説明

送受信システムおよび送受信方法

【課題】無線型伝送装置の存在位置を検知する。
【解決手段】外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との間において、負荷変調方式に従って周波数13.56MHzの搬送波がやりとりされる。外部発信受信装置10は、搬送波の送信レベルを順次変更ことによって振幅レベルが互いに異なる複数の送信信号を順次送信する。無線型伝送装置20は、外部発信受信装置10からの送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると、その送信信号の送信レベルに基づいて外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との間の通信距離を求める。無線型伝送装置20は、求めた通信距離を示す距離情報を含む返信信号に基づいて外部発信受信装置からの搬送波を負荷変調することによって、返信信号を送信する。また、外部発信受信装置10は、外部発信受信装置10からの返信信号の中から距離情報を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、負荷変調方式に従って無線型伝送装置と外部発信受信装置とが通信する送受信システム,および負荷変調方式に従って無線型伝送装置と外部発信受信装置との間で実行される送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、外部発信受信装置と無線型伝送装置とが無線周波数帯域の電波を利用して非接触にてデータ信号をやりとりする送受信システムが実用化されている。無線型伝送装置の代表例として、いわゆるRFID(Radio Frequency Identification)タグがある。RFIDタグは、無線タグとも呼ばれ、各種の周波数帯域で利用されている。
【0003】
例えば、13.56MHzを通信周波数としている無線タグ(所謂ICカード)では、外部発信受信装置(例えば、リーダライタ)と無線型伝送装置(例えば、無線タグ)との間で、次のような通信が実行される。ここでは、無線タグからの返信方式が負荷変調方式である場合について説明する。
【0004】
まず、リーダライタにおいて、送信データに基づいて13.56MHzの搬送波が振幅変調(Amplitude Shift Keying;ASK)されて、変調搬送波に応じた電磁波(またはマイクロ波)が送受信コイルから送信される。
【0005】
次に、無線タグにおいて、リーダライタからの電磁波が送受信コイルによって受信され、内部回路の動作用電源電力が生成される。無線タグの中には、電池のような駆動電源を備えるものもあり、その場合は、受信信号より駆動電力を生成しなくても良い。また、復調回路によってその変調搬送波から送信データが復元され、無線タグに搭載されたマイコンは、その送信データに従って返信データ(例えば、記憶部が記憶するデータ列)を読み出す。また、無線タグの出力回路は、返信データに基づいて副搬送波(例えば、212kHzの副搬送波)を振幅変調し、その変調副搬送波に従って送受信コイルに対するインピーダンスを変化させる。
【0006】
一方、リーダライタは、一定振幅の搬送波に応じた電磁波を送信している。ここで、無線タグにおけるインピーダンス変化に応じて、リーダライタの送受信コイルに対するインピーダンスも変化する。これにより、リーダライタにおける搬送波が負荷変調されるので、無線タグから返信データに応じた副搬送波が送られたことになる。
【0007】
このようにして、リーダライタは、無線タグに記憶された情報を非接触で取得することができる。
【0008】
また、外部発信受信装置と無線型伝送装置とが通信できる範囲は、外部発信受信装置からの信号(電波)の強弱によって決定される。つまり、従来の送受信システムでは、一定の通信可能範囲を確保するために、外部発信受信装置は、その通信可能範囲に応じて一定レベルの信号を送信するように設定されている。
【0009】
また、上記送受信システムは、様々な分野に適用することができる。例えば、収容容器に無線タグを取り付け、収容容器に収容された内容物(固体,液体,または気体)の特性に関するデータ(例えば、種類,濃度、製造年月日等)をその無線タグに記憶させる。このようにすれば、内容物に関する情報を非接触で容易に取得することができ、収容容器に収容された内容物を認識することができる。このような内容物の認識は、例えば、メタノール水溶液を直接燃料として発電するDMFC(直接メタノール型燃料電池)にとって必要となる。DMFCでは、円滑に発電し最大出力を得るために、燃料となるメタノール水溶液の濃度を管理することが重要である。
【特許文献1】特開平9−130999号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の送受信システムでは、外部発信受信装置と無線型伝送装置との間において情報を非接触で必ず交換できることが前提になっている。つまり、無線型伝送装置が、通信可能範囲(外部発信受信装置と無線型伝送装置が通信可能な範囲)内に存在していることが前提になっている。したがって、無線型伝送装置が通信可能範囲内に存在しない場合については議論されていない。従来の送受信システムでは、外部発信受信装置からの信号に応じて無線型伝送装置が外部発信受信装置に交信するだけであり、無線型伝送装置の存在位置を検出するための工夫は、従来、提案されていない。
【0011】
また、液体や気体等の商品を収容容器に収容して取り扱う際に、収容容器に収容されている内容物の内容量を管理することが求められる場合が多い。例えば、DMFCにおいて、発電を継続させるためにはメタノール水溶液の残量を管理することが必要である。一般的に、内容物が液体の場合、内容量を管理する方法としては、内容物の導電性や誘電率に基づいて液面レベルを推計する方法や、超音波の反射を利用して液面レベルを推計する方法がある。しかしながら、液面レベルを推計するための回路の部品点数が多いので回路規模が大きくコストが高いので、実用性が低いと言う課題を有する。
【0012】
本発明は、無線型伝送装置の存在位置を検知することを目的とする。さらに詳しくは、本発明は、無線型伝送装置の存在位置を検知することによって内容量を管理することができるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの局面に従うと、送受信システムでは、外部発信受信装置と、無線型伝送装置とが通信する。外部発信受信装置は、搬送波を送信するとともに搬送波の送信レベルを順次変更することによって振幅レベルが互いに異なる複数の送信信号を順次送信する。無線型伝送装置は、外部発信受信装置からの搬送波を負荷変調する。無線型伝送装置は、第1の送受信部と、信号状態検知部と、第1の制御部と、返信信号供給部とを備える。第1の送受信部は、外部発信受信装置からの搬送波を受信する。信号状態検知部は、第1の送受信部によって受信された送信信号の受信状態を検知する。第1の制御部は、信号状態検知部によって検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると、送信信号の送信レベルに基づいて外部発信受信装置と無線型伝送装置との間の通信距離を求め、求めた通信距離を示す距離情報を含む返信情報を出力する。返信信号供給部は、第1の制御部からの返信情報に基づいて返信信号を生成し、生成した返信信号を供給する。第1の送受信部は、返信信号供給部によって供給された返信信号に基づいて外部発信受信装置からの搬送波を負荷変調することによって、当該返信信号を送信する。返信信号には、第2の制御部によって求められた通信距離を示す距離情報が含まれている。外部発信受信装置は、第2の制御部と、送信信号供給部と、レベル設定部と、第2の送受信部と、情報検出部とを備える。第2の制御部は、互いに異なる振幅レベルを示す複数のレベル情報を順次出力するとともに、複数の送信情報を順次出力する。送信信号供給部は、搬送波を供給するとともに、第2の制御部からの送信情報を受け取ると当該送信情報に基づいて搬送波を変調することによって送信信号を供給する。レベル設定部は、送信信号供給部から供給される搬送波の送信レベルを、第1の制御部から出力されたレベル情報に示された振幅レベルに設定する。第2の送受信部は、上記レベル設定部によって送信レベルが設定された搬送波を送信する。また、第2の送受信部は、無線型伝送装置における負荷変調によって送信された返信信号を受信する。情報検出部は、第2の送受信部によって受信された返信信号の中から距離情報を検出する。
【0014】
上記送受信システムでは、通信距離は、送信信号の送信レベル,および送信信号の受信状態によって定めることができる。ここで、送信信号の受信状態が予め定められた状態になっている場合、第1の制御部は、送信信号の送信レベルと通信距離との関係を考慮して、送信信号の送信レベルに基づいて通信距離を求めることができる。このように、無線型伝送装置までの距離を求めることができるので、無線型伝送装置の存在位置を検出することができる。
【0015】
好ましくは、上記第2の制御部から出力される送信情報には、上記複数のレベル情報のうち当該送信情報とともに出力されるレベル情報が含まれている。上記第1の制御部は、上記第1の送受信部によって受信された送信信号の中からレベル情報を検出し、上記信号状態検知部によって検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると、検出したレベル情報に示された振幅レベルに基づいて上記通信距離を求める。
【0016】
上記送受信システムでは、複数の送信信号の各々の送信レベルは、その送信信号に含まれるレベル情報が示す振幅レベルになっている。第1の制御部は、送信信号に含まれるレベル情報からその送信信号の送信レベルを把握することができる。
【0017】
好ましくは、上記第2の制御部は、上記第2の送受信部によって最初の送信信号が送信された時点からの経過時間を計時し、当該経過時間に応じた振幅レベルを示すレベル情報を出力する。上記第1の制御部は、上記第1の送受信部によって上記最初の送信信号が受信された時点からの経過時間を計時し、上記信号状態検知部によって検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断したときの経過時間に基づいて上記通信距離を求める。
【0018】
上記送受信システムでは、外部発信受信装置は、最初の送信信号が送信された後、予め定められたタイミングに従ってレベル情報に示された振幅レベルを順次更新することによって、複数の送信信号を順次送信する。第1の制御部は、経過時間を管理することによって、外部発信受信装置から送信される送信信号の振幅レベル(送信レベル)を把握することができる。
【0019】
好ましくは、上記第2の制御部は、上記第2の送受信部による送信信号の送信回数を計数し、当該送信回数に応じた振幅レベルを示すレベル情報を出力する。上記第1の制御部は、上記第1の送受信部による送信信号の受信回数を計数し、上記信号状態検知部によって検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断したときの受信回数に基づいて上記通信距離を求める。
【0020】
上記送受信システムでは、外部発信受信装置は、送信信号を送信した回数に応じてレベル情報に示された振幅レベルを順次更新することによって、複数の送信信号を送信する。第1の制御部は、送信信号の受信回数を管理することによって、外部発信受信装置から送信される送信信号の振幅レベル(送信レベル)を把握することができる。
【0021】
好ましくは、上記信号状態検知部は、上記第1の送受信部によって受信された送信信号の振幅レベルを測定する。上記第1の制御部は、上記信号状態検知部によって測定された送信信号の振幅レベルが所定レベルであると、当該送信信号の送信状態が所定条件を満たしていると判断する。
【0022】
好ましくは、上記信号状態検知部は、上記第1の送受信部によって受信された送信信号に発生している誤り箇所の個数を計数する。上記第1の制御部は、上記信号状態検知部によって計数された誤り箇所数が所定数であると、当該送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断する。
【0023】
好ましくは、上記送信信号供給部は、上記第2の制御部からの送信情報を受け取ると、当該送信情報に対応し且つ振幅レベルの変動が連続する区間が設けられた送信信号を生成し、当該生成した送信信号を供給する。
【0024】
上記送受信システムでは、信号状態検知部は、送信信号のうち振幅レベルの変動が連続する区間において送信信号の受信状態を検知すると、正確な受信状態を取得することができる。これにより、送信信号の受信状態が所定条件を満たしているか否かを正確に判断することができる。
【0025】
また、振幅レベルの変動が連続する区間を有する返信信号を生成するために、例えば、上記送信信号供給部が、ランダムなデータ値を示すデータ列を送信情報に掛け合わせ、その送信情報に基づいて搬送波を変調することによって、送信信号を生成しても良い。これにより、送信信号のうちランダムなデータ列が掛け合わされた区間では、送信信号の振幅レベルが連続して変動する。
【0026】
好ましくは、上記送受信システムは、収容容器をさらに備える。収容容器は、所定内容物を収容し、且つ、その内容物の内容量の増減に応じて上記通信距離が変化するように上記無線型伝送装置が設けられる。上記第2の制御部は、さらに、上記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、所定内容物の内容量を求める。
【0027】
上記送受信システムでは、通信距離と内容量との関係を考慮すれば、制御部は、通信距離から内容量を導くことができる。これにより、収容容器に収容された内容物の内容量を管理することができる。
【0028】
好ましくは、上記送受信システムは、液状である所定内容物が収容される収容容器と、収容容器に収容された所定内容物の液面に浮遊する浮遊部材とをさらに備える。上記無線型伝送装置は、上記浮遊部材の表面に設けられる。上記第2の制御部は、上記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、収容容器に収容された所定内容物の内容量を求める。
【0029】
上記送受信システムでは、収容容器に収容された内容物の内容量の増減に応じて、浮遊部材は上下に移動する。また、内容量の変動に応じて通信距離も変化する。通信距離と内容量との関係を考慮すれば、制御部は、通信距離から内容量を導くことができる。これにより、収容容器に収容された内容物の内容量を管理することができる。通信距離と内容量との関係を一義的にするためには、例えば、外部発信受信装置の第2の送受信部を、上記浮遊部材の移動方向に対応する位置(例えば、浮遊部材の移動方向の延長線上)に配置すれば良い。
【0030】
好ましくは、上記送受信システムは、所定内容物が収容される収容容器と、隔壁部材とをさらに備える。隔壁部材は、収容容器の内部に配置され、且つ、収容容器に収容された所定内容物の内容量の増減に応じて移動する。上記無線型伝送装置は、上記隔壁部材に設けられる。上記第2の制御部は、上記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、収容容器に収容された所定内容物の内容量を求める。
【0031】
上記送受信システムでは、収容容器に収容された内容物の内容量の増減に応じて、通信距離も変化する。通信距離と内容量との関係を考慮すれば、制御部は、通信距離から内容量を導くことができる。これにより、収容容器に収容された内容物の内容量を管理することができる。通信距離と内容量との関係を一義的にするためには、例えば、上記外部発信受信装置の第2の送受信部を、上記隔壁部材の移動方向に対応する位置(例えば、隔壁部材の移動方向の延長線上)に配置すれば良い。
【0032】
好ましくは、上記送受信システムは、所定内容物が収容され、且つ、その内容物の内容量の増減に応じて外形状が伸縮する収容容器をさらに備える。上記無線型伝送装置は、上記収容容器の表面に設けられる。上記第2の制御部は、上記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、収容容器に収容された所定内容物の内容量を求める。
【0033】
上記送受信システムでは、収容容器に収容された内容物の内容量の増減に応じて、通信距離も変化する。通信距離と内容量との関係を考慮すれば、制御部は、通信距離から内容量を導くことができる。これにより、収容容器に収容された内容物の内容量を管理することができる。通信距離と内容量との関係を一義的にするためには、例えば、上記外部発信受信装置の第2の送受信部を、収容容器の伸縮方向に対応する位置(例えば、伸縮方向の延長線上)に配置すれば良い。
