説明

近赤外吸収膜組成物

【課題】近赤外吸収膜組成物を提供する。
【解決手段】(i)1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素、(ii)1種または複数種の架橋性ポリマー、および(iii)1種または複数種のキャスト溶媒を含む、硬化性組成物を提供する。本発明はさらに、硬化性組成物の架橋形態からなる固体の近赤外吸収膜も対象とする。本発明はさらに、固体の近赤外吸収膜のコーティングを含むマイクロエレクトロニクス基板、および近赤外吸収膜がマイクロエレクトロニクス基板とフォトレジスト膜との間にある場合に、マイクロエレクトロニクス基板上にコートされたフォトレジスト層をパターニングする方法も対象とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体を参照によって本明細書に援用する、2009年8月18日に出願された「近赤外吸収膜組成物(NEAR−INFRARED ABSORBING FILM COMPOSITIONS)」を発明の名称とする米国特許出願第12/542,970号の利益を主張するものである。
【0002】
背景
本発明は一般に、半導体集積ウエハをパターニングする際のZレベルの補正方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体チップ製造中の集積シリコン・ウエハのアライメントおよびパターニングでは、下層の複雑なトポグラフィ上で感光層(フォトレジスト)の塗布、検知および描画を行う。こうした埋め込みトポグラフィは通常、金属材料、誘電性材料、絶縁材料またはセラミック材料、およびこれらの組み合わせを含む多層スタックからなり、これらの材料がパターニングされ、チップに垂直および面内の機能性を与える。こうした多層スタック上のフォトレジストのパターニングには、感光性層上の焦点面位置を適切に判定するため、ウエハのプリアライメントおよび表面の平坦度の検知が必要とされる。このため、広帯域の赤外線源と光センサとを併用して、フォトレジスト表面の焦点位置を判定する。下層のトポグラフィが、パターニングされた反射構造からなる場合、こうした埋め込み微細構造からの反射が、焦点面の判定を誤らせる恐れがある。さらに、パターニングされた金属性材料(たとえば、銅、アルミニウム、およびタングステンなどの金属)を下層が含む場合、望ましくない反射ノッチングまたは正反射が、高さレベルの不正確な測定を助長することもある。こうして焦点の測定を誤ると、描画がぼやけ、コントラストが不十分になり、描画のプリントが不完全なものになる。
【0004】
提案されているZレベルの補正法には、下層のトポグラフィの上に金属層などの高反射性コーティングを使用すること、あるいは、高さ方向の感度が高いアライメント装置を使用することが含まれる。この第1の場合には、金属層は、機能的な三次元構造の製造の時点で集積化の問題を起こし、したがって、一般に有効な解決策ではない。第2の場合として、たとえば、AGILEまたはオフラインでの校正法(FEM+「フォーカス・マッパ」で、基板別に光学的レベリング系の校正を行う。しかしながら、このアプローチには、あらゆるウエハで実施するには遅すぎるのが一般的であるうえ、ロット内(ウエハ全体、およびウエハ間)の基板の変化に対応しないなど、いくつかの欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、当該技術分野では、一般に利用しやすくて、正確かつ容易にマイクロエレクトロニクス製造プロセスと統合でき、上述の欠点を持たないZレベル補正法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は全般的に、近IR領域のフォーカス・レベリング・センサの信号を一部または全部カバーする吸収域を有する1種または複数種の発色団(すなわち、色素)を含む近赤外(NIR:near−infrared)吸収膜形態の平坦化層の使用に関する。こうした層は、多層スタックに塗布すると、吸収により広帯域のNIR線を遮断し、それによりフォーカス・レベリング・センサで検出される多層スタック内の任意の深さにある下層のトポグラフィの特徴を抑制することによって機能する。ウエハの上面のみを検知することにより、結像面内にフォトレジスト層を正確に配置することができる。
【0007】
第1の態様では、本発明は、(i)1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素、(ii)1種または複数種の架橋性ポリマー、および(iii)1種または複数種のキャスト溶媒を含む硬化性液体組成物を対象とする。
【0008】
第2の態様では、本発明は、(i)1つまたは複数の架橋基を有する1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素、および(ii)1種または複数種のキャスト溶媒を含む硬化性液体組成物を対象とする。
【0009】
第3の態様では、本発明は、上述の硬化性液体組成物のいずれかの架橋形態である固体の近赤外吸収膜を対象とする。一実施形態では、近赤外吸収膜は、1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素、および1種または複数種の架橋ポリマーを含む。別の実施形態では、近赤外吸収膜は、ポリメチン色素上の1つまたは複数の架橋基により架橋された1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素を含む。
【0010】
第4の態様では、本発明は、(a)マイクロエレクトロニクス基板、(b)マイクロエレクトロニクス基板を被覆する上述のような固体の近赤外吸収膜、および(c)近赤外吸収膜を被覆するフォトレジスト膜を含む、マイクロエレクトロニクス構造体を対象とする。
【0011】
第5の態様では、本発明は、マイクロエレクトロニクス基板上にコーティングされたフォトレジスト層をパターニングする方法を対象とする。本方法は好ましくは、(i)マイクロエレクトロニクス基板を用意すること、(ii)マイクロエレクトロニクス基板を被覆する上述のような固体の近赤外吸収膜を形成すること、(iii)近赤外吸収層上にフォトレジスト層を形成すること、(iv)近赤外吸収層およびフォトレジスト層を含むマイクロエレクトロニクス基板から反射する近赤外光を検知することにより、フォトレジスト層の焦点面位置をアライメントしてフォーカス制御すること、および(v)フォトレジスト層を露光ビームに曝して、フォトレジスト層をパターニングすることを含む。
【0012】
この問題に対する現在知られている解決策と異なり、本発明は、機械の型式および数に関係なく使用することができ、先行投資がほとんどない。さらに、本発明は、処理量を低下させるものではなく、管理に手間がかからないうえ、二次的な計測にも応用できる(RIE制御、欠陥検出、等)。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の近IR吸収層の光学的特性を示すグラフを示す。
【図2】本発明の近IR吸収層の透過率特性を示すグラフを示す。
【図3】図3aは、従来の多層描画スタックの場合のチップ全体のレベリング・センサ信号を示す。図3bは、NIR吸収下層を含む多層描画スタックの場合のチップ全体のレベリング・センサ信号を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用する「炭化水素基」という用語は、第1の実施形態では、炭素および水素のみからなる化学基をいう。異なる実施形態では、1つまたは複数の炭化水素基は、正確に、または最低でも、または最大でも、たとえば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、もしくは18個の炭素原子を含んでもよいし、あるいは前述の炭素数のいずれかの間の特定の範囲の炭素原子を含んでもよい。
【0015】
炭化水素基は、たとえば、飽和直鎖基(すなわち、直鎖アルキル基)であってもよい。直鎖アルキル基の一部の例として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、およびn−オクタデシル基が挙げられる。
【0016】
あるいは、炭化水素基は、飽和分岐基(すなわち、分岐アルキル基)であってもよい。分岐アルキル基の一部の例として、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、およびC、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、およびC18の多くの飽和分岐炭化水素基が挙げられる。
【0017】
あるいは、炭化水素基は、飽和環式基(すなわち、シクロアルキル基)であってもよい。シクロアルキル基の一部の例として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、およびシクロオクチル基が挙げられる。シクロアルキル基はまた、2つの環基の間に結合を有する多環式(たとえば、二環式)基(たとえば、ジシクロヘキシル)であっても、あるいは、共有する(すなわち、縮合された)辺を有する多環式(たとえば、二環式)基(たとえば、デカリンおよびノルボルナン)であってもよい。
【0018】
あるいは、炭化水素基は、不飽和直鎖基(すなわち、直鎖オレフィン基またはアルケニル基)であってもよい。直鎖オレフィン基の一部の例として、ビニル、2−プロペン−1−イル、3−ブテン−1−イル、2−ブテン−1−イル、ブタジエニル、4−ペンテン−1−イル、3−ペンテン−1−イル、2−ペンテン−1−イル、2,4−ペンタジエン−1−イル、5−ヘキセン−1−イル、4−ヘキセン−1−イル、3−ヘキセン−1−イル、3,5−ヘキサジエン−1−イル、1,3,5−ヘキサトリエン−1−イル、6−ヘプテン−1−イル、エチニル、プロパルギル(2−プロピニル)、およびC、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、およびC18の多くの不飽和の直鎖炭化水素基が挙げられる。
【0019】
あるいは、炭化水素基は、不飽和分岐基(すなわち、分岐オレフィン基またはアルケニル基)であってもよい。分岐オレフィン基の一部の例として、2−プロペン−2−イル、3−ブテン−2−イル、3−ブテン−3−イル、4−ペンテン−2−イル、4−ペンテン−3−イル、3−ペンテン−2−イル、3−ペンテン−3−イル、2,4−ペンタジエン−3−イル、およびC、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、およびC18の多くの不飽和分岐炭化水素基が挙げられる。
【0020】
あるいは、炭化水素基は、不飽和環式基(すなわち、シクロアルケニル基またはシクロアルケニレンリンカー)であってもよい。不飽和および環状炭化水素基の一部の例として、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、フェニル基、ベンジル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタジエニル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、およびシクロオクタテトラエニル基が挙げられる。不飽和環状炭化水素基はまた、2つの環基の間に結合を有する多環式(たとえば、二環式または三環式)基(たとえば、ビフェニル)であっても、あるいは、共有する(すなわち、縮合された)辺を有する多環式(たとえば、二環式または三環式)基(たとえば、ナフタレン、アントラセン、およびフェナントレン)であってもよい。
【0021】
炭化水素基は、1個または複数個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子、またはハライド原子など1個または複数個のヘテロ原子をさらに含んでもよい。異なる実施形態では、炭化水素基は、1個または複数個の窒素原子のみを含み、他のヘテロ原子を含まなくてもよいし、あるいは、1個または複数個の酸素原子のみを含み、他のヘテロ原子を含まなくてもよいし、あるいは、硫黄原子のみを含み、他のヘテロ原子を含まなくてもよいし、あるいは、窒素および酸素のみを含み、硫黄を含まなくてもよいし、あるいは、窒素および硫黄のみを含み、酸素を含まなくてもよいし、あるいは、酸素および硫黄のみを含み、窒素を含まなくてもよい。酸素含有基の一部の特定の例として、式−XRの基が挙げられ、式中、XはOまたはSであり、Rは水素原子、あるいは、上記のような、または、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む、炭化水素基である。他の酸素含有基は、カルボニル基(たとえば、ケトン官能基、アルデヒド官能基、エステル官能基、アミド官能基、または尿素官能基)を含む。−XR基はまた、ポリエチレンオキシド基などのポリアルキレンオキシド基であってもよい。窒素含有基の一部の特定の例として、式−NR10の基が挙げられ、式中、RおよびR10は、各々独立に水素原子、あるいは、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む炭化水素基である。さらに、窒素含有基は、第一級アミン基でも、第二級アミン基でも、第三級アミン基でも、または第四級アミン基でもよい。他の一部の窒素含有基は、シアン化物、アミド(すなわち、−C(O)NR、式中、Rは水素原子および炭化水素基から選択される)、ニトロ基、尿素基、およびカルバマート基を含んでもよく、この場合、第四級アミン基は必ず正電荷を有し、対アニオンを必要とすることが理解されよう。硫黄含有基の一部の例として、チオエーテル(すなわち、スルフィド)基、ジスルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホネート基、およびスルフェート基が挙げられる。本明細書で検討されるハライド原子は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。フッ素含有炭化水素基(すなわち、フルオロカーボン基)の一部の例として、部分置換された変異体(たとえば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、および同種のもの)、およびペルフルオロ置換された変異体(たとえば、ペルフルオロメチル、ペルフルオロエチル、ペルフルオロプロピル、ペルフルオロブチル、および同種のもの)が挙げられる。
【0022】
炭化水素基は、1個または複数個(たとえば、1個、2個、3個、または4個)の環窒素原子を含む環構造(たとえば、単環式環系または多環式環系)をさらに含んでもよい。窒素を含む環は、たとえば、飽和単環式でも、飽和多環式でも、不飽和単環式でも、または不飽和多環式でもよい。一実施形態では、窒素を含む環基または環系は、酸素原子または硫黄原子などの他の環ヘテロ原子をさらに含んでもよい。別の実施形態では、窒素を含む環基または環系は、他の環ヘテロ原子を含まない。窒素を含む飽和単環式環基の一部の例として、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、およびモルホリン基が挙げられる。窒素を含む不飽和単環式環基の一部の例として、ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基、ピリジン基、ピラジン基、1,3,5−トリアジン基、ピリミジン基、オキサゾール基、チアゾール基、およびチアジン基が挙げられる。窒素を含む飽和多環式環系の一部の例として、デカヒドロキノリン基およびデカヒドロ−1,8−ナフチリジン基が挙げられる。窒素を含む不飽和多環式環系の一部の例として、インドール基、プリン基、ベンゾイミダゾール基、4,4’−ビピリジン基、2,2’−ビピリジン基、1,8−ナフチリジン基、キノリン基、キナゾリン基、フェナジン基、ベンゾキサゾール基、ベンゾチアゾール基、2−フェニルピリジン基、2,6−ジフェニルピリジン基、およびベンゾチアジン基が挙げられる。
【0023】
炭化水素基は、1個または複数個(たとえば、1個、2個、3個、または4個)の環酸素原子を含む環構造をさらに含んでもよい。酸素を含む環は、たとえば、飽和単環式でも、飽和多環式でも、不飽和単環式でも、または不飽和多環式でもよい。一実施形態では、酸素を含む環基または環系は、窒素原子または硫黄原子などの他の環ヘテロ原子をさらに含んでもよい。別の実施形態では、酸素を含む環基または環系は、他の環ヘテロ原子を含まない。酸素を含む飽和単環式環基の一部の例として、テトラヒドロフラン基、テトラヒドロピラン基、1,4−ジオキサン基、1,3−ジオキサン基、1,3−ジオキソラン基、および1,4−オキサチアン基が挙げられる。酸素を含む不飽和単環式環基の一部の例として、フラン基、ピラン基、および1,4−ジオキシン基が挙げられる。酸素を含む飽和多環式環系の例として、オクタヒドロ−1−ベンゾピラン基が挙げられる。酸素を含む不飽和多環式環系の一部の例として、1−ベンゾピラン(クロメン)基、2−ベンゾピラン(イソクロメン)基、2−フェニルフラン基、2−フェニルピラン基、クマリン基、および1,4−ベンゾピロン(クロモン)基が挙げられる。
【0024】
炭化水素基は、1個または複数個(たとえば、1個、2個、3個、または4個)の環硫黄原子を含む環構造をさらに含んでもよい。硫黄を含む環は、たとえば、飽和単環式でも、飽和多環式でも、不飽和単環式でも、または不飽和多環式でもよい。一実施形態では、硫黄を含む環基または環系は、窒素原子または酸素原子などの他の環ヘテロ原子をさらに含んでもよい。別の実施形態では、硫黄を含む環基または環系は、他の環ヘテロ原子を含まない。硫黄を含む飽和単環式環基の一部の例として、テトラヒドロチオフラン基、テトラヒドロチオピラン基、1,4−ジチアン基、1,3−ジチアン基、1,2−ジチオラン基、および1,4−ジチオラン基が挙げられる。硫黄を含む不飽和単環式環基の一部の例として、チオフェン基、チオピラン基、および1,4−ジチイン基が挙げられる。硫黄を含む飽和多環式環系の例として、オクタヒドロ−1−ベンゾチオピラン基が挙げられる。硫黄を含む不飽和多環式環系の一部の例として、1−チオベンゾピラン(チオクロメン)基、2−ベンゾチオピラン(イソチオクロメン)基、2−フェニルチオフェン基、2−フェニルチオフラン基、2,6−ジフェニルチオピラン基、およびチオクマリン基が挙げられる。
【0025】
一態様では、本発明は、(i)1種または複数種の近赤外(NIR)吸収ポリメチン色素(すなわち、「色素」)、(ii)1種または複数種の架橋性ポリマー、および(iii)1種または複数種のキャスト溶媒を含む硬化性液体組成物を対象とする。別の態様では、本発明は、(i)1つまたは複数の架橋基を有する1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素、および(ii)1種または複数種のキャスト溶媒を含む硬化性液体組成物を対象とする。色素分子が架橋性基を1つ含むか、またはまったく含まない特定の場合には、液体組成物を硬化性にするため該組成物に1種または複数種の架橋性ポリマーを付加することが望ましい。色素分子が少なくとも2つの架橋性基を含む特定の場合には、必要に応じて架橋性ポリマーを加えてもよいが、色素分子間の架橋のみを所望する場合、架橋性ポリマーなしで済ませてもよい。
【0026】
1種または複数種の色素は、電磁放射線の近赤外波長を吸収するのであれば、どのようなポリメチン色素であってもよい。本明細書で検討されている近赤外波長は広く、500nm〜5,000nm以内の波長のいずれかを包含する。異なる実施形態では、色素は、最小で、たとえば、400nm、450nm、500nm、550nm、600nm、650nm、700nm、750nm、800nm、または850nmの波長、最大で、たとえば、700nm、750nm、800nm、850nm、900nm、950nm、1000nm、1050nm、1100nm、1150nm、1200nm、1250nm、1300nm、1400nm、1500nm、2000nm、2500nm、3000nm、3500nm、4000nm、4500nm、および5000nmの波長の間の範囲の近赤外波長を吸収する。本明細書では、前述の最小値および最大値のいずれかの組み合わせにより決定される任意の範囲が、適用可能である。さらに、色素は、好ましくは不活性であり、すなわち、光活性ではない。前述の例示的な吸収域は、単一の色素、またはあるいは、2種以上の色素(たとえば、2、3、または4種の色素)を使用することにより、達成することができる。
【0027】
本明細書で検討されているポリメチン色素のサブクラスは、シアニンである。シアニンはさらに、ストレプトシアニン(すなわち、開鎖シアニン)、ヘミシアニン(すなわち、半開鎖シアニン)、および閉鎖シアニンに分類することができる。
【0028】
好ましくは、本明細書で検討されるポリメチン色素は、下記の一般式の範囲内の式を持つ。
【0029】
【化1】

