説明

迷惑電話防止システム、迷惑電話防止装置、迷惑電話防止方法および迷惑電話防止プログラム

【課題】迷惑電話の判定を適切に行い、かつ、即時性を有する迷惑電話対策が可能な迷惑電話防止方法を提供する。
【解決手段】PBX102に内線接続した電話機101に対して迷惑電話の着信があった際に、電話機101は、該迷惑電話の通話中または通話終了後の切断時に迷惑電話識別用の識別コードをダイヤル入力する(S002)。PBX102は、該識別コードを付した着信履歴情報を迷惑電話防止装置104に出力して保存させる(S004)。迷惑電話防止装置104は、該着信履歴情報を保存した際に、識別コード付きの該着信履歴情報を分析し、迷惑電話の発生を検出すると(S005)、該着信履歴情報に含まれている発信者番号を抽出し、該発信者番号からの以降の電話着信を規制するための制御コマンドを作成して、PBX102に出力する(S006)。PBX102は、該制御コマンドを実行し、迷惑電話の着信を規制する(S007)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迷惑電話防止システム、迷惑電話防止装置、迷惑電話防止方法および迷惑電話防止プログラムに関し、特に、公衆網と接続して相手と通話することができる構内電話交換機(PBX:Private Exchange System)に着信してくる迷惑電話を防止する仕組みを備えた迷惑電話防止システム、迷惑電話防止装置、迷惑電話防止方法および迷惑電話防止プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いたずら電話や迷惑電話の防止を目的として、特定の相手との通話を拒否する機能を有する電話機や電話交換機が存在する。このような電話機や電話交換機は、例えば、特許文献1の特開2004−297114号公報「通信装置および通信装置の着信拒否制御プログラム」や特許文献2の特開2003−134231号公報「構内交換機における着信呼選択制御方法およびこの方法を採用する構内交換システム」に記載の技術においては、迷惑電話として着信を拒否したい発信者番号をあらかじめ記憶しておき、以降、着信時に接続要求を公衆網から受け取った際に、着信を拒否したい旨が登録されている発信者番号からの着信を拒否するものである。つまり、従来の迷惑電話の着信対策は、過去において迷惑電話を受け取ったユーザからの申告に基づいて、着信規制機能を備えた装置から保守者が着信を規制するための設定登録を当該ユーザの電話機に対して行ったり、または、当該ユーザ自らの操作による設定登録を、当該ユーザの電話機に対して行ったりしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−297114号公報(第3−5頁)
【特許文献2】特開2003−134231号公報(第4−6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1のような従来の技術においては、通話時に、ユーザが不快と感じたときに設定することができないために、即時性が無く、設定が煩雑で利便性が悪いという問題があった。
【0005】
さらに、前記特許文献2のような従来の技術においては、個人ユーザではないオフィスにおいては、迷惑電話の着信時であっても、ユーザが不快に感じる判断に差異があることや、仕事上の関係等から着信先を規制することができない取引先の電話番号である場合や、部署や時間帯によって着信を規制することができない環境条件があるなど、迷惑電話の設定条件が複雑であり、迷惑電話の着信を規制するための判定基準が難しいという問題もあった。
【0006】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、迷惑電話の判定を適切に行うことが可能であり、かつ、即時性を有する迷惑電話対策が可能な迷惑電話防止システム、迷惑電話防止装置、迷惑電話防止方法および迷惑電話防止プログラムを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため、本発明による迷惑電話防止システム、迷惑電話防止装置、迷惑電話防止方法および迷惑電話防止プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0008】
(1)本発明による迷惑電話防止システムは、構内電話交換機に内線接続した電話機に対する迷惑電話の着信を規制する制御を行う迷惑電話防止装置を前記構内電話交換機に備えてなる迷惑電話防止システムであって、前記構内電話交換機は、迷惑電話があった前記電話機から該迷惑電話の通話中または通話終了後の切断時に迷惑電話識別用の識別コードを示すダイヤル入力情報を受け取った際に、該識別コードを当該迷惑電話の着信履歴情報に付与して前記迷惑電話防止装置に保存させ、前記迷惑電話防止装置は、保存した前記識別コードを付与した前記着信履歴情報を分析した結果に基づいて、該着信履歴情報に含まれている発信者番号からの以降の電話着信を規制するための制御コマンドを作成して、前記構内電話交換機に出力することにより、前記着信履歴情報に含まれていた発信者番号からの以降の電話着信を前記構内電話交換機において規制することを特徴とする。
【0009】
(2)本発明による迷惑電話防止装置は、構内電話交換機に内線接続した電話機に対する迷惑電話の着信を規制する制御を行う迷惑電話防止装置であって、迷惑電話があった前記電話機において該迷惑電話の通話中または通話終了後の切断時にダイヤル入力された迷惑電話識別用の識別コードを付与した着信履歴情報を、前記構内電話交換機から受け取って保存した際に、保存した前記識別コードを付与した前記着信履歴情報を分析した結果に基づいて、該着信履歴情報に含まれている発信者番号からの以降の電話着信を規制するための制御コマンドを作成して、前記構内電話交換機に出力することを特徴とする。
【0010】
(3)本発明による迷惑電話防止方法は、構内電話交換機に内線接続した電話機に対する迷惑電話の着信を規制する制御を行う迷惑電話防止方法であって、迷惑電話があった前記電話機において該迷惑電話の通話中または通話終了後の切断時にダイヤル入力された迷惑電話識別用の識別コードを付与した着信履歴情報を、前記構内電話交換機から受け取って保存した際に、保存した前記識別コードを付与した前記着信履歴情報を分析した結果に基づいて、該着信履歴情報に含まれている発信者番号からの以降の電話着信を規制するための制御コマンドを作成して、前記構内電話交換機に出力することを特徴とする。
【0011】
(4)本発明による迷惑電話防止プログラムは、少なくとも前記(3)に記載の迷惑電話防止方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の迷惑電話防止システム、迷惑電話防止装置、迷惑電話防止方法および迷惑電話防止プログラムによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0013】
