説明

送風式薬液散布機

【課題】長時間使用することで、送風式薬液散布機では、液タンク内の異物によって目詰まりが発生する。
【解決手段】送風式薬液散布機1は、液タンク6に薬液の供給管7を取外し可能に接続し、供給管7の取外しによって液タンク6のストレーナ32が取り外し可能に構成され、液タンク6の薬液を送風管7の空気流と混合して散布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体や粉体のような薬剤を送風管の空気流と混合して散布する送風式薬液散布機に関する。
【背景技術】
【0002】
液タンクに薬液を入れ、液タンクから供給する薬液を送風機の空気流と混合して散布する送風式薬液散布機が知られている(たとえば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許2009/0008473号公報(US2009/0008473 A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示す送風式薬液散布機は、液タンクの下部にホースが接続されている。
液タンク内の薬液は、使用時に、ホースを通じて、空気流に噴霧するノズルへ供給される。
その結果、薬液に異物が混入していると、薬液とともに異物が送られて、ノズルでの目詰まり、液タンクからノズルまでの薬液の供給路に設けたバルブまたはコックでの目詰まり、が発生することがある。
【0005】
長時間使用することで、送風式薬液散布機では、液タンク内の異物によって目詰まりが発生する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の送風式薬液散布機は、液タンクに薬液の供給管を取外し可能に接続し、供給管の取外しによって液タンクのストレーナが取り外し可能に構成され、液タンクの薬液を送風管の空気流と混合して散布する。
【0007】
好適には、ストレーナは、液タンクから取外し可能な供給管に接続されてよい。
【0008】
好適には、ストレーナは、供給管の先端に突出するように接続され、供給管の装着時に液タンクの内部に突出してよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、液タンクに対してストレーナを設けている。よって、本発明では、液タンク内の異物や沈殿した薬液が、使用時に、薬液の供給管へ供給され難い。供給管において、目詰まりが発生し難くなる。
しかも、このストレーナは、液タンクからの供給管の取外しによって取り外し可能に設けられる。よって、目詰まりしたストレーナの清掃または交換が容易である。
その結果、長時間使用しても、送風式薬液散布機において、液タンク内の異物によって目詰まりが発生し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る送風式薬液散布機の斜視図である。
【図2】図2は、図1の送風式薬液散布機の主要機能を説明する図である。
【図3】図3は、図1の液タンクの模式的な断面図である。
【図4】図4は、図3の供給管の先端部分の分解図である。
【図5】図5は、図3の供給管を液タンクに取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る送風式薬液散布機1の斜視図である。
図2は、図1の送風式薬液散布機1の主要機能を説明する図である。
図1の送風式薬液散布機1は、エンジン2、送風機3、送風管4、加圧管5、液タンク6、供給管7、混合部8を有する。
作業者は、送風式薬液散布機1を背負って、送風管4を持って使用する。
液タンク6に貯蔵された薬液は、送風管4の空気流と混合されて霧状化し、空気流とともに送風管4から吹き出され、土地に散布される。
【0012】
液タンク6は、たとえばプラスチック材料で形成された薬液の収容容器であり、送風式薬液散布機1のフレーム9の正面側に配置される。液タンク6の正面側の側面は、背当て面10となる。これにより、液タンク6は、背負子として機能する。背当て面10には、二本の背負いベルト11が取り付けられる。作業者は、背負いベルト11に腕を通し、背当て面10が背中に当たる状態で、送風式薬液散布機1を背負う。
液タンク6の上部には、液タンクキャップ12が取り外し可能に取り付けられる。液タンクキャップ12を開けて、液タンク6の開口から薬液を入れる。液タンクキャップ12を閉じて、液タンク6を密閉する。密閉された液タンク6は、送風機3の空気流で加圧できる。
【0013】
送風機3およびエンジン2は、空気流を発生するものであり、フレーム9の下部に配置される。エンジン2の替わりにモータを使用してよい。エンジン2は、送風機3を回転駆動する。駆動された送風機3は、内蔵するファンで外気を吸引し、空気流を発生する。
【0014】
送風管4は、空気流を放出するものであり、送風機3に接続される。送風管4は、送風機3側から、蛇腹管13、円筒直管14、先端絞り管15を有する。円筒直管14には、作業者が把持するハンドル16が配置される。蛇腹管13により、送風管4は曲がる。作業者は、送風式薬液散布機1を背負った状態で、送風管4の向きを調整できる。
送風機3の空気流は、送風管4を通じて、先端絞り管15から外へ放出される。
【0015】
加圧管5は、液タンク6内の薬液を加圧するものであり、液タンク6を貫通して配置される。液タンク6の外側にある加圧管5の一端は、送風機3に接続される。液タンク6の内側にある加圧管5の他端は、図2に示すように、液タンク6の底面に接する。加圧管5の他端には、逆止弁を内蔵した噴出部17が接続される。
