説明

送信機

【課題】EER方式とLINC方式を組み合わせた電力効率と線形性に優れた送信機を、回路規模を抑制し低コストに実現するための技術を提供する。
【解決手段】入力信号を位相信号と振幅信号に変換する信号変換器と、振幅信号の振幅値が所定以上の場合に振幅値を所定値にする振幅制限器と、位相信号と位相差信号との加算信号および減算信号を位相変調する位相変調器と、位相変調器の出力を高周波に変換して第1および第2の位相変調信号を生成するアップコンバータと、振幅信号を振幅制限された後の振幅信号によって除算する除算器と、除算器の出力を増幅する振幅増幅器と、振幅増幅器の出力に応じて第1および第2の位相変調信号をそれぞれ増幅する第1および第2の電力増幅器と、第1および第2の電力増幅器からの出力を合成する加算器と、加算器からの出力を送信するアンテナとを備える送信機を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は送信機に関するものであり、特に、EERとLINCの組み合わせにより高い電力効率と低い歪を実現する送信機に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信において、送信機の増幅器の特性に起因する歪は、隣接チャネルの通信への妨害によりチャネル利用効率を低下させ、実効通信速度の低下など通信品質の劣化を招くおそれがある。
歪を低減するための簡単な方法として、十分なバックオフを確保したA級増幅器を利用し、線形性の良好な領域を使って通信を行うやり方がある。しかし、この方法では電力の大部分が熱に変換されるため、電力効率が悪くなってしまう。また、要求に対して過剰性能になる場合も多い。
【0003】
また、車載の無線通信装置においては、無線機とアンテナの設置場所が離れるほど通信時の信号のロスや雑音の影響が大きくなるため、無線機のフロントエンドをアンテナの直下に配置したいという要望がある。しかし、アンテナが通常設置されるルーフの付近は温度が高く、発熱の大きい部品である電力増幅器には過酷な環境である。そのため、車載の無線通信装置では特に、電力効率を向上させて発熱を抑制する必要がある。
【0004】
そこで、歪の低減と電力効率の向上のために、送信機における様々な増幅方法が開発され用いられている。その中に、EER(Envelope Elimination and Restoration)方式と、LINC(Linear amplification with Non-linear Components)方式がある。以下、
このEER方式とLINC方式について図5および図6を用いて説明する。
【0005】
図5は、EER方式を用いた送信機の構成図である。送信機は、信号変換器301と、位相変調器311と、デジタル・アナログ変換器312,321(DA変換器)と、アップコンバータ313と、振幅増幅器322と、RF増幅器331と、アンテナ332とを備える。
まず、入力信号SinのI成分およびQ成分が、信号変換器301において位相信号θ(t)と振幅信号r(t)に変換される。
位相信号θ(t)は、位相変調器311に入力され、位相変調を受けて位相変調信号が生成される。生成された位相変調信号は、DA変換器312に入力されてアナログ信号に変換された後、アップコンバータ313によりRF周波数に周波数変換され、RF増幅器331に入力される。RF増幅器331は、飽和動作で非線形の増幅を行う増幅器である。
一方、振幅信号r(t)は、DA変換器321によりアナログ信号に変換された後、振幅増幅器322に入力されて電力増幅される。振幅増幅器322は低周波増幅器である。増幅された振幅信号はRF増幅器331に入力され、位相変調信号に振幅信号が乗じられ再合成が行われる。
RF増幅器331から出力された信号は、アンテナ333に出力される。
【0006】
以上、一般的なEER方式の送信機の構成について説明した。このように、EER方式では、入力信号を位相信号と振幅信号に分離した上で、電力増幅時の電源制御において振幅信号の包絡線に応じた電力を供給することで振幅変調を実現する。かかる構成によると、位相変調信号の電力増幅に非線形増幅器を適用できるので電力効率を向上させることができる。また、振幅信号の増幅には低い周波数帯の増幅器を適用することができるので、たとえばDC/DC変換器を用いる事で電力効率を向上させることが出来る。
しかしEER方式では、出力電力の変動と振幅変調をRF増幅器の電源電圧の可変のみで実現するため、電源電圧が低下してくると、トランジスタのニー電圧付近で非線形性が増大してしまうという問題がある。更に電源電圧が低下した場合、RF増幅器が動作しなくなるという問題もある。
【0007】
図6は、LINC方式を用いた送信機の構成図である。送信機は、信号変換器401と、加算器402と、逆余弦演算器403と、減算器404と、位相変調器411,412と、デジタル・アナログ変換器413,414(DA変換器)と、アップコンバータ415,416と、RF増幅器417,418と、加算器421と、アンテナ422とを備える。
