説明

迷子探索支援方法および迷子探索支援システム

【課題】親の携行端末にて迷子位置を把握可能とし、なおかつ施設側にて親・子両方の位置を把握可能とする。
【解決手段】自身の現在位置を標定する位置標定部と、標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報を情報処理装置ないし基地局に送信する履歴送信部とを具備する端末300と、最新の取得時刻の位置履歴情報と迷子観測域のマップ情報とを照合して該当親子の最新取得時刻での所在を特定する所在特定部と、入力部ないし親の端末から親子共ないし子供の所在情報のリクエストを受け付けて、当該リクエストが示す識別情報に該当する親子ないし子供に関して前記特定した所在の情報を出力部ないし親の端末に送る所在情報出力部とを具備する情報処理装置とから迷子探索支援システム1を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は迷子探索支援方法および迷子探索支援システムに関するものであり、具体的には、親の携行端末にて迷子位置を把握可能とし、なおかつ施設側にて親・子両方の位置を把握可能とする技術、或いは、携帯電話網やGPSなど既存インフラが利用できない施設内であっても高精度に親子の位置把握を行って両者の邂逅を誘導可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
親子で連れ立って外出する光景は、デパートやショッピングセンター、テーマパークなど各種施設においてごく日常的なものである。一方、こうした施設でよく生じるのが迷子であり、一般的には、施設内放送などで迷子に関するアナウンスを行って、親を所定場所(=迷子の預かり所等)まで呼び出す対処方法が採られている。他方、新たな迷子予防や迷子捜索の技術が種々考案されつつあり、こうした技術として例えば、都会の雑踏や遊園地の中等で、同伴している子供が迷子になったり、仲間同士ではぐれた時に、互いに居場所を確認しあう迷子予防捜索システム(特許文献1参照)などが提案されている。
【0003】
また他に、大型施設内の迷子センター等に親局を設置し、該親局とネットワーク接続した中継局を多数配置し、また、入園した親子に夫々固有のIDコードを設定した無線端末機を持たせ、子供が迷子になった場合に、親が所持する親用端末機の捜索スイッチを入れることにより、最寄りの中継局を経由して親局に迷子発生の通報を行う手段と、親局が当該親用端末機に設定されたIDコードを読み取り、多数の中継局より当該IDコードに対応する子供用端末機に対して捜索用信号を送信する手段と、子供が持つ子供用端末機が少なくとも1つ以上の中継局と通信を行うことにより親局が当該子供用端末機に一番近い中継局を特定して迷子の位置捜索を行う手段を有することを特徴とした、迷子捜索システム(特許文献2参照)なども提案されている。
【0004】
更に、システム利用時における利用者の負担を軽減すると共に、付帯情報の管理も行うことができる迷子探索システム(特許文献3参照)なども提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−216107号公報
【特許文献2】特開2006−33781号公報
【特許文献3】特開2006−349383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、親の携行する端末で迷子の子供の位置を把握でき、なおかつ、迷子センターなど施設側のシステムでも親・子両方の位置を把握できる技術や、携帯電話網やGPSなどのインフラが利用できない施設内であってもきわめて高精度に親子の位置把握を行うことで両者の確実な邂逅を誘導する技術、などは提案されていない。
そこで本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、親の携行端末にて迷子位置を把握可能とし、なおかつ施設側にて親・子両方の位置を把握可能とする技術、或いは、携帯電話網やGPSなど既存インフラが利用できない施設内であっても高精度に親子の位置把握を行って両者の邂逅を誘導可能とする技術の提供を主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明は、例えば、大規模ショッピングセンター、デパート、テーマパークなど大規模施設を訪れた親子連れの入場者(希望者)に貸し出した端末と、施設側の情報処理装置とで実現される迷子探索支援方法である。
【0008】
すなわち本発明の迷子探索支援方法は、親子それぞれが携行する端末が、自身の現在位置を標定する処理と、前記標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報を情報処理装置ないし基地局に送信する処理とを実行する。なお、前記端末は、迷子観測域における基地局に設けられた複数のアンテナの夫々から無線送信されてくる位置標定信号を受信する処理を実行し、ここで受信した前記各位置標定信号の位相差に基づき自身の現在位置を標定するものとできる。
【0009】
一方、端末と通信可能に結ばれ、各親子が携行する端末の識別情報を記憶した情報処理装置が、親子の各端末から又は基地局を経由して前記位置履歴情報を受信して記憶部に格納し、前記記憶部に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報と、記憶部に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報とを照合して、迷子観測域における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定する処理と、入力部ないし親の端末から親子共ないし子供の所在情報のリクエストを受け付けて、当該リクエストが示す識別情報に該当する親子ないし子供に関して前記特定した所在の情報を出力部ないし前記親の端末に送る処理とを実行する。
【0010】
なお、前記迷子探索支援方法において、前記情報処理装置が、入力部ないし親または子供の端末から誘導リクエストを受け付けて、当該誘導リクエストが示す識別情報に該当する親子に関して前記特定した所在の情報と、前記マップ情報とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路を前記マップ情報から特定し、ここで特定した経路をマップ上の親ないし子供の表示情報に向かって進ませる誘導情報を前記親または子供の端末に送る処理を実行し、前記親子の各端末が、前記誘導情報を情報処理装置より受信して出力部に出力する処理を実行する、としてもよい。
【0011】
