説明

送信元と受信機との間のチャネルインパルス応答を推定する方法及びデバイス

【課題】送信元と受信機との間のチャネルインパルス応答を推定する方法を提供する。
【解決手段】送信元によって送信されるデータは、符号化されてデータシンボルとして編成される。受信機は、サイズP×Lの第1の行列を求めるとともに、サイズP×Pの離散フーリエ変換行列を求め、ここでLはタップ数であり、受信データシンボルを生成するために、データシンボルを表す受信信号を復調し、受信データシンボルを並列化し、並列化された受信データシンボルに対して離散フーリエ変換を実行し、変換された受信データシンボルをサブキャリアからデマッピングし、デマッピングされた受信データシンボルからチャネルインパルス応答を反復的に推定する。チャネル推定は、第1の行列と、離散フーリエ変換行列と、転送されたデータシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい事後確率に従って規定される第2の行列とに依存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、離散フーリエ変換拡散直交周波数分割多重(DFT−S−OFDM)方式としても知られているシングルキャリア周波数分割多元接続(SC−FDMA)方式を用いて、送信元と受信機との間のリンクを推定する方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
リンクは、例えば、電力線通信において用いられるような無線リンク又は有線リンクである。
【0003】
シングルキャリアFDMA(SC−FDMA)は、周波数分割多元接続方式である。他の多元接続方式と同様に、SC−FDMAは、共有された通信リソースへの複数のユーザの割り当てを扱う。SC−FDMAは、従来の直交周波数分割多元接続(OFDMA)処理の前に付加的なDFT処理を有するという意味で、線形プリコーディング型(linearly precoded)のOFDMA方式として解釈することができる。OFDMとまさに同様に、シンボルブロック間のマルチパス伝播によって引き起こされる時間拡散を効率的に取り除くことを考慮して、シンボルブロック間に周期的な繰り返しを有するガードインターバルが導入される。
【0004】
SC−FDMAの際立った特徴は、マルチキャリア伝送方式であるOFDMAとは対照的に、SC−FDMAでは、適切なサブキャリアが用いられると、シングルキャリアの送信信号が得られるということである。
【0005】
適切なサブキャリアとは、等間隔にされたサブキャリアである。
【0006】
SC−FDMAの本来的なシングルキャリア構造のおかげで、SC−FDMAがOFDM及びOFDMAを上回る顕著な利点は、その送信信号が低いピーク対平均電力比(PAPR)を有するということである。この低PAPR特性は、サブキャリアが適切なサブキャリアとは異なっている場合にも依然として保持される。
【0007】
直感的には、この論拠は、OFDMでは送信シンボルが複数のサブキャリアを直接変調するのに対して、SC−FDMAでは送信シンボルが最初にDFTブロックによって前処理されるということにある。
【0008】
ハードウェアのキャパシティが絶えず増加しているため、物理層の機能の改善を可能にする反復受信機を実装することが実現可能になる。これらの機能の中でも、チャネル推定は、特にチャネル復号器からのフィードバックを必要とするデータ支援型方法から利益を受ける。反復期待値最大化法は、それらの方法のうちの1つである。
【0009】
データ支援型チャネル推定は、反復原理又はターボ原理を実装する受信機において有益である。反復受信機において、ターボ原理は種々のモジュール間での軟情報の交換に基づく。1つのブロックの出力における軟情報は事前情報として別のブロックに供給され、この別のブロックはその性能を増強するためにこの追加情報を用いる。
【0010】
ブロックのうちの少なくとも1つは復号器であり、符号化ビットをインターリーブすることは、2つの隣接したビットに関する可能な限り独立した軟情報を作成するために有益である。
【0011】
ターボ原理はチャネル推定に対して適用することができる。軟検出後、データシンボルがパイロットとして用いられ、チャネル推定が精緻化される。しかしながら、これらの「新たなパイロット」をどの程度信頼すべきであるかを推定器に知らせるメカニズムが必要とされ、軟情報はこのようにして用いられる。軟検出は、最も可能性の高い変調シンボルを与えるだけでなく、その変調シンボルの事後確率及び他の変調シンボルの事後確率も与える。したがって、チャネル推定器ブロックは、どの「パイロット」を最も信頼すべきであるかを知る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、受信機によるチャネルインパルス応答の反復推定を可能にする方法及びデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、本発明は、送信元と受信機との間のチャネルインパルス応答を推定する方法に関する。送信元によって送信されるデータは符号化されてデータシンボルとして編成され、当該データシンボルは、直列から並列に変換され、離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散され、当該周波数領域に拡散されたデータシンボルは、周波数帯域のN個のサブキャリアの中の送信用に割り当てられたP個のサブキャリアにマッピングされ、逆離散フーリエ変換モジュールによって時間領域に逆変換され、並列から直列に変換され、データシンボルを表す信号の形態で受信機に転送される。この方法は、受信機によって実行されるステップであって、
− サイズP×Lの第1の行列を求めるとともに、サイズP×Pの離散フーリエ変換行列を求めるステップであって、Lはチャネルインパルス応答において想定されるタップ数である、求めるステップと、
− 受信データシンボルを生成するために、データシンボルを表す受信信号を復調するステップと、
− 受信データシンボルを並列化するステップと、
− 並列化された受信データシンボルに対して離散フーリエ変換を実行するステップと、
− 変換された受信データシンボルをサブキャリアからデマッピングするステップと、
− デマッピングされた受信データシンボルからチャネルインパルス応答を反復的に推定するステップであって、当該チャネル推定は、第1の行列と、離散フーリエ変換行列と、転送されたデータシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい事後確率に従って規定される第2の行列とに依存する、推定するステップと
を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、送信元と受信機との間のチャネルインパルス応答を推定するデバイスにも関する。送信元によって送信されるデータは符号化されてデータシンボルとして編成され、当該シンボルは、直列から並列に変換され、離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散され、当該周波数領域に拡散されたデータシンボルは、周波数帯域のN個のサブキャリアの中の送信用に割り当てられたP個のサブキャリアにマッピングされ、逆離散フーリエ変換モジュールによって時間領域に逆変換され、並列から直列に変換され、データシンボルを表す信号の形態で受信機に転送される。このデバイスは、受信機に含まれ、
− サイズP×Lの第1の行列を求めるとともに、サイズP×Pの離散フーリエ変換行列を求める手段であって、Lはチャネルインパルス応答において想定されるタップ数である、求める手段と、
− 受信データシンボルを生成するために、データシンボルを表す受信信号を復調する手段と、
− 受信データシンボルを並列化する手段と、
− 並列化された受信データシンボルに対して離散フーリエ変換を実行する手段と、
− 変換された受信データシンボルをサブキャリアからデマッピングする手段と、
− デマッピングされた受信データシンボルからチャネルインパルス応答を反復的に推定する手段であって、当該チャネル推定は、第1の行列と、離散フーリエ変換行列と、転送されたデータシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい事後確率に従って規定される第2の行列とに依存する、推定する手段と
を備えることを特徴とする。
【0015】
したがって、転送されたデータシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい事後確率を効率的に用いることによって、チャネル推定は反復ごとに改善される。
【0016】
特定の特徴によれば、第2の行列は対角行列であり、当該対角行列の要素は、離散フーリエ変換行列及び第4の行列から得られる第3の行列の対角要素であり、第4の行列の要素は、
【数1】