【0034】
好ましくは、上記送受信システムは、液体燃料を用いて発電する発電部を含む燃料電池ユニットをさらに備える。上記収容容器は、発電部によって使用される液体燃料を収容する。上記第2の制御部は、上記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、上記収容容器に収容された液体燃料の内容量を求める。
【0035】
上記送受信システムでは、収容容器に収容された液体燃料の内容量を管理することができる。
【0036】
好ましくは、上記送受信システムは、所定輸液を収容する輸液収容容器と、輸液収容容器に収容された所定輸液の液面に浮遊する浮遊部材と、輸液収容容器を取り付ける容器取付部とをさらに備える。上記無線型伝送装置は、上記浮遊部材の表面に設けられる。上記第2の制御部は、上記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、輸液収容容器に収容された所定輸液の内容量を求める。
【0037】
上記送受信システムでは、輸液収容容器に収容された輸液の内容量の増減に応じて、浮遊部材は上下に移動する。また、内容量の変動に応じて通信距離も変化する。通信距離と内容量との関係を考慮すれば、制御部は、通信距離から内容量を導くことができる。これにより、輸液収容容器に収容された輸液の内容量を管理することができる。通信距離と内容量との関係を一義的にするためには、例えば、外部発信受信装置の第2の送受信部を、浮遊部材の移動方向に対応する位置(例えば、容器取付スタンドの容器取付部分)に設置すれば良い。
【0038】
好ましくは、上記送受信システムは、プリンタをさらに備える。プリンタは、プリンタ用紙を収容する給紙トレーと、プリンタ本体とを含む。プリンタ本体は、給紙トレーが挿入されてその給紙トレーを収納するトレー収納部を有する。上記給紙トレーは、給紙トレー本体と、給紙板と、付勢部材とを含む。給紙板は、給紙トレー本体の内部に配置され且つプリンタ用紙が載置される。付勢部材は、給紙トレーの挿入方向において給紙トレー本体の底面の一端部と給紙板の一端部とを連結し且つ給紙板をトレー本体の底面から離れる方向へ付勢する。上記無線型伝送装置は、上記給紙板の一端部に設けられる。上記第2の制御部は、上記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、給紙トレーに収容されたプリンタ用紙の枚数を求める。
【0039】
上記送受信システムでは、プリンタ用紙の枚数が減少すると、バネの復元力により、給紙板の一端部がトレー本体の底面から離れる方向へ移動する。これにより、通信距離も変化する。通信距離と用紙枚数との関係を考慮すれば、制御部は、通信距離から用紙枚数を導くことができる。これにより、給紙トレーに収容されたプリンタ用紙の枚数を管理することができる。通信距離と用紙枚数との関係を一義的にするためには、例えば、上記外部発信受信装置の第2の送受信部を、給紙板の移動方向に対応する位置(例えば、トレー収納部の上面部)に設置すれば良い。
【0040】
好ましくは、上記送受信システムは、プリンタをさらに備える。プリンタは、所定のインクを収容するインクカートリッジと、インクカートリッジに収容されたインクの液面に浮遊する浮遊部材と、インクカートリッジを内部に収納するカートリッジホルダー部を有するプリンタ本体とを含む。上記無線型伝送装置は、上記浮遊部材の表面に設けられる。上記第2の制御部は、上記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、インクカートリッジに収容されたインクの内容量を求める。
【0041】
上記送受信システムでは、インクカートリッジに収容されたインクの内容量の増減に応じて、浮遊部材は上下に移動する。また、内容量の変動に応じて通信距離も変化する。通信距離と内容量との関係を考慮すれば、制御部は、通信距離から内容量を導くことができる。これにより、インクカートリッジに収容されたインクの内容量を管理することができる。通信距離と内容量との関係を一義的にするためには、例えば、外部発信受信装置の第2の送受信部を、浮遊部材の移動方向に対応する位置に設置すれば良い。
【0042】
好ましくは、上記無線型伝送装置は、上記内容物に関する情報である内容物情報を記憶する記憶部をさらに備える。上記第1の制御部は、上記求めた通信距離を示す距離情報と前記記憶部に記憶された内容物情報とを含む返信情報を出力する。上記情報検出部は、上記第2の送受信部によって受信された返信信号の中から上記距離情報および内容物情報を検出する。上記外部発信受信装置は、上記第2の制御部によって求められた内容量および上記情報検出部によって検出された内容物情報のうち少なくとも一方を表示する表示部をさらに備える。
【0043】
上記送受信システムでは、内容物の内容量や、内容物に関する情報を可視的に管理するすることができる。
【0044】
本発明のもう1つの局面に従うと、送受信方法は、外部発信受信装置と、無線型伝送装置によって実行される。外部発信受信装置は、搬送波の送信レベルが変更可能である。無線型伝送装置は、外部発信受信装置からの搬送波を負荷変調する。送受信方法は、送信ステップと、搬送波受信ステップと、状態検知ステップと、算出ステップと、生成ステップと、返信ステップと、返信信号受信ステップと、検出ステップとを備える。送信ステップでは、外部発信受信装置が、搬送波を送信するとともに搬送波の送信レベルを順次変更することによって振幅レベルが互いに異なる複数の送信信号を順次送信する。搬送波受信ステップでは、無線型伝送装置が、送信ステップにおいて送信された搬送波を受信する。状態検知ステップでは、無線型伝送装置が、搬送波受信ステップにおいて受信された送信信号の受信状態を検知する。算出ステップでは、無線型伝送装置が、状態検知ステップにおいて検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると、当該送信信号の送信レベルに基づいて外部発信受信装置と無線型伝送装置との間の通信距離を求める。生成ステップでは、無線型伝送装置が、算出ステップにおいて求められた通信距離を示す距離情報を含む返信信号を生成する。返信ステップでは、無線型伝送装置が、生成ステップにおいて生成された返信信号に基づいて外部発信受信装置からの搬送波を負荷変調することによって、当該返信信号を送信する。返信信号受信ステップでは、外部発信受信装置が、返信ステップにおいて送信された返信信号を受信する。検出ステップでは、返信信号受信ステップにおいて受信された返信信号の中から距離情報を検出する。
【0045】
上記送受信方法では、通信距離は、送信信号の送信レベル,および送信信号の受信状態によって定めることができる。ここで、送信信号の受信状態が予め定められた状態になっている場合、算出ステップにおいて、送信信号の送信レベルと通信距離との関係を考慮して、送信信号の送信レベルに基づいて通信距離を求めることができる。このように、無線型伝送装置までの距離を求めることができるので、無線型伝送装置の存在位置を検出することができる。
【0046】
好ましくは、上記送信ステップでは、上記搬送波の送信レベルを変更するとともに当該送信レベルを示すレベル情報を含む送信情報に基づいて当該搬送波を変調することによって送信信号を送信する。上記算出ステップでは、上記無線型伝送装置が、上記搬送波受信ステップにおいて受信された送信信号の中からレベル情報を検出し、上記状態検知ステップにおいて検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると、検出したレベル情報に示された振幅レベルに基づいて上記通信距離を求める。
【0047】
好ましくは、上記送受信方法は、送信経過時間計時ステップと、受信経過時間計時ステップとをさらに備える。送信経過時間計時ステップでは、上記外部発信受信装置が、上記送信ステップにおいて上記複数の送信信号のうち最初の送信信号が送信された時点からの経過時間を計時する。受信経過時間計時ステップでは、上記無線型伝送装置が、上記搬送波受信ステップにおいて上記最初の送信信号が受信された時点からの経過時間を計時する。上記送信ステップでは、外部発信受信装置が、上記送信信号を送信するときに、当該送信信号の送信レベルを送信経過時間計時ステップにおいて計時された経過時間に応じた振幅レベルに設定する。上記算出ステップでは、上記状態検知ステップにおいて検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断したときに受信経過時間計時ステップにおいて計時されている経過時間に基づいて上記通信距離を求める。
【0048】
好ましくは、上記送受信方法は、送信回数計数ステップと、受信回数計数ステップとをさらに備える。送信回数計数ステップでは、上記外部発信受信装置が、上記送信ステップにおける送信信号の送信回数を計数する。受信回数計数ステップでは、上記無線型伝送装置が、上記搬送波受信ステップにおける送信信号の受信回数を計数する。上記送信ステップでは、上記外部発信受信装置が、上記送信信号を送信するときに当該送信信号の送信レベルを送信回数計数ステップにおいて計数された送信回数に応じた振幅レベルに設定する。上記算出ステップでは、上記無線型伝送装置が、上記状態検知ステップにおいて検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断したときに受信回数計数ステップにおいて計数された受信回数に基づいて上記通信距離を求める。
【発明の効果】
【0049】
以上のように、外部発信受信装置と無線型伝送装置と間の通信距離を求めることができるので、無線型伝送装置の存在位置を検知することができる。また、所定の収容容器に収容された内容物の内容量を管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0051】
(第1の実施形態)
<全体構成>
図1は、この発明の第1の実施形態による送受信システムの全体構成を示す。このシステムでは、外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との間において、負荷変調方式に従って所定周波数(ここでは、13.56MHz)の搬送波がやりとりされる。外部発信受信装置10は、例えばリーダ・ライタである。無線型伝送装置20は、例えば、RFID(Radio Frequency Identification)タグであり、自己に固有のデータ列であるID情報を記憶している。
【0052】
外部発信受信装置10は、搬送波を送信するとともに、送信する搬送波の振幅レベル(搬送波の送信レベル)を順次変更する。これにより、振幅レベルが互いに異なる複数の送信信号が順次送信される。また、外部発信受信装置10は、送信情報に基づいて、搬送波を振幅変調する。送信情報には、例えば、所定情報(例えば、ID情報)の返信を指示する命令(返信命令情報)が含まれている。
【0053】
無線型伝送装置20は、外部発信受信装置10からの搬送波を受信する。無線型伝送装置20は、送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると、その送信信号の送信時の振幅レベル(送信信号の送信レベル)に基づいて通信距離を求める。通信距離は、外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との間の距離に相当する。無線型伝送装置20は、求めた通信距離を示す距離情報を含む返信信号を生成し、生成した返信信号に基づいて外部発信受信装置からの搬送波を負荷変調する。この負荷変調によって、返信信号に相当する成分が搬送波に重畳される。すなわち、返信信号が送信されたことになる。また、返信信号には、ID情報が含まれていても良い。
【0054】
また、外部発信受信装置10は、負荷変調された搬送波の中から返信信号に相当する成分を抽出することによって、返信信号を取得する。外部発信受信装置10は、返信信号の中から距離情報を検出し、検出した距離情報に示された通信距離を取得する。
【0055】
<信号レベルと通信距離との関係>
ここで、信号レベルと通信距離との関係について説明する。
【0056】
図2は、通信距離と無線型伝送装置20が受信する搬送波の振幅レベル(送信信号の受信レベル)との関係を示す。図2のように、送信側の装置が送信する信号の振幅レベル(送信レベル)が大きくなる程、受信側の装置が受信する信号の振幅レベル(受信レベル)は大きくなる。また、送信側の装置と受信側の装置との間の距離が長くなる程、受信レベルは小さくなる。信号の送信レベルの増加に伴い、信号の受信レベルと通信距離との関係は、「曲線A」,「曲線B」,「曲線C」と順番に変化する。また、送信レベルが一定である場合、受信レベルと通信距離との関係は、例えば曲線Aのようになる。この場合、通信距離が「D1」,「D2」,「D3」と増加する程、信号の受信レベルは「L1」,「L2」,「L3」と減少する。
【0057】
以上より、「通信距離」は、「外部発信受信装置10から送信される搬送波の振幅レベル(送信信号の送信レベル)」および「外部発信受信装置10における送信信号の振幅レベル(送信信号の受信レベル)」の関数として表現することができる。ここで、「送信信号の受信レベル」が予め定められた固定値になっているとすると、「送信信号の送信レベル」と「通信距離」との対応関係を一義的に決定することができる。
【0058】
<誤り箇所数と通信距離との関係>
次に、信号の誤り箇所数と通信距離との対応関係について説明する。
【0059】
図3Aは、信号の送信レベルが一定である場合における「通信距離」と「通信S/N」との関係を示す。上述のように、信号の送信レベルが一定である場合、通信距離が長くなる程、信号の受信レベルは小さくなる。ここで、外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との通信経路におけるノイズが一定であるとすると、通信距離が長くなる程、通信S/Nは小さくなり、受信側の装置が受信する信号に誤り箇所が発生しやすくなる。
【0060】
図3Bは、信号の送信レベルが一定である場合における「誤り率(受信側の装置が受信する信号における誤り率)」と「通信S/N」との関係を示す。信号の送信レベルが一定である場合、通信S/Nは小さくなる程、受信側の装置が受信する信号における誤り率が高くなる。
【0061】
図3Cは、信号の送信レベルが一定である場合における「誤り箇所数(受信側の装置が受信する信号に発生する誤り箇所の個数)」と「通信距離」との関係を示す。図3A,図3Bより、通信距離が長くなる程、受信側の装置が受信する信号における誤り箇所数は多くなる。
【0062】
以上より、「通信距離」は、「送信信号の送信レベル」および「無線型伝送装置20が受信する送信信号における誤り箇所数」の関数として表現することができる。ここで、「誤り箇所数」が予め定められた固定値になっていると、「送信信号の送信レベル」と「通信距離」の対応関係を一義的に決定することができる。
【0063】
以上をまとめると、「通信距離」は、「送信信号の送信レベル」および「送信信号の受信状態」の関数として表現することができる。ここで、「送信信号の受信状態」が予め定められた状態になっていると、「送信信号の送信レベル」と「通信距離」の対応関係を一義的に決定することができる。
【0064】
<外部発信受信装置の内部構成>
図4は、図1に示した外部発信受信装置10の内部構成を示す。外部発信受信装置10は、制御部11と、送信信号供給部12と、送受信部13と、レベル設定部14と、復号部15とを備える。
【0065】
制御部11は、例えばマイコンであり、ホストコンピュータからの情報取得命令を受けると、互いに異なる振幅レベルを示す複数のレベル情報を順次出力するとともに、複数の送信情報を順次出力する。ここでは、複数の送信情報の各々には、その送信情報とともに出力されるレベル情報と、無線型伝送装置20に返信信号を送信させる命令を示すデータ列である返信命令情報とが含まれている。
【0066】
送信信号供給部12は、制御部11からの送信情報に基づいて、搬送波(例えば、振幅レベル100V,周波数13.56MHz)を振幅変調する。すなわち、送信信号供給部12は、送信情報に基づいて送信信号を生成し、生成した送信信号を供給する。また、制御部11は、送信信号供給部12による送信信号の供給が完了すると、送信信号供給部に一定振幅の搬送波(例えば、振幅レベル100V,周波数13.56MHzの搬送波)を供給させる。
【0067】
