説明

迷惑電話防止装置及び迷惑電話防止方法

【課題】ワン切り呼び出しによる迷惑電話をユーザの負担なしに自動的に且つ確実に防止することが可能な電話交換システム及びその迷惑電話防止方法を提供する。
【解決手段】電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積手段に蓄積する。また、蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索し、その検索結果に基づいて迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迷惑電話を防止する迷惑電話防止装置及び迷惑電話防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、いたずら電話や迷惑電話を防止する方法としては、例えば、特許文献1、2に記載された方法がある。特許文献1では、受信した電話番号又は発信者名と、既にユーザテーブルに記録されている電話番号又は発信者名とを比較し、どちらか一方が既にユーザテーブルに記録されている電話番号又は発信者名と相違する場合には不一致カウンタの数値を1つ増やし、この数値が、例えば、3以上であるかを確認する。不一致カウンタの数値が3以上の場合には、3回検出するのに、所定の一定期間を要したか否かを確認する。
【0003】
通常、電話番号及び発信者名は頻繁に変わるものではなく、何らかの理由で頻繁に変わったとしても、それが短期間に変わるということは、いたずら電話以外には考えられない。従って、その場合には発信者側の情報をブラックリストテーブルに登録するというものである。
【0004】
また、特許文献2では、構内電話設備は構内交換機(PBX)と迷惑電話サーバを含み、内線電話の通話者が、通話内容等から迷惑電話であると認識すると、迷惑キーを操作し、迷惑電話テーブルに相手電話の電話番号を登録する。PBXは着信時に発信者の電話番号が迷惑電話テーブルに登録されているかを迷惑電話サーバに問い合わせる。迷惑電話である場合には、PBXはその着信に対して直接応答し、通話拒否を示すガイダンスを通話路に供給し、一定時間後にその着信を一方的に切断するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−179684号公報(段落0030〜0032等)
【特許文献2】特開2008−060674号公報(段落0015〜0021等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の方法では、特定のいたずら電話に対しては効果があるが、ワン切り呼び出しによる迷惑電話に対しては有効ではない。また、特許文献2の方法では、ユーザが相手の通話内容から迷惑電話であるかどうかを判断し、迷惑電話と判断した時に着信を拒否するための設定を行っており、ユーザの負担が大きくなるという課題がある。また、特許文献2には、ワン切り呼び出しによる迷惑電話の防止方法に関して具体的な記載はない。
【0007】
本発明の目的は、ワン切り呼び出しによる迷惑電話をユーザの負担なしに自動的に且つ確実に防止することが可能な迷惑電話防止装置及び迷惑電話防止方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る迷惑電話防止装置は、電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索する検索手段と、前記検索手段の検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る迷惑電話防止方法は、蓄積手段が、電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積するステップと、検索手段が、前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索するステップと、制御手段が、前記検索手段の検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御するステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積する蓄積手段と、前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索する検索手段と、前記検索手段の検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御する制御手段と、して機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出しを迷惑電話と定義し、過去の着信履歴情報からこの条件に該当する着信履歴情報を検索し、該当する発信者からの着信を拒否することにより、ワン切り呼び出しによる迷惑電話を自動且つ確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る迷惑電話防止装置の概要を説明する概略構成図である。
【図2】本発明に係る迷惑電話防止動作を説明するシーケンス図である。
【図3】本発明の第1の実施例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施例の動作を説明するシーケンス図である。
【図5】本発明の第2の実施例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施例の動作を説明するシーケンス図である。