迷惑電話の電話着信があった電話機のユーザが、迷惑電話であることを示す識別コードを、通話中または通話終了後の切断時に、ダイヤル入力することによって、当該電話着信呼に関する着信履歴情報に識別コードとして付加して、迷惑電話防止装置に送信してくるので、迷惑電話防止装置において当該着信履歴情報を分析して、即時に、迷惑電話を掛けてきた発信者からの以降の電話着信を規制することができる。
【0014】
また、迷惑電話防止装置が、着信履歴情報に付与されている識別コードから迷惑電話を判別した際に、迷惑電話を掛けてきた発信者からの電話着信を規制するための制御コマンドを自動的に作成して構内電話交換機に対して送信するので、ユーザあるいは保守者が電話着信を規制するための制御コマンドを編集して、構内電話交換機に対して設定する手間を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による迷惑電話防止システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】図1の迷惑電話防止装置の内部構成の一例を示すブロック構成図である。
【図3】図1の迷惑電話防止システムにおいて迷惑電話の電話着信があった際の以降の電話着信を規制するまでの流れの一例を説明するためのシーケンス図である。
【図4】図2の迷惑電話防止装置において迷惑電話の電話着信があった際の以降の電話着信を規制するまでの処理の流れの一例を説明するためのシーケンス図である。
【図5】図1の迷惑電話防止装置の内部構成の図2とは異なる例を示すブロック構成図である。
【図6】図5の迷惑電話防止装置において迷惑電話の電話着信があった際の以降の電話着信を規制するまでの処理の流れの一例を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による迷惑電話防止システム、迷惑電話防止装置、迷惑電話防止方法および迷惑電話防止プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による迷惑電話防止システム、迷惑電話防止装置および迷惑電話防止方法について説明するが、かかる迷惑電話防止方法をコンピュータにより実行可能な迷惑電話防止プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、迷惑電話防止プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0017】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、迷惑電話の着信規制対策として、着信応答者が迷惑電話を識別して特番ダイヤルとして入力した識別コードを付した着信履歴情報を検出することにより、迷惑電話か否かを適切に判定して迷惑電話を掛けてくる発信者からの以降の電話着信を規制することを、主要な特徴としている。
【0018】
ここで、本発明は、着信を拒否する対象とする迷惑電話の着信拒否条件に適切に設定することを可能としている。例えば、オフィスの場合、特定の商品の販売元の商社等からの着信電話であった際には、当該販売元からの商品の購入を行う購入部署においては、当該着信電話を受け取る必要があるかも知れないが、当該商品の購入には関係がない部署にとっては、当該着信電話は迷惑電話でしかない可能性が高く、部署(構内電話交換機の内線電話番号)ごとに、着信拒否の旨を設定登録することもできる。また、例えば、業務上の着信電話であっても、他部署への着信も含めて、余りにも着信回数が多く、あらかじめ定めた回数閾値以上に及ぶ場合には、当該着信電話は迷惑電話として着信拒否の旨を設定登録することも選択可能にしている。
【0019】
(実施形態の構成例)
次に、本発明による迷惑電話防止システムのシステム構成の一例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明による迷惑電話防止システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図であり、構内電話交換機(PBX:Private Exchange System)に接続した迷惑電話防止装置とその関連機器との接続構成を例示している。
【0020】
図1に示すように、迷惑電話防止システムは、公衆網103に外線接続された構内電話交換機102と、該構内電話交換機102に内線接続された複数の電話機101と、該構内電話交換機102に外付けされた迷惑電話防止装置104とを、少なくとも含んで構成されている。構内電話交換機102は、内線接続された複数の電話機101同士の内線電話発着信動作を制御したり、内線接続された電話機101と外線接続された公衆網103との間の電話発着信動作を制御したりするとともに、外付けされた迷惑電話防止装置104との間で迷惑電話に関する情報の授受を行い、電話着信があった際に、迷惑電話であるか否かを判別して、当該電話着信を規制するか否かを制御している。
【0021】
より具体的には、構内電話交換機102は、迷惑電話防止用に関連する機能として、公衆網103からの電話着信に対して指定された電話機101の呼び出しを行い、当該電話機101の応答により接続して通話状態に以降させた後、切断を検知した際に、当該電話着信呼を着信履歴情報として作成する着信履歴情報作成機能と、内線接続された電話機101から通話中あるいは通話後の切断時に送信されてきた迷惑電話識別用の識別コードを受け取って前記着信履歴情報に付与する識別コード付与機能と、外付け接続している迷惑電話防止装置104に対して作成した着信履歴情報を出力する着信履歴情報出力機能と、発信者番号ごとに電話着信の規制と解除とを設定する制御コマンドを迷惑電話防止装置104から受け取る制御コマンド受信機能と、受け取った制御コマンドに基づいて発信者番号ごとに電話着信を規制する電話着信規制機能と、発信者番号ごとに電話着信の規制を解除する電話着信規制解除機能と、を少なくとも備えている。
【0022】
また、電話機101は、複数の電話機101のいずれも同一の機能を備えており、迷惑電話防止用に関連する機能として、通話中あるいは通話終了後の切断時に、迷惑電話の識別用の識別コードとしてダイヤルした番号を構内電話交換機102に対して送信する識別コード送信機能を少なくとも備えている。
【0023】
