説明

送信装置及び告知放送システム

【課題】センター装置の操作者の安全を確保しつつ、受信機の利用者が緊急放送を聞き逃すことを防止できる、送信装置及び告知放送システムを提供すること。
【解決手段】送信装置70は、受信機20に告知放送信号を送信する送信装置70であって、告知放送用の情報を記録するデータ記録部76と、データ記録部76に記録されている告知放送用の情報に基づいて告知放送信号を生成する信号生成部75aと、信号生成部75aにより生成された告知放送信号を、連続して繰り返し送信する送信部73とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置及び告知放送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
センターから複数の住戸に対して各種の告知放送を行うための告知放送システムが普及している。この告知放送システムは、概略的に、センター側に配置されたセンター装置と、各住戸内に設置された受信機とを、CATV等の伝送線路を介して相互に接続して構成されている。そして、地域のイベント開催又はFMラジオ放送等の一般放送や、火災や地震が発生した時の緊急放送を行う際、センター装置は告知放送信号を伝送線路を介して送信し、この告知放送信号を受信機が受信して、告知放送をスピーカにて音声出力する(例えば、特許文献1(段落0012)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−8753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の如き従来の告知放送システムを用いて緊急放送を行う場合、操作者がセンター装置の緊急放送操作を選択し、緊急放送の内容を音声入力することで、当該入力された音声を内容とする告知放送信号が受信機に送信される。この緊急放送は、繰り返されることなく、1回限りで終了する。従って、受信機が設置された住戸において利用者が受信機の近傍にいなかった場合、利用者が緊急放送を聞き逃す可能性があった。
【0005】
また、各住戸に設置された受信機には、受信した緊急放送をスピーカから音声出力すると共に、緊急放送の内容を録音し、当該録音した内容を利用者の操作に応じて再生する機能を有するものもある。しかしながら、緊急放送が行われるような緊急時においては、利用者が受信機を適切に操作することが困難な場合も想定されるため、やはり利用者が緊急放送を聞くことができない可能性があった。
【0006】
また、センター装置から、既に放送した緊急放送の内容を所定の再放送チャンネルで再放送することが行われることもある。しかし、再放送の内容を受信機で受信するためには、受信機における受信チャンネルを再放送チャンネルに合わせる操作が必要となり、緊急時においては利用者が受信機を適切に操作することが困難な場合も想定されるため、やはり利用者が緊急放送を聞くことができない可能性があった。
【0007】
また、センター装置の操作者が、緊急放送を繰り返し実施することも考えられるが、センター装置の設置場所から操作者が早急に避難すべき状況においては、操作者自身が緊急放送を繰り返すことは困難且つ危険な可能性があった。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、センター装置の操作者の安全を確保しつつ、受信機の利用者が緊急放送を聞き逃すことを防止できる、送信装置及び告知放送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の送信装置は、受信機に告知放送信号を送信する送信装置であって、前記告知放送用の情報を記録する記録手段と、前記記録手段に記録されている告知放送用の情報に基づいて告知放送信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段により生成された告知放送信号を、連続して繰り返し送信する送信手段と、を備える。
【0010】
また、請求項2に記載の送信装置は、請求項1に記載の送信装置において、音声の入力を受け付ける音声入力手段を備え、前記記録手段は、前記音声入力手段が入力を受け付けた音声を記録し、前記音声入力手段が音声の入力を受け付けている間、前記信号生成手段は、当該入力された音声に基づいて告知放送信号を生成し、前記送信手段は、当該信号生成手段により生成された告知放送信号を送信し、前記音声入力手段が音声の入力の受付を終了した後、前記信号生成手段は、前記記録手段に記録された音声に基づいて告知放送信号を生成し、前記送信手段は、当該信号生成手段により生成された告知放送信号を連続して繰り返し送信する。
【0011】
また、請求項3に記載の送信装置は、請求項1又は2に記載の送信装置において、前記記録手段は、複数種類の前記告知放送用の情報を記録し、前記信号生成手段は、前記記録手段に記録されている前記複数種類の告知放送用の情報の一部又は全部に基づいて複数種類の告知放送信号を生成し、前記送信手段は、前記信号生成手段により生成された複数種類の告知放送信号を、所定の順序で連続して繰り返し送信する。
【0012】
また、請求項4に記載の送信装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載の送信装置において、前記信号生成手段は、前記記録手段に記録されている告知放送用の情報に、当該情報の先頭又は末尾の少なくとも一方を示す区切り情報を付加して、告知放送信号を生成する。
【0013】
また、請求項5に記載の告知放送システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の送信装置と、前記送信装置から送信された告知放送信号を受信する受信機と、を備える。
【0014】
また、請求項6に記載の告知放送システムは、請求項5に記載の告知放送システムにおいて、前記受信機は、前記告知放送信号を受信する受信手段と、前記受信手段が受信した告知放送信号による告知放送を音声出力する出力手段と、前記連続して繰り返し送信された告知放送信号による告知放送を前記出力手段が連続して繰り返し音声出力する間に、当該出力手段による音声出力の音量を、音声出力の繰り返し回数に応じて変化させる音量制御手段と、を備える。
【0015】
また、請求項7に記載の告知放送システムは、請求項6に記載の告知放送システムにおいて、前記音量制御手段は、前記告知放送信号が連続して繰り返し送信された回数に応じて、前記出力手段による音声出力の音量を変化させる。
【0016】
また、請求項8に記載の告知放送システムは、請求項7に記載の告知放送システムにおいて、前記信号生成手段は、前記送信手段から前記告知放送信号を連続して繰り返し送信させる際、前記記録手段に記録されている告知放送用の情報に、当該告知放送信号の送信回数を特定する送信回数情報を付加して告知放送信号を生成し、前記音量制御手段は、前記受信手段が受信した告知放送信号に含まれる前記送信回数情報に基づき、当該受信手段が受信した告知放送信号の送信回数を特定し、当該特定した送信回数に応じて、前記出力手段による音声出力の音量を変化させる。