まず、複素ベースバンド信号Sin(式1を参照)のI成分およびQ成分が信号変換器401に入力され、位相信号θ(t)と振幅信号r(t)(0≦r(t)≦1)に変換される。
in = r(t)exp[jθ(t)] …(式1)
振幅信号r(t)は逆余弦演算器403に入力されて逆余弦演算が施され、位相差信号cos−1(r(t))が生成される。
【0008】
位相信号θ(t)は、加算器402および減算器404に入力される。同様に、逆余弦演算器403から出力された位相差信号cos−1(r(t))も加算器402および減算
器404に入力される。加算器402は、位相信号と位相差信号を加算して加算成分λを生成する(式2を参照)。一方、減算器404は、位相信号から位相差信号を減算して減算成分λを生成する(式3を参照)。
λ = θ(t)+cos−1(r(t)) …(式2)
λ = θ(t)−cos−1(r(t)) …(式3)
【0009】
加算成分λおよび減算成分λは、それぞれ位相変調器411、412に入力されて位相変調を受け、位相変調信号が生成される。位相変調信号は、それぞれDA変換器413、414によりアナログ信号に変換され、さらに、アップコンバータ415、416に入力されてRF周波数に周波数変換(角周波数ωを乗算)される。周波数変換された位相変調信号s(t)およびs(t)は、以下の式4、式5のように表せる。
(t) = exp[j(ωt+θ(t)+cos−1(r(t)))] …(式4)
(t) = exp[j(ωt+θ(t)−cos−1(r(t)))] …(式5)
【0010】
周波数変換された位相変調信号s(t)およびs(t)は、RF増幅器417、418に入力されて電力増幅される。RF増幅器417、418は、非線形の増幅をおこなう電力増幅器である。増幅された位相変調信号は加算器421により合成され、Soutが生成される。すると、Soutは式6のように表わせる。
out = (1/2)・[s(t)+s(t)]
= (1/2)・exp(j(ωt+θ(t)))[exp(j(cos-1(r(t))))+exp(-j(cos-1(r(t))))]
= r(t)exp[j(ωt+θ(t))] …(式6)
生成された信号Soutは、アンテナ422から出力される。
【0011】
以上、一般的なLINC方式の送信機の構成について説明した。このように、LINC方式では、入力信号を位相の異なる2個の位相信号(定振幅信号)に分離し、それぞれ非線形増幅器により増幅して出力端で合成する。この方式では、電力増幅に非線形増幅器を用いて、線形増幅を実現できる。一般に非線形増幅器は線形増幅器よりも効率の良い電力増幅が可能であるため、無線通信システムにおいて消費電力を抑えつつ線形増幅を実現することができる。また、電力増幅器は低抱絡線で動作する事から、メモリ効果による歪も発生しないことから、理論的には非常に低い歪が実現可能である。
しかし、この非線形増幅器は、出力が低電力の時においても最大電力で動作するため、
電力効率は出力電力の大きさに比例するという特徴がある。言い換えると、低電力時又はPAPR(Peak-Average Power Ratio)の大きな入力信号を扱う際に効率が低下してしまう。
【0012】
このように、EER方式及びLINC方式にはそれぞれ課題がある。そこで、これらの課題に対応するため、両者の回路によって信号を増幅する方法が提案されている。例えば、非特許文献1には、処理方式や回路構成の詳細を開示することなく、EER方式とLINC方式を組み合わせて増幅器を構成するアイデアが記載されている。
また、非特許文献2にも、EER方式とLINC方式を組み合わせた、CLIER(Combination of LInc and eER)という方式が提案されている。非特許文献2では、振幅信
号のうち低域成分をEER方式に利用し、高域成分をLINC方式に利用するようにしている。これにより、振幅増幅の際に帯域幅が拡大するという、EER方式が持つ問題の抑制を図っている。
【0013】
さらに、特許文献1には、EER方式とLINC方式のハイブリッド型送信装置の概要が、非特許文献1、2に比べ具体的に記載されている。ここでは、電力効率に優れたEER方式と、歪特性に優れたLINC方式とを組み合わせて切り替えることにより、お互いの特徴を生かした協調動作を行い、線形性の良好な変調を実現しようとしている。すなわち、特許文献1では、2つの位相変調器に位相信号と、振幅信号から変換した位相差信号とを入力してLINC方式による処理を行う回路と、振幅信号に基づきEER方式による処理を行う回路とを組み合わせて装置を構成している。そして、2つの振幅制限器を用いて、出力が小さい領域ではLINC方式により歪を抑制しながら変調を行い、出力が大きい領域ではEER方式により効率よく変調を行うことを目指している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−167289号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】PACWOMAN報告書、D 4.2.1-Constant Envelope Modulation Techniques For Non-Linear Front Ends, pp.24-25
