説明

送風装置及び電子機器

【課題】冷却能力を高めるために複数のファンを用いて筐体を冷却する送風装置において、ファンから発せられるノイズを抑制することができる送風装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】送風装置は、第1のファン11と、第2のファン12とを含む複数のファンを具備し、前記第1のファン11、及び第2のファン12は互いに異なる複数のフィン13a,14aを有し、少なくとも、前記一方のファンのフィン数は素数であり、前記第1のファン11と第2のファン12とは異なる回転数で駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、送風装置及びこれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ノート型PC(Personal Computer)の冷却構造として、2つのファンが内蔵された本体を備えるノート型PCが開示されている(例えば、特許文献1の明細書段落[0042]参照)。
【0003】
特許文献2に記載のファン制御方法では、ファン制御部が、ファンの目標回転速度に応じてPWM(Pulse Width Modulation)信号のデューティー比を変更する処理を実行する。目標回転速度は、温度センサによって検出される発熱デバイスの温度に応じて決定される(例えば、特許文献2の明細書段落[0033]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−295758号公報
【特許文献2】特開2007−124853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に記載の冷却構造は、2つのファンを用いているため、1つのファンを用いる場合に比べ、ノイズが増えるおそれがある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、ノイズを抑制することができる送風装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本技術に係る送風装置は、第1のファンと、第2のファンとを含む複数のファンを具備する。
前記第1のファンは、複数のフィンを有する。
前記第2のファンは、前記複数のフィンの数とは異なる数の複数のフィンを有する。
【0008】
複数のファンが異なる数のフィンをそれぞれ有することで、共振が抑制され、それによるノイズを抑制することができる。
【0009】
前記第1のファンの前記複数のフィンの数及び前記第2のファンの前記複数のフィンの数のうち、少なくとも一方は素数であってもよい。あるいは、前記第1のファンの前記複数のフィンの数及び前記第2のファンの前記複数のフィンの数の両方が素数であってもよい。これにより、共振の発生確率が低減させることができる。
【0010】
前記送風装置は、前記複数のファンをそれぞれ異なる回転速度で駆動する制御を実行する制御部をさらに具備してもよい。これにより、共振の発生確率が低減させることができる。
【0011】
前記制御部は、前記第1のファンを第1の回転速度で回転させ、前記第2のファンを、前記第1の回転速度から所定の回転速度分の差分を有する第2の回転速度で回転させてもよい。第2の回転速度は第1の回転速度から所定の回転速度分離れた速度であるので、回転速度の制御が容易になる。
【0012】
例えば、前記制御部は、前記差分が一定として前記制御信号を生成する。
【0013】
前記制御部は、発熱体の温度に基づき、少なくとも前記第1のファンの回転速度を制御してもよい。
【0014】
本技術に係る電子機器は、発熱体または受熱体と、前記発熱体または前記受熱体に送風する上記の送風装置とを具備する。
【発明の効果】
【0015】
以上、本技術によれば、ノイズを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本技術の一実施形態に係る電子機器として、ノート型のPCを示す斜視図であって、その本体が分解された図である。
【図2】図2は、デュアルファンユニットを示す平面図である。
【図3】図3は、このデュアルファンユニットを含む送風装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、温度から各ファンの回転数を算出するアルゴリズムを説明するための図である。