また、前記迷子探索支援方法において、前記親子の各端末が、前記標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報を情報処理装置ないし基地局に送信する処理を、前記誘導情報の受信から所定時間後に再度実行し、前記情報処理装置が、前記親子の各端末から又は基地局を経由して前記位置履歴情報を受信して記憶部に格納し、前記記憶部に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報と、記憶部に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報とを照合して、迷子観測域における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定する処理と、前記親子に関して前記特定した所在の情報と前記マップ情報とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路を前記マップ情報から特定し、ここで特定した経路をマップ上の親ないし子供の表示情報に向かって進ませる誘導情報を前記親または子供の端末に再送する処理とを実行する、としてもよい。
【0012】
また、本発明の迷子探索支援システムは、自身の現在位置を標定する位置標定部と、前記標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報を情報処理装置ないし基地局に送信する履歴送信部とを具備する端末を含んでいる。なお、この端末は、迷子観測域における基地局に設けられた複数のアンテナの夫々から無線送信されてくる位置標定信号を受信する位置標定信号受信部を備え、前記位置標定部は、前記位置標定信号受信部で受信した前記各位置標定信号の位相差に基づき自身の現在位置を標定するものとできる。
【0013】
前記迷子探索支援システムは、更に、端末との通信を行う通信部と、各親子が携行する端末の識別情報を格納した記憶部と、親子の各端末から又は基地局を経由して前記位置履歴情報を受信して記憶部に格納し、前記記憶部に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報と、記憶部に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報とを照合して、迷子観測域における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定する所在特定部と、入力部ないし親の端末から親子共ないし子供の所在情報のリクエストを受け付けて、当該リクエストが示す識別情報に該当する親子ないし子供に関して前記特定した所在の情報を出力部ないし前記親の端末に送る所在情報出力部とを具備する情報処理装置を含んでいる。
【0014】
なお、前記迷子探索支援システムにおいて、前記情報処理装置の所在情報出力部が、入力部ないし親または子供の端末から誘導リクエストを受け付けて、当該誘導リクエストが示す識別情報に該当する親子に関して前記特定した所在の情報と、前記マップ情報とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路を前記マップ情報から特定し、ここで特定した経路をマップ上の親ないし子供の表示情報に向かって進ませる誘導情報を前記親または子供の端末に送るものであり、前記親子の各端末が、前記誘導情報を情報処理装置より受信して出力部に出力する処理を実行するものである、としてもよい。
【0015】
また、前記迷子探索支援システムにおいて、前記親子の各端末における履歴送信部が、
前記標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報を情報処理装置ないし基地局に送信する処理を、前記誘導情報の受信から所定時間後に再度実行するものであり、前記情報処理装置の所在特定部が、前記親子の各端末から又は基地局を経由して前記位置履歴情報を受信して記憶部に格納し、前記記憶部に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報と、記憶部に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報とを照合して、迷子観測域における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定するものであり、前記情報処理装置の所在情報出力部が、前記親子に関して前記特定した所在の情報と前記マップ情報とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路を前記マップ情報から特定し、ここで特定した経路をマップ上の親ないし子供の表示情報に向かって進ませる誘導情報を前記親または子供の端末に再送するものである、としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、親の携行端末にて迷子位置が把握可能となり、なおかつ施設側にて親・子両方の位置が把握可能となる。また、携帯電話網やGPSなど既存インフラが利用できない施設内であっても高精度に親子の位置把握を行って両者の邂逅を誘導できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】迷子探索支援システム1の概略的な構成を示す図である。
【図2A】基地局200のハードウエア構成を示す図である。
【図2B】基地局200の機能を示す図である。
【図3A】端末300のハードウエア構成を示す図である。
【図3B】端末300の機能を示す図である。
【図4】位置標定信号のデータフォーマットを示す図である。
【図5】基地局200と端末300との位置関係を示す図である。
【図6】アンテナ群215を構成しているアンテナ2151と端末300との位置関係を説明する図である。
【図7】現場における基地局200と端末300の位置関係を示す図である。
【図8】位置標定処理(S1000)を説明するフローチャートである。
【図9A】情報処理装置100のハードウエア構成を示す図である。
【図9B】情報処理装置100の機能を示す図である。
【図10】本実施形態における位置履歴情報の例を示す図である。
【図11】本実施形態におけるマップ情報の例を示す図である。
【図12】所在情報の出力例を示す図である。
【図13】誘導情報の出力例を示す図である。
【図14】本実施形態における迷子探索支援方法の処理手順例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
−−−迷子探索支援システムの全体概要−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の迷子探索支援システム1の概略構成例を示す図である。この迷子探索支援システム1は、親の携行端末にて迷子位置を把握可能とし、なおかつ施設側にて親・子両方の位置を把握可能とする、或いは、携帯電話網やGPSなど既存インフラが利用できない施設内であっても高精度に親子の位置把握を行って両者の邂逅を誘導可能とするコンピュータシステムである。
【0019】
