説明

送信装置、受信装置、配信システム、配信方法、及びプログラム

【課題】簡便に視聴者を限定する配信システム等を提供する。
【解決手段】配信システム10は送信装置20及び受信装置30から構成される。送信装置20は、配信されるファイルをシンボルに分割し、このシンボルからファイルを構築するために必要な情報を暗号化して暗号文とする。送信装置20は、分割されたシンボル及び暗号文を放送波等に重畳して送信する。受信装置30は、受信された放送波等からシンボル及び暗号文を抽出し、暗号文を復号して、シンボルからファイルを構築する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置、受信装置、配信システム、配信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテンツを流通させるための新たなサービスとして、IPDC(Internet Protocol Data Cast)が注目されている。IPDCは、IP(Internet Protocol)パケットの形式のデータ(Data)を放送波に重畳させて送信(Cast)することで、コンテンツを一斉に配信する技術である(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
特定のユーザ以外の者からのアクセスが制限されたコンテンツがIPDCを用いて配信される場合には、ファイルの暗号化等の技術が必要になる(例えば、特許文献2及び3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−222401号公報
【特許文献2】特表2008−512924号公報
【特許文献3】特表2010−503354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2及び3に開示された方法等を用いて視聴者を限定する場合、ファイルの暗号化及び復号に複雑な演算処理が必要となるため、装置のリソースが大量に消費されるおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡便な処理で視聴者を限定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る送信装置は、
ファイルをシンボルに分割する分割手段と、
前記シンボルに対応する誤り訂正符号を生成する生成手段と、
前記シンボルと前記誤り訂正符号とに基づいて前記ファイルを構築するアルゴリズムを識別するための情報を暗号化して暗号文にする暗号化手段と、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文と、を送信する送信手段と、
を備える。
【0008】
前記送信手段は、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文とを含むパケットを、放送波に重畳させて送信してもよい。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る受信装置は、
本発明の第1の観点に係る送信装置から送信されたシンボルと、該シンボルに対応する誤り訂正符号と、前記シンボルと前記誤り訂正符号とに基づいてファイルを構築するアルゴリズムを識別するための情報が暗号化された暗号文と、を受信する受信手段と、
前記暗号文から前記情報を復号する復号手段と、
前記情報から特定される前記アルゴリズムに基づいて、前記シンボルと前記誤り訂正符号とから前記ファイルを構築する構築手段と、
を備える。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る配信システムは、
本発明の第1の観点に係る送信装置と、
本発明の第2の観点に係る受信装置と、
を備える。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第4の観点に係る配信方法は、
ファイルをシンボルに分割する分割ステップと、
前記シンボルに対応する誤り訂正符号を生成する生成ステップと、
前記シンボルと前記誤り訂正符号とに基づいて前記ファイルを構築するアルゴリズムを識別するための情報を暗号化して暗号文にする暗号化ステップと、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文と、を送信する送信ステップと、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文と、を受信する受信ステップと、
前記暗号文から前記情報を復号する復号ステップと、
前記情報から特定される前記アルゴリズムに基づいて、前記シンボルと前記誤り訂正符号とから前記ファイルを構築する構築ステップと、
を含む。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第5の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
ファイルをシンボルに分割する分割手段、
前記シンボルに対応する誤り訂正符号を生成する生成手段、
