説明

近接センサ

【課題】感度を安定させ、静電気などによる外乱による計測値のエラーを回避することを可能とする近接センサを提供する。
【解決手段】近接センサ1aは、発振器2と、発振器2の信号に基づいて交流信号Eaを放射する送信アンテナ3と、交流信号Ebを受信する受信アンテナ4とを備える。また、近接センサ1aは、近接センサ1aは、被検査領域からの交流信号Ebを受信する受信アンテナ4と、送信アンテナ3と受信アンテナ4を電気的に接続する抵抗7を備える。抵抗7により、発振器2からの信号は移相される。さらに、近接センサ1aは、受信アンテナ4の出力を増幅する増幅器8と、発振器2の出力信号で、受信アンテナ4で受信した信号を位相検波する位相検波器9を備える。さらに、近接センサ1aは、位相検波器9の出力を平滑化するLPF(ローパスフィルタ)10と、出力端子11を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の位置を検出する近接センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、2つのアンテナを備え、一方のアンテナから交流電磁界を発生し、他方のアンテナでこれを受信し、受信した信号を位相検波する構成を持ち、物体の位置や移動を検出する所謂近接センサが提案されている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0003】
図36は、特許文献1および2に記載の従来の近接センサの構成を示す回路図である。従来の近接センサでは、発振器102の信号に基づいて送信アンテナ103から交流信号Eaを送信するとともに、交流信号Ebを受信アンテナ104で回路に取り込む。また従来の近接センサは、受信アンテナ104で回路に取り込んだ信号を増幅器108で直接増幅した後、位相検波器109により発振器102の信号で検波する。
【0004】
さらに従来の近接センサは、位相検波器109の出力をLPF110で直流化して、被検査領域における電磁波の変化を直流電圧の変化として出力端子111から出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−275629号公報(第3−5頁、図1)
【特許文献2】特開2007−171031号公報(第4−6頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来技術では、以下のような問題がある。上述した現象は非常に微弱であるため、アンテナの性質もしくは被検物体と電波の相互作用の性質から、高周波でなければ充分な利得が得ることができない。よって、近接センサとして充分な検出感度を得る為には、特許文献1、2のいずれの方式も、非常に高い周波数の信号を発振器102から発生する必要がある。低周波を意識した特許文献1においても最低HF帯という高い周波数を想定し、特許文献2においてはGHz帯を想定している。
【0007】
一方、高周波信号を発生させる為には大きなエネルギーを投入しなければならず、回路全般に高周波信号に対応する為の消費電力の大きな回路構成を用いなければならない問題がある。
【0008】
また、図36に示すような、アンプ108への入力がアンテナ4以外に接続されていない構成では、交流信号Ebの電位が定まらず、アンプ108の出力が電源電圧範囲内に入らず、交流信号Ebは正負何れかの電源電圧に張り付いてしまう問題がある。
【0009】
これを避けるためには、図37に示すように、大きな抵抗7Tを用いて受信アンテナ4からの交流信号Ebをアンプの中間電位にクランプすればよい。このようにすれば受信アンテナ4からの交流信号Ebを測定することが出来る。
【0010】
抵抗接続による交流信号Ebの減衰を避けるためには、図38に示すように、電気的接続が直流のみ通せばよいことを想定してインダクタ7LTを抵抗7Tと中間電位の間に直列接続すればよい。これにより交流信号が減衰するのを防ぐことが出来る。
【0011】
しかしながら、図37から図38に示す構成では、電波の送受信では位相に殆ど変化が起こらないので、この方法では図39に示すように位相検波は、受信アンテナ4からの交流信号Ebの受信波形とほぼ同じ検波位相を持って、図中矢印で示したように、物体Oの変化を反映する受信波形の振幅の変化のみを見ることになる。従って受信波形の振幅は抵抗7LTまたは抵抗7LT及びインダクタ7LTとアンプ8の増幅率を調整して電源電圧の範囲に調整しなければならない。もし増幅率が低すぎると波形はGNDレベルに張り付いて、しばらくこれから立ち上がれず、また高すぎると波形は電源電圧に張り付いてしまい、振幅の変化が観察できなくなるからである。ここで重要なのは抵抗7Tまたはインダクタ7LTで設定する増幅率の上下には不感帯があってこの不感帯領域では感度が取れないことである。この作業は精密に行わなければならないが、この受信波形の振幅を決める条件は、受信アンテナ4を取り巻く外部環境の変化に影響されやすく、結果として検波結果はSNが悪く、ドリフトの大きいものとなる。
【0012】
また更に厄介な問題として、物体Oが帯電している場合に重畳される静電気による影響により、被検波信号である受信波形が正負の何れかの電圧レベルに非対称に波形が張り付いてしまうことがある。この現象は検波結果をドリフトさせるが、このドリフトは被検物までの距離測定結果のエラーに他ならず、披検査物体Oは帯電していてはいけない、という致命的な制限を与えてしまう。
【0013】
そこで、本発明は上記課題を解決し、感度を安定させ、静電気などによる外乱による計測値のエラーを回避することを可能とする近接センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の近接センサは下記記載の構成を採用するものである。
【0015】
本発明の近接センサは、交流信号発生源と、交流信号発生源の信号に基づいて電波を送信する送信アンテナと、電波を受信する受信アンテナと、交流信号発生源からの信号を移相する第1の移相手段と、第1の移相手段で移相された信号と受信アンテナで受信した信号とを合成する合成手段と、合成手段で合成された合成信号を、交流信号発生源の信号で位相検波する位相検波手段と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の近接センサは、交流信号発生源と、交流信号発生源の信号に基づいて電波を送信する送信アンテナと、電波を受信する複数の受信アンテナと、交流信号発生源からの信号を移相する第1の移相手段と、第1の移相手段で移相された信号と各受信アンテナで受信した信号とを合成する複数の合成手段と、各合成手段で合成された合成信号を、交流信号発生源の信号で位相検波する複数の位相検波手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
更に、本発明の近接センサは、互いに周波数の異なる複数の交流信号発生源と、各交流信号発生源の信号に基づいてそれぞれ電波を送信する複数の送信アンテナと、電波を受信する受信アンテナと、各交流信号発生源からの信号を移相する複数の第1の移相手段と、各第1の移相手段で移相された信号と受信アンテナで受信した信号とを合成する複数の合成手段と、各合成手段で合成された合成信号を、各交流信号発生源の信号で位相検波する複数の位相検波手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、第1の移相手段として、送信アンテナと合成手段とを接続する抵抗またはインダクタを備えることを特徴とする。
【0019】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、第1の移相手段として、送
信アンテナと合成手段とを接続する抵抗及びインダクタを備えることを特徴とする。
【0020】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、第1の移相手段および受信アンテナによる移相量に応じて、交流信号発生源からの信号を移相する第2の移相手段を備え、位相検波手段は、合成手段で合成された合成信号を、第2の移相手段で移相された信号で移相検波することを特徴とする。
【0021】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、位相検波手段は、2値化された合成信号を、2値かされた交流信号発生源の信号で位相検波することを特徴とする。
【0022】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、受信アンテナと基準電位とを接続する抵抗を備えることを特徴とする。
【0023】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、受信アンテナと基準電位とを接続する抵抗及びインダクタを備えることを特徴とする。
【0024】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、受信アンテナで受信した信号を増幅する第1の増幅器と、第1の移相手段で移相された信号を増幅する第2の増幅器と、を備え、合成手段として、第1の増幅器と第2の増幅器とで増幅された信号を加算する加算器を備えることを特徴とする。
【0025】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、交流信号発生源と送信アンテナとの間に、交流信号発生源の回路の電源を昇圧する昇圧手段と、交流信号発生源の信号を、昇圧手段で昇圧された電源系で増幅する増幅手段と、を備えることを特徴とする。
【0026】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、交流信号発生源と送信アンテナとの間に、分周器を備えることを特徴とする。
【0027】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、交流信号発生源から発する電波を遮蔽する遮蔽手段を備えることを特徴とする。
【0028】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、移相検波手段の後段に、対数増幅回路を備えることを特徴とする。