【図7】本発明の第2の実施例の動作を説明するシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る迷惑電話防止装置の概要を示すブロック図である。図1では構内電話交換機に収容された内線電話機に迷惑電話防止機能を持たせた例を説明する。図2は本発明に係る迷惑着信を受けて着信を規制するまでの迷惑電話防止の流れを示すシーケンス図である。
【0014】
図1に示すようにPBX−N102は電話交換機であり、複数の電話機(内線電話機)N101が接続されている。電話交換機PBX−N102には発着信履歴管理兼迷惑電話対応装置N104(以下迷惑電話対応装置N104)が接続されている。電話交換機PBX−N102は公衆網N103に接続されている。
【0015】
電話交換機PBX−N102は、公衆網N103からの着信を電話機N101が応答し、接続及び切断をした場合の着信履歴情報を蓄積する機能、迷惑電話対応装置N104に蓄積した着信履歴情報を出力する機能、発信者番号毎に着信を規制する機能、発信者番号毎の着信の規制を解除する機能、発信者番号毎の着信の規制と解除を設定する制御コマンドを受け入れる機能等を備えている。
【0016】
電話機N101は通話中にダイヤルした番号を着信履歴情報の中に識別コードとして付与する機能を備えている。迷惑電話対応装置N104は電話交換機PBX−N102から着信履歴情報を受け入れて保存する機能、着信履歴情報から迷惑電話を検出する機能、電話交換機PBX−N102に対して発信者番号毎の着信の規制と解除を設定する制御コマンドを出力する機能を備えている。
【0017】
また、迷惑電話対応装置N104は、後述するように電話機N101への着信時に発信者の電話番号と呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積する機能、蓄積された着信履歴情報から迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索する機能、検索結果に基づき迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御する機能等を備えている。
【0018】
図2は図1において迷惑な着信が発生してから着信規制を設定するまでの流れを示すシーケンス図であり、電話機F201、電話交換機PBX−F202、公衆網F203、発着信履歴管理兼迷惑電話対応装置(以下迷惑電話対応装置)F204は、それぞれ図1の電話機N101、電話交換機PBX−N102、公衆網N103、迷惑電話対応装置N104に対応する。
【0019】
図2に示すように公衆網F203から電話交換機PBX−F202に収容されたいずれかの電話機F201へ着信すると(F210)、電話機F201のユーザが応答して通話をする(F211)。その通話中にユーザは不快と感じて迷惑電話(いたずら電話)と判断すると、ユーザは迷惑電話の発生を示す識別コードをダイヤルする(F211)。次いで、電話機F201は通話を切断してその識別コードを電話交換機PBX−F202へ送信する(F212)。
【0020】
電話交換機PBX−F202は、着信履歴情報(発信者電話番号、迷惑電話識別コード付き等)を蓄積すると共に、迷惑電話対応装置F204へ迷惑電話の識別コードを含む着信履歴情報を出力する(F213)。迷惑電話対応装置F204は、電話交換機PBX−F202から受け付けた着信履歴情報、或いは過去に蓄積された着信履歴情報から迷惑電話の痕跡(即ち、迷惑電話を示す識別コードがあるかどうか)を検出する(F214)。
【0021】
電話機F201への着信が迷惑電話であると判断すると、迷惑電話対応装置F204は迷惑電話をかけてくる発信者からの着信を規制すると判断し、電話交換機PBX−F202へ着信を規制する制御コマンドを出力して該当する発信者番号に対して着信規制を設定する(F215)。この設定に応じて電話交換機PBX−F202は指定された発信者番号に対して着信を規制するためのデータを登録して着信を規制する(F216)。着信規制を設定した後、該当する発信者番号から電話交換機PBX−F202への着信が拒否される。
【0022】
また、本発明では、詳しく後述するように迷惑電話を定義する定義情報を設定しておく。また、電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積し、蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された条件に該当する着信履歴情報を検索し、検索結果に基づいて迷惑電話の条件に該当する発信者からの着信を拒否する。
【実施例】
【0023】
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明する。
【0024】
(第1の実施例)
図3は本発明の第1の実施例を示すブロック図、図4は第1の実施例の動作を説明するシーケンス図である。第1の実施例では、迷惑着信電話を受けたユーザが能動的に迷惑電話の対策を実施する例を示す。
【0025】
図3は電話交換機PBX−B301と発着信履歴管理兼迷惑電話対応装置(以下迷惑電話対応装置)B308の機能ブロック図を示す。電話交換機PBX−B301、迷惑電話対応装置B308は、それぞれ図1の電話交換機PBX−N102、迷惑電話対応装置N104に対応する。
【0026】
なお、電話交換機PBX−B301には図1に示すように複数の電話機N101が接続され、電話交換機PBX−B301は公衆網N103に接続されているものとする。図3に示すように迷惑電話対応装置B308は、入出力部B302、PBX制御部B303、履歴情報分析部B304、迷惑電話対策制御部B305、検索部B306、着信履歴情報を蓄積する記憶部B307から構成されている。
