逆浸透膜の汚染減少
本発明は、逆浸透を利用した新規の水の浄化方法及びシステムを提供する。本発明は特に、逆浸透処理システムへと供給される水を前処理するためのイオン交換樹脂及び吸収媒体を使用する方法及び水の浄化システムを提供する。前記前処理は膜表面及び経路での汚染、もしくは堆積または化学攻撃を減少させる。特に、平均細孔径1,000から500,000オングストローム及び破砕強度またはチャティロン値少なくとも24g/ビーズ(710μmビーズ径)を有するマクロ多孔性樹脂を使用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、逆浸透膜及びナノろ過膜を使用した水の浄化に関する。本発明は特に、逆浸透膜またはナノろ過膜処理システムへと供給される水に膜表面及び通路の汚染を減少させる前処理を行うイオン交換樹脂システムを利用した水の浄化システム及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2007年1月19日に出願された同時係属出願である特許文献1及び2007年3月26日に出願された特許文献2の優先権を主張するものであり、参照により全体がここに組み込まれる。
【0003】
逆浸透(RO)及びナノろ過(NF)膜システムによって、電力、化学プロセス、半導体、製薬業界に定期的に脱塩水が提供されている。汽水及び海水の携帯脱塩用途にも同様にこれらの膜システムが採用されており、世界人口が増加し、浄水が少なくなるにつれてこれらの膜はさらに重要な役割を果たすようになるであろう。
【0004】
急速な成長率にもかかわらず、膜処理された水のコストは、給水中に通常存在する汚染物質に関連する多くの運用問題の影響を受け続けている。問題の中心となるのは、原子及び分子等の0.0001ミクロン(1オングストローム)より大きな平均直径を有する物質を排除することができるRO膜、及び0.0005ミクロン(5オングストローム)より大きな平均直径を有する溶解種を排除するNF膜を備えた基本的に離散フィルターである半透過膜である。
【0005】
多くの給水中に自然に存在する懸濁またはコロイド粒子(例えば、沈泥、粘土、有機物、アルミニウム、鉄及びシリカのコロイド種)及び大きな有機分子(例えば、フミン酸及びフルボ酸)等のこれらのサイズより大きな汚染物質は、直ちに排除される。これらの汚染物質は、膜プラントから排除された水流中で濃縮され、膜の高感度表面及び細孔に堆積及び汚染することが可能な濃度まで濃縮される可能性を有している。
【0006】
さらに、カルシウム、バリウム及びストロンチウム硫酸塩並びに炭酸塩の難溶性塩、もしくはリン酸またはフッ化カルシウム塩は、排除された水流中で濃縮される間に溶解度を超過して膜の表面上にスケールとして沈殿する可能性がある。給水中に存在する鉄、マンガン及びアルミニウム等の金属は、酸素の侵入によって酸化される可能性があり、そのような金属酸化物は、膜の表面上に堆積することが可能である。例えば給水または膜を介して細菌が侵入することができる場合、メンテナンス業務実施後の殺菌が不十分なために、十分な栄養素(有機物質)がある場合細菌粘液量が急速に増加する。このようなバイオフィルムは膜表面を覆うことができ、膜にわたる圧力降下を著しく増加させる。
【0007】
ROシステムを通して水を処理することによって、排除されて廃水となる水の割合が多くなる。この排除水流は、最終透過水へと漏出する少量を除いて膜の細孔より大きなサイズの事実上全ての汚染物質を含有する。従って、排除水流は、遊離した堆積物または膜表面で形成されるが排除水流によって運ばれる汚染物とともに、給水中に最初から存在する大部分の溶解塩を含有するだろう。堆積物及び汚染物の大部分は、一般的に膜表面に付着し、最終的には膜の化学的洗浄が必要となる程度に膜を通る流れを制限する。しかしながら、膜を頻繁に化学洗浄すると、使用寿命が短くなり、関連する作業費用が高くなる。
【0008】
効率的運転を維持するために、システム設計者は膜表面及び通路をできるだけ清潔で汚染物及び微生物による閉塞のないよう保てるよう目指している。膜及び通路が汚染されるために水流の制限が増大し、結果として圧力降下が増大するためにポンプコストが高くなる。膜にわたって圧力降下が増大するために、処理される(透過)水の体積が減少すると同時に塩分が上昇する。対応して、廃棄される排除水の体積は増加する。この予期される効率の低下は、システムのサイズ及びコストを増加することによって浸透製品は補償される。膜業界では、水の特定の体積流量を処理するのに必要とされる膜要素の総表面積を決定するために、膜によって処理される給水の“シルト密度指数(Silt Density Index)”または(SDI)値と称される用語を使用する。1から7の範囲の数値で、1の値が最小の汚染を表し、値が増加するにつれて汚染状況が急速に悪化することを表す。地表水給水がよりコロイド汚染物質を含有している場合に特有のSDI値3から5の範囲では、1日1平方フィートの膜表面積あたり水8から14ガロン(8から14GFD)以下の流量が業界基準で認められている。典型的にSDI値3未満を有する良好な給水等のSDIが1から3の範囲のより良質の水では、1日1平方フィートの膜表面積あたり水14から20ガロン(14から20GFD)の水流量でより効率的な設計が成される。より汚染の可能性の高い水に必要なより大きな膜表面積は、装置を適合させるために必要な空間の増加以外に、より多くの膜の構成要素及び膜を保持するための圧力容器のための高い資本コストを必要とする。さらに、より多量の水が排除されなければならないためさらに多くの水を購入しなければならない点及び廃水の排出費用が高くなるため、運転コストも高くなる。ある最低レベル以上に透過製品を維持するために、汚染物、堆積物、微生物粘液塊を除去するために膜の定期的な化学洗浄を実施することができるように膜プラントは定期的に運転を中止しなければならない。一般的に、膜にわたる圧力降下(膜透過圧またはTMPとして知られている)が約15%増加した場合または透過水製品が約15%減少した場合、または透過水の塩分(または総溶解固形物)が約15%増加した場合、膜の化学洗浄が推奨される(非特許文献1参照)。
【0009】
従来の膜システムは、一般的に汽水で流入水の20から30%、海水処理で65%程度の大部分の水を排除水として廃棄する。これは主な運転コストの要素であるが、一部分において、特にシリカ、並びに菌等のその他の汚染物質並びにバリウム、ストロンチウム、カルシウム、同様の金属の硫酸塩及び炭酸塩等の難溶性化合物の溶解度または安全限界を超過しない必要がある。RO膜システムには、汚染、スケール、及び生物学的問題を最小化する多くの前処理段階が組み込まれている。数ミクロンサイズまたはそれより大きな浮遊物質は、砂、または砂及び無煙炭及びガーネット等のろ過媒体の混合物を使用した従来のろ過方法によって比較的容易に取り除くことができる。一方で、直径0.0008ミクロン(80オングストローム)程度から約1ミクロン(10,000オングストローム)のサイズで変化するコロイド粒子は、ずっと大きな除去上の困難を示す。このようなコロイド粒子は、水相中に無制限に浮遊し続けるため、そのようなろ過媒体における隙間を通過することができる。イオン交換樹脂は、軟水化用(すなわち強酸カチオン樹脂)及び有機物除去用(すなわち強塩基樹脂)の前置フィルターとして有用であるが、コロイド粒子の除去には適用できなかった。軟水化または溶解有機物質に使用される樹脂の破砕強度は平均粒子あたり平均175から500グラムの範囲と高いにもかかわらず、コロイド除去のために使用されてきたマクロ多孔性樹脂(例えば、Rohm&Haas IRA−938)は、非常に容易に破砕されていた。従って、樹脂にわたる圧力降下の急速な増加及び樹脂自身の破損した断片による膜の微粒子汚染のリスクの増加ために、膜ろ過の前置フィルターに使用することは不可能であった。コロイド除去に以前使用された多孔性樹脂IRA−938の破砕強度は、粒子あたり8グラムと測定され、破壊荷重粒子あたり175から500グラムを有するより頑丈な標準イオン交換樹脂と比較して極端に低かった。IRA−938の主な破砕及び物理的故障問題のために、この樹脂は商業的に使用することができず、製造中止となった。
【0010】
表面水源のための典型的な従来の前処理システムは通常、
(a)微生物を制御するための給水源への塩素注入と、
(b)浮遊物質及びいくつかのコロイド粒子及び有機物質を減少させるための浄化器または静的ミキサーのいずれか一方の上流への凝固剤及び高分子電解質凝集剤薬品注入と、
(c)残留浮遊固体をろ過するための砂、無煙炭、及びガーネットから成る下流多媒体フィルターと、
(d)膜への損傷を避けるために残留塩素を除去するため且つ存在するいかなる残留有機物質(例えば、フミン酸及びフルボ酸)を除去するための1つ以上の活性炭フィルターと、
(e)硬度を除去するためのナトリウム型強酸カチオン樹脂を使用したイオン交換水軟化装置と、
(f)上記(e)の代わりとして、カルシウム及びバリウム塩の炭酸塩及び硫酸塩からのスケーリングを制御するための酸及び/またはスケール抑制剤の薬品注入と、
(g)水が膜へと供給される直前に残留浮遊物質を捕捉するための最終5ミクロンフィルターカートリッジと、
