説明

逆止弁、逆止弁装置及びオーガ装置

【課題】吐出性、逆止性、省スペース性に優れ、オーガ装置への適用が容易な逆止弁を提供する。
【解決手段】本発明の逆止弁32は、弾性体で、片面が凸面45で形成された弁部41を有し、凸面からその逆面の凹面47までに至る切れ目46が弁部に形成され、凹面への加圧により切れ目の内面同士を離すように弁部を変形して開くとともに、凸面への加圧により切れ目の内面同士が押圧され密着することにより閉じる。切れ目は、凸面の頂部を通り、1本又は複数で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されるようにオーガ併用圧入引抜機や地盤掘削装置に使用されるオーガヘッドには、エアー、水等の流体が供給され、かかる供給流体がオーガヘッドから吐出される。従来、供給流体を吐出するための吐出口には平型の簡易逆止弁が使用されることがある。
図23〜図25に、従来例に係る平型逆止弁を備えたオーガヘッドを示した。
オーガ装置は図23に示すオーガヘッド10を有する。オーガヘッド10にはホルダ11を介してビット12が備えられる。
図23、図24に示すようにオーガヘッド10内に主供給路13を有し、主供給路13から分岐した分岐供給路14,15により、オーガヘッド10の側部に吐出口14aが、オーガヘッド10の先端部に吐出口15aが形成されている。吐出口14a,15aをそれぞれ含むようにオーガヘッド10の側部及び先端部には、弁取付穴部16,17が設けられている。各弁取付穴部16,17内に吐出口14a,15aを被う平型逆止弁18が設置される。吐出口14a,15aから周辺に離れた位置に軸を置いた弁固定ボルト19によって平型逆止弁18がオーガヘッド10に固定される。弁固定ボルト19と平型逆止弁18との間には弁押さえ板20が適用される。
平型逆止弁18の内側に負荷される供給流体圧力P1(図24(a)参照)による弁を開く力が、平型逆止弁18の外側に負荷される土砂圧力P2(図24(a)参照)による弁を押さえる力に勝れば、図25に示すように吐出口14a,15aを被う平型逆止弁18の可動端部(弁部)18aが外側に反り、吐出口14a,15aが開放され、吐出口14a,15aから供給流体がオーガヘッド10の外部に吐出される。この時の流体の流れを図25に矢印で示した。
可動端部18aは、平型逆止弁18が弁押さえ板20の縁から延出した部分であり、吐出口を遮蔽・開放する弁部を構成する。図24(b)に示すように可動端部18aは可動部長さL1を有する。また、可動端部18aを図24(c)において斜線部で示す。この斜線部の面積S2が土砂圧力P2を受ける面積に相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−92200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、以上の従来技術にあっても次のような問題があった。
まず、エアー、水等の供給流体を吐出する時、土砂圧力P2を受ける面積S2が広いので弁18が完全に開きにくいとともに供給流体の圧力損失が増加する。そのため、供給流体が所望の場所まで届かずに飛散し吐出流体による効果が低下するという問題がある。
また、弁18を開くのに大きな力が必要となるので吐出口14a,15aを大きくすると、流速が低下して吐出流体が所望の場所まで届かず、そのために供給流量を増加すれば、ランニング・コストが増加するという問題がある。
さらに、流体の吐出を止める時、弁18の可動部長さL1が長いので弁18の閉まり動作が遅く、土砂がオーガヘッド10内に逆流するという問題がある。
また、弁取付穴部16,17が大きいために、弁取付穴部16,17に土砂が侵入して固結するという問題がある。弁取付穴部16,17内で土砂が固結すると、弁18が開かず流体を吐出できなくなる。先端部の弁取付穴部17においては特に詰まりやすい。
【0005】
さらに、吐出口14a,15aのサイズの割には、弁取付穴部16,17のサイズが大きくオーガヘッド10に配置しにくいという問題がある。
先端の穴部17に隣接する先端ビット12,12間の内径φB(図23(a)参照)は、掘削性能の低下を招くため広くできないが、弁取付穴部17の径が大きいため、穴部17に隣接するホルダ11,11のオーガヘッド10への溶接面積が確保し難く、溶接強度が低下するという問題がある。
吐出口15aが弁取付穴部17の中心に対して偏芯しており弁取付穴部17が大きいために、図23(c)に示すように吐出口15aをオーガヘッド10の中心に配置できず、そのため均一な吐出ができないという問題がある。また、図25(b)に示すように吐出口14a,15aから吐出される流体が弁18の可動端部18aにより斜め方向に規制される。このように吐出口を適正な位置に配置できず、吐出方向を適正に設定できないので、ビット12の磨耗も多くなり掘削効率が低下するという問題がある。