【0027】
図4は迷惑電話対応装置B308が迷惑電話の着信履歴情報を電話交換機PBX−B301から受けて迷惑電話と明示した着信履歴情報から迷惑電話の発生を判断し、着信を規制する制御コマンドを電話交換機PBX−B301へ出力するまでの流れを示すシーケンス図である。
【0028】
図4を用いて本実施例の迷惑着信電話を受けたユーザが能動的に迷惑電話の対策を実行する手順を説明する。なお、図4の電話交換機PBX−F401、入出力部F402、PBX制御部F403、履歴情報分析部F404、迷惑電話対策制御部F405、検索部F406、記憶部F407は、それぞれ図3の電話交換機PBX−B301、入出力部B302、PBX制御部B303、履歴情報分析部B304、迷惑電話対策制御部B305、検索部B306、記憶部B307に対応する。
【0029】
図4に示すように通話中にユーザが不快と感じて迷惑電話の発生を示す識別コードを設定すると、電話交換機PBX−F401は識別コードを含む着信履歴情報を生成蓄積する(F410)。電話交換機PBX−F401に蓄積された着信履歴情報は、迷惑電話対応装置B308に出力され(F411)、入出力部F402を経由して履歴情報分析部F404に送信される(F412)。
【0030】
履歴情報分析部F404は送信された着信履歴情報を記憶部F407へ保存する(F413)。履歴情報分析部F404は受信した最新の着信履歴情報を分析し、迷惑電話の識別コードを含んでいるかを確認する(F414)。迷惑電話の識別コードは着信を受けたユーザが明示的に着信履歴情報へ付加したものであり、その情報をもとにして即時に迷惑電話の発生を検出して対策を実施する。
【0031】
迷惑電話の識別コードが着信履歴情報に含まれていないと処理を終了し(F415)、迷惑電話の識別コードが含まれていると、履歴情報分析部F404は迷惑電話対策制御部F405へ処理を依頼する(F416)。迷惑電話対策制御部F405は着信履歴情報に含まれている迷惑電話の発信者番号に関する情報を記憶部F407から読み出す(F417)。次いで、迷惑電話対策制御部F405は迷惑電話の発信者番号を取得し、迷惑電話をかけてくる発信者からの着信を規制するため、その発信者番号をPBX制御部F403へ送信する(F419)。
【0032】
PBX制御部F403は着信を規制するための制御コマンドを編集する(F420)。次に、PBX制御部F403は入出力部F402を経由して(F421)、迷惑電話をかけてくる発信者からの着信を規制する制御コマンドを電話交換機PBX−F401へ出力する(F422)。電話交換機PBX−F401は該当する発信者番号からの着信を規制するための設定を行う(F423)。
【0033】
以上のように本実施例では、迷惑電話を受けたユーザが識別コードを着信履歴情報へ付加することで、迷惑電話対応装置が着信履歴情報を即時に分析し、迷惑電話をかけてくる発信者からの着信を規制することができる。また、迷惑電話対応装置は迷惑電話を判断して着信を規制する制御コマンドを自動的に設定するため、ユーザ或いは保守者は着信を規制する制御コマンドを編集、設定する手間が省略することができる。
【0034】
(第2の実施例)
次に、図5〜図7を用いて本発明の第2の実施例を説明する。本実施例では、予め定義した迷惑着信電話の条件に基づいて迷惑電話(いたずら電話を含む)であるかどうかを判断し、迷惑電話の対策を行う。
【0035】
図5は電話交換機PBX−B501と発着信履歴管理兼迷惑電話対応装置(以下迷惑電話対応装置)B508の機能ブロック図を示す。電話交換機PBX−B501、迷惑電話対応装置B508は、それぞれ図1の電話交換機PBX−N102、迷惑電話対応装置N104に対応する。なお、電話交換機PBX−B501には図1に示すように複数の電話機N101が接続され、電話交換機PBX−B501は公衆網N103に接続されているものとする。
【0036】
また、図5に示すように迷惑電話対応装置B508は、入出力部B502、PBX制御部B503、履歴情報分析部B504、迷惑電話対策制御部B505、検索部B506、記憶部B507から構成されている。図6と図7は過去の着信履歴情報から迷惑電話として定義された条件に該当する着信履歴情報を抽出し、該当する発信者電話番号からの着信を規制する制御コマンドを電話交換機PBX−B501へ出力するまでの流れを示すシーケンス図である。
【0037】
次に、図6と図7を用いて本実施例の迷惑電話として定義された条件に基づいて迷惑電話対策を行う手順について説明する。なお、図6に示す電話交換機PBX−F601、入出力部F602、PBX制御部F603、履歴情報分析部F604、迷惑電話対策制御部F605、検索部F606、記憶部F607は、それぞれ図5の電話交換機PBX−B501、入出力部B502、PBX制御部B503、履歴情報分析部B504、迷惑電話対策制御部B505、検索部B506、記憶部B507に対応する。
【0038】
また、図7に示す電話交換機PBX−F701、入出力部F702、PBX制御部F703、履歴情報分析部F704、迷惑電話対策制御部F705、検索部F706、記憶部F707は、それぞれ図5の電話交換機PBX−B501、入出力部B502、PBX制御部B503、履歴情報分析部B504、迷惑電話対策制御部B505、検索部B506、記憶部B507に対応する。
【0039】
まず、図6に示すように、例えば、呼び出し音が数秒で停止する着信、いわゆる「ワン切り呼出」が発生した場合には、発信者番号と呼出時間を含む着信履歴情報が電話交換機PBX−F601によって生成、蓄積される(F610)。
【0040】
