
【化12】

1,10−ビス(3−メトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−デカノエート(5b)
【0084】
【化13】

1,6−ビス(3,5−ジメトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−ヘキサノエート(5c)
【0085】
【化14】

1,10−ビス(3,5−ジメトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−デカノエート(5d)
【0086】
【化15】

モノマー合成(6)。二塩基酸(5)(3.0g)を、初期の懸濁物が透明な溶液になるまで(約3〜12時間)、室温で過剰の無水酢酸(50mL)中で攪拌して活性化した。過剰の無水酢酸を、減圧下室温でロトエバポレーションにより除去し、モノマーを与えた。
【0087】
1,6−ビス(3−メトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−ヘキサノエートモノマー(6a)
【0088】
【化16】

1,10−ビス(3−メトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−デカノエートモノマー(6b)
【0089】
【化17】

1,6−ビス(3,5−ジメトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−ヘキサノエートモノマー(6c)
【0090】
【化18】

1,10−ビス(3,5−ジメトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−デカノエートモノマー(6d)
【0091】
【化19】

ポリマー合成(1)。モノマー(6)(3.0g)を、1つのネックに減圧ジョイント、そして他方のネックにTeflon減圧攪拌アダプターを備えた24/40ジョイントを備える100mlの2ネック丸底フラスコ中においた。反応フラスコを、高減圧下(<2mmHg)シリコーン油浴中温度コントローラー(Cole Parmer)を用いて160℃まで加熱した。この時間の間に、この溶融物をオーバーヘッド攪拌機(T−line Laboratory Stirrer、Talboys Engineering、Montrose、PA)により約100rpmで活発に攪拌した。重合は、溶融物の粘度が一定のままであったか、そして/または固化したとき終了した(4時間)。ポリマーを室温まで冷却し、そしてメチレンクロライド/ジエチルエーテル(5mL/100mL)中の沈殿により単離した。
【0092】
ポリ[1,6−ビス(3−メトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−ヘキサノエート](1a)
【0093】
【化20】

ポリ[1,10−ビス(3−メトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−デカノエート](1b)
【0094】
【化21】

ポリ[1,6−ビス(3,5−ジメトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−ヘキサノエート](1c)
【0095】
【化22】

ポリ[1,10−ビス(3,5−ジメトキシ−1,4−カルボキシフェノキシ)−デカノエート](1d)
【0096】
【化23】

2つのフェノール誘導体(1)からなるポリ(酸無水物−エステル)を、図4に概説されるような溶融−縮合重合法により調製した。
【0097】
ポリマー前駆体または二塩基酸(5)は、先に記載された方法に従って67〜78%の範囲の収率で合成された(Uhrich,K.E. Macromolecules 2005、38、6895〜6901;Schmeltzer,R.ら、Polym.Bull.2003、49、441〜448;およびFan,J.ら、J Applied Polymer Science 2006、100、1214〜1221)。二塩基酸(5)は、無水酢酸でモノマー(6)に活性化され、そして最終的には、減圧下(<2mmHg)160℃で溶融重合された。この重合温度は、上記溶融物の固化の際の、モノマー分解温度および重合時間(4時間)に基づいて選択された。バニリン酸(VA)およびシリンガ酸(SGA)のポリマーバックボーン中への化学的取り込みは、67から78wt%までの範囲の負荷効率を可能にした(表1)。
【0098】
これらポリマーは、12,500〜88,800の分子量を有し、より大きなメトキシ−置換フェノール誘導体ベースのポリマー(1c、d)は、表1に示されるような最も小さい分子量を生じた。分子量は、2つのフェノール誘導体単位を連結する化合物のアルキル鎖の長さとともに顕著に増加した。同様に、アルキルリンカー鎖の長さは、ポリマーの熱特性に影響し、先に示されたようにメチレンの数とともに分解温度(T)およびガラス転移温度(T)を増加した(Prudencio,A.、Schmeltzer,R.;Uhrich,K. Macromolecules 2005、38、6895〜6901を参照のこと)。ガラス転移温度(T)は、ポリマー鎖の減少した柔軟性に起因して芳香族環中のメトキシ基の数とともに増加した。鎖剛直化効果によるガラス転移温度(T)を増加する芳香族環上のメトキシ置換のこの傾向は、メトキシ置換芳香族環を含むポリエステル中で観察された。
【0099】
【表1】