この迷子探索支援システム1は、探索対象である人物、例えばテーマパーク2=迷子観測域内の客2Gが利用中の端末300と、迷子観測域の各所(テーマパーク2の建屋天井や柱等)に設置される複数の基地局200、および管理エリアなどに設置される情報処理装置100を含んでいる。ただし、迷子観測域の例として本実施形態ではテーマパーク2をあげたがこれに本発明が限定されることはなく、迷子探索を行う必要がある場所、状況であり、必要な装置類の設置が可能であればいずれの状況でも適用できる。
【0020】
基地局200は、専用線やインターネットなどの有線又は無線による通信網50を介して情報処理装置100に通信可能に接続している。通信網50を介した通信は、例えばTCP/IP等のプロトコルに従って行われる。情報処理装置100及び基地局200には、通信網50を介して通信を行うためのネットワークアドレス(例えばIPアドレス)が付与されている。端末300は、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistance)、小型のパーソナルコンピュータ等である。
【0021】
前記迷子観測域であるテーマパーク2では、前記端末300を携行した客2Gが回遊可能であるよう必要な幅を備えた経路2Aが、例えばアトラクション施設3に面して張り巡らされている。また、アトラクションでの客誘導等の各種業務を行う係員2Dがテーマパーク内の所定箇所に配置され、客2Gへのサービス提供を随時行っている。
【0022】
一方、前記端末300は、テーマパーク2内で前記経路2Aを回遊しながらアトラクション施設3を利用する前記客2Gが携行するコンピュータ端末である。この端末300は、本実施形態においては迷子探索支援実現のために必要な無線通信手段を具備している。この端末300は、テーマパーク2の客2Gのうち、例えば親子連れに対してテーマパーク側から貸与される状況を想定できる。この場合、親2GAと子供2GBのそれぞれに端末300が貸与され、迷子探索支援に活用されることとなる。当然ながら、端末貸与に当たっては、どの端末がどの親子に貸与されたか、端末識別情報を情報処理装置100側で管理している(例:担当者が親2GA、子2GBの各氏名と端末識別情報とを入力部で対応付けて入力)。
【0023】
他方、前記基地局200は無線信号を迷子観測域内に送信し、前記端末300における位置標定を可能ならしめる。以下、この迷子探索支援システム1に含まれる各装置について、その構成、構造等につき詳述する。
【0024】
−−−ブロック図−−−
図2Aは基地局200の構成を示すブロック図である。同図に示すように、基地局200は、CPU211、メモリ212、通信インターフェイス213、及びアンテナ群215等を有している。CPU211は、メモリ212に記憶されているプログラムを実行し、基地局200が備える各種の機能を実現する。通信インターフェイス213は、情報処理装置100との間で通信網50を介した通信を行う。無線通信インターフェイス214は、後述する位置標定のための無線信号を送信する。
【0025】
アンテナ群215は複数の円偏波指向性アンテナ2151によって構成される(詳細は図6を参照)。CPU211、メモリ212、通信インターフェイス213、及びアンテナ群215は、バス220を介して互いに通信可能に接続されている。アンテナ群215には切替スイッチ2152が併設されている。切替スイッチ2152はアンテナ群215を構成しているアンテナ2151のうちのいずれか一つを設定により又は自動的に選択して無線通信インターフェイス214に接続する。
【0026】
図2Bに基地局200の主な機能を示している。通信部261は通信インターフェイス213を制御して情報処理装置100と各種情報の送受信を行う。位置標定信号送信部263は端末300の現在位置の標定に用いられる無線信号(以下、位置標定信号と称する)を送信する。設定情報記憶部264は前述した設定情報を記憶する。
【0027】
図3Aに端末300のハードウエア構成を示している。同図に示すように、端末300は、CPU311、メモリ312、無線通信インターフェイス313、指向性アンテナ314、RTC(Real Time Clock)等を用いて構成される計時回路317、RSSI回路216(RSSI : Radio Signal Strength Indicator)を有している。
【0028】
CPU311は、メモリ312に記憶されているプログラムを実行することにより端末300が備える各種の機能を実現する。計時回路317は、CPU311等からの要求に応じて現在時刻を生成/出力する。RSSI回路320は、無線通信インターフェイス313によって受信される位置標定信号等の電波の受信信号強度を示す信号を生成して出力する。
【0029】
図3Bに端末300の機能を示している。同図において、位置標定信号受信部331は、無線通信インターフェイス313により基地局200から送信される位置標定信号を受信する。情報送受信部332は、通信網50を介して情報処理装置100と通信し、ファームウエア等の端末300で実行されるプログラムやデータの更新情報の受信(ダウンロード)、及び情報処理装置100において用いられる各種情報についての端末300から情報処理装置100への送信(アップロード)を行う。
【0030】
位置標定部334は、位置標定信号受信部331によって受信された位置標定信号に基づき端末300の現在位置を標定する。必要な場合には、標定された端末300の現在位置は、無線通信により端末300から基地局200に送信され、基地局200から通信網50を介して情報処理装置100に送信される。位置標定の具体的な仕組みについては後述する。位置標定部334によって標定された端末300の現在位置を示す情報は、基地局200に設定された直交座標系(X軸、Y軸)で表現された端末300の現在位置を示す情報(ΔX、ΔY)を含む。
【0031】
また、履歴送信部336は、位置標定部334が標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報を情報処理装置100ないし基地局200に送信する。また、出力処理部338は、情報処理装置100から得た、親子ないし子供に関する所在情報や、親とその子供との間を結ぶ経路をマップ上の親ないし子供の表示情報に向かって進ませる誘導情報などをディスプレイ装置などの出力部に出力する。
【0032】
<位置標定機能>
迷子探索支援システム1において端末300の位置標定を行う仕組みは、基地局200と当該基地局200の周辺に存在する端末300とを含んで構成される位置標定システム10の機能によって実現される。
【0033】
前述した基地局200の無線通信インターフェイス214は、アンテナ群215を構成している複数のアンテナ2151を周期的に切り換えながら、スペクトル拡散された無線信号を送信する。一方、端末300の位置標定信号受信部331は、アンテナ314によって基地局200の各アンテナ2151から送信される信号を受信する。尚、隣接基地局間の電波干渉を防ぐべく、各基地局200は、基地局200間で同期信号を共有することにより、隣接する基地局200から同時期に位置標定信号が送信されないように送信タイミングの調節制御を行っている。
