説明

逆流防止口栓及び容器

【課題】逆流防止口栓及び容器において、高粘度乃至超高粘度の流動体にも好適に使用できるようにする。
【解決手段】赤道面10cを最大径として上部半球面10aと下部半球面10bとが形成されて成る栓部材10と、栓部材10に被嵌され、上部半球面10aを覆う部分に吐出口13が形成され下部半球面10bの下端部を下向きに開放させる流入口14が形成された弾性膜体11とを有し、栓部材10の上部半球面10aと面接触する頭頂シール部17と、栓部材10の下部半球面10bと接触する裾シール部18とが設けられている。裾シール部18から膨張スペース25を経て頭頂シール部17までを略同厚に設定することにより、ソフトに押しても内容物が出せ、しかも2重シールができ、細菌等の侵入を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆流防止口栓及びこの逆流防止口栓を具備して成る容器に関するものである。
本明細書では、容器1をその容器口部2が上を向くように起立させた姿勢を基準にして、容器1自体の上下方向を言うものとし、またこのとき容器口部2へ装着されている逆流防止口栓5の姿勢を基準にして、この逆流防止口栓5の上下方向を言うものとする。
【背景技術】
【0002】
容器口部に設けられる逆流防止口栓として、吐出口を有する弾性膜体と、この弾性膜体内に配置された栓部材とを備え、栓部材は弾性膜体が弾力的に密着する球状シール面を有し、更に弾性膜体の吐出口側の周囲には、厚肉部と薄肉部とが周方向で交互配置で設けられものが知られている(特許文献1等参照)。
この公知の逆流防止口栓では、弾性材によって形成された弾性膜体は、その吐出口まわりにおいて厚肉部より薄肉部の方が膨れやすく且つ伸びやすくなっており、容器側に充填された流動体を押し出すようにしたとき、容器内圧の上昇に伴い、流動体は薄肉部を栓部材から押し開くようにしつつ通じて吐出口から吐出されるようになる。
【0003】
なお、厚肉部は薄肉部よりも膨れ難く且つ伸び難くなっているため、流動体の吐出時には栓部材の吐出方向への移動を規制する作用を奏する。
この種の逆流防止口栓及びこの逆流防止口栓を具備して成る容器では、一旦、吐出した後の流動体が容器内へ逆流することがないため、容器内の流動体が大気中の雑菌によって汚染されてしまったり、酸化してしまったりすることがない利点がある。
【特許文献1】特開2005−219780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来公知の逆流防止口栓は、目薬など、低粘度の流動体を対象とした容器で採用されている。ところが、この逆流防止口栓を具備する容器へ高粘度乃至超高粘度の流動体(例えば、トリートメントといった整髪剤等)を充填して使用すると、弾性膜体の吐出口まわりにおいて、薄肉部を栓部材から押し開くうえで強力な押出圧(容器内圧)が必要になり、吐出方向が定まらないなど、結果として、吐出が甚だ困難になるということがあった。殊に、女性や高齢者、子供などにとっては流動体の吐出が不可能であることもあった。
また、流動体が薄肉部と栓部材との間に残留してしまい、その後、栓部材に対する弾性膜体の密着性を低下又は悪化させ、逆流防止作用や容器内流動体の汚染防止といった基本的な作用が得られない場合もあった。
【0005】
その他、流動体の吐出を終了させた後も、吐出口の外部側で流動体がジワジワと染み出すといったこともあった。このようになると、染み出た流動体が容器外面へと伝い流れて、容器自体が汚れるといったことに繋がっていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高粘度乃至超高粘度の流動体にも好適に使用できるようにした逆流防止口栓及び容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る逆流防止口栓は栓部材と弾性膜体とを有している。栓部材は、平面視円形の胴体に対し、そのまわりに形成される赤道面が最大径となるように、胴体上部に上部半球面が形成され、また胴体下部に下部半球面が形成されて成る。弾性膜体は、栓部材に対して上部半球面から赤道面を超えて下部半球面へ及ぶ領域へ被嵌され、且つ上部半球面を覆う部分に外部へ連通する吐出口が形成され、下部半球面の下端部を下向きに開放させる流入口が形成されたものである。
【0007】