【非特許文献2】Rembold,B; Koch,O “CLIER - combination of LINC and EER method”, IEEE electronics letters, pp.900-901, August 2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、非特許文献2では、振幅増幅器の帯域幅が狭いとき、すなわちローパスフィルタの帯域を狭くする必要があるとき、RF増幅器の振幅のバックオフを大きくする必要があり、効率が低下する。
【0017】
また、特許文献1の方式では2つの振幅制限器を用いる必要があるため、例えば、振幅制限器をテーブルでの処理として実現する場合、2つのテーブルが必要になり、メモリの容量が増大するという問題がある。この方式においてテーブルサイズを小さくしてメモリの容量を抑えようとすると、今度は入力値がテーブルで定義された値の間にある可能性が高まり、補間処理が必要になってくる。振幅制限器が浮動小数点演算を行っていれば、テーブルデータ値には量子化誤差の影響が無視できるので、テーブル値の補間も特性に影響が無いレベルでの誤差で済む。しかし、実際の実装では固定小数点で実装することになるので、量子化されたテーブルを作成することとなる。そのため、量子化による影響に対してシステムレベルでの線形性確保の困難性と量子化雑音の増大という問題が生じる。また、2つの振幅制限器の出力の積が線形性を保つようにテーブルを構成するためにも、量子
化の影響を考慮した演算の手間が必要となる。
あるいは振幅制限器を、「ax+bx+c」といった多項式の演算装置での計算によって実現する場合、システム全体での線形性を保つためには高精度な処理が必要になり、演算装置のコスト増大につながるという問題が生じる。
結局、このようなハイブリッド方式を実現するためにいずれの方法で振幅制限器を作ったとしても、回路規模やコストが代償になっている。
【0018】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、回路規模を抑制しつつ、EER方式とLINC方式を組み合わせた電力効率と線形性に優れた送信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために本発明の送信機では、以下の構成を採用する。すなわち、
入力された複素ベースバンド信号を位相信号および振幅信号に変換する信号変換器と、
前記振幅信号の振幅値が所定の閾値以上の場合に振幅値を所定値にする振幅制限器と、
前記振幅制限された振幅信号を位相差信号に変換する振幅・位相差変換器と、
前記位相信号に前記位相差信号を加算した信号を位相変調する第1の位相変調器と、
前記位相信号から前記位相差信号を減算した信号を位相変調する第2の位相変調器と、
前記第1の位相変調器の出力を高周波に変換して第1の位相変調信号を生成する第1のアップコンバータと、
前記第2の位相変調器の出力を高周波に変換して第2の位相変調信号を生成する第2のアップコンバータと、
前記振幅制限器により振幅制限される前の振幅信号を、振幅制限された後の振幅信号によって除算する除算器と、
前記除算器からの出力を増幅する振幅増幅器と、
前記振幅増幅器の出力に応じて、前記第1および第2の位相変調信号をそれぞれ増幅する第1および第2の電力増幅器と、
前記第1および第2の電力増幅器からの出力を合成する加算器と、
前記加算器からの出力を送信するアンテナと、
を備えることを特徴とする送信機である。
【0020】
なお、上記の送信機において、振幅制限器と除算器の配置を入れ替えることもできる。その場合、振幅制限器は、振幅信号の振幅値が所定の閾値より小さい場合に振幅値を所定値にする。そして、振幅増幅器は、振幅制限器からの出力を増幅して第1および第2の電力増幅器に入力する。また、除算器は、振幅制限された後の振幅信号を振幅制限される前の振幅信号によって除算することにより、所定の閾値以上の場合に振幅値が一定となる信号を得て振幅・位相差変換器に入力する。
【0021】
また、上記の送信機における振幅制限器は、振幅値の入力値と出力値を対応付けたテーブルを格納したメモリを備えており、当該メモリを参照して振幅の制限を行うように構成することができる。あるいは、振幅制限器は、振幅値に基づく多項式演算を行うことにより振幅の制限を行うように構成することができる。
【0022】