【0030】
上記式(1)の一実施形態では、R、または環状に相互に連結したRおよびRは、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、上述の単環式環系または多環式環系のいずれかを表す。同様に、独立に、R、または環状に相互に連結したRおよびRは、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、上述の単環式環系または多環式環系のいずれかを表す。ヘテロ原子を含む単環式環系または多環式環系がRもしくはRまたはその両方で表される場合、その環系または多環式環系は、その炭素原子またはヘテロ原子のいずれで表記のオレフィン結合に結合していてもよく、一方、RもしくはRまたはその両方はそれぞれ、上述の炭化水素基のいずれであってもよい。さらに、ヘテロ原子を含む単環式環系または多環式環系の窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子の1つまたは複数は、中和状態または正に荷電した状態のどちらでもよく、正に荷電した状態である場合、アニオンがポリメチン色素に結合している。
【0031】
式(1)の別の実施形態では、R、または環状に相互に連結したRおよびRは、1つまたは複数の非環式アミノ基で誘導体化された炭化水素基を表す。同様に、独立に、R、または環状に相互に連結したRおよびRは、1つまたは複数の非環式アミノ基で誘導体化された炭化水素基を表す。1つまたは複数の非環式アミノ基で誘導体化された炭化水素基の一部の例として、アニリン、N−メチルアニリン、N−イソプロピルアニリン、N−フェニルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、およびフェニレンジアミンが挙げられる。
【0032】
式(1)では、RおよびR(ならびに、RおよびRがそれぞれRおよびRと相互に連結していない場合のRおよびR)は各々独立に、(i)水素原子、または(ii)ハライド原子、または(iii)シアニド基、または(iv)ヒドロキシ基、または(v)少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、または6個の炭素原子を含む炭化水素基であって、炭化水素基は上記に定義したとおりであり、任意に窒素、酸素、硫黄、およびハライドから選択される1個または複数個のヘテロ原子を含んでもよい、炭化水素基、または(vi)式−XRで表される基であって、式中、XはOまたはSであり、Rは、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む上記に定義した炭化水素基である、式−XRで表される基、または(vii)式−NR10で表される基であって、式中、RおよびR10は各々独立に、水素原子、あるいは、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む上記に定義した炭化水素基である、式−NR10で表される基から選択される。さらに、R、R、R、およびRの任意の2つが炭化水素基である場合、それらは、相互に連結して5員または6員環を形成していてもよい。たとえば、RおよびR、またはRおよびRが、たとえば、エチル基(または、たとえば、メチル基およびn−プロピル基)である場合、RおよびR、またはRおよびRを連結することにより、RおよびR、またはRおよびRは一緒に6員の炭素環を表してもよい。
【0033】
式(1)の下付き文字nの値は、少なくとも1、典型的には最大16であり、nの値は、表記したように、対応する結合したオレフィン基の数を示す。異なる実施形態では、nの値は好ましくは、少なくとも1、2、3、4、5、または6、最大7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16であってもよいし、あるいは、前述の好ましい最小値と最大値とにより決定される任意の特定の範囲であってもよい。
【0034】
式(1)では、nの値が1を超える場合、RおよびRは異なるオレフィン単位で独立しており、すなわち、RおよびRは、異なるオレフィン単位間で同一であっても、あるいは異なっていてもよい。さらに、nの値が1を超える場合、その結果生じる、隣接するオレフィン結合上の複数のRおよびR基(便宜上、本明細書では、RおよびR’ペアまたはRおよびR’ペアといい、RおよびR’は、R基を持つ炭素原子により隔てられることが理解されよう)は、相互に連結して単環式環系または多環式環系を形成していてもよい。したがって、式(1)では、2つ以上(たとえば、2、3、または4)の環または環系が、連結されたRおよびR、または連結されたRおよびR’、または連結されたRおよびR’により構築される可能性がある。さらに、環または環系は、隣接(すなわち、隣接するオレフィン基を占有)していても、縮合して(たとえば、RおよびR’の連結がRおよびR’の連結と一体となって)いても、あるいは、1、2、3、またはそれ以上の非環式オレフィン基により隔てられていてもよい。
【0035】
式(1)の特定の実施形態では、色素は鎖間に環を含むが、式(1)の残りの部分は変わらない。こうした色素は、好ましくは、下記の式で表される。
【0036】
【化2】

