説明

送達粒子

本出願は、粒子、このような粒子を含む組成物、並びにこのような粒子及び組成物の製造方法及び使用方法に関する。このような粒子は、カプセル化された有益剤のある種の欠点を最小化又は排除する。組成物、例えば洗浄組成物又は布地ケア組成物、に用いられると、このような粒子は、有益剤の送達効率を高め、その結果、用いられる有益剤の量を低減することができる。有益剤の量を低減できることに加えて、このような粒子は、広範な有益剤の使用を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、粒子、このような粒子を含む組成物、並びにこのような粒子及び組成物の製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
香料類、シリコーン類、ろう類、芳香剤類、ビタミン類及び布地柔軟化剤のような有益剤は高価であるが、一般に、パーソナルケア組成物、洗浄組成物及び布地ケア組成物の中にて高濃度で使用される場合、あまり効果がない。結果として、このような有益剤の効率を最大限にすることが望ましい。本目的を達成する1つの方法は、かかる有益剤の送達効率を高めることである。残念なことに、かかる剤はその物理的又は化学的特性を損なう場合があるか、あるいはかかる剤が他の組成成分又は処理すべき場所と不適合である場合があることから、有益剤の送達効率を高めるのは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
有益剤の送達効率を向上させる目的で、多くの場合、業界ではこのような有益剤を有機材料と共にカプセル化した。残念ながら、ある種の用途においては、このようなカプセル化された有益剤のかなりの部分がカプセルから漏れ、このため、このような欠点を最小限に抑え又は排除する粒子に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本出願は、粒子、このような粒子を含む組成物、並びにこのような粒子及び組成物の製造方法及び使用方法に関する。このような粒子は、カプセル化された有益剤のある種の欠点を最小化し又は排除する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
定義
本明細書で用いる「消費者製品」は、販売される形態での使用又は消費を意図し、後続する商業的製造又は変性を意図しない、ベビーケア、ビューティケア、衣類及びホームケア、ファミリーケア、フェミニンケア、ヘルスケア、スナック、並びに/又は飲料製品若しくは装置を意味する。このような製品には、おむつ、よだれかけ、拭き取り用品、脱色、着色、染色、コンディショニング、シャンプー、スタイリングを含む毛髪(ヒト、イヌ、及び/又はネコ)の処理に関連する製品及び/又は方法、防臭剤及び制汗剤、パーソナルクレンジング、化粧品、消費者使用のためのクリーム、ローション、及び他の局所適用製品の適用を含むスキンケア、並びにシェービング製品、空気ケア、車ケア、食器洗浄、布地コンディショニング(柔軟化など)、洗濯洗浄、洗濯及びすすぎ補助剤及び/又はケア、硬質表面洗浄及び/又は処理、並びに消費者用又は業務用の他の洗浄などの、布地、硬質表面、並びに布地及びホームケア領域内の任意の他の表面処理に関する製品及び/又は方法、トイレットペーパー、フェイシャルティッシュ、紙ハンカチ、及び/又は紙タオルに関連する製品及び/又は方法、タンポン、女性用ナプキン、練り歯磨き、歯用ジェル、歯用リンス、義歯接着剤、歯ホワイトニングなどの口腔ケアに関連する製品及び/又は方法、咳及び風邪治療薬、鎮痛剤、処方薬、ペットヘルスと栄養、及び水精製などの店頭販売のヘルスケア、主として慣習的な食事間用又は食事随伴物としての消費が意図される加工食品(非限定的な実施例としては、ポテトチップス、トルティーヤチップス、ポップコーン、プレッツェル、コーンチップス、シリアルバー、野菜チップス又はクリスプ、スナックミックス、パーティミックス、マルチグレインチップス、スナッククラッカー、チーズスナック、ポークラインズ、コーンスナック、ペレットスナック、押出成形スナック及びベーグルチップが挙げられる)、並びにコーヒーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0006】
本明細書で使用するとき、用語「洗浄組成物」としては、特に指示のない限り、顆粒又は粉末状の多目的即ち「強力」洗浄剤、特に洗浄洗剤、液体、ゲル又はペースト状の多目的洗浄剤、特にいわゆる強力液体型、液体高級衣類用洗剤、手洗い食器洗浄剤又は軽質食器洗浄剤、特に泡立ちのよいもの、家庭又は業務用の各種の錠剤、顆粒、液体、及びすすぎ補助剤型などの食器洗い機用洗剤、抗菌手洗い用型、手洗い石鹸、マウスウォッシュ、義歯洗浄剤、歯磨剤、車又はカーペット用シャンプー、浴室洗浄剤などの液体洗浄殺菌剤、ヘアシャンプー及びヘアリンス、シャワージェル及び発泡入浴剤、並びに金属洗浄剤、並びに、漂白補助剤、及び「ステインスティック」又は前処理用型などの洗浄助剤、又はドライヤー付与シート、乾燥及び湿潤型拭取り布並びにパッド、不織布基材、及びスポンジなどの基材付与製品、並びにスプレー剤、及びミスト剤が挙げられる。
【0007】
本明細書で使用するとき、用語「布地ケア組成物」には、特に指示がない限り、布地柔軟化組成物、布地向上組成物、布地フレッシュニング組成物及びこれらの組み合わせを含む。
【0008】
本発明で使用する場合、用語「有益剤送達粒子」は、香料マイクロカプセルを含むマイクロカプセルを包含する。
【0009】
本発明で使用する場合、用語「粒子」、「有益剤送達粒子」、「カプセル」及び「マイクロカプセル」は同義である。
【0010】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」を含む冠詞は、特許請求の範囲で使用されるとき、1以上の請求又は記載されるものを意味するものと理解される。
【0011】
本明細書で使用するとき、「包含する/挙げられる(include)」、「包含する/挙げられる(includes)」及び「包含している/挙げられている/などの(including)」という言葉は、限定することを意図しない。
