送信装置および伝送システム
【課題】 信頼性の高いデータ伝送を効率良く行える送信装置および伝送システムを提供する。
【解決手段】 実施形態によれば、ネットワークを介して受信装置へデータを伝送する送信装置は、遅延設定部と、送信タイミング生成部と、幹線系送信部とを有する。遅延設定部は、受信装置への第1の経路によるデータの伝送時間と受信装置への第1の経路とは異なる第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を遅延時間として設定する。送信タイミング生成部は、遅延設定部により設定された遅延時間に基づいて第1の経路を示す経路情報が付加された第1データフレームを出力するタイミングと第2の経路を示す経路情報を付加された第2データフレームを出力するタイミングとを生成する。幹線系送信部は、送信タイミング生成部により生成されたタイミングで第1データフレームと第2データフレームとをそれぞれ出力する。
【解決手段】 実施形態によれば、ネットワークを介して受信装置へデータを伝送する送信装置は、遅延設定部と、送信タイミング生成部と、幹線系送信部とを有する。遅延設定部は、受信装置への第1の経路によるデータの伝送時間と受信装置への第1の経路とは異なる第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を遅延時間として設定する。送信タイミング生成部は、遅延設定部により設定された遅延時間に基づいて第1の経路を示す経路情報が付加された第1データフレームを出力するタイミングと第2の経路を示す経路情報を付加された第2データフレームを出力するタイミングとを生成する。幹線系送信部は、送信タイミング生成部により生成されたタイミングで第1データフレームと第2データフレームとをそれぞれ出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データの伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
伝送システムには、送信装置が複数の同じデータを異なる複数の経路で別々に伝送し、受信装置が受信したデータのうち1つを選択するものがある。このような伝送システムは、高い信頼性が要求される重要データのデータ伝送を行うシステムに適用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】IEEE802.3Q
【非特許文献2】ITU−T G.841
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態では、信頼性の高いデータ伝送を効率良く行える送信装置および伝送システムを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、ネットワークを介して受信装置へデータを伝送する送信装置は、遅延設定部と、送信タイミング生成部と、幹線系送信部とを有する。遅延設定部は、受信装置への第1の経路によるデータの伝送時間と受信装置への第1の経路とは異なる第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を遅延時間として設定する。送信タイミング生成部は、遅延設定部により設定された遅延時間に基づいて第1の経路を示す経路情報が付加された第1データフレームを出力するタイミングと第2の経路を示す経路情報を付加された第2データフレームを出力するタイミングとを生成する。幹線系送信部は、送信タイミング生成部により生成されたタイミングで第1データフレームと第2データフレームとをそれぞれ出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る伝送システムの変形例である。
【図3】送信装置から同じタイミングで出力された2つのデータが異なる経路で受信装置に伝送される場合のタイミングチャートを示す図である。
【図4】送信装置から同じタイミングで出力された2つのデータのうち一方のデータの伝送に障害が発生した場合のタイミングチャートを示す図である。
【図5】送信装置から異なるタイミングで出力された2つのデータが異なる経路で受信装置に伝送される場合のタイミングチャートを示す図である。
【図6】送信装置から異なるタイミングで出力された2つのデータのうち一方のデータの伝送に障害が発生した場合のタイミングチャートを示す図である。
【図7】データフレームが周期的に出力される場合のタイミングチャートを示す図である。
【図8】第2の実施形態に係るリング形ネットワークを有する伝送システムの構成例を示す図である。
【図9】リング型ネットワークにおいて第1仮想伝送路により伝送されるデータと第2仮想伝送路により伝送されるデータとの例を模式的に示す図である。
【図10】第3の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図11】第4の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図12】第5の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図13】第5の実施形態に係る伝送中央装置の構成例を示す図である。
【図14】第5の実施形態に係る伝送端末装置の構成例を示す図である。
【図15】第5の実施形態に係る伝送中央装置の第2の構成例を示す図である。
【図16】第5の実施形態に係る伝送端末装置の第2の構成例を示す図である。
【図17】第5の実施形態に係る伝送端末装置の第3の構成例を示す図である。
【図18】第5の実施形態に係る伝送中央装置の第4の構成例を示す図である。
【図19】第5の実施形態に係る伝送端末装置の第4の構成例を示す図である。
【図20】第5の実施形態に係る伝送中央装置の第5の構成例を示す図である。
【図21】第5の実施形態に係る伝送端末装置の第5の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
以下の各実施形態で説明する伝送システムは、高い信頼性が要求される重要なデータのデータ伝送を行うシステムに適用される。たとえば、各実施形態で説明する伝送システムは、鉄道車両内に設けられるデータの伝送システム(車上伝送システム)に適用される。鉄道車両には、モーター或いはブレーキなどの制御系の機器、機器の状態を監視するモニタ系の機器、および、乗車者に対するサービスを行うための機器などのさまざまな機器が搭載されている。たとえば、車両において、車両を動かしたり、止めたりするのに必要な制御指令(制御データ)は、確実に定期的にモーターやブレーキなどの制御対象となる機器に送る必要がある。車両の運行に係る制御指令(制御データ)は、安全に関る重要なデータである。このため、一部の伝送装置が故障したり、伝送路の一部に異常が発生したりしても、常に確実に制御データが制御対象まで伝送できる伝送システムであることが要求される。
【0008】
また、鉄道車両においては、機器に異常が発生した場合、異常発生時の前後の時刻における機器の状態を知ることが原因究明に重要な情報となる。このため、車両内の伝送システムは、これらの情報も定期的に収集(伝送)する必要がある。定期的なデータ伝送の周期は、たとえば、100〜200ms程度の周期であったり、10〜50ms程度の周期であったりするものが想定される。このような伝送システムでは、ネットワーク内における一部の伝送装置の故障あるいは伝送路の一部の異常が発生した場合であっても、データ伝送を保証し、かつ、速やかにデータ伝送を復旧する仕組みが必要である。
【0009】
上述した車上伝送システムのように、重要なデータを伝送する伝送システムには、送信側では複製したデータを異なる2つの経路で伝送し、受信側では2つの経路で伝送されてきたデータをそれぞれ受信するものがある。この種の伝送システムでは、送信側が異なる複数の経路で同じデータを伝送し、受信側が受信したデータのうち1つのデータを選択し、他のデータを破棄することにより、信頼性の高いデータ伝送を実現できる。このようなデータ伝送方法は、たとえば、SONET/SDH等で採用されているリングネットワーク伝送装置における、UPSR(Unidirectional Path Switched Rings)等の方法がある。
【0010】
ただし、一般には、データ伝送において、伝送経路毎にデータの伝送時間が異なる。異なる経路で伝送されてくる2つのデータのうち確実に受信できた1つのデータを選択するため、伝送システムにおける各受信装置は、伝送経路毎の伝送時間の差分(遅延時間)を吸収できる様なバッファメモリが必要である。これは、一方の経路から受信するデータと他方の経路から受信するデータとが両方とも受信できたか、それとも片一方からしか受信できていないかを判断するには、同じデータの受信の有無を受信側で判断する必要があるためである。
【0011】
たとえば、リング形のネットワークの場合、時計回り方向と反時計回り方向とにより2つの異なる経路が設定可能である。リング型のネットワークでは、たとえば、隣接する送信装置と受信装置との間の伝送については、時計回り方向と反時計回り方向で大きく伝送時間が異なる。これは、伝送する伝送距離と伝送経路においてデータを転送するためのネットワーク伝送装置の数とが異なるためである。このような2つの経路によるデータ伝送時間の差(遅延時間)を考慮しつつ受信データの有無を判断するためには、遅延時間の差分を吸収するための十分な記憶容量を有するバッファメモリを受信装置に設ける必要がある。また、バッファメモリは、送信する相手先(全ての受信装置)毎に設ける必要がある。このため、相手先(受信装置)の数が増加すると、伝送システム全体としては、バッファメモリの容量を大きく消費する。
【0012】
以下に説明する実施形態の伝送システムでは、複製した2つのデータを異なる経路で伝送する場合、送信装置は、一方のデータが受信装置に伝送されるまでに要する第1時間と他方のデータが受信装置に伝送されるまでに要する第2時間との時間差(遅延時間)が小さくなるタイミングで2つのデータを出力する。2つのデータを受信するタイミングの差が小さければ小さいほど、受信装置2は、バッファメモリの容量が小さいもので良くなる。この結果として、伝送システム全体としては、保守などのコストをおさえることができ、信頼性の高いデータ伝送を効率良く行える。
【0013】
次に、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
図1に示す構成例では、伝送システムは、送信装置1、受信装置2、および、ネットワーク3を有する。送信装置1は、支線を介して端末装置から情報を受信したり、幹線及びネットワークを介して受信装置2へ情報を送信したりする。たとえば、当該伝送システムが鉄道車両に搭載される車上伝送システムである場合、送信装置1は、車上伝送装置として機能する。ネットワーク3は、データ伝送用の通信網である。ネットワーク3は、送信装置1から受信装置2までの伝送路として、異なる2つの伝送路を確保できるものであれば良い。2つの経路は、1つのネットワーク内の異なる経路であっても良いし、異なるネットワークを経由する経路であっても良い。たとえば、ネットワーク3は、リング型のネットワークであっても良いし、複数のネットワークを含むものであっても良い。すなわち、送信装置1は、複製したデータを異なる2つの経路で受信装置2へ伝送する。
【0014】
図1に示すように、送信装置1は、支線系受信部11、フレーム複製部12、第1フレーム変換部13a、第2フレーム変換部13b、幹線系第1送信部14a、幹線系第2送信部14b、バッファメモリ15、遅延設定部16、および、送信タイミング生成部17を有する。また、図1に示すように、受信装置2は、幹線系第1受信部21、幹線系第2受信部21、バッファメモリ22、フレーム選択部23、フレーム変換部24、および、支線系送信部25を有する。なお、送信装置1と受信装置2とは、同等の機能を有するものであっても良い。すなわち、送信装置1が受信装置2と同様なデータ受信機能を有していても良いし、受信装置2が送信装置1と同様なデータの送信機能を有していても良い。
【0015】
支線系受信部11は、受信装置2へ伝送すべきデータを入力するためのデータ受信手段である。支線系受信部11は、たとえば、支線を介して端末装置に接続される。フレーム複製部12は、支線系受信部11により受信したデータ(受信装置2へ伝送すべきデータ)を2つの異なる経路で伝送する2つのデータフレームにする。第1フレーム変換部13aおよび第2フレーム変換部13bは、受信装置2へ伝送すべきデータフレームに経路情報を付加する。第1フレーム変換部13aおよび第2フレーム変換部13bは、フレーム複製部12により複製された2つのデータフレームに、それぞれ異なる経路情報を付加する。
【0016】
図1に示す構成例では、第1フレーム変換部13aは、伝送路19aから出力され、ネットワーク3内を経由して伝送路20aより受信装置2に入力するような経路情報を付加した第1データフレームを生成する。第2フレーム変換部13bは、伝送路19bから出力され、ネットワーク3を経由して伝送路20bより受信装置2に入力されるような経路情報を付加した第2データフレームを生成する。
【0017】
バッファメモリ15は、第1フレーム変換部13aが経路情報を付加した第1データフレーム、および、第2フレーム変換部13bが経路情報を付加した第2データフレームをそれぞれ記憶する。バッファメモリ15に記憶された第1データフレーム及び第2データフレームは、送信タイミング生成部17により生成されたタイミングで幹線系第1送信部14aおよび幹線系第2送信部14bから出力される。
【0018】
遅延設定部16は、バッファメモリ15に記憶された送信用のデータフレームを出力するタイミングを設定する。遅延設定部16は、受信装置2が第1データフレームと第2データフレームとがほぼ同じタイミングで受信できるように、遅延データテーブル18を参照して第1データフレームと第2データフレームとの送信タイミングを設定する。たとえば、遅延データテーブル18には、第1データフレームが送信装置1から受信装置2へ伝送されるまでの第1の伝送時間と第2データフレームが送信装置1から受信装置2へ伝送されるまでの第2の伝送時間との時間差(遅延時間)を示す情報が記憶される。また、データの伝送先(つまり、受信装置)が複数存在する場合、遅延データテーブル18は、各受信装置2について、2つの経路によるデータの伝送時間の差(遅延時間)を記憶する。
【0019】
送信タイミング生成部17は、遅延設定部16による設定される遅延時間に従ってバッファメモリ15に記憶した第1データフレームを幹線系第1送信部14aにより送信するタイミングと第2データフレームを幹線系第2送信部14bにより送信するタイミングとを生成する。幹線系第1送信部14aは、送信タイミング生成部17により生成された送信タイミングで、第1フレーム変換部13aにより経路情報が付加された第1データフレームをバッファメモリ15から伝送路19aへ出力する。幹線系第2送信部14bは、送信タイミング生成部17により生成された送信タイミングで、第2フレーム変換部13bにより第1データフレームとは異なる経路情報が付加された第2データフレームをバッファメモリ15から伝送路19bへ出力する。
【0020】
幹線系第1送信部14aが伝送路19aへ出力した第1データフレームと幹線系第2送信部14bが伝送路19bへ出力した第2データフレームとは、ネットワーク3内のネットワーク伝送装置による制御によってそれぞれの経路情報に従って受信装置2へ伝送される。図1に示す構成例では、第1データフレームは、ネットワーク3から伝送路20aを経由して受信装置2へ伝送される。第2データフレームは、ネットワーク3から伝送路20bを経由して受信装置2へ伝送される。
【0021】
また、図1に示す構成例において、受信装置2における幹線系第1受信部21aは、送信装置1の幹線系第1送信部14aからネットワーク3を介して伝送されてくる第1データフレームを受信する。受信装置2における幹線系第2受信部21bは、送信装置1の幹線系第2送信部14bから伝送された第2データフレームを受信する。バッファメモリ22は、幹線系第1受信部21aおよび幹線系第2受信部21bが受信した第1データフレームおよび第2データフレームをバッファリング(記憶)する。
【0022】
フレーム選択部23は、バッファメモリ22に記憶した第1データフレーム及び第2データフレームの何れかを選択する。フレーム選択部23は、フレームごとに第1データフレームあるいは第2データフレームの何れかを選択する。フレーム選択部23は、選択したフレームを順にフレーム変換部24へ出力することにより、受信した1つのデータフレームをフレーム変換部24に供給する。フレーム変換部24は、フレーム選択部23により選択された1つのデータフレームを支線に接続された装置へ出力するためのデータに変換する。支線系送信部25は、フレーム変換部24が生成したデータフレームを支線に接続された装置へ出力する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る伝送システムの変形例である。図2に示す構成例の伝送システムにおいて、送信装置1Bは1つの幹線系送信部14Bを有し、受信装置2Bは1つの幹線系受信部21Bを有する。なお、図2に示す伝送システムは、送信装置1Bの幹線系送信部14Bおよび受信装置2Bの幹線系受信部21B以外の各構成は、図1に示すものと同様なもので実現できる。このため、図1と同様な構成で実現できる構成要件については、図1と同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0024】