及び
【数2】

に等しく、ここで、APP(X=α)はデータシンボルXがαに等しい事後確率であり、αは取り得る変調シンボルのl番目の変調シンボルであり、Mは取り得る変調シンボルの総数であり、(・)は(・)の共役を示す。
【0017】
したがって、転送されたシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい全ての事後確率は、第4の行列を生成することによって効率的に用いられる。
【0018】
特定の特徴によれば、第2の行列は、
【数3】

に等しく、ここで、diag(・)はその対角がベクトル(・)である対角行列を示し、diagM(・)は行列(・)の対角の要素から構成されるベクトルを示し、Fは離散フーリエ変換行列であり、(・)は(・)の転置共役を示す。
【0019】
特定の特徴によれば、(i+1)回目の反復におけるチャネルインパルス応答は、次の式に従って求められ、
【数4】

ここで、Ωは、サイズN×Nの正規化されていないDFT行列Ωの最初のL個の列と、割り当てられたサブキャリアに対応する行列ΩのP個の行とから構成されるサイズP×Lの行列であり、diag(・)はその対角がベクトル(・)である対角行列を示し、Fは離散フーリエ変換行列であり、(・)は(・)の転置共役を示し、
【数5】

は第2の行列であり、Yはデマッピングされた受信データシンボルのサイズPのベクトルであり、
【数6】

はシンボルXがαに等しい事後確率から求められ、αは取り得る変調シンボルにおけるl番目の変調シンボルである。
【0020】
特定の特徴によれば、第3の行列の対角係数のみが計算される。
【0021】
したがって、第3の行列の非対角係数は、第2の行列を生成するのに用いられないため、複雑度を低減した実装は、チャネルインパルス応答の対角係数を計算するだけで達成される。
【0022】
特定の特徴によれば、送信元は、離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散されたパイロットシンボルを更に転送し、受信機は、各パイロットシンボルの事後確率を、当該パイロットシンボルに等しいシンボル値の場合には値1に設定し、他のシンボル値の場合には値0に設定する。
【0023】
したがって、パイロットシンボルを各反復で用いることができ、チャネル推定は、転送されたデータシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい事後確率を用いることのみによって達成されるものよりも改善される。
【0024】
特定の特徴によれば、送信元は、離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散されていないパイロットシンボルを更に転送し、当該方法は、
− パイロットシンボルがマッピングされるサブキャリアの位置に新たな行を挿入することによって、第2の行列を新たな行列に拡張するステップと、
− 各受信パイロットシンボルについて、当該受信パイロットシンボルのエネルギー値を、新たな行列の行の対角に対応する要素位置に挿入するステップと
を更に含む。
【0025】
したがって、パイロットシンボルを各反復で用いることができ、チャネル推定は、転送されたデータシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい事後確率を用いることのみによって達成されるものよりも改善される。
【0026】
周波数領域において拡散されていないパイロットシンボルを有することによって、パイロットシンボルに対するより効率的な初期チャネル推定が可能になる。
【0027】
特定の特徴によれば、チャネル推定は、第2の行列の対角和から計算されるものとして、第2の行列に依存する。
【0028】
したがって、チャネル推定のより良好な安定性が反復を通じて得られる。実際、第2の行列の対角和を用いてチャネル推定値を計算することによって、逆行列を求める必要がなくなる。
【0029】
特定の特徴によれば、(i+1)回目の反復におけるチャネルインパルス応答の分母は、
【数7】