【図5】図5は、8000rpm(≒133Hz)の基本周波数とその高調波を示す表である。
【図6】図6は、本発明者によりデュアルファンユニットの周波数と音圧レベル(dBA)との関係が計測された結果を示すグラフであり、また、図5に示したうなり周波数ポイントをマーキングしたものである。
【図7】第2のファンの回転数を低くしていった時の、周波数と音圧レベルの関係をそれぞれ示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本技術の実施形態を説明する。
【0018】
[送風装置の構成]
図1は、本技術の一実施形態に係る電子機器として、ノート型のPCを示す斜視図であって、その本体が分解された図である。
【0019】
PC100は、キーボード61を搭載した本体60と、本体60に開閉可能に接続された表示部50とを備える。本体60の内部のほぼ中央には、メイン基板62が設けられている。このメイン基板62には、プロセッサ等のチップパッケージング63、64等が搭載されている。
【0020】
本体60内には、複数のファン、例えば2つのファン(デュアルファンユニット)10を備える送風装置(あるいは冷却装置)が設けられている。デュアルファンユニット10は、例えばメイン基板62に隣接するように配置され、本体60の端部に配置されている。
【0021】
図2は、デュアルファンユニット10を示す平面図である。デュアルファンユニット10は、第1のファン11と、これに併設された第2のファン12とを有する。これらのファン11、12は、基本的には遠心ファンの構造を有する。ファン11、12は、X軸に対して対称形状のファンケース21、22をそれぞれ有し、これらのケースは一体的に1つのケース20として形成されている。このケース20は、ネジ29等の固定具で本体60に取り付けられる。図2ではケース20の上部のカバーが外された状態を示している。
【0022】
なお、これら2つのファンケース21、22が個別に設けられ、ネジや接着剤等でそれらが一体的に固定されていてもよい。
【0023】
第1のファン11及び第2のファン12は、それぞれ駆動モータ15及び16を有する。第1のファン11の駆動モータ15は、第1のロータ13を有し、この第1のロータ13は複数のフィン13aを有する。第1のロータ13は、例えば37個のフィン13aを有する。また、第2のファン12は、第2のロータ14を有し、この第2のロータ14は、上記第1のロータ13のフィン13aの数とは異なる数の複数のフィン14aを有する。第2のロータ14は、例えば41個のフィン14aを有する。
【0024】
このように第1のロータ13及び第2のロータ14において、異なる数のフィン13a、14aを有することにより、共振が抑制され、それによるノイズが抑制される。これについては後述する。
【0025】
第1のファン11及び第2のファン12の構造は、これらロータ13及び14のフィン13a及び14aの数が異なること、及び、それらの配置(形状)がX軸に対して対称であること、以外は、実質的に同じである。
【0026】
図1を参照して、第1のファン11の第1のロータ13は時計回りに回転するように、また、第2のファン12のロータは反時計回りに回転するように、各駆動モータ15及び16によりそれぞれ駆動される。
【0027】
メイン基板62に搭載された例えば2つのチップパッケージング63及び64は発熱デバイス(発熱体)であり、これらの発熱デバイス63及び64に受熱体としてのヒートパイプ41及び42がそれぞれ接続されている。第1のヒートパイプ41及び第2のヒートパイプ42の吸熱部が、発熱デバイス63及び64にそれぞれ接続されている。そして、各ヒートパイプ41及び42の放熱部が、デュアルファンユニット10の各ファンケース21及び22にそれぞれ接続されている。
【0028】
発熱デバイス63は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。発熱デバイス64は、それ以外のプロセッサで、例えばグラフィックチップ、あるいはUSB(Universal Serial Bus)コントローラを含むチップ等を有する。
【0029】