【0017】
また、請求項9に記載の告知放送システムは、請求項6に記載の告知放送システムにおいて、前記信号生成手段は、前記送信手段から前記告知放送信号を連続して繰り返し送信させる際、前記記録手段に記録されている告知放送用の情報に、音量を特定する音量情報を付加して告知放送信号を生成し、前記音量制御手段は、前記受信手段が受信した告知放送信号に含まれる前記音量情報に基づき、前記出力手段による音声出力の音量を変化させる。
【発明の効果】
【0018】
このように、請求項1に記載の送信装置、及び請求項5に記載の告知放送システムによれば、告知放送用の情報を記録する記録手段と、記録手段に記録されている告知放送用の情報に基づいて告知放送信号を生成する信号生成手段と、信号生成手段により生成された告知放送信号を、連続して繰り返し送信する送信手段とを備えるので、センター装置の操作者自身が緊急放送を繰り返し実施しなくとも緊急放送を連続して繰り返すことができ、受信機から緊急放送を繰り返し音声出力させることができる。これにより、センター装置の操作者の安全を確保しつつ、受信機の利用者が緊急放送を聞き逃すことを防止できる。
【0019】
また、請求項2に記載の送信装置によれば、記録手段は、音声入力手段が入力を受け付けた音声を記録し、音声入力手段が音声の入力を受け付けている間、信号生成手段は、当該入力された音声に基づいて告知放送信号を生成し、送信手段は、信号生成手段により生成された告知放送信号を送信し、音声入力手段が音声の入力の受付を終了した後、信号生成手段は、記録手段に記録された音声に基づいて告知放送信号を生成し、送信手段は、信号生成手段により生成された告知放送信号を連続して繰り返し送信するので、センター装置の操作者は緊急放送の内容を音声入力手段に1回入力すればよく、操作者自身が緊急放送を繰り返し実施しなくとも緊急放送を連続して繰り返すことができ、受信機から緊急放送を繰り返し音声出力させることができる。
【0020】
また、請求項3に記載の送信装置によれば、記録手段は、複数種類の告知放送用の情報を記録し、信号生成手段は、記録手段に記録されている複数種類の告知放送用の情報の一部又は全部に基づいて複数種類の告知放送信号を生成し、送信手段は、信号生成手段により生成された複数種類の告知放送信号を、所定の順序で連続して繰り返し送信するので、センター装置の操作者自身が緊急放送の内容を入力しなくとも緊急放送を連続して繰り返すことができ、センター装置の操作者の安全を確保することができる。
【0021】
また、請求項4に記載の送信装置によれば、信号生成手段は、記録手段に記録されている告知放送用の情報に、当該情報の先頭又は末尾の少なくとも一方を示す区切り情報を付加して、告知放送信号を生成するので、1つの放送が開始されてから一定時間経過した場合に当該放送の受信を停止する仕様の受信機についても、各告知放送信号を確実に受信機に受信させ、当該受信機から確実に緊急放送を繰り返し音声出力させることができる。これにより、センター装置の操作者の安全を確保しつつ、受信機の利用者が緊急放送を聞き逃すことを防止できる。
【0022】
また、請求項6に記載の告知放送システムによれば、音量制御手段は、連続して繰り返し送信された告知放送信号による告知放送を出力手段が連続して繰り返し音声出力する間に、当該出力手段による音声出力の音量を、音声出力の繰り返し回数に応じて変化させるので、繰り返し音声出力される告知放送の音量を、適切な音量に調整することができる。
【0023】
また、請求項7に記載の告知放送システムによれば、音量制御手段は、告知放送信号が連続して繰り返し送信された回数に応じて、出力手段による音声出力の音量を変化させるので、告知放送の音量を、繰り返し回数に応じた適切な音量に調整することができる。
【0024】
また、請求項8に記載の告知放送システムによれば、音量制御手段は、受信手段が受信した告知放送信号に含まれる送信回数情報に基づき、当該受信手段が受信した告知放送信号の送信回数を特定し、当該特定した送信回数に応じて、出力手段による音声出力の音量を変化させるので、告知放送の音量を、繰り返し回数に応じた適切な音量に確実に調整することができる。
【0025】
また、請求項9に記載の告知放送システムによれば、音量制御手段は、受信手段が受信した告知放送信号に含まれる音量情報に基づき、出力手段による音声出力の音量を変化させるので、繰り返し音声出力される告知放送の音量を、適切な音量に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係る送信装置及び告知放送システムの構成図である。
【図2】信号生成部により生成された告知放送信号に含まれる情報(電文データ)の構成を例示した図である。
【図3】受信機の正面図である。
【図4】送信装置及び告知放送システムが実行する告知放送処理のフローチャートである。
【図5】表示部に表示された種別選択画面を例示した図である。
【図6】緊急放送処理のフローチャートである。
【図7】図6に続く緊急放送処理のフローチャートである。
【図8】表示部に表示された情報選択画面を例示した図である。
【図9】表示部に表示された放送中画面を例示した図である。
【図10】一般放送処理のフローチャートである。
【図11】受信機が実行する受信処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る送信装置及び告知放送システムの実施の形態を詳細に説明する。最初に、この送信装置を備えて構成された告知放送システムの全体構成を説明し、次に、送信装置の構成、及び告知放送システムが実行する処理について説明し、最後に本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、本実施の形態に係る送信装置の設置対象や適用対象は任意であるが、以下では、役場内に設置された送信装置に適用した場合を例として説明を行う。
【0028】
(構成−告知放送システム)
最初に、この実施の形態に係る告知放送システムの構成を説明する。図1は、実施の形態に係る送信装置及び告知放送システムの構成図である。この図1に示すように、告知放送システム1は、役場内に設置されたセンターシステム10、各住戸内に設置された受信機20(告知放送受信機)、及びセンターシステム10から送信された信号を受信機20に送信する伝送系統40を備えている。
【0029】
このうち、センターシステム10は告知放送に関する情報を管理する。また、伝送系統40は、ヘッドエンド41、及びヘッドエンド41から各住戸の受信機20に至る伝送線路42を備えている。ヘッドエンド41は、センターシステム10から送信された信号を受信し、この信号を各住戸側へ伝送するための信号に変換した上で伝送線路42に送出する送信手段である。伝送線路42は、告知放送信号を送信する送信線路であり、例えば、CATV信号を伝送するCATV伝送線路(同軸ケーブル)を用いて構成される。この伝送線路42には、アンプ43、分配増幅器44、分配器46、及び保安器48が配置されている。