【0034】
図4に基地局200から送信される位置標定信号のデータフォーマットを示している。同図に示すように、位置標定信号は、上述した同期信号611、場所コード612(UCODE)、アンテナ情報613、及び測定信号614を含んで構成されている。尚、同期信号611は、32bitのプリアンブル信号と16bitの同期信号の合計48bitのデータで構成される。
【0035】
場所コード612(UCODE)は、基地局200の設置場所を特定する情報である。場所コード612は統一基準に従って位置毎に割り当てられる128bitのコードからなる。
【0036】
アンテナ情報613は、アンテナ2151の高さやアンテナ2151の識別子、アンテナ2151の指向方向を示す16bitのデータ等で構成される。
【0037】
測定信号614は、端末300の存在する方向と端末300までの相対距離を検出するための信号を含み、基点となる4つのアンテナ2151を順次切り替えながら送信される2048チップの拡散符号を含む。
【0038】
図5は端末300を携行中の客2Gが、基地局200が設置された柱の側に存在する場合を示している。同図において、端末300は地上高1(m)の位置に存在し、基地局200は地上高H(m)の位置に設置されている。また基地局200の直下から端末300までの距離はL(m)である。
【0039】
図6に基地局200のアンテナ群215を構成している各アンテナ2151と端末300との相対的な位置関係を示している。基地局200のアンテナ群215を構成している各アンテナ2151は、例えば指向方向を斜め下方向に向けて設置されている。同図示すアンテナ群215は、3cmの間隔(この間隔は位置標定信号として2.4GHz帯の電波を用いた場合における1/4波長に相当)をあけて略正方形状に隣接配置された4つの円偏波指向性アンテナを有している。
【0040】
ここでアンテナ群215の高さ位置における水平方向とアンテナ群215に対する端末300の方向とのなす角をαとすれば、
α=arcTan(D(m)/L(m))=arcSin(ΔL(cm)/3(cm))
となる。但し、上式におけるΔL(cm)は、アンテナ群215を構成しているアンテナ2151のうちの特定の2基と端末300との間の伝搬路長差である。
【0041】
アンテナ群215を構成している特定の2基のアンテナ2151から送信される位置標定信号の位相差をΔθとすれば、上記ΔLは、
ΔL(cm)=Δθ/2π/λ(cm)
となる。位置標定信号として、例えば2.4GHz帯の電波を用いる場合は波長λ≒12(cm)であるので
α=arcSin(2Δθ/π)
となる。ここで測定可能範囲(−π/2<Δθ<π/2)ではα=Δθ(ラジアン)であるので、上式から基地局200が存在する方向を特定できる。
【0042】
次に上記結果を利用して端末300の位置を標定する方法について説明する。図7に現場における基地局200と端末300の位置関係を示している。同図に示すように、基地局200のアンテナ群215の地上高をH(m)、端末300の地上高をh(m)、基地局200の直下の地表面の位置を原点として直交座標軸(X軸、Y軸)を設定した場合における、基地局200から端末300の方向とX軸とがなす角をΔΦ(x)、基地局200から端末300の方向とY軸とがなす角をΔΦ(y)とすれば、原点に対する端末300の位置は次式から求められる。
Δd(x)=(H−h)×Tan(ΔΦ(x))
Δd(y)=(H−h)×Tan(ΔΦ(y))
原点の位置を(X1、Y1)とすれば、端末300の現在位置(Xx、Yy)は、
Xx=X1+Δd(x)
Yy=Y1+Δd(y)
として求められる。尚、以上に説明した位置標定の原理は、例えば特開2004−184078号公報、特開2005−351877号公報、特開2005−351878号公報、特開2006−23261号公報、及び特開2008−256559号公報等に開示されている。
【0043】
次に端末300の位置標定部334によって行われる、端末300の現在位置の標定処理(以下、位置標定処理S1000と称する。)の具体例について説明する。尚、現在位置の標定処理は、例えば情報処理装置100に端末300の現在位置を報告する予め設定されたタイミング等に随時実行される。
【0044】
図8は位置標定処理を説明するフローチャートである。同図に示すように、位置標定に際しては、まず位置標定部334が、RSSI回路320から位置標定信号受信部331によって受信される位置標定信号の受信信号強度を取得する(S1011)。次に位置標定部334は、前述した仕組により位置標定信号を用いて端末300の現在位置を標定し、更には計時回路317から得た時刻情報=取得時刻と、自身のカート識別情報とを対応付けて位置履歴情報を生成する(S1012)。そして位置標定部334は、生成した位置履歴情報を、履歴送信部336に引き渡す(S1013)。
【0045】
−−−情報処理装置の構成−−−
続いて、前記情報処理装置100が備える構成、および例えばプログラムに基づき構成・保持する機能部(手段)につき説明を行う。図9Aは情報処理装置100のハードウエア構成を示す図であり、図9Bは情報処理装置100の機能を示す図である。
【0046】
情報処理装置100は、例えばサーバ装置を想定することができる。この情報処理装置100は、プログラムや必要なデータベース類を格納したハードディスクドライブなどの記憶部101、記憶部101からプログラムを読み出す先となるメモリ103、プログラムの実行など各種制御を担うCPU等の演算装置104、ユーザ等の指示を受け付けるキーボード、マウスなどの入力装置105、所在情報の出力先であるディスプレイやスピーカー等の表示装置106、および前記基地局200や端末300と通信網50を介した通信を行う通信インターフェイス107を備えている。
【0047】
また、情報処理装置100は、位置標定機能等の基地局200が機能を提供する際に利用する情報(以下、設定情報と称する)が含まれたマップ情報125を記憶した設定情報記憶部123を備えている。尚、前記設定情報は、基地局200の、迷子観測域(ここではテーマパーク2の床面)の座標系における座標値、或いは緯度・経度・設置高さ等も含まれている。また、情報処理装置100は、各親子が携行する端末300の識別情報126を記憶部101に記憶している。この各親子が携行する端末300の識別情報126は、例えば、所定の担当者が親2GA、子2GBの各氏名と端末識別情報とを入力部105で対応付けて入力したものとなる。図に示す例であれば、親に貸与した端末300の識別情報“t0001”と、子供に貸与した端末300の識別情報“t1001”とのセットに、貸与時刻“10:35〜”を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0048】