図2に示すように、各ファンケース21及び22の直線部が排気口21a及び22aとして形成されている。ヒートパイプ41及び42の放熱部41a及び42aが、これらのファンケース21及び22の各排気口21a及び22aに隣接するようにそれぞれ配置される。そして、典型的には図1に示すように、これらの排気口21a及び22aと、本体60の排気口65との間にヒートパイプ41及び42の放熱部41a及び42aが配置される。
【0030】
これらファン11及び12は、本体60のキーボード61側及び本体60の底部側の両方向から吸気し、排気口21a及び22aを介して外部に排気する。
【0031】
ヒートパイプ41及び42は、ファン11及び12の各ロータ13及び14の間を通り、それらの放熱部41a及び42aの端部に向かうにしたがい互いに離れるように配置されている。第1のヒートパイプ41の放熱部41aは、本体60の背部(本体60と表示部50との接続部(ヒンジ部)が設けられる側)に向かうように、その放熱部41aがファンケース21の排気口21aに隣接して配置されている。また、第2のヒートパイプ42の放熱部42aが本体60の手前に向かうように、その放熱部42aがファンケース22の排気口22aに隣接して配置されている。
【0032】
このように、デュアルファンユニット10、第1のヒートパイプ41及び第2のヒートパイプ42が効率的に配置されることにより、冷却システムの小型化を実現することができる。
【0033】
特に、スペースの制約が大きいノート型PCでは、このように本体60ないにファン11及び12を近づけて併設することが、ヒートパイプ41及び42の全長を短くできるため省スペース化を実現するために好適な配置である。しかし、この場合、ファン11及び12を近づけるためうなり(ノイズ)が増えるおそれが高まるため、本技術のような対応が特に求められる。
【0034】
[送風装置の制御システムの構成]
図3は、このデュアルファンユニット10を含む送風装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【0035】
このシステムは、発熱デバイス63及び64の温度をモニターする温度センサ25、デュアルファンユニット10を制御するEC(Embedded Controller)26を備えている。
【0036】
温度センサ25は、発熱デバイス63及び64にそれぞれ内蔵されたダイオードまたはサーミスタにより温度を計測し、EC26にその温度情報を通知する機能を有する。あるいは、温度センサ25は、自身に内蔵されたダイオードまたはサーミスタにより温度を計測してもよい。通知方法には、System Management Bus (SMBus)等が用いられるが、その方法は何でもよい。
【0037】
EC26は、温度センサ25で検出された温度情報を取得する。また、EC26は、デュアルファンユニット10の第1のファン11及び第2のファン12の回転数(回転速度)をそれぞれ計測するタコメータを有している。EC26は、取得された温度情報及び計測されたそれらファン11及び12の回転数に基づいて、ファン11及び12を異なる回転数でそれぞれ回転させる制御を行う。この場合、EC26は制御部として機能する。
【0038】
典型的には、EC26は、パルス幅変調(PWM)信号のデューティー比を変更することで、それらの回転数を制御する。例えば、EC26は、発熱デバイス63及び64の温度情報を取得し、その温度に応じてターゲットとする回転数を決定する。そして、ターゲットとされた回転数と、タコメータで計測された実際の回転数との差分から、次に設定すべきPWM信号のデューティー比を算出し、これをデュアルファンユニット10に出力する。
【0039】
第1のファン11及び第2のファン12は、EC26からのPWMの信号を取得する機能及び自身の回転数の信号を出力する機能を有する。
【0040】
図4は、温度から回転数を算出するアルゴリズムを説明するための図である。EC26は、このようなアルゴリズムにより、取得した温度情報から第1のファン11及び第2のファン12の回転数を一意に決定することができる。このグラフの例では、第1のファン11及び第2のファン12の回転数は、所定の一定の差分を有し、第2のファン12の回転数は、第1のファン11の回転数から一定の回転数分オフセットして(一定の回転数分低くなるように)設定されている。
【0041】