の対角和である。
【0030】
特定の特徴によれば、(i+1)回目の反復におけるチャネルインパルス応答は、次の式に従って求められ、
【数8】

ここで、A、B及びCは、l=0〜L−1のそれぞれについて求められ、
【数9】

(i)はi回目の反復におけるチャネルインパルス応答のl番目のタップであり、
Ωk,lは第1の行列Ωの第k行第l’列の係数であり、Yはデマッピングされた受信データシンボルのサイズPのベクトルのk番目の係数であり、
(・)は(・)の転置共役を示し、(・)は(・)の共役を示す。
【0031】
特定の特徴によれば、送信元は、離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散されたパイロットシンボルを更に転送し、受信機は、各パイロットシンボルの事後確率を、当該パイロットシンボルに等しいシンボル値の場合には値1に設定し、他のシンボル値の場合には値0に設定する。
【0032】
したがって、パイロットシンボルを各反復で用いることができ、チャネル推定は、転送されたデータシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい事後確率を用いることのみによって達成されるものよりも改善される。
【0033】
特定の特徴によれば、送信元は、離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散されていないパイロットシンボルを更に転送し、チャネルインパルス応答は、パイロットシンボルのエネルギーの和に更に依存する。
【0034】
したがって、パイロットシンボルを各反復で用いることができ、チャネル推定は、転送されたデータシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい事後確率を用いることのみによって達成されるものよりも改善される。周波数領域に拡散されていないパイロットシンボルを有することによって、パイロットシンボルに対するより効率的な初期チャネル推定が可能になる。
【0035】
特定の特徴によれば、チャネルインパルス応答は、所定の回数、反復的に推定される。
【0036】
したがって、チャネル推定の複雑度は制限され、非反復チャネル推定と比較して反復チャネル推定の所与のチャネル推定の改善を得るために、所定の反復数が求められる。また、或る特定の反復数を超える反復は、それ以上の大幅なチャネル推定の性能改善をもたらさない。
【0037】
更に別の態様によれば、本発明は、プログラム可能デバイス内に直接ロード可能なコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがプログラム可能デバイスにおいて実行される際に本発明による方法のステップを実施する命令又はコード部を含む、コンピュータプログラムに関する。
【0038】
コンピュータプログラムに関する特徴及び利点は、本発明による方法及び装置に関連して上述したものと同じであるので、ここでは繰り返さないことにする。
【0039】
本発明の特徴は、一例の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになるであろう。この説明は添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明が実施されるリンクを表す図である。
【図2】本発明が実施される受信機のアーキテクチャを表す図である。
【図3】本発明による受信機のネットワークインターフェースの構成要素のブロック図である。
【図4】本発明によるチャネル推定モジュールの構成要素のブロック図である。
【図5】本発明の第1の実現態様による、受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図6】本発明の第2の実現態様による、受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図7】符号化ビットと変調シンボルとの間の関係を表す図である。
【図8】本発明の第3の実現態様による、受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図9】本発明の第4の実現態様による、受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明が実施されるリンクを表している。
【0042】
送信元Srcによって転送される信号は、1つ又は複数の受信機Recに転送される。
【0043】
リンクは、電力線通信において用いられるような無線リンク又は有線リンクとすることができる。
【0044】
送信元Srcは、衛星、又は基地局のような地上送信機、又は移動電話のような端末、又は中継器に含めることができる。
【0045】
簡単にするために、図1には1つの送信元Srcしか示されていないが、リンクはより多くの数の送信元Srcを含むことができる。
【0046】
簡単にするために、図1には1つの受信機Recしか示されていないが、信号はより多くの数の受信機Recにブロードキャストすることができる。
【0047】
受信機Recは、ビデオ信号のようなデータがブロードキャストされる移動端末とすることもできるし、移動電話のような遠隔の通信デバイスと通信するか又は移動端末若しくは中継器から信号を受信するサーバー若しくは基地局若しくはホーム基地局と通信する移動端末とすることもできる。
【0048】
本発明によれば、受信機は:
− サイズP×Lの第1の行列を求めるとともに、サイズP×Pの離散フーリエ変換行列を求める。ここで、Lはチャネルインパルス応答において想定されるタップ数である。
− 受信データシンボルを生成するために、データシンボルを表す受信信号を復調する。
− 受信データシンボルを並列化する。
− 並列化された受信データシンボルに対して離散フーリエ変換を実行する。
− 変換された受信データシンボルをサブキャリアからデマッピングする。
− デマッピングされた受信データシンボルからチャネルインパルス応答を反復的に推定する。このチャネル推定は、第1の行列と、離散フーリエ変換行列と、転送されたデータシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい事後確率に従って規定される第2の行列とに依存する。
【0049】
図2は、本発明が実施される受信機のアーキテクチャを表す図である。
【0050】
受信機Recは、例えば、バス201によって互いに接続される構成要素と、図5又は図6又は図8又は図9に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ200とに基づくアーキテクチャを有する。
【0051】
ここで、受信機Recは、専用集積回路に基づくアーキテクチャを有することもできることに留意されたい。
【0052】
バス201は、プロセッサ200を、読み出し専用メモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、及びネットワークインターフェース205にリンクする。
【0053】
メモリ203は、変数と、図5又は図6又は図8又は図9に開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令とを収容するように意図されたレジスタを含む。
【0054】
プロセッサ200は、ネットワークインターフェース205の動作を制御する。
【0055】
読み出し専用メモリ202は、図5又は図6又は図8又は図9に開示するようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、これらの命令は受信機Recに電源が投入された際にランダムアクセスメモリ203に転送される。
【0056】
ネットワークインターフェース205は、多重化されたデータシンボルと本発明によるパイロットシーケンスとを受信機Recに転送する手段を備える。
【0057】
ネットワークインターフェース205は、図3に開示されるような構成要素を備える。
【0058】
図3は、本発明による受信機のネットワークインターフェースの構成要素のブロック図を開示している。
【0059】
SC−FDMAにおいて、送信されるデータは、一組のデータシンボルを与える符号化/変調モジュールによって符号化されてデータシンボルとして編成される。データシンボルは直列から並列に変換され、DFT(離散フーリエ変換)によって周波数領域に拡散される。周波数領域に拡散されたデータシンボルは、割り当てられた周波数帯域に含まれるサブキャリアにマッピングされる。周波数マッピングの後に出力されるシンボルは、IDFT(逆離散フーリエ変換)モジュールによって時間領域に逆変換され、並列から直列に変換される。
【0060】
オプションのサイクリックプレフィックス挿入モジュールを送信前に適用することもできる。
【0061】
少なくとも1つの信号305が少なくとも1つの受信アンテナから受信される。受信信号は、図3には示されていない同期モジュールによって同期される。
【0062】
オプションのサイクリックプレフィックス除去モジュール300は、必要ならば同期された信号からサイクリックプレフィックスを除去する。
【0063】
直列/並列モジュール301は、受信信号を並列化する。
【0064】
DFTモジュール302は、並列化された信号に対してサイズNのDFTを実行する。
【0065】
割り当てられたサブキャリアの数がPである場合、DFTモジュール302によって与えられた信号はNからPにデマッピングされる。なお、Nは利用可能なサブキャリアの総数である。ここで、簡単にするために、以下ではPはNに等しく取られることに留意されたい。
【0066】
デマッピングされたシンボルは、本発明によるチャネル推定モジュール310に転送される。
【0067】
チャネル推定モジュール310は、図4を参照して説明される。
【0068】
図4は、本発明によるチャネル推定モジュールの構成要素のブロック図を開示している。
【0069】
復調モジュール400は、受信シンボルを、符号化ビットの観測値のストリームに復調する。また、復調モジュール400は、等化と逆DFTも行う。
【0070】
符号化ビットの観測値は、必要ならばデインターリーバモジュール401によってデインターリーブされる。ビットは、符号語における2つの隣接したビットに関する可能な限り独立した軟情報を作成するためにインターリーブされる。
【0071】
符号化ビットは、符号化ビットの事後確率を与える軟入力軟出力(SISO)モジュール402によって復号される。
【0072】
SISOモジュールの出力は、必要ならばインターリーバ403によってインターリーブされ、データシンボルの事後確率を与えるために変調モジュール404によって変調される。
【0073】
その後、本発明によれば、データシンボルの事後確率は、事前情報としてEMチャネル推定モジュール405に与えられる。
【0074】
EMチャネル推定モジュール405は、最尤(ML)推定の再帰的解法を提供する。
【0075】
チャネルインパルス応答は、所与のサンプリング周波数でサンプリングされる。チャネルインパルス応答の各サンプルはタップと呼ばれる。
【0076】
本発明によれば、i+1回目の反復におけるL個のタップからなるサイズLのベクトルであるチャネルインパルス応答は、
【数10】