前記シンボルと前記誤り訂正符号とに基づいて前記ファイルを構築するアルゴリズムを識別するための情報を暗号化して暗号文にする暗号化手段、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文と、を送信する送信手段、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文と、を受信する受信手段、
前記暗号文から前記情報を復号する復号手段、
前記情報から特定される前記アルゴリズムに基づいて、前記シンボルと前記誤り訂正符号とから前記ファイルを構築する構築手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ファイルを構築するアルゴリズムを識別するための情報が暗号化される。また、復号されたこの情報に基づいてファイルが構築される。これにより、簡便な処理で視聴者を限定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る配信システムの機能の構成を示すブロック図である。
【図2】配信システムによるファイルの分割と構築を示す模式図である。
【図3】競馬場において映像を配信する配信システムの模式図である。
【図4】送信装置の処理を示すフロー図である。
【図5】受信装置の処理を示すフロー図である。
【図6】ファイル構築部によるファイルの構築の処理を示すフロー図である。
【図7】配信システムのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る配信システム10の機能の構成を示す。配信システム10は、コンテンツをユーザに配信するシステムである。図1に示されるように、配信システム10は、送信装置20及び受信装置30から構成される。
【0017】
送信装置20は、記憶部210、制御部220、送信部230を備える。送信装置20は、FLUTE(File Delivery over Unidirectional Transport)に従うパケットを生成し、放送波40に重畳させて送信する。FLUTEは、ファイルを配信するための規約である。また、FLUTEは、RFC(Request For Comments)3926で規定される。
【0018】
記憶部210は、鍵記憶部211、及びファイル記憶部212を備える。また、記憶部210は、制御部220が実行する処理の設定情報やプログラムその他のデータを記憶する。
【0019】
鍵記憶部211は、後述する暗号化の処理に用いられる鍵を記憶し、この鍵を制御部220へ出力する。
【0020】
ファイル記憶部212は、配信されるコンテンツのファイルを蓄積する。ファイル記憶部212は、制御部220の要求に応じて、ファイルを制御部220へ出力する。
【0021】
制御部220は、ファイル分割部221、暗号化FDT生成部222、及びパケット生成部223を備える。制御部220は、ファイルからパケットを生成し、送信部230へ出力する。なお、制御部220は、時計の機能も備える。
【0022】
ファイル分割部221は、ファイル記憶部212から読み出されたファイルを、所定の設定情報に基づいて、ソースシンボル(以下、シンボルという)に分割する。また、ファイル分割部221は、シンボルに基づいてFEC(Forward Error Correction)データを生成する。FECデータは、シンボルが欠損した場合に、この欠損を訂正して、シンボルを復元するための誤り訂正符号のデータである。そして、ファイル分割部221は、シンボル等に関する情報を暗号化FDT生成部222へ出力する。また、ファイル分割部221は、シンボル及びFECデータを、パケット生成部223へ出力する。
【0023】
ファイル分割部221によるファイルの分割について具体的に説明する。図2は、配信システム10によるファイルの分割及び構築を示す模式図である。ファイル分割部221は、図2に示されるように、ファイル60をソースブロック(以下、ブロックという)61乃至63に分割し、さらにこのブロックをシンボル61a、61b、・・・に分割する。ブロック及びシンボルのサイズは、あらかじめ記憶部210から読み出された設定情報に従う。例えば、ファイル60のサイズが100MBである場合に、ブロックのサイズが1MB、及びシンボルのサイズが1KBと設定されているとき、ファイル分割部221は、ファイル60を100個のブロックに分割し、さらに各ブロックを1000個のシンボルに分割する。また、ファイル分割部221は、記憶部210から読み出された所定のFECアルゴリズムに従って、シンボルに対応するFECデータ71、72、・・・を生成する。FECアルゴリズムは、例えば、RFC5170(Low Density Parity Check (LDPC) Staircase and Triangle Forward Error Correction (FEC) Schemes)で定められたアルゴリズムである。この場合、FECデータは、ひとつのブロックから分割された複数のシンボルに基づいて、複数生成される。
【0024】