送受信部13は、同調コンデンサC1と、可変抵抗R1と、送受信コイルL1とを含む。送受信コイルL1は、送信信号供給部12から供給された搬送波に応じた電磁波を送信する。すなわち、送受信部13は、送信信号供給部12からの搬送波を送信する。また、無線型伝送装置20において負荷変調が実行されると、送受信部13において所定情報に相当する成分が搬送波に重畳される。すなわち、送受信部13は、無線型伝送装置20からの返信信号を受信する。ここでは、返信信号には、無線型伝送装置に固有のID情報と、無線型伝送装置20によって求められた通信距離を示す距離情報とが含まれている。
【0068】
レベル設定部14は、送受信部13から送信される搬送波の送信レベルを制御部11から出力されたレベル情報に示された振幅レベルに設定する。詳しくは、レベル設定部14は、搬送波の送信レベルがレベル情報に示された振幅レベルになるように、送受信部13の可変抵抗R1の抵抗値を設定する。これにより、送受信部13から送信される送信信号の振幅レベル(送信信号の送信レベル)は、その送信信号に含まれるレベル情報に示された振幅レベルになる。
【0069】
復号部15は、負荷変調された搬送波の中から返信信号に相当する成分を抽出する。また、復号部15は、抽出した返信信号に対して振幅レベルの増幅,復調化,復号化を実行して返信情報を生成し、生成した返信情報の中からID情報および距離情報を検出する。
【0070】
また、制御部11は、復号部15によって検出された距離情報およびID情報を取得し、取得した距離情報とID情報とを含む測定結果情報をホストコンピュータへ出力する。
【0071】
<<送信信号供給部の内部構成>>
図5は、図4に示した送信信号供給部12の内部構成を示す。送信信号供給部12は、符号化処理部101と、誤り訂正符号付加部102と、送信データ生成部103と、変調回路104とを含む。
【0072】
符号化処理部101は、制御部11からの送信情報を符号化して、送信データを生成する。
【0073】
誤り訂正符号付加部102は、符号化処理部101によって生成された送信データに対して所定演算を実行して、誤り訂正符号を生成する。誤り訂正符号は、例えば、リードソロモン符号である。その後、誤り訂正符号付加部102は、生成した誤り訂正符号を送信データに付加する。
【0074】
送信データ生成部103は、誤り訂正符号付加部102からの送信データ(誤り訂正符号が付加された送信データ)に対して、ヘッダを付加する。ヘッダには、同期信号や通信開始識別子が含まれる。
【0075】
変調回路104は、送信データ生成部103からの送信データ(ヘッダが付加された送信データ)に基づいて搬送波を変調する。例えば、変調回路104は、送信データ生成部103からの送信データのデータ値が「1」である期間では振幅レベルが高い搬送波(例えば、振幅レベルが100Vである搬送波)を送受信部13へ供給し、送信データのデータ値が「0」である期間では振幅レベルが比較的低い搬送波(例えば、振幅レベルが90Vである搬送波)を送受信部13へ供給する。なお、この搬送波は、発振器(図示せず)等によって生成される。このようにして、変調回路104は、変調搬送波を送信信号として送受信部13へ供給する。
【0076】
また、変調回路104は、送信データ生成部103からの送信データの出力が完了すると制御部11からの制御を受けて、一定振幅搬送波を供給する。例えば、一定振幅搬送波を供給するために、制御部11がデータ値が「1」である所定データを変調回路104へ出力し、変調回路104が振幅レベルが比較的高い方の搬送波を一定振幅搬送波として供給する。
【0077】
例えば、外部発信受信装置10において、搬送波(図6A)は、送信データ(図6B)に基づいて振幅変調される。また、搬送波の送信レベルは、レベル情報に示された振幅レベル(図6C)になる。したがって、外部発信受信装置10から送信される送信信号は、図6Dのようになる。
【0078】
<<復号部および信号状態検知部の内部構成>>
図7は、図4に示した復号部15の内部構成を示す。復号部15は、受信増幅回路105と、復調回路106と、誤り訂正回路107と、復号化処理部108と、情報検出部109とを含む。
【0079】
受信増幅回路105は、送受信部13において負荷変調された搬送波の中から返信信号に相当する成分を抽出する。ここでは、受信増幅回路105は、所定の周波数帯域(ここでは、返信データのデータ値「1」に相当する周波数帯域であり、13.56MHz±212kHz)を抽出する。
【0080】
また、受信増幅回路105は、抽出した返信信号の振幅レベルを既定レベルに増幅する。例えば、受信増幅回路105は、送信信号供給部12によって供給される一定振幅搬送波の送信レベルを基準として、返信信号を増幅する。また、例えば、受信増幅回路105は、搬送波の送信レベルに関わらず、返信信号の振幅レベルを常に1Vp-pの一定振幅になるように自動調整しても良い。
【0081】
復調回路106は、受信増幅回路105によって増幅された返信信号を復調して、返信データを生成する。なお、この返信データには、ヘッダと誤り訂正符号とが付加されている。
【0082】
誤り訂正回路107は、復調回路106からの返信データに付加された誤り訂正符号を用いて、返信データに対して誤り訂正処理を実行する。
【0083】
復号化処理部108は、誤り訂正回路107によって訂正処理が実行された返信データを復号化して、返信情報を生成する。ここでは、返信情報には、無線型伝送装置20のID情報と距離情報とが含まれている。
【0084】
情報検出部109は、復号化処理部108によって生成された返信情報の中からID情報および距離情報を検出する。
【0085】
<無線型伝送装置の内部構成>
図8は、図1に示した無線型伝送装置20の内部構成を示す。無線型伝送装置20は、記憶部21と、送受信部22と、電圧生成部23と、復号部24と、信号状態検知部25と、制御部26と、返信信号供給部27とを備える。
【0086】
記憶部21は、例えばEEPROMであり、この無線型伝送装置20に固有のID情報を示すデータ列を記憶する。
【0087】
送受信部22は、送受信コイルL2と、同調コンデンサC2と、直列抵抗R2と、スイッチSWとを含む。送受信コイルL2が外部発信受信装置10からの電磁波を受信すると、電磁誘導により送受信部22には電磁波に応じた交流電圧が発生する。すなわち、送受信部22は、外部発信受信装置10からの搬送波を受信する。
【0088】
電圧生成部23は、整流ダイオードD3と、平滑コンデンサC3と、ツェナーダイオードZDとを含む。電圧生成部23は、送受信部22に発生している交流電圧を用いて、無線型伝送装置20内の各ブロックを駆動させる駆動電圧を生成する。詳しくは、送受信部22において発生した交流電圧が電圧生成部23に入力されると、整流ダイオードD3および平滑コンデンサC3は、交流電圧を整流して直流電圧を生成する。また、ツェナーダイオードZDは、整流ダイオードD3と平滑コンデンサC2によって生成された直流電圧が所定レベルになるように直流電圧の電圧レベルを制限する。ツェナーダイオードZDは、直流電圧の電圧レベルが所定の上限レベルよりも高いときにはその上限レベル以下になるように電圧レベルを抑制する。このようにして、駆動電圧が生成されて、無線型伝送装置20内の各ブロックが駆動する。また、駆動電圧の電圧レベルを所定範囲内に収めることができ、電圧が高すぎて各ブロックが破壊されることを防止することができる。
【0089】
復号部24は、送受信部22によって受信された送信信号を復調化・復号化して、送信情報を生成する。
【0090】
信号状態検知部25は、送受信部22によって受信された送信信号の受信状態(送信信号の受信レベル,送信信号の誤り箇所数)を検知する。
【0091】
制御部26は、信号状態検知部によって検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると「受信有り」と判定し、送信信号の送信レベルに基づいて、通信距離を求める。ここでは、制御部26は、復号部24によって生成された送信情報の中から距離情報を検出する。また、制御部26は、送信信号の送信レベルと通信距離との対応関係を示すレベル情報対応テーブルを有しており、「受信有り」と判定すると検出したレベル情報に示された振幅レベルに対応する通信距離をレベル情報対応テーブルの中から選択する。
【0092】
また、制御部26は、復号部24によって生成された送信情報に含まれる返信命令情報に従って記憶部21に記憶されたID情報を読み出す。さらに、制御部26は、求めた通信距離を示す距離情報と記憶部21から読み出したID情報とを含む返信情報を出力する。
【0093】
返信信号供給部27は、制御部26によって生成された返信情報に基づいて搬送波に重畳すべき成分(返信信号)を生成し、生成した成分を送受信部22へ供給する。
【0094】
また、送受信部22では、スイッチSWは、返信信号供給部27からの返信信号に応じてオン/オフする。スイッチSWがオン/オフすることによって送受信部22のインピーダンスが変化して、送受信部22において搬送波が負荷変調される。これにより、返信信号に相当する成分が搬送波に重畳される。すなわち、送受信部22は、返信信号を送信する。
【0095】
なお、無線型伝送装置20では、送信信号の受信状態が所定条件を満たしていないときでも、復号部24による送信信号の復調化・復号化、制御部26による送信情報の取得を実行することは、当然、可能である。ここで、「送信信号の受信を感知する」または「受信有り」は、「送信信号の受信状態が所定条件を満たしている」ということを意味し、「送信信号を復調化・復号化することができない」ということを意味するものではない。
【0096】
<レベル情報対応テーブル>
図9は、レベル情報対応テーブルの一例を示す。レベル情報対応テーブルは、無線型伝送装置20が感知する送信信号の受信状態が固定である場合における「送信信号の送信レベル」と「通信距離」との対応関係を示す。ここで、送信信号の受信状態が固定である場合とは、例えば、送信信号の受信レベルが固定レベルである場合,または送信信号における誤り箇所数が固定数である場合を意味する。レベル情報対応テーブルにおいて、振幅レベルが高くなる程、その振幅レベルに対応する通信距離は長くなる。
【0097】
レベル情報対応テーブルは、例えば、次のような手順に従って作成される。
[ステップ1]:無線型伝送装置20における送信信号の受信状態が満たすべき所望条件(例えば、送信信号の所望受信レベル)を決定する。
[ステップ2]:外部発信受信装置10から送信される送信信号の振幅レベル(送信信号の送信レベル)を設定する。
[ステップ3]:通信距離を調整しながら無線型伝送装置20における送信信号の受信状態(例えば、無線型伝送装置20における送信信号の受信レベル)を監視する。
[ステップ4]:無線型伝送装置20における送信信号の受信状態が[ステップ1]において決定した所望条件を満たしているときの通信距離を[ステップ2]において設定した送信信号の送信レベルに対応付ける。
【0098】
<<復号部の内部構成>>
図10は、図8に示した復号部24および信号状態検知部25の内部構成を示す。復号部24は、復調回路201と、誤り訂正回路202と、復号化処理部203とを含む。信号状態検知部25は、受信レベル測定部204と、誤り箇所計数回路205とを含む。
【0099】
復調回路201は、送受信部22によって受信された送信信号を復調して、送信データを生成する。なお、この送信データには、ヘッダと誤り訂正符号とが付加されている。
【0100】
誤り訂正回路202は、復調回路201によって生成された送信データに付加された誤り訂正符号を用いて、送信データに対して誤り訂正処理を実行する。
【0101】
復号化処理部203は、誤り訂正回路202によって訂正処理が実行された送信データを復号化して、送信情報を生成する。ここでは、送信情報には、返信命令情報と、レベル情報とが含まれている。送信情報は、制御部26に供給される。
【0102】
受信レベル測定部204は、送受信部22によって受信された送信信号の振幅レベル(送信信号の受信レベル)を測定する。
【0103】
誤り箇所計数回路205は、誤り訂正回路202において誤り訂正処理が実行される送信データに発生している誤り箇所の個数を計数する。
【0104】
<<返信信号供給部の内部構成>>
図11は、図8に示した返信信号供給部27の内部構成を示す。返信信号供給部27は、符号化処理部206と、誤り訂正符号付加部207と、返信データ生成部208と、変調回路209とを含む。
【0105】
符号化処理部206は、制御部26からの返信情報を符号化して、返信データを生成する。
【0106】
誤り訂正符号付加部207は、符号化処理部206によって生成された返信データに対して所定演算を実行して、誤り訂正符号を生成する。そして、誤り訂正符号付加部207は、生成した誤り訂正符号を返信データに付加する。
【0107】
返信データ生成部208は、誤り訂正符号付加部207からの返信データ(誤り訂正符号が付加された返信データ)に対して、ヘッダを付加する。ヘッダには、同期信号や通信開始識別子が含まれる。
【0108】
変調回路209は、返信データに基づいて、送受信部22のスイッチSWをオン/オフする。例えば、スイッチSWは、変調回路209からの出力が「Hレベル」である場合ではオンになり、変調回路209からの出力が「Lレベル」である場合にはオフになる。ここでは、変調回路209は、返信データ生成部208からの返信データのデータ値が「1」である期間では送受信部22のスイッチSWを特定の周波数(例えば、副搬送波)でオン/オフし、返信データのデータ値が「0」である期間ではスイッチSWをオフにする。つまり、変調回路209は、返信データに基づいて副搬送波(ここでは、212kHz(=13.56MHz/64))を変調し、変調副搬送波を返信信号として送受信部22のスイッチSWへ供給する。なお、副搬送波は、例えば、無線型伝送装置20内の副搬送波生成部(図示せず)によって生成される。副搬送波生成部は、送受信部22によって受信された搬送波からクロック信号を生成し、そのクロック信号を分周することによって副搬送波を生成する。
【0109】
例えば、図12A〜図12Cのように、無線型伝送装置20において、副搬送波(図12A)は、返信データ(図12B)に基づいて変調されて、変調副搬送波(図12C)になる。また、図12D,図12Eのように、送受信部22のスイッチSWが変調副搬送波に応じてオン/オフすることによって搬送波(図12D)が負荷変調されて、変調副搬送波に相当する成分が搬送波に重畳される(図12E)。外部発信受信装置10では、図12Fのように、変調副搬送波に相当する成分が抽出される。
【0110】
<動作>
次に、本実施形態による送受信システムによる動作について説明する。なお、ここでは、制御部11は、レベル情報に示された振幅レベルを「Level1」から一段階ずつ大きくしていくものとする。すなわち、制御部11は、振幅レベル「Level1」を示すレベル情報の出力を完了すると、振幅レベル「Level2」を示すレベル情報を出力する。
【0111】
まず、外部発信受信装置10において、制御部11は、振幅レベル「Level1」を示すレベル情報をレベル設定部14へ出力するとともに、振幅レベル「Level1」を示すレベル情報を含む送信情報を送信信号供給部12へ出力する。レベル設定部14は、送受信部13における送信信号の送信レベルを「Level1」に設定する。一方、送信信号供給部12は、振幅レベル「Level1」を示すレベル情報を含む送信情報に対応する送信信号を供給する。これにより、送受信部13は、レベル情報(Level1)を含み且つ振幅レベルが「Level1」になっている送信信号を送信する。送信信号供給部12からの送信信号の送信が完了すると、制御部11は、送信信号供給部12に一定振幅搬送波を供給させる。
【0112】
次に、送信信号供給部12による一定振幅搬送波の供給が完了すると、制御部11は、レベル情報に示された振幅レベルを「Level1」から「Level2」に更新する。これにより、送信信号供給部12は、振幅レベル「Level2」を示すレベル情報を含む送信情報に対応する送信信号を供給し、レベル設定部14は、送受信部13から送信される送信信号の送信レベルを「Level2」に更新する。したがって、送受信部13は、振幅レベル「Level2」を示すレベル情報を含み且つ振幅レベルが「Level2」になっている送信信号を送信する。送信信号供給部12からの送信信号の送信が完了すると、制御部11は、送信信号供給部12に一定振幅搬送波を供給させる。
【0113】
このように、送信信号の送信が繰り返され、振幅レベルが互いに異なる複数の送信信号が順次送信される。複数の送信信号の各々の振幅レベルは、その送信信号に含まれるレベル情報に示された振幅レベルになっている。
【0114】