弁取付穴部16,17は、オーガヘッド10に機械加工で穴を加工して製作するので、弁取付穴部16,17が大きくなるほど加工負担、製作コストが増加するとともに、オーガヘッド10の強度が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、吐出性、逆止性、省スペース性に優れ、オーガ装置への適用が容易な逆止弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、片面が凸面で形成された弁部を有し、前記凸面からその逆面までに至る切れ目が前記弁部に形成され、前記逆面への加圧により前記切れ目の内面同士を離すように前記弁部を変形して開くとともに、前記凸面への加圧により前記切れ目の内面同士が押圧され密着することにより閉じる逆止弁である。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、凸面に圧力を受けると切れ目の内面同士の押圧力を発生させて強固に閉じるので、優れた逆止性を発揮することができる。
また、切れ目を境界として分かれる部分が集合・離散することで開閉するから、開閉動作が機敏となる。
また、切れ目を開閉させる構造となるから外周部を支持して設置することができ、吐出口と同軸に配置することや、吐出口径に近い口径に小さく設計することが可能であり、大きな取付穴を要さず省スペースに設置することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記切れ目は、前記凸面の頂部を通る請求項1に記載の逆止弁である。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、弁部の前後に亘って直進的に流体を吐出することができるとともに、凸面全体に受けた圧力によって切れ目の内面同士の押圧力を効果的に発生させて強固に閉じ、優れた逆止性を発揮することができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記逆面が凹面で形成された請求項1又は請求項2に記載の逆止弁である。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、弁部の肉厚を適度に均一にでき、凹面への加圧により容易に大きな吐出口を開くことができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記凸面の突出高さが前記凸面の直径以下である請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の逆止弁である。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、切れ目の内面同士の過大な押圧力により密着性を損なうことを避けて逆止性を良好に保ちながら、外部に圧力を受けながらも開きやすくすることで流体の吐出時に流体の圧力損失を抑えて吐出性を良好にできる。
【0015】
請求項5記載の発明は、少なくとも前記弁部が弾性体である請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の逆止弁である。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、耐久性良好に繰り返し開閉動作することができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の逆止弁と、当該逆止弁を内部に保持する筒状の保持体とを備えた逆止弁装置である。
【0018】
請求項記6載の発明によれば、保持体を介して吐出孔部に逆止弁を容易に設置し、容易に交換することができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、前記保持体の周面に螺子が切られてなる請求項6に記載の逆止弁装置である。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、保持体を吐出孔部に螺合させて逆止弁を容易に設置することができるとともに、容易に取り外し交換することができる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の逆止弁、又は請求項6若しくは請求項7に記載の逆止弁装置が付設された流体の吐出口を有するオーガ装置である。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、オーガ装置による供給流体の吐出性、逆止性が良好となり、弁設置のために確保するスペースが小さく抑えられることでオーガ装置の強度低下、加工負担、製作コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、開閉動作が機敏で適正な吐出位置や吐出方向を実現でき、凸面に受けた圧力を切れ目の内面同士の密着押圧力にして強固に閉じるから、吐出性、逆止性に優れるとともに、省スペースに設置することができるから、オーガ装置へ容易に適用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るオーガヘッドの側面図(a)、図(a)と90度異なる方向から見た側面図(b)及び底面図(c)である。
【図2】本発明の一実施形態に係るオーガヘッドの水平断面図(a)及び垂直断面図(b)である。
【図3】本発明の一実施形態に係るオーガヘッドの水平断面図(a)及び垂直断面図(b)である。