【0030】
アンプ43は、伝送線路42を流れる信号を増幅する増幅手段である。分配増幅器44は、信号を増幅した上で、各住戸に向けて分配する分配増幅手段である。分配器46は、分配増幅器44にて増幅された信号を各住戸に向けて分配する分配手段である。保安器48は、各住戸に設けられ、伝送線路42に乗って受信機20に至る直流成分を制御する。なお、特記する構成を除き、センターシステム10、伝送系統40、及び受信機20は、公知の装置又は公知のシステムと同様に構成することができる。
【0031】
(構成−センターシステム)
次に、センターシステム10の構成について説明する。図1に示すように、センターシステム10は、表示部11、BGM源12、及び送信装置70を備えている。
【0032】
(構成−センターシステム−表示部、BGM源)
表示部11は、所要の情報を操作者に向けて表示する表示手段であり、例えば、モニタ及び表示灯(いずれも図示省略)を有する。BGM源12は、告知放送用の背景音楽の音源になる音源手段である。
【0033】
(構成−センターシステム−送信装置)
送信装置70は、受信機20に告知放送信号を送信するものである。図1に示すように、この送信装置70は、操作部71、マイク72、送信部73、制御部75、及びデータ記録部76を備えている。
【0034】
操作部71は、送信装置70に対する各種の操作入力を受け付ける操作手段であり、繰り返し放送用スイッチ、及び放送用スイッチを備えている(いずれも図1では図示省略)。繰り返し放送用スイッチは、告知放送信号を連続して繰り返し送信する旨の指示操作を受け付けるスイッチである。放送用スイッチは、告知放送の種別を選択する操作や、マイク72を介して入力された音声を内容とする告知放送信号を送信する旨の指示操作等を受け付けるスイッチである。この操作部71としては、例えば、各種のスイッチやタッチパネル等の公知の操作手段を用いて構成することができる。
【0035】
マイク72は、告知放送用の音声の入力を受け付ける音声入力手段である。送信部73は、制御部75により生成された告知放送信号を、連続して繰り返し送信する送信手段である。
【0036】
制御部75は、送信装置70の各部を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するための内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(後述する受信機20の制御部29についても同じ)。この制御部75は、機能概念的に、信号生成部75aを備えている。信号生成部75aは、データ記録部76に記録されている告知放送用の情報に基づいて告知放送信号を生成する信号生成手段である。なお、この制御部75によって実行される処理の詳細については後述する。
【0037】
図2は、信号生成部75aにより生成された告知放送信号に含まれる情報(電文データ)の構成を例示した図である。この図2に示すように、告知放送信号は、例えば、アドレス/グループ、種別コード、スタートコード、告知データ、及びストップコードを含んで構成される。このうち、アドレス/グループは、告知放送信号の宛て先を特定するための情報であり、例えば宛て先となる受信機20を一意に識別する個別アドレスや、宛て先となる複数の受信機20が属するグループを一意に識別するグループアドレス等が含まれる。種別コードは、告知放送の種別(例えば一般放送や緊急放送等)を特定するための情報である。スタートコードは、告知放送用の情報の先頭を示す区切り情報である。告知データは、データ記録部76に記録されている告知放送用の情報、又はマイク72を介して入力された音声に基づいて生成されたデータであり、具体的には音声データである。ストップコードは、告知放送用の情報の末尾を示す区切り情報である。なお、スタートコード又はストップコードの一方を省略してもよい。
【0038】
図1に戻り、データ記録部76は、告知放送用の情報を記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述する受信機20のデータ記録部30についても同じ)。なお、前述の制御部75に設けられたRAMやROMをデータ記録部76の一部または全部として適宜利用することができる。このデータ記録部76は、複数種類の告知放送用の情報(すなわち告知データ。例えば、マイク72を介して入力された音声情報や、予め記録された避難指示情報等)や、告知放送信号の生成に用いる各種情報(例えばアドレス/グループ、種別コード、スタートコード、ストップコード等)を記録している。
【0039】
(構成−受信機)
次に、受信機20の電気的構成について説明する。図1に示したように、受信機20は、受信部21、音声切換え部22、音声記録部23、音量調整部24、アンプ25、スピーカ26、操作部27、表示部28、制御部29、及びデータ記録部30を備えている。
【0040】
受信部21は、送信装置70から送信された告知放送信号を復調する告知放送復調手段であり、音声情報を音声切換え部22に出力する。音声切換え部22は、受信部21から出力された音声情報を音声記録部23又は音量調整部24に出力し、あるいは、音声記録部23から出力された音声情報を音量調整部24に出力する音声切換え手段である。音声記録部23は、音声情報を所定回数だけ録音する音声情報格納手段である。音量調整部24は、音声切換え部22から出力された音声情報の音量を調整してアンプ25に出力する。この音声情報は、アンプ25にて増幅された後、スピーカ26から出力される。スピーカ26は、音声記録部23にて録音された音声情報を再生するための音声出力手段である。操作部27は、当該受信機20に対する各種の操作入力を受け付ける操作手段である。表示部28は、受信機20に関する各種情報を表示するための表示手段である。制御部29は、受信機20の各部を制御する制御手段である。データ記録部30は、受信機20の各種制御に必要な情報を記録する記録手段であり、例えば受信機20毎に設定される個別アドレスや、当該受信機20が属するグループを示すグループアドレス等が記録されている。
【0041】
図3は、受信機20の正面図である。受信機20は、方形箱状の筐体の内部に、上述した当該受信機20の各部のうち、操作部27、及び表示部28を除く各部を収容している。操作部27としては、具体的には、FM放送を選択するためのFM放送選択スイッチ27a、録音された告知放送の再生を指示するための告知再生スイッチ27b、及び放送音量を調節するためのボリュームスイッチ27cが設けられている。表示部28としては、具体的には、電源ON時に点灯する電源表示灯28a、緊急放送時に点灯又は点滅する緊急放送表示灯28b、一般放送時に点灯又は点滅する一般放送表示灯28c、及び受信部21によって受信された各種信号の受信状態を表示する状態表示部28d(例えば1桁の7セグメント表示及びドット表示を行う公知の7セグメントLED(Light Emitting Diode))を備える。
