説明

逃し部材、および、ノズル

【課題】ノズルの流出口を洗浄対象物に近接させて気泡混入水を流出させた際に、気泡混入水がノズル内で逆流しようとする場合においても、より確実に、水の流出口から流入した水に空気を混入させて気泡混入水とし、流出口から当該気泡混入水を流出することができるものを提供する。
【解決手段】水の流出口14から流入した水に空気導入部13における空気の出口の開口から導入された空気を混入させて気泡混入水とし、前記気泡混入水を流出するノズル1に設けられる、逃し部材60であって、空気導入部13における空気の出口の開口よりも下流側に配置され、ノズル1内で上流側に逆流しようとする気泡混入水をノズル1外へ逃すように流出させる、逃し孔15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の流出口から流入した水に空気導入部における空気の出口の開口から導入された空気を混入させて気泡混入水とし、前記気泡混入水を流出するノズル、および、前記ノズルに設けられる逃がし部材、の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水の流出口から流入した水に空気導入部における空気の出口の開口から導入された空気を混入させて気泡混入水とし、前記気泡混入水を流出するノズルは公知となっている(特許文献1参照)。
このようなノズルでは、例えば、その流出口から流出する気泡混入水を洗浄対象物に直接噴射して、水流の強さに加えて気泡混入水内の気泡による洗浄効果によってこれを洗浄する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭52−94513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ノズルの流出口を洗浄対象物に近接させて気泡混入水を流出させた際に、流出口と洗浄対象物との距離が短すぎて、気泡混入水が、ノズルの流出口から流出できずにノズル内で滞留して上流側に逆流する場合がある。
そして、前記ノズル内で逆流する気泡混入水が、空気導入部における空気の出口から空気導入部に流入して、空気導入部が当該気泡混入水で詰ってしまう場合がある。
このような場合、前記ノズルでは、空気導入部における空気の出口の開口から空気が導入されなくなり、水の流出口から流入した水に空気を混入させることができず、気泡混入水を流出できない、という問題があった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、ノズルの流出口を洗浄対象物に近接させて気泡混入水を流出させた際に、気泡混入水がノズル内で逆流しようとする場合においても、より確実に、水の流出口から流入した水に空気を混入させて気泡混入水とし、流出口から当該気泡混入水を流出することができるものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち本発明によれば、請求項1においては、水の流出口から流入した水に空気導入部における空気の出口の開口から導入された空気を混入させて気泡混入水とし、前記気泡混入水を流出するノズルに設けられる、逃し部材であって、前記空気導入部における空気の出口の開口よりも下流側に配置され、前記ノズル内を上流側に逆流しようとする気泡混入水を前記ノズル外へ逃すように流出させる、逃し孔を備えるものである。
【0008】
請求項2においては、水の流出口から流入した水に空気導入部における空気の出口の開口から導入された空気を混入させて気泡混入水とし、前記気泡混入水を流出するノズルであって、前記空気導入部における空気の出口の開口よりも下流側に配置され、前記ノズル内で上流側に逆流しようとする気泡混入水を前記ノズル外へ逃すように流出させる、逃し孔を備える逃し部材が設けられるものである。
【0009】
請求項3においては、水の流出口から流入した水に空気導入部における空気の出口の開口から導入された空気を混入させて気泡混入水とし、前記気泡混入水を流出するノズルであって、前記空気導入部における空気の出口の開口よりも下流側に配置され、前記ノズル内で上流側に逆流しようとする気泡混入水を前記ノズル外へ逃すように流出させる、逃し孔を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