電話交換機PBX−F601に蓄積された着信履歴情報は、迷惑電話対応装置B508に出力され(F611)、入出力部F602を経由して履歴情報分析部F604へ送信される(F612)。履歴情報分析部F604は送信された着信履歴情報を記憶部F607に保存する(F613)。履歴情報分析部F604は迷惑電話の分析を迷惑電話対策制御部F605へ依頼する(F616)。
【0041】
迷惑電話対策制御部F606は、予め定義されている迷惑電話の定義情報を記憶部F607から読み出す(F617)。迷惑電話対策制御部F605は迷惑電話の条件を確認した後(F618)、過去の着信履歴情報から迷惑着信電話の定義情報に該当する情報が得られるかを分析するため、検索部F606へ検索を指示する(F619)。検索部F606は検索条件を編集した後(F620)、過去の着信履歴情報を記憶部F607から読み出し(F621)、統計情報を集計して検索結果を迷惑電話対策制御部F605へ通知する(F622)。
【0042】
例えば、迷惑電話の定義として、単位時間にN回以上、M秒以下の「ワン切り呼出」が定義されており、このような定義情報に基づいて検索部F606はM秒以下の「ワン切り呼出」をしている着信履歴情報を抽出し、単位時間当たりの「ワン切り呼出」回数を集計する。このようにして検索部F606は過去の着信履歴情報から迷惑電話として定義された「単位時間にN回以上、M秒以下のワン切り呼出」の条件に該当する着信履歴情報を検索する。
【0043】
次に、図7に示すように迷惑電話対策制御部F705は、検索部F706から迷惑着信電話の定義に該当する検索結果が得られると、迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から迷惑電話の発信者情報(発信者電話番号)を取得する(F710)。次いで、迷惑電話をかけてくる発信者からの着信を規制するため、発信者番号をPBX制御部F703へ通知する(F711)。PBX制御部F703は着信を規制するための制御コマンドを編集する(F712)。
【0044】
次いで、PBX制御部F703は入出力部F702を経由して(F713)、迷惑電話をかけてくる発信者からの着信を規制する制御コマンド(着信規制指示)を電話交換機PBX−F701へ出力する(F714)。電話交換機PBX−F701は該当する発信者番号からの着信を規制するための設定を行う(F715)。これにより、迷惑電話の定義に該当する発信者からの着信は拒否される。
【0045】
このように本実施例では、発信者の電話番号と呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積し、着信時に蓄積された過去の着信履歴情報から、予め迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の「ワン切り呼出」に該当する着信履歴情報を検索する。そして、検索結果に基づいて迷惑電話に該当する発信者情報を抽出し、該当する発信者からの着信を拒否することにより、ワン切り呼び出しによる迷惑電話を自動で且つ確実に防止することができる。
【0046】
なお、本発明は、例えば、迷惑電話は複数のユーザが不快と感じた場合に限定するため、迷惑電話の識別コードを複数のユーザが登録した場合に該当する発信者からの着信を規制しても良い。更に、特定の部門では迷惑電話でも応答しなければならない場合等には、迷惑電話の識別コードが登録されても特定の部門の電話機は着信規制を除外しても良い(即ち、図1の複数の電話機のうち特定の電話機を着信規制の対象外とする)。
【0047】
また、例えば、仕事上等で着信を規制できない取引先等の電話番号から迷惑電話を受けた場合には着信を規制しないようにすることも可能である。或いは、迷惑電話が発生しても(即ち、上述のような識別コードの登録や迷惑電話の定義に該当する着信があった場合)、特定の部署(特定の電話機)や特定の時間帯には着信を規制しないようにすることも可能である。
【0048】
更に、迷惑電話の対策として着信の規制ではなく、迷惑電話をする電話番号からの発信を規制することも着信履歴情報に基づいて行うことが可能である。即ち、図1に示す電話機N101から発信する電話に対して全く同様に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を記憶部に蓄積しておき、蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索する。そして、検索結果に基づいて迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの発信を規制する。
【0049】
また、迷惑電話を判断する契機としては、図5の検索部B506が記憶部B07に蓄積された発着信履歴情報を定期的に検索して迷惑電話として定義された条件に該当する発信者番号を抽出し、該当する発信者番号からの着信を拒否しても良い。これは、図3、図4の実施例の場合も同様である。
【0050】
(第3の実施例)
以上の実施例では、本発明を構内電話交換システムに収容された内線電話機に使用した例を説明したが、本発明は、一般家庭等で用いられる電話機(公衆電話網に接続された電話機)や携帯電話機にも使用することが可能である。一般家庭等で用いられる電話機に本発明を使用する場合には、電話機側又は電話交換機側に第2の実施例と同様の迷惑電話防止機能を持たせておく。
【0051】
即ち、電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積する蓄積手段と、蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索する検索手段と、検索手段の検索結果に基づいて迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御する制御手段とを持たせておく。
