説明

近距離無線通信の接続方法

【課題】近距離無線通信可能な所望の無線通信装置同士が簡単にペアリングでき、また、一対多のペアリングを略々同時に完了可能とする。
【解決手段】ホスト側の無線通信端末1とゲスト側の無線通信端末2,3は例えば積み重ねられる。そして、各無線通信端末1〜3は、それぞれ近距離無線通信が可能な範囲内のアクセスポイントリストを生成する。ホスト側の無線通信端末1は、例えばユーザが指9等により筐体をタップしたことによる振動波形のデータをリファレンスデータとして記憶する。ゲスト側の無線通信端2,3は、ホスト側装置の筐体等を通じて伝搬してきた振動波形を検出し、その振動波形データをキーデータとし、ホスト側へ近距離無線通信により送信する。ホスト側の無線通信装置1は、キーデータとリファレンスデータとが一致した時、そのキーデータを送信してきた無線通信装置2,3との間で近距離無線通信のペアリングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信が可能な無線通信装置間で近距離無線通信を行う際の近距離無線通信の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の携帯電話機やタブレット型携帯情報端末、携帯型ゲーム機等は、例えばいわゆるワイファイ(WiFi:登録商標)と称される無線LAN機能やブルートゥース(登録商標)通信機能等のような近距離無線通信機能を備えていることが多い。
【0003】
例えば、前記無線LAN機能を備えた無線通信端末が、無線LANのアクセスポイントとペアリングする場合、当該無線通信端末は、先ず無線LANによる無線通信が可能なアクセスポイントを探索してリスト化する。そして、無線通信端末は、それらアクセスポイントリストの中で、既に認証用キーの設定等が完了しているアクセスポイントが存在している場合には、そのアクセスポイントとペアリングする。一方、アクセスポイントリストの中に認証用キーの設定がなされているアクセスポイントが存在しない場合、無線通信端末は、例えば内蔵ディスプレイ等に前記アクセスポイントリストを表示した上で、それらの中から、利用者に所望のアクセスポイントを選択させる。さらに、無線通信端末は、その選択されたアクセスポイントの認証用キーの入力を利用者へ要求し、当該利用者から正しい認証用キーの入力がなされた場合、そのアクセスポイントとの間のペアリングを完了する。これにより、無線通信端末は、前記アクセスポイントとの間で無線LANによる通信が可能となる。
【0004】
なお、近距離無線通信における従来のペアリングの手法として、例えば特開2010−56642号の公開特許公報(以下、特許文献1とする。)には、ユーザが、第一の端末と第二の端末とを一緒に保持してそれらを移動或いは振動させる操作を行った時、その操作による端末の軌跡情報に基づいて、それら第一の端末と第二の端末のペアリングを行うような加速度センサ利用ペアリングシステムが開示されている。すなわちこの特許文献1記載の加速度センサ利用ペアリングシステムにおいて、第一の端末は、当該端末がユーザによって振動させられたときに加速度センサが検出した加速度情報に基づいて、当該端末が振動した際の振動軌跡を示す軌跡情報を算出する。同様に、第二の端末は、第一の端末の振動に連動するようにユーザにより当該第二の端末を振動させる入力操作が行われたときに、当該端末への入力操作を入力座標の軌跡として表す軌跡情報を算出する。そして、加速度センサ利用ペアリングシステムは、第一の端末が算出した軌跡情報と、第二の端末が算出した軌跡情報とを比較して、それらが略々一致した時、それら第一の端末と第二の端末とをペアリングする。
【0005】
また、近距離無線通信における従来のペアリングの手法として、例えば特開2007−243977号の公開特許公報(以下、特許文献2とする。)には、電子カメラと通信端末との間における無線LANの接続先選択方法が開示されている。すなわちこの特許文献2に記載の無線LAN接続先選択方法において、電子カメラと通信端末は、お互いに通信圏内に入ると、お互いにそれを認識する。その後、電子カメラは通信端末に対して一定の間隔でブザーを鳴らし、通信端末は、このブザー音を受信したならば、当該ブザー音を受信したことを示す情報を電子カメラへ送信する。さらに電子カメラは、その通信端末からブザー音を受信して確認したことを示す「ブザー返信」を送信する。そして、通信端末は、このブザー返信を受信後、電子カメラとのLAN接続を許可する。
【0006】
その他、非特許文献1には、ペアリングする端末と端末をぶつけ、そのぶつかった時の位置情報と時刻を基にペアリングを行う方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−56642号公報(図10)
【特許文献2】特開2007−243977号公報(図8)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】[2010年10月19日検索]、インターネット<URL:http://bu.mp/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前述したような近距離無線通信におけるペアリングの手法は、何れも一対一でペアリングするための手法となっている。このため、例えば一対多の近距離無線通信を実現したい場合には、一対一でのペアリング作業を複数回繰り返す必要がある。言い換えると、従来のペアリング手法は、一対多の接続のためのペアリングを一度に完了させることができない。また例えば無線LANの場合、そのネットワーク上にはサーバが必要であり、例えば無線通信端末同士がローカルに接続してペアリングを完了させるようなことはできない。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、近距離無線通信可能な所望の無線通信装置同士が簡単にペアリングでき、また、一対多のペアリングを略々同時に完了させることができる近距離無線通信の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の近距離無線通信の接続方法は、近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストをリスト生成部が生成するステップと、所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形を振動波形検出部が検出するステップと、振動波形検出部が検出した物理的振動波形のデータを記憶部がリファレンスデータとして記憶するステップとを有する。そして、本発明の近距離無線通信の接続方法は、振動波形検出部が検出した物理的振動波形と略々同じ物理的振動波形に対応したキーデータを近距離無線通信部を通じてリスト内の無線通信装置から受信し、制御部が、そのキーデータと記憶部に記憶したリファレンスデータとが一致したと判断した時、そのキーデータを送信してきた無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行うステップを有している。これにより、本発明の近距離無線通信の接続方法は、前述した課題を解決する。
【0012】
また、本発明の近距離無線通信の接続方法は、近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストをリスト生成部が生成するステップと、所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形を振動波形検出部が検出するステップと、振動波形検出部が検出した物理的振動波形のデータを記憶部がキーデータとして記憶するステップとを有する。そして、本発明の近距離無線通信の接続方法は、リスト内の無線通信装置のうち近距離無線通信のホストとなる無線通信装置へ、制御部が、記憶部に記憶したキーデータを近距離無線通信部を通じて送信させた後、当該ホストとなる無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行うステップを有する。これにより、本発明の近距離無線通信の接続方法は、前述した課題を解決する。
【0013】
また、本発明の近距離無線通信の接続方法は、近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストをリスト生成部が生成するステップと、自装置の識別情報に基づいて生成した物理的振動波形を振動波形出力部が所定の振動波形媒介物を通じて出力するステップとを有する。そして、本発明の近距離無線通信の接続方法は、振動波形出力部が前記物理的振動波形を出力した後、近距離無線通信部を通じてリスト内の無線通信装置から送信されてきた接続通知を受信した時、制御部が、当該接続通知を送信してきた無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行うステップを有する。これにより、本発明の近距離無線通信の接続方法は、前述した課題を解決する。
【0014】
また、本発明の近距離無線通信の接続方法は、近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置の識別情報を含むリストをリスト生成部が生成するステップと、送信元の無線通信装置の識別情報に基づいて生成されて所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形を振動波形検出部が検出するステップと、振動波形検出部が検出した物理的振動波形のデータをキーデータとして記憶部が記憶するステップとを有する。そして、本発明の近距離無線通信の接続方法は、リスト内の無線通信装置の識別情報をリファレンスデータとし、当該リファレンスデータとキーデータとが一致した時、制御部が、リファレンスデータに対応した無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行うステップを有する。これにより、本発明の近距離無線通信の接続方法は、前述した課題を解決する。
【0015】
すなわち、本発明によれば、所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形のデータを、ペアリングしたい無線通信装置同士で共有できたとき、それら無線通信装置間でペアリングを行うようになされている。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、近距離無線通信が可能な無線通信装置のリスト内の少なくとも一つの装置に対応したリファレンスデータを記憶しておき、所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動の波形を検出した振動波形データをキーデータとし、それらキーデータとリファレンスデータとが一致した時、それらリファレンスデータとキーデータに各々対応した無線通信装置間の近距離無線通信のペアリングを完了させる。これにより、本発明によれば、近距離無線通信可能な所望の無線通信装置同士が簡単にペアリングでき、また、一対多のペアリングを略々同時に完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】積み重ねられた三つの無線通信端末に何れかの端末の筐体に外部から加えられた振動波形を残りの全ての端末と共有することにより、それら各端末間をペアリングさせる本発明実施形態のペアリング手法の説明に用いる図である。
【図2】三つの無線通信端末を例えば図1のように配置する際に各端末で検出される振動波形例を示す波形図である。
【図3】例えば図1のように配置された三つの無線通信端末の一つをユーザがタップしたことにより発生した振動波形例および他の端末へ伝達された振動波形例を示す波形図である。
【図4】本発明にかかる第一〜第五の実施形態に対応可能な無線通信端末の主要部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】図4の制御部がペアリング制御アプリケーションプログラムを実行することによる第一の実施形態のペアリング処理の流れを示し、特にホスト端末側の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図4の制御部がペアリング制御アプリケーションプログラムを実行することによる第一の実施形態のペアリング処理の流れを示し、特にゲスト端末側の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図4の制御部がペアリング制御アプリケーションプログラムを実行することによる第五の実施形態のペアリング処理の流れを示し、特にホスト端末又はゲスト端末が自動的に決定される部分の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】アクセスポイントリストの一例を示し、特に各無線通信装置のカテゴリ名称と各装置のIDの一例を示す図である。
【図9】第六の実施形態における近距離無線通信のペアリング前に各無線通信装置にて生成されるアクセスポイントリストの一例を示す図である。
【図10】第六の実施形態において、近距離無線通信のペアリングの際にホスト端末からIDに基づくホストサウンドが出力される様子を説明するための図である。
【図11】第六の実施形態において、近距離無線通信のペアリングの際にホスト端末から出力されたホストサウンドの音声振動波形が各ゲスト端末へ伝送される様子を説明するための図である。
【図12】第六の実施形態において、近距離無線通信のペアリングの際にホスト端末のホストサウンドから復元したIDを基にペアリングを完了させる様子を説明するための図である。
【図13】第十の実施形態における近距離無線通信のペアリングの際に、外部で発生された例えばタッピング音を、それぞれ近傍に配置された無線通信端末がトリガ音として検出する様子を説明するための図である。
【図14】第十の実施形態において、トリガ音を検出した各無線通信端末がそれぞれ独自音を略々同時に発生すると共に、他の無線通信端末が発生した独自音を各端末がそれぞれ検出する様子を説明するための図である。
【図15】第十の実施形態において、各無線通信端末がそれぞれ検出した他端末の独自音に基づいて、各々がペアリングする無線通信端末を把握する様子を説明するための図である。
【図16】第十の実施形態において、各無線通信端末が何れの端末がホスト端末になるかを認識し、各端末間のペアリング接続が完了する様子を説明するための図である。
【図17】本発明にかかる第六〜第九の実施形態に対応可能な無線通信端末の主要部の概略構成を示すブロック図である。
【図18】図17の制御部がペアリング制御アプリケーションプログラムを実行することによる第六の実施形態のペアリング処理の流れを示し、特にホスト端末とゲスト端末の処理の流れを示すフローチャートである。
【図19】図17の制御部がペアリング制御アプリケーションプログラムを実行することによる第九の実施形態のペアリング処理の流れを示し、特にホスト端末又はゲスト端末が自動的に決定される部分の処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】図17の制御部がペアリング制御アプリケーションプログラムを実行することによる第十の実施形態のペアリング処理の流れを示し、特にホスト端末が決定される際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】図17の制御部がペアリング制御アプリケーションプログラムを実行することによる第十の実施形態のペアリング処理の流れを示し、特にゲスト端末がホスト端末を認識する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】無線ルータと各無線通信装置が一対一にペアリングする場合の近距離無線通信システムの一例を示す図である。
【図23】無線ルータを含む全ての無線通信装置がそれぞれ一対多の接続を可能とする近距離無線通信システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0019】
本発明の各実施形態では、例えばいわゆるワイファイ(WiFi:登録商標)等の無線LAN通信やブルートゥース(登録商標)通信などのような近距離無線通信機能を備えた二以上の複数の無線通信端末が、近距離無線通信を行う際のペアリング手法を述べる。また、本実施形態では、本発明にかかる無線通信端末の一例として、それぞれ近距離無線通信機能を備えた携帯電話機や携帯型ゲーム機、携帯型タブレット端末など、ユーザが携帯できる端末を挙げる。
【0020】
また、本発明の各実施形態では、例えば近年規格化が進められているいわゆるWiFi Direct(登録商標)等のように、無線ルータを介さずに、各近距離無線通信端末間で直接ペアリングの接続設定が可能となされた近距離無線通信システムを例に挙げている。すなわち、本実施形態の近距離無線通信システムでは、例えば無線ルータがアクセスポイントになる従来の無線LANシステムとは異なり、当該無線ルータを含む全ての各無線通信装置がそれぞれアクセスポイントとなり得る。このため、当該システムにおける各無線通信装置は、無線ルータを介さずにペアリング可能となり、例えば一対多の接続が可能となっている。
【0021】
さらに、本発明実施形態にかかる二以上の複数の無線通信端末は、それぞれが後述する本発明にかかるペアリング制御アプリケーションプログラムを実行可能となされており、それら各端末間で近距離無線通信を開始するのに先立ち、当該ペアリング制御アプリケーションプログラムが起動された状態となされているとする。
【0022】
そして、本実施形態において、前記ペアリング制御アプリケーションプログラムが起動された後の各無線通信端末は、近距離無線通信が可能なエリア内に存在する全ての無線通信装置をスキャンし、そのスキャンにより得られた全ての無線通信装置を含むアクセスポイントリストを生成する。