暗号化FDT生成部222は、ファイル分割部221から取得した情報に基づいて、FDT(File Delivery Table)を生成する。FDTは、ファイルサイズ、シンボルの個数、及びFECアルゴリズムの識別番号等を含むテーブルであって、シンボルからファイルを構築するために必要な構築情報を有する。また、暗号化FDT生成部222は、図2に示されるように、鍵記憶部211から取得した鍵に基づいて構築情報を暗号化して、暗号文を有する暗号化FDT81を生成する。暗号化の方式は、例えばAES(Advanced Encryption Standard)等に従う。そして、暗号化FDT生成部222は、暗号化FDTをパケット生成部223へ出力する。
【0025】
パケット生成部223は、シンボル、FECデータ及び暗号化FDTからパケットを生成する。具体的には、パケット生成部223は、図2に示されるように、先頭のパケット91に暗号化FDT81を格納する。また、パケット生成部223は、後続するパケット92、93・・・にシンボル及びFECデータを格納する。そして、パケット生成部223は、TOI(Transport Object Identifier)値及びシンボル等が属するブロックの番号を、パケット91、92、・・・のヘッダに付与する。TOI値は、先頭のパケット91を識別するための値である。例えば、パケット生成部223は、先頭のパケット91のTOI値を「0」に設定し、後続するパケット92、93・・・のTOI値を「1」に設定する。さらに、パケット生成部223は、パケットを、放送波40に重畳させるために適した所定のデータ形式に変換して、送信部230へ出力する。所定のデータ形式は、例えば、UDP(User Datagram Protocol)/IP及びMPEG2−TS(Moving Picture Experts Group 2-Transport Stream)である。
【0026】
送信部230は、送信用のアンテナを備え、パケット生成部223から取得したデータを放送波40に重畳させて送信する。
【0027】
受信装置30は、図1に示されるように、受信部310、制御部320、入力部330、記憶部340、及び出力部350から構成される。受信装置30は、放送波40に重畳したデータからファイルを構築して、コンテンツをユーザに提供する。
【0028】
受信部310は、受信用のアンテナを備え、放送波40を受信する。また、受信部310は、放送波40に重畳したデータを取り出し、制御部320へ出力する。
【0029】
入力部330は、ユーザから入力された指示等を制御部320へ通知する。また、記憶部340は、制御部320が実行する処理の設定情報やプログラムその他のデータを記憶する。また、出力部350は、ユーザに供する情報を出力する。
【0030】
制御部320は、パケット復号部321、FDT復号部322、及びファイル構築部323を備える。制御部320は、受信部310から出力されたデータに基づいてファイルを構築する。
【0031】
パケット復号部321は、受信部310から出力されたデータに基づいてパケットを復号する。パケット復号部321は、このパケットを、FDT復号部322及びファイル構築部323へ出力する。
【0032】
FDT復号部322は、暗号化FDTを含むパケットを取得した場合に、入力部330又は記憶部340から取得した鍵を用いて、暗号化FDT内の暗号文を復号する。FDT復号部322は、復号された構築情報をファイル構築部323へ出力する。
【0033】
ファイル構築部323は、パケットからシンボル及びFECデータを抽出する。また、ファイル構築部323は、構築情報に基づいて、これらのシンボル及びFECデータからファイルを構築する。ファイル構築部323は、構築されたファイルを、ユーザの指示やプログラム等に応じて、記憶部340に格納したり、出力部350へ出力したりする。
【0034】
ファイル構築部323によるファイルの構築について具体的に説明する。ファイル構築部は、図2に示されるように、シンボル61a、61b、・・・及びFECデータ71、72、・・・からブロック61乃至63を復元する。ここで、ファイル構築部323は、図2のうちブロック61で示されるように、シンボル及びFECデータが一部欠けた場合であっても、FECデータと構築情報から特定されるFECアルゴリズムとに基づいて、欠損したシンボル61bを復元する。そして、ファイル構築部323は、取得したシンボル61a、61c及び61d並びに復元されたシンボル61bからブロック61を復元する。また、ファイル構築部323は、ブロック62で示されるように、欠損するシンボル及びFECデータの割合が大きい場合は、ブロック62を復元せずに、後続のパケットに格納されるシンボル及びFECデータを受信するまで待機する。また、ファイル構築部323は、ブロック63で示されるように、全てのシンボルを受信した場合は、FECデータの有無に関わらず、ブロック63を復元する。
【0035】
以上の構成要素の協働により、コンテンツのファイルが、ユーザへ配信される。以下、競馬場における配信を例に、配信システム10の動作について図3乃至6を用いて説明する。
【0036】
図3は、競馬場における配信システム10を示す模式図である。この配信システム10は、カメラ51及び52で撮影した映像を、コンテンツとして送信装置20に蓄積して、場内の観客のみに配信する。
【0037】
送信装置20による送信の処理について、図4を用いて説明する。
【0038】