図2に示す伝送システムも、図1に示す伝送システムと同様に、送信装置1Bが2つの異なる経路で複製した第1及び第2データフレームを受信装置2Bへ伝送する。図2に示す構成の伝送システムにおいて、送信装置1Bは、2つの異なる経路を設定するため、フレーム複製部12が複製した送信用のデータフレームに、第1フレーム変換部13aと第2フレーム変換部13bとがそれぞれ異なる経路情報をそれぞれ追記する。たとえば、イーサネット(登録商標)を伝送媒体に用いる場合、IEEE802.3Qで規定される仮想伝送路を示すタグ(vlanタグ)を第1及び第2フレーム変換部で付加することにより2つの経路を設定できる。
【0025】
第1フレーム変換部13aが生成した第1データフレームおよび第2フレーム変換部13bが生成した第2データフレームは、バッファメモリ15に記憶される。第1データフレームおよび第2データフレームは、送信タイミング生成部17により生成される送信タイミングで幹線系送信部14Bからネットワーク3へ送出される。送信タイミング生成部17は、遅延設定部16による設定される遅延時間に基づいて、先に伝送時間が長い方のデータフレームを出力してから遅延時間分だけ遅延させて、他方のデータフレームを出力する。
【0026】
1つの幹線系送信部14Bは、第1データフレーム及び第2データフレームを送信タイミング生成部17が生成したタイミングで1つの伝送路19へ送信する。ネットワーク3内の伝送装置は、第1データフレームおよび第2データフレームに付加された経路情報に従ってそれぞれを伝送する。これにより、異なる経路情報が付加された第1データフレームおよび第2データフレームは、それぞれ異なる経路で受信装置2Bへ伝送される。受信装置2Bの1つの幹線系受信部21Bは、ネットワーク3及び伝送路20を経由して伝送されてくる第1データフレーム及び第2データフレームを受信する。
【0027】
次に、第1の実施形態に係る伝送システムにおけるデータ伝送について説明する。
図3は、送信装置1が同じタイミングで出力した2つのデータが異なる経路で受信装置2に伝送される場合のタイミングチャートを示す図である。図4は、図3に示すタイミングで伝送した2つのデータのうち一方のデータの伝送に障害が発生した場合のタイミングチャートを示す図である。また、図5は、送信装置1が異なる伝送経路による伝送時間の差(遅延時間)を小さくするような異なるタイミングで2つのデータを受信装置2へ出力した場合のタイミングチャートを示す図である。図6は、図5に示すタイミングで伝送した2つのデータのうち一方のデータの伝送に障害が発生した場合のタイミングチャートを示す図である。
【0028】
なお、図3乃至6は、送信装置1及び受信装置2の各部におけるデータの流れを時間軸に従って模式的に表現したものである。図3乃至6は、左から右側にすすむに従って時刻が経過していることを示している。また、図3乃至6において、数字の記載してある各長方形は、各データフレームを示し、各データフレーム内の各数字は、データの順番を示している。
【0029】
図3に示す例において、支線系受信部11には、「1」、「2」、「3」、…の各データフレームが順番に入力される。フレーム複製部12は、「1」、「2」、「3」、…の順番に入力されたデータ(入力データ)を複製する。第1フレーム変換部13a、および、第2フレーム変換部13bは、複製された入力データをそれぞれ幹線の伝送に適したデータフレームに変換する。第1フレーム変換部および第2フレーム変換部により変換された2つのデータフレームは、バッファメモリ15を介して幹線系第1送信部14a、および、幹線系第2送信部14bにより出力される。図3に示す例では、幹線系第1送信部から出力されるデータ(第1出力データ)の各フレームを「1A」,「2A」,「3A」,…、と示し、幹線系第2送信部から出力されるデータ(第2出力データ)の各フレームを「1B」,「2B」,「3B」,…と示す。
【0030】
図3において、第1及び第2出力データにおける先頭のフレーム「1A」およびフレーム「1B」が入力データのフレーム「1」よりも遅れているのは、送信装置1内における処理時間のためである。これらのフレーム「1A」及び「1B」は、それぞれネットワークに接続される伝送路19a及び19bを経由して伝送ネットワーク3に送出される。幹線系第1送信部14aと幹線系送信部14bとから出力した第1及び第2出力データの各フレームは、各々異なる経路を経由して、受信装置2の幹線系第1受信部21aと幹線系第2受信部21bとに到着する。図3に示す例では、幹線系第1受信部21aに到着したフレームの到着時刻よりも幹線系第2受信部21bに到着したフレームの到着時刻が時間Tds分だけ遅い(時間Tdsの時間差が発生している)。
【0031】
受信装置2は、第1出力データの各フレームと第2出力データの各フレームとを一旦バッファメモリ22に格納する。受信装置2のフレーム選択部23は、バッファメモリ22に一旦格納された第1出力データのフレームまたは第2出力データのフレームの一方を破棄し、他方を選択する。選択されたフレームは、フレーム変換部24へ供給される。フレーム変換部24は、フレーム選択部23が選択した各フレームからなるデータを支線からの出力データとして適切なフレーム形式に変換する。支線系送信部25は、フレーム変換部24により変換されたデータを支線へ出力する。図3に示す例では、幹線系第2受信部21bが受信する第2出力データの各フレームを選択している状態を示している。
【0032】
図3に示すような条件でのデータ伝送において障害が発生した場合を説明する。図4は、送信装置1が出力した第2データの一部のフレームがネットワーク上の障害により受信装置2へ到達しない場合を示す。すなわち、図4では、第2出力データはフレーム2Bが受信装置2で受信された後、フレーム3B以降の各フレームが受信装置2で受信できない状態を示している。この様な場合、受信装置2のフレーム選択部23は、幹線系第1受信部21aで受信した各フレーム「3A」、「4A」、…を選択する。
【0033】
ただし、図4に示すように、2つの各受信フレームの到着時刻に時間差(遅延時間)がある場合、受信装置2は、バッファメモリ22により少なくとも受信する時間差分(遅延時間分)だけ先に受信する各フレームを保持する必要がある。これは、遅延時間の間に受信される各フレームを補償することをできるようにするためである。従って、受信装置2のバッファメモリ22は、送信装置1から異なる複数の経路で伝送される複数のデータの遅延時間を考慮した容量を予め準備する必要がある。
【0034】
さらに、受信装置2は、送信相手毎に遅延時間を考慮したサイズ(容量)のバッファメモリ22の記憶領域を確保することが必要となる。すなわち、1つの受信装置に対して送信装置が多数である場合(多対1の通信の場合)、受信装置2は、送信相手が増加するに従ってバッファメモリのサイズを大きくしなければならない。
【0035】
次に、送信装置1が受信装置2までの伝送時間差(遅延時間)を考慮した時間差で第1及び第2出力データを出力する場合について説明する。
図5は、送信装置1が伝送時間差(遅延時間)を考慮した時間差で第1及び第2出力データを出力する場合について説明するための図である。図6は、第2出力データの一部のフレームに通信障害が発生した場合の状態を示す図である。
【0036】
図3および図4に示すように、送信装置1が同じタイミングで出力した2つのデータは、伝送経路が異なれば、受信装置2で受信されるタイミングに伝送経路に応じた時間差(遅延時間)Tdsが生じる。図5に示す例では、前述の遅延時間差Tdsに相当する時間(遅延時間、送信時間差)Tds1を遅延設定部16が送信タイミング生成部17に設定する。
【0037】
すなわち、遅延設定部16は、遅延データテーブル18を参照して受信装置2への2つの伝送経路による遅延時間差Tdsに相当する遅延時間(送信時間差)Tds1を決定し、その遅延時間Tds1を送信タイミング生成部17に設定する。送信タイミング生成部17は、遅延設定部16により設定された時間Tds1を元に、バッファメモリ15を制御して幹線系第1送信部14aと幹線系第2送信部14bとから送信する第1出力データと第2出力データとを時間Tds1分の差異をつけて送信させる(伝送時間が短い方のデータを遅延時間分だけ遅らせて送信する)。
【0038】
このようなタイミングで送信装置1からデータが送信されれば、受信装置2における幹線系第1受信部21aと幹線系第2受信部21bとは、第1出力データの各フレーム(「1A」、「2A」、「3A」、…)と第2出力データの各フレーム(「1B」、「2B」、「3B」、…)とを少ない時間差(ほぼ同時刻)で受信することが出来る。これにより、図6に示すように、第2出力データの一部のフレームが通信障害により受信できない場合であっても、受信装置2のバッファメモリ22は、たとえば、1フレーム分を保持する程度で、フレーム損失が発生せずにデータの選択が可能となる。つまり、送信装置1が異なる伝送経路による遅延時間を小さくするようなタイミングで2つのデータを送信することにより、受信装置2は、各フレームを補償するためにバッファメモリ22として必要な記憶容量を小さくすることができる。
【0039】
なお、図5及び図6に示す例では、経路差による遅延時間Tdsと同等な遅延時間(送信時間差)Tds1分、送信装置がデータを出力する時刻に差異をつけたが、必ずしもTds=Tds1でなくても良い。例えば、図7では、伝送するデータフレームが周期的に出力される場合を示している。この様な場合は、周期的に出力されるフレームが送出周期Ts以内に、受信装置2に着信する経路の異なる受信フレームの着信時刻差を収めるように、遅延時間Tds1を決定すればよい。たとえば、周期Tsから伝送するフレーム長の時間Tflを引いた値以下に収めれば、受信装置2のバッファメモリ22に必要なメモリ容量を最小にすることが出来る。
【0040】
また、遅延時間Tds1は、周期Ts以上にしても良い。この場合、バッファメモリ22に必要なメモリ容量はその分多く必要となる。送信装置1のバッファメモリ15のメモリ容量と、受信装置2のバッファメモリ22の容量とのバランスを考慮して、送信時間差Tds1を決定することも可能である。
【0041】
さらに、多対1の通信の場合、1つの受信装置は、経路による遅延時間分のデータフレームを保持するためのバッファメモリを各送信装置に分散することが可能となる。このため、受信装置2は、受信した2つのデータのフレームを保持するために消費するバッファメモリ22の容量を軽減することが出来る。
【0042】
たとえば、鉄道車両に設けられる車上伝送システムでは、1つの制御装置と複数の被制御装置とでデータ伝送を行う。1つの制御装置から複数の被制御装置との伝送を行う場合、制御装置が接続される伝送装置(或いは伝送機能を有する制御装置)は、複数の被制御装置が接続される伝送装置の数分、遅延時間の差分を吸収するためのバッファメモリの記憶領域を確保することが必要となる。このような車上伝送システムでは、2つの伝送経路による遅延時間分のデータフレームを保持するためのバッファメモリを各送信側の装置で確保すれば良く、受信側の装置は、バッファメモリを小さくすることが可能となる。
【0043】
上記のように、第1の実施形態の伝送システムは、異なる経路で受信装置へ伝送する複製した2つのデータの送信タイミングを、2つの経路における遅延時間差に相当する時間差で出力することにより、受信装置2のバッファメモリ22が必要となるメモリ容量を少なくすることができる。
【0044】
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、ネットワーク構成がリング型ネットワークである場合の伝送システムについて説明する。
図8は、リング形ネットワークを有する伝送システムの構成例を示す図である。
【0045】
図8に示す構成例において、伝送システムは、送信装置1と受信装置2とをリング型ネットワーク30を介して接続する。リング型ネットワークは、1つのマスターネットワーク伝送装置31と、複数のネットワーク伝送装置32(32A、32B、…、32C、…)とを伝送路33でリング型に接続している。なお、送信装置1および受信装置2の構成は、第1の実施形態で説明した図1又は図2に示す構成で良い。
【0046】
図8に示す構成例において、マスターネットワーク伝送装置31は、幹線系の伝送路19を介して送信装置1が接続され、ネットワーク伝送装置32Cは、幹線系の伝送路20を介して受信装置2に接続される。また、送信装置1には、幹線系の伝送路19を介してマスターネットワーク伝送装置31が接続されると共に、支線系の伝送路34を介して端末機器35Aが接続される。受信装置2には、幹線系の伝送路20を介してネットワーク伝送装置32が接続されると共に、支線系の伝送路36を介して端末機器35Bが接続される。
【0047】
図8に示すようなリング型ネットワーク伝送システムにおいて、マスターネットワーク伝送装置31は、伝送路33を時計回りに一周する仮想伝送路33aと伝送路33を反時計回りに一周する仮想伝送路33bとを構成する。各仮想伝送路33a、33bが無限ループで伝送路33を周回しないように、マスターネットワーク伝送装置31は、仮想伝送路33aに対する閉塞ポート31aと仮想伝送路33bに対する閉塞ポート31bとを有する。
【0048】
なお、図8に示すようなリング形ネットワーク伝送システムは、例えば、イーサネット(登録商標)を用いた場合、IEEE 802.1Qで規定されているmstp(multiple spanning tree protocol)などにより実現することが可能である。
【0049】
図9は、送信装置1に接続した端末機器35Aからリング型ネットワーク30を介して受信装置2に接続した端末機器35Bへデータを伝送する例を模式的に示す図である。図9は、2つの異なる経路として、仮想伝送路33aと仮想伝送路33bとを用いて送信装置1から受信装置2へデータを伝送する例を模式的に示している。図9に示す例において、送信装置1のフレーム複製部12は、支線系受信部11により端末機器35Aから受信したデータを複製する。送信装置1の第1フレーム変換部13aおよび第2フレーム変換部13bは、フレーム複製部12が複製した2つのデータに対して伝送経路として仮想伝送路33aと仮想伝送路33bとを経由する様に、データフレームの変換処理を行う。第1フレーム変換部13aは、フレーム複製部12が複製した2つのデータのうち一方のデータに対して伝送経路として仮想伝送路33aを設定し、第2フレーム変換部13bは、フレーム複製部12が複製した2つのデータのうち他方のデータに対して伝送経路として仮想伝送路33bを設定する。第1フレーム変換部13aにより生成されたデータフレームおよび第2フレーム変換部13により生成されたデータフレームは、バッファメモリ15に記憶される。
【0050】
図9に示す時計回りの仮想伝送路33aと反時計回りの仮想伝送路33bとでは、伝送距離、および、通過するネットワーク伝送装置の台数が異なる。このため、仮想伝送路33aによるデータ伝送と仮想伝送路33bによるデータ伝送とは、伝送に要する時間が異なる。仮想伝送路33aによるデータの伝送時間と仮想伝送路33bによるデータの伝送時間との時間差(遅延時間)は、遅延データテーブル18に記憶される。各送信装置1の遅延データテーブル18には、各受信装置2に対応づけて、第1仮想伝送路(第1伝送路)33aによる伝送時間と第2仮想伝送路(第2伝送路)33bによる伝送時間との時間差(遅延時間)を記憶する。
【0051】
遅延設定部16は、遅延データテーブル18を参照して、データの伝送先とする受信装置2に対する仮想伝送路33aによるデータ伝送と仮想伝送路33bによるデータ伝送との時間差(遅延時間)を特定する。遅延設定部16は、遅延データテーブル18を参照して特定した遅延時間を送信タイミング生成部17に設定する。送信タイミング生成部17は、バッファメモリ15に記憶した仮想伝送路33aを経由するデータと仮想伝送路33bを経由するデータとを、遅延設定部16により設定された遅延時間に基づくタイミングで、幹線系送信部14によりマスターネットワーク伝送装置31に送信させる。
【0052】
マスターネットワーク伝送装置31は、伝送経路として仮想伝送路33aが設定されたデータフレームを図9に示す時計回りの経路へ送出し、伝送経路として仮想伝送路33bが設定されたデータフレームを図9に示す反時計回りの経路へ送出する。仮想伝送路33aを経由するデータフレームは、ネットワーク伝送路32A、32Bおよび32Cを介して、受信装置2へ到達する。また、仮想伝送路33bを経由するデータフレームは、ネットワーク伝送路32Cを介して、受信装置2へ到達する。仮想伝送路33aを経由するデータフレームと仮想伝送路33bを経由するデータフレームとは、遅延時間に応じたタイミングで送出されている。このため、受信装置2は、仮想伝送路33aを経由するデータフレームと仮想伝送路33bを経由するデータフレームとをほぼ同時刻(たとえば、各フレームの送信周期が1周期(又は数周期)以内)に受信する。
【0053】
上記のような伝送制御によれば、リング型ネットワークを介したデータ伝送において、第1仮想伝送路33aによるデータ伝送と第2仮想伝送路33bによるデータ伝送とを遅延時間に応じた送信タイミングで送信でき、受信装置2が遅延時間が小さい(ほぼ同時刻)に2つの経路で伝送されてきたデータを受信することができる。この結果として、受信装置2は、データの伝送制御に必要なバッファメモリ22の容量を少なくすることができる。
【0054】
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、2つの異なるネットワークを介して送信装置1と受信装置2とが接続された伝送システムの構成例について説明する。
図10は、第3の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