(実施例2)
分解研究
サンプル調製。ポリマーペレットを、砕いたポリマー(約150±5mg)を、IRペレットダイ(International Crystal Laboratories、Garfield、NJ)中、ベンチ−トップ水圧プレス(Carver model M、Wabash、IN)で圧縮することにより、直径13mm×厚み1mmのディスクに調製した。5000psiの圧力を室温で5分間付与した。圧力の付与に際し、ポリマーの色の変化は観察されなかった。
【0100】
分解媒体調製。分解媒体は、0.1Mリン酸水素カリウムおよび0.1Mリン酸二水素カリウムを含むリン酸緩衝溶液(PBS)からなった。pHは、1M水酸化ナトリウムおよび/または1N塩酸溶液で7.4に調節され、そしてpH測定は、Accumet(登録商標)AR15 pH−メーター(Fisher Scientific、Fair Lawn、NJ)で実施された。
【0101】
インビトロでの加水分解による分解。上記ポリマーの加水分解による分解は、10mLのPBSを含む20mLのWheatonガラスシンチレーションバイアル(Fisher、Fair Lawn、NJ)中に上記ディスクを配置し、そして制御された環境(environment)インキュベーター−シェーカー(New Brunswick Scientific Co.、Edison、NJ)を60rpmで8日間用いる攪拌により37℃でそれらをインキュベートすることにより実施された。緩衝溶液を、インキュベーションの2、4、8、および24時間後、そして次に24時間毎に新鮮溶液(10mL)によって置換した。利用された媒体を、HPLCによって分析し、各々の時間点における溶液中の遊離のバニリン酸(VA)およびシリンガ酸(SGA)の濃度を決定し、そしてUVによりポリマー分解を追った。データ(時間点あたり3サンプルの平均)を、累積%−時間曲線にプロットした。
【0102】
遊離の生物学的に活性な化合物の決定。分解媒体中のバニリン酸(VA)およびシリンガ酸(SGA)含量を、Series 200 クオータナリーLCポンプ、およびISS200オートサンプラーからなり、Zorbax C−8逆相カラム(4.6×150mm)、25℃で移動相としてメタノール:DDW:TFA 50:49.05:0.05v/v/vの混合物を1.0mL/分の流速で用いるPerkin−Elmer HPLCシステムによるクロマトグラフィーにより決定された。251nmにセットされた785A吸光度検出器を用いてバニリン酸(VA)を検出し、261nmでシリンガ酸(SGA)を検出した。Perkin−Elmer TurboChrom 4ソフトウェアを稼動するDell OptiPlex GX110コンピューターを、データ収集および処理のために用い、そしてPerkin−Elmer Nelson 900 Series Interfaceおよび600 Series Linkを経由して分析を自動化した。分解媒体中の遊離のフェノール性化合物濃度は、既知の濃度(2.5×10−4〜1.1×10−1mg/mL)の溶液で生成された標準曲線から決定された。分解媒体は、溶出前に、0.45μmのポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)シリンジフィルター(Whatman、Clifton、NJ)を通して濾過された。
【0103】
ポリマー分解。DU 520 UV/vis分光光度計(Beckman Instruments、Fullerton、CA)でのUV分光測定(λ=251および261nm、それぞれVAおよびSGAについて)を用いて、分解産物の任意の形態のフェノール性化合物濃度を測定することによりポリマー分解を追った。UVデータは、既知濃度(5.7×10−4〜1.2×10−1mg/mL)のバニリン酸およびシリンガ酸溶液に対して較正された。
【0104】
ポリマーの加水分解による分解。フェノール性誘導体を基礎にしたポリ(酸無水物−エステル)の加水分解による分解を、37℃で5〜8日間pH7.4のリン酸緩衝化溶液中に浸漬されたポリマーディスクにおいて調査した。各時間点における分解媒体中の遊離のフェノール性誘導体の濃度をHPLCにより決定し、そしてポリマー分解は、UV分光光度法によって追跡した。ポリマー分解が起こるために、水がマトリックス中に浸透しなければならない。一旦、水が、マトリックス中に浸透すると、酸無水物およびエステル結合は壊れ、そして分解産物の可溶化が、この分解/加水分解における別の臨界的工程になる。フェノール性誘導体を基礎にしたポリ(酸無水物−エステル)(1)の加水分解による分解は、初期には、酸無水物結合の切断に際し、小オリゴマーおよびモノマー前駆体または二塩基酸(5)を生じた。この二塩基酸(5)はさらに、HPLCによって確認されるように、エステル結合切断を経由して、フェノール性誘導体(2)およびカルボン酸(3)にさらに分解する。HPLCクロマトグラムの保持時間は、バニリン酸(VA)およびシリンガ酸(SGA)について、それぞれ2.8分および2.9分であった。分解の間の各時間点でのそれらの遊離形態で放出されるVAおよびSGAの累積%を図1に提示する。5〜8日の分解期間に亘り、それらの遊離形態にあるSGAおよびVAの累積放出は、1.0〜4.7%の範囲であった。残りは、二塩基酸および/または小オリゴマーの形態にあるバニリン酸およびシリンガ酸が占めた。これら分解産物の溶解度は、各時間点における溶液中で検出されたその遊離形態にあるフェノール性誘導体の量を説明する(図1)。PBS中のバニリン酸(47mg/mL)およびシリンガ酸(56mg/mL)の溶解度に基き、シリンガ酸に基く二塩基酸およびオリゴマーは、バニリン酸に基づくそれらのアナログより分解媒体(PBS)中により可溶性である。これら分解産物(オリゴマーおよび二塩基酸)の溶解度が高くなる程、これら化合物のより多くが、遊離のフェノール性誘導体に分解する前に溶液中に移行し、溶液中で検出されるフェノール性誘導体のより低い濃度を生じる。バニリン酸に基くポリマー1aおよび1bは、シリンガ酸に基くそれらと比較したとき、ポリマー分解産物のより低い溶解度に起因して、溶液中により多くの量のフェノール性誘導体を、それぞれ1.9%および4.7%放出した。ポリマー1c〜d分解から溶液中で検出されるより低い量の遊離のシリンガ酸は、対応する二塩基酸および/または小オリゴマーのより高い溶解度によって説明され、その他の分解産物(二塩基酸および小オリゴマー)の溶解度が増加するとき減少する。
【0105】
ポリマー疎水性/親水性は、ポリマーマトリックス中への水の浸透に影響する因子として、インビトロ分解速度の良好な指標である。60〜75゜の範囲のポリマーディスク表面上のリン酸緩衝溶液(PBS)の静的接触角度を、ポリマー疎水性を決定するために測定した(表1)。ポリマー分解速度は、UV測定によって決定され(図2)、そして接触角度が高い程(より疎水性)減少した。実際、ポリマー1dは、最も高い接触角度値(75゜)を示し、そしてまた、その他のポリ(酸無水物−エステル)(1a〜c)に対して最も遅い分解を示した。同じ接触角度を有したポリマー1aおよび1cについては、1aのより速い分解速度は、このポリマーの分解産物のより速い可溶化によって説明される。UV測定によって決定されるポリマー分解速度(図2)は、分解媒体(PBS)中のバニリン酸(47mg/mL)およびシリンガ酸(56mg/mL)の溶解度および接触角度と相関した。最も低い接触角度をもつポリマーは、最も速く分解し、より高い溶解度で増加する。各時間点で溶液中に検出される遊離形態にあるフェノール性誘導体の量(図1)は、その他の分解産物(二塩基酸および小オリゴマー)の溶解度が増加するとき減少した。HPLC測定によって決定されたポリマー分解速度(図1)は、分解媒体(PBS)中のバニリン酸(47mg/mL)およびシリンガ酸(56mg/mL)の溶解度と相関した。
【0106】
すべての刊行物、特許、および特許文献は、あたかも、個々に参考として援用されるように、参考として援用される。本発明は、種々の詳細かつ好ましい実施形態および技法を参照して説明された。しかし、多くの改変例および変更例が本発明の思想および範囲内にあってなされ得ることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、加水分解的分解の間のポリ(酸無水物−エステル)1a〜dからの遊離フェノール性誘導体放出である。
【図2】図2は、フェノール性誘導体を基礎にしたポリ(酸無水物−エステル)1a〜dの加水分解的分解である。
【図3】図3は、フェノール性誘導体を基礎にしたポリ(酸無水物−エステル)1の加水分解的分解を示す。
【図4】図4は、フェノール性誘導体を基礎にしたポリ(酸無水物−エステル)1を調製するための合成スキームを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物への局所投与に適した組成物であって、投与の60時間以内に分解し、生物学的に活性な化合物を提供するバックボーンを有するポリ酸無水物を含む、組成物。
【請求項2】
皮膚科学的に受容可能なキャリアをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤が、ヒドロキシアリールカルボン酸である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤が、バニリン酸、シリンガ酸、p−クマリン酸、カフェイン酸、没食子酸、フェルル酸、シナピン酸、プロトカテキュ酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤が、前記ポリ酸無水物のマトリックス中に分散される、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤が、前記ポリ酸無水物に付加される、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤が、前記ポリ酸無水物のバックボーンに取り込まれる、請求項3〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリ酸無水物を含むマイクロスフェアを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリ酸無水物が、投与の48時間以内に分解する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリ酸無水物が、投与の36時間以内に分解する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリ酸無水物が、投与の24時間以内に分解する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリ酸無水物が、投与の18時間以内に分解する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
局所投与に適切な組成物であって、投与の60時間以内に分解するマイクロスフェアを含み、該マイクロスフェアが、ヒドロキシアリールカルボン酸を含むバックボーンを有するポリ酸無水物を含む、組成物。
【請求項15】
前記マイクロスフェアが、投与の24時間以内に分解する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリ酸無水物のバックボーンが、該バックボーンの加水分解に際し、バニリン酸、シリンガ酸、p−クマリン酸、カフェイン酸、没食子酸、フェルル酸、シナピン酸、プロトカテキュ酸、またはp−ヒドロキシ安息香酸を提供する1つ以上の基を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記ポリ酸無水物が、以下の式:
【化1】

