説明

近赤外線電子励起による処理方法及び水素添加方法

【課題】二重結合、三重結合のような不飽和脂肪酸を有する油脂類の飽和度を高め、安定した結合とする処理方法の提供。
【解決手段】油脂類を液状とし、物質の分子振動と同程度の近赤外線電磁波を照射することで、光子吸収による遷移で起こる振動励起により、物質の分子結合を切断し再結合させる事で安定した結合にする。あるいは油脂類と水の混合物に紫外線を照射しオゾンを吹き込み、さらに近赤外線電磁波を照射する。あるいは水及び/又はアルコール中で油脂類に近赤外線電磁波を照射し水素添加を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
油脂類及び水の分子結合に近赤外線の吸収光子を照射して原子、分子を電子励起させ分子結合を切断する、この時水分子から水素が解離し、この水素が油脂の再分子結合時に水素還元される処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、▲1▼触媒を使い、水及び/又はアルコール中で油脂、不飽和エステル、又は不飽和脂肪酸に光を照射して、水素を添加させることを特徴とする水素添加方法。▲2▼不飽和脂肪酸エステルがリノール酸メチルである水素添加方法。▲3▼アルコールがエタノールである1又は2記載の水素添加方法。▲4▼照射時の気圧が大気圧である▲1▼〜▲3▼いずれか記載の水素添加方法。加熱・加圧、水素ガスの不要な、油脂、不飽和脂肪酸エステル、又は不飽和脂肪酸の水素添加方法を提供する。この発明は触媒を使い、触媒に紫外線を照射し紫外線の果たしている役割を増強し、触媒の紫外線吸収光によるマイナスイオンの放出により、水及び/又はアルコールを紫外線光子の電子エネルギーにより励起さることで水素の誘導放出と原子、分子の振動励起による結合切断により水素還元する方法である。引用おわり、
【0003】
触媒として二酸化チタンを用いた水及び/又はアルコール中での電子エネルギーの励起につて説明すると、二酸化チタンは半導体で、光のエネルギーをもらうことで自分自身が高エネルギーの状態となり、光が当たった表面の電子を放出する。照射されたエネルギーが充分に高ければ、価電子帯というところにあった電子は一気に電動帯というところまで飛び上がる。このようにして電子が飛び上がるエネルギーは光から貰うが、この光のエネルギーは光の波長のエネルギーと考えられ、電子が飛び上がらなければならないハードルの高さから、このエネルギーは紫外線の波長をもつ光であることが必要とされる。
E=h×ν 式▲1▼ E:エネルギー h:ブランク定数 ν:振動数
ν=c/λ 式▲2▼ c:光速 λ:波長
▲1▼と▲2▼を組合せると、次のような式になる。
E=hc/λ、ここでEは二酸化チタン、3.2eV(=5.12×10−19J)であり、既知数(c:3.0×10m/s、h:6.63×10−34J・s)を代入して解くと、必要な波長は約380nmとなり、光触媒が働くのに必要な光とは、紫外線であることが判る。
【0004】
特許文献2、水中にオゾン、オゾンと空気の混合気体の何れかを吹き込んで気泡を形成し、この気泡に紫外線240〜310nmを照射してオゾンを一重項酸素に生成し、次に可視光線600〜650nm、近赤外線1200〜1300nm若しくはレーザー光を各々単独あるいは同時あるいは順次照射し、励起された一重項酸素の電磁波の誘導放出による規定状酸素への遷移を利用した水中への溶存酸素酸素生成方法の発明である。引用終わり、ここで明らかにしたいのは、紫外線、オゾン、一重項酸素は共に強い酸化力を有する。さらに、紫外線吸収光、可視光線吸収光、近赤外線吸収光での電子励起の吸収光子は、それぞれの光の波長の周波数を有しているということで、これらは、共に水と同程度又は共鳴する値の周波数であり、この発明では紫外線の光子を水中より誘導放出させる発明で、紫外線吸収光の励起子を放出させ一重項酸素を規定酸素に戻すために、可視光線及び/又は近赤外線の波長の異なる励起子を吸収させることで紫外線波長を持つ光子を誘導放出させ、一重項酸素を規定状帯の酸素に無害化する発明である。
【0005】
【特許文献1】 特開平7−174416公報
【特許文献2】 特開平7−108147公報
【特許文献3】 特願2007−226958
