説明

送達用水中油型エマルション

本発明は、5nmから数100マイクロメートルの範囲の直径を有する油滴が親油性添加剤によって形成される、0.5から200nmの範囲の直径を有する親水性ドメインを含むナノサイズ構造化を示す、水中油型エマルションに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、分散油滴が自己集合ナノ構造を示す水中油型エマルションに関する。
【0002】
[発明の背景]
産業上のエマルション
エマルションは、食品、化粧品、または医薬品など多くの産業製品の一般的なコロイド系である。エマルションは、水連続相に分散されている油滴からできている。分散油滴は、油滴周囲に吸着層を形成する界面活性分子によって安定化されている。油相を連続水相に分散するために、様々な大きさの(約100nmから数100マイクロメートルまでの半径を有する)油滴を生成できるホモジナイザが用いられる。均質化ステップにおける油滴周囲の吸着層の形成は、合一、凝集、または凝塊に対する動力学的安定性を油滴に付与する。水中油型エマルション製品に用いられる界面活性材料は、低分子量親水性界面活性剤、例えばポリソルベート、リゾレシチン、モノグリセリド誘導体など、あるいはポリマー、例えばタンパク質、例えばゼラチン、もしくはミルク、ダイズ由来のもの、または多糖類、例えばアルビアゴムもしくはキサンタンなど、あるいはそれらの混合物であることができる。
【0003】
水中油型エマルションをベースとする製品は、食品、化粧品、または医薬品に広く存在している。水中油型エマルションをベースとする顕著な食品は、例えばミルク、マヨネーズ、サラダドレッシング、またはソースである。化粧品または医薬品業界で用いられる水中油型エマルションをベースとする顕著な製品は、ローション剤、クリーム剤、乳剤、丸剤、錠剤などである。そのような製品中の液滴は、通常、例えばトリグリセリド、ジグリセリド、ロウ、脂肪酸エステル、脂肪酸、アルコール、鉱油、または炭化水素からできている。
【0004】
エマルションは、出発材料、中間体、または最終生成物として、あるいは最終生成物の添加剤として用いられる。
【0005】
送達用エマルション
産業におけるエマルションの用途の1つは、香味剤、ビタミン、抗酸化剤、栄養補助剤、植物化学物質、薬物などの活性化合物を送達することである。活性成分の投与は、有効量の活性成分を所望の作用場所に運ぶために、適切なビヒクルの使用を必要とする。水中油型エマルションは、油中で親油性活性化合物の溶解性が増大することを利用して、一般に用いられている送達系である。欧州特許出願公開第1116515号明細書では、香味性能を制御するためにエマルションを使用する一例として、生成物のさらなる処理中に、導入された活性成分の安定性を増大させるために、香味成分などの疎水性活性成分が水中油型エマルションの形態で押出機によってマトリクスに混合されている。国際公開第00/59475号パンフレットには、医薬品水中油型エマルションの一例として、イオン化疎水性治療薬の送達を向上させるための組成物および方法が記載されており、これはイオン化剤、界面活性剤、およびトリグリセリドを混合して、水中油型エマルションを形成するものである。国際公開第99/63841号パンフレットは、食品分野におけるエマルションの使用の一例として、エマルションまたはマイクロエマルションの形成により、水相での溶解性および分散性が増大したフィトステロールを含む組成物を記載している。
【0006】
さらに、水中油型エマルション中の油滴が超小型である場合、例えば直径数ナノメートルから約200nm程度である場合、そのエマルションは水中油型マイクロエマルションまたはナノエマルションと称される(Evans、D.F.;Wennerstrom、H.(編):The Colloidal Domain、Wiley−VCH、New York(1999))。これらのエマルションは、透明であり、熱力学的に安定であり、したがって当業者にとっては、熱力学的に不安定であり、一般に濁っている通常のエマルションとは異なるものである。
【0007】
別の種類の送達系は、Gustafsson等によって記載されている界面活性剤メソフェーズ粒子である(Gustafsson、J.;Ljusberg−Wahren、H.;Almgren、M.;Larsson、K.;Langmuir(1997)、13、6964〜6971)。
【0008】
[発明の説明]
最新技術では、油滴に溶解している親油性分子のビヒクルとして、水中油型エマルションの分散油滴が用いられている。ビヒクル系としてのこの種のエマルションの欠点は、油相での活性剤の分子溶解性が欠けているため、単独または親油性化合物と組み合わせて、結晶性(すなわち、結晶性形態で存在)、親水性、またはわずかに両親媒性の物質のホストとなれないことである。結晶性または両親媒性化合物、あるいはヒドロトロープ化合物は、乳化剤の安定化機能を妨げる傾向があり、その結果としてエマルションを不安定化し得るため、送達が特に困難である。
【0009】
本発明は、通常の油滴内部における新規なナノサイズ自己集合構造の発見に基づいている。これらの構造は、油滴への親油性添加剤(LPA)の添加によって形成される。そのような構造は、親油性成分だけでなく、同時に親水性および/または両親媒性、あるいはヒドロトロープ性または結晶性成分を可溶化できる。油滴内部のナノサイズ自己集合構造は、主として、ナノサイズの熱力学的に安定な親水性ドメイン、すなわち水の液滴、ロッド、またはチャネルからなる。エマルション油滴内部で自発的に(熱力学的に駆動)形成されるナノサイズドメインは、LPAによって安定化される。LPA分子の親水性部は、親水性ドメイン構造の一部である。親水性ドメインは、直径0.5から200nm、好ましくは直径0.5から150nmの範囲、より好ましくは直径0.5から100nmの範囲、もっとも好ましくは0.5から50nmの範囲の大きさであることができる。
【0010】
本明細書では、「親水性ドメイン」は、水ドメインおよびLPA分子の親水性頭部領域からなる。親水性ドメインはさらに、超小型であるため、様々な異なる化合物の可溶化に適した場所となる広い表面積を提供する。
【0011】
本発明のエマルションは、水/油/水ダブルエマルションとして一般に知られているエマルションとは明確に区別される。w/o/w(水/油/水)ダブルエマルションは水中油型エマルションであり、油滴はミクロンサイズの水滴を含有する(Garti、N.;Bisperink、C.;Curr.Opinion in Colloid & Interface Science(1998)、3、657〜667)。分散ダブルエマルション油滴内部の水滴は、機械的エネルギーの入力、例えば均質化によって調製(分散)され、その結果として、熱力学的に不安定であり、自己集合しない。w/o/wダブルエマルションの内部水滴の直径は、300nmより大きい。本発明のエマルション油滴内部におけるナノサイズ自己集合構造の形成は自発的であり、熱力学的に駆動され、水の液滴またはチャネルの平均直径は200nm未満であるため、本発明のエマルションは、通常のw/o/wダブルエマルションと容易に区別できる。
【0012】
したがって、本発明は、親水性ドメインを含むナノサイズ自己集合構造を含有する油滴を対象とする。「自己集合」または「自己組織化」という概念は、個別の分子による凝集体(会合体)またはナノ構造の自発的形成を指す。自己集合構造中の分子は、所与の分子間力、例えば疎水性、水和、または静電気力などにより、それらの構造的および化学的特性のみに基づいて適切な場所を見出す(Evans、D.F.;Wennerstrom、H.(編):The Colloidal Domain、Wiley−VCH、New York(1999))。自己集合の結果は、そのプロセス自体には依存せず、系の最小エネルギーの状態(安定平衡)に対応する。