【0037】
式(2)では、R基、R基、R基、およびR基は、式(1)について上記に定義したとおりであり、下付き文字rは、好ましくは1または2であり、それによりそれぞれ5員あるいは6員環となる。R基は、(i)水素原子でも、または(ii)ハライド原子でも、または(iii)シアニド基でも、または(iv)ヒドロキシ基でも、または(v)少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、または6個の炭素原子を含む炭化水素基であって、炭化水素基は上記に定義したとおりであり、任意に窒素、酸素、硫黄、およびハライドから選択される1個または複数個のヘテロ原子を含んでいてもよい、炭化水素基でも、または(vi)式−XRで表される基であって、式中、XはOまたはSであり、Rは、任意に酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む上記に定義した炭化水素基である、式−XRで表される基でも、または(vii)式−NR10で表される基であって、式中、RおよびR10は各々独立に水素原子、または任意に酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む上記に定義した炭化水素基である、式−NR10で表される基でもよい。
【0038】
式(1)の別の特定の実施形態では、色素は、鎖間に環を含まず、色素の各末端にヘテロ原子を含む単環式環系または多環式環系を含む。こうした色素は、好ましくは、下記の式で表される。
【0039】
【化3】

【0040】
上記の式(3)では、R、または環状に相互に連結したRおよびR11は、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、上述の単環式環系または多環式環系のいずれかを表す。同様に、独立に、R、または環状に相互に連結したRおよびR12は、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、上述の単環式環系または多環式環系のいずれかを表す。ヘテロ原子を含む単環式環系または多環式環系がRもしくはRまたはその両方で表される場合、その環系または多環式環系は、その炭素原子またはヘテロ原子のいずれで表記のオレフィン結合に結合していてもよい。さらに、RまたはRがヘテロ原子を含む単環式環系または多環式環系である場合、R11またはR12はそれぞれ、以下の群:(i)水素原子、または(ii)ハライド原子、または(iii)シアニド基、または(iv)ヒドロキシ基、または(v)少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、または6個の炭素原子を含む炭化水素基であって、炭化水素基は上記に定義したとおりであり、任意に窒素、酸素、硫黄、およびハライドから選択される1個または複数個のヘテロ原子を含んでいてもよい、炭化水素基、または(vi)式−XRで表される基であって、式中、XはOまたはSであり、Rは、任意に酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む上記に定義した炭化水素基である、式−XRで表される基、または(vii)式−NR10で表される基であって、式中、RおよびR10は各々独立に水素原子、または任意に酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む上記に定義した炭化水素基である、式−NR10で表される基のいずれであってもよい。またR、R、およびRは独立に、前述の群(i)〜(vii)のいずれであってもよい。さらに、R、R、およびRのいずれか2つが炭化水素基である場合、それらは、式(1)で上述したように相互に連結して5員または6員環を形成していてもよい。
【0041】
式(3)の下付き文字nおよびnの値は各々独立に、0である(すなわち、括弧内のオレフィン基は存在しない)か、または1、2、3、4、5、6、またはこれらの間の特定の範囲の値を表す。
【0042】
式(1)の別の特定の実施形態では、色素は、鎖間に環を含み、さらに色素の各末端にヘテロ原子を含む単環式環系または多環式環系を含む。こうした色素は、好ましくは、下記の式で表される。
【0043】
【化4】

【0044】
上記の式(4)では、R、または環状に相互に連結したRおよびR11は、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、上述の単環式環系または多環式環系のいずれかを表す。同様に、独立に、R、または環状に相互に連結したRおよびR12は、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、上述の単環式環系または多環式環系のいずれかを表す。ヘテロ原子を含む単環式環系または多環式環系がRもしくはRまたはその両方で表される場合、その環系または多環式環系は、その炭素原子またはヘテロ原子のいずれで表記のオレフィン結合に結合していてもよい。さらに、RまたはRがヘテロ原子を含む単環式環系または多環式環系である場合、R11またはR12はそれぞれ、以下の群:(i)水素原子、または(ii)ハライド原子、または(iii)シアニド基、または(iv)ヒドロキシ基、または(v)少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、または6個の炭素原子を含む炭化水素基であって、炭化水素基は上記に定義したとおりであり、任意に窒素、酸素、硫黄、およびハライドから選択される1個または複数個のヘテロ原子を含んでいてもよい、炭化水素基、または(vi)式−XRで表される基であって、式中、XはOまたはSであり、Rは、任意に酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む上記に定義した炭化水素基である、式−XRで表される基、または(vii)式−NR10表される基であって、式中、RおよびR10は各々独立に水素原子、または任意に酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む上記に定義した炭化水素基である、式−NR10で表される基のいずれであってもよい。またRは独立に、前述の群(i)〜(vii)のいずれであってもよい。下付き文字r、n、およびnは、上記に定義したとおりである。
【0045】
式(1)の別の実施形態では、色素は、下記の一般式の範囲内の式を持っていてもよい。
【0046】
【化5】

【0047】
式(5)では、R、R、r、n、およびnは、上記に定義したとおりである。
【0048】
他の特定の実施形態では、式(1)の色素は、下記の一般式のいずれかの範囲内の化学式を持つ。
【0049】
【化6】