【0023】
なお、本実施形態において、前記近距離無線通信が可能なエリア内に存在する無線通信装置は、本発明実施形態にかかる前記携帯可能な無線通信端末のみならず、前記無線ルータや、それぞれ近距離無線通信機能を備えたデジタルテレビジョン受像機、録画再生装置、パーソナルコンピュータ、その他各種家電装置なども含まれるとする。
【0024】
また本実施形態において、前記アクセスポイントリストは、それら各無線通信装置を識別するためのIDの他に、各無線通信装置が属するカテゴリ情報、各無線通信装置のバージョン情報、各無線通信装置における近距離無線通信の電波レベル情報、近距離無線通信のセキュリティレベル情報、各々実行中のアプリケーションプログラム特有の情報などを含んでいてもよい。
【0025】
前記無線通信装置のIDは、各装置毎にユニークに割り当てられた識別番号(例えばいわゆるMACアドレス等)である。前記無線通信装置のカテゴリ情報は、例えば携帯端末のカテゴリ、据え置き型のテレビジョン受像機のカテゴリ、記録再生装置のカテゴリ、パーソナルコンピュータのカテゴリなど、それら各無線通信装置が何れに分類されるかを表す情報である。前記無線通信装置のバージョン情報は、当該無線通信装置のバージョンが本発明にかかるペアリング制御に対応しているか否かを判断する際に使用可能な情報である。前記近距離無線通信の電波レベル情報は、送受信電波の強度を表す情報である。前記近距離無線通信のセキュリティレベル情報は、暗号化に対応しているか否かやその暗号化のレベルを表す情報である。前記実行中のアプリケーションプログラムに特有の情報は、一例として本発明実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動して実行可能な状態になっていることを示す情報などである。当該アクセスポイントリスト内のそれらの情報はあくまで一例であり、本実施形態にかかるアクセスポイントリストには、さらに多種多様の情報が含まれていてもよい。
【0026】
以下、本発明にかかる各実施形態のペアリング手法について説明する。
【0027】
[第一の実施形態のペアリング手法] 本発明の第一の実施形態として、本発明にかかるペアリング制御アプリケーションプログラムが起動した後の二以上の複数の無線通信端末をペアリングさせる場合、先ず、それら複数の各端末は、例えば積み重ねられた状態となされるか、若しくは筐体の一部が接触した状態、或いはテーブルなどの上に近接して置かれた状態となされる。言い換えると、本実施形態において、それら複数の無線通信端末は、外部から加えられた振動が、全ての端末へ略々同時刻に伝達可能となるように配置、つまり、外部から加えられた振動が各端末間で共有されるように配置されている。
【0028】
すなわち本実施形態において、例えば、各無線通信端末が積み重ねられている状態で、例えば何れかの端末に外部から振動が加えられた場合、当該振動は、前記積み重ねられた状態の各端末の筐体を通じて、他の端末の筐体へ略々同時刻に伝達することになる。同様に、各無線通信端末の筐体の一部が接触した状態で、何れかの端末に外部から振動が加えられた場合、当該振動は、前記接触した状態の各端末の筐体を通じて、他の端末の筐体へ略々同時刻に伝達することになる。また、各無線通信端末が、例えば振動伝達性の高いテーブルなどの上に近接して置かれた状態で、何れかの端末に外部から振動が加えられるか、若しくは当該テーブル自体に外部から振動が加えられた場合、当該振動は、前記テーブル等を通じて各端末の筐体へ略々同時刻に伝達することになる。
【0029】
このように本実施形態によれば、それら複数の無線通信端末は、外部から加えられた振動が全ての端末へ略々同時刻に伝達されるように、前記積み重ねられるか、若しくは前記筐体の一部を接触させて置かれるか、或いは、テーブル等の上に近接して配置される。
【0030】
なお、上述のように複数の各端末間で略々同じ振動が略々同時刻に共有される配置として、前記積み重ね、前記筐体の一部接触、前記近接配置の何れを用いるかは任意である。但し、前記振動を他の各端末へ確実に伝達させることを考えた場合、前記複数の端末を積み重ねる配置にすることがより望ましい。図1には、例えば三つの無線通信端末1〜3が積み重ねられた状態の一例を示している。
【0031】
また、本実施形態のペアリング手法では、前述のようにそれぞれで略々同じ振動が略々同時刻に共有されるように配置された複数の無線通信端末の中から、ペアリングの際のホストとなる端末が決められる。なお、本実施形態では、前記ホスト端末を除く他の各無線通信端末をゲスト端末と呼ぶことにする。
【0032】
本発明の第一の実施形態において、前記複数の無線通信端末のうち何れがホスト端末になるのかは、例えばユーザの選択指示に応じて決められる。すなわち例えば、ユーザからホスト端末になることの指示が入力された端末がホスト端末になり、それ以外の端末はゲスト端末になる。なお、ゲスト端末についてもユーザからの指示により決定されてもよい。前記ホスト端末を決めるタイミングは、各端末が前述のように配置される前、若しくは配置された後の何れのタイミングであってもよい。
【0033】
また本実施形態において、ホスト端末とゲスト端末との間の相対的な配置関係は特に限定されないが、例えば前記複数の端末を積み重ねる状態が採用される場合には、当該ホスト端末が一番上となるように配置することが望ましい。なお、図1の例では、無線通信端末1がホスト端末となされ、無線通信端末2,3がゲスト端末となっている。
【0034】
次に、前述のような各端末の配置とホスト端末の決定がなされた後、本実施形態のペアリング手法では、前述のように外部から物理的な振動が与えられる。
【0035】
ここで、本実施形態において、例えば前記ホスト端末に対して外部から振動を加える場合、その振動は、一例としてユーザが当該ホスト端末を指等で軽く弾く(タッピング)ことなどによる振動を挙げることができる。
【0036】
図1の例は、ホスト端末となっている無線通信端末1を、ユーザが指9等により図中矢印TPで示すようにタップすることにより、当該端末に外部振動が加えられている状態を示している。
【0037】
もちろん本実施形態において、前記外部から与えられる振動は、前記ユーザのタップによるものには限定されず他の何らかのものから加えられた振動であってもよい。なお、例えば前記テーブル等の上に各端末を近接配置させたような場合において、前記外部から与えられる振動は、前記テーブル等をユーザが指9や手でタップ等することによる振動であってもよい。
【0038】
そして、本実施形態において、ホスト端末は、前記外部から加えられた振動の波形を検出し、その振動波形データをペアリングの際のワンタイムリファレンスデータとして内部のメモリ等に一時的に格納する。なお、ホスト端末は、例えば加速度計(加速度センサ)やジャイロスコープ、コンパスセンサの何れか、若しくはそれらセンサを組み合わせることにより、前記振動波形を検出可能となされている。
【0039】
また、本実施形態において、各ゲスト端末は、伝達してきた振動の波形を検出し、その振動波形データを内部のメモリ等に一時的に格納する。そして、各ゲスト端末は、内部メモリ等に格納した前記振動波形データを、ペアリングの際のワンタイムキー(鍵)データとしてホスト端末へ送信する。なお、ゲスト端末は、前記ホスト端末と同様に、例えば加速度計やジャイロスコープ、コンパスセンサの何れか若しくはそれらセンサを組み合わせることにより当該振動波形を検出可能となされている。
【0040】
次に、ホスト端末は、前記ゲスト端末から送られたワンタイムキーデータを受け取ると、当該受け取ったワンタイムキーデータと前記内部メモリ等に格納しておいたワンタイムリファレンスデータとを照合する。そして、その照合により、前記ワンタイムキーデータが前記ワンタイムリファレンスデータに一致した場合、ホスト端末は、当該ワンタイムキーデータを送信してきたゲスト端末とのペアリングを完了させる。同様に、ホスト端末は、他のゲスト端末から送られてたワンタイムキーデータについても、前記ワンタイムリファレンスデータと照合し、それらデータが一致したゲスト端末との間のペアリングを完了させる。
【0041】
これにより、ホスト端末と各ゲスト端末は、それぞれが相互に近距離無線通信可能となる。
【0042】
なお、前記ワンタイムリファレンスデータとワンタイムキーデータとの照合の際には、或る程度の照合マージンを持たせることが望ましい。すなわち、前記振動は各端末の筐体やテーブル等を媒介して伝達されるものであるため、ホスト端末が検知した振動波形データと、各ゲスト端末が検知した振動波形データとの間には或る程度の誤差が生じている可能性がある。このため、ワンタイムリファレンスデータとワンタイムキーデータとの照合の際には、当該誤差分を吸収できるだけの照合マージンを持たせることが望ましい。
【0043】
本発明の第一の実施形態のペアリング手法によれば、各無線通信端末は、前述のようにそれぞれが振動を共有できるように配置され、それら各端末にて検出した振動の波形データをペアリングの際のワンタイムなリファレンスデータおよびキーデータとして使用し、それらデータが略々一致した端末間でペアリングを完了させるようになされている。これにより、前記ペアリングが完了した各無線通信端末は近距離無線通信が可能となる。
【0044】
また、本実施形態のペアリング手法によれば、各無線通信端末間で略々同じ振動波形が検出された場合にのみペアリングが可能となされている。このため、例えば各無線通信端末間で検出された振動波形が異なる場合にはペアリングが行われず、ユーザが意図しない端末間で誤ってペアリングがなされてしまうことはない。
【0045】
例えば図2には、前記三つ無線通信端末1〜3が積み重ねられる前若しくは積み重ねが行われている際に各端末で検出される振動波形を示しており、図3には、図1のように三つの無線通信端末1〜3が積み重ねられた状態で例えばホスト端末1をユーザがタップしたことにより各端末へ伝達した振動波形の一例を示している。なお、図2中の(A)および図3中の(A)は無線通信端末1が検出した振動波形の一例を示し、図2中の(B)およびと図3中の(B)は無線通信端末2が検出した振動波形の一例を示し、図2中の(C)および図3中の(C)は無線通信端末3が検出した振動波形の一例を示している。
【0046】
すなわち、前記図2に示すように、無線通信端末1〜3が積み重ねられる前若しくは積み重ねが行われている際に各端末が振動を検出した時の各振動波形は、それら無線通信端末1〜3でそれぞれ各々異なっている。一方、図3に示したように、三つの無線通信端末1〜3が既に積み重ねられた状態となっている場合において、例えば端末1をユーザがタップしたことで他の各端末2,3に伝達した振動波形は略々同じ波形となる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、無線通信端末1〜3が積み重ねられる前若しくは積み重ねが行われている際の振動波形と、既に積み重ねられた状態となっている無線通信端末1〜3を伝達した振動波形とは区別可能となる。したがって、本実施形態のペアリング手法によれば、各端末間で振動を共有可能な配置となされた状態の無線通信端末1〜3間で伝達した振動波形以外の他の振動波形により、誤ってペアリングがなされてしまうようなことはない。
【0048】
[第二の実施形態のペアリング手法] 前述の第一の実施形態の説明ではホスト端末がユーザによりタップされる例を挙げたが、本発明によれば、以下の第二の実施形態のペアリング手法のように、ユーザによりタップされる端末は何れかユーザ所望のゲスト端末であってもよい。
【0049】
すなわち、前述同様に各端末が振動を共有可能に配置されている場合において、前記ユーザによりタップされたゲスト端末は、当該タップにより生じた振動波形を検出すると、その振動波形データを前記ワンタイムキーデータとして一時的に記憶すると共に、そのワンタイムキーデータをホスト端末へ送る。
【0050】
また、前記タップされたゲスト端末を除く他のゲスト端末は、前記ユーザ所望のゲスト端末が前記ユーザによりタップされることで伝達されてきた振動を検知すると、その振動波形データを前記ワンタイムキーデータとして一時的に記憶するとともに、そのワンタイムキーデータをホスト端末へ送る。
【0051】
一方、ホスト端末は、前記ユーザ所望のゲスト端末が前記ユーザによりタップされることで伝達されてきた振動を検知すると、その振動波形データを前記ワンタイムリファレンスデータとして記憶する。また、ホスト端末は、前記各ゲスト端末からワンタイムキーデータが送られてきた場合には、前述同様にそれらワンタイムキーデータとワンタイムリファレンスデータとを照合する。そして、ホスト端末は、ワンタイムキーデータとワンタイムリファレンスデータが略々一致した場合には、当該ワンタイムキーデータを送信してきたゲスト端末のペアリングを完了する。
【0052】
これにより、当該第二の実施形態のペアリング手法においても前述の第一の実施形態と同様に、前記ペアリングが完了した各無線通信端末は近距離無線通信が可能となり、また、各端末間で検出された振動波形が異なる場合にはペアリングが行われず、ユーザが意図しない端末間で誤ってペアリングがなされてしまうことはない。
【0053】
[第三の実施形態のペアリング手法] 前記第一の実施形態のペアリング手法ではホスト端末がタップされた時の振動波形を用いてペアリングする例を挙げたが、本発明によれば、以下の第三の実施形態のペアリング手法のように、各端末で共有される振動は、例えばホスト端末が自ら発生させた振動であってもよい。
【0054】
すなわちこの第三の実施形態の場合、前記ホスト端末は、例えば内蔵されたバイブレータを動作させることなどにより自ら振動を発生させる。これにより、当該ホスト端末が自ら発生させた振動は、第一の実施形態同様に配置された他の端末へ伝達することになる。
【0055】
そして、前述同様に各端末が配置されている場合において、各ゲスト端末は、前記ホスト端末が発生させた振動を検出すると、その振動波形データをワンタイムキーデータとして一時的に記憶すると共に、そのワンタイムキーデータをホスト端末へ送る。
【0056】
一方、前記ホスト端末は、自らが発生させた振動の波形データを前記ワンタイムリファレンスデータとして記憶し、前記各ゲスト端末からワンタイムキーデータが送られてきたならば、前述同様にそれらワンタイムキーデータと前記ワンタイムリファレンスデータとを照合する。そして、ホスト端末は、ワンタイムキーデータとワンタイムリファレンスデータが一致した場合、当該ワンタイムキーデータを送信してきたゲスト端末のペアリングを完了する。
【0057】
これにより、当該第三の実施形態のペアリング手法においても前述の第一の実施形態と同様に、前記ペアリングが完了した各無線通信端末は近距離無線通信が可能となり、また、各端末間で検出された振動波形が異なる場合にはペアリングが行われず、ユーザが意図しない端末間で誤ってペアリングがなされてしまうことはない。
【0058】
また第三の実施形態の場合、ホスト端末は自らが振動を発生させることができるため、例えば、その振動の波形パターンをユニークな特定波形パターンにしたり、当該振動波形の周波数をユニークな特定の周波数にするようなこと、振動波形の大きさ(振幅)と周波数の組み合わせをユニークな特定の組み合わせにするようなことが可能となる。
【0059】
前記ユニークな特定波形パターンとして、例えばユーザが意図しない衝撃等が外部から加わった時に発生する振動の波形パターン等とは全く異なるパターンを用いれば、前記ユーザが意図しない衝撃等によりペアリングがなされてしまうのを防ぐことができる。また例えば、ホスト端末のID等のような所定の情報を元に前記ユニークな特定波形パターンを生成すれば、当該特定波形パターンの伝達により、ゲスト端末へホスト端末から前記所定の情報を伝えることができるようになる。勿論この場合、ゲスト端末は、伝達されてきた特定波形パターンから前記所定の情報を復元する機能を備えている。なお、前記ホスト端末のID等に対応した特定波形パターンを用いた場合、その特定波形パターンから復元される前記IDをどのように用いてペアリングを行うかについては、例えば後述する第六の実施形態におけるIDの音声伝達および照合等と同じ手法を用いることができる。
【0060】
前記ユニークな特定の周波数として、例えばいわゆる携帯電話端末の着信報知用のバイブレータ振動周波数などとは全く異なる周波数を用いれば、当該着信報知用のバイブレータ振動を検出して誤ったペアリングがなされてしまうようなことを防ぐことができる。また例えば、ホスト端末のID等のような所定の情報に対応付けられたユニークな特定の周波数を用いれば、当該特定周波数の振動伝達により、ゲスト端末へホスト端末から前記所定の情報を伝えることができるようになる。勿論この場合、ゲスト端末は、伝達されてきたユニークな特定の周波数から前記所定の情報を復元する機能を備えている。なお、前記ホスト端末のID等に対応したユニークな特定の周波数から復元される前記IDをどのように用いてペアリングを行うかについては、例えば後述する第六の実施形態におけるIDの音声伝達および照合等と同じ手法を用いることができる。
【0061】
前記振動波形の大きさと周波数の組み合わせをユニークな特定の組み合わせにする場合も前述同様であり、誤ったペアリングがなされてしまうのを防いぐことができ、また、ID等の所定の情報を伝達するようなことが可能となる。
【0062】
[第四の実施形態のペアリング手法] 前記第三の実施形態のペアリング手法では、ホスト端末が自ら振動を発生させる例を挙げたが、本発明によれば、以下の第四の実施形態のペアリング手法のように、バイブレータ等による振動は、ゲスト端末が自ら発生させた振動であってもよい。
【0063】