【特許文献4】 特願2009−152937
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
油脂類の分子結合は安定しておらず、時間が経つと酸化され変化する、飽和脂肪酸は安定であるが、不飽和脂肪酸含有率が高い物ほど酸化されやすい、不飽和脂肪酸の二重結合、三重結合を切断し飽和脂肪酸又はそれに近い状態に飽和度を上げる処理方法は。
【0007】
油脂類を紫外線処理、オゾン処理を行なうと酸化され不飽和脂肪酸が生成される、これを処理前の状態に戻し安定させる処理方法は。
【0008】
油脂類の不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸にするには普通は水素添加により処理するが、油脂の水素添加過程で起きる天然に存在しないトランス型の飽和脂肪酸の生成が起きない方法は。
【0009】
循環風呂、養殖、水耕栽培、乳製品等の水と油脂が交じり合う環境での油脂の酸化による不飽和脂肪酸が引き起こす環境悪化を改善する方法を提供する。
【0010】
揚げ物等で使用する揚げ油の自然劣化を改質する方法を提供する。
【0011】
加熱及び加圧、水素ガスの不要な、油脂、不飽和脂肪酸エステル、又は不飽和脂肪酸の水素添加方法を提供する。
【0012】
近赤外線で物体の融点温度の差や分子量に合った電子励起値を調節することで、分別電子励起及び分別水素添加できないか。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、この発明で水素の発生元となる水の原子、分子を電子励起する近赤外線の値は、各種の水素化合物の分子量と融点及び沸点の関係は、一般的に同族元素の化合物は大体似た物性を示すが、水だけがこの傾向から大きくずれている。メタンCHに始まるIVb族では分子量の増加に伴って徐々に融点が向上している。VIb族についても同様の傾向が認められる。水の18という分子量から予想される水の融点は−100℃前後である。ところが実際は0℃である。すなわち、実際の水は分子式から予想される融点よりはるかに大きい分子量の化合物が示す融点を示す、その分子量を求めると240〜250位になる。すなわち、水の分子数にして13個から14個位の大きな分子量の化合物が示すような融点や沸点をもっている。分子量から予想される水の沸点は−80℃前後であるが、実際は100℃である。融点の沸点も分子間の相互作用が最も密に関係する物性値である。
【0014】
水の分子間の相互作用については、氷の強度は1個のHO分子が4個の水素結合をしたときの強さであり、通常の科学結合に比べて水素結合は弱いとはいえかなりの強さである。氷はO−H−Oで三次元的に無限の連なった構造であるから、単結晶はいわば一つの巨大な分子であるということができる。水がいろいろな特殊な物性を示す大きな原因の一つは、水がこのような水素結合を形成していることにあると考えられる。同じ大きさの玉を、これ以上密に詰めることができない最密充填の場合配位数は12であり、その充填率は73%である。これに対し氷の場合は配位数が4である。充填率は30%になる。のこり70%はすきまということになる。電子の存在率がゼロかほとんどゼロに近いところが全体の70%もある。酸素と水素の給電子対は酸素の電気陰性度が水素に比べて大きいためにいくらか酸素の方へ片寄っている、その結果、酸素はややマイナスに帯電し、そのぶん水素はプラスに帯電している。水における酸素原子と水素原子の結合は共有結合のほかにいくぶんイオン結合が含まている。しかしマイナス荷電の重心とプラス荷電の重心が一致しないため、水分子は極性分子であるとともに、双極子モーメントを持っている。そのため水分子は、水分子どうしが静電気的な力による相互作用により水素結合を形成していると推察される。
【0015】
もし液状の水がHO分子単独のたんなる集合体であれば、融点は−100℃、沸点は−80℃前後であり、地球上では水は水蒸気の状態でしか存在しえないことになる。液体の水は単独のたんなる集合体ではなく、水分子が水素結合によって、(HO)nのような会合体、(以後クラスターとする)を形成していると考えられる。そしてこのnの値が温度、その他の条件により比較的容易に変化することが明らかにされている。