まず、ファイル分割部221は、配信されるファイルをファイル記憶部212から取得する(ステップS101)。次に、ファイル分割部221は、ファイルをシンボルに分割するとともに、シンボルに基づいてFECデータを生成する(ステップS102)。
【0039】
暗号化FDT生成部222は、ファイルサイズ、シンボルの個数、FECアルゴリズムの識別番号等の情報をファイル分割部221から取得して、FDTを生成する(ステップS103)。次に、暗号化FDT生成部222は、例えば「horse」の文字列を鍵として用いてFDTの構築情報を暗号化して、暗号化FDTを生成する(ステップS104)。
【0040】
パケット生成部223は、暗号化FDTを含むパケットを先頭として、シンボル及びFECデータを格納する一連のパケットを生成する。また、パケット生成部223は、生成されたパケットを、放送に適したデータ形式に変換する(ステップS105)。
【0041】
次に、制御部220は、データを送信部230へ出力する。また、送信部230は、データを放送波40に重畳させて、アンテナを介して送信する(ステップS106)。
【0042】
次に、制御部220は、配信時間が終了したかどうかを判定する(ステップS107)。配信時間は、例えば競馬のレースに対応する時間である。配信時間が終了していないと判定された場合(ステップS107;No)、制御部220は、ステップS106に戻り、送信部230に放送波40を再度送信させる。配信時間が終了したと判定された場合(ステップS107;Yes)、送信装置20は、ファイルの送信の処理を終了する。
【0043】
次に、放送波40を受信した受信装置30aの処理について、図5を用いて説明する。
【0044】
まず、受信部310は、放送波40に重畳しているデータを抽出する(ステップS201)。
【0045】
次に、パケット復号部321は、受信部310から出力されたデータから、パケットを復号する(ステップS202)。
【0046】
次に、FDT復号部322は、取得したパケットのTOI値が「0」であるかどうかを判定する(ステップS203)。つまり、FDT復号部322は、取得したパケットが暗号化FDTを含むか否かを判定する。
【0047】
TOI値が「0」以外の値であると判定された場合(ステップS203;No)、ステップS202及びS203が繰り返される。
【0048】
TOI値が「0」であると判定された場合(ステップS203;Yes)、FDT復号部322は、入力部330から鍵を取得する(ステップS204)。具体的には、FDT復号部322は、出力部350に鍵の入力を促す表示を出力する。その後、図3に示されるように、ユーザが、入場券に印字されたパスワードを鍵として受信装置30aに入力する。
【0049】
FDT復号部322は、取得した鍵を用いて、暗号化FDTが有する暗号文の復号の可否を判定する(ステップS205)。
【0050】
暗号文の復号が不能と判定された場合(ステップS205;No)、FDT復号部322は、ステップS204に戻り、鍵の入力を促す表示を出力部350に再度出力する。
【0051】
暗号文の復号が可能と判定された場合(ステップS205;Yes)、FDT復号部322は、復号された構築情報をファイル構築部323へ出力する。ファイル構築部323は、この構築情報に基づいてファイルを構築する(ステップS206)。以下、ファイル構築部323によるファイルの構築について、図6を用いて説明する。
【0052】
まず、ファイル構築部323は、復号された構築情報をFDT復号部322から取得する(ステップS301)。
【0053】
次に、ファイル構築部323は、パケット復号部321からパケットを取得する(ステップS302)。
【0054】
ファイル構築部323は、取得したパケットのTOI値が「0」であるかどうかを判定する(ステップS303)。
【0055】
TOI値が「0」であると判定された場合(ステップS303;Yes)、ファイル構築部323は、ステップS302に戻り、パケットを新たに取得する。
【0056】
一方、TOI値が「0」以外の値であると判定された場合(ステップ303;No)、ファイル構築部323は、パケットに含まれるシンボル及びFECデータを抽出する。また、ファイル構築部323は、このシンボル及びFECデータが属するブロックを、パケットのヘッダ情報から確認する。そして、ファイル構築部323は、受信したシンボルを、記憶部340にブロック毎に蓄積させる(ステップS304)。
【0057】
次に、ファイル構築部323は、構築情報に基づいて、各ブロックにおいて受信されたシンボル及びFECデータの割合を演算する。また、ファイル構築部323は、この割合がすべてのブロックについて所定の割合に達したかどうかを判定する(ステップS305)。この所定の割合は、所定のFECアルゴリズムによってブロックを復元するために必要なシンボル及びFECデータの割合である。例えば、ファイル構築部323は、ブロックのサイズに対して130%のサイズのシンボル及びFECデータを受信したかどうかを、すべてのブロックについて判定する。
【0058】
受信されたシンボル及びFECデータの割合が所定の割合に達しないと判定された場合(ステップS305;No)、ファイル構築部323は、ステップS302に戻り、後続するパケットに格納されたシンボル及びFECデータをさらに受信する。
【0059】