また、迷惑電話防止装置104は、迷惑電話防止用に関連する機能として、構内電話交換機102から着信履歴情報(発信者番号、着信先内線電話番号、着信時刻、切断時刻、迷惑電話識別用識別コード、等)を受け取って保存する記憶機能と、保存しようとする着信履歴情報に付与された識別コードに基づいて、当該着信履歴情報に関する着信電話が迷惑電話であるか否かを分析する着信履歴情報分析機能と、着信電話が迷惑電話であると判別した際に、当該着信履歴情報に含まれている発信者番号からの以降の電話着信を規制するための制御コマンドを構内電話交換機102に送信したり、着信電話が迷惑電話ではなくなったことを判別した際に、当該着信履歴情報に含まれている発信者番号からの電話着信の規制を解除するための制御コマンドを構内電話交換機102に送信したりする制御コマンド送信機能すなわち内線電話番号および発信者番号ごとの電話着信の規制と解除とを制御するための迷惑電話対策制御機能と、を少なくとも備えている。
【0024】
なお、図1に示す迷惑電話防止システムにおいては、迷惑電話防止装置104を構内電話交換機102に外付け接続している場合を例示しているが、場合によっては、構内電話交換機102内に内蔵して構成するようにしても構わない。
【0025】
迷惑電話防止装置104の内部構成の一例について、図2を用いてさらに説明する。図2は、図1の迷惑電話防止装置104の内部構成の一例を示すブロック構成図であり、入出力部104a、PBX制御部104b、着信履歴情報分析部104c、迷惑電話対策制御部104d、記憶部104e、を少なくとも備えている。
【0026】
図2の迷惑電話防止装置104において、入出力部104aは、構内電話交換機(PBX)102との間で情報の授受を行うための機能を有する部位であり、PBX制御部104bは、迷惑電話対策制御部104dからの着信規制情報を受け取って、構内電話交換機102に対して着信規制を設定したり、逆に、着信規制の解除を設定したりするための制御コマンドを作成して、入出力部104aを経由して、構内電話交換機102へ着信規制/規制解除用の当該制御コマンドを自動的に出力する機能を有する部位である。
【0027】
また、着信履歴情報分析部104cは、入出力部104a経由で構内電話交換機102から受け取った着信履歴情報を記憶部104eに保存する機能を有するとともに、当該着信履歴情報に迷惑電話識別用の識別コードが付与されているか否かを分析し、識別コードが付与されていた場合には、該識別コードに該当する迷惑電話の処理を行うために、迷惑電話対策制御部104dを駆動する。
【0028】
迷惑電話対策制御部104dは、着信履歴情報分析部104cからの指示に基づいて、迷惑電話の発信者からの電話着信を規制する着信規制情報を作成して、PBX制御部104bに引き継ぐ。このとき、記憶部104eにあらかじめ登録されている迷惑電話の定義情報を確認し、該定義情報によって着信規制を行うための条件として定義されている迷惑電話の着信規制条件を満たす着信履歴情報を抽出して、抽出した着信履歴情報に含まれている発信者番号からの電話着信を、前記定義情報が定義した着信規制条件が指定している条件下で規制する着信規制情報を作成して、PBX制御部104bに引き継ぐ動作も可能である。
【0029】
記憶部104eは、構内電話交換機102から入出力部104a、着信履歴情報分析部104cを経由して送信されてきた着信履歴情報を逐次保存するとともに、迷惑電話の着信を規制するための着信規制条件として定義されている迷惑電話の定義情報をあらかじめ登録している。
【0030】
かくのごとき機能を有する各部位を備えた迷惑電話防止装置104を、本実施形態においては、構内電話交換機(PBX)102に外付け接続する構成としている。つまり、迷惑な着信電話を受けた電話機101のユーザが、通話中あるいは通話終了後の切断時に、迷惑電話識別用の識別コードをダイヤル入力すると、構内電話交換機(PBX)102は、該識別コードが付与された着信履歴情報を迷惑電話防止装置104の記憶部104eに保存させる。迷惑電話防止装置104は、着信履歴情報を保存する際に、迷惑電話防止装置104の着信履歴情報分析部104cによって着信履歴情報に識別コードが付与されているか否かを分析し、迷惑電話の着信規制内容を特定可能な識別コードが付与されていた場合には、迷惑電話対策制御部104dを起動して、迷惑電話であると指定された当該着信電話の発信者番号を、迷惑電話の発信元として特定する。あるいは、迷惑電話防止装置104は、着信履歴情報を保存する際に、付与されていた識別コードが迷惑電話の着信規制内容を特定可能な識別コードではなかった場合には、記憶部104eにあらかじめ登録されている迷惑電話の定義情報が示す迷惑電話の着信規制条件を確認して、該着信規制条件に合致する内容を有する過去の着信履歴情報を抽出して、抽出したそれぞれの着信履歴情報の中に含まれている発信者番号を、迷惑電話の発信元として特定する。
【0031】
しかる後、迷惑電話対策制御部104dは、特定した迷惑電話の着信規制内容に応じた着信規制情報を作成して、PBX制御部104bに引き継ぐことにより、該着信規制情報に基づいた着信規制用/規制解除用の制御コマンドを作成して、構内電話交換機(PBX)102に対して当該制御コマンドを自動的に出力する。該制御コマンドを迷惑電話防止装置104から受け取った構内電話交換機(PBX)102は、該制御コマンドに応じた動作を直ちに実行する。したがって、構内電話交換機(PBX)102は、迷惑電話に関する通話の切断後に、即時に、迷惑電話の場合であれば、迷惑電話の発信元の発信者番号に対して着信規制を設定したり、迷惑電話が解除された場合であれば、規制解除を設定したりする状態に移行することができる。
【0032】
(実施形態の動作の説明)
次に、図1の迷惑電話防止システムの動作の一例を図3のシーケンス図を用いて説明する。図3は、図1の迷惑電話防止システムにおいて迷惑電話の電話着信があった際の以降の電話着信を規制するまでの流れの一例を説明するためのシーケンス図であり、電話機101、構内電話交換機102、公衆網103、迷惑電話防止装置104、の間の迷惑電話用の制御信号の送受信状態を説明している。
【0033】
図3のシーケンス図において、公衆網103から構内電話交換機102のいずれか指定された電話機101へ着信すると、着信先の電話機101のユーザが応答して通話を開始する(シーケンスS001)。通話中に当該電話機101のユーザが、発信者番号が示す相手の通話内容が不快であると感じて、迷惑電話であると認識すると、迷惑電話の発生を示す迷惑電話識別用の識別コードをダイヤル入力する(シーケンスS002)。
【0034】