である。ここで、ΩはサイズP×Lの行列であり、サイズN×Nの正規化されていないDFT行列Ωの最初のL個の列から構成され、Nは周波数帯域の利用可能なサブキャリアの数であり、Lはチャネルインパルス応答において仮定されるタップの数である。
【数11】

【0077】
ここで、ΩはP=Nの場合の例で与えられていることに留意されたい。
【0078】
Ωの要素は、
【数12】

である。
【0079】
(・)は(・)の転置共役を示し、diag(・)はその対角がベクトル(・)である対角行列を示し、Yはモジュール303の後に観測される変調シンボルの観測値のサイズPのベクトルである。
【0080】
P<Nである場合、行列Ωにおける割り当てられたサブキャリアに対応する行のみが、新たな行列Ωを形成するために選択される。この説明の残りの部分では、PはNに等しいとみなされる。
【数13】

ここで、α=(α,...,αP−1であり、FはDFT行列
【数14】

すなわち
【数15】

であり、Xは送信元Srcによって転送される変調シンボルを含む列ベクトルである。
【0081】
αは、複数の取り得る変調シンボルを含む列ベクトルであり、各取り得る変調シンボルはM個の取り得る変調シンボルに属する。
【数16】

【0082】
App(X=α)は、Xがi回目の反復においてベクトルαの値を取る事後確率である。これは、簡単にするために、以下ではApp(α)と記載される。
【0083】
第1の実現態様によれば、
【数17】

及び
【数18】

の簡易計算が行われる。
【数19】

【0084】
DFTの線形特性を用いると、この式は次のように書き換えられる。
【数20】

【0085】
【数21】

の要素kを考える場合、
【数22】

が得られる。ここで、αは所与の変調におけるl番目の変調シンボルである。
【0086】
例えば、変調が4位相偏移(QPSK)変調である場合、α=1+j、α=1−j、α=−1−j、α=−1+jである。
【0087】
αは、α、α、α、αの中から選択される。αはα、α、α、αの中から選択され、αはα、α、α、αの中から選択され、αはα、α、α、αの中から選択される。
【0088】
したがって、ベクトル
【数23】

の各要素は、数式によって容易に計算することができる。この
【数24】

の複雑度は、この場合大きく低減され、移動電話又はホーム基地局のような受信機において実施することができる。
【0089】
【数25】

も簡単化することができる。
【数26】

ここで、diag(VP×Pは、その対角上に要素V〜VP−1を保持するサイズP×Pの対角行列を示す。要素|(Fα)のベクトルは、行列Fααの対角、すなわち、
【数27】

として表すことができる。ここで、diagM(A)は、行列Aの対角の要素で構成されるベクトルに対応する。
【0090】
したがって、
【数28】

である。ここで、
【数29】

である。
【0091】
したがって、行列
【数30】

は、非対角である行列
【数31】

と同じ対角を有する対角行列である。換言すれば、
【数32】

は、行列
【数33】

の非対角項を無視したものである。
【0092】
行列
【数34】

の項は次のように計算される。
【数35】

及び
【数36】

【0093】
第1の実現態様の特定の態様によれば、複雑度を更に低減するためには、
【数37】

の全ての要素を計算するのではなく、対角要素を計算するだけでよい。
【数38】

【0094】
【数39】

はエルミートであるので、
【数40】

である。
【0095】
j,kj,l及び|Fj,k=1/Pは定数項であり、ルックアップテーブルに記憶することができる。
【0096】
本発明の第2の実現態様によれば、
【数41】