図10に示す構成例において、伝送システムは、送信装置1と受信装置2とを第1のネットワークシステム41Aと第2のネットワークシステム41Bとを介して接続する。送信装置1と受信装置2とは、第1の実施形態で説明した送信装置1と受信装置2と同様な構成のもので実現できる。第1のネットワークシステム41Aおよび第2のネットワークシステム41Bは、異なる伝送ネットワークシステムであり、データ伝送に要する時間(伝送時間)が異なる。第1のネットワークシステム41Aおよび第2のネットワークシステム41Bは、物理的或は論理的に異なる伝送経路のネットワークシステムであっても良いし、通信プロトコルが異なるものであっても良い。
【0055】
たとえば、第1のネットワークシステム41Aがイーサネット(登録商標)による伝送ネットワークシステムであって、第2のネットワークシステム41BがRS−422とHDLC(high level data link control)を用いたシリアル通信による伝送ネットワークシステムであっても良い。その他、第1或は第2のネットワークシステムには、CAN(controller area network)、または、WLANなどを含んだその他の伝送ネットワークシステムであってもよい。
【0056】
第1のネットワークシステムおよび第2のネットワークシステムとして、上述したような種々の伝送ネットワークシステムのうち異なる2つのシステムを用いることにより、送信装置1から受信装置2へデータを伝送する伝送システム全体としては、ダイバシティー化(多様性)がなされる。このため、図10に示すように異なる2つのネットワークシステムを介してデータ伝送を行う伝送システムでは、信頼性の高いシステムを構築することが出来る。
【0057】
ただし、異なる伝送ネットワークシステム(第1のネットワークシステムおよび第2のネットワークシステム)では、データの伝送時間が異なる。このため、第1のネットワークシステムを介したデータ伝送と第2のネットワークシステムを介したデータ伝送との伝送時間差(遅延時間差)を小さくするために、第3の実施形態の伝送システムにおける送信装置1も、第1の実施形態で説明した送信装置1と同様に、2つのデータの送出タイミングを制御する。
【0058】
すなわち、第3の実施形態の伝送システムにおける送信装置1は、受信装置ごとに、第1のネットワークシステムを介したデータ伝送と第2のネットワークシステムを介したデータ伝送との伝送時間差(遅延時間)を遅延データテーブル18に記憶しておく。
【0059】
送信装置1は、遅延データテーブル18を参照して受信装置ごとの遅延時間を設定し、設定された遅延時間に基づいて受信装置2に着信する時刻がほぼ同時刻になるようなタイミングで第1および第2のネットワークシステムを経由する2つのデータをそれぞれ送出する。この結果として、第3の実施形態の受信装置2は、第1の実施形態の受信装置と同様に、バッファメモリ22の容量の消費を削減することが出来る。
【0060】
次に、第4の実施形態について説明する。
前述の第1乃至第3の実施形態では、送信装置1の遅延設定部16が設定する遅延時間は遅延データテーブル18に予め記憶しておく固定値としているが、ネットワークにおける伝送経路の変更が発生した場合には各経路での伝送時間が変更されるため、遅延時間も変更する必要がある。例えば、鉄道車両では、列車編成が複数併結および分離を繰り返す場合がある。このような鉄道車両内のネットワークでは、ネットワークの構成およびネットワークに接続される機器か変動するため、データフレームを伝送する経路および経由する伝送装置などが変動し、データの伝送時間および遅延時間が大きく変動する。
【0061】
このような鉄道車両内のネットワークでは、列車編成の併結或は分離のたびに遅延データテーブル18に保存する設定値(遅延時間)を変更するのは煩雑であり、設定を変更するための時間を確保するのも難しいため、現実的ではない。このため、第4の実施形態に係る伝送システムでは、受信装置が遅延時間を測定し、測定した遅延時間を送信装置へフィードバックするものである。
【0062】
図11は、第4の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
図11に示すように、第4の実施形態に係る送信装置51は、図1に示す送信装置1(或いは図2に示す送信装置1B)の構成に加えて、幹線系第3受信部56、および、受信フレーム処理部57を有する。また、受信装置42は、図1に示す受信装置2(或いは図2に示す受信装置2B)の構成に加えて、経路時間差測定部53、フレーム生成部54、および、幹線系第3送信部55を有する。
【0063】
経路時間差測定部53は、送信装置51から異なる経路を経由して受信した2つのデータの各フレームの着信時刻を計測し、異なる2つの経路によるデータの伝送時間の差(遅延時間)を計測する。また、経路時間差測定部53は、2つのデータの経路情報と2つのデータを構成する各フレームの着信順番とを取得する。フレーム生成部54は、経路時間差測定部53が計測した伝送時間差(遅延時間)と着信順番と経路情報とを示すデータを幹線送信用のデータフレームとして生成する。幹線系第3送信部55は、フレーム生成部54により生成された遅延時間を含むデータを送信装置51へ送信する。
【0064】
送信装置51では、幹線系第3受信部56により受信装置52からの遅延時間と着信順番と経路情報とを示すデータを受信する。送信装置51の受信フレーム処理部57は、幹線系第3受信部により受信した伝送時間差(遅延時間)と着信順番と経路情報とを示すデータにより遅延データテーブル18を更新する。すなわち、受信フレーム処理部57は、受信装置2に対応するデータとして、遅延時間、着信順番および経路情報を遅延データテーブル18に保存する。このような遅延データテーブル18を参照することにより、送信装置51の遅延設定部16は、受信装置52で測定した最新の遅延時間を設定できる。
【0065】
すなわち、第4の実施形態に係る伝送システムでは、データを伝送するネットワークの構成などの変化によってデータの伝送時間差(遅延時間)及びデータの伝送経路に変化があった場合、送信装置には、変化した遅延時間を示すデータを受信装置側からフィードバックできる。これにより、送信装置は、ネットワークの構成が変化しても、常に適切な遅延時間に基づくデータ送信のタイミングを生成することできる。この結果として、第4の実施形態に係る伝送システムでは、バッファメモリを過大に消費することがない運用を実現できる。
【0066】
なお、受信装置52は、送信装置51に対して、伝送時間差(遅延時間)と着信順番と経路情報とを、常に送っても良いし、間欠的(所定の間隔毎)に送信しても良いし、伝送ネットワークが変化したタイミングで送信するようにしても良い。また、遅延時間の測定は、送信装置51が計時する時刻に基づいて計測しても良いし、受信クロックのクロック数をカウントしても良いし、バッファメモリのアドレス情報を元に算出しても良い。
【0067】
上記のように、第4の実施形態に係る伝送システムでは、受信装置が送信装置から異なる経路で伝送されてきた2つのデータの伝送時間の差(遅延時間)を計測し、計測した遅延時間、着信順番及び経路情報を送信装置へフィードバックする。送信装置は、受信装置から通知される遅延時間に基づいて異なる経路で伝送する2つのデータを送出するタイミングを制御する。このような第4の実施形態に係る伝送システムによれば、実際に測定した2つの経路における遅延時間に基づいて、データ伝送のタイミングを制御することができ、この結果として、ネットワークの構成などが変動する場合であっても、受信装置が必要とするバッファメモリのメモリ容量を少なくすることができる。
【0068】
次に、第5の実施形態について説明する。
図12は、第5の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
図12に示す伝送システムは、中央装置63と複数の周辺装置64A、64B、64Cとがデータ伝送を行うシステムである。中央装置63は、複数の周辺装置64A、64B、64Cに対して一斉同報を行う。各周辺装置64A、64B、64Cは、中央装置63からの同報に対して中央装置63へ返信を行う。中央装置63は、支線を介して伝送中央装置61に接続する。各周辺装置64A、64B、64Cは、それぞれ伝送端末装置62A、62B、62Cに接続する。
【0069】
中央装置63と周辺装置64A、64B、64Cとの間のデータ伝送は、伝送中央装置61と伝送端末装置62A、62B、62Cとにより2つの異なる経路で2重通信を実施する。また、図12に示す構成例において、データを伝送するネットワークは、リング型ネットワーク30である。ネットワーク30は、図8に示すネットワークと同様に構成できる。すなわち、ネットワーク30は、マスターネットワーク伝送装置31、複数のネットワーク伝送装置32A、32B、32C、および、伝送路33を有する。伝送路33は、マスターネットワーク伝送装置31の第1閉塞ポート31aまでの時計周りの第1仮想伝送路33aと第2閉塞ポート31bまでの反時計周りの第2仮想伝送路33bとを構築する。送信装置としての伝送中央装置61と複数の受信装置としての伝送端末装置62A、62B、62Cとは、第1仮想伝送路33aと第2仮想伝送路33bとを2つの異なる伝送路として2重通信を行う。
【0070】
図13は、第5の実施形態に係る伝送中央装置61の構成例を示す図である。
図13に示す構成例では、伝送中央装置61は、支線系受信部71、フレーム複製部72、第1フレーム変換部73a、第2フレーム変換部73b、幹線系送信部74、幹線系受信部75、バッファメモリ76、フレーム選択部77、フレーム変換部78、支線系送信部79を有する。なお、図13においては、伝送中央装置61が各伝送端末装置62からの受信信号を選択するため、バッファメモリ76は、内部に伝送端末装置の数と同じ数のデータの記憶領域76a、76b、76c、…を有することを示し、フレーム選択部77は、内部に伝送端末装置の数と同じ数の処理機能77a、77b、77c、…を有することを示している。
【0071】
図14は、第5の実施形態に係る各伝送端末装置62(62A、62B、62C)の構成例を示す図である。
図14に示す構成例では、各伝送端末装置62は、幹線系受信部81、バッファメモリ82、フレーム選択部83、フレーム変換部84、支線系送信部85、支線系受信部91、フレーム複製部92、第1フレーム変換部93a、第2フレーム変換部93b、バッファメモリ94、遅延設定部96、送信タイミング生成部97、幹線系送信部95、および、遅延データテーブル98を有する。
【0072】
次に、第5の実施形態に係る伝送システムにおける中央装置63から各周辺装置64へのデータの伝送手順について説明する。
伝送中央装置61は、中央装置63から取得したデータを複数の周辺装置64(64A、64B、64C、…)へ同報送信によるデータ伝送を行う。伝送中央装置61は、中央装置63から各周辺装置64へ同報送信すべきデータを支線系受信部71により受信する。フレーム複製部72は、各周辺装置64へ伝送すべきデータを複製する。第1フレーム変換部73aは、複製したデータのうち一方のデータに伝送路33を時計回りに伝送する第1仮想伝送路33aを示す経路情報を付加した第1出力データに変換する。第2フレーム変換部73bは、複製したデータのうち他方のデータに伝送路33を時計回りに伝送する第1仮想伝送路33aを示す経路情報を付加した第2出力データに変換する。
【0073】
幹線系送信部74は、第1出力データおよび第2出力データをそれぞれマスターネットワーク伝送装置31へ送信する。これにより、マスターネットワーク伝送装置31は、伝送路33を時計回りに1周する第1仮想伝送路33aにより第1出力データを伝送させ、伝送路33を反時計回りに1周する第2仮想伝送路33bにより第2出力データを伝送させる。第1出力データおよび第2出力データは、それぞれ第1仮想伝送路33aおよび第2仮想伝送路33bにより各伝送端末装置62の幹線系受信部81に到着する。
【0074】
各伝送端末装置62は、幹線系受信部81が第1仮想伝送路33aにより受信した第1出力データの各フレームと第2仮想伝送路33bにより受信した第2出力データの各フレームをそれぞれバッファメモリ82に記憶する。バッファメモリ82は、少なくとも第1出力データの各フレームと第2出力データの各フレームとを遅延時間分に相当するフレーム数分を記憶するメモリ容量を有する。フレーム選択部83は、バッファメモリ82に記憶した第1出力データの各フレームあるいは第2出力データの各フレームの何れかのフレームを選択する。フレーム変換部84は、フレーム選択部83が選択したフレームからなる出力データを周辺装置64への送信用のデータに変換する。支線系送信部85は、フレーム変換部84により周辺装置への送信用のデータに変換されたデータフレームを周辺装置64に送信する。
【0075】
次に、第5の実施形態に係る伝送システムにおける周辺装置64から中央装置63への返信データの伝送手順について説明する。
周辺装置64は、中央装置63から同報送信されたデータを受信した場合、中央装置63に対して返信を行う。周辺装置64は、伝送端末装置62に対して返信データを送信する。伝送端末装置62は、支線系受信部91により周辺装置64からの返信データを受信する。フレーム複製部92は、異なる2つの経路で中央装置63へ返信データを伝送するため、返信データを複製する。第1フレーム変換部93aは、複製したうちの一方の返信データに第1仮想伝送路33aを示す経路情報を付加した第1返信データフレームに変換する。第2フレーム変換部93b、複製したうちの他方の返信データを第2仮想伝送路33bを示す経路情報を付加した第2返信データフレームに変換する。第1フレーム変換部93aおよび第2フレーム変換部93bは、第1返信データフレームと第2返信データフレームとをバッファメモリ94に記憶する。
【0076】
遅延設定部96は、遅延データテーブル98を参照して、送信装置として伝送中央装置61に対する第1仮想伝送路33aによるデータ伝送時間と第2仮想伝送路33bによるデータ伝送時間との差(遅延時間)を送信タイミング生成部97に設定する。送信タイミング生成部97は、遅延設定部96により設定された遅延時間に基づいて第1返信データフレームを送出するタイミングと第2返信データフレームを送出するタイミングとを生成する。幹線系送信部95は、送信タイミング生成部97により生成されたタイミングで第1返信データと第2返信データとをネットワーク30に接続されたネットワーク伝送装置32へ出力する。各ネットワーク伝送装置32は、付加されている経路情報に基づいて、第1返信データを仮想伝送路33aにより伝送させ、第2返信データを仮想伝送路33bにより伝送させる。
【0077】
第1返信データは、マスターネットワーク伝送装置31に至るまで、第1仮想伝送路33aの順番で各ネットワーク伝送装置32を介して転送される。第2返信データは、マスターネットワーク伝送装置31に至るまで、第2仮想伝送路33bの順番で各ネットワーク伝送装置32を介して転送される。マスターネットワーク伝送装置31は、第1仮想伝送路33aにより第1返信データを受信するとともに、第2仮想伝送路33bにより第2返信データを受信する。マスターネットワーク伝送装置31は、受信した第1返信データと第2返信データとを伝送中央装置61へ供給する。
【0078】
伝送中央装置61は、幹線系受信部75により第1返信データおよび第2返信データをそれぞれ受信する。幹線系受信部75により受信した第1返信データと第2返信データとは、バッファメモリ76に記憶される。ここで、伝送中央装置61のバッファメモリ76は、伝送端末装置毎に第1返信データ及び第2返信データの記憶領域76a、76b、…が確保される。また、フレーム選択部77は、伝送端末装置毎に設けられた各記憶領域に対応する複数の処理部(フレーム選択部)77a、77b、…を有する。各フレーム選択部77a、77b、…は、バッファメモリの各記憶領域に記憶される第1返信データの各フレームと第2返信データの各フレームとから何れかのフレームを選択し、1つの返信データとしてフレーム変換部78へ出力する。フレーム変換部78は、フレーム選択部77で選択されるフレームで構成される返信データを中央装置63への送信用のフレームに変換する。支線系送信部79は、フレーム変換部78により変換された送信用のフレームを中央装置63へ送信する。これにより、中央装置では、複数の周辺装置へ同報送信したデータに対する各周辺装置からの受信確認を得ることができる。
【0079】
上述したように、第5の実施形態に係る伝送システムでは、伝送中央装置が複数の伝送端末装置へ送信したデータに対する返信データを複製し、複製した2つの返信データを各伝送端末装置が送信装置までの2つの経路による遅延時間を小さくするタイミングでそれぞれ送信する。これにより、伝送中央装置は、各伝送端末装置から2つの経路で伝送される2つのデータの各フレームを少ない遅延時間で受信でき、各伝送端末装置に対応して設けるべきバッファメモリの記憶領域を少なくすることが可能となる。この結果として、伝送中央装置61は、各伝送端末装置からのデータ受信用に設けるべきバッファメモリの容量を小さくすることが出来る。
【0080】
次に、第5の実施形態に係る伝送中央装置および伝送端末装置の第2の構成例について説明する。
図15は、図12に示す伝送中央装置61として適用可能な伝送中央装置の第2の構成例を示す図である。図16は、図12に示す伝送端末装置62として適用可能な伝送端末装置62の第2の構成例を示す図である。
図15に示す第2の構成例の伝送中央装置101は、図13に示す伝送中央装置61の構成に、経路時間差測定部103とフレーム生成部104とを追加した構成となっている。また、図16に示す第2の構成例の伝送端末装置102は、図14に示す伝送端末装置62の構成に、受信フレーム処理部105を追加した構成となっている。
【0081】