上記の送信機においては、1つの振幅制限器からの出力と、その出力を除算した信号を用いて信号処理を行うことにより、従来の2つの振幅制限器からの出力を用いる方法と同様の結果を得ることができる。このように構成された送信機を用いると、従来のEER方式とLINC方式を組み合わせた送信機に比べ、振幅制限器を1つに減らすことができる。そのため、振幅制限器をテーブルで構成した場合はテーブルを格納するメモリの容量を削減することが可能であり、多項式で構成した場合は演算装置を簡略化することが可能になる。
【0023】
また、上記の送信機における振幅制限器とともに、振幅信号の振幅値を量子化する量子化器を用いることもできる。あるいは振幅制限を兼ねる量子化器を用いることもできる。この場合、量子化雑音の影響を抑制しつつ、上記の送信機と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、回路規模を抑制しつつ、EER方式とLINC方式を組み合わせた電力効率と線形性に優れた送信機を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1の送信機の構成を示す図。
【図2】実施例1の送信機での振幅値の処理を説明する図であり、図2(a)は振幅制限器での、図2(b)は除算器での入出力特性を示す。
【図3】実施例2の送信機の構成を示す図。
【図4】実施例2の送信機での振幅値の処理を説明する図であり、図4(a)は振幅制限器と量子化器での、図4(b)は除算器での入出力特性を示す。
【図5】EER方式による送信機の構成を示す図。
【図6】LINC方式による送信機の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明においては、EER方式とLINC方式のハイブリッド構成を持つ送信機を設計するに当たって、振幅制限器を2つ使う従来の方法に替えて、1つの振幅制限器などにより方式の切り替えを実現するような構成とした。これにより、EER方式とLINC方式の振幅信号の振り分けにおいてテーブルサイズや計算量を削減しつつ、高効率な増幅を行うことが可能になっている。以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0027】
<実施例1>
図1のブロック図に、本実施例の送信機の構成を示す。
送信機は、信号変換器101と、振幅制限器102と、逆余弦演算器103と、除算器104と、デジタル/アナログ変換器105,114,115(以下DA変換器)と、振幅増幅器106と、加算器110と、減算器111と、位相変調器112,113と、アップコンバータ116,117と、RF電力増幅器118,119と、加算器120と、バンドパスフィルタ121(以下BPF)と、アンテナ122とを備えている。
【0028】
信号変換器101においては、複素ベースバンド信号SinのI成分とQ成分から、位相信号θ(t)と振幅信号r(t)(0≦r(t)≦1)への変換がなされる。位相信号θ(t)は、加算器110および減算器111に入力される。一方、振幅信号r(t)は、振幅制限器102および除算器104に入力される。
【0029】
振幅制限器102は、振幅信号r(t)が入力されると、以下の式7、式8に示すような振幅信号r(t)を出力する。ここで、Rtは振幅値の所定の閾値である。
r(t) < Rt のとき、r(t) = r(t)/Rt …(式7)
r(t) ≧ Rt のとき、r(t) = 1 …(式8)
この振幅制限器102の入出力特性を図2(a)に実線で示す。
【0030】
振幅制限された振幅信号r(t)は、逆余弦演算器103に入力され、逆余弦演算により位相差信号cos−1(r(t))が生成される。ここで、逆余弦演算器103は、
振幅・位相差変換器の一例である。生成された位相差信号は、加算器110及び減算器1
11に入力される。加算器110では、位相差信号が信号変換器101からの位相信号θ(t)に対して加算され、加算成分λが生成される(式9を参照)。減算器111では、位相差信号が信号変換器101からの位相信号θ(t)から減算され、減算成分λが生成される(式10を参照)。
λ = θ(t)+cos−1(r(t)) …(式9)
λ = θ(t)−cos−1(r(t)) …(式10)
【0031】
加算成分λおよび減算成分λはそれぞれ位相変調器112、113に入力されて位相変調を受け、位相変調信号が生成される。位相変調信号はそれぞれDA変換器114,115に入力され、アナログ信号に変換される。アナログ信号はそれぞれアップコンバータ116,117に入力され、RF周波数に周波数変換(角周波数ωを乗算)される。周波数変換された位相変調信号s(t)およびs(t)が出力される(式11、式12を参照)。
(t) = exp[j(ωt+θ(t)+cos−1(r(t)))] …(式11)
(t) = exp[j(ωt+θ(t)−cos−1(r(t)))] …(式12)
周波数変換された位相変調信号s(t)およびs(t)は、RF電力増幅器118,119にそれぞれ入力されて電力増幅される。RF電力増幅器118,119は、非線形の増幅を行う電力増幅器であり、例えば、ClassEまたはClassFのスイッチングモードで動作する増幅器が利用できる。