即ち、本発明によれば、ノズルの流出口を洗浄対象物に近接させて気泡混入水を流出させた際に、気泡混入水がノズル内で逆流しようとする場合においても、より確実に、水の流出口から流入した水に空気を混入させて気泡混入水とし、流出口から当該気泡混入水を流出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る逃し部材およびノズルを分解した状態を示した正面図。
【図2】本発明の実施形態に係る逃し部材およびノズルを分解した状態を示した側面断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る逃し部材およびノズルを示した縦断面図。
【図4】本発明の実施形態に係るノズルの接続部材についてのA−A断面図。
【図5】本発明の実施形態に係るノズルの絞り部材を示した平面図。
【図6】本発明の実施形態に係る逃し部材についてのB−B断面図。
【図7】本発明の実施形態に係る逃し部材およびノズルを示した縦断面図。
【図8】本発明の実施形態に係る逃し部材およびノズルを示した縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態に係るノズル1について、図1から図8を用いて説明する。なお、図中において示す矢印Aは、ノズル1内に流入する水の流入方向を示すものとして説明する。
【0014】
ノズル1は、水の流出口からノズル1に流入した水に空気を混入させて気泡混入水として、当該気泡混入水を流出するものである。
また、ノズル1は、図1乃至図3に示すように、全体的に略筒状に形成され、流入部11と、絞り部12と、空気導入部13と、流出口14と、逃し孔15と、を備える。
【0015】
ノズル1の流入部11は、水の流出口に接続されて、当該水の流出口からの水がノズル1内に流入する部分である。
ここで、水の流出口は、蛇口に接続されたホースにおける水の吐出口部2であるものとして説明する。なお、ノズル1の流入部11は、水の流出口をシャワーや蛇口として、これに直接接続される構成であってもよい。
【0016】
ノズル1の絞り部12は、流入部11からノズル1内に流入した水の流れを絞って水の流速を増加させる部分である。ノズル1の絞り部12は、流入部11よりも下流側に配置される。ノズル1は、絞り部12から下流側へ流出する水の流速が、絞り部12の上流側よりも増加するように構成される。
【0017】
ノズル1の空気導入部13は、絞り部12から下流側へ流出する水(水の流出口から流入した水)に空気が吸引されて当該空気に混入され、これが気泡混入水となるように、ノズル1内に空気を導入する部分である。
ノズル1の空気導入部13は、ノズル1外から、ノズル1における絞り部12の下流側部分近傍に空気を導入する。ノズル1の空気導入部13における空気の出口の開口は、ノズル1内における絞り部12の下流側部分近傍に形成される。ノズル1内には、空気導入部13における空気の出口の開口から空気が導入される。
【0018】
ノズル1の流出口14は、前記ノズル1に流入した水に空気が混入された気泡混入水を流出するものである。
【0019】
このようにして、ノズル1は、水の流出口から流入した水に空気導入部13における空気の出口の開口から導入された空気を混入させて気泡混入水とし、流出口14から気泡混入水を流出するように構成される。
また、ノズル1では、その流出口14から流出する気泡混入水を、洗浄対象物(例えば、皮膚、穀物、野菜、金属製部材、樹脂製部材、または、建造物等)に直接噴射したり、その流出口14を水中に配置して当該流出口14から流出する気泡混入水で作出される水流内に洗浄対象物を入れたりして、洗浄対象物の表面に気泡混入水を接触させる。そして、前記気泡混入水に接触した洗浄対象物は、気泡混入水内の気泡による洗浄効果によって洗浄されることとなる。
【0020】
ノズル1の逃し孔15は、ノズル1の流出口14から流出できずにノズル1内で滞留して上流側に逆流しようとする気泡混入水を、ノズル1外へ逃すように流出させるものである。
ノズル1の逃し孔15は、空気導入部13における空気の出口の開口よりも下流側に配置される。ノズル1の逃し孔15は、流出口14よりも上流側に配置される。
ノズル1の逃し孔15は、ノズル1内とノズル1外とを連通するように形成される。
【0021】
このように逃し孔15を備えて構成されるノズル1では、前記ノズル1内で上流側に逆流しようとする気泡混入水が、空気導入部13における空気の出口に至る前に、当該気泡混入水を、逃し孔15からノズル1外へ逃すように流出させることができる。