【0029】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、交流信号源、送信アンテナ、第1の移相手段、合成手段及び位相検波手段を奇数備え、各位相検波手段の出力から、多数決処理により正しいを決定する判定手段を、更に備えることを特徴とする。
【0030】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、送信アンテナと受信アンテナのいずれか一方は棒状のアンテナであり、他方はリング状のアンテナであることを特徴とする。
【0031】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、リング状のアンテナは、同心円状の複数のリングが接合された形状を備えることを特徴とする。
【0032】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、リング状のアンテナは、複数回巻かれたコイル状の形状を備えることを特徴とする。
【0033】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、棒状アンテナの先端部は、複数回巻かれたコイル状の形状を備えることを特徴とする。
【0034】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、透明基板を備え、送信アンテナと受信アンテナとは、透明基板上に透明電極で形成されたことを特徴とする。
【0035】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、送信アンテナと受信アンテナは、互いに同心円のリング状に形成されたことを特徴とする。
【0036】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、送信アンテナと受信アンテナは、互いに同心円の円弧状に形成されたことを特徴とする。
【0037】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、透明基板は矩形状であり、送信アンテナと受信アンテナは、透明電基板の角部に、2つの辺に跨って1/4の円弧状に形成されたことを特徴とする。
【0038】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、透明基板は矩形状であり、送信アンテナと受信アンテナは、透明基板の辺部に、1/2の円弧状に形成されたことを特徴とする。
【0039】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、送信アンテナと受信アンテナの少なくとも一方が、二重以上のパターンで形成されたことを特徴する。
【0040】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、送信アンテナはリング状のアンテナであり、送信アンテナの内側に互いに離れて配置されたことを特徴とする。
【0041】
更に、本発明の近接センサは、上記に記載の構成に加えて、受信アンテナはリング状のアンテナであり、各送信アンテナは、受信アンテナの内側に互いに離れて配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
本発明の近接センサは、交流信号発生源からの信号を移相した信号と、受信アンテナで受信した信号とを合成し、この合成された信号を交流信号発生源の信号で位相検波する。これにより、受信アンテナで受信した信号の変化を、交流信号発生源からの信号を移相した信号と受信アンテナで受信した信号との合成信号の位相の変化として検出することができ、アンテナで受信した信号をそのまま用いて位相検波を行う従来技術と比較して、感度を安定させ、静電気などによる外乱による計測値のエラーを回避することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例1の近接センサの構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施例1の近接センサの動作を説明する波形図である。
【図3】本発明の実施例1の近接センサの動作を説明する波形図である。
【図4】本発明の実施例1の近接センサの構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施例1の近接センサの構成を示す回路図である。
【図6】本発明の実施例2の近接センサの構成を示す回路図である。
【図7】本発明の実施例3の近接センサの構成を示す回路図である。
【図8】本発明の実施例4の近接センサの構成を示す回路図である。
【図9】本発明の実施例5の近接センサの構成を示す回路図である。
【図10】本発明の実施例6の近接センサの構成を示す回路図である。
【図11】本発明の実施例7の近接センサの構成を示す回路図である。
【図12】本発明の実施例8の近接センサの構成を示す回路図である。
【図13】本発明の実施例9の近接センサの対数増幅回路の回路図である。
【図14】本発明の実施例10及び実施例11の近接センサの構成を示す回路図である。
【図15】本発明の実施例11の近接センサの動作を説明する波形図である。
【図16】本発明の実施例11の近接センサの動作を説明する波形図である。
【図17】本発明の実施例11の近接センサの動作を説明する波形図である。
【図18】本発明の実施例12の近接センサの構成を示す回路図である。
【図19】本発明の実施例12の近接センサの動作を説明する波形図である。
【図20】送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図21】送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図22】送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図23】送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図24】送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図25】送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図26】アンテナに近づけた披検物体と当該センサの出力電圧の関係を示す説明図である。
【図27】透明基板上に形成した送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図28】透明基板上に形成した送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図29】透明基板上に形成した送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図30】透明基板上に形成した送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図31】透明基板上に形成した送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図32】送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図33】送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図34】送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図35】送信アンテナおよび受信アンテナの構成例を示す説明図である。
【図36】従来の近接センサの構成を示す回路図である。
【図37】従来の近接センサの構成を示す回路図である。
【図38】従来の近接センサの構成を示す回路図である。
【図39】従来の近接センサの動作を説明する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
[実施例1:図1〜図5]
まず、本発明の実施例1の近接センサの構成について説明する。図1は実施例1の近接センサ1aの構成を示す回路図である。図1に示すように近接センサ1aは、発振器2と、該発振器2で生成した低周波信号に基づいて交流信号Eaを被検査領域へ放射する送信アンテナ3を備える。
【0045】
発振器2は、交流信号発生源の一例であり、例えば水晶振動子を用いて構成される。送信アンテナ3から放射される交流信号Eaは、その周波数及び強度の安定性が当該近接センサとしての出力の安定性を左右するので、周波数の安定度が高く、温度や経時変化等に対して安定な水晶振動子を用いるのが望ましい。
【0046】
例えば、携帯機器などに使用されることを想定して低消費電力の構成を目指す為、VLF帯の発振を可能とする音叉型水晶振動子を用いる。発振器の回路構成は低消費電力を考慮して時計などに用いられる、一般的なコルピッツ型発回路などでよい。
【0047】
また、水晶振動子以外では、PZT薄膜等の圧電素子とセラミックで構成した振動子(セラミック振動子)、同じくPZT薄膜等の圧電素子をMEMSで構成した振動体表面に形成したMEMS振動子、タンタル酸リチウム単結晶、ニオブ酸リチウム単結晶またはランガサイトを用いた振動子などを用いて、発振器2を構成してもよい。
【0048】
また、近接センサ1aは、被検査領域からの交流信号Ebを受信する受信アンテナ4と、送信アンテナ3と受信アンテナ4を電気的に接続する抵抗7を備える。
【0049】
バッファ6は、発振器2へ後段の回路からの影響が及び、周波数や振幅に変化を生じるのを避ける為に設けられる。抵抗7は送信アンテナ3と受信アンテナ4の結合抵抗であり、抵抗器7の値が小さすぎると電気的結合が強くなりすぎ、一方、抵抗器7の値が大きすぎると電気的結合が弱すぎる。このため、抵抗器7の抵抗値の選択は重要である。本実施例1の場合、抵抗器9の抵抗値は0.5〜1MΩ程度が適当である。
【0050】
さらに、近接センサ1aは、受信アンテナ4の出力を増幅する増幅器8と、発振器2の出力信号で、受信アンテナ4で受信した信号を位相検波する位相検波器9を備える。さらに、近接センサ1aは、位相検波器9の出力を平滑化するLPF(ローパスフィルタ)10と、出力端子11を備える。