【0013】
特開第2004/008837号公報は、油滴に存在する水溶性固体粒子を含有する水中油型エマルションを開示している。これらの粒子は、20nmから10μmの粒径範囲である。粒子は脱水(すなわち、自発的工程ではない)によって油中水(w/o)型エマルションに調製し、その後、多孔質膜乳化法を用いて、粒子/油(S/O)懸濁液全体を水相に分散させる。
【0014】
国際公開第02/076441号パンフレットは、固体ナノ粒子を調製するための前駆体としてのフルオロカーボン中アルコール型マイクロエマルションの使用を開示している。これらのナノ粒子は、200〜300ナノメートル未満の直径を有する。ナノ粒子の形成は自発的ではなく、前駆体マイクロエマルションを約35℃未満に冷却することによって、または前駆体マイクロエマルションのアルコールを蒸発させることによって、またはマイクロエマルションを適切な極性溶媒で希釈することによって誘発される。
【0015】
米国特許出願公開第2004/022861号明細書は、油滴がタンパク質または他の親水性剤を含有する水性微細水相を含む、w/o/wダブルエマルションを開示している。タンパク質負荷微粒子を生成するために、そのダブルエマルション全体を、毛細管ノズルを通して、例えば液体窒素に噴霧する。
【0016】
これらの例はすべて、w/oマイクロエマルション、あるいはw/oまたはw/o/wダブルエマルションを用い、油滴内部において親水性ドメインを固化するために外部誘発因子を必要とする、固体親水性(ナノ)粒子の非自発的形成を記載している。(ナノ)粒子の調製後、それらは概して、温度、pH、または外部流体特性などの環境的要因に影響されない。水滴が固化していない、すなわち流体である通常のw/oマイクロエマルションは概して、そのような環境的要因に影響されることを言及しておかなければならない。
【0017】
それぞれウィンザー(Winsor)系(ウィンザーI(o/wマイクロエマルションおよび過剰油)またはウィンザーII(w/oマイクロエマルションおよび過剰水))の均質化によって形成されるエマルションの型(o/wまたはw/o)は、その過剰連続相の平衡状態にあるマイクロエマルション相に形成されるものと同じであることを、多数の科学的研究が示している。例えば、w/oマイクロエマルションおよび過剰水(ウィンザーII系)の乳化によって、充分に高い界面活性剤濃度、すなわち油相での界面活性剤の臨界濃度cμcoilより高い濃度で、その連続相自体がw/oマイクロエマルションであるw/oエマルションが提供される(B.P.Binks、Langmuir(1993)9、25〜28)。これは、通常のw/oマイクロエマルションが水相で希釈されたとき、w/oエマルションの形成がo/wエマルションの形成より優先することを意味している。Binks等(B.P.Binks、Langmuir(1993)9、25〜28)は、バンクロフトの経験則に関して(W.D.Bancroft、J.Phys.Chem.(1913)17、501)、水相と油相との界面活性剤の分配の観点からこの挙動を説明した。界面活性剤が油相に蓄積された場合、すなわち水相より油相において溶解性が良好である場合、形成されるエマルションの型は常にw/oであり、o/w型ではない。w/oマイクロエマルション、またはウィンザーII系(w/oマイクロエマルションおよび過剰水)からo/w型エマルションを形成するためには、界面活性剤が転相される、すなわち油溶性(w/oエマルションの形成)から水溶性(o/wエマルションの形成)にその溶解性が変化する必要がある(P.Izquierdo等、Langmuir(2002)18、26〜30)。アルキルエトキシレート、例えばC12EOなどの非イオン性界面活性剤を用い、その系を40〜50℃(PIT温度)から25℃に冷却することによってこれを達成できる。これは、親水性ドメインを含有する油滴が通常の水溶性乳化剤によって安定化されるo/wエマルションの形成と、親油性添加剤(LPA;室温でw/oマイクロエマルションを形成)の相挙動が相関する本発明とはまったく異なる。この場合、親水性ドメインは流体であり、固体ではない。親水性ドメインを含有するw/oマイクロエマルションまたは油は、転相を受けず、分散油滴内部の親水性ドメインを失うことなく、さらに分散ステップ前に油滴内部の親水性ドメインを固化する必要もなく、水相に希釈(分散)することができる。
【0018】
本発明によれば、油滴内部のナノサイズ自己集合構造の自発的形成は、様々な方法で実現することができる。一方法は、ナノサイズ自己集合構造の自発的形成を可能にする親油性添加剤(LPA)を、均質化ステップ前に油相に添加する方法である。他の方法は、均質化ステップの前または後に、エマルション生成物に親油性添加剤(LPA)を添加する方法である。この場合、親油性添加剤は油滴に溶解し、油滴内部においてナノサイズ自己集合構造の自発的形成をもたらす。ホモジナイザとして、通常の産業用ホモジナイザまたは実験室規模のホモジナイザ、例えばRannieピストンホモジナイザ、Kinematicaロータステータ型ミキサ、コロイドミル、Stephanミキサ、Couetteシアーセル、または膜乳化装置などを利用できる。さらに、超音波、蒸気注入、またはキッチン用ミキサも、本発明に記載のエマルションの生成に適している。油滴内部のナノサイズ自己集合構造の自発的形成は、エマルションの製造に用いられるエネルギー取り込み、およびLPA添加の順序に依存しない。これは、マイクロ流体技法も本発明のエマルションの製造に適していることを意味している。
【0019】
本発明のエマルションを製造するための他の経路は、ヒドロトロープ剤または水構造破壊剤の使用、あるいは化学的または熱力学的に駆動され得る自発的乳化である(Evans、D.F.;Wennerstrom、H.(編):The Colloidal Domain、Wiley−VCH、New York(1999))。
【0020】
本発明のエマルションを製造するための他の経路は、ジブロックコポリマーまたはアポタンパク質様バイオポリマー、例えばタンパク質−多糖複合体またはコアセルベート、あるいはタンパク質−多糖、タンパク質−タンパク質、または多糖−多糖ハイブリッドなど、あるいはポリマーまたはバイオポリマーの混合物、あるいは低分子量界面活性剤を添加することによって、油滴内部のナノサイズ自己集合構造の自発的形成を、油滴、すなわち本発明のエマルション全体の自発的形成と組み合わせることによるものである。
【0021】
エマルション製剤
本発明は、油滴(5nmから数100マイクロメートルの範囲の直径を有する)が親油性添加剤(LPA)によって形成される親水性ドメインを含むナノサイズ構造化を示す、水中油型エマルションに関する。LPAは、それ自体を添加するか、化学的、生化学的、酵素的、または生物学的手段によってin situで製造することができる。本発明のエマルションに存在する油滴の量(油滴体積率)は、通常の水中油型エマルション生成物に一般的に用いられる量である。
【0022】
より詳細には、本発明は、
(i)鉱油、炭化水素、植物油、ロウ、アルコール、脂肪酸、モノ−、ジ−、またはトリ−アシルグリセロール、精油、芳香油、親油性ビタミン、エステル、栄養補助剤、テルピン、テルペン、およびそれらの混合物からなる群から選択される油と、
(ii)結果として生じるHLB値(親水性親油性バランス)が約10未満、好ましくは8未満である、親油性添加剤(LPA)、または親油性および親水性添加剤の混合物と、
(iii)水、またはポリオールなどの非水性極性液体からなる、液滴、ロッド、またはチャネル形態の親水性ドメインと、