このようにして成る本発明に係る逆流防止口栓は、弾性膜体のまわりに膨張スペースを保持しつつ外嵌されるキャップにより、容器口部へ装着される。
そして弾性膜体には、栓部材の上部半球面に対して弾性力を生じさせつつ面接触する頭頂シール部と、下部半球面に対して弾性力を生じさせつつ接触する裾シール部とが設けられている。
頭頂シール部は、上部半球面に対して少なくともその上端部に面接触するものであり、この面接触領域内に吐出口が配されるようになっている。また裾シール部は、下部半球面に対してこれを一周する状態で接触するものであり、この接触領域より下方で流入口が形成されるようになっている。裾シール部により、栓部材に吐出口へ向けた弾性力が作用する。
【0008】
このような構成の逆流防止口栓であれば、弾性膜体が頭頂シール部と裾シール部との上下二箇所によって栓部材に接触する状態となる。このような上下2箇所の接触によって、栓部材は2重にシールされることになる。そのため流動体の確実なシールができる。また従来と異なり、弾性膜体に厚肉部は設けられていないので、高粘度乃至超高粘度の流動体であっても容易且つ確実に吐出できるようになる。これは、吐出時の押圧力で容器内圧が上昇し、弾性膜体が膨張スペースに膨らみ易くなって流路が広がることにより吐出圧力が下がるためである。
【0009】
弾性膜体において、裾シール部から膨張スペースを経て頭頂シール部までは略同厚に形成するのが好適である。このようにすることで、高粘度乃至超高粘度の流動体であっても容易且つ確実に吐出できるようになる。これは、吐出時の押圧力で容器内圧が上昇し、弾性膜体が膨張スペースに膨らみ易くなって流路が広がることにより吐出圧力が下がるためである。また、吐出終了後のシールが確実に行えるので、吐出口の外部側で流動体がジワジワと染み出すといったことを防止でき、容器外面が染み出た流動体で汚れることもない。
【0010】
弾性膜体の裾シール部及び頭頂シール部は、1.5mm以下(更に好ましくは0.3mm以下)の肉厚に形成するのが好適である。
弾性膜体の裾シール部は、弾性膜体の外周面全周に連続した周溝を形成させたことに伴い、径方向内方へ突出する状態となる環状突起によって形成すればよい。
このような環状突起で形成させる裾シール部では、栓部材に対する接触状態が線接触状となり、高面圧となってシール性が高められる。従って高粘度乃至超高粘度の流動体に好適となる。
【0011】
弾性膜体の頭頂シール部と裾シール部との上下間に、栓部材の下部半球面に対し、その全周部にわたって離反した環状空間を形成するとよい。こうすることで、弾性膜体が膨張スペースに膨らみ易くなり、流路が広がるため吐出圧力が下がる。
弾性膜体には、頭頂シール部まわりの全周で径方向外方へ張り出すフランジ部を設けることができる。このフランジ部を設けることで、この取付時にはキャップや容器口部の上端まわりを隠すようにできるため、容器全体としての見栄えを良好にできる。
弾性膜体の上端面は、栓部材の赤道面中心を通る中心軸に対して垂直を成すフラット面として形成するのが好適である。
【0012】
このようにすることで、吐出口まわりに流動体が付着した場合の拭き取りが容易となり、また綺麗な拭き取りができるものとなる。
弾性膜体は、ブチルゴムによって形成するのが好適である。弾性膜体はブチルゴムの他に、シリコンゴムや熱可塑性エラストマー等の高伸縮性材料によって形成されたものでもよく、容器に収容される内容物や流動体の物性により適宜選択される。また、使用用途に合わせて弾性膜体自体を着色して識別することや、弾性膜体にシリコンゴムを用いた場合に栓部材の色目を変えることで流動体の流れを視覚的に確認することも可能である。
【0013】
一方、本発明に係る容器は、上記した本発明に係る逆流防止口栓が、その弾性膜体のまわりに膨張スペースを保持しつつ外嵌されるキャップを介して容器口部に装着されたものである。
弾性膜体には、裾シール部より下位置で径方向外方へ張り出す取付座が設けられており、キャップ及び容器口部で弾性膜体の取付座を挟持する構造とすればよい。これにより構造の簡潔化が図れ、また確実な取り付けができる。
またキャップには、弾性膜体の頭頂シール部に対してその周方向複数箇所に上方から当接するバックアップ部が設けられたものとすればよい。このバックアップ部を設けることで、弾性膜体の膨れすぎや、栓部材の吐出口方向への押出規制が可能となる。
【0014】
この容器は高粘度乃至超高粘度流動体用とすることができる。超高粘度流動体としては、トリートメントといった整髪剤等の粘度を含むように、1000CPS(センチポイズ)以上10000CPS以下のものを対象とすればよい。
また、弾性膜体には、抗菌剤が含まれていることが望ましい。また、栓部材には、抗菌剤が含まれていることが望ましい。また、キャップには、抗菌剤が含まれていることが望ましい。これにより、口栓および容器をさらに衛生的に使用できる。この抗菌剤は質量百分率で3%以下とされていることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る逆流防止口栓及び容器は、高粘度乃至超高粘度の流動体にも従来の不具合を生ずることなく、好適に使用できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は本発明に係る容器1の一実施形態を示しており、図2乃至図5はこの容器1において、容器口部2に樹脂製のキャップ3を介して装着された逆流防止口栓5を示している。容器口部2を備える容器本体6は、その腹部中央6aを押すことで収縮変形が可能とされている。この容器1は、主としてコンディショナーといった調髪剤等、1000CPS以上10000CPS以下程度の超高粘度を示す流動体の収納及び吐出用として使用される。低粘度や高粘度の流動体を対象とする場合にも使用可能である。
【0017】
逆流防止口栓5は栓部材10と弾性膜体11とを有している。
栓部材10は樹脂、例えばポリエチレンやナイロン、ポリプロピレン等の合成樹脂やゴム(ブチルゴム等)等によって形成されたもので、その上下方向中間部を平面視円形の胴体として、この胴体の上部に上部半球面10aが形成され、また胴体の下部に下部半球面10bが形成されている。胴体のまわり、すなわち上部半球面10aと下部半球面10bとの上下間は、赤道面10cとされ、この赤道面10cが栓部材10としての最大径位置となっている。
【0018】
なお、上部半球面10a、下部半球面10b及び赤道面10cは、それぞれに物理的に明確な境界があるわけではなく、栓部材10のなかで最大径となる領域を赤道面10c、それより上部で縮径する領域を上部半球面10a、赤道面10cより下部で縮径する領域を下部半球面10bと定義する。図例の栓部材10は全体が球形とされたものを示してあるが、上下方向を長軸とする長球形や楕円球としてもよい。
栓部材10の大きさは、目薬等の低粘度流動体を対象とする場合よりも大きくするのが好ましく、直径4mmの球形と同等、又はそれ以上とする。球形を採用した本実施形態ではその直径を約6mmとした。
【0019】
弾性膜体11はゴム(ブチルゴム等)等によって形成されたもので、栓部材10に対して上部半球面10aから赤道面10cを超えて下部半球面10bへ及ぶ領域へ被嵌されている。この弾性膜体11は、JISA硬度40度以下とされるが望ましく、より好ましくはJISA硬度30度以下とされるのがよい。この弾性膜体11には、栓部材10の上部半球面10aを覆う部分に、外部へ連通する吐出口13が形成されている。また、栓部材10の下方側へ向け、下部半球面10bの下端部を下向きに開放させるように形成されており、これによってこの開放部分内で流入口14を形成させている。
【0020】
なお、前記キャップ3、栓部材10、弾性膜体11には抗菌剤が含まれている。抗菌剤は、キャップ3,栓部材10、弾性膜体11のそれぞれの成型時に主原料に添加される(練り込まれる)。
抗菌剤としては、例えば抗菌性ゼオライトが使用される。抗菌性ゼオライトとは、抗菌性金属イオンを有するゼオライトをいう。ゼオライトには例えばAー型、X−型、Yー型等がある。ゼオライトは、その分子中に、Na、Ca、K等の各種イオンを有しており、特定のイオン交換量を有しているので、例えば前記イオンを抗菌性金属イオンで置換することにより、抗菌性ゼオライトとすることができる。抗菌性金属イオンとしては、銀ゼオライトが好ましい。
【0021】
好ましい銀ゼオライトとしては、例えばカネボウ、富士ケミカル株式会社製のバクテキラー等がある。抗菌剤の他の例として、大和化学工業株式会社製のバイオデンSK40H等がある。
キャップ3、栓部材10、弾性膜体11に練り込まれる抗菌剤は、質量百分率(重量%濃度)で、0.03%以上3%以下が好ましく、より好ましくは、0.03%以上2%以下がよく、さらに好ましくは0.03%以上1%以下がよい。
キャップ3、栓部材10、弾性膜体11に抗菌剤が練り込まれることによって、大腸菌、黄色ブドウ球菌等の雑菌に対する抗菌性が向上する。
【0022】
弾性膜体11において、栓部材10の上部半球面10aを覆う部分は、弾性力を生じさせつつこの上部半球面10aの少なくとも上端部に面接触して、頭頂シール部17を形成させている。この頭頂シール部17内(面接触領域内)に、上記した吐出口13が配されている。この吐出口13は、一文字状、三つ又(Y字)状、十文字状などのスリットにより形成されている。なお流動体の粘度に応じて、例えば小孔状等としてもよい。
また弾性膜体11において、栓部材10の下部半球面10bを覆う部分は、弾性力を生じさせつつこの下部半球面10bを一周する状態で接触して、裾シール部18を形成させている。この裾シール部18により、栓部材10は吐出口13へ向けて押し上げられるような弾性付勢作用を受け、頭頂シール部17と栓部材10の上部半球面10aとの密着性が高められる。この裾シール部18を境として、これより下方に、上記した流入口14が形成されている。
【0023】
この裾シール部18は、弾性膜体11の外周面全周に連続した周溝19を形成させたことに伴い、径方向内方へ突出する状態となる環状突起20によって形成されている。そのため裾シール部18は、栓部材10に対する接触状態が線接触状となり、高面圧となってシール性が高められる。
またこの環状突起20の上周縁には環状空間21が形成されている。この環状空間21は、頭頂シール部17と裾シール部18との上下間を、下部半球面10bに対して全周的に離反させるようになっている。このことから、この環状突起20によって形成される裾シール部18では、栓部材10を吐出口13へ向けて押し上げる弾性付勢作用は有効に作用し、頭頂シール部17と栓部材10の上部半球面10aとの密着性が一層、高められるという効果が得られる。これによって栓部材10は二重にシールされて高いシール性が確保できる。
【0024】
弾性膜体11には更に、裾シール部18より下位置で径方向外方へ張り出す取付座23と、頭頂シール部17まわりの全周で径方向外方へ張り出すフランジ部24とが設けられている。取付座23は、容器口部2への装着時に使用されるところである。
フランジ部24は、その上面が弾性膜体11としての上端面を形成するところであり、同時に、逆流防止口栓5を容器口部2へ装着した際には容器1としての先端部を形成するところである。そしてこのフランジ部24の上面(弾性膜体11の上端面)は、栓部材10の赤道面10c中心を通る中心軸Pに対して垂直を成すフラット面として形成されている。
【0025】
裾シール部18と頭頂シール部17とは略同厚に形成されており、この肉厚寸法は、1.5mm以下となるように形成されている。更に好ましくは0.3mm以下の肉厚とする。また、この肉厚寸法は、0.1mm以上とされるのがよい。
一方、キャップ3は、上記構成の逆流防止口栓5を外嵌可能な短筒状の中空体であって、且つ弾性膜体11のまわりに膨張スペース25を保持させることができる内径に設定されたものであって、その内側の裾部には、弾性膜体11の取付座23に上から当接可能な内向き段部面26が形成されている。
【0026】
この内向き段部面26より裾側となる環状壁27の内周面に、容器口部2との結合に用いられる雄ねじや凹凸係合部、或いは接着代部などが設けられている。
これに対し、容器口部2にはキャップ3の裾側の環状壁27と嵌合関係を有する円筒首部30が設けられ、この円筒首部30の外周面に、キャップ3との結合に用いられる雌ねじや凹凸係合部、或いは接着代部などが設けられている。そして、この円筒首部30の上部側には、キャップ3の内向き段部面26と対面する肩部31が設けられ、この肩部31の中心部に貫通孔32が形成されている。
【0027】
従って、キャップ3内へ逆流防止口栓5を組み込んだ状態でこのキャップ3を容器口部2へ外嵌させ、結合させれば、逆流防止口栓5は、取付座23がキャップ3の内向き段部面26と容器口部2の肩部31との間で挟持されるようになる。
キャップ3には、弾性膜体11の頭頂シール部17に対してその周方向複数箇所に上方から当接するバックアップ部33が設けられており、逆流防止口栓5は、弾性膜体11の膨れすぎや、栓部材10の吐出口13方向への押出規制がなされる。本実施形態ではバックアップ部33が、周方向で90°おきの4箇所から平面視長方形状に突出するものとした。なお、バックアップ部33の形状や形成数などは限定されるものではない。
【0028】