すなわち、本発明の第四の実施形態として、何れかユーザ所望のゲスト端末は、例えば内蔵されたバイブレータを動作させることなどにより自ら振動を発生させる。これにより、当該ゲスト端末が自ら発生させた振動は、第一の実施形態同様に配置された他の端末へ略々同時刻に伝達することになる。
【0064】
そして、前述同様に各端末が配置されている場合において、前記ユーザ所望のゲスト端末は、自らが発生させた振動の波形データを前記ワンタイムキーデータとして一時的に記憶すると共に、そのキーデータをホスト端末へ送る。
【0065】
また、前記ユーザ所望のゲスト端末を除く他のゲスト端末は、前記ユーザ所望のゲスト端末が発生させて伝達してきた振動を検知すると、その振動波形データを前記ワンタイムキーデータとして一時的に記憶するとともに、当該ワンタイムキーデータをホスト端末へ送る。
【0066】
一方、ホスト端末は、前記ユーザ所望のゲスト端末が発生させて伝達してきた振動を検知すると、その振動波形データを前記ワンタイムリファレンスデータとして記憶し、前記各ゲスト端末から前記ワンタイムキーデータが送られてきたならば、前述同様にそれらワンタイムキーデータとワンタイムリファレンスデータとを照合する。そして、ホスト端末は、前記ワンタイムキーデータとワンタイムリファレンスデータが一致した場合、当該ワンタイムキーデータを送信してきたゲスト端末のペアリングを完了する。
【0067】
これにより、当該第四の実施形態のペアリング手法においても前述の第一の実施形態と同様に、前記ペアリングが完了した各無線通信端末は近距離無線通信が可能となり、また、各端末間で検出された振動波形が異なる場合にはペアリングが行われず、ユーザが意図しない端末間で誤ってペアリングがなされてしまうことはない。
【0068】
また第四の実施形態の場合も前述の第三の実施形態と同様、ゲスト端末は自らが振動を発生させることができるため、その振動の波形パターンなどをユニークな特定波形パターンにしたり、当該振動波形の周波数をユニークな特定の周波数にするようなこと、振動波形の大きさ(振幅)と周波数の組み合わせをユニークな特定の組み合わせにするようなことが可能となる。
【0069】
前記ユニークな特定波形パターンとして、前述同様にユーザが意図しない衝撃等が外部から加わった時に発生する振動の波形パターン等とは全く異なるパターンを用いれば、前記ユーザが意図しない衝撃等によりペアリングがなされてしまうのを防ぐことができる。また、例えばゲスト端末のID等のような所定の情報を元に前記ユニークな特定波形パターンを生成すれば、当該特定波形パターンの伝達により、ホスト端末等へゲスト端末から所定の情報を伝えることができるようになる。勿論この場合、ホスト端末等は、伝達されてきた特定波形パターンから前記所定の情報を復元する機能を備えている。
【0070】
前記ユニークな特定の周波数を用いる場合や、前記振動波形の大きさと周波数の組み合わせをユニークな特定の組み合わせにする場合も前述同様であり、誤ったペアリングがなされてしまうのを防いぐことができ、また、ID等の所定の情報を伝達するようなことが可能となる。
【0071】
[第五の実施形態のペアリング手法] 前述の第一〜第四の実施形態のペアリング手法ではホスト端末をユーザが選択して決める例を挙げたが、本発明によれば、以下の第五の実施形態のペアリング手法のように、ホスト端末は、前述同様に各端末間で振動を共有可能に配置された状態の各端末の中から自動的に決定されてもよい。
【0072】
第五の実施形態において、それぞれ振動を共有可能に配置された状態の複数の各無線通信端末は、各々が、例えば前述したアクセスポイントリストの情報を元に、ホスト端末になるか若しくはゲスト端末になるかを判断し、その判断の結果に基づいて、自らをホスト端末或いはゲスト端末に決定する。
【0073】
当該第五の実施形態では、一例として、アクセスポイントリストの中の前記各IDおよび自端末のIDを参照し、それらIDを例えば昇順或いは降順に並べた時に、その順位が1位となる端末が自端末である場合には自らをホスト端末に決定し、それ以外のときには自らをゲスト端末に設定する。
【0074】
なお、各IDの参照の際には、例えば、それら各IDの下位所定桁数若しくは上位所定桁数、或いは或る基準桁から上位側若しくは下位側の所定桁数の情報のみを用いて、前記昇順或いは降順で1位になるか否かを判断してもよい。また、前記所定桁数の情報が同一となるIDが二以上存在する場合には、その桁数にさらに一桁分を一加えたものを新たな所定桁数の情報として前記昇降順を判定する処理を、その際の所定桁数の情報が同一となるIDが一つのみになるまで繰り返すようにしてもよい。
【0075】
その他にも、例えば各IDに対応したASCIIコードの昇降順(ASCIIコードの大きい順や小さい順)や、例えば日時情報などのような各端末で共通する定数を基準としてその共通定数の昇降順(日時の早い順や遅い順)を利用して、ホスト端末になるか或いはゲスト端末になるかを決定してもよい。
【0076】
またさらに、前記IDを参照する際、本実施形態の無線通信端末は、前記アクセスポイントリストの中の前記カテゴリ情報、バージョン情報、電波レベル情報、実行中のアプリケーションプログラム特有の情報、セキュリティレベル情報の、何れか一つ若しくはそれらを組み合わせた情報をも参照することにより、前記アクセスポイントリストの各IDに対応した他の無線通信装置が、ペアリング可能か若しくはペアリングすべき装置であるか否かを判定することも可能となされている。
【0077】
一例として、本実施形態の無線通信端末は、前記カテゴリ情報を参照することにより、アクセスポイントリスト内の各IDに対応した無線通信装置が、自端末とペアリング可能か若しくはペアリングすべき端末であるか否かを判定可能である。
【0078】
すなわちこの例の場合、本実施形態の無線通信端末は、前記アクセスポイントリスト内のカテゴリ情報を参照することにより、各IDに対応した無線通信装置が本実施形態にかかる携帯型の無線通信端末であるか、或いは、テレビジョン受像機や記録再生装置、パーソナルコンピュータ、家電装置などのように据え置き型の装置(本実施形態にかかる携帯型無線通信端末でない装置)であるかを判定可能である。
【0079】
これにより、本実施形態の無線通信端末は、本実施形態にかかる携帯型の無線通信端末のみをペアリングの候補対象にすること、言い換えると、据え置き型の装置を前記ペアリングの候補対象から除外するようなことが可能になる。
【0080】
そして、本実施形態にかかる各無線通信端末は、前記ペアリングの候補対象となされた端末に対応したIDのみ、すなわち、それぞれが例えば携帯型の端末という同種のカテゴリに属した装置に対応したIDのみを参照して、前述のようにそれぞれが自らホスト端末になるか若しくはゲスト端末になるかを判断する。
【0081】
また例えば、本実施形態の無線通信端末は、前記カテゴリ情報を参照することにより、アクセスポイントリスト内の各IDに対応した無線通信装置のバージョンが、本実施形態のペアリング制御に対応しているか否かを判定可能である。
【0082】
これにより、本実施形態の無線通信端末は、本実施形態にかかるペアリング制御に対応している無線通信端末のみをペアリングの候補対象にすること、言い換えると、当該バージョンが対応していない装置を前記ペアリングの候補対象から除外するようなことが可能になる。
【0083】
そして、本実施形態にかかる各無線通信端末は、前記ペアリングの候補対象となされた端末に対応したIDのみ、すなわち、ペアリング制御に対応したバージョンの無線通信端末に対応したIDのみを参照して、前述のようにそれぞれが自らホスト端末になるか若しくはゲスト端末になるかを判断する。
【0084】
また例えば、前記振動を共有可能となるように配置された各無線通信端末は、各々が非常に近接していると考えられ、このため、それら各端末間の送受信電波の強度は、それら以外の他の無線通信装置との間よりも明らかに差がある非常に大きな強度になると考えられる。このため、前記アクセスポイントリストの中の前記電波レベル情報を参照すれば、当該リスト内の各IDに対応した各無線通信装置が、前記非常に近接して配置さた装置であるか、或いは、距離が離れて配置されているかを推測することができる。
【0085】
すなわちこの例の場合、本実施形態の無線通信端末は、前記アクセスポイントリストの電波レベル情報を参照することにより、各IDに対応した無線通信装置が前記振動を共有可能に近接配置された無線通信端末であるか、或いは、それ以外の離れた位置に存在している無線通信装置であるかを判定可能となる。
【0086】
これにより、本実施形態の無線通信端末は、前記振動を共有可能な近接配置された無線通信端末のみをペアリングの候補対象にし、それ以外の離れて配置された無線通信装置を前記ペアリングの候補対象から除外するようなことが可能になる。
【0087】
そして、この場合の本実施形態の各無線通信端末は、前記ペアリングの候補対象となされた端末に対応したIDのみ、すなわち電波レベルが或る程度以上大きいため振動を共有可能な近距離に配置されていると推測される端末に対応したIDのみを参照して、前述のようにそれぞれが自らホスト端末になるか若しくはゲスト端末になるかを判断する。
【0088】
また例えば、本実施形態の無線通信端末は、前記実行中のアプリケーションプログラム特有の情報を参照することにより、アクセスポイントリスト内の各IDに対応した無線通信装置が、自端末とペアリング可能か若しくはペアリングすべき端末であるか否かを判定可能である。
【0089】
すなわちこの例の場合、本実施形態の無線通信端末は、前記アクセスポイントリストのアプリケーションプログラム特有の情報を参照することにより、各IDに対応した無線通信装置が本発明にかかるペアリング制御アプリケーションプログラムが起動された状態の無線通信端末であるか、或いは、当該プログラムが起動されていない無線通信装置であるかを判定可能である。
【0090】
これにより、本実施形態の無線通信端末は、本実施形態にかかるペアリング制御アプリケーションプログラムを実行中の無線通信端末のみをペアリングの候補対象にすること、言い換えると、当該プログラムが実行されていない無線通信装置を前記ペアリングの候補対象から除外するようなことが可能になる。
【0091】
そして、本実施形態にかかる各無線通信端末は、前記ペアリングの候補対象となされた端末に対応したIDのみ、すなわち、それぞれが前記ペアリング制御アプリケーションプログラムを実行中の無線通信装置に対応したIDのみを参照して、前述のようにそれぞれが自らホスト端末になるか若しくはゲスト端末になるかを判断する。
【0092】
その他にも、本実施形態にかかる無線通信端末は、例えばセキュリティレベル情報を参照して、各IDに対応した無線通信装置が、自端末とペアリング可能か若しくはペアリングすべき端末であるか否かを判定してもよい。
【0093】
この第五の実施形態のペアリング手法においては、ホスト端末が自動的に決定されるため、ユーザが予めホスト端末を決定するような作業が不要となる。
【0094】
また、第五の実施形態のペアリング手法においては、前述のようにして自動的に決定されたホスト端末とゲスト端末が、前述の各実施形態同様にペアリングを完了させる。これにより、当該第五の実施形態のペアリング手法においても前述の各実施形態と同様に、前記ペアリングが完了した各無線通信端末は近距離無線通信が可能となる。
【0095】
[本発明実施形態の無線通信端末の概略構成] 図4には、前述した本発明にかかる第一〜第五の実施形態の無線通信端末の概略的なブロック構成を示す。なお、図4は、本発明実施形態に係る主要な構成のみを図示している。すなわち本実施形態の無線通信端末は、一般的な無線通信端末が備えている各種構成要素についても当然備えているが、図4ではそれらの図示は省略している。
【0096】
この図4において、近距離無線通信部12は、近距離無線通信用のアンテナ13を備え、例えばワイファイ(WiFi:登録商標)の無線LAN通信やブルートゥース(登録商標)通信等の近距離無線通信を行う。
【0097】
振動波形検出部14は、前述したユーザのタッピングの振動やバイブレータの振動等に起因する物理的な振動や他端末の筐体等を介して伝達されてきた物理的振動等の波形やその振動の周波数、その振動波形の大きさ(振動レベル)等を検出する。当該振動波形検出部14が検出した振動波形データは、後述する制御部10へ送られ、また記憶部15へ一時的に格納される。なお、本実施形態の場合、振動波形検出部14は、例えば前記加速度計(加速度センサ)、ジャイロスコープ、コンパスセンサの何れか若しくはそれらが組み合わされた構成を有し、当該構成により前記物理的な振動波形を検出する。
【0098】
記憶部15は、この端末の内部メモリだけでなく外部メモリも含む。内部メモリは、ROMとRAMとからなり、ROMは書き換え可能なROMとなされている。前記書き換え可能なROMは、OS(Operating System)のプログラムとデバイスドライバ等の各種プログラム、自端末のID、バージョン情報、各種の初期設定値、本発明にかかるペアリング制御アプリケーションプログラムを含む各種様々なアプリケーションプログラム等を格納する。また、前記書き換え可能なROMは、前述のアクセスポイントリストの情報およびそのリストに使用されるID等の各種情報をも格納可能となされている。RAMは、後述する制御部10が各種のデータ処理を行う際の作業領域、一時的にデータを記憶するバッファ領域として設けられている。また、RAMは、前記振動波形検出部14が検出した振動波形データを一時的に格納し、前記ペアリングの際に使用されるワンタイムリファレンスデータ若しくはワンタイムキーデータを一時的に格納する一時メモリとしても使用される。その他にも、記憶部15には、当該無線通信端末が扱う各種のデータが記憶される。例えば、本実施形態の無線通信装置が携帯電話機である場合、記憶部15には、電話帳や電子メールアドレス帳のデータ、電子メールデータ、写真画像データや動画像データなど、その携帯電話機において使用される様々なデータも記憶される。なお、当該記憶部15に格納されている各種データや本発明にかかるペアリング制御アプリケーションプログラムを含む各種アプリケーションプログラムは、工場出荷時などに予め用意されているものだけでなく、無線通信や外部ケーブルを介して取得したり、それらアプリケーションプログラムが記憶された外部メモリ等の記憶媒体から取得することも可能となされている。
【0099】
表示部11は、本実施形態の無線通信端末の筐体上に設けられている液晶パネルや有機EL(ElectroLuminescent)パネル等のディスプレイパネルとそのディスプレイパネルを駆動するためのディスプレイ駆動回路とからなる。そして、表示部11は、後述する制御部10から供給された画像信号により、画像や文字等を表示する。本実施形態の場合、当該表示部11は、例えば前述したアクセスポイントリストも表示可能となされている。
【0100】
他構成部16は、無線通信端末が通常備えている各種構成を纏めたブロックである。例えば当該無線通信端末が携帯電話機である場合、当該他構成部16は、携帯電話網へ接続するための通信モジュールや、通話のためのマイクロホンやスピーカ、ユーザが操作するボタンキーやタッチパネル、デジタル放送受信モジュール、外部メモリI/F部、GPSモジュール、非接触通信モジュール、カメラモジュール、各種センサモジュール、バッテリモジュールなどからなる。なお、ユーザ操作用のインターフェースとして、タッチパネルが設けられた場合、そのタッチパネルは前記表示部11の画面上に、その画面サイズと略々同等の大きさで設けられてもよい。
【0101】
制御部10は、前記近距離無線通信部12や振動波形検出部14,記憶部15,表示部11,他構成部16等のような本実施形態の無線通信端末の各構成要素の動作を制御し、さらに、必要に応じて各種の演算をも行う。また、制御部10は、記憶部15に記憶されている本発明の第一〜第五の実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムを含む各種プログラムを、必要に応じて起動し、実行する。特に本実施形態の場合、ペアリング制御アプリケーションプログラムが起動した後の制御部10は、当該ペアリング制御アプリケーションプログラムの実行による後述のフローチャートにおける各ステップの処理を実行可能となる。
【0102】
[振動波形検出を利用するペアリング制御アプリケーションプログラムの実行時の処理フロー] 図5〜図7には、本発明実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムを制御部10が実行することによるペアリング処理のフローチャートを示す。なお、図5と図6は、前記第一の実施形態のように、ユーザにより選択された端末がホスト端末になり、それ以外の端末がゲスト端末になり、それらホスト端末とゲスト端末のペアリング処理が完了するまでのフローチャートを示している。また、図7は、前記第五の実施形態のように、例えばアクセスポイントリスト内のIDおよび自端末のIDを基に各無線通信端末が自らホスト端末若しくはゲスト端末になるまでのフローチャートを示している。
【0103】
先ず図5および図6のフローチャートを参照しながら、本発明の第一の実施形態のように、ユーザによるホスト端末若しくはゲスト端末の選択から各端末のペアリングが完了するまでの一連の処理の流れを説明する。なお、図5および図6のフローチャートは、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動した後、当該プログラムにより管理される近距離無線通信のペアリングモードが、前述のようにユーザによりホスト端末若しくはゲスト端末の何れかが選択されるユーザ選択モードになされている場合の処理の流れを示している。
【0104】