である。ここで、l=0〜L−1であるβは、定数である所定の一組の実係数である。これらの係数は互いに異なってもよい。これらの係数の和は好ましくは1に等しく、好ましくは、これらの係数は全て1/Lに等しい。
【0097】
分母は、
【数42】

の対角和である。
【0098】
分子は、
【数43】

である3つの項の和A+B+Cであり、
【数44】

である。
【0099】
図5は、本発明の第1の実現態様による、受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0100】
より正確には、このアルゴリズムは、受信機Recのプロセッサ200又は受信機Recの無線インターフェース205によって実行される。
【0101】
本アルゴリズムは周期的に実行され、例えば71マイクロ秒ごと又は1ミリ秒ごとに実行される。
【0102】
反復プロセスの間、送信元Srcと受信機Recとの間のリンク、すなわち換言すればチャネルインパルス応答は、受信データシンボルのみに基づいて求められる。
【0103】
ステップS500において、サイズP×Lの正規化されていないDFT行列Ω、DFT行列Fが求められ、変数iがヌル(null)値に設定される。
【0104】
次のステップS501において、ベクトルYを生成するために受信シンボルが復調される。同じステップにおいて、サイクリックプレフィックスを除去することもでき、直列/並列変換が行われ、デマッピングが行われる。
【0105】
次のステップS502において、チャネルの初期推定が実行される。
【0106】
初期推定は、最小二乗(LS)推定又は最小平均二乗チャネル(MMSE)推定等の通常の非反復推定方法によって、例えばパイロットシンボルに対して行われる。
【0107】
次のステップS503において、SC−FDMAシンボルの復調が行われる。このステップにおいては、等化と逆DFTも行われる。
【0108】
次のステップS504において、各符号化ビットbの事後確率APP(b)が求められる。符号化ビットは図7に開示されている。
【0109】
図7は、符号化ビットと変調シンボルの間の関係を表している。
【0110】
符号化ビットは、変調シンボルX...,X,...XP−1にグループ化される。
【0111】
使用中の変調方式がM=2個のシンボルを含む場合、シンボルXはビットb〜bm−1を含み、シンボルXはビットb〜bm−1を含み、シンボルXP−1はビットbP−1〜bP−1m−1を含む。
【0112】
各ビットについて、ビットbが1の値に等しい事後確率、すなわちAPP(b=1)と、ビットbがヌル値に等しい事後確率、すなわちAPP(b=0)とが求められる。
【0113】
4位相偏移変調の例によれば、αは、ビットb=0及びb=0によって表され、αは、ビットb=0及びb=1によって表され、αは、ビットb=1及びb=1によって表され、αは、ビットb=1及びb=0によって表される。
【0114】
次のステップS505において、k=0〜P−1の各データシンボルXの事後確率APP(X=α)が求められる。
【0115】
k=0〜P−1の各データシンボルXの事後確率APP(X=α)は、l=0〜M−1である取り得る変調シンボル値αごとに、符号化ビットの事後確率から求められる。
【数45】

【0116】
4位相偏移変調の例によれば、
【数46】

である。
【0117】
次のステップS506において、行列
【数47】

が求められる。
【数48】

【0118】
行列
【数49】

の項は次のように計算される。
【数50】

及び
【数51】

【0119】
【数52】

はエルミートであるので、
【数53】

である。
【0120】
j,kj,l及び|Fj,k=1/Pは定数項であり、ルックアップテーブルに記憶することができる。
【0121】
次のステップS507において、
【数54】

が求められる。
【数55】

【0122】
要素
【数56】

は次のように計算される。
【数57】

【0123】
次のステップS508において、i+1回目の反復におけるチャネルインパルス応答が求められる。
【数58】

【0124】
次のステップS509において、変数iがインクリメントされる。
【0125】
次のステップS510において、変数iが、例えば3から10までの間に含まれる所定の値imaxと比較される。
【0126】
この所定の値imaxは、例えば8に等しい。
【0127】
変数iがimax未満である場合、アルゴリズムは、次の反復を開始するためにステップS503に戻る。そうでない場合、アルゴリズムは中断される。
【0128】
本アルゴリズムは、パイロットシンボルが、データシンボルと同じ方法で送信元においてDFTモジュールによって処理されるときにも適用可能である。
【0129】
その場合、ステップS504及びS505は、データシンボルについてのみ実行され、パイロットシンボルは受信機Recによって知られているので、各パイロットシンボルXの事後確率APP(X)は、そのパイロットシンボルに等しいシンボル値の場合には値1に設定され、他のシンボル値の場合には値0に設定される。
【0130】
図6は、本発明の第2の実現態様による、受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0131】
より正確には、このアルゴリズムは、受信機Recのプロセッサ200によって又は受信機Recの無線インターフェース205によって実行される。
【0132】
本アルゴリズムは周期的に実行され、例えば71マイクロ秒ごと又は1ミリ秒ごとに実行される。
【0133】
反復プロセスの間、送信元Srcと受信機Recとの間のリンク、すなわち換言すればチャネルインパルス応答は、受信データシンボルのみに基づいて求められる。
【0134】
ステップS600において、サイズP×Lの正規化されていないDFT行列Ω、DFT行列Fが求められ、変数iがヌル値に設定される。
【0135】
次のステップS601において、ベクトルYを生成するために、受信データシンボルが復調される。同じステップにおいて、サイクリックプレフィックスを除去することもでき、直列/並列変換が行われ、デマッピングが行われる。
【0136】
次のステップS602において、チャネルの初期推定が、例えばパイロットシンボルに対して実行される。
【0137】
初期推定は、最小二乗(LS)推定又は最小平均二乗チャネル(MMSE)推定等の通常の非反復推定方法によって行われる。
【0138】
次のステップS603において、SC−FDMAシンボルの復調が行われる。このステップにおいては、等化と逆DFTも行われる。
【0139】
次のステップS604において、各符号化ビットbの事後確率APP(b)が求められる。符号化ビットは図7に開示されている。
【0140】
各ビットについて、ビットbが1の値に等しい事後確率、すなわちAPP(b=1)と、ビットbがヌル値に等しい事後確率、すなわちAPP(b=0)とが求められる。
【0141】
4位相偏移変調の例によれば、αは、ビットb=0及びb=0によって表され、αは、ビットb=0及びb=1によって表され、αは、ビットb=1及びb=1によって表され、αは、ビットb=1及びb=0によって表される。
【0142】
次のステップS605において、k=0〜P−1の各データシンボルXの事後確率APP(X=α)が求められる。
【0143】
k=0〜P−1の各データシンボルXの事後確率APP(X=α)は、l=0〜M−1である取り得る変調シンボル値αごとに、符号化ビットの事後確率から求められる。
【数59】