【0051】
次に、上述した構成を備える近接センサ1aの動作について説明する。なお、以下の説明では、動作説明を明確にする為、位相検波器9で乗算する増幅器8からの参照信号は、予め2値化回路を用いて上下電源電圧を交互に変化し、位相情報のみを持つ矩形波に加工されたものを用いる。それ以外の信号は、矩形波と正弦波のいずれであっても効果は変わらないが、本説明においては全て正弦波とする。ここで、実際に発振回路の波形を正弦波にする為には発振回路にAGCが必要である。
【0052】
まず、図1において、発振器2により低周波信号を発生させ、送信アンテナ3により被検査領域へ交流信号Eaを放射する。送信アンテナ3から放射した交流信号Eaは、被検査領域に、この領域に存在する大気,誘電体および導体等により決定される電磁界を形成する。受信アンテナ4は、被検査領域に形成される電磁界に応じた交流信号Ebを受信する。
【0053】
この時、被検査領域に存在する物が一切動かなければ、送信アンテナ3が送信する交流信号Eaが形成する電磁界は定常的な状態となり、受信アンテナ4が受信する交流信号Ebは安定した位相と振幅を持つ。しかし、この領域へ例えば人間の指等の適度な誘電率を備えた被検査物体Oが浸入すると、電磁界が擾乱を受けて変化する。この結果受信アンテナ4が受信する交流信号Ebの位相と主に振幅が変化する。位相の変化は非常に小さく、主に振幅が変化する。
【0054】
図2は、本発明の実施例1の近接センサの動作を説明する波形図である。実施例1においては、図1に示す様に増幅器8の入力は発振回路の出力であるバッファ6の出力に大きな抵抗7を用いて接続してある。バッファ6からの出力は発振器2より電源電圧の中間電位を中心にした交流という性質を引き継いでいるので、交流の平均値はこの接続で電源電圧の中間電位へのクランプが実現する。
【0055】
また、この構成により、大きな値の抵抗7と実際の回路素子の持つ小さな寄生容量5とによりバッファ6の出力とアンプ8の入力の間にはローパスフィルタが形成される。この抵抗7と寄生容量5とからなるローパスフィルタが、第1の移相手段として、バッファ6の出力とアンプ8の入力の間に信号波形の位相差を生じさせる。第1の移相手段により移
相された信号を図2の移相発信波形で示す。
【0056】
一方、受信アンテナ4からの交流信号Ebは、発信アンテナ3からの交流信号Eaとの間で位相差を生じない。受信アンテナ4で受信した信号を、図2の受信波形で示す。また、抵抗7と受信アンテナ4とは接続されており、この接続により、受信アンテナ4からの交流信号Ebと、抵抗7からの出力信号とが合成される。この抵抗7と受信アンテナ4との接続は、合成手段の一例である。この合成信号の波形を図2の合成波形で示す。
【0057】
図3は、合成波形の変化の説明図である。図3に示すように、物体Oの変化を反映する受信波形の振幅の変化により、この合成波形は振幅及び位相が変化する。すなわち、物体Oの変化を反映する受信波形の振幅の変化は、合成波形が受信波形と同相の検波位置で検波されることで、合成波形の振幅及び位相の変化として検出される。
【0058】
抵抗7及び寄生容量5によって生成される移相発信波形を抵抗7の値またはアンプ8の増幅率を調整することによりその振幅が電源電圧を超えるように調整しておくと、移相発信波形及び合成波形は電源電圧によりその振幅を制限されて台形波形または矩形波形となり、受信波形による変化は合成波形の位相のみに反映されることになる。このような状態では各々の波形の微妙な振幅調整は不要となり、振幅を変化させる環境要因は除外されるので、結果的に検波結果のSNは向上する。
【0059】
また、移相発信波形に比較して受信波形の振幅を小さくなるように各々の信号を調整しておくことにより、物体Oが帯電している場合に重畳される静電気による影響により、被検波信号が正負の何れかの電圧レベルに非対称に張り付いてしまう現象を極力抑えることが出来、物体Oの帯電に影響されないロバストな近接センサを実現することが出来る。この移相発信波形に比較して受信波形の振幅を小さくなるように各々の信号を調整することは、抵抗7と寄生容量5の値を調整することにより行う。抵抗7を大きくすると受信アンテナ4からの信号の比率が大きくなる。また、寄生容量5の値を大きくすると、やはり受信アンテナ4からの信号の比率が大きくなる。全体のレベル調整はアンプ8で行う。
【0060】
このような構成は、図4に示す近接センサ1bのように、抵抗7の代わりにインダクタ7Lを用いたり、または図5に示す近接センサ1cのように抵抗7の代わりに抵抗7及びインダクタ7Mの直列接続を用いることでも実現できる。またこれらの構成において図1、図4および図5に破線で示した寄生容量5は、その容量値の安定の為に、想定される寄生容量よりも少し大きめの値のコンデンサを実際に回路に追加しておいても良い。
【0061】
上述したように、被検査領域に例えば人間の指等の適度な誘電率を備えた被検物体Oが進入すると、電磁界が擾乱を受けて変化する。この結果受信アンテナ4が受信する交流信号Ebの位相と振幅は変化するので位相検波器9の出力は変化し、これを平滑化する平滑器10からの直流出力は変化する。この直流出力の変化によって被検物体Oの存在、運動を知る事が出来る。
【0062】
ここで注意を要するのは、送信アンテナ3により形成される被検査領域の電磁界は、被検査領域の物体の配置により変化し、また、送信アンテナ3と受信アンテナ4から見た被検査領域は、電磁波の形成される範囲と解釈すると、原理的には無限遠方にまで及んでしまう。よって、本実施例の近接センサがノイズに埋もれないで感知できる領域を被検査領域と定義し、送信アンテナ3と受信アンテナ4を設置した環境での出力をバックグラウンドとし、被検査物体Oによる電磁波の擾乱による変化はこのバックグラウンド出力からの変化として捉える必要がある。
【0063】
[実施例2:図6]
次に、本発明の実施例2の近接センサの構成について説明する。図6は、実施例2の近接センサ2cの構成を示す回路図である。図6に示すように、実施例2の近接センサ2cは、図1に示す実施例1の近接センサ1aに加えて、基準電位と受信アンテナ4とを接続する抵抗7T及びインダクタ7LTを有する。
【0064】
発振回路2の出力をバッファ6により増強した信号は発信アンテナ3により空中に放射され、受信アンテナ4により受信されるが、図6に示す近接センサ2cでは、この受信波形は抵抗7T及びインダクタ7LTにより基準電圧レベルが調整される。図1で説明した実施例1の近接センサ1aと同様に、この受信波形はバッファ6と接続する抵抗と寄生容量5により移相されたバッファ6からの位相発信波形と重畳された後にアンプ8に入力する。
【0065】
この合成波形を位相検波器9によりバッファ6からの参照信号で位相検波されることによりこの信号をLPF10で平滑化した結果の出力端子11から出力される出力は受信アンテナ4からの情報が合成波形の位相変化として観測される。このような構成により、実施例1で示したSN向上と被検物の帯電による影響を取り除く効果は発揮される。図6では、受信波形のレベル調整のため、受信アンテナと基準電位を接続する上記抵抗とインダクタを備える例を示したが、受信アンテナと基準電位を抵抗だけ、または、インダクタだけ接続する構成としても良い。
【0066】
[実施例3:図7]
次に、本発明の実施例3の近接センサの構成について説明する。図7は、実施例3の近接センサ3aの構成を示す回路図である。図1、図4〜図6に示した、回路構成においては、各々の波形の合成において抵抗7やコンデンサ8の値に制限が課せられる。
【0067】
図7に示す近接センサ3aでは、受信アンテナ4からの入力信号を抵抗7Uにより基準電位に接地してレベル合わせした信号と、発振回路2からの信号を抵抗7T及びコンデンサ5Sを用いたローパスフィルタで移相した信号とを、各々増幅器6S1(第1の増幅器)及び増幅器6S2(第2の増幅器)によって任意の電圧に増幅した後に加算回路12により合成する。ここで、抵抗7S及びコンデンサ5Sを用いたローパスフィルタは第1の移相手段の一例であり、加算器12は合成手段の一例である。
【0068】
加算器12により得られた合成信号を、検波器9を用いて発振回路2の信号で位相検波する。このような構成とすることにより、図7に示す近接センサ3aは、各々の信号の合成時の振幅に、自由度を持たせることが出来る。
【0069】
[実施例4:図8]
次に、本発明の実施例4の近接センサについて説明する。図8は実施例4の近接センサ1dの構成を示す回路図である。図8に示すように、実施例4の近接センサ1dは、実施例1の近接センサ1aの構成において、発振器2と送信アンテナ3の間に、発振器2の回路の電源を昇圧する昇圧回路30と、昇圧回路30で昇圧された電源系で交流信号発生源の信号を増幅する増幅回路31と、を備える。昇圧回路30は昇圧手段の一例であり、増幅回路31は増幅手段の一例である。
【0070】
このような構成とすることにより、発振器2から出力する信号が昇圧回路30および増幅回路31により電圧増幅され、本装置が使用する電源電圧に比べて電圧増幅された該信号に基づいて送信アンテナ3により強い電磁波の交流信号Eaが被検査領域へ放射される。
【0071】
よって、実施例4の近接センサ1dは、使用する電源の電圧が例えば3V及び5Vとい
った低い電源電圧であっても、実施例1の近接センサ1aと比較して、広い被検査領域で被検物体Oの距離検出を行うことが可能となる。
【0072】
[実施例5:図9]
次に、本発明の実施例5の近接センサの構成について説明する。図9は、実施例5の近接センサ1Xの構成を示す回路図である。図9に示すように、実施例5の近接センサ1Xは、一つの発振器2及び送信アンテナ3と、複数の受信アンテナ4及び移相検波器9を用いて、複数の近接センサを実現したものである。
【0073】
図9に示す近接センサ1Xは、一つの発振回路2及び一つの発信アンテナ3を共用して発信した電波を、受信アンテナ4R、4L、4U、4Dで各々受信した場合、各々の増幅器8R、8L、8U、8Dには、各々の受信アンテナによる異なる情報を反映した信号が入力する。各アンプの出力信号を各々同じ発振器2の信号であるバッファ6からの参照信号で位相検波したとしても、各LPF10R、10L、10U、10Dで平滑化した各出力端子11R、11L、11U、11Dからは別々の出力が得られ、これらは各々受信アンテナ4R、4L、4U、4Dからの信号を反映しており、4つの近接センサを実現できる。