エマルション安定剤または乳化剤を含有する水連続相とを含む、ナノサイズ自己集合構造化内部を有する分散油滴を含む水中油型エマルションを対象とする。
【0023】
本明細書では、「親油性添加剤」(「LPA」とも略される)は、分散油相に安定なナノサイズ自己集合構造を自発的に形成する親油性両親媒性剤を指す。親油性添加剤(混合物)は、脂肪酸、ソルビタンエステル、プロピレングリコールモノまたはジエステル、ペグ化脂肪酸、モノグリセリド、モノグリセリド誘導体、ジグリセリド、ペグ化植物油、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、リン脂質、ケファリン、脂質、糖エステル、糖エーテル、ショ糖エステル、ポリグリセロールエステル、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0024】
本発明の第1の実施形態によれば、水中油型エマルションは、0℃から100℃の温度範囲で、L構造、またはL2および油構造の組合せ(マイクロエマルションまたは等方性液滴)からなる群から選択される内部構造を有する油滴を示す。
【0025】
本発明の第2の実施形態によれば、水中油型エマルションは、0℃から100℃の温度範囲で、L2構造(マイクロエマルションまたは等方性液滴)を有する油滴を示す。
【0026】
本発明の第3の実施形態によれば、水中油型エマルションは、0℃から100℃の温度範囲で、L2構造(マイクロエマルションまたは等方性液滴)、または液晶(LC)構造(例えば、逆ミセルキュービック、逆両連続キュービック、または逆ヘキサゴナル)、およびそれらの組合せからなる群から選択される内部構造を有する油滴を示す。
【0027】
本発明の第4の実施形態によれば、水中油型エマルションは、0℃から100℃の温度範囲で、LC内部構造を有する油滴を示す。
【0028】
本発明の第5の実施形態によれば、水中油型エマルションは、0℃から100℃の温度範囲で、L3構造、L2およびL3構造の組合せ、ラメラ液晶(Lα)およびL2構造の組合せ、ならびにラメラ結晶およびL2構造の組合せからなる群から選択される内部構造を有する油滴を示す。
【0029】
本発明の第6の実施形態によれば、水中油型エマルションは、0℃から100℃の温度範囲で、前に記載した構造の組合せである内部構造を有する油滴を示す。
【0030】
上に挙げたすべての内部構造は、SAXS(小角X線散乱)分析、およびCryoTEM(低温透過電子顕微鏡法)(Qiu等、Biomaterials(2000)21、223〜234、Seddon、Biochimica et Biophysica Acta(1990)1031、1〜69、Delacroix等、J.Mol.Biol.(1996)258、88〜103、Gustafsson等、Langmuir(1997)13、6964〜6971、Portes、J.Phys:Condens Matter(1992)4、8649〜8670)、およびCryoTEM画像の高速フーリエ変換(FFT)によって疑いなく判定できる。
【0031】
ある種の応用例の場合、100℃を超える温度の使用(例えば、乾留温度)も可能であり、本発明に含まれる。親油性添加剤(LPA)は、混合物全体のHLBが10、好ましくは8を超えない量まで、親水性添加剤(10を超えるHLBを有する)と混合することもできる。添加剤(混合物)は、化学的、生化学的、酵素的、または生物学的手段によってin situで製造することもできる。
【0032】
添加される親油性添加剤の量はαとして定義される。αは比LPA/(LPA+油)×100として定義される。αは、好ましくは0.1超、より好ましくは0.5超、さらに好ましくは1超、さらに好ましくは3超、さらに好ましくは10超、もっとも好ましくは15超である。比α=LPA/(LPA+油)*100は、好ましくは99.9未満、より好ましくは99.5未満、さらに好ましくは99.0未満、さらに好ましくは95未満、さらに好ましくは84未満、もっとも好ましくは70未満である。下方および上方範囲の任意の組合せが本発明の範囲に含まれる。αは、重量%またはモル%で示すことができる。αの下限および上限は、使用される油およびLPAの特性、例えば極性、分子量、誘電率など、または物理的特性、例えば油滴相中のLPAの臨界凝集濃度などによって決まる。
【0033】
このエマルションは、通常の水中油型エマルション液滴を安定化するのに適した乳化剤(一次乳化剤とも称される)によって安定化される。エマルションは、用いられる乳化剤に応じて、凝集(aggregate)(凝集(flocculate))できるか、またはできない。乳化剤は、HLB>8を有する低分子量界面活性剤、ゼラチン、例えばミルクまたはダイズ由来のタンパク質、ペプチド、タンパク質加水分解物、ブロックコポリマー、界面活性親水コロイド、例えばアラビアゴム、キサンタンガムなど、ジブロックコポリマーまたはアポタンパク質様バイオポリマー、例えばタンパク質−多糖複合体またはコアセルベート、あるいはタンパク質−多糖、タンパク質−タンパク質、または多糖−多糖ハイブリッド、複合体、またはコアセルベートなど、あるいはポリマーおよびバイオポリマーの混合物からなる群から選択される。
【0034】
乳化剤は、LPA、油、またはLPAおよび油と混合することもできる。これは、乳化剤が部分的に油滴内部に存在することもでき、内部ナノサイズ自己集合構造に影響を及ぼし得ることを意味している。
【0035】
比β=乳化剤/(LPA+油+乳化剤)×100は、油およびLPAの含量に対する、油滴を安定化するために用いられる乳化剤の量を表している。βは、好ましくは0.1超、より好ましくは0.5超、より好ましくは1超、より好ましくは2超である。比β=乳化剤/(LPA+油+乳化剤)×100は、好ましくは90未満、より好ましくは75未満、さらに好ましくは50未満である。下方および上方範囲の任意の組合せが本発明の範囲に含まれる。βは、重量%またはモル%で示すことができる。βの下限および上限は、使用される乳化剤、油、およびLPAの特性によって決まる。
【0036】
種々の活性成分を、油滴のナノサイズ自己集合構造化内部に可溶化することができる。活性成分は、栄養補助剤、例えばルテイン、ルテインエステル、β−カロテン、トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコトリエノール、リコペン、CoQ10、アマニ油、リポ酸、ビタミンB12、ビタミンD、αおよびγ−ポリ不飽和脂肪酸、フィトステロール、フラボノイド、ビタミンA、ビタミンCまたはその誘導体、糖、食品サプリメント、機能性成分、食品添加剤、植物抽出物、薬剤(medicament)、薬物(drug)、薬理学的活性成分、化粧品活性成分、ペプチド、タンパク質または炭水化物、香気物質(aroma)、塩、および香味剤からなる群から選択される油溶性、油不溶性、結晶性、または水溶性成分であることができる。
【0037】
