説明

逆ベシクル組成物

【課題】安定性に優れ、使用感が良好な逆ベシクル組成物の提供。
【解決手段】(A)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類


(R1はヒドロキシル基等が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖アルキル基;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子;X1、X2、及びX3は水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基、X4は水素原子等;R2及びR3は水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基;a個のRは水素原子又はアミジノ基か、ヒドロキシル基等の置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖アルキル基;aは2又は3の数)、(B)炭素数16〜30の脂肪酸、(C)炭化水素油、(D)25℃で液状のエステル油、及び(F)水を含有し、成分(C)と成分(D)の質量割合が、1≦(C)/(D)<1000であり、分子量1000以下の界面活性剤の含有量が1質量%以下である逆ベシクル組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆ベシクル組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの角質層は、細胞間脂質がラメラ構造を形成し、バリア機能や保湿機能に重要な働きを示すことが知られている。クリームや乳液等の皮膚外用剤に対しては、このような機能を高め、肌の状態を改善することが、優れた製剤として求められている。
また、バリア機能や保湿機能を高めるという観点からは、肌のラメラ構造と同じラメラ構造を有した製剤を提供することが、浸透性、保湿効果の点で望ましい。ベシクル構造を有する製剤は、構造が細胞構造に似ていることから、浸透性、保湿効果などの点で、更に高い機能を有するものと考えられる。
【0003】
しかして、連続相が油相である例は非常に少なく、非イオン界面活性剤、油及び水で構成される逆ベシクルの例(非特許文献1)、スクロースモノアルカノエート、ヘキサエチレングリセロールヘキサデシルエーテルとヘプタンで構成される水を含まない逆ベシクルの例(非特許文献2)が知られている程度である。
しかしながら、ラメラ構造を有した逆ベシクル組成物は、連続相が油であり静電反発力が存在しないことから、極めて不安定であるという問題があった。
【非特許文献1】Hironobu Kunieda et.al., Langmuir, 1991, 7, 1915-1919
【非特許文献2】Hironobu Kunieda et.al., J.Phys.Chem., 1993, 97, 9525-9531
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、安定性に優れ、使用感が良好な逆ベシクル組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、皮膚に本来存在するスフィンゴシン類と、特定の脂肪酸で形成される塩を乳化剤として用いるとともに、炭化水素油とエステル油を特定の割合で組み合わせて用いることにより、経時安定性に優れ、使用感が良好で、保湿効果の高い逆ベシクル組成物が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(F):
(A)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖アルキル基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のRは各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖アルキル基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(B)炭素数16〜30の脂肪酸、
(C)炭化水素油、
(D)25℃で液状のエステル油
(F)水
を含有し、成分(C)と成分(D)の質量割合が、1≦(C)/(D)<1000であり、分子量1000以下の界面活性剤の含有量が1質量%以下である逆ベシクル組成物を提供するものである。
また、本発明は、当該逆ベシクル組成物の製造方法を提供するものである。
【0009】
本発明において、逆ベシクルとは、「脂質もしくは親水性部位と親油性部位を有する両親媒性化合物からなる二分子膜によって囲まれた油相を有する微小な構造体」をいう。更には、「逆ベシクル構造においては、親水性部位と親油性部位を有する両親媒性化合物の疎水性部位が油相に面するように配向し、親水性部位が二分子間膜構造体内部を形成する。」ものをいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明の逆ベシクル組成物は、低温から高温の広い温度範囲において安定であり、使用感が良好であるとともに、皮膚に浸透しやすく、保湿効果に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明で用いる成分(A)のスフィンゴシン類は、前記一般式(1)で表わされるものである。
式中、R1は、ヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜24の直鎖アルキル基である。更に、炭素数10〜24の直鎖アルキル基、一般式(1)のYに結合する炭素原子にヒドロキシル基を持つ炭素数10〜24の直鎖アルキル基が好ましい。具体的には、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、1−ヒドロキシトリデシル基、1−ヒドロキシペンタデシル基が好ましい。
【0012】
Yはメチレン基(CH2)、メチン基(CH)又は酸素原子のいずれかを示す。
1、X2、及びX3は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基、グリセリル基、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成する置換基を示す。更に、X1、X2、及びX3のうち0〜1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子、及びX4が水素原子であるものが好ましい。なお、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。
【0013】
2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、更にR3は水素原子であることが好ましい。
【0014】
また、aは2又は3の数を示し、aが2のときRはR4及びR5を示し、aが3のときRはR4、R5及びR6を示す。
【0015】
4、R5及びR6は、各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖アルキル基を示す。ここで、アルキル基に置換し得るヒドロキシアルコキシ基としては炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のヒドロキシアルコキシ基が好ましい。またアルコキシ基としては、炭素数1〜7の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基が好ましい。R4、R5及びR6としては、例えば水素原子;メチル、エチル、プロピル、2−エチルへキシル、イソプロピル等の直鎖又は分岐鎖アルキル基;ビニル、アリル等のアルケニル基;アミジノ基;ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシへキシル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル、2−メトキシエチル、1−メチル−2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、3−メトキシプロピル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基から選ばれる1〜6個が置換した総炭素数1〜8の炭化水素基が挙げられる。
【0016】
更に水素原子、又はメチル基、2−ヒドロキシエチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル等のヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよいアルキル基が好ましい。
【0017】
一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類としては、次の一般式(3)で表わされる天然又は天然型スフィンゴシン類、及びその誘導体(以下、天然型スフィンゴシンと記載する。)が好ましい。
【0018】
【化2】