【0032】
ところで、信号変換器101で変換された振幅信号r(t)は除算器104にも入力される。また、振幅制限器102で振幅制限された振幅信号r(t)も除算器104に入力される。除算器104では、振幅信号r(t)を被除数、振幅制限された振幅信号r(t)を除数として除算が行われ、信号r(t)が生成される。このとき、式7、8より、信号r(t)は以下の式13、式14の値を取る。
r(t) < Rt のとき、r(t) = Rt …(式13)
r(t) ≧ Rt のとき、r(t) = r(t) …(式14)
このときの振幅信号r(t)と除算器から出力される信号r(t)の関係を図2(b)に実線で示す。
【0033】
生成された信号r(t)は、DA変換器105にてアナログ信号に変換された後、振幅増幅器106に入力されて増幅処理が行われる。振幅増幅器106は低周波増幅器である。増幅された信号は上述のRF電力増幅器118,119に入力され、位相変調信号に乗じられて増幅に用いられる。そして、周波数変換され増幅された位相変調信号s(t)およびs(t)は加算器120で合成され、式15に示す信号Soutが生成される。
Sout = [r(t)/2]・[s(t)+s(t)] …(式15)
【0034】
合成された信号は、必要に応じてスプリアス発射等による電波障害を抑制するためBPF121において帯域制限された後、アンテナ122を経由して送信される。
【0035】
かかる構成を持つ送信機による出力においては、図2(a)および(b)より、r(t)が閾値Rt以上であっても、またはRtより小さい場合であっても、r(t)・r(t)=r(t)となることから、振幅に対しての直線性は保持される。
そして、閾値Rtより小さい領域(r(t)<Rt)では、r(t)=r(t)/Rtなので、信号Soutは式16のようになる。
Sout = [Rt/2]・
(exp[j(ωt+θ(t))+cos−1(r(t)/Rt)] + exp[j(ωt+θ(t))−cos−1(r(t)/Rt)])
…(式16)
このとき送信機はRtを最大振幅とするLINC方式で作動する。この場合出力電力そのものが低いため、LINC方式の課題である電力効率低下の影響を抑制することができる。また、LINC方式ではRF電力増幅器間の位相誤差が歪の発生に影響を与えるが、本実施例の方法であればLINC方式が適用される範囲が狭いため、位相感度が低く、位相誤差に起因する歪を低減することができる。
一方、閾値Rt以上の領域(r(t)≧Rt)では、r(t)=1なので、
(t) = s(t) = exp[j(ωt+θ(t))]
となる。従って、信号Soutは式17のようになる。
Sout = r(t)・exp[j(ωt+θ(t))] …(式17)
このように、r(t)≧Rtの領域ではEER方式で作動する。この場合EER方式の課題である低電力での動作時の歪の発生はなく、良好な出力を行うことができる。
【0036】
本発明では振幅制限器が1つだけで回路を構成できるので、装置の規模を抑制して低コスト化を図れるし、回路設計における自由度も向上する。例えば振幅制限器をテーブルで構成する場合(典型的には振幅値の入出力を対応付けたルックアップテーブル)、テーブルが1つで済むため、メモリサイズを抑制してコストを抑制することができる。さらに、テーブル2つで構成する時にテーブルサイズを極力小さくしようとすると、2つのテーブルの間の値を補間する必要が生じる場合があり、演算装置の利用や値の不連続性などの問題が起こりかねないが、本実施例のように1つのテーブルで構成されれば、そのような問題は起こらない。
あるいは振幅制限器を、「ax+bx+c」といった多項式で実現する場合でも、振幅制限器が単独であればシステムの線形性を容易に保つことができるので、多項式処理を簡略化できる。その結果、演算装置の性能を抑え、コストを抑制できる。
また、方式の切り替えは振幅制限器のテーブルに設定した閾値を基準として行われるため、スイッチング動作が必要なく、RF電力増幅器のモード変更に伴う非連続性が生じない。
なお、実施例1において振幅制限器をテーブルで構成する際には、内部のメモリに上記の入出力の関係をテーブル形式等によって保持しておけば良い。あるいは図示しない制御部等が保持しても良い。また、振幅制限器を演算で実現する際には、図示しないCPU等に入出力を行うようにすれば良い。
このようにして双方の方式の閾値を組み合わせて処理を行うことにより、電力効率と歪の特性を動的に切り替えることが可能になる。例えば電力効率よりも歪特性を重視して変調、出力を行う場合、出力電力が大きい領域でもLINC方式にするようなテーブルを用いることにより柔軟に対応できる。
【0037】
<変形例1>
また、振幅制限器102と除算器104の配置は図1に示したものに限らず、LINC側とEER側の経路に、制限された振幅値が適切に入力されれば良い。回路設計においては振幅制限特性を設計しやすい側に振幅制限器を設置することができる。