本発明による水中油型エマルションにおいて、親油性添加剤は、ミリスチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸PEG1−4、オレイン酸PEG2−4、ジラウリン酸PEG−4、ジオレイン酸PEG−4、ジステアリン酸PEG−4、ジオレイン酸PEG−6、ジステアリン酸PEG−6、ジオレイン酸PEG−8、PEG3−16ヒマシ油、PEG5−10水添ヒマシ油、PEG6−20トウモロコシ油、PEG6−20扁桃油、PEG−6オリーブ油、PEG−6落花生油、PEG−6パーム核油、PEG−6水添パーム核油、PEG−4カプリン/カプリル酸トリグリセリド、植物油およびソルビトールのモノ、ジ、トリ、テトラエステル、ジ、テトラステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸、またはカプリン酸ペンタエリスリチル、ジオレイン酸、ステアリン酸、またはイソステアリン酸ポリグリセリル−3、ペンタオレイン酸ポリグリセリル4−10、オレイン酸、ステアリン酸、またはイソステアリン酸ポリグリセリル2−4、ペンタオレイン酸ポリグリセリル4−10、ジオレイン酸ポリグリセリル−3、ジオレイン酸ポリグリセリル−6、トリオレイン酸ポリグリセリル−10、ジステアリン酸ポリグリセリル−3、C〜C20脂肪酸のプロピレングリコールモノまたはジエステル、C〜C20脂肪酸のモノグリセリド、モノグリセリドの乳酸誘導体、ジグリセリドの乳酸誘導体、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、モノステアリン酸トリグリセロール、コレステロール、フィトステロール、PEG5−20ダイズステロール、テトラ、ヘキサステアリン酸PEG−6ソルビタン、テトラオレイン酸PEG−6ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノ、トリオレイン酸ソルビタン、モノおよびトリステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、PEG2−5オレイルエーテル、POE2−4ラウリルエーテル、PEG−2セチルエーテル、PEG−2ステアリルエーテル、ジステアリン酸スクロース、ジパルミチン酸スクロース、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、ポロキサマー、リン脂質、レシチン、ケファリン、エンバク脂質および他の植物由来の親油性両親媒性脂質、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される。
【0038】
本発明による水中油型エマルションは通常、液体形態である。本発明の他の実施形態によれば、エマルションは乾燥しており、粉末形態で入手できる。
【0039】
本発明による水中油型エマルションは、最終生成物であるか、または添加剤である。最終生成物の添加剤の量は重要ではなく、多様であり得る。
【0040】
本発明に記載のエマルションは、内部自己集合(nternally elf−ssembled)である構造を含有する油滴の特有の性質を説明し、油滴が親水性ドメインを含むナノサイズ自己集合構造を持たないナノエマルションおよびマイクロエマルションを含む、通常の水中油型またはw/o/wダブルエマルションから本発明のエマルションを除外するために、本出願人等が「ISAMULSION(イサマルション)」と命名する新規な型のエマルションである。ISAMULSION液滴は、基本的に親水性ドメインを含むナノサイズ自己集合構造を有する油滴からなる。この構造は、ラメラ液晶、またはラメラ結晶、あるいはL2、マイクロエマルション、等方性液相、ヘキサゴナル、ミセルキュービック、または両連続キュービック相を含む逆性構造である。油相におけるこれらの構造は、単一のナノ構造、または種々のナノ構造の混合物として出現することができる。
【0041】
したがって本発明の目的は、食品、ペットフード、栄養補助剤、機能性食品、栄養補給化粧品、化粧品、医薬品、薬物送達、または農薬産業において、活性および/または機能性成分を送達するために用いることができる新しい水中油型エマルション製剤を提供することである。
【0042】
図1は、親油性添加剤の含量%(LPA%=α=100*LPA/(LPA+油))および温度の関数として、ISAMULSION分散油滴内部に見出された典型的な構造順序を示す。L2は、逆マイクロエマルション様構造を表し、LCは、液晶相、または様々な液晶相の混合物の存在を表す。図1が示すように、油滴内部において、所与の温度および添加される親油性添加剤の特定量(α値)で、明確なナノサイズ自己集合構造が形成される(言及した構造のより詳しい説明は、Evans、D.F.;Wennerstrom、H.(編):The Colloidal Domain、Wiley−VCH、New York(1999)を参照のこと)。添加するLPAの量により、自己集合構造の型、親水性ドメインに存在する水の量、内部界面の量、およびISAMULSION液滴内部に形成される自己集合ナノ構造の大きさ、寸法を正確に制御することが可能となる。油の種類および親油性添加剤(LPA)の種類に応じて、自己集合液滴内部構造の自発的形成を開始するのに必要とされるLPAの最小量(α)は、油相の0.1から15重量%である。
【0043】
エマルション油滴の内部ナノサイズ自己集合構造は、低温透過電子顕微鏡法(Cryo Transmission Electron Microscopy)またはSAXSによって検出できる。
【0044】
図2のCryoTEM画像は、Adrian等(Adrian等、Nature(1984)308、32〜36)の標準的な技法を用いて得られたものである。試料を凍結するために、自家製切断機を用いた。試料分散液3μlの液滴を、直径約2μmの穴を有する穴の開いたカーボン膜で被覆された銅グリッドに載せた。過剰な試料溶液を除去するために、グリッドの液体側を濾紙で押さえた(ブロッティング)。液体を除去した直後に、ピンセットで保持したグリッドを、液体エタンに浸漬した。凍結したグリッドを液体窒素中に貯蔵し、−180℃に保持した低温ホルダーに移した。Philips CM12 TEMにおいて、電圧80kVで試料の分析を行った。電子線損傷を最小限にするために、低線量法を適用した。一部の例では(図7、実施例1、4、および5)、Egelhaaf等(Egelhaaf等、J.Microsc.(2000)200、128〜139)に記載されているものに類似した自家製の環境チャンバを用いた。薄化およびガラス状化前の温度を25℃に設定し、湿度100%を用いた。ISAMULSIONは、油滴内部の小さな明るい形状の存在によって同定できる。図2、7aは、典型的なISAMULSIONのCryoTEM顕微鏡写真であり、明るい形状間の特性距離約7〜8nmを示している。そのような明るい形状は標準的な非構造化エマルションでは認められず、エマルション液滴の構造化されていない内部にはコントラストがないことに留意されたい(図7b)。
【0045】
図3のSAXS曲線は、シールド管Cu陽極を備えた、40kVおよび50mAで操作するX線発生装置(Philips、PW1730/10)を用いて、標準的な装置(Bergmann等、J.Appl.Cryst.(2000)33、869〜875)によって得られたものである。Gobelミラーを用いて、発散多色X線ビームをCuKα照射の集束された線状ビームに変換する(λ=0.154nm)。二次元散乱パターンはイメージングプレート検出器によって記録され、SAXSQuantソフトウェア(Anton Paar、Graz、Austria)を用いて一次元散乱関数I(q)に統合されるが、ここでqは、q=(4π/λ)Sinθ/2で定義される散乱ベクトルの長さであり、λは、波長であり、θは、散乱角である。散乱プロファイルの幅広いピークは、これらのデータを一般化間接フーリエ変換(Generalized Indirect Fourier Transformation)法に適合させることによってデスミアした(Bergmann等(2000)、33、1212〜1216)。特性距離はd=2π/qで示される。図3は、ISAMULSION(図2で調査したものと同じ)の小角X線散乱(SAXS)パターンを、その製造に用いる相当する非分散バルク油相(LPAによってナノ構造化)、および相当する通常のエマルション(LPAなし、ナノ構造なし)と共に示す。ISAMULSIONは、その製造に用いる非分散バルク油相と同じピーク位置を示すことがわかる。共に特性距離は、約7.5nmである。この特性距離は、親水性ドメインの直径より大きい。したがって、親水性ドメインは、7nmより小さい大きさを有する。当業者には、親水性ドメインがこのように小型であるのは、油滴の内部構造が熱力学的に安定であることを実証するものである。さらに、LPAを添加しない相当する通常のエマルション(ナノ構造なし)では、ピークは認められない。これは、ISAMULSIONの油滴内部にナノサイズ自己集合構造が存在することのさらなる証明である。内部ISAMULSION液滴構造は水に分散されたときにも変化せず、その構造が熱力学的平衡状態にあることを示している。