【0019】
(式中、R12はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜24の直鎖アルキル基を示し;Y1はメチレン基又はメチン基を示し;X8、X9及びX10は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X11は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Y1がメチン基のとき、X8とX9のいずれか一方が水素原子を示し、他方は存在しない。X11がオキソ基を形成するとき、X10は存在しない。);R13はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;a個のR1は各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜4の直鎖アルキル基を示し;aは2又は3の数を示し;破線部は不飽和結合があってもよいことを示す)
【0020】
ここでR12としては、炭素数7〜24の直鎖アルキル基が好ましく、更に炭素数13〜24の直鎖アルキル基が好ましい。aは2が好ましく、R1は各々独立して水素原子、又は炭素数1〜4の直鎖アルキル基が好ましい。
【0021】
一般式(3)で表わされる天然型スフィンゴシンとしては、具体的には、天然のスフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン、デヒドロスフィンゴシン、デヒドロフィトスフィンゴシン、及びこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)等が挙げられる。
これらのスフィンゴシンは天然型(D(+)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(−)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。
更に、PHYTOSPHINGOSINE(INCI名;8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
【0022】
【化3】

【0023】
これらは、天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
天然型スフィンゴシンの市販のものとしては、例えば、D-Sphingosine(4-Sphingenine) (SIGMA-ALDRICH社)、DS-phytosphingosine (DOOSAN社)、phytosphingosine(コスモファーム社)が挙げられる。
【0024】
成分(A)のスフィンゴシン類は、後述の成分(B)と共に、親水性部位と親油性部位を形成する両親媒性塩を形成し、後述の成分(C)及び(D)の中で、二分子膜を形成する成分となる。
成分(A)は1種以上を用いることができ、全組成中に0.001〜10質量%含有するのが好ましく、0.005〜3質量%、更に0.01〜3質量%含有することが、逆ベシクルの形成、安定性の点でより好ましい。
【0025】
本発明で用いる成分(B)の脂肪酸は、スフィンゴシン類のアミン基と酸−塩基の中和反応により塩を形成し、スフィンゴシン類がカチオン化され、親水性部位を形成し、活性剤的な働きをするようになると考えられる。スフィンゴシン類の塩は、例えば、通常化合物の構造を特定するために用いられる、赤外吸収分光法やプロトン核磁気共鳴分光法等を用いて確認することができる。
【0026】
成分(B)の脂肪酸は、炭素数16〜30であることが必要であり、ベシクル組成物の二分子膜を形成しやすい点から、炭素数16〜22の飽和又は不飽和の脂肪酸が好ましい。炭素数16〜30のものであると、複数の油性成分の混合型であっても、安定な逆ベシクル組成物を得ることができる。具体的には、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等の不飽和脂肪酸が挙げられる。