したがって、ノズル1によれば、前記ノズル1内で逆流しようとする気泡混入水が空気導入部13における空気の出口から空気導入部13に流入すること、を防止することができる。
よって、ノズル1によれば、ノズル1の流出口14を洗浄対象物に近接させて気泡混入水を流出させた際に、気泡混入水がノズル1内で逆流しようとする場合においても、より確実に、水の流出口から流入した水に空気を混入させて気泡混入水とし、流出口14から当該気泡混入水を流出することができる。
【0022】
次に、ノズル1の具体的構成について説明する。
ノズル1は、図1乃至図3に示すように、接続部材20と、絞り部材30と、ケース50と、を備え、逃し部材60が設けられて構成される。
【0023】
ノズル1の接続部材20は、図1乃至図4に示すように、その上流側端が開口され、下流側端に底部20aを有して、略有底筒状に形成される。
【0024】
ノズル1の接続部材20における上流側部20bは、ホースの吐出口部2に接続される部分であり、ホースの吐出口部2に嵌挿可能に構成される。接続部材20における上流側部20bは、ノズル1の流入部11として構成される。
なお、ノズル1の接続部材20における上流側部20bとホースの吐出口部2との接続は、例えば、ホースの吐出口部2をノズル1の接続部材20における上流側部20bに嵌挿し、ホースの吐出口部2における上流側部20bに嵌挿された部分の外周に筒状のホース留め部材3を嵌装することによっておこなう。ホース留め部材3の外側には、ホース留めカバー4を配置してもよい。
【0025】
ノズル1の接続部材20における下流側部20cは、絞り部材30の上流側端の開口から絞り部材30内に嵌挿可能に構成される。
ノズル1の接続部材20における上流側部20bと下流側部20cとの間には、フランジ21が形成される。ノズル1の接続部材20におけるフランジ21は、側方に突出するように形成される。
【0026】
ノズル1の接続部材20は、二つの貫通孔22・22を有する。
ノズル1の接続部材20における貫通孔22・22は、周方向に180度位相をずらすようにして(接続部材20の軸心を中心に対向する位置に)、その下流側部20cにそれぞれ形成される。ノズル1の接続部材20における貫通孔22・22は、接続部材20における下流側部20cの外周面から内周面に(半径方向に)貫通するように、それぞれ形成される。
【0027】
ノズル1の接続部材20は、二つの切欠き23・23を有する。
ノズル1の接続部材20における切欠き23・23は、周方向に180度位相をずらすようにして(接続部材20の軸心を中心に対向する位置に)それぞれ形成される。ノズル1の接続部材20における切欠き23は、二つの貫通孔22・22のうち一方の貫通孔22に連通するとともに、その底部20aから下流側部20cに亘って底部20aの下流側の面および下流側部20cの外周面が切欠かれるようにして形成される。
【0028】
ノズル1の絞り部材30は、図1乃至図3、または、図5に示すように、その上流側端が開口され、下流側端に底部30aを有して、略有底筒状に形成される。
ノズル1の絞り部材30における上流側端部には、フランジ31が形成される。ノズル1の絞り部材30におけるフランジ31は、側方に突出するように形成される。
【0029】
ノズル1の絞り部材30は、3つの絞り孔32・32・32を有する。
ノズル1の絞り部材30における絞り孔32は、ノズル1内に流入した水の流れを絞って水の流速を増加させるものである。ノズル1の絞り部材30の三つの絞り孔32・32・32で、ノズル1の絞り部12が構成される。
ノズル1の絞り部材30における絞り孔32は、絞り部材30内から絞り部材30外に底部30aを貫通するように形成される。ノズル1の絞り部材30の絞り孔32・32・32は、周方向に60度ずつ位相をずらしてそれぞれ形成される。
ノズル1の絞り部材30における絞り孔32の上流側の開口は、絞り部材30の底部30aの中心から側部方向側にずらすように形成される。
ノズル1の絞り部材30の絞り孔32・32・32におけるそれぞれの下流側の開口は、当該絞り孔32・32・32におけるそれぞれの下流側の開口から流出する三本の水流が一本の筋状の水流となるような位置にそれぞれ形成される。
なお、ノズル1の絞り部材30の絞り孔32の数は、三つであることに限定するものではない。
【0030】
ノズル1の絞り部材30は、二つの切欠き33・33を有する。