【0074】
また、図9に示す近接センサ1Xは、第1の移相手段として、送信アンテナ3と各受信アンテナ4R、4L、4U、4Dとを接続する抵抗7R、7L、7U、7Dを備える。ここで、抵抗により全てのアンテナが結合されて互いの入力に影響が出ることが心配されるが、送信アンテナ3はバッファ6の出力により安定な状態に保たれるので、各受信アンテナからの信号は他のアンテナに到達するまでに抵抗により減衰するので、各受信アンテナ間の混信が発生することはなく、4つの近接センサを実現できる。また、単一の第1の移相手段を用いて移相を行ない、バッファ等を用いてこの信号を各受信アンテナに分配すれば、複数の移送手段を用いなくても、これらの混信を避ける構成を実現できる。
【0075】
[実施例6:図10]
次に、本発明の実施例6の近接センサの構成について説明する。図10は、実施例6の近接センサ1Yの構成を示す回路図である。図10に示すように、実施例6の近接センサ1Yは、複数の周波数の異なる発振器2及び送信アンテナ3と、一つの受信アンテナ4及び複数の移相検波器9を用いて、複数の近接センサを実現したものである。
【0076】
図10に示す近接センサ1Yは、周波数の異なる複数の発振回路2R、2L、2U、2D及び複数の発信アンテナ3R、3L、3U、3Dを用いて発信した電波を、受信アンテナ4を共有して受信した場合、各々のアンプ8R、8L、8U、8Dには、各々のアンテナによる異なる情報を反映した信号が入力する。
【0077】
同じ受信アンテナ4から入力して混合されたとはいえ、各アンプの出力信号は各々周波数の異なる複数の発振回路2R、2L、2U、2Dの信号であるバッファ6R、6L、6U、6Dからの周波数と位相の異なる参照信号で位相検波することにより、各LPF10R、10L、10U、10Dで平滑化した各出力端子11R、11L、11U、11Dからは別々の出力が得られ、これらは各々受信アンテナ4R、4L、4U、4Dからの信号を反映しており、4つの近接センサを実現できる。
【0078】
また、図10に示す近接センサ1Yは、各出力アンテナ3R、3L、3U、3Dと受信アンテナ4が抵抗7R、7L、7U、7Dにより連結されている。ここでは抵抗による連結により全てのアンテナが結合されて互いの入力に影響が出ることが心配されるが、出力アンテナは各バッファ6R、6L、6U、6Dの出力により安定な状態に保たれ、また周波数及び位相が異なるので、各送信アンテナ間の混信が発生することはなく、この場合も
4つの近接センサを実現できる。
【0079】
一般に位相検波器は極めて鋭いバンドパスフィルタと見ることが出来ると説明されており、実際に異なる周波数の交流信号を排他的に検出することが出来る。しかし、周波数差が小さい場合はやはり混信が発生する。複数の発振器の周波数が近い場合の共振現象などを含めて各々の発振器に使用する周波数差は、VLF帯を使用する場合でも100Hz程度以上離しておく必要がある。更に高周波を使用する場合も、複数の近接センサを使用する場合は、使用する周波数の1%程度以上の周波数差を各々持たせておくと良い。
【0080】
また、図10に示す近接センサ1Yにおいて、周波数の異なる発振器2、送信アンテナ3及び複数の移相検波器9を奇数備え、各位相検波器9の出力から、多数決処理により正しい出力を決定する判定手段を更に備えても良い。この構成により、発振器2と近い周波数の雑音電波源が当該近接センサの周囲に存在する場合であっても、この雑音電波の影響を排除することが可能となる。
【0081】
図9および図10では、第1の移相手段として、送信アンテナ3と受信アンテナ4とを接続する抵抗を備える例を示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、図9および図10に示す近接センサにおいて、図4および図5に示すように、第1の移相手段として、インダクタ又は、インダクタ及び抵抗をくみあわせたものを備えても良い。
【0082】
また、図9および図10に示す近接センサにおいて、図6(実施例2)に示すように、受信アンテナ4と基準電位とを接続する抵抗およびインダクタを備えても良い。更に、図9および図10に示す近接センサにおいて、図7(実施例3)に示すように、受信アンテナで受信した信号を増幅する第1の増幅器と、第1の移相手段で移相された信号を増幅する第2の増幅器と、を備え、第1の増幅器と第2の増幅器とで増幅された信号を加算する加算器を備えた構成としても良い。更に、図9および図10に示す近接センサにおいて、図8(実施例4)に示すように、交流信号発生源と送信アンテナとの間に、交流信号発生源の回路の電源を昇圧する昇圧手段と、交流信号発生源の信号を、昇圧手段で昇圧された電源系で増幅する増幅手段とを備える構成としても良い。
【0083】
[実施例7:図11]
次に、本発明の実施例7の近接センサの構成について説明する。図11は、実施例7の近接センサ1Zの構成を示す回路図である。前述したように、一般に位相検波器は極めて鋭いバンドパスフィルタと見ることができ、異なる周波数の交流信号を排他的に検出することが出来る。しかし、周波数差が小さい場合は混信が発生する。複数の発振器の周波数が近い場合の共振現象などを含めて各々の発振器に使用する周波数差は、VLF帯を使用する場合でも100Hz程度以上離しておく必要があるが、前述した各実施例の近接センサの近辺に、使用する発振器と近い周波数の電波発信源が存在すると、当該近接センサは誤動作を生じてしまう。実施例7の近接センサ1Zは、この問題を解決するための構成である。
【0084】
実施例7の近接センサ1Zでは、発振器2は、位相検波で使用する周波数帯よりも一桁以上高い発振周波数を持つものとする。例えば数MHzの発振周波数を持つATカット水晶振動子などを用いたコルピッツ発振回路などで良い。例えばインバータ等で構成したバッファ6を通した出力は矩形波であるが、これを分周器13Aに入力し、数十KHz程度の周波数として、送信アンテナ3より放出し、受信アンテナ4で受信した信号を分周器13Aで分周した信号を参照信号として位相検波器9により検出する構成とする。
【0085】
実施例7の近接センサ1Zでは、分周器13Aの分周比を任意に設定できるようにしておくことで外部環境に存在する電波の周波数と近接センサ1Zの使用する周波数を離すこ
とができる。これにより、外部の電波環境による影響を避ける機能を持たせるものである。
【0086】
また、消費電力が問題となる場合は、低周波発振器を用いて参照パルスを発生しておき、RC発振器で発生させた周波数を参照パルスの整数倍に合わせる、所謂PLLで任意周波数を発生させても良い。何れの場合も、発振器及び分周器の部分を接地した導体で囲む等の、発振器2の発振部分から発生する電波を遮断するシールド(遮断手段)を備え、この周波数が外部の電波に影響されない構造を取ることができる。これにより、発振器2の原発振の電波による影響を抑えることが可能となる。
【0087】
[実施例8:図12]
次に、本発明の実施例8の近接センサの構成について説明する。図12は、実施例8の近接センサ1Uの構成を示す回路図である。実施例8の近接センサ1Uは、複数の近接センサ及びアンテナを用いて、電波環境による影響を避ける機能を持たせるものである。近接センサが自動機に組み込まれている場合などには、実施例7で説明したような、外部電波に影響されないための周波数の退避が、自動的に行われる必要がある。
【0088】
図12に示す実施例8の近接センサ1Uでは、発振回路2で発生させた周波数を、分周器13Bによって3つの分周比に分周させ、各々の周波数に対して近接センサを構成している。また、図12に示す近接センサ1Uにおいて、各位相検波器9X、9Y,9Zの出力から、多数決処理により正しい出力を決定する判定手段を更に備えても良い。この構成により、発振器2と近い周波数の雑音電波源が当該近接センサの周囲に存在する場合であっても、この雑音電波の影響を排除することが可能となる。ここで、実施例5で説明したように、これら3つの近接センサの送信アンテナ3X、3Y、3Zは同一のものであっても構わず、受信アンテナ4X、4Y、4Zは同一のものであっても構わない。
【0089】
[実施例9:図13]
次に、本発明の実施例9の近接センサの構成について説明する。図13は、実施例9の近接センサで用いられる対数増幅回路の回路図である。上述した実施例8の構成は、自動機械に組み込まれ、その信頼性を改善することを想定している。このような場合出力端子11からの出力11はADコンバータによってデジタル化した後に利用されることが多い。しかしながら後述する図22のように、アンテナの形状を点状とリング状として感度をアンテナと被検物体との距離のみに依存させた場合、その感度は距離に反比例する。
【0090】
距離に反比例する出力は距離が小さい地点、即ちアンテナ近傍で出力が非常に大きくなる。一方アンテナから距離の大きな領域では出力は小さくなる。従ってアンテナから遠方の領域での距離分解能を確保して電位を均等にAD変換すると、全体として非常に高い分解能のADコンバータを使用しなければならない。
【0091】
高分解能のADコンバータは回路規模が大きく、歩留まりよく製造することが困難なので、実施例9においては、近接センサの出力を図13に示すような対数増幅回路を用いて増幅した後にAD変換して使用する。これにより高い電圧を発生するアンテナ近傍の領域の電圧はその変化率が小さくなり、結果として分解能の低い低精度のAD変換器を使用する事ができる。
【0092】
図13に示す対数増幅回路の動作について説明する。図13にはオペアンプ18、入力抵抗19及び帰還抵抗の代わりのトランジスタ17の接続を示してある。基本的な動作はオペアンプ18による反転増幅であり、オペアンプの反転入力端子には抵抗19が、そしてオペアンプ18の出力端子と反転入力端子の間には帰還率を変更するためにトランジスタのエミッタとコレクタが接続してある。オペアンプ18の基準電位を与える正入力端子
は設置してある。この回路で、抵抗19を流れる電流I19はバーチャルショートにより、入力電圧を∨19とすると、I19=∨19/R19になる。この電流はオペアンプの帰還電流としてトランジスタ18に流れるので,トランジスタの性質として、トランジスタのベースエミッタ間電圧∨BEは一般に定数をKとして、∨BE=KlogI19、即ち∨BE=Klog(∨19/R19)となる。出力電圧∨Oは、バーチャルショートから見た電位なので、∨O=―Klog(∨19/R19)となり、入力電圧∨19の対数がVOとして出力される。