これらのうち、炭素数16〜22の直鎖飽和脂肪酸、更にパルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が、良好な使用感や安定性の点から好ましい。
【0027】
成分(B)の脂肪酸は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.001〜10質量%含有するのが好ましく、0.005〜6質量%、更に0.01〜3質量%含有するのが、二分子膜を形成し、逆ベシクルの安定性の点でより好ましい。
【0028】
また、成分(B)は、成分(A)のスフィンゴシン類のアミン基部分をカチオン化するために、成分(A)1モルに対して0.3モル以上含有するのが好ましく、0.3〜5モル、更に0.5〜3モル含有するのが、逆ベシクルの形成と安定性の点でより好ましい。
【0029】
本発明で用いる成分(C)の炭化水素油としては、25℃で液状、半固体又は固体状で、合成又は天然由来のものが含まれる。液状の炭化水素油としては、液状ラノリン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、水添ポリオレフィン、スクワラン等が挙げられ;半固体又は固体状の炭化水素油としては、ワセリン、ラノリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等のワックス類などが挙げられる。
これらのうち、液体の炭化水素油が好ましく、更に、流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、スクワラン等が、逆ベシクルの安定性の点からが好ましい。
【0030】
成分(C)の炭化水素油は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.1〜50質量%含有するのが好ましく、0.1〜30質量%、更に1〜15質量%含有するのが、逆ベシクルの安定性の点からより好ましい。
【0031】
本発明で用いる成分(D)の25℃で液状のエステル油としては、コレステロール、炭素数12〜22の高級アルコール、炭素数4以下のアルコール又は多価アルコールと、脂肪酸とのエステルが好ましく、例えばリンゴ酸ジイソステアリル、乳酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、 ジカプリン酸プロピレングリコール、イソノナン酸オクチル、イソステアリン酸フィトステリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、コレステロールイソステアレート等が挙げられ、糖類と脂肪酸からなるエステルを除くものである。
これらのうち、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、ジカプリン酸プロピレングリコール、イソノナン酸オクチル、イソステアリン酸フィトステリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、コレステロールイソステアレートが好ましい。
【0032】
成分(D)のエステル油は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜50質量%含有するのが好ましく、0.01〜30質量%、更に0.1〜15質量%含有するのが、逆ベシクルの安定性の点からより好ましい。
【0033】
本発明においては、成分(C)と成分(D)の質量割合が、1≦(C)/(D)<1000であり、好ましくは9≦(C)/(D)≦70、更に好ましくは9≦(C)/(D)≦10である。
成分(C)及び(D)の質量割合をこの範囲内とすることにより、成分(A)及び(B)で構成される両親媒性化合物が強固な二分子膜を形成し、安定性に優れた逆ベシクル組成物を得ることができる。
【0034】
本発明においては、更に(E)セラミド類を含有することができる。セラミド類は、成分(A)及び(B)で構成される両親媒性化合物の二分子膜界面に配向し、逆ベシクルの安定性をより向上させるので好ましい。
セラミド類としては、一般式(2)で表わされるものが好ましい。
【0035】
【化4】

