説明

近赤外光発光化合物およびその発光法

【課題】
光透過性に優れた近赤外光の発光を誘導する発光化学化合物を見出し、その発光化合物を用いたスーパーオキシドアニオンの高感度分析方法を提供すること。
【解決手段】
イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類とインドシアニン類が共有結合した近赤外光を発する発光化合物を製造する。この化合物をスーパーオキシドアニオン発光分析用試薬の有効成分として用い、スーパーオキシドアニオンを近赤外光として検出することによって上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物、その製造法およびその化学発光法に関する。さらに詳しくは、インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物は、インドシアニン化合物とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物が共有結合してなる化合物であり、その製造法に関する。インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物は、これまでには無い近赤外光の化学発光を誘導することができる化合物である。例えば、スーパーオキシドアニオンの化学発光分析用試薬として利用することができる。さらに、本発明はスーパーオキシドアニオンの分析方法に関する。本発明の化学発光分析用試薬は、スーパーオキシドアニオンとの反応により近赤外光の化学発光を誘導し、例えば、生体内外のスーパーオキシドアニオンを近赤外光シグナルとして検出することによる疾病の診断あるいは疾患の研究に寄与するものとして使用できる。
【背景技術】
【0002】
これまでイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類は、種々合成されており、それらは、化学発光試薬として有用であることが知られている。これらのイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類の中でCLA、MCLA、FCLA、Red-CLA、Green Chemiluminescent CD、EMPEC等は、スーパーオキシドアニオンの化学発光分析試薬としても用いられ、市販されている。しかし、これらの化学発光試薬から誘導される発光は、水溶液中、CLA、MCLAおよびEMPECは青色であり、FCLAおよびGreen Chemiluminescent CDは緑色であり、Red-CLAは紅色の光である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記発光試薬には、被検体中の夾雑物による消光や被検体からの光透過性が低いという欠点があった。さらに、上記発光試薬には、発光波長が重なる欠点があり、分析の多様化のためには、(1)長波長領域での発光が可能で、(2)他の発光試薬の発光波長との重なりが無い化学発光試薬が望まれている。
【0004】
このような観点から、特に近赤外光は生体からの透過性が優れており、また、これまでの化学発光試薬の発光波長との重なりが無いか、あるいは少ないという利点があるので、近赤外光を放つ化学発光試薬が望まれている。しかしながら、近赤外光を発する化学発光化合物は知られていなかった。
【0005】
本発明は、近赤外光の発光が可能な化学発光化合物およびその製造法を提供し、さらには、被検体からの透過性を高め、高い発光強度を示し、かつ高い検出感度を有するスーパーオキシドアニオンの化学発光分析用試薬および化学発光法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わる化合物は、
<1>次式で示されるインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物である。
【化6】


(式中のR1は水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基または複素環であり、R2は、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基または複素環であり、R3は、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基または複素環であり、R4は、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基または複素環であり、R1、R2、R3、R4のいずれかにインドシアニン類(化7)が共有結合している。)
【化7】


(式中のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21は水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、スルホニル基、スルホン酸基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基または複素環であり、それらの置換基、例えばカルボン酸、スルホン酸などの置換基において水素イオンが解離できる場合は、その水素イオンの代わりにナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなどの金属イオンが置換していてもよい。)
【0007】
<2>次に、次式で示されるスルホインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物である。
【化8】


(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属であり、k、l、m、nは、1以上10以下の整数である。)
【0008】
<3>次に、次式で示されるスルホインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物である。
【化9】


(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【0009】
<4>次に、インドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の製造の前駆体であって、次式で示されるカルボン酸誘導体である。
【化10】