このようにして容器口部2へ逆流防止口栓5が装着され、そのまわりにキャップ3が外嵌された状態では、逆流防止口栓5の弾性膜体11のまわりに膨張スペース25が保持され、また弾性膜体11の頭頂シール部17にその上方からバックアップ部33が当接する状態となっている。
なお、弾性膜体11に設けられたフランジ部24は、キャップ3に設けられたバックアップ部33等を隠すようになり、容器1の全体として見栄えが良好になる。
このようにして成る容器1では、容器本体6内に高粘度乃至超高粘度の流動体が充填されていたとして、容器本体6の腹部中央6aを押して収縮変形させると、容器本体6内に充填された流動体が逆流防止口栓5へ向け押し出され、貫通孔32を介して逆流防止口栓5の流入口14へと押し詰められる。そして流動体は、弾性膜体11の裾シール部18を栓部材10の下部半球面10bから押し開き、赤道面10cを経て、頭頂シール部17へと向かう。そして、バックアップ部33の相互間となる頭頂シール部17を上部半球面10aから押し開きつつ、吐出口13から吐出されるようになる。
【0029】
容器本体6の腹部中央6aを押すのを止めれば、容器本体6は、逆流防止口栓5に対する流動体の押出圧もなくなる。そのため、弾性膜体11は頭頂シール部17と裾シール部18との上下二箇所によって栓部材10に面接触する状態に戻り、流動体の確実なシールがなされる。
なお、このとき吐出口13まわりに流動体が付着していた場合でも、吐出口13まわりに設けられたフランジ部24の上端面がフラットに形成されていることから、付着した流動体の拭き取りは容易、且つ綺麗にできる。
【0030】
弾性膜体11において、裾シール部18と頭頂シール部17とが略同厚で、且つ1.5mm以下(好ましくは0.3mm以下)の肉厚とされていることで、高粘度乃至超高粘度の流動体であっても容易且つ確実に吐出できるようになる。また、吐出終了後のシールが確実に行えるので、吐出口13の外部側で流動体がジワジワと染み出すといったことを防止でき、容器1の外面が染み出た流動体で汚れることもない。
図6に示すように、逆流防止口栓5において、弾性膜体11は栓部材10の直径よりも内径が径小とされた筒状を成すものとして形成され、その筒内へ栓部材10を挿入することにより、弾性力を生じつつ栓部材5の外面に密着するようにしてもよい。
【0031】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る容器の一実施形態を示した一部破砕側面図である。
【図2】図1の一部(逆流防止口栓の周辺)を拡大して示した側断面図である。
【図3】図2のA−A線矢視図である。
【図4】図2のB−B線に相当する部分でキャップを示した平面図である。
【図5】図2の状態からの使用状況を説明した側断面図である。
【図6】逆流防止口栓の別実施形態を示したもので(A)は組み立て前の側断面図であり(B)は組み立て後の側断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 容器
2 容器口部
3 キャップ
5 逆流防止口栓
10 栓部材
10a 上部半球面
10b 下部半球面
10c 赤道面
11 弾性膜体
13 吐出口
14 流入口
17 頭頂シール部
18 裾シール部
19 周溝
20 環状突起
21 環状空間
23 取付座
24 フランジ部
25 膨張スペース
33 バックアップ部
P 中心軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視円形の胴体まわりを赤道面(10c)としてこの赤道面(10c)が最大径となるように胴体上下部に上部半球面(10a)及び下部半球面(10b)が形成されて成る栓部材(10)と、
この栓部材(10)に対して上部半球面(10a)から赤道面(10c)を超えて下部半球面(10b)へ及ぶ領域へ被嵌され且つ上部半球面(10a)を覆う部分に外部へ連通する吐出口(13)が形成され下部半球面(10b)の下端部を下向きに開放させる流入口(14)が形成された弾性膜体(11)とを有し、
この弾性膜体(11)のまわりに膨張スペース(25)を保持しつつ外嵌されるキャップ(3)により容器口部(2)へ装着される逆流防止口栓であって、
上記弾性膜体(11)には、
栓部材(10)の上部半球面(10a)に対し少なくともその上端部に弾性力を生じさせつつ面接触してこの面接触領域内に上記吐出口(13)を配した頭頂シール部(17)と、