【0144】
4位相偏移変調の例によれば、
【数60】

である。
【0145】
次のステップS606において、行列
【数61】

の対角和
【数62】

が、ステップS506において開示したように求められる。
【数63】

【0146】
次のステップS607において、l=0〜L−1のそれぞれについて、3つの項A、B及びCが求められる。
【数64】

ただし、
【数65】

である。
【0147】
次のステップS608において、i+1回目の反復におけるl=0〜L−1の各チャネルインパルス応答が求められる。
【数66】

【0148】
分母は、
【数67】

の対角和である。
【0149】
分子は、3つの項の和A+B+Cである。
【0150】
次のステップS609において、変数iがインクリメントされる。
【0151】
次のステップS610において、変数iが、例えば3から10までの間に含まれる所定の値imaxと比較される。
【0152】
この所定の値imaxは、例えば8に等しい。
【0153】
変数iがimax未満である場合、アルゴリズムは、次の反復を開始するためにステップS603に戻る。そうでない場合、アルゴリズムは中断される。
【0154】
本アルゴリズムは、パイロットシンボルが、データシンボルと同じ方法で送信元においてDFTモジュールによって処理されるときにも適用可能である。
【0155】
その場合、ステップS504及びS505は、データシンボルについてのみ実行され、パイロットシンボルは受信機Recによって知られているので、各パイロットシンボルXの事後確率APP(X)は、そのパイロットシンボルに等しいシンボル値の場合には値1に設定され、他のシンボル値の場合には値0に設定される。
【0156】
図8は、本発明の第3の実現態様による、受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0157】
本アルゴリズムは周期的に実行され、例えば71マイクロ秒ごと又は1ミリ秒ごとに実行される。
【0158】
本アルゴリズムは、反復プロセスの間、送信元Srcと受信機Recとの間のリンク、すなわち換言すればチャネルインパルス応答が、受信パイロットシンボル及び受信データシンボルに基づいて求められ、パイロットシンボルが送信元においてDFTモジュールによってデータシンボルとして処理されず、サブキャリアに個々にマッピングされるという意味で、図5のアルゴリズムとは異なる。
【0159】
ステップS800において、P=(N+N)にLを乗じたサイズの正規化されていないDFT行列Ωが、データシンボルがマッピングされるN個のサブキャリア及びパイロットシンボルがマッピングされるN個のサブキャリアに関して求められ、サイズN×NのDFT行列Fが求められ、変数iがヌル値に設定される。
【0160】
次のステップS801において、ベクトルYを生成するために、受信データシンボル及び受信パイロットシンボルが復調される。同じステップにおいて、サイクリックプレフィックスを除去することもでき、直列/並列変換が行われ、デマッピングが行われる。
【0161】
次のステップS802において、チャネルの初期推定が実行される。
【0162】
初期推定は、最小二乗(LS)推定又は最小平均二乗チャネル(MMSE)推定等の通常の非反復推定方法によって、例えばパイロットシンボルに対して行われる。
【0163】
次のステップS803において、SC−FDMAデータシンボルの復調が行われる。このステップにおいては、等化と逆DFTも行われる。
【0164】
次のステップS804において、各符号化ビットbの事後確率APP(b)が求められる。符号化ビットは図7に開示されている。
【0165】
各ビットについて、ビットbが1の値に等しい事後確率、すなわちAPP(b=1)と、ビットbがヌル値に等しい事後確率、すなわちAPP(b=0)とが求められる。
【0166】
4位相偏移変調の例によれば、αは、ビットb=0及びb=0によって表され、αは、ビットb=0及びb=1によって表され、αは、ビットb=1及びb=1によって表され、αは、ビットb=1及びb=0によって表される。
【0167】
次のステップS805において、k=0〜N−1の各データシンボルXの事後確率APP(X=α)が求められる。
【0168】
k=0〜N−1の各データシンボルXの事後確率APP(X=α)は、l=0〜M−1である取り得る変調シンボル値αごとに、符号化ビットの事後確率から求められる。
【数68】

【0169】
4位相偏移変調の例によれば、
【数69】

である。
【0170】
次のステップS806において、行列
【数70】

が求められる。
【数71】

【0171】
行列
【数72】

の項は次のように計算される。
【数73】

及び
【数74】

【0172】
次のステップS807において、新たな行列が形成される。この新たな行列
【数75】

は、行列
【数76】

と、パイロットシンボルがマッピングされるサブキャリアの位置の新たな行とを含む。受信パイロットシンボルXごとに、その受信パイロットシンボルXのエネルギー値|Xが、新たな行列
【数77】