【0046】
さらに、生成物を数カ月貯蔵した後でも、ISAMULSION液滴ナノ構造に変化は認められず(図5を参照のこと)、これは内部ナノサイズ自己集合液滴構造の熱力学的平衡を示している。加熱および冷却によるISAMULSION液滴の内部構造形成の可逆性も(図6を参照のこと)、形成された内部油滴ナノサイズ自己集合構造の熱力学的平衡を示している。図11は、LPAの添加によってナノ構造化された油滴の概略図である。親水性ドメインの構造定義を図11に明示する。親水性ドメインはLPAの極性部(頭部)を含む(炭化水素尾部および水部分は含まない)。親水性ドメインの最小直径は、水分子を含有しない頭部2つのほぼ断面である、約0.5nmであり得る。親油性添加剤または乳化剤の極性部の最小サイズは、約0.2nmである。水分子の直径は、約0.3nmである。
【実施例】
【0047】
本発明の種々の実施形態は、親油性添加剤(LPA)の存在により、分散油滴が親水性ドメインのナノサイズ自己集合構造を示す水中油型エマルションを提供する。以下の実施例は本質的に例示的なものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0048】
実施例1:均質化によって得られるISAMULSIONの一般的実施例
典型的には、テトラデカンなどの鉱油1〜5重量%を、すでに乳化剤(Tween 80またはBASFのPluronic F127)0.375重量%を含有する水95重量%に添加した。次いで、LPA(モノリノール酸グリセロール)0.5〜4重量%を混合物に添加した。親油性分子(鉱油+LPA)の総量は、4.625重量%であった。次いで20分間、超音波処理を行った。これらのエマルションのISAMULSION特性は、図2および図3〜4などのCryoTEM画像およびSAXS曲線によって確認した。図2、図3、図5、および図6は、鉱油(テトラデカン)2.4重量%、LPA2.2重量%、一次乳化剤(Pluronic F127)0.375重量%、水95重量%の組成を用い、これらの一般的実施例から得たものである。さらに、相当するバルク試料(油およびLPAを含むが、エマルション安定剤を含まない非分散試料)を調製し、分析した。油(テトラデカン)/LPA(モノリノール酸グリセロール)重量比は、1.1/1.0であった。試料が均質化されるまで、油−LPA−水の混合物をボルテックスしながら加熱および混合した。水0、5、または10重量%を油/LPA混合物に添加した後、試料は透明であり、これは水が油/LPA混合物に完全に可溶化され、w/oマイクロエマルションが形成されたことを示している。より大量の水を添加した後、試料は相分離を示す。15および20重量%の水を含有する試料は、相当するISAMULSION試料(鉱油2.4重量%、LPA2.2重量%、乳化剤0.375重量%)と同じSAXS曲線を示すことに留意されたい。これは、ISAMULSION液滴が、相当するバルク相で観察されたものと同じ7.5nmの特性距離を示すことを実証している(図2および図3を参照のこと)。図5は、ISAMULSIONの内部構造が、4カ月を超える期間安定であることを実証している。図6は、ISAMULSIONが、まったく同じ内部構造を保持したまま、室温まで冷却および加熱され得ることを実証している。これは、ISAMULSION油滴の内部構造が、熱力学的に平衡であることを実証している。さらに、図4は、すでに比較的低含量のLPAおよび高含量の油を含む場合(例えば、鉱油(テトラデカン)3.9重量%、LPA(モノリノール酸グリセロール)0.725重量%、乳化剤(Pluronic F127)0.375重量%、水95重量%)、ISAMULSIONが形成される(例えば、SAXS曲線にピークが認められる)ことを示している。しかしながら、図3に示したように、LPAが存在しないとき、ISAMULSIONは形成されない(組成:油(テトラデカン)4.625重量%、Pluronic F127 0.375重量%、水95重量%)。さらに、より大量のLPAを含む場合(α値)(組成の例:組成1:テトラデカン1.32重量%、LPA3.3重量%、Pluronic F127 0.375重量%;組成2:テトラデカン1.75重量%、LPA2.9重量%、Pluronic F127 0.375重量%)、ISAMULSIONは形成される。SAXS曲線で示したように、その構造は低いα値(LPA含量)で観察されたものより規則的であり、親水性ドメインの逆ミセルキュービック配置を示す(図12)。
【0049】
実施例2:ヒドロトロープ経路によって得られるISAMULSIONの一般的実施例
乳化剤(Pluronic F127)1重量%を水89重量%に溶解して、水溶液を形成した。鉱油(テトラデカン)2.5重量%およびLPA(モノリノール酸グリセロール)2.5重量%をエタノール5重量%に溶解して、脂質溶液を形成した。ボルテックスしながら、水溶液をゆっくりと脂質溶液に添加した。この工程の最後に、ISAMULSION、すなわち内部ナノサイズ自己集合構造を有する液滴が、自発的に形成された。
【0050】
実施例3:芳香油を含有するISAMULSION
精油(R+リモネン)2重量%を、すでに乳化剤(Pluronic F127)0.4重量%を含有する水95重量%に混入した。LPA(モノリノール酸グリセロール)2.6重量%を混合物に添加した。20分間、超音波処理を行った。分散液が形成された。実施例1の場合と同様に、SAXSによってエマルションのISAMULSION特性が明らかとなる。超音波処理ステップ中に、ISAMULSIONが自発的に形成される。この実施例は、ISAMULSION構造を形成するための油相として、リモネンなどの芳香油を使用できることを実証している。
【0051】
実施例4:栄養物を含有するISAMULSION
油(酢酸d−アルファトコフェリル)2重量%を、すでに乳化剤(Pluronic F127)0.375重量%およびマルトデキストリン10重量%を含有する水84.625重量%に混入した。LPA(Dimodan U/J(モノリノール酸グリセロール約62%、モノオレイン酸グリセロール22%、飽和モノグリセリド14%)、Danisco、Danmark)2.5重量%、およびアスコルビン酸0.5%を混合物に添加した。次いで2分間、超音波処理を行った。実施例1の場合と同様に、SAXSによってエマルションのISAMULSION特性が明らかとなる。超音波処理ステップ中に、油滴内部のナノサイズ自己集合構造が自発的に形成される。このISAMULSIONを噴霧または凍結乾燥して、流動性粉末を得ることができ、それを水に再分散することができる。この実施例は、ISAMULSION構造を形成するための油相として、ビタミンEなどの栄養油を使用できることを実証している。
【0052】
実施例5:トリグリセリド油を用いるISAMULSION