ノズル1の絞り部材30における切欠き33・33は、周方向に180度ずつ位相をずらすようにして(絞り部材30の軸心を中心に対向する位置に)、それぞれ形成される。ノズル1の絞り部材30における切欠き33・33は、フランジ31を含むその外周面の一部が、上端部から下端部に亘って絞り部材30の軸心方向に沿って切欠かれるように、それぞれ形成される。
【0031】
ノズル1のケース50は、図1乃至図3に示すように、その上流側端および下流側端がそれぞれ開口する略筒状に構成される。
ノズル1のケース50は、その上下中途部50bの内径が下流側にいくに従って次第に縮径されて、上流側部50aの内経が下流側部50cの内経よりも大きくなるように形成されて構成される。ノズル1のケース50は、その上下中途部50bが下流側にいくに従って次第に肉厚状となり外側に広がるように形成されて構成される。
ノズル1のケース50は、その上流側部50a内に絞り部材30におけるフランジ31を除く部分を嵌挿可能に構成される。
【0032】
ノズル1のケース50は、案内部51を有する。
ノズル1のケース50における案内部51は、気泡混入水が外側に飛散ることを防止し、当該気泡混入水を洗浄対象物側に案内するものである。
ノズル1のケース50における案内部51は、その下流側部50cの外周面を囲むように、その上下中途部50bにおける肉厚状に形成される部分の外側端から下流側方向に延出して形成される。
【0033】
ノズル1のケース50は、嵌挿溝52を有する。
ノズル1のケース50における嵌挿溝52は、環状の溝であり、その上下中途部50bにおける肉厚状に形成される部分の下方の面(下流側部50cと案内部51との間)に、下流側方向に開口するように形成される。ノズル1のケース50における嵌挿溝52は、ケース50の半径方向外側に下流側部50cから所定の間隔を空けて配置される。ノズル1のケース50における嵌挿溝52は、ケース50の半径方向内側に案内部51から所定の間隔を空けて配置される。
【0034】
ここで、ノズル1では、その絞り部材30内の上流側部分に、絞り部材30の上流側端の開口から接続部材20における下流側部20cが嵌挿される。このとき、ノズル1の絞り部材30における上流側端部が、接続部材20におけるフランジ21に当接するまで、絞り部材30内に接続部材20における下流側部20cが嵌挿される。
前記ノズル1の絞り部材30内に接続部材20の下流側部20cが嵌挿された状態では、接続部材20の切欠き23・23と絞り部材30内とが、連通した状態となる。
このようにして、ノズル1の接続部材20における上流側部20bから流入した水は、その貫通孔22・22および切欠き23・23を通って絞り部材30内に流入して、絞り部材30の絞り孔32・32・32におけるそれぞれの下流側の開口から流出することとなる。
【0035】
また、ノズル1では、そのケース50の上流側部50a内に絞り部材30におけるフランジ31を除く部分が嵌挿される。このとき、ノズル1のケース50における上流側端が絞り部材30におけるフランジ31に当接するまで、絞り部材30におけるフランジ31を除く部分がケース50の上流側部50a内に嵌挿される。
【0036】
また、前記ノズル1のケース50における上流側部50a内に絞り部材30が嵌挿された状態では、ケース50の上流側部50aの内周面と絞り部材30の切欠き33が形成されていない部分の外周面とが当接した状態となるが、ケース50の上流側部50aの内周面と絞り部材30の切欠き33が形成された部分の外面との間には空間が形成される。この絞り部材30における切欠き33とケース50の上流側部50aの内周面とで形成される空間で、ノズル1の空気導入部13が構成される。
ノズル1では、絞り部材30における切欠き33の上端の開口が、空気導入部13における空気の入口の開口として構成される。また、ノズル1の絞り部材30における切欠き33の下端の開口が、空気導入部13における空気の出口の開口として構成される。ノズル1のケース50における下流側の開口(下流側部50cの開口)が、ノズル1の流出口14として構成される。
【0037】
このようにして、ノズル1は、絞り部材30の絞り孔32・32・32におけるそれぞれの下流側の開口から流出した水に、空気導入部13における空気の出口から導入された空気を混入されて気泡混入水とし、流出口14から気泡混入水を流出するように構成される。
なお、ノズル1では、絞り部材30における絞り孔32・32・32におけるそれぞれの下流側の開口から流出した三本の水の水流は一本の筋状の水流となり、流出口14からも一本の筋状の水流となった気泡混入水が流出する。
【0038】
また、ノズル1には、図1乃至3、または、図6に示すように、略円筒状に形成される逃し部材60が設けられる。
逃し部材60の上流側部60aは、ノズル1のケース50の嵌挿溝52に嵌挿可能に構成される。逃し部材60は、これがノズル1に設けられた状態で、逃し部材60の下流側部60bがケース50の下流側部50cにおける下流側の開口よりも下流側に突出するように、構成される。
【0039】
逃し部材60は、二つの逃し孔15・15を有する。
逃し部材60の逃し孔15・15は、周方向に180度位相をずらすようにして(逃し部材60の軸心を中心に対向する位置に)、上下中途部(逃し部材60の軸心方向中途部)の側部にそれぞれ形成される。逃し部材60の逃し孔15・15は、逃し部材60の内周面から外周面に貫通するようにそれぞれ形成される。逃し部材60の逃し孔15・15は、逃し部材60の側部を周方向に略3分の1切欠くように形成される。
【0040】
ノズル1では、このように構成された逃し部材60の上流側部60aがケース50の嵌挿溝52に嵌挿されることによって、逃し部材60が設けられる。
逃し部材60がノズル1に設けられた状態では、逃し部材60の下流側部60bの開口(下流側の開口)は、ケース50の下流側部50cにおける下流側の開口よりも、下流側に位置する。
このように逃し部材60がノズル1に設けられることによって、逃し部材60の下流側の開口は、ノズル1の流出口14として構成される。またこのように逃し部材60が設けられることによって、ノズル1は、逃し孔15を備えることとなる。
【0041】
ノズル1に設けられた逃し部材60は、ケース50の下流側部50cの外側に位置するとともに、ケース50の案内部51の内側に位置することとなる。斯かる状態では、逃し部材60とケース50の下流側部50cとの間、および、逃し部材60とケース50の案内部51との間に、それぞれ隙間が形成される。
また、逃し部材60がノズル1に設けられた状態では、逃し部材60の逃し孔15・15は、ケース50の下流側部50cと案内部51との間(上下中途部50bにおける肉厚状に形成される部分の下方の下方)に配置にされる。
そして、ノズル1では、逃し部材60とケース50の下流側部50cとの間の空間と、逃し部材60とケース50の案内部51との間の空間とが、逃し孔15・15を介して連通することとなる。
また、逃し部材60がノズル1に設けられた状態では、逃し部材60の逃し孔15・15は、ノズル1の空気導入部13における空気の出口の開口よりも下流側に配置されるともに、流出口14(逃し部材60の下流側部60b)よりも上流側に配置されることとなる。
このように逃し孔15を備える逃し部材60が設けられて構成されるノズル1では、前記ノズル1内(ケース50の下流側部50c内)で滞留して上流側に逆流しようとする気泡混入水は、ケース50の下流側部50cにおける下流側の開口から逃し部材60とケース50の下流側部50cとの間の空間に入り、当該逃し部材60とケース50の下流側部50cとの間の空間を介して、逃し部材60の逃し孔15からノズル1外(逃し部材60とケース50の案内部51との間の空間)へ流出することとなる(図3に示す矢印「C」参照)。
【0042】
つまり、逃し孔15を備える逃し部材60が設けられて構成されるノズル1では、前記ノズル1内(ケース50の下流側部50c内)で滞留して上流側に逆流しようとする気泡混入水が空気導入部13における空気の出口に至る前に、当該気泡混入水を、逃し部材60とケース50の下流側部50cとの間の空間を介して、逃し部材60の逃し孔15からノズル1外(逃し部材60とケース50の案内部51との間の空間)へ逃すように流出させることができる。
したがって、ノズル1によれば、前記ノズル1内で逆流しようとする気泡混入水が空気導入部13における空気の出口から空気導入部13に流入すること、を防止することができる。
よって、ノズル1によれば、その流出口14(逃し部材60の下流側の開口)を洗浄対象物に近接させて気泡混入水を流出させた際に、気泡混入水がノズル1内で逆流しようとする場合においても、より確実に、水の流出口から流入した水に空気を混入させて気泡混入水とし、流出口14から当該気泡混入水を流出することができる。
【0043】
逃し部材60は、逃し部材60の下流側の開口に、円筒状のチューブ部材6を設けて構成してもよい(図7参照)。この際、チューブ部材6の下流側の開口は、ノズル1の流出口14として構成される。