【図4】本発明の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図5】本発明の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図6】本発明の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図7】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)(c)である。
【図8】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図9】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図10】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図11】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図12】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図13】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図14】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図15】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図16】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図17】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図18】本発明の一実施形態に係る逆止弁及びその保持体の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図19】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁及びその保持体の縦断面図(a)及び正面図(b)である。
【図20】本発明の他の一実施形態に係る逆止弁の異なる状態における縦断面図(a1)(a2)(a3)及び、図(a1)に対応する正面図(b1)、図(a2)に対応する正面図(b2)である。
【図21】本発明の一実施形態に係るオーガスクリューの側面図(a)及び垂直断面図(b)である。
【図22】本発明の一実施形態に係るオーガスクリューの水平断面図である。
【図23】従来例に係るオーガヘッドの側面図(a)、図(a)と90度異なる方向から見た側面図(b)及び底面図(c)である。
【図24】従来例に係るオーガヘッドの水平断面図(a)及び垂直断面図(b)、並びに吐出口部の平面図(c)である。
【図25】従来例に係るオーガヘッドの水平断面図(a)及び垂直断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0026】
本実施形態のオーガ装置は、図1に示すオーガヘッド1を有する。オーガヘッド1にはホルダ11を介してビット12が備えられる。
図1、2に示すようにオーガヘッド1内に主供給路2を有し、主供給路2から分岐した分岐供給路3,4が側部、先端部に開口する。分岐供給路3,4の開口3a,4aからそれぞれ逆止弁装置30が挿入されて設置されている。
【0027】
逆止弁装置30は、保持体31と逆止弁32とから構成される。保持体31は筒状に形成されており、逆止弁32を内部に保持する。保持体31の外周面に雄螺子が切られており、分岐供給路3,4の内周面に切られた雌螺子3b、4bに螺合して固定されている。
逆止弁32は全体がゴム等の弾性体で、図4に示すように弁部41と、外筒部42と、外鍔部43とから形成されている。弁部41、外筒部42及び外鍔部43は、すべて軸44を中心軸として形成された形状を有する。外鍔部43が、保持体31の内周面に形成された周溝31aに嵌合することでと保持体31と同軸で固定されている。逆止弁32を取り付けた保持体31を分岐供給路3,4に装着することで、逆止弁32は分岐供給路3,4に同軸に配置される。
【0028】
オーガヘッド1の外側に配置される弁部41の外面は円錐状の凸面45で形成されている。また弁部41には切れ目46が形成されている。切れ目46は凸面45の頂部を通るように配置されている。本実施形態においては切れ目46は、凸面45の中心を通り弁部41の周縁に両端を配置した直線状に形成されており、互いに90度で交わるように2本設けられている。言い換えれば、軸44から周縁に向かって放射状に4本の切れ目が均等な角度毎で形成されている。図4(b)に示すように弁部41全体は平面視で円形である。切れ目46は凸面45からその逆面である内面47までに至っており、そのため、弁部41は切れ目46を境に4分割される。弁部41の内面は凹面47で形成されている。凸面45及び凹面47も軸44を中心軸として形成された形状である。
【0029】
以上説明した構造の逆止弁32によってオーガヘッド1のエアー、水等の流体の吐出口が形成される。
逆止弁32は、無負荷時又は、弁を開く力と弁を閉じる力の平衡時には、図2及び図4に示すように閉じている。
凹面47を加圧する供給流体圧力P3(図2(a)参照)による弁を開く力が凸面45を加圧する土砂圧力P2(図2(a)参照)による弁を閉じる力との平衡点を越えて高まると、逆止弁32は、かかる凹面47への加圧により、図3及び図5に示すように切れ目46の内面46a同士を離すように弁部41を反り変形して開く。内面46a同士が離れたことによって、これらの間が吐出口48となり吐出口48から供給流体が吐出される。この時の流体の流れを図3及び図5に矢印で示した。
一方、土砂圧力P2による弁を閉じる力が供給流体圧力P3による弁を開く力との平衡点を越えて高まると、逆止弁32は、かかる凸面45への加圧により、図6に示すように切れ目46の内面同士が押圧され密着することにより強固に閉じる。このとき、弁部41は面方向に圧縮される。したがって、凸面45への加圧が高まれば高まるほど、切れ目46の内面同士の押圧力(密着力)が大きくなり、効果的に逆止効果が発揮される。
【0030】
以上の構造によれば図4に示した可動部長さL2が短いので、逆止弁32の開閉動作が機敏となり、逆止時の応答性が良好となる。
また、分岐供給路3,4の開口3a,4aに至る流路中心軸を中心に吐出口48が形成されるため、吐出流体の流速、直線性が良好で、所望の箇所に流体を届かせることができる。
【0031】
供給流体圧力P3による弁を開く力が、面積の小さい凸面45に負荷される土砂圧力P2による弁を閉じる力に勝ればよいから、小さな力で弁を開くことができ、流体吐出時も圧力損失が少なくて済む。下記は、図23〜図25に示した従来例に係る平型逆止弁18と、本実施形態に係る逆止弁32とで弁を開くために必要な供給流体圧力を比較した計算例である。
まず、平型逆止弁18に関し、吐出口径をφ6(mm)、平型逆止弁18の外形を35(mm)として、
外側の受圧面積S2は、S2=3.77(cm)、
弁を閉じる力F2は、F2=受圧面積S2×土砂圧力P2=3.77×P2(kgf)、
吐出口面積S1は、S1=0.283(cm)、
弁を開く力F1は、F1=吐出口面積S1×供給流体圧力P1=0.283×P1(kgf)、
弁を開くために必要な供給流体圧力P1は、P1=3.77×P2/0.283=13.3×P2(kgf/cm) と概算できる。
【0032】
一方、本実施形態に係る逆止弁32に関し、吐出口径φD5をφ5(mm)、凸面45の直径φD2をφ12(mm)として、
凸面45の受圧面積S4は、S4=1.13(cm)、
弁を閉じる力F4は、F4=受圧面積S4×土砂圧力P2=1.13×P2(kgf)、
吐出口面積S3は、S3=0.196(cm)、
弁を開く力F3は、F3=吐出口面積S3×供給流体圧力P1=0.196×P1(kgf)、
弁を開くために必要な供給流体圧力P3は、P3=1.13×P2/0.196=5.77×P2(kgf/cm) と概算できる。
【0033】
したがって、本逆止弁32を開くために必要な供給流体圧力の平型逆止弁18のそれに対する比は P3/P1=(5.77×P2)/(13.3×P2)=0.43=43% と概算できる。
以上のように本実施形態の逆止弁32の方が小さな力で開くことができ、圧力損失が少ないと試算できる。
【0034】
次に、以上の実施形態に対する各種の変形例を開示する。
図7に示す逆止弁33は、切れ目56を一本としたものである。すなわち、切れ目56は、凸面55の中心を通り弁部51の周縁に両端を配置した一直線状に形成されている。切れ目56は一対の対向する内面56a,56aを有し、この間に吐出口58を形成する。その他は上記逆止弁32と同様である。吐出口58は楕円状となる。
本発明の逆止弁の実施にあたっては、切れ目の数や長さを必要に応じて調整する。
弁の切れ目の数や長さを変えることで吐出範囲を簡単に変えることが可能である。切れ目が一本の場合は略楕円状に吐出し、複数本の場合は略円形に吐出し、切れ目の本数が多くなるほど、吐出流体の断面の真円度が高くなる。
【0035】
また、図8〜図17に示す各種形状で本発明の逆止弁を実施することができる。
図8に示す逆止弁は、外周部に保持用の凹部60が周設されたものである。この凹部60を保持体の内周部に周設された凸部に嵌合させて保持する。
【0036】
図9に示す逆止弁は、弁部の凸面が略球面(略断面楕円)形状に形成されたものである。凸面に圧力を受けたとき、弁部材料内における応力の分散性が良好であり、より高い圧力に耐えられる。
【0037】
図10に示す逆止弁は、図4に示した外筒部42に相当する部分がほとんど無くて、薄型に形成されたものである。厚み方向に、よりコンパクトに構成できる。
【0038】
図11に示す逆止弁は、図4に示した外鍔部43に代えて外周面に条61,61が周設されたものであり、条61の両縁に傾斜が付けられている。筒状の保持体内に圧入して保持することができる。
【0039】
図12に示す逆止弁は、図9と同様に弁部の凸面が略球面(略断面楕円)形状に形成され、図10と同様に薄型に形成されたものである。
【0040】
図13に示す逆止弁は、図4に示した外鍔部43に代えて外周面に拡径部62が設けられたものであり、拡径部62の両縁に傾斜が付けられている。筒状の保持体内に圧入して保持することができる。