ISAMULSIONは、他の油、例えばジグリセリドまたはトリグリセリド油を用いて形成することもできる。ダイズ油0.5〜4.5重量%を、LPA(Dimodan U/J、Danisco、Dannmark)0.5〜4重量%と混合した。この混合物を、乳化剤(Pluronic F127)0.375%を含有する水95%に添加した。親油性分子(油+LPA)の総量は、4.625重量%であった。この混合物を、5分間、ポリトロン(Polytron)(Kinematica、Switzerland)を用いて剪断した。エマルションのISAMULSION特性は、CryoTEM画像(図7a)、SAXS(図8a)、および相当するバルク試料の試験(実施例1で行ったものと同じ)によって確認した。図7a〜8aは、トリグリセリド油1.525重量%、LPA3.1重量%、一次乳化剤(Pluronic F127)0.375重量%、水95重量%の組成を用い、一般的実施例から得たものである。SAXSは、より低含量のLPAの場合、例えば一次乳化剤(Pluronic F127)0.375重量%および水95重量%の存在下、トリグリセリド油2.775重量%およびLPA1.85重量%(図8b)、ならびにトリグリセリド油3.2375重量%、LPA1.3875重量%、一次乳化剤(Pluronic F127)0.375重量%、水95重量%(図8c)などの場合にも、ISAMULSIONが形成されることを示している。通常のダイズ油滴内部では、例えばLPAの不在下、内部構造は認められない(図7b、図8d)。図9に、3種の異なる分散液、(i)LPAおよび乳化剤のみを含有する分散液(LPA4.625重量%、乳化剤0.375%、水95%)、(ii)油を含み、LPAを含まない通常のエマルション(油4.625重量%、乳化剤0.375%、水95%)、ならびに(iii)分散液(i)および(ii)の混合物、すなわち(i)60%および(ii)40%のSAXS曲線を示す。混合物(iii)は、ポリトロンで5分間混合した。混合物(iii)のSAXS曲線(図9)は、混合物の内部構造がLPA分散液(i)および通常のエマルション(ii)(図8a)とは非常に異なることを示している。これは、得られたISAMULSION液滴の内部構造が混合および処理の順序に依存しないことを実証している。
【0053】
実施例6:2種のLPAの混合物、すなわち飽和および不飽和モノグリセリドを含有するISAMULSION
鉱油(テトラデカン)0〜1.8%を、LPA0.2〜2%に添加した。このLPAは、飽和モノグリセリド(Dimodan HR(モノステアリン酸グリセロール90%を含有する飽和モノグリセリド)、Danisco、Denmark)、および不飽和モノグリセリド(Dimodan U/J、Danisco、Denmark)の混合物であった。親油性分子(油+LPA)の総量は、3%であった。この混合物を、乳化剤としてTween 80 0.3%を含有する水96.7%に添加した。2分間、超音波処理を行った。水20%で得られた飽和モノグリセリド(Dimodan HR)−不飽和モノグリセリド(Dimodan U)混合物の擬二元相図が示すように(図10)、飽和モノグリセリドを不飽和モノグリセリド試料に添加した後、高温で、安定なL2相の形成を得ることができ、これはL2をベースとするISAMULSIONが高温で形成され得ることを示している。例えば、テトラデカン1%、飽和モノグリセリド1%、不飽和モノグリセリド1%、Tween 80 0.3%、およびテトラデカン1%の組成の場合、ISAMULSIONは60℃を超える温度で存在し、安定である。
【0054】
実施例7:モノグリセリド(MLO)およびモノオレイン酸ジグリセロール(DGMO)から製造されるISAMULSION
鉱油(テトラデカン)、モノリノール酸グリセロール、およびモノオレイン酸ジグリセロール(DGMO)を含有する混合物を、すでに乳化剤(Pluronic F127)0.375重量%を含有する水95.375重量%に添加した。次いで20分間、超音波処理を行った。SAXSによって混合物のISAMULSION特性が明らかとなる(図13〜15)。DGMOを用いず、モノオレイン酸グリセロールのみで製造されたISAMULSIONと比較して(図13〜15)、DGMOを用いるとき、SAXSのピークはより長い距離にシフトする。これはDGMOの存在下、親水性ドメインが大きくなり、より大量の水が液滴に可溶化され得ることを実証している。この実施例は、ISAMULSION油滴の特徴的な構造を形成するために、種々のLPAの混合物を使用することができ、親水性ドメインの特徴的な大きさは、用いるLPAを調節することによって変えられることを実証している。
【0055】
実施例8:モノグリセリドおよびリン脂質から製造されるISAMULSION
鉱油(テトラデカン)、ダイズ油由来のホスファチジルコリン(PC)、およびモノリノレイン(MLO)を含有する混合物を、すでに乳化剤(Pluronic F127)0.375重量%を含有する水95.375重量%に添加した。次いで20分間、超音波処理を行った。SAXSによって混合物のISAMULSION特性が明らかとなる(図16)。この実施例は、ISAMULSION油滴の特徴的な構造を形成するために、リン脂質を使用できることを実証している。
【0056】
実施例9:室温において油に難溶性である分子の可溶化
ダイズ油1.1重量%、遊離フィトステロール(ADM、USA)0.3重量%、およびLPA(Dimodan U)1.7重量%の混合物を、溶液が透明になるまで、130℃に加熱した。その後、80℃に冷まし、80℃で0.2%のTween 80溶液に添加した。2分間、超音波処理を行った。その分散液を室温に冷ました。偏光顕微鏡で塊は認められず、結晶も認められなかった(または、ほとんど認められなかった)。参照エマルション系(油は、LPAを含まず、ダイズ油2.8重量%、フィトステロール0.31重量%、Tween 80 0.2重量%を含有する)は、偏光顕微鏡下で観察されたとおり、ミリメートル範囲までの大きさを有する多数のフィトステロール結晶を示した。この実施例は、結晶親油性成分または栄養物を、分子の形態でISAMULSION油滴構造の内部に可溶化することができ、それらの再結晶を鈍化または防止できることを実証している。
【0057】
実施例10:多糖を含有するISAMULSION
ダイズ油1.2重量%、Dimodan U(LPA)1.7%、Fluka製デキストラン(分子量1500D)0.0075重量%、水0.14重量%をまず混合し、均質な透明溶液が形成されるまで、ボルテックスしながら加熱および均質化した。Tween 80 0.2重量%が分散された水96.75重量%に、この溶液を添加した。この混合物を2分間、超音波で処理した。ISAMULSIONが形成された。この実施例は、ポリマー分子がISAMULSIONに可溶化され得ることを実証している。
【0058】
実施例11:アミノ酸を含有するISAMULSION
ダイズ油0.51重量%、Dimodan U(LPA)2.49重量%、L−ロイシン0.01重量%、水0.5重量%をまず混合し、均質な透明溶液が形成されるまで、ボルテックスしながら加熱および均質化した。Tween 80 0.2重量%が分散された水96.29重量%に、この溶液を添加した。この混合物を2分間、超音波で処理した。ISAMULSIONが形成された。
【0059】
実施例12:糖を含有するISAMULSION
ダイズ油0.02重量%、Dimodan U(LPA)2.98%、キシロース0.02重量%、水0.35重量%をまず混合し、ボルテックスしながら加熱および均質化し、室温に冷ました。Tween 80 0.2重量%が分散された水96.43重量%に、この溶液を添加した。この混合物を2分間、超音波で処理した。ISAMULSIONが形成された。この実施例は、親水性成分がISAMULSIONに可溶化され得ることを実証している。
【0060】
実施例13:抗酸化剤を含有するISAMULSION