こうした情報処理装置100は、通信インターフェイス107により通信網50を介して前記基地局200と通信するか、或いは、基地局200を介して親子の各端末300と通信して、位置履歴情報1800(現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および端末300の識別情報を含んだ情報)を受信して記憶部101に格納する所在特定部110を備える。なお、端末300は、現在位置を示す情報を取得する度に位置履歴情報1800を生成して、基地局経由で情報処理装置100に送信するとしてもよいし、位置履歴情報1800を一定時間メモリ等に蓄積しておいて定期的に蓄積情報を送信するとしてもよい。
【0049】
図10は本実施形態における端末300が基地局経由で情報処理装置100に送信してくる位置履歴情報1800の例を示す図である。端末300が情報処理装置100に送信してくる位置履歴情報1800は、現在位置を示す情報1801、当該情報1801の取得時刻の情報1802、および端末300の識別情報1803を含んだ情報から構成されている。
【0050】
また、前記所在特定部110は、記憶部101に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報1800と、記憶部101に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報125とを照合して、迷子観測域であるテーマパーク2における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定する。
【0051】
図11は本実施形態におけるマップ情報125の例を示す図である。一方、情報処理装置100が記憶部101で保持するマップ情報125は、迷子観測域内たるテーマパーク2に設置されている各基地局200の識別情報125aと、ショッピングセンターの床面を座標平面とした場合の各基地局200の座標値125bと、アトラクション施設3、および係員2Dの配置位置の各座標値125cと、テーマパーク内の経路2Aの範囲を示す座標125dとを含んでいる。
【0052】
そこで、前記所在特定部110は、前記記憶部101より、取得時刻1802が最新(=情報処理装置100がコンピュータとして備えるクロック機能等で現在時刻を認識し、この現在時刻に最も近いもの)の位置履歴情報1800を読み出し、この位置履歴情報1800の「現在位置を示す情報」1801を、前記マップ情報125(設定情報)に照合してテーマパーク2の座標平面上での端末300の位置=所在を特定する。なお、この処理を、同一端末300について、各取得時刻に関して繰り返すことで、端末位置、つまり親ないし子供の所在履歴を特定することができる。
【0053】
また、情報処理装置100は、入力部105ないし親の端末300から親子共ないし子供の所在情報のリクエストを受け付けて、当該リクエストが示す識別情報に該当する親子ないし子供に関して前記特定した所在の情報を出力部106ないし前記親の端末300に送る所在情報出力部111を備える。図12に所在情報の出力例を示す。出力する所在情報としては、例えば、テーマパーク2の床面の図(=座標平面となる)に、各基地局200、アトラクション施設3、係員2Dの各アイコン等を該当座標位置に配置し、前記端末300の所在履歴、つまり座標値の変遷に応じた軌跡4aを描画したものを想定できる。図12では、親“t0001”、子“t1001”の“10:45”(観測開始時点)における所在と、同じく“10:47”における所在とを並べて表示している例を示した。
【0054】
また前記所在情報出力部111は、入力部105ないし親または子供の端末300から誘導リクエストを受け付けて、当該誘導リクエストが示す識別情報に該当する親子に関して前記特定した所在の情報と、前記マップ情報125とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路2Aを前記マップ情報125から特定し、ここで特定した経路2Aをマップ上の親ないし子供の表示情報に向かって進ませる誘導情報を前記親または子供の端末300に送るとしてもよい。
【0055】
この場合、所在情報出力部111は、誘導リクエストより親と子供の識別情報を抽出する。そして、この識別情報に該当する親子に関して前記所在特定部110が特定した所在の情報をこれを格納したメモリ等から読み出す。所在情報出力部111は、この所在情報と前記マップ情報125とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路2Aを前記マップ情報125から特定することになる。
【0056】
例えば、マップ上における親の所在座標(X1、Y1)と子供の所在座標(X2、Y2)との間、例えば(X1≦X2、Y1≦Y2)を座標範囲に含んでいる経路2Aをマップ情報125の経路座標125dから特定する。なお、所在情報出力部111は、この、親と子供の所在座標の間を示す、(X1≦X2、Y1≦Y2)の範囲を座標範囲に含む経路2Aが複数特定できた場合、経路長が最短のものを特定する。経路長最短の経路2Aを特定する際、マップ情報125において各経路2Aに関して経路長が紐付けされている場合、これを利用すればよい。マップ情報125にて各経路2Aに関する経路長の情報が紐付けされていない場合、所在情報出力部111は、例えば座標範囲の示す座標値に基づいて各経路2Aの経路長を算定し(一般的な座標間距離の算定手法によればよい。矩形経路であれば各直線部分の座標間距離を算定して合算)、経路長最短の経路2Aを特定する。
【0057】
前記所在情報出力部111は、こうして特定した経路2Aをマップ上の親ないし子供のアイコン4gなどの適宜な表示情報に向かって進ませる誘導情報を生成し、これを前記親または子供の端末300に送る。一方、前記親または子供の端末300は、前記誘導情報を情報処理装置100より受信して出力部に出力することとなる。
【0058】
図13に誘導情報の出力例を示す。出力する誘導情報としては、例えば、テーマパーク2の床面の図(=座標平面となる)に、アトラクション施設3、係員2D、親2GAおよび子供2GBの各アイコン4g等を該当座標位置に配置し、親と子供が邂逅するために前記経路2A上で向かうべき進路4bを描画したものを想定できる。図13では、“10:45”(観測開始時点)における親“t0001”、子“t1001”の誘導情報と、同じく“10:47”における誘導情報とを並べて表示している例を示した。
【0059】
このように所定時間毎の誘導情報を提供するためには、以下の通りとなる。すなわち、前記親子の各端末300における履歴送信部336が、前記標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報1800を情報処理装置100ないし基地局200に送信する処理を、前記誘導情報の受信から所定時間後に再度実行する。一方、前記情報処理装置100の所在特定部110は、前記親子の各端末300から又は基地局200を経由して前記位置履歴情報1800を受信して記憶部101に格納し、前記記憶部101に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報1800と、記憶部101に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報125とを照合して、迷子観測域における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定する。