この図5において、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動し、さらにペアリングモードがユーザ選択モードになされている場合、制御部10は、先ずステップS1の処理として、前記近距離無線通信部12を制御することにより前記近距離無線通信が可能なエリア内に存在する全ての無線通信装置をスキャンさせる。そして、制御部10は、当該スキャンにより得られた全ての無線通信端末のIDを含むアクセスポイントリストを生成する。また、制御部10は、必要に応じて、そのアクセスポイントリストを表示部11の画面上に表示させる。このステップS1の処理後、制御部10は、ステップS2へ処理を進める。
【0105】
ステップS2の処理に進むと、制御部10は、さらにユーザから自端末をホスト端末或いはゲスト端末にする旨の選択指示が入力されたか否か判断する。なお、本実施形態において、ユーザがホスト端末或いはゲスト端末の何れかを選択する際のユーザインターフェースは特に限定されず、例えばタッチパネルやキーボタンを用いた選択、或いは音声を介した選択など何れが用いられてもよい。また、制御部10は、ユーザからの選択指示に応じてホスト端末とゲスト端末の何れかに決定する場合の他に、例えばホスト端末を選択する指示が一定時間以内に入力されなかった時には自動的に自端末をゲスト端末に決定することもできる。逆に、制御部10は、ゲスト端末を選択する指示が一定時間以内に入力なされなかった時には自動的に自端末をホスト端末に決定することも可能である。このステップS2の判断処理において、制御部10は、ホスト端末が選択された場合にはステップS3へ処理を進め、ゲスト端末が選択された場合には図6のステップS23へ処理を進める。
【0106】
ステップS3の処理に進むと、制御部10は、前記振動波形検出部14による振動波形検出動作をスタートさせ、当該振動波形検出部14が振動波形を検出した場合にはその振動波形データを前記記憶部15の一時メモリに記憶させる。
【0107】
またこの時の制御部10は、ステップS4の処理として、前記振動波形検出部14からの検出出力が連続して所定時間(n秒)以上あったか否か判断する。当該ステップS4の判断処理において、前記振動波形検出部14からの検出出力が連続して所定時間以上あったと判断すると、制御部10は、ステップS5へ処理を進める。なお、この図5のフローチャートの場合、制御部10は、前記振動波形検出部14からの検出出力が連続して所定時間以上あるまで当該ステップS4の判断処理を続けるが、例えば予め決めた一定時間を経過しても前記検出出力が連続して所定時間以上なかった場合には、例えば振動波形検出失敗のエラーメッセージを前記表示部11に表示させた後、当該フローチャートの処理を終了してもよい。或いは、予め決めた一定時間を経過しても前記検出出力が連続して所定時間以上なかった場合、制御部10は、ユーザに対してホスト端末に所定時間以上振動を与えるように促すメッセージを、前記表示部11に表示させてもよい。
【0108】
ステップS5の処理に進むと、制御部10は、前記アクセスポイントリスト内の無線通信端末の中でゲスト端末となっている全ての端末に対して振動波形データ記録の中止を要求するコマンドを生成し、当該中止要求コマンドを前記近距離無線通信部12を通じて前記全てのゲスト端末へ送信させる。またこの時の制御部10は、前記振動波形検出部14が検出して一時メモリに記憶させている振動波形データのうち、ラストn秒分の振動波形データすなわち前記中止要求コマンドを送信した時点からn秒分前に遡った振動波形データを、前記ワンタイムリファレンスデータとして前記記憶部15に記憶させる。このステップS5の処理後、制御部10は、ステップS6へ処理を進める。
【0109】
ステップS6の処理に進むと、制御部10は、前記近距離無線通信部12を通じて、前記中止要求コマンドを送信したゲスト端末の何れかから前記ワンタイムキーデータを受け取ったか否か判定する。当該ステップS6の判定処理において、何れかのゲスト端末から前記ワンタイムキーデータを受け取ったと判断した場合、制御部10は、ステップS7へ処理を進める。なお、この図5のフローチャートの場合、制御部10は、何れかのゲスト端末から前記キーデータを受け取るまで当該ステップS6の判断処理を続けるが、例えば予め決めた一定時間を経過しても前記ワンタイムキーデータを受け取れなかった場合には、例えばキーデータ受信失敗のエラーメッセージを前記表示部11に表示させた後、このフローチャートの処理を終了してもよい。或いは、予め決めた一定時間を経過しても何れのゲスト端末からも前記ワンタイムキーデータを受け取れなかった場合、制御部10は、全てのゲスト端末に対してキーデータの送信を要求するコマンドを送出する処理を例えば一定時間間隔で所定の回数続け、当該所定回数のコマンド送出処理後もキーデータが送信されてこない場合には、キーデータ受信失敗のエラーメッセージを表示させた後、当該フローチャートの処理を終了してもよい。
【0110】
ステップS7の処理に進むと、制御部10は、前記受け取ったワンタイムキーデータとワンタイムリファレンスデータが一致するか否か判断し、一致しない場合はステップS10の処理として、当該ワンタイムキーデータを送信した端末のIDをエラーメッセージとともに表示部11の画面上に表示させる。一方、ワンタイムキーデータとワンタイムリファレンスデータが一致した場合、制御部10は、ステップS8へ処理を進める。
【0111】
ステップS8の処理に進むと、制御部10は、近距離無線通信部12に対してペアリングのための設定を行って、前記ワンタイムリファレンスデータと一致したワンタイムキーデータを送信してきたゲスト端末に対するペアリングを実行する。そして、当該ペアリングが完了すると、制御部10は、近距離無線通信部12を通じてそのゲスト端末へペアリング完了通知を送信する。このステップS8の処理が終わると、制御部10は、ステップS9へ処理を進める。
【0112】
ステップS9の処理に進むと、制御部10は、前記ペアリングが完了したゲスト端末を除く他のゲスト端末が存在するか確認し、存在する場合にはそのゲスト端末からワンタイムキーデータが届かない状態が予め決めた一定時間(P秒)を経過したか否か判断し、経過していまい場合にはステップS7へ処理を戻す。一方、前記ワンタイムキーデータが届かない状態が一定時間(P秒)経過した場合、制御部10は、それらゲスト端末に対してはペアリングを行わないとして、このフローチャートの処理を終了する。
【0113】
図6は、ゲスト端末側の処理を示している。なお、図6のフローチャートのうち、ステップS1およびステップS2は、図5の対応したステップと同じである。
【0114】
この図6のステップS2においてゲスト端末が選択されることによりステップS23の処理に進むと、制御部10は、前記振動波形検出部14による振動波形検出動作をスタートさせ、当該振動波形検出部14が振動波形を検出した場合にはその振動波形データを前記記憶部15の一時メモリに記憶させる。
【0115】
次に、制御部10は、ステップS24の処理として、近距離無線通信部12を通じて、ホスト端末側から前記振動波形記録の中止を要求するコマンドが送られてきたか否か判断する。当該ステップS24の判断処理において、制御部10は、前記中止要求コマンドを受け取っていない間は前記振動波形データの記録を継続し、一方、中止要求コマンドを受け取ったと判断した場合にはステップS25へ処理を進める。なお、この図6のフローチャートの場合、制御部10は、前記中止要求コマンドを受け取るまで振動波形データの記録を継続するが、例えば予め決めた一定時間を経過しても前記中止要求コマンドが送られてこない場合には、例えば振動波形記録を停止する旨のメッセージを前記表示部11に表示させた後、当該フローチャートの処理を終了してもよい。
【0116】
前記中止要求コマンドを受け取ったことでステップS25の処理に進むと、制御部10は、前記振動波形データの記録を中止し、前記記憶部15の一時メモリに記憶させている振動波形データのうち、ラストn秒分の振動波形データすなわち前記中止要求コマンドを受け取った時点からn秒分前に遡った振動波形データを、前記ワンタイムキーデータとして前記記憶部15に記憶させる。そして、制御部10は、当該ワンタイムキーデータを、近距離無線通信部12を通じてホスト端末へ送信させる。このステップS25の処理後、制御部10は、ステップS26へ処理を進める。
【0117】
ステップS26の処理に進むと、制御部10は、前記近距離無線通信部12を通じて前記ホスト端末から前記ペアリング完了通知を受け取ったか否か判定する。そして、前記ペアリング完了通知を受け取った場合、制御部10は、ペアリングが完了したして、このフローチャートの処理を終了する。
【0118】
一方、ペアリング完了通知を受け取っていない場合、制御部10は、ステップS27へ処理を進め、例えば一定時間(R秒)待機して、その一定時間経過してもペアリング完了通知を受け取れなかった場合には、例えばペアリング失敗のエラーメッセージを前記表示部11に表示させた後、このフローチャートの処理を終了する。
【0119】
次に、図7を参照しながら、前記第五の実施形態のように、アクセスポイントリスト内のIDおよび自端末のIDを基に、各無線通信端末が例えば自らホスト端末になるまでの処理の流れを説明する。すなわち、図7のフローチャートは、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動した後、当該プログラムにより管理される近距離無線通信のペアリングモードが、端末が自らホスト端末若しくはゲスト端末になることを決定する自動選択モードになされている場合の処理の流れを示している。
【0120】
図7において、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動し、さらにペアリングモードが自動選択モードになされている場合、制御部10は、ステップS31の処理として、前述のステップS1と同様に、前記近距離無線通信部12を制御して前記近距離無線通信が可能なエリア内に存在する全ての無線通信装置をスキャンさせる。そして、制御部10は、当該スキャンにより得られた全ての無線通信端末のIDを含むアクセスポイントリストを生成する。また、制御部10は、必要に応じて、そのアクセスポイントリストを表示部11の画面上に表示させる。このステップS31の処理後、制御部10は、ステップS32へ処理を進める。
【0121】
ここで、前記アクセスポイントリストとして、図8に示すような各種無線通信装置のカテゴリ名称とそれら各装置のIDとが得られたとする。すなわちこの図8に示したアクセスポイントリストには、例えば、IDが“B456789”のテレビジョン受像機、IDが“E982443”のプリンタ、IDが“F723332”のルータ、IDが“A123456”の携帯電話機、IDが“C234566”の携帯電話機、IDが“D345678”の携帯ゲーム機、IDが“I236123”の据え置きゲーム機、IDが“H235221”のPDA、IDが“J346112”のデジタルカメラ、IDが“G123432”のパーソナルコンピュータ、IDが“K235156”の携帯ゲーム機等が挙げられている。
【0122】
当該図8に例示したアクセスポイントリストが生成された場合において、図7のステップS32の処理に進むと、制御部10は、自端末のIDと前記アクセスポイントリスト内の各IDについて所定桁の値を比較し、当該所定桁の値が同じとなるIDが二つ以上存在しているか否か調べる。
【0123】
本実施形態では、前記アクセスポイントリストの各IDについて、一例として先ず最下位桁の値を比較し、当該最下位桁の値が同じとなっているIDが二つ以上存在しているか否か調べる。前記ソートした各IDにおいて当該最下位桁の値が同じとなるIDが二つ以上存在している場合、制御部10は、比較対象の桁数を一つ増やして下位二桁分の値について各IDを比較し、当該下位二桁分の値が同じとなっているIDが存在しているか否か調べる。以下同様に、制御部10は、所定桁分の値が同じとなるIDが存在しなくなるまで前記比較と一桁分の増加を繰り返す。そして、所定桁分の値が同じとなるIDが存在しないと判定した場合、制御部10は、ステップS33へ処理を進める。
【0124】
なお、図7のフローチャートのステップS32の例では、下位側三桁分の値まで処理が進められた時に、それら下位側三桁分の値が同じとなるIDが存在しなくなった例を挙げている。また、この例では、下位側の桁から前記値の比較を開始したが、上位側の桁から値の比較を行うようにしてもよい。
【0125】
ステップS33の処理に進むと、制御部10は、前記所定桁分の値が異なる各IDについて、前記所定桁数内の数値の順に各IDを並べ替える。本実施形態では、前記下位側三桁分の数値の大きい順に各IDを並べ替える例を挙げている。当該ステップS33のソート処理後、制御部10は、ステップS34へ処理を進める。なお、ステップS33の例では、前記所定桁分の数値の大きい順に各IDをソートしたが、数値の小さい順に各IDをソートしてもよい。
【0126】
ステップS34の処理に進むと、制御部10は、前記ソートされた各IDの中から、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムに対応可能なカテゴリおよびバージョンの機器で且つ当該ペアリング制御アプリケーションプログラムが実行されている状態の各IDのみを判定対象とし、自端末に対応したIDが前記所定桁分の数値で1位になっているか判定する。すなわち、本実施形態の場合、前記ソートされた各IDの中で、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが実行されていて且つ自端末と同じカテゴリに属し、さらにバージョンも対応している端末のIDのみを対象とし、自端末のIDが前記所定桁分の数値内で1位になっているか判定する。
【0127】
なお、図7のフローチャートの例の場合、例えばID“A123456”の自端末は携帯型の無線通信端末のカテゴリに属し、一方、例えばID“B456789”のテレビジョン受像機は据え置き型装置のカテゴリに属し、それらはカテゴリが異なっている。このため、当該“B456789”のIDは前記判定対象から除外される、また、この例の場合、残りの各ID“A123456”,“C2345667”,“D345678”に各IDに対応した無線通信端末が、本実施形態のペアリング制御に対応したバージョンとなされており、且つ本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムを実行しているとする。したがって、この図7の例の場合、それら各ID“A123456”,“C2345667”,“D345678”の中で、自端末のID“A123456”が前記下位側三桁分の数値内で1位になっているか判定する。
【0128】
そして、当該ステップS34の判定処理において、自端末のIDが前記所定桁分の数値内で1位であると判定した場合、制御部10は、自端末をホスト端末に設定し、前述の図5のステップS3以降へ処理を進める。
【0129】
一方、自端末のIDが前記所定桁分の数値内で1位でないと判定した場合、制御部10は、ステップS35へ処理を進め、自端末をゲスト端末に設定する。
【0130】
なお、図7のフローチャートの場合、前記判定対象となる各ID“A123456”,“C2345667”,“D345678”の中で、前記下位側三桁分の数値内で1位になっているのは、“D345678”のIDであり、自端末のID“A123456”は1位ではないため、自端末はゲスト端末に設定されることになる。このステップS35の処理後、制御部10は、ステップS36へ処理を進める。
【0131】
ステップS36の処理に進むと、制御部10は、前記下位側三桁分の数値内における自端末の順位に対応した所定時間分だけ、ホスト端末側から前記振動波形記録の中止を要求するコマンドが送られてくるのを待つ。
【0132】
なお、図7のフローチャートの場合、ID“A123456”の自端末は、前記下位側三桁分の数値内における順位が3位であるため、予め決められた一定時間(x秒)に自端末の順位である“3”を掛けた時間分(x秒×3)だけ、ホスト端末側から前記振動波形記録の中止を要求するコマンドが送られてくるのを待つ。
【0133】
そして、当該ステップS36の判定処理において、前記所定時間が経過する前に前記ホスト端末側から前記中止要求コマンドが送信されてきた場合、制御部10は、図6のステップS23へ処理を進める。
【0134】
一方、前記所定時間が経過しても前記ホスト端末側から前記中止要求コマンドが送られてこなかった場合、制御部10は、ステップS37へ処理を進め、自端末をホスト端末に設定し、前述の図5のステップS3以降へ処理を進める。
【0135】
[第六の実施形態のペアリング手法] 前述した第一〜第五の実施形態のペアリング手法では、ユーザ若しくは無線通信端末自身が発生させた物理的振動を、各端末の筐体やテーブル等の振動波形媒介物を介して他の無線通信端末へ伝達させることによりペアリングする例を挙げた。本発明によれば、以下の第六の実施形態のペアリング手法のように、前記物理的振動は、空気を振動波形媒介物とした場合の振動波形(音声振動波形)であってもよい。
【0136】
第六の実施形態は、前記振動波形媒介物としての空気を物理的に振動させることによる音声振動波形を利用して各無線通信端末をペアリングさせる手法を示している。
【0137】
当該第六の実施形態のペアリング手法において、複数の無線通信端末は、それら各端末間で近距離無線通信を開始するのに先立ち、前記ペアリング制御アプリケーションプログラムが起動された状態となされると、前述同様にアクセスポイントリストを生成する。
【0138】
また、第六の実施形態のペアリング手法の場合、それら複数の無線通信端末は、音声伝達が可能な近距離に配置される。すなわち、それら複数の無線通信端末は、各端末間で所定の音声による空気振動を略々同時刻に共有可能な近距離範囲内に配置される。
