説明

近位の接着性パッチを含む順応性のあるアクセスデバイス

【課題】外科手術処置において用いられるアクセスデバイスを提供すること。
【解決手段】下にある体腔にアクセスするために組織路内に位置を決めるためのアクセスデバイスであって、アクセスデバイスは、第1の半径寸法を規定する、組織に面する表面を備えている近位部分と、軸長に沿って長手方向に延びる遠位部分であって、遠位部分は、軸長に沿って実質的に一様であり、第1の半径寸法より小さい第2の半径寸法を規定する、遠位部分と、近位部分と遠位部分とを相互に接続する本体部分と、近位部分および遠位部分を通って延びる少なくとも1つのポートと、近位部分を組織表面に解放可能に固定し密閉するために近位部分の組織に面する表面に配置される接着剤であって、アクセスデバイスは、順応性材料から形成される、接着剤とを備えている、アクセスデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2011年2月15日に出願された米国仮出願第61/442,859号の利益および優先権を主張し、この仮出願の内容全体が参照によって本明細書に援用される。
【0002】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、外科手術処置において用いられるアクセスデバイスに関する。より詳細には、本開示は、組織路の中に、密閉されかつ安定して挿入されることに適合したアクセスデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(2.背景)
外傷および回復時間を減少させる努力において、多くの外科手術処置は、従来の処置において典型的に必要とされる、より大きな切開と比較して、切開または自然の体口などの、皮膚における小さな開口部を通って行われる。概して、そのような処置は、患者の腹部に対して行なわれる場合を除いて、「内視鏡処置」と呼ばれ、患者の腹部に対して行われる場合、処置は、「腹腔鏡処置」と呼ばれる。本開示の全体を通して、用語「最小侵襲性」は、あらゆるおよびすべてのそのような処置を包含するものと理解されるべきである。
【0004】
典型的な最小侵襲性処置中、外科手術アクセスデバイス(例えば、トロカールアセンブリおよびカニューレアセンブリ)または内視鏡などの外科手術物体は、組織における切開を通って患者の体内に挿入される。患者の体内に外科手術物体を導入する前に、標的の外科手術部位の周囲の領域を拡大して、より大きくより多くのアクセス可能な作業領域を作るために、通気気体が用いられ得る。従って、通気気体の漏れおよび拡大された外科手術部位の収縮またはへこみを防ぐように、実質的に流体の漏らない密閉を維持することが望ましい。
【0005】
この目的のために、アクセスデバイスは、様々な方法で構成されて、アクセスデバイスを組織内に固定し、密閉する。例えば、アクセスデバイスは、例えば細腰の形状などに形作られ得るか、または組織の中に突き出る、デバイスの端部は、拡張可能であるかもしくは通気可能であり得、それによって、アクセスデバイスを組織に固定し密閉するために組織内に固定力(fixation force)を提供し得る。しかしながら、様々な組織壁厚に適応するようにカスタマイズされ得、組織内に直接挿入され得、通気された作業空間の完全性を維持しながら様々な外科手術物体に適応し得るアクセスデバイスに対する継続するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(概要)
下にある体腔にアクセスするために組織路内に位置を決めるための例えば発泡体などの順応性アクセスデバイスは、近位部分と、遠位部分と、近位部分と遠位部分とを相互に接続する本体部分と、近位部分および遠位部分を通って延びる少なくとも1つのポートとを含む。近位部分は、組織に面する表面を含み、第1の半径寸法を規定する。遠位部分は、軸長に沿って長手方向に延び、軸長に沿って実質的に一様であり、近位部分の第1の半径寸法より小さい第2の半径寸法を規定する。接着剤は、近位部分を組織表面に解放可能に固定し密閉するために近位部分の組織に面する表面に配置される。
【0007】
複数の実施形態において、近位部分は、弓形の構成を表す。他の複数の実施形態において、近位部分は、平坦な構成を表す。いくつかの実施形態において、近位部分の組織に面する表面は、フランジであり得る。
【0008】
接着剤は、アクリルと、シリコーンと、ウレタンと、ヒドロゲルとから選択され得る。複数の実施形態において、接着剤は、外部刺激によって活性化されるかまたは不活性にされる。外部刺激は、熱と、光と、流体とから選択される。複数の実施形態において、接着剤は、感圧である。
【0009】
接着剤は、近位部分の組織に面する表面にコーティングされ得るか、または近位部分の組織に面する表面に付着された層であり得る。複数の実施形態において、層は、組織表面の近位部分の組織に面する表面を機械的に固定するために凹形の表面またはヤモリ足をさらに含み得る。
【0010】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
下にある体腔にアクセスするための組織路内に位置を決めるためのアクセスデバイスであって、該アクセスデバイスは、
第1の半径寸法を規定する、組織に面する表面を備えている近位部分と、
軸長に沿って長手方向に延びる遠位部分であって、該遠位部分は、第2の半径寸法を規定し、該第2の半径寸法は、該軸長に沿って実質的に一様であり、かつ、該第1の半径寸法より小さい、遠位部分と、
該近位部分と遠位部分とを相互に接続する本体部分と、
該近位部分および遠位部分を通って延びる少なくとも1つのポートと、
該近位部分を組織表面に解放可能に固定および密閉するために該近位部分の該組織に面する表面に配置される接着剤であって、該アクセスデバイスは、順応性材料から形成される、接着剤と
を備えている、アクセスデバイス。
(項目2)
上記近位部分は、弓形の構成を表す、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目3)
上記近位部分は、平坦な構成を表す、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目4)
上記接着剤は、アクリルと、シリコーンと、ウレタンと、ヒドロゲルとから成る群から選択される、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目5)
上記接着剤は、外部刺激によって活性化されるかまたは不活性にされる、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目6)
上記外部刺激は、熱と、光と、流体とから成る群から選択される、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目7)
上記接着剤は、感圧性である、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目8)
上記接着剤は、上記近位部分の上記組織に面する表面にコーティングされる、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目9)
上記接着剤は、上記近位部分の上記組織に面する表面に付着された層である、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目10)
上記層は、上記近位部分の上記組織に面する表面を上記組織表面に機械的に固定するために凹形の表面をさらに備えている、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目11)
上記層は、上記近位部分の上記組織に面する表面を上記組織表面に機械的に固定するためにヤモリ足をさらに備えている、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目12)
上記近位部分および遠位部分は、上記本体部分と一体に形成される、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目13)
上記近位部分の上記組織に面する表面は、フランジを備えている、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目14)
上記少なくとも1つのポートは、上記長手方向軸の周りに対称的に配置される複数のポートを備えている、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
(項目15)
上記順応性材料は、発泡体である、上記項目のいずれかに記載のアクセスデバイス。
【0011】
(摘要)
下にある体腔にアクセスするために組織路内に位置を決めるための例えば発泡体などの順応性アクセスデバイスは、近位部分と、遠位部分と、近位部分と遠位部分とを相互に接続する本体部分と、近位部分および遠位部分を通って延びる少なくとも1つのポートとを含む。近位部分は、組織に面する表面を含み、第1の半径寸法を規定する。遠位部分は、軸長に沿って長手方向に延び、軸長に沿って実質的に一様であり、近位部分の第1の半径寸法より小さい第2の半径寸法を規定する。接着剤は、近位部分を組織表面に解放可能に固定し密閉するために近位部分の組織に面する表面に配置される。
【0012】
本開示の様々な実施形態は、図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、組織に対して位置を決められる、本開示の一実施形態に従うアクセスデバイスの正面斜視図である。
【図2】図2は、組織内に位置を決められた、図1のアクセスデバイスの断面図である。
【図3】図3は、本開示の一実施形態に従う、テクスチャ加工された接着層(textured adhesive layer)を含む、アクセスデバイスの正面斜視図である。
【図4】図4は、本開示の別の実施形態に従う、テクスチャ加工された接着層を含む、アクセスデバイスの正面斜視図である。
【図5】図5は、本開示の別の実施形態に従うアクセスデバイスの正面斜視図である。
【図6】図6は、図5のアクセスデバイスの上面図である。
【図7】図7は、図5の線7−7に沿ってとられた、図5のアクセスデバイスの断面図であり、アクセスデバイスを通って長手方向に延びるポートを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態の詳細な説明)
本開示されるアクセスデバイスおよびそれを用いる方法の様々な実施形態は、ここで図面を参照して詳細に説明され、図面において同じ参照数字は、類似するかまたは同一の要素を識別する。図面においてそして以下の説明において、当技術分野において伝統的であるようにそして従来のように、用語「近位」は、適切な使用中に医療従事者により近いアクセスデバイスまたはアクセスデバイスの構成要素の端部を参照することとして理解されるべきであり、一方、用語「遠位」は、医療従事者からより遠い端部を参照することとして理解されるべきである。
【0015】
図1を参照すると、例えば最小侵襲性処置などの外科手術処置において用いられるアクセスデバイス100が例示される。アクセスデバイス100は、例えば切開などの、組織「T」に形成され組織表面14によって規定される組織路12内に挿入されるように構成されかつ適合させられる。ここに説明されるアクセスデバイス100は最小侵襲性処置に関連して考察されるが、アクセスデバイス100が患者の皮膚における自然に存在する開口部または任意の切開を通って用いられることは本開示の範囲内である。
【0016】
アクセスデバイス100は、近位部分102と遠位部分104との間に延びる本体部分101を含む。近位部分102および遠位部分104は、例えば成形などによって本体部分101と一体に形成され得るか、または、例えば超音波溶接もしくは接着剤の使用によるなど従来の手段によって本体部分101に固定され得る。アクセスデバイス100は、近位部分102および遠位部分104を通ってアクセスデバイス100の長さに沿って長手方向に延びる1つ以上のポートまたは内腔106を含む。ポート106は、実質的に密閉の関係で外科手術器具などの外科手術物体を受容するように適合される。アクセスデバイス100のポート106を通って導入され得る外科手術器具の実施例は、クリップアプライアと、グラスパと、ディセクタと、レトラクタと、ステープラと、レーザプローブと、写真デバイスと、内視鏡と、腹腔鏡と、関節鏡と、管と、電気外科切断、凝固、切除のデバイスと、当業者の範囲内の他のツールとを含む。
【0017】
アクセスデバイス100は、プラスチック材料および/またはエラストマー材料など非分解性の医療グレードの材料から組み立てられる。複数の実施形態において、アクセスデバイス100は、ポリウレタンまたはシリコーンなどの柔らかい合成樹脂から製作され得る。他の複数の実施形態において、アクセスデバイス100は、十分なコンプライアンスを有する発泡体材料から形成されて、1つ以上の外科手術物体の周りに密閉を形成し、また組織との密閉の関係を確立し得る。発泡体は、ポート106を通って挿入された外科手術物体(図示されていない)の軸外し動作に適応するほど十分に順応性があり得る。さらに他の複数の実施形態において、アクセスデバイス100は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリカーボネート、およびポリスチレンのようなポリマー材料などの剛体の材料から形成され得る。
【0018】
アクセスデバイス100の近位部分102は第1の直径Dを規定し、遠位部分104は第2の直径Dを規定する。本実施形態に例示されるように、近位部分102の第1の直径Dは、遠位部分104の第2の直径Dより大きく、それによって、近位部分102と遠位部分104との相互接続のための本体部分101内のグースネック部分または先細部分103を規定する。従って、本体部分101は、本体部分101の長さに沿って変化する半径寸法「R」を規定する。半径寸法「R」は近位部分102の直径Dよりかなり小さく、その結果、アクセスデバイス100は、弓形の形状または構成を規定するので、
近位部分102に隣接するグースネック部分または先細部分103は、組織「T」内にアクセスデバイス100を固定することを容易にする。
【0019】
遠位部分104の第2の直径Dは、長さ「L」に沿って実質的に一定であり、その結果、アクセスデバイス100は、組織内に容易に配置され得る。実質的に一定の長さは、組織表面14によって規定され、組織「T」に形成される組織路12内にアクセスデバイス100を挿入することを助ける。実質的に一定の第2の直径「D」は、遠位部分104の長さ「L」が組織「T」の厚さに従って所望の長さに切り取られることを可能にし、組織「T」において、アクセスデバイス100は、アクセスデバイス100の完全性または機能に影響することなく配置される。あるいは、遠位部分104の直径「D」は、軸方向寸法に沿って変化して、組織「T」内にアクセスデバイス100を固定することを容易にし得る。断面において、遠位部分102は、例えば実質的に円形、楕円形または長方形などの任意の適切な構成を表し得る。
【0020】
各ポート106は、外科手術物体(図示されていない)を取り外し可能に受容するように構成される。ポート106は、図2に例示されるように、アクセスデバイス100の長さに沿って延びる開いたチャネルであり得る。ポート106の直径は、約5mm〜約15mmであり得る。なぜならこれらの寸法は、最小侵襲性処置中に用いられる外科手術物体の典型であるからである。しかしながら、実質的に、より大きいかまたはより小さい直径のポート106を含むアクセスデバイス100は、本開示の範囲を越えるものではない。柔らかいかまたは可撓性の材料を利用する実施形態などの複数の実施形態において、各ポート106は、第1の状態で提供され得、第1の状態において各ポート106は、閉じられているか、または外科手術物体がない場合にポート106を通る通気気体の漏れが実質的に防がれるように十分小さい寸法である。外科手術物体をポート106の中に導入すると、ポート106は、第2の状態に移行するかまたは伸ばされ、第2の状態においてポート106は、実質的に流体の漏らない密閉が外科手術物体に対して形成され、それによって、外科手術物体がある場合にアクセスデバイス100のポート106を通って通気気体の漏れを実質的に防ぐように、外科手術物体の直径に実質的に近づくかまたはそれと一致する第2のより大きい寸法を規定する。あるいは、アクセスデバイス100は、ポート106がない場合がある。この配置の場合、ポート106は、外科手術物体の挿入中にアクセスデバイス100内に作られる。この実施形態に従って、アクセスデバイス100は、例えば連続気泡ポリウレタン発泡体またはゲルなどの発泡体材料など、流動可能かまたは十分に伸展可能な材料から形成される。
【0021】
図1および図2に描かれるように、近位部分102は、組織「T」を係合し、アクセスデバイス100が組織「T」を通過することを防ぐために、遠位部分104より大きく構成される実質的に弓形の形状を規定する。近位部分102は、組織表面14および従って組織「T」における組織路12内にアクセスデバイス100を固定することを容易にする接着剤110を含む組織に面する表面108を含む。接着剤110は、組織路12を囲む組織「T」にアクセスデバイス100を堅固にしかし一時的に接着し密閉しなければならない。接着剤110はまた、接触劣化なく皮膚に使用することを許容されるべきである(例えば、接着剤は、好ましくは、非刺激性で、非感作性であるべきである)。典型的な接着剤は、アクリル、シリコーン、ウレタン、ヒドロゲルなどを含み得る。さらに接着剤は、熱、光、または所与の流体溶液または化学反応などの外部刺激によって活性化されるかまたは不活性にされ得、その結果、アクセスデバイス100は、組織「T」に密閉して接着され得るが、アクセスデバイス100が使用完了時に除去され得るように分離可能であり得る。接着剤110は、環状または「ドーナツ」形状で組織に面する表面108全体に配置され得るか、または組織に面する表面108の外周領域に塗布され得る。接着剤が、近位部分102の組織に面する表面108の辺りに連続して配置され、それによって、組織「T」に周りに密閉を達成する限り、様々なパターンが利用され得ることが想定される。
【0022】
一実施形態において、接着剤110は、アクセスデバイス100の近位部分102の組織に面する表面108にコーティングされ得る。他の複数の実施形態において、接着剤110は、組織に面する表面108に付着されるか、または、例えば両面テープなど、組織に面する108と組織「T」との間に位置を決められるように構成される別の一個として提供される接着材料の層である。使用の前に接着剤110を保護するために解放可能接触ライナー(図示されていない)が利用され得る。複数の実施形態において、接着剤110は、感圧であり得、その結果、組織「T」との接触時、即時の付着を形成する。いくつかの実施形態において、接着剤110は、アクセスデバイス100を組織「T」に解放可能に固定することを機械的に助ける吸引パッドとして働く、凹形表面111(図3)またはヤモリ足(gecko feet)113(図4)を含むテクスチャ加工された層であり得る。あるいは、接着剤110は、アクセスデバイス100を組織路12内に挿入する前に、組織に面する表面110または組織「T」に塗布される液体物質であり得る。
【0023】
図1および図2を再び参照すると、アクセスデバイス100の使用は、典型的な最小侵襲性処置中において考察される。最初に、腹膜腔(図示されていない)は、例えばCOなどの適切な生体適合性気体によって通気され、その結果、窩壁は、内部器官およびそれに収容される組織から離れるように持ち上げられ、引き上げられて、内部器官および組織へのより大きなアクセスを提供する。当技術分野において従来のように、通気は、通気針または類似のデバイスを用いて行われ得る。通気の前または後のいずれかに、組織路12は組織「T」に作られ、組織路12の寸法は処置の性質に従って変化し得る。
【0024】
組織路12内にアクセスデバイス100を挿入する前に、遠位部分104は、所望の長さに切り取られ得る。遠位部分104は、次いで、近位部分102の組織に面する表面108が組織表面14に接するまで、組織路12に挿入される。接着剤110は、組織「T」と接触し、それによって、アクセスデバイス100と組織表面14との間に実質的に流体の漏らない密閉を作り、アクセスデバイス100の辺りおよび組織路12を通る通気気体の漏れを実質的に防ぐ。この構成は、概してアクセスデバイス100を組織「T」内に固定し密閉するために典型的に必要とされる細腰の構成または拡大された遠位端の必要性を除去する。
【0025】
患者の組織「T」内にアクセスデバイス100を固定することに成功した後、1つ以上外科手術物体が1つ以上のポート106を通って挿入され得る。アクセスデバイス100の使用後、アクセスポート100は、外部の力または刺激の印加、それによって、組織「T」から遠位部分104の引き抜きを可能にすることによって組織表面14から接着剤110を引き離すことによって、組織路12から除去され得る。
【0026】
ここで図5〜図7を参照すると、アクセスデバイス200の別の実施形態が開示される。アクセスデバイス200は、長手方向軸「A」に沿って延びる本体部分201を含む。アクセスデバイス200の本体部分201は、近位部分202の直径D1および遠位部分204の直径D2と実質的に一致する半径寸法「R」を規定し、その結果、アクセスデバイス200は、その長さに沿って実質的に一様の寸法を有する。上記に説明されたように、遠位部分204は、切り取り可能であり、従って、遠位部分204の全軸方向長「L」は、アクセスデバイス200が用いられる外科手術部位に従ってカスタマイズ可能である。
【0027】
フランジ212は、アクセスデバイス200の近位部分202から半径方向に外側に延びる。複数の実施形態において、本体部分201は、押し出し成形によって成形され得、フランジに取り付けられ得る。他の複数の実施形態において、フランジ212は、上記に説明されたように接着剤を用いることによって近位部分202に化学的に連結可能であり得るかもしくは超音波溶接によって永続的に連結可能であり得るか、または、摩擦ばめ、ねじ切り接続、オス/メスファスナ、スナップばめ、および当業者の範囲内の他の従来の手段などによる機械的手段によって本体部分201の近位部分202に取り付けられ得る。上記に説明されたように、フランジ212は、実質的に平坦であり、組織内にアクセスデバイスを固定し密閉するために接着剤210を含む組織に面する表面208を含む。フランジ212が本体部分201の半径寸法「R」より半径方向に大きいように寸法設定される任意の適切な形状であり得ることが想定され得る。
【0028】
前の複数の実施形態の場合のように、1つ以上のポート206は、アクセスデバイス200の本体部分201を通って長手方向に延び得る。ポート(単数または複数)206は、外科手術物体(図示されていない)を除去可能に受容するように構成され得る。複数の実施形態において、図5に例示されるように、アクセスデバイス200は、長手方向軸「A」に対して対称的に配置される複数のポート206を含み得る。各ポート206が長手方向軸「A」から等距離に間隔を空けて置かれ得ることがさらに企図される。ポート206は互いに等しく間隔を空けて置かれるように配置され得るか、または代わりに、隣接する複数のポート206間の距離は変化し得る。
【0029】
本開示の例示的実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に説明されたが、上記の説明、開示、および図は、限定するものとして解釈されるべきではなく、特定の複数の実施形態の単なる例証として解釈されるべきである。従って、本開示がそれらの正確な実施形態に限定されないこと、および本開示の範囲または精神から逸脱することなく様々な他の変更および修正形態が当業者によって本明細書において達成され得ることは理解されるべきである。さらに、1つの例示的実施形態に関連して例示されるかまたは説明される要素および特徴が本開示の範囲から逸脱することなく別の要素および特徴と組み合わされ得ること、およびそのような修正形態および変形形態が本開示の範囲内に含まれることもまた意図されることが想定される。従って、本開示の主題は、添付の特許請求の範囲によって指示される場合を除き、特に示されかつ説明されたことによって限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0030】
12 組織路
100 アクセスデバイス
101 本体部分
102 近位部分
104 遠位部分
106 ポート
108 組織に面する表面
110 接着剤
200 アクセスデバイス
212 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下にある体腔にアクセスするための組織路内に位置を決めるためのアクセスデバイスであって、該アクセスデバイスは、
第1の半径寸法を規定する、組織に面する表面を備えている近位部分と、
軸長に沿って長手方向に延びる遠位部分であって、該遠位部分は、第2の半径寸法を規定し、該第2の半径寸法は、該軸長に沿って実質的に一様であり、かつ、該第1の半径寸法より小さい、遠位部分と、
該近位部分と遠位部分とを相互に接続する本体部分と、
該近位部分および遠位部分を通って延びる少なくとも1つのポートと、
該近位部分を組織表面に解放可能に固定および密閉するために該近位部分の該組織に面する表面に配置される接着剤であって、該アクセスデバイスは、順応性材料から形成される、接着剤と
を備えている、アクセスデバイス。
【請求項2】
前記近位部分は、弓形の構成を表す、請求項1に記載のアクセスデバイス。
【請求項3】
前記近位部分は、平坦な構成を表す、請求項1に記載のアクセスデバイス。
【請求項4】
前記接着剤は、アクリルと、シリコーンと、ウレタンと、ヒドロゲルとから成る群から選択される、請求項1に記載のアクセスデバイス。
【請求項5】
前記接着剤は、外部刺激によって活性化されるかまたは不活性にされる、請求項1に記載のアクセスデバイス。
【請求項6】
前記外部刺激は、熱と、光と、流体とから成る群から選択される、請求項5に記載のアクセスデバイス。
【請求項7】
前記接着剤は、感圧性である、請求項1に記載のアクセスデバイス。
【請求項8】
前記接着剤は、前記近位部分の前記組織に面する表面にコーティングされる、請求項1に記載のアクセスデバイス。
【請求項9】
前記接着剤は、前記近位部分の前記組織に面する表面に付着された層である、請求項1に記載のアクセスデバイス。
【請求項10】
前記層は、前記近位部分の前記組織に面する表面を前記組織表面に機械的に固定するために凹形の表面をさらに備えている、請求項9に記載のアクセスデバイス。
【請求項11】
前記層は、前記近位部分の前記組織に面する表面を前記組織表面に機械的に固定するためにヤモリ足をさらに備えている、請求項9に記載のアクセスデバイス。
【請求項12】
前記近位部分および遠位部分は、前記本体部分と一体に形成される、請求項1に記載のアクセスデバイス。
【請求項13】
前記近位部分の前記組織に面する表面は、フランジを備えている、請求項1に記載のアクセスデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのポートは、前記長手方向軸の周りに対称的に配置される複数のポートを備えている、請求項1に記載のアクセスデバイス。
【請求項15】
前記順応性材料は、発泡体である、請求項1に記載のアクセスデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−166027(P2012−166027A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29322(P2012−29322)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】