【0060】
他方、前記情報処理装置100の所在情報出力部111は、前記親子に関して前記特定した所在の情報と前記マップ情報125とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路2Aを前記マップ情報125から上記同様に特定し、ここで特定した経路2Aをマップ上の親ないし子供の表示情報たるアイコン4gに向かって進ませる誘導情報を前記親または子供の端末300に再送することとなる。従って、情報処理装置100が端末300に対して誘導情報を一旦提供した後、たとえ親子がそれぞれ移動してしまったとしても、最新の状況に応じた誘導情報を端末300に再度提供することができるのである。このようなフレッシュな誘導情報を閲覧できる親子らは、現時点での自分の所在に応じた誘導を受けることが可能となり、迷子の子供とその親とが邂逅しやすくなる。
【0061】
なお、前記情報処理装置100における各機能部110〜111は、RAMなどのメモリ103やHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶部101に格納されたプログラムとして実現してもよいし、ハードウェアとして実現するとしてもよい。各機能部がプログラムとして実現されている場合、情報処理装置100の演算装置104等がプログラム実行に合わせて記憶部101より該当プログラムをメモリ103に読み出して、これを実行することとなる。
【0062】
−−−迷子探索支援方法のフロー−−−
以下、本実施形態における迷子探索支援方法の実際手順について、図に基づき説明する。図14は本実施形態における迷子探索支援方法の処理手順例を示すフロー図である。ここでは、端末300の位置特定等の処理については上述までの説明に譲り、主として情報処理装置100が実行する処理内容について説明する。想定する状況としては、テーマパーク2を訪れた親子連れの客2Gがおり、この客2Gが端末300をテーマパーク側から貸与され、テーマパーク内で余暇を過ごす状況となる。テーマパーク2において用意されている端末300は、上述した本実施形態の端末300であって、基地局200からの無線信号を受信して自身の位置を示す情報=位置履歴情報1800を生成の上、基地局200を経由して情報処理装置100に送信する機能を備えるものとなる。また当然ながら、このテーマパーク2の例えば建屋天井面や柱には上述してきた基地局200が所定間隔で設置されている。
【0063】
そこで、ショッピングセンター店内において客2Gと共に移動中の端末300は、基地局200からの無線信号を基に自身の現在位置を示す情報を取得する度に位置履歴情報1800を生成し、情報処理装置100に送信すべく基地局200にアップロードする(s100)。基地局200ではこの位置履歴情報1800を受信し、情報処理装置100に転送する(s101)。当然ながら、基地局200は端末300からの位置履歴情報の転送要求を受けて、情報処理装置100に位置履歴情報を転送する機能を備えるものとする。端末300は、位置履歴情報1800を一定時間メモリ等に蓄積しておいて定期的にその蓄積情報を基地局200を経由して情報処理装置100に送信するとしてもよい。
【0064】
一方、前記情報処理装置100の所在特定部110は、通信インターフェイス107により通信網50を介して前記基地局200と通信するか、或いは、基地局200を介して親子の各端末300と通信して、位置履歴情報1800(現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および端末300の識別情報を含んだ情報)を受信して記憶部101に格納する(s102)。なお、端末300は、現在位置を示す情報を取得する度に位置履歴情報1800を生成して、基地局経由で情報処理装置100に送信するとしてもよいし、位置履歴情報1800を一定時間メモリ等に蓄積しておいて定期的に蓄積情報を送信するとしてもよい。
【0065】
また、前記所在特定部110は、記憶部101に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報1800と、記憶部101に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報125とを照合して、迷子観測域であるテーマパーク2における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定する(s103)。この場合、所在特定部110は、前記記憶部101より、取得時刻1802が最新(=情報処理装置100がコンピュータとして備えるクロック機能等で現在時刻を認識し、この現在時刻に最も近いもの)の位置履歴情報1800を読み出し、この位置履歴情報1800の「現在位置を示す情報」1801を、前記マップ情報125(設定情報)に照合してテーマパーク2の座標平面上での端末300の位置=所在を特定する。なお、この処理を、同一端末300について、各取得時刻に関して繰り返すことで、端末位置、つまり親ないし子供の所在履歴を特定することができる。
【0066】
例えば、所在特定部110は、前記記憶部101より、最新の取得時刻1802として“2010/01/24/11:30”の、識別情報“t1001”なる子供が携行する端末300の位置履歴情報1800を読み出し、この位置履歴情報1800の「現在位置を示す情報」1801が含む座標値、例えば“(101.5、102.6)”を抽出しメモリ103に格納しておく。また所在特定部110は、この座標値“(101.5、102.6)”を、前記マップ情報125(設定情報)に照合してテーマパーク2の座標平面上での端末300の位置=所在を特定する。テーマパーク2の床面を座標平面(例:図12で左下隅lcの頂点が“(0、0)”、右上隅rcの頂点が(200、200)の座標値を持つ平面)と見て、この座標平面上において前記座標値“(101.5、102.6)”を照合することで、テーマパーク2の座標平面上での端末300の位置=所在を特定する。
【0067】
また、情報処理装置100の所在情報出力部111は、入力部105ないし親の端末300から親子共ないし子供の所在情報のリクエストを受け付けて、当該リクエストが示す識別情報に該当する親子ないし子供に関して前記特定した所在の情報を出力部106ないし前記親の端末300に送る(s104)。この場合、所在情報出力部111は、前記リクエストから識別情報“t0001”、“t1001”を抽出し、この識別情報に該当する親・子に関して前記特定した所在の情報=「現在位置を示す情報」1801が含む座標値をメモリ103から読み出す。