【0012】
本出願人らの発明のパラメータの各値を求めるためには、本出願の試験方法の項で開示する試験方法を用いるべきである。
【0013】
特に記載のない限り、構成成分又は組成物の濃度は全て、当該構成成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる構成成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0014】
百分率及び比率は全て、特に指示がない限り、重量で計算されている。百分率及び比率は全て、特に指示がない限り、組成物全体を基準にして計算されている。
【0015】
本明細書を通じて、所与のあらゆる最大数値限定は、そのようなより小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように、より小さい全ての数値限定を含むと理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載されているあらゆる最小数値限定には、それよりも大きいあらゆる数値限定が、あたかもこうしたそれよりも大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含される。本明細書全体を通じて記載されているあらゆる数値範囲には、こうしたより広い数値範囲内に入る、それよりも狭いあらゆる数値範囲が、あたかもこうしたそれよりも狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように包含される。
【0016】
有益剤送達粒子
出願人らは、効果的かつ効率的な有益剤送達を得る上での問題は、下記で開示した有益剤送達粒子及び消費者製品を用いた場合、経済的な方法で解決可能であることを見出した。
【0017】
一態様においては、有益剤を含む芯材及び非水溶性無機材料を含む外殻材料、並びに所望により、有機材料を含む有益剤送達粒子であって、当該外殻材料が少なくとも部分的に、当該芯材を取り囲んでおり、あるいは場合によって、一態様においては、当該芯を取り囲んでいるもの、が開示されている。
【0018】
上述した有益剤送達粒子の一態様においては、前記非水溶性無機材料は、非水溶性カーボネート、非水溶性サルフェート、非水溶性シリカ、非水溶性シリケート及びこれらの混合物、例えば、非水溶性カーボネート、非水溶性シリケート及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでよい。
【0019】
上述した有益剤送達粒子の一態様においては、前記有益剤送達粒子の前記外殻は、
a.)有益剤に可溶性のモノマーとして、ポリ酸クロリド、例えば、トリメソイルクロリド、テレフタロイルクロリド(terapthaloyl chloride)、セバコイルクロリド及びこれらの混合物、ポリクロロホルメート(polychlororformates)、例えば、1,3,5−ベンゼントリスクロロホルメート、エチレンビスクロロホルメート及びこれらの混合物、ポリイソシアネート、例えば、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート及びポリメチレンポリ−フェニルイソシアネート、並びにこれらの混合物、ポリスルホニルクロリド、例えば、1,3−ベンゼンスルホニルジクロリド及び1,3,5−ベンゼンスルホニルトリクロリド、並びにこれらの混合物からなる群から選択されてよい材料が挙げられるが、これらに限定されない、有益剤送達粒子の有益剤に可溶性のモノマー、並びに
b.)水に可溶性であるモノマーとして、ポリアミン、例えば、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン及びこれらの混合物、ポリオール、例えば、エチレングリコール、ポリエステル、ポリエーテル及びこれらの混合物、高分子電解質、例えば、キトサン、ポリアニオン(例えば、アルギン酸、アルギン酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩など))及びこれらの混合物を含むがこれらに限定されないポリカチオン、並びにこれらの混合物、多糖類、例えば、デンプン、タンパク質のアルカリ金属塩(カゼイン酸ナトリウムなど)を含むがこれらに限定するものではないタンパク質、からなる群から選択されてよい材料を包含するが、これらに限定されない水に可溶性のモノマーの反応生成物であるポリマーを含んでよい。
【0020】
上述した有益剤送達粒子の一態様においては、前記有益剤は、香料、殺菌剤、悪臭中和剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでよい。好適な香料としては、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、酸、アセタール、ケタール、ニトリル、エステル、飽和炭化水素、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、炭素環状(carbocylic)炭化水素、複素環式炭化水素及びこれらの混合物からなる群から選択される部分を含んでよい香料が挙げられるが、これらに限定されない。好適な悪臭中和剤としては、ニオイヒバ油(Arbor Vitae)、クロロフィル、シクロデキストリン、フラボノイド(flavanoids)、ヒノキオイル(Hinoki oil)、パセリ抽出物、フタロシアニン、サポニン、茶木油又はリシノール酸の亜鉛塩及びこれらの混合物からなる群から選択されてよい悪臭中和剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
上述した有益剤送達粒子の一態様においては、外殻の厚みが、約0.1マイクロメートル〜約10マイクロメートル、約1マイクロメートル〜約5マイクロメートル、あるいは約1.25マイクロメートル〜約2.5マイクロメートルの範囲であってよい。
【0022】