受信されたシンボルの割合が所定の割合に達したと判定された場合(ステップS305;Yes)、ファイル構築部323は、ブロックを識別する変数bに1を代入する(ステップS306)。
【0060】
その後、ファイル構築部323は、ブロックbのシンボルがすべて受信されたかどうかを判定する(ステップS307)。
【0061】
ブロックbのシンボルがすべて受信されていないと判定された場合(ステップS307;No)、ファイル構築部323は、FECデータとFECアルゴリズムとに基づいて、受信されていないシンボルを復元する(ステップS308)。
【0062】
次に、ファイル構築部323は、シンボルを結合してブロックbを復元する(ステップS309)。また、ステップS307にて、ブロックbのシンボルがすべて受信されたと判定された場合も(ステップS307;Yes)、ファイル構築部323は、シンボルを結合してブロックbを復元する(ステップS309)。
【0063】
続いて、ファイル構築部323は、すべてのブロックが復元されたかどうかを判定する(ステップS310)。
【0064】
すべてのブロックが復元されていないと判定された場合(ステップS310;No)、ファイル構築部323は、変数bをインクリメントして(ステップS311)、ステップS307乃至S311を繰り返す。
【0065】
一方、すべてのブロックが復元されたと判定された場合(ステップS310;Yes)、ファイル構築部323は、ブロックを結合してファイルを構築する(ステップS312)。
【0066】
図5に戻り、ファイル構築部323は、構築したファイルをユーザに提供する(ステップS207)。具体的には、ファイル構築部323は、ファイルを出力部350に表示させたり、記憶部340に録画させたりする。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係る配信システム10は、FLUTEに従ってファイルを配信する際に、ファイルの構築に必要な構築情報のみを暗号化して配信する。これにより、鍵を入手したユーザは、受信装置30aを用いてファイルを構築することが可能なため、コンテンツを視聴することができる(図3を参照)。他方、鍵を入手していないユーザは、受信装置30bを用いて放送波40を受信した場合であっても、ファイルを構築することができない。したがって、配信システム10は、簡便な処理で視聴者が限定されたコンテンツを配信することができる。
【0068】
また、受信装置30は、暗号化された構築情報のみを復号すればファイルを構築することができる。そのため、通信内容すべてが暗号化される場合に比べると、受信装置30の負担が小さく、リソースの消費量も少ない。したがって、ユーザは、受信装置30として携帯端末を使用する場合であっても、復号の処理負荷を意識することなくコンテンツを視聴することができる。また、送信装置20についても同様に、リソースの消費量を少なくすることができる。
【0069】
また、FLUTEに従う装置は、構築情報の暗号化及び復号のための構成要素のみを付加されれば、配信システム10を構成することができる。したがって、配信システム10は、導入コストを低く抑えることができる。
【0070】
また、送信装置20は放送波を用いて一斉にファイルを配信する。このため、配信システム10は、ユーザ数に応じた設備の増強が不要となり、運営コストを低く抑えることができる。
【0071】
また、放送波40によりコンテンツが配信されるので、ユーザは場所にとらわれることなくコンテンツを視聴することができる。
【0072】
図7は、配信システム10のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
【0073】
送信装置20は、CPU(Central Processing Unit)21、主記憶部22、補助記憶部23、出力部24、入力部25、送受信部26及び内部バス27を備える。主記憶部22、補助記憶部23、出力部24、入力部25及び送受信部26はいずれも内部バス27を介してCPU21に接続されている。
【0074】
CPU21は、補助記憶部23に記憶されているプログラム28に従って、ファイル分割部221、暗号化FDT生成部222及びパケット生成部223の処理等を実行する。
【0075】
主記憶部22は、RAM(Random Access Memory)等から構成され、補助記憶部23に記憶されているプログラム28を読み出し、CPU21のワークエリアとして用いられる。
【0076】
補助記憶部23は、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリから構成され、CPU21が実行する処理に必要なプログラム28をあらかじめ記憶する。また、補助記憶部23は、CPU21の指示に従って、このプログラム28が記憶するデータをCPU21に供給し、CPU21から供給されたデータを記憶する。また、補助記憶部23は、鍵記憶部211及びファイル記憶部212を含む記憶部210を物理的に実現する。
【0077】
出力部24は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備える表示装置、スピーカ等の音響装置又は印刷装置等から構成され、送信装置20のユーザに供する情報を出力する。例えば、出力部24は、ユーザが鍵を入力したり配信ファイルを編集したりするための操作画面を表示する。