を含むいくつかのユニット操作を含むだろう。
【0011】
近年、業界では、コロイド粒子の制御、逆浸透ユニットの前の前置フィルターとしての直径0.001ミクロン(10オングストローム)を超える孔を備えた限外ろ過法(UF)及び直径0.1ミクロン(1000オングストローム)を超える孔を備えた精密ろ過膜(MF)の利用のためのますます高価な技術を採用している。UF膜前置フィルターは、上記で概説した従来の浄化及び多媒体ろ過法と比較してコロイド粒子を制御する優れた結果を示してきた。さらに、膜の前に適切な化学凝固剤を供給すれば、UF膜は水中の有機物質を減少させる能力を有する。ROより前に前処理として使用される限外ろ過及び精密ろ過については、非特許文献2及び非特許文献3においてさらに議論されており、参照により全体がここに組み込まれる。しかしながら、これらの前処理は、操作者のエラーの増加、多額の資本投資、高額の維持費用、及びUFユニットからのさらなる廃水に関連する不都合を有する。
【0012】
外気温で約150mg/lの限られた溶解度及び多くの標準的前処理方法を使用したこの汚染物質の除去の困難性のために、水流から溶融シリカを除去することもまた主要な関心事である。水中に存在するシリカの主な形態である単量体のシリカは、より大きな分子へと重合することができる。これらは、水のpH及び温度に応じて膜表面に堆積することができる。カルシウムまたは鉄が存在する場合、それらはシリカと共反応することができ、また反応を触媒して膜へのシリカ堆積の可能性を著しく増加させる。
【0013】
特許文献3(参照によりここに組み込まれる)において、半導体製造に必要とされる高純度水を供給する微量のシリカ及びホウ素が下流のイオン交換混床に悪影響を及ぼすような高純度水製造のための“HERO”、または“高効率RO(High Efficiency RO)”処理と称されるものが説明されている。シリカを除去する代わりに、この技術は、カルシウム、バリウム及びストロンチウム等の水中の共沈殿二価汚染物の除去に焦点を合わせる。この技術はさらに、水のpHを約10まで上昇させることによってシリカの溶解度を増加させる。この技術の主要な基本骨格は、(a)膜表面の難溶性塩を沈殿させる傾向にある高pHで存在するその他の種と一緒にカチオンを除去すること及び(b)非酸化物アルカリ度を可能な限り最大限除去することである。これを達成するために、‘319による好ましい実施形態は、水素型弱酸カチオン管によって生成されたCO2を放出するために脱炭酸管とともに、一方は水素型において、もう一方はナトリウム型において作用する2つの弱酸カチオン管を連続して使用することを含む多くの費用のかかる前処理段階を実施する。これらのユニットは、熟練の操作者が酸及び苛性化学薬品の取り扱い及び制御、水のサンプリング及び試験に継続して(すなわち、毎日)注意を払う必要がある。脱炭酸後、追加の費用で水を再びポンプでくみ上げなければならず、水をROへと供給する前に、好ましくは10を超えてpHを上昇させるために苛性剤を注入しなければならない。pHの上昇及び水からの二価カチオンの除去によってシリカの溶解度が上がると、通常の溶解度の限界150ppmを超えた濃度をROからの排除濃縮水において維持することが可能となり、成功した例では450ppm以上のシリカが報告されている。結果として、ROシステムが‘319は、水中のその他の汚染物質の程度に依存して85から95%の著しく上昇した透過回復で運転することができることを提案する。‘319において説明された発明の別の主要な価格問題は、実質的に1未満のアルカリ性の硬度を含有する原水における性能が乏しいことである。樹脂はアルカリ性に付随した二価カチオンのみ除去することができるため、そのような条件下において、弱酸カチオン樹脂の二価硬度カチオンを除去する能力は非常に低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第60/885,855号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第60/908,172号明細書
【特許文献3】米国特許第2002/0153319号明細書
【0015】
【非特許文献1】Daniel Comstock, “Ultrapure Water Magazine”, 2000年9月,p30−36
【非特許文献2】Steve Siverns,“Using Ultrafiltration as a pretreatment before RO”Ultrapure Water Magazine, 2006年5月
【非特許文献3】Mark Mierzejewski,“Ultrapure Water Magazine”,2004年10月,p29−35
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、従来技術の方法と比較して低下したサイズまたはコスト(すなわち、セットアップコストの低下、運転コストの低下、前処理材料の再生に関連したコストの低下)を有する追加のまたは向上した前処理方法及び膜システムが必要である。シリカ及び/またはその他のコロイド粒子を除去する前処理方法または膜システムを提供すると有利である。さらに、水のシルト密度指数(SDI)値を実質的に減少させるシステムを提供すると有利である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、汚染、堆積、または化学沈殿、膜の使用寿命を短縮するあらゆるものからROまたはNF膜を保護する新規の方法及び前処理システムを提供する。
【0018】
1実施形態において、本発明は、a)樹脂部材が細孔の大部分が1,000から500,000オングストロームの細孔径及び少なくとも24g/ビーズ(710μmビーズ径)の破砕強度またはチャティロン値(chatillon value)を有する高マクロ多孔性樹脂を含む樹脂部材が入った管に水を通過させることによって水を前処理する段階と、b)透過水を生成するために樹脂部材から出てくる水を逆浸透膜またはナノろ過膜へと供給する段階とを含む水の浄化方法を含む。
【0019】
本発明の別の側面は、a)高細孔率及び高破砕強度を有する高マクロ多孔性樹脂(すなわち、10,000から500,000オングストロームの細孔径及び少なくとも24g/ビーズ(710μmビーズ径)の破砕強度またはチャティロン値を有する)を含む樹脂部材が入った管に水を供給する段階と、b)透過水を浄化するために樹脂部材から逆浸透システムまたはナノろ過システムへと水を供給する段階と、c)樹脂部材の化学洗浄が推奨された場合、樹脂部材を同時に再生または活性化するために、単一の化学薬品または複数の化学薬品の混合物の1つの溶液を使用して樹脂部材を再生する段階と、を含む水の処理法を提供する。
【0020】
本発明の別の側面は、a)酸化鉄がイオン交換樹脂に付着した鉄含有媒体または鉄含浸剤を含む樹脂部材が入った管に水を供給する段階と、b)樹脂部材から逆浸透システム、ナノろ過システム、脱塩ユニット、冷却塔またはボイラーへと水を供給する段階と、c)樹脂部材の化学洗浄が推奨された場合、樹脂部材をアルカリ溶液またはアルカリ性及びブライン溶液で再生する段階と、を含む溶解シリカを含有する水の処理方法を提供する。
【0021】
1実施形態において、マクロ多孔性樹脂の細孔容積は、少なくとも0.36ml/g(乾燥)である。別の実施形態において、細孔容積は0.36〜0.6ml/gである。さらに別の実施形態において、細孔容積は0.36〜1.5ml/gである。
【0022】
別の実施形態において、樹脂部材の化学洗浄が推奨された場合、樹脂部材を同時に再生または活性化するために、単一の化学薬品または複数の化学薬品の混合物の1つの溶液を使用して樹脂部材を再生する段階をさらに含む。さらに別の好ましい実施形態において、化学再生剤は、1回より多く使用される(すなわち、少なくとも2回、少なくとも4回、またはそれ以上)。
【0023】
別の好ましい実施形態において、マクロ多孔性樹脂はスルホン化され、且つ強酸カチオン交換樹脂を含む。別の好ましい実施形態において、マクロ多孔性樹脂は、クロロメチル化され、その後アミノ化され、且つ、マクロ多孔性樹脂は塩基アニオン交換樹脂を含む。
【0024】
さらに別の実施形態において、(a)モノエチレン単量体、(b)ポリエチレン単量体、(c)フリーラジカル開始剤、(d)20〜40pphポリ(アルキレンオキシド)孔形成剤または20〜40pphポリ(アルキレンオキシド)及びトルエンの混合物細孔形成剤の溶液を重合してマクロ多孔性樹脂を形成した。好ましい実施形態において、ポリ(アルキレンオキシド)は20〜33pphから存在する。
【0025】
別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は10,000から200,000オングストロームの範囲の細孔径を有する。別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は1,000から200,000オングストロームの範囲の細孔径及び平均細孔径(D50)31,000から70,000オングストロームを有する。別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は5,000から100,000オングストロームの範囲の細孔径を有する。
