説明

迅速固定要素

本発明は、格子状の側面部分における水平に延びるロッド(5)にガイドレール(1)を固定するための迅速固定要素(4)に関し、ロッドは、ガイドレール(1)の端部部分において所定の角度で屈曲している。前記迅速固定要素(4)は、ロッドの長手方向にロッド(5)を部分的に取り囲む第1のクリップタイプの保持部分(4a)と、ロッド(5)の端部部分を水平に摺動するように、ロッドの屈曲端部部分(5a)においてロッド(5)を部分的に取り囲む第2のクリップタイプの保持部分(4b)とを有するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、格子タイプの側面部分における水平に延びるロッドにガイドレールを固定するための迅速(クイック式)固定要素であって、前記ロッドは、端部領域においてガイドレールからある角度で屈曲しているような、前記迅速固定要素に関する。
【背景技術】
【0002】
当該タイプの迅速固定要素は、それ自体、例えば独国実用新案第20010037(U1)号明細書から知られている。
【0003】
前述した迅速固定要素は、主として、例えば、皿洗い、パン焼きオーブンなど家庭内の機器におけるガイドレールを固定するために使用されるが、それらは同様に、他の家具の要素に使用することも考えられる。
【0004】
ワイヤ又はロッドから形成された格子状の側面部分の場合には、互いに平行に延びる複数の水平ロッドが設けられ、前記ロッドは、それらの端部領域にて屈曲されており、その屈曲部分は、固定されるべきガイドレールから、家庭内機器の又は家具の要素の側面の方向に突出するようになっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が基づく目的は、格子タイプの側面部分におけるただ1本の水平に延びるロッドにガイドレールを満足に固定できるような、本願対象のタイプの迅速固定要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明における迅速固定要素は、ロッドの長手方向の範囲領域においてロッドのまわりに部分的に係合する、第1のクリップタイプの保持部分と、ロッドの屈曲された端部領域においてロッドのまわりに部分的に係合する、第2のクリップタイプの保持部分を有し、ロッドの端部領域に、水平方向に押し込むことができることを特徴とする。
【0007】
この設計によれば、ガイドレールは、水平に延びるロッドの長手方向軸線に対して、捻れ又は傾動に対して固定される態様にて、固定されることができる。これは、迅速固定要素は、ロッドの屈曲された端部領域においてロッドのまわりに部分的に係合する、第2のクリップタイプの保持部分によって、傾動に対して固定する手段を形成するためである。ガイドレールの両方の端部領域においてガイドレールをロッドに固定するために、対応する迅速固定要素が使用されるので、従って、ロッドにも、ロッドの屈曲された両方の端部領域が係合し、従って、捻れ又は傾動に対する固定手段が得られるだけでなく、ロッドに固定されたガイドレール部分の長手方向の変位が防止されるという利点が得られる。
【0008】
ロッドからの迅速固定要素の意図的でない解放は、迅速固定要素がロッドにクランプ式に、すなわち、極めて実質的に摩擦的に押し込まれるので、達成することができる。ロッドの長手方向の範囲領域においてロッドのまわりに係合している保持部分の翼部における別の可能性は、弾性係止舌部を備え、これが、迅速固定要素が押し込まれたとき、ガイドレールの反対に面しているロッドの領域に当接していることである。
【0009】
従って、この解決策の場合には、ロッドからの迅速固定要素の意図的でない解放に対して、ある種の形状固定結合が、達成されるだろう。しかしながら、係止舌部は、所定量の作用力を使用する弾性的な設計であるので、要求されるように、例えば、ガイドレール及び格子タイプの側面部分の両方をクリーニングする目的のために、意識的な迅速固定要素の解放、及び従って、ロッドからのガイドレールの解放をもたらすことができる。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、さらに別の従属請求項の主題である。
【0011】
本発明の例示的な実施形態を、添付図面に示し、より詳しく後述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図3は、それぞれ、参照符号1によって、ガイドレールを示しており、ガイドレールは、パン焼きオーブンなどに固定できる本体レール2と、これに対して長手方向に変位可能な走行レール3とを有している。
【0013】
迅速固定要素4は、本体レール2の端部領域に固定されている
【0014】
図4は、前述した迅速固定要素4を上面図にて、固定された状態において示している。図4は、迅速固定要素4が、格子タイプの側面部分(明確には図示せず)における水平に延びるロッド5に固定されていることを明瞭に示している。
【0015】
ロッド5は、その端部領域において、ガイドレール1に対して、ある角度をなして屈曲しており、前記屈曲した端部領域5aは、図示した例示的な実施形態においては、ガイドレール1に対して略直角に延びている。もちろん、90゜以外の角度範囲も、ここで考えることができる。
【0016】
迅速固定要素4はそれぞれ、ロッドの長手方向の範囲領域においてロッド5のまわりに部分的に係合する、第1のクリップタイプの保持部分4aと、ロッドの屈曲端部領域5aにおいてロッド5のまわりに部分的に係合する、第2のクリップタイプの保持部分4bとを有している。この場合、前述したクリップタイプの保持部分4a,4bは、それぞれの迅速固定要素4がロッド5の端部領域に水平方向に押し込み得るように設計されている。
【0017】
それぞれの保持部分4a,4bは、例えば図5が明示するように、略C字形の設計の断面になっていて、それぞれ下側翼部6及び上側翼部7を有している。この場合、それぞれ、上側翼部7はロッド5の上に載置され、下側翼部6はロッド5の下側に当接している。この場合、迅速固定要素4をロッド5に又はその屈曲領域5aにクランプ式の押し込みが達成されるように、2つの翼部6,7間の距離を選択する可能性が存在する。
【0018】
それぞれの場合に、ガイドレール1(その本体レール2に迅速固定要素4が、例えば溶接などによって固定される)は、傾動又は捻れに対して固定される態様にて、ロッド5に対して固定されている。何故ならば、ロッド5における屈曲端部領域5aも、それぞれの迅速固定要素4における第2のクリップタイプの保持領域4bによって、まわりに係合しているためである。
【0019】