【0036】
(式中、R7はヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X5、X6及びX7は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Zがメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X7は存在しない。);R8及びR9は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R10はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;R11は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい、総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し(但し、R7が水素原子、Zが酸素原子のときR11は総炭素数10〜30の炭化水素基であり、R7が炭化水素基のときR11は総炭素数1〜8の炭化水素基である);破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)
【0037】
式中、R7は、ヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子である。
Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子のいずれかを示す。
【0038】
5、X6及びX7は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示す。X5、X6、及びX7のうち0〜1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子であるのが好ましい。Zがメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X4は水素原子かグリセリル基であるのが好ましい。
8及びR9は、水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、好ましいR8は水素原子又はヒドロキシメチル基であり、好ましいR9は水素原子である。
【0039】
10は、ヒドロキシル基、カルボキシ基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。好ましくは、ヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜35の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基、又は該炭化水素基のω位に、ヒドロキシル基が置換してもよい炭素数8〜22の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合又はアミド結合したものが挙げられる。結合する脂肪酸としては、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸又はリノール酸が好ましい。
【0040】
11は、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基である。R7が水素原子、Zが酸素原子のときR11は総炭素数10〜30の炭化水素基である。また、R7が炭化水素基のときR11は総炭素数1〜8の炭化水素基である。R11としては、水素原子あるいは、ヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよい総炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。ここで、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基としては、炭素数1〜7のものが好ましい。
【0041】
一般式(2)で表わされるセラミド類としては、次の一般式(4)又は(5)で表わされるセラミド類であることが好ましい。
(I)一般式(4)で表わされる天然又は天然型セラミド類、及びその誘導体(以下、天然型セラミドと記載する。)。
【0042】
【化5】

【0043】
(式中、R21はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Z1はメチレン基又はメチン基を示し;X12、X13、及びX14は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し;X15は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Z1がメチン基のとき、X12とX13のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X15がオキソ基を形成するとき、X14は存在しない。);R22はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R23は水素原子を示すか、炭素数1〜4のアルキル基を示し;R24はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該アルキル基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す。)
【0044】
好ましくは、R21が炭素数7〜19、更に好ましくは炭素数13〜15の直鎖アルキル基;R24がヒドロキシル基が置換しても良い炭素数9〜27の直鎖アルキル基又はリノール酸がエステル結合した炭素数9〜27の直鎖アルキル基である化合物が挙げられる。また、X15は水素原子を示すか、酸素原子とともにオキソ基を形成するのが好ましい。更に、R24としては、トリコシル、1−ヒドロキシペンタデシル、1−ヒドロキシトリコシル、ヘプタデシル、1−ヒドロキシウンデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したノナコシル基が好ましい。
【0045】
天然型セラミドの具体的な例示として、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1〜7(例えば、J. Lipid Res., 24:759(1983)の図2、及びJ. Lipid. Res.,35:2069(1994)の図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)が挙げられる。
【0046】
更にこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)も含まれる。
これらのセラミドは天然型(D(−)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(+)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。更に、CERAMIDE1、CERAMIDE2、CERAMIDE3、CERAMIDE5、CERAMIDE6IIの化合物(以上、INCI、8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
【0047】
【化6】

【0048】
これらは天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
このような天然型セラミドの市販のものとしては、Ceramide I、Ceramide III、Ceramide IIIA、Ceramide IIIB、Ceramide IIIC、Ceramide VI(以上、コスモファーム社)、Ceramide TIC-001(高砂香料社)、CERAMIDE II(Quest International社)、DS-Ceramide VI、DS-CLA-Phytoceramide、C6-Phytoceramide、DS-ceramide Y3S(DOOSAN社)、CERAMIDE2(セダーマ社)が挙げられる。
【0049】
【化7】

【0050】
(II)一般式(5)で表わされる擬似型セラミド。
【0051】
【化8】

【0052】
(式中、R25は、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;X16は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;R26はヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該炭化水素基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;R27は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基を示す。)
【0053】
26としては、ノニル、トリデシル、ペンタデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したウンデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位に12−ヒドロキシステアリン酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位にメチル分岐イソステアリン酸がアミド結合したウンデシル基が好ましい。
【0054】
27は、R25が水素原子の場合は、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数10〜30の、好ましくは総炭素数12〜20のアルキル基であり、R25がヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である場合には、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜8のアルキル基を示すものが好ましい。R27のヒドロキシアルコキシ基又はアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
【0055】
【化9】

【0056】
一般式(5)としては、R25がヘキサデシル基、X16が水素原子、R26がペンタデシル基、R27がヒドロキシエチル基のもの;R25がヘキサデシル基、X16が水素原子、R26がノニル基、R27がヒドロキシエチル基のもの;又はR25がヘキサデシル基、X16がグリセリル基、R26がトリデシル基、R27が3−メトキシプロピル基の擬似型セラミド類が好ましく、一般式(5)のR25がヘキサデシル基、X16が水素原子、R26がペンタデシル基、R27がヒドロキシエチル基のものが更に好ましい。
【0057】
【化10】