例えば、振幅制限器を図1の除算器104の位置に、除算器を振幅制限器102の位置に配置し、除算機では振幅制限器からの出力r(t)を振幅信号r(t)で除算してr(t)を求め、逆余弦演算器に入力するようにしても良い。その場合、振幅制限器が以下のr(t)を出力するように構成すれば、上記実施例と同様の信号を得ることができる。
r(t) ≧ Rt のとき、r(t) = r(t)
r(t) < Rt のとき、r(t) = Rt
【0038】
<変形例2>
振幅制限をテーブルで行う場合、図2(a)に実線で示したように、閾値RtでEER,LINC方式が切り替わる。その結果、閾値Rtにおいて振幅信号が急に変化し、振幅
信号の帯域が大きく広がる。広がった帯域が振幅増幅器の帯域を越える事で出力信号に歪が生じる場合がある。
そこで、テーブルにフィルター処理を施し帯域を制限する事で、良好な増幅を行うことが考えられる。この様子を図2(a)に点線で示す。図示したようにフィルター処理を施し、閾値Rt付近のスムージングを行うことにより、振幅信号の急な変化を避け、出力信号の歪を抑制することができる。このようなフィルター処理を行った場合、対応する除算器からの出力は図2(b)に点線で示したようになる。
【0039】
<変形例3>
上記の実施例1において、振幅制限器を用いて出力電力領域が閾値以上の場合に振幅を常に一定の値にする方法に変えて、振幅圧縮器を用いる方法も可能である。すなわち、閾値より小さい範囲では入力振幅値をそのまま出力するという点は同じであり、閾値以上では入力振幅値を圧縮するような係数を掛ける方法である。これにより、LINCとEERの両者
の特徴のバランスを取りながら電力を増幅する事ができる。
【0040】
<実施例2>
DA変換においては、アナログ値とデジタル値の量子化誤差により量子化雑音が生じる。とりわけ、通信高速化のためDA変換時のビット長を短くした場合、量子化雑音が増大する。しかし、単純にビット長を長くした場合、通信速度に影響を及ぼし帯域が狭くなる恐れがある。そこで、ビット長を短くしつつ量子化雑音を低減するためにΔΣ変調器を用いて量子化雑音を抑えることが一般に行われている。本発明の実施例1においても、振幅変調出力が入力されるDA変換器のビット長が短い場合、ΔΣ変調器を利用してΔΣ型DA変換器として用いることが考えられる。
しかし、ΔΣ変調器において、そのΔΣ変調器に対する入力がなくなると、ゼロ入力リミットサイクルと呼ばれる周期性の雑音が発生することが知られている。ゼロ入力リミットサイクルが発生すると、送信機においては入力が無いにもかかわらず雑音が送信されるという問題が生じる。無線通信においては特に、不要な信号の出力は極力避ける必要があるため、このような雑音を抑制する方法が求められる。
【0041】
そこで、本実施例では、低ビットのDA変換器を用いる場合であっても、ΔΣ変調器は用いずに振幅信号を処理する方法について記載する。具体的には、DA変換器と同じ量子化ビットの量子化器を、振幅制限器とともに振幅信号側のパスに対して適用する。
【0042】
図3のブロック図に、本実施例の送信機の構成を示す。
実施例1と同じ機能を持つブロックについては同じ符号を付して説明を簡略化する。以下、実施例1と異なる部分を中心として説明を行う。送信機は、カスケード接続された振幅制限器102と量子化器107をEER処理側に備えている。また除算器104の位置が異なる。またメモリ108を備えている。また後述するように、振幅信号の処理の流れが異なる。
送信機は、信号変換器101にて、複素ベースバンド信号SinのI成分とQ成分を位相信号θ(t)及び振幅信号r(t)(0≦r(t)≦1)に変換する。位相信号θ(t)は、加算器110と減算器111に入力される。
【0043】
一方、振幅信号r(t)は、除算器104および振幅制限器102に入力される。このとき振幅制限器102からは以下の信号が出力される。
r(t) ≧ Rt のとき、r(t)
r(t) < Rt のとき、Rt
この入出力特性は図4(a)に点線で示すようになる。
振幅制限された信号は量子化器107にて量子化される。ここでは量子化器107のビット長は、振幅信号側のDA変換器105と同じビット長であるものとする。本実施形態
の量子化器107は、量子化ビット数qnでMSBが符号ビットとなるようなQフォーマット(Qqn,1フォーマット)で量子化する。これにより、量子化器107からは信号r(t)=Q(r(t))が出力される。ここでQ(r(t))は、Qフォーマットの小数点以下をバイナリーとして扱った値n(0,1,2,・・,2qn−1−1)とすると、r(t) ≧ Rt のとき、n/2qn-1 (n/2qn-1 ≦ r(t) < (n+1)2qn-1)のような量子化ステップで量子化を行い、r(t) < Rt のとき、n0/2qn-1 (n0/2qn-1 ≦ Rt < (n0+1)2qn-1)となる。この入出力特性は図4(a)に実線で示した。