栓部材(10)の下部半球面(10b)に対しこれを一周する状態で栓部材(10)に吐出口(13)へ向けた弾性力を生じさせつつ接触してこの接触領域より下方を上記流入口(14)とさせる裾シール部(18)とが設けられていることを特徴とする逆流防止口栓。
【請求項2】
前記弾性膜体(11)の裾シール部(18)から膨張スペース(25)を経て頭頂シール部(17)までは略同厚に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の逆流防止口栓。
【請求項3】
前記弾性膜体(11)の裾シール部(18)及び頭頂シール部(17)は1.5mm以下の肉厚に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の逆流防止口栓。
【請求項4】
前記弾性膜体(11)の裾シール部(18)は、弾性膜体(11)の外周面全周に連続した周溝(19)を形成させたことに伴い径方向内方へ突出する状態となる環状突起(20)によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の逆流防止口栓。
【請求項5】
前記弾性膜体(11)の頭頂シール部(17)と裾シール部(18)との上下間に、栓部材(10)の下部半球面(10b)に対し、その全周部にわたって離反した環状空間(21)が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の逆流防止口栓。
【請求項6】
前記弾性膜体(11)には、頭頂シール部(17)まわりの全周で径方向外方へ張り出すフランジ部(24)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の逆流防止口栓。
【請求項7】
前記弾性膜体(11)の上端面が栓部材(10)の赤道面(10c)中心を通る中心軸(P)に対して垂直を成すフラット面として形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の逆流防止口栓。
【請求項8】
前記弾性膜体(11)は、高伸縮性材料によって形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の逆流防止口栓。
【請求項9】
前記弾性膜体(11)は、ブチルゴムによって形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の逆流防止口栓。
【請求項10】
前記弾性膜体(11)に抗菌剤が含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の逆流防止口栓。
【請求項11】
前記栓部材(10)に抗菌剤が含まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の逆流防止口栓。
【請求項12】
請求項1乃至請求項7、請求項9のいずれか1項に記載の逆流防止口栓(5)が弾性膜体(11)のまわりに膨張スペース(25)を保持しつつ外嵌されるキャップ(3)を介して容器口部(2)に装着されていることを特徴とする容器。
【請求項13】
前記弾性膜体(11)には、裾シール部(18)より下位置で径方向外方へ張り出す取付座(23)が設けられており、キャップ(3)及び容器口部(2)で弾性膜体(11)の取付座(23)を挟持する構造であると共に、
上記キャップ(3)には、弾性膜体(11)の頭頂シール部(17)に対してその周方向複数箇所に上方から当接するバックアップ部(33)が設けられていることを特徴とする請求項12に記載の容器。
【請求項14】
高粘度乃至超高粘度流動体用とされる請求項12又は請求項13に記載の容器。
【請求項15】
前記超高粘度流動体は1000CPS以上10000CPS以下であることを特徴とする請求項14に記載の容器。
【請求項16】
前記キャップ(3)に抗菌剤が含まれていることを特徴とする請求項12乃至請求項15のいずれか1項に記載の容器。
【請求項17】
前記抗菌剤は質量百分率で3%以下とされていることを特徴とする請求項16に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−197087(P2007−197087A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245748(P2006−245748)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【Fターム(参考)】