○ 温度上昇に伴って粘性率は折抗率と同様に低下する。
○ 温度上昇に伴って水のクラスターが小さくなる。
○ 水蒸気=水分子=∞ 0℃〜100℃に必要なエネルギー(He≒約7KJ/moI)を加えてHmを割ると0.11になる。氷の水素結合のうち約11%が切れるか伸びたものが液体の水であるということになる。約11%が切れるか伸びた、クラスターは一個の分子としての性質を持つ。
【0016】
本発明の対象物質を液状又は液状物を含む物質とし、物質の分子振動と同程度の近赤外線電磁波を照射することで、光子吸収による遷移で起こる電子励起により物質の分子結合を切断し、再結合させる事で安定した結合にするものである、図1参照。
【0017】
また、物質の振動と同程度の電子励起を起こす近赤外線電磁波とは、世の中にある物質は、それに温度がある限り光を出しており、温度というのはケルビン(K)単位の温度で、0K=273度C、つまり絶対温度、この温度では物質は存在し得ないとされており、すべての物質には温度があるということです。温度Tの物質から波長λの光が放射され、温度と波長の関係はλ×T=0.29(cm,K)という式で表される(ウイーンの変位則)。この式を、λを導く式に変換すると、λ=0.29/Tとなる。(0.29は地球上の物質の分子量の平均)
【0018】
上記のように、水を水分子の(HO)nのような、クラスターを形成という見方で分子量を決定すると、λ=0.25/Tとなる。(0.25は水の融点、沸点から得られる分子量の240〜250)10℃の水の吸収波長は、0.25/(273+10)=0.0008833cmこれをnmにするには、解を10−7にすると8800nm(8.8μm)となる。
【0019】
上記のように、水だけが特別にクラスターという見方で分子量を決定するが、他の物質では分子量が持つ融点、沸点を示すものであればそのままの値で計算することで吸収波長が求められる。水と油脂類等の混合物の場合は、その温度で吸収する水と油脂類等の近赤外吸収値を照射しなければならない。
【0020】
近赤外線若しくは近赤外線レーザー光(以後近赤外線とする)で物体の分子量に合った電子励起値を調節し、さらに、融点の違いを利用すれば分別電子励起及び分別水素添加も可能となる。
【0021】
物質の分子振動と同程度の近赤外線電磁波を照射することで、光子吸収による遷移で起こる電子励起により、水及び/又はアルコール中で油脂、不飽和脂肪酸エステル、又は不飽和脂肪酸を水素添加することを特徴とする水素添加方法。
【発明の効果】
【0022】
油脂類を融点温度以上にし液体で近赤外線の電子励起することで結合を切断し、不飽和物の二重結合、三重結合を再結合をするこで不飽和物の飽和度を上げる。図1参照
【0023】
油脂、不飽和エステル、不飽和脂肪酸の二重結合、三重結合を切断し、水及び/又はアルコールが近赤外線照射の電子励起で解離する水素が不飽和部分に還元され、再結合することで飽和物とする。この事は油脂類に共通する現象であり、紫外線等で起こる酸化物、不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸にする働きがある。
【0024】
食品等では油脂類を融点温度以上の液体にし油脂類、蛋白質及び水の分子振動と同程度の近赤外線電磁波を照射することで、光子吸収による遷移で起こる電子励起により、含まれている水分に近赤外線の光子のイオンが作用にし、水が電子励起し水素が解離する、同時に不飽和脂肪酸の結合切断、再結合により、水素添加が起き不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸に変る。また含まれる水分のクラスターも切断され結合水となり蛋白質と結合する。
【0025】
また、わざわざ水素添加を行なわなくても不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸にすることができる、これは自然界で起こる自然な油脂の結合切断と再結合及び水素添加であり、天然に存在しないトランス型(シス型の幾何異性体)の飽和脂肪酸の生成が起きない方法である。近赤外線の吸収光子による電子励起でこれを行なえば、短時間で確実に不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸にでき、不飽和脂肪酸の二重結合、三重結合を切断し、飽和脂肪酸に変える、図1参照。
