説明

送液装置

【課題】長手方向の小型化を図ることのできる送液装置を提供する。
【解決手段】液体を収納する収納室10を備えたカートリッジ1と、カートリッジ1と連係し収納室10内の液体を外部に送液駆動するアクチュエータ2とを有し、カートリッジ1には一端部に液体の吐出口11が設けられ、他端部にアクチュエータ2に連結される連結部13が設けられ、連結部13は吐出口11と同じ方向を向くように形成され、アクチュエータ2にはカートリッジ1の連結部13と連結する連係部21が設けられ、アクチュエータ2の連係部21にカートリッジ1の連結部13を連結することで、収納室10とアクチュエータ2とが並列配置されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納室に納められた薬液等の液体を所定量ずつ供給する送液装置に関し、特にカートリッジの収納室と送液を駆動するアクチュエータとを並列配置してなる送液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、収納室に納められた薬液等の液体を所定量ずつ供給する送液装置が知られている。このような送液装置は、薬液等を定量ずつ送出する芳香剤の送出装置や、マイクロシリンジなどの上位装置に接続、またはその一部を構成して、当該装置に対して液体を供給する。
【0003】
送液装置は収納室を有するカートリッジと、カートリッジと連結されて収納室内の液体の送液を駆動するアクチュエータとを有して構成される。カートリッジはアクチュエータに対して着脱自在であり、液体を全て送液したカートリッジを新しいカートリッジと取り替えることで、再び液体を送液することができる。カートリッジの一端部には、液体の吐出口が設けられ、アクチュエータによる駆動によって吐出口から液体が送出される。アクチュエータは液体の吐出口側に設けられ、カートリッジとは直列状となるように配置される。このような送液装置としては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特許第3325028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の送液装置はカートリッジとアクチュエータが直列状に配置されるため、長手方向に大きくなるが、機器の構成によっては長手方向の寸法を充分に確保できない場合もあり、長手方向の小型化を図る必要があった。
【0005】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、長手方向の小型化を図ることのできる送液装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る送液装置は、液体を収納する収納室を備えたカートリッジと、該カートリッジと連係し前記収納室内の液体を外部に送液駆動するアクチュエータとを有する送液装置において、
前記カートリッジには一端部に液体の吐出口が設けられ、他端部に前記アクチュエータに連結される連結部が設けられ、該連結部は前記吐出口と同じ方向を向くように形成され、
前記アクチュエータには前記カートリッジの連結部と連結する連係部が設けられ、
前記アクチュエータの連係部に前記カートリッジの連結部を連結することで、前記収納室とアクチュエータとが並列配置されてなることを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係る送液装置は、前記カートリッジは一端部に前記吐出口を有した前記収納室と、該収納室の他端部に設けられ前記連結部を有する伝達機構部とが、略L字状をなすように配置されてなることを特徴として構成されている。
【0008】
さらに、本発明に係る送液装置は、前記カートリッジの伝達機構部は前記アクチュエータの駆動力を伝達し前記収納室を動作させる伝達機構を内蔵してなることを特徴として構成されている。
【0009】
さらにまた、本発明に係る送液装置は、前記カートリッジの連結部と前記アクチュエータの連係部は、互いに分離可能な伝達部を有するラチェット機構を構成し、前記アクチュエータの伝達部は前記カートリッジの装着方向に沿って移動可能とされると共に、前記カートリッジの連結部側に向かって付勢されてなることを特徴として構成されている。
【0010】
そして、本発明に係る送液装置は、前記カートリッジは前記伝達部の周囲にカートリッジの装着方向に伸びる防護壁を有してなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る送液装置によれば、カートリッジには一端部に液体の吐出口が設けられ、他端部にアクチュエータに連結される連結部が設けられ、連結部は吐出口と同じ方向を向くように形成され、アクチュエータにはカートリッジの連結部と連結する連係部が設けられ、アクチュエータの連係部にカートリッジの連結部を連結することで、収納室とアクチュエータとが並列配置されてなることにより、収納室とアクチュエータとが直列配置される場合に比べて長手方向の寸法を小さくすることができ、スペース効率を向上させることができる。
【0012】
また、本発明に係る送液装置によれば、カートリッジは一端部に吐出口を有した収納室と、収納室の他端部に設けられ連結部を有する伝達機構部とが、略L字状をなすように配置されてなることにより、カートリッジをアクチュエータに対して容易に取付けられるようにすることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る送液装置によれば、カートリッジの伝達機構部はアクチュエータの駆動力を伝達し収納室を動作させる伝達機構を内蔵してなることにより、カートリッジをアクチュエータに対して簡単に着脱させることができる。
【0014】