上述した有益剤送達粒子の一態様においては、有益剤送達粒子の平均粒径は、約1マイクロメートル〜約100マイクロメートル、約10マイクロメートル〜約60マイクロメートル、あるいは約30マイクロメートル〜約40マイクロメートルの範囲であってよい。
【0023】
上述した有益剤送達粒子の一態様においては、有益剤送達粒子は、約95:5〜約40:60、約90:10〜約70:30、あるいは約85:15〜約75:25の芯対壁の重量比を有してもよい。
【0024】
上述した有益剤送達粒子の一態様においては、有益剤送達粒子は、約0〜約10、約0.0001〜約10、約0.001〜約3、あるいは約0.001〜0.01の漏れインデックスを有してもよい。
【0025】
1以上の態様において、上述した有益剤送達粒子は、上記で開示された有益剤送達パラメータの任意の組み合わせを有してもよい。
【0026】
上記教示に加えて、有用な壁材料としては、不溶性無機塩、ケイ酸塩、ポリアミド、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリオレフィン、多糖類、エポキシ樹脂、ビニルポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料が挙げられる。一態様においては、有用な壁材料としては、送達利益が得られるように、有益剤送達粒子が用いられる環境において、芯材及び材料に対して十分に不透過性である材料が挙げられる。好適な不透過性壁材料としては、炭酸ナトリウム及び塩化カルシウムなどの2種又はそれ以上の無機塩並びにポリアミンと1種以上のポリ酸クロリドとの反応生成物、ジエチレントリアミン及びトリメソイルクロリドなどからなる群から選択される材料が挙げられる。
【0027】
上記教示に加えて、有用な芯材としては、香料原材料、シリコーンオイル、ワックス、炭化水素類、高級脂肪酸、エッセンシャルオイル、脂質、皮膚冷却剤、ビタミン、日焼け止め剤、酸化防止剤、グリセリン、触媒、漂白剤粒子、二酸化ケイ素粒子、悪臭軽減剤、臭気制御材料、キレート剤、帯電防止剤、柔軟化剤、昆虫及びガ駆除剤、染色剤、酸化防止剤、キレート剤、増粘剤、ドレープ及び形状制御剤、スムージング剤、しわ制御剤、浄化剤、消毒剤、細菌調整剤、モールド制御剤、白カビ制御剤、抗ウイルス剤、乾燥剤、染み防止剤、汚れ遊離剤、布地リフレッシュ剤及び洗い立て感維持剤、塩素漂白臭気抑制剤、染料固定剤、移染防止剤、色保全剤、蛍光増白剤類、色回復/再生剤、色あせ防止剤、白色度増強剤、耐磨耗剤、耐摩耗剤、布地統合剤(fabric integrity agents)、耐磨耗剤、けば立ち防止剤、消泡剤及び泡防止剤、布地及び皮膚のための紫外線保護剤、太陽光劣化阻害剤、抗アレルギー剤、酵素類、防水加工剤、布地調整剤、防縮剤、伸び防止剤、伸縮回復剤、スキンケア剤、グリセリン、及びアロエベラ、ビタミンE、シアバター、カカオバター、などの天然活性物質、光沢剤、抗菌活性物質、制汗剤活性物質、カチオン性ポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられる。一態様においては、香料原材料は、アルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ニトリルアルケンからなる群から選択される。一態様においては、芯材は、香料を含む。一態様においては、香料は、アルコール、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ニトリルアルケン及びこれらの混合物からなる群から選択される香料原材料を含む。一態様においては、香料は、約250℃よりも低い沸点(B.P.)及び約3よりも小さいClogPを有する香料原材料、約250℃よりも高い沸点及び約3よりも大きいClogPを有する香料原材料、約250℃よりも高い沸点及び約3よりも小さいClogPを有する香料原材料、約250℃よりも低い沸点及び約3よりも大きいClogPを有する香料原材料、並びにこれらの混合物からなる群から選択される香料原材料を含んでよい。約250℃よりも低い沸点B.P.及び約3よりも小さいClogPを有する香料原材料は、クワドラント(Quadrant)I香料原材料として知られており、約250℃よりも高い沸点及び約3よりも大きいClogPを有する香料原材料は、クワドラントIV香料原材料として知られており、約250℃よりも高い沸点及び約3よりも小さいClogPを有する香料原材料は、クワドラントII香料原材料として知られており、約250℃よりも低い沸点及び約3よりも大きいClogPを有する香料原材料は、クワドラントIII香料原材料として知られている。一態様においては、当該香料は、約250℃よりも低い沸点を有する香料原材料を含む。一態様においては、当該香料は、クワドラントI,II、III香料原材料及びこれらの混合物からなる群から選択される香料原材料を含む。一態様においては、当該香料は、クワドラントIII香料原材料を含む。好適なクワドラントI,II、III及びIV香料原材料は、米国特許第6,869,923 B1号に開示されている。
【0028】
一態様においては、当該香料は、クワドラントIV香料原材料を含む。理論に束縛されるものではないが、このようなクワドラントIV香料原材料は、香料香り「バランス」を向上させることができると考えられている。当該香料は、香料総重量を基準にして、約30%未満、約20%未満、あるいは約15%未満のクワドラントIV香料原材料を含んでよい。
【0029】
香料原材料及び関連材料(accords)は、以下の会社の1つ以上から入手してよい:Firmenich(Geneva,Switzerland)、Givaudan(Argenteuil,France)、IFF(Hazlet,NJ)、Quest(Mount Olive,NJ)、Bedoukian(Danbury,CT)、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)、Millennium Specialty Chemicals(Olympia Fields,IL)、Polarone International(Jersey City,NJ)、Fragrance Resources(Keyport,NJ)、及びAroma & Flavor Specialties(Danbury,CT)。