【0026】
天然の不飽和脂肪酸の二重結合はシス型であり、必須脂肪酸はすべての二重結合がシス型の時のみ機能を発揮する。飽和脂肪酸は安定であるが不飽和脂肪酸は酸化されやすい。脂質酸化物は老化、癌、動脈硬化等の原因になる等の原因である不飽和脂肪酸を近赤外線の電子励起により結合を切断し、解離した水素で水素添加を行い再結合させることで、飽和度を上げる又は飽和脂肪酸にする効果がある。
【0027】
近赤外線で物体の分子量と温度に合った電子励起値の組合せや融点の違いを利用すれば、分別電子励起及び分別水素添加を行なうことができる。混合物であっても分子量の違いを利用し、単一物質の電子励起値で電子励起し単一物質の飽和度を上げる。これに、水の近赤外線電子励起値を加えれば、水が電子励起し解離した水素で水素添加が起きる。また、混合物の融点温度が違えば、片方が固体のまま処理を行なうことで分別処理が行なわれる。
【0028】
本願発明は近赤外線照射時の気圧が大気圧である水素添加方法でり、大がかりな施設を必要とせず幅広い用途に適応する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】 不飽和脂肪酸を近赤外線で電子励起し結合切断し再結合することで飽和脂肪酸とする。
【図2】 不飽和脂肪酸に活性酸素が反応し過酸化脂質となる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
水の18という分子量から予想される水の融点は−100℃前後である。ところが実際は0℃である。すなわち、実際の水は分子式から予想される融点よりはるかに大きい分子量の化合物が示す融点を示す、その分子量を求めると240〜250位になる。すなわち、水の分子数にして13個から14個位の大きな分子量の化合物が示すような融点や沸点をもっている。分子量から予想される水の沸点は−80℃前後であるが、実際は100℃である。融点の沸点も分子間の相互作用が最も密に関係する物性値である。
温度と波長の関係はλ×T=0.29(cm,K)という式で表される(ウイーンの変位則)。この式を、λを導く式に変換すると、λ=0.29/Tとなる。(0.29は地球上の物質の分子量の平均)
【0031】
上記のように、水を水分子の(HO)nのような会合体、(クラスター)を形成という見方で分子量を決定すると、λ=0.25/Tとなる。(0.25は水の融点、沸点から得られる分子量の240〜250)10℃の水の吸収波長は、0.25/(273+10)=0.0008833cmこれをnmにするには、解を10−7にすると8800nm(8.8μm)となる。
【0032】
水の分子量は融点、沸点が示すクラスターの値である分子量にして240〜250を以て近赤外線電子励起値とするが、その他の物体につては融点、沸点が分子量に見合った値の場合はそのまま用いる。
【0033】
温度で変わる近赤外線の電子励起値、10℃の水の吸収波長は、0.25/(273+10)=0.0008833cmこれをnmにするには、解を10−7にすると8800nm(8.8μm)となる。20℃では、0.25/(273+20)=0.0008532、8500nm(8.5μm)。36.5℃では、0.25/(273+36.5)=0.0008077、8000nm(8.0μm)の値の近赤外線を吸収し電子励起する。
【0034】
水が近赤外線の光子を吸収し電子励起すると、吸収光子はマイナスのエレクトロンを有しており、原子・分子中に入ってゆき、原子周辺の軌道をマイナスに荷電する。すなわちマイナスのエレクトロンが原子周辺の軌道に配置され、中央の原子核はプラスイオンに荷電され、この中央の原子のプラスイオンと、周辺のマイナスイオンがお互いに引っ張り合い、原子の励起状態、つまり一種の興奮状態が起こり原子が振動を起こす。そして次々に原子の周辺のマイナスのエレクトロンは、隣のまだ荷電されていない原子の周辺の軌道に手渡され、先の原子同様に励起状態を発生する。これが繰り返され最終的には物体を構成する全原子が励起状態を起こす。光子吸収による遷移で起こる電子励起の電位(e)が直接水分子に作用し、2HO+e→2OH・+2H・(+H↑)、水をOH・とHに解離し、H気体となって分離される。