の行の対角に対応する要素位置に挿入される。
【0173】
次のステップS808において、ステップS507において開示したように、
【数78】

が求められる。
【0174】
次のステップS809において、新たな対角行列
【数79】

が形成される。
【数80】

は、データシンボルがマッピングされる行では
【数81】

の値を取り、パイロットシンボルがマッピングされる行ではパイロットシンボルXを取る。
【0175】
次のステップS810において、i+1回目の反復におけるチャネルインパルス応答が求められる。
【数82】

【0176】
次のステップS811において、変数iがインクリメントされる。
【0177】
次のステップS812において、変数iが、例えば3から10までの間に含まれる所定の値imaxと比較される。
【0178】
この所定の値imaxは、例えば8に等しい。
【0179】
変数iがimax未満である場合、アルゴリズムは、次の反復を開始するためにステップS803に戻る。そうでない場合、アルゴリズムは中断される。
【0180】
図9は、本発明の第4の実現態様による、受信機によって実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0181】
本アルゴリズムは周期的に実行され、例えば71マイクロ秒ごと又は1ミリ秒ごとに実行される。
【0182】
本アルゴリズムは、反復プロセスの間、送信元Srcと受信機Recとの間のリンク、すなわち換言すればチャネルインパルス応答が、受信パイロットシンボル及び受信データシンボルに基づいて求められ、パイロットシンボルが送信元においてDFTモジュールによってデータシンボルとして処理されず、サブキャリアに個々にマッピングされるという意味で、図6のアルゴリズムとは異なる。
【0183】
ステップS900において、サイズP×Lの正規化されていないDFT行列Ωが、データがマッピングされるN個のサブキャリア及びパイロットシンボルがマッピングされるN個のサブキャリアに関して求められ、サイズN×NのDFT行列Fが求められ、変数iがヌル値に設定される。
【0184】
次のステップS901において、ベクトルYを生成するために、受信データシンボル及び受信パイロットシンボルが復調される。同じステップにおいて、サイクリックプレフィックスを除去することもでき、直列/並列変換が行われ、デマッピングが行われる。
【0185】
次のステップS902において、チャネルの初期推定が実行される。
【0186】
初期推定は、最小二乗(LS)推定又は最小平均二乗チャネル推定等の通常の非反復推定方法によって、例えばパイロットシンボルに対して行われる。
【0187】
次のステップS903において、SC−FDMAシンボルの復調が行われる。このステップにおいては、等化と逆DFTも行われる。
【0188】
次のステップS904において、各符号化ビットbの事後確率APP(b)が求められる。符号化ビットは図7に開示されている。
【0189】
各ビットについて、ビットbが1の値に等しい事後確率、すなわちAPP(b=1)と、ビットbがヌル値に等しい事後確率、すなわちAPP(b=0)とが求められる。
【0190】
4位相偏移変調の例によれば、αは、ビットb=0及びb=0によって表され、αは、ビットb=0及びb=1によって表され、αは、ビットb=1及びb=1によって表され、αは、ビットb=1及びb=0によって表される。
【0191】
次のステップS905において、k=0〜N−1の各データシンボルXの事後確率APP(X=α)が求められる。
【0192】
k=0〜N−1の各データシンボルXの事後確率APP(X=α)は、l=0〜M−1である取り得る変調シンボル値αごとに、符号化ビットの事後確率から求められる。
【数83】

【0193】
四位相偏移変調の例によれば、
【数84】

である。
【0194】
次のステップS906において、行列
【数85】

の対角和が求められる。
【数86】

【0195】
次のステップS907において、3つの項A’、B’及びC’が求められる。
【数87】

ここで、k(m)は、m番目のデータシンボルがマッピングされるサブキャリアであり、k(j)は、j番目のパイロットシンボルがマッピングされるサブキャリアである。
【0196】
次のステップS908において、i+1回目の反復におけるl=0〜L−1の各チャネルインパルス応答が求められる。
【数88】

【0197】
分母は
【数89】

の対角和に、受信パイロットシンボルのエネルギーの和を加算したものである。
【0198】
分子は、3つの項の和A’+B’+C’である。
【0199】
次のステップS909において、変数iがインクリメントされる。
【0200】
次のステップS910において、変数iが、例えば3から10までの間に含まれる所定の値imaxと比較される。
【0201】
この所定の値imaxは、例えば8に等しい。
【0202】
変数iがimax未満である場合、アルゴリズムは、次の反復を開始するためにステップS903に戻る。そうでない場合、アルゴリズムは中断される。
【0203】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信元と受信機との間のチャネルインパルス応答を推定する方法であって、前記送信元によって送信されるデータは符号化されてデータシンボルとして編成され、該データシンボルは、直列から並列に変換され、離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散され、該周波数領域に拡散されたデータシンボルは、周波数帯域のN個のサブキャリアの中の送信用に割り当てられたP個のサブキャリアにマッピングされ、逆離散フーリエ変換モジュールによって時間領域に逆変換され、並列から直列に変換され、データシンボルを表す信号の形態で前記受信機に転送され、該方法は、前記受信機によって実行されるステップであって、
− サイズP×Lの第1の行列を求めるとともに、サイズP×Pの離散フーリエ変換行列を求めるステップであって、Lは前記チャネルインパルス応答において想定されるタップ数である、求めるステップと、
− 受信データシンボルを生成するために、データシンボルを表す受信信号を復調するステップと、
− 前記受信データシンボルを並列化するステップと、
− 前記並列化された受信データシンボルに対して離散フーリエ変換を実行するステップと、
− 前記変換された受信データシンボルを前記サブキャリアからデマッピングするステップと、
− 前記デマッピングされた受信データシンボルから前記チャネルインパルス応答を反復的に推定するステップであって、該チャネル推定は、前記第1の行列と、前記離散フーリエ変換行列と、前記転送されたデータシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい事後確率に従って規定される第2の行列とに依存する、推定するステップと
を含むことを特徴とする、送信元と受信機との間のチャネルインパルス応答を推定する方法。
【請求項2】
前記第2の行列は対角行列であり、該対角行列の要素は、前記離散フーリエ変換行列及び第4の行列から得られる第3の行列の対角要素であり、前記第4の行列の要素は、
【数1】

