説明

送り機構

【課題】 光ピックアップ等の送り機構のデッドロック状態を防止する。
【解決手段】 ウオームギアによりモータの駆動力が伝達されるヘリカルギア10bと作動部に一体に形成されたラックと噛合し、ヘリカルギア10bの駆動力を伝達するヘリカルギア10aを設け、ヘリカルギア10aと10bを圧接部材11及び12でコイルバネ13磁力により圧着し駆動力を伝達するようにしたので、所定の圧着力を越える過負荷時にヘリカルギア10aと10bが空転しデッドロック状態に成るのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク装置の光ピックアップ送り機構等に用いる送り機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ディスク装置の光ピックアップを光ディスクのトラックに従い移動させる送り機構では、モータの駆動力を利用して構成している。従来の光ピックアップ送り機構の概略の構成を図1を参照し、図3に示すヘリカルギアを用いて説明する。 図において、光ピックアップ送り機構1の作動部である光ピックアップ8を移動する駆動部では、ウオームギア6を駆動軸5に取り付けたモータ3が固定部材4によって筐体2に固定されている。
【0003】又、モータ3の駆動軸5の軸方向に2本の平行なガイドレール7a,7bが筐体2に固定され、光ピックアップ8は一体に連結されたラック9をヘリカルギア10’により駆動しガイドレール7a,7bを摺動し移動される。ヘリカルギア10’は筐体2に設けた軸14に回動自在に軸合され、ウオームギア6と歯合しラック9にモータ3からの駆動力が伝達される。モータ3の制御回路(図示せず)からモータ3を制御することによって、光ピックアップ8はガイドレール7a,7b上を移動せしめ対向するディスクのトラックに位置決めされ再生動作をすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、モータ3を駆動制御する制御系の誤動作や故障等によりモータの制御が不能となったとき、光ピックアップ8が移動できなくなる位置まで暴走し、ウオームギア6がヘリカルギア10’に食い込んで機械的にデッドロック状態になり、再動作ができなくなる事故を起こす欠点があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、筐体に固定されたガイドレール上を摺動する作動部に連結されたラックと、該ラックと歯合し前記作動部を移動させる第1のヘリカルギアと、前記筐体に固定されウオームギアを駆動軸に取り付けたモータと、前記ウオームギアに噛合する第2のヘリカルギアと、前記第1および第2のヘリカルギアが同軸に軸合されそれぞれの円筒部を共に圧接し駆動力を伝達する圧接部材を具備する送り機構である。
【0006】したがって、過負荷時に圧接部材による第1および第2のヘリカルギアを一体に保持し、駆動力を伝達する圧接部で空転する構成に成すのでモータによる制御動作が暴走して所定の圧接力を越えて負荷が加えられてもヘリカルギア間で空転を継続するので、ギアがラツクに食い込みデッドロック状態になるのを防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明を図面により説明する。図1R>1は本発明による送り機構の一実施例の概略構成図を示し、図2に要部の断面を示す。なお、従来例と同様な部分は同符号を付して説明を省略する。図において、光ピツクアツプ送り機構1の筐体2に固定部材4で固定されたモータ3の駆動軸5に取り付けたウオームギア6が噛合するヘリカルギア10bに一体の円筒部bとヘリカルギア10aに一体の円筒部aとが筐体2に同軸に軸14で回動自在に保持される。
【0008】ヘリカルギア10a及び10bの円筒部a及びbには摩擦抵抗が大きくなるように凹凸が形成され、この円筒部a及びbを共に圧接するために圧接部材11及び12の外壁に設けた溝11a及び12aにコイルバネ13が嵌挿され、中心の軸14方向にバネの弾性力が加えられ、所定の圧力により圧接部材11及び12と円筒部a及びbとが係合し、ヘリカルギア10a及び10bとが圧接部材11及び12を介し弾性係合される。
【0009】圧接部材11及び12の内壁11b及び12bは円筒部a及びbとに対向し当接して所定の係合状態に保持される。係合状態は円筒部a及びbの摩擦係数、或いは滑らかな凹凸による当接とコイルバネ13の弾性力による係合によってヘリカルギア10aおよび10bを一体に保持する。ヘリカルギア10a及び10bが軸13で筐体2に同軸で軸支されヘリカルギア10aが光ピックアップ8と一体に連結されたラック9と噛合する。
【0010】光ピックアップ送り機構1は筐体2に固定部材4で固着されたモータ3でウオームギア6を駆動し、ウオームギア6からヘリカルギア10b、ヘリカルギア10bの円筒部bから圧接部材11および12を介し円筒部aのヘリカルギア10aに伝達され、ヘリカルギア10aからラック9に伝達されラック9がガイドレール7aおよび7bに沿って作動部である光ピツクアツプ8を所定の位置へ制御する。制御回路(図示せず)が何らかの故障してモータ3がある回転方向に回転を続けたとき移動できなくなる位置までラック9が移動し、ヘリカルギア部が抑止されるとヘリカルギア10aとヘリカルギア10bが所定の係合状態以上の過負荷ではコイルバネ13の弾性に抗し空転を生じるため、ウオームギア6がヘリカルギア10aへ食い込み作動不能状態になるのを防止することができる。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、送り機構のウオームギアの駆動力を伝えるヘリカルギアの伝達部を圧接力による伝達手段を設け、過負荷時に空転せしめるので、デッドロック状態で再動作不能となる事故を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による送り機構の一実施例を示す概略の構成図。
【図2】本発明の要部の部分断面図。
【図3】従来例を示す概略の構成図。
【符号の説明】
1 光ピックアップ送り機構
2 筐体
3 モータ
4 固定部材
5 駆動軸
6 ウオームギア
7a,7b ガイドレール
8 光ピックアップ
9 ラック
10a,10b,10’ ヘリカルギア
11,12 圧接部材
11a,12a 溝
11b,12b 内壁
13 コイルバネ
14 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】 筐体に固定されたガイドレール上を摺動する作動部に連結されたラックと、該ラックと歯合し前記作動部を移動させる第1のヘリカルギアと、前記筐体に固定されウオームギアを駆動軸に取り付けたモータと、前記ウオームギアに噛合する第2のヘリカルギアと、前記第1および第2のヘリカルギアが同軸に軸合されそれぞれの円筒部を共に圧接し駆動力を伝達する圧接部材を具備することを特徴とする送り機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平9−35425
【公開日】平成9年(1997)2月7日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−198069
【出願日】平成7年(1995)7月11日
【出願人】(000004167)日本コロムビア株式会社 (5)