【0042】
(処理)
次に、このように構成された告知放送システム1が実行する処理について説明する。告知放送システム1が実行する処理は、送信装置70が実行する告知放送処理と、受信機20が実行する受信処理とに大別される。以下、これらの告知放送処理と受信処理とについて説明する。
【0043】
(処理−告知放送処理)
まず、告知放送処理について説明する。図4は、送信装置70及び告知放送システム1が実行する告知放送処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この告知放送処理は、例えば送信装置70の電源が投入された場合に起動される。
【0044】
図4に示すように、告知放送処理が起動されると、制御部75は、告知放送の種別の選択を受け付けるための種別選択画面を表示部11に表示させる(SA1)。図5は、表示部11に表示された種別選択画面を例示した図である。この図5に示すように、制御部75は、例えば告知放送の各種別(図5では「緊急放送」及び「一般放送」)を示すボタンを表示部11に表示させる。
【0045】
図4に戻り、SA1の処理の後、制御部75は操作部71を介して告知放送の種別が選択されるまで待機する(SA2、No)。そして、操作部71を介して告知放送の種別が選択された場合(SA2、Yes)、制御部75は、選択された告知放送の種別が緊急放送又は一般放送のいずれであるかを判定する(SA3)。
【0046】
その結果、選択された告知放送の種別が緊急放送である場合(SA3、緊急)、制御部75は緊急放送処理を実行する(SA4)。一方、選択された告知放送の種別が一般放送である場合(SA3、一般)、制御部75は一般放送処理を実行する(SA5)。SA4又はSA5の処理を行った後、制御部75は告知放送処理を終了する。
【0047】
(処理−告知放送処理−緊急放送処理)
ここで、緊急放送処理について説明する。図6及び図7は緊急放送処理のフローチャートである。図6に示すように、緊急放送処理が開始されると、制御部75は、データ記録部76に記録されている告知放送用の情報(例えば、マイク72を介して入力された音声情報や、予め記録された避難指示情報等)の選択を受け付けるための情報選択画面を表示部11に表示させる(SB1)。図8は、表示部11に表示された情報選択画面を例示した図である。この図8に示すように、制御部75は、例えばデータ記録部76に記録されている告知放送用の各情報を示すリスト(図8では「避難指示」や「屋内退避指示」)を表示部11に表示させる。
【0048】
図6に戻り、SB1の処理の後、制御部75は、データ記録部76に記録されている告知放送用の情報が操作部71を介して選択されたか否かを判定する(SB2)。その結果、データ記録部76に記録されている告知放送用の情報が操作部71を介して選択された場合(SB2、Yes)、制御部75は当該選択された情報をデータ記録部76から読み出す(SB3)。
【0049】
SB2においてデータ記録部76に記録されている告知放送用の情報が操作部71を介して選択されなかった場合(SB2、No)、又はSB3の処理の後、制御部75は、操作部71を介して告知放送を繰り返す旨の指示が入力されたか否かを判定する(SB4)。例えば図8に示したように、SB1において表示部11に繰り返し放送用スイッチとして「繰り返し」ボタンを表示させておき、操作部71を介してこの「繰り返し」ボタンが選択された場合に、告知放送を繰り返す旨の指示が入力されたと判定する。
【0050】
図6に戻り、SB4の判定の結果、操作部71を介して告知放送を繰り返す旨の指示が入力された場合(SB4、Yes)、信号生成部75aは放送開始データを生成し、当該生成した放送開始データを送信部73から送信させる(SB5)。ここで放送開始データとは、告知放送用の情報に先立って送信されるデータであり、図2の例では、アドレス/グループ、種別コード、及びスタートコードが含まれる。例えば信号生成部75aは、データ記録部76に記録されている情報に基づき、緊急放送の宛て先が全ての受信機20であることを示すアドレス、告知放送の種別が緊急放送であることを示す種別コード、及びスタートコードを含む放送開始データを生成し、送信部73から送信させる。
【0051】
図6に戻り、SB5の処理の後、信号生成部75aは、SB3でデータ記録部76から読み出された情報に基づいて告知データを生成し、当該生成した告知データを送信部73から送信させる(SB6)。例えば信号生成部75aは、SB3でデータ記録部76から読み出された「避難指示」あるいは「屋内退避指示」等の音声情報に基づいて告知データを生成し、送信部73から送信させる。
【0052】
続いて信号生成部75aは、ストップコードを生成し、当該生成したストップコードを送信部73から送信させる(SB7)。例えば信号生成部75aは、データ記録部76に記録されている情報に基づいてストップコードを生成し、送信部73から送信させる。
【0053】
次に制御部75は、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されたか否かを判定する(SB8)。例えば、SB5で信号生成部75aが放送開始データを送信部73から送信させる際に、制御部75が表示部11に「放送終了」ボタンを表示させておき、操作部71を介してこの「放送終了」ボタンが選択された場合に、告知放送を終了させる旨の指示が入力されたと判定する。
【0054】
その結果、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されていない場合(SB8、No)、SB5に戻り、信号生成部75aは放送開始データを生成し、当該生成した放送開始データを送信部73から送信させる。以降、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されるまで、SB5からSB8の処理を繰り返す。
【0055】
なお、SB2において、データ記録部76に記録されている複数種類の告知放送用の情報が選択され、SB3でデータ記録部76から読み出されている場合、信号生成部75aは、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されるまで繰り返し実行されるSB6の処理において、SB2で選択されSB3でデータ記録部76から読み出された複数種類の告知放送用の情報の中から一種類の情報を選択し、当該選択した情報に基づいて告知データを生成し、送信部73から送信させる。ここで、SB6の処理が繰り返される毎に、データ記録部76から読み出された複数種類の告知放送用の情報の中から選択する情報を順次変更することにより、データ記録部76に記録されている複数種類の告知放送用の情報の一部又は全部に基づいて複数種類の告知放送信号が生成され、当該生成された複数種類の告知放送信号が、所定の順序で連続して繰り返し送信されることとなる。