一方、無線型伝送装置20において、信号状態検知部25は、送受信部22によって受信された送信信号の受信状態を検知する。詳しくは、受信レベル測定部204は、送信信号の受信レベルを測定し、誤り箇所計数回路205は、送信信号における誤り箇所を計数する。また、送受信部22によって受信された送信信号は、復号部24によって処理されて送信情報になる。
【0115】
ここで、制御部26は、信号状態検知部25によって検知された送信信号の受信状態が所定条件(例えば、レベル情報対応テーブルの作成時に所望条件として設定された受信状態)を満たしていると判断すると、「受信有り」と判定する。例えば、制御部26は、受信レベル測定部204によって測定された受信レベルが所定レベルよりも高い場合、送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断する。また、例えば、制御部26は、誤り箇所計数回路205によって計数された誤り箇所数が所定数よりも少ない場合、送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断する。
【0116】
「受信有り」と判定すると、制御部26は、送信情報に含まれるレベル情報に示された振幅レベルに対応する通信距離をレベル情報対応テーブルの中から選択する。また、制御部26は、送信情報に含まれる返信命令情報に従って、記憶部21に記憶されたID情報を読み出す。次に、制御部26は、求めた通信距離と読み出したID情報とを返信情報に書き込み、返信情報を返信信号供給部27へ出力する。返信情報は返信信号供給部27によって処理されて返信信号になり、距離情報およびID情報を含む返信信号が送受信部22における負荷変調によって送信される。
【0117】
次に、外部発信受信装置10において、送受信部13によって受信された返信信号は、復号部15によって処理されて返信情報になる。復号部15は、返信情報の中からID情報および距離情報を検出する。次に、制御部11は、復号部15によって検出されたID情報および距離情報を取得し、ID情報および無線型伝送装置20において求められた通信距離を測定結果情報に書き込む。次に、制御部11は、測定結果情報をホストコンピュータへ出力する。これにより、ホストコンピュータは、外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との距離を把握することができる。
【0118】
<<通信距離の算出>>
例えば、無線型伝送装置20の制御部26は、振幅レベル「Level2」を示すレベル情報を含む送信信号を受信したときに初めて「受信有り」と判定すると、レベル情報対応テーブルの中から振幅レベル「Level2」に対応する通信距離「D2」を選択する。この送信信号の後に続いて送信される送信信号(例えば、振幅レベル「Level3」を示すレベル情報を含む送信信号)の振幅レベルは一段階ずつ大きくなっていくので、制御部26は「受信有り」と判定するであろう。だが、ここでは、最初に「受信有り」と判定したときのレベル情報を取得できれば良いので、以降の送信信号については処理しなくても良い。
【0119】
<<受信判定について>>
また、外部発信受信装置10において、制御部11がID情報の検出の有無に基づいて、返信信号の受信の有無を判定しても構わない。この場合、制御部11は、ID情報が検出された場合には「受信有り」と判定し、ID情報が検出されなかった場合には「受信有り」と判定しない。このように、ID情報の検出の有無によって返信信号の受信の有無を判定することによって、複数の無線型伝送装置20が存在していても、特定の無線型伝送装置との通信距離を求めることができる。また、複数の無線型伝送装置に対して送信信号を順次送信して全ての無線型伝送装置からの返信信号を受信した後、その複数の無線型伝送装置の各々との通信距離を取得することも可能である。
【0120】
<効果>
以上のように、送信信号の送信レベルに基づいて通信距離を求めることができ、無線型伝送装置の存在位置を検知することができる。また、通信距離を求めるとともに無線型伝送装置に記憶された情報を取得することができる。
【0121】
なお、本実施形態では、送信信号の送信のたびに、レベル情報に示された振幅レベルが、一段階ずつ大きくなる場合について説明したが、一段階ずつ小さくなっていく場合でも、通信距離を求めることが可能である。この場合、制御部26は、最後に「受信有り」と判定した送信信号に含まれるレベル情報に基づいて、通信距離を求めれば良い。
【0122】
また、送信信号の送信レベルと通信距離との関係は数式化することが可能である。よって、制御部26が、レベル情報対応テーブルを用いずに、送信信号に含まれるレベル情報に対して、送信信号の送信レベルと通信距離との関係に基づいた所定の演算を施すことによって、通信距離を算出しても良い。
【0123】
さらに、無線型伝送装置20の記憶部21にID情報以外の情報(例えば、無線型伝送装置が取り付けられる商品に関する情報)が書き込まれていても構わない。
(負荷変調方式の変形例)
なお、搬送波に重畳される成分は、返信データに基づいて変調された副搬送波ではなく、返信データであっても良い。この場合、変調回路209は、返信データ生成部208からの返信データを所定の転送レート(副搬送波の周波数に応じた転送レート)で送受信部22のスイッチSWへ出力する。変調回路209は、返信データのデータ値が「1」である区間ではスイッチSWをオンにし、返信データのデータ値が「0」である区間ではスイッチSWをオフにする。つまり、この場合、変調回路209は、返信データを返信信号として送受信部22のスイッチSWへ供給する。
【0124】
例えば、図13A,図13Bのように、無線型伝送装置20において、変調回路209は、副搬送波の周波数に基づいて、返信データを送受信部22のスイッチSWへ出力する。また、図13C,図13Dのように、送受信部22のスイッチSWが返信データに応じてオン/オフすることによって搬送波が負荷変調されて、返信データに相当する成分が一定振幅搬送波に重畳される。外部発信受信装置10では、図13Eのように、返信データに相当する成分が抽出される。
【0125】
(第1の実施形態の変形例1)
図6A〜図6Dのように、搬送波を変調することによって送信信号を供給する場合、送信信号においてデータ値「1」に対応する区間とデータ値「0」に対応する区間とが均一に分布せずに一方に偏っていると、振幅レベルの切り替わりの発生回数が少なくなり、送信信号の振幅レベルが高い状態であるのか低い状態であるのかを認識することが困難になる。この場合、信号状態検知部25の受信レベル測定部204は、送信信号の受信レベルを正確に検知することができず、制御部26において送信信号の受信の有無を正確に判定することが困難になる。
【0126】
<構成>
第1の実施形態の変形例1による送受信システムでは、外部発信受信装置10の送信信号供給部12(図4参照)による動作が異なる。変形例1では、送信信号供給部12は、送信情報に基づいて送信信号を供給するときに、送信データに対してM系列符号を掛け合わせる。M系列符号は、データ値「1」とデータ値「0」がランダムに発生しているデータ列である。具体的には、送信データ生成部103(図5参照)は、ヘッダと誤り訂正符号とが付加された送信データに対して、M系列符号を掛け合わせる。M系列符号は、送信データ全体においてデータ値「1」,「0」の各々の発生確率を均一にするために使用される。
【0127】
<動作>
次に、図14A〜図14Eを参照しつつ、変形例1による送受信システムの動作について説明する。なお、ここでは、送信信号の生成から送信信号の受信判定までの処理について説明する。
【0128】
外部発信受信装置10の送信データ生成部103は、ヘッダと誤り訂正符号とが付加された送信データ(図14B)に対して、M系列符号を掛け合わせる。送信データのうちM系列符号が掛け合わされた区間では、データ値「1」とデータ値「0」の各々の発生確率が均一である(図14C)。一方、送信信号の送信レベルは、レベル情報が示す振幅レベルに設定されている(図14D)。M系列符号が掛け合わされた送信データに基づいて搬送波(図14A)が変調されることによって、送信信号が供給される。送信信号のうちM系列符号が掛け合わされた区間では、データ値「1」に対応する区間とデータ値「0」に対応する区間とが均一に分布している(図14E)。送信信号のうちM系列符号が掛け合わされた区間では振幅レベルの切り替わりが連続しているので、受信レベル測定部204は送信信号の受信レベルを正確に測定することができ、制御部26は正確な受信レベルに基づいて送信信号の受信の有無を判定することができる。
【0129】
また、復調回路201は、送受信部22によって受信された送信信号を復調するときに、M系列符号を取り除く演算を実行する。つまり、復調回路201は、送信信号を復調して送信データを生成した後、送信データにM系列符号の逆数を掛け合わせる。
【0130】
<効果>
以上のように、データ値「1」に対応する区間とデータ値「0」に対応する区間とが均一に分布する区間を送信信号に設けることによって、送信信号の受信レベルを正確に測定することができる区間を確保することができる。また、この区間では、送信信号の誤り箇所を正確に計数することも可能である。これにより、送信信号の受信状態が所定条件を満たしているか否かを正確に判定することができる。
【0131】
なお、図14Cでは、本実施形態についての理解を助けるためにデータ値「1」,「0」が規則正しく交互に連続して発生する例を図示しているが、データ値「1」,「0」が不規則に発生していても良い(ランダムに発生していても良い)。すなわち、M系列符号が掛け合わされた区間内では、データ値「1」の個数とデータ値「0」の個数とが等しくなる(または、ほぼ等しくなる)。また、一般的には、データ値「1」,「0」が不規則に発生している例の方が多い。
【0132】
(第2の実施形態)
<構成>
この発明の第2の実施形態による送受信システムは、第1の実施形態による送受信システムの構成と同様であるが、外部発信受信装置10の制御部11および無線型伝送装置20の制御部26による処理が異なる。
【0133】
本実施形態による送受信システムでは、外部発信受信装置10は、予め定められたタイミングに従ってレベル情報に示された振幅レベルを順次更新する。つまり、外部発信受信装置10は、予め定められたタイミングに従って、振幅レベルが互いに異なる複数の送信信号を順次送信する。ここでは、送信信号にレベル情報が含まれていなくても良い。
【0134】
無線型伝送装置20は、送信信号を受信してからの経過時間を管理する。また、無線型伝送装置20は、外部発信受信装置10において送信信号の送信レベルが更新されるタイミングを予め把握しており、送信信号の受信状態が所定条件を満たしているときの経過時間に基づいて通信距離を求める。
【0135】
<外部発信受信装置10>
制御部11は、送受信部13によって最初の送信信号が送信された時点からの経過時間を計時し、送信情報を出力するとともに経過時間に応じた振幅レベルを示すレベル情報を出力する。詳しくは、制御部11は、最初の送信情報および最初のレベル情報を出力するとともに経過時間の計時を開始する。また、制御部11は、経過時間と送信信号の送信レベルとの対応関係を示す時間振幅レベル対応テーブルを有し、経過時間に応じてレベル情報に示された振幅レベルを順次更新する。ここでは、送信情報にレベル情報が含まれていなくても良い。
【0136】
<無線型伝送装置20>
制御部26は、最初の送信信号を受信した時点からの経過時間を計時し、送信信号の受信を感知したとき(「受信有り」と判定したとき)の経過時間に基づいて、通信距離を求める。詳しくは、制御部26は、復号部24によって生成された送信情報に含まれる返信命令情報を受け取ると、経過時間の計時を開始する。また、制御部26は、時間振幅レベル対応テーブルと送信信号の送信レベルと通信距離との対応関係を示す振幅レベル距離対応テーブルとを有し、信号状態検知部25によって検知された送信信号の信号状態が所定条件を満たしていると「受信有り」と判定し、「受信有り」と判定したときの経過時間に基づいて通信距離を求める。
【0137】
<時間振幅レベル対応テーブル>
図15Aは、時間振幅レベル対応テーブルの一例を示す。時間振幅レベル対応テーブルは、経過時間の時間帯とその時間帯において外部発信受信装置10から送信される送信信号の送信レベルとが一対一で対応付けられている。制御部11は、時間振幅レベル対応テーブルを参照することによって、設定すべき送信レベルを把握することができる。また、制御部26は、時間振幅レベル対応テーブルを参照することによって、外部発信受信装置10から送信された送信信号の送信レベルを把握することができる。
【0138】
<振幅レベル距離対応テーブル>
図15Bは、振幅レベル距離対応テーブルの一例を示す。振幅レベル距離対応テーブルは、無線型伝送装置20が感知する送信信号の受信状態が固定である場合における送信信号の送信レベルと通信距離との対応関係を示す。振幅レベル距離対応テーブルは、例えば、レベル情報対応テーブルと同様の手順で作成される。
【0139】
<動作>
図16Aを参照しつつ、本実施形態の送受信システムによる動作について説明する。なお、ここでは、送信信号の送信レベルが一段階ずつ大きくなっていく例について説明する。また、図16Aでは、無線型伝送装置20に最初の送信信号の受信を確実に認識させるために、最初の送信信号を送信する前に、通信の開始を通知する通信開始信号(無線型伝送装置20を確実に駆動させる搬送波(例えば、最大レベルの搬送波))が送信されているが、本システムにおいて通信開始信号は必須ではない。例えば、通信距離が最大であっても無線型伝送装置20が最初の送信信号(送信レベルが最小である送信信号)を電源として駆動でき最初の送信信号から送信情報(返信命令情報)を復号化することができるように最初の送信信号の送信レベルが設定されていれば、外部発信受信装置10における経過時間の計時に同期して無線型伝送装置20が経過時間を計時することができるので、通信開始信号は不要となる。
【0140】
まず、通信が開始されると、外部発信受信装置10において、制御部11は、振幅レベル「Level1」を示すレベル情報および返信命令情報を含む送信情報を開始するとともに、経過時間の計時測を開始する。送信信号供給部12は、送信情報に対応する送信信号を供給する。レベル設定部14は、送受信部13における送信信号の送信レベルを「Level1」に設定する。送受信部13は、振幅レベルが「Level1」になっている送信信号を送信する。一方、無線型伝送装置20において、復号部24は、送受信部22によって受信された送信信号を処理して送信情報を生成する。制御部11は、送信情報に含まれる返信命令情報に従って記憶部21からID情報を読み出すとともに、経過時間の計時を開始する。
【0141】
経過時刻T0からT1の間では、送受信部13は、振幅レベルが「Level1」になっている送信信号を送信する。制御部11は、送信信号供給部12による送信信号(Level1)の供給が完了すると、送信信号供給部12に一定振幅の搬送波の供給を所定期間だけ供給させる。
【0142】
経過時刻T1になると、制御部11は、時間振幅レベル対応テーブルの中から時間帯T1〜T2に対応する振幅レベル「Level2」を選択する。そして、制御部11は、振幅レベル「Level1」を示すレベル情報の出力を停止し、振幅レベル「Level2」を示すレベル情報の出力を開始する。レベル設定部14は、送信信号の送信レベルが「Level2」になるように、可変抵抗R1の抵抗値を設定する。これにより、送受信部13は、振幅レベルが「Level2」になっている送信信号を送信する。経過時刻T1からT2の間において、振幅レベルが「Level2」である送信信号の送信が完了すると、所定期間だけ一定振幅搬送波が送信される。
【0143】
経過時刻T2,T3においても経過時刻T1と同様に、制御部11は、時間振幅レベル対応テーブルからの振幅レベルの選択,レベル情報の更新,送信情報の再出力を実行する。よって、経過時刻T2になると振幅レベルが「Level3」になっている送信信号の送信が開始され、経過時刻T3になると振幅レベルが「Level4」になっている送信信号の送信が開始される。このように、経過時間に応じて送信信号の送信レベルが順次更新される。
【0144】
一方、無線型伝送装置20では、制御部26は、第1の実施形態と同様に、送信信号の受信の有無を判定している。ここで、経過時刻T1からT2の間において「受信有り」と判定すると、制御部26は、時間振幅レベル対応テーブルの中から現在の経過時間に対応する振幅レベル「Level2」を選択する。次に、制御部26は、選択した振幅レベル「Level2」に対応する通信距離「D2」を振幅レベル距離対応テーブルの中から選択する。そして、制御部26は、求めた通信距離を示す距離情報と記憶部21から読み出したID情報とを含む返信情報を出力する。返信情報は、返信信号供給部27によって処理されて返信信号になり、送受信部22は返信信号を送信する。