【0050】
【化7】

【0051】
上記の一般式6〜13では、YおよびYは、好ましくは独立にヘテロ原子N、O、もしくはS、またはCR基から選択され、式中、Rは、好ましくは独立に水素原子、または1〜4個の炭素原子の炭化水素基(たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ビニル、および同種のもの)である。CR基の一部の特定の例として、−CH−基、−CH(CH)−基、および−C(CH−基が挙げられる。
【0052】
式6〜13では、Z、およびR15〜R20は、好ましくは独立に(i)水素原子、または(ii)ハライド原子、または(iii)シアニド基、または(iv)ヒドロキシ基、または(v)少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、または6個の炭素原子を含む炭化水素基であって、炭化水素基は上記に定義したとおりであり、任意に窒素、酸素、硫黄、およびハライドから選択される1個または複数個のヘテロ原子を含んでいてもよい、炭化水素基、または(vi)式−XRで表される基であって、式中、XはOまたはSであり、Rは、任意に酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む上記に定義した炭化水素基である、式−XRで表される基、または(vii)式−NR10で表される基であって、式中、RおよびR10は各々独立に水素原子、または任意に酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む上記に定義した炭化水素基である、式−NR10で表される基から選択される。またR、R、およびRは独立に、前述の群(i)〜(vii)のいずれであってもよい。特に好ましい実施形態では、Zは、水素原子、1〜7個(一層好ましくは、1〜6個、1〜5個、または1〜4個)の炭素原子を含む炭化水素基(たとえば、メチル、エチル、ビニル、n−プロピル、アリル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、フェニル、ベンジル、トリル)、−S−Ph、−S−Ph−CH、−S−Ph−NH、−O−Ph、−O−PhCH、−O−PhNH、−N(Ph)、および−N(CHから選択され、式中、Phはフェニル(またはフェニレン)基を示す。
【0053】
13およびR14は、上述の炭化水素基のいずれであってもよく、一層好ましくは最大12個の炭素原子の炭化水素基、一層好ましくは、飽和炭化水素基(特に直鎖または分岐のアルキル基、たとえば、n−ブチルまたはイソブチルなどの1〜8個の炭素原子のアルキル基)のいずれであってもよい。R13基およびR14基は任意に、上記のような1個または複数個のヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で誘導体化されていてもよい。好ましい実施形態では、R13基およびR14基の一方または両方は、式−ORの1つまたは複数(たとえば、1つ、2つ、3つ、または4つ)のヒドロキシ基またはアルコキシ基で誘導体化されており、式中、Rは上記で定義されている。さらに、−OR基の少なくとも1つがR13基またはR14基の末端にあると好ましい(たとえば、−(CHOR、式中、nは1〜12である)。
【0054】
アニオンAは、当該技術分野において公知のアニオンのいずれであってもよい。特に好ましい一部の例として、SbF、I、ClO、CHSO、CSO、CSO、N(SOCF、N(SO、N(SO、N(SO、およびC(SOCFが挙げられる。
【0055】
式(6)の特に好ましい実施形態では、YおよびYは−C(CH−基であり、R13およびR14はn−ブチル基であり、Zは−S−Ph基(式中、Phはフェニルである)である。
【0056】
本発明による色素の一部の特定の例は、下記式を含む。
【0057】
【化8】

【0058】
【化9】

【0059】
【化10】

【0060】
【化11】

【0061】
【化12】

【0062】
【化13】

【0063】
【化14】

【0064】
【化15】

【0065】
【化16】

【0066】
【化17】

【0067】
【化18】

【0068】
【化19】

【0069】
【化20】

【0070】
【化21】

【0071】
本明細書に記載の色素は、当該技術分野において公知の手順により、たとえば、その内容全体を参照によって本明細書に緩用するN.Narayan et al.,J.Org.Chem.,1995,60,2391−2395に記載されているように調製することができる。
【0072】
1種または複数種の架橋性ポリマーは、当該技術分野において公知の多くの手段により(たとえば、化学硬化法、熱硬化法もしくは放射性硬化法またはその全部により)架橋し得る、当該技術分野において公知のポリマーのいずれであってもよい。ポリマーは、ホモポリマーでも、コポリマーでも、ターポリマーでも、またはより高次のポリマーでもよい。架橋性ポリマーは、好ましくはマイクロエレクトロニクス基板上に固体の犠牲層または保護層(特に薄膜)を形成するのに好適である。こうしたポリマーの一部のクラスとして、一般的に反射防止コーティング(特にBARC(bottom anti−reflective)層)に使用されるポリマー組成物、SITHベースのポリマー、およびROMPポリマー系が挙げられる。架橋性ポリマーはまた、好ましくは本明細書に意図される色素と好ましくない反応を起こさない。
【0073】
一実施形態では、1種または複数種の架橋性ポリマーの少なくとも1つは、ポリマー単位の少なくとも一部にオキサシクロブチル基またはエポキシド基(すなわち、エチレンオキシドの環部分)などの反応性の環状エーテル基を含む。別の実施形態では、1種または複数種の架橋性ポリマーの少なくとも1つは、ポリマー単位の少なくとも一部に1種または複数種のアクリレート単位またはメタクリレート単位を含む。アクリレートまたはメタクリレートは、酸形態またはエステル形態のどちらであってもよく、エステル形態は、上述の(任意にヘテロ原子で置換されている)炭化水素基のいずれのエステルであってもよい。本明細書に意図される1つまたは複数のアクリレート単位またはメタクリレート単位は、好ましくは、下記式で表される。
【0074】
【化22】

【0075】
式14および15では、Rは、任意に1個または複数個のO原子、N原子、またはS原子でヘテロ原子誘導体となっている上述の炭化水素基のいずれかを表す。特定の実施形態では、このポリマーのアクリレート単位またはメタクリレート単位の少なくとも1つは、反応性の環状エーテル(たとえば、エポキシド)基としてRを有する。別の実施形態では、ポリマーのアクリレート単位またはメタクリレート単位の少なくとも1つは、単環式環系または多環式環系を含み、そのいずれも、飽和もしくは不飽和の脂肪族でも、または飽和もしくは不飽和の芳香族でもよい。
【0076】
別の実施形態では、1種または複数種の架橋性ポリマーの少なくとも1つは、ポリマー単位の少なくとも一部にビニル炭化水素重合単位(たとえば、ポリプロピレン、ポリスチレン、および同種のもの)を含む。本明細書に意図される1つまたは複数のビニル炭化水素単位は、好ましくは、下記式で表される。
【0077】
【化23】

【0078】
式16では、Rは、任意に1個または複数個のO原子、N原子、またはS原子でヘテロ原子誘導体となっている上述の炭化水素基のいずれかを表す。特定の実施形態では、ポリマー中のビニル炭化水素単位の少なくとも1つは、反応性の環状エーテル(たとえば、エポキシド)基としてRを有する。別の実施形態では、ポリマー中のビニル炭化水素単位の少なくとも1つは、単環式環系または多環式環系を含み、そのいずれも、飽和もしくは不飽和の脂肪族でも、または飽和もしくは不飽和の芳香族でもよい。
【0079】
幾つかの特に好ましいポリマー単位としては、以下が挙げられる。
【0080】
【化24】

【0081】
上述の化学構造の集合は、他のポリマー単位、特に上記の化学構造の集合に記載された他のポリマー単位、と組み合わせることができる個々のポリマー単位(すなわち、式中、nの値は少なくとも1である)を示す。一実施形態では、ポリマーは、上述のポリマー単位のいずれかのホモポリマーである。別の実施形態では、ポリマーは、上記に例示したポリマー単位のいずれかのコポリマーである。別の実施形態では、ポリマーは、上記に例示したポリマー単位のいずれかのターポリマー、またはより高次のポリマーである。コポリマー、ターポリマー、およびより高次のポリマーは、たとえば、ブロックコポリマーでも、グラフトコポリマーでも、またはランダムコポリマーでもよい。ポリマー、コポリマー、ターポリマーの1つの組み合わせ(すなわち、混合物)、ならびにこれらの複数の組み合わせも意図している。
【0082】
幾つかの特に好ましい架橋性コポリマーとしては、以下の化学構造のものが挙げられる。