しかる後、当該電話機101のユーザが通話を切断すると、構内電話交換機102は、迷惑電話の発生を示す識別コード付きの切断信号として認識する(シーケンスS003)。識別コード付きの切断信号を受け取った構内電話交換機102は、当該着信呼に関する着信履歴情報を迷惑電話の識別コード付きの着信履歴情報として生成して、迷惑電話防止装置104へ出力する(シーケンスS004)。迷惑電話防止装置104は、構内電話交換機102から受け取った着信履歴情報を分析して、迷惑電話の痕跡があるか否かすなわち迷惑電話の識別コードが付与されているか否かを確認する。迷惑電話の着信規制内容を特定可能な識別コードが付与されていた場合には、直ちに、当該識別コードに該当する着信規制動作に移行するが、付与されていた識別コードが迷惑電話の着信規制内容を特定可能な識別コードではなかった場合には、過去の着信履歴情報をも含めて、定義情報としてあらかじめ登録している迷惑電話の着信規制条件を満たす着信履歴情報を検索して、該当する着信履歴情報を抽出する。
【0035】
迷惑電話防止装置104は、着信履歴情報の分析結果として、着信規制すべき迷惑電話を示す着信履歴情報が存在していることを確認した場合、迷惑電話が発生したことを検出する(シーケンスS005)。迷惑電話の識別コードまたは着信規制条件が示す迷惑電話の内容に応じて、以降、当該迷惑電話を掛けてきた発信者からの着信を規制すべきものと判断して、構内電話交換機102に対して、該発信者番号からの電話着信を規制する制御コマンドを出力する(シーケンスS006)。
【0036】
迷惑電話防止装置104からの制御コマンドを受け取った構内電話交換機102は、該制御コマンドに指定された発信者番号からの電話着信を規制するための着信規制データを登録する(シーケンスS007)。該着信規制データを設定登録した後は、構内電話交換機102は、該当する発信者番号から該当する電話機101に対する電話着信を拒否することになる。
【0037】
次に、迷惑電話防止装置104が、迷惑電話識別用の識別コードが付与された着信履歴情報を構内電話交換機102から受け取って、着信履歴情報に付与されている迷惑電話識別用の識別コードの分析結果に基づいて、迷惑電話の発生を認識して、当該迷惑電話の発信元になっている発信者番号からの電話着信を規制するための制御コマンドを構内電話交換機102に対して出力するまでの迷惑電話防止装置104内の処理の流れについて、図2に示す迷惑電話防止装置104の機能ブロック図および図4のシーケンス図を用いてさらに詳細に説明する。
【0038】
図4は、図2の迷惑電話防止装置104において迷惑電話の電話着信があった際の以降の電話着信を規制するまでの処理の流れの一例を説明するためのシーケンス図であり、迷惑電話防止装置104が、電話着信を規制するための制御コマンドを構内電話交換機102に対して出力するまでの処理の流れを示しており、構内電話交換機102、および、迷惑電話防止装置104内の各機能ブロック、すなわち、入出力部104a、PBX制御部104b、着信履歴情報分析部104c、迷惑電話対策制御部104d、記憶部104eの間の迷惑電話用の制御信号の送受信状態を説明している。
【0039】
なお、図4に示すシーケンス図においては、内線接続されている電話機101に対する公衆網103を介した外線からの電話着信があった際に、当該電話機101のユーザから明示的に迷惑電話であることを示す識別コードがダイヤル入力されてきた場合を示している。つまり、迷惑電話の着信規制内容を特定可能な識別コードが付与されていた場合であり、記憶部104eにあらかじめ登録している迷惑電話に関する定義情報を参照することもなく、着信履歴情報に付与されている識別コードだけで、当該着信電話呼の発信元からの構内電話交換機102に対する如何なる電話着信もすべて着信拒否すべき旨を即座に識別することが可能な場合を示している。
【0040】
図4のシーケンス図において、図3のシーケンス図のシーケンスS004の場合と同様、電話機101のユーザが能動的に迷惑電話の対策を指示して、切断時に、識別コード付きの切断信号を送信してくると、該識別コード付きの切断信号を受け取った構内電話交換機102は、当該着信呼に関する着信履歴情報を、迷惑電話の発生を示す識別コード付きの着信履歴情報として生成して(シーケンスS011)、迷惑電話防止装置104の入出力部104aに対して出力する(シーケンスS012)。迷惑電話防止装置104の入出力部104aは、構内電話交換機102から受け取った識別コード付きの着信履歴情報を着信履歴情報分析部104cにそのまま処理分配する(シーケンスS013)。
【0041】
着信履歴情報分析部104cは、受け取った識別コード付きの着信履歴情報を記憶部104eに保存するとともに(シーケンスS014)、受け取った当該着信履歴情報に付与されている識別コードを分析する(シーケンスS015)。当該着信履歴情報に迷惑電話を示す識別コードが付与されていなかった場合は(シーケンスS015のNo)、迷惑電話ではなく、通常の電話着信であったので、迷惑電話に関する処理を終了する(シーケンスS016)。
【0042】
一方、当該着信履歴情報に迷惑電話を示す識別コードが付与されていた場合(シーケンスS015のYes)、本実施形態においては、当該識別コードは、迷惑電話の着信規制内容を特定可能な識別コードであり、受け取った最新の着信履歴情報が示す電話着信に応対した電話機101のユーザが、直ちに以降の着信を一切拒否すべき迷惑電話であることを明示的に示すためにダイヤル入力した識別コードの場合である。したがって、当該識別コードを基にして、当該電話着信を発信してきた発信元を即時に迷惑電話の発信元であるものと特定して、迷惑電話の対策を実施することが可能である。着信履歴情報分析部104cは、迷惑電話対策制御部104dに対して処理分配することにより、迷惑電話対策制御部104dに迷惑電話に関する処理を依頼する(シーケンスS017)。
【0043】
着信履歴情報分析部104cからの依頼を受け取った迷惑電話対策制御部104dは、着信履歴情報分析部104cから引き継いだ識別コードが、迷惑電話の着信規制内容を特定可能な識別コードであり、当該電話着信呼の発信元からの構内電話交換機102に対する電話着信を直ちにすべて規制することを明示的に指示していると判別した場合には、迷惑電話の着信規制条件として記憶部104eにあらかじめ登録している定義情報を参照することもなく、当該電話着信呼の着信履歴情報に含まれている発信者番号に関する情報を、迷惑電話の発信元を示す情報として記憶部104eから読み出す(シーケンスS018)。さらに、迷惑電話対策制御部104dは、迷惑電話の発信元の情報として取得した発信者番号からの構内電話交換機102に対するすべての電話着信を規制すべき旨の着信規制情報を作成する(シーケンスS019)。
【0044】