なお、振幅増幅器106の作動電圧がニー電圧以下とならないように振幅制限器102と量子化器107を設計する必要がある。具体的には、量子化器107からの出力の最小値がニー電圧Vknee以上となるように振幅制限器102における閾値Rtを定める。
本実施形態では、Q4,1フォーマットの量子化器107からの出力が1/2(n=1)であれば振幅増幅器106がニー電圧以上で動作するものとする。したがって、振幅制限器102からの出力が0.2以下に下がらないように閾値Rtを定めて振幅制限し、振幅増幅器106の作動電圧がニー電圧以下とならないようにしている。
【0044】
量子化器107からは信号r(t)が、除算器104およびDA変換器105に出力される。その後のDA変換のときには、振幅信号はDA変換器105と同じビット長で量子化されているため、DA変換器としてΔΣ変調器を用いる必要はない。
【0045】
信号変換器101から除算器に入力された振幅信号r(t)は、量子化器から位相変調側のパスに出力された信号r(t)により除算され、図4(b)に示すような信号が出力される。
【0046】
逆余弦演算器103への入力は0から1の範囲に正規化される必要がある。そして、この除算器からの出力信号を最大値が1になるように正規化するための、バックオフ係数Rtqを求める。
除算器からの出力r(t)/r(t)は、r(t)→(n+1)2qn−1のとき極大値(n+1)/nをとる。n=0では0割りになるので避ける必要があるから、nはn=1
以上をとるので、結局除算器からの出力の最大値は2となる。したがって、正規化に必要なバックオフ係数はRtq=2となる。
なお、Rtqでの除算は重い処理であるため、実際の回路では図3に示したようにメモリ108にバックオフ係数の逆数1/Rtqを記憶し、除算器からの出力r(t)/r(t)に乗算することが好ましい。
以上より、逆余弦演算器103への入力r(t)は次式のように表され、0から1の範囲に正規化される。
r(t) = r(t) / [Rtq・r(t)]
【0047】
これ以降のLINC側の処理は実施例1と同様である。位相信号θ(t)は加算器110,減算器111にて、逆余弦演算器103でr(t)から生成された位相差信号を加算または減算され、位相変調器112,113に入力される。位相変調器にて位相変調を受けた後、DA変換器114,115でアナログ変換され、アップコンバータ116,117にて周波数変換される。
【0048】
一方、量子化器から出力されたr(t)はDA変換後に、Rtqのゲインを持つ振幅増幅器106で増幅され、Rtq・r(t)を得る。この信号はRF電力増幅器118、119にて位相変調信号に対する振幅変調に利用され、最終的にアンテナ122からSoutが送信される。
【0049】
このような送信機を用いれば、振幅変調側のDA変換の量子化ビットが短い場合に、ΔΣ変調器を使用せずとも、量子化雑音を低減したDA変換を実現できる。その結果、ΔΣ
変調器を持たないので、ゼロ入力リミットサイクルは発生しない。ゼロ入力リミットサイクルが発生しないので、送信信号以外の雑音を送信することはない。また、ΔΣ変調器が不要なので回路サイズが小さくなる。なお、このように振幅変調側の量子化ビットが短い場合でも、位相変調側で量子化ビットを長くして量子化誤差が十分に小さくなれば、システム全体としては位相変調側の長い量子化ビットとなるので、小さな量子化誤差に抑えることが可能である。なお、位相変調には常時入力があるので、位相信号を処理する側のDA変換器でΔΣ変調を用いたとしても、ゼロ入力リミットサイクルは発生しない。
【0050】
なお、実施例2において、振幅制限器102と量子化器107をカスケード接続するのではなく、振幅信号r(t)を量子化器によって直接量子化することもできる。結果として図4(a)に実線で示したような量子化された信号が取得できれば良い。
また、量子化器107を、振幅信号を位相信号に変換する経路の振幅信号に対して適用し、除算器104を、振幅信号を電力増幅するEER側の経路に対して挿入しても良い。送信機としては、システム全体の最終的出力が入力に対して線形であればよいので、回路設計においては自由度を持って量子化器を設置することができる。
【0051】
また、振幅制限器やDA変換器を配置するに当たっては、送信機全体での線形性を保つようにした上で自由度のある設計が可能である。
例えば、送信信号がオフの時にはRF電力増幅器の電源電圧がカットされるか、送信信号がオフになることがない送信機においては、振幅信号に対して適用するDA変換器にΔΣ変調器を用いることによって、振幅増幅器の信号の量子化ビットが短くなることから、位相信号のDA変換における量子化ビットが長くなくて良い。
また、RF電力増幅器がスイッチングモードで動作するとき、電源電圧をカットする代わりに位相変調信号をオフとしても良い。これによってRF電力増幅器の電源のオンとオフを制御する回路を省略できるので、RF電力増幅器周辺の回路が簡略化され、オンオフ回路で発生した電力損失もなくなるためにシステムの電力効率が向上する。
【0052】