【0078】
入力部25は、キーボード、マウス等のポインティングデバイスその他のセンサ等から構成される。
【0079】
送受信部26は、無線送受信機又は無線モデム等から構成される。送受信部26は、例えば、カメラ51及び52から動画データ等を受信し、データが重畳した放送波を送信する。また、送受信部26は、図1に示される送信部230を物理的に実現する。
【0080】
受信装置30は、CPU31、主記憶部32、補助記憶部33、出力部34、入力部35、送受信部36及び内部バス37を備える。主記憶部32、補助記憶部33、出力部34、入力部35及び送受信部36はいずれも内部バス37を介してCPU31に接続される。
【0081】
CPU31は、補助記憶部33に記憶されるプログラム38に従って、パケット復号部321、FDT復号部322及びファイル構築部323の処理等を実行する。
【0082】
主記憶部32は、RAM等から構成され、補助記憶部33に記憶されるプログラム38を読み出し、CPU31のワークエリアとして用いられる。
【0083】
補助記憶部33は、フラッシュメモリ、ハードディスク等の不揮発性メモリから構成され、CPU31が実行する処理に必要なプログラム38をあらかじめ記憶する。また、補助記憶部33は、CPU31の指示に従って、このプログラム38が記憶するデータをCPU31に供給し、CPU31から供給されたデータを記憶する。また、補助記憶部33は、記憶部340を物理的に実現する。
【0084】
出力部34は、表示装置又は音響装置等から構成され、受信装置30のユーザに供する情報を出力する。例えば、出力部34は、鍵を入力するための操作画面及びコンテンツを視聴するための画面等を表示する。また、出力部34は、図1に示される出力部350を物理的に実現する。
【0085】
入力部35は、入力キー又はタッチパネル等のポインティングデバイス等から構成される。入力部35は、図1に示される入力部330を物理的に実現する。
【0086】
送受信部36は、無線送受信機又は無線モデム等から構成される。送受信部36は、例えば、放送波を受信する。また、送受信部36は、図1に示される受信部310を物理的に実現する。
【0087】
図1に示される送信装置20の鍵記憶部211、ファイル記憶部212、ファイル分割部221、暗号化FDT生成部222、パケット生成部223及び送信部230が実行する処理は、プログラム28が、CPU21、主記憶部22、補助記憶部23、出力部24、入力部25及び送受信部26等を資源として用いることにより実行される。また、図1に示される受信装置30の受信部310、パケット復号部321、FDT復号部322、ファイル構築部323、入力部330、記憶部340及び出力部350が実行する処理は、プログラム38が、CPU31、主記憶部32、補助記憶部33、出力部34、入力部35及び送受信部36等を資源として用いることにより実行される。
【0088】
以上、実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0089】
例えば、上述の実施形態に係る暗号化の方式はAESとしたが、他の方式としてもよい。具体的には、AES以外の共通鍵方式又は公開鍵方式その他の方式としてもよい。また、上述の実施形態に係る鍵は、ユーザが携帯端末に入力する構成としたが、コード化された鍵があらかじめ印字されたチケット等から、ユーザが受信装置にカメラ等を介して読み込ませてもよい。また、チケット等に限らず、受信装置は通信路等から鍵を取得してもよい。また、この鍵は、暗号をより強固にするために一定時間毎に書き換えられてもよい。
【0090】
例えば、上述の実施形態に係る配信システム10は、ファイル形式のコンテンツを放送波40で送受信したが、赤外線等その他の無線又は有線のネットワーク上でコンテンツを配信してもよい。
【0091】
例えば、上述の実施形態に係る配信システム10は、送信装置20として競馬場に備えられた施設、及び受信装置30として携帯端末から構成されたが、これらに代えて、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ及びゲーム機等から構成されてもよい。
【0092】
また、上述の実施形態に係る送信装置20及び受信装置30の機能は、専用のハードウェアによっても、また、通常のコンピュータシステムによっても実現することができる。
【0093】
例えば、上述の実施形態において送信装置20の補助記憶部23又は受信装置30の補助記憶部33に記憶されているプログラムを、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical disk)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行する装置を構成することができる。
【0094】
また、プログラムをインターネット等の通信ネットワーク上の所定のサーバ装置が有するディスク装置等に格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するようにしても良い。
【0095】