【0083】
【化25】

【0084】
上記の化学式17〜22では、下付き文字n、m、w、x、y、およびzは各々独立に、少なくとも1、2、3、または4であり、最大、たとえば、10、50、100、500、1000、またはそれ以上である。あるいは、これらの下付き文字は、モル百分率と考えてもよく、たとえば、n+m=100である。この方法では、nまたはmのどちらかは、たとえば、1モルパーセント、2モルパーセント、5モルパーセント、10モルパーセント、15モルパーセント、20モルパーセント、25モルパーセント、30モルパーセント、35モルパーセント、40モルパーセント、45モルパーセント、または50モルパーセントでも、またはこれらの間の範囲でもよい。
【0085】
1種または複数種のキャスト溶媒は、色素を効率的に可溶化する当該技術分野において公知の任意の溶媒である。この溶媒は、スピンコート法と共に従来から使用され、NIR吸収層組成物の性能に好ましくない影響をあまり与えない任意の溶媒であってもよい。溶媒の一部の例として、3−ペンタノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、プロピレングリコールメチルエーテル(1−メトキシ−2−プロパノール)、メチルセロソルブ(2−メトキシエタノール)、酢酸ブチル、2−エトキシエタノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールプロピルエーテル(1−プロポキシ−2−プロパノール、Dowanol PnP)、4−ヘプタノン、3−ヘプタノン、2−ヘプタノン、N,N−ジメチルホルムアミド、アニソール、乳酸エチル、シクロヘキサノン、セロソルブアセテート(エチレングリコールエチルエーテルアセテート)、N,N−ジメチルアセトアミド、ジグリム(2−メトキシエチルエーテル)、エチル3−エトキシプロピオネート、ジメチルスルホキシド、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテル(Dowanol(R))、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル、ジエチルマロネート、2−(2−ブトキシエトキシエタノール)(DEGBE)、およびγ−ブチロラクトンが挙げられる。
【0086】
基板に塗布する組成物中の溶媒の量は典型的には、固形分が約1〜20wt%になるように選択される。固形分の配合量が多くなると、一般にコーティング層が厚くなる。本開示の組成物は、当該技術分野において公知であってもよい微量の補助成分(たとえば、塩基添加剤、界面活性剤等)をさらに含んでもよい。
【0087】
組成物は任意に、硬化ステップを容易にするため1種または複数種の共重合体架橋剤(すなわち、「架橋成分」)を含んでもよい。1種または複数種の共重合体架橋剤は、異なるポリマー鎖の官能基を連結することにより機能する任意の分子またはポリマーである。たとえば、ジオール化合物もしくはポリマー、トリオール化合物もしくはポリマー、テトラオール化合物もしくはポリマー、またはより高度のポリオール化合物もしくはポリマーは、エポキシ化ポリマーの架橋に効果的であり、またはあるいは、ジ−エポキシ化合物もしくはポリマー、トリ−エポキシ化合物もしくはポリマー、またはポリ−エポキシ化合物もしくはポリマーは、ヒドロキシ、アミノ、またはエポキシを含むポリマーの架橋に効果的である。架橋成分は典型的には、発生した酸もしくは加熱またはその両方により触媒する形で、反射防止コーティング組成物中に存在するすべてのポリマー成分と反応し得るクロスリンカである。一般に、本発明の反射防止コーティング組成物に使用される架橋成分は、ネガ型フォトレジストの技術分野で知られる任意の好適な架橋剤であるほか、反射防止コーティング組成物の他の選択された成分に適合する架橋剤である。架橋剤は典型的には、発生した酸の存在下でポリマー成分を架橋する働きをする。典型的な架橋剤として、サイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)からPOWDERLINK(R)という商標で入手可能なテトラメトキシメチルグリコールウリル、メチルプロピルテトラメトキシメチルグリコールウリル、およびメチルフェニルテトラメトキシメチルグリコールウリルなどのグリコールウリル化合物がある。他に考えられる架橋剤として、2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−p−クレゾール化合物、たとえば特開平1−293339号に開示されたものなど、エーテル化アミノ樹脂、たとえば、メチル化またはブチル化メラミン樹脂(それぞれN−メトキシメチル−メラミン、またはN−ブトキシメチル−メラミン)、および、たとえばカナダ特許第1 204 547号に開示されたようなメチル化/ブチル化グリコールウリルが挙げられる。また、ビス−エポキシまたはビス−フェノールなどの他の架橋剤(たとえば、ビスフェノール−A)を使用してもよい。いくつかの実施形態では、架橋剤の組み合わせが好ましい場合がある。
【0088】
共重合体架橋剤の一部の特定の例を以下に示す。
【0089】
【化26】

【0090】
組成物は任意に、硬化ステップを容易にするため1種または複数種の酸発生剤を含んでもよい。酸発生剤は典型的には、熱処理時に酸を遊離する熱酸発生剤化合物である。熱酸発生剤の一部の例として、2,4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロフェニルトシレート、および他の有機スルホン酸のアルキルエステルが挙げられる。活性化時にスルホン酸基を発生する化合物は、一般に好適である。他の好適な熱活性化酸発生剤については、米国特許第5,886,102号および同第5,939,236号に記載されている。必要に応じて、放射線感受性酸発生剤を熱活性化酸発生剤に代わる酸発生剤として、または、熱活性化酸発生剤と組み合わせて使用してもよい。好適な放射線感受性酸発生剤の例についても、米国特許第5,886,102号および同第5,939,236号に記載されている。また、NIR吸収組成物の他の成分に適合する限り、レジスト分野で知られる他の放射線感受性酸発生剤を使用してもよい。放射線感受性酸発生剤を使用する場合、適切な放射線を照射して組成物の硬化(架橋)温度を下げて酸の発生を誘導し、その結果架橋反応を触媒してもよい。放射線感受性酸発生剤を使用する場合でも、架橋プロセスを速めるため組成物を熱処理すること(たとえば、生産ラインのウエハのため)が好ましい。いくつかの実施形態では、酸発生剤の混合物を使用することが好ましい。
【0091】
熱酸発生剤の一部の特定の例を以下に示す。
【0092】
【化27】