しかる後、迷惑電話対策制御部104dは、構内電話交換機102に迷惑電話を掛けてきた発信者からの電話着信を規制する処理を実施してもらうために、作成した着信規制情報をPBX制御部104bに対して処理分配する(シーケンスS020)。迷惑電話対策制御部104dからの着信規制情報を受け取ったPBX制御部104bは、着信規制情報に含まれている発信者番号からの構内電話交換機102に対する電話着信をすべて規制するための制御コマンドを編集する(シーケンスS021)。しかる後、PBX制御部104bは、迷惑電話を掛けてきた発信者からの電話着信を規制するように編集した該制御コマンドを、入出力部104aに対して処理分配することによって(シーケンスS022)、入出力部104aを経由して、そのまま、構内電話交換機102に対して着信規制指示用の制御コマンドとして出力する(シーケンスS023)。
【0045】
迷惑電話防止装置104の入出力部104aからの制御コマンドを受け取った構内電話交換機102は、以降、当該制御コマンドに該当する発信者番号からの構内電話交換機102に対する電話着信を規制するための設定を行う(シーケンスS024)。
【0046】
以上のように、迷惑電話の電話着信があった電話機101のユーザが、迷惑電話であることを示す識別コードを、通話中または通話終了後の切断時に、ダイヤル入力することによって、当該電話着信呼に関する着信履歴情報に識別コードとして付加して、迷惑電話防止装置104に送信してくるので、迷惑電話防止装置104において当該着信履歴情報を分析して、即時に、迷惑電話を掛けてきた発信者からの以降の電話着信を規制することができる。
【0047】
また、迷惑電話防止装置104が、着信履歴情報に付与されている識別コードから迷惑電話を判別した際に、迷惑電話を掛けてきた発信者からの電話着信を規制するための制御コマンドを自動的に作成して構内電話交換機102に対して送信するので、ユーザあるいは保守者が電話着信を規制するための制御コマンドを編集して、構内電話交換機102に対して設定する手間を省略することができる。
【0048】
(他の実施形態)
次に、先の実施形態に図2として示した迷惑電話防止装置のブロック構成とは異なるブロック構成例について、図5を用いて説明する。図5は、図1の迷惑電話防止装置の内部構成の図2とは異なる例を示すブロック構成図であり、図5に示す迷惑電話防止装置104Gは、図2の迷惑電話防止装置104に対して、検索部104fをさらに付加して構成している例を示している。本実施形態においては、図2、図4に示した場合とは異なり、迷惑電話の識別用として、着信履歴情報に付与された識別コードが、迷惑電話の着信規制内容を特定可能な識別コードではなかった場合について示している。
【0049】
図5に示す迷惑電話防止装置104Gの検索部104fは、迷惑電話対策制御部104dによって起動される機能ブロックであり、迷惑電話の着信規制動作を実施するための条件として記憶部104eにあらかじめ登録されている定義情報をキーとして、記憶部104eに保存されているすべての着信履歴情報を検索し、当該定義情報に合致する条件を満たす着信履歴情報を抽出して、迷惑電話対策制御部104dに対して出力するものである。ここで、定義情報が定義している着信規制の実施条件としては、迷惑電話の電話着信があった電話機101のユーザが付与した迷惑電話識別用の識別コード、迷惑電話の申告をしたユーザ種別、迷惑電話の申告をしたユーザ数、迷惑電話の発生頻度、迷惑電話の不快感の度合い、迷惑電話の申告の時間帯、迷惑電話として着信規制を行うべき対象の電話機等の各種の条件を含むように構成することが可能である。
【0050】
つまり、本実施形態においては、迷惑電話の電話着信があった電話機101のユーザが付与した迷惑電話識別用の識別コードのみならず、その他の各種の要素をも加味した定義情報をあらかじめ設定しておくことによって、迷惑電話としての対策を実施する条件を適宜選択することができる場合を示している。
【0051】
例えば、定義情報としてあらかじめ登録する迷惑電話識別用の識別コードの一例として、次のような例を設定することも可能である。切断時の識別コードとして特番'100'がダイヤル入力された場合に着信履歴情報に付与される'100'の識別コードは、当該着信呼の発信者番号からのすべての電話機101に対する電話着信に関して、即座に着信拒否する場合を示し、また、切断時の識別コードとして特番'101'がダイヤル入力された場合に着信履歴情報に付与される'101'の識別コードは、当該着信呼の発信者番号からの特定の(内線)電話機101に対する電話着信に関して、即座に着信拒否する場合を示し、また、特番'102'がダイヤル入力された場合に着信履歴情報に付与される'102'の識別コードは、当該着信呼の発信者番号からの電話着信に関して、回数多い場合(あらかじめ定めた期間内にあらかじめ定めた閾値を超える回数を超えた場合)にのみ着信拒否する場合を示すように設定する。
【0052】
また、特番'103'がダイヤル入力された場合に着信履歴情報に付与される'103'の識別コードは、当該着信呼の発信者番号からの電話着信に関して、自分の電話機101(内線電話機)に対するダイヤルインによって直接電話着信があった場合のみを着信拒否する場合を示し、また、特番'104'がダイヤル入力された場合に着信履歴情報に付与される'104'の識別コードは、当該着信呼の発信者番号からの電話着信に関して、着信規制を解除する場合を示すように設定する。したがって、ユーザの切断時のダイヤル操作に応じて、任意の着信規制動作を選択することが可能である。
【0053】
さらには、定義情報としてあらかじめ登録する迷惑電話の申告を行うユーザ種別の一例として、迷惑電話の設定権限を有するユーザか否かを設定するようにしても良く、例えば、迷惑電話を判別すべき電話機101のユーザからの申告であるか否かを識別するようにし、迷惑電話の設定権限を有しないユーザが、誤って、迷惑電話の設定動作を行うことを防止するようにすることができる。
【0054】
次に、図5に示す迷惑電話防止装置104Gの動作について、図6のシーケンス図を用いてさらに説明する。図6は、図5の迷惑電話防止装置104Gにおいて迷惑電話の電話着信があった際の以降の電話着信を規制するまでの処理の流れの一例を説明するためのシーケンス図である。図6のシーケンス図は、図4のシーケンス図の場合とは異なり、着信履歴情報に付与された識別コードが、迷惑電話の着信規制内容を特定可能な識別コードではなかった場合である。したがって、迷惑電話識別用の識別コードのみの分析結果により直ちに迷惑電話の着信規制動作を行うのではなく、着信履歴情報を記憶部104eに保存する都度、最新の着信履歴情報のみならず、過去の着信履歴情報をも含めて検索して、記憶部104eにあらかじめ設定登録されている定義情報が示す着信規制条件に合致する着信履歴情報を抽出し、抽出した着信履歴情報に含まれている発信者番号からの電話着信を規制するための制御コマンドを構内電話交換機102に対して出力するまでの処理の流れを示している。ここで、図6のシーケンス図は、かかる場合の迷惑電話防止装置104内の処理の流れを説明するために、構内電話交換機102、および、迷惑電話防止装置104内の各機能ブロック、すなわち、入出力部104a、PBX制御部104b、着信履歴情報分析部104c、迷惑電話対策制御部104d、検索部104f、記憶部104e、の間の迷惑電話用の制御信号の送受信状態を説明している。