【0030】
有益剤送達粒子の製造方法
一態様においては、外殻及び芯を含む有益剤送達粒子の製造方法であって、当該芯は有益剤を含み、当該方法は、
a.有益剤及び無機材料を含むエマルションを形成し、その際、一態様では、当該無機材料が、当該有益剤液滴よりも約10〜1000分の1、あるいは当該有益剤液滴よりも約100〜約500分の1の粒径を有してよいもの、
b.少なくとも2種の無機材料を、当該エマルションと共に、同時に組み合わせることからなる。一態様においては、当該無機材料は、CaCl及びNaCOを含んでよい。
【0031】
当該有益剤送達粒子の調製プロセスに関する更なる教示としては、本明細書の実施例の教示並びに以下の教示が挙げられる。
【0032】
無機材料を水中に分散させる。本分散体を有益剤と共に完全に混ぜ合わせる。少なくとも2種の無機材料を同時に加える。
【0033】
2)界面重合
工程(a)中、乳化工程に先だって、有益剤中に可溶性のモノマー種を有益剤へと加える。初期無機沈殿工程中に、水溶性の第2モノマーの溶液中にカプセル剤を分散させる。任意の利用可能な境界面(無機粒子間のギャップ)にて、2種のモノマーがお互いに反応して、これらの境界面を通してカプセル剤から有益剤が漏れるのを更に制約するポリマーを形成する。有機可溶性モノマーの非限定例としては、ポリ酸クロリド、ポリクロロホルメート、ポリイソシアネート及びポリスルホニルクロリドからなる群から選択される材料が挙げられる。水溶性モノマーの非限定例は、ポリアミン及びポリオールであって、ここでポリオールは複数のヒドロキシル基を備えた化合物であり、ポリエステル及びポリエーテルからなるがこれらに限定するものではない。
【0034】
3)有益剤の漏れは、無機カプセル剤をコーティングすることにより更に減少させることができる。一態様においては、コーティング種は、キトサンなどのポリカチオン、アルギン酸塩などのポリアニオン、ケイ酸塩、デンプン又はカゼイン酸ナトリウムなどのタンパク質の塩からなる群から選択されてよい。
【0035】
このような材料は、CP Kelco Corp.(San Diego,California,USA)、Degussa AG(Dusseldorf,Germany)、BASF AG(Ludwigshafen,Germany)、Rhodia Corp.(Cranbury,New Jersey,USA)、Baker Hughes Corp.(Houston,Texas,USA)、Hercules Corp.(Wilmington,Delaware,USA)、Agrium Inc.(Calgary,Alberta,Canada)、ISP社(New Jersey U.S.A)、Sigma Aldrich(Milwaukee,WI)から入手可能である。
【0036】
本明細書で開示されるプロセス用に好適な設備としては、連続攪拌槽型反応器、ホモジナイザー、タービン攪拌器、再循環ポンプ、パドルミキサー、プラウせん断(ploughshear)ミキサー、リボンブレンダー、垂直軸造粒機及びドラムミキサー(両方ともバッチ式であり、利用可能な場合は連続プロセスの形状のものには、スプレー乾燥機、及び押出成形機)が挙げられる。そのような装置は、Lodige GmbH(Paderborn,Germany)、Littleford Day,Inc.(Florence,Kentucky,U.S.A.)、Forberg AS(Larvik,Norway)、Glatt Ingenieurtechnik GmbH(Weimar,Germany)、Niro(Soeborg,Denmark)、Hosokawa Bepex Corp.(Minneapolis,Minnesota,USA)、Arde Barinco(New Jersey,USA)から入手可能である。
【0037】
有益剤送達粒子を含む組成物
本出願人らの組成物は、本出願に開示される粒子の実施形態を含む。一態様においては、当該組成物は消費者製品である。用いられる粒子の正確な濃度は、組成物のタイプ及び最終用途に依存するが、組成物は、一態様においては、組成物の総重量を基準にして、約0.001%〜約10%、約0.001%〜約5%、約0.001%〜約1%、約0.001%〜約0.5%、約0.001%〜約0.2%、あるいは約0.001%〜約0.1%の本明細書に開示される任意の有益剤送達粒子を含んでよい。
【0038】
一態様においては、消費者製品は、消費者製品の総重量を基準にして、約0.001%〜約10%、約0.001%〜約5%、約0.001%〜約1%、約0.001%〜約0.5%、約0.001%〜約0.2%、あるいは約0.001%〜約0.1%の本明細書に開示される任意の有益剤送達粒子を含んでよい。
【0039】
一態様においては、洗浄組成物は、このような粒子の洗浄組成物の総重量に基づいて、約0.1〜約1重量%の有益剤送達粒子を含んでもよい。一態様においては、布地処理組成物は、布地処理組成物の総重量に基づいて、約0.01%〜約10%の有益剤送達粒子を含んでもよい。
【0040】
本発明の態様としては、洗濯洗剤組成物(例えば、TIDE(商標))、硬質表面洗浄剤(例えば、MR CLEAN(商標))、自動食器洗浄用液体(例えば、Cascade(商標))、食器洗浄用液体(例えば、DAWN(商標))、及び床洗浄剤(例えば、SWIFFER(商標))中での本発明の粒子の使用が挙げられる。洗浄組成物の非限定例としては、米国特許第4,515,705号、同第4,537,706号、同第4,537,707号、同第4,550,862号、同第4,561,998号、同第4,597,898号、同第4,968,451号、同第5,565,145号、同第5,929,022号、同第6,294,514号、及び同第6,376,445号に記載されるようなものを挙げてよい。本明細書に開示される洗浄組成物は、典型的には、水性洗浄操作での使用中に、洗浄水のpHが約6.5〜約12、又は約7.5〜10.5となるように処方される。液体食器洗浄製品の処方は、典型的には約6.8〜約9.0のpHを有する。洗浄製品は、通常、約7〜約12のpHを有するように処方される。推奨使用濃度でのpHを制御する技術には、緩衝剤、アルカリ類、酸類などの使用が挙げられ、当業者には周知である。