【0026】
別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は、175g/ビーズ平均から475g/ビーズ平均またはそれより高い破砕強度またはチャティロン値を有する。別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は、10,000から500,000オングストロームの範囲の平均細孔径、少なくとも0.60ml/g(乾燥)の細孔容積、及び少なくとも24g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値(すなわち、オルトポーラス樹脂)を有する。別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は、10,000から200,000オングストロームの範囲の平均細孔径、少なくとも0.60ml/g(乾燥)の細孔容積、及び少なくとも24g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値を有する。さらに別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は、5,000から100,000オングストロームの範囲の平均細孔径、少なくとも0.60ml/g(乾燥)の細孔容積、及び少なくとも24g/ビーズから175g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値を有する。
【0027】
好ましい1実施形態において、樹脂部材によって水のシルト密度指数(SDI)及び/またはコロイド粒子含有量は少なくとも25%減少する。SDIが少なくとも50%減少すると好ましい。SDIが少なくとも75%減少するとさらに好ましい。好ましい1実施形態において、段階b)の後、SDIは2.5未満である。段階b)の後、SDIが2.0未満であればさらに好ましく、段階b)の後、SDIが1.5未満であればさらに好ましい。
【0028】
別の好ましい実施形態において、樹脂部材は、鉄含浸剤または鉄含有媒体を更に含む。樹脂部材によって処理された水の溶解シリカが少なくとも20%減少すると好ましい。好ましい実施形態において、鉄含浸剤または鉄含有媒体は塩鉄である。別の好ましい実施形態において、鉄含浸剤または鉄含有媒体は、イオン交換樹脂に付着した酸化鉄である。
【0029】
さらに別の実施形態において、樹脂部材は1つ以上の強塩基樹脂をさらに含む。好ましくは、樹脂部材によって、処理された水の総有機炭素(TOC)含有量が少なくとも20%以上、好ましくは40%、さらに好ましくは60%減少する。好ましい実施形態において、樹脂部材は、2つの異なる強塩基樹脂またはBiQuant樹脂(トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、及びトリヘキシルアンモニウムから選択された第4級アンモニウム基を有する樹脂)等の2つの異なる強塩基官能基を有する樹脂を含む。
【0030】
別の実施形態において、樹脂部材は強酸樹脂をさらに含む。樹脂部材によって、処理された水の二価カチオン含有量が少なくとも20%減少すると好ましい。
【0031】
さらに別の実施形態において、段階b)は水から汚染物質を除去し、これらの汚染物質は、少なくとも8nmの直径を有するコロイド粒子、溶解有機物質、溶解二価または三価金属カチオン、溶解硫酸塩またはヒ酸塩、及び溶解シリカまたはリン酸塩の内の少なくとも2つを含む。少なくとも3種類の汚染物質を除去すればさらに好ましい。
【0032】
本発明の別の実施形態において、水の浄化または処理方法は、圧力ポンプを使用して樹脂部材が入った管に流入する水を、5から200ポンド/平方インチの範囲の圧力値まで加圧する段階をさらに含む。さらに別の実施形態において、段階b)の間の水圧は少なくとも5ポンド/平方インチであり、管を通る流量は一日あたり逆浸透膜またはナノろ過膜表面を少なくとも8から20ガロン/平方フィート通過できる。
【0033】
好ましい実施形態において、再生段階は、樹脂部材を繰り返し通過させるように樹脂部材が入った管からの流出物を回復して管に再導入することによって化学再生剤を再循環する段階を含む。
【0034】
好ましい実施形態において、化学再生剤は、塩化物イオン、アルカリ塩基、または塩化物塩及びアルカリ塩基の混合物の溶液を含む。別の好ましい実施形態において、化学再生剤は、塩化ナトリウム及び苛性ソーダの混合物を含む。さらに別の好ましい実施形態において、化学再生剤は、1回を超えて(少なくとも2回、少なくとも4回、またはそれ以上)使用される。
【0035】
さらに別の実施形態において、樹脂部材は、ポリスチレンまたはアクリルポリマーマトリックス型アニオン交換樹脂、イオン交換樹脂に塩鉄または酸化鉄等が付着した鉄含浸剤または鉄含有媒体、または強酸カチオン交換樹脂の少なくとも1つをさらに含む。
【0036】
別の好ましい実施形態において、管に供給する水と比較した流出水の溶解シリカの平均減少量は、少なくとも20%である。別の実施形態において、管に供給する水は少なくとも1ppmのシリカを有する。さらに別の実施形態において、段階b)において水は脱塩ユニットに供給され、段階c)の化学再生剤は脱塩装置のアニオン管から流出する苛性溶液である。
【0037】
さらに別の実施形態において、水の浄化または処理方法は、圧力ポンプを使用して樹脂部材が入った管に流入する水を、5から200ポンド/平方インチの範囲の圧力値まで加圧する段階をさらに含む。さらに別の実施形態において、段階b)の間の水圧は少なくとも5ポンド/平方インチであり、管を通る流量は一日あたり逆浸透膜またはナノろ過膜表面を少なくとも8から20ガロン/平方フィート通過できる。さらなる実施形態において、水は段階b)における800psiを超えて稼動するボイラーへと供給される。
【0038】
別の実施形態において、水は段階b)における脱塩ユニットへと供給され、そこで樹脂部材はさらに強塩基樹脂を含む。
【0039】
さらに別の実施形態において、再生剤を樹脂部材を繰り返して通過させるために、樹脂部材が入った管からの流出物を回復して管に再導入することによって再循環され得る。
【0040】
本発明の別の側面は、本明細書中に記載した樹脂及びポリスチレンまたはアクリルポリマーマトリックス型アニオン交換樹脂、鉄含浸剤または鉄含有媒体、または強酸カチオン交換樹脂の内の1つ以上を逆浸透膜またはナノろ過膜と流体連結して使用する水処理システムを含み、樹脂部材は単一の化学再生溶液を使用して再生されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】地表水が供給される逆浸透膜システムのための典型的な従来の前処理システムのフローシートを示す。
【図2】地表水が供給される限外ろ過を使用した逆浸透膜システムのための第2の典型的な従来の前処理システムのフローシートを示す。
【図3】本発明の地表水前処理システムの好ましい実施形態のフローシートを示す。
【図4】1実施形態の樹脂部材のコロイドシリカ減少及び除去能力を示す(平均50%除去)。
【図5】1実施形態の樹脂部材のシルト密度指数減少及び除去能力を示す(平均49%減少)。
【図6】1実施形態の樹脂部材の有機物質減少及び除去能力を示す(平均74%除去)。
【図7】1実施形態の樹脂部材の濁度能力を示す(平均31%)。
【図8】1実施形態の樹脂部材のコロイドシリカ減少及び除去能力を示す(平均50%除去)。
【図9】1実施形態の樹脂部材のシルト密度指数減少及び除去能力を示す(平均49%除去)。
【図10】1実施形態の樹脂部材の有機物質減少及び除去能力を示す(平均74%除去)。
【図11】1実施形態の樹脂部材の濁度減少及び除去能力を示す(平均31%除去)。
【図12】高容量鉄含浸樹脂を使用した1実施形態の樹脂部材の溶解シリカ除去能力を示す。
【図13】高容量鉄含浸樹脂を使用した1実施形態の樹脂部材の溶解シリカ除去能力を示す。
【図14】pH7.7のNSF53チャレンジ水からのシリカ除去を示す。
【図15】pH8.0で再生剤を再使用したシリカの除去及び再生を示す。
【図16】異なる再生剤を再使用した複数の再生剤によるフィールドパイロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、地表水が供給される逆浸透膜システムのための典型的な従来の前処理システムのフローシートを示す。
【0043】
図2は、地表水が供給される限外ろ過を使用した逆浸透膜システムのための第2の典型的な従来の前処理システムのフローシートを示す。
【0044】
図3は、本発明の地表水前処理システムの好ましい実施形態のフローシートを示す。
【0045】
図4は、1実施形態の樹脂部材のコロイドシリカ減少及び除去能力を示す(平均50%除去)。
【0046】
図5は、1実施形態の樹脂部材のシルト密度指数減少及び除去能力を示す(平均49%減少)。