【0056】
一方、SB8において、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力された場合(SB8、Yes)、制御部75は緊急放送処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0057】
また、SB4において、操作部71を介して告知放送を繰り返す旨の指示が入力されていない場合(SB4、No)、信号生成部75aは操作部71を介して告知放送を開始する旨の指示が入力されたか否かを判定する(SB9)。例えば図8に示したように、SB1において表示部11に放送用スイッチとして「放送開始」ボタンを表示させておき、操作部71を介してこの「放送開始」ボタンが選択された場合に、告知放送を開始する旨の指示が入力されたと判定する。
【0058】
図6に戻り、SB9の判定の結果、操作部71を介して告知放送を開始する旨の指示が入力されていない場合(SB9、No)、制御部75はSB2に戻る。以降、操作部71を介して告知放送を繰り返す旨の指示が入力されるか(SB4、Yes)、操作部71を介して告知放送を開始する旨の指示が入力される(SB9、Yes)まで、制御部75はSB2からSB4及びSB9の処理を繰り返す。
【0059】
一方、操作部71を介して告知放送を開始する旨の指示が入力された場合(SB9、Yes)、信号生成部75aは放送開始データを生成し、当該生成した放送開始データを送信部73から送信させる(SB10)。
【0060】
続いて信号生成部75aは、マイク72により音声入力の受付を開始させ、マイク72が入力を受け付けた音声をデータ記録部76に記録すると共に、入力された音声に基づいて告知データを生成し、当該生成した告知データを送信部73から送信させる(SB11)。このとき制御部75は、マイク72を介して入力された音声を告知放送中であることを示す放送中画面を表示部11に表示させる。図9は、表示部11に表示された放送中画面を例示した図である。この図9に示すように、制御部75は、マイク72を介して入力された音声を告知放送中であることが表示されると共に(図9では「生放送中」)、告知放送を繰り返す旨の指示を入力するための「繰り返し」ボタン、及び告知放送を終了させる旨の指示を入力するための「放送終了」ボタンを表示部11に表示させる。
【0061】
図6に戻り、制御部75は、操作部71を介して告知放送を繰り返す旨の指示が入力されたか否かを判定する(SB12)。例えば図9に示したように、SB11において表示部11に「繰り返し」ボタンを表示させておき、操作部71を介してこの「繰り返し」ボタンが選択された場合に、告知放送を繰り返す旨の指示が入力されたと判定する。
【0062】
図6に戻り、SB12の判定の結果、操作部71を介して告知放送を繰り返す旨の指示が入力された場合(SB12、Yes)、図7に進み、信号生成部75aは、マイク72による音声の入力の受け付けを終了させると共に、ストップコードを生成し、当該生成したストップコードを送信部73から送信させる(SB13)。
【0063】
続いて信号生成部75aは、放送開始データを生成し、当該生成した放送開始データを送信部73から送信させる(SB14)。
【0064】
続いて信号生成部75aは、SB11でデータ記録部76に記録された音声に基づいて告知データを生成し、当該生成した告知データを送信部73から送信させる(SB15)。
【0065】
SB15において告知データの送信を完了した後、信号生成部75aはストップコードを生成し、当該生成したストップコードを送信部73から送信させる(SB16)。
【0066】
次に、制御部75は、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されたか否かを判定する(SB17)。例えば図9に示したように、SB11において表示部11に「放送終了」ボタンを表示させておき、操作部71を介してこの「放送終了」ボタンが選択された場合に、告知放送を終了させる旨の指示が入力されたと判定する。
【0067】
図7に戻り、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力された場合(SB17、Yes)、制御部75は緊急放送処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0068】
一方、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されていない場合(SB17、No)、SB14に戻り、信号生成部75aは放送開始データを生成し、当該生成した放送開始データを送信部73から送信させる。以降、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されるまで、SB14からSB17の処理を繰り返す。
【0069】
なお、図6のSB2において、データ記録部76に記録されている1種類以上の告知放送用の情報が選択され、SB3でデータ記録部76から読み出されている場合、信号生成部75aは、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されるまで繰り返し実行されるSB15の処理において、SB11でデータ記録部76に記録された音声、又はデータ記録部76から読み出された告知放送用の情報の中から一種類の情報を選択し、当該選択した情報に基づいて告知データを生成し、送信部73から送信させる。ここで、SB15の処理が繰り返される毎に、SB11でデータ記録部76に記録された音声又はデータ記録部76から読み出された告知放送用の情報の中から選択する情報を順次変更することにより、SB11でデータ記録部76に記録された音声、及びデータ記録部76に記録されている告知放送用の情報の一部又は全部に基づいて複数種類の告知放送信号が生成され、当該生成された複数種類の告知放送信号が、所定の順序で連続して繰り返し送信されることとなる。
【0070】
図6に戻り、SB12において、操作部71を介して告知放送を繰り返す旨の指示が入力されていない場合(SB12、No)、制御部75は、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されたか否かを判定する(SB18)。例えば図9に示したように、SB11において表示部11に「放送終了」ボタンを表示させておき、操作部71を介してこの「放送終了」ボタンが選択された場合に、告知放送を終了させる旨の指示が入力されたと判定する。
【0071】