ダイズ油0.51重量%、Dimodan U(LPA)2.49重量%、Lycored製Lyc−O−Mato(リコペン10%を含有)を、均質な溶液が形成されるまで、ボルテックスしながら加熱および混合した。Tween 80 0.2重量%を溶解した水96.77重量%に、この溶液を添加した。この混合物を2分間、超音波で処理した。油滴の内部ナノ構造に可溶化されたリコペンを有するISAMULSIONが形成された。この実施例は、親油性抗酸化剤がISAMULSION油滴の構造内部に可溶化され、均質なエマルションを生じ得ることを実証している。
【0061】
実施例14:LPAとしてホスファチジルコリン(PC)を用いるISAMULSION
トリオレイン0.1912g、ダイズ由来のホスファチジルコリン(PC)(Epikuron200、Lucas Meyer;LPA)0.2643gを、水9.5gおよびPluronic F127(乳化剤)0.0375gと混合し、20分間超音波処理した。生じたエマルションは、ISAMULSIONの特徴を有し、すなわちSAXSで明らかにされたように(図17を参照のこと)、液滴が自発的に形成された内部ナノサイズ自己集合構造を有した。酢酸ビタミンE0.1912g、ダイズ由来のホスファチジルコリン(PC)(Epikuron200、Lucas Meyer;LPA)0.2643gを、水9.5gおよびPluronic F127(乳化剤)0.0375gと混合し、20分間超音波処理した場合にも、ISAMULSIONが得られる(図18)。
【0062】
実施例15:LPAとしてリン脂質混合物、および種々の油の混合物を用いるISAMULSION
卵黄ダイズホスファチジルコリン(Lucas Meyer)2.2重量%を、ジオレイン2.2重量%およびテトラデカン0.6重量%と混合した。乳化剤(Pluronic F127)0.375重量%を含有する水94.625重量%に、この混合物を添加した。次いで40分間、超音波処理を行った。典型的なISAMULSIONの特徴を有するエマルションが形成された。PCは、ISAMULSIONの特徴を得るために、ホスファチジルエタノールアミン(PE)または別のリン脂質と混合することもできる。種々のリン脂質および油の任意の組合せを用いて、本発明に記載の典型的なISAMULSIONの特徴を得ることができる。
【0063】
実施例16:LPAとしてホスホエタノールアミン(PE)、および油を用いるISAMULSION
1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン(AvantiPolar Lipids)2.2重量%を、ダイズ油0.8重量%と混合した。乳化剤(Pluronic F127)0.3重量%を含有する水96.7重量%に、この混合物を添加した。次いで40分間、超音波処理を行った。典型的なISAMULSIONの特徴を有するエマルションが形成された。
【0064】
記載したすべての実施例において、分散エマルション液滴の親水性ドメインの大きさは、0.5nmから15nmの範囲である。
【0065】
上述の実施例に従って調製されたISAMULSIONは、そのまま、または添加剤として用いることができる。
【0066】
本発明を充分に説明したが、本発明の範囲または本発明のいずれの実施形態にも影響を及ぼすことなく、条件、処方、および他の要因の広範かつ同等の範囲内で同様に実施できることを、当業者は理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】α=100*LPA/(LPA+油)の関数として、ISAMULSION油滴内部に見出された構造を示す図である。
【図2】典型的なISAMULSIONのCryoTEM顕微鏡写真を示す図である。
【図3】ISAMULSION、ISAMULSIONの製造に用いたバルク油相(LPAによってナノ構造化)、および相当する通常のエマルション(LPAなし、ナノ構造なし)の小角X線散乱(SAXS)パターンを示す図である。すべての図において、a.u.は任意単位(arbitrary unit)を意味する。
【図4】様々な量、すなわちα値(α=100*LPA/(LPA+油))のLPAを含有する、ISAMULSIONの小角X線散乱(SAXS)パターンを示す図である。
【図5】小角X線散乱(SAXS)によって調査した経時的な内部油滴構造の安定性を示す図である(図3に挙げたものと同じISAMULSIONを調べる)。4カ月後、ISAMULSIONを形成する油滴の内部構造に変化が認められないことがわかる。
【図6】小角X線散乱(SAXS)によって測定した、加熱および冷却によるISAMULSION液滴の内部構造の可逆性を示す図である(図3と同じISAMULSION)。これは加熱および冷却後の構造形成の可逆性を実証するものである。58、39、および25℃に冷却時に得られたSAXS曲線は、それぞれ58、39、および25℃に加熱時に得られたSAXS曲線と重なる。
【図7】相当する通常のエマルション液滴(LPA不在下、ナノ構造なし)(b)と比較した、ISAMULSION油滴(LPA存在下、ナノ構造あり)(a)のCryoTEM画像を示す図である。ISAMULSION液滴内部で認められる内部構造(a)は、通常の油滴内では認められない(b)ことがわかる。
【図8】(a)は、図7に用いたISAMULSION(LPAあり、ナノ構造あり)、および図7に用いた相当する通常のエマルション(LPAなし、ナノ構造なし)(d)の小角X線散乱(SAXS)パターンを示す図である。(b)および(c)は、高含量の油および低含量のLPAを含むISAMULSIONに相当する。
【図9】LPAのみを含有する分散液、油を含有する通常のエマルション(LPAは含まない)、LPA分散液60%および通常のエマルション40%を混合および均質化することによって得られたISAMULSIONの小角X線散乱(SAXS)を示す図である。
【図10】水20%の存在下における飽和−不飽和モノグリセリド混合物の擬二元相図を示す図である。
【図11】親水性ドメインを含有するISAMULSION油滴の概略図である。親水性ドメインは、球状、または非球状、すなわちロッド、ディスク、チャネルであり得ることに留意されたい。
【図12】逆ミセルキュービック構造を有する油滴を含有するISAMULSIONの小角X線散乱(SAXS)パターンを示す図である(空間群fd3m)。
【図13】LPAとして、モノリノレイン(MLO)およびモノオレイン酸ジグリセロール(DGMO)の混合物を用いて製造したISAMULSIONの小角X線散乱(SAXS)パターンを示す図である。
【図14】LPAとして、モノリノレイン(MLO)およびモノオレイン酸ジグリセロール(DGMO)の混合物を用いて製造したISAMULSIONの小角X線散乱(SAXS)パターンを示す図である。
【図15】LPAとして、モノリノレイン(MLO)およびモノオレイン酸ジグリセロール(DGMO)の混合物を用いて製造したISAMULSIONの小角X線散乱(SAXS)パターンを示す図である。
【図16】LPAとして、リン脂質(ホスファチジルコリン(PC))およびモノリノレイン(MLO)の混合物を用いて製造したISAMULSIONの小角X線散乱(SAXS)パターンを示す図である。
【図17】LPAとしてホスファチジルコリン(PC)、および油相としてトリオレインを用いて製造したISAMULSIONの小角X線散乱(SAXS)パターンを示す図である。エマルションの組成は、水95重量%、トリオレイン1.912重量%、ダイズ由来のホスファチジルコリン(PC)(Lucas Meyer由来のEpikuron200;LPA)2.643重量%、Pluronic F127 0.375重量%であった。