【0041】
本明細書に開示される布地トリートメント組成物は通常、布地柔軟化活性物質(「FSA」)を含む。好適な布地柔軟化活性物質としては、第四級アンモニウム化合物、アミン、脂肪酸エステル、ショ糖エステル、シリコーン、分散性ポリオレフィン、粘土、多糖類、脂肪油、ポリマーラテックス、及びこれらの混合物からなる群から選択される物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
補助物質
本発明の目的は必須ではないが、以下に例示される補助剤の非限定的な一覧は、本組成物において使用するのに適しており、例えば、性能を補助若しくは向上させるために、洗浄化される基材の処理のために、又は香料、着色剤、染料等を用いる場合のように組成物の審美性を変化させるために、望ましくは本発明の特定の実施形態に組み込むことができる。このような補助剤は、本出願人らの送達粒子及び本明細書にて既に開示された製品の他の構成成分を介して供給される構成成分に追加されると理解されるべきである。これらの追加的構成成分の明確な性質、及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び使用されるべき作業の性質によって決まる。好適な補助剤物質には、ポリマー、例えばカチオン性ポリマー、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒作用性物質、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、向水性物質、加工助剤、及び/又は色素が挙げられるが、これらに限定されない。下記の開示に加え、このような他の補助剤の好適な例及び使用濃度は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812B1号、及び同第6,326,348B1号に記載されており、これらは参照により組み込まれる。
【0043】
上述のように、補助剤成分は、本出願人らの洗浄化及び布地ケア組成物にとって必須ではない。したがって、本出願人らの組成物の特定の実施形態は、以下の補助物質:漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、柔軟剤、キャリア、向水性物質、加工助剤及び/又は色素の1種以上を含有しない。しかしながら、1つ以上の補助剤が存在する場合、このような1以上の補助剤は、以下に詳細に記載されるように存在してよい。
【0044】
界面活性剤−本発明による組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができ、界面活性剤は、非イオン性及び/若しくはアニオン性及び/若しくはカチオン性界面活性剤並びに/又は両性及び/若しくは双極性及び/若しくは半極性非イオン性界面活性剤から選択できる。界面活性剤は通常、洗浄組成物の約0.1重量%から、約1重量%から、又は更には約5重量%から、洗浄組成物の約99.9重量%まで、約80重量%まで、約35重量%まで、又は更には約30重量%までの濃度で存在する。
【0045】
ビルダー−本発明の組成物は、1つ以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含むことができる。存在する場合、組成物は、典型的に、少なくとも約1重量%のビルダー、又は約5重量%若しくは10重量%〜約80重量%、50重量%まで、又は更には30重量%までの前記ビルダーを含む。ビルダーとしては、ポリホスフェートの、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノシリケートビルダー、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の種々のアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩、並びにメリット酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びこれらの可溶性塩のようなポリカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
キレート化剤−本明細書の組成物はまた、任意で1つ以上の銅、鉄及び/又はマンガンのキレート化剤を含有してもよい。使用される場合、キレート化剤は、一般に本明細書の組成物の約0.1重量%〜約15重量%、又は更には本明細書の組成物の約3.0重量%〜約15重量%を構成する。
【0047】
染料移動防止剤−本発明の組成物はまた、1種以上の染料移動防止剤を含んでよい。好適なポリマー移染阻害剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の組成物中に存在する場合、染料移動防止剤は、洗浄組成物の約0.0001重量%から、約0.01重量%から、約0.05重量%から、洗浄組成物の約10重量%まで、約2重量%まで、又は更には約1重量%までの濃度で存在する。
【0048】
分散剤−本発明の組成物は分散剤も含むことができる。好適な水溶性有機物質は、ホモポリマー若しくはコポリマーの酸又はこれらの塩であり、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに2個を超えない炭素原子によって離間されている少なくとも2個のカルボキシル基を含んでもよい。
【0049】
酵素−組成物は、洗浄性能効果、及び/又は布地ケア効果を提供する1つ以上の洗浄性酵素を含むことができる。好適酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、及び/又はセルラーゼのような従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。
【0050】