【0139】
なお、この場合の音量は、セキュリティ上の観点から、ペアリングしたい各無線通信端末のみに届く程度の音量とし、それら以外の無線通信装置には届かない音量にすることが望ましい。言い換えると、セキュリティ上の観点から音量を小さくした場合、それぞれペアリングしたい各無線通信端末は、当該音量の音声が届く範囲内に配置されることになる。勿論、本実施形態において、ペアリングされるべき各無線通信端末は、前述のように各端末が積み重ねられたり、筐体の一部が接触した状態等で配置されてもよい。また、本実施形態の音声振動波形の伝達によるペアリング手法と、前記第一〜第五の実施形態の前記筐体等の物理的な振動伝達によるペアリング手法とは組み合わされてもよい。
【0140】
また、本実施形態のペアリング手法においても前述同様に、それぞれが音声振動を共有可能な近距離に配置された複数の無線通信端末の中から、ペアリングの際のホストとなる端末が決められる。
【0141】
第六の実施形態の場合、前記複数の無線通信端末のうち何れがホスト端末になるのかは、例えばユーザの選択指示に応じて決められる。すなわち例えば、ユーザからホスト端末になることの指示が入力された端末がホスト端末になり、それ以外の端末はゲスト端末になる。前記ホスト端末を決めるタイミングは、各端末が前述のように近接配置される前、若しくは近接配置された後のいずれのタイミングであってもよい。また本実施形態において、ホスト端末とゲスト端末との間の相対的な配置関係は特に限定されないが、例えば、ホスト端末が備えているスピーカとゲスト端末が備えているマイクロホンとが相対応するような空間的配置、つまりホスト端末のスピーカから出力された音声がゲスト端末のマイクロホンへ入力し易い空間的配置にできれば、より望ましい。
【0142】
ここで、本実施形態において、例えば図9〜図12に示すように、ID“A123456”の無線通信端末は、例えば“B456789”,“C234567”,“D345678”の各IDを含むアクセスポイントリストを生成したとする。また、ID“C234567”の無線通信端末は、例えば“A123456”,“B456789”,“D345678”の各IDを含むアクセスポイントリストを生成したとする。同様に、ID“D345678”の無線通信端末は、“A123456”,“B456789”,“C234567”の各IDを含むアクセスポイントリストを生成したとする。そして、これら図9〜図12において、例えばユーザにより選定されたホスト端末が、前記ID“A123456”の無線通信端末であるとする。なお、図9〜図12の例において、例えばID“B456789”はテレビジョン受像機であり、本実施形態にかかる各無線通信端末から見てペアリングの対象候補とはならない。
【0143】
当該第六の実施形態において、ユーザからの指示によりホスト端末になることが決定された無線通信端末は、先ず、図10に示すように、自端末がホスト端末であることを通知するための所定の音声(以下、ホストサウンドと表記する。)を、内蔵されたスピーカから出力する。
【0144】
なお、本実施形態において、前記自端末がホスト端末であることを通知する音声(ホストサウンド)は、一例として、その端末のID“A123456”を音階に変換した音声となされる。より具体的に説明すると、当該ホストサウンドは、例えばいわゆるDTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)方式で変換された音声のように、その音声をマイクロホンで取り込んだ装置自身が機械的に認識できる音声となされることが望ましい。本実施形態では、機械認識が容易な前記DTMF方式による音声を用いる例を挙げているが、勿論、他の様々なデータ/音声変換方式を用いてもよい。
【0145】
これにより、図11に示すように、ホスト端末が生成してスピーカから出力したホストサウンドは、他の無線通信端末へ伝達されること、すなわち前記ホストサウンドの音声波による空気振動が他の無線通信端末へ伝達されることになる。
【0146】
一方、前記ホスト端末がスピーカから出力したホストサウンドを、各々内蔵されたマイクロホンにて受け取った他の各無線通信端末は、それぞれがゲスト端末となる。
【0147】
そして、それらゲスト端末は、前記ホストサウンドのDTMF音声データから前記“A123456”のIDを復元し、そのIDをそれぞれ内部のメモリに一時的に格納する。すなわち、この第六の実施形態のペアリング手法の場合、ゲスト端末は、振動波形媒介物である空気を通じてホスト端末側から伝達されてきたホストサウンドから復元したIDを、前記ワンタイムキーデータとして一時的に記憶する。
【0148】
次に、それらゲスト端末は、図12に示すように、前記ホストサウンドから復元したID“A123456”が、先に自端末において生成したアクセスポイントリストの中に存在しているか否か判定する。そして、ゲスト端末は、当該ID“A123456”が前記アクセスポイントリストの中に存在していた場合には、そのID“A123456”に対応した無線通信端末をホスト端末として認識する。
【0149】
すなわちこの第六の実施形態の場合、ゲスト端末は、先に生成したアクセスポイントリスト内のIDをワンタイムリファレンスデータとして用い、前記ホストサウンドから復元されたワンタイムキーデータのIDと一致したIDに対応する無線通信端末を、ホスト端末として認識する。
【0150】
その後、当該第六の実施形態のペアリング手法においては、これらホスト端末とゲスト端末との間でペアリングが行われる。
【0151】
このように、本発明の第六の実施形態のペアリング手法によれば、各無線通信端末は、音声伝達を通じて共有されたIDの情報を照合してペアリングを完了させることにより、各無線通信端末間の近距離無線通信を可能にしている。
【0152】
また、第六の実施形態のペアリング手法によれば、音声伝達が可能な近距離範囲内の各無線通信端末間でのみペアリングが可能となされ、音声が伝達されない或る程度遠い距離に存在する無線通信端末との間ではペアリングが行われないため、ユーザが意図しない端末間で誤ってペアリングがなされてしまうことはない。
【0153】
[第七の実施形態のペアリング手法] 前述した第六の実施形態では、ホスト端末のIDを音声(ホストサウンド)に変換して伝達し、そのホストサウンドから復元したホスト端末IDを用いてペアリングを行う例を挙げた。本発明によれば、以下の第七の実施形態のペアリング手法のように、ホスト端末のIDから生成されたホストサウンドの音声データは、そのまま、前述のワンタイムリファレンスデータおよびワンタイムキーデータとして利用してもよい。
【0154】
すなわちこの第七の実施形態のペアリング手法の場合、ホスト端末は、自端末のID“A123456”から生成したDTMF音声データに基づくホストサウンドを出力するとともに、当該ホストサウンドのDTMF音声データを、そのままワンタイムリファレンスデータとして内部のメモリに格納する。なお、この第七の実施形態の場合、前記IDから生成されるホストサウンドは、前記DTMF方式を用いて生成してもよいし、他の方式を用いて生成されてもよい。
【0155】
また、前記ホスト端末から出力されたホストサウンドを受け取った無線通信端末は、前述の第六の実施形態の場合と同様にゲスト端末となる。そして、当該ゲスト端末は、前記ホスト端末から伝達されてきたホストサウンドの音声データを、そのままワンタイムキーデータとして一時記憶する。
【0156】
次いで、前記ゲスト端末は、前記一時記憶したワンタイムキーデータからなる音声データを、ゲストサウンドとしてスピーカから出力してホスト端末へ伝達させる。
【0157】
前記ホストサウンドの出力後、他の端末から送られてきたゲストサウンドを受け取ったホスト端末は、当該ゲストサウンドの音声データつまりワンタイムキーデータと、先に内部に格納しておいた前記ワンタイムリファレンスデータとを照合する。
【0158】
そして、ホスト端末は、それらワンタイムリファレンスデータとワンタイムキーデータが一致した時に、そのゲスト端末との間でペアリングを行う。
【0159】
これにより、当該第七の実施形態のペアリング手法においても、ホスト端末と各ゲスト端末は、それぞれが相互に近距離無線通信可能となる。
【0160】
なお、この第七の実施形態の場合、前記ワンタイムリファレンスデータとワンタイムキーデータとの照合の際には、或る程度の照合マージンを持たせることが望ましい。すなわち、空気中を伝搬する音声は、空気を媒介して各端末間で直接伝達される場合だけでなく、例えば壁等に反射してから到着することもあるため、ホスト端末が出力した音声と、ゲスト端末が検知した後に当該ゲスト端末から返されてくる音声との間には、或る程度の誤差が生じている可能性がある。このため、前記ワンタイムリファレンスデータとワンタイムキーデータとの照合の際には、前記誤差分を吸収できるだけの照合マージンを持たせることにする。
【0161】
また、第七の実施形態において、音量や各端末の配置は、第六の実施形態で説明したのと同様にすることができる。
【0162】
この第七の実施形態のペアリング手法によれば、各無線通信端末は、音声伝達を通じて共有された音声データを照合してペアリングを完了させることにより、それら各無線通信端末間の近距離無線通信を可能にしている。
【0163】
また、第七の実施形態のペアリング手法によれば、第六の実施形態の場合と同様に、音声伝達が可能な近距離範囲内の各無線通信端末間でのみペアリングが可能となされ、音声が届かない或る程度遠い距離に存在する無線通信端末との間ではペアリングが行われないため、ユーザが意図しない端末間で誤ってペアリングがなされてしまうことはない。
【0164】
[第八の実施形態のペアリング手法] 前記第六,第七の実施形態のペアリング手法ではホスト端末が音声を出力する例を挙げたが、本発明の第八の実施形態のペアリング手法として、ペアリングの際に使用される音声は、例えばユーザが発声した音声、或いは、別途用意された音声出力装置が発生させた音声であってもよい。
【0165】
この第八の実施形態において、ホスト端末とゲスト端末は、前述同様に例えばユーザの選定により決められるとする。
【0166】
本実施形態のホスト端末は、例えばユーザが発声した音声や音声出力装置が出力した音声を内蔵マイクロホンを介して取り込むと、その取り込んだ音声のデータをワンタイムリファレンスデータとして内部のメモリに一時的に記憶する。
【0167】
またこの時の本実施形態のゲスト端末は、前記ユーザが発声した音声や音声出力装置が出力した音声を内蔵マイクロホンを介して取り込むと、その取り込んだ音声のデータをワンタイムキーデータとして内部のメモリに一時的に記憶する。次いで、前記ゲスト端末は、前記一時記憶したワンタイムキーデータを基に生成した音声を、スピーカから出力してホスト端末へ伝達させる。
【0168】
ホスト端末は、前記ワンタイムリファレンスデータを一時記憶した後、前記ゲスト端末から出力された音声をマイクロホンにて取り込むと、当該取り込んだ音声データをゲスト端末からのワンタイムキーデータとして扱い、当該ワンタイムキーデータを前記ワンタイムリファレンスデータと照合する。そして、ホスト端末は、それらワンタイムキーデータとワンタイムリファレンスデータが一致した時、そのゲスト端末との間でペアリングを行う。
【0169】
これにより、当該第八の実施形態のペアリング手法においても、ホスト端末と各ゲスト端末は、それぞれが相互に近距離無線通信可能となる。
【0170】
なお、この第八の実施形態の場合も第七の実施形態の場合と同様の理由により、前記ワンタイムリファレンスデータとワンタイムキーデータとの照合の際には、或る程度の照合マージンを持たせることが望ましい。また、第八の実施形態において、音量や各端末の配置は、第六の実施形態で説明したのと同様にすることができる。
【0171】
この第八の実施形態のペアリング手法によれば、各無線通信端末は、ユーザが発声した音声や別の音声出力装置が出力した音声のデータが共有され、それら音声データを照合してペアリングを完了させることにより、各無線通信端末間の近距離無線通信を可能にしている。
【0172】
また、第八の実施形態のペアリング手法によれば、第六,第七の実施形態の場合と同様に、音声伝達が可能な近距離範囲内の各無線通信端末間でのみペアリングが可能となされ、遠距離に存在する無線通信端末との間ではペアリングが行われないため、ユーザが意図しない端末間で誤ってペアリングがなされてしまうことはない。
【0173】
[第九の実施形態のペアリング手法] 前述の第六〜第八の実施形態のペアリング手法ではホスト端末をユーザが選択して決める例を挙げたが、本発明によれば、以下の第九の実施形態のペアリング手法のように、ホスト端末は、各端末間で音声を共有可能な各無線通信端末の中から自動的に決定されてもよい。
【0174】
第九の実施形態のペアリング手法において、それぞれ音声を共有可能に近接配置された状態の複数の各無線通信端末は、前述の第五の実施形態の場合と同様に、各々が、前記アクセスポイントリストの情報を元にホスト端末になるか若しくはゲスト端末になるかを判断し、その判断の結果に基づいて、自らをホスト端末或いはゲスト端末に決定する。
【0175】
ここで、当該第九の実施形態のペアリング手法では、前述の第五の実施形態で説明したのと同様に、一例としてアクセスポイントリストの中の前記IDを参照し、当該IDが例えば昇順或いは降順等で1位となった端末が、自らをホスト端末に決定し、それ以外の端末は自らをゲスト端末に設定する。その他にも例えば、各IDに対応したASCIIコードの大小順や、日時情報などのような各端末における共通定数を基準とした昇降順(日時の早い順や遅い順)を利用して、各端末が、ホスト端末になるか或いはゲスト端末になるかを決定してもよい。
【0176】
なお、各IDの参照の際には、前述の第五の実施形態の場合と同様に、それら各IDの下位所定桁数若しくは上位所定桁数或いは中位所定桁数の情報のみを用いて、前記昇順或いは降順で1位となるか否かを判断する。また、前記所定桁数の情報が同一となるIDが二以上存在する場合も前述同様に、その桁数にさらに一桁分を一加えたものを新たな所定桁数の情報として前記昇降順を判定する処理を、その際の所定桁数の情報が同一となるIDが一つのみになるまで繰り返す。
【0177】
また、前記IDを参照する際、第九の実施形態の無線通信端末は、前述の第五の実施形態の場合と同様に、前記アクセスポイントリストの中の前記カテゴリ情報、バージョン情報、電波レベル情報等を参照することにより、前記アクセスポイントリストの各IDに対応した他の無線通信装置がペアリングの候補対象となるか否かをを判定する。そして、本実施形態にかかる各無線通信端末は、前記ペアリングの候補対象となされた端末に対応したIDのみを参照して、それぞれが自らホスト端末になるか若しくはゲスト端末になるかを判断する。
【0178】
この第九の実施形態のペアリング手法においては、前述のようにして自動的に決定されたホスト端末とゲスト端末が、前述の第六〜第八の各実施形態の何れかのペアリング手法と同様にしてペアリングを完了させる。これにより、当該第九の実施形態のペアリング手法においても前述の各実施形態と同様に、前記ペアリングが完了した各無線通信端末は近距離無線通信が可能となる。
【0179】
また、第九の実施形態のペアリング手法においては、ホスト端末が自動的に決定されるため、ユーザが予めホスト端末を決定するような作業が不要となる。
【0180】
[第十の実施形態のペアリング手法] 本発明によれば、以下の第十の実施形態のペアリング手法のように、各々近傍に配置されている二以上の無線通信端末が、例えばタッピングなどにより発生された外部音を略々同時に受音した時、その外部音の受音をトリガとして、それぞれが独自の音声を略々同時に発生し、それら各端末が各々受音した独自音に基づいてホスト端末或いはゲスト端末を自動判定することも可能となされている。
【0181】
ここで、当該第十の実施形態のペアリング手法において、前記各無線通信端末が独自音を発生する際のトリガとなる外部音(以下、トリガ音と表記する。)は、例えば何らかの物を指等によりタップしたタッピング音のように、通常の音環境下では発生することが少ない音であることが望ましい。すなわち、例えば通常の音環境下で発生する頻度が高い音である場合には、周囲の音環境下で偶然に発生した当該音の受音により、ユーザ等が意図していないにもかかわらず本実施形態のペアリング処理が開始されてしまう虞があるが、前記タッピング音のように通常の音環境下で発生する頻度が少ない音をトリガ音とすれば、誤ってペアリング処理が開始されてしまうのを防ぐことができる。
【0182】
また、当該第十の実施形態のペアリング手法において、前記各無線通信端末がそれぞれ独自に発生する音声は、例えば、各端末毎にそれぞれ異なった独自の周波数の音声、各端末毎にそれぞれ異なった独自の音程の音声、各端末毎にそれぞれ異なった独自の音量の音声、各端末毎にそれぞれ異なった独自のメロディーの組み合わせからなる音声、予め定めた符号化方式に従って伝達対象情報を符号化した音声信号に基づいて生成される各端末毎にそれぞれ異なった独自の音声などを挙げることができる。
【0183】
前記各端末毎にそれぞれ異なった独自の周波数の音声としては、例えばその音声を発生する無線通信端末のIDに対応した周波数をベースとしたトーンの音声が挙げられる。すなわち一例として、無線通信端末のIDの例えば下位三桁が「123」であったとした場合、その端末の独自の周波数の音声としては、周波数が1230Hz等の音声を挙げることができる。このように、各無線通信端末がそれぞれ異なった独自の周波数の音声を発生させた場合、その音声を受音した端末は、当該受音した音声の周波数から前記IDの下位三桁を復元する。なおここでは、IDの数値をそのまま周波数に対応させた例を挙げたが、例えばIDの数値に対応した周波数を任意に設定することも可能であり、その対応表を基にIDから周波数を決めるようにしてもよい。その他、上述の例では、IDの下位三桁を例に挙げたが、他の桁を用いてもよく、また、各桁の数値に対して何らかの重み付けをして得られた値を基に周波数を決めるようにしてもよい。