【0055】
図6のシーケンス図の以下の説明においては、一例として、例えば、電話機101のユーザが、担当業務とは直接関係がない商品の販売を目的としたセールスに関する電話着信いわゆる「迷惑セールス電話」であると認識した場合に、当該電話機101において着信応答したユーザが、迷惑電話の識別コードとして、即時、当該電話機101に対する当該発信者番号からの「迷惑セールス電話」を一切規制するように設定するために、迷惑電話識別用の識別コードとして通話終了後の切断時に特番'100'をダイヤル入力した場合について、主に説明する。
【0056】
なお、図6に示すシーケンス図は、シーケンスS031〜シーケンスS034まで、および、シーケンスS045〜シーケンスS049までの各処理は、それぞれ、図4に示したシーケンス図のシーケンスS011〜シーケンスS014まで、および、シーケンスS020〜シーケンスS024までの各処理と、規制対象とする要件は異なるものの、全く同様である。
【0057】
図6のシーケンス図において、図4のシーケンスS001の場合と同様、電話機101のユーザが能動的に識別コードとして特番をダイヤル入力することにより迷惑電話の対策を指示して(例えば、特番'100'をダイヤル入力することにより迷惑電話の即時対策を指示して)、切断時に、識別コード(例えば特番'100')付きの切断信号を送信してくると、該識別コード付きの切断信号を受け取った構内電話交換機102は、当該着信呼に関する着信履歴情報を、迷惑電話の発生を示す識別コード(例えば特番'100')付きの着信履歴情報として生成して(シーケンスS031)、迷惑電話防止装置104の入出力部104aに対して出力する(シーケンスS032)。迷惑電話防止装置104の入出力部104aは、構内電話交換機102から受け取った識別コード付きの着信履歴情報を着信履歴情報分析部104cにそのまま処理分配する(シーケンスS033)。
【0058】
着信履歴情報分析部104cは、受け取った識別コード(例えば特番'100')付きの着信履歴情報を記憶部104eに保存する(シーケンスS034)とともに、図4のシーケンス図の場合とは異なり、迷惑電話の識別用として、着信履歴情報に付与された識別コードが、迷惑電話の着信規制内容を特定可能な識別コードではなかった場合であるので、受け取った当該着信履歴情報に付与されていた識別コードだけを分析することなく、過去の着信履歴情報の検索契機が発生したものとして、迷惑電話対策制御部104dに対して処理分配することにより、迷惑電話対策制御部104dを起動する(シーケンスS037)。
【0059】
着信履歴情報分析部104cからの処理依頼を受け取った迷惑電話対策制御部104dは、まず、記憶部104eにアクセスして、迷惑電話に関する着信規制条件を定義するための情報として、記憶部104eにあらかじめ設定登録されている定義情報を読み出す(シーケンスS038)。
【0060】
次いで、迷惑電話対策制御部104dは、記憶部104eから読み出した迷惑電話の着信規制条件を確認した後(シーケンスS039)、過去の着信履歴情報の中に、読み出した迷惑電話の定義情報(迷惑電話の着信規制条件)に合致する着信履歴情報が存在しているか否かを検索するために、過去に受信した着信履歴情報の中から定義情報に合致する着信履歴情報を抽出する処理を検索部104fに対して指示する(シーケンスS040)。
【0061】
迷惑電話対策制御部104dから着信履歴情報の検索を指示された検索部104fは、迷惑電話対策制御部104dから引き継がれた迷惑電話の定義情報に合致する着信履歴情報を検索するための検索条件を編集した後(シーケンスS041)、過去の着信履歴情報を順次記憶部104eから読み出す(シーケンスS042)。
【0062】
しかる後、検索部104fは、順次読み出した着信履歴情報の中から編集した検索条件に合致する着信履歴情報をすべて抽出する。抽出した該着信履歴情報の検索結果は、検索条件に合致する着信履歴情報の件数の集計結果とともに、迷惑電話対策制御部104dに対して返送される(シーケンスS043)。ここで、検索結果として、検索条件に合致した各着信履歴情報の中には発信者番号等の情報が含まれている。
【0063】
なお、シーケンスS038において記憶部104eから読み出した迷惑電話の定義情報は、例えば、「迷惑電話の識別コードが'100'で、かつ、迷惑電話の識別コード'100'を設定入力することができるユーザは、(内線)電話機101の内線電話番号が'300'の受付担当のAさんである場合に限る。内線電話番号が'300'の受付担当のAさんが通話切断時に識別コード'100'をダイヤル入力した場合には、当該着信電話呼は迷惑電話と判断して、当該着信電話呼の発信者番号からの以降の電話着信をすべて規制する。」と定義して、記憶部104eにあらかじめ登録されている。
【0064】
かかる定義情報を迷惑電話対策制御部104dから引き継いだ場合には、検索部104fがシーケンスS041において編集する検索条件は、着信先が内線番号'300'の電話機101であり、かつ、迷惑電話の識別コード'100'が付与されている着信履歴情報を検索するという条件であり、該検索条件に合致した情報が含まれている着信履歴情報を検索結果として抽出して、該検索条件に合致した着信履歴情報の件数の集計結果とともに、迷惑電話対策制御部104dに対して出力することになる。
【0065】
迷惑電話対策制御部104dは、検索部104fから、検索条件すなわち迷惑電話の定義情報に合致する着信履歴情報を示す検索結果を集計結果とともに受け取ると、構内電話交換機102に当該検索結果に含まれている1ないし複数の各発信者番号を取り出して、それぞれについて、迷惑電話を掛けてきた発信者からの電話着信を一切規制する処理を実施してもらうための着信規制情報を作成して(シーケンスS044)、作成した着信規制情報をPBX制御部104bに対して処理分配する(シーケンスS045)。
【0066】
迷惑電話対策制御部104dからの着信規制情報を受け取ったPBX制御部104bは、該着信規制情報に含まれている各発信者番号からの構内電話交換機102に対する電話着信をすべて規制するための制御コマンドを編集する(シーケンスS046)。しかる後、PBX制御部104bは、迷惑電話を掛けてきた各発信者からの電話着信を規制するように編集した該制御コマンドを、入出力部104aに対して処理分配することによって(シーケンスS047)、入出力部104aを経由して、そのまま、構内電話交換機102に対して着信規制指示用の制御コマンドとして出力する(シーケンスS048)。