【0145】
次に、外部発信受信装置10では、第1の実施形態と同様に、送受信部13によって受信された返信信号は復号部15によって処理されて返信情報になり、返信情報の中から距離情報およびID情報が検出される。制御部11は、検出された距離情報およびID情報を測定結果情報に書き込み、測定結果情報をホストコンピュータへ出力する。
【0146】
<効果>
以上のように、経過時間を管理することによって通信距離を求めることができ、無線型伝送装置の存在位置を検知することができる。また、通信距離を求めるとともに無線型伝送装置に記憶された情報を取得することができる。
【0147】
なお、通信開始信号に返信命令情報が含まれている場合、制御部26が通信開始信号に含まれる返信命令情報に基づいて経過時間の計時を開始することができるので、送信信号の各々に返信命令情報が含まれていなくても良い。
【0148】
また、図16Bのように、送信信号の送信レベルが一段階ずつ小さくなるような例も実現可能である。この場合、無線型伝送装置20の制御部26は、最後に「受信有り」と判定したときの経過時間に基づいて通信距離を求めれば良い。また、通信距離が最大であっても無線型伝送装置20が最初の送信信号(この場合、送信レベルが最大である送信信号)を電源として駆動して最初の送信信号から送信情報(返信命令情報)を復号化することができるように最初の送信信号の送信レベルが設定されていれば、通信開始信号は不要である。
【0149】
さらに、通信開始信号を用いない場合でも、最初の送信信号に返信命令情報が含まれていれば、制御部26がその送信信号に含まれる返信命令情報に基づいて経過時間の計時を開始することができるので、2回目以降に送信される送信信号に返信命令情報が含まれていなくても良い。
【0150】
また、図17のように、時間振幅レベル対応テーブル(図15A)と振幅レベル距離対応テーブル(図15B)とを合成することによって、時間距離対応テーブルを作成することができる無線型伝送装置20の制御部26は、時間振幅レベル対応テーブルおよび振幅レベル距離対応テーブルに代えて、時間距離対応テーブルを備えていても良い。これによれば、格納されるテーブル数を少なくすることができ、また、通信距離を求めるために要する時間を短縮することができる。
【0151】
また、第1の実施形態と同様に、負荷変調方式の変形例,変形例1は、この第2の実施形態に適用可能である。
【0152】
(第3の実施形態)
<構成>
この発明の第3の実施形態による送受信システムは、第1の実施形態による送受信システムの構成と同様であるが、外部発信受信装置10の制御部11および無線型伝送装置20の制御部26による処理が異なる。
【0153】
本実施形態による送受信システムでは、外部発信受信装置10は、送信信号の送信回数に応じてレベル情報に示された振幅レベルを順次更新する。つまり、外部発信受信装置10は、送信信号の送信回数に応じて、振幅レベルが互いに異なる複数の送信信号を順次送信する。ここでは、送信信号にレベル情報が含まれていなくても良い。
【0154】
無線型伝送装置20は、送信信号の受信回数を計数する。また、無線型伝送装置20は、外部発信受信装置10における送信信号の送信回数と送信信号の送信レベルとの関係を予め把握しており、送信信号の受信状態が所定条件を満たしているときの受信回数に基づいて通信距離を求める。
【0155】
<外部発信受信装置>
制御部11は、送受信部13による送信信号の送信回数を計数し、送信情報を出力するとともに送信回数に応じた振幅レベルを示すレベル情報を出力する。詳しくは、制御部11は、送信信号の送信回数としてレベル情報の出力回数を計数する。また、制御部11は、送信信号の送信回数と送信信号の送信レベルとの対応関係を示す送信回数振幅レベル対応テーブルを有し、送信回数に応じてレベル情報に示された振幅レベルを順次更新する。ここでは、送信情報にレベル情報が含まれていなくても良い。
【0156】
<無線型伝送装置>
制御部26は、送受信部13による送信信号の受信回数を計数し、送信信号の受信を感知したとき(「受信有り」と判定したとき)の受信回数に基づいて、通信距離を求める。詳しくは、復号部24によって生成された送信情報を受け取った回数を受信回数として計数する。また、制御部26は、送信回数振幅レベル対応テーブルと振幅レベル距離対応テーブルとを有し、信号状態検知部25によって検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると「受信有り」と判定し、「受信有り」と判定したときの受信回数に基づいて通信距離を求める。
【0157】
<送信回数振幅レベル対応テーブル>
図18は、送信回数振幅レベル対応テーブルの一例を示す。送信回数振幅レベル対応テーブルには、送信信号の送信回数と、その送信回数のときに外部発信受信装置10が送信すべき送信信号の送信レベルとが一対一で対応付けられている。制御部11は、送信回数振幅レベル対応テーブルを参照することによって、設定すべき送信レベルを把握することができる。また、制御部26は、送信回数振幅レベル対応テーブルを参照することによって、外部発信受信装置10から送信された送信信号の送信レベルを把握することができる。
【0158】
<動作>
図19を参照しつつ、本実施形態の送受信システムによる動作について説明する。なお、ここでは、送信信号の送信レベルが一段階ずつ大きくなっていく例について説明する。また、図19では、無線型伝送装置20において送信信号の受信を確実に認識させるために、送信信号を送信する前に、検知用信号(無線型伝送装置20を確実に駆動させる搬送波(例えば、最大レベルの搬送波))が送信されているが、本システムにおいて検知用信号は必須ではない。例えば、通信距離が最大であっても無線型伝送装置20が1回目の送信信号(すなわち、送信レベルが最小である送信信号)を電源として駆動して一回目の送信信号から送信情報(返信命令情報)を復号化することができるように一回目の送信信号の送信レベルが設定されていれば、外部発信受信装置10から送信信号が送信される毎に無線型伝送装置20がその送信信号の受信を認識できるので、検知用信号は不要である。
【0159】
まず、通信が開始されると、外部発信受信装置10において、制御部11は、送信回数振幅レベル対応テーブルの中から「1回目」に対応する振幅レベル「Level1」を選択する。次に、制御部11は、振幅レベル「Level1」を示す1回目のレベル情報および返信命令情報を含む送信情報を出力する。送信信号供給部12は、送信情報に対応する送信信号を供給する。レベル設定部14は、送信信号の送信レベルを「Level1」に設定する。これにより、送受信部13は、振幅レベルが「Level1」になっている1回目の送信信号を送信する。1回目の送信信号の送信が完了すると、一定振幅の搬送波が送信される。一方、無線型伝送装置20において、復号部24は送受信部22によって受信された送信信号を処理して送信情報を生成し、制御部26は生成された送信情報を受け取るとともに送信信号の受信回数を「1回目」とする。
【0160】
次に、外部発信受信装置10において、制御部11は、一定振幅の搬送波の送信が完了すると、制御部11は、送信回数振幅レベル対応テーブルの中から「2回目」に対応する振幅レベル「Level2」を選択する。次に、制御部11は、返信命令情報を含む送信情報を再出力するとともに、レベル情報に示された振幅レベルを「Level2」に更新する。すなわち、制御部11は、1回目のレベル情報(Level1)の出力を停止し、2回目のレベル情報(Level2)の出力する。送信信号供給部12は、送信情報に対応する送信信号を再び供給し、レベル設定部14は、送信信号の送信レベルを「Level2」に設定する。これにより、送受信部13は、振幅レベルが「Level2」になっている2回目の送信信号を送信する。一方、無線型伝送装置20において、制御部26は、復号部24によって生成された送信情報を受け取るとともに送信信号の受信回数を「2回目」とする。
【0161】
このように、送信回数に応じて送信信号の送信レベルが順次更新される。
【0162】
一方、無線型伝送装置20において、制御部26は、第1の実施形態と同様に、送信信号の受信の有無を判定している。ここで、2回目の送信信号を受信したときに「受信有り」と判定すると、制御部26は、送信回数振幅レベル対応テーブルの中から現在の受信回数「2回目」に対応する振幅レベル「Level2」を選択する。次に、制御部26は、選択した振幅レベル「Level2」に対応する通信距離「D2」を振幅レベル距離対応テーブルの中から選択する。そして、制御部26は、求めた通信距離を示す距離情報と記憶部21から読み出したID情報とを含む返信情報を出力する。返信情報は、返信信号供給部27によって処理されて返信信号になり、送受信部22は返信信号を送信する。
【0163】
次に、外部発信受信装置10では、第1の実施形態と同様に、送受信部13によって受信された返信信号は復号部15によって処理されて返信情報になり、返信情報の中から距離情報およびID情報が検出される。制御部11は、検出された距離情報およびID情報を測定結果情報に書き込み、測定結果情報をホストコンピュータへ出力する。
【0164】
<効果>
以上のように、送信信号の送信回数を管理することによって通信距離を求めることができ、無線型伝送装置20の存在位置を検知することができる。また、通信距離を求めるとともに無線型伝送装置に記憶された情報を取得することができる。
【0165】
なお、送信信号の送信レベルが一段階ずつ小さくなるような例も実現可能である。この場合、無線型伝送装置20の制御部26は、最後に「受信有り」と判定したときの受信回数に基づいて通信距離を求めれば良い。また、通信距離が最大であっても無線型伝送装置20が一番最後に送信される送信信号(すなわち、送信レベルが最小である送信信号)を電源として駆動してその送信信号から送信情報(返信命令情報)を復号化することができるようにその送信信号の送信レベルが設定されていれば、外部発信受信装置10から送信信号が送信される毎に無線型伝送装置20がその送信信号の受信を認識できるので、検知用信号は不要になる。
【0166】
また、図20のように、送信回数振幅レベル対応テーブル(図18)と振幅レベル距離対応テーブル(図15B)とを合成することによって、送信回数距離対応テーブルを作成することができる。無線型伝送装置20の制御部26は、送信回数振幅レベル対応テーブルおよび振幅レベル距離対応テーブルに代えて、送信回数距離対応テーブルを備えていても良い。これによれば、格納されるテーブル数を少なくすることができ、また、通信距離を求めるために要する時間を短縮することができる。
【0167】
また、第1の実施形態と同様に、負荷変調方式の変形例,変形例1は、この第3の実施形態に適用可能である。
【0168】
以上の実施形態の説明において、外部発信受信装置10が送信信号の送信を完了してから一定振幅の搬送波を送信している間(すなわち、外部発信受信装置10の動作モードが「読み取り動作」である間)に搬送波の負荷変調によって返信信号が返信されているが、外部発信受信装置10からの搬送波の振幅レベルが一定でない期間に搬送波の負荷変調を実行することも可能である。例えば、送信信号が送信されている間に、その送信信号を負荷変調することによって返信信号を送信することも可能である。この場合、返信信号を受信するための搬送波を送信する必要が無くなる(一定振幅搬送波が不要になる)。このように、外部発信受信装置10は「書き込み動作」と「読み取り動作」の両方を同時に実行することができる。これによれば、通信に要する時間を短縮することができる。この「書き込み動作」と「読み取り動作」の両方が同時に行われる方式は、1対1の通信ではなく、1対複数の通信時の時間短縮に非常に有効である。
【0169】
(適用例1)
<構成>
図21は、第1の実施形態による送受信システムを適用した容器管理システムの構成を示す。この容器管理システムは、外部発信受信装置10と、無線型伝送装置20と、収容容器30と、表示装置40とを備える。このシステムは、収容容器30に収容された内容物(液体)を管理する。
【0170】
〔収容容器30〕
収容容器30は、容器本体301と、浮遊部材302とを含む。
【0171】
容器本体301は、例えば、断面積が一定である形状(例えば、立方体形状、直方体形状または円柱形状等)を有し、液体を収容する。
【0172】
浮遊部材302は、数ミリ角程度の大きさの板状部材であり、容器本体301に収容された液体の液面に浮遊している。浮遊部材302は、収容容器301に収容された液体よりも密度または比重が小さい材料によって構成される。但し、浮遊部材302は、液体の表面に浮遊すれば良いので、浮遊部材302の密度が液体密度よりも軽い必要はなく、表面張力で液面に浮遊可能であれば、浮遊部材302の密度が液体密度よりも重くても良い。浮遊部材302は、容器本体301に収容された液体の内容量の増減に応じて、上下に移動する。
【0173】
また、浮遊部材302の表面には、無線型伝送装置20が設置される。
【0174】
〔外部発信受信装置10〕
外部発信受信装置10の送受信コイルL1は、ループ状の送受信アンテナとして、浮遊部材302の移動方向に対応する位置に配置される。なお、ここでは、送受信コイルL1は、浮遊部材302の移動方向の延長線上に位置する収容容器30の上部に配置される。
【0175】
また、外部発信受信装置10の制御部11は、復号部15によって返信信号の中から検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、収容容器30に収容された液体の内容量を算出する。「外部発信受信装置10から容器本体301の底面までの距離D1」および「容器本体の301の底面積S1」は一定であり、制御部11は、これらの値を予め記憶している。また、制御部11は、測定結果情報に代えて、検出したID情報と求めた液体内容量とが書き込まれた管理情報を表示装置40へ出力する。
【0176】
〔表示装置40〕
表示装置40は、外部発信受信装置10からの管理情報(ID情報、液体内容量)を表示する。
【0177】
〔無線型伝送装置20〕
図22は、浮遊部材302における無線型伝送装置20の設置例を示す。無線型伝送装置20は、例えばICチップとして形成され、収容容器30の浮遊部材302の表面に設置される。無線型伝送装置20の送受信コイルL2は、ループ状の送受信アンテナとして配置される。ここで、浮遊部材302の表面全体に防水処理または撥水処理を施せば、ICチップを保護することができるだけでなく、浮遊性を向上することができる。
【0178】
<動作>
次に、図21に示した容器管理システムによる動作について説明する。
【0179】
まず、外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との間で種々の信号(送信信号,返信信号)がやりとりされて、外部発信受信装置10の制御部11は、無線型伝送装置20によって求められた通信距離D2を取得する。
【0180】
次に、制御部11は、自己に予め記憶している「距離D1」から「通信距離D2」を減算して、「容器本体301の底面から液体表面までの距離(液面レベル)D3」を算出する。次に、制御部11は、算出した「液面レベルD3」に「容器本体301の底面積S1」を乗算することによって、収容容器30に収容された液体の内容量を算出する。次に、制御部11は、情報検出部109によって検出されたID情報と算出した液体内容量とを管理情報に書き込み、管理情報を表示装置40へ出力する。
【0181】
次に、表示装置40は、外部発信受信装置10からの管理情報(ID情報,液体内容量)を表示する。
【0182】
ここで、図23のように、収容容器30に収容された液体の内容量が減少すると、無線型伝送装置20が設置された浮遊部材302が下降する。これにより、外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との距離が長くなるので、無線型伝送装置20における送信信号の受信状態が悪化する(例えば、送信信号の受信レベルが低くなる)。したがって、図21の場合と比較すると、無線型伝送装置20によって求められる通信距離D2が長くなり、算出される液体内容量が減少する。つまり、表示装置40に表示される液体内容量が減少する。
【0183】
<効果>
以上のように、外部発信受信装置と無線型伝送装置との通信距離から収容容器に収容された内容物の内容量を測定することができる。また、ID情報を取得することによって、収容容器に収容された内容物を識別することができる。これにより、収容容器に収容された内容物の種類と内容量を同時に管理することができる。