【0035】
油脂類で不飽和物である二重結合、三重結合を近赤外線電子励起することで、結合を切断し再結合させることで飽和度を上げることができる、図1参照
【0036】
水及び/又はアルコールに近赤外線の電子励起吸収値を照射することで、水及び/又はアルコールに近赤外線の光子が吸収され、電子励起が起こる。この際に水及び/又はアルコール分子が解離し水素が発生する。
【0037】
水及び/又はアルコールに油脂類混合の場合では、油脂類を融点以上の温度で液状にし、攪拌しながら水及び/又はアルコールと油脂類の近赤外線吸収値を照射することで、光子吸収による遷移で起こる電子励起により、油脂類の分子結合が切断され、さらに、水及び/又はアルコール水より解離された水素が油脂類が再重合する時に水素添加され飽和脂肪酸となる、又は飽和度を上げる。
【実施例】
【0038】
油脂類の分子重合は安定しておらず、時間が経つと酸化され変化する、飽和脂肪酸は安定であるが、不飽和脂肪酸含有率が高い物ほど酸化され過酸化脂質となる、不飽和脂肪酸の二重結合、三重結合を切断し飽和脂肪酸又はそれに近い状態に飽和度を上げる処理方法として、油脂類の融点以上の温度で液体とし、油脂類の分子振動と同程度の近赤外線電磁波を照射することで、光子吸収による遷移で起こる電子励起により、不飽和脂肪酸の二重結合、三重結合を切断し再重合させることで飽和脂肪酸とする、図2参照
【0039】
上記の光子吸収での電子励起により、物体の結合を切断する以外にも、さらに、油脂類を融点温度以上で液体にし、油脂類に含まれている水分若しくは水と一緒に、水と油脂類の近赤外線吸収値の電磁波を照射することで、近赤外線の光子が水の分子、原子に吸収される、吸収光子はマイナスのエレクトロンを有しており、原子・分子中に入ってゆき、原子周辺の軌道をマイナスに荷電する。すなわちマイナスのエレクトロンが原子周辺の軌道に配置され、中央の原子核はプラスイオンに荷電され、この中央の原子のプラスイオンと、周辺のマイナスイオンがお互いに引っ張り合い、原子の励起状態、つまり一種の興奮状態が起こり原子が振動を起こす。そして次々に原子の周辺のマイナスのエレクトロンは、隣のまだ荷電されていない原子の周辺の軌道に手渡され、先の原子同様に励起状態を発生する。これが繰り返され最終的には物体を構成する全原子が励起状態を起こす。光子吸収による遷移で起こる電子励起の電位(e)が直接水分子に作用し、2HO+e→2OH・+2H・(+H↑)、水をOH・とHに分解し、H気体となって分離される。油脂類及び水の重合切断と同時に、水より解離した水素が油脂類が再結合する祭に水素添加され飽和脂肪酸となる、又は飽和度を上げる。
【0040】
油脂類を紫外線処理、オゾン処理を行なうと酸化され不飽和脂肪酸が生成される、これを処理前の状態に戻し安定させる処理方として、近赤外線電磁波を吸収値を照射することで、光子吸収による遷移で起こる電子励起により、物質の分子結合を切断し、水より解離した水素が結合することで水素添加が起き飽和脂肪酸となる。循環風呂、養殖、水耕栽培等においては、殺菌、脱臭、酸素供給のために紫外線処理、オゾン処理を行なうが、その時に水に交じった油脂類、有機物が酸化され不飽和物が生成されることで、水の環境を一気に悪化させる。これを避けるために養殖の場合はプロテインスキマー等で爆気し油脂分を泡にして分離したり、循環風呂ではフルターを用いて瀘したりするがなかなか完全には処理できない、本発明の近赤外線吸収光で処理することで、これらの酸化物を飽和物に変え、水の環境を正常に保つ。
【0041】
また、オゾンを泡にして吹き込んだ水に紫外線照射し、オゾンを一重項酸素にする処理では、処理後の水に残留するオゾンや一重項酸素をすみやかに規定酸素にする技術が必要となるが、本発明の近赤外線の電子励起を行なうことで、紫外線吸収光の励起子を誘導放出させ、オゾン、一重項酸素に水から解離した水素を添加し規定酸素及び水に変化させることで、循環風呂ではオゾン、一重項酸素が肌に触れることで起こる肌荒れや、呼吸器に吸い込むと起こる呼吸器の障害を回避し、養殖においても水耕栽培においても、水中の養殖物の酸化や空中に放出され人に害を与えない環境を提供できる。
【0042】
