説明

迷子管理システム

【課題】事前にタグなどの情報を装着しない場合でも迷子の検索の労力を極力抑え、ペット、子供、老人などが迷子になった場合に、探す側の労力を少なくして所有者や保護者等に的確に引き合わせる。
【解決手段】迷子情報データベースの更新を行う迷子情報提供システムと、地図データベースを備え迷子情報データベースの情報を参照して端末に迷子情報検索結果を表示する情報を取得するための迷子情報検索システムとから成り、迷子を捜す人は、検索対象に対して画像を指定することによって、情報データベースの画像検索を行い、一致または似ている画像が存在する場合は、その画像が撮影された正確な位置を地図上に表示するか、画像一覧を表示し併せて、画像拡大表示の機能も備えることにより、迷子対象の画像を選択させ、選択された画像が撮影された位置情報を正確に地図上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペット、子供、老人などが迷子になった場合に、携帯電話の位置情報付の画像からその所有者や保護者等に引き合わせるための迷子管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペット、子供、老人などが迷子になった場合に、所有者や保護者等に引き合わせるため連絡できるようにするものとして、例えば特許文献1に記載のものが知られている。タグなどの情報をあらかじめ装着し、それを用いて迷子管理をするシステムである。
また、特許文献2には、類似画像検索装置及び方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−213523号公報
【特許文献2】特開2002−318812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、ペット、子供、老人などが迷子になった場合、警察への捜索手続きや、捜索願いのポスター作成、専門業者へ捜索依頼するなど、探す側の労力が大変であった。
一方、近年においては、カメラ付きの携帯電話機が普及している。本願の発明者は、迷子らしいペット、子供、老人を見つけた発見者が遅滞なく適切なシステムに対して報告することで迷子の所有者、保護者に適切に引き渡すことを可能にすることができると考えた。
本発明の目的は、事前にタグなどの情報を装着しない場合でも迷子の検索の労力を極力抑え、迷子になったペット、子供、老人などを、探す側の労力を少なくして所有者や保護者等に的確に引き合わせることができる迷子管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る迷子管理システムは、迷子発見者が携帯電話機を用いて迷子発見の情報提供をする際の位置情報付画像から位置情報を取得し、迷子情報データベースの更新を行う迷子情報提供システムと、迷子の所有者、保護者が迷子情報を検索する際に端末機を用いてアクセスする、地図データベースを備え迷子情報データベースの情報を参照して端末に迷子情報検索結果を表示する迷子情報検索システムとから成る迷子管理システムであって、前記迷子情報提供システムは、迷子情報データベースの、日付、場所、地域、都道府県、探し物の種別、特徴、位置情報付画像を更新する機能を備えるものである。
【0006】
迷子を捜す人(迷子の所有者、保護者)は、前記迷子情報検索システムを用いて検索を行う。その際に、前記迷子情報検索システムは、端末から迷子対象物、地域と都道府県名を指定することにより検索対象物を絞り込む手段を提供し、絞り込まれた検索対象に対して迷子を捜す人がその所有する画像を指定することによって、前記迷子情報検索システムは、画像同士の比較を行う。一致または似ている画像が存在するか否かを迷子情報データベースの検索を行い、一致または似ている画像が存在する場合は、その画像が撮影された正確な位置を地図上に表示する。または、画像一覧を表示し併せて、画像拡大表示の機能も備えることにより、迷子の画像を選択させ、選択された画像が撮影された位置情報を正確に地図上に表示する。これらの手段を提供することにより迷子に引き合わせる手段を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前もって情報を記憶させるタグなどの道具を必要としない。近年の携帯電話機が普及している背景により、カメラつき携帯電話機で写真を撮った画像を簡単に提供できるようになったので、迷子発見者から提供された画像を用いて、画像検索を行い、迷子の検索結果を装置の表示画面に表示させることにより、所有者や保護者等へ情報提供を可能とし、目的のものを探す労力を削減することができる。
【0008】
また、本発明の迷子管理システムによれば、次のような効果がある。事前にタグなどの情報を装着しない場合でも迷子の検索の労力を極力抑え、ペット、子供、老人などが迷子になった場合に、探す側の労力を少なくして所有者や保護者等に的確に引き合わせる機能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態における迷子管理システムの全体構成図である。