【0047】
図6は、1実施形態の樹脂部材の有機物質減少及び除去能力を示す(平均74%除去)。
【0048】
図7は、1実施形態の樹脂部材の濁度能力を示す(平均31%)。
【0049】
図8は、1実施形態の樹脂部材のコロイドシリカ減少及び除去能力を示す(平均50%除去)。流入コロイドシリカ値が0.5から4.5ppmの範囲で自然に多様な構成成分を有する同じ地表水を処理するために、2つの樹脂部材の容量を含む2つの1リットルカートリッジを交互に使用した試験パイロットシステムのデータを示し、カートリッジを通した処理後の水がコロイドシリカ0.1から2.8ppmの範囲の減少した値を有し、コロイドシリカは代表値及び平均値約50%減少している。各カートリッジを通る流量は、12ベッドボリューム/時間に制御され、各カートリッジは、樹脂部材の再生または活性化のために取り外される前に計864リットルを処理した。1つのカートリッジが再生のために取り外される間、代わりのカートリッジが装着される。カートリッジ1の流出値は、再生1及び2後の値を表す記号“C1Reg.1”及び“C1Reg2”とともに“Virgin#1”、“C1Reg.1”、及び“C1Reg#2”で表される。カートリッジ2の流出値は、1回目の使用及び1回目の再生後の値を表す記号“Virgin#2”及び“C2Reg#1”で表される。
【0050】
図9は、1実施形態の樹脂部材のシルト密度指数減少及び除去能力を示す(平均49%除去)。流入コロイドシリカ値が0.5から4.5ppmの範囲で自然に多様な構成成分を有する同じ地表水を処理するために、2つの樹脂部材の容量を含む2つの1リットルカートリッジを交互に使用した試験パイロットシステムのデータを示し、カートリッジを通した処理後の水がコロイドシリカ0.1から2.8ppmの範囲の減少した値を有し、コロイドシリカは代表値及び平均値約50%減少している。各カートリッジを通る流量は12ベッドボリューム/時間に制御され、各カートリッジは、樹脂部材の再生または活性化のために取り外されるまでに計864リットルを処理した。再生のために1つのカートリッジが取り外される間、代わりのカートリッジが装着される。カートリッジ1の流出値は、再生1及び2後の値を表す記号“C1Reg.1”及び“C1Reg2”とともに“Virgin#1”、“C1Reg.1”、及び“C1Reg#2”で表される。カートリッジ2の流出値は、1回目の使用及び1回目の再生後の値を表す記号“Virgin#2”及び“C2Reg#1”で表される。
【0051】
図10は、1実施形態の樹脂部材の有機物質減少及び除去能力を示す(平均74%除去)。流入コロイドシリカ値が0.5から4.5ppmの範囲で自然に多様な構成成分を有する同じ地表水を処理するために、2つの樹脂部材の容量を含む2つの1リットルカートリッジを交互に使用した試験パイロットシステムのデータを示し、カートリッジを通した処理後の水がコロイドシリカ0.1から2.8ppmの範囲の減少した値を有し、コロイドシリカは代表値及び平均値約50%減少している。各カートリッジを通る流量は12ベッドボリューム/時間に制御され、各カートリッジは、樹脂部材の再生または活性化のために取り外されるまでに計864リットルを処理した。再生のために1つのカートリッジが取り外される間、代わりのカートリッジが装着される。カートリッジ1の流出値は、再生1及び2後の値を表す記号“C1Reg.1”及び“C1Reg2”とともに“Virgin#1”、“C1Reg.1”、及び“C1Reg#2”で表される。カートリッジ2の流出値は、1回目の使用及び1回目の再生後の値を表す記号“Virgin#2”及び“C2Reg#1”で表される。
【0052】
図11は、1実施形態の樹脂部材の濁度減少及び除去能力を示す(平均31%除去)。流入コロイドシリカ値が0.5から4.5ppmの範囲で自然に多様な構成成分を有する同じ地表水を処理するために、2つの樹脂部材の容量を含む2つの1リットルカートリッジを交互に使用した試験パイロットシステムのデータを示し、カートリッジを通した処理後の水がコロイドシリカ0.1から2.8ppmの範囲の減少した値を有し、コロイドシリカは代表値及び平均値約50%減少している。各カートリッジを通る流量は12ベッドボリューム/時間に制御され、各カートリッジは、樹脂部材の再生または活性化のために取り外されるまでに計864リットルを処理した。再生のために1つのカートリッジが取り外される間、代わりのカートリッジが装着される。カートリッジ1の流出値は、再生1及び2後の値を表す記号“C1Reg.1”及び“C1Reg2”とともに“Virgin#1”、“C1Reg.1”、及び“C1Reg#2”で表される。カートリッジ2の流出値は、1回目の使用及び1回目の再生後の値を表す記号“Virgin#2”及び“C2Reg#1”で表される。
【0053】
図12は、高容量鉄含浸樹脂を使用した1実施形態の樹脂部材の溶解シリカ除去能力を示す。この図は、pH8.2において16.8ppmのシリカを含む典型的な流入水を流量12ベッドボリューム/時間で処理した場合に、シリカ50%流出点までに樹脂1リットルあたり平均8000mgのシリカが除去されたことを示す。
【0054】
図13は、高容量鉄含浸樹脂を使用した1実施形態の樹脂部材の溶解シリカ除去能力を示す。シリカは、ブローダウン形態の2400psigの蒸気発生装置から除去される。
シリカ77ppm及びpH9.5の不利な高濃度の下で、著しく高速の57ベッドボリューム/時間においてシリカ除去能力を示す。シリカ50%流出点までに樹脂1リットルあたりおよそ6000mgのシリカが除去された。
【0055】
図14は、pH7.7のNSF53チャレンジ水からのシリカ除去を示す。この試験では、96時間後に樹脂1リットルあたり約17グラムのシリカが負荷され、試験終了時のシリカ流出はおよそ60%である。
【0056】
図15は、pH8.0で再生剤を再使用したシリカの除去及び再生を示す。この試験では、96時間後に樹脂1リットルあたり約34グラムのシリカが負荷され、試験終了時のシリカ流出はおよそ52%である。同じチャレンジ溶液及び排水サンプルでの第2サイクルの間に、樹脂1リットルあたり26グラムのシリカが負荷され、また1回目の試験の負荷量の76パーセントである。
【0057】
図16は、異なる再生剤を再使用した複数の再生剤によるフィールドパイロットを示す。初期の樹脂はコロイドシリカ、SDI及び有機物質をそれぞれ60%、42%及び73%減少させた。追加の負荷及び再生サイクル後のコロイドシリカ、SDI及び有機物質の減少量を示す。
【0058】
<樹脂部材>
本発明は、膜処理システムに供給される水の前処理に使用することができる高マクロ多孔性樹脂である樹脂部材を含む。膜処理システムは、逆浸透膜システムまたはナノろ過膜システムを含み得る。この樹脂部材は1つ以上のイオン交換樹脂及び/もしくはイオン交換管において積層されたまたは混合された吸着媒体を含む。実施形態によっては、樹脂によって複数の汚染物質が水流から除去されるため、樹脂部材を多汚染制御混合物として説明することができる。これらの汚染物質は、コロイド、溶解有機物質、溶解シリカ、並びに二価及び三価カチオンを含むがそれらに限定されるものではない。ここでは、樹脂部材は吸着剤も含み得る。
【0059】
樹脂部材は、水の供給または処理の流れからの以下の1つ以上の汚染物質の濃度を同時に除去または減少させるために効果的である。
i.シリカ、有機物質、鉄、マンガン、アルミニウム、銅、鉛、及びニッケルの典型的なコロイドから成る0.0008ミクロン(80オングストローム)以上の範囲の直径を有するコロイド粒子
ii.溶解有機物質(フミン酸、フルボ酸、タンニン酸等の自然発生有機物質)
iii.カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、マンガン、アルミニウム、銅、鉛、及びニッケル等の溶解二価または三価金属カチオン
iv.硫酸塩及び重炭酸塩を含む溶解アニオン種
v.溶解シリカ、リン酸塩、ヒ酸塩、及び同様のオキシアニオン
【0060】
2つ以上の上記汚染物質を減少または除去すると好ましい。3つ以上の上記汚染物質を減少または除去するとさらに好ましい。4つ以上の上記汚染物質を減少または除去するとさらに好ましい。5つ以上の上記汚染物質を減少または除去するとさらに好ましい。樹脂部材によって除去される汚染物質の数は、原水中の汚染物質の特性及び濃度、及び前処理フィルター等の使用される水浄化システムにおけるその他の要素に依存するだろう。
【0061】
1実施形態において、コロイド汚染物質を減少または除去する単一の多孔性樹脂を使用する。
【0062】
1実施形態において、樹脂部材は、コロイド汚染物質を減少または除去するための多孔性樹脂と、溶解有機汚染物質を除去する強塩基樹脂とを備える。
【0063】
別の実施形態において、コロイド汚染物質を減少または除去するための多孔性樹脂と、溶解有機汚染物質を除去する強塩基樹脂と、溶解シリカを除去する吸着媒体とを備える。有機除去及びコロイド汚染物質除去を兼ね備えた樹脂等のように、2つ以上の樹脂を事前に組み合わせてもよい。
【0064】