【0184】
なお、無線型伝送装置20の記憶部21が内容物情報を記憶していれば、無線型伝送装置20の制御部26は、ID情報と合わせて内容物情報を返信情報(返信信号の元となる情報)に書き込むことも可能である。内容物情報は、例えば、内容物の種類,製造年月日等、収容容器30に収容された内容物に関する情報である。この場合、情報検出部109によってID情報とともに内容物情報を取得すれば、液体内容量の測定と同時に、品質管理も実行することができる。
【0185】
また、外部発信受信装置10の送受信コイルL1を配置する位置は、収容容器30の上部に限らない。液面レベルの変化に対して外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との距離が一義的に決まれば、外部発信受信装置10の送受信コイルL1を収容容器30の横に配置しても構わない。
【0186】
なお、本適用例では容器本体301の断面積が一定である場合を示したが、液面レベルD3と収容されている液体内容量の関係が予め求められていれば、一定の断面積でなくても良い。
【0187】
<ICタグの設置場所>
なお、図24のように、浮遊部材302に3つの無線型伝送装置20−1,20−2,20−3が配置されていても構わない。この場合、外部発信受信装置10は、無線型伝送装置20−1との通信距離d1,無線型伝送装置20−2との通信距離d2,無線型伝送装置20−3との通信距離d3に基づいて通信距離D2を測定する。これによれば、液面が傾いている場合でも、通信距離を正確に測定することができる。特に、携帯可能な電子機器に収容容器が装着される場合に有効である。
【0188】
(収容容器の変形例1)
また、図25のように、図21に示した収容容器30に代えて収容容器30Aを用いた場合も同様の効果を得ることができる。収容容器30Aは、容器本体301Aと、隔壁部材302Aとを含む。隔壁部材302Aは、容器本体301Aに収容された液体の増減に応じて、容器本体301Aの高さ方向に沿って移動する。また、外部発信受信装置10の送受信コイルL1は、隔壁部材302Aの移動方向に対応する位置に配置される。なお、ここでは、送受信コイルL1は、隔壁部材302Aの移動方向の延長線上である収容容器30Aの上方に配置される。これによれば、収容容器30Aが傾いても通信距離D2を測定することができる。また、気密性を確保することができるので、収容容器30Aが傾いても内容物である液体が外部に漏れ出したり、収容容器30A内に外気が入り込んだりするのを防止することができる。
【0189】
(収容容器の変形例2)
さらに、図26のように、図21に示した収容容器30に代えて収容容器30Bを用いた場合も同様の効果を得ることができる。収容容器30Bは、自己の内部に収容された液体の内容量の増減に応じて伸縮する(図27参照)。ここでは、収容容器30Bは、高さ方向に伸縮する。収容容器30Bの表面のうち伸縮方向の延長線上(ここでは、収容容器30Bの上面)には無線型伝送装置20が設置されている。外部発信受信装置10の送受信コイルL1は、収容容器30Bの伸縮方向に対応する位置に配置される。ここでは、伸縮方向の延長線上である収容容器30Bの上方に配置される。これによれば、容器管理システム全体が傾いても通信距離D2を測定することができる。また、無線型伝送装置20は軽量であるので、無線型伝送装置20の自重が収容容器30Bの形状に及ぼす影響が少なく計測誤差を低減することができる。また、収容容器30Bの上面が外部発信受信装置10に対して略平行な状態にできるようにすれば、通信距離D2の測定を精度良く実行することができる。さらに、収容容器30Bは、その全体を同一の部材,材料によって形成されていても良いが、部分的に部材,材料を異ならせても良い。これによれば、収容容器30Bの上面が外部発信受信装置10に対して略平行な状態となるように収容容器30Bの各部における変形の程度を調整することができる。
【0190】
(適用例2)
<構成>
図28は、第1の実施形態による送受信システムを適用した燃料電池システムの構成を示す。燃料電池システムは、収容容器30と、無線型伝送装置20と、燃料電池ユニット50と、電子機器60とを備える。このシステムでは、燃料電池ユニット50は収容容器30に収容されたメタノール水溶液を燃料として発電し、電子機器60は燃料電池ユニット50の電力によって駆動するとともに収容容器30に収容されたメタノール水溶液を管理する。電子機器60は、例えばノート型パソコンである。
【0191】
〔収容容器30〕
収容容器30は、メタノール水溶液を収容する。浮遊部材302に設けられた無線型伝送装置20の記憶部21は、ID情報に加えて、内容物情報としてメタノール情報を記憶する。メタノール情報は、例えば、メタノール水溶液の濃度等、収容容器30に収容されたメタノール水溶液に関する情報である。なお、返信信号は、ID情報に加えて、メタノール情報も含む。
【0192】
〔燃料電池ユニット50〕
燃料電池ユニット50は、発電部500と、外部発信受信装置10とを含む。発電部500は、燃料供給ポンプ501と、DMFC発電セル502と、電圧変換回路503とを含む。
【0193】
燃料供給ポンプ501は、収容容器30の中からメタノール水溶液を吸い出し、吸い出したメタノール水溶液を発電セル502へ供給する。発電セル502は、燃料供給ポンプ501から供給されたメタノール水溶液を用いて発電する。電圧変換回路503は、発電セル502によって発生した電力を電子機器60にとって適切な電圧に変換し、変換した電力を電子機器60へ供給する。
【0194】
外部発信受信装置10の情報検出部109は、ID情報に加えて、メタノール情報を検出する。
【0195】
制御部11は、取得した通信距離に基づいて、収容容器30に収容されたメタノール水溶液の内容量を算出する。また、制御部11は、測定結果情報に代えて、情報検出部109によって検出されたID情報およびメタノール情報と算出したメタノール水溶液の内容量とが書き込まれた管理情報を電子機器60へ出力する。さらに、制御部11は、収容容器30に収容されたメタノール水溶液の内容量が規定量以下になると、残量減少信号を電子機器60へ出力する。
【0196】
〔電子機器60〕
電子機器60は、制御用マイコン601と、表示部602とを含む。制御用マイコン601は、外部発信受信装置10からの管理情報を受け取り、管理情報を表示部602へ出力する。また、制御用マイコン601は、外部発信受信装置10からの残量減少信号を受け取ると、警告表示命令を出力する。
【0197】
表示部602は、制御用マイコン601からの管理情報(ID情報,メタノール情報,メタノール水溶液の内容量)を表示する。また、表示部602は、制御用マイコン601からの警告表示命令を受け取ると、残量減少通知画像を表示する。残量減少通知画像は、例えば、「燃料残量「少」」等、メタノール水溶液の残量が少ないことを通知する画像である。
【0198】
<動作>
次に、図28に示した燃料電池システムによる動作について説明する。
【0199】
燃料電池ユニット50による発電運転が開始されると、外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との間で種々の信号(送信信号,返信信号)がやりとりされて、外部発信受信装置10の制御部11は、定期的に、通信距離D2を取得する。また、制御部11は、取得した通信距離に基づいて収容容器30に収容されたメタノール水溶液の内容量を算出する。次に、制御部11は、情報検出部109によって検出されたID情報およびメタノール情報と求めたメタノール水溶液の内容量とを管理情報に書き込み、管理情報を電子機器60へ、定期的に出力する。これにより、電子機器60の表示部602に表示される管理情報(ID情報,メタノール情報,メタノール水溶液の内容量)が定期的に更新される。
【0200】
また、制御部11は、算出したメタノール水溶液の内容量が規定量以下であると判定すると、残量減少信号を制御用マイコン601へ出力する。よって、表示部602には「残量「少」」が表示される。これにより、電子機器60のユーザに燃料交換や燃料補充を促すことができる。
【0201】
<効果>
以上のように、外部発信受信装置と無線型伝送装置との通信距離からメタノール水溶液の内容量を測定することができる。また、メタノール情報を取得することによって、収容容器に収容されたメタノール水溶液を識別することができる。これにより、メタノール水溶液の種類と内容量を同時に管理することができる。
【0202】
また、内容物情報としてのメタノール情報を参照することによって、仕様の異なったメタノール水溶液を誤って使用してしまうことを防止することができる。すなわち、表示部602に表示される内容物情報には、内容物の燃料電池システムに対する適合・不適合に関する情報を含むことができる。
【0203】
また、電子機器を対象とする燃料電池システムにおいて、収容容器30は、比較的小さい。ここで、無線型伝送装置(例えば無線タグ)が設けられた浮遊部材302は、数ミリ角程度の大きさで作製することができるので、小型の収容容器30にも用いることができる。つまり、小型の収容容器にも適用することができる。
【0204】
さらに、従来の内容量管理方法(内容物の導電率や誘電率あるいは超音波の反射を利用した液面レベル測定)のための構成部品を、小型軽量の無線型伝送装置で代替することが可能となる。その結果、燃料電池システムの燃料情報(燃料濃度、内容物の特性、カートリッジのリサイクル回数等)を記憶させると同時に、内容量を管理する部品としての共用化を実現することができる。このように、収容容器の小型軽量化という優れた効果を得ることができる。また、従来の内容量管理方法のための構成部品が不要となるので、燃料を収容する空間を大きくすることができる。これにより、燃料電池システムの運転の長時間化を実現することができる。
【0205】
なお、メタノール水溶液を燃料として例に挙げたがメタノールに限られるものではなく、ボロハイドライドをアルカリ水溶液に溶かした溶液等の液体をメタノールの代わりに燃料として用いることもできる。
【0206】
また、定期的に測定した液面レベルに関する情報を外部発信受信装置10,無線型伝送装置20に記憶させても良い。また、記憶させた液面レベルの情報と測定経過時間から、燃料電池システムの予想残存駆動時間を求めることもできる。
【0207】
また、図28に示した収容容器30に代えて、図25や図26に示した収容容器を備えていても良い。
【0208】
送受信システムは、燃料電池システムだけでなく、当業者が容易想到な範囲に含まれるシステムに適用可能である。例えば、石油燃料(例えば、灯油,ガソリン)の収納容器、自動車などの燃料タンク、食用の調味料,油,スープ,酒類などを保管する収納容器のように、液体を収納する場合はすべて使用可能である。大型のものとしては、浮遊式の蓋を持つ原油の貯蔵タンクにおいても使用可能である。
【0209】
また、内容物が液体の場合以外(例えば、米びつのように固体を収容する場合)にも適用可能である。この場合、収容容器としては、例えば、図25や図26に示すような形態が好ましい。また、図25や図26に示す形態では、内容物が気体の場合でも適用可能である。
【0210】
(適用例3)
<構成>
図29は、第1の実施形態による送受信システムを適用した輸液管理システムの構成を示す。輸液管理システムは、輸液パック71と、輸液用スタンド72と、無線型伝送装置20と、外部発信受信装置10と、情報伝送装置73と、表示装置40とを備える。この輸液管理システムは、病院等の医療現場で点滴に使用される輸液パックに適用される。
【0211】
〔輸液パック71〕
輸液パック71は、輸液を収容する。また、輸液パック71に収容された輸液の液面には、浮遊部材302が浮遊している。
【0212】
〔輸液用スタンド72〕
輸液用スタンド72は、設置面から略垂直に延びる支柱部72aと、支柱部72aの先端部から突出するパック取付部72bからなる。輸液パック71は、パック取付部72bの取付フックに取り付けられる。
【0213】
〔無線型伝送装置20〕
無線型伝送装置20は、輸液パック71に浮遊する浮遊部材302の表面に設置される。無線型伝送装置20の記憶部21は、ID情報に加えて、内容物情報として輸液情報を記憶する。輸液情報は、例えば、薬品の種類、濃度、容量、使用有効期限、輸液パック容器に関する情報等、輸液等に関する情報である。なお、返信信号には、ID情報に加えて、輸液情報も含まれる。
【0214】
〔外部発信受信装置10〕
外部発信受信装置10の送受信コイルL1は、輸液パック71を輸液用スタンド72に取り付けた状態において、浮遊部材302の移動方向に対応する位置に配置される。ここでは、送受信コイルL1は、浮遊部材302の移動方向の延長線上である輸液用スタンド72のパック取付部72bに配置される。
【0215】
また、外部発信受信装置10の情報検出部109は、ID情報に加えて、輸液情報を検出する。制御部11は、取得した通信距離に基づいて、輸液パック71に収容された輸液の内容量を算出する。制御部11は、通信距離と輸液の内容量との関係に基づいて作成された内容量対応テーブルを予め記憶している。内容量対応テーブルには、複数の内容量と複数の通信距離とが対応付けられている。なお、内容量対応テーブルにおいて、通信距離が長くなる程、その通信距離に対応する内容量は小さくなる。制御部11は、測定結果情報に代えて、情報検出部109によって検出されたID情報および輸液情報と求めた輸液の内容量とが書き込まれた測定結果情報を情報伝送装置73へ出力する。
【0216】
また、制御部11は、輸液の内容量が規定量以下であると、残量減少信号を情報伝送装置73へ出力する。さらに、制御部11は、患者に投与すべき輸液の種類等、患者に関する情報である患者情報を予め記憶しており、情報検出部109によって検出された輸液情報と自己に記憶された患者情報とが一致しない場合には、警告信号を情報伝送装置73へ出力する。
【0217】
〔情報伝送装置73〕
情報伝送装置73は、外部発信受信装置10からの種々の信号(管理情報,残量減少信号,警告信号)を表示装置40へ伝送する。ここで、情報伝送装置73と表示装置40とが無線で通信する場合には、外部発信受信装置10と無線型伝送装置20の通信に干渉しない周波数を採用すれば良い。また、情報伝送装置73と表示装置40との通信は、有線で行っても良い。
【0218】
〔表示装置40〕
表示装置40は、病室やナースステーション等に設置される。表示装置40は、情報伝送装置73からの管理情報(ID情報,輸液情報,輸液の内容量)を表示する。また、表示装置40は、情報伝送装置73からの残量減少信号を受け取ると、残量減少通知画像を表示する。また、表示装置40は、情報伝送装置73からの警告信号を受け取ると、輸液不適合通知画像を表示する。輸液不適合通知画像は、例えば、「輸液パック不適合」等、輸液パックが患者に正しく割り当てられていないことを通知する画像である。
【0219】
<動作>
次に、図29に示した輸液管理システムによる動作について説明する。
【0220】
輸液パック71が輸液用スタンド72に取り付けられると、外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との間で種々の信号(送信信号,返信信号)がやりとりされて、外部発信受信装置10の制御部11は、定期的に、通信距離を取得する。また、制御部11は、取得した通信距離に基づいて、輸液パック71に収容された輸液の内容量を求める。例えば、制御部11は、自己に記憶している内容量対応テーブルの中から通信距離に対応する内容量を検出する。次に、制御部11は、情報検出部109によって検出されたID情報および輸液情報と求めた輸液の内容量を管理情報に書き込み、管理情報を情報伝送装置73へ、定期的に出力する。
【0221】
次に、情報伝送装置73は、外部発信受信装置10からの管理情報を表示装置40へ伝送する。これにより、表示装置40に表示される管理情報(ID情報,輸液情報,輸液の内容量)が定期的に更新される。
【0222】
また、外部発信受信装置10の制御部11は、求めた輸液の内容量が規定量以下であると判定すると、残量減少信号を出力する。よって、表示装置40には「残量「少」」が表示される。これにより、点滴交換の注意を促すことができる。
【0223】
さらに、制御部11は、自己に予め記憶している患者情報と情報検出部109によって検出された輸液情報とが一致しないと判定すると、警告信号を出力する。よって、表示装置40には「輸液パック不適合」が表示される。これにより、点滴不適合の注意を促すことができる。
【0224】
<効果>