【0093】
組成物は任意に、1種または複数種の界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤を含ませると、たとえば、レベリング剤として働くことでNIR吸収膜のウエハにおける膜厚の均一性を改善することができる。界面活性剤は、湿潤剤として使用するとき、NIR吸収膜のスピンコーティングの際に、基板表面の濡れ(wetting)が不十分なために起こる欠陥生成を減少させることもできる。
【0094】
一実施形態では、1種または複数種の界面活性剤は、イオン性界面活性剤を含み、イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤でも、カチオン性界面活性剤でも、または両性イオン界面活性剤でもよい。アニオン性界面活性剤の一部の例として、フッ素化および非フッ素化カルボキシラート(たとえば、ペルフルオロオクタノエート、ペルフルオロデカノエート、ペルフルオロテトラデカノエート、オクタノエート、デカノエート、テトラデカノエート、脂肪酸塩)、フッ素化および非フッ素化スルホネート(たとえば、ペルフルオロオクタンスルホネート、ペルフルオロデカンスルホネート、オクタンスルホネート、デカンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート)、フッ素化および非フッ素化スルフェート(たとえば、ドデシルスルフェート、ラウリルスルフェート、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ペルフルオロドデシルスルフェート、および他のアルキルおよびペルフルオロアルキルスルフェート塩)が挙げられる。カチオン性界面活性剤の大部分は、第四級アンモニウム界面活性剤、たとえば、アルキル基が典型的には、少なくとも4個の炭素原子、および最大14個、16個、18個、20個、22個、24個、または26個の炭素原子を有するアルキルトリメチルアンモニウム塩に見られるような、正に荷電した窒素原子を含む。カチオン性界面活性剤の一部の例として、第四級アンモニウム界面活性剤(たとえば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化ベンザルコニウム、および塩化ベンゼトニウム)、ピリジニウム界面活性剤(たとえば、塩化セチルピリジニウム)、およびポリエトキシル化アミン界面活性剤(たとえば、ポリエトキシル化タローアミン)が挙げられる。両性イオン界面活性剤の一部の例として、ベタイン(たとえば、ドデシルベタイン、コカミドプロピルベタイン)およびグリシネートが挙げられる。非イオン界面活性剤の一部の例として、アルキルポリエチレンオキシド、アルキルフェノールポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドとのコポリマー(たとえば、ポロキサマーおよびポロキサミン)、アルキルポリグルコシド(たとえば、オクチルグルコシド、デシルマルトシド)、脂肪アルコール、(たとえば、セチルアルコール、オレイルアルコール)、脂肪アミド(たとえば、コカミドMEA、コカミドDEA)、およびポリソルベート(たとえば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80)が挙げられる。
【0095】
一実施形態では、1種または複数種の架橋性ポリマーは、1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素と化学的に異なる(すなわち、結合しない)。別の実施形態では、1種または複数種の架橋性ポリマーの少なくとも一部は、1種または複数種の色素の化学的部分である。たとえば、上述のポリメチン色素のいずれかは、架橋性ポリマーの少なくとも一部が架橋性を保持するように、1種または複数種の架橋性ポリマーの1つまたは複数のポリマー単位と共有結合してもよい。
【0096】
同様に、一実施形態では、1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素と化学的に異なる(すなわち、結合しない)1種または複数種の架橋剤を含ませる。別の実施形態では、色素に共有結合する官能基(たとえば、エポキシ含有またはヒドロキシ含有基)として、1つまたは複数の架橋基を含ませる。注目すべきは、色素の官能基として1つまたは複数の架橋基を含ませる場合、当該技術分野において公知の硬化方法を使用することにより、1種または複数種の架橋性ポリマーの非存在下で、色素分子が架橋して固体の近赤外吸収膜を形成することができる。しかしながら、特定の実施形態では、固体の近赤外吸収膜の形成の際、架橋性基を含む色素分子に加えて、架橋性ポリマーを含ませることが有利である場合がある。この方法では、色素分子と架橋性ポリマーとの間、もしくは架橋性ポリマー鎖間、もしくは色素分子間、またはその全部で架橋が起こり得る。
【0097】
固体の近赤外吸収膜を生成するには、上述の組成物に、当該技術分野において公知の多くの手段のいずれかにより(たとえば、化学硬化法、熱硬化法もしくは放射性硬化法またはその全部により)架橋ステップを行う。一般には、硬化プロセス中に実質的にすべてのキャスト溶媒を除去する。膜は、任意の好適な厚さであればよい。膜の厚さは一般に、塗布する場所によって限定される。異なる実施形態では、膜の厚さは、少なくともまたは最大で1nm、10nm、20nm、30nm、40nm、50nm、100nm、250nm、400nm、500nm、750nm、1μm、2μm、5μm、10μm、50μm、または100μmであるか、または前述の任意の2つの値により決定される厚さの任意の特定の範囲である。好ましい実施形態では、NIR吸収膜の厚さは、1000nm以下、好ましくは1000nm未満である。特に好ましい膜の厚さは、30〜400nmの範囲である。NIR吸収膜は、好ましくは600〜1200nmの範囲内の吸収極大でk値が0.15を超える。NIR吸収膜は、一層好ましくは、こうした範囲のk値が0.45を超え、より一層好ましくは、0.7を超える。
【0098】
本明細書では、その表面に上述の近赤外吸収膜を有するマイクロエレクトロニクス(すなわち、半導体)基板を特に意図している。このために、NIR吸収膜は、当該技術分野において公知の技法のいずれかにより、マイクロエレクトロニクス基板(または他の表面)にコーティングすることができる。特定の実施形態では、NIR吸収膜を溶媒キャスト法により塗布し、硬化させる。下部構造から反射され膜スタックを通過するレベリング信号のNIR光のかなりの部分(たとえば、少なくとも30%)、または相当な部分(好ましくは、少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%)をNIR吸収膜に吸収させることが望ましい。必要に応じて、より厚いNIR吸収膜をコーティングするか、あるいは、広範囲のNIRスペクトルにわたりk値が比較的高くなるようにNIR吸収膜を設計することにより、反射光の吸収を大きくすることができる。
【0099】
特定の実施形態では、上記のようなNIR吸収膜により被覆されたマイクロエレクトロニクス基板は、NIR吸収膜を被覆しているレジスト(たとえば、フォトレジスト)膜をさらに含む(すなわち、NIR吸収膜は、マイクロエレクトロニクス基板とフォトレジスト膜との間にある)。フォトレジスト膜は、当該技術分野において公知のポジ型フォトレジスト膜、またはネガ型フォトレジスト膜のいずれであってもよい。一実施形態では、レジストは、NIR吸収膜を直接被覆する(すなわち、レジストは、NIR吸収膜に結合しているか、または接触している)。別の実施形態では、レジストは、レジストとNIR吸収膜との間に1つまたは複数の他の膜があることにより、NIR吸収膜を直接被覆していない(すなわち、レジストは、NIR吸収膜に結合していないか、または接触していない)。たとえば、マイクロエレクトロニクス基板とNIR吸収膜との間、またはNIR吸収膜とフォトレジストとの間に、1つまたは複数の他のコーティングの任意の層が存在していてもよい。別の実施形態では、上述のNIR吸収膜は、感光性成分を含むため、NIR吸収膜がフォトレジスト膜でもある。
【0100】
さらに、1つまたは複数の他の膜が、レジスト層を被覆してもよい。レジスト層の被覆に使用する膜の1種の例として、液浸トップコート膜がある。液浸トップコート膜は典型的には、レジスト成分が水などの液浸媒体に溶出するのを防ぐ働きをする。
【0101】
垂直方向のアライメントを適切に行うには、広帯域のNIR源からフォーカス・レベリング・センサ光を放射させる。この光は、マイクロエレクトロニクス構造に入射し、マイクロエレクトロニクス構造から反射する。次いで反射光をレベリング光センサで検出し、その後オート・フォーカス機構によりz高さを調整して、フォトレジスト層を結像焦点面内に配置する。下部構造から反射する任意のNIR光は、表面反射光に干渉し、z高さの調整を不適切なものにする。有利には、本明細書に記載するようなNIR吸収膜を加えると、下層のマイクロエレクトロニクス基板の埋め込みトポグラフィから放射する赤外波長の反射または回折が実質的に最小限に抑えられるか、あるいは、さらには除去される。したがって、ウエハの上面をより正確に検知することが可能になる。上面の検知が改善すれば、表面の特徴をより正確に配置したり、あるいは、表面を操作(たとえば、フォトレジストのパターニング)したりすることができる。
【0102】
マイクロエレクトロニクス構造では、固体の近赤外吸収膜は典型的には、裏面反射防止(BARC)コーティング、平坦化下層(UL)、または特別な中間層など反射防止コーティングとして機能する。BARC層およびUL層は通常どちらも、描画波長での著しい吸収性、もしくは酸素を含むプラズマに対するエッチング耐性、またはその両方を要求されるため、上述の架橋性ポリマー中に芳香族部分もしくは多環式部分またはその両方を持つことが好ましい。
【0103】
別の態様では、本発明は、マイクロエレクトロニクス基板であって、マイクロエレクトロニクス基板とフォトレジスト膜との間に上記のNIR吸収膜を有する、マイクロエレクトロニクス基板上に被覆されたフォトレジスト層をパターニングするための方法を対象とする。NIR吸収層は、それを通過するNIR光を十分に吸収する。本方法は、マイクロエレクトロニクス構造から反射する近赤外光を検知し、検知された光に基づき露光装置およびマイクロエレクトロニクス基板の相対的な位置を調整することにより、フォトレジスト膜の焦点面位置をアライメントしてフォーカス制御することを含む。フォトレジスト膜をアライメントしてフォーカス制御したら、パターニング露光ビームに曝すことにより、フォトレジスト層をパターニングする。本方法は、マイクロエレクトロニクスまたは半導体処理の当該技術分野において一般に利用される他の多くのステップをさらに含んでもよい。たとえば、フォトレジストのパターニング後、当該技術分野において公知の方法のいずれかにより、フォトレジストを現像するのが一般的である。
【0104】
以下に、本発明を図示し、本発明のある種の具体的な実施形態を説明するため、実施例を記載する。ただし、本発明の範囲は、本明細書に記載される例により、いかなる意味においても限定されるものではない。
【実施例1】
【0105】
NIR吸収キャスト溶液の配合
NIR吸収色素エポライト(Epolight)5547(エポリン・インク(Epolin Inc.)、ニューアーク(Newark)ニュージャージー州から入手)およびポリ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート)(PEPCHMMA)ポリマーを、シクロヘキサノン/γブチロラクトン溶媒混合物(70:30)にそれぞれ50重量部の濃度(溶媒混合物に対してそれぞれ2.0重量%)で溶解させた。この溶液に、トリエチルアンモニウムノナフルオロブタンスルホネートからなる熱酸発生剤を5重量部の濃度で加え、全固形分を4.2wt重量%とした。この配合したキャスト溶液をPTFEメンブレン(細孔サイズ0.2mm)で濾過した。
【実施例2】
【0106】
膜の形成
200mmのシリコン・ウエハに、実施例1に記載されているように調製した配合物を1500rpmで60秒間スピンコートした。スピンコート膜は、2段階で硬化させた。第1のベーキング・ステップは、110℃で60秒実施し、その後冷却プレート上でウエハを室温まで放冷した。第2のベーキング・ステップは、185℃で60秒間実施し、その後冷却プレート上でウエハを室温まで再度放冷した。膜厚は、約900Åであった。
【実施例3】
【0107】
NIR吸収層の光学的特性
J.A.ウーラム・インク(J.A.Woollam,Inc.)製の多入射角分光エリプソメータ(VASE(R):Variable Angle Spectroscopic Ellipsometer)を用いて、実施例2に記載されているように形成したNIR吸収膜の光学定数(屈折率nおよび消衰係数kの指数)を400nm〜1200nmの照射波長領域で測定した。図1に示すように、吸収極大は、波長950nmにあり、kmax=0.80であった。
【実施例4】
【0108】
NIR吸収膜層の使用によるNIR線の減衰
実施例3によるNIR吸収膜の光学的特性を使用して、通常の入射光の場合のNIR光減衰の程度を算出した。NIR線は吸収されないのみならず、NIR吸収層の内部で反射するため、光路xは、NIR吸収膜の厚さの2倍に相当する。透過光強度(It)、入射光(I0)、消衰係数(k)および波長(λ)の間の関係は、It=I0exp[−4πkx/λ]で表される。フォーカス制御の改善に光の減衰を必要とするNIR帯の波長域は、600〜1200nmの間にあった。このため、各曲線の上側の面積を1と等しい透過量まで積分することにより、この範囲内で達成される、所定の膜厚の光の減衰の程度を算出することが可能である。図2に、この範囲内で本例のNIR吸収膜を用いて達成可能な光の減衰の程度を示す。入射NIR線の50%を超える総減衰を達成するには、開示された組成物のNIR吸収膜を少なくとも140nmの厚さでコーティングすると好ましいことが明らかになった。
【実施例5】
【0109】
NIR吸収層の耐有機溶媒性
実施例2に記載されているように形成されたNIR吸収層をプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA:propylene glycol methyl ether acetate)で10秒間リンスし、遠心脱水機で脱水した。溶媒でリンスしたNIR吸収膜の定数nおよびkを、多入射角分光エリプソメータ(VASE(R))を用いて400nm〜1200nmの照射波長領域で測定した。PGMEAでのリンス後の吸収極大は、950nmの波長にあり、kmax=0.79であった。
【0110】
今回は、リンス溶媒としてシクロヘキサノンを用い、PGMEAでリンスしたNIR吸収膜に対して上記の手順を繰り返した。シクロヘキサノンでのリンス後の新たな吸収極大も、950nmの波長にあり、kmax=0.79であった。
【0111】
今回は、リンス液としてVT7000有機溶媒混合物(酢酸ブチル/γ−ブチロラクトン70:30)を用い、シクロヘキサノンでリンスしたNIR吸収膜に対して上記の手順を繰り返した。VT7000でのリンス後の新たな吸収極大は、950nmの波長であり、kmax=0.73であった。
【実施例6】
【0112】
NIR吸収膜層の使用によるフォーカス制御の改善
個々のチップに様々な密度の埋め込み金属層を含む製品ウエハからなる対照ウエハを、193nmのBARCおよび193nmのフォトレジスト層でコーティングした。実際の表面トポグラフィはおおむね平坦である事実にも関わらず、チップにおける金属密度のばらつきを、193nmの光学スキャナーのNIRレベリング系により明らかな高さの変化として検出した。
【0113】
同じ埋め込みトポグラフィを有する第2のウエハを、実施例2のNIR吸収層および193nmのフォトレジスト層でコーティングした。この場合、NIR線が下層の反射金属層に到達することを防ぐNIR吸収層の遮断作用により、NIRレベリング系は、実際のウエハ表面により近い極めて平坦な表面を検出した。
【実施例7】
【0114】
3−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−アダマンチルメタクリレートとグリシジルメタクリレート(GCMA:glycidyl methacrylate)とのコポリマー(PHEADMAGCMA(20/80))の合成
【0115】
【化28】