酵素安定剤−組成物、例えば洗剤において使用するための酵素類は、種々の技術によって安定化することができる。本明細書で採用される酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。
【0051】
触媒金属錯体−本出願人らの組成物は、触媒金属錯体を包含してもよい。金属含有漂白触媒の1つの種類は、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンのカチオンのような、限定された漂白触媒活性の遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムのカチオンのような、漂白触媒活性をほとんど又は全く有さない補助金属カチオン、並びに触媒金属及び補助金属のカチオンに対して規定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤(sequestrate)、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びこれらの水溶性塩を含む触媒系である。このような触媒は、米国特許第4,430,243号に開示される。
【0052】
所望する場合、本明細書の組成物はマンガン化合物を用いて触媒作用され得る。このような化合物及び使用濃度は該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号に開示されるマンガン系触媒が挙げられる。
【0053】
本明細書において有用なコバルト漂白触媒は既知であり、例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号に記載されている。このようなコバルト触媒は、既知の手順、例えば、米国特許第5,597,936号、及び同第5,595,967号において教示されているような手順によって容易に調製される。
【0054】
本明細書の組成物はまた、好適には、大多環状の剛性配位子(「MRL」と省略される)の遷移金属錯体を含んでよい。実用的な事柄として、限定するためではないが、本明細書の組成物及び洗浄方法は、水性洗浄媒体において少なくとも約1億分の1の有益剤MRL種を提供するように調整することができ、MRLを洗浄溶液中に約0.005ppm〜約25ppm、約0.05ppm〜約10ppm、又は更には約0.1ppm〜約5ppmに設定できる。
【0055】
当該遷移金属漂白剤触媒中の好ましい遷移金属としては、マンガン、鉄、及びクロムが挙げられる。本明細書における好ましいMRLは、架橋した特定の種類の超剛性配位子、例えば、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンである。
【0056】
好適な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、PCT国際公開特許第00/32601号及び米国特許第6,225,464号で教示されているような手順によって容易に製造される。
【0057】
洗浄組成物の製造及び使用方法
本発明の組成物は、任意の好適な形態に処方されることができ、配合者によって選択される任意の方法によって調製されることができ、その非限定的な具体例は、全て本明細書に参考として組み込まれる米国特許第5,879,584号、同第5,691,297号、同第5,574,005号、同第5,569,645号、同第5,565,422号、同第5,516,448号、同第5,489,392号、同第5,486,303号に記載されている。
【0058】
使用方法及び処理された部位
本明細書に開示される有益剤デリバリー粒子を含有する組成物は、ある部位、とりわけ表面又は布地を洗浄又は処理するのに使用することができる。通常、前記場所の少なくとも一部は、希釈されない形態又は希釈された液体、例えば洗浄液の、本出願人らの組成物の実施形態と接触され、そしてその後、任意に、その場所が洗浄及び/又はすすがれてもよい。1つの態様では、ある部位が任意で洗浄及び/又はすすがれ、本発明による粒子に又は前記粒子を含む組成物に接触され、次に任意で洗浄及び/又はすすがれる。本発明の目的上、洗浄とは、擦ること及び機械的攪拌を包含するが、これらに限定されない。布地は、標準的な消費者の使用条件で洗濯又は処理することが可能な大部分の任意の布地を含んでよい。開示される組成物を含み得る液体のpHは、約3〜約11.5であってもよい。こうした組成物は、典型的には溶液中で約500ppm〜約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水である場合、水の温度は、通常約5℃〜約90℃であり、前記場所が布地を含む場合、水対布地の比は、通常約1:1〜約30:1である。
【0059】
一態様においては、本明細書に開示される消費者製品を含む、本明細書に開示される任意の有益剤送達粒子及び/又は任意の組成物で処理される部位が開示されているが、これらに限定されない。
【0060】
試験方法
本出願の「試験方法」の項で開示される試験方法は、本出願人らの発明が本明細書に記載され及び特許請求されているように、本出願人らの発明のパラメータの各値を求めるために使用されるものと理解されなければならない。
【0061】
(1)破壊強度
a.)1Lの蒸留脱イオン(DI)水の中に粒子1グラムを入れる。
b.)脱イオン水中に粒子を10分間にわたって保持させておき、次に濾過により粒子を回収する。
c.)50個の個々の粒子の破断力を平均化することによって、粒子の平均破断力を決定する。粒子の破断力は、Zhang,Z.、Sun,G、「Mechanical Properties of Melamine−Formaldehyde microcapsules,」J.Microencapsulation,vol 18,no.5,pages 593〜602,2001に与えられている手順を使用して決定される。次に、平均破断力(ニュートン単位)を球状粒子の(上記試験方法1により求められる)平均断面積(πr、rは圧縮前の粒子の半径)で除することにより、平均破壊圧力を計算する。