逃し部材60のチューブ部材6は、洗浄対象物に流出口14を当接させ当該洗浄対象物を洗浄する場合に、洗浄対象物が傷つくことを防止するためのものであり、例えば、合成ゴム素材で構成される。
【0044】
また、ノズル1のケース50は案内部51を有するので、前記逃し部材60の逃し孔15から逃し部材60とケース50の案内部51との間の空間へ流出された気泡混入水は、逃し部材60とケース50の案内部51との間の空間から下流側(洗浄対象物側)に案内されて、案内部51の下流側端から流出させることができる。
したがって、ノズル1によれば、前記逃し部材60の逃し孔15から逃し部材60とケース50の案内部51との間の空間へ流出された気泡混入水が外側に飛散ることを防止して、より確実に当該気泡混入水を洗浄対象物に接触させてこれを洗浄することができる。
【0045】
ノズル1のケース50における案内部51の下流側端部に、下流側に突出するように発泡素材からなる円筒状の発泡部材5を設けて、これを当接させながら洗浄対象物を洗浄してもよい(図8参照)。
【0046】
また、このようにノズル1に設けられる逃し部材60では、前記ノズル1内(ケース50の下流側部50内)で滞留して上流側に逆流しようとする気泡混入水が空気導入部13における空気の出口に至る前に、当該気泡混入水を、逃し部材60とケース50の下流側部50cとの間の空間を介して、逃し部材60の逃し孔15からノズル1外(逃し部材60とケース50の案内部51との間の空間)へ逃すように流出させることができる。
したがって、逃し部材60によれば、前記ノズル1内で逆流しようとする気泡混入水が空気導入部13における空気の出口から空気導入部13に流入すること、を防止することができる。
よって、逃し部材60によれば、ノズル1の流出口14(逃し部材60の下流側の開口)を洗浄対象物に近接させて気泡混入水を流出させた際に、気泡混入水がノズル1内で逆流しようとする場合においても、より確実に、ノズル1に、水の流出口から流入した水に空気を混入させて気泡混入水とさせ、流出口14から当該気泡混入水を流出させることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ノズル
11 流入部
12 絞り部
13 空気導入部
14 流出口
15 逃し孔
20 接続部材
30 絞り部材
50 ケース
60 逃し部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流出口から流入した水に空気導入部における空気の出口の開口から導入された空気を混入させて気泡混入水とし、前記気泡混入水を流出するノズルに設けられる、逃し部材であって、
前記空気導入部における空気の出口の開口よりも下流側に配置され、前記ノズル内を上流側に逆流しようとする気泡混入水を前記ノズル外へ逃すように流出させる、逃し孔を備える、逃し部材。
【請求項2】
水の流出口から流入した水に空気導入部における空気の出口の開口から導入された空気を混入させて気泡混入水とし、前記気泡混入水を流出するノズルであって、
前記空気導入部における空気の出口の開口よりも下流側に配置され、前記ノズル内で上流側に逆流しようとする気泡混入水を前記ノズル外へ逃すように流出させる、逃し孔を備える逃し部材が設けられる、ノズル。
【請求項3】
水の流出口から流入した水に空気導入部における空気の出口の開口から導入された空気を混入させて気泡混入水とし、前記気泡混入水を流出するノズルであって、
前記空気導入部における空気の出口の開口よりも下流側に配置され、前記ノズル内で上流側に逆流しようとする気泡混入水を前記ノズル外へ逃すように流出させる、逃し孔を備える、ノズル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−250210(P2012−250210A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126506(P2011−126506)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(511048395)株式会社k&kサービス (3)
【出願人】(000114972)ヤンマー産業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】