(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【0010】
<5>本発明に係わるインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなる化合物の合成法は、前記の化学式(化10)で表わされるカルボン酸誘導体とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物とを反応させることを特徴とする。
【0011】
<6>次に、上述のインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を有効成分として含有することを特徴とする化学発光試薬である。
【0012】
<7>さらに、本発明は、上述のスーパーオキシドアニオン分析試薬を検体溶液と接触させた後、発光強度を測定することを特徴とするスーパーオキシドアニオンの分析方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、近赤外光を発するインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物、その製造法が提供されることにより、近赤外光を発するスーパーオキシドアニオン分析用試薬として使用することができ、さらにはスーパーオキシドアニオンの化学発光分析が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の近赤外光の発光を誘導する発光化合物は、少なくとも、インドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を含有することを特徴とするものである。この時、インドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類は、直接共有結合しているもののみならず、適当なスペーサー分子鎖を介して共有結合しているものであってもよい。
【0015】
具体的には、本発明のスーパーオキシドアニオン分析用試薬に用いられるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物としては、前記の化学式(化9)のものが好ましく例示される。
【0016】
本発明におけるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物は、以上のとおりのものであり、その合成法は、前記の化学式(化10)とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を溶液中において反応させることにより成し遂げられる。
【0017】
すなわち前記の化学式(化9)に示される化合物の合成法には、以下の例を挙げることができる。工程1では、例えば非特許文献1に記載の方法により合成する次式(化11)で示される2-[6-acethlphenylamino]1,3,5-hexatrienyl]-3,3-dimethyl-5-sulfo-1-(4-sulfobutyl)3-H-indoliumと
【化11】


例えば特許文献1に記載の方法により合成する1-(2-carboxyethyk)-2,3,3-trimethyl-5-sulfo3H-indoliumとを縮合させ、前記の化学式(化10)で示される新規なインドシアニン化合物1-(2-carboxyethyl)-2-[7-[1,3-dihydro-3,3-dimethyl-5-sulfo-1-(4-sulfobutyl)-2H-indol-2-ylidene]-1,3,5-heptatrienyl]-3,3-dimethyl-3H-Indoliumを得る。
【0018】
【特許文献1】特開H08−259826号広報
【非特許文献1】”Novel near-infrared cyaninefluorochromes: synthesis, properties, and bioconjugation”, Y. Lin, R.Weissleder, C-H. Tung, Bioconjugate. Chem. 13, 605-609 (2002).
【0019】
工程2は、工程1で得られるインドシアニン化合物(化10)と次式(化12)で示されるイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を化学結合し、目的の新規インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物(化9)を得るものである。
【化12】