【0068】
ここで読み出した座標値が、例えば、“t0001”に関しては“(60、25)”、“t1001”に関しては“(101.5、102.6)”、であったとすれば、前記所在情報出力部111は、例えば、前記テーマパーク2の床面の図(=座標平面の四隅を示す座標値を記憶部101に予め保持)に、アトラクション施設3、係員2Dの各アイコン(当然ながら記憶部101に予めデータ保持)を該当座標位置に配置し、また、“t0001”に対応した親アイコンを“(60、25)”に、“t1001”に対応した子供アイコンを“(101.5、102.6)”の該当座標位置に配置した画面データを生成し、出力部106ないし前記親の端末300に送る。
【0069】
例えば、親の端末300では、前記画面データ=所在情報を情報処理装置100から受信して、ディスプレイ装置などの出力部に表示させる(s105)。前記画面データの表示例は図12に基づいて既に述べた。
【0070】
その後、状況が変化し、子供が迷子になってしまったとする。これに気づいた親(ないし子供)は、携行する前記端末300の入力部(所定のボタン等)で、誘導リクエストの指定を行うこととなる。これを受けた端末300は、誘導リクエストの情報を情報処理装置100に送信してくる。この時、情報処理装置100の所在情報出力部111は、(入力部105ないし)前記端末300から誘導リクエストを受け付ける(s106)。
【0071】
また所在情報出力部111は、前記誘導リクエストが示す識別情報に該当する親子に関して前記特定した所在の情報=座標値をメモリ103より読み出し、ここで読み出した情報と前記マップ情報125とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路2Aを前記マップ情報125から特定する(s107)。
【0072】
この場合、所在情報出力部111は、誘導リクエストより親と子供の識別情報を抽出する。そして、この識別情報、例えば、“t0001”、“t1001”に該当する親子に関して前記所在特定部110が特定した所在の情報=所在座標をメモリ103から読み出す。そして所在情報出力部111は、例えば、マップ上における親の所在座標(X1、Y1)と子供の所在座標(X2、Y2)との間、例えば(X1≦X2、Y1≦Y2)を座標範囲に含んでいる経路2Aをマップ情報125の経路座標125dから特定する。なお、所在情報出力部111は、この、親と子供の所在座標の間を示す、(X1≦X2、Y1≦Y2)の範囲を座標範囲に含む経路2Aが複数特定できた場合、経路長が最短のものを特定する。経路長最短の経路2Aを特定する際、マップ情報125において各経路2Aに関して経路長が紐付けされている場合、これを利用すればよい。マップ情報125にて各経路2Aに関する経路長の情報が紐付けされていない場合、所在情報出力部111は、例えば座標範囲の示す座標値に基づいて各経路2Aの経路長を算定し(一般的な座標間距離の算定手法によればよい。矩形経路であれば各直線部分の座標間距離を算定して合算)、経路長最短の経路2Aを特定する。
【0073】
前記所在情報出力部111は、こうして特定した経路2Aをマップ上の親ないし子供のアイコン4gなどの適宜な表示情報に向かって進ませる誘導情報を生成し、これを前記親または子供の端末300に送る(s108)。図13の例で示したように、誘導情報としては、例えば、テーマパーク2の床面の図(=座標平面となる)に、アトラクション施設3、係員2D、親2GAおよび子供2GBの各アイコン4g等を該当座標位置で配置し、親と子供が邂逅するために前記経路2A上で向かうべき進路4bを描画したものを想定できる。
【0074】
一方、前記親または子供の端末300は、前記誘導情報を情報処理装置100より受信して出力部に出力することとなる(s109)。
【0075】
こうして情報処理装置100が端末300に対して誘導情報を一旦提供した後、たとえ親子がそれぞれ移動してしまったとしても、最新の状況に応じた誘導情報を端末300に再度提供するためには、以下のような処理を実行する。この場合、前記親子の各端末300における履歴送信部336は、前記標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報1800を情報処理装置100ないし基地局200に送信する処理を、前記誘導情報の受信から所定時間後に再度実行する(s110)。一方、前記情報処理装置100の所在特定部110は、前記親子の各端末300から又は基地局200を経由して前記位置履歴情報1800を受信して記憶部101に格納し、前記記憶部101に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報1800と、記憶部101に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報125とを照合して、迷子観測域における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定する(s111)。このステップs111の処理は、上記ステップs103の処理と同様である。
【0076】
他方、前記情報処理装置100の所在情報出力部111は、前記親子に関して前記特定した所在の情報と前記マップ情報125とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路2Aを前記マップ情報125から上記同様に特定し(s112)、ここで特定した経路2Aをマップ上の親ないし子供の表示情報たるアイコン4gに向かって進ませる誘導情報を前記親または子供の端末300に再送する(s113)。前記ステップs112の処理は、上記ステップs107の処理と同様であり、前記ステップs113の処理は、上記ステップs108の処理と同様である。
【0077】
このようなフレッシュな誘導情報を閲覧できる親子らは、現時点での自分の所在に応じた誘導を受けることが可能となり、迷子の子供とその親との邂逅が容易となる。
【0078】
以上に説明したように、本実施形態の迷子探索支援方法によれば、親の携行端末にて迷子位置の把握が可能となり、なおかつ施設側にて親・子両方の位置を把握可能となる。また、携帯電話網やGPSなど既存インフラが利用できない施設内であっても高精度に親子の位置把握を行って両者の邂逅を誘導することができる。
【0079】
ところで、以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
1 迷子探索支援システム
2 迷子観測域(テーマパーク)
2A 経路
3 アトラクション施設
10 位置標定システム
100 情報処理装置
101 記憶部
103 メモリ
104 CPU(演算装置)
105 入力装置
106 出力装置
107 通信インターフェイス
110 所在特定部
111 所在情報出力部
125 マップ情報
126 各親子の識別情報
200 基地局
213 通信インターフェイス
214 無線通信インターフェイス
216 RSSI回路