及び
【数2】

に等しいことを特徴とし、ここで、APP(X=α)はデータシンボルXがαに等しい事後確率であり、αは前記取り得る変調シンボルにおけるl番目の変調シンボルであり、Mは前記取り得る変調シンボルの総数であり、(・)は(・)の共役を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の行列は、
【数3】

に等しいことを特徴とし、ここで、diag(・)はその対角がベクトル(・)である対角行列を示し、diagM(・)は行列(・)の対角の要素から構成されるベクトルを示し、Fは前記離散フーリエ変換行列であり、(・)は(・)の転置共役を示す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(i+1)回目の反復における前記チャネルインパルス応答は、次の式に従って求められることを特徴とし、
【数4】

ここで、Ωは、サイズN×Nの正規化されていないDFT行列Ωの最初のL個の列と、割り当てられたサブキャリアに対応する前記行列ΩのP個の行とから構成されるサイズP×Lの行列であり、diag(・)はその対角がベクトル(・)である対角行列を示し、Fは前記離散フーリエ変換であり、(・)は(・)の転置共役を示し、
【数5】

は前記第2の行列であり、Yはデマッピングされた受信データシンボルのサイズPのベクトルであり、
【数6】

はシンボルXがαに等しい事後確率から求められ、αは前記取り得る変調シンボルにおけるl番目の変調シンボルである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第3の行列の対角係数のみが計算されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記送信元は、前記離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散されたパイロットシンボルを更に転送し、前記受信機は、各パイロットシンボルの事後確率を、該パイロットシンボルに等しいシンボル値の場合には値1に設定し、他のシンボル値の場合には値0に設定することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記送信元は、前記離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散されていないパイロットシンボルを更に転送することを特徴とし、前記方法は、
− パイロットシンボルがマッピングされるサブキャリアの位置に新たな行を挿入することによって、前記第2の行列を新たな行列に拡張するステップと、
− 各受信パイロットシンボルについて、該受信パイロットシンボルのエネルギー値を、前記新たな行列の行の対角に対応する要素位置に挿入するステップと
を更に含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記チャネル推定は、前記第2の行列の対角和から計算されるものとして、前記第2の行列に依存することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
(i+1)回目の反復における前記チャネルインパルス応答の分母は、
【数7】

の対角和であることを特徴とする、請求項3及び8に記載の方法。
【請求項10】
(i+1)回目の反復における前記チャネルインパルス応答は、次の式に従って求められることを特徴とし、
【数8】

ここで、A、B及びCは、l=0〜L−1のそれぞれについて求められ、
【数9】

(i)はi回目の反復における前記チャネルインパルス応答のl番目のタップであり、
Ωk,lは前記第1の行列Ωの第k行第l’列の係数であり、Yはデマッピングされた受信データシンボルのサイズPのベクトルのk番目の係数であり、
(・)は(・)の転置共役を示し、(・)は(・)の共役を示す、請求項8及び2に記載の方法。
【請求項11】
前記送信元は、前記離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散されたパイロットシンボルを更に転送し、前記受信機は、各パイロットシンボルの事後確率を、該パイロットシンボルに等しいシンボル値の場合には値1に設定し、他のシンボル値の場合には値0に設定することを特徴とする、請求項8〜10に記載の方法。
【請求項12】
前記送信元は、前記離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散されていないパイロットシンボルを更に転送することを特徴とし、前記チャネルインパルス応答は、前記パイロットシンボルのエネルギーの和に更に依存することを特徴とする、請求項8〜10に記載の方法。
【請求項13】
前記チャネルインパルス応答は、所定の回数、反復的に推定されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
送信元と受信機との間のチャネルインパルス応答を推定するデバイスであって、前記送信元によって送信されるデータは符号化されてデータシンボルとして編成され、該シンボルは、直列から並列に変換され、離散フーリエ変換によって周波数領域に拡散され、該周波数領域に拡散されたデータシンボルは、周波数帯域のN個のサブキャリアの中の送信用に割り当てられたP個のサブキャリアにマッピングされ、逆離散フーリエ変換モジュールによって時間領域に逆変換され、並列から直列に変換され、データシンボルを表す信号の形態で前記受信機に転送され、該デバイスは、前記受信機に含まれ、
− サイズP×Lの第1の行列を求めるとともに、サイズP×Pの離散フーリエ変換行列を求める手段であって、Lは前記チャネルインパルス応答において想定されるタップ数である、求める手段と、
− 受信データシンボルを生成するために、データシンボルを表す受信信号を復調する手段と、
− 前記受信データシンボルを並列化する手段と、
− 前記並列化された受信データシンボルに対して離散フーリエ変換を実行する手段と、
− 前記変換された受信データシンボルを前記サブキャリアからデマッピングする手段と、
− 前記デマッピングされた受信データシンボルから前記チャネルインパルス応答を反復的に推定する手段であって、該チャネル推定は、前記第1の行列と、前記離散フーリエ変換行列と、前記転送されたデータシンボルが変調方式において取り得る変調シンボルに等しい事後確率に従って規定される第2の行列とに依存する、推定する手段と
を備えることを特徴とする、送信元と受信機との間のチャネルインパルス応答を推定するデバイス。
【請求項15】
プログラム可能デバイス内に直接ロード可能なコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムがプログラム可能デバイスにおいて実行される際に請求項1〜13に記載の方法のステップを実施する命令又はコード部を含む、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−110745(P2013−110745A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−255894(P2012−255894)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands