説明

送風装置

【課題】簡易な構成により、送風羽根を吸気向きと排気向きとに切換えて逆風を励起し、容易に清掃することができる送風装置を提供する。
【解決手段】清掃時、通常時と逆電位を与え、電磁石41の回転ファン対向側がS極となるように励磁されると、N極の磁極を有するL字第1部28は電磁石41と引付あい、L字部材27は図示時計回りに回動する。そして、L字第2部29は「く」の字部材第2面16に係止され、L字部材27は回動を拘束される。その結果、送風羽根20は逆向き(排気向き)に設定される。
エンジン2が駆動し、回転ファン3が正回転すると、逆風(排気)が発生し、逆風が塵埃を吹き飛ばすことにより、熱交換器ユニット5を清掃する。
エンジン始動後、L字部材27が図示時計回りに回動するように、排気による風力が常時ブレード21に作用し、係止状態が維持される。その後、電磁石の励磁を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動軸によって回転駆動自在に支持されるハブ部と、このハブ部に設けられた送風羽根とを有する回転ファンを備えた送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなど建設機械ではブーム、アーム、バケットをそれぞれ駆動するアクチュエータを動作させて土砂の掘削作業を行う。動力源としてエンジンで油圧ポンプを駆動し、作動油を油圧シリンダーに圧送して各アクチュエータを動作させている。エンジンや油圧ポンプを稼働させると、エンジンや作動油に熱が発生する。そこで、エンジン冷却水や熱を帯びた作動油の冷却のために、ラジエータ、オイルクーラなどの熱交換器が設置されている。回転ファンにより誘起された冷却風(吸気)が、熱交換器を通過する事により、熱交換器は冷却される。
【0003】
このような建設機械は産業廃棄物の処理場や林業など、周辺に塵埃の浮遊する空間で稼動する場合も多く、冷却風と共に周囲の塵埃を吸引し、熱交換器に塵埃が堆積することのないように、熱交換器の冷却風上流側に熱交換器に対向して防塵ネットが設けられている。
【0004】
防塵ネットは冷却風中の塵埃を捕捉するものであるが、塵埃が防塵ネットに堆積し目詰まりが生じると、冷却風量が低下して熱交換器の冷却性能が低下する。そのため防塵ネットの清掃を頻繁に行って目詰まりを除去する必要がある。しかし、一般にエンジン室の省スペース化が図られており、防塵ネットを取り外して清掃することは容易ではない。
【0005】
そこで、通常の冷却風と逆方向の風(排気)を励起し、この逆風により、防塵ネットや熱交換器に堆積した塵埃を吹き飛ばすことにより、防塵ネットを取り外すことなく、容易に清掃することができる。しかし、回転ファンはエンジンの回転駆動が伝達されることにより回転するものであり、一般にエンジンの逆回転が容易でないため、回転ファンの逆回転は容易ではない。
【0006】
このような前提において、逆風を励起して防塵ネットや熱交換器を清掃する従来技術が開示されている。
【0007】
特許文献1に記載の従来技術は、回転ファンを駆動する油圧ポンプを設け、油圧ポンプを逆回転することにより、回転ファンを逆回転し、逆風を励起するものである。
【0008】
特許文献2に記載の従来技術は、送風羽根をハブ部に対し吸気向きと排気向きとに向きを回動自在に切換えるリンク機構を備える。このリンク機構により、送風羽根を排気向きに切換えると、回転ファンの正回転により逆風を励起できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−068142号公報
【特許文献2】特開2006−2692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の従来技術は、別途、回転ファンを駆動する油圧ポンプを設ける必要がある。すなわち、エンジンの回転駆動が伝達されることにより回転する回転ファンに関する技術ではない。
【0011】
特許文献2に記載の従来技術は、エンジンの回転駆動が伝達されることにより回転する回転ファンに関する技術であるが、下記のような課題がある。
【0012】
まず、リンク機構は複雑な構成である。さらに、リンク機構の一部構成は、回転ファンのハブ部に設けられており、回転ファンと伴に回転する。このような複雑なリンク機構が回転するため、振動による破損を防止するような新たな構成(例えばベアリング)を追加する必要があり、回転ファンの重量が増加する。回転時の遠心力が増加するため、回転駆動軸の強度を保つ必要が有り、結果として装置が大型化する。
【0013】
また、リンク機構は、非回転の構成と回転する構成とが接触しており、接触部のメンテナンス(例えば給脂や磨耗による交換)などが必須である。
【0014】
このように、従来技術は、複雑な構成であり、特にメンテナンス性に係る課題がある。
【0015】
本発明の目的は、簡易な構成により、送風羽根を吸気向きと排気向きとに切換えて逆風を励起し、容易に清掃することができる送風装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、回転駆動軸によって回転駆動自在に支持されるハブ部と、このハブ部まわりに設けられた送風羽根とを有する回転ファンと、送風羽根を吸気向きと排気向きとに向きをハブ部に対し回動自在に切換える送風方向切換機構とを備えた送風装置において、前記送風方向切換機構は、前記回転ファンに設けられた磁石と、前記回転ファンに対向する位置に設けられた電磁石とを有し、前記磁石および前記電磁石の磁力の作用により、前記送風羽根を回動させる。
【0017】
このように構成した本発明においては、磁石および電磁石の間に作用する磁力より送風羽根を回動させることで、送風羽根を逆向きに切り換え、逆風(排気)を励起し、防塵ネットや熱交換器に堆積した塵埃を吹き飛ばし、防塵ネットを取り外すことなく、容易に清掃することができる。
【0018】
また、磁石は簡易な構成であり、軽量であり回転ファンとともに回転してもほとんど影響がない。一方、電磁石は回転ファンとともに回転しない。したがって、大型化することなく充分な安全性を確保することができる。
【0019】
さらに、磁石と電磁石とは非接触であり、接触部のメンテナンスは生じない。
【0020】
このように、本発明は、簡易な構成により、送風羽根を吸気向きと排気向きとに切換えて逆風を励起し、容易に清掃することができる。
【0021】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記送風方向切換機構は、前記送風羽根の回動を係止する係止手段を有する。
【0022】
これにより、送風羽根の回動を拘束し、送風羽根を順向き(吸気向き)に設定し、または、送風羽根を逆向き(排気向き)に設定できる。
【0023】
(3)上記(1)において、好ましくは、前記送風方向切換機構は、前記送風羽根の回動軸端部と連続し、前記送風羽根の回動と連動して回動するように設けられる第1係止部材と、前記ハブ部に固定され、この第1係止部材の回動を係止する第2係止部材とを有し、前記第1係止部材は、回動中心から一方向に延びた第1係止部材第1部と、回動中心から前記一方向と異なる方向に延びた第1係止部材第2部を有し、前記第2係止部材は、前記第1係止部材第1部を係止する第2係止部材第1部と前記第1係止部材第2部を係止する第2係止部材第2部とを有する。
【0024】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記第1係止部材は、第1係止部材第1部と第1係止部材第2部とが略直交することにより、L字形状をなし、L字アングル部を中心に回動し、前記第2係止部材は、第2係止部材第1部と第2係止部材第2部とが表裏一体に形成されている。
【0025】
第1係止部材第1部が第2係止部材第1部に係止されることで、送風羽根を順向き(吸気向き)に設定できる。
【0026】
第1係止部材第2部が第2係止部材第2部に係止されることで、送風羽根を逆向き(排気向き)に設定できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、簡易な構成により、送風羽根を吸気向きと排気向きとに切換えて逆風を励起し、容易に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】送風装置が設けられるエンジン室を示す概略斜視図である。(第1実施形態)
【図2】回転ファンの概略斜視図である。
【図3】ハブ部の概略斜視図である。
【図4】ハブ部の断面図である。
【図5】送風羽根の概略斜視図である。図5Aはある一方向から見た図であり、図5Bは別方向から見た図である。
【図6】図6Aはハブ部と送風羽根との取り付け構造を示す分解斜視図であり、図6Bはその拡大図である。
【図7】第1係止部材と第2係止部材との係止関係を示す斜視図である。
【図8】通常時の送風羽根の向き(吸気向き)を示す平面図である。
【図9】電磁石の配置を示す斜視図である。
【図10】油圧ショベルの制御システムの全体構成図である。
【図11】コントローラの送風方向切換制御に関するフロー図である。
【図12】図12Aは通常時の動作状態を説明する図であり、図12Bはその部分拡大図である。
【図13】図13Aは清掃時の動作状態を説明する図であり、図13Bはその部分拡大図である。
【図14】図14Aは通常時の動作状態を説明する図であり、図14Bはその部分拡大図である。(第2実施形態)
【図15】図15Aは清掃時の動作状態を説明する図であり、図15Bはその部分拡大図である。
【図16】コントローラの送風方向切換制御に関するフロー図である。(第3実施形態)
【図17】図17Aは通常時の動作状態を説明する図であり、図17Bはその部分拡大図である。
【図18】図18Aは清掃時の動作状態を説明する図であり、図18Bはその部分拡大図である。
【図19】通常時の係止状態を説明する図である。(第4実施形態)
【図20】清掃時の係止状態を説明する図である。
【図21】通常時の係止状態を説明する図である。(第5実施形態)
【図22】清掃時の係止状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1実施形態>
〜構成〜
図1は、本発明の第1実施形態の送風装置が設けられるエンジン室1を示す概略斜視図である。エンジン室1は外側をカバー(図示省略)で覆われ、カバーには冷却風を取り入れるための開口部が形成されている。エンジン室1内には、熱交換器ユニット5と、熱交換器ユニット5の下流側に設けられたシュラウド4と、熱交換器ユニット5を冷却する冷却風を誘起する回転ファン3とが備えられている。
【0030】
熱交換器ユニット5は、ラジエータ、オイルクーラ、インタークーラ等の熱交換器が並列配置されて構成され、冷却風上流側に防塵ネット(図示省略)を設けている。
【0031】
エンジン2はエンジン室1内にエンジンマウントを介して支持されている。油圧ポンプ61(図10参照)はエンジン2のフライホイール側の駆動軸に取付けられている。回転ファン3は油圧ポンプと反対側の駆動軸に取付けられて、エンジン2により駆動され冷却風を誘起する。
【0032】
回転ファン3はいわゆる軸流ファンであり、補助回転軸34に取り付けられている。補助回転軸34には、エンジンクランク軸35のクランクプーリ31に対応する位置となるようにファンプーリ32が固定されている。そして、クランクプーリ31とファンプーリ32との間にはファンベルト33が掛け渡されている。エンジンクランク軸35からの駆動力が補助回転軸34に伝達され、回転ファン3は補助回転軸34の回転によって回転駆動され、送風装置は回転ファン3と熱交換器ユニット5との間に負圧を発生させ、冷却風を誘起するようになっている。
【0033】
図2は回転ファンの概略斜視図である。回転ファン3は、補助回転軸34に固定されたハブ部10と、このハブ部10まわりに設けられた複数枚の送風羽根20とを備えている。
【0034】
送風羽根20はハブ部10に対し回動自在に設けられており、吸気向きと排気向きとに向きを切換可能な構成となっている(後述)。
【0035】
図3はハブ部10の概略斜視図であり、図4はハブ部10の断面図である。ハブ部10は、円筒状のファンリング11とファンリング内部に一体として固定されるプレート12を有している。プレート12が補助回転軸34にボルト締めされることにより、補助回転軸34の回転と伴に回転ファン3は回転する。ファンリング11の外周には、送風羽根20の回動軸に対応する孔13が設けられている。プレート12表面には、プレート17がボルト締めにより固定されている。プレート17表面には、各孔13に対応する位置に「く」の字部材14(第2係止部材)が設けられている。「く」の字部材14は鈍角部をもつプレートであり、表裏一体に第1面15と第2面16を有する。「く」の字部材14は、プレート17に対し鉛直に設けられるとともに、鈍角部より先においてプレート17に対し所定角度を形成する。プレート17に対向する裏面を第2面16とし、開放されている表面を第1面15とする。
【0036】
図5は送風羽根20の概略斜視図である。図5Aはある一方向から見た図であり、図5Bは別方向から見た図を示している。送風羽根20はブレード21と、ブレード21を挟み込むようにボルト締めされてブレード21の両面に設けられた取付プレート22,23を有している。取付プレート22には、ボス24が一体として固定されている。
【0037】
図6Aはハブ部10と送風羽根20との取り付け構造を示す分解斜視図であり、図6Bはその拡大図である。シャフト25(回動軸)は、ボス26を介して、孔13およびボス24を挿通し、ナット締めされる。これにより、送風羽根20はハブ部10に対し回動自在に設けられる。
【0038】
なお、回動の際、送風羽根20のブレード21とハブ部10のファンリング11とが干渉しないように0.1〜0.2mm程度の隙間を設けている。
【0039】
シャフト25のハブ側端部には、L字部材27(第1係止部材)がシャフト25と連続一体として設けられている。
【0040】
図7はL字部材27(第1係止部材)と「く」の字部材14(第2係止部材)との係止関係を示す斜視図である。L字部材27は、L字第1部28とL字第1部28に略直交するL字第2部29を有しており、L字第1部28とL字第2部29との交点であるL字アングル部30において、シャフト25と連続する。これにより、L字部材27は、L字アングル部30を中心にシャフト25を回動軸として、送風羽根20の回動と連動して回動可能となる。逆に言えば、L字部材27の回動により、送風羽根20が回動する。
【0041】
図7は通常時の係止関係を示している。L字第1部28は「く」の字部材14の第1面15に係止され、L字部材27は図示反時計回りの回動を拘束されている。一方、清掃時には、L字第2部29は「く」の字部材14の第2面16に係止され、L字部材27は時計回りの回動を拘束される(後述)。
【0042】
図8は通常時の送風羽根20の向き(吸気向き)を示す平面図である。図7に示す係止関係において、ファン回転軸に対しθ=60°の送風羽根向きとなるように、ブレード21とL字部材27とはシャフト25を介して連接されている。
【0043】
図9は、電磁石41の配置を示す斜視図である。電磁石41は、十字状に配置された2本の取付シャフト42を介してシュラウド4に固定され、回転ファン3のハブ部10に対向する位置に配置される。電磁石41には通電用の2本のハーネス43,44が接続されている。ハーネス43,44を介して電源45(図10参照)からの電力が供給されることにより、電磁石41は励磁される。
【0044】
本実施形態において、L字部材27(第1係止部材)は磁石である。たとえば、L字第1部28はN極の磁極を有し、L字第2部29はS極の磁極を有する。従って、電磁石41が励磁され回転ファンと対向する側がN極となると、L字第1部28は電磁石41に反発し、電磁石41の回転ファン対向側がS極となると、L字第1部28は電磁石41と引付あう。
【0045】
図10は、本実施形態の送風装置が搭載される油圧ショベルの制御システムの全体構成図である。油圧ショベルはディーゼルエンジン2を搭載しており、このエンジン2は電子式の燃料噴射制御装置である電子ガバナ51を備えている。エンジン2の目標回転数はエンジンコントロールダイヤル52により指令され、エンジン2の実回転数は回転数検出装置53により検出される。エンジンコントロールダイヤル52の指令信号及び回転数検出装置53の検出信号はコントローラ50に入力され、コントローラ50はその指令信号(目標回転数)と検出信号(実回転数)とに基づいて電子ガバナ51を制御し、エンジン2の回転数とトルクを制御する(エンジン制御システム)。
【0046】
また、エンジン2の始動停止指令装置としてキースイッチ55が設けられ、キースイッチ55の指令信号もコントローラ50に入力され、コントローラ50はその指令信号に基づいてエンジン2の始動及び停止を制御する。すなわち、キースイッチ55がエンジン始動を指示するON位置に操作され、指令信号がエンジン2の始動を指示している場合は、スタータ(図示せず)及び電子ガバナ51を駆動し、エンジン2を始動する。また、キースイッチ55がエンジン停止を指示するOFF位置に操作され、指令信号がエンジン2の停止を指示している場合は、電子ガバナ51の駆動を停止し、エンジン2を停止する。
【0047】
油圧ショベルは、更に、油圧駆動システム、操作パイロットシステム、表示システムを備えている。
【0048】
油圧駆動システムは、油圧ポンプ61と制御弁62と油圧アクチュエータ63とを有する。油圧ポンプ61はエンジン2により回転駆動されて圧油を吐出する。制御弁62はこの圧油の方向と流量を制御し、圧油を油圧アクチュエータ63に供給する。これにより油圧アクチュエータ63は駆動される。なお、図10において簡易的に1つの制御弁62と1つの油圧アクチュエータ63のみ示すが、油圧駆動システムは複数の油圧アクチュエータ(たとえば、アームシリンダや旋回モータ)とこれに対応する複数の制御弁とを有している。
【0049】
油圧ポンプ61は、その吐出圧力に基づいて油圧ポンプ61の吸収トルク(消費トルク)が予め定めた値である最大吸収トルクを超えないように油圧ポンプ61の傾転(斜板の傾転量;押しのけ容積或いは容量)を制御するレギュレータ64を有している。
【0050】
油圧ショベルは、エンジン2により油圧ポンプ61を回転駆動し、油圧ポンプ61から吐出される圧油によりアームシリンダ等の油圧アクチュエータ63を駆動し、掘削など必要な作業を行う。
【0051】
操作パイロットシステムは、パイロットポンプ66と操作装置67を有する。パイロットポンプ66はエンジン2により回転駆動されてパイロット1次圧を発生させる。操作装置67は、その操作方向と操作量に基づきパイロット操作圧PL1,PL2を発生させる。パイロット操作圧PL1,PL2は制御弁62に付与され、これにより制御弁62は切替わる。
【0052】
操作パイロットシステムは、更に遮断弁68を有する。遮断弁68は、ソレノイドを有し、ソレノイドが励磁されると、操作パイロットラインを連通させて、操作可能にし、励磁が解除されると、操作パイロットラインを遮断し、操作不能とする。
【0053】
表示システムは、各制御システムの情報を適宜、表示信号としてモニタ装置56に送り、これらの情報をモニタ表示部57に表示する。また表示システムは、モニタ操作部58を介してオペレータの指令をコントローラ50に入力し、GUI(グラフィックユーザーインターフェイス)として機能する。
【0054】
本実施形態において、清掃モード切換スイッチ59はモニタ表示部57に表示される設定画面およびモニタ操作部58から構成される。オペレータがモニタ表示部57に表示される設定画面を見ながら、モニタ操作部58を操作することにより、清掃モード切換スイッチ59はON/OFFを切換える。
【0055】
なお、清掃モード切換スイッチ59は、油圧ショベルのキャビン内に別途設けられたボタン式のスイッチでもよい。
【0056】
各システムはコントローラ50により制御される。送風装置の送風方向切換制御もコントローラ50により行われる。すなわち、コントローラ50は、電源45を介して電磁石41の励磁方向および励磁量を制御する。
【0057】
図11は、コントローラ50の送風方向切換制御に関するフロー図である。詳細については、送風方向切換動作と伴に説明する。
【0058】
〜動作〜
まず、通常時の送風装置の動作を説明する。作業開始時、オペレータはキースイッチ55により電源を入れる。さらに、キースイッチ55をONにすると(S1)、コントローラ50はエンジン始動指示をおこなう。一方、通常時は、清掃モード切換スイッチ59は予めOFFに設定されており、コントローラ50は通常モードの制御をおこなう(S2)。
【0059】
図12Aは通常時の動作状態を説明する図であり、図12Bはその部分拡大図である。電磁石41の回転ファン対向側がN極となるように励磁されると(S3)、N極の磁極を有するL字第1部28は反発し、L字部材27は図示反時計回りに回動する。そして、L字第1部28は「く」の字部材第1面15に係止され、L字部材27は回動を拘束される。その結果、送風羽根20は順向き(吸気向き)に設定される。
【0060】
一方、コントローラ50のエンジン始動指示により、エンジン2は駆動し(S4)、回転ファン3は正回転する。これにより、冷却風(吸気)が発生し、熱交換器ユニット5を冷却する。
【0061】
ところで、回転ファン3回転中は、吸気による風力がブレード21に作用する結果、L字部材27を図示反時計回りに回動する力が常時作用する。このため、電磁石41の励磁を停止しても(S5)、L字部材27と「く」の字部材14との係止状態は維持される。エンジン始動後に、電磁石の励磁を停止することで、消費電力を低減することができる。
【0062】