【0067】
迷惑電話防止装置104の入出力部104aからの制御コマンドを受け取った構内電話交換機102は、以降、当該制御コマンドに該当する各発信者番号からの構内電話交換機102に対する電話着信を規制するための設定を行う(シーケンスS049)。
【0068】
以上のように、先に示した図4のシーケンス図の場合と同様に、図6のシーケンス図においても、迷惑電話の電話着信があった電話機101のユーザが、迷惑電話であることを示す識別コードを、通話中または通話終了後の切断時に、ダイヤル入力することによって、当該電話着信呼に関する着信履歴情報に識別コードとして付加して、迷惑電話防止装置104に送信してくるので、迷惑電話防止装置104において当該着信履歴情報を分析して、即時に、迷惑電話を掛けてきた発信者からの以降の電話着信を規制することができる。
【0069】
さらに、図6に示す本実施形態においては、迷惑電話防止装置104の記憶部104eに着信履歴情報を保存しようとした時点を契機として、最新の電話着信呼に関する着信履歴情報のみならず、過去の電話着信呼に関する着信履歴情報をも含めて、記憶部104eにあらかじめ登録した定義情報が示す迷惑電話の着信規制条件を満たす着信履歴情報を自動的に抽出して、迷惑電話対策を要する情報として抽出した該着信履歴情報に含まれている各発信者番号からの以降の電話着信を規制することを可能にしているので、着信規制条件を定義する定義情報を、記憶部104eに適切に事前登録しておけば、複雑な迷惑電話の条件を満たすことが必要な事象であっても、迷惑電話を簡単に検索することができ、迷惑電話の規制対象を容易に特定して、迷惑電話を掛けてきた発信者からの電話着信を適切な状態に規制することができる。
【0070】
つまり、本実施形態においては、迷惑電話を受けたユーザが不快と感じたときに、電話着信の規制指示を切断時のダイヤル操作により簡単に行うことができるため、電話着信の規制の設定に即時性があり、かつ、規制の設定も簡単である。さらに、迷惑電話の電話着信を規制する場合の各種の着信規制条件を定義情報としてあらかじめ設定登録しておき、過去の着信履歴情報を検索して、該定義情報の着信規制条件を満たす着信履歴情報を、件数の集計結果(統計情報)とともに出力することにより、複雑な着信規制条件であっても簡単に電話着信の規制を実施することができる。
【0071】
なお、定義情報として定義する着信規制条件としては、発着信履歴情報から集計することができる様々な事象を定義することができ、前述したように、例えば、迷惑電話の電話着信があった電話機101のユーザが付与した迷惑電話識別用の識別コード、迷惑電話の申告をしたユーザ種別、迷惑電話の申告をしたユーザ数、迷惑電話の発生頻度、迷惑電話の不快感の度合い、迷惑電話の申告の時間帯、迷惑電話として着信規制を行うべき対象の電話機等の各種の条件を含むように構成し、これらの各条件のうち、いずれか1ないし複数の条件の組合せによって定義することが可能である。
【0072】
したがって、例えば、着信規制を行うべき対象の電話機に関しては、特定の部署では、仕事上の関連で電話着信の規制指示を行うことができない場合には、すべての電話機101に対して一律着信規制を行うのではなく、仕事上の関連がない部署の電話機101に限って着信規制を行うように設定したりすることも可能である。あるいは、迷惑電話を申告するユーザ種別に関しては、不用意に、誤って、迷惑電話の着信規制が設定されてしまうことを防ぐために、迷惑電話を申告する人を限定するように設定したりすることも可能である。
【0073】
さらには、例えば、迷惑電話の申告をしたユーザ数に関しても、単一のユーザではなく複数のユーザが不快と感じた場合に、始めて、迷惑電話として着信を規制するように設定するために、あらかじめ定めた人数分の異なる複数の電話機101のユーザが、あらかじめ定めた期間内に、同一の発信者からの電話着信について、迷惑電話識別用の識別コードをダイヤル入力した場合に着信規制を行うようにしても良い。さらには、迷惑電話の不快感の度合いに関しても、例えば、迷惑電話識別用の識別コードに「迷惑の度合い」を示す指標(不快度や影響度を示す数値あるいはレベル)を付すようにして、識別コードに付した指標に応じた迷惑電話の対応を実施するようにしても良い。
【0074】
さらには、迷惑電話の発生頻度に関しても、あらかじめ定めた単位時間当たりの迷惑電話の発生頻度に応じて迷惑電話の着信規制を実施するように設定したりすることも可能である。また、迷惑電話の申告の時間帯に関しても、例えば、あらかじめ定めた特定の時間帯に発生した迷惑電話に限って、迷惑電話として着信の規制を行うように設定しても良い。
【0075】
また、図6に示す実施形態においては、迷惑電話の着信規制を行う契機として、着信履歴情報を記憶部104eに保存する都度、着信規制条件として定義した定義情報に合致する過去の着信履歴情報を検索する動作を行う場合について示したが、本発明は、かかる場合のみに限るものではなく、例えば、あらかじめ定めた周期ごとに定期的に定義情報に合致する過去の着信履歴情報を検索する動作を実施するようにしても良い。
【0076】
さらには、記憶部104eに登録する定義情報は、一つの定義情報のみに限定されるものではなく、複数の定義情報が記憶部104eに登録されていることも勿論可能である。かくのごとく複数の定義情報が登録されている場合においては、過去の着信履歴情報を検索する際に、それぞれの定義情報に合致する着信履歴情報をすべて抽出する動作を行うが、例えば、次のように、動作させるようにしても良い。
【0077】
すなわち、迷惑電話の着信規制を行う契機として、着信履歴情報分析部104cにおいて最新の着信履歴情報を記憶部104eに保存した際に、該最新の着信履歴情報を分析し、迷惑電話識別用の識別コードが付与されていることを検出した場合に限るようにしても良い。さらに、最新の着信履歴情報迷惑電話識別用の識別コードが付与されていることを検出した場合においては、記憶部104eに登録されている複数の定義情報のうち、最新の着信履歴情報に付与されている識別コードを含んでいる定義情報のみを用いて、過去の着信履歴情報を検索するようにしても良い。
【0078】
なお、以上の実施形態の説明においては、迷惑電話防止装置104,104Gを構内電話交換機(PBX)102に外付け接続している場合について説明したが、前述したように、構内電話交換機(PBX)102内に内蔵するようにしても良い。さらには、公衆網103に直接接続されている電話機に対しても迷惑電話防止装置104,104Gを外付けまたは内蔵するようにしても良く、かかる場合については、識別コード付き着信履歴情報を、交換機側ではなく、電話機自身において作成し、外付けまたは内蔵した迷惑電話防止装置104,104Gに保存するように構成し、規制用の制御コマンドを送信する送信先として、当該電話機自身の呼制御部か、または、場合によっては、当該電話機が接続されている交換機とすれば良い。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0080】