【0093】
[実施例10:図14]
次に、本発明の実施例10の近接センサの構成について説明する。図14は、実施例10の近接センサ1Vの構成を示す回路図である。図14に示すように、実施例10の近接センサ1Vは、検波器9に用いる位相検波用の参照信号の位相を抵抗7B,コンデンサ5B及びアンプ8Bを用いて移相して使用する。
【0094】
図1に示す実施例1では受信アンテナ4からの情報を、発振波形を抵抗7及びコンデンサ5を用いて移相して受信アンテナ4からの信号に合成して合成波形の移相変化情報に直して使用しているが、この移相操作の為のローパスフィルタに用いる抵抗7及びコンデンサ5は温度特性を持っており各々の電気的定数が変化する。これら定数の温度変化は前記移相量を変化させる為、実施例1のセンサの出力は結果として温度ドリフト特性を持ち、センサの精度を低下させる。実施例10は、この温度ドリフトを低減させる構成を説明するものであり、センサとしての実用的な性能を向上させる構成について説明する。
【0095】
さて、実施例1で受信アンテナ4からの情報が無い場合、発振波形を抵抗7及びコンデンサ5を用いて移相した信号のみが検波器9に送られる。従ってこの移相した発振波形の検波結果がセンサ出力の出力が0の点を与えることになる。本実施例が問題にしている温度ドリフトとは、このセンサ0点出力の温度ドリフトのことであるが、発振波形を用いて移相した発振波形を検波する本構成では、ドリフトの原因の殆どは、移相の過程で発生する。具体的な要因は上述したように、移相操作の為のローパスフィルタに用いる抵抗7及びコンデンサ5は温度特性を持っており各々の電気的定数が変化する為である。
【0096】
そこで、実施例10では検波用の参照信号を移相して使用することとする。即ち参照信号を第2の移相手段として抵抗7B及びコンデンサ5Bを用いてローパスフィルタを形成することにより移相した後、アンプ8Bを通して波形を整形することとする。更に受信部では、アンテナ4を設置するにあたり、アンテナ4自身及びアンテナ4設置場所までの電気的接続部のシールド線の持つ容量成分による位相の変化が発生しているので、本補正はこれらの容量と同量の容量付加を行うことにより完全なものとなる。即ち、図には示していないが、抵抗7及びコンデンサ5の連結部からアンテナ4までの電気的結線に使用する同軸ケーブルと同じものを、抵抗7B及びコンデンサ5Bの連結部に接続しておくとよい。またこの先端にアンテナ4と同等の容量を持つダミーアンテナを接続しておくとより補正の完成度が向上する。
【0097】
アンテナ部の容量が小さい場合は、アンプ移相用に用いる抵抗7B及びコンデンサ5Bに使用する素子は抵抗7及びコンデンサ5に用いるものとほぼ同じものを使用する。アンテナ部の容量が大きい場合は、アンテナ4と同等の容量を持ち、外部からシールドされた図示しないアンテナ4Bを抵抗7Bとコンデンサ5Bの接合部に接続するか、コンデンサ5Bの容量を調整して、検波部の移相量をアンテナ4による位相量に合わせるとよい。このような構成を用いることにより、受信波形に合成する移相発振波形と検波用に使用する移相発振波形はほぼ同じ信号となり、各々の回路素子の温度特性により各々の信号に発生する温度変化はほぼ同等となり、検波器9により検波された結果は各々の素子の温度変化に影響されず、結果として実施例10では温度ドリフトの少ないセンサを実現することが
できる。
【0098】
[実施例11:図14〜図17]
次に、本発明の実施例11の近接センサの構成について説明する。実施例11の近接センサは、図20に示す実施例10の近接センサにおいて、発振器2からの信号を補強するバッファ6に使用するアンプの増幅率を非常に大きく取り、電源電圧を充分超えるまで増幅し、本実施例ではコンパレータとして使用する。
【0099】
コンパレータにより矩形波を生成して使用するのであれば、発振器2はAGC回路を付加して予め正弦波にする必要もなく、使用する電源により電力が制限されるため自動的に擬似的なレシオメトリックが実現し、本センサの出力をADコンバータを用いてデジタル化して使用する場合などは電源を共有することにより電源電圧変動の影響をキャンセルすることができる。
【0100】
また、発振波形が矩形波ならば、周波数が高いが、安価で周波数の温度特性に優れた例えば水晶のATカット振動子を用いた発振器を用いることができ、FF等のデジタル回路を使用することにより周波数を分周すれば1つの発振器で様々な周波数を使用できる。
【0101】
発振波形を矩形波としてしまうことにより、波形の持つ振幅情報は失われ、温度特性として考慮する必要はなくなるので、温度の影響は位相情報だけに反映されることとなり、本実施例11に於いては実施例10の場合に比べて更に温度特性の向上が期待できる。
【0102】
発振波形以下全ての信号を矩形波にした場合の動作を以下詳細に説明する。図15に示すようにコンパレータ6により発振器の生成する発振波形が電圧レベルで制限される矩形波となると、移相発振波形はローパスフィルタの出口でノコギリ状の波形となるが、受信波形と合成後に再度アンプ8により充分な振幅まで増幅すると、移相発振波形は検波位置を示す発振波形を数十度移相した矩形波となる。また、受信波形が0でない場合に移相発振波形と合成後にアンプ8により充分な振幅まで増幅すると、合成波形は移相発振波形が受信波形の影響で更に移相された矩形波となる。
【0103】
次に検波の実態を図16を用いて説明する。図16には、6段に亘って矩形波の波形を示してある。矩形波の下端はGND電位を示す0レベル、上端は電源電圧を示す1レベルを表すものとする。まず、最上段には、検波位置を示す発振波形を記す。2段目には移相発振波形を示すが、移相発振波形は発振波形か位相が例えば右方向に数十度ずれた、即ち遅れた波形として示してある。3段目には移相発振波形に受信波形を合成した合成波形を示すが、ここでは数度程度左に移相し、受信波形により位相が進んだ様子を示してある。
【0104】
4段目には、初段の検波位置を示す発振波形により2段目の移相発振波形が検波された結果を示す。検波は発振波形による移相発振波形の論理積操作と同じであり、1レベルの区間が減少した様子が示されている。センサの0点はこの信号をLPFに通して直流とした電圧レベルで示される。5段目には、初段の検波位置を示す発振波形により3段目の合成波形が検波された結果を示す。検波は発振波形による合成波形の論理積操作と同じであり、4段目に示した受信波形が無い場合に比べて、この信号をLPFに通して直流とした電圧レベルが上昇するであろう様子が示されている。6段目には4段目に示した検波後の移相発振波形と検波後の合成波形の差異を示した。受信波形による影響はこの6段目の波形をLPFで平滑化して得られる電圧レベルとして捉えることができる。
【0105】
ここで述べた移相発振波形の移相は上述の抵抗7及びコンデンサ5により成されたものであるが、この移相量は数十度と大きい。大きな移相を実現できることは、回路素子の温度変化の影響が大きいことを意味している。
【0106】
次に図17を用いて、検波用の参照信号を移相した場合について説明する。図17には、図16と同様に6段に亘って矩形波の波形を示してある。矩形波の下端はGND電位を示す0レベル、上端は電源電圧を示す1レベルを表すものとする。まず、最上段には、検波位置用の発振波形を抵抗7B及びコンデンサ5Bにより移相し、アンプ8Bにより2値化した様子を記す。2段目には移相発振波形を示すが、移相発振波形は発振波形を抵抗7及びコンデンサ5により移相し、アンプ8により2値化したものだが、これは1段目に示した移相検波位置とほぼ同じものになる。3段目には移相発振波形に受信波形を合成した合成波形を示すが、ここでは数度程度左に移相し、受信波形により位相が進んだ様子を示してある。
【0107】
4段目には、初段の検波位置を示す発振波形により2段目の移相発振波形が検波された結果を示す。検波は発振波形による移相発振波形の論理積操作と同じであり、双方がほぼ同等の移相を受けたため双方とほぼ同じになる様子が示されている。センサの0点はこの信号をLPFに通して直流とした電圧レベルで示される。5段目には、初段の検波位置を示す発振波形により3段目の合成波形が検波された結果を示す。検波は発振波形による合成波形の論理積操作と同じであり、4段目に示した受信波形が無い場合に比べて、この信号をLPFに通して直流とした電圧レベルが下降するであろう様子が示されている。6段目には4段目に示した検波後の移相発振波形と検波後の合成波形の差異を示した。受信波形による影響はこの6段目の波形をLPFで平滑化して得られる電圧レベルとして捉えることができるが、この量は検波用の波形の移相によって変化しないことが示される。
【0108】
ここで述べた移相発振波形の移相は上述の抵抗7及びコンデンサ5により成されたものであるが、この移相量は数十度と大きい。一方、検波用の移相発振波形の移相は上述の抵抗7B及びコンデンサ5Bにより成されたものであるが、この移相量も数十度と大きい。大きな移相を実現できることは、回路素子の温度変化の影響が大きいことを意味しているが、双方同等の移相量としたことで、回路素子の温度変化による位相ズレの影響は互いに打ち消され、検波結果に殆ど影響しなくなる。また検波用波形の移相により受信波形の影響が検波結果の電圧出力の方向に影響することには注意を要する。
【0109】
[実施例12:図18〜図19]
次に、本発明の実施例12の近接センサの構成について説明する。本実施例に於いてもバッファ6にはコンパレータの機能を持たせ、これ以降の信号には矩形波信号を用いている。図18は、実施例12の近接センサ1Wの構成を示す回路図である。本回路に於いては位相検波に乗算素子を用いず、排他的論理和素子を用いている。これまでの説明で示したように、矩形波信号においてはデジタル回路に於ける演算が適用できる。位相検波には通常乗算素子を想定しているが、実施例11に於いては論理積素子を用いた。本実施例を説明する図18に於いて使用する素子として実施例11の説明に用いた図14に示した構成と異なるのは、この位相検波用の論理積素子が排他的論理和素子99に置き換わったことだけである。