送風機3の空気流の一部は、加圧管5を通じて噴出部17から液タンク6内に供給される。この一部の空気流の圧力により、液タンク6は加圧される。また、液タンク6の底面において移動可能な噴出部17から空気を吹き出すことにより、液タンク6内の薬液を好適に撹拌できる。噴出部17が液タンク6の底面上を移動することで、液タンク6の底面に薬液が沈殿し難くなる。
【0016】
供給管7は、液タンク6から送風管4へ薬液を供給するものであり、一端が液タンク6に接続され、他端が混合部8に接続される。供給管7は、液タンク6の底面の横の側部に形成された供給口18に接続される。
供給管7には、開閉弁19が設けられる。開閉弁19は、薬液の供給および停止を切り替えるものであり、円筒直管14のハンドル16の横に固定される。この位置に取り付けることにより、作業者は、ハンドル16を把持しながら、指で開閉弁19のコックを操作できる。
【0017】
混合部8は、送風管4の円筒直管14と先端絞り管15との間に接続される。
混合部8は、図2に示すように、絞り部20を有する。絞り部20は、供給された空気流についてベンチュリ効果を発揮する。供給管7の他端に接続されたノズル21の先端は、絞り部20の上流側に位置する。液タンク6から供給される薬液は、ノズル21から吐出され、絞り部20において霧状になる。
【0018】
使用時には、作業者は、液タンク6に薬液を入れた送風式薬液散布機1を背負い、ハンドル16を把持する。作業者は、開閉弁19のコックを開き、ハンドル16のレバーを操作してエンジン2および送風機3を操作する。これにより、ミスト化された薬液が送風管4の先端から吹き出す。作業者は、送風管4の向きを調整して、薬液を所望の土地に散布できる。
保管時には、作業者は、送風式薬液散布機1を床に置く。また、蛇腹管13により、送風管4を曲げて立てておくことができる。立てた送風管4の先端および混合部8は、液タンク6より上に位置する。開閉弁19のコックを閉じ忘れたとしても、液タンク6の薬液がノズル21から漏れ出さない。
【0019】
図3は、図1の液タンク6の模式的な断面図である。図3の断面は、液タンク6の背当て面10に沿った断面である。
図4は、図3の供給管7の先端部分の分解図である。図4には、液タンク6の底部の一部が図示されている。
図5は、図3の供給管7を液タンク6に取り付けた状態を示す断面図である。
【0020】
液タンク6の供給口18は、液タンク6の底面の横の側部に形成される。供給口18の下端と、液タンク6の底面とは、面一になる。薬液を液タンク6に残さないように供給できる。
液タンク6の外面には、供給口18の周囲の部分に、雄ねじ部31が形成される。雄ねじ部31は、液タンク6と一体成型される。
【0021】
液タンク6は、ストレーナ32を有する。ストレーナ32は、たとえばメッシュ部分において液体と固体とを分離するものであり、供給口18と重ねて配置される。ストレーナ32は、供給口18から液タンク6内に挿入可能なサイズの円筒形状を有する。液タンク6に設置されたストレーナ32は、液タンク6の底面に沿って液タンク6内に突出し、液タンク6内の薬液から、異物等の固形成分を分離する。
図4に示すように、ストレーナ32は、円筒形状の濾過部33と、濾過部33から突出する連結管34と、穴開きパッキン35とを有する。
濾過部33は、メッシュ構造を有する。
連結管34は、円筒形状の管部36と、円板形状のリブ部37とを有する。
リブ部37は、管部36の円筒の中央部分の外周において、全周に渡って立設される。リブ部37は、管部36に嵌められたドーナッツ形状を有する。
そして、濾過部33と連結管34とは、たとえばプラスチック材料により一体に成型される。
穴開きパッキン35は、たとえばOリングであり、弾性部材を円環形状に形成したものである。穴開きパッキン35は、リブ部37と濾過部33との間に挟まれる。
【0022】
液タンク6には、供給管7が接続される。
供給管7は、図4に示すように、ホース41、穴開きキャップ42を有する。
ストレーナ32の管部36は、ホース41の先端に挿入される。
穴開きキャップ42は、ブラスチック材料からなり、当該穴に管部36が挿入される。穴開きキャップ42は、ストレーナ32のリブ部37とホース41との間に回転可能に挟まれる。穴開きキャップ42は、ストレーナ32のリブ部37およびホース41により、管部36から脱落しないように保持される。
これにより、液タンク6のストレーナ32と供給管7のホース41とが連結される。
【0023】
このように液タンク6のストレーナ32が取り付けられた供給管7の先端部は、図5に示すように、穴開きキャップ42と液タンク6の雄ねじ部31とをねじ止めすることにより、液タンク6に固定される。
ストレーナ32の穴開きパッキン35の周縁部は、リブ部37と雄ねじ部31の先端縁との間に挟まれる。ねじ止め部分は、パッキン35によりシールされる。送風機3の空気圧が液タンク6に作用しても、液タンク6の薬液は、ねじ止め部から漏れ出ない。
この取り付け状態において、ストレーナ32は、液タンク6内に挿入される。ストレーナ32は、液タンク6内に突出し、液タンク6の底面に沿って延在する。
【0024】
以上のように、本実施形態の送風式薬液散布機1では、液タンク6にストレーナ32を設ける。よって、液タンク6内の異物や沈殿した薬液が、使用時に、薬液の供給管7へ供給され難い。供給管7において、目詰まりが発生し難くなる。
しかも、このストレーナ32は、液タンク6からの供給管7の取外しによって取り外し可能に設けられる。よって、目詰まりしたストレーナ32の清掃または交換が容易である。