【0058】
(E)セラミド類は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.0001〜10質量%含有するのが好ましく、0.001〜3質量%、更に0.01〜1質量%含有されるのがより好ましい。
【0059】
本発明の逆ベシクル組成物は、(F)水を、全組成中に1〜90質量%含有するのが好ましく、7〜70質量%、更に15〜60質量%含有するのがより好ましい。
【0060】
本発明の逆ベシクル組成物は、分子量1000以下の界面活性剤の含有量が1質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。成分(A)と(B)で構成される構造体にこのような界面活性剤が多量に含まれると、構造を乱してしまうため、逆ベシクル構造が安定化されないばかりか、場合によっては、逆ベシクル構造が作れないことがある。
【0061】
本発明の逆ベシクル組成物は、上記成分以外に、通常の化粧料で使用される成分、例えばシリコーン油等の前記以外の油性成分;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ポリエチレングリコール、グリシンベタイン、キシリトール、トレハロース、マンニトール、エリスリトール、尿素、アミノ酸等の保湿剤;キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアガム等の水溶性増粘剤;アラントイン、酢酸トコフェロール等の薬効剤;セルロースパウダー、ナイロンパウダー、ウレタンパウダー、架橋型シリコーン末、架橋型メチルポリシロキサン、多孔質セルロースパウダー、多孔質ナイロンパウダー等の有機粉体;無水シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機粉体;メントール、カンファー等の清涼剤;pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、殺菌剤、色素などを含有することができる。
【0062】
従来、逆ベシクル組成物は、製造及び実用化が非常に難しいとされてきた。しかし、本発明においては、以下のようにして、逆ベシクル組成物を得ることができた。
成分(A)、(B)、(C)及び水の組み合わせでは、W/O型の乳化物となるが、これに、25℃で液状のエステル油が加えられた場合、界面に並んでいる成分(A)及び(B)で形成された層が、可溶化されて油相と混合しやすくなり、安定性が著しく低下してしまい、乳化が困難になる。そこで、25℃で液状のエステル油を多く含有する場合には、直鎖アルキル基を有するスフィンゴシンと、脂肪酸(特に、直鎖飽和脂肪酸)を組み合わせることにより、成分(A)及び(B)で形成される層のアルキル鎖間の相互作用が高まり、二重膜構造(二分子膜構造)が安定化すると考えられる。また、単純に成分(A)及び(B)のみで形成される層は結晶性が高いため、柔軟な二重膜(二分子膜)は得られないが、エステル油を特定の割合で含むことにより、この層の結晶性をある程度弱め、柔軟性のある二重膜(二分子膜)を製造でき、安定な逆ベシクル組成物が得られると考えられる。
【0063】
本発明の逆ベシクル組成物は、単にW/O型乳化物を肌に塗布するより、皮膚に対する浸透性を高めることができ、皮膚の閉塞性が向上することから、皮膚のバリア機能を向上させ、保湿感を高めることができる。W/O型乳化物は、油中に水が分散し、その界面に疎水的な界面活性剤が親水部を内側に向け、疎水部を外側に向けた状態で配向している。一方、逆ベシクル組成物は、界面が液晶構造をしており、内側にも外側にも疎水部を向けた脂質2重膜であることから、連続層も内包されている層もともに油となる。従って、通常のW/O型乳化物を塗布するよりも、肌へのなじみがよくなり、さらに界面が液晶構造を保っていることから浸透性が向上するものである。
【0064】
本発明の逆ベシクル組成物は、成分(A)〜(D)及び必要に応じて成分(E)を混合して油相とし、各成分が溶解する温度以上に油相を加熱した後、油相と同等の温度に加熱した成分(F)及び必要に応じてその他の水溶性成分を含んだ水相を添加して乳化させ、室温まで冷却することにより製造することができる。室温まで冷却する際には、目視観察しながら、排水しないよう、攪拌装置の回転数を調整するのが好ましい。回転数は、体積あたりの動力値が1000W/m3/h(W:撹拌に費やすワット数、m3:組成物の体積、h:時間)以上、更に3000W/m3/h以上とするのが好ましく、10万W/m3/h以下、更に5万W/m3/h以下を満たすように攪拌するのが好ましい。より具体的には、攪拌装置(ホモジナイザーやプロペラ等)の回転数を調整し、A(アンペア)数をみながら決めることができる。