油脂類の不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸にするには普通は水素添加により処理するが、油脂の水素添加過程で起きる天然に存在しないトランス型の飽和脂肪酸の生成が起きない方法として、近赤外線の電子励起を用いる。油脂類を融点より上の温度で液状とし、水及び、/又はアルコールの中で近赤外線の電子励起により油脂類の重合を切断して再重合させることで、不飽和脂肪酸の二重結合、三重結合を断ち切り、さらに、水及び/又はアルコールから電子励起により水素が解離し不飽和部分に還元され飽和物となる。さらに、これを脱水することで飽和脂肪酸となる。
【0043】
揚げ物等で使用する揚げ油の自然劣化を改質する方法を提供する。油の劣化を押さえるために、揚げ油に、その油の分子量及び温度で電子励起する値の、近赤外線を常時又は定期的に照射する及び/又は鍋の材質を熱源で近赤外線を発生する材質にする。例としては、鉄とニッケル、ニッケルとクロム、ニッケルとアルミニウムの合金は2.5〜10μmの近赤外線を発生する。
【0044】
近赤外線の励起子発生元として上記の合金、さらに、トリウムタングステン、トリウム2%含有のタングステンから放出される熱電子放電は近赤外線である。これは一例でありこれらに限定されるものではない。
【0045】
揚げ油の劣化を防ぐもう一つの方法は、室温にて揚げ油に水を加え、攪拌しながら、近赤外線の水と揚げ油の分子量に適した電子励起値を照射することで、電子励起で起きる結合切断と水から水素分子が解離し、揚げ油の再重合と水素添加が行なわれ、これを分離すれば飽和物となる。
【0046】
加熱及び加圧、水素ガスの不要な、油脂、不飽和脂肪酸エステル、又は不飽和脂肪酸の水素添加方法を提供する。近赤外線を用い物体の分子量に適した電子励起値を照射することで、電子励起で起きる結合切断と、水及び/又はアルコールから水素が解離し、物体の再重合と水素添加が行なわれる、この時の温度は物体の融点以上とし、これを攪拌しながら行なうものとする。さらに、不飽和脂肪酸エステルがリノール酸メチルである上記記載の水素添加方法。アルコールがエタノールである水素添加方法。照射時の気圧が大気圧である上記いずれかに記載の水素添加方法である。
【0047】
近赤外線で物体の分子量と温度に合った電子励起値の組合せや融点の違いを利用すれば、分別電子励起及び分別水素添加を行なうことができる。一例として、水、植物油、ラードの混合の場合では、常温で水と植物油が液体の場合、攪拌しながら水と植物油を電子励起する値の近赤外線又は近赤外線レザー光を照射すると、水と植物油が電子励起され結合が切断される、同時に水から水素が解離し、植物油の不飽和部分に還元される。さらに、ラードの融点を越えた温度で水、植物油、ラードを攪拌しながらそれぞれの分子量値で電子励起することで、それぞれの分子結合の切断と、水から水素が解離し、植物油、ラードの不飽和部分に還元される。これは、物体の融点温度と電子励起の組合せることで行なう分別励起、分別水素添加の一例である。
【0048】
マーガリン、ショートニング等で行なわれる油脂の水素添加過程で起きる、天然に存在しないトランス型(シス型の幾何異性体)不飽和脂肪酸の生成が起きない飽和脂肪酸への変換処理として近赤外線吸収値照射による不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変える技術、油脂の水素添加過程で起きる、天然に存在しないトランス型(シス型の幾何異性体)不飽和脂肪酸の生成が起きない方法として、自然界で起こる近赤外線の光子による電気エネルギーの遷移で電子励起を行なえば、短時間で確実に不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸にでき、不飽和脂肪酸の二重結合、三重結合を切断し、飽和脂肪酸に変える。油脂類を融点より上の温度で液状とし、水及び、/又はアルコールの中で近赤外線の電子励起により油脂類の結合を切断して再結合させることで、不飽和脂肪酸の二重結合、三重結合を断ち切りさらに、水及び/又はアルコールから電子励起により水素が解離し、不飽和部分に水素添加され、飽和物に再重合される。さらに、これを脱水することで得られる。
【0049】