101 電話機
102 構内電話交換機
103 公衆網
104 迷惑電話防止装置
104G 迷惑電話防止装置
104a 入出力部
104b PBX制御部
104c 着信履歴情報分析部
104d 迷惑電話対策制御部
104e 記憶部
104f 検索部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構内電話交換機に内線接続した電話機に対する迷惑電話の着信を規制する制御を行う迷惑電話防止装置を前記構内電話交換機に備えてなる迷惑電話防止システムであって、前記構内電話交換機は、迷惑電話があった前記電話機から該迷惑電話の通話中または通話終了後の切断時に迷惑電話識別用の識別コードを示すダイヤル入力情報を受け取った際に、該識別コードを当該迷惑電話の着信履歴情報に付与して前記迷惑電話防止装置に保存させ、前記迷惑電話防止装置は、保存した前記識別コードを付与した前記着信履歴情報を分析した結果に基づいて、該着信履歴情報に含まれている発信者番号からの以降の電話着信を規制するための制御コマンドを作成して、前記構内電話交換機に出力することにより、前記着信履歴情報に含まれていた発信者番号からの以降の電話着信を前記構内電話交換機において規制することを特徴とする迷惑電話防止システム。
【請求項2】
前記迷惑電話防止装置は、迷惑電話の着信規制を行うための着信規制条件を定義情報としてあらかじめ設定登録した記憶部を備え、内線接続した前記電話機に対する迷惑電話の切断時に迷惑電話の前記着信履歴情報を前記構内電話交換機から受け取って保存する都度、または、あらかじめ定めた周期に達するごとに、保存されている過去の前記着信履歴情報を検索し、前記記憶部に設定登録されている前記定義情報の着信規制条件に合致する着信履歴情報を抽出して、抽出した該着信履歴情報に含まれている発信者番号からの以降の電話着信を規制するための制御コマンドを作成して、前記構内電話交換機に出力することを特徴とする請求項1に記載の迷惑電話防止システム。
【請求項3】
前記定義情報は、迷惑電話識別用の前記識別コード、迷惑電話の申告をしたユーザ種別、迷惑電話の申告をしたユーザ数、迷惑電話の発生頻度、迷惑電話の不快感の度合い、迷惑電話の申告の時間帯、迷惑電話として着信規制を行うべき対象の電話機の各条件のうち、いずれか1ないし複数の条件の組合せによって定義されていることを特徴とする請求項2に記載の迷惑電話防止システム。
【請求項4】
構内電話交換機に内線接続した電話機に対する迷惑電話の着信を規制する制御を行う迷惑電話防止装置であって、迷惑電話があった前記電話機において該迷惑電話の通話中または通話終了後の切断時にダイヤル入力された迷惑電話識別用の識別コードを付与した着信履歴情報を、前記構内電話交換機から受け取って保存した際に、保存した前記識別コードを付与した前記着信履歴情報を分析した結果に基づいて、該着信履歴情報に含まれている発信者番号からの以降の電話着信を規制するための制御コマンドを作成して、前記構内電話交換機に出力することを特徴とする迷惑電話防止装置。
【請求項5】
迷惑電話の着信規制を行うための着信規制条件を定義情報としてあらかじめ設定登録した記憶部を備え、内線接続した前記電話機に対する迷惑電話の切断時に迷惑電話の前記着信履歴情報を前記構内電話交換機から受け取って保存する都度、あるいは、あらかじめ定めた周期に達するごとに、保存されている過去の前記着信履歴情報を検索し、前記記憶部に設定登録されている前記定義情報の着信規制条件に合致する着信履歴情報を抽出して、抽出した該着信履歴情報に含まれている発信者番号からの以降の電話着信を規制するための制御コマンドを作成して、前記構内電話交換機に出力することを特徴とする請求項4に記載の迷惑電話防止装置。
【請求項6】
前記定義情報は、迷惑電話識別用の前記識別コード、迷惑電話の申告をしたユーザ種別、迷惑電話の申告をしたユーザ数、迷惑電話の発生頻度、迷惑電話の不快感の度合い、迷惑電話の申告の時間帯、迷惑電話として着信規制を行うべき対象の電話機の各条件のうち、いずれか1ないし複数の条件の組合せによって定義されていることを特徴とする請求項5に記載の迷惑電話防止装置。
【請求項7】
構内電話交換機に内線接続した電話機に対する迷惑電話の着信を規制する制御を行う迷惑電話防止方法であって、迷惑電話があった前記電話機において該迷惑電話の通話中または通話終了後の切断時にダイヤル入力された迷惑電話識別用の識別コードを付与した着信履歴情報を、前記構内電話交換機から受け取って保存した際に、保存した前記識別コードを付与した前記着信履歴情報を分析した結果に基づいて、該着信履歴情報に含まれている発信者番号からの以降の電話着信を規制するための制御コマンドを作成して、前記構内電話交換機に出力することを特徴とする迷惑電話防止方法。
【請求項8】
迷惑電話の着信規制を行うための着信規制条件を定義情報としてあらかじめ設定登録した記憶部を備え、内線接続した前記電話機に対する迷惑電話の切断時に迷惑電話の前記着信履歴情報を前記構内電話交換機から受け取って保存する都度、あるいは、あらかじめ定めた周期に達するごとに、保存されている過去の前記着信履歴情報を検索し、前記記憶部に設定登録されている前記定義情報の着信規制条件に合致する着信履歴情報を抽出して、抽出した該着信履歴情報に含まれている発信者番号からの以降の電話着信を規制するための制御コマンドを作成して、前記構内電話交換機に出力することを特徴とする請求項7に記載の迷惑電話防止方法。
【請求項9】
前記定義情報は、迷惑電話識別用の前記識別コード、迷惑電話の申告をしたユーザ種別、迷惑電話の申告をしたユーザ数、迷惑電話の発生頻度、迷惑電話の不快感の度合い、迷惑電話の申告の時間帯、迷惑電話として着信規制を行うべき対象の電話機の各条件のうち、いずれか1ないし複数の条件の組合せによって定義されていることを特徴とする請求項8に記載の迷惑電話防止方法。
【請求項10】
請求項7ないし9のいずれかに記載の迷惑電話防止方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする迷惑電話防止プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−5332(P2013−5332A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136381(P2011−136381)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】