の1つ以上の単位を含み、
ここで、各Rは、独立して、Hまたはメトキシであり;そして
Lが、1〜20の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該鎖が、必要に応じて、炭素上で、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルカノイル、(C−C)アルカノイルオキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシからなる群から選択される1つ以上(例えば、1、2、3、または4)置換基で置換されている、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
Lが、1〜20の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換されている、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
Lが、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換され、そして該鎖が、必要に応じて、炭素上で、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルカノイル、(C−C)アルカノイルオキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシからなる群から選択される1つ以上(例えば、1、2、3、または4)置換基で置換されている、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
Lが、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換されている、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
Lが、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖である、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
Lが、4〜8の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐の炭化水素鎖である、請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
Lが、−CHCHCHCH−である、請求項17に記載の組成物。
【請求項24】
各RがHである、請求項17〜23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
各Rがメトキシである、請求項17〜23のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
抗酸化、防腐、または抗菌効果を促進する方法であって、動物に請求項3〜8のいずれか1項に記載の組成物を局所投与する工程を包含する、方法。
【請求項27】
動物に生物学的に活性な化合物を投与する方法であって、付与の60時間以内に分解し、生物学的に活性な化合物を提供するバックボーンを有するポリ酸無水物を含む組成物を、動物に局所的に付与する工程を包含する、方法。
【請求項28】
前記組成物が、皮膚科学的に受容可能なキャリアをさらに含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤が、ヒドロキシアリールカルボン酸である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤が、バニリン酸、シリンガ酸、p−クマリン酸、カフェイン酸、没食子酸、フェルル酸、シナピン酸、プロトカテキュ酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤が、前記ポリ酸無水物のマトリックス中に分散される、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤が、前記ポリ酸無水物に付加される、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記抗酸化剤、防腐剤、または抗菌剤が、前記ポリ酸無水物のバックボーンに取り込まれる、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が、前記ポリ酸無水物を含むマイクロスフェアを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記ポリ酸無水物が、投与の48時間以内に分解する、請求項27〜35いずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリ酸無水物が、投与の36時間以内に分解する、請求項27〜35いずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記ポリ酸無水物が、投与の24時間以内に分解する、請求項27〜35いずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記ポリ酸無水物が、投与の18時間以内に分解する、請求項27〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
医学的治療における使用のための請求項1〜26のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項41】
動物に投与されるとき、抗酸化、防腐、または抗菌効果を促進するための医薬を調製するための請求項3〜8および16〜25のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項42】
以下の式(I):
【化2】