【0184】
前記各端末毎にそれぞれ異なった独自の音程の音声としては、例えばその音声を発生する無線通信端末のIDに対応した音程の音声が挙げられる。一例として、無線通信端末のIDの例えば下位三桁が「123」であったとした場合、その端末の独自の音程の音声としては、例えばIDの数値「1」に対応した「ド」の音、数値「2」に対応した「レ」、の音、数値「3」に対応した「ミ」の音からなる「ド,レ,ミ」の各音階の音声等を挙げることができる。このように、各無線通信端末がそれぞれ異なった独自の音程の音声を発生させた場合、その音声を受音した端末は、当該受音した音声の音程から前記IDの下位三桁を復元する。なおここでは、IDの数値が予め決められた音階に対応付けられている例を挙げたが、IDの数値と各音階の音との対応は任意に設定することも可能であり、その対応表を基にIDから各音程の音を決めるようにしてもよい。その他、前記IDの下位三桁ではなく他の桁を用いてもよく、また、各桁の数値に対して何らかの重み付けをして得られた値を基に各音程を決めるようにしてもよい。
【0185】
前記各端末毎にそれぞれ異なった独自のメロディーの組み合わせからなる音声としては、例えばその音声を発生する無線通信端末のIDに対応したメロディーの組み合わせからなる音声が挙げられる。一例として、無線通信端末のIDの例えば下位三桁が「123」であったとした場合、その端末の独自のメロディーの組み合わせからなる音声としては、例えばIDの数値「1」に対応した「メロディー1」と、数値「2」に対応した「メロディー2」と、数値「3」に対応した「メロディー3」とからなる「メロディー1,メロディー2,メロディー3」の組み合わせ等を挙げることができる。なお、メロディー1,メロディー2,メロディー3はそれぞれ異なるメロディーである。このように、各無線通信端末がそれぞれ異なった独自のメロディーの組み合わせからなる音声を発生させた場合、その音声を受音した端末は、当該受音した音声のメロディーの組み合わせから前記IDの下位三桁を復元する。またここでは、IDの数値を予め決められたメロディーに対応させた例を挙げたが、IDの数値に対応付けられるメロディーは任意に設定することも可能であり、その対応表を基にIDから各メロディーの組み合わせを決めるようにしてもよい。その他、IDの下位三桁ではなく他の桁を用いてもよく、また、各桁の数値に対して何らかの重み付けをして得られた値を基に各メロディーを決めるようにしてもよい。
【0186】
前記予め定めた符号化方式に従って伝達対象情報を符号化した音声信号に基づいて生成される各端末毎にそれぞれ異なった独自の音声としては、例えば特開2003−186500号公報に記載の技術を適用した音声を挙げることができる。一例として、無線通信端末のIDの下位三桁を伝達対象情報として用いた場合、その端末の独自の音声としては、当該IDの下位三桁を予め定めた符号化方式に従って符号化した音声信号に基づく音声が挙げられる。またこの例において、前記独自の音声は、予め定めた符号化方式に従って前記IDの下位三桁を中間コードに変換し、その中間コードに基づく音声情報に音楽アレンジ情報を付加した音声としてもよい。ここで、前記中間コードは、例えば音の高さ、音の長さとすることができる。また例えば、中間コードを音の高さとした場合、前記音楽アレンジ情報は、音の長さや音色などにすることができる。また、中間コードを音の長さとした場合、メロディーや音高や音色などについては、任意にアレンジすることができる。このアレンジにおいて、既存の曲の一部において所定の音要素を変更することにより、既存の曲内に前記IDの下位三桁を組み込むことも可能である。またこの例において、中間コードは、いわゆるMIDI(Musical Instrument Digital Interface)のフォーマット上のパラメータが対応付けられてもよい。すなわち、MIDI信号は、音高、音量、音長、音色などのパラメータからなっており、中間コードがそれらのどのパラメータに該当するかによって、該当するパラメータのみを中間コードに従って決定することができる。
【0187】
また、当該第十の実施形態のペアリング手法において、前記独自の音声の発生および受音に基づくホスト端末の決定は、前述したような各端末のIDの順位や、各IDに対応したASCIIコードの大小順、日時情報などのような各端末における共通定数を基準とした昇降順に基づいて行われる。
【0188】
以下、図13〜図16を参照して第十の実施形態のペアリング手法について具体的に説明する。
【0189】
図13〜図16に示すように、複数の無線通信端末は、それら各端末間で近距離無線通信を開始するのに先立ち、前記ペアリング制御アプリケーションプログラムが起動された状態となされると、前述同様にアクセスポイントリストを生成する。また、それら複数の無線通信端末は、音声伝達が可能な近距離に配置される。すなわち、それら複数の無線通信端末は、各端末間で所定の音声による空気振動を略々同時刻に共有可能な近距離範囲内に配置される。なお、アクセスポイントリストは、前述の図9〜図12の例と同様のものが生成されたとする。
【0190】
この第十の実施形態のペアリング手法において、図13に示すように、例えばユーザが何らかの物を指等によりタップしたことによるタッピング音(トリガ音)が発生すると、前記音声伝達が可能な近距離に配置されている各無線通信端末は、そのタッピング音をマイクロホンにより受音することになる。
【0191】
当該タッピング音を受音した各無線通信端末は、図14に示すように、それぞれが前述した独自の音声を略々同時にスピーカから出力する。これにより、それら近距離配置されている各無線通信端末は、相互に他の端末が出力した前記独自音をマイクロホンにより受音することになる。
【0192】
前記他の端末からの独自声を取り込んだ無線通信端末は、図15に示すように、当該取り込んだ独自音から、その独自音を出力した端末のID(例えばIDの下位三桁)を復元して内部のメモリに一時的に格納する。すなわちこの例の場合、ID“A123456”の無線通信端末は、前記独自音を受音できた他の端末のIDとして“C234567”と“D345678”を復元する。同様に、ID“C234567”の無線通信端末は、他の端末のIDとして“A123456”と“D345678”を復元し、ID“D345678”の無線通信端末は、他の端末のIDとして“A123456”と“C234567”を復元する。なお、この例の場合、ID“B456789”の無線通信装置は、前記トリガ音を受音できない距離に存在しており、従って独自音も発生しないため、前記各端末において当該“B456789”のIDは復元されない。
【0193】
またこの時の無線通信端末は、前記独自音から復元したIDが、先に自端末において生成したアクセスポイントリストの中に存在しているか否か判定する。そして、無線通信端末は、前記独自音から復元したIDが前記アクセスポイントリストの中に存在している場合に、そのIDに対応した無線通信端末をペアリング可能な端末として把握する。すなわち、この例の場合、ID“A123456”の無線通信端末は、ペアリング可能な端末としてID“C234567”とID“D345678”の端末を把握する。同様に、ID“C234567”の無線通信端末は、ペアリング可能な端末としてID“A123456”とID“D345678”の端末を把握し、ID“D345678”の無線通信端末は、ID“A123456”とID“C234567”の端末を把握する。なお、この例の場合、前述したようにID“B456789”の無線通信装置は、トリガ音を受音できず、また独自音も出力しないため、前記各端末において当該ID“B456789”の無線通信装置はペアリング可能な装置として把握されない。
【0194】
その後、前記ペアリング可能な他の端末を把握した各無線通信端末は、前述したように、各端末のIDの順位や各IDに対応したASCIIコードの大小順、日時情報などのような各端末における共通定数を基準とした昇降順に基づいて、図16に示すようにホスト端末を決定する。すなわち、この例の場合、ID“A123456”の無線通信端末がホスト端末となり、他のID“C234567”とID“D345678”はそれぞれゲスト端末となる。より具体的に説明すると、ID“A123456”の無線通信端末は、自端末をホスト端末とし、他のID“C234567”とID“D345678”の端末をそれぞれゲスト端末としてペアリングを行う。また、ID“C234567”とID“D345678”の両無線通信端末は、それぞれID“A123456”の無線通信端末をホスト端末として認識し、自端末をゲスト端末としてペアリングを行う。
【0195】
この第十の実施形態のペアリング手法によれば、例えばタッピング音のようなトリガ音の受音により処理が開始され、また各端末がそれぞれ独自音によりID等の情報を相互に受け渡し可能となされているため、例えば同じ音声変換方式のみを用いてID等の情報を受け渡しする場合と比較して、各端末とIDとの対応関係を誤認識する虞が少ない。
【0196】
また、第十の実施形態の場合の前述の第六〜第九の実施形態と同様に、音声が届く近距離範囲内の無線通信端末間でのみペアリングが行われるため、安全性が高い。
【0197】
さらに、当該第十の実施形態は、前述の第九の実施形態と同様にホスト端末およびゲスト端末が自動的に決定されるため、ユーザが予めホスト端末を決定するような作業が不要である。
【0198】
なお、第十の実施形態では、独自音により各端末間でIDを相互に受け渡す例を挙げたが、例えば独自のバイブレータ振動などにより各端末間でIDを相互に受け渡すようにしてもよい。但しこの場合、各端末間には、例えば前述した筐体や机等のようにバイブレータ振動波形を伝達可能な振動波形媒介物が必要となる。
【0199】
[本発明実施形態の無線通信端末の概略構成] 図17には、前述した第六〜第十の実施形態に対応可能な無線通信端末の概略的なブロック構成を示す。なお、図17は、本発明実施形態に係る主要な構成のみを図示している。すなわち本実施形態の無線通信端末は、一般的な無線通信端末が備えている各種構成要素についても当然備えているが、図17ではそれらの図示は省略している。
【0200】
この図17において、近距離無線通信部12は、図4の構成と同様に、近距離無線通信用のアンテナ13を備え近距離無線通信を行う。
【0201】
マイクロホン17は、外部の音声を取り込む。本実施形態の場合、前記マイクロホン17は、取り込んだ外部音声の信号を増幅する増幅器と、当該増幅後の外部音声のアナログ信号をデジタルデータに変換するアナログデジタル変換器をも備えている。すなわち、本実施形態の場合、マイクロホンは、空気を介して伝達される物理的な音声振動波形を検出するための振動波形検出部の機能を備えている。そして、当該マイクロホン17からのデジタル音声データは、制御部10へ送られる。なお、例えば前述の第六〜第十の実施形態のように音声データをペアリングの際に用いる場合、当該音声データは制御部10による制御の基で記憶部15に一時的に格納されることになる。
【0202】
スピーカ18は、外部へ音声を出力する。本実施形態の場合、スピーカ18は、例えば制御部10等から供給されたデジタル音声データをアナログ音声信号に変換するデジタルアナログ変換器と、そのアナログ音声信号を増幅する増幅器をも備えている。すなわち本実施形態の場合、スピーカ18は、空気を介して伝達する物理的な音声振動波形を生成する振動波形生成部の機能を備えている。
【0203】
記憶部15は、前述の図4の構成と同様のメモリからなる。当該記憶部15の書き換え可能なROMは、前述同様にOSのプログラムとデバイスドライバ等の各種プログラム、自端末のID、各種の初期設定値、本発明の第六〜第十の実施形態の何れか若しくはそれらを組み合わせたペアリング制御アプリケーションプログラムを含む各種様々なアプリケーションプログラム等を格納している。また、書き換え可能なROMは、前述のアクセスポイントリストの情報およびそのリストに使用されるID等の各種情報をも格納可能となされている。RAMは、制御部10が各種のデータ処理を行う際の作業領域、一時的にデータを記憶するバッファ領域として使用される。またRAMは、例えば前述の第六〜第十の実施形態のように音声データをペアリングの際に用いる場合には、前記マイクロホン17にて取り込まれた音声データを一時的に格納し、また、ペアリングの際に使用されるワンタイムリファレンスデータ若しくはワンタイムキーデータを一時的に格納する一時メモリとしても使用可能となされている。その他にも、記憶部15は、前述同様に、当該無線通信端末が扱う各種のデータも記憶する。また本実施形態においても、図4の例と同様に、当該記憶部15に格納されている各種データや本発明の各実施形態にかかるペアリング制御アプリケーションプログラムを含む各種アプリケーションプログラムは、工場出荷時などに予め用意されているものだけでなく、無線通信や外部ケーブルを介して取得したり、それらアプリケーションプログラムが記憶された外部メモリ等の記憶媒体から取得することも可能となされている。
【0204】
表示部11は、前述の図4の構成と同様に、本実施形態の無線通信端末の筐体上に設けられているディスプレイパネルとそのディスプレイパネルを駆動するためのディスプレイ駆動回路とからなる。そして、表示部11は、例えば前述したアクセスポイントリストも表示可能となされている。
【0205】
他構成部16は、前述の図4の構成と同様に、無線通信端末が通常備えている各種構成を纏めたブロックである。
【0206】
制御部10は、前記近距離無線通信部12やマイクロホン17、スピーカ18、記憶部15,表示部11、他構成部16等のような本実施形態の無線通信端末の各構成要素の動作を制御し、さらに、必要に応じて各種の演算をも行う。また、制御部10は、記憶部15に記憶されている本発明の第六〜第十の実施形態の何れか若しくはそれらを組み合わせたペアリング制御アプリケーションプログラムを含む各種プログラムを、必要に応じて起動し、実行する。なお、例えば第六の実施形態のように、端末のIDを変換してDTMFの音声データを生成するような場合、当該制御部10は、前記IDからDTMFの音声データを生成する処理や、TDMFの音声データからID等を復元する処理も実行する。なお、当該IDからDTMFの音声データを生成する処理、TDMFの音声データからID等を復元する処理は、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムに含まれていてもよいし、別のアプリケーションプログラムとして別途用意されていてもよい。また、第十の実施形態のように、前記独自音を発生する場合、制御部10は、当該独自音を発生する処理や、他端末が発生した独自音からその端末のID等を復元する処理をも実行する。
【0207】
[音声データを利用するペアリング制御アプリケーションプログラムの実行時の処理フロー] 図18と図19には、前記音声を利用するペアリング制御アプリケーションプログラムを制御部10が実行することによるペアリング処理のフローチャートを示す。なお、図18は、前記第六の実施形態のように、ユーザ選択によりホスト端末が決められ、ホスト端末のIDが前記DTMFの音声に変換されて出力され、ゲスト端末にてアクセスポイントリスト内のID照合が行われることで、それらホスト端末とゲスト端末のペアリング処理が完了するまでのフローチャートを示している。また、図19は、前記第九の実施形態のように、アクセスポイントリスト内のIDを基に各無線通信端末が自らホスト端末若しくはゲスト端末になるまでのフローチャートを示している。
【0208】
先ず図18のフローチャートを参照しながら、本発明の第六の実施形態のように、ユーザによるホスト端末の選択から各端末のペアリングが完了するまでの一連の処理の流れを説明する。なお、図18のフローチャートは、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動した後、当該プログラムにより管理される近距離無線通信のペアリングモードが、ユーザ選択モードになされている場合の処理の流れを示している。
【0209】
この図18において、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動し、さらにペアリングモードがユーザ選択モードになされている場合、制御部10は、先ずステップS51の処理として、前記近距離無線通信部12を制御することにより前記近距離無線通信が可能なエリア内に存在する全ての無線通信装置をスキャンさせる。そして、制御部10は、当該スキャンにより得られた全ての無線通信端末のアクセスポイントリストを生成する。また、制御部10は、必要に応じて、そのアクセスポイントリストを表示部11の画面上に表示させる。このステップS51の処理後、制御部10は、ステップS52へ処理を進める。
【0210】
ステップS52の処理に進むと、制御部10は、さらにユーザから自端末をホスト端末にする旨、つまり前述のように自端末のIDから生成したホストサウンドを出力する端末にする旨の選択指示が入力されたか否かを判断する。なお、ユーザがホスト端末或いはゲスト端末の何れかを選択する際のユーザインターフェースは特に限定されず、例えばタッチパネルやキーボタンを用いた選択、或いは音声を介した選択など何れが用いられてもよい。また、制御部10は、ユーザからの選択指示に応じた決定の他に、例えばホスト端末を選択する指示が一定時間以内に入力されなかった時には自動的に自端末をゲスト端末に決定したり、逆に、ゲスト端末を選択する指示が一定時間以内に入力なされなかった時には自動的に自端末をホスト端末に決定してもよい。このステップS52の判断処理において、制御部10は、ホストサウンドを出力する端末に選択された場合にはステップS53へ処理を進め、それ以外の場合(ゲスト端末が選択された場合)にはステップS55へ処理を進める。