図6に戻り、SB18の判定の結果、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されていない場合(SB18、No)、信号生成部75aはSB11に戻る。以降、SB12において操作部71を介して告知放送を繰り返す旨の指示が入力されるか(SB12、Yes)、SB18において操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力される(SB18、Yes)まで、SB11、SB12、及びSB18の処理を繰り返す。
【0072】
一方、SB18の判定の結果、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力された場合(SB18、Yes)、図7に進み、信号生成部75aは、マイク72による音声の入力の受け付けを終了させると共に、ストップコードを生成し、当該生成したストップコードを送信部73から送信させる(SB19)。その後、制御部75は緊急放送処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0073】
(処理−告知放送処理−一般放送処理)
続いて、一般放送処理について説明する。図10は一般放送処理のフローチャートである。図10に示すように、一般放送処理が開始されると、制御部75は、告知放送の宛て先とする範囲の入力を受け付けるための範囲選択画面を表示部11に表示させる(SC1)。この範囲選択画面では、例えば、特定の受信機20のアドレス、特定のグループ、あるいは、全ての受信機20を告知放送の宛て先として選択可能となっている。
【0074】
次に、信号生成部75aは、操作部71を介して告知放送の宛て先とする範囲が入力されると共に、告知放送を開始する旨の指示が入力されるまで待機する(SC2、No)。例えば、SC1で表示部11に表示させた範囲選択画面において、特定の受信機20のアドレス、特定のグループ、あるいは全ての受信機20が、操作部71を介して告知放送の宛て先として選択された場合に、告知放送の宛て先とする範囲が入力されたと判定する。また、SC1において表示部11に「放送開始」ボタンを表示させておき、操作部71を介してこの「放送開始」ボタンが選択された場合に、告知放送を開始する旨の指示が入力されたと判定する。
【0075】
操作部71を介して告知放送の宛て先とする範囲が入力されると共に、告知放送を開始する旨の指示が入力された場合(SC2、Yes)、信号生成部75aは放送開始データを生成し、当該生成した放送開始データを送信部73から送信させる(SC3)。例えば信号生成部75aは、データ記録部76に記録されている情報に基づき、一般放送の宛て先として選択された受信機20のアドレス又はグループ、告知放送の種別が一般放送であることを示す種別コード、及びスタートコードを含む放送開始データを生成し、送信部73から送信させる。
【0076】
図10に戻り、SC3の処理の後、信号生成部75aは、マイク72により音声入力の受付を開始させ、入力された音声に基づいて告知データを生成し、当該生成した告知データを送信部73から送信させる(SC4)。
【0077】
次に制御部75は、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されたか否かを判定する(SC5)。例えば、SC3で信号生成部75aが放送開始データを送信部73から送信させる際に、制御部75が表示部11に「放送終了」ボタンを表示させておき、操作部71を介してこの「放送終了」ボタンが選択された場合に、告知放送を終了させる旨の指示が入力されたと判定する。
【0078】
その結果、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されていない場合(SC5、No)、制御部75はSC4に戻る。以降、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されるまで、SC4及びSC5の処理を繰り返す。
【0079】
一方、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力された場合(SC5、Yes)、信号生成部75aは、マイク72による音声の入力の受け付けを終了させると共に、ストップコードを生成し、当該生成したストップコードを送信部73から送信させる(SC6)。その後、制御部75は一般放送処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0080】
(処理−受信処理)
最後に、受信処理について説明する。図11は、受信機20が実行する受信処理のフローチャートである。この受信処理は、例えば受信機20の電源が投入された場合に起動され、所定周期にて繰り返し実行される。
【0081】
図11に示すように、受信処理が起動されると、制御部29は、受信部21により放送開始データが受信されるまで待機する(SD1、No)。
【0082】
そして、受信部21により放送開始データが受信されると(SD1、Yes)、当該受信された放送開始データに含まれるアドレス又はグループに基づき、告知放送信号の宛て先に自己の受信機20が含まれているか否かを判定する(SD2)。例えば、放送開始データに含まれるアドレス又はグループが、受信機20のデータ記録部30に予め記録されているアドレスやグループと一致した場合に、告知放送信号の宛て先に自己の受信機20が含まれていると判定する。
【0083】
その結果、告知放送信号の宛て先に自己の受信機20が含まれていない場合(SD2、No)、制御部29はSD1に戻る。以降、受信部21により放送開始データが受信され(SD1、Yes)、告知放送信号の宛て先に自己の受信機20が含まれていると判定される(SD2、Yes)まで、SD1及びSD2の処理を繰り返す。
【0084】
一方、告知放送信号の宛て先に自己の受信機20が含まれている場合(SD2、Yes)、制御部29は受信部21により受信された放送開始データに含まれる種別コードに基づき、告知放送の種別(例えば、緊急放送又は一般放送のいずれか)を判定する(SD3)。
【0085】
その結果、告知放送の種別が緊急放送である場合(SD3、緊急)、制御部29は緊急放送表示灯28bを点灯させ(SD4)、音量調整部24により音量を最大に設定させる(SD5)。
【0086】
一方、告知放送の種別が一般放送である場合(SD3、一般)、制御部29は一般放送表示灯28cを点灯させる(SD6)。
【0087】
SD5又はSD6の処理の後、制御部29は告知放送の音声出力を開始する(SD7)。すなわち制御部29は、告知放送信号に含まれる告知データを受信部21により音声情報に復調させ、当該音声情報を音声切換え部22、音量調整部24、及びアンプ25を介してスピーカ26から出力させる。
【0088】