EC26は、演算により、ファン11及び12のターゲットとなる回転数を求めてもよいし、あるいは、図4に示すグラフの情報を予めルックアップテーブルとして持っていてもよい。前者の場合、EC26は、ファン11及び12の回転数のうち、一方の回転数を算出することで、予め決められたオフセット値を用いて、他方の回転数を算出してもよい。
【0042】
[デュアルファンユニットの回転数のオフセット値の設定方法]
デュアルファンユニット10を設計するにあたり、回転数のオフセット値が重要な事項となる。
【0043】
まず、第1のファン11及び第2のファン12の基本周波数をそれぞれ求める。基本周波数は、以下のようにロータの毎秒の回転数に相当する。
[基本周波数]=[回転数(rpm)/60] (単位:Hz)・・・式1
【0044】
また、その基本周波数の倍数である高調波も求める。
共振により発生するノイズである"うなり"には、以下の2種類があり、そのうなりの周波数(fb)は以下の式でそれぞれ表すことができる。
1)2つのファンがそれぞれ発生する音の周波数が非常に近い場合に、それらの音波が合成された場合に発生するうなり
fb=|f2-f1|・・・式2
2)2つのファンがそれぞれ発生する音の周波数が異なり、それらの比が整数倍に近い場合に発生するうなり
fb= f2-nf1・・・式3
【0045】
上記2)の場合の式3の例としては、f1=1000Hz、f2=2100Hz、n=2の時、fb=100Hzとなる。つまり、この場合、100Hzのうなりが発生する。
【0046】
本技術では、上記1)のうなりを抑えるために、上記のように各ロータ13及び14のフィン13a及び14aの数を異ならせる、あるいは上記のように素数(37個、41個)とする設計としている。
【0047】
仮に、ロータ13及び14のフィン13a及び14aの数がそれぞれ同じである場合、理論的にそれぞれの基本周波数が同一になる。実際は、各ファンの回転数の公差ばらつきにより、若干の回転数の不一致が生じる、その結果、2つの周波数にわずかな差異が生じ、これがうなりとしてのノイズの発生原因となる。
【0048】
あるいは、うなりは次のような原理で生じる場合もある。各ロータ13及び14が回転する時、各ロータ13及び14のフィン13a及び14aの数がファンケース21及び22内の所定の箇所、特に突起した部分である舌部21b及び22b(図2参照)に近づくたびに風切り音が発生する。2つのファン11及び12が設けられ、その2つの風切り音のタイミングが一致することにより、その風切り音が共鳴(共振)し、これによりうなりが発生する場合ある。
【0049】
しかし、各ロータ13及び14のフィン13a及び14aの数が異なることにより、各ファン11及び12の基本周波数(後述)の一致を防止することができる。これにより、共振の発生の確率が減り、それによるうなりを抑制することができる。
【0050】
特に、フィン13a及び14a数が両方とも素数であるので、発生する音波の最大振幅同士での干渉回数を最小にすることができる。これにより、共振の発生確率を劇的に減らすことができる。
【0051】
次に、本技術では、2)のうなりを抑えるために、EC26は、上記のようにファン11及び12の回転数にオフセット値を設けている。オフセット値を導出するためには、うなり周波数(fb)を予測すればよい。そのために、各ロータ13及び14のフィン13a数を考慮した、基本周波数の高調波を導出する。
【0052】
ここで、図5は、8000rpm(≒133Hz)の基本周波数とその高調波を示す表である。この表を、同じフィン数を有するロータをそれぞれ有する2つのファンが、同じ回転数8000rpmで回転する時のうなり周波数の候補としても見ることができる。
【0053】
上記2)の場合、その比が整数倍に近ければ、うなりが発生する。特に低周波域で確認されやすく、nが大きくなるとうなり成分が急激に減衰する傾向にある。
【0054】
このような理論的予測を踏まえて、本発明者らは、実際にデュアルファンユニット10の周波数と音圧レベル(dBA)との関係を計測した。図6は、その計測結果を示すグラフである。また、図6には、図5に示したうなり周波数ポイントがマーキングされている。この図6から、基本周波数の5倍、8倍、10倍・・・の理論的予測のマーキングと、計測された音圧レベルが概ね合致しているのがわかる。この合致点での音を、人はうなりとして聞こえる場合がある。