牛乳の処理過程で殺菌やビタミンDを増すために紫外線照射を行なうが、この時に起こる脂肪の酸化や、紫外線電子励起励起による励起の軌道は何時までも残るものであるが、これを。近赤外線の光子吸収による遷移で起こる電子励起で分子結合を切断し再結合させ飽和脂肪酸にすることで、紫外線励起の軌道を打ち消すことができる、特許文献3参照。
【0050】
各種素材や加工品の加工段階で起こる酸化、もともと不飽和脂肪酸が多い油脂類の不飽和脂肪酸を近赤外線吸収値の吸収光子照射による電子励起により飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の少ない状態に処理し、さらに、蛋白質に付着する水分が自由水、中間水から動きの遅い結合水へと変化することで安定し、冷凍中に起こる油焼けや冷凍時に起こるドリップを押さえる働きをする。干物、塩辛、佃煮、揚物、練物、魚介類、肉製品、乳製品、缶詰、ハンバーグ、餃子等、特許文献4の図3参照。
【0051】
人に近赤外線吸収値の吸収光子を照射すると、人の場合は蛋白質、脂肪が融点温度以下で固体のため反応を起こすのは身体に含まれる水分となる。36.5℃の水は8000nm(8.0μm)の値の近赤外線を吸収し電子励起する。光子吸収による遷移で起こる電子励起の電位(e)が直接水分子に作用し、2HO+e→2OH・+2H・(+H↑)、水をOH・とHに分解し、H気体となって分離される。OH・がアルカリ性であるために人間の組織をアルカリ性にする。さらに、身体の水は蛋白質の周りに、結合水、中間水、自由水の順で蛋白質を囲んで存在するが、近赤外線の電子励起により水のクラスターが切断され結合水に変わる。この水は動きが遅く蒸発しにくいために乾燥肌の水分蒸発を押さえる効果がある。皮膚の細胞外壁に付着する水が細胞から離れず保湿機能があるため、皮膚の乾燥を防ぐことになる。また、人体の血液中の不飽和脂肪酸の正常値は、1ミリリットル中に3ナノモル(n mol/ml)で、5ナノモルを越すと過酸化脂質が体内で害を及ぼすようになり、組織の破壊や癌、血管病変など多くの疾患の原因になるといわれている。血液も液体のために近赤外線の電子励起により水のクラスターが切断される、同時に水から水素が解離し、不飽和脂肪酸の不飽和部分に還元されるので飽和度が上がる。
【0052】
つぎに、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の味覚の違いについての実験結果として、不飽和脂肪酸が多い魚類の乾燥物と飽和脂肪酸が多い豚骨やラードでだしを取ったスープ、ラーメンスープを用いた実験では、不飽和脂肪酸の特徴は不飽和度が増す度に濃厚な味を示す、さらに不飽和度が増すと渋み、苦みに変わるのが特徴であるが、このことを利用し、魚だしの不飽和脂肪酸のだしが豚骨やラードのだしと混合することで、スープの不飽和度が上がるために濃厚な味に変わり非常に円やかなコクのあるスープができる。しかし、このスープも火に掛け長い時間沸騰させると、赤外線の作用で不飽和脂肪酸や水のクラスターが熱エネルギーの回転励起により結合が切れてくる現状が起きる。このことは、少量の不飽和脂肪酸の結合が切れ、飽和脂肪酸に戻る現象であり、味としてはコクが抜けさらりとした、塩分が舌に触らない柔らかな味の軽いスープに味が変わるもので、これは、近赤外線の光子を伴う電子励起は及ばないものであるが、油脂と水の結合が切れる事で起こる油脂の不飽和度の低下と水が自由水から中間水に変わったために起こる味覚に作用する現象である。近赤外線の電子励起による味への変化は、不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸に変わることで濃厚な油味がさっぱりした味に、また、塩分を水分子のクラスターが密に囲い込む形となり、味覚に塩分が直接触れない円やかな塩味となる。高濃度の不飽和脂肪酸の濃厚な味は何時までも口にの中にまとわり付き、満腹感を持続させるが、常食は胸焼けや胃がもたれる等、肝臓にとって好ましくないので多食はさける。うなぎのたれ、焼き鳥のたれは次足しで使い続けるが、これは、うなぎ、焼き鳥の脂肪分が高濃度不飽和脂肪酸として、たれと一緒にうなぎ、焼き鳥にまぶされ、これを高温の熱エネルギーで回転励起しながら馴染ませることで濃厚で円やかな味を作り出している。食品の場合は不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸にすることで味の濃厚さが失われるが、食前の料理の際に食材の不飽和度の調節する、又は不飽和度の高い物と一緒に調理することで調節する。