d)カプセルスラリーのために、サンプルを粒度分布に応じた3つの粒径フラクションへと分ける。粒径フラクションあたり、約10個の破壊強度を決定する。
【0062】
(2)ClogP
「logPの計算値」(ClogP)は、Hansch及びLeoのフラグメント手法(Hansch and Leo(cf.,A.Leo,in Comprehensive Medicinal Chemistry,Vol.4,C.Hansch,P.G.Sammens,J.B.Taylor,and C.A.Ramsden,Eds.P.295,Pergamon Press,1990,参考文献としてここに含まれる)により決定される。ClogP値は、Daylight Chemical Information Systems Inc.(Irvine,California U.S.A.)から入手可能な「ClogP」プログラムを使用して計算してもよい。
【0063】
(3)沸点
沸点は、ASTMメソッドD2887−04a、「Standard Test Method for Boiling Range Distribution of Petroleum Fractions by Gas Chromatography」(ASTM International)によって測定する。
【0064】
(4)有益剤の漏れ
1.5gのカプセル剤を取り、50mLの脱イオン水を加え、混ぜ合わせて水中にカプセル剤を分散させる。50mLのヘキサンを分散体へと加える。5分、30分、60分、90分、120分及び150分後に、3mLのヘキサン層を取り、270nmのヘキサンアリコート(香料分)の紫外線吸光度を決定する。カプセル化有益剤を使用して、紫外線の較正を実施する。較正より、カプセル剤の分析により得られた吸光度を、有益剤の%へと変換する。カプセル剤について、有益剤%対時間をプロットする。このグラフのスロープは、カプセルからの有益剤の放出速度の指標である。本試験のために、得られた放出速度を使用して、漏れを決定する。
【0065】
(5)平均粒径
装置:Sympatec Helos、Rodos & Vibri((Sympatec GmbH(System−Partikel−Technik,Burgstatterstraβe 6,D−38678 Clausthal−Zellerfeld,Germany)より供給)。装置の設定(HELOS、Rodos & Vibri)は、HELOS1のマニュアル(1995年1月発行)に記載されている様に行なう。ソフトウェア設定及びサンプル分析は、WINDOXマニュアル内の、Windoxソフトウェア(Windox5.1.1.5、著作権2003年)を使用して実施する。
【実施例】
【0066】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【0067】
実施例1:50重量%コア/50重量%壁・炭酸カルシウムマイクロカプセル
水道水中のナノ炭酸カルシウム(Omya UK(Derbyshire,UK))の10%分散体を調製する。分散体を完全に混合し、固体を静置させて液体部分の上澄み液を取り除く。液相の表面張力が一定になるまで、このプロセスを繰り返す。8gの有益剤(香料)を12gの最終分散体へと加え、激しく混合して水中油型エマルションを製造する。20mLの塩化カルシウム(Sigma Aldrich(Milwaukee,WI))4M溶液及び40mLの2M炭酸ナトリウム(Sigma Aldrich(Milwaukee,WI))を、塩化カルシウムについて約1mL/分、炭酸ナトリウムについて約2mL/分の率で、水中油型エマルション中へと同時に滴定し、マイクロカプセルを製造する。次に、マイクロカプセルをバルク液からデカントする。本明細書の試験方法にしたがって試験したこのようなマイクロカプセルは、以下の性質を有することが見い出された。
【表1】

【0068】
実施例2:50重量%コア/50重量%壁炭酸カルシウムマイクロカプセルの逆滴定(Inverse Titration)
6mLの実施例1からの炭酸塩マイクロカプセルを4mLの塩化カルシウム溶液へ加えて、懸濁液を形成する。懸濁液を20mLの炭酸ナトリウム中へ滴下して滴定する。約70%の懸濁液の溶液をデカントし、残りの懸濁液を20mLの塩化カルシウム溶液中へ滴下して滴定する。次に、バルク液をデカントして、マイクロカプセルの濃縮懸濁液を残す。このようなマイクロカプセルは、本明細書の試験方法4(4)、「有益剤の漏れ(Leakage of Benefit Agent)」にしたがって試験し、0.005%の平均漏れ率であることが見い出される。
【0069】
実施例3:50重量%コア/50重量%壁・炭酸カルシウムマイクロカプセルの界面重合
0.005gのトリメソイルクロリドを8gの有益剤へと加え、混合して確実に溶解させる。次に、実施例1の手順にしたがって、以下のパラメータを有する50重量%コア/50重量%壁炭酸カルシウムのマイクロカプセルを製造する。
【0070】
次に、1gのジエチレントリアミンを20mLの水に溶解して、溶液を形成する。このような溶液及び上述したカプセル剤を合一させ、緩やかに混合する。このようなマイクロカプセルは、本明細書の試験方法4(4)、「有益剤の漏れ」にしたがって試験し、0.002%の平均漏れ率であることを見い出した。
【0071】
実施例4:カゼイン酸ナトリウムでコーティングされた無機マイクロカプセル
マイクロカプセルは、以下の滴定工程によって実施例1の最終滴定工程を置き換えた以外は、実施例1にしたがって製造される。
【0072】
カゼイン酸ナトリウム(sodium casienate)を2%(重量割合で)含有する、60mLの炭酸ナトリウム1.5M溶液及び60mLの塩化カルシウム(Sigma Aldrich(Milwaukee,WI))1.5M溶液を、実施例1の水中油型エマルション中へ、約1mL/分の率で同時に滴定して、カプセル剤を製造する。次に、マイクロカプセルをバルク液からデカントする。このようなカプセルは、本明細書の試験方法4(4)、「有益剤の漏れ」にしたがって試験し、0.01%の平均漏れ率であることが見い出される。
【0073】
実施例5:ケイ酸塩でコーティングした炭酸塩マイクロカプセル