【0055】
これらの事項を踏まえ、本発明者らは、本実施形態に係るデュアルファンユニット10を備えた送風装置を用いて、第1のファン11の回転数を固定し、第2のファン12の回転数を段階的に小さくなるように変動させていった。そして、本発明者らは、基本周波数の5、8倍、10倍・・・のうなりの周波数とマーキングが合致するポイントの音圧レベルが下がるようにその第2のファン12の回転数を調整することで、うなりが抑制される回転数領域を割り出した。
【0056】
例えば、第1のファン11の回転数が8000rpmの時、第2のファン12の回転数を7900rpm→7800rpm→7700rpm→・・・と低くしていくことで、うなりが抑制される回転数領域を割り出す。図7Aは、その回転数が7900rpmの場合、図7Bは7800rpmの場合、図7Cは7700rpmの場合の計測結果をそれぞれ示すグラフである。
【0057】
図7及び8から、基本周波数(133Hz)の8倍のポイント(≒1067Hz)にあるピークが、人にとって聞こえるうなりであると考えられる。20〜30dBAを超えるあたりから人がその音をうなりとして聞こえるようになる。比較的高周波域でも、高いピーク値が計測されているが、高周波域になるほど人にはあまり大きな音としては聞こえない。
【0058】
図7A〜Cに示した計測結果から、例えば、第2のファン12の回転数を7700rpm(オフセット値300rpm)とすることにより、マーキングに合致するグラフのピークの音圧レベルが下がる。
【0059】
本実施形態では、もちろん、7700rpm以下に第2のファン12の回転数を下げていき、マーキングに合致するピークの音圧レベルが下がる、他のポイントを探し出すことで、300rpm以外のオフセット値を割り出してもよい。しかし、第2のファン12の回転数が低いほど、風量が減り冷却能力が下がるので、これはトレードオフの関係となる。
【0060】
以上のように、本実施形態では、EC26が、第1のファン11及び第2のファン12を異なる回転速度でそれぞれ駆動するので、共振の発生確率を低減させることができる。
【0061】
また、本実施形態では、図4に示すように、第2のファン12の回転速度が、第1のファン11の回転速度から一定の回転数分離れた速度であるので、回転数の制御が容易になる。
【0062】
本実施形態に係るデュアルファンユニット10によれば、従来までのファンに比べ、冷却能力を低下させることなく、ファンの薄型化を実現することができる。つまり、従来のファンでは薄型化を実現しようとすると、風量が減り冷却能力が低下するが、本技術のように複数のファンが設けられることにより、冷却能力を維持することができる。しかも、複数のファンが設けられる場合に、上述のように共振によるノイズ(うなり)の発生を抑制することができる。
【0063】
ファンの薄型化を実現できることにより、ハイパフォーマンスで発熱量が大きい場合でも、PC100等の電子機器の本体60のデザインの自由度が向上し、軽薄性を向上させることにより魅力的な商品を提供することができる。また、デュアルファンユニット10の個々のファンを小型化できるので、その配置的な自由度も向上する。
【0064】
[その他の実施形態]
【0065】
本技術に係る実施形態は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態が実現される。
【0066】
上記実施形態に係るロータ13及び14のフィン数は、それぞれ異なり、特に素数(37,41)として設計されたものを示した。しかし、各ロータのフィン数のいずれか一方が素数であってもよいし、異なる数ではあるが両方とも素数でなくてもよい。しかし、両方とも素数である場合、うなり発生の抑制効果が最も高くなる。一方が素数で他方が素数でない場合は、その次に効果が高い。しかしながら、フィン数を変えただけでもうなり発生の抑制効果はある。なお、素数の組み合わせは(37,41)に限られず、何でもよい。
【0067】
上記実施形態では、図4に示したように、第1のファン11に設定すべきターゲット回転数から、第2のファン12に設定すべきターゲット回転数を算出していた。しかし、例えば発熱デバイスの発熱量が多い場合に回転数に関係なく、第1のファン11を最大回転数で回転したい場合には、EC26は、第1のファン11の実際の回転数(その最大回転数)から第2のファンのターゲット回転数を算出してもよい。