経路時間差測定部103は、伝送端末装置102から伝送中央装置101への第1仮想伝送路33aによるデータ伝送時間と第2仮想伝送路33bによるデータ伝送時間との差(遅延時間)を計測する。フレーム生成部104は、測定した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータを送信用のデータとして生成する。フレーム生成部104により生成されたデータは、出力データとして、フレーム複製部72、第1フレーム変換部73a、第2フレーム変換部73bおよび幹線系送信部74により2重化され、第1及び第2仮想伝送路33a、33bにより伝送端末装置102へ伝送される。
【0082】
伝送端末装置102は、幹線系受信部81、バッファメモリ82、フレーム選択部83およびフレーム変換部84により経路時間差測定部103が測定した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータを受信する。伝送端末装置102の受信フレーム処理部105は、受信した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータにより遅延データテーブル98を更新する。
【0083】
この様な構成により、伝送中央装置101は、各伝送端末装置102に対して第1仮想伝送路33aによるデータ伝送と第2仮想伝送路33bによるデータ伝送との時間差(遅延時間)を適宜通知することができ、伝送端末装置102は、伝送中央装置101で測定した遅延時間を設定することができる。この結果として、伝送システム全体としては、ネットワークの構成が変更されて遅延時間が変化しても、伝送中央装置101に各伝送端末装置102から2つの経路で着信するデータの到着時刻差を小さくする(ほぼ同じにする)ことができ、伝送中央装置101におけるバッファメモリ76の消費量を軽減することが出来る。
【0084】
次に、第5の実施形態に係る伝送端末装置の第3の構成例について説明する。
また、伝送中央装置と各伝送端末装置との送受信の経路が同じであれば、伝送経路の差異による遅延時間の差は、相手側(送信側となる伝送中央装置)での計測する方法の他に、受信側(受信側となる伝送端末装置)で計測することも可能である。たとえば、リング型のネットワークでは、時計周りの仮想伝送路による伝送中央装置と各伝送端末装置との送受信の経路は同じであり、反時計周りの仮想伝送路による送受信の経路は同じである。このような場合、伝送端末装置が伝送中央装置から第1仮想伝送路で受信するデータと第2仮想伝送路で受信するデータの到着時間の差は、当該伝送端末装置から伝送中央装置へ第1仮想伝送路で送信するデータと第2仮想伝送路で送信するデータとの時間差(遅延時間)とほぼ同等となる。
【0085】
図17は、図12に示す伝送端末装置62として適用可能な伝送端末装置の第3の構成例を示す図である。図17に示す第3の構成例の伝送端末装置112は、図14に示す伝送端末装置62の構成に、経路時間差測定部113を追加した構成となっている。経路時間差測定部113は、伝送中央装置61から2つの経路で伝送された各フレーム(第1仮想伝送路33aから受信したデータの各フレームと第2仮想伝送路33bから受信したデータの各フレーム)の時刻差により遅延時間を測定する。経路時間差測定部113は、測定した遅延時間と着信順番と経路情報とにより遅延データテーブル98を更新する。遅延設定部96は、経路時間差測定部113により更新される遅延データテーブル98を参照することにより、現在の伝送状況に応じた遅延時間を送信タイミング生成部97に設定できる。この結果として、伝送システムとしては、ネットワークの構成が変更されて遅延時間が変化しても、伝送中央装置61に各伝送端末装置112から2つの経路で伝送される2つのデータの到着時刻差(遅延時間)を小さくする(ほぼ同じにする)ことができ、伝送中央装置61におけるバッファメモリ76の消費量を軽減することが出来る。
【0086】
次に、第5の実施形態に係る伝送システムの適用例について説明する。
第5の実施形態に係る伝送システムは、中央装置63から複数の周辺装置64へデータを送信し、この返信として複数の周辺装置64から中央装置63へ返信データを送信するというデータ伝送を行う。このようなデータ送信を伝送システムは、中央装置63を制御中央装置とし、複数の周辺装置64を被制御機器という場合、あるいは、中央装置63を中央収集装置とし、複数の周辺装置64を被モニタ機器という場合などに用いることが出来る。例えば、鉄道車両内に設けられる車上伝送システムとしては、中央装置63を運行制御装置とし、複数の周辺装置64をモーター駆動用インバータあるいはブレーキ等に適用することができる。このような車上伝送システムは、各周辺装置64からの返信データが単なる生存応答だけでなく、現在の状態を示すデータを含む返信データとするようなシステムにも適用が可能である。
【0087】
また、複数の周辺装置がモニタ機器である場合、第5の実施形態の伝送システムは、中央装置からのポーリング(出力データ)を必要とせずに、各モニタ機器から中央装置への一方向の通信を行うシステムにも適用しても良い。つまり、多対1の片方向のデータ伝送を行うシステムにも、第5の実施形態の伝送システムを応用できる。
【0088】
図18は、図12に示す伝送中央装置61として適用可能な伝送中央装置の第4の構成例を示す図である。また、図19は、図12に示す伝送端末装置62として適用可能な伝送端末装置の第4の構成例を示す図である。
図18に示す第4の構成例の伝送中央装置131は、図13に示す構成から支線系受信部71、フレーム複製部72、第1フレーム変換部73a、第2フレーム変換部73b、および、幹線系送信部74を省略した構成を有する。また、図19に示す第4の構成例の伝送端末装置132は、図14に示す伝送端末装置62の構成から幹線系受信部81、バッファメモリ82、フレーム選択部83、フレーム変換部84、および、支線系送信部85を省略した構成を有する。
【0089】
すなわち、伝送中央装置131は、ネットワークを介した伝送端末装置132へのデータ送信機能を省略し、伝送端末装置132からのデータ受信専用の構成となっている。また、伝送端末装置132は、ネットワークを介した伝送中央装置131からデータ受信機能を削除して、伝送中央装置131へのデータ送信専用の構成となっている。このような構成の伝送システムであっても、各伝送端末装置132は、2つの異なる経路で伝送する2つのデータを伝送中央装置131における着信の遅延時間を小さくするようなタイミングでそれぞれを送出できる。これにより、伝送中央装置131は、各伝送端末装置132用に確保するバッファメモリの容量を小さくすることができ、伝送中央装置131におけるバッファメモリの容量を小さくすることが出来る。
【0090】
図20は、図12に示す伝送中央装置61として適用可能な伝送中央装置の第5の構成例を示す図である。また、図21は、図12に示す伝送端末装置62として適用可能な伝送端末装置の第5の構成例を示す図である。
図20に示す第5の構成例の伝送中央装置141は、図18に示す第4の構成例の伝送中央装置131の構成に、経路時間差測定部143、フレーム生成部144、および、幹線系送信部145を追加した構成となっている。また、図21に示す第5の構成例の伝送端末装置142は、図19に示す第4の構成例の伝送端末装置132の構成に、幹線系受信部146、および、受信フレーム処理部147を追加した構成となっている。
【0091】
伝送中央装置141において、経路時間差測定部143は、図15に示す経路時間差測定部103と同様に各伝送端末装置142から伝送中央装置141までの2つの経路によるデータ伝送の時間差(遅延時間)を測定する。フレーム生成部144は、図15に示すフレーム生成部104と同様に経路時間差測定部143が測定した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータフレームを生成する。
【0092】
幹線系送信部145は、フレーム生成部144が生成した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータフレームを伝送端末装置142へ送信する。なお、図20に示す例では、遅延時間と到着順番と経路情報とを示す1つのデータフレームを伝送端末装置142へ送信する構成となっているが、図15と同様に、フレーム生成部144が生成したデータを複製して2つの異なる経路で伝送端末装置142へ送信するようにしても良い。
【0093】
また、伝送端末装置142において、幹線系受信部146は、伝送中央装置141の幹線系送信部145が送信した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータフレームを受信する。受信フレーム処理部147は、幹線系受信部146が受信したデータに含まれる遅延時間と到着順番と経路情報とにより遅延データテーブル98を更新する。これにより、伝送端末装置142の遅延データテーブル98は、伝送中央装置141で測定した遅延時間により更新できる。
【0094】
上記のように、第5の構成例の伝送端末装置142では、ネットワーク構成の変化により遅延時間が変化する場合であっても、伝送中央装置141へ異なる2つの経路で伝送させる2つのデータを送信するタイミングをネットワーク構成に応じた最新の遅延時間によって制御することが可能となる。この結果として、伝送中央装置141は、各伝送端末装置142用に確保するバッファメモリを少なくすることができ、メモリ容量の小さいバッファメモリで伝送システムを実現できる。
【0095】
なお、上述した第5の実施形態の作用及び効果はリング形のネットワークシステムだけに限定される物では無い。すなわち、第5の実施形態は、2重化したデータの伝送経路を異にすることによる遅延時間の差が発生する伝送ネットワークシステムにも同様に適用でき、同様な効果を得ることが可能である。また、上述した第5の実施形態では、伝送中央装置と中央装置、および、伝送端末装置と周辺装置を別々の機器として説明したが、これらを同一の装置で構成しても良い。
【0096】
以上説明した各実施形態によれば、異なる経路で複数のデータを伝送する送信装置側が各経路に応じて各データの送信タイミングを制御することにより、異なる経路で伝送される各データが受信装置側に到達するまでの伝送時間差としての遅延時間を小さくすることができ、各データの伝送時間差(遅延時間)の差異を吸収するために必要なバッファメモリの容量を小さくすることができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1、1B…送信装置、2、2B…受信装置、3…ネットワーク、11…支線系受信部、12…フレーム複製部、13a…第1フレーム変換部、13b…第2フレーム変換部、14a…幹線系第1送信部、14b…幹線系第2送信部、14B…幹線系送信部、15…バッファメモリ、16…遅延設定部、17…送信タイミング生成部、18…遅延データテーブル、21a…幹線系第1受信部、21b…幹線系第2受信部、21B…幹線系受信部、22…バッファメモリ、23…フレーム選択部、24…フレーム変換部、25…支線系送信部、31…マスターネットワーク伝送装置、31a、31b…閉塞ポート、32(32A、32B、32C)…ネットワーク伝送装置、33a…第1仮想伝送路、33b…第2仮想伝送路、35A、35B…端末機器、41A…第1のネットワークシステム、41B…第2のネットワークシステム、42…受信装置、51…送信装置、52…受信装置、53…経路時間差測定部、54…フレーム生成部、55…幹線系第3送信部、56…幹線系第3受信部、57…受信フレーム処理部、61、101、131、141…伝送中央装置、62(62A、62B、62C)、102、112、132、142…伝送端末装置、63…中央装置、64(64A、64B、64C)…周辺装置、71…支線系受信部、73a…第1フレーム変換部、73b…第2フレーム変換部、74…幹線系送信部、75…幹線系受信部、76…バッファメモリ、77…フレーム選択部、78…フレーム変換部、79…支線系送信部、81…幹線系受信部、82…バッファメモリ、83…フレーム選択部、84…フレーム変換部、85…支線系送信部、91…支線系受信部、93a…第1フレーム変換部、93b…第2フレーム変換部、94…バッファメモリ、95…幹線系送信部、96…遅延設定部、97…送信タイミング生成部、98…遅延データテーブル、103、113、143…経路時間差測定部、104、144…フレーム生成部、105、147…受信フレーム処理部、145…幹線系送信部、146…幹線系受信部。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データの伝送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
伝送システムには、送信装置が複数の同じデータを異なる複数の経路で別々に伝送し、受信装置が受信したデータのうち1つを選択するものがある。このような伝送システムは、高い信頼性が要求される重要データのデータ伝送を行うシステムに適用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】IEEE802.3Q
【非特許文献2】ITU−T G.841
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態では、信頼性の高いデータ伝送を効率良く行える送信装置および伝送システムを提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、ネットワークを介して受信装置へデータを伝送する送信装置は、遅延設定部と、送信タイミング生成部と、幹線系送信部とを有する。遅延設定部は、受信装置への第1の経路によるデータの伝送時間と受信装置への第1の経路とは異なる第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を遅延時間として設定する。送信タイミング生成部は、遅延設定部により設定された遅延時間に基づいて第1の経路を示す経路情報が付加された第1データフレームを出力するタイミングと第2の経路を示す経路情報を付加された第2データフレームを出力するタイミングとを生成する。幹線系送信部は、送信タイミング生成部により生成されたタイミングで第1データフレームと第2データフレームとをそれぞれ出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る伝送システムの変形例である。
【図3】送信装置から同じタイミングで出力された2つのデータが異なる経路で受信装置に伝送される場合のタイミングチャートを示す図である。
【図4】送信装置から同じタイミングで出力された2つのデータのうち一方のデータの伝送に障害が発生した場合のタイミングチャートを示す図である。
【図5】送信装置から異なるタイミングで出力された2つのデータが異なる経路で受信装置に伝送される場合のタイミングチャートを示す図である。
【図6】送信装置から異なるタイミングで出力された2つのデータのうち一方のデータの伝送に障害が発生した場合のタイミングチャートを示す図である。
【図7】データフレームが周期的に出力される場合のタイミングチャートを示す図である。
【図8】第2の実施形態に係るリング形ネットワークを有する伝送システムの構成例を示す図である。
【図9】リング型ネットワークにおいて第1仮想伝送路により伝送されるデータと第2仮想伝送路により伝送されるデータとの例を模式的に示す図である。
【図10】第3の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図11】第4の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図12】第5の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
【図13】第5の実施形態に係る伝送中央装置の構成例を示す図である。
【図14】第5の実施形態に係る伝送端末装置の構成例を示す図である。
【図15】第5の実施形態に係る伝送中央装置の第2の構成例を示す図である。
【図16】第5の実施形態に係る伝送端末装置の第2の構成例を示す図である。
【図17】第5の実施形態に係る伝送端末装置の第3の構成例を示す図である。
【図18】第5の実施形態に係る伝送中央装置の第4の構成例を示す図である。
【図19】第5の実施形態に係る伝送端末装置の第4の構成例を示す図である。
【図20】第5の実施形態に係る伝送中央装置の第5の構成例を示す図である。
【図21】第5の実施形態に係る伝送端末装置の第5の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
以下の各実施形態で説明する伝送システムは、高い信頼性が要求される重要なデータのデータ伝送を行うシステムに適用される。たとえば、各実施形態で説明する伝送システムは、鉄道車両内に設けられるデータの伝送システム(車上伝送システム)に適用される。鉄道車両には、モーター或いはブレーキなどの制御系の機器、機器の状態を監視するモニタ系の機器、および、乗車者に対するサービスを行うための機器などのさまざまな機器が搭載されている。たとえば、車両において、車両を動かしたり、止めたりするのに必要な制御指令(制御データ)は、確実に定期的にモーターやブレーキなどの制御対象となる機器に送る必要がある。車両の運行に係る制御指令(制御データ)は、安全に関る重要なデータである。このため、一部の伝送装置が故障したり、伝送路の一部に異常が発生したりしても、常に確実に制御データが制御対象まで伝送できる伝送システムであることが要求される。
【0008】