の単位を含むポリ酸無水物であって、
ここで、各Rは、独立して、Hまたはメトキシであり;そして
Lが、1〜20の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該鎖が、必要に応じて、炭素上で、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルカノイル、(C−C)アルカノイルオキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシからなる群から選択される1つ以上(例えば、1、2、3、または4)置換基で置換されている、ポリ酸無水物。
【請求項43】
Lが、1〜20の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換されている、請求項42に記載のポリ酸無水物。
【請求項44】
Lが、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換され、そして該鎖が、必要に応じて、炭素上で、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルカノイル、(C−C)アルカノイルオキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシからなる群から選択される1つ以上(例えば、1、2、3、または4)置換基で置換されている、請求項42に記載のポリ酸無水物。
【請求項45】
Lが、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換されている、請求項42に記載のポリ酸無水物。
【請求項46】
Lが、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐の炭化水素鎖である、請求項42に記載のポリ酸無水物。
【請求項47】
Lが、4〜8の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖である、請求項42に記載のポリ酸無水物。
【請求項48】
Lが、−CHCHCHCH−である、請求項42に記載のポリ酸無水物。
【請求項49】
各Rが、Hである、請求項42〜47のいずれか1項に記載のポリ酸無水物。
【請求項50】
各Rが、メトキシである、請求項42〜47のいずれか1項に記載のポリ酸無水物。
【請求項51】
請求項17に記載される式(I):
【化3】