以上のように、輸液パックに収容された輸液の種類と内容量を同時に管理することができる。また、各々の患者に割り当てられた輸液パックの残量を管理することができるので、数多くの患者の対する輸液交換のタイミングを把握することができる。この場合、情報伝送装置73と表示装置40とが無線で通信するようにし、表示装置40を小型で携帯可能なものとして看護師や医師が携帯するようにしても良い。これにより、看護師や医師は、輸液切れに伴う煩雑な作業から開放される。また、内容物情報としての輸液情報を参照することによって、患者に適した輸液であるかどうかの照合ができるので、患者に誤った輸液を点滴するような医療過誤を防止できる。すなわち、表示装置40に表示される内容物情報には、内容物の輸液管理システムに対する適合・不適合に関する情報を含むことができる。
【0225】
また、無線型伝送装置が設けられた浮遊部材302は、数ミリ角程度の大きさで作製することができるので、小型の輸液パック71にも使用することができる。つまり、小型の輸液パックにも適用することができる。
【0226】
なお、表示装置40は、残量減少通知画像、輸液不適合通知画像と共に警告音を発しても良い。また、警告音を発する警報装置を別途設けても良い。また、本適用例では、表示装置40は、病室やナースステーション等に設置するとしたが、これらとは別に情報伝送装置73や外部発信受信装置10,輸液スタンド72等に付属させても良い。さらに、情報伝送装置73と外部発信受信装置10を一体化させても良い。
【0227】
また、本適用例では内容量対応テーブルを用いた例を示したが、計算式を用いて通信距離に対応する内容量を求めても良い。
【0228】
なお、輸液用スタンド72に設置される各装置(外部発信受信装置10,情報伝送装置73等)は、コンセントから電源が供給されるタイプでも良いし、充電池を用いたコードレスタイプであっても良い。
【0229】
さらに、本適用例では点滴に使用される輸液パックを例として挙げたが、本適用例における輸液は血液を含む。すなわち、輸血に使用される輸血パックにも適用可能である。この場合、無線型伝送装置20の記憶部21が血液型に関する情報を記憶していれば、輸血用血液の残量管理や血液型の管理を行うことができる。その結果、本適用例における輸液管理システムと同様に、患者に誤った血液を輸血するような医療過誤を防止できる。また、本システムは、医療用に限定されるものではなく、医療用用途以外の液体を用いた輸液管理システムにも適用可能である。
【0230】
また、無線型伝送装置20を浮遊部材302に設置するのではなく、輸液パック71を形成する材料と同一の材料を用いたカプセルに収容した状態で、輸液パック71の輸液面に浮遊させても良い。
【0231】
(適用例4)
<構成>
次に、第1の実施形態による送受信システムを適用した用紙管理システムについて説明する。用紙管理システムは、プリンタに収容されるプリンタ用紙を管理する。
【0232】
図30は、プリンタ80の外観図である。この用紙管理システムは、外部発信受信装置10と、無線型伝送装置20と、給紙トレー81と、プリンタ本体82とを備える。プリンタ本体82には、凹状のトレー収納部800が形成されている。給紙トレー81は、トレー収納部800に挿入されて、トレー収納部800の中に収納される。
【0233】
〔給紙トレー81〕
図31は、給紙トレー81の断面模式図である。給紙トレー81は、矩形箱状のトレー本体801と、矩形状の給紙板802と、付勢部材としての弾性体(例えば、バネ)803とを含む。給紙板802は、トレー本体801の内部(詳しくは、トレー本体801の底面801aの上部)に配置され、プリンタ用紙が載置される。バネ803は、給紙トレー81の挿入方向において、給紙板802の一方端部とトレー本体801の底面801aの一方端部との間に接続される。バネ803の復元力により、給紙板802の一方端部は、トレー本体801の底面801aから離れる方向へ付勢されている。
【0234】
〔無線型伝送装置20〕
無線型伝送装置20は、給紙トレー81の挿入方向において、給紙板802の一方端部に設置される。無線型伝送装置20の記憶部21は、ID情報に加えて、内容物情報として用紙情報を記憶している。用紙情報は、例えば、プリンタ用紙の種類やサイズ等、プリンタ用紙に関する情報である。なお、返信信号には、ID情報に加えて、用紙情報が含まれる。
【0235】
〔プリンタ本体82〕
図32は、プリンタ本体82の断面模式図である。プリンタ本体82は、外部発信受信装置10と、表示部804とを含む。
【0236】
〔外部発信受信装置10〕
外部発信受信装置10の送受信コイルL1は、給紙板802の移動方向に対応する位置に配置される。ここでは、送受信コイルL1は、給紙板802の一方端部の移動方向の延長線上であるトレー収納部800の上面部800aに設置される。
【0237】
外部発信受信装置10の情報検出部109は、ID情報に加えて、用紙情報も検出する。制御部11は、取得した通信距離に基づいて、給紙トレー81に収容されたプリンタ用紙の枚数を求める。制御部11は、通信距離とプリンタ用紙の枚数との関係に基づいて作成された枚数対応テーブルを予め記憶している。枚数対応テーブルには、複数の用紙枚数と複数の通信距離とが対応付けられている。なお、枚数対応テーブルにおいて、通信距離が長くなる程、その通信距離に対応する用紙枚数は多くなる。また、制御部11は、測定結果情報に代えて、情報検出部109によって検出されたID情報および用紙情報と求めた用紙枚数とが書き込まれた管理情報を表示部804へ出力する。
【0238】
また、制御部11は、求めた用紙枚数が規定量以下であると、残量減少信号を表示部401へ出力する。
【0239】
表示部804は、外部発信受信装置10からの管理情報(ID情報,用紙情報,用紙枚数)を表示する。また、表示部804は、外部発信受信装置10からの残量減少信号を受け取ると、残量減少通知画像(例えば、残量「少」)を表示する。
【0240】
<動作>
次に、用紙管理システムによる動作について説明する。
【0241】
プリンタ本体82のトレー収納部800に給紙トレー81が収納されると、外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との間で種々の信号(送信信号,返信信号)がやりとりされて、外部発信受信装置10の制御部11は、定期的に、通信距離を取得する。また、制御部11は、取得した通信距離に基づいて、給紙トレー81に収容されたプリンタ用紙の枚数を求める。例えば、制御部11は、枚数対応テーブルの中から通信距離に対応する用紙枚数を検出する。次に、制御部11は、情報検出部109によって検出されたID情報および用紙情報と求めた用紙枚数とを管理情報に書き込み、管理情報を表示部804へ、出力する。その結果、表示部804に表示される管理情報が定期的に更新される。
【0242】
ここで、給紙トレー81に収容されたプリンタ用紙の枚数が減少すると、給紙板802の一方端部は、バネ803の復元力によって、トレー本体801の上方へ(つまり、トレー収納部800の上面部800aへ)近づく。したがって、無線型伝送装置20における送信信号の受信状態が良好になる。これにより、無線型伝送装置20によって求められる通信距離が短くなり、算出される用紙枚数が減少する。つまり、表示部804に表示される用紙枚数が減少する。
【0243】
また、外部発信受信装置10の制御部11は、求めた用紙枚数が規定量以下であると判定すると、残量減少信号を出力する。よって、表示部804には「残量「少」」が表示される。これにより、用紙の補給を促すことができる。なお、表示部804が、残量減少信号と共に警告音を発しても良い。
【0244】
<効果>
以上のように、給紙トレーに収容された用紙の種類と枚数を同時に管理することができる。また、用紙情報をパソコンの表示画面に表示すれば、パソコンから印刷するときにサイズの異なった紙を指定してしまうことを防止することができる。
【0245】
また、無線型伝送装置(例えば無線タグ)は、数ミリ角程度の大きさで作製することができるので、給紙トレー内の任意のスペースに搭載することが可能である。
【0246】
また、本適用例では枚数対応テーブルを用いた例を示したが、計算式を用いて通信距離に対応する用紙枚数を求めても良い。
【0247】
なお、本適用例では、定期的に通信距離を求めているが、プリンター本体の動作に応じて通信距離を求めるようにすれば、プリンターが動作していない時における通信距離の測定を省略することができる。
【0248】
(適用例5)
<構成>
次に、第1の実施形態による送受信システムを適用したインク管理システムについて説明する。このインク管理システムは、インクジェットプリンタに内蔵されるインクカートリッジに収容されたインクを管理する。
【0249】
図33Aは、インクジェットプリンタの外観図である。プリンタ本体90には、カートリッジホルダー部91が形成されている。このインク管理システムは、外部発信受信装置10と、無線型伝送装置20と、カートリッジホルダー部91と、インクカートリッジ92とを備える。図33Bは、カートリッジホルダー部91の外観図である。インクカートリッジ92は、カートリッジホルダー部91の中に取り付けられる。図34は、カートリッジホルダー部91およびインクカートリッジ92の断面模式図である。
【0250】
〔インクカートリッジ92〕
インクカートリッジ92は、インクを収納する。また、インクカートリッジ92に収容されたインクの液面には、浮遊部材302が浮遊している。
【0251】
〔無線型伝送装置20〕
無線型伝送装置20は、浮遊部材302の表面に設置される。無線型伝送装置20の記憶部21は、ID情報に加えて、内容物情報としてインク情報を記憶している。インク情報は、例えば、インクの色や種類等、インクに関する情報である。なお、返信信号には、ID情報に加えて、インク情報が含まれる。
【0252】
〔外部発信受信装置10〕
外部発信受信装置10の送受信コイルL1は、浮遊部材302の移動方向に対応する位置に配置される。ここでは、送受信コイルL1は、移動方向の延長線上であるカートリッジホルダー部91の上部に配置される。
【0253】
外部発信受信装置10の情報検出部109は、ID情報に加えて、インク情報も検出する。制御部11は、取得した通信距離に基づいて、インクカートリッジ92に収容されたインクの内容量を求める。また、制御部11は、測定結果情報に代えて、情報検出部109によって検出されたID情報およびインク情報と求めたインクの内容量とが書き込まれた管理情報を表示部901へ出力する。
【0254】
また、制御部11は、インクの内容量が規定量以下であると、残量減少信号を表示部901へ出力する。
【0255】
表示部901は、外部発信受信装置10からの管理情報(ID情報,インク情報,インクの内容量)を表示する。また、表示部901は、外部発信受信装置10からの残量減少信号を受け取ると、残量減少通知画像(例えば、残量「少」)を表示する。なお、表示部901が、残量減少信号と共に警告音を発しても良い。
【0256】
<動作>
次に、インク管理システムによる動作について説明する。
【0257】
カートリッジホルダー部91にインクカートリッジ92が収納されると、外部発信受信装置10と無線型伝送装置20との間で種々の信号(送信信号,返信信号)がやりとりされて、外部発信受信装置10の制御部11は、定期的に、通信距離を取得する。また、制御部11は、取得した通信距離に基づいて、インクカートリッジ92に収容されたインクの内容量を求める。次に、制御部11は、情報検出部109によって検出されたID情報およびインク情報と求めたインクの内容量とを管理情報に書き込み、管理情報を表示部901へ、定期的に出力する。表示部901に表示される管理情報が定期的に更新される。
【0258】
また、外部発信受信装置10の制御部11は、求めたインク内容量が規定量以下であると判定すると、残量減少信号を出力する。よって、表示部901には「残量「少」」が表示される。これにより、インクカートリッジの交換を促すことができる。
【0259】
<効果>
以上のように、インクカートリッジに収容されたインクの種類と内容量を同時に管理することができる。
【0260】
また、無線型伝送装置(例えば無線タグ)が設けられた浮遊部材302は、数ミリ角程度の大きさで作製することができるので、小型のインクカートリッジ内部に搭載することができる。
【0261】
なお、以上の本実施形態の適用例の各々において、第1の実施形態による送受信システムを適用する例について説明してきたが、第1の実施形態の変形例1,第2の実施形態,および第3の実施形態の各々も、当然、適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0262】
以上説明したように、本発明は、無線型伝送装置の存在位置を検知することができるので、所定の収容容器に収納された内容物の内容量を管理する容器管理システムや、給紙トレーに収容されたプリンタ用紙を管理する用紙管理システム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0263】
【図1】この発明の第1の実施形態による送受信システムの全体構成および返信信号について説明するための図。
【図2】信号の受信レベルと通信距離との関係を示すグラフ。
【図3】(A)通信S/Nと通信距離との関係を示すグラフ。(B)誤り率と通信S/Nとの関係を示すグラフ。(C)誤り訂正数と通信距離との関係を示すグラフ。
【図4】図1に示した外部発信受信装置の内部構成を示すブロック図。
【図5】図4に示した送信信号供給部の内部構成を示すブロック図。
【図6】送信信号について説明するための波形図。
【図7】図4に示した復号部の内部構成を示すブロック図。
【図8】図1に示した無線型伝送装置の内部構成を示すブロック図。
【図9】レベル情報対応テーブルの一例を示す図。
【図10】図8に示した復号部および信号状態検知部の内部構成を示すブロック図。
【図11】図8に示した返信信号供給部の内部構成を示すブロック図。
【図12】負荷変調方式に従って送信される返信信号について説明するための波形図。
【図13】別の負荷変調方式に従って送信される返信信号について説明するための波形図。
【図14】この発明の第1の実施形態の変形例1による送受信システムにおいて送信される送信信号について説明するための波形図
【図15】(A)時間振幅レベル対応テーブルの一例を示す図。(B)振幅レベル距離対応テーブルの一例を示す図。
【図16】この発明の第2の実施形態による送受信システムにおける動作について説明するための図。
【図17】時間距離対応テーブルの一例を示す図。
【図18】送信回数振幅レベル対応テーブルの一例を示す図。
【図19】この発明の第3の実施形態による送受信システムにおける動作について説明するための図。
【図20】送信回数距離対応テーブルの一例を示す図。
【図21】この発明の実施形態の適用例1による容器管理システムの構成を示す図。
【図22】図21に示した浮遊部材における無線型伝送装置の設置例を示す図。
【図23】図21に示した収容容器に入っている液体が少なくなった場合について説明するための図。
【図24】図21に示した浮遊部材における無線型伝送装置の設置例を示す図。
【図25】図21に示した収容容器の変形例1を示す図。
【図26】図21に示した収容容器の変形例2を示す図。
【図27】図26に示した収容容器に入っている液体が少なくなった場合について説明するための図。
【図28】この発明の実施形態の適用例2による燃料電池システムの構成を示す図。
【図29】この発明の実施形態の適用例3による輸液管理システムの構成を示す図。
【図30】プリンタの外観図。
【図31】図30に示した給紙トレーの断面模式図。
【図32】この発明の実施形態の適用例4による用紙管理システムの構成について説明するための断面模式図。
【図33】(A)プリンタの外観図。(B)カートリッジホルダーの外観図。
【図34】この発明の実施形態の適用例5によるインク管理システムの構成について説明するための図。
【符号の説明】
【0264】
10 外部発信受信装置
20 無線型伝送装置
11,26 制御部
12 送信信号供給部
13,22 送受信部
14 レベル設定部
15,24 復号部
21 記憶部
23 電圧生成部
25 信号状態検知部
27 返信信号供給部
101,206 符号化処理部
102,207 誤り訂正符号付加部
103 送信データ生成部
104,209 変調回路
105 受信増幅回路
106,201 復調回路
107,202 誤り訂正回路
108,203 復号化処理部
109 情報検出部
204 受信レベル測定部
205 誤り箇所計数回路
208 返信データ生成部
30,30A,30B 収容容器
301,301A 容器本体
302 浮遊部材
302A 隔壁部材
40 表示装置
50 燃料電池ユニット
500 発電部
501 燃料供給ポンプ
502 DMFC発電セル
503 電圧変換回路
60 電子機器