【0020】
以上の工程1および工程2を次式(化13)に示す。
【化13】

【0021】
さらに本発明のスーパーオキシドアニオンの発光分析用試薬は、インドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を有効成分として含有することを特徴とする発光試薬である。
【0022】
さらに、本発明のスーパーオキシドアニオン分析用試薬は、以上のとおりのインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を有効成分とするものであれば、その他の物質、例えば、溶剤、緩衝剤、安定剤、界面活性剤等を含有してもよい。
【0023】
そして本発明は、スーパーオキシドアニオンを検出する方法をも提供する。すなわち、本発明のスーパーオキシドアニオンの分析方法では、前記のスーパーオキシドアニオン分析用試薬を検体溶液に添加、混合するなどして接触させ、インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物によって発せられる光の強度を測定することによりスーパーオキシドアニオンを簡便に分析することが可能となるのである。
【0024】
この時、添加するスーパーオキシドアニオン分析試薬の量等の分析条件は特に限定されない。具体的には、スーパーオキシドアニオン分析試薬の濃度は、分析系に影響を与えない程度であればよい。また、スーパーオキシドアニオンの分析は、被検体に影響を与えない温度範囲で行なえばよい。例えば、一般に生体を被検体とし、水溶液中で分析を行なう場合には、約10℃〜40℃の温度範囲が好ましい。
【0025】
さらに本発明のインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物によって発せられる光の発光波長は、最大波長約785nm〜800nmであるため他成分による消光は少なく被検体からの透過性がよい。
【0026】
本発明において、「アルキル基」とは、置換基を有していてもよい炭素数1個〜20個の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基をいい、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコサニルなどの直鎖の基または、分岐状に結合した基をいう。
【0027】
本発明において、「アルコキシル基」とは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、メチキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシエトキシ、エトキシプロポキシ、メトキシエトキシエトキシ基などの炭素数1個〜20個のアルコキシル基が直鎖上にまたは分岐状に結合したものなどを挙げることができる。
【0028】
本発明において、「アリール基」とは、フェニル、ナフチルなどの炭素数6〜20個の芳香族炭化水素を挙げることができる。
【0029】
本発明において、「複素環」とは、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、トリアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンなどを挙げることができる。
【0030】
本発明において、「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などを挙げることができる。
【0031】
本発明において、「インドシアニン類」とは、近赤外蛍光を発するインドシアニン化合物をいう。
【実施例】
【0032】
以下に本発明の好適な一実施の形態を実施例によって具体的に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の実施形態によって限定されるものでなく、本発明の範囲で様々に改変して実施することができる。
【0033】
<実施例1:前記の化学式(化10)で示される化合物1-(2-carboxyethyl)-2-[7-[1,3-dihydro-3,3-dimethyl-5-sulfo-1-(4-sulfobutyl)-2H-indol-2-ylidene]-1,3,5-heptatrienyl]-3,3-dimethyl-3H-Indoliumの合成>2-[6-acethlphenylamino]1,3,5-hexatrienyl]-3,3-dimethyl-5-sulfo-1-(4-sulfobutyl)3-H-indolium(0.3g)と1-(2-carboxyethyk)-2,3,3-trimethyl-5-sulfo3H-indolium(0.16g)とをPyridine(3mL)およびN,N-dimethylformamide(3mL)の混合液中、室温で30分間攪拌した。反応液にアセトン(80mL)を加え、1-(2-carboxyethyl)-2-[7-[1,3-dihydro-3,3-dimethyl-5-sulfo-1-(4-sulfobutyl)-2H-indol-2-ylidene]-1,3,5-heptatrienyl]-3,3-dimethyl-3H-Indolium を析出させ、ろ過し目的物(0.44g)の固体を得た。以下に目的物の機器分析データを示す。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6, 26℃)・1.62 (6H, s),
1.65 (6H, s), 1.77 (4H, br.s), 2.53 (2H, t, J = 7.3 Hz), 2.67 (2H, t, J
= 7.3 Hz), 4.12 (2H, t, J = 7.3 Hz), 4.24 (2H, t, J = 7.3 Hz),
6.30 (1H, d, J = 12.8 Hz), 6.5-6.62 (3H, m), 7.22 (1H, d, J = 8.6
Hz), 7.41 (1H, d, J = 8.6 Hz), 7.60 (1H, dd, J = 1.3, 8.6 Hz),
7.65 (1H, dd, J = 1.3, 8.6 Hz), 7.69 (1H, d, J = 1.3 Hz), 7.75
(1H, d, J = 1.3 Hz), 7.75 (1H, t, J = 12.8 Hz), 7.82 (1H, t, J
= 12.8 Hz), 7.95 (1H, t, J = 12.8 Hz). 13C NMR (125.65 MHz, DMSO-d6,
26℃)・22.33, 26.06, 27.00,
27.26, 31.42, 39.50, 43.88, 48.19, 49.01, 50.61, 103.31, 105.34, 109.58,
110.75, 119.62, 119.75, 125.77, 126.00, 126.10, 126.20, 139.89, 140.69, 141.94,
142,11, 144.36, 145.43, 150.02, 152.29, 156.25, 169.88, 171.98, 173.07. LC/MS (ESI, positive mode): m/z: calcd for C34H40N2O11S3
748.18, found: 748.97 [M+1]+.
【0034】
<実施例2:前記の化学式(化9)で示される化合物4-(2-((1E,3E,5E,7E)-7-(1-(3-(2-(3-(6-(4-methoxyphenyl)-3-oxo-3,7-dihydroimidazo[1,2-a]pyrazin-2-yl)propanamido)ethylamino)-3-oxopropyl)-3,3-dimethyl-5-sulfoindolin-2-ylidene)hepta-1,3,5-trienyl)-3,3-dimethyl-5-sulfo-3H-indolium-1-yl)butane-1-sulfonateの合成>
1-(2-carboxyethyl)-2-[7-[1,3-dihydro-3,3-dimethyl-5-sulfo-1-(4-sulfobutyl)-2H-indol-2-ylidene]-1,3,5-heptatrienyl]-3,3-dimethyl-3H-Indolium(0.036mg)、N-(2-aminoethyl)-3-(6-(4-methoxyphenyl)-3-oxo-3,7-dihydroimidazo[1,2-a]pyrazin-2-yl)propanamide(0.020g)、DMAP(0.006g)、WSC(0.043g)、Pyridine(0.7mL)、N,N-dimethylformamide(0.7mL)の混合物を、室温で3時間攪拌した。反応液にアセトン(10mL)を加え、析出物をろ過し、得られた固体をシリカゲルクロマトグラフィーに供し、目的物をメタノールと塩化メチレンの混液で溶出し、目的物(0.018g)を得た。以下に目的物の機器分析データを示す。
1H NMR (500 MHz, D2O, 27℃, Aceton: 2.11 ppm) ・1.34 (6H, s), 1.47 (6H, s), 1.67 (4H, m), 2.45 (2H, t, J =
8.6 Hz), 2.57 (2H, t, J = 6.7 Hz), 2.80 (4H, m), 3.11 (4H, m), 3.55 (3H,
s), 3.72 (2H, br.t), 4.09 (2H, t, J = 6.7 Hz), 5.87 (1H, d, J =
14.0 Hz), 5.92 (1H, d, J = 13.4 Hz), 5.99 (1H, t, J = 13.4 Hz),
6.08 (1H, t, J = 12.8 Hz), 6.65 (2H, d, J = 8.5 Hz), 7.05 (1H, d,
J = 8.5 Hz), 7.08 (1H, d, J = 8.5 Hz), 7.10 (1H, m), 7.21 (2H, d,
J = 8.5 Hz), 7.42 (1H, br.s), 7.47 (1H, t, J = 13.4 Hz), 7.58
(1H, t, J = 12.8 Hz), 7.60 (1H, dd, J = 1.2, 8.5 Hz), 7.65 (1H,
d, J = 1.2 Hz), 7.66 (1H, dd, J = 1.2, 8.5 Hz), 7.67 (1H, d, J
= 1.2 Hz), 7.78 (1H, br.s). LC/MS (ESI, positive mode): m/z: calcd for C52H59N7O13S3
1085.33, found: 1086.08 [M+1]+.
【0035】
<実施例3:発光スペクトルの測定>
KCl(0.2M)、EDTA(0.1mM)、3-モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)(20mM)を含む緩衝水溶液(pH7.2、0.5mL)に25℃で、ヒポキサンチン水溶液(0.3mM、0.5mL)、インドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物(前記の化学式(化8)および(化9))水溶液(2.5×10−5M、40μL)およびキサンチンオキシダーゼ水溶液(0.37unit/mL、40μL)を加え、ルミフルスペクトロキャプチャー(アトー社製)を用いて発光スペクトルを測定した。発光スペクトルは最大発光波長約785nm〜800nmを示した。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】前記の化学式(化9)で示される化合物のヒポキサンチン−キサンチンオキシダーゼ系におけるスーパーオキサイドとの反応による化学発光スペクトル(スパイク状のピークはノイズ。感度補正は行なっていない)。前記の化学式(化9)の濃度は1μM。キサンチンオキシダーゼ濃度は0.015unit/mL。
【図2】ヒポキサンチン−キサンチンオキシダーゼ系におけるスーパーオキサイドと前記の化学式(化9)で示される化合物の反応におけるキサンチンオキシダーゼ濃度と発光強度(785nm)の相関。前記の化学式(化9)の濃度は1μM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式で示されるインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物。
【化1】