別の実施形態において、樹脂部材は、2つ以上の強塩基樹脂を含み得る。別の実施形態において、樹脂部材は軟化樹脂として強酸成分を含む。
【0065】
ここでは、“汚染物質を減少させる”との用語は、水流から少なくとも25%の測定可能な汚染物質(または複数の汚染物質)を除去することを意味する。少なくとも40%の汚染物質を除去するとさらに好ましい。少なくとも60%の汚染物質を除去するとさらに好ましい。少なくとも70%の汚染物質を除去するとさらに好ましく、少なくとも80%の汚染物質を除去するとさらに好ましい。汚染物質の濃度を管または装置の入り口と管または装置の出口とで比較した場合に、少なくとも90%以上の汚染物質が除去されるとさらに好ましい。
【0066】
ここでは、“汚染物質を除去する”との用語は、水流から少なくとも95%の測定可能な汚染物質(または複数の汚染物質)を除去することを意味する。少なくとも98%の汚染物質を除去するとさらに好ましい。少なくとも99%の汚染物質を除去するとさらに好ましく、少なくとも99.5%の汚染物質を除去するとさらに好ましい。汚染物質の濃度を管または装置の入り口と管または装置の出口とで比較した場合に、少なくとも99.9%以上の汚染物質が除去されているとさらに好ましい。
【0067】
ここでは、“径”及び“サイズ”との用語は、コロイドに言及する場合、両者ともコロイド粒子の平均直径として定義される。
【0068】
樹脂部材はさらに、逆浸透、ナノろ過、または同様の膜システムによって水を処理するための前処理において、水または処理の流れのシルト密度指数(SDI)値を減少させるために効果的である。SDI値は、試験を受ける供給水の流れのサンプルを30psigの定圧で保持し、0.45ミクロンの濾材を通過させる標準工業試験に由来する数値である。標準500ml容器を充填するのに要する時間を測定し、試験の開始直後に最初の測定値が採られ、別の測定値は15分後に採られる。シルト密度指数(SDI)と称される数値は数式を使用して比較及び計算される。数値は1から7の範囲わたり、1が最良であり汚染が最も少ないことを表し、数値が増加するにつれて汚染状況が急速に悪化する。樹脂部材を通過する水流のSDI値の減少の典型的な比率は、25%から100%の範囲である。SDIが少なくとも40%減少すると好ましい。SDIが少なくとも50%減少するとさらに好ましく、SDIが少なくとも60%減少するとさらに好ましい。SDIが少なくとも70%減少するとさらに好ましく、SDIが少なくとも80%減少するとさらに好ましい。SDIが少なくとも90%減少するとさらに好ましく、SDIが少なくとも95%減少するとさらに好ましい。
【0069】
好ましい実施形態において、樹脂部材は以下の2つ以上の組み合わせを使用する。
i.主にコロイド粒子及びいくつかの溶解有機物質を除去するための高孔率及び高破砕強度を有するマクロ多孔性樹脂
ii.主に溶解有機物質及び硫酸塩及び重炭酸塩等のアニオン種を除去するためのポリエチレンまたはアクリル高分子マトリックスの強塩基または弱塩基アニオン交換樹脂
iii.吸着機構によって主に溶解シリカ、ヒ素、リン酸塩及び同様のオキシアニオンを除去するためのカチオンまたはアニオン樹脂、アルミナ、天然ゼオライト、砂または同様のろ過媒体等の物質を使用した鉄含浸または鉄含有媒体
iv.カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、マンガン、アルミニウム、銅、鉛及びニッケル等の主に溶解二価または三価金属カチオンを除去するための強酸カチオン交換樹脂
【0070】
好ましい実施形態において、高孔率及び高破砕強度を有する樹脂部材は、マクロ多孔性樹脂とii、iii、及びivの1つ以上との組み合わせを含む。
【0071】
[高孔率及び高破砕強度を有するマクロ多孔性樹脂]
1実施形態において、樹脂部材の一部として使用されるマクロ多孔性樹脂は、Daleによる米国特許第6,323,249号等に記載され、参照により全体がここに組み込まれる、高孔率及び高破砕強度を有するマクロ多孔性樹脂コロイドスカベンジャー樹脂である。この樹脂における大きなマクロ孔の直径は、典型的に5,000から100,000オングストローム、さらに好ましくは10,000から200,000オングストロームの範囲であり、吸着及びイオン交換現象と組み合わせると、コロイド粒子の除去に理想的である。この樹脂のメッシュサイズが16から50U.S.メッシュであると好ましい。カチオンまたはアニオン型樹脂のいずれかをベース樹脂として利用することができる。アニオン樹脂をベースとして使用する場合、溶解有機物質を除去する性能は著しく増加する。本発明のマクロ多孔性樹脂の合成を以下で説明する。
【0072】
マクロ多孔性樹脂はさらに、少なくとも0.36ml/g(乾燥)の細孔容積を有する。細孔容積は、約0.6ml/g(乾燥)を超え得るかまたは、0.36から1.5ml/g(乾燥)の間であり得る。
【0073】
マクロ多孔性樹脂は、高破砕強度を有し、チャティロン値は少なくとも24g/ビーズ(710μmビーズ径)と定義される。チャティロン値が少なくとも50g/ビーズであればさらに好ましく、少なくとも100g/ビーズであればさらに好ましい。チャティロン値が200g/ビーズであればさらに好ましい。低破砕強度を有する樹脂は、圧力をかけた管内に樹脂を入れて操作する必要があり、粒子を繰り返し消耗及び再生サイクルにさらさなければならないために粒子が破砕する傾向にあるという不都合を有するため、高破砕強度は本発明の重要な側面である。破砕された粒子は管から流出して膜フィルターを汚染する可能性があり、低破砕強度を有する樹脂の残りの樹脂の効果も減少する。
【0074】
別の実施形態において、樹脂部材の一部として使用するマクロ多孔性樹脂は、米国特許出願公報第60/908,172号に記載され、参照によりここに組み込まれる、高孔率及び高破砕強度を有するオルトポーラス樹脂である。本発明において使用されるオルトポーラス樹脂は、典型的なマクロ多孔性樹脂と比較して特に大きな孔を有する。孔サイズは樹脂材料を通した拡散及び流れの運動に影響を与える。オルトポーラス樹脂は、相互貫入重合体ネットワーク(IPN)を生成することによって形成され得る。これは、(a)初期マクロ多孔性共重合体を準備する段階と、(b)再膨潤させる段階と、(c)重合させる段階と、によってなされる。オルトポーラス樹脂を使用する場合、平均細孔径は約10,000〜500,000オングストロームの間である。
【0075】
本発明のオルトポーラス樹脂は、いくつかの段階で形成される。第1段階は、(a)脂肪族アルコール等、すなわちメチルイソブチルカルビノール、イソブチルアルコール等のフリーラジカル開始剤及びポロゲンを有する単量体の均一な混合物の液滴を懸濁させ、(b)水溶液中で、その後(c)熱重合させることによる共重合体の合成を含む。第2段階は、第1段階で作製した第0オーダーのIPNを水性懸濁液中で別の単量体混合物と混合して(再膨潤)第1オーダーのIPNを形成することを含む。第3段階では、第1オーダーのIPNをさらなる単量体と混合して第2オーダーのIPNを形成する。1実施形態において、第2オーダーのIPNを種として使用することによって、第3オーダーのIPNを形成する。
【0076】
共重合体及びIPNを形成するために使用する重合性単量体の混合物は、モノエチレン性不飽和単量体及びポリビニレデン単量体を含む。開始剤、懸濁剤、安定剤等を、単量体混合物または水相に適宜加えてよい。
【0077】
単量体溶液を形成するためにスチレン、ジビニルベンゼン、及びポロゲンを重合開始剤と混合すると、1好ましいマクロ多孔性樹脂が形成される。フリーラジカル開始剤が最も望ましい。単量体を重合させるために使用され得るフリーラジカル生成化合物は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化第3級ブチル等の過酸化物、過硫酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等のペルオキシ化合物、及びアゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2−t−ブチルアゾ−2−シアノプロパン等のアゾ化合物を含む。適切な濃度は、0.01から5.0%であり、好ましくは0.02から3.0%である。単量体の懸濁重合のために単量体相を水相に加える。単量体の水溶性を減少させるために、塩を水相に加えてもよい。
【0078】
ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(ビニルピロリジン)、ポリアクリル酸塩、ポリメチルアクリル酸塩、ジメチルジアルキルアンモニウムポリマー、亜硝酸塩及び二クロム酸塩、リン酸カルシウム塩、炭酸塩、硫酸塩、ベントナイト粘土、アラビアゴム、リグノスルホン酸塩、ゼラチン及びキサンタンゴム等のさまざまな懸濁剤及び安定剤を、粒子と同様に重合する間に液滴として分散された単量体を維持するために、単量体の重量0.01から1.0%の範囲の量で水分散液に加えてよい。
【0079】