さらにまた、本発明に係る送液装置によれば、カートリッジの連結部とアクチュエータの連係部は、互いに分離可能な伝達部を有するラチェット機構を構成し、アクチュエータの伝達部はカートリッジの装着方向に沿って移動可能とされると共に、カートリッジの連結部側に向かって付勢されてなることにより、カートリッジの装着時に伝達部が正常に連係していなかった場合でも、付勢された伝達部がアクチュエータの回転に伴いカートリッジ側に移動してカートリッジ側の伝達部と連係することができるので、アクチュエータの動力を確実にカートリッジ側に伝達させることができる。
【0015】
そして、本発明に係る送液装置によれば、カートリッジは伝達部の周囲にカートリッジの装着方向に伸びる防護壁を有してなることにより、カートリッジを取り外した際に、伝達部が誤動作されることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面に沿って詳細に説明する。図1には、本実施形態における送液装置の斜視図を示している。この図に示すように、本実施形態における送液装置は、液体を収納する収納室10を備えたカートリッジ1と、このカートリッジ1と連係し収納室10内の液体を外部に送液駆動するアクチュエータ2とから構成されている。この送液装置は、アクチュエータ2を動作させることにより、その動力がカートリッジ1側に伝達され、カートリッジ1の収納室10内の液体が押し出されることにより、液体が所定量ずつ外部に供給される。
【0017】
カートリッジ1の収納室10は、略円筒形状に形成されており、その一端部には液体を外部に供給するための吐出口11が形成されている。収納室10の他端側には、収納室10の伸びる方向と直交する方向に伸びる伝達機構部12が形成されており、これによってカートリッジ1は全体として略L字状をなすように形成されている。
【0018】
アクチュエータ2は、収納室10と略同じ大きさの円筒形状に形成され内部にモータを備えたモータ部20を有しており、その先端部分にはカートリッジ1と連結される連係部21が鍔状に形成されている。モータ部20は、アクチュエータ2がカートリッジ1に連結された状態で、収納室10と平行に配置される。
【0019】
図2には、カートリッジ1とアクチュエータ2の分解斜視図を示している。この図に示すように、カートリッジ1は収納室10と伝達機構部12とで全体が略L字状となるように形成されており、伝達機構部12にはアクチュエータ2を連結させる連結部13が形成されている。この連結部13は、カートリッジ1において収納室10の吐出口11と同じ方向を向くように形成されている。これによって連係部21が連結部13に連結されるアクチュエータ2は、モータ部20がカートリッジ1の収納室10と並列配置されることとなる。
【0020】
図3には、カートリッジ1とアクチュエータ2の図2とは反対側から見た分解斜視図を示している。図2と図3に示すように、カートリッジ1の連結部13とアクチュエータ2の連係部21は、互いに分離可能な伝達部16、22を有してラチェット機構を構成している。図3に示すようにアクチュエータ2の連係部21には、カートリッジ1側の先端部に、周方向に沿って鋸刃状に形成された伝達部22が形成されており、図2に示すようにカートリッジ1の連結部13には、アクチュエータ2の伝達部22と連係可能となるように凹凸が形成された伝達部16が設けられている。
【0021】
アクチュエータ2の伝達部22は、モータ部20の動作に伴って回転自在とされており、アクチュエータ2の伝達部22と連係したカートリッジ1の伝達部16は、伝達部22の回転に伴って回転自在とされており、これによってモータ部20における動力がカートリッジ1の伝達機構部12に伝達される。
【0022】
また、図2に示すように、カートリッジ1は伝達部16の周囲には、カートリッジ1をアクチュエータ2に対して装着する方向に伸びる防護壁14が形成されている。この防護壁14が形成されていることにより、伝達部16は連結部13におけるアクチュエータ2側の開口からやや奥まった位置に配置されることとなる。これによって、カートリッジ1をアクチュエータ2から取り外した際に、伝達部16が誤操作されて液体が吐出口11から吐出されることを防止することができる。
【0023】
図3に示すように、アクチュエータ2の連係部21には、伝達部22の周囲部に直立したガイド部23が形成されている。このように連係部21にガイド部23が形成されていることにより、カートリッジ1の防護壁14をアクチュエータ2のガイド部23にガイドさせながら挿入することにより、カートリッジ1をアクチュエータ2に対して容易に位置決めしながら挿入固定することができる。
【0024】
図4には、送液装置の横断面図を示している。この図に示すように、カートリッジ1の収納室10には、前述のように一端部に吐出口11が形成されており、収納室10内には液体が収納されている。収納室10内には、液体を吐出口11から送出するために押圧体30と直動部31が内蔵されている。直動部31は、伝達機構部12によって収納室10の長手方向に沿って直線的に移動できるようにされており、押圧体30は収納室10の内面に当接して直動部31の動作に伴って収納室10内を移動することができる。直動部31が伝達機構部12によって吐出口11側に移動されると、押圧体30も吐出口11側に向かって移動し、収納室10に収納された液体は、押圧体30が移動した体積分だけ吐出口11から外部に吐出される。
【0025】
カートリッジ1の伝達機構部12には、前述の伝達部16と、伝達部16と連係する歯車として形成された中間歯車17と、中間歯車17と連係する歯車として形成された収納室側歯車18とが設けられている。アクチュエータ2の伝達部22と連係した伝達部16が回転すると、それに伴って中間歯車17、及び収納室側歯車18が回転する。
【0026】