【図18】LPAとしてホスファチジルコリン(PC)、および油相としてビタミンEを用いて製造したISAMULSIONの小角X線散乱(SAXS)パターンを示す図である。エマルションの組成は、水95重量%、酢酸ビタミンE1.912重量%、ダイズ由来のホスファチジルコリン(PC)(Lucas Meyer由来のEpikuron200;LPA)2.643重量%、Pluronic F127 0.375重量%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
5nmから数100マイクロメートルの範囲の直径を有する油滴が、親油性添加剤の存在により、0.5から200nmの範囲の直径を有する親水性ドメインを含むナノサイズ自己集合構造化を示す水中油型エマルション。
【請求項2】
(i)鉱油、炭化水素、植物油、ロウ、アルコール、脂肪酸、モノ−、ジ−、トリ−アシルグリセロール、精油、芳香油、親油性ビタミン、エステル、栄養補助剤、テルピン、テルペン、およびそれらの混合物からなる群から選択される油と、
(ii)結果として生じるHLB値(親水性親油性バランス)が約10未満である、親油性添加剤(LPA)、または親油性および親水性添加剤の混合物と、
(iii)水、またはポリオールなどの非水性極性液体からなる、液滴またはチャネル形態の親水性ドメインと、
エマルション安定剤または乳化剤を含有する水連続相とを含む、ナノサイズ自己集合構造化内部を有する分散油滴を含む請求項1に記載の水中油型エマルション。
【請求項3】
油滴が、0℃から100℃の温度範囲で、L2構造、L2および油構造の組合せからなる群に含まれる内部構造を有する請求項1または2のいずれかに記載の水中油型エマルション。
【請求項4】
油滴が、0℃から100℃の温度範囲で、L2内部構造を有する請求項1または2のいずれかに記載の水中油型エマルション。
【請求項5】
油滴が、0℃から100℃の温度範囲で、L2構造、LC構造、およびそれらの組合せからなる群に含まれる内部構造を有する請求項1または2のいずれかに記載の水中油型エマルション。
【請求項6】
油滴が、0℃から100℃の温度範囲で、LC内部構造を有する請求項1または2のいずれかに記載の水中油型エマルション。
【請求項7】
油滴が、0℃から100℃の温度範囲で、L3構造、L2およびL3構造の組合せ、LαおよびL2構造の組合せ、ならびにラメラ結晶構造およびL2構造の組合せからなる群に含まれる内部構造を有する請求項1または2のいずれかに記載の水中油型エマルション。
【請求項8】
油滴が、香味剤、香味剤前駆体、薬物、およびルテイン、ルテインエステル、β−カロテン、トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコトリエノール、リコペン、CoQ10、アマニ油、リポ酸、ビタミンB12、ビタミンD、αおよびγ−ポリ不飽和脂肪酸、またはフィトステロールを含む群から選択される栄養補助剤、食品サプリメント、食品添加剤、植物抽出物、薬剤、ペプチド、タンパク質または炭水化物、栄養物、香気物質、香気物質前駆体からなる群から選択される油溶性、油不溶性、または水溶性材料を含有する請求項1〜7のいずれかに記載の水中油型エマルション。
【請求項9】
LPAが、長鎖アルコール、脂肪酸、ペグ化脂肪酸、グリセロール脂肪酸エステル、モノグリセリド、ジグリセリド、モノ−ジグリセリド誘導体、ペグ化植物油、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、プロピレングリコールモノまたはジエステル、リン脂質、ホスファチド、セレブロシド、ガングリオシド、ケファリン、脂質、糖脂質、スルファチド、糖エステル、糖エーテル、ショ糖エステル、ステロール、ポリグリセロールエステルの群から選択される請求項1〜8のいずれかに記載の水中油型エマルション。
【請求項10】
油が、ミリスチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸PEG1−4、オレイン酸PEG2−4、ジラウリン酸PEG−4、ジオレイン酸PEG−4、ジステアリン酸PEG−4、ジオレイン酸PEG−6、ジステアリン酸PEG−6、ジオレイン酸PEG−8、PEG3−16ヒマシ油、PEG5−10水添ヒマシ油、PEG6−20トウモロコシ油、PEG6−20扁桃油、PEG−6オリーブ油、PEG−6落花生油、PEG−6パーム核油、PEG−6水添パーム核油、PEG−4カプリン/カプリル酸トリグリセリド、植物油およびソルビトールのモノ、ジ、トリ、テトラエステル、ジ、テトラステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸、またはカプリン酸ペンタエリスリチル、ジオレイン酸、ステアリン酸、またはイソステアリン酸ポリグリセリル−3、ペンタオレイン酸ポリグリセリル4−10、オレイン酸、ステアリン酸、またはイソステアリン酸ポリグリセリル2−4、ペンタオレイン酸ポリグリセリル4−10、ジオレイン酸ポリグリセリル−3、ジオレイン酸ポリグリセリル−6、トリオレイン酸ポリグリセリル−10、ジステアリン酸ポリグリセリル−3、C〜C20脂肪酸のプロピレングリコールモノまたはジエステル、C〜C20脂肪酸のモノグリセリド、モノグリセリドの乳酸誘導体、ジグリセリドの乳酸誘導体、モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル、モノステアリン酸トリグリセロール、コレステロール、フィトステロール、PEG5−20ダイズステロール、テトラ、ヘキサステアリン酸PEG−6ソルビタン、テトラオレイン酸PEG−6ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノ、トリオレイン酸ソルビタン、モノおよびトリステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、PEG2−5オレイルエーテル、POE2−4ラウリルエーテル、PEG−2セチルエーテル、PEG−2ステアリルエーテル、ジステアリン酸スクロース、ジパルミチン酸スクロース、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、ポロキサマー、リン脂質、レシチン、ケファリン、エンバク脂質および他の植物由来の親油性両親媒性脂質、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される請求項9に記載の水中油型エマルション。
【請求項11】
安定剤または乳化剤が、HLB>8を有する低分子量界面活性剤、ミルクまたはダイズ由来のタンパク質、ペプチド、タンパク質加水分解物、ブロックコポリマー、界面活性親水コロイド、例えばアラビアゴム、キサンタンガムなどからなる群から選択される請求項1〜10のいずれかに記載の水中油型エマルション。
【請求項12】
粉末形態である請求項1〜11のいずれかに記載の水中油型エマルション。
【請求項13】
最終生成物である請求項1〜11のいずれかに記載の水中油型エマルション。
【請求項14】
出発材料、中間生成物、または最終生成物の添加剤である請求項1〜13のいずれかに記載の水中油型エマルション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2007−538040(P2007−538040A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517083(P2007−517083)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005411
【国際公開番号】WO2005/110370
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】