【0052】
また、本発明を携帯電話機に使用する場合には、携帯電話機側又は携帯電話機の通信を管轄する移動通信システムの管理システム側に同様の迷惑電話防止機能を持たせておく。この構成により、一般の電話機や携帯電話機においてもワン切り呼び出しによる迷惑電話を自動で且つ確実に防止することができる。
【0053】
なお、以上の実施形態の迷惑電話防止装置は、ハードウェアによっても実現できるが、コンピュータをその迷惑電話防止装置として機能させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現できる。また、以上の実施形態の迷惑電話防止方法は、ハードウェアによっても実現できるが、コンピュータにその方法を実行させるためのプログラムをコンピュータがコンピュータ読み取り可能な記録媒体から読み込んで実行することによっても実現できる。
【0054】
また、上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限らない。
【0055】
(付記1)電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索する検索手段と、
前記検索手段の検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする迷惑電話防止装置。
【0056】
(付記2)前記電話機は、構内電話交換機システムに収容された内線電話機、公衆電話網に接続された電話機又は携帯電話機であることを特徴とする付記1に記載の迷惑電話防止装置。
【0057】
(付記3)前記検索手段は、前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報を定期的に検索し、前記制御手段は検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する発信者からの着信を拒否することを特徴とする付記1又は2に記載の迷惑電話防止装置。
【0058】
(付記4)前記蓄積手段は、前記電話機からの発信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積し、前記検索手段は、蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索し、前記制御手段は、検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの発信を拒否するように制御することを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の迷惑電話防止装置。
【0059】
(付記5)蓄積手段が、電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積するステップと、
検索手段が、前記蓄積憶手段に蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索するステップと、
制御手段が、前記検索手段の検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御するステップと、
を含むことを特徴とする迷惑電話防止方法。
【0060】
(付記6)前記電話機は、構内電話交換機システムに収容された内線電話機、公衆電話網に接続された電話機又は携帯電話機であることを特徴とする付記5に記載の迷惑電話防止方法。
【0061】
(付記7)前記検索手段は、前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報を定期的に検索し、前記制御手段は検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する発信者からの着信を拒否することを特徴とする付記5又は6に記載の迷惑電話防止方法。
【0062】
(付記8)前記蓄積手段は、前記電話機からの発信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積し、前記検索手段は、蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索し、前記制御手段は、検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの発信を拒否するように制御することを特徴とする付記5乃至7のいずれか1項に記載の迷惑電話防止方法。
【0063】
(付記9)コンピュータを、
電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索する検索手段と、
前記検索手段の検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御する制御手段と、
して機能させるためのプログラム。
【0064】
(付記10)前記電話機は、構内電話交換機システムに収容された内線電話機、公衆電話網に接続された電話機又は携帯電話機であることを特徴とする付記9に記載のプログラム。
【0065】
(付記11)前記検索手段は、前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報を定期的に検索し、前記制御手段は検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する発信者からの着信を拒否することを特徴とする付記9又は10に記載のプログラム。