263 位置標定信号送信部
300 端末
313 無線通信インターフェイス
317 計時回路
320 RSSI回路
331 位置標定信号受信部
332 情報送受信部
334 位置標定部
336 履歴送信部
338 出力処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親子それぞれが携行する端末が、
自身の現在位置を標定する処理と、
前記標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報を情報処理装置ないし基地局に送信する処理とを実行し、
端末と通信可能に結ばれ、各親子が携行する端末の識別情報を記憶した情報処理装置が、
親子の各端末から又は基地局を経由して前記位置履歴情報を受信して記憶部に格納し、前記記憶部に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報と、記憶部に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報とを照合して、迷子観測域における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定する処理と、
入力部ないし親の端末から親子共ないし子供の所在情報のリクエストを受け付けて、当該リクエストが示す識別情報に該当する親子ないし子供に関して前記特定した所在の情報を出力部ないし前記親の端末に送る処理とを実行する、
ことを特徴とする迷子探索支援方法。
【請求項2】
前記情報処理装置が、
入力部ないし親または子供の端末から誘導リクエストを受け付けて、当該誘導リクエストが示す識別情報に該当する親子に関して前記特定した所在情報と、前記マップ情報とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路を前記マップ情報から特定し、ここで特定した経路をマップ上の親ないし子供の表示情報に向かって進ませる誘導情報を前記親または子供の端末に送る処理を実行し、
前記親子の各端末が、
前記誘導情報を情報処理装置より受信して出力部に出力する処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の迷子探索支援方法。
【請求項3】
前記親子の各端末が、
前記標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報を情報処理装置ないし基地局に送信する処理を、前記誘導情報の受信から所定時間後に再度実行し、
前記情報処理装置が、
前記親子の各端末から又は基地局を経由して前記位置履歴情報を受信して記憶部に格納し、前記記憶部に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報と、記憶部に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報とを照合して、迷子観測域における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定する処理と、
前記親子に関して前記特定した所在の情報と前記マップ情報とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路を前記マップ情報から特定し、ここで特定した経路をマップ上の親ないし子供の表示情報に向かって進ませる誘導情報を前記親または子供の端末に再送する処理とを実行する、
ことを特徴とする請求項2に記載の迷子探索支援方法。
【請求項4】
自身の現在位置を標定する位置標定部と、
前記標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報を情報処理装置ないし基地局に送信する履歴送信部とを具備する端末と、
端末との通信を行う通信部と、
各親子が携行する端末の識別情報を格納した記憶部と、
親子の各端末から又は基地局を経由して前記位置履歴情報を受信して記憶部に格納し、前記記憶部に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報と、記憶部に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報とを照合して、迷子観測域における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定する所在特定部と、
入力部ないし親の端末から親子共ないし子供の所在情報のリクエストを受け付けて、当該リクエストが示す識別情報に該当する親子ないし子供に関して前記特定した所在の情報を出力部ないし前記親の端末に送る所在情報出力部とを具備する情報処理装置と、
からなることを特徴とする迷子探索支援システム。
【請求項5】
前記情報処理装置の所在情報出力部が、
入力部ないし親または子供の端末から誘導リクエストを受け付けて、当該誘導リクエストが示す識別情報に該当する親子に関して前記特定した所在情報と、前記マップ情報とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路を前記マップ情報から特定し、ここで特定した経路をマップ上の親ないし子供の表示情報に向かって進ませる誘導情報を前記親または子供の端末に送るものであり、
前記親子の各端末が、
前記誘導情報を情報処理装置より受信して出力部に出力する出力処理部を備えるものである、
ことを特徴とする請求項4に記載の迷子探索支援システム。
【請求項6】
前記親子の各端末における履歴送信部が、
前記標定した現在位置を示す情報、当該情報の取得時刻の情報、および自身の識別情報を含んだ位置履歴情報を情報処理装置ないし基地局に送信する処理を、前記誘導情報の受信から所定時間後に再度実行するものであり、
前記情報処理装置の所在特定部が、
前記親子の各端末から又は基地局を経由して前記位置履歴情報を受信して記憶部に格納し、前記記憶部に格納した最新の取得時刻の位置履歴情報と、記憶部に予め保持している前記迷子観測域のマップ情報とを照合して、迷子観測域における該当親子の前記最新取得時刻での所在を特定するものであり、
前記情報処理装置の所在情報出力部が、
前記親子に関して前記特定した所在の情報と前記マップ情報とに基づいて、該当親とその子供との間を結ぶ経路を前記マップ情報から特定し、ここで特定した経路をマップ上の親ないし子供の表示情報に向かって進ませる誘導情報を前記親または子供の端末に再送するものである、
ことを特徴とする請求項5に記載の迷子探索支援システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−186629(P2011−186629A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49393(P2010−49393)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】