【0110】
図19を用いて本実施例の動作を説明する。図19には、図17と類似に5段に亘って矩形波の波形を示してある。矩形波の下端はGND電位を示す0レベル、上端は電源電圧を示す1レベルを表すものとする。まず、最上段には、検波位置用の発振波形を抵抗7B及びコンデンサ5Bにより移相し、アンプ8Bにより2値化した様子を記す。2段目には移相発振波形を示すが、移相発振波形は発振波形を抵抗7及びコンデンサ5により移相し、アンプ8により2値化したものだが、これは1段目に示した移相検波位置とほぼ同じものになる。3段目には移相発振波形に受信波形を合成した合成波形を示すが、ここでは数度程度左に移相し、受信波形により位相が進んだ様子を示してある。
【0111】
4段目には、初段の検波位置を示す発振波形により2段目の移相発振波形が排他的論理和された結果を示す。排他的論理和操作は2つの信号に相違がなければ出力は0になるので、この操作により、出力が全て0になる様子が示してある。5段目には、初段の検波位置を示す発振波形により3段目の合成波形が排他的論理和された結果を示す。排他的論理和により受信波形により位相の変化した合成波形は、この位相の変化分だけ初段に示した参照信号と異なり、4段目に示した全く差異が無い場合に比べて、位相ズレの発生を反映する信号の全てのエッジに1の信号が発生する。5段目に示した受信波形を反映する排他的論理和の波形は、実施例11に示した受信波形を反映する論理積波形に比べて1となる量が丁度2倍になっている。これは論理積に於いては矩形波信号の変化における立ち上がりもしくは立ち下がりの一方の情報のみ捉えるのに対して、排他的論理和ではその双方の情報を捉えることができることを反映している。別の言い方では、実施例11の構成が半波整流だったのに対して本実施例の構成では全波整流を実現していることになる。
【0112】
このように本実施例では論理積による矩形波検波を排他的論理和による矩形波検波に置き換えただけで、2倍の情報が取れる全波整流を実現している。
【0113】
[送信アンテナおよび受信アンテナの構成例:図20〜図35]
次に、上述した近接センサの各実施例に用いられる送信アンテナ3および受信アンテナ4の構成について説明する。図20から図35は、送信アンテナ3および受信アンテナ4の構成の説明図である。
【0114】
上述した各実施例の近接センサにおいて、送信アンテナ3および受信アンテナ4の配置には工夫を要する。アンテナの効率を考えると、図20に示すように平面状の送信アンテナ3a、受信アンテナ4aを平行に配置し、または図21に示すように各々を棒状の送信アンテナ3b、受信アンテナ4bを平行に配置し、各アンテナの間の空間領域に被検物体が接近するのを検知する構成が、最も電磁波の伝わり方の変化が大きく、センサとしての感度が大きい。また、配線部の信号の受信、送信への影響を抑えるため、配線部には、シールド15、16を設けることが望ましい。
【0115】
しかしながら、図20および図21に示すアンテナの構成では、被検物体とアンテナとの距離が同じであっても、アンテナに対する被検物体の移動方向が異なると、近接センサの出力が異なるものとなってしまう。
以下に、図22から図25を用いて、近接センサの出力がアンテナに対する被検物体の移動方向に依存せず、アンテナと被検物体の距離に依存する送信アンテナ3および受信アンテナ4の構成について説明する。
【0116】
図22に示すアンテナの構成は、棒状の送信アンテナ3cと、この棒状の送信アンテナ3cが延びた方向に垂直な面内で、棒状の送信アンテナ3cから等しい距離に配置されたリング状の受信アンテナ4cと、を備える。棒状の送信アンテナ3cには、先端の微小部分を除く箇所にシールド15が設けられ、リング状の受信アンテナ4cには、リング部を除く箇所にシールド16が設けられる。
【0117】
図22に示す構成のアンテナでは、送信アンテナ3cから送信される電磁波は、送信アンテナ3cの棒状部分を中心として対称となる。また、図22に示す構成のアンテナでは、受信アンテナ4cのリング径を小さくすると、送信アンテナ3cから受信アンテナ4cに形成される電磁界は、所定の距離だけ離れた位置からは中心対称とみることができる。
よって、図22に示す構成のアンテナは、近接センサの出力がアンテナに対する被検物体の移動方向に依存せず、アンテナと被検物体の距離に依存するものとすることができる。
【0118】
図23に示す構成のアンテナは、図22に示す構成のアンテナにおいて、同心円状の複数のリングが接合された受信アンテナ4dを備える。図24に示す構成のアンテナは、図22に示す構成のアンテナにおいて、複数回巻かれたコイル状の受信アンテナ4eを備える。図23、図24のような構成にすることで、アンテナの受信感度を向上させることが可能となる。アンテナの受信感度は、リングの数に応じて増加する。
【0119】
図25に示す構成のアンテナは、図24に示す構成のアンテナにおいて、複数回巻かれたコイル状の先端部を有する送信アンテナ3dを備える。このように構成することにより、送信アンテナとして機能する領域を増加させ、送信アンテナの出力を向上させることができる。この送信アンテナ3dと、図22から図24に示す受信アンテナ4c、4dとを組み合わせても良い。
【0120】
図26は、図25に示す構成のアンテナを備えた実施例3の近接センサ1cを用いて実験を行い、その実験結果として得られた、アンテナに近づけた披検物体と当該センサの出力電圧の関係を示す。披検物体として人の指を用いている。図26において、横軸(X軸)はアンテナの中心部から被検物体までの距離を示し、縦軸(Y軸)に当該センサの出力
電圧を示す。図26の実線は当該センサの出力を示し、破線はY=3000/X−50で近似した線を示している。
【0121】
この実験に用いた近接センサの出力は直流である。図26では、出力電圧を、この近接センサから被検物体が充分離れている時の出力値からの差分値で示してある。この実験に用いた近接センサの出力は2mVrms程度のノイズを持っており、図26に示す様に5cmを越える距離では出力はノイズに埋もれて、測定不能となってしまう。
【0122】
また図26に示すように、この実験に用いた近接センサの出力は、被検物体のアンテナの中心からの距離にほぼ反比例することが確認できる。このように、被検物体の距離に出力が反比例することは、この近接センサによる距離の検出動作が、静電場ではなく電磁波に起因するものであることを裏付ける。
【0123】
また、この実験に用いた近接センサでは、発振器2の出力が5Vの電圧振幅では、約5cm以内の距離の被検物体を充分なS/Nで検出できることが確認できた。仮に、本発明の近接センサで発振器2の出力を100Vの電圧振幅としたときは、約1m以内の距離の被検物体を充分なS/Nで検出できる。
【0124】
図22から図25では、棒状の送信アンテナ3とリング状の受信アンテナ4を備える例を示したが、送信アンテナ3をリング形状とし、受信アンテナ4を棒状としてもよい。
図20から図25を用いて説明した送信アンテナ3と受信アンテナ4は、設置環境にあまり制限が課せられない場合に感度に最適化したアンテナの構成である。
【0125】
ところで、最近はディスプレイ上に描写された映像情報と連動した入力装置、即ちタッチパネルと呼ばれる入力装置の必要性が増大している。本発明の近接センサの送信アンテナおよび受信アンテナをディスプレイ上の異なる位置に配置すれば、ディスプレイ上の3次元領域に位置する被検物体の位置を検出する位置検出装置を構成することが出来る。この位置検出装置による被検物体の3次元の位置情報に応じて機器への入力を制御することにより、入力装置を構成することが出来る。
【0126】
以下に、このような位置検出装置を構成するため透明基板上にITO等の透明電極を用いて形成した送信アンテナ3および受信アンテナ4について説明する。図27は、透明基板上に透明電極を用いて形成した送信アンテナ3および受信アンテナ4の第1の構成例である。
【0127】
図27に示すアンテナの構成は、ガラス又は樹脂等の透明基板25上に、ITO等の透明電極を用いて透明な配線によりリング状に形成された送信アンテナ3fと受信アンテナ4fとを備える。受信アンテナ4fのパターンが送信アンテナ3fのパターンを囲って、同心円状に形成される。このように送信アンテナおよび受信アンテナを同心円のリング状に形成することにより、図22から図25に示すアンテナ構成と同様に、アンテナに対する被検物体の移動方向に依存せず、アンテナと被検物体の距離に依存した近接センサの出力を得ることが出来る。
【0128】
また、送信アンテナ3fと受信アンテナ4fから、近接センサを構成する図示しない回路部に接続するための配線を行う必要があるが、配線部の信号の受信、送信への影響を抑えるため、配線部には、シールド15、16を設けることが望ましい。
図27では、送信アンテナと受信アンテナが一つのリング状のパターンで形成される例を示したが、送信アンテナと受信アンテナの一方または両方を、二重以上のリング状のパターンで形成しても良い。アンテナの受信感度は、各アンテナのリングの数を増やすことにより向上させることができる。
【0129】
通常、ディスプレイの領域は矩形である。この矩形領域上の3次元空間に位置する物体を、例えば4つの近接センサで検出する場合、各近接センサのアンテナを矩形領域の角部に配置するのが合理的である。
【0130】
ここで、前述したように、本発明の近接センサの出力は、被検物体とアンテナ中心との距離に反比例するため、アンテナのリングの中心近傍はセンサの出力が大きくなりすぎてしまう。また、アンテナのリングの中心近傍は、感度が距離に反比例する状況が歪んでいる特異領域でもある。よって、リングの中心近傍は検出には不向きである。
【0131】
しかし、図27に示す構成のアンテナを矩形領域の角部に配置すると、アンテナのリングの中心近傍が角部から内側に位置することとなる。また、感度を上げるために大きなリングでアンテナを形成すると、アンテナのリングの中心近傍は更に内側に位置することとなる。
すなわち、図27に示す構成のアンテナを矩形領域の角部に配置しても、検出には不向きなリングの中心近傍が矩形領域の角部から内側に位置することとなり、ディスプレイ領域上の3次元空間に位置する物体を正しく検出できない問題がある。
【0132】