【0068】
図4では、そのグラフに変曲点が設けられたが、変曲点はなくてもよい。あるいはこのグラフは二次曲線、あるいはそれに近い形状であってもよい。
【0069】
上記実施形態では、EC26がタコメータ等のファン11及び12の回転数を計測する機能をそれぞれ有していた。しかし、ファン11及び12がタコメータを有していない場合でも予め回転数とPWM信号のデューティー比との関係を計測しておき、EC26が共振を抑制するために必要なデューティー比の差の情報を記憶しておくことにより、タコメータを有しなくても、上記実施形態と同様の冷却機能を実現できる。なお、ファン11及び12の経時変化を考慮すると、ECはタコメータ等の回転数の計測機能を有し、実際の回転数をモニターしながら回転数を制御することが望ましい。
【0070】
上記実施形態では、EC26による回転数の制御方式はPWMであったが、これに限られず、PFM(Pulse Frequency Modulation)やPAM(Pulse Amplitude Modulation)であってもよい。
【0071】
あるいは、その制御方式は、PWM信号をデュアルファンユニット10に直接入力するのではなく、PWM信号を平滑化させる回路を用い、電圧レベルによって回転数を変化させる方式でもよい。また、この場合、第1のファン11の電圧レベルに比べ、第2のファン12側の電圧レベルを一定レベル下げるような回路を用いることにより、コントローラは1つのPWM信号を出力するだけで、2つのファン11及び12を一定回転数の差分を設けてそれらの回転数を制御することができる。
【0072】
図4に示した形態では、ファン11及び12のターゲット回転数の差は一定であったが、これは、例えば検出される温度に応じて、あるいは予め設定されたアルゴリズムに応じて可変に制御されてもよい。
【0073】
上記実施形態では、各ファン11及び12の回転数がそれぞれ異なる実施形態を説明した。しかし、それらの回転数は同じであってもよい。
【0074】
例えば、ファンが3つ以上設けられ、それらすべてのファンのフィンの数が異なっていてもよい。その場合、それらのフィンのうち、少なくとも1つのファンのフィン数が素数であってもよい。少なくとも1つのファンのフィン数が素数である形態は、以下の形態も同様である。
【0075】
ファンが3つ以上設けられ、それらのうち少なくとも2つのフィンの数が異なっていてもよい。
【0076】
例えば、ファンが4つ以上あり、そのうち少なくとも第1及び第2のファンの回転数が同じでフィンの数がそれぞれ異なっていてもよい。その場合、第3及び第4のフィンの数及び回転数について、1)それらすべてが同じでもよいし、2)フィンの数が異なり回転数が同じでもよいし、3)フィンの数が異なり回転数も異なっていてもよい。
【0077】
複数のファンのうち少なくとも2つのファンのサイズ、例えばロータの直径やフィンの面積等が異なっていてもよい。
【0078】
デュアルファンユニットの配置も上記実施形態に限定されない。例えば、デュアルファンユニットの2つのファンの併設方向が、図1及び2において、X軸方向に沿った方向でもよいし、その他の方向でもよい。
【0079】
上記実施形態に係るデュアルファンユニットの2つのファンは、X軸に対して対称形状であったが、対称形状でなくてもよい。
【0080】
上記実施形態では、EC26が回転数を制御したが、CPU等の別のコントロールデバイスが回転数を制御してもよい。
【0081】
上記実施形態では、ターゲットとされる2つの回転数のうち高い回転数で駆動されるファンを第1のファン11とし、低い回転数で駆動されるファンを第2のファン12としたが、これは互いに逆でもよい。
【0082】
上記発熱デバイスは、IC等のチップパッケージとして説明したが、例えばそれは光源等であってもよい。送風装置は、発熱デバイスに直接送風してもよい。
【0083】
送風装置の直接の冷却対象である受熱体は、上記ではヒートパイプとして説明したが、例えばヒートシンクであってもよい。
【0084】
上記実施形態では、2つの発熱デバイス63及び64が設けられたが、発熱デバイスは1つでも3つ以上でもよい。
【0085】
上記実施形態では、電子機器としてノート型のPCを例にあげたが、デスクトップ型、その他のコンピュータであってもよい。あるいは、電子機器は、携帯電話機、タブレット機器等であってもよい。