水中油型エマルションは、実施例1にしたがって製造する。次に、60mLの塩化カルシウム(Sigma Aldrich(Milwaukee,WI))1.5M溶液及び60mLの炭酸ナトリウム(Sigma Aldrich(Milwaukee,WI))1.5M溶液を、上述した水中油型エマルション中へと、約1mL/分の率で同時に滴定して、マイクロカプセルを含有する懸濁液を形成する。次に、20mLの0.5Mケイ酸ナトリウム溶液及び20mLの0.5M塩化カルシウムを、カプセル剤を含有する懸濁液中へと同時に滴定する。次に、マイクロカプセルをバルク液からデカントする。このようなマイクロカプセルは、本明細書の試験方法4(4)、「有益剤の漏れ」にしたがって試験し、0.01%の平均漏れ率であることが見い出される。
【0074】
(実施例6)
本発明のマイクロカプセル(例えば、従前の実施例にしたがって製造されたマイクロカプセル)を含有する製品処方の非限定例は、次表にてまとめられている。
【表2】

45%活性物質スラリーとしてマイクロカプセルを添加した。コア/壁比率は、50/50〜70/30の範囲であってよく、平均粒子径は5μm〜50μmの範囲であることができる。
【0075】
実施例7:ドライ洗濯処方におけるマイクロカプセル
【表3】

・45%活性物質スラリーとしてマイクロカプセルを添加した。コア/壁比率は、50/50〜70/30の範囲であってよく、平均粒子径は5μm〜50μmの範囲であることができる。
【0076】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されられるものとして理解されるべきでない。むしろ特に断りのない限り、こうした寸法のそれぞれは、記載される値、及びこの値の周辺の機能的に等価な範囲のいずれをも意味するものとする。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図される。
【0077】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参照により組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0078】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材を含む有益剤送達粒子であって、
a)好ましくは香料、殺菌剤、悪臭中和剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、有益剤と、
b)好ましくは非水溶性カーボネート、非水溶性サルフェート、非水溶性シリカ、非水溶性シリケート、及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含む、非水溶性無機材料を含む外殻材料であって、少なくとも部分的に前記芯材を取り囲んでおり、好ましくは前記有益剤を取り囲んでいる外殻材料と、
c)所望により、有機材料と
を含む、有益剤送達粒子。
【請求項2】
有益剤送達粒子であって、前記有益剤送達粒子の外殻が、
a.)ポリ酸クロリド、ポリクロロホルメート、ポリイソシアネート、ポリスルホニルクロリド、及びこれらの混合物からなる群から選択される、有益剤に可溶性のモノマーと、
b.)ポリアミン、ポリオール、高分子電解質、多糖類、タンパク質、及びこれらの混合物からなる群から選択される水溶性モノマーと
の反応生成物であるポリマーを含む、請求項1に記載の有益剤送達粒子。
【請求項3】
前記外殻の厚みが約0.1マイクロメートル〜約10マイクロメートルである、請求項1又は2に記載の有益剤送達粒子。
【請求項4】
前記有益剤送達粒子の平均粒径が約1マイクロメートル〜約100マイクロメートルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有益剤送達粒子。
【請求項5】
前記有益剤送達粒子が約95:5〜約40:60の芯対壁の重量比を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有益剤送達粒子。
【請求項6】
約0〜約10の漏れインデックスを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有益剤送達粒子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の有益剤送達粒子を含む消費者製品であって、好ましくは、消費者製品の総重量を基準にして、約0.001%〜約10%の前記有益剤送達粒子を含む、消費者製品。
【請求項8】
部位を処理及び/又は洗浄する方法であって、前記方法が、
a.)所望により前記部位を洗浄及び/又はすすぎ、
b.)前記部位を請求項1に記載の有益剤送達粒子組成物及び/又は請求項10に記載の消費者製品と接触させ、
c.)所望により前記部位を洗浄及び/又はすすぐこと、
を含む、方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の有益剤送達粒子及び/又は請求項7に記載の消費者製品で処理される部位。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の有益剤送達粒子の製造方法であって、前記方法が、
a.有益剤及び無機材料を含むエマルションを形成し、その際、前記無機材料が、前記有益剤液滴よりも約10〜1000分の1の粒径を有しており、
b.少なくとも2種の無機材料を、前記エマルションと共に、同時に組み合わせることを含む、製造方法。

【公表番号】特表2011−518654(P2011−518654A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501902(P2011−501902)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/037333
【国際公開番号】WO2009/120526
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】