【0065】
逆ベシクルが形成されていることは、通常液晶を観察する方法に従い、偏光下で顕微鏡観察を行い、ベシクル界面が異方性を有することにより、逆ミセルでないことが確認される構造の異方性パターンから確認することができる。より具体的には、マルターゼクロスが見えることで確認できる。(より明確には、電子顕微鏡等によって観察することができる。)
【0066】
本発明の逆ベシクル組成物は、化粧品、医薬品等として適用でき、中でも、例えば乳液、クリーム、ファンデーション、ヘアクリーム等の化粧料として、更に形態がクリーム状の化粧料に使用するのが好ましい。
【実施例】
【0067】
実施例1〜8、比較例1〜4
表1〜表2に示す組成の組成物を製造した。得られた組成物について、逆ベシクル形成の有無、及びその安定性を評価した。結果を表1〜表2に併せて示す。
【0068】
(製造方法)
成分(A)、(B)、(C)及び(D)に相当する油相成分を90℃で加熱溶解し、撹拌し均一になったところに、90℃の水相成分を加えて乳化を行う。この後、1分1℃の割合で冷却する。冷却中はシェアをかけて排水しないように回転数を調整し、体積あたりの動力値が約3000W/m3/hとして、組成物を得た。製造装置として、特殊機化社製アヂホモミキサー2M−2型(2Lサイズ)を用いた。
【0069】
(評価方法)
(1)逆ベシクル形成の有無:
製造直後の組成物について、通常液晶を観察する方法に従い、偏光下で顕微鏡観察を行うことにより、逆ベシクル形成の有無を確認した。
【0070】
(2)安定性:
各組成物を、50℃、室温(25℃)、−5℃の3条件下で、それぞれ1週間静置した後、以下の基準により外観を目視にて評価した。より具体的には、製造直後の偏光顕微鏡画像視野中(100倍)の逆ベシクルの数を100%とし、1週間経過後の偏光顕微鏡画像視野中(100倍)の逆ベシクルの数を残存数として計測した。
◎;逆ベシクルが60%以上残存していた。
○;逆ベシクルが10%以上60%未満残存していた。
×;逆ベシクルがほとんど観察されなかった。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
実施例9(スキンケアクリーム)
以下に示す組成のスキンケアクリームを、実施例1〜8と同様にして製造した。
(C)/(D)=9
(成分)
フィトスフィンゴシン 0.1(質量%)
ベヘン酸 0.15
擬似セラミド*2 0.4
スクワラン 6
流動イソパラフィン 3
ジメチルポリシロキサン(6cs) 5
デカメチルシクロペンタシロキサン 8.4
シリコーンポリマー(KSG16) 5
コレステロールイソステアレート 1
グリセリン 16
ジプロピレングリコール 3
水 バランス
【0074】
実施例10(スキンケアクリーム)
以下に示す組成のスキンケアクリームを、実施例1〜8と同様にして製造した。
(C)/(D)=9
(成分)
フィトスフィンゴシン 0.05(質量%)
ベヘン酸 0.075
擬似セラミド*2 0.4
スクワラン 6
流動イソパラフィン 3
ジメチルポリシロキサン(6cs) 5
デカメチルシクロペンタシロキサン 8.4
シリコーンポリマー(KSG16) 5
コレステロールイソステアレート 1
グリセリン 16
ジプロピレングリコール 3
水 バランス
【0075】
実施例11(UV防御クリーム)
以下に示す組成のUV防御クリームを、実施例1〜8と同様にして製造した。
(C)/(D)=1.2
(成分)
フィトスフィンゴシン 0.05(質量%)
ベヘン酸 0.075
メトキシケイヒ酸オクチル 5
t−ブチルメトキシベンゾイルメタン 1
PEG・PPG−19/19ジメチコン 5.2
擬似セラミド*2
流動イソパラフィン 3
ステアリン酸マグネシウム 1
スクワラン 3
パラフィンワックス 0.5
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー 5
ジメチルポリシロキサン(6cs) 5
デカメチルシクロペンタシロキサン 9
グリセリン 15
ジプロピレングリコール 3
アスナロエキス 2
海藻エキス 1
ユーカリエキス 1
硫酸マグネシウム 1
パラオキシ安息香酸メチル 0.25
トコフェロール 0.1
香料 0.075
水 バランス
【0076】
実施例9〜11で得られたクリームはいずれも、逆ベシクル構造が観察される。また、広い温度範囲において安定性に優れ、使用感が良好なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(F):
(A)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
【化1】