のポリ酸無水物を調製する方法であって、式(II):
【化4】

の対応する化合物を重合する工程、を包含する、方法。
【請求項52】
前記重合が、溶融縮合によって実施される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
請求項51に記載の式(II)の化合物を調製する方法であって、
式(III):
【化5】

の対応する二塩基酸をアシル化する工程、を包含する、方法。
【請求項54】
式(III):
【化6】

の化合物であって、
ここで:
各Rは、独立して、Hまたはメトキシであり;そして
Lが、1〜20の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該鎖が、必要に応じて、炭素上で、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルカノイル、(C−C)アルカノイルオキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシからなる群から選択される1つ以上(例えば、1、2、3、または4)置換基で置換されている、化合物。
【請求項55】
Lが、1〜20の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換されている、請求項54に記載の化合物。
【請求項56】
Lが、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換され、そして該鎖が、必要に応じて、炭素上で、(C−C)アルコキシ、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルカノイル、(C−C)アルカノイルオキシ、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルチオ、アジド、シアノ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、およびヘテロアリールオキシからなる群から選択される1つ以上(例えば、1、2、3、または4)置換基で置換されている、請求項54に記載の化合物。
【請求項57】
Lが、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖であり、ここで、該炭素原子の1つ以上(例えば、1、2、3、または4)が、必要に応じて、(−O−)または(−NR−)によって置換されている、請求項54に記載の化合物。
【請求項58】
Lが、3〜15の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐、飽和または不飽和の炭化水素鎖である、請求項54に記載の化合物。
【請求項59】
Lが、4〜8の炭素原子を有する、二価の、分岐または非分岐の炭化水素鎖である、請求項54に記載の化合物。
【請求項60】
Lが、−CHCHCHCH−である、請求項54に記載の化合物。
【請求項61】
各RがHである、請求項54〜60のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項62】
各Rがメトキシである、請求項54〜60のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項63】
抗酸化、防腐、または抗菌効果を促進する方法であって、請求項54〜60のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を哺乳動物に局所投与する工程、を包含する、方法。
【請求項64】
医学的治療における使用のための、請求項54〜61のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩。
【請求項65】
動物に投与されるとき、抗酸化、防腐、または抗菌効果を促進するための医薬を調製するための、請求項54〜61のいずれか1項に記載の化合物またはその薬学的に受容可能な塩の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−545695(P2008−545695A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513610(P2008−513610)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/019848
【国際公開番号】WO2006/127667
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(502155611)ラトガーズ, ザ ステイト ユニバーシティ オブ ニュー ジャージー (8)
【Fターム(参考)】