続いて制御部29は、受信部21によりストップコードが受信されるまで待機する(SD8、No)。受信部21によりストップコードが受信された場合(SD8、Yes)、制御部29は告知放送の音声出力を停止する(SD9)。この場合、制御部29は、点灯させていた緊急放送表示灯28b又は一般放送表示灯28cを消灯させ、音量調整部24により音量を設定されていた音量に戻す。その後、制御部29は受信処理を終了する。
【0089】
上述の緊急放送処理において、送信装置70から告知放送信号が連続して繰り返し送信されている場合、この受信処理によって受信機20から緊急放送の音声出力が繰り返されることとなる。従って、利用者が受信機20に対して特定の操作を行わなくとも、緊急放送を繰り返し音声出力させることができ、利用者が緊急放送を聞き逃すことを防止できる。
【0090】
なお、SD8において受信部21によりストップコードが受信されていなくとも、何らかの原因によりストップコードの受信ができなかった可能性を考慮し、放送開始から一定時間経過してもストップコードが受信されなかった場合に当該放送の受信を停止する仕様の受信機20が存在する。このような受信機20に対して、送信装置70から告知データの送信のみを繰り返した場合、放送開始から一定時間経過後に受信機20における受信が停止されてしまうため、利用者が緊急放送を聞き逃す可能性が生じる。しかし本実施の形態の送信装置70は、上述の緊急放送処理において、告知データにスタートコード及びストップコードを付加した告知放送信号の送信を繰り返すので、送信が繰り返される毎に各告知放送信号が確実に受信機20により受信され、当該受信機20から緊急放送の音声出力が確実に繰り返されることとなる。なお、放送開始後にストップコードが受信されない場合において当該放送の受信を停止するまでの一定時間を、データ記録部76に記録されている告知データを1回放送するために要する時間よりも長く設定することで、緊急放送の音声出力が中断されることを防止できる。
【0091】
(効果)
このように実施の形態によれば、告知放送用の情報を記録するデータ記録部76と、データ記録部76に記録されている告知放送用の情報に基づいて告知放送信号を生成する信号生成部75aと、信号生成部75aにより生成された告知放送信号を、連続して繰り返し送信する送信部73とを備えるので、センター装置の操作者自身が緊急放送を繰り返し実施しなくとも緊急放送を連続して繰り返すことができ、受信機20から緊急放送を繰り返し音声出力させることができる。これにより、センター装置の操作者の安全を確保しつつ、受信機20の利用者が緊急放送を聞き逃すことを防止できる。
【0092】
また、データ記録部76は、マイク72が入力を受け付けた音声を記録し、マイク72が音声の入力を受け付けている間、信号生成部75aは、当該入力された音声に基づいて告知放送信号を生成し、送信部73は、信号生成部75aにより生成された告知放送信号を送信し、マイク72が音声の入力の受付を終了した後、信号生成部75aは、データ記録部76に記録された音声に基づいて告知放送信号を生成し、送信部73は、信号生成部75aにより生成された告知放送信号を連続して繰り返し送信するので、センター装置の操作者は緊急放送の内容をマイク72に1回入力すればよく、操作者自身が緊急放送を繰り返し実施しなくとも緊急放送を連続して繰り返すことができ、受信機20から緊急放送を繰り返し音声出力させることができる。
【0093】
また、データ記録部76は、複数種類の告知放送用の情報を記録し、信号生成部75aは、データ記録部76に記録されている複数種類の告知放送用の情報の一部又は全部に基づいて複数種類の告知放送信号を生成し、送信部73は、信号生成部75aにより生成された複数種類の告知放送信号を、所定の順序で連続して繰り返し送信するので、センター装置の操作者自身が緊急放送の内容を入力しなくとも緊急放送を連続して繰り返すことができ、センター装置の操作者の安全を確保することができる。
【0094】
また、信号生成部75aは、データ記録部76に記録されている告知放送用の情報に、当該情報の先頭又は末尾の少なくとも一方を示す区切り情報(すなわちスタートコード及びストップコード)を付加して、告知放送信号を生成するので、1つの放送が開始されてから一定時間経過した場合に当該放送の受信を停止する仕様の受信機20についても、各告知放送信号を確実に受信機20に受信させ、当該受信機20から確実に緊急放送を繰り返し音声出力させることができる。これにより、センター装置の操作者の安全を確保しつつ、受信機20の利用者が緊急放送を聞き逃すことを防止できる。
【0095】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0096】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0097】
(告知放送処理について)
上述の実施の形態では、図6及び7の告知放送処理において、信号生成部75aが、データ記録手段に記録されている告知放送用の情報に、区切り情報としてスタートコード及びストップコードの両方を付加する場合を例として説明したが、これらのスタートコード又はストップコードの一方を省略してもよい。なお、ストップコードの付加を省略した場合、図11の受信処理におけるSD8の処理を省略し、SD7において告知放送の音声出力を開始してから一定時間が経過した場合、又は新たな放送開始データを受信した場合に、それまでの告知放送の音声出力を停止する(SD9)。
【0098】
また、上述の実施の形態では、告知放送処理において、データ記録部76に記録されている複数種類の告知放送用の情報の一部又は全部に基づいて複数種類の告知放送信号が生成され、当該生成された複数種類の告知放送信号が、所定の順序で連続して繰り返し送信されると説明したが、複数種類の告知放送信号の送信順序を利用者が指定できるようにしてもよい。例えば、SB2においてデータ記録部76に記録されている告知放送用の情報が操作部71を介して選択された順序で、各告知放送用の情報に基づいて生成された告知放送信号を繰り返し送信するようにしてもよい。あるいは、告知放送信号の送信順序を特定するための順序情報を各告知放送用の情報に対応付けてデータ記録部76に記録しておき、当該順序情報に基づき、各告知放送用の情報に基づいて生成された告知放送信号の送信順序を決定するようにしてもよい。
【0099】
また、上述の実施の形態では、告知放送の種別が緊急放送の場合には全ての受信機20を宛て先とする場合を例として説明したが、告知放送信号を連続して繰り返し送信した回数に応じて、宛て先とする受信機20やグループを変化させるようにしてもよい。例えば、告知放送信号の送信回数が1回目の場合には全ての受信機20を宛て先とし、2回目以降は、予め設定されている特定のグループに属する受信機20のみを宛て先とするようにしてもよい。
【0100】
(受信処理について)