油圧ショベルによる作業中は、熱交換器ユニット5冷却のため、回転ファン3は継続的に駆動する。
【0063】
作業終了時、オペレータがキースイッチ55をOFFにすると(S6)、コントローラ50はエンジン停止指示をおこなう。エンジン2の停止にともない、回転ファン3も停止する。
【0064】
次に、清掃時の送風装置の動作を説明する。油圧ショベルは塵埃の浮遊する空間で稼動する場合も多く、冷却風と共に周囲の塵埃を吸引し、熱交換器や防塵ネットに塵埃が堆積する。油圧ショベルのメンテナンス時には熱交換器や防塵ネットを清掃する必要がある。
【0065】
オペレータは、キースイッチ55により電源を入れ、あらかじめ清掃モード切換スイッチ59をONに設定しておく。さらに、清掃しやすいように、エンジン室1の外側カバーを外しておく。
【0066】
清掃準備完了後、オペレータがキースイッチ55をONにすると(S1)、コントローラ50はエンジン始動指示をおこなう。一方、清掃モード切換スイッチ59はONに設定されており、コントローラ50は清掃モードの制御をおこなう(S2)。
【0067】
図13Aは清掃時の動作状態を説明する図であり、図13Bはその部分拡大図である。コントローラ50は通常時と逆電位を与えるように電源45を制御する。電磁石41の回転ファン対向側がS極となるように励磁されると(S11)、N極の磁極を有するL字第1部28は電磁石41と引付あい、L字部材27は図示時計回りに回動する。そして、L字第2部29は「く」の字部材第2面16に係止され、L字部材27は回動を拘束される。その結果、送風羽根20は逆向き(排気向き)に設定される。
【0068】
更に、安全性を考慮して、コントローラ50はエンジン回転数をエンジンコントロールダイヤル52が指示する目標回転数からより低速のアイドル回転数に切換える(S12)。また、遮断弁68のソレノイドの励磁を解除して、油圧ショベルを操作不能とする。
【0069】
一方、コントローラ50のエンジン始動指示により、エンジン2は駆動し(S4)、回転ファン3は正回転する。これにより、逆風(排気)が発生し、逆風が塵埃を吹き飛ばすことにより、熱交換器ユニット5を清掃する。
【0070】
エンジン始動後、L字部材27が図示時計回りに回動するように、排気による風力が常時ブレード21に作用し、係止状態が維持される。その後、コントローラ50は電磁石の励磁を停止する(S5)。
【0071】
清掃終了時、オペレータがキースイッチ55をOFFにすると(S6)、コントローラ50はエンジン停止指示をおこなう。エンジン2の停止にともない、回転ファン3も停止する。オペレータは電源を切る前に清掃モード切換スイッチ59をOFFに設定しておく。これにより、次の作業時には、コントローラ50は通常モードの制御をおこなう。
【0072】
〜効果〜
本実施形態の効果を説明する。
【0073】
送風羽根20を逆向きに切り換え、逆風(排気)を励起し、防塵ネットや熱交換器に堆積した塵埃を吹き飛ばすことにより、防塵ネットを取り外すことなく、容易に清掃することができる。
【0074】
ところで、従来技術においても、リンク機構が送風羽根を逆向きに切り換えることにより、容易に清掃でき、本実施形態と同様な効果が得られる。しかし、従来技術におけるリンク機構は複雑な構成であり、特にメンテナンス性に係る課題がある。
【0075】
つまり、リンク機構の一部構成は、回転ファンのハブ部に設けられており、回転ファンと伴に回転する。このような複雑なリンク機構が回転するため、振動による破損を防止するような新たな構成(例えばベアリング)を追加する必要があり、回転ファンの重量が増加する。回転時の遠心力が増加するため、回転駆動軸の強度を保つ必要が有り、結果として装置が大型化する。
【0076】
また、リンク機構は、非回転の構成と回転する構成とが接触しており、接触部のメンテナンス(例えば給脂や磨耗による交換)などが必須である。
【0077】
本実施形態においては、磁石であるL字部材27および電磁石41の間に作用する磁力より、送風羽根20を回動させる。
【0078】
L字部材27は簡易な構成であり、軽量であり回転ファン3とともに回転してもほとんど影響がない。一方、電磁石41はシュラウド4に固定されており回転ファン3とともに回転しない。したがって、大型化することなく充分な安全性を確保することができる。
【0079】
また、L字部材27と電磁石41とは非接触であり、従来技術のような接触部のメンテナンスは生じない。
【0080】
このように、本実施形態は、簡易な構成により、送風羽根を吸気向きと排気向きとに切換えることができる。
【0081】
<第2実施形態>
〜構成〜
第1実施形態において、L字部材27(第1係止部材)が磁石であったが、磁力の作用により送風羽根20を回動させることができれば、他の構成でも良い。
【0082】
例えば、電磁石41に対向する側の取付プレート22が磁石であっても良い。取付プレート22は回動軸を境に磁性的に分割され、一方はS極の磁極を有し、他方はN極の磁極を有する。コントローラ50の送風方向切換制御に関するフローは図11と同じでよい。
【0083】
〜動作〜
まず、通常時の送風装置の動作を説明する。作業開始時、オペレータがキースイッチ55をONにすると(S1)、コントローラ50はエンジン始動指示をおこなう。一方、通常時は、清掃モード切換スイッチ59はOFFに設定されており、コントローラ50は通常モードの制御をおこなう(S2)。
【0084】