【0086】
以上説明した各形態の特徴部分のうち、少なくとも2つの特徴部分を組み合わせることも可能である。
【0087】
本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)複数のフィンを有する第1のファンと、
前記複数のフィンの数とは異なる数の複数のフィンを有する第2のファンと
を含む複数のファンを具備する送風装置。
(2)(1)に記載の送風装置であって、
前記第1のファンの前記複数のフィンの数及び前記第2のファンの前記複数のフィンの数のうち、少なくとも一方は素数である
送風装置。
(3)(2)に記載の送風装置であって、
前記第1のファンの前記複数のフィンの数及び前記第2のファンの前記複数のフィンの数の両方が素数である
送風装置。
(4)(1)から(3)のうちいずれか1つに記載の送風装置であって、
前記複数のファンをそれぞれ異なる回転速度で駆動する制御を実行する制御部をさらに具備する送風装置。
(5)(4)に記載の送風装置であって、
前記制御部は、前記第1のファンを第1の回転速度で回転させ、前記第2のファンを、前記第1の回転速度から所定の回転速度分の差分を有する第2の回転速度で回転させる
送風装置。
(6)(5)に記載の送風装置であって、
前記制御部は、前記差分が一定として前記制御信号を生成する
送風装置。
(7)(4)から(6)のうちいずれか1つに記載の送風装置であって、
前記制御部は、発熱体の温度に基づき、少なくとも前記第1のファンの回転速度を制御する
送風装置。
(8)発熱体または受熱体と、
複数のフィンを有する第1のファンと、前記複数のフィンの数とは異なる数の複数のフィンを有する第2のファンとを含む複数のファンを有し、前記発熱体または前記受熱体に送風する送風装置と
を具備する電子機器。
【符号の説明】
【0088】
10…デュアルファンユニット
11…第1のファン
12…第2のファン
13…第1のロータ
14…第2のロータ
13a、14a…フィン
21、22…ファンケース
25…温度センサ
26…EC
63、64…発熱デバイス
100…PC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフィンを有する第1のファンと、
前記複数のフィンの数とは異なる数の複数のフィンを有する第2のファンと
を含む複数のファンを具備する送風装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送風装置であって、
前記第1のファンの前記複数のフィンの数及び前記第2のファンの前記複数のフィンの数のうち、少なくとも一方は素数である
送風装置。
【請求項3】
請求項2に記載の送風装置であって、
前記第1のファンの前記複数のフィンの数及び前記第2のファンの前記複数のフィンの数の両方が素数である
送風装置。
【請求項4】
請求項1に記載の送風装置であって、
前記複数のファンをそれぞれ異なる回転速度で駆動する制御を実行する制御部をさらに具備する送風装置。
【請求項5】
請求項4に記載の送風装置であって、
前記制御部は、前記第1のファンを第1の回転速度で回転させ、前記第2のファンを、前記第1の回転速度から所定の回転速度分の差分を有する第2の回転速度で回転させる
送風装置。
【請求項6】
請求項5に記載の送風装置であって、
前記制御部は、前記差分が一定として前記制御信号を生成する
送風装置。
【請求項7】
請求項4に記載の送風装置であって、
前記制御部は、発熱体の温度に基づき、少なくとも前記第1のファンの回転速度を制御する
送風装置。
【請求項8】
発熱体または受熱体と、
複数のフィンを有する第1のファンと、前記複数のフィンの数とは異なる数の複数のフィンを有する第2のファンとを含む複数のファンを有し、前記発熱体または前記受熱体に送風する送風装置と
を具備する電子機器。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−227258(P2012−227258A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92091(P2011−92091)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】