【0211】
ステップS53の処理に進むと、制御部10は、前記記憶部15に格納されている自端末のIDを例えば前記DTMFにより音声データに変換してスピーカ18から出力させる。このステップS53の処理後、制御部10は、ステップS54へ処理を進める。
【0212】
ステップS54の処理に進むと、制御部10は、前記近距離無線通信部12を通じて、ゲスト端末からペアリングの接続完了通知を受け取ったか否か判断する。当該ステップS54の判断処理において、ゲスト端末から接続完了通知を受け取ったと判断すると、制御部10は、ペアリングが完了したとして、この図18のフローチャートの処理を終了する。なお、この図18のフローチャートの場合、制御部10は、ゲスト端末から接続完了通知を受け取るまでステップS54の判断処理を続けるが、例えば予め決めた一定時間を経過しても前記接続完了通知を受け取れなかった場合には、例えばペアリング失敗のエラーメッセージを前記表示部11に表示させた後、当該フローチャートの処理を終了してもよい。或いは、予め決めた一定時間を経過しても前記ゲスト端末から接続完了通知を受け取れなかった場合、制御部10は、ステップS53へ処理を戻して再度ホストサウンドを出力する処理を、例えば二回や三回等、所定回数繰り返すようにしてもよい。
【0213】
また前記ステップS52にてゲスト端末が選択されてステップS55の処理に進んだ場合、制御部10は、ホスト端末が出力したホストサウンドをマイクロホン17で取り込むことができたか否か判断する。当該ステップS55において、ホストサウンドを取り込むことができたと判断した場合は、ステップS56へ処理を進める。なお、この図18のフローチャートの場合、制御部10は、ホストサウンドを取り込めるまでステップS55の判断処理を続けるが、例えば予め決めた一定時間を経過しても前記ホストサウンドを取り込めなかった場合には、例えばペアリング失敗のエラーメッセージを前記表示部11に表示させた後、当該フローチャートの処理を終了してもよい。
【0214】
前記ステップS55においてホストサウンドを取り込めたと判断してステップS56の処理に進むと、制御部10は、前記ホストサウンドからホスト端末のIDを復元する。このステップS56の処理後、制御部10は、ステップS57へ処理を進める。
【0215】
ステップS57の処理に進むと、制御部10は、先に生成しておいたアクセスポイントリストの中に、ステップS56で復元したホスト端末のIDが含まれているか否か判断し、含まれている場合にはステップS58へ処理を進める。
【0216】
一方、アクセスポイントリスト内に、ホストサウンドから復元したIDと一致するIDが前記アクセスポイントリスト内に含まれていなかった場合、制御部10は、ステップS59へ処理を進め、例えばペアリング失敗のエラーメッセージを前記表示部11に表示させた後、当該フローチャートの処理を終了する。
【0217】
前記ホストサウンドから得られたIDと一致するIDがアクセスポイントリスト内に存在したと判断してステップS58の処理に進むと、制御部10は、当該一致したIDに対応した端末とペアリングを行う。そして、制御部10は、前記ペアリングが完了すると、近距離無線通信部12を通じて、前記一致したIDに対応した端末へペアリングの完了通知を送信させる。
【0218】
その後、制御部10は、このフローチャートの処理を終了する。
【0219】
次に、図19を参照しながら、前記第九の実施形態のように、アクセスポイントリスト内のIDを基に各無線通信端末が例えば自らホスト端末になるまでの処理の流れを説明する。すなわち、図19のフローチャートは、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動した後、当該プログラムにより管理される近距離無線通信のペアリングモードが、自動選択モードになされている場合の処理の流れを示している。
【0220】
図19において、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動し、さらにペアリングモードが自動選択モードになされている場合、制御部10は、ステップS71の処理として、前述のステップS51と同様に、前記近距離無線通信部12を制御して前記近距離無線通信が可能なエリア内に存在する全ての無線通信装置をスキャンさせる。そして、制御部10は、当該スキャンにより得られた全ての無線通信端末を含むアクセスポイントリストを生成する。また、制御部10は、必要に応じて、そのアクセスポイントリストを表示部11の画面上に表示させる。このステップS71の処理後、制御部10は、ステップS72へ処理を進める。
【0221】
ここで、例えば前述の図8に例示したようなアクセスポイントリストが生成された場合において、ステップS72の処理に進むと、制御部10は、前述の図7のフローチャートと略々同様に、前記アクセスポイントリストの各IDについて所定桁分の値を比較し、当該所定桁分の値が同じとなるIDが二つ以上存在しているか否か調べる。そして、所定桁分の値が同じとなるIDが存在しないと判定すると、制御部10は、ステップS73へ処理を進める。
【0222】
ステップS73の処理に進むと、制御部10は、前述の図7のフローチャートと略々同様に、前記所定桁分の値が異なる各IDについて、前記所定桁数内の数値の順に各IDを並べ替える。そして、当該ステップS73のソート処理後、制御部10は、ステップS74へ処理を進める。
【0223】
ステップS74の処理に進むと、制御部10は、前述の図7のフローチャートと略々同様に、前記ソートされた各IDの中から、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムに対応可能なカテゴリの機器の各IDのみを判定対象とし、自端末に対応したIDが前記所定桁分の数値で1位になっているか判定する。そして、当該ステップS74の判定処理において、自端末のIDが前記所定桁分の数値内で1位であると判定した場合、制御部10は、自端末をホスト端末に設定し、前述の図18のステップS53以降へ処理を進める。
【0224】
一方、自端末のIDが前記所定桁分の数値内で1位でないと判定した場合、制御部10は、前述の図7のフローチャートと略々同様に、ステップS75へ処理を進め、自端末をゲスト端末に設定する。このステップS75の処理後、制御部10は、ステップS76へ処理を進める。
【0225】
ステップS76の処理に進むと、制御部10は、前述の図7のフローチャートと略々同様に、前記自端末の順位に対応した所定時間分だけ、ホスト端末側からの前記ホストサウンドを待つ。なお、図19のフローチャートの場合、前述の図7のフローチャートと略々同様に、予め決められた一定時間x秒に自端末の順位である“3”を掛けた時間分(x秒×3)だけ、ホスト端末側からのホストサウンドを待つ。
【0226】
そして、当該ステップS76の判定処理において、前記所定時間が経過する前に前記ホスト端末側からのホストサウンドがあった場合、制御部10は、図18のステップS55へ処理を進める。
【0227】
一方、前記所定時間が経過しても前記ホスト端末側からのホストサウンドが得られなかった場合、制御部10は、ステップS77へ処理を進め、自端末をホスト端末に設定し、前述の図18のステップS53以降へ処理を進める。
【0228】
次に、図20と図21は、前記第十の実施形態に対応したペアリング制御アプリケーションプログラムを制御部10が実行することによるペアリング処理のフローチャートを湿している。なお、これら図20と図21のフローチャートは、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動した後、当該プログラムにより管理される近距離無線通信のペアリングモードが、自動選択モードになされている場合の処理の流れを示している。また、図20は、特にホスト端末(この例ではID“A123456”の無線通信端末)が決定される際のフローチャートを示し、図21は、ゲスト端末(この例ではID“C234567”の無線通信端末)がホスト端末を認識する際のフローチャートを示している。
【0229】
先ず、図20のフローチャートから説明する。
【0230】
図20のフローチャートにおいて、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動し、さらにペアリングモードが自動選択モードになされている場合、制御部10は、ステップS91の処理として、前述のステップS71と同様に、前記近距離無線通信部12を制御して前記近距離無線通信が可能なエリア内に存在する全ての無線通信装置をスキャンさせる。そして、制御部10は、当該スキャンにより得られた全ての無線通信端末を含むアクセスポイントリストを生成する。また、制御部10は、必要に応じて、そのアクセスポイントリストを表示部11の画面上に表示させる。このステップS91の処理後、制御部10は、ステップS92へ処理を進める。
【0231】
なお、ステップS92の処理は、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動済みで且つ前記トリガ音を検出可能な近距離内に存在する各無線通信端末で共通の処理となる。このステップS92の処理に進んだ場合、制御部10は、前記タッピング音のようなトリガ音の検出待ち状態となる。前述の第十の実施形態の場合、当該ステップS92において、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動済みで且つ前記トリガ音を検出可能な近距離内に存在する各無線通信端末は、前述したようにID“A123456”の無線通信端末と、ID“C234567”の無線通信端末、および、ID“D345678”の無線通信端末となる。
【0232】
次に、制御部10は、ステップS93の処理として、前記タッピング音のようなトリガ音がマイクロホン17により受音されたか否か判定する。当該ステップS93の判定処理において、トリガ音が検出された場合、制御部10は、ステップS94へ処理を進め、一方、トリガ音が聞こえていない場合には、ステップS91へ処理を戻す。なお、この図20のフローチャートの場合、制御部10は、トリガ音が聞こえるまでステップS93の判断処理を続けるが、例えば予め決めた一定時間を経過しても前記トリガ音が検出されなかった場合には、例えばトリガ音の受音失敗のエラーメッセージを前記表示部11に表示させた後、当該フローチャートの処理を終了してもよい。或いは、予め決めた一定時間を経過してもトリガ音が検出できなかった場合、制御部10は、ステップS91へ処理を戻して再度トリガ音の受音を待つ処理を、例えば二回や三回等、所定回数繰り返すようにしてもよい。
【0233】
前記トリガ音が検出されたことでステップS94の処理に進むと、制御部10は、自端末の例えば前記IDを基に前述した独自音を生成し、その独自音を前記スピーカ18から出力させる。なお、この図20のフローチャートの例は、前記ID“A123456”の無線通信端末における処理となっているため、当該ステップS94の際、制御部10は、“A123456”のIDを基に生成した前記独自音を発生させる。このステップS94の処理後、制御部10は、ステップS95へ処理を進める。
【0234】
ステップS95の処理に進むと、制御部10は、他の無線通信端末が出力した独自音をマイクロホン17により受音可能な状態となる。なお、この図20のフローチャートの場合、制御部10は、他端末の独自音が聞こえるまで待つが、例えば予め決めた一定時間を経過しても前記他端末の独自音が検出されなかった場合には、例えば他端末の独自音受音失敗のエラーメッセージを前記表示部11に表示させた後、当該フローチャートの処理を終了してもよい。当該ステップS95の処理において、他端末の独自音、すなわちこの例では、ID“C234567”の無線通信端末からの独自音、および、ID“D345678”の無線通信端末からの独自音を検出すると、制御部10は、ステップS96へ処理を進める。
【0235】
ステップS96の処理に進むと、制御部10は、前記他端末が発生した独自音からIDを復元して、それらIDの無線通信端末を認識する。この図20のフローチャートの場合は、ID“A123456”の無線通信端末の制御部10は、前記他端末のIDとして前記“C234567”と“D345678”を復元する。このステップS96の処理後、制御部10は、ステップS97へ処理を進める。
【0236】
次に、制御部10は、ステップS97の処理として、前述したように、アクセスポイントリスト内の各IDの順位等に基づいてホスト端末とゲスト端末を認識する。この図20のフローチャートの場合、ID“A123456”の無線通信端末の制御部10は、自端末がホスト端末となることを認識し、また、ID“C234567”とID“D345678”の各無線通信端末をゲスト端末と認識する。このステップS97の処理後、制御部10は、ステップS98へ処理を進める。
【0237】
ステップS98の処理に進むと、制御部10は、前記ゲスト端末として認識したもののうち例えばID“C234567”の無線通信端末との間でペアリングを完了させる。
【0238】
また、制御部10は、ステップS99の処理として、前記ゲスト端末として認識したもののうち例えばID“D345678”の無線通信端末との間でペアリングを完了させる。
【0239】
次に、図21のフローチャートについて説明する。
【0240】
図21のフローチャートにおいて、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動し、さらにペアリングモードが自動選択モードになされている場合、制御部10は、ステップS101の処理として、前述のステップS91と同様に、前記近距離無線通信部12を制御して前記近距離無線通信が可能なエリア内に存在する全ての無線通信装置をスキャンさせる。そして、制御部10は、当該スキャンにより得られた全ての無線通信端末を含むアクセスポイントリストを生成する。また、制御部10は、必要に応じて、そのアクセスポイントリストを表示部11の画面上に表示させる。このステップS101の処理後、制御部10は、ステップS102へ処理を進める。
【0241】
なお、ステップS102の処理は、前述の図20のステップS92と同様に、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動済みで且つ前記トリガ音を検出可能な近距離内に存在する各無線通信端末で共通の処理となる。すなわちこのステップS9102の処理に進んだ場合、制御部10は、前記タッピング音のようなトリガ音の検出待ち状態となる。そして、前述の第十の実施形態の場合、当該ステップS102において、本実施形態のペアリング制御アプリケーションプログラムが起動済みで且つ前記トリガ音を検出可能な近距離内に存在する各無線通信端末は、前述したようにID“A123456”、ID“C234567”、および、ID“D345678”の各無線通信端末となる。
【0242】
次に、制御部10は、ステップS103の処理として、前記タッピング音のようなトリガ音がマイクロホン17により受音されたか否か判定する。当該ステップS103の判定処理において、トリガ音が検出された場合、制御部10は、ステップS104へ処理を進め、一方、トリガ音が聞こえていない場合には、ステップS101へ処理を戻す。なお、この図21のフローチャートの場合も前述同様に、制御部10は、トリガ音が聞こえるまでステップS103の判断処理を続けるが、例えば予め決めた一定時間を経過しても前記トリガ音が検出されなかった場合には、例えばトリガ音の受音失敗のエラーメッセージを前記表示部11に表示させた後、当該フローチャートの処理を終了してもよい。或いは、予め決めた一定時間を経過してもトリガ音が検出できなかった場合、制御部10は、ステップS101へ処理を戻して再度トリガ音の受音を待つ処理を、例えば二回や三回等、所定回数繰り返すようにしてもよい。
【0243】
前記トリガ音が検出されたことでステップS104の処理に進むと、制御部10は、自端末の例えば前記IDを基に前述した独自音を生成し、その独自音を前記スピーカ18から出力させる。なお、この図21のフローチャートの例は、前記ID“C2234567”の無線通信端末における処理となっているため、当該ステップS104の際、制御部10は、“C234567”のIDを基に生成した前記独自音を発生させる。このステップS104の処理後、制御部10は、ステップS105へ処理を進める。
【0244】
ステップS105の処理に進むと、制御部10は、他の無線通信端末が出力した独自音をマイクロホン17により受音可能な状態となる。なお、この図21のフローチャートの場合も前述同様に、制御部10は、他端末の独自音が聞こえるまで待つが、例えば予め決めた一定時間を経過しても前記他端末の独自音が検出されなかった場合には、例えば他端末の独自音受音失敗のエラーメッセージを前記表示部11に表示させた後、当該フローチャートの処理を終了してもよい。当該ステップS105の処理において、他端末の独自音、すなわちこの例では、ID“A123456”の無線通信端末からの独自音、および、ID“D345678”の無線通信端末からの独自音を検出すると、制御部10は、ステップS106へ処理を進める。
【0245】
ステップS106の処理に進むと、制御部10は、前記他端末が発生した独自音からIDを復元して、それらIDの無線通信端末を認識する。この図21のフローチャートの場合は、ID“C234567”の無線通信端末の制御部10は、前記他端末のIDとして前記“A123456”と“D345678”を復元する。このステップS106の処理後、制御部10は、ステップS107へ処理を進める。