また、上記実施例のような送信機を車載の無線通信装置に用いた場合、LINC方式とEER方式を組み合わせたことにより出力電力の全域にわたって増幅時の電力効率を向上させることができるので、電力増幅器の発熱を抑制することが可能になり、装置の配置やケーブル等の設計における自由度が向上する。
【符号の説明】
【0053】
101:信号変換器
102:振幅制限器
104:除算器
106:振幅増幅器
112,113:位相変調器
116,117:アップコンバータ
118,119:RF電力増幅器
120:加算器
122:アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された複素ベースバンド信号を位相信号および振幅信号に変換する信号変換器と、
前記振幅信号の振幅値が所定の閾値以上の場合に振幅値を所定値にする振幅制限器と、
前記振幅制限された振幅信号を位相差信号に変換する振幅・位相差変換器と、
前記位相信号に前記位相差信号を加算した信号を位相変調する第1の位相変調器と、
前記位相信号から前記位相差信号を減算した信号を位相変調する第2の位相変調器と、
前記第1の位相変調器の出力を高周波に変換して第1の位相変調信号を生成する第1のアップコンバータと、
前記第2の位相変調器の出力を高周波に変換して第2の位相変調信号を生成する第2のアップコンバータと、
前記振幅制限器により振幅制限される前の振幅信号を、振幅制限された後の振幅信号によって除算する除算器と、
前記除算器からの出力を増幅する振幅増幅器と、
前記振幅増幅器の出力に応じて、前記第1および第2の位相変調信号をそれぞれ増幅する第1および第2の電力増幅器と、
前記第1および第2の電力増幅器からの出力を合成する加算器と、
前記加算器からの出力を送信するアンテナと、
を備えることを特徴とする送信機。
【請求項2】
入力された複素ベースバンド信号を位相信号および振幅信号に変換する信号変換器と、
前記振幅信号の振幅値が所定の閾値以下の場合に振幅値を所定値にする振幅制限器と、
前記振幅制限器により振幅制限された後の振幅信号を、振幅制限される前の振幅信号によって除算する除算器と、
前記除算器からの出力を位相差信号に変換する振幅・位相差変換器と、
前記位相信号に前記位相差信号を加算した信号を位相変調する第1の位相変調器と、
前記位相信号から前記位相差信号を減算した信号を位相変調する第2の位相変調器と、
前記第1の位相変調器の出力を高周波に変換して第1の位相変調信号を生成する第1のアップコンバータと、
前記第2の位相変調器の出力を高周波に変換して第2の位相変調信号を生成する第2のアップコンバータと、
前記振幅制限器からの出力を増幅する振幅増幅器と、
前記振幅増幅器の出力に応じて、前記第1および第2の位相変調信号をそれぞれ増幅する第1および第2の電力増幅器と、
前記第1および第2の電力増幅器からの出力を合成する加算器と、
前記加算器からの出力を送信するアンテナと、
を備えることを特徴とする送信機。
【請求項3】
前記振幅制限器は、振幅値の入力値と出力値を対応付けたテーブルを格納したメモリを備えており、当該メモリを参照して出力を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の送信機。
【請求項4】
前記振幅制限器は、振幅値に基づく多項式演算を行うことにより出力を行う
ことを特徴とする請求項1または2に記載の送信機。
【請求項5】
入力された複素ベースバンド信号を位相信号および振幅信号に変換する信号変換器と、
前記振幅信号の振幅値が所定の閾値以下の場合に振幅値を所定値にする振幅制限器と、
前記振幅制限器からの出力を量子化する量子化器と、
前記振幅信号を前記量子化器からの出力によって除算する除算器と、
前記除算器からの出力を位相差信号に変換する振幅・位相差変換器と、
前記位相信号に前記位相差信号を加算した信号を位相変調する第1の位相変調器と、
前記位相信号から前記位相差信号を減算した信号を位相変調する第2の位相変調器と、
前記第1の位相変調器の出力を高周波に変換して第1の位相変調信号を生成する第1のアップコンバータと、
前記第2の位相変調器の出力を高周波に変換して第2の位相変調信号を生成する第2のアップコンバータと、
前記量子化器からの出力を増幅する振幅増幅器と、
前記振幅増幅器の出力に応じて、前記第1および第2の位相変調信号をそれぞれ増幅する第1および第2の電力増幅器と、
前記第1および第2の電力増幅器からの出力を合成する加算器と、
前記加算器からの出力を送信するアンテナと、
を備えることを特徴とする送信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−151464(P2011−151464A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9030(P2010−9030)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】