図28は、このような問題を解決するための構成であり、透明基板上に透明電極を用いて形成した送信アンテナ3および受信アンテナ4の第2の構成例である。図28に示すアンテナの構成では、透明基板25の角部に、ITO等の透明電極を用いた透明な配線により、1/4の円弧状の送信アンテナ3g1と受信アンテナ4g1とが透明基板25の2つの辺に跨って形成される。受信アンテナ4g1のパターンが送信アンテナ3g1のパターンを囲って同心円の円弧状に形成される。
【0133】
送信アンテナ3g1と受信アンテナ4g1のそれぞれから、接続端子27、28を介して、近接センサを構成する図示しない回路部に接続するための配線が行われる。配線部の信号の受信、送信への影響を抑えるため、配線部には、シールド15、16を設けることが望ましい。
【0134】
送信アンテナ3g2−3g4と受信アンテナ4g2−4g4も同様に、透明基板25の他の角部に1/4の円弧状パターンで形成される。受信アンテナ4g2−4g4のパターンが送信アンテナ3g2−3g4のパターンを囲って、同心円の円弧状に形成される。
ここで、送信アンテナ3g2と受信アンテナ4g2、送信アンテナ3g3と受信アンテ
ナ4g3、送信アンテナ3g4と受信アンテナ4g4は、それぞれ別々の近接センサを構成する回路部に接続される。図28では、送信アンテナ3g1と受信アンテナ4g1からの配線のみを示している。
【0135】
図28に示す構成例では、送信アンテナと受信アンテナを1/4の円弧状に形成することにより、検出には不向きなリングの中心近傍を矩形領域の角部に位置することができる。これにより、ディスプレイ領域上の3次元空間に位置する物体を正しく検出することが可能となる。
【0136】
また、図28に示す構成例では、送信アンテナおよび受信アンテナを同心円の円弧状に形成することにより、矩形領域の内側に対しては、アンテナに対する被検物体の移動方向に依存せず、アンテナと被検物体の距離に依存した近接センサの出力を得ることが出来る。
【0137】
図29は、透明基板上に透明電極を用いて形成した送信アンテナ3および受信アンテナ4の第3の構成例である。図29に示すアンテナの構成では、透明基板25上に、ITO等の透明電極を用いた透明な配線により、円弧状の送信アンテナ3h1−3h4と受信アンテナ4h1−4h4とが形成される。受信アンテナ4h1−4h4のパターンが送信アンテナ3h1−3h4のパターンを囲って、透明基板25の角部に2つの辺に跨って同心円の円弧状に形成される。
【0138】
送信アンテナ3h1と受信アンテナ4h1、送信アンテナ3h2と受信アンテナ4h2、送信アンテナ3h3と受信アンテナ4h3、送信アンテナ3h4と受信アンテナ4h4は、それぞれ別々の近接センサを構成する回路部に接続される。図29では、送信アンテナ3h1と受信アンテナ4h1からの配線のみを示している。
【0139】
図29ではディスプレイの表示部の境界をBで示している。表示部の境界Bは透明基板25の端部から所定長さだけ内側に位置している。また、送信アンテナ3h1−3h4と受信アンテナ4h1−4h4の円弧の中心部C1−C4は、それぞれ表示部の角部に位置している。送信アンテナ3h1−3h4と受信アンテナ4h1−4h4は1/4より大きい円弧で、表示部の境界Bを超えて透明基板25の端部まで形成されている。
【0140】
これにより、図29に示す構成のアンテナでは、図28に示す1/4の円弧で形成されたアンテナと比較して、表示部の領域に対する感度の歪を抑え、精度良く被検物体の位置を検出することが可能となる。
【0141】
図30は、透明基板上に透明電極を用いて形成した送信アンテナ3および受信アンテナ4の第4の構成例である。図30に示すアンテナの構成では、透明基板25上に、ITO等の透明電極を用いた透明な配線により、送信アンテナ3i1−3i4と受信アンテナ4i1−4i4とが、それぞれ二重の1/4の円弧状パターンで形成される。また、受信アンテナ4g1−4g4のパターンが送信アンテナ3g1−3g4のパターンを囲って、表示部の境界Bの角部に同心円の円弧状で形成される。
【0142】
送信アンテナ3i1と受信アンテナ4i1、送信アンテナ3i2と受信アンテナ4i2、送信アンテナ3i3と受信アンテナ4i3、送信アンテナ3i4と受信アンテナ4i4は、それぞれ別々の近接センサを構成する回路部に接続される。図30では、送信アンテナ3i1と受信アンテナ4i1からの配線のみを示している。
【0143】
図30に示す構成のアンテナでは、送信アンテナ3i1−3i4と受信アンテナ4i1−4i4とが、それぞれ二重の1/4の円弧状パターンで形成されことにより、アンテナ
の受信感度を向上させることが可能となる。アンテナの受信感度は、各アンテナの円弧状パターンリングの数を増やすことにより向上させることができる。
図30では、送信アンテナと受信アンテナの両方が二重の円弧パターンで形成される例を示したが、いずれか一方のアンテナのみを二重の円弧パターンで形成してもよい。また、送信アンテナと受信アンテナの一方または両方を、三重以上の円弧パターンで形成しても良い。
【0144】
図31は、透明基板上に透明電極を用いて形成した送信アンテナ3および受信アンテナ4の第5の構成例である。
図31に示すアンテナの構成では、図30と同様に、透明基板25の角部にITO等の透明電極を用いた透明な配線により、送信アンテナ3j1−3j4と受信アンテナ4j1−4j4とが、それぞれ二重の1/4の円弧状パターンで形成される。
【0145】
送信アンテナ3j1と受信アンテナ4j1、送信アンテナ3j2と受信アンテナ4j2、送信アンテナ3j3と受信アンテナ4j3、送信アンテナ3j4と受信アンテナ4j4は、それぞれ別々の近接センサを構成する回路部に接続される。図31では、送信アンテナ3j1と受信アンテナ4j1からの配線のみを示している。
【0146】
図31に示すアンテナ構成では、さらに、透明基板25の辺部に二重の1/2の円弧状パターンで形成された送信アンテナ3j5−3j6と受信アンテナ4j5−4j6とを備える。受信アンテナ4j5−4j6のパターンが送信アンテナ3j5−3j6のパターンを囲って、表示部の境界Bの角部に同心円の円弧状で形成される。
送信アンテナ3j5と受信アンテナ4j5、送信アンテナ3j6と受信アンテナ4j6は、それぞれ別々の近接センサを構成する回路部に接続される。
【0147】
図31のような構成とすることにより、透明基板の角部にのみアンテナが配置される図27〜図30の構成と比較して、より広い被検査領域の物体の検出を行うことが可能となる。図31では、送信アンテナと受信アンテナの両方が二重の円弧パターンで形成される例を示したが、いずれか一方または両方のアンテナを一つの円弧パターンで形成してもよい。図27から図31では、受信アンテナ4が送信アンテナ3を囲って形成される例を示したが、送信アンテナ3が受信アンテナ4を囲って形成してもよい。
【0148】
図32に示すアンテナ構成は、送信アンテナ3D、3L、3U,3Rを、分割されたリング状に配置し、これらに対向する位置に、点状の受信アンテナ4D、4L、4U,4Rを配置したものである。図1に示すような近接センサを4組用いることで、図28等に示すアンテナ構成と同様に、位置検出装置を構成することができる。
【0149】
ここで、図1に示した回路に対して、図22に示すリング状アンテナ4と点状アンテナ3のセットの感度の中心位置について詳細な実験を行うと、当然ながら感度の中心は点状アンテナ3の位置である。
【0150】
さて、このリング状と点状の送受信アンテナは、リングの半径が大きいほど近接センサとしての感度が向上する。逆にリングの大きさを小さくすると近接センサとしての感度が低下する。従ってリングの大きさは、あまり小さくすることができない。実施例4において、図22に示した単純なリングと点状のアンテナを用いた実験結果によると、5V電源で運用する近接センサでは、リングの半径を1cmとした場合、図26に示したように5cm程度の有効な感度距離を実現できた。もしもこの有効感度距離を必要とする場合は、リング状アンテナの直径は1cm程度必要である。
【0151】
一方、図33に示すようにリング状アンテナ4に相対的な点状アンテナ3の位置をリン
グ状アンテナ4の中心位置から移動したところ、感度は殆ど変化なく、感度の中心は点状アンテナ3の位置に移動した。このことは、リング状アンテナ4の位置を変えなくても、点状アンテナ3の位置を変えるだけでアンテナセットの配置を変更できることを示している。このリング状のアンテナに対して、内側に位置する点状のアンテナの位置を変更することでアンテナセット配置を変更できることを利用したアンテナの構成を以下に説明する。
【0152】
図34は、図9に示す実施例5の位近接センサ1Xに用いるアンテナ構成の例である。図34に示す構成では、送信アンテナ3をリングアンテナとし、各々の受信アンテナ4R,4L,4U,4Dを点状アンテナとし、各々上下左右に対向するもの同士の間隔をdとして配置した様子を示した。この構成においては、図9の回路の場合、dの値をリングアンテナ3の直径に近づけることにより、4セットの近接センサの送受信アンテナを1cm程度離して配置するにもかかわらず、アンテナが占有するのは直径1cm程度の領域で足りることになる。
【0153】
図35は、図10に示す実施例6の位近接センサ1Yに用いるアンテナ構成の例である。図35に示す構成では、受信アンテナ4をリングアンテナとし、各々の送信アンテナ4R、4L、4U、4Dを点状アンテナとし、各々上下左右に対向するもの同士の間隔をdとして配置した様子を示した。この構成においては、図10の回路の場合、dの値をリングアンテナ4の直径に近づけることにより、4セットの近接センサの送受信アンテナを1cm程度離して配置するにもかかわらず、アンテナが占有するのは直径1cm程度の領域で足りることになる。
【0154】
図32に示すアンテナ構成では、各々のアンテナの感度の対称性が充分でなく、近接センサの感度が距離だけに依存するという条件を満たすことができない。しかし、図34及び図35に示すアンテナ構成により、狭い領域に、感度出力の対称性の良い複数のアンテナを互いに離して配置し、近接センサの感度が距離だけに依存する構成を実現することができる。
【0155】
図34及び図35に示すアンテナ構成を用いた位置検出装置により、一つの非接触のボタンに空間入力装置として、方向指示もしくは入力機能を持たせることが可能となる。ボタンという概念は、一般にその存在領域を限定された小さな領域と規定している。本実施例5に於いてはこの領域として1平方cm程度の大きさと想定する。
【0156】
リング状アンテナの直径を1cmとし、縦横2方向の動作検出に必要な近接センサの個数を4個とすると、4個のリングアンテナを一つのボタン内に収納しなければならないので、これら4個のリングアンテナの中心を正方形の頂点に配置したとしても、ボタンの大きさは最低2cm角が必要となる。そして、この場合の4組の各近接センサのアンテナセットの仮想中心間距離は1cm程度である。
【0157】
本発明の近接センサにおいて、図27から図31に示すような構成で、透明基板上に透明電極で形成された送信アンテナおよび受信アンテナを用い、このアンテナをディスプレイ上に配置することにより、ディスプレイ上の3次元領域に位置する被検物体の位置を検出する位置検出装置を構成することが出来る。この位置検出装置による被検物体の3次元の位置情報に応じて機器への入力を制御することにより、入力装置を構成することが出来る。また、図33から図35に示すような構成によりボタンという概念で示されるような小さな領域に複数の、ほぼ距離だけに依存する感度をもたらすアンテナを備えたことによる位置検出装置を構成することができる。
【符号の説明】
【0158】
1a、1b、1c、1d、1X、1Y、1Z、1U、1V、1W、2a、2b、2c、2d 近接センサ
2 発振器
3、3a、3b、3c、3d、3f、3g1−3g4、3h1−3h4、3i1−3i4、3j1−3j6 発信アンテナ
4、4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g1−4g4、4h1−4h4、4i1−4i4、4j1−4j6 受信アンテナ
5、5S 寄生容量またはコンデンサ
6、6D、6L、6R、6U バッファ
6S1、6S2 増幅器
7、7D、7L、7R、7U、7T 抵抗
7M、7LT インダクタ
8、8D,8L,8R、8U 増幅器
9 位相検波器
10 LPF
11 出力端子
12 加算回路
13A、13B 分周器
14 対数増幅回路
15、16 シールド
17 トランジスタ
18 オペアンプ
19 抵抗
25 透明基板
27 接続端子
28 接続端子
30 昇圧回路
31 増幅回路
102 発振器
103 送信アンテナ
104 受信アンテナ
107 抵抗
108 コンデンサ
109 位相検波器
110 LPF
111 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流信号発生源と、
前記交流信号発生源の信号に基づいて電波を送信する送信アンテナと、
電波を受信する受信アンテナと、
前記交流信号発生源からの信号を移相する第1の移相手段と、
前記第1の移相手段で移相された信号と前記受信アンテナで受信した信号とを合成する合成手段と、
前記合成手段で合成された合成信号を、前記交流信号発生源の信号で位相検波する位相検波手段と、を備える
ことを特徴とする近接センサ。
【請求項2】
交流信号発生源と、
前記交流信号発生源の信号に基づいて電波を送信する送信アンテナと、
電波を受信する複数の受信アンテナと、
前記交流信号発生源からの信号を移相する第1の移相手段と、
前記第1の移相手段で移相された信号と前記各受信アンテナで受信した信号とを合成する複数の合成手段と、
前記各合成手段で合成された合成信号を、前記交流信号発生源の信号で位相検波する複数の位相検波手段と、を備える
ことを特徴とする近接センサ。
【請求項3】
互いに周波数の異なる複数の交流信号発生源と、
前記各交流信号発生源の信号に基づいてそれぞれ電波を送信する複数の送信アンテナと、
電波を受信する受信アンテナと、
前記各交流信号発生源からの信号を移相する複数の第1の移相手段と、
前記各第1の移相手段で移相された信号と前記受信アンテナで受信した信号とを合成する複数の合成手段と、
前記各合成手段で合成された合成信号を、前記各交流信号発生源の信号で位相検波する複数の位相検波手段と、を備える
ことを特徴とする近接センサ。
【請求項4】
前記第1の移相手段として、前記送信アンテナと前記合成手段とを接続する抵抗またはインダクタを備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の近接センサ。
【請求項5】
前記第1の移相手段として、前記送信アンテナと前記合成手段とを接続する抵抗及びインダクタを備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の近接センサ。
【請求項6】
前記第1の移相手段および前記受信アンテナによる移相量に応じて、前記交流信号発生源からの信号を移相する第2の移相手段を備え、
前記位相検波手段は、前記合成手段で合成された合成信号を、前記第2の移相手段で移相された信号で移相検波する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の近接センサ。
【請求項7】
前記位相検波手段は、2値化された前記合成信号を、2値かされた前記交流信号発生源の信号で位相検波する
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の近接センサ。
【請求項8】
前記受信アンテナと基準電位とを接続する抵抗を備える
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の近接センサ。
【請求項9】
前記受信アンテナと基準電位とを接続する抵抗及びインダクタを備える
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の近接センサ。
【請求項10】
前記受信アンテナで受信した信号を増幅する第1の増幅器と、
前記第1の移相手段で移相された信号を増幅する第2の増幅器と、を備え、
前記合成手段として、前記第1の増幅器と前記第2の増幅器とで増幅された信号を加算する加算器を備える
ことを特徴とする請求項8または9に記載の近接センサ。
【請求項11】
前記交流信号発生源と前記送信アンテナとの間に、
前記交流信号発生源の回路の電源を昇圧する昇圧手段と、
前記交流信号発生源の信号を、前記昇圧手段で昇圧された電源系で増幅する増幅手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の近接センサ。
【請求項12】
前記交流信号発生源と前記送信アンテナとの間に、分周器を備える
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の近接センサ。
【請求項13】
前記交流信号発生源から発する電波を遮蔽する遮蔽手段を備える
ことを特徴とする請求項12に記載の近接センサ。
【請求項14】
前記移相検波手段の後段に、対数増幅回路を備える
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の近接センサ。
【請求項15】
前記交流信号源、前記送信アンテナ、前記第1の移相手段、前記合成手段及び前記位相検波手段を奇数備え、
前記各位相検波手段の出力から、多数決処理により正しいを決定する判定手段を、更に備える
ことを特徴とする請求項3に記載の近接センサ。
【請求項16】
前記送信アンテナと前記受信アンテナのいずれか一方は棒状のアンテナであり、他方はリング状のアンテナである
ことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の近接センサ。
【請求項17】
前記リング状のアンテナは、同心円状の複数のリングが接合された形状を備える
ことを特徴とする請求項16に記載の近接センサ。
【請求項18】
前記リング状のアンテナは、複数回巻かれたコイル状の形状を備える
ことを特徴とする請求項16に記載の近接センサ。
【請求項19】
前記棒状アンテナの先端部は、複数回巻かれたコイル状の形状を備える
ことを特徴とする請求項16から18のいずれか一項に記載の近接センサ。
【請求項20】
透明基板を備え、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとは、前記透明基板上に透明電極で形成された
ことを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の近接センサ。
【請求項21】
前記送信アンテナと前記受信アンテナは、互いに同心円のリング状に形成された
ことを特徴とする請求項20に記載の近接センサ。
【請求項22】
前記送信アンテナと前記受信アンテナは、互いに同心円の円弧状に形成された
ことを特徴とする請求項20に記載の近接センサ。
【請求項23】
前記透明基板は矩形状であり、
前記送信アンテナと前記受信アンテナは、前記透明電基板の角部に、2つの辺に跨って1/4の円弧状に形成された
ことを特徴とする請求項22に記載の近接センサ。
【請求項24】
前記透明基板は矩形状であり、
前記送信アンテナと前記受信アンテナは、前記透明基板の辺部に、1/2の円弧状に形成された
ことを特徴とする請求項22に記載の近接センサ。
【請求項25】
前記送信アンテナと前記受信アンテナの少なくとも一方が、二重以上のパターンで形成された
ことを特徴する請求項21から24のいずれか1項に記載の近接センサ。
【請求項26】
前記送信アンテナはリング状のアンテナであり、
前記送信アンテナの内側に互いに離れて配置された
ことを特徴とする請求項2に記載の近接センサ。
【請求項27】
前記受信アンテナはリング状のアンテナであり、
前記各送信アンテナは、前記受信アンテナの内側に互いに離れて配置された
ことを特徴とする請求項3に記載の近接センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2012−88293(P2012−88293A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264721(P2010−264721)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(000166948)シチズンファインテックミヨタ株式会社 (438)
【Fターム(参考)】