図14Aは通常時の動作状態を説明する図であり、図14Bはその部分拡大図である。電磁石41の回転ファン対向側がN極となるように励磁されると(S3)、取付プレート22のS極側は電磁石41のN極に引き付けられ、取付プレート22のN極側は電磁石41のN極に反発し、L字部材27は図示反時計回りに回動する。そして、L字第1部28は「く」の字部材第1面15に係止され、L字部材27は回動を拘束される。その結果、送風羽根20は順向き(吸気向き)に設定される。
【0085】
一方、コントローラ50のエンジン始動指示により、エンジン2は駆動し(S4)、回転ファン3は正回転する。これにより、冷却風(吸気)が発生し、熱交換器ユニット5を冷却する。
【0086】
エンジン始動後、L字部材27が図示反時計回りに回動するように、吸気による風力が常時ブレード21に作用し、係止状態が維持される。その後、コントローラ50は電磁石の励磁を停止する(S5)。
【0087】
作業終了時、オペレータがキースイッチ55をOFFにすると(S6)、コントローラ50はエンジン停止指示をおこなう。エンジン2の停止にともない、回転ファン3も停止する。
【0088】
次に、清掃時の送風装置の動作を説明する。オペレータは、あらかじめ清掃モード切換スイッチ59をONに設定しておく。さらに、清掃しやすいように、エンジン室1の外側カバーを外しておく。
【0089】
清掃準備完了後、オペレータがキースイッチ55をONにすると(S1)、コントローラ50はエンジン始動指示をおこなう。一方、清掃モード切換スイッチ59はONに設定されており、コントローラ50は清掃モードの制御をおこなう(S2)。
【0090】
図15Aは清掃時の動作状態を説明する図であり、図15Bはその部分拡大図である。コントローラ50は通常時と逆電位を与えるように電源45を制御する。電磁石41の回転ファン対向側がS極となるように励磁されると(S11)、取付プレート22のN極側は電磁石41のS極に引き付けられ、取付プレート22のS極側は電磁石41のS極に反発し、L字部材27は図示時計回りに回動する。そして、L字第2部29は「く」の字部材第2面16に係止され、L字部材27は回動を拘束される。その結果、送風羽根20は逆向き(排気向き)に設定される。
【0091】
更に、安全性を考慮して、コントローラ50はエンジン回転数をエンジンコントロールダイヤル52が指示する目標回転数からより低速のアイドル回転数に切換える(S12)。さらに、遮断弁68のソレノイドの励磁を解除して、油圧ショベルを操作不能とする。
【0092】
一方、コントローラ50のエンジン始動指示により、エンジン2は駆動し(S4)、回転ファン3は正回転する。これにより、逆風(排気)が発生し、逆風が塵埃を吹き飛ばすことにより、熱交換器ユニット5を清掃する。
【0093】
エンジン始動後、L字部材27が図示時計回りに回動するように、排気による風力が常時ブレード21に作用し、係止状態が維持される。その後、コントローラ50は電磁石の励磁を停止する(S5)。
【0094】
清掃終了時、オペレータがキースイッチ55をOFFにすると(S6)、コントローラ50はエンジン停止指示をおこなう。エンジン2の停止にともない、回転ファン3も停止する。オペレータは清掃モード切換スイッチ59をOFFに設定しておく。これにより、次の作業時には、コントローラ50は通常モードの制御をおこなう。
【0095】
〜効果〜
本実施形態も、第1実施形態と同様に、磁石である取付プレート22および電磁石41の間に作用する磁力より、送風羽根20を回動させるものであり、簡易な構成、軽量、非接触といった特徴は共通し、第1実施形態と同様な効果が得られる。
【0096】
<第3実施形態>
〜構成〜
第2実施形態において説明したように、磁力の作用により送風羽根20を回動させることができれば、他の構成でも良い。
【0097】
例えば、「く」の字部材14(第2係止部材)が磁石でも良い。「く」の字部材第1面15を含む先端部が磁性を帯びていれば、N極でもS極でもよい。一方、L字第1部28の材質は鉄である。L字第2部29の材質は鉄以外であることが好ましい。
【0098】
図16は、本実施形態におけるコントローラ50の送風方向切換制御に関するフロー図である。第1および第2実施形態が、励磁方向切換による送風方向切換であるのに対し、本実施形態は、励磁ON/OFF切換による送風方向切換であることを特徴とする。詳細については、送風方向切換動作と伴に説明する。
【0099】
〜動作〜
まず、通常時の送風装置の動作を説明する。作業開始時、オペレータがキースイッチ55をONにすると(S1)、コントローラ50はエンジン始動指示をおこなう。一方、通常時は、清掃モード切換スイッチ59はOFFに設定されており、コントローラ50は通常モードの制御をおこなう(S2)。
【0100】
図17Aは通常時の動作状態を説明する図であり、図17Bはその部分拡大図である。通常モードにおいて、電磁石41は励磁されない(励磁OFF)。「く」の字部材14(第2係止部材)の磁力のみが作用し、鉄であるL字第1部28を引付ける。その結果、L字第1部28は「く」の字部材第1面15に係止され、送風羽根20は順向き(吸気向き)に設定される。
【0101】
なお、鉄でないL字第2部29が「く」の字部材14の磁力に引付られることはない。
【0102】
一方、コントローラ50のエンジン始動指示により、エンジン2は駆動し(S4)、回転ファン3は正回転する。これにより、冷却風(吸気)が発生し、熱交換器ユニット5を冷却する。