【0246】
次に、制御部10は、ステップS107の処理として、前述したように、アクセスポイントリスト内の各IDの順位等に基づいてホスト端末とゲスト端末を認識する。この図21のフローチャートの場合、ID“C234567”の無線通信端末の制御部10は、ID“A123456”の無線通信端末がホスト端末になることを認識する一方で、自端末はゲスト端末になることを認識する。また同時に、制御部10は、ID“D345678”の各無線通信端末もゲスト端末になることを認識する。このステップS107の処理後、制御部10は、ステップS108へ処理を進める。
【0247】
ステップS108の処理に進むと、制御部10は、前記ホスト端末として認識したID“A123456”の無線通信端末との間でペアリングを完了させる。
【0248】
[総括] 以上説明したように本発明実施形態にかかるホスト側の無線通信装置は、近距離無線通信を行うための近距離無線通信部と、前記近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストを生成するリスト生成部と、所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形を検出する振動波形検出部と、前記振動波形検出部が検出した物理的振動波形のデータをリファレンスデータとして記憶する記憶部と、前記振動波形検出部が検出した物理的振動波形と略々同じ物理的振動波形に対応したキーデータを前記近距離無線通信部を通じて前記リスト内の無線通信装置から受信し、そのキーデータと前記記憶部に記憶した前記リファレンスデータとが一致した時、前記キーデータを送信してきた無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行う制御部とを有している。
【0249】
ここで、本発明実施形態において、前記振動波形検出部は、前記所定の振動波形媒介物である無線通信装置の筐体に対して外部から加えられた振動に起因する振動波形を検出する。
【0250】
また、本発明実施形態の無線通信装置は、前記リスト生成部では前記各無線通信装置の識別番号を含む前記リストを生成し、前記識別番号の番号順位に基づいて自装置が前記近距離無線通信のホストとなるか決定するホスト決定部を有している。
【0251】
本発明実施形態のホスト装置における近距離無線通信のペアリング制御プログラムは、近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストを生成するリスト生成部と、所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形を振動波形検出部が検出した当該物理的振動波形データをリファレンスデータとして記憶部に記憶させる記憶制御部と、前記振動波形検出部が検出した物理的振動波形と略々同じ物理的振動波形に対応したキーデータを前記近距離無線通信部を通じて前記リスト内の無線通信装置から受信し、当該キーデータと前記記憶部に記憶した前記リファレンスデータとが一致した時、前記キーデータを送信してきた無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行うペアリング制御部として、無線通信装置内の制御コンピュータを動作させる。
【0252】
本発明の実施形態のホスト装置における近距離無線通信のペアリング制御プログラムを記憶した記憶媒体は、近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストを生成するリスト生成部と、所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形を振動波形検出部が検出した当該物理的振動波形データをリファレンスデータとして記憶部に記憶させる記憶制御部と、前記振動波形検出部が検出した物理的振動波形と略々同じ物理的振動波形に対応したキーデータを前記近距離無線通信部を通じて前記リスト内の無線通信装置から受信し、当該キーデータと前記記憶部に記憶した前記リファレンスデータとが一致した時、前記キーデータを送信してきた無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行うペアリング制御部として、無線通信装置内の制御コンピュータを動作させるペアリング制御プログラムを記憶してなる。
【0253】
また、本発明実施形態にかかるホスト側の無線通信装置は、近距離無線通信を行うための近距離無線通信部と、前記近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストを生成するリスト生成部と、自装置の識別情報に基づいて生成した物理的振動波形を所定の振動波形媒介物を通じて出力する振動波形出力部と、当該振動波形出力部から前記物理的振動波形を出力した後、前記近距離無線通信部を通じて前記リスト内の無線通信装置から送信されてきた接続通知を受信した時、当該接続通知を送信してきた無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行う制御部とを有している。
【0254】
ここで、前記振動波形出力部は、前記所定の振動波形媒介物である空気を振動させることによる音声からなる物理的振動波形を出力する。
【0255】
次に、本発明実施形態にかかる無線通信装置のうち特にゲスト装置となる無線通信装置は、近距離無線通信を行うための近距離無線通信部と、前記近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストを生成するリスト生成部と、所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形を検出する振動波形検出部と、前記振動波形検出部が検出した物理的振動波形のデータをキーデータとして記憶する記憶部と、前記リスト内の無線通信装置のうち近距離無線通信のホストとなる無線通信装置へ、前記記憶部に記憶した前記キーデータを前記近距離無線通信部を通じて送信した後、当該ホストとなる無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行う制御部とを有している。
【0256】
ここで、本発明実施形態において、前記振動波形検出部は、前記所定の振動波形媒介物である無線通信装置の筐体を通じて伝達された振動に起因する振動波形を検出する。
【0257】
また、本発明実施形態のゲスト装置となる無線通信装置は、前記リスト生成部では前記各無線通信装置の識別番号を含む前記リストを生成し、前記識別番号の番号順位に基づいて自装置が前記近距離無線通信のゲストとなるか決定するゲスト決定部を有している。
【0258】
本発明実施形態のゲスト装置における近距離無線通信のペアリング制御プログラムは、近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストを生成するリスト生成部と、所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形を振動波形検出部が検出した当該物理的振動波形データをキーデータとして記憶部に記憶させる記憶制御部と、前記リスト内の無線通信装置のうち近距離無線通信のホストとなる無線通信装置へ、前記記憶部に記憶した前記キーデータを前記近距離無線通信部を通じて送信させた後、当該ホストとなる無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行うペアリング制御部として、無線通信装置内の制御コンピュータを動作させる。
【0259】
本発明の実施形態のゲスト装置における近距離無線通信のペアリング制御プログラムを記憶した記憶媒体は、近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストを生成するリスト生成部と、所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形を振動波形検出部が検出した当該物理的振動波形データをキーデータとして記憶部に記憶させる記憶制御部と、前記リスト内の無線通信装置のうち近距離無線通信のホストとなる無線通信装置へ、前記記憶部に記憶した前記キーデータを前記近距離無線通信部を通じて送信させた後、当該ホストとなる無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行うペアリング制御部として、無線通信装置内の制御コンピュータを動作させるペアリング制御プログラムを記憶してなる。
【0260】
また、本発明実施形態にかかるゲスト側の無線通信装置は、近距離無線通信を行うための近距離無線通信部と、前記近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストを生成するリスト生成部と、送信元の無線通信装置の識別情報に基づいて生成されて所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形を検出する振動波形検出部と、前記振動波形検出部が検出した物理的振動波形のデータをキーデータとして記憶する記憶部と、前記リスト内の無線通信装置の識別情報をリファレンスデータとし、当該リファレンスデータと前記キーデータとが一致した時、前記リファレンスデータに対応した無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行う制御部とを有している。
【0261】
ここで、前記振動波形検出部は、前記所定の振動波形媒介物である空気が振動したことによる音声からなる物理的振動波形を検出する。
【0262】
次に、本発明実施形態にかかる近距離無線通信システムは、ホスト側の無線通信装置とゲスト側の無線通信装置とからなる。ホスト側の無線通信装置は、近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストを生成し、所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形のデータをリファレンスデータとして記憶し、前記物理的振動波形に対応したキーデータを前記近距離無線通信を通じて前記リスト内の無線通信装置から受信し、そのキーデータと前記記憶部に記憶した前記リファレンスデータとが一致した時、前記キーデータを送信してきた無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行う。一方、ゲスト側の無線通信装置は、近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストを生成し、所定の振動波形媒介物を通じて前記ホスト側の無線通信装置から伝達されてきた物理的振動波形のデータをキーデータとして記憶し、前記リスト内の無線通信装置のうち前記ホスト側となる無線通信装置へ、前記記憶部に記憶した前記キーデータを前記近距離無線通信を通じて送信した後、当該ホスト側の無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行う。
【0263】
次に、本発明実施形態にかかる無線通信装置は、近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置の識別情報を含むリストを生成するリスト生成部と、自装置の識別情報に基づいて生成した、自端末独自の物理的振動波形を所定の振動波形媒介物を通じて出力する振動波形出力部と、前記リスト内の他の無線通信装置から前記所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた、それら無線通信装置の識別情報に基づく独自の物理的振動波形を検出する振動波形検出部と、前記振動波形検出部が検出した物理的振動波形から、前記リスト内の他の無線通信装置の識別情報を認識し、前記リストに基づいて、自装置が前記近距離無線通信のホストとなるか否かを判定する制御部とを有している。
【0264】
ここで、本発明実施形態において、前記振動波形出力部は、前記所定の振動波形媒介物である空気を伝搬する音声を前記物理的振動波形として出力し、また、振動波形検出部は、前記所定の振動波形媒介物である空気を伝搬した音声を前記物理的振動波形として検出する。
【0265】
また、本発明実施形態の近距離無線通信のペアリング制御プログラムは、近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置の識別情報を含むリストを生成するリスト生成部と、自装置の識別情報に基づいて生成した、自端末独自の物理的振動波形を所定の振動波形媒介物を通じて出力する振動波形出力部と、前記リスト内の他の無線通信装置から前記所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた、それら無線通信装置の識別情報に基づく独自の物理的振動波形を検出する振動波形検出部と、前記振動波形検出部が検出した物理的振動波形から、前記リスト内の他の無線通信装置の識別情報を認識し、前記リストに基づいて、自装置が前記近距離無線通信のホストとなるか否かを判定する制御部として、無線通信装置内の制御コンピュータを動作させる。
【0266】
また、本発明実施形態の近距離無線通信システムは、ホスト側の無線通信装置とゲスト側の無線通信装置とからなる。それら無線通信装置は、近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置の識別情報を含むリストを生成するリスト生成部と、自装置の識別情報に基づいて生成した、自端末独自の物理的振動波形を所定の振動波形媒介物を通じて出力する振動波形出力部と、前記リスト内の他の無線通信装置から前記所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた、それら無線通信装置の識別情報に基づく独自の物理的振動波形を検出する振動波形検出部と、前記振動波形検出部が検出した物理的振動波形から、前記リスト内の他の無線通信装置の識別情報を認識し、前記リストに基づいて、自装置が前記近距離無線通信のホストとなるか或いはゲストとなるか否かを判定する制御部とを有する。
【0267】
[本発明実施形態の効果] 以上説明したように、本発明の各実施形態によれば、装置筐体やテーブル等或いは空気などの所定の振動波形媒介物を通じて伝達される物理的振動波形を各無線通信装置間で共有し、当該物理的振動波形を共有できる無線通信装置間でのみペアリングを可能にしている。
【0268】
これにより、本発明実施形態においては、近距離無線通信可能な所望の無線通信装置同士が簡単にペアリングできる。すなわち本発明実施形態によれば、例えば図22に示すような無線ルータ101と他の各無線通信装置102〜109が一対一にペアリングする場合だけでなく、例えば図23に示すように無線ルータを含む全ての無線通信装置31〜41がそれぞれ接続可能となるいわゆるWiFi Direct(登録商標)等のように一対多の接続の際にも略々同時にペアリングを完了させることが可能となる。特に、WiFi Directの場合、近距離無線通信可能なエリア内に多数の無線通信装置が存在していると、前記アクセスポイントリスト内には膨大な数のID等が載ることになり、そのアクセスポイントリスト内から所望の端末のIDを一台ずつ選択してペアリングさせるのは非常に煩雑で手間のかかる作業となる。これに対し、本実施形態のペアリング手法によれば、複数の無線通信装置を略々同時に接続可能にすることができ、ユーザの作業が非常に簡単且つ短時間迅速に完了することになる。
【0269】
なお、前述した実施形態の説明は、本発明の一例である。このため、本発明は前述した実施形態に限定されることなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0270】
1…無線通信端末(ホスト端末)、2,3…無線通信端末(ゲスト端末)、9…ユーザの指 10…制御部、11…表示部、12…近距離無線通信部、13…近距離無線通信用のアンテナ、14…振動波形検出部、15…記憶部、16…他構成部、17…マイクロホン、18…スピーカ 31〜41,101〜109…各種無線通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離無線通信部による近距離無線通信が可能な無線通信装置のリストをリスト生成部が生成するステップと、
所定の振動波形媒介物を通じて伝達されてきた物理的振動波形を振動波形検出部が検出するステップと、
前記振動波形検出部が検出した物理的振動波形のデータを記憶部がリファレンスデータとして記憶するステップと、
前記振動波形検出部が検出した物理的振動波形と略々同じ物理的振動波形に対応したキーデータを前記近距離無線通信部を通じて前記リスト内の無線通信装置から受信し、制御部が、そのキーデータと前記記憶部に記憶した前記リファレンスデータとが一致したと判断した時、前記キーデータを送信してきた無線通信装置との間で近距離無線通信のペアリングを行うステップと を有する近距離無線通信の接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−157006(P2012−157006A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−13587(P2012−13587)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【出願人】(501431073)ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】