また、鉄道車両においては、機器に異常が発生した場合、異常発生時の前後の時刻における機器の状態を知ることが原因究明に重要な情報となる。このため、車両内の伝送システムは、これらの情報も定期的に収集(伝送)する必要がある。定期的なデータ伝送の周期は、たとえば、100〜200ms程度の周期であったり、10〜50ms程度の周期であったりするものが想定される。このような伝送システムでは、ネットワーク内における一部の伝送装置の故障あるいは伝送路の一部の異常が発生した場合であっても、データ伝送を保証し、かつ、速やかにデータ伝送を復旧する仕組みが必要である。
【0009】
上述した車上伝送システムのように、重要なデータを伝送する伝送システムには、送信側では複製したデータを異なる2つの経路で伝送し、受信側では2つの経路で伝送されてきたデータをそれぞれ受信するものがある。この種の伝送システムでは、送信側が異なる複数の経路で同じデータを伝送し、受信側が受信したデータのうち1つのデータを選択し、他のデータを破棄することにより、信頼性の高いデータ伝送を実現できる。このようなデータ伝送方法は、たとえば、SONET/SDH等で採用されているリングネットワーク伝送装置における、UPSR(Unidirectional Path Switched Rings)等の方法がある。
【0010】
ただし、一般には、データ伝送において、伝送経路毎にデータの伝送時間が異なる。異なる経路で伝送されてくる2つのデータのうち確実に受信できた1つのデータを選択するため、伝送システムにおける各受信装置は、伝送経路毎の伝送時間の差分(遅延時間)を吸収できる様なバッファメモリが必要である。これは、一方の経路から受信するデータと他方の経路から受信するデータとが両方とも受信できたか、それとも片一方からしか受信できていないかを判断するには、同じデータの受信の有無を受信側で判断する必要があるためである。
【0011】
たとえば、リング形のネットワークの場合、時計回り方向と反時計回り方向とにより2つの異なる経路が設定可能である。リング型のネットワークでは、たとえば、隣接する送信装置と受信装置との間の伝送については、時計回り方向と反時計回り方向で大きく伝送時間が異なる。これは、伝送する伝送距離と伝送経路においてデータを転送するためのネットワーク伝送装置の数とが異なるためである。このような2つの経路によるデータ伝送時間の差(遅延時間)を考慮しつつ受信データの有無を判断するためには、遅延時間の差分を吸収するための十分な記憶容量を有するバッファメモリを受信装置に設ける必要がある。また、バッファメモリは、送信する相手先(全ての受信装置)毎に設ける必要がある。このため、相手先(受信装置)の数が増加すると、伝送システム全体としては、バッファメモリの容量を大きく消費する。
【0012】
以下に説明する実施形態の伝送システムでは、複製した2つのデータを異なる経路で伝送する場合、送信装置は、一方のデータが受信装置に伝送されるまでに要する第1時間と他方のデータが受信装置に伝送されるまでに要する第2時間との時間差(遅延時間)が小さくなるタイミングで2つのデータを出力する。2つのデータを受信するタイミングの差が小さければ小さいほど、受信装置2は、バッファメモリの容量が小さいもので良くなる。この結果として、伝送システム全体としては、保守などのコストをおさえることができ、信頼性の高いデータ伝送を効率良く行える。
【0013】
次に、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
図1に示す構成例では、伝送システムは、送信装置1、受信装置2、および、ネットワーク3を有する。送信装置1は、支線を介して端末装置から情報を受信したり、幹線及びネットワークを介して受信装置2へ情報を送信したりする。たとえば、当該伝送システムが鉄道車両に搭載される車上伝送システムである場合、送信装置1は、車上伝送装置として機能する。ネットワーク3は、データ伝送用の通信網である。ネットワーク3は、送信装置1から受信装置2までの伝送路として、異なる2つの伝送路を確保できるものであれば良い。2つの経路は、1つのネットワーク内の異なる経路であっても良いし、異なるネットワークを経由する経路であっても良い。たとえば、ネットワーク3は、リング型のネットワークであっても良いし、複数のネットワークを含むものであっても良い。すなわち、送信装置1は、複製したデータを異なる2つの経路で受信装置2へ伝送する。
【0014】
図1に示すように、送信装置1は、支線系受信部11、フレーム複製部12、第1フレーム変換部13a、第2フレーム変換部13b、幹線系第1送信部14a、幹線系第2送信部14b、バッファメモリ15、遅延設定部16、および、送信タイミング生成部17を有する。また、図1に示すように、受信装置2は、幹線系第1受信部21、幹線系第2受信部21、バッファメモリ22、フレーム選択部23、フレーム変換部24、および、支線系送信部25を有する。なお、送信装置1と受信装置2とは、同等の機能を有するものであっても良い。すなわち、送信装置1が受信装置2と同様なデータ受信機能を有していても良いし、受信装置2が送信装置1と同様なデータの送信機能を有していても良い。
【0015】
支線系受信部11は、受信装置2へ伝送すべきデータを入力するためのデータ受信手段である。支線系受信部11は、たとえば、支線を介して端末装置に接続される。フレーム複製部12は、支線系受信部11により受信したデータ(受信装置2へ伝送すべきデータ)を2つの異なる経路で伝送する2つのデータフレームにする。第1フレーム変換部13aおよび第2フレーム変換部13bは、受信装置2へ伝送すべきデータフレームに経路情報を付加する。第1フレーム変換部13aおよび第2フレーム変換部13bは、フレーム複製部12により複製された2つのデータフレームに、それぞれ異なる経路情報を付加する。
【0016】
図1に示す構成例では、第1フレーム変換部13aは、伝送路19aから出力され、ネットワーク3内を経由して伝送路20aより受信装置2に入力するような経路情報を付加した第1データフレームを生成する。第2フレーム変換部13bは、伝送路19bから出力され、ネットワーク3を経由して伝送路20bより受信装置2に入力されるような経路情報を付加した第2データフレームを生成する。
【0017】
バッファメモリ15は、第1フレーム変換部13aが経路情報を付加した第1データフレーム、および、第2フレーム変換部13bが経路情報を付加した第2データフレームをそれぞれ記憶する。バッファメモリ15に記憶された第1データフレーム及び第2データフレームは、送信タイミング生成部17により生成されたタイミングで幹線系第1送信部14aおよび幹線系第2送信部14bから出力される。
【0018】
遅延設定部16は、バッファメモリ15に記憶された送信用のデータフレームを出力するタイミングを設定する。遅延設定部16は、受信装置2が第1データフレームと第2データフレームとがほぼ同じタイミングで受信できるように、遅延データテーブル18を参照して第1データフレームと第2データフレームとの送信タイミングを設定する。たとえば、遅延データテーブル18には、第1データフレームが送信装置1から受信装置2へ伝送されるまでの第1の伝送時間と第2データフレームが送信装置1から受信装置2へ伝送されるまでの第2の伝送時間との時間差(遅延時間)を示す情報が記憶される。また、データの伝送先(つまり、受信装置)が複数存在する場合、遅延データテーブル18は、各受信装置2について、2つの経路によるデータの伝送時間の差(遅延時間)を記憶する。
【0019】
送信タイミング生成部17は、遅延設定部16による設定される遅延時間に従ってバッファメモリ15に記憶した第1データフレームを幹線系第1送信部14aにより送信するタイミングと第2データフレームを幹線系第2送信部14bにより送信するタイミングとを生成する。幹線系第1送信部14aは、送信タイミング生成部17により生成された送信タイミングで、第1フレーム変換部13aにより経路情報が付加された第1データフレームをバッファメモリ15から伝送路19aへ出力する。幹線系第2送信部14bは、送信タイミング生成部17により生成された送信タイミングで、第2フレーム変換部13bにより第1データフレームとは異なる経路情報が付加された第2データフレームをバッファメモリ15から伝送路19bへ出力する。
【0020】
幹線系第1送信部14aが伝送路19aへ出力した第1データフレームと幹線系第2送信部14bが伝送路19bへ出力した第2データフレームとは、ネットワーク3内のネットワーク伝送装置による制御によってそれぞれの経路情報に従って受信装置2へ伝送される。図1に示す構成例では、第1データフレームは、ネットワーク3から伝送路20aを経由して受信装置2へ伝送される。第2データフレームは、ネットワーク3から伝送路20bを経由して受信装置2へ伝送される。
【0021】
また、図1に示す構成例において、受信装置2における幹線系第1受信部21aは、送信装置1の幹線系第1送信部14aからネットワーク3を介して伝送されてくる第1データフレームを受信する。受信装置2における幹線系第2受信部21bは、送信装置1の幹線系第2送信部14bから伝送された第2データフレームを受信する。バッファメモリ22は、幹線系第1受信部21aおよび幹線系第2受信部21bが受信した第1データフレームおよび第2データフレームをバッファリング(記憶)する。
【0022】
フレーム選択部23は、バッファメモリ22に記憶した第1データフレーム及び第2データフレームの何れかを選択する。フレーム選択部23は、フレームごとに第1データフレームあるいは第2データフレームの何れかを選択する。フレーム選択部23は、選択したフレームを順にフレーム変換部24へ出力することにより、受信した1つのデータフレームをフレーム変換部24に供給する。フレーム変換部24は、フレーム選択部23により選択された1つのデータフレームを支線に接続された装置へ出力するためのデータに変換する。支線系送信部25は、フレーム変換部24が生成したデータフレームを支線に接続された装置へ出力する。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る伝送システムの変形例である。図2に示す構成例の伝送システムにおいて、送信装置1Bは1つの幹線系送信部14Bを有し、受信装置2Bは1つの幹線系受信部21Bを有する。なお、図2に示す伝送システムは、送信装置1Bの幹線系送信部14Bおよび受信装置2Bの幹線系受信部21B以外の各構成は、図1に示すものと同様なもので実現できる。このため、図1と同様な構成で実現できる構成要件については、図1と同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0024】
図2に示す伝送システムも、図1に示す伝送システムと同様に、送信装置1Bが2つの異なる経路で複製した第1及び第2データフレームを受信装置2Bへ伝送する。図2に示す構成の伝送システムにおいて、送信装置1Bは、2つの異なる経路を設定するため、フレーム複製部12が複製した送信用のデータフレームに、第1フレーム変換部13aと第2フレーム変換部13bとがそれぞれ異なる経路情報をそれぞれ追記する。たとえば、イーサネット(登録商標)を伝送媒体に用いる場合、IEEE802.3Qで規定される仮想伝送路を示すタグ(vlanタグ)を第1及び第2フレーム変換部で付加することにより2つの経路を設定できる。
【0025】
第1フレーム変換部13aが生成した第1データフレームおよび第2フレーム変換部13bが生成した第2データフレームは、バッファメモリ15に記憶される。第1データフレームおよび第2データフレームは、送信タイミング生成部17により生成される送信タイミングで幹線系送信部14Bからネットワーク3へ送出される。送信タイミング生成部17は、遅延設定部16による設定される遅延時間に基づいて、先に伝送時間が長い方のデータフレームを出力してから遅延時間分だけ遅延させて、他方のデータフレームを出力する。
【0026】
1つの幹線系送信部14Bは、第1データフレーム及び第2データフレームを送信タイミング生成部17が生成したタイミングで1つの伝送路19へ送信する。ネットワーク3内の伝送装置は、第1データフレームおよび第2データフレームに付加された経路情報に従ってそれぞれを伝送する。これにより、異なる経路情報が付加された第1データフレームおよび第2データフレームは、それぞれ異なる経路で受信装置2Bへ伝送される。受信装置2Bの1つの幹線系受信部21Bは、ネットワーク3及び伝送路20を経由して伝送されてくる第1データフレーム及び第2データフレームを受信する。
【0027】
次に、第1の実施形態に係る伝送システムにおけるデータ伝送について説明する。
図3は、送信装置1が同じタイミングで出力した2つのデータが異なる経路で受信装置2に伝送される場合のタイミングチャートを示す図である。図4は、図3に示すタイミングで伝送した2つのデータのうち一方のデータの伝送に障害が発生した場合のタイミングチャートを示す図である。また、図5は、送信装置1が異なる伝送経路による伝送時間の差(遅延時間)を小さくするような異なるタイミングで2つのデータを受信装置2へ出力した場合のタイミングチャートを示す図である。図6は、図5に示すタイミングで伝送した2つのデータのうち一方のデータの伝送に障害が発生した場合のタイミングチャートを示す図である。
【0028】
なお、図3乃至6は、送信装置1及び受信装置2の各部におけるデータの流れを時間軸に従って模式的に表現したものである。図3乃至6は、左から右側にすすむに従って時刻が経過していることを示している。また、図3乃至6において、数字の記載してある各長方形は、各データフレームを示し、各データフレーム内の各数字は、データの順番を示している。
【0029】
図3に示す例において、支線系受信部11には、「1」、「2」、「3」、…の各データフレームが順番に入力される。フレーム複製部12は、「1」、「2」、「3」、…の順番に入力されたデータ(入力データ)を複製する。第1フレーム変換部13a、および、第2フレーム変換部13bは、複製された入力データをそれぞれ幹線の伝送に適したデータフレームに変換する。第1フレーム変換部および第2フレーム変換部により変換された2つのデータフレームは、バッファメモリ15を介して幹線系第1送信部14a、および、幹線系第2送信部14bにより出力される。図3に示す例では、幹線系第1送信部から出力されるデータ(第1出力データ)の各フレームを「1A」,「2A」,「3A」,…、と示し、幹線系第2送信部から出力されるデータ(第2出力データ)の各フレームを「1B」,「2B」,「3B」,…と示す。
【0030】
図3において、第1及び第2出力データにおける先頭のフレーム「1A」およびフレーム「1B」が入力データのフレーム「1」よりも遅れているのは、送信装置1内における処理時間のためである。これらのフレーム「1A」及び「1B」は、それぞれネットワークに接続される伝送路19a及び19bを経由して伝送ネットワーク3に送出される。幹線系第1送信部14aと幹線系送信部14bとから出力した第1及び第2出力データの各フレームは、各々異なる経路を経由して、受信装置2の幹線系第1受信部21aと幹線系第2受信部21bとに到着する。図3に示す例では、幹線系第1受信部21aに到着したフレームの到着時刻よりも幹線系第2受信部21bに到着したフレームの到着時刻が時間Tds分だけ遅い(時間Tdsの時間差が発生している)。
【0031】
受信装置2は、第1出力データの各フレームと第2出力データの各フレームとを一旦バッファメモリ22に格納する。受信装置2のフレーム選択部23は、バッファメモリ22に一旦格納された第1出力データのフレームまたは第2出力データのフレームの一方を破棄し、他方を選択する。選択されたフレームは、フレーム変換部24へ供給される。フレーム変換部24は、フレーム選択部23が選択した各フレームからなるデータを支線からの出力データとして適切なフレーム形式に変換する。支線系送信部25は、フレーム変換部24により変換されたデータを支線へ出力する。図3に示す例では、幹線系第2受信部21bが受信する第2出力データの各フレームを選択している状態を示している。
【0032】
図3に示すような条件でのデータ伝送において障害が発生した場合を説明する。図4は、送信装置1が出力した第2データの一部のフレームがネットワーク上の障害により受信装置2へ到達しない場合を示す。すなわち、図4では、第2出力データはフレーム2Bが受信装置2で受信された後、フレーム3B以降の各フレームが受信装置2で受信できない状態を示している。この様な場合、受信装置2のフレーム選択部23は、幹線系第1受信部21aで受信した各フレーム「3A」、「4A」、…を選択する。
【0033】
ただし、図4に示すように、2つの各受信フレームの到着時刻に時間差(遅延時間)がある場合、受信装置2は、バッファメモリ22により少なくとも受信する時間差分(遅延時間分)だけ先に受信する各フレームを保持する必要がある。これは、遅延時間の間に受信される各フレームを補償することをできるようにするためである。従って、受信装置2のバッファメモリ22は、送信装置1から異なる複数の経路で伝送される複数のデータの遅延時間を考慮した容量を予め準備する必要がある。
【0034】
さらに、受信装置2は、送信相手毎に遅延時間を考慮したサイズ(容量)のバッファメモリ22の記憶領域を確保することが必要となる。すなわち、1つの受信装置に対して送信装置が多数である場合(多対1の通信の場合)、受信装置2は、送信相手が増加するに従ってバッファメモリのサイズを大きくしなければならない。
【0035】
次に、送信装置1が受信装置2までの伝送時間差(遅延時間)を考慮した時間差で第1及び第2出力データを出力する場合について説明する。
図5は、送信装置1が伝送時間差(遅延時間)を考慮した時間差で第1及び第2出力データを出力する場合について説明するための図である。図6は、第2出力データの一部のフレームに通信障害が発生した場合の状態を示す図である。