【0116】
冷却器、温度計、アルゴン入口およびマグネチック・スターラ・バーを備えた丸底フラスコに、3−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−アダマンチルメタクリレート(HEADMA)モノマー(3.365g、0.012モル)、グリシジルメタクリレート(GCMA)モノマー(6.823g、0.048モル)、AIBN(0.394g、各モノマーの総モル数の4%)、および約40gのTHFを加えた。反応混合物を室温で撹拌し、マントルヒーターに入れる前にアルゴン(Ar)を45分間流してバブリングを行った。この反応をAr不活性雰囲気下、72℃で一晩行った。次いでこの反応液を室温まで冷却し、ヘキサンで沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過し、ヘキサンで洗浄した。集めた固体を真空オーブンにより40℃で一晩乾燥させた。分子量(MW:molecular weight)は、ウォーターズ(Waters)モデル150−Cを用いて、THFを使用し28℃で行い、ポリスチレン標準で校正したゲル浸透クロマトグラフィ(GPC:gel permeation chromatography)により測定したところ、約23,050g/molと測定された。
【実施例8】
【0117】
3−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−アダマンチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー(PHEADMAGCMA(50/50))および(PHEADMAGCMA(35/65))の合成
実施例7に記載されているのと同じ手順で2つのコポリマーを合成した。下記表1に、この反応に使用した各モノマーの量を示す。
【0118】
【表1】

【0119】
以下の表2に、ウォーターズ・モデル150−Cを用いて、THFを使用し28℃で行い、ポリスチレン標準で校正したゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定した分子量を示す。
【0120】
【表2】

【実施例9】
【0121】
5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボ−γ−ラクトンとグリシジルメタクリレートとのコポリマー(PNLMGCMA(35/65))の合成
【0122】
【化29】

【0123】
冷却器、温度計、アルゴン入口およびマグネチック・スターラ・バーを備えた丸底フラスコに、5−メタクリロイルオキシ−2,6−ノルボルナンカルボ−γ−ラクトン(NLM)モノマー(5.84g、0.0263モル)、グリシジルメタクリレート(GCMA)モノマー(6.93g、0.0488モル)、AIBN(0.492g、各モノマーの総モル数の4%)、および約50gのTHFを加えた。反応混合物を室温で撹拌し、マントルヒーターに入れる前にArを45分間流してバブリングを行った。この反応をAr不活性雰囲気下、72℃で一晩行った。次いでこの反応液を室温まで冷却し、ヘキサンで沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過し、ヘキサンで洗浄した。集めた固体を真空オーブンにより40℃で一晩乾燥させた。分子量(MW)は、ウォーターズ・モデル150−Cを用いて、THFを使用し28℃で行い、ポリスチレン標準で校正したゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定したところ、約19,291g/molと測定された。
【実施例10】
【0124】
グリシジルメタクリレートのホモポリマー(PGCMA)の合成
【0125】
【化30】

【0126】
冷却器、温度計、アルゴン入口およびマグネチック・スターラ・バーを備えた丸底フラスコに、グリシジルメタクリレート(GCMA)モノマー(11.372g、0.08モル)、AIBN(0.525g、各モノマーの総モル数の4%)、および約40gのTHFを加えた。反応混合物を室温で撹拌し、マントルヒーターに入れる前にArを45分間流してバブリングを行った。この反応をAr不活性雰囲気下、72℃で一晩行った。次いでこの反応液を室温まで冷却し、ヘキサンで沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過し、ヘキサンで洗浄した。集めた固体を真空オーブンにより室温で一晩乾燥させた。分子量(MW)は、ウォーターズ・モデル150−Cを用いて、THFを使用し28℃で行い、ポリスチレン標準で校正したゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定したところ、約18,768g/molと測定された。
【実施例11】
【0127】
2−ヒドロキシエチルメタクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー(PHEMAGCMA(35/65))の合成
【0128】
【化31】

【0129】
冷却器、温度計、アルゴン入口およびマグネチック・スターラ・バーを備えた丸底フラスコに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)モノマー(3.64g、0.028モル)、グリシジルメタクリレート(GCMA)モノマー(7.39g、0.052モル)、AIBN(0.525g、各モノマーの総モル数の4%)、および約40gのTHFを加えた。反応混合物を室温で撹拌し、マントルヒーターに入れる前にArを45分間流してバブリングを行った。この反応をAr不活性雰囲気下、72℃で一晩行った。次いでこの反応液を室温まで冷却し、ヘキサンで沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過し、ヘキサンで洗浄した。集めた固体を真空オーブンにより室温で3日間乾燥させた。分子量(MW)は、ウォーターズ・モデル150−Cを用いて、THFを使用し28℃で行い、ポリスチレン標準で校正したゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定したところ、約25,028g/molと測定された。
【実施例12】
【0130】
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー(PHFIPAGCMA(50/50))の合成
【0131】
【化32】

【0132】
冷却器、温度計、アルゴン入口およびマグネチック・スターラ・バーを備えた丸底フラスコに、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート(HFIPA)モノマー(3.33g、0.015モル)、グリシジルメタクリレート(GCMA)モノマー(2.13g、0.015モル)、AIBN(0.197g、各モノマーの総モル数の4%)、および約20gのTHFを加えた。反応混合物を室温で撹拌し、マントルヒーターに入れる前にArを45分間流してバブリングを行った。この反応をAr不活性雰囲気下、72℃で一晩行った。次いでこの反応液を室温まで冷却し、ヘキサンで沈殿させた。沈殿させたポリマーをヘキサンで洗浄し、次いで真空オーブンにより室温で一晩乾燥させた。分子量(MW)は、ウォーターズ・モデル150−Cを用いて、THFを使用し28℃で行い、ポリスチレン標準で校正したゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定したところ、約12,499g/molと測定された。
【実施例13】
【0133】
1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−ペンタン−2−オール−4−イルメタクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー(PIPRHFAMAGCMA(40/60))の合成
【0134】
【化33】

【0135】
冷却器、温度計、アルゴン入口およびマグネチック・スターラ・バーを備えた丸底フラスコに、1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−ペンタン−2−オール−4−イルメタクリレート)(IPRHFAMA)モノマー(5.88g、0.02モル)、グリシジルメタクリレート(GCMA)モノマー(4.26g、0.03モル)、AIBN(0.328g、各モノマーの総モル数の4%)、および約35gのTHFを加えた。反応混合物を室温で撹拌し、マントルヒーターに入れる前にArを45分間流してバブリングを行った。この反応をAr不活性雰囲気下、72℃で一晩行った。次いでこの反応液を室温まで冷却し、ヘキサンで沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過し、ヘキサンで洗浄した。集めた固体を真空オーブンにより室温で一晩乾燥させた。分子量(MW)は、ウォーターズ・モデル150−Cを用いて、THFを使用し28℃で行い、ポリスチレン標準で校正したゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定したところ、約26,180g/molと測定された。
【実施例14】
【0136】
1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−ペンタン−2−オール−4−イルメタクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー(PiPrHFAMAGCMA(20/80))の合成
【0137】
【化34】

【0138】
冷却器、温度計、アルゴン入口およびマグネチック・スターラ・バーを備えた丸底フラスコに、1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−ペンタン−2−オール−4−イルメタクリレート)(iPrHFAMA)モノマー(4.41g、0.015モル)、グリシジルメタクリレート(GCMA)モノマー(8.53g、0.06モル)、AIBN(0.328g、各モノマーの総モル数の4%)、および約40gのTHFを加えた。反応混合物を室温で撹拌し、マントルヒーターに入れる前にArを45分間流してバブリングを行った。この反応をAr不活性雰囲気下、70℃で一晩行った。次いでこの反応液を室温まで冷却し、ヘキサンで沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過し、ヘキサンで洗浄した。集めた固体を真空オーブンにより室温で一晩乾燥させた。分子量(MW)は、ウォーターズ・モデル150−Cを用いて、THFを使用し28℃で行い、ポリスチレン標準で校正したゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定したところ、約26,862g/molと測定された。
【実施例15】
【0139】
3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートのホモポリマー(PEPCHMMA)の合成
【0140】
【化35】