【図2】図1の迷子情報管理データベースのデータの構成図である。
【図3】図1の携帯電話と迷子情報提供システムの運用フロー図である。図3(a)は、迷子らしい対象物を見つけた発見者が迷子情報提供システムに報告する際の携帯電話機側の処理を示すフローチャートである。図3(b)は、迷子情報提供システムのサーバ側において携帯電話機からの迷子情報を取得して迷子情報データベースに迷子情報を登録する処理を示すフローチャートである。
【図4】図1の迷子情報検索システムの運用フロー図である。
【図5】検索対象の絞込みの画面表示例である。図5(a)は、探し物の種別と地域、都道府県などの情報により検索対象の絞込みを行う画面である。図5(b)は、画像の類似検索を行うことにより検索対象の絞込みを行う画面である。
【図6】都道府県に絞った地図表示および検索対象画像を元に類似番号を表示する画面表示例である。
【図7】都道府県に絞った検索対象画像に似た画像一覧の表示例である。
【図8】画像検索結果詳細の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態における迷子管理システムの全体構成図である。迷子管理システムは、携帯電話(以下、混同の虞がない場合は単に「携帯」と略す。)1と、端末2と、ペット、子供、老人などの画像や日付、場所、特徴などを管理する迷子情報提供システム3と、ペット、子供、老人などに対する画像や日付、場所、特徴などの情報から迷子を探し出す迷子情報検索システム4と、迷子情報データベース11、地図情報データベース12にて構成される。携帯電話1と、端末2と、迷子情報提供システム3と迷子情報検索システム4は、公衆回線網5で接続されており、迷子情報提供システム3は、携帯電話1から送信される位置情報付の迷子画像の情報を用いて迷子情報データベース11を更新する。
迷子情報提供システム3、迷子情報検索システム4、迷子情報DB11、地図情報DB12は、インターネットに接続するサーバコンピュータにインストールされるコンピュータソフトウェアにより実現可能である。近年の携帯電話サービスの普及により、携帯電話機1を介してのウェブアクセスが円滑になされており、上記公衆回線網5とインターネットとの接続は、その境目を意識しないほどシームレスとなっている。
また、上記端末2は、パーソナルコンピュータなどのコンピュータであってインターネットに接続するものにより実現可能である。上記迷子情報検索システム4などのサーバコンピュータに対して端末機として機能する。
本発明の明細書において、「手段」の語をいくつか使用する。それらは、コンピュータが必要なソフトウェアを読み込むことにより実現する機能実現手段である。
【0011】
図2は、迷子情報データベース11に格納されるデータ構成を示す図である。携帯電話から送信された情報を元に迷子情報提供システム3から日付201、場所202、地域203、都道府県204、探し物の種別205、特徴206、位置情報付画像207が登録される。
日付201は、位置情報付画像が撮影された日付、場所202は、位置情報付画像が撮影された場所つまり、ペット、子供、老人などが迷子となった場所を示し、その場所を地域、都道府県情報として、地域203、都道府県204として登録する。
【0012】
図3は、携帯と迷子情報提供システムの概要を示すフローチャートであり、携帯において、迷子対象物の情報を提供する迷子情報提供処理(図3(a))と、迷子情報提供システムにおいて、携帯から迷子情報を取得して迷子情報データベースに迷子情報を登録する処理(図3(b))とに分けられる。
携帯に迷子管理トップページを表示する(ステップ301)。犬や人の探し物の種別を選択後、特徴を入力し、迷子対象物を撮影した画像を選択して、携帯電話から迷子情報として送信する(ステップ302)。
迷子情報提供システムでは、携帯から送信された迷子情報を取得(ステップ303)して、取得した迷子情報を元に迷子情報データベースの更新を行う(ステップ304)。
【0013】
図4は、迷子情報検索システムの、迷子情報検索処理の概要を示すフローチャートである。 端末に迷子管理システムのトップページを表示する(ステップ401)。
【0014】
図5の5−1のような画面(図5(a))を表示し、ペットなのか、子供、老人などの人なのか探し物の種別5−11と地域5−12と都道府県名5−13の入力を促し、「次へ」ボタン5−14を押すことにより検索対象の絞込みを行う(ステップ402)。次に、図5の5−2のような画面(図5(b))を表示し、検索対象の画像5−21を元に画像検索(例えば特許文献2に開示された技術)を利用し、画像の絞込みを行うために以下の処理を行う。
【0015】