(式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖アルキル基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;aは2又は3の数を示し;a個のRは各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖アルキル基を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(B)炭素数16〜30の脂肪酸、
(C)炭化水素油、
(D)25℃で液状のエステル油
(F)水
を含有し、成分(C)と成分(D)の質量割合が、1≦(C)/(D)<1000であり、分子量1000以下の界面活性剤の含有量が1質量%以下である逆ベシクル組成物。
【請求項2】
更に、(E)一般式(2)で表わされるセラミド類
【化2】

(式中、R7はヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X5、X6及びX7は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Zがメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X7は存在しない。);R8及びR9は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R10はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;R11は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい、総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し(但し、R7が水素原子、Zが酸素原子のときR11は総炭素数10〜30の炭化水素基であり、R7が炭化水素基のときR11は総炭素数1〜8の炭化水素基である);破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)
を含有する請求項1記載の逆ベシクル組成物。
【請求項3】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(F):
(A)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
【化3】

(式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖アルキル基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;aは2又は3の数を示し;a個のRは各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖アルキル基を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(B)炭素数16〜30の脂肪酸、
(C)炭化水素油、
(D)25℃で液状のエステル油
(F)水
を含有し、成分(C)と成分(D)の質量割合が、1≦(C)/(D)<1000であり、分子量1000以下の界面活性剤の含有量が1質量%以下である組成物の製造方法であって、
成分(A)、(B)、(C)及び(D)を混合して油相とし、成分(A)、(B)及び(C)が溶解する温度以上に油相を加熱した後、油相と同等の温度に加熱した成分(F)を含む水相を添加して乳化させ、室温まで冷却する、逆ベシクル構造を有する組成物の製造方法。
【請求項4】
室温まで冷却する際に、体積あたりの動力値が、
1000W/m3/h以上、10万W/m3/h以下
(W:撹拌に費やすワット数、m3:組成物の体積、h:時間)
を満たすように攪拌する請求項3記載の逆ベシクル構造を有する組成物の製造方法。
【請求項5】
次の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(F):
(A)一般式(1)で表わされるスフィンゴシン類
【化4】

(式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖アルキル基を示し;Yはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2、及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Yがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;aは2又は3の数を示し;a個のRは各々独立して水素原子又はアミジノ基であるか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜8の直鎖アルキル基を示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)、
(B)炭素数16〜30の脂肪酸、
(C)炭化水素油、
(D)25℃で液状のエステル油
(F)水
を含有し、成分(C)と成分(D)の質量割合が、1≦(C)/(D)<1000であり、分子量1000以下の界面活性剤の含有量が1質量%以下であって、
成分(A)、(B)、(C)及び(D)を混合して油相とし、成分(A)、(B)及び(C)が溶解する温度以上に油相を加熱した後、油相と同等の温度に加熱した成分(F)を含む水相を添加して乳化させ、室温まで冷却して製造される逆ベシクル構造を有する組成物。

【公開番号】特開2009−62365(P2009−62365A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205429(P2008−205429)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】