【0036】
図3および図4に示すように、送信装置1が同じタイミングで出力した2つのデータは、伝送経路が異なれば、受信装置2で受信されるタイミングに伝送経路に応じた時間差(遅延時間)Tdsが生じる。図5に示す例では、前述の遅延時間差Tdsに相当する時間(遅延時間、送信時間差)Tds1を遅延設定部16が送信タイミング生成部17に設定する。
【0037】
すなわち、遅延設定部16は、遅延データテーブル18を参照して受信装置2への2つの伝送経路による遅延時間差Tdsに相当する遅延時間(送信時間差)Tds1を決定し、その遅延時間Tds1を送信タイミング生成部17に設定する。送信タイミング生成部17は、遅延設定部16により設定された時間Tds1を元に、バッファメモリ15を制御して幹線系第1送信部14aと幹線系第2送信部14bとから送信する第1出力データと第2出力データとを時間Tds1分の差異をつけて送信させる(伝送時間が短い方のデータを遅延時間分だけ遅らせて送信する)。
【0038】
このようなタイミングで送信装置1からデータが送信されれば、受信装置2における幹線系第1受信部21aと幹線系第2受信部21bとは、第1出力データの各フレーム(「1A」、「2A」、「3A」、…)と第2出力データの各フレーム(「1B」、「2B」、「3B」、…)とを少ない時間差(ほぼ同時刻)で受信することが出来る。これにより、図6に示すように、第2出力データの一部のフレームが通信障害により受信できない場合であっても、受信装置2のバッファメモリ22は、たとえば、1フレーム分を保持する程度で、フレーム損失が発生せずにデータの選択が可能となる。つまり、送信装置1が異なる伝送経路による遅延時間を小さくするようなタイミングで2つのデータを送信することにより、受信装置2は、各フレームを補償するためにバッファメモリ22として必要な記憶容量を小さくすることができる。
【0039】
なお、図5及び図6に示す例では、経路差による遅延時間Tdsと同等な遅延時間(送信時間差)Tds1分、送信装置がデータを出力する時刻に差異をつけたが、必ずしもTds=Tds1でなくても良い。例えば、図7では、伝送するデータフレームが周期的に出力される場合を示している。この様な場合は、周期的に出力されるフレームが送出周期Ts以内に、受信装置2に着信する経路の異なる受信フレームの着信時刻差を収めるように、遅延時間Tds1を決定すればよい。たとえば、周期Tsから伝送するフレーム長の時間Tflを引いた値以下に収めれば、受信装置2のバッファメモリ22に必要なメモリ容量を最小にすることが出来る。
【0040】
また、遅延時間Tds1は、周期Ts以上にしても良い。この場合、バッファメモリ22に必要なメモリ容量はその分多く必要となる。送信装置1のバッファメモリ15のメモリ容量と、受信装置2のバッファメモリ22の容量とのバランスを考慮して、送信時間差Tds1を決定することも可能である。
【0041】
さらに、多対1の通信の場合、1つの受信装置は、経路による遅延時間分のデータフレームを保持するためのバッファメモリを各送信装置に分散することが可能となる。このため、受信装置2は、受信した2つのデータのフレームを保持するために消費するバッファメモリ22の容量を軽減することが出来る。
【0042】
たとえば、鉄道車両に設けられる車上伝送システムでは、1つの制御装置と複数の被制御装置とでデータ伝送を行う。1つの制御装置から複数の被制御装置との伝送を行う場合、制御装置が接続される伝送装置(或いは伝送機能を有する制御装置)は、複数の被制御装置が接続される伝送装置の数分、遅延時間の差分を吸収するためのバッファメモリの記憶領域を確保することが必要となる。このような車上伝送システムでは、2つの伝送経路による遅延時間分のデータフレームを保持するためのバッファメモリを各送信側の装置で確保すれば良く、受信側の装置は、バッファメモリを小さくすることが可能となる。
【0043】
上記のように、第1の実施形態の伝送システムは、異なる経路で受信装置へ伝送する複製した2つのデータの送信タイミングを、2つの経路における遅延時間差に相当する時間差で出力することにより、受信装置2のバッファメモリ22が必要となるメモリ容量を少なくすることができる。
【0044】
次に、第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、ネットワーク構成がリング型ネットワークである場合の伝送システムについて説明する。
図8は、リング形ネットワークを有する伝送システムの構成例を示す図である。
【0045】
図8に示す構成例において、伝送システムは、送信装置1と受信装置2とをリング型ネットワーク30を介して接続する。リング型ネットワークは、1つのマスターネットワーク伝送装置31と、複数のネットワーク伝送装置32(32A、32B、…、32C、…)とを伝送路33でリング型に接続している。なお、送信装置1および受信装置2の構成は、第1の実施形態で説明した図1又は図2に示す構成で良い。
【0046】
図8に示す構成例において、マスターネットワーク伝送装置31は、幹線系の伝送路19を介して送信装置1が接続され、ネットワーク伝送装置32Cは、幹線系の伝送路20を介して受信装置2に接続される。また、送信装置1には、幹線系の伝送路19を介してマスターネットワーク伝送装置31が接続されると共に、支線系の伝送路34を介して端末機器35Aが接続される。受信装置2には、幹線系の伝送路20を介してネットワーク伝送装置32が接続されると共に、支線系の伝送路36を介して端末機器35Bが接続される。
【0047】
図8に示すようなリング型ネットワーク伝送システムにおいて、マスターネットワーク伝送装置31は、伝送路33を時計回りに一周する仮想伝送路33aと伝送路33を反時計回りに一周する仮想伝送路33bとを構成する。各仮想伝送路33a、33bが無限ループで伝送路33を周回しないように、マスターネットワーク伝送装置31は、仮想伝送路33aに対する閉塞ポート31aと仮想伝送路33bに対する閉塞ポート31bとを有する。
【0048】
なお、図8に示すようなリング形ネットワーク伝送システムは、例えば、イーサネット(登録商標)を用いた場合、IEEE 802.1Qで規定されているmstp(multiple spanning tree protocol)などにより実現することが可能である。
【0049】
図9は、送信装置1に接続した端末機器35Aからリング型ネットワーク30を介して受信装置2に接続した端末機器35Bへデータを伝送する例を模式的に示す図である。図9は、2つの異なる経路として、仮想伝送路33aと仮想伝送路33bとを用いて送信装置1から受信装置2へデータを伝送する例を模式的に示している。図9に示す例において、送信装置1のフレーム複製部12は、支線系受信部11により端末機器35Aから受信したデータを複製する。送信装置1の第1フレーム変換部13aおよび第2フレーム変換部13bは、フレーム複製部12が複製した2つのデータに対して伝送経路として仮想伝送路33aと仮想伝送路33bとを経由する様に、データフレームの変換処理を行う。第1フレーム変換部13aは、フレーム複製部12が複製した2つのデータのうち一方のデータに対して伝送経路として仮想伝送路33aを設定し、第2フレーム変換部13bは、フレーム複製部12が複製した2つのデータのうち他方のデータに対して伝送経路として仮想伝送路33bを設定する。第1フレーム変換部13aにより生成されたデータフレームおよび第2フレーム変換部13により生成されたデータフレームは、バッファメモリ15に記憶される。
【0050】
図9に示す時計回りの仮想伝送路33aと反時計回りの仮想伝送路33bとでは、伝送距離、および、通過するネットワーク伝送装置の台数が異なる。このため、仮想伝送路33aによるデータ伝送と仮想伝送路33bによるデータ伝送とは、伝送に要する時間が異なる。仮想伝送路33aによるデータの伝送時間と仮想伝送路33bによるデータの伝送時間との時間差(遅延時間)は、遅延データテーブル18に記憶される。各送信装置1の遅延データテーブル18には、各受信装置2に対応づけて、第1仮想伝送路(第1伝送路)33aによる伝送時間と第2仮想伝送路(第2伝送路)33bによる伝送時間との時間差(遅延時間)を記憶する。
【0051】
遅延設定部16は、遅延データテーブル18を参照して、データの伝送先とする受信装置2に対する仮想伝送路33aによるデータ伝送と仮想伝送路33bによるデータ伝送との時間差(遅延時間)を特定する。遅延設定部16は、遅延データテーブル18を参照して特定した遅延時間を送信タイミング生成部17に設定する。送信タイミング生成部17は、バッファメモリ15に記憶した仮想伝送路33aを経由するデータと仮想伝送路33bを経由するデータとを、遅延設定部16により設定された遅延時間に基づくタイミングで、幹線系送信部14によりマスターネットワーク伝送装置31に送信させる。
【0052】
マスターネットワーク伝送装置31は、伝送経路として仮想伝送路33aが設定されたデータフレームを図9に示す時計回りの経路へ送出し、伝送経路として仮想伝送路33bが設定されたデータフレームを図9に示す反時計回りの経路へ送出する。仮想伝送路33aを経由するデータフレームは、ネットワーク伝送路32A、32Bおよび32Cを介して、受信装置2へ到達する。また、仮想伝送路33bを経由するデータフレームは、ネットワーク伝送路32Cを介して、受信装置2へ到達する。仮想伝送路33aを経由するデータフレームと仮想伝送路33bを経由するデータフレームとは、遅延時間に応じたタイミングで送出されている。このため、受信装置2は、仮想伝送路33aを経由するデータフレームと仮想伝送路33bを経由するデータフレームとをほぼ同時刻(たとえば、各フレームの送信周期が1周期(又は数周期)以内)に受信する。
【0053】
上記のような伝送制御によれば、リング型ネットワークを介したデータ伝送において、第1仮想伝送路33aによるデータ伝送と第2仮想伝送路33bによるデータ伝送とを遅延時間に応じた送信タイミングで送信でき、受信装置2が遅延時間が小さい(ほぼ同時刻)に2つの経路で伝送されてきたデータを受信することができる。この結果として、受信装置2は、データの伝送制御に必要なバッファメモリ22の容量を少なくすることができる。
【0054】
次に、第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態では、2つの異なるネットワークを介して送信装置1と受信装置2とが接続された伝送システムの構成例について説明する。
図10は、第3の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
図10に示す構成例において、伝送システムは、送信装置1と受信装置2とを第1のネットワークシステム41Aと第2のネットワークシステム41Bとを介して接続する。送信装置1と受信装置2とは、第1の実施形態で説明した送信装置1と受信装置2と同様な構成のもので実現できる。第1のネットワークシステム41Aおよび第2のネットワークシステム41Bは、異なる伝送ネットワークシステムであり、データ伝送に要する時間(伝送時間)が異なる。第1のネットワークシステム41Aおよび第2のネットワークシステム41Bは、物理的或は論理的に異なる伝送経路のネットワークシステムであっても良いし、通信プロトコルが異なるものであっても良い。
【0055】
たとえば、第1のネットワークシステム41Aがイーサネット(登録商標)による伝送ネットワークシステムであって、第2のネットワークシステム41BがRS−422とHDLC(high level data link control)を用いたシリアル通信による伝送ネットワークシステムであっても良い。その他、第1或は第2のネットワークシステムには、CAN(controller area network)、または、WLANなどを含んだその他の伝送ネットワークシステムであってもよい。
【0056】
第1のネットワークシステムおよび第2のネットワークシステムとして、上述したような種々の伝送ネットワークシステムのうち異なる2つのシステムを用いることにより、送信装置1から受信装置2へデータを伝送する伝送システム全体としては、ダイバシティー化(多様性)がなされる。このため、図10に示すように異なる2つのネットワークシステムを介してデータ伝送を行う伝送システムでは、信頼性の高いシステムを構築することが出来る。
【0057】
ただし、異なる伝送ネットワークシステム(第1のネットワークシステムおよび第2のネットワークシステム)では、データの伝送時間が異なる。このため、第1のネットワークシステムを介したデータ伝送と第2のネットワークシステムを介したデータ伝送との伝送時間差(遅延時間差)を小さくするために、第3の実施形態の伝送システムにおける送信装置1も、第1の実施形態で説明した送信装置1と同様に、2つのデータの送出タイミングを制御する。
【0058】
すなわち、第3の実施形態の伝送システムにおける送信装置1は、受信装置ごとに、第1のネットワークシステムを介したデータ伝送と第2のネットワークシステムを介したデータ伝送との伝送時間差(遅延時間)を遅延データテーブル18に記憶しておく。
【0059】
送信装置1は、遅延データテーブル18を参照して受信装置ごとの遅延時間を設定し、設定された遅延時間に基づいて受信装置2に着信する時刻がほぼ同時刻になるようなタイミングで第1および第2のネットワークシステムを経由する2つのデータをそれぞれ送出する。この結果として、第3の実施形態の受信装置2は、第1の実施形態の受信装置と同様に、バッファメモリ22の容量の消費を削減することが出来る。
【0060】
次に、第4の実施形態について説明する。
前述の第1乃至第3の実施形態では、送信装置1の遅延設定部16が設定する遅延時間は遅延データテーブル18に予め記憶しておく固定値としているが、ネットワークにおける伝送経路の変更が発生した場合には各経路での伝送時間が変更されるため、遅延時間も変更する必要がある。例えば、鉄道車両では、列車編成が複数併結および分離を繰り返す場合がある。このような鉄道車両内のネットワークでは、ネットワークの構成およびネットワークに接続される機器か変動するため、データフレームを伝送する経路および経由する伝送装置などが変動し、データの伝送時間および遅延時間が大きく変動する。
【0061】
このような鉄道車両内のネットワークでは、列車編成の併結或は分離のたびに遅延データテーブル18に保存する設定値(遅延時間)を変更するのは煩雑であり、設定を変更するための時間を確保するのも難しいため、現実的ではない。このため、第4の実施形態に係る伝送システムでは、受信装置が遅延時間を測定し、測定した遅延時間を送信装置へフィードバックするものである。
【0062】
図11は、第4の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
図11に示すように、第4の実施形態に係る送信装置51は、図1に示す送信装置1(或いは図2に示す送信装置1B)の構成に加えて、幹線系第3受信部56、および、受信フレーム処理部57を有する。また、受信装置42は、図1に示す受信装置2(或いは図2に示す受信装置2B)の構成に加えて、経路時間差測定部53、フレーム生成部54、および、幹線系第3送信部55を有する。
【0063】
経路時間差測定部53は、送信装置51から異なる経路を経由して受信した2つのデータの各フレームの着信時刻を計測し、異なる2つの経路によるデータの伝送時間の差(遅延時間)を計測する。また、経路時間差測定部53は、2つのデータの経路情報と2つのデータを構成する各フレームの着信順番とを取得する。フレーム生成部54は、経路時間差測定部53が計測した伝送時間差(遅延時間)と着信順番と経路情報とを示すデータを幹線送信用のデータフレームとして生成する。幹線系第3送信部55は、フレーム生成部54により生成された遅延時間を含むデータを送信装置51へ送信する。
【0064】
送信装置51では、幹線系第3受信部56により受信装置52からの遅延時間と着信順番と経路情報とを示すデータを受信する。送信装置51の受信フレーム処理部57は、幹線系第3受信部により受信した伝送時間差(遅延時間)と着信順番と経路情報とを示すデータにより遅延データテーブル18を更新する。すなわち、受信フレーム処理部57は、受信装置2に対応するデータとして、遅延時間、着信順番および経路情報を遅延データテーブル18に保存する。このような遅延データテーブル18を参照することにより、送信装置51の遅延設定部16は、受信装置52で測定した最新の遅延時間を設定できる。
【0065】
すなわち、第4の実施形態に係る伝送システムでは、データを伝送するネットワークの構成などの変化によってデータの伝送時間差(遅延時間)及びデータの伝送経路に変化があった場合、送信装置には、変化した遅延時間を示すデータを受信装置側からフィードバックできる。これにより、送信装置は、ネットワークの構成が変化しても、常に適切な遅延時間に基づくデータ送信のタイミングを生成することできる。この結果として、第4の実施形態に係る伝送システムでは、バッファメモリを過大に消費することがない運用を実現できる。
【0066】
なお、受信装置52は、送信装置51に対して、伝送時間差(遅延時間)と着信順番と経路情報とを、常に送っても良いし、間欠的(所定の間隔毎)に送信しても良いし、伝送ネットワークが変化したタイミングで送信するようにしても良い。また、遅延時間の測定は、送信装置51が計時する時刻に基づいて計測しても良いし、受信クロックのクロック数をカウントしても良いし、バッファメモリのアドレス情報を元に算出しても良い。
【0067】