図14に示す逆止弁は、弁部の凸面が略円錐状であるが、頂部63が平面状に形成されたものである。
【0041】
図15に示す逆止弁は、保持用の外鍔部64が弁部より吐出方向に出ており、弁部が奥に配置されたものである。弁部をより奥に設置することができる。
図16に示す逆止弁は、図4に示した外鍔部43が省略されたものである。図16(a)に示すように保持体の内周縁に立設された内周壁65に外嵌されて保持される。
図17に示す逆止弁は、弁部の凸面が角錐状に形成されたものである。図示のものに限らず、任意の角数の多角形状に形成することができる。
【0042】
また、図18、図19に示す各種形状で本発明の逆止弁を保持する保持体を実施することができる。
図18に示す保持体70は、その外周面の雄螺子がテーパ螺子71とされている。テーパ螺子71の拡径方向が弁32の流体吐出方向とされている。勿論、ストレート螺子でも実施可能である。保持体70の螺子回し部は穴72によって形成されている。穴72は、図18(b)に示す六角形その他の多角形や螺子回し工具に対応したいずれの形状に形成してもよい。
【0043】
図19に示す保持体80は、その外周面の雄螺子がテーパ螺子81とされている。テーパ螺子81の拡径方向が弁32の流体吐出方向とされている。勿論、ストレート螺子でも実施可能である。保持体80の螺子回し部は軸82によって形成されている。軸82は、図19(b)に示す四角形その他の多角形や螺子回し工具に対応したいずれの形状に形成してもよい。
【0044】
次に、凸面の突出高さにつき説明する。
図20に示す逆止弁32Aは、図4に示した逆止弁32に対して弁部41Aを長くし、凸面45Aの突出高さL5を高く形成したものである。突出高さL5は凸面45Aの直径φD2を超えている。
この逆止弁32Aの場合、図20(a2)(b2)に示すように、土砂圧力P2を受ける受圧面積、すなわち、凸面45Aの面積が大きいため、吐出口は開きにくく流体の圧力損失は大きくなる。
また逆止弁32Aは弁部41Aが長いので、図20(a3)に示すように土砂圧力P2を受けて内側に凹むよう撓みやすく、切れ目の内面が離れて土砂が侵入し逆止性が悪化するおそれがある。
したがって、凸面の突出高さが凸面の直径以下であることが好ましい。
【0045】
本実施形態のオーガ装置は、以上のオーガヘッド1をオーガスクリューに連結して構成される。例えば、図21、図22に示すオーガスクリュー9が適用される。本オーガスクリュー9の流体吐出口には、上記の逆止弁装置30が付設されている。本オーガスクリュー9の適用により、オーガスクリューの流体吐出に関しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 オーガヘッド
2 主供給路
3,4 分岐供給路
3a,4a 開口
30 逆止弁装置
31 保持体
32 逆止弁
33 逆止弁
41 弁部
45 凸面
46 切れ目
46a 切れ目の内面
47 凹面
48 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面が凸面で形成された弁部を有し、前記凸面からその逆面までに至る切れ目が前記弁部に形成され、前記逆面への加圧により前記切れ目の内面同士を離すように前記弁部を変形して開くとともに、前記凸面への加圧により前記切れ目の内面同士が押圧され密着することにより閉じる逆止弁。
【請求項2】
前記切れ目は、前記凸面の頂部を通る請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記逆面が凹面で形成された請求項1又は請求項2に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記凸面の突出高さが前記凸面の直径以下である請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載の逆止弁。
【請求項5】
少なくとも前記弁部が弾性体である請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の逆止弁。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の逆止弁と、当該逆止弁を内部に保持する筒状の保持体とを備えた逆止弁装置。
【請求項7】
前記保持体の周面に螺子が切られてなる請求項6に記載の逆止弁装置。
【請求項8】
請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載の逆止弁、又は請求項6若しくは請求項7に記載の逆止弁装置が付設された流体の吐出口を有するオーガ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−231814(P2011−231814A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100618(P2010−100618)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000141521)株式会社技研製作所 (83)
【Fターム(参考)】