601 制御用マイコン
602 表示部
71 輸液パック
72 輸液用スタンド
80,90 プリンタ
81 給紙トレー
82 プリンタ本体
800 トレー収納部
801 トレー本体
802 給紙板
803 付勢部材
804,901 表示部
91 カートリッジホルダー部
92 インクカートリッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送波を送信するとともに搬送波の送信レベルを順次変更することによって振幅レベルが互いに異なる複数の送信信号を順次送信する外部発信受信装置と、前記外部発信受信装置からの搬送波を負荷変調する無線型伝送装置とが通信するシステムであって、
前記無線型伝送装置は、
前記外部発信受信装置からの搬送波を受信する第1の送受信部と、
前記第1の送受信部によって受信された送信信号の受信状態を検知する信号状態検知部と、
前記信号状態検知部によって検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると、当該送信信号の送信レベルに基づいて前記外部発信受信装置と当該無線型伝送装置との間の通信距離を求め、当該求めた通信距離を示す距離情報を含む返信情報を出力する第1の制御部と、
前記第1の制御部からの返信情報に基づいて返信信号を生成し、生成した返信信号を供給する返信信号供給部とを備え、
前記第1の送受信部は、前記返信信号供給部によって供給された返信信号に基づいて前記外部発信受信装置からの搬送波を負荷変調することによって、当該返信信号を送信し、
前記外部発信受信装置は、
互いに異なる振幅レベルを示す複数のレベル情報を順次出力するとともに、複数の送信情報を順次出力する第2の制御部と、
搬送波を供給するとともに、前記第2の制御部からの送信情報を受け取ると当該送信情報に基づいて搬送波を変調することによって送信信号を供給する送信信号供給部と、
前記送信信号供給部から供給される搬送波の送信レベルを、前記第1の制御部から出力されたレベル情報に示された振幅レベルに設定するレベル設定部と、
前記レベル設定部によって送信レベルが設定された搬送波を送信する一方、前記無線型伝送装置における負荷変調によって送信された返信信号を受信する第2の送受信部と、
前記第2の送受信部によって受信された返信信号の中から距離情報を検出する情報検出部とを備える
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の制御部から出力される送信情報には、前記複数のレベル情報のうち当該送信情報とともに出力されるレベル情報が含まれており、
前記第1の制御部は、前記第1の送受信部によって受信された送信信号の中からレベル情報を検出し、前記信号状態検知部によって検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると、前記検出したレベル情報に示された振幅レベルに基づいて前記通信距離を求める
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項3】
請求項1において、
前記第2の制御部は、前記第2の送受信部によって最初の送信信号が送信された時点からの経過時間を計時し、当該経過時間に応じた振幅レベルを示すレベル情報を出力し、
前記第1の制御部は、前記第1の送受信部によって前記最初の送信信号が受信された時点からの経過時間を計時し、前記信号状態検知部によって検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断したときの経過時間に基づいて前記通信距離を求める
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項4】
請求項1において、
前記第2の制御部は、前記第2の送受信部による送信信号の送信回数を計数し、当該送信回数に応じた振幅レベルを示すレベル情報を出力し、
前記第1の制御部は、前記第1の送受信部による送信信号の受信回数を計数し、前記信号状態検知部によって検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断したときの受信回数に基づいて前記通信距離を求める
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうちいずれか1つにおいて、
前記信号状態検知部は、前記第1の送受信部によって受信された送信信号の振幅レベルを測定し、
前記第1の制御部は、前記信号状態検知部によって測定された送信信号の振幅レベルが所定レベルであると、当該送信信号の送信状態が所定条件を満たしていると判断する
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項6】
請求項1から請求項4のうちいずれか1つにおいて、
前記信号状態検知部は、前記第1の送受信部によって受信された送信信号に発生している誤り箇所の個数を計数し、
前記第1の制御部は、前記信号状態検知部によって計数された誤り箇所数が所定数であると、当該送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断する
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6において、
前記送信信号供給部は、前記第2の制御部からの送信情報を受け取ると、当該送信情報に対応し且つ振幅レベルの変動が連続する区間が設けられた送信信号を生成し、当該生成した送信信号を供給する
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項8】
請求項1において、
所定内容物を収容し、且つ、当該内容物の内容量の増減に応じて前記通信距離が変化するように前記無線型伝送装置が設けられた収容容器をさらに備え、
前記第2の制御部は、さらに、前記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、前記所定内容物の内容量を求める
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項9】
請求項1において、
液状である所定内容物が収容される収容容器と、
前記収容容器に収容された所定内容物の液面に浮遊する浮遊部材とをさらに備え、
前記無線型伝送装置は、前記浮遊部材の表面に設けられ、
前記第2の制御部は、さらに、前記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、前記収容容器に収容された所定内容物の内容量を求める
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項10】
請求項1において、
所定内容物が収容される収容容器と、
前記収容容器の内部に配置され、且つ、当該収容容器に収容された所定内容物の内容量の増減に応じて移動する隔壁部材とをさらに備え、
前記無線型伝送装置は、前記隔壁部材に設けられ、
前記第2の制御部は、さらに、前記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、前記収容容器に収容された所定内容物の内容量を求める
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項11】
請求項1において、
所定内容物が収容され、且つ、当該内容物の内容量の増減に応じて外形状が伸縮する収容容器をさらに備え、
前記無線型伝送装置は、前記収容容器の表面に設けられ、
前記第2の制御部は、さらに、前記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、前記収容容器に収容された所定内容物の内容量を求める
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項12】
請求項8から請求項11のうちいずれか1つにおいて、
液体燃料を用いて発電する発電部を含む燃料電池ユニットをさらに備え、
前記収容容器は、前記発電部によって使用される液体燃料を収容し、
前記第2の制御部は、さらに、前記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、前記収容容器に収容された液体燃料の内容量を求める
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項13】
請求項1において、
所定輸液を収容する輸液収容容器と、
前記輸液収容容器に収容された所定輸液の液面に浮遊する浮遊部材と、
前記輸液収容容器を取り付ける容器取付部とをさらに備え、
前記無線型伝送装置は、前記浮遊部材の表面に設けられ、
前記第2の制御部は、さらに、前記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、前記輸液収容容器に収容された所定輸液の内容量を求める
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項14】
請求項1において、
プリンタ用紙を収容する給紙トレーと、前記給紙トレーが挿入されて当該給紙トレーを収納するトレー収納部を有するプリンタ本体とを含むプリンタをさらに備え、
前記給紙トレーは、給紙トレー本体と、前記給紙トレー本体の内部に配置され且つ前記プリンタ用紙が載置される給紙板と、前記給紙トレーの挿入方向において前記給紙トレー本体の底面の一端部と前記給紙板の一端部とを連結し且つ前記給紙板を前記トレー本体の底面から離れる方向へ付勢する付勢部材とを含み、
前記無線型伝送装置は、前記給紙板の一端部に設けられ、
前記第2の制御部は、さらに、前記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、前記給紙トレーに収容されたプリンタ用紙の枚数を求める
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項15】
請求項1において、
所定のインクを収容するインクカートリッジと、前記インクカートリッジに収容されたインクの液面に浮遊する浮遊部材と、前記インクカートリッジを内部に収納するカートリッジホルダー部を有するプリンタ本体とを含むプリンタをさらに備え、
前記無線型伝送装置は、前記浮遊部材の表面に設けられ、
前記第2の制御部は、さらに、前記情報検出部によって検出された距離情報に示された通信距離に基づいて、前記インクカートリッジに収容されたインクの内容量を求める
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項16】
請求項8から請求項11のうちいずれか1つにおいて、
前記無線型伝送装置は、
前記内容物に関する情報である内容物情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記第1の制御部は、前記求めた通信距離を示す距離情報と前記記憶部に記憶された内容物情報とを含む返信情報を出力し、
前記情報検出部は、前記第2の送受信部によって受信された返信信号の中から前記距離情報および前記内容物情報を検出し、
前記外部発信受信装置は、
前記第2の制御部によって求められた内容量および前記情報検出部によって検出された内容物情報のうち少なくとも一方を表示する表示部をさらに備える
ことを特徴とする送受信システム。
【請求項17】
搬送波の送信レベルが変更可能である外部発信受信装置と、前記外部発信受信装置からの搬送波を負荷変調する無線型伝送装置とによる送受信方法であって、
前記外部発信受信装置が、搬送波を送信するとともに搬送波の送信レベルを順次変更することによって振幅レベルが互いに異なる複数の送信信号を順次送信する送信ステップと、
前記無線型伝送装置が、前記送信ステップにおいて送信された搬送波を受信する搬送波受信ステップと、
前記無線型伝送装置が、前記搬送波受信ステップにおいて受信された送信信号の受信状態を検知する状態検知ステップと、
前記無線型伝送装置が、前記状態検知ステップにおいて検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると、当該送信信号の送信レベルに基づいて前記外部発信受信装置と当該無線型伝送装置との間の通信距離を求める算出ステップと、
前記無線型伝送装置が、前記算出ステップにおいて求められた通信距離を示す距離情報を含む返信信号を生成する生成ステップと、
前記無線型伝送装置が、前記生成ステップにおいて生成された返信信号に基づいて前記外部発信受信装置からの搬送波を負荷変調することによって、当該返信信号を送信する返信ステップと、
前記外部発信受信装置が、前記返信ステップにおいて送信された返信信号を受信する返信信号受信ステップと、
前記返信信号受信ステップにおいて受信された返信信号の中から距離情報を検出する検出ステップとを備える
ことを特徴とする送受信方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記送信ステップでは、前記搬送波の送信レベルを変更するとともに当該送信レベルを示すレベル情報を含む送信情報に基づいて当該搬送波を変調することによって前記送信信号を送信し、
前記算出ステップでは、前記無線型伝送装置が、前記搬送波受信ステップにおいて受信された送信信号の中からレベル情報を検出し、前記状態検知ステップにおいて検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると、前記検出したレベル情報に示された送信レベルに基づいて前記通信距離を求める
ことを特徴とする送受信方法。
【請求項19】
請求項17において、
前記外部発信受信装置が、前記送信ステップにおいて前記複数の送信信号のうち最初の送信信号が送信された時点からの経過時間を計時する送信経過時間計時ステップと、
前記無線型伝送装置が、前記搬送波受信ステップにおいて前記最初の送信信号が受信された時点からの経過時間を計時する受信経過時間計時ステップとをさらに備え、
前記送信ステップでは、外部発信受信装置が、前記送信信号を送信するときに、当該送信信号の送信レベルを前記送信経過時間計時ステップにおいて計時された経過時間に応じた振幅レベルに設定し、
前記算出ステップでは、前記無線型伝送装置が、前記状態検知ステップにおいて検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断したときに前記受信経過時間計時ステップにおいて計時されている経過時間に基づいて前記通信距離を求める
ことを特徴とする送受信方法。
【請求項20】
請求項17において、
前記外部発信受信装置が、前記送信ステップにおける送信信号の送信回数を計数する送信回数計数ステップと、
前記無線型伝送装置が、前記搬送波受信ステップにおける送信信号の受信回数を計数する受信回数計数ステップとをさらに備え、
前記送信ステップでは、前記外部発信受信装置が、前記送信信号を送信するときに当該送信信号の送信レベルを前記送信回数計数ステップにおいて計数された送信回数に応じた振幅レベルに設定し、
前記算出ステップでは、前記無線型伝送装置が、前記状態検知ステップにおいて検知された送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断したときに前記受信回数計数ステップにおいて計数された受信回数に基づいて前記通信距離を求める
ことを特徴とする送受信方法。
【請求項21】
請求項17から請求項20のうちいずれか1つにおいて、
前記状態検知ステップでは、前記搬送波受信ステップにおいて受信された送信信号の振幅レベルを測定し、
前記算出ステップでは、前記状態検知ステップにおいて測定された送信信号の振幅レベルが所定レベルであると、当該送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断する
ことを特徴とする送受信方法。
【請求項22】
請求項17から請求項20のうちいずれか1つにおいて、
前記状態検知ステップでは、前記搬送波受信ステップにおいて受信された送信信号に発生している誤り箇所の個数を計数し、
前記算出ステップでは、前記状態検知ステップにおいて計数された送信信号の誤り箇所数が所定数であると、当該送信信号の受信状態が所定条件を満たしていると判断する
ことを特徴とする送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2008−21188(P2008−21188A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193316(P2006−193316)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】