上記のように、第4の実施形態に係る伝送システムでは、受信装置が送信装置から異なる経路で伝送されてきた2つのデータの伝送時間の差(遅延時間)を計測し、計測した遅延時間、着信順番及び経路情報を送信装置へフィードバックする。送信装置は、受信装置から通知される遅延時間に基づいて異なる経路で伝送する2つのデータを送出するタイミングを制御する。このような第4の実施形態に係る伝送システムによれば、実際に測定した2つの経路における遅延時間に基づいて、データ伝送のタイミングを制御することができ、この結果として、ネットワークの構成などが変動する場合であっても、受信装置が必要とするバッファメモリのメモリ容量を少なくすることができる。
【0068】
次に、第5の実施形態について説明する。
図12は、第5の実施形態に係る伝送システムの構成例を示す図である。
図12に示す伝送システムは、中央装置63と複数の周辺装置64A、64B、64Cとがデータ伝送を行うシステムである。中央装置63は、複数の周辺装置64A、64B、64Cに対して一斉同報を行う。各周辺装置64A、64B、64Cは、中央装置63からの同報に対して中央装置63へ返信を行う。中央装置63は、支線を介して伝送中央装置61に接続する。各周辺装置64A、64B、64Cは、それぞれ伝送端末装置62A、62B、62Cに接続する。
【0069】
中央装置63と周辺装置64A、64B、64Cとの間のデータ伝送は、伝送中央装置61と伝送端末装置62A、62B、62Cとにより2つの異なる経路で2重通信を実施する。また、図12に示す構成例において、データを伝送するネットワークは、リング型ネットワーク30である。ネットワーク30は、図8に示すネットワークと同様に構成できる。すなわち、ネットワーク30は、マスターネットワーク伝送装置31、複数のネットワーク伝送装置32A、32B、32C、および、伝送路33を有する。伝送路33は、マスターネットワーク伝送装置31の第1閉塞ポート31aまでの時計周りの第1仮想伝送路33aと第2閉塞ポート31bまでの反時計周りの第2仮想伝送路33bとを構築する。送信装置としての伝送中央装置61と複数の受信装置としての伝送端末装置62A、62B、62Cとは、第1仮想伝送路33aと第2仮想伝送路33bとを2つの異なる伝送路として2重通信を行う。
【0070】
図13は、第5の実施形態に係る伝送中央装置61の構成例を示す図である。
図13に示す構成例では、伝送中央装置61は、支線系受信部71、フレーム複製部72、第1フレーム変換部73a、第2フレーム変換部73b、幹線系送信部74、幹線系受信部75、バッファメモリ76、フレーム選択部77、フレーム変換部78、支線系送信部79を有する。なお、図13においては、伝送中央装置61が各伝送端末装置62からの受信信号を選択するため、バッファメモリ76は、内部に伝送端末装置の数と同じ数のデータの記憶領域76a、76b、76c、…を有することを示し、フレーム選択部77は、内部に伝送端末装置の数と同じ数の処理機能77a、77b、77c、…を有することを示している。
【0071】
図14は、第5の実施形態に係る各伝送端末装置62(62A、62B、62C)の構成例を示す図である。
図14に示す構成例では、各伝送端末装置62は、幹線系受信部81、バッファメモリ82、フレーム選択部83、フレーム変換部84、支線系送信部85、支線系受信部91、フレーム複製部92、第1フレーム変換部93a、第2フレーム変換部93b、バッファメモリ94、遅延設定部96、送信タイミング生成部97、幹線系送信部95、および、遅延データテーブル98を有する。
【0072】
次に、第5の実施形態に係る伝送システムにおける中央装置63から各周辺装置64へのデータの伝送手順について説明する。
伝送中央装置61は、中央装置63から取得したデータを複数の周辺装置64(64A、64B、64C、…)へ同報送信によるデータ伝送を行う。伝送中央装置61は、中央装置63から各周辺装置64へ同報送信すべきデータを支線系受信部71により受信する。フレーム複製部72は、各周辺装置64へ伝送すべきデータを複製する。第1フレーム変換部73aは、複製したデータのうち一方のデータに伝送路33を時計回りに伝送する第1仮想伝送路33aを示す経路情報を付加した第1出力データに変換する。第2フレーム変換部73bは、複製したデータのうち他方のデータに伝送路33を時計回りに伝送する第1仮想伝送路33aを示す経路情報を付加した第2出力データに変換する。
【0073】
幹線系送信部74は、第1出力データおよび第2出力データをそれぞれマスターネットワーク伝送装置31へ送信する。これにより、マスターネットワーク伝送装置31は、伝送路33を時計回りに1周する第1仮想伝送路33aにより第1出力データを伝送させ、伝送路33を反時計回りに1周する第2仮想伝送路33bにより第2出力データを伝送させる。第1出力データおよび第2出力データは、それぞれ第1仮想伝送路33aおよび第2仮想伝送路33bにより各伝送端末装置62の幹線系受信部81に到着する。
【0074】
各伝送端末装置62は、幹線系受信部81が第1仮想伝送路33aにより受信した第1出力データの各フレームと第2仮想伝送路33bにより受信した第2出力データの各フレームをそれぞれバッファメモリ82に記憶する。バッファメモリ82は、少なくとも第1出力データの各フレームと第2出力データの各フレームとを遅延時間分に相当するフレーム数分を記憶するメモリ容量を有する。フレーム選択部83は、バッファメモリ82に記憶した第1出力データの各フレームあるいは第2出力データの各フレームの何れかのフレームを選択する。フレーム変換部84は、フレーム選択部83が選択したフレームからなる出力データを周辺装置64への送信用のデータに変換する。支線系送信部85は、フレーム変換部84により周辺装置への送信用のデータに変換されたデータフレームを周辺装置64に送信する。
【0075】
次に、第5の実施形態に係る伝送システムにおける周辺装置64から中央装置63への返信データの伝送手順について説明する。
周辺装置64は、中央装置63から同報送信されたデータを受信した場合、中央装置63に対して返信を行う。周辺装置64は、伝送端末装置62に対して返信データを送信する。伝送端末装置62は、支線系受信部91により周辺装置64からの返信データを受信する。フレーム複製部92は、異なる2つの経路で中央装置63へ返信データを伝送するため、返信データを複製する。第1フレーム変換部93aは、複製したうちの一方の返信データに第1仮想伝送路33aを示す経路情報を付加した第1返信データフレームに変換する。第2フレーム変換部93b、複製したうちの他方の返信データを第2仮想伝送路33bを示す経路情報を付加した第2返信データフレームに変換する。第1フレーム変換部93aおよび第2フレーム変換部93bは、第1返信データフレームと第2返信データフレームとをバッファメモリ94に記憶する。
【0076】
遅延設定部96は、遅延データテーブル98を参照して、送信装置として伝送中央装置61に対する第1仮想伝送路33aによるデータ伝送時間と第2仮想伝送路33bによるデータ伝送時間との差(遅延時間)を送信タイミング生成部97に設定する。送信タイミング生成部97は、遅延設定部96により設定された遅延時間に基づいて第1返信データフレームを送出するタイミングと第2返信データフレームを送出するタイミングとを生成する。幹線系送信部95は、送信タイミング生成部97により生成されたタイミングで第1返信データと第2返信データとをネットワーク30に接続されたネットワーク伝送装置32へ出力する。各ネットワーク伝送装置32は、付加されている経路情報に基づいて、第1返信データを仮想伝送路33aにより伝送させ、第2返信データを仮想伝送路33bにより伝送させる。
【0077】
第1返信データは、マスターネットワーク伝送装置31に至るまで、第1仮想伝送路33aの順番で各ネットワーク伝送装置32を介して転送される。第2返信データは、マスターネットワーク伝送装置31に至るまで、第2仮想伝送路33bの順番で各ネットワーク伝送装置32を介して転送される。マスターネットワーク伝送装置31は、第1仮想伝送路33aにより第1返信データを受信するとともに、第2仮想伝送路33bにより第2返信データを受信する。マスターネットワーク伝送装置31は、受信した第1返信データと第2返信データとを伝送中央装置61へ供給する。
【0078】
伝送中央装置61は、幹線系受信部75により第1返信データおよび第2返信データをそれぞれ受信する。幹線系受信部75により受信した第1返信データと第2返信データとは、バッファメモリ76に記憶される。ここで、伝送中央装置61のバッファメモリ76は、伝送端末装置毎に第1返信データ及び第2返信データの記憶領域76a、76b、…が確保される。また、フレーム選択部77は、伝送端末装置毎に設けられた各記憶領域に対応する複数の処理部(フレーム選択部)77a、77b、…を有する。各フレーム選択部77a、77b、…は、バッファメモリの各記憶領域に記憶される第1返信データの各フレームと第2返信データの各フレームとから何れかのフレームを選択し、1つの返信データとしてフレーム変換部78へ出力する。フレーム変換部78は、フレーム選択部77で選択されるフレームで構成される返信データを中央装置63への送信用のフレームに変換する。支線系送信部79は、フレーム変換部78により変換された送信用のフレームを中央装置63へ送信する。これにより、中央装置では、複数の周辺装置へ同報送信したデータに対する各周辺装置からの受信確認を得ることができる。
【0079】
上述したように、第5の実施形態に係る伝送システムでは、伝送中央装置が複数の伝送端末装置へ送信したデータに対する返信データを複製し、複製した2つの返信データを各伝送端末装置が送信装置までの2つの経路による遅延時間を小さくするタイミングでそれぞれ送信する。これにより、伝送中央装置は、各伝送端末装置から2つの経路で伝送される2つのデータの各フレームを少ない遅延時間で受信でき、各伝送端末装置に対応して設けるべきバッファメモリの記憶領域を少なくすることが可能となる。この結果として、伝送中央装置61は、各伝送端末装置からのデータ受信用に設けるべきバッファメモリの容量を小さくすることが出来る。
【0080】
次に、第5の実施形態に係る伝送中央装置および伝送端末装置の第2の構成例について説明する。
図15は、図12に示す伝送中央装置61として適用可能な伝送中央装置の第2の構成例を示す図である。図16は、図12に示す伝送端末装置62として適用可能な伝送端末装置62の第2の構成例を示す図である。
図15に示す第2の構成例の伝送中央装置101は、図13に示す伝送中央装置61の構成に、経路時間差測定部103とフレーム生成部104とを追加した構成となっている。また、図16に示す第2の構成例の伝送端末装置102は、図14に示す伝送端末装置62の構成に、受信フレーム処理部105を追加した構成となっている。
【0081】
経路時間差測定部103は、伝送端末装置102から伝送中央装置101への第1仮想伝送路33aによるデータ伝送時間と第2仮想伝送路33bによるデータ伝送時間との差(遅延時間)を計測する。フレーム生成部104は、測定した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータを送信用のデータとして生成する。フレーム生成部104により生成されたデータは、出力データとして、フレーム複製部72、第1フレーム変換部73a、第2フレーム変換部73bおよび幹線系送信部74により2重化され、第1及び第2仮想伝送路33a、33bにより伝送端末装置102へ伝送される。
【0082】
伝送端末装置102は、幹線系受信部81、バッファメモリ82、フレーム選択部83およびフレーム変換部84により経路時間差測定部103が測定した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータを受信する。伝送端末装置102の受信フレーム処理部105は、受信した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータにより遅延データテーブル98を更新する。
【0083】
この様な構成により、伝送中央装置101は、各伝送端末装置102に対して第1仮想伝送路33aによるデータ伝送と第2仮想伝送路33bによるデータ伝送との時間差(遅延時間)を適宜通知することができ、伝送端末装置102は、伝送中央装置101で測定した遅延時間を設定することができる。この結果として、伝送システム全体としては、ネットワークの構成が変更されて遅延時間が変化しても、伝送中央装置101に各伝送端末装置102から2つの経路で着信するデータの到着時刻差を小さくする(ほぼ同じにする)ことができ、伝送中央装置101におけるバッファメモリ76の消費量を軽減することが出来る。
【0084】
次に、第5の実施形態に係る伝送端末装置の第3の構成例について説明する。
また、伝送中央装置と各伝送端末装置との送受信の経路が同じであれば、伝送経路の差異による遅延時間の差は、相手側(送信側となる伝送中央装置)での計測する方法の他に、受信側(受信側となる伝送端末装置)で計測することも可能である。たとえば、リング型のネットワークでは、時計周りの仮想伝送路による伝送中央装置と各伝送端末装置との送受信の経路は同じであり、反時計周りの仮想伝送路による送受信の経路は同じである。このような場合、伝送端末装置が伝送中央装置から第1仮想伝送路で受信するデータと第2仮想伝送路で受信するデータの到着時間の差は、当該伝送端末装置から伝送中央装置へ第1仮想伝送路で送信するデータと第2仮想伝送路で送信するデータとの時間差(遅延時間)とほぼ同等となる。
【0085】
図17は、図12に示す伝送端末装置62として適用可能な伝送端末装置の第3の構成例を示す図である。図17に示す第3の構成例の伝送端末装置112は、図14に示す伝送端末装置62の構成に、経路時間差測定部113を追加した構成となっている。経路時間差測定部113は、伝送中央装置61から2つの経路で伝送された各フレーム(第1仮想伝送路33aから受信したデータの各フレームと第2仮想伝送路33bから受信したデータの各フレーム)の時刻差により遅延時間を測定する。経路時間差測定部113は、測定した遅延時間と着信順番と経路情報とにより遅延データテーブル98を更新する。遅延設定部96は、経路時間差測定部113により更新される遅延データテーブル98を参照することにより、現在の伝送状況に応じた遅延時間を送信タイミング生成部97に設定できる。この結果として、伝送システムとしては、ネットワークの構成が変更されて遅延時間が変化しても、伝送中央装置61に各伝送端末装置112から2つの経路で伝送される2つのデータの到着時刻差(遅延時間)を小さくする(ほぼ同じにする)ことができ、伝送中央装置61におけるバッファメモリ76の消費量を軽減することが出来る。
【0086】
次に、第5の実施形態に係る伝送システムの適用例について説明する。
第5の実施形態に係る伝送システムは、中央装置63から複数の周辺装置64へデータを送信し、この返信として複数の周辺装置64から中央装置63へ返信データを送信するというデータ伝送を行う。このようなデータ送信を伝送システムは、中央装置63を制御中央装置とし、複数の周辺装置64を被制御機器という場合、あるいは、中央装置63を中央収集装置とし、複数の周辺装置64を被モニタ機器という場合などに用いることが出来る。例えば、鉄道車両内に設けられる車上伝送システムとしては、中央装置63を運行制御装置とし、複数の周辺装置64をモーター駆動用インバータあるいはブレーキ等に適用することができる。このような車上伝送システムは、各周辺装置64からの返信データが単なる生存応答だけでなく、現在の状態を示すデータを含む返信データとするようなシステムにも適用が可能である。
【0087】
また、複数の周辺装置がモニタ機器である場合、第5の実施形態の伝送システムは、中央装置からのポーリング(出力データ)を必要とせずに、各モニタ機器から中央装置への一方向の通信を行うシステムにも適用しても良い。つまり、多対1の片方向のデータ伝送を行うシステムにも、第5の実施形態の伝送システムを応用できる。
【0088】
図18は、図12に示す伝送中央装置61として適用可能な伝送中央装置の第4の構成例を示す図である。また、図19は、図12に示す伝送端末装置62として適用可能な伝送端末装置の第4の構成例を示す図である。
図18に示す第4の構成例の伝送中央装置131は、図13に示す構成から支線系受信部71、フレーム複製部72、第1フレーム変換部73a、第2フレーム変換部73b、および、幹線系送信部74を省略した構成を有する。また、図19に示す第4の構成例の伝送端末装置132は、図14に示す伝送端末装置62の構成から幹線系受信部81、バッファメモリ82、フレーム選択部83、フレーム変換部84、および、支線系送信部85を省略した構成を有する。
【0089】
すなわち、伝送中央装置131は、ネットワークを介した伝送端末装置132へのデータ送信機能を省略し、伝送端末装置132からのデータ受信専用の構成となっている。また、伝送端末装置132は、ネットワークを介した伝送中央装置131からデータ受信機能を削除して、伝送中央装置131へのデータ送信専用の構成となっている。このような構成の伝送システムであっても、各伝送端末装置132は、2つの異なる経路で伝送する2つのデータを伝送中央装置131における着信の遅延時間を小さくするようなタイミングでそれぞれを送出できる。これにより、伝送中央装置131は、各伝送端末装置132用に確保するバッファメモリの容量を小さくすることができ、伝送中央装置131におけるバッファメモリの容量を小さくすることが出来る。
【0090】
図20は、図12に示す伝送中央装置61として適用可能な伝送中央装置の第5の構成例を示す図である。また、図21は、図12に示す伝送端末装置62として適用可能な伝送端末装置の第5の構成例を示す図である。