収納室側歯車18は、収納室10側に向かって突出するシャフト18aを備えており、このシャフト18aには外周にネジ山が切られている。直動部31には、シャフト18aを挿通させる挿通部31aが形成されており、その内面にもネジ山が切られていてシャフト18aと螺合した状態となっている。したがって、収納室側歯車18が回転しシャフト18aが回転することで、直動部31を収納室10側に移動させることができる。
【0027】
アクチュエータ2は、モータ部20から連係部21側に突出する駆動軸24を備えており、この駆動軸24はモータ部20の動作に伴って回転する。駆動軸24の先端部には伝達部22が取付けられており、駆動軸24の回転と共に回転するようにされている。また、伝達部22は駆動軸24の長手方向に移動自在とされる共に、連係部21内で一端部が固定された弾性部材25の他端部に支持されることによって、駆動軸24の先端側に向かって付勢されている。
【0028】
伝達部22は、弾性部材25によって駆動軸24の先端側、すなわちカートリッジ1の伝達部16側に付勢されているので、装着時にアクチュエータ2の伝達部22とカートリッジ1の伝達部16との歯がずれている場合、伝達部22がモータ部20側に押圧され、モータ部20が動作し伝達部22が回転して歯が噛み合う状態となると、弾性部材25の付勢によりカートリッジ1の伝達部16側に移動してこれと噛み合うので、カートリッジ1をアクチュエータ2側に装着した際に、確実に動力の伝達を行えるようにすることができる。
【0029】
図5には、本実施形態の送液装置を含む機器の概要的な構成図を示している。この図では、本実施形態の送液装置におけるアクチュエータ2を有した機器本体40に対してカートリッジ1を取付けることができるように構成されている。すなわち、カートリッジ1を機器本体40に取付けることにより、カートリッジ1とアクチュエータ2を有した送液装置が構成されるようにしている。
【0030】
機器本体40には、アクチュエータ2の他に、カートリッジ1から供給される液体を受け入れる機器側吸入口41と、アクチュエータ2に対する電源供給等の制御を行う制御部42とが設けられている。この機器本体40は、液体を外部に定量ずつ送出する芳香剤の送出装置、あるいはマイクロシリンジとして用いることができ、収納室10内の液体がなくなったらカートリッジ1を交換することで、再び液体の送出を行うことができる。
【0031】
この際、カートリッジ1が略L字状に形成されており、またカートリッジ1を機器本体40に取付けることで収納室10とモータ部20が並列配置されるので、機器本体40が長手方向に大きくなることがなく、スペース効率を向上させることができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態における送液装置の斜視図である。
【図2】カートリッジとアクチュエータの分解斜視図である。
【図3】カートリッジとアクチュエータの図2とは反対側から見た分解斜視図である。
【図4】送液装置の横断面図である。
【図5】本実施形態の送液装置を含む機器の概要的な構成図である。
【符号の説明】
【0034】
1 カートリッジ
2 アクチュエータ
10 収納室
11 吐出口
12 伝達機構部
13 連結部
14 防護壁
16 伝達部
17 中間歯車
18 収容室側歯車
18a シャフト
20 モータ部
21 連係部
22 伝達部
23 ガイド部
24 駆動軸
25 弾性部材
30 押圧体
31 直動部
31a 挿通部
40 機器本体
41 機器側吸入口
42 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収納する収納室を備えたカートリッジと、該カートリッジと連係し前記収納室内の液体を外部に送液駆動するアクチュエータとを有する送液装置において、
前記カートリッジには一端部に液体の吐出口が設けられ、他端部に前記アクチュエータに連結される連結部が設けられ、該連結部は前記吐出口と同じ方向を向くように形成され、
前記アクチュエータには前記カートリッジの連結部と連結する連係部が設けられ、
前記アクチュエータの連係部に前記カートリッジの連結部を連結することで、前記収納室とアクチュエータとが並列配置されてなることを特徴とする送液装置。
【請求項2】
前記カートリッジは一端部に前記吐出口を有した前記収納室と、該収納室の他端部に設けられ前記連結部を有する伝達機構部とが、略L字状をなすように配置されてなることを特徴とする請求項1記載の送液装置。
【請求項3】
前記カートリッジの伝達機構部は前記アクチュエータの駆動力を伝達し前記収納室を動作させる伝達機構を内蔵してなることを特徴とする請求項2記載の送液装置。
【請求項4】
前記カートリッジの連結部と前記アクチュエータの連係部は、互いに分離可能な伝達部を有するラチェット機構を構成し、前記アクチュエータの伝達部は前記カートリッジの装着方向に沿って移動可能とされると共に、前記カートリッジの連結部側に向かって付勢されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の送液装置。
【請求項5】
前記カートリッジは前記伝達部の周囲にカートリッジの装着方向に伸びる防護壁を有してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の送液装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−79904(P2009−79904A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247091(P2007−247091)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】