【0053】
ようするに、処理したい物体、混合物も含む対象物を、処理したい物質の融点温度以上の温度にし、分子量に見合ったそれぞれの近赤外線の電子励起値の電磁波を照射して処理するもので、さらに、物質が近赤外線の電子励起で水素が解離する物が混じっていれば水素添加が起きる。
【0054】
近赤外線は、レーザー、LED、ランプ等を用いる、さらに、材質を熱源で近赤外線を発生する材質にする。例としては、鉄とニッケル、ニッケルとクロム、ニッケルとアルミニウムの合金は2.5〜10μmの近赤外線を発生する。さらに、トリウムタングステン、トリウム2%含有のタングステンから放出される熱電子は近赤外線である。さらに、これらを皮膜にして処理物を覆う、単体や複合で用いる等、要旨変更にならない範囲で変化すること勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
産業上の利用分野としては、自然圧力による水素添加、常温での水素添加、トランス型脂肪酸を含まない水素添加、油脂類の安定と改質、循環風呂の湯の安定と含まれる脂肪分の酸化防止、養殖や植物栽培プラントの水質の安定、缶詰の品質の安定、漬物の品質の安定、加工食品の酸化防止、燃料油の品質安定、劣化した油脂の改質、近赤外線を熱源に用いることで調理、加工、医学、化粧品、暖房等幅広い利用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂類を融点温度以上で液状とし、分子振動と同程度の近赤外線電磁波を照射することで、光子吸収による遷移で起こる電子励起により、油脂類の分子結合を切断し、再結合させる事で飽和度を高め安定した結合にする処理方法。
【請求項2】
油脂類と水の混合物に、紫外線の電子励起値照射及びオゾンを吹き込む処理において、油脂類が酸化することで不飽和物に変化するが、水及び油脂類の分子振動と同程度の近赤外線電磁波を照射することで、光子吸収による遷移で起こる電子励起により、油脂類の分子結合を切断し、再結合させる事で不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸へと変え、安定した結合にする処理方法。
【請求項3】
分子振動と同程度の近赤外線電磁波を照射することで、光子吸収による遷移で起こる電子励起により、水及び/又はアルコール中で油脂、不飽和脂肪酸エステル、又は不飽和脂肪酸を水素添加することを特徴とする水素添加方法。
【請求項4】
不飽和脂肪酸エステルがリノール酸メチルである請求項3記載の水素添加方法。
【請求項5】
アルコールがエタノールである請求項3又4に記載の水素添加方法。
【請求項6】
照射時の気圧が大気圧である請求項3〜5いずれか記載の水素添加方法。
【請求項7】
油脂類の分子振動と同程度の近赤外線電磁波を照射することで、光子吸収による遷移で起こる電子励起による処理方法において、近赤外線で複数の混合物を処理する場合に、それぞれの分子量に合った電子励起値の組合せ及び/又は融点温度の違いを利用し、分別電子励起及び分別水素添加を行なう請求項3〜6のいずれか記載の処理方法。
【請求項8】
オゾンを泡にして吹き込んだ水に紫外線照射し、オゾンを一重項酸素とし、処理後の水に、水の分子振動と同程度の近赤外線電磁波を照射することで、光子吸収による遷移で起こる電子励起により、紫外線吸収光の励起子の誘導放出と、オゾン、一重項酸素に水から解離した水素を反応させ規定酸素及び水にする処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−208110(P2011−208110A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93498(P2010−93498)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(396000156)
【Fターム(参考)】