【0103】
作業終了時、オペレータがキースイッチ55をOFFにすると(S6)、コントローラ50はエンジン停止指示をおこなう。エンジン2の停止にともない、回転ファン3も停止する。
【0104】
次に、清掃時の送風装置の動作を説明する。オペレータは、あらかじめ清掃モード切換スイッチ59をONに設定しておく。さらに、清掃しやすいように、エンジン室1の外側カバーを外しておく。
【0105】
清掃準備完了後、オペレータがキースイッチ55をONにすると(S1)、コントローラ50はエンジン始動指示をおこなう。一方、清掃モード切換スイッチ59はONに設定されており、コントローラ50は清掃モードの制御をおこなう(S2)。
【0106】
図18Aは清掃時の動作状態を説明する図であり、図18Bはその部分拡大図である。コントローラ50は電源45を介して、電磁石41の磁力が「く」の字部材14の磁力を上回るような励磁量(磁極はどちらでもよい)を設定する。電磁石41が励磁されると(S11)、電磁石41の磁力が「く」の字部材14の磁力を上回り、鉄であるL字第1部28を引付ける。L字部材27は図示時計回りに回動する。そして、L字第2部29は「く」の字部材第2面16に係止され、L字部材27は回動を拘束される。その結果、送風羽根20は逆向き(排気向き)に設定される。
【0107】
更に、安全性を考慮して、コントローラ50はエンジン回転数をエンジンコントロールダイヤル52が指示する目標回転数からより低速のアイドル回転数に切換える(S12)。さらに、遮断弁68のソレノイドの励磁を解除して、油圧ショベルを操作不能とする。
【0108】
一方、コントローラ50のエンジン始動指示により、エンジン2は駆動し(S13)、回転ファン3は正回転する。これにより、逆風(排気)が発生し、逆風が塵埃を吹き飛ばすことにより、熱交換器ユニット5を清掃する。
【0109】
エンジン始動後、L字部材27が図示時計回りに回動するように、排気による風力が常時ブレード21に作用し、係止状態が維持される。その後、コントローラ30は電磁石の励磁を停止する(S14)。
【0110】
清掃終了時、オペレータがキースイッチ55をOFFにすると(S6)、コントローラ50はエンジン停止指示をおこなう。エンジン2の停止にともない、回転ファン3も停止する。オペレータは清掃モード切換スイッチ59をOFFに設定しておく。これにより、次の作業時には、コントローラ50は通常モードの制御をおこなう。
【0111】
〜効果〜
本実施形態は、磁石である「く」の字部材14(第2係止部材)の磁力により、通常時の係止状態を維持し、清掃時には、電磁石41の磁力が「く」の字部材14の磁力を上回ることにより、送風羽根20を回動させるものであり、簡易な構成、軽量、非接触といった特徴は共通し、第1実施形態と同様な効果が得られる。
【0112】
<第4実施形態>
〜構成〜
本実施形態は第2実施形態の変形例である。第2実施形態において、係止手段として、L字部材27(第1係止部材)と「く」の字部材14(第2係止部材)を用いたが、磁力による回動を拘束できれば、他の構成でも良い。
【0113】
例えば、第1係止部材をL字部材27に代えて係止プレート71とし、第2係止部材を「く」の字部材14に代えてY字部材74とする。係止プレート71は係止プレート第1面72と係止プレート第2面73とを有し、Y字部材74はY字部材第1部75とY字部材第2部76を有する。磁力による回動に係る構成は第2実施形態と同じであり、詳細を省略する。コントローラ50の送風方向切換制御に関するフローは図11と同じでよい。
【0114】
〜動作〜
図19は通常時の係止状態を説明する図である。電磁石41の回転ファン対向側がN極となるように励磁されると(S3)、取付プレート22のS極側は電磁石41のN極に引き付けられ、取付プレート22のN極側は電磁石41のN極に反発し、係止プレート71は図示反時計回りに回動する。そして、係止プレート第1面72はY字部材第1部75に係止され、係止プレート71は回動を拘束される。その結果、送風羽根20は順向き(吸気向き)に設定される。
【0115】
図20は清掃時の係止状態を説明する図である。コントローラ50は通常時と逆電位を与えるように電源45を制御する。電磁石41の回転ファン対向側がS極となるように励磁されると(S11)、取付プレート22のN極側は電磁石41のS極に引き付けられ、取付プレート22のS極側は電磁石41のS極に反発し、係止プレート71は図示時計回りに回動する。そして、係止プレート第2面73はY字部材第2部76に係止され、係止プレート71は回動を拘束される。その結果、送風羽根20は逆向き(排気向き)に設定される。
【0116】
〜効果〜
本実施形態も、第2実施形態と同様に、磁石である取付プレート22および電磁石41の間に作用する磁力より、送風羽根20を回動させるものであり、第2実施形態と同様な効果が得られる。
【0117】
<第5実施形態>
〜構成〜
本実施形態は第3実施形態の変形例である。第3実施形態において、係止手段として、L字部材27(第1係止部材)と「く」の字部材14(第2係止部材)を用いたが、磁力による回動を拘束できれば、他の構成でも良い。
【0118】