加えて、このタイプの固定は、本体レール2のロッド5に対する相対的な長手方向の変位を防止する。
【0020】
図5は、クリップタイプの保持部分4aにおける下側翼部6を示しており、これは、ロッド5の長手方向の範囲領域のまわりに係合し、ロッド5の方向を向いた、弾性係止舌部8を備えている。図5に示すように、固定された状態においては、前述した弾性係止舌部8は、一方の本体レール2に当接し、従って、ガイドレール1から離れる方向に向いたロッド5の領域に当接し、従って、ロッド5から迅速固定要素4が不用意に解放されることは、ここでは、事実上、形状固定結合によって防止される。迅速固定要素4の、従って、ガイドレール1の、ロッド5からの分離は、従って、所定の作用力によってのみ、意識的に行われる。
【0021】
迅速固定要素4には、それぞれ、ロッド5の長手方向の範囲領域と、前記ロッド5の屈曲端部領域5aとの間の移行領域に、隙間切断部9が設けられている。
【0022】
本発明の迅速固定要素によれば、捻れ及び傾動に対して固定された態様にて、格子タイプの側面部分におけるただ1つのロッド5にガイドレール1を固定することができる。
【0023】
図1〜図3に示すように、ガイドレール1は、全体的に、比較的簡単な構造を有している。本体レール2と比較すると、走行レール3は、ロール体に取り付けられていて、単に、3つの走行軌道を介して、ロール体が設けられている。
【0024】
溶接端部ストッパ10が設けられ(前述した慣例の代わりに)、走行レールの一方の端部の鋳造ストッパ及び展開した折曲タブ11が(溶接されたストッパボルトの代わりに)、他の端部領域に設けられ、例えば、ベーキングトレイ、火格子、ジュースパンなどを変位方向において走行レール3に固定するようになっている。かかるガイドレールは、特に、最終的な機能的不都合を被らずに、費用効率的に生産される。しかしながら、もちろん、他のガイドレール1を、本発明による迅速固定要素4と関連して使用することもできる。
【0025】
迅速固定要素4は、好ましくは、金属から生産される。この場合、単一部品の製造が好ましい。迅速固定要素の設計は、後者を、穿孔及び屈曲部品として、特に妥当なコストにて、生産することを可能にする。
【0026】
係止舌部8は、下側翼部6の材料を部分穿孔することによって形成されることが有効である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による迅速固定要素を備えたガイドレールを示す斜視図である。
【図2】本発明による迅速固定要素を備えたガイドレールを、別の視認方向から見た、斜視図である。
【図3】本発明による迅速固定要素を備えたガイドレールを、更に別の視認方向から見た、斜視図である。
【図4】迅速固定要素と水平に延びるロッドとを備えたガイドレールを模式的に示した上面図であって、ロッドには、迅速固定要素と、従ってガイドレールとが着脱可能に固定されている状態を示す図である。
【図5】図4の線VVに従った断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子タイプの側面部分における水平に延びるロッド(5)にガイドレール(1)を固定するための迅速固定要素(4)であって、前記ロッドが、端部領域において前記ガイドレール(1)から所定の角度で屈曲している、前記迅速固定要素において、
前記ロッド(5)の長手方向の範囲領域において前記ロッド(5)のまわりに部分的に係合する、第1のクリップタイプの保持部分(4a)と、前記ロッド(5)の屈曲された前記端部領域(5a)において前記ロッド(5)のまわりに部分的に係合する、第2のクリップタイプの保持部分(4b)とを有し、
前記ロッド(5)の前記端部領域上に、水平方向に押し込むことができることを特徴とする迅速固定要素。
【請求項2】
前記保持部分(4a,4b)はそれぞれ、横断面が略C字形の設計であり、下側翼部(6)及び上側翼部(7)を有し、前記上側翼部(7)は前記ロッド(5)上に載置され、前記下側翼部(6)は前記ロッド(5)の下側側部に当接していることを特徴とする請求項1に記載の迅速固定要素。
【請求項3】
前記ロッドの長手方向の範囲領域において前記ロッド(5)のまわりに係合する、前記保持部分(4a)における前記下側翼部(6)には、弾性係止舌部(8)が設けられ、前記弾性係止舌部は、当該迅速固定要素(4)が押し込まれたとき、前記ガイドレール(1)から離れる方向に向く前記ロッド(5)の領域に当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の迅速固定要素。
【請求項4】
前記弾性係止舌部(8)は、前記下側翼部(6)の材料を穿孔された部分を備えていることを特徴とする請求項3に記載の迅速固定要素。
【請求項5】
前記ロッド(5)における屈曲された前記端部領域(5a)と前記長手方向の範囲領域との間にある移行領域に、隙間切断部(9)が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の迅速固定要素。
【請求項6】
単一部品として生産されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の迅速固定要素。
【請求項7】
金属から製造されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の迅速固定要素。
【請求項8】
穿孔及び屈曲部品として設計されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の迅速固定要素。
【請求項9】
前記ロッド(5)又は前記ロッドにおける屈曲された前記端部領域(5a)に、クランプ式に押し込むことができることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の迅速固定要素。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−522510(P2009−522510A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547949(P2008−547949)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069939
【国際公開番号】WO2007/074114
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(504467554)ポール ヘティッヒ ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー (62)
【Fターム(参考)】