カチオン交換体を形成するために、オルトポーラス共重合体を、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、またはクロロスルホン酸でスルホン化することができ、代わりに、アニオン交換体を形成するために、クロロアルキル化及び実質的にアミン化してよい。
【0080】
第1級、第2級、第3級アルキルアミン、またはアリールアミンを含む広範囲のアミンをアミン化反応において採用することができる。エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、及びイミノビスプロピルアミン等のポリアルキレンポリアミンも使用することができる。アミノアルコール及びジメチルアミノエタノールもヘキサメチレンテトラアミンと同様に有用である。好ましい実施形態は、第4級アニオン交換体を生成するアミノ化剤としてトリアルキルアミンを採用する。一般的に、アルキルラジカルは4つより多く炭素原子を含まない。
【0081】
実施形態によっては、トリメチルアミン樹脂を使用する強酸アニオン交換が好ましい。弱酸アニオン交換樹脂も調整され、これらの樹脂は、第3級アミンがジメチルアミン、ジエチルアミン、モノメチルアミン、エタノールアミン等の非3級アミンに変わることを除いて強塩基樹脂と同じ方法で調整される。
【0082】
本発明のこの実施形態に記載されたマクロ多孔性樹脂は、特に高い破砕強度を有する。従って、1実施形態において、チャティロン値は少なくとも200g/ビーズ平均(710μmビーズ径)である。チャティロン値が300g/ビーズであればさらに好ましい。チャティロン値が400g/ビーズであればさらに好ましい。1実施形態において、破砕強度は475g/ビーズである。低破砕強度を有する樹脂は、圧力をかけた管内に樹脂を入れて操作する必要があり、粒子を繰り返し消耗及び再生サイクルにさらさなければならないために粒子が破砕する傾向にあるという不都合を有するため、高破砕強度は本発明の重要な側面である。破砕された粒子は管から流出して膜フィルターを汚染する可能性があり、低破砕強度を有する樹脂の残りの樹脂の効果も減少する。
【0083】
[鉄含浸または鉄含有媒体]
任意で、樹脂部材に鉄含浸または鉄含有媒体が組み込まれ得る。粒状酸化鉄または水酸化鉄ベースの吸着剤は、長い間ヒ素除去用に市販されており、溶解シリカ吸着に優れた性能を示し、本発明の樹脂部材に使用され得る。しかしながら、主に純酸化鉄または水酸化鉄ベースの多くの製品は、下流の装置を塞ぎ得る微粒子を生成して故障する傾向にある。従って、本発明において有用な好ましい鉄含浸または鉄含有媒体は、米国特許第7291578号に記載されたArsenXnp(ピュロライト社、フィラデルフィア、製造)及び米国特許出願公報第2006/0037913号に記載されたResintech ASM−10HP(Resintech社、ニュージャージー、製造)等の鉄含浸カチオン及びアニオン樹脂を含み、参照により全体がここに組み込まれる。ArsenXnp樹脂を製造する間に、酸化鉄のナノ粒子が樹脂ビーズのマトリックスの深い内部に堆積される。樹脂ビーズは、ナノ粒子が堅く結合した堅固なマトリックスを提供し、水及びその汚染物をビーズの内外へ効率的に拡散する。従って、熱塩水においてシリカを処理するために塩鉄をシリカ含有水に加えることに代えて、シリカ含有水を単に鉄含有含浸媒体床に通過させ、酸化鉄のナノ粒子上への吸着によって複合体となるように鉄含浸樹脂のマトリックス中にシリカを拡散させる。
【0084】
ArsenXnp樹脂は吸着によって主にヒ素及びその他のオキシアニオンを除去するために開発されたものであるが、粒状物の物理的故障の問題がなく他の鉄ベースの吸着剤のように優れたシリカ除去性能を示す。実際に、水処理を技術者が初めに、飲料水システムからヒ素を除去する際にそのような鉄含有製品によるシリカの吸着に気付いた。しかし、水化学に依存してArsenXnp樹脂は典型的に、40,000から100,000ベッドボリューム程度のヒ素の容量に対して処理される水の約1000から2000ベッドボリュームのみのシリカ吸着性能を示すため、技術者にとってシリカを除去する能力は単に水からヒ素を吸着するために不要な競合を提供すると考えられていた。従って、ArsenXnp樹脂のシリカ吸着は、媒体上の同一の吸着サイトにとって、重要な汚染物質であるヒ素と競合するため、むしろ妨害汚染物として考えられていた。ArsenXnp樹脂の再生の独自の方法は、通常2%の苛性剤及び1%の塩を含む単純な塩水及び苛性溶液を利用して、シリカ、りん酸塩およびヒ素を媒体から除去または溶出することができる。溶液を好ましくは50℃まで加熱し、1時間に約2ベッドボリュームの流量でゆっくりと樹脂床を2−20ベッドボリューム、好ましくは約6ベッドボリューム通過させることによってシリカ及びその他の汚染物の除去効率が向上する。ArsenXnpは一回の使用後廃棄することが可能であるが、好ましい実施形態において、消耗後繰り返し再生し、最終的に廃棄する前に複数回再使用する。この実施形態は、総費用を抑えるために望ましい。従ってArsenXnp樹脂は、原水流が特に高濃度で溶解シリカを含む場合の処理にとって、樹脂部材において好ましい部材である。イオン交換樹脂が少なくとも24g/ビーズ(好ましくはより高い)の破砕強度を有するようなイオン交換樹脂に付着した酸化鉄を有する鉄含浸または鉄含有媒体は、圧力の要件のため、損傷し易い媒体が使用できないさまざまなシステムにおいて溶解シリカの除去に使用することができる。これらのシステムは、逆浸透システム、ナノろ過システム、脱塩ユニット、冷却塔、ボイラーなどを含む。
【0085】
樹脂部材は、例えば、高多孔性及び高破砕強度を有するマクロ多孔性樹脂、強塩基アニオン交換樹脂、及びArsenXnp樹脂を含み得る。樹脂部材は、単一のカテゴリーから2つ以上の部材を含み得る。例えば、異なる金属カチオンを除去するために2つの強塩基カチオン交換樹脂を含み得る。これらの部材は、樹脂部材を含む管内に均一に混合または層形成され得る。その他の構成の部材も想定される。
【0086】
樹脂部材は、損傷することなく管に適用される圧力に耐えることができなければならない。樹脂部材中のマクロ多孔性樹脂の破砕強度は、少なくとも24g/ビーズ平均でなければならない。破砕強度が少なくとも50g/ビーズであればさらに好ましい。マクロ多孔性樹脂のチャティロン値が少なくとも100g/ビーズであればさらに好ましい。マクロ多孔性樹脂のチャティロン値が少なくとも200g/ビーズ平均であればさらに好ましい。
【0087】
全般的な破砕強度を増大させ得る樹脂中のその他の部材も破砕に対して安定でなければならない。好ましくはマクロ多孔性樹脂及び任意でその他の樹脂または吸収部材を含む樹脂部材は、少なくとも24g/ビーズのチャティロン値で定義される高破砕強度を有する。樹脂部材のチャティロン値が少なくとも50g/ビーズであればさらに好ましい。樹脂部材のチャティロン値が少なくとも100g/ビーズであればさらに好ましい。樹脂部材のチャティロン値が少なくとも200g/ビーズであればさらに好ましい。強酸カチオン交換樹脂及び塩基アニオン交換樹脂等の一般的に使用されるイオン交換樹脂は、ここで定義される“高い”破砕強度より著しく高い破砕強度を有する。本明細書中において、“高”は、コロイド物質を吸着可能な他の大きな孔のマクロ多孔性樹脂と比較しての意味で使用されるものであり、多孔性を考慮しない全ての入手可能または一般的な樹脂と比較しての意味で使用されるものではない。
【0088】
<利点>
前記樹脂部材により、従来のシステムと比較して、同じ流量の水を処理するためにより小さいサイズのRO膜の使用が可能となり、本発明の方法及びシステムによってSDIを2ユニット未満に低下させるため、SDI値が2ユニットを超える場合に可能な8から14GFDの流動速度と比較して、1日あたり膜表面1平方フィートあたり14から18ガロン(GFD)の流動速度の設計が可能となる(Hydranautics Design Limits, www.hydranautics.com/docs/trc/Dsgn_Lmt.pdf参照)。従って、必要な膜の数及び必要な膜システムのサイズは減少する。
【0089】
本発明の方法及びシステムを使用すると水の損失が著しく低下する。UFシステムに必要な継続的な逆洗及びフラッシングの水が5%から15%の範囲であるのに対して、樹脂部材の定期的な再生に使用される水等の損失は典型的に1%未満である。
【0090】
本発明の方法及びシステムにおける樹脂部材を使用することによってさらに、従来の処理システムと比較した必要なユニット操作または処理段階の数並びに関連する人件費及び運営費を減少させることが可能となる。
【0091】
さらなる利点は、従来のシステム及びUF前処理システムと比較して低い資本コスト、従来の処理システムと比較して減少した機器設置面積、溶解硫酸塩、ヒ酸塩、リン酸塩、及び同様のオキシアニオンの除去または減少等の従来のシステムまたはUF前処理システムが対応していない汚染物質の除去または減少を含む。
【0092】
本発明において記載された方法及びシステムの利点は、樹脂部材が入った管に使用可能である小型のサイズである。樹脂部材は、小型イオン交換管において積層または混合された再生可能なイオン交換/吸着樹脂を使用することができる。小さな設置面積を有する管を使用することができることによって、低価格の管の使用が可能となり、システムにおける水の流量を減少させることなく浄化システムに要する空間を小さくすることが可能となる。