例えば、第1係止部材をL字部材27に代えてT字部材81とし、第2係止部材を「く」の字部材14に代えて「ト」の字部材85とする。T字部材81はT字部材第1面82とT字部材第2面83とT字バー部84を有し、「ト」の字部材85は「ト」の字部材第1部86と「ト」の字部材第2部87を有する。T字部材81の材質は鉄である。「ト」の字部材85において、「ト」の字部材第1部86は磁石であるが、「ト」の字部材第2部87は磁石でない。磁力による回動に係る構成は第3実施形態と同じであり、詳細を省略する。コントローラ50の送風方向切換制御に関するフローは図16と同じでよい。
【0119】
〜動作〜
図21は通常時の係止状態を説明する図である。通常モードにおいて、電磁石41は励磁されない(励磁OFF)。「ト」の字部材85(第2係止部材)の第1部86の磁力のみが作用し、鉄であるT字部材81を引付ける。その結果、T字部材第1面82は「ト」の字部材第1部86に係止され、送風羽根20は順向き(吸気向き)に設定される。
【0120】
なお、T字部材81が磁石でない「ト」の字部材第2部87に引付られることはない。
【0121】
図22は清掃時の係止状態を説明する図である。コントローラ50は電源45を介して、電磁石41の磁力が「ト」の字部材第1部86の磁力を上回るような励磁量(磁極はどちらでもよい)を設定する。電磁石41が励磁されると(S11)、電磁石41の磁力が「ト」の字部材第1部86の磁力を上回り、鉄であるT字部材81(とくにT字バー部84)を引付ける。T字部材81は図示時計回りに回動する。そして、T字部材第2面83は「ト」の字部材第2部87に係止され、T字部材81は回動を拘束される。その結果、送風羽根20は逆向き(排気向き)に設定される。
【0122】
〜効果〜
本実施形態も、第3実施形態と同様に、磁石である「ト」の字部材85(第2係止部材)の第1部86の磁力により、通常時の係止状態を維持し、清掃時には、電磁石41の磁力が「ト」の字部材第1部86の磁力を上回ることにより、送風羽根20を回動させるものであり、第3実施形態と同様な効果が得られる。
【符号の説明】
【0123】
1 エンジン室
2 エンジン
3 回転ファン
4 シュラウド
5 熱交換器ユニット
10 ハブ部
11 ファンリング
12 プレート
13 孔
14 「く」の字部材(第2係止部材)
15 「く」の字部材第1面
16 「く」の字部材第2面
17 プレート
20 送風羽根
21 ブレード
22,23 取付プレート
24 ボス
25 シャフト
26 ボス
27 L字部材(第1係止部材)
28 L字第1部
29 L字第2部
30 L字アングル部
31 クランクプーリ
32 ファンプーリ
33 ファンベルト
34 補助回転軸
35 エンジンクランク軸
41 電磁石
42 取付シャフト
43,44 ハーネス
45 電源
50 コントローラ
51 電子ガバナ
52 エンジンコントロールダイヤル
53 回転数検出装置
55 キースイッチ
56 モニタ装置
57 モニタ表示部
58 モニタ操作部
59 清掃モード切換スイッチ
61 油圧ポンプ
62 制御弁
63 油圧アクチュエータ
64 レギュレータ
66 パイロットポンプ
67 操作装置
68 遮断弁
71 係止プレート
72 係止プレート第1面
73 係止プレート第2面
74 Y字部材
75 Y字部材第1部
76 Y字部材第2部
81 T字部材
82 T字部材第1面
83 T字部材第2面
84 T字バー部
85 「ト」の字部材
86 「ト」の字部材第1部
87 「ト」の字部材第2部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動軸によって回転駆動自在に支持されるハブ部と、このハブ部まわりに設けられた送風羽根とを有する回転ファンと、
送風羽根を吸気向きと排気向きとに向きをハブ部に対し回動自在に切換える送風方向切換機構とを備えた送風装置において、
前記送風方向切換機構は、
前記回転ファンに設けられた磁石と、
前記回転ファンに対向する位置に設けられた電磁石とを有し、
前記磁石および前記電磁石の磁力の作用により、前記送風羽根を回動させる
ことを特徴とする送風装置。
【請求項2】
請求項1記載の送風装置において、
前記送風方向切換機構は、
前記送風羽根の回動を係止する係止手段
を有することを特徴とする送風装置。
【請求項3】
請求項1記載の送風装置において、
前記送風方向切換機構は、
前記送風羽根の回動軸端部と連続し、前記送風羽根の回動と連動して回動するように設けられる第1係止部材と、前記ハブ部に固定され、この第1係止部材の回動を係止する第2係止部材とを有し、
前記第1係止部材は、回動中心から一方向に延びた第1係止部材第1部と、回動中心から前記一方向と異なる方向に延びた第1係止部材第2部を有し、
前記第2係止部材は、前記第1係止部材第1部を係止する第2係止部材第1部と前記第1係止部材第2部を係止する第2係止部材第2部とを有する
ことを特徴とする送風装置。
【請求項4】
請求項3記載の送風装置において、
前記第1係止部材は、第1係止部材第1部と第1係止部材第2部とが略直交することにより、L字形状をなし、L字アングル部を中心に回動し、
前記第2係止部材は、第2係止部材第1部と第2係止部材第2部とが表裏一体に形成されている
ことを特徴とする送風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−64337(P2013−64337A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202403(P2011−202403)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】