また、通信ネットワークを介してプログラムを転送しながら起動実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0096】
更に、プログラムの全部又は一部をサーバ装置上で実行させ、その処理に関する情報をコンピュータが通信ネットワークを介して送受信しながらプログラムを実行することによっても、上述の処理を達成することができる。
【0097】
なお、上述の機能を、OS(Operating System)が分担して実現する場合又はOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納して配布してもよく、また、コンピュータにダウンロード等しても良い。
【符号の説明】
【0098】
10 配信システム
20 送信装置
21、31 CPU
22、32 主記憶部
23、33 補助記憶部
24、34 出力部
25、35 入力部
26、36 送受信部
27、37 内部バス
28、38 プログラム
210 記憶部
211 鍵記憶部
212 ファイル記憶部
220 制御部
221 ファイル分割部
222 暗号化FDT生成部
223 パケット生成部
230 送信部
30、30a、30b 受信装置
310 受信部
320 制御部
321 パケット復号部
322 FDT復号部
323 ファイル構築部
330 入力部
340 記憶部
350 出力部
40 放送波
51、52 カメラ
60 ファイル
61、62、63 ブロック
61a、61b、61c、61d シンボル
71、72、73、74 FECデータ
80 FDT
81 暗号化FDT
91、92、93 パケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイルをシンボルに分割する分割手段と、
前記シンボルに対応する誤り訂正符号を生成する生成手段と、
前記シンボルと前記誤り訂正符号とに基づいて前記ファイルを構築するアルゴリズムを識別するための情報を暗号化して暗号文にする暗号化手段と、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文と、を送信する送信手段と、
を備える送信装置。
【請求項2】
前記送信手段は、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文とを含むパケットを、放送波に重畳させて送信する、
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の送信装置から送信されたシンボルと、該シンボルに対応する誤り訂正符号と、前記シンボルと前記誤り訂正符号とに基づいてファイルを構築するアルゴリズムを識別するための情報が暗号化された暗号文と、を受信する受信手段と、
前記暗号文から前記情報を復号する復号手段と、
前記情報から特定される前記アルゴリズムに基づいて、前記シンボルと前記誤り訂正符号とから前記ファイルを構築する構築手段と、
を備える受信装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の送信装置と、
請求項3に記載の受信装置と、
を備える配信システム。
【請求項5】
ファイルをシンボルに分割する分割ステップと、
前記シンボルに対応する誤り訂正符号を生成する生成ステップと、
前記シンボルと前記誤り訂正符号とに基づいて前記ファイルを構築するアルゴリズムを識別するための情報を暗号化して暗号文にする暗号化ステップと、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文と、を送信する送信ステップと、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文と、を受信する受信ステップと、
前記暗号文から前記情報を復号する復号ステップと、
前記情報から特定される前記アルゴリズムに基づいて、前記シンボルと前記誤り訂正符号とから前記ファイルを構築する構築ステップと、
を含む配信方法。
【請求項6】
コンピュータを、
ファイルをシンボルに分割する分割手段、
前記シンボルに対応する誤り訂正符号を生成する生成手段、
前記シンボルと前記誤り訂正符号とに基づいて前記ファイルを構築するアルゴリズムを識別するための情報を暗号化して暗号文にする暗号化手段、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文と、を送信する送信手段、
前記シンボルと、前記誤り訂正符号と、前記暗号文と、を受信する受信手段、
前記暗号文から前記情報を復号する復号手段、
前記情報から特定される前記アルゴリズムに基づいて、前記シンボルと前記誤り訂正符号とから前記ファイルを構築する構築手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−204946(P2012−204946A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65720(P2011−65720)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000102728)株式会社エヌ・ティ・ティ・データ (438)
【Fターム(参考)】