その結果、長時間使用しても、送風式薬液散布機1において、液タンク6内の異物によって目詰まりが発生し難くなる。
また、ストレーナ32は、供給管7の先端に突出するように接続され、供給管7の装着時に液タンク6の内部に突出する。よって、ストレーナ32は液タンク6内に突出し、大きな表面積により、ストレーナ32において目詰まりが発生し難くなる。
【0025】
本実施形態の液タンク6は、図3に示すように、縦長の箱形状を有する。そして、薬液の投入口51は、縦長の液タンク6の上部に形成される。縦長の液タンク6の中央部には、液タンク6を前後方向で貫通して、送風機3への空気の供給路として使用される大径の貫通部52が形成される。更に、当該大径の貫通部52より上部には、液タンク6を前後方向で貫通して、液タンク6等をフレーム9等に固定するために使用される一対の貫通部53,53が形成される。液タンク6の底部に沈殿した薬液や異物を取り除き難い。
そこで、本実施形態の液タンク6のストレーナ32は、液タンク6から取外し可能な供給管7に接続される。本実施形態では、液タンク6から供給管7を取外すことにより、液タンク6からストレーナ32を取り外せる。
よって、本実施形態では、ストレーナ32および液タンク6を容易に清掃できる。ストレーナ32の交換も容易である。
しかも、本実施形態では、加圧管5の他端に接続した噴出部17が、液タンク6の底面上を移動する。これにより、液タンク6の底面の沈殿物は拡散される。液タンク6の底面に沈殿物が堆積し難い。目詰まりを引き起こすような大きな沈殿物が発生し難い。ストレーナ32の目詰まりも抑制される。
【0026】
<実施形態の構成及び効果>
本実施形態の液タンク6の薬液を送風管4の空気流と混合して散布する送風式薬液散布機1は、液タンク6に薬液の供給管7を取外し可能に接続し、供給管7の取外しによって液タンク6のストレーナ32が取り外し可能になる。
このような構成を有することから、ストレーナ32の目詰まりが起きにくく、目詰まりしてもストレーナ32の清掃や交換が容易であり、送風管4の開閉弁19やノズル21において目詰まりが起きにくくなる。
【0027】
ストレーナ32は、液タンク6から取外し可能な供給管7に接続される。
このような構成、つまり、ストレーナ32が供給管7に接続されている構成、を有することから、供給管7を取り外した際に、供給管7と一緒にストレーナ32が取り外されるため、容易にストレーナ32の交換、ストレーナ32の掃除・洗浄等が可能となる。
【0028】
ストレーナ32は、供給管7の先端に接続されて装着時に液タンク6内に突出する。
このような構成を有することから、作業者はより容易にストレーナ32の掃除・洗浄等が可能となる。
【0029】
ストレーナ32は、管部36と一体に形成されて管部36の外周に立設するリブ部37と、管部36に接続された濾過部33と、濾過部33とリブ部37との間に挟まれるパッキン35(シール材)と、を有する。パッキン35は、リブ部37および濾過部33により、管部36から脱落しないように保持されつつ、周縁部がリブ部37と雄ねじ部31との間に挟まれる。
このような構成を有することから、簡易な構成で、供給管7と液タンク6との間から薬液が漏えいすることを防ぐとともに、ストレーナ32も取り付けることが可能となる。
【0030】
以上の実施形態は、本発明の好適な実施形態の例であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形または変更が可能である。
【0031】
たとえば上記実施形態では、液タンク6のストレーナ32と供給管7のホース41とは、ストレーナ32の連結管34により接続される。
この他にもたとえば、供給管7のホース41の先端に連結管34を取り付け、この連結管34とストレーナ32とを接続してもよい。
この場合、連結管34の管部36およびリブ部37と同様な構造を、供給管7に形成してもよい。
【0032】
上記実施形態では、供給管7と液タンク6とは、穴開きキャップ42および雄ねじ部31によりねじ止めされている。
この他にもたとえば、供給管7と液タンク6とは、係合部により取外し可能に接続されてよい。
【符号の説明】
【0033】
1…送風式薬液散布機
6…液タンク
4…送風管
7…供給管
8…混合部
32…ストレーナ
35…パッキン(シール材)
36…管部
37…リブ部
41…ホース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液タンクに薬液の供給管を取外し可能に接続し、
前記供給管の取外しによって前記液タンクのストレーナが取り外し可能に構成され、
前記液タンクの薬液を送風管の空気流と混合して散布する
送風式薬液散布機。
【請求項2】
前記ストレーナは、
前記液タンクから取外し可能な前記供給管に接続される
請求項1に記載の送風式薬液散布機。
【請求項3】
前記ストレーナは、
前記供給管の先端に突出するように接続され、
前記供給管の装着時に前記液タンクの内部に突出する
請求項1に記載の送風式薬液散布機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−90593(P2013−90593A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234451(P2011−234451)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】