上述の実施の形態では、図11の受信処理において、告知放送が種別が緊急放送の場合には音量調整部24により音量を最大に設定させると説明したが、告知放送信号が連続して繰り返し送信された回数に応じて、音量を変化させるようにしてもよい。例えば、信号生成部75aは、送信部73から告知放送信号を連続して繰り返し送信させる際、告知放送信号の送信回数を特定する送信回数情報を放送開始データに含めておく。受信機20の制御部29は、受信部21が受信した放送開始データに含まれる送信回数情報に基づき、受信部21が受信した告知放送信号の送信回数を特定し、告知放送が種別が緊急放送の場合であって当該告知放送信号の送信回数が1回目の場合には、音量調整部24により音量を最大に設定させる。また、緊急放送の告知放送信号の送信回数が2回目以降の場合には、音量調整部24により音量を下げさせる(例えば音量を中程度に設定させる)。これにより、受信機20の利用者が緊急放送を聞き逃すことを防止しつつ、最大音量で告知放送が繰り返されることによる煩わしさを防止することができる。
【0101】
また、信号生成部75aが、送信部73から告知放送信号を連続して繰り返し送信させる際、音声出力時の音量を特定する音量情報を放送開始データに含めるようにしてもよい。この場合、受信機の制御部29は、受信部21が受信した放送開始データに含まれる音量情報に基づき音量を特定し、音量調整部24によって当該特定した音量に設定させる。例えば、告知放送が種別が緊急放送の場合であって当該告知放送信号の送信回数が1回目の場合には、信号生成部75aは、音量最大に対応する音量情報を放送開始データに含める。また、緊急放送の告知放送信号の送信回数が2回目以降の場合には、通常の音量(例えば中程度の音量)に対応する音量情報を放送開始データに含める。あるいは、告知放送信号の送信が繰り返される毎に、音量最大に対応する音量情報と通常の音量(例えば中程度の音量)に対応する音量情報とを、交互に放送開始データに含めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 告知放送システム
10 センターシステム
11、28 表示部
12 BGM源
20 受信機
21 受信部
22 音声切換え部
23 音声記録部
24 音量調整部
25、43 アンプ
26 スピーカ
27、71 操作部
27a FM放送選択スイッチ
27b 告知再生スイッチ
27c ボリュームスイッチ
28a 電源表示灯
28b 緊急放送表示灯
28c 一般放送表示灯
28d 状態表示部
29、75 制御部
30、76 データ記録部
40 伝送系統
41 ヘッドエンド
42 伝送線路
44 分配増幅器
46 分配器
48 保安器
70 送信装置
72 マイク
73 送信部
75a 信号生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機に告知放送信号を送信する送信装置であって、
前記告知放送用の情報を記録する記録手段と、
前記記録手段に記録されている告知放送用の情報に基づいて告知放送信号を生成する信号生成手段と、
前記信号生成手段により生成された告知放送信号を、連続して繰り返し送信する送信手段と、
を備える送信装置。
【請求項2】
音声の入力を受け付ける音声入力手段を備え、
前記記録手段は、前記音声入力手段が入力を受け付けた音声を記録し、
前記音声入力手段が音声の入力を受け付けている間、前記信号生成手段は、当該入力された音声に基づいて告知放送信号を生成し、前記送信手段は、当該信号生成手段により生成された告知放送信号を送信し、
前記音声入力手段が音声の入力の受付を終了した後、前記信号生成手段は、前記記録手段に記録された音声に基づいて告知放送信号を生成し、前記送信手段は、当該信号生成手段により生成された告知放送信号を連続して繰り返し送信する、
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記記録手段は、複数種類の前記告知放送用の情報を記録し、
前記信号生成手段は、前記記録手段に記録されている前記複数種類の告知放送用の情報の一部又は全部に基づいて複数種類の告知放送信号を生成し、
前記送信手段は、前記信号生成手段により生成された複数種類の告知放送信号を、所定の順序で連続して繰り返し送信する、
請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記信号生成手段は、前記記録手段に記録されている告知放送用の情報に、当該情報の先頭又は末尾の少なくとも一方を示す区切り情報を付加して、告知放送信号を生成する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の送信装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の送信装置と、
前記送信装置から送信された告知放送信号を受信する受信機と、
を備える告知放送システム。
【請求項6】
前記受信機は、
前記告知放送信号を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した告知放送信号による告知放送を音声出力する出力手段と、
前記連続して繰り返し送信された告知放送信号による告知放送を前記出力手段が連続して繰り返し音声出力する間に、当該出力手段による音声出力の音量を、音声出力の繰り返し回数に応じて変化させる音量制御手段と、を備える、
請求項5に記載の告知放送システム。
【請求項7】
前記音量制御手段は、前記告知放送信号が連続して繰り返し送信された回数に応じて、前記出力手段による音声出力の音量を変化させる、
請求項6に記載の告知放送システム。
【請求項8】
前記信号生成手段は、前記送信手段から前記告知放送信号を連続して繰り返し送信させる際、前記記録手段に記録されている告知放送用の情報に、当該告知放送信号の送信回数を特定する送信回数情報を付加して告知放送信号を生成し、
前記音量制御手段は、前記受信手段が受信した告知放送信号に含まれる前記送信回数情報に基づき、当該受信手段が受信した告知放送信号の送信回数を特定し、当該特定した送信回数に応じて、前記出力手段による音声出力の音量を変化させる、
請求項7に記載の告知放送システム。
【請求項9】
前記信号生成手段は、前記送信手段から前記告知放送信号を連続して繰り返し送信させる際、前記記録手段に記録されている告知放送用の情報に、音量を特定する音量情報を付加して告知放送信号を生成し、
前記音量制御手段は、前記受信手段が受信した告知放送信号に含まれる前記音量情報に基づき、前記出力手段による音声出力の音量を変化させる、
請求項6に記載の告知放送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−16993(P2013−16993A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147614(P2011−147614)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】