【0141】
冷却器、温度計、アルゴン入口およびマグネチック・スターラ・バーを備えた丸底フラスコに、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(EPCHMMA)モノマー(3.92g、0.02モル)、AIBN(0.131g、各モノマーの総モル数の4%)、および約16gのTHFを加えた。反応混合物を室温で撹拌し、マントルヒーターに入れる前にArを45分間流してバブリングを行った。この反応をAr不活性雰囲気下、70℃で一晩行った。次いでこの反応液を室温まで冷却し、ヘキサンで沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過し、ヘキサンで洗浄した。集めた固体を真空オーブンにより室温で一晩乾燥させた。分子量(MW)は、ウォーターズ・モデル150−Cを用いて、THFを使用し28℃で行い、ポリスチレン標準で校正したゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定したところ、約27,828g/molと測定された。
【実施例16】
【0142】
3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートとスチレンとのコポリマー(PEPCHMMAST(70/30))の合成
【0143】
【化36】

【0144】
冷却器、温度計、アルゴン入口およびマグネチック・スターラ・バーを備えた丸底フラスコに、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(EPCHMMA)モノマー(6.86g、0.035モル)、スチレン(ST)モノマー(1.56g、0.015モル)、AIBN(0.328g、各モノマーの総モル数の4%)、および約44gのTHFを加えた。反応混合物を室温で撹拌し、マントルヒーターに入れる前にArを45分間流してバブリングを行った。この反応をAr不活性雰囲気下、70℃で一晩行った。次いでこの反応液を室温まで冷却し、ヘキサンで沈殿させた。沈殿させたポリマーを濾過し、ヘキサンで洗浄した。集めた固体を真空オーブンにより室温で一晩乾燥させた。分子量(MW)は、ウォーターズ・モデル150−Cを用いて、THFを使用し28℃で行い、ポリスチレン標準で校正したゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定したところ、約13,534g/molと測定された。
【0145】
本発明の好ましい実施形態と現在考えられるものを示し、説明してきたが、当業者であれば、本出願に記載した本発明の精神および範囲を逸脱しない範囲で他の別の実施形態が可能であり、本出願は、本明細書に記載された特許請求の範囲の所期の範囲内にある、そうした修正をすべて含むことを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素、
(ii) 1種または複数種の架橋性ポリマー、および
(iii) 1種または複数種のキャスト溶媒
を含む、硬化性組成物。
【請求項2】
酸発生剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1種または複数種の共重合体架橋剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1種または複数種の界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記1種または複数種のポリメチン色素は500nm〜1200nmの波長域内の電磁放射線を吸収する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記1種または複数種の架橋性ポリマーはエポキシ基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記1種または複数種の架橋性ポリマーは芳香族基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記1種または複数種の架橋性ポリマーは多環式基を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記1種または複数種のポリメチン色素は、下記一般式で表されるものであり、
【化1】

式中、Rまたは環状に相互に連結したRおよびRは、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、単環式環系または多環式環系、あるいは、非環式アミノ基で誘導体化された炭化水素基を表し、
または環状に相互に連結したRおよびRは、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、単環式環系または多環式環系、あるいは、非環式アミノ基で誘導体化された炭化水素基を表し、
、R、R、およびRは各々独立に(i)水素原子、(ii)ハライド原子、(iii)シアニド基、(iv)ヒドロキシ基、(v)少なくとも1個の炭素原子を含む炭化水素基であって、任意に窒素、酸素、硫黄およびハライドから選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む炭化水素基、(vi)式−XRで表される基であって、式中、XはOまたはSであり、Rは酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む炭化水素基である−XR基、または(vii)式−NR10で表される基であって、式中、RおよびR10は各々独立に水素原子、あるいは、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む炭化水素基である−NR10基から選択され、
、R、R、およびRの任意の2つが炭化水素基である場合、それらは、相互に連結して5員または6員環を形成していてもよく、
下付き文字nの値は少なくとも1で、最大16であり、
窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子の1つまたは複数は、中和状態または正に荷電した状態のどちらでもよく、正に荷電した状態である場合、アニオンが前記ポリメチン色素に結合している
請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記1種または複数種のポリメチン色素は、下記一般式で表されるものであり、
【化2】

式中、Rまたは環状に相互に連結したRおよびRは、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、単環式環系または多環式環系、あるいは、非環式アミノ基で誘導体化された炭化水素基を表し、
または環状に相互に連結したRおよびRは、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、単環式環系または多環式環系、あるいは、非環式アミノ基で誘導体化された炭化水素基を表し、
は(i)水素原子、(ii)ハライド原子、(iii)シアニド基、(iv)ヒドロキシ基、(v)少なくとも1個の炭素原子を含む炭化水素基であって、任意に窒素、酸素、硫黄およびハライドから選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む炭化水素基、(vi)式−XRで表される基であって、式中、XはOまたはSであり、Rは酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む炭化水素基である−XR基、または(vii)式−NR10で表される基であって、式中、RおよびR10は各々独立に水素原子、あるいは、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む炭化水素基である−NR10基から選択され、
下付き文字rの値は1または2である
請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記1種または複数種のポリメチン色素は、下記一般式で表されるものであり、
【化3】

式中、Rまたは環状に相互に連結したRおよびR11は、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、単環式環系または多環式環系を表し、
または環状に相互に連結したRおよびR12は、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、単環式環系または多環式環系を表し、
、R、R、R11、およびR12は各々独立に(i)水素原子、(ii)ハライド原子、(iii)シアニド基、(iv)ヒドロキシ基、(v)少なくとも1個の炭素原子を含む炭化水素基であって、任意に窒素、酸素、硫黄およびハライドから選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む炭化水素基、(vi)式−XRで表される基であって、式中、XはOまたはSであり、Rは水素原子、あるいは、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む炭化水素基である−XR基、または(vii)式−NR10で表される基であって、式中、RおよびR10は各々独立に酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む炭化水素基である−NR10基から選択され、
、R、およびRのいずれか2つが炭化水素基である場合、それらは、相互に連結して5員または6員環を形成していてもよく、
下付き文字nおよびnの値は各々独立に0または1〜6の数値である
請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記1種または複数種のポリメチン色素は、下記一般式で表されるものであり、
【化4】

式中、Rまたは環状に相互に連結したRおよびR11は、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、単環式環系または多環式環系を表し、
または環状に相互に連結したRおよびR12は、窒素、酸素もしくは硫黄のいずれかまたはその組み合わせを含む、単環式環系または多環式環系を表し、
、R11、およびR12は各々独立に(i)水素原子、(ii)ハライド原子、(iii)シアニド基、(iv)ヒドロキシ基、(v)少なくとも1個の炭素原子を含む炭化水素基であって、任意に窒素、酸素、硫黄およびハライドから選択される1個または複数個のヘテロ原子を含む炭化水素基、(vi)式−XRで表される基であって、式中、XはOまたはSであり、Rは酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む炭化水素基である−XR基、または(vii)式−NR10で表される基であって、式中、RおよびR10は各々独立に水素原子、あるいは、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子から選択される1個または複数個のヘテロ原子を任意に含む炭化水素基である−NR10基から選択され、
下付き文字rの値は1または2であり、
下付き文字nおよびnの値は各々独立に0または1〜6の数値である
請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
(a)マイクロエレクトロニクス基板、
(b)前記マイクロエレクトロニクス基板上の固体の近赤外吸収膜であって、1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素、および1種または複数種の架橋ポリマーを含む近赤外吸収膜、および
(c)前記近赤外吸収膜上のフォトレジスト膜
を含む、マイクロエレクトロニクス構造体。
【請求項14】
前記1種または複数種のポリメチン色素は500nm〜1200nmの波長域内の電磁放射線を吸収する、請求項13に記載のマイクロエレクトロニクス構造体。
【請求項15】
前記近赤外吸収膜は反射防止層である、請求項13に記載のマイクロエレクトロニクス構造体。
【請求項16】
前記反射防止層は裏面反射防止層である、請求項15に記載のマイクロエレクトロニクス構造体。
【請求項17】
前記反射防止層は下層である、請求項15に記載のマイクロエレクトロニクス構造体。
【請求項18】
マイクロエレクトロニクス基板上にコートされたフォトレジスト層をパターニングする方法であって、
(i)マイクロエレクトロニクス基板を用意すること、
(ii)前記マイクロエレクトロニクス基板上に固体の近赤外吸収膜を形成することであって、前記近赤外吸収膜は、1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素、および1種または複数種の架橋ポリマーを含み、
(iii)前記近赤外吸収層の上にフォトレジスト層を形成すること、
(iv)前記近赤外吸収層およびフォトレジスト層を含む前記マイクロエレクトロニクス基板から反射する近赤外光を検知することにより、前記フォトレジスト層の焦点面位置をアライメントしてフォーカス制御すること、および
(v)前記フォトレジスト層を露光ビームに曝して、前記フォトレジスト層をパターニングすること
を含む方法。
【請求項19】
前記フォトレジスト層を現像することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記近赤外吸収膜は1種または複数種の共重合体架橋剤をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記1種または複数種のポリメチン色素は500nm〜1200nmの波長域内の電磁放射線を吸収する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
(i) 1つまたは複数の架橋基を有する1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素、および
(ii) 1種または複数種のキャスト溶媒
を含む、硬化性組成物。
【請求項23】
(a)マイクロエレクトロニクス基板、
(b)前記マイクロエレクトロニクス基板上の固体の近赤外吸収膜であって、前記近赤外吸収膜は、色素分子間で架橋される架橋基を有する1種または複数種の近赤外吸収ポリメチン色素を含み、および
(c)前記近赤外吸収膜上のフォトレジスト膜
を含む、マイクロエレクトロニクス構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−502488(P2013−502488A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525605(P2012−525605)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【国際出願番号】PCT/US2010/044630
【国際公開番号】WO2011/031396
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】