【0093】
本発明に記載された方法及びシステムの別の利点は、浄化工程の作動に関連する費用が低下することである。以前の前処理方法は、通常工程を監視するための作業者を必要とする。例えば、シリカ汚染物質を減少させるために使用する従来の高温石灰軟化装置/洗浄装置は、水の加熱、広い空間、及び連続的に監視して化学物質の供給を調整するための熟練した作業者を必要とする。同様に、米国特許出願公報2002/0153319号に記載された浄化技術は、一方が水素型で作用し、他方がナトリウム型で作用する連続した2つの弱酸カチオン管を、水素型弱酸カチオン管によって生成されるCO2を放出するための脱炭酸管とともに使用することを含む多くの費用のかかる前処理段階を必要とする。これらのユニットでは、継続的に熟練した作業者が、酸及び苛性化学薬品の取り扱い及び制御、水のサンプリング及び試験に日常的に注意を払わなければならない。これに対して、樹脂部材は重要な作業者の監視を必要としない。
【0094】
<汚染物質>
地表水は典型的に、濁度が1NTU(nephelometric turbidity unit)を超える高レベルの懸濁物質及び大部分がフミン酸及びフルボ酸化合物から成る数ppmの濃度の溶解有機物質を含む。これらの地表水のほとんどには、沈泥、粘土、シリカ、鉄、アルミニウム及び有機物質から成るさまざまな濃度のコロイド粒子が存在している。結果として、地表水は典型的に5より大きなシルト密度指数の値を有する。典型的に、コロイドシリカの濃度は、0.2から3ppmの範囲である。本発明の樹脂部材は特に、RO膜上の汚染物、化学堆積物、及び化学沈殿物を減少させるようなこれらの汚染物質の除去に有用である。
【0095】
[シリカ除去]
本発明の樹脂部材は、特にシリカの除去に有用である。給水における溶解シリカの除去または減少は、常にRO浄化における主な関心事項であった。シリカは外気温で約150mg/lの溶解度を有し、ROシステムからの廃棄/濃縮廃水流においてその溶解限界値を超過すると、膜表面に除去困難な堆積物を形成し得る。実際、シリカ堆積物及び生物汚染物を防ぐ必要性は、通常20から30%の範囲である多くの典型的なROシステムからの排除水の漏出の主な原因である。シリカを多く(すなわち30−70ppmまたはそれ以上)含む水にとって、このことは特に問題となり得、ROより前でのシリカ拡散剤の相当量の注入及び50%以上に近づくさらに高比率で水を除去する非効率な設計が必要となる。シリカ拡散剤業者は通常約200飽和パーセントのシリカ制御における成功を主張するが、膜製造業者はシリカ堆積物を最小化するための独自の内部警報点を一般的に100飽和%に設定している(Hydranautics−Chemical Pretreatment for RO and NF−March2002参照)、http://www.membranes.com/docs/tab/TAB111.pdf.。堅いクラスト様の傾向にあるシリカ堆積物のための膜洗浄は、ダウンタイム、必要とされる高価な化学薬品、並びに膜の永久的な損傷及び寿命短縮のリスクの観点から非常に高コストとなり得る。
【0096】
シリカを水酸化マグネシウムと共沈殿させてスラッジを形成させる従来の高温石灰軟化装置/洗浄装置において、地表水からシリカを部分的に除去することは可能である。しかしながら、このようなシステムは、水の加熱、広い空間、並びに連続的な監視及び化学物質の供給の調整の必要性を含む要件のために大規模なプラントに限定されるため、広範囲には使用されていない。さらに、後期沈殿を避け、且つRO膜への損傷を避けるために、通常pH10を超える処理される水に酸を加えることによってpHを低下させる調整を行わなければならない。溶解シリカの問題解決に貢献する際に、システムは高温石灰軟化装置からのキャリーオーバー中にコロイド及び懸濁物質を保持する傾向を有するため、コロイド粒子による汚染の可能性が高まる。典型的な下流の多媒体は、懸濁物質を除去することができるが、コロイド粒子を除去する能力はわずかしかなく、膜のかなりの汚染の可能性が残る。
【0097】
酸化鉄上でのシリカの除去は、熱塩水の浄化において使用されてきた確立された技術であり、塩化第二鉄等の塩鉄を使用して、塩水中に存在するシリカを沈殿させてその後ろ過することが可能な酸化/水酸化鉄のスラッジを形成する。鉄/シリカスラッジの形成によって、水が逆浸透膜へと到達する前に懸濁及びコロイド物質を効率的にろ過することが困難であるという高温石灰軟化装置と同様の問題が発生する。
【0098】
本発明の樹脂部材は、高い割合(85から95パーセント近く)の水が透過水として回復でき、排除水として消費される水がずっと減少するため、膜システムへの給水中の溶解シリカを減少させるために使用することができる。排除水流におけるシリカは、膜表面上での沈殿を避けるために150ppm以下に制御される。そのため、例えば流入水が50ppmのシリカ含有量を有する場合、排除水中のシリカは150ppmを超えないように3倍(150/50)しか濃縮されることができず、水の3/1または33%が排除水となることと同じである(透過における少量のシリカリークを無視した場合)。従って、回復される透過水は約66%である。しかしながら、流入水中のシリカが例えば25ppmまで減少された場合、除去水は6倍(150/25)まで濃縮されることができ、これは排除水量が総流入水の約6分の1または約16.7パーセントに減少することと同じである。従って、透過水として回復される割合は約83%まで増加する。この例を使用すると、除去水量が初期レベルの50%に減少すると同時に、有用な透過水の量が初期レベルと比較して25%以上増加することがわかる。透過水の販売からの収益が25%以上増加すると同時に、排除水の処理に関連する全ての費用は、50%減少することが予測される。
【0099】
<樹脂の孔構造及び破砕強度(脆砕性)の分析>
マクロ多孔性樹脂の細孔構造は、高分子格子間の空間またはチャネルによって形成される。細孔構造は、特徴的な細孔の分布及び範囲を有している。マクロ多孔性樹脂に多くの細孔の測定方法が適用されたが、真に絶対的なものはない。水銀圧入法による特性解析は、直接的、再現可能、且つ一貫性があることが認められた。水銀圧入法とは、水銀を圧入することによって、圧力と各圧力で吸収された水銀の容積の割合とから径を測定するものであり、多孔性物質における細孔のサイズの分布を測定するために長い間使用されてきた。この方法は、純水銀を直径dの毛管に圧入するのに必要な圧力が(−4σcosθ)/dの関係にあることに基づいている。ここで、σは水銀の表面張力、θは水銀と多孔性物質との接触角である(Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. (1921)7:115)。特定の物質において表面張力及び接触角は一定であるため、既知の圧力で水銀を細孔へ侵入させることで対応する細孔径が示され、侵入した水銀の量から与えられた径の細孔の多孔率または容積が示される。
【0100】
本明細書において使用される用語“破砕強度”は、個々の樹脂粒子を破壊するために必要な機械的負荷を意味し、“脆砕性”と同じ意味で使用される。破砕強度は、各ビーズが710μm±35μmの粒径を有する少なくとも10、通常25のビーズを含むサンプルの個別の破砕強度の統計的平均であり、破砕強度はビーズが割れるまたは破損するのに加えられる力である。
【0101】
本発明のマクロ多孔性樹脂の破砕強度は、強塩基アニオン交換樹脂を形成するために樹脂がアミノ化された場合、約24g/ビーズであり、好ましくは少なくとも30g/ビーズであり、さらに好ましくは少なくとも40g/ビーズであり、さらに好ましくは少なくとも50g/ビーズである。強酸型カチオン交換樹脂(すなわちスルホン酸基、例えばポリスチレンスルホン酸ナトリウムまたはポリAMPS)、その他の強塩基樹脂(すなわちトリメチルアンモニウム基(すなわちポリAPTAC))、弱酸樹脂(すなわちカルボン酸基)、及び弱塩基樹脂(すなわちポリエチレンアミン等のアミノ基)に形成されたマクロ多孔性樹脂の破砕強度も同様である。
【0102】
破砕強度は、チャティロン試験を使用して測定することができる。チャティロン試験の名前は、John Chatillon and Sons, New York, N.Y.によって製造された装置に由来し、樹脂の脆砕性を測定するために設計された。この装置は、2つの平行な板の間に配置された場合に樹脂ビーズを割るまたは砕くために必要な力(グラム)を測定する。板は“ブレイクポイント”に達するまで均一な速度で徐々に近付けられる。この試験の目的は、実際の使用条件の下で個々の樹脂ビーズに与えられる摩擦力及び圧力をシミュレートすることである。
【0103】