図20に示す第5の構成例の伝送中央装置141は、図18に示す第4の構成例の伝送中央装置131の構成に、経路時間差測定部143、フレーム生成部144、および、幹線系送信部145を追加した構成となっている。また、図21に示す第5の構成例の伝送端末装置142は、図19に示す第4の構成例の伝送端末装置132の構成に、幹線系受信部146、および、受信フレーム処理部147を追加した構成となっている。
【0091】
伝送中央装置141において、経路時間差測定部143は、図15に示す経路時間差測定部103と同様に各伝送端末装置142から伝送中央装置141までの2つの経路によるデータ伝送の時間差(遅延時間)を測定する。フレーム生成部144は、図15に示すフレーム生成部104と同様に経路時間差測定部143が測定した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータフレームを生成する。
【0092】
幹線系送信部145は、フレーム生成部144が生成した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータフレームを伝送端末装置142へ送信する。なお、図20に示す例では、遅延時間と到着順番と経路情報とを示す1つのデータフレームを伝送端末装置142へ送信する構成となっているが、図15と同様に、フレーム生成部144が生成したデータを複製して2つの異なる経路で伝送端末装置142へ送信するようにしても良い。
【0093】
また、伝送端末装置142において、幹線系受信部146は、伝送中央装置141の幹線系送信部145が送信した遅延時間と到着順番と経路情報とを示すデータフレームを受信する。受信フレーム処理部147は、幹線系受信部146が受信したデータに含まれる遅延時間と到着順番と経路情報とにより遅延データテーブル98を更新する。これにより、伝送端末装置142の遅延データテーブル98は、伝送中央装置141で測定した遅延時間により更新できる。
【0094】
上記のように、第5の構成例の伝送端末装置142では、ネットワーク構成の変化により遅延時間が変化する場合であっても、伝送中央装置141へ異なる2つの経路で伝送させる2つのデータを送信するタイミングをネットワーク構成に応じた最新の遅延時間によって制御することが可能となる。この結果として、伝送中央装置141は、各伝送端末装置142用に確保するバッファメモリを少なくすることができ、メモリ容量の小さいバッファメモリで伝送システムを実現できる。
【0095】
なお、上述した第5の実施形態の作用及び効果はリング形のネットワークシステムだけに限定される物では無い。すなわち、第5の実施形態は、2重化したデータの伝送経路を異にすることによる遅延時間の差が発生する伝送ネットワークシステムにも同様に適用でき、同様な効果を得ることが可能である。また、上述した第5の実施形態では、伝送中央装置と中央装置、および、伝送端末装置と周辺装置を別々の機器として説明したが、これらを同一の装置で構成しても良い。
【0096】
以上説明した各実施形態によれば、異なる経路で複数のデータを伝送する送信装置側が各経路に応じて各データの送信タイミングを制御することにより、異なる経路で伝送される各データが受信装置側に到達するまでの伝送時間差としての遅延時間を小さくすることができ、各データの伝送時間差(遅延時間)の差異を吸収するために必要なバッファメモリの容量を小さくすることができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1、1B…送信装置、2、2B…受信装置、3…ネットワーク、11…支線系受信部、12…フレーム複製部、13a…第1フレーム変換部、13b…第2フレーム変換部、14a…幹線系第1送信部、14b…幹線系第2送信部、14B…幹線系送信部、15…バッファメモリ、16…遅延設定部、17…送信タイミング生成部、18…遅延データテーブル、21a…幹線系第1受信部、21b…幹線系第2受信部、21B…幹線系受信部、22…バッファメモリ、23…フレーム選択部、24…フレーム変換部、25…支線系送信部、31…マスターネットワーク伝送装置、31a、31b…閉塞ポート、32(32A、32B、32C)…ネットワーク伝送装置、33a…第1仮想伝送路、33b…第2仮想伝送路、35A、35B…端末機器、41A…第1のネットワークシステム、41B…第2のネットワークシステム、42…受信装置、51…送信装置、52…受信装置、53…経路時間差測定部、54…フレーム生成部、55…幹線系第3送信部、56…幹線系第3受信部、57…受信フレーム処理部、61、101、131、141…伝送中央装置、62(62A、62B、62C)、102、112、132、142…伝送端末装置、63…中央装置、64(64A、64B、64C)…周辺装置、71…支線系受信部、73a…第1フレーム変換部、73b…第2フレーム変換部、74…幹線系送信部、75…幹線系受信部、76…バッファメモリ、77…フレーム選択部、78…フレーム変換部、79…支線系送信部、81…幹線系受信部、82…バッファメモリ、83…フレーム選択部、84…フレーム変換部、85…支線系送信部、91…支線系受信部、93a…第1フレーム変換部、93b…第2フレーム変換部、94…バッファメモリ、95…幹線系送信部、96…遅延設定部、97…送信タイミング生成部、98…遅延データテーブル、103、113、143…経路時間差測定部、104、144…フレーム生成部、105、147…受信フレーム処理部、145…幹線系送信部、146…幹線系受信部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信装置へ複数の経路でデータを伝送する送信装置において、
前記受信装置への第1の経路によるデータの伝送時間と前記受信装置への第1の経路とは異なる第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を遅延時間として設定する遅延設定部と、
前記遅延設定部により設定された遅延時間に基づいて前記第1の経路を示す経路情報が付加された第1データフレームを出力するタイミングと前記第2の経路を示す経路情報を付加された第2データフレームを出力するタイミングとを生成する送信タイミング生成部と、
前記送信タイミング生成部により生成されたタイミングで前記第1データフレームと前記第2データフレームとをそれぞれ出力させる幹線系送信部と、
を有することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記送信タイミング生成部は、前記遅延設定部により設定された遅延時間よりも前記受信装置で受信される時間差が小さくなるように前記第1データフレームを出力するタイミングと前記第2データフレームを出力するタイミングとを生成する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記受信装置には、リング型ネットワークにより接続され、
前記第1の経路は、リング型ネットワークにおいて第1の方向周りにデータを伝送させる第1仮想伝送路であり、
前記第2の経路は、リング型ネットワークにおいて第1の方向とは反対周りにデータを伝送させる第2仮想伝送路である、
ことを特徴とする前記請求項1又は2の何れか1項に記載の送信装置。
【請求項4】
さらに、前記受信装置から前記第1の経路によるデータの伝送時間と前記第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を示す情報を受信する幹線系受信部を有し、
前記遅延設定部は、前記幹線系受信部により前記受信装置から受信した時間差を示す情報に基づく遅延時間を設定する、
ことを特徴とする前記請求項1乃至3の何れか1項に記載の送信装置。
【請求項5】
伝送中央装置と複数の伝送端末装置とを複数の経路で接続する伝送システムにおいて、
前記伝送端末装置は、
前記伝送中央装置への第1の経路によるデータの伝送時間と前記伝送中央装置への第1の経路とは異なる第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を遅延時間として設定する遅延設定部と、
前記遅延設定部により設定された遅延時間に基づいて前記第1の経路で伝送する第1データフレームを出力するタイミングと前記第2の経路を伝送する第2データフレームを出力するタイミングとを生成する送信タイミング生成部と、
前記送信タイミング生成部により生成されたタイミングで前記第1データフレームと前記第2データフレームとをそれぞれ出力させる幹線系送信部と、を有し、
前記伝送中央装置は、
各伝送端末装置から第1の経路で伝送されてくる第1データフレームと第2の経路で伝送されてくる第2データフレームとを受信する幹線系受信部と、
前記幹線系受信部により受信した各伝送端末装置からの第1データフレームと第2データフレームとをバッファリングするバッファメモリと、
前記バッファメモリに記憶した2つのデータの各フレームから何れか1つのフレームを選択するフレーム選択部と、を有する、
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項6】
前記伝送中央装置は、
さらに、各伝送端末装置へデータを同報送信する第2の幹線系送信部を有し、
前記伝送端末装置は、
前記伝送中央装置からのデータを受信する第2の幹線系受信部と、
前記第2の幹線系受信部により受信したデータに対する返信データを第1の経路を示す経路情報を付加した第1データフレームに変換する第1フレーム変換部と、
前記返信データを第2の経路を示す経路情報を付加した第2データフレームに変換する第2フレーム変換部と、を有する、
ことを特徴とする前記請求項5に記載の伝送システム。
【請求項7】
前記伝送中央装置と前記複数の伝送端末装置とは、リング型ネットワークにより接続され、
前記第1の経路は、リング型ネットワークにおいて第1の方向周りにデータを伝送させる第1仮想伝送路であり、
前記第2の経路は、リング型ネットワークにおいて第1の方向とは反対周りにデータを伝送させる第2仮想伝送路である、
ことを特徴とする前記請求項5又6の何れか1項に記載の伝送システム。
【請求項8】
前記伝送中央装置は、
さらに、伝送端末装置ごとに前記第1の経路によるデータの伝送時間と前記第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を計測する経路時間差計測部と、
前記経路時間差計測部により計測した時間差を示す情報を各伝送端末装置へ送信する第2の幹線系送信部と、を有し、
前記伝送端末装置は、
さらに、前記伝送中央装置から前記第1の経路によるデータの伝送時間と前記第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を示す情報を受信する第2の幹線系受信部を有し、
前記遅延設定部は、前記第2の幹線系受信部により前記伝送中央装置から受信した時間差を示す情報に基づく遅延時間を設定する、
ことを特徴とする前記請求項5乃至7の何れか1項に記載の伝送システム。
【請求項9】
前記伝送端末装置は、
さらに、伝送中央装置に対する前記第1の経路によるデータの伝送時間と前記第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を計測する経路時間差計測部を有し、
前記遅延設定部は、前記経路時間差計測部により計測した時間差を示す情報に基づく遅延時間を設定する、
ことを特徴とする前記請求項5乃至7の何れか1項に記載の伝送システム。
【請求項1】
受信装置へ複数の経路でデータを伝送する送信装置において、
前記受信装置への第1の経路によるデータの伝送時間と前記受信装置への第1の経路とは異なる第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を遅延時間として設定する遅延設定部と、
前記遅延設定部により設定された遅延時間に基づいて前記第1の経路を示す経路情報が付加された第1データフレームを出力するタイミングと前記第2の経路を示す経路情報を付加された第2データフレームを出力するタイミングとを生成する送信タイミング生成部と、
前記送信タイミング生成部により生成されたタイミングで前記第1データフレームと前記第2データフレームとをそれぞれ出力させる幹線系送信部と、
を有することを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記送信タイミング生成部は、前記遅延設定部により設定された遅延時間よりも前記受信装置で受信される時間差が小さくなるように前記第1データフレームを出力するタイミングと前記第2データフレームを出力するタイミングとを生成する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記受信装置には、リング型ネットワークにより接続され、
前記第1の経路は、リング型ネットワークにおいて第1の方向周りにデータを伝送させる第1仮想伝送路であり、
前記第2の経路は、リング型ネットワークにおいて第1の方向とは反対周りにデータを伝送させる第2仮想伝送路である、
ことを特徴とする前記請求項1又は2の何れか1項に記載の送信装置。
【請求項4】
さらに、前記受信装置から前記第1の経路によるデータの伝送時間と前記第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を示す情報を受信する幹線系受信部を有し、
前記遅延設定部は、前記幹線系受信部により前記受信装置から受信した時間差を示す情報に基づく遅延時間を設定する、
ことを特徴とする前記請求項1乃至3の何れか1項に記載の送信装置。
【請求項5】
伝送中央装置と複数の伝送端末装置とを複数の経路で接続する伝送システムにおいて、
前記伝送端末装置は、
前記伝送中央装置への第1の経路によるデータの伝送時間と前記伝送中央装置への第1の経路とは異なる第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を遅延時間として設定する遅延設定部と、
前記遅延設定部により設定された遅延時間に基づいて前記第1の経路で伝送する第1データフレームを出力するタイミングと前記第2の経路を伝送する第2データフレームを出力するタイミングとを生成する送信タイミング生成部と、
前記送信タイミング生成部により生成されたタイミングで前記第1データフレームと前記第2データフレームとをそれぞれ出力させる幹線系送信部と、を有し、
前記伝送中央装置は、
各伝送端末装置から第1の経路で伝送されてくる第1データフレームと第2の経路で伝送されてくる第2データフレームとを受信する幹線系受信部と、
前記幹線系受信部により受信した各伝送端末装置からの第1データフレームと第2データフレームとをバッファリングするバッファメモリと、
前記バッファメモリに記憶した2つのデータの各フレームから何れか1つのフレームを選択するフレーム選択部と、を有する、
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項6】
前記伝送中央装置は、
さらに、各伝送端末装置へデータを同報送信する第2の幹線系送信部を有し、
前記伝送端末装置は、
前記伝送中央装置からのデータを受信する第2の幹線系受信部と、
前記第2の幹線系受信部により受信したデータに対する返信データを第1の経路を示す経路情報を付加した第1データフレームに変換する第1フレーム変換部と、
前記返信データを第2の経路を示す経路情報を付加した第2データフレームに変換する第2フレーム変換部と、を有する、
ことを特徴とする前記請求項5に記載の伝送システム。
【請求項7】
前記伝送中央装置と前記複数の伝送端末装置とは、リング型ネットワークにより接続され、
前記第1の経路は、リング型ネットワークにおいて第1の方向周りにデータを伝送させる第1仮想伝送路であり、
前記第2の経路は、リング型ネットワークにおいて第1の方向とは反対周りにデータを伝送させる第2仮想伝送路である、
ことを特徴とする前記請求項5又6の何れか1項に記載の伝送システム。
【請求項8】
前記伝送中央装置は、
さらに、伝送端末装置ごとに前記第1の経路によるデータの伝送時間と前記第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を計測する経路時間差計測部と、
前記経路時間差計測部により計測した時間差を示す情報を各伝送端末装置へ送信する第2の幹線系送信部と、を有し、
前記伝送端末装置は、
さらに、前記伝送中央装置から前記第1の経路によるデータの伝送時間と前記第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を示す情報を受信する第2の幹線系受信部を有し、
前記遅延設定部は、前記第2の幹線系受信部により前記伝送中央装置から受信した時間差を示す情報に基づく遅延時間を設定する、
ことを特徴とする前記請求項5乃至7の何れか1項に記載の伝送システム。
【請求項9】
前記伝送端末装置は、
さらに、伝送中央装置に対する前記第1の経路によるデータの伝送時間と前記第2の経路によるデータの伝送時間との時間差を計測する経路時間差計測部を有し、
前記遅延設定部は、前記経路時間差計測部により計測した時間差を示す情報に基づく遅延時間を設定する、
ことを特徴とする前記請求項5乃至7の何れか1項に記載の伝送システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−51605(P2013−51605A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−189368(P2011−189368)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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