5−23において図6の6のような画面を表示し、検索結果の表示6−1に検索対象の画像と類似している画像がどの地域にあるか地図上に類似順につけた番号6−2の表示を行うのか、図7の7のような画面を表示し、検索結果の表示7−1に類似する画像を左上から類似度が高い順に画像一覧7−2として表示を行うのか選択させる(ステップ403)。
一致または類似する画像が存在するかどうか判定を行い(ステップ404)全く存在しない場合は、該当なしのメッセージを端末に出力する(ステップ408)。
類似する画像が存在する場合、5−23において地図表示または、画像一覧表示の選択を促す(ステップ405)。
【0016】
5−23において地図表示を選択した場合、図6のような画面を表示し、指定した都道府県の地図6−1を表示し、場所情報202を元に該当する場所に類似番号6−2を表示(ステップ409)する。
【0017】
つまり、5−23において地図表示を選択された場合、地図データベース12から地図を読み出し、端末2に地図を表示させる。端末2に表示された地図上には、迷子管理データベース11にある位置情報付画像一覧を画像検索により類似画像であると判断された画像から場所情報を取得し、該当する地図上に類似順につけた番号6−2を表示し(ステップ409)、類似番号を選択すると図8のような画面検索結果詳細表示を表示する(ステップ410)。
【0018】
5−23において画像一覧表示を選択した場合、図7のような画面を表示し左上から類似度が高い順に画像7−2を表示(ステップ406)し、表示されたある一つの画像を選択し、「拡大」ボタン7−3を押すと拡大画像の表示ができる(ステップ407)。表示された画像一覧から画像選択を行うと、図8のような画面を表示する(ステップ410)。
【0019】
つまり、図6の場合数字例えば6−2の数字1を、図7の場合画像例えば7−2の画像1を、ダブルクリックした場合、図8のような画面が表示される。
【0020】
図8のような画面が表示されると、8−2のような、選択した画像の詳細な位置情報が地図上の真ん中に表示される。その地図上の詳細な位置情報を元にペット、子供、老人などの人の正確な位置を入手することができる。なお、端末の画面に地図が表示できる範囲内には8−3のような位置情報を表示可能であるマークを表示する。
【0021】
本システムの運用にあたっては、肖像権や個人情報にあたる情報を扱うことになるため、しかるべきセキュリティ管理をすることが望ましい。迷子情報検索システム4にアクセスできる端末2を警察や市役所などの行政機関に設置し、利用者の本人認証を職員が行った上で利用させる。認証がなされない段階では、粗い画像にのみアクセスでき、認証がなされてから精細な画像にアクセスできるなどの措置が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
老人、子どもなどの人間の迷子に適用できるのみならず、ペットの迷子を管理するシステムにも適用可能である。また、生き物以外であっても、持ち主の元に直ぐに届けられることが望まれるであろう物品について適用することもできる。
【符号の説明】
【0023】
1 携帯電話
2 端末
3 迷子情報提供システム
4 迷子情報検索システム
5 公衆回線網
11 迷子情報データベース
12 地図情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話の位置情報付画像から位置情報を取得し迷子情報データベースの更新を行う迷子情報提供システムと、地図データベースを備え迷子情報データベースの情報を参照して端末に迷子情報検索結果を表示する迷子情報検索システムとからなる迷子管理システムであって、
前記迷子情報提供システムは、
迷子情報データベースの、日付、場所、地域、都道府県、探し物の種別、特徴、位置情報付画像を更新する手段を備え、
前記迷子情報検索システムは、
端末から迷子対象物、地域と都道府県名を指定することにより検索対象物を絞り込むテキスト事項絞込み手段と、
絞り込まれた検索対象に対して画像を指定することによって、画像同士の比較を行うため、一致または似ている画像が存在するか否かを迷子情報データベースの検索を行う画像比較手段と、
該画像比較手段により一致または似ている画像が存在する場合に、その画像が撮影された正確な位置情報を地図上に表示する位置情報表示手段と、
画像一覧を表示し併せて、画像拡大表示の機能も備えることにより、迷子の画像を選択させ、選択された画像が撮影された位置情報を正確に地図上に表示する重ね合わせ表示手段と
を有し、迷子の所有者・保護者を迷子に引き合わせることを特徴とする迷子管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−180893(P2011−180893A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45421(P2010−45421)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)