【0066】
(付記12)前記蓄積手段は、前記電話機からの発信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積し、前記検索手段は、蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索し、前記制御手段は、検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの発信を拒否するように制御することを特徴とする付記9乃至11のいずれか1項に記載のプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、構内電話交換システムに収容された電話機、一般家庭等で用いられる電話機、携帯電話機等に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0068】
N101 電話機
N102 電話交換機
N103 公衆網
N104 迷惑電話対応装置
B301、B501 電話交換機
B302、B502 入出力部
B304、B504 履歴情報分析部
B305、B505 明和機電話対策制御部
B306、B506 検索部
B307、B507 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索する検索手段と、
前記検索手段の検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする迷惑電話防止装置。
【請求項2】
前記電話機は、構内交換機システムに収容された内線電話機、公衆電話網に接続された電話機又は移動通信システムの携帯電話機であることを特徴とする請求項1に記載の迷惑電話防止装置。
【請求項3】
前記検索手段は、前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報を定期的に検索し、前記制御手段は検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する発信者からの着信を拒否することを特徴とする請求項1又は2に記載の迷惑電話防止装置。
【請求項4】
前記蓄積手段は、前記電話機からの発信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積し、前記検索手段は、蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索し、前記制御手段は、検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの発信を拒否するように制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の迷惑電話防止装置。
【請求項5】
蓄積手段が、電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積するステップと、
検索手段が、前記蓄積憶手段に蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索するステップと、
制御手段が、前記検索手段の検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御するステップと、
を含むことを特徴とする迷惑電話防止方法。
【請求項6】
前記電話機は、構内電話交換機システムに収容された内線電話機、公衆電話網に接続された電話機又は携帯電話機であることを特徴とする請求項5に記載の迷惑電話防止方法。
【請求項7】
前記検索手段は、前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報を定期的に検索し、前記制御手段は検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する発信者からの着信を拒否することを特徴とする請求項5又は6に記載の迷惑電話防止方法。
【請求項8】
前記蓄積手段は、前記電話機からの発信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積し、前記検索手段は、蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索し、前記制御手段は、検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの発信を拒否するように制御することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の迷惑電話防止方法。
【請求項9】
コンピュータを、
電話機への着信時に発信者の電話番号及び呼び出し時間を含む着信履歴情報を蓄積する蓄積手段と、
前記蓄積手段に蓄積された着信履歴情報から、迷惑電話として定義された単位時間にN回以上、M秒以下の呼び出し時間の条件に該当する着信履歴情報を検索する検索手段と、
前記検索手段の検索結果に基づいて前記迷惑電話の条件に該当する着信履歴情報から発信者の電話番号を抽出し、当該発信者からの着信を拒否するように制御する制御手段と、
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−70246(P2012−70246A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213703(P2010−213703)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】