(式中のR1は水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基または複素環であり、R2は、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基または複素環であり、R3は、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基または複素環であり、R4は、水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基または複素環であり、R1、R2、R3、R4のいずれかにインドシアニン類(化2)が共有結合している。)
【化2】


(式中のR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21は水素原子、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシル基、カルボキシル基、ホルミル基、スルホニル基、スルホン酸基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基または複素環であり、それらの置換基、例えばカルボン酸、スルホン酸などの置換基において水素イオンが解離できる場合は、その水素イオンの代わりにナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンなどの金属イオンが置換していてもよい。)
【請求項2】
次式で示されるスルホインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物。
【化3】


(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属であり、k、l、m、nは、1以上10以下の整数である。)
【請求項3】
次式で示されるスルホインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるスルホインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物。
【化4】


(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【請求項4】
請求項3に記載のインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物の前駆体であって、次式で示されるカルボン酸誘導体。
【化5】


(式中のMは、HあるいはNa、K、Mg、Caなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属である。)
【請求項5】
請求項4に記載のカルボン酸誘導体を溶媒中でイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物と反応させることによって請求項3に記載の化合物を製造する方法。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1つに記載のインドシアニン類とイミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン類が共有結合してなるインドシアニン結合型イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン化合物を有効成分とすることを特徴とするスーパーオキシドアニオン発光分析用試薬。
【請求項7】
請求項6に記載のスーパーオキシドアニオン発光分析用試薬を検体溶液と接触させた後、発光強度を測定することを特徴とするスーパーオキシドアニオンの分析方法。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−215174(P2009−215174A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57476(P2008−57476)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(304026696)国立大学法人三重大学 (270)
【Fターム(参考)】