試験の仕様は、周知の標準の手順によって、樹脂を適切な型(カチオン樹脂では水素またはナトリウム、アニオン樹脂では塩化物の型)に変換することを含む。変換された樹脂は、試験に先立って、−20+30U.S.メッシュサイズでふるわれ、少なくとも15分間脱イオン水を完全に含水される。実際の試験は、チャティロン装置において破砕板を最低実用速度で下降させ、単一の樹脂ビーズ(小さな水滴で覆われている)上で行われる。個々の破砕力はグラム/ビーズで装置から記録され、結果は、最低脆砕基準を満たすビーズの割合、平均(最低20ビーズ、典型的には30ビーズ)、標準偏差、95%信頼区間、として示される。
【0104】
<処理効果の分析>
給水中の粒子によって膜が汚染される傾向は、シルト密度指数(SDI)と称される標準試験を使用して測定することができる。この試験において、給水のサンプルを0.45ミクロンのフィルターを通過させ、フィルターが汚染される時間を測定する。この値からSDI値が計算される。典型的な値は1から6の範囲である。値が高ければ、水が高い汚染リスクを示すことを意味する。膜業者は、性能保証を与えるとすれば通常SDI値4以下を必要とし、一般的にはSDI値3以下であることが好ましい。適切に設計された従来の前処理システムは、通常5未満を達成し、3以下を達成することもある。水中の懸濁物質の一般的指標は濁度であり、ネフェロ分析濁度ユニット(NTU)と称されるユニットにおいて測定される。NTUは、特定の波長において懸濁粒子によって散乱または減衰する、または入射光の経路から方法特有の角度(すなわち90°)で吸収される光の強度によって定義される。ほとんどのRO設計者は、最大濁度は1NTUと指定している。長期間の信頼できる動作のためには、SDIおよび濁度の値はそれぞれ2.5SDIユニット及び0.5NTUであることが好ましい。
【0105】
本発明において、樹脂部材が入った管から流出される水のSDIは4未満である。さらに好ましくは3.5未満であり、さらに好ましくは3未満であり、さらに好ましくは2.5未満である。好ましい実施形態において、SDIは2.0未満であり、さらに好ましい実施形態においてSDIは1.0未満である。SDIを分析する別の方法は、管の流入水および流出水のSDI値の比において提供される。
【0106】
<洗浄>
本発明の樹脂部材の利点は、再生の容易さである。これは、時間の節約、作業者の費用の減少、及び多くの場合再生費用の減少を通じて理解される。塩化ナトリウム及び苛性ソーダの混合物などの単一量の化学再生剤を使用することによって、樹脂部材内のあらゆるイオン交換樹脂及び/または吸着媒体は同時に再生または活性化される。単一の再生剤は、外気温または最高100℃以下に上昇した温度で適用される。
【0107】
1実施形態において、化学再生剤は、塩化カリウム、塩化カルシウムまたは塩化アンモニウム等の塩化物塩と、苛性カリ、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、及びナトリウムまたはカリウムのセスキ炭酸塩等のアルカリまたは塩基との混合物を含む。
【0108】
別の実施形態において、化学再生剤は、塩化ブライン溶液を含む。
【0109】
別の実施形態において、化学再生剤は、アルカリ塩基を含む。
【0110】
樹脂部材は、1回通過単位で洗浄され得る。本実施形態において、再生剤混合物は、樹脂部材が入った管を一度通過させた後廃棄される。好ましい流量は、2から8ベッドボリューム/時間の範囲であり、ベッドボリュームは、管における樹脂及び吸着剤を合わせた容量によって占有されるものと同等の液体容量によって定義される。2から4ベッドボリューム/時間であればさらに好ましい。
【0111】
1つの再生剤混合物を使用して全ての樹脂及び吸着媒体を再生することによって、再生費用、労働力、関連する希釈及び洗浄水、並びに排出規制に従って廃水のアルカリ性を中和するための費用を含む廃水処理費用が節約される。
【0112】
さらに、再生剤混合物は、その後の再生において樹脂部材を再生させるために再利用され得る。1実施形態において、化学洗浄が推奨された場合、樹脂部材を洗浄するために単一の再生剤混合物は2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上使用される。再生剤の最初の濃度を維持するためにあらゆる回避できる減少を補うために、追加の新しい化学物質が再生剤混合物に追加され得る。樹脂部材を再生するよう推奨されたときに毎回再生剤混合物を特定の回数再利用する必要はないことが理解されているが、再生剤混合物を再利用できることは実質的な費用の節約へとつながる。
【0113】
再生剤混合物の繰り返し再利用できる性能によって、化学再生剤の費用節約、関連する労働力、廃水廃棄費用、及び排出規制に従って廃水のアルカリ性を中和するための費用を含む樹脂部材システムの作動に関連する費用は著しく減少する。
【0114】
別の好ましい実施形態において、再度樹脂のベッドボリュームを通過させるために管からの流出液を回収し、ポンプを使用して溶液を管の注入口へと戻すことを複数回繰り返すことによって、化学再生剤は樹脂部材が入った管を通して繰り返し再循環される。化学再生剤を再循環する好ましい速度は、2から40ベッドボリューム/時間であり、さらに好ましい速度は8から40ベッドボリューム/時間である。再生剤を一度通過させる方法において通常使用されるものより高速で再循環することによって、かなりの時間、関連する人件費が節約され、樹脂部材管が給水を膜へと処理することができない間の時間を短縮する作動の柔軟性がもたらされる。
【0115】
樹脂から溶離または剥離された汚染物質を含む流出水を、再生剤を再導入するとすぐに樹脂へと再導入しなければならないため、従来の再生方法は循環方法を使用していない。従来の再生剤を一度通過させる方法は、再生剤が樹脂床を通って一端から他端まで移動するため、樹脂から汚染物質を徐々に剥離させるように設計されている。より新しい再生剤が使用された再生剤に取って代わるため、樹脂から再生剤へと剥離される汚染物質の全体的な量は継続的に増加し、汚染物質が剥離される効率はますます高くなる。樹脂上に残る汚染物質の部分は、再生剤によって抽出された部分と化学平衡に達し、化学再生剤には樹脂の汚染物質及び再生剤に対する選択性に比例して、原則的に汚染物質を樹脂から取り除く再生剤との同様の化学平衡が存在する。
【0116】
水の脱塩は、イオン交換工程の参照基準であり、原水中に存在する95から99パーセントの溶解物質を取り除かなければならない。同様に、ボイラー給水として使用するためまたはROシステムに供給するためのイオン交換による水の軟化は、約1ppmの非常に低レベルまで硬度を除去する必要があり、典型的に原水から約99パーセントの除去を示している。このため、そのような品質が常に達成されなければならないものであれば、再生剤を再利用または再循環することは容認されるものではない。従って、ROの軟化が必要とされる場合に、再生剤の再利用及び/または再循環を含む実施形態は、ナトリウム型の強酸カチオン樹脂が、カルシウム及びマグネシウム等の二価及び三価カチオンの除去に利用される発明の側面には適用できない。しかしながら、再生剤の再利用及び/または再循環は、樹脂部材が溶解シリカ、コロイドシリカ及び有機物質の除去のための樹脂及び/または吸着剤を含む場合には適当である。このような場合において、再生に使用されるアルカリ及び塩水の濃度及び品質は、化学量論的要件を超えて(数百パーセント)非常に高く、このような場合において本発明によって達成される汚染物質除去の割合(典型的に25から75%)は、目標レベルの品質に到達するために最高純度の再生剤を使用する必要はない。さらに、樹脂部材からのシリカの抽出は、苛性ソーダ溶液において非常に高い溶解度を有する(25パーセント超)シリカによって大幅に促進される。再生剤を一度だけ使用する場合と比較して樹脂部材システムの作動費用を低減することができ、従来の前処理システムよりさらに費用を節約できるという利点を提供するため、再生剤の再利用は発明の好ましい実施形態である。
【0117】
<実施形態の概要>
図1は、浄化器、多媒体フィルター、及びカーボンフィルターを利用する従来の前処理方法を示し、図2は前処理としてのUF膜システムの使用を示す。図1に示すような従来のシステムは、大きな労働力を要し、作業者エラーが起こり易く、機器の設置面積が大きい。図2に示すようなUF前処理ユニットは、大きな資本を必要とし、RO自体からの廃水に加えてそれ自体が相当量の水を消耗する。
【0118】
図1に示す従来の前処理システムにおいて、微生物増殖を制御するために、塩素または次亜塩素酸ナトリウム溶液(項目1a参照)が約1から2ppmの遊離塩素で給水中に注入される。水酸化アルミニウムのゼラチン質のスラッジを形成及び濃縮させるために、硫酸アルミニウム等の凝固剤(2a)と、高分子電解質高分子化学物質(3a)とがppm濃度で浄化器(4a)の前に注入される。大きな表面積を有するスラッジは、流入地表水中に存在するいかなる懸諾及びコロイド粒子も捕捉することができる。その後スラッジは、定期的に除去されその後乾燥及び廃棄される、浄化器の底部に定着させることによって大部分が除去される浄化器の不活性領域へと移動される。典型的に地表水中に存在するフミン酸及びフルボ酸の種類の有機物質も、凝固剤の添加によって生成されたスラッジ中に捕捉されることによって部分的に除去される。
【0119】
浄化器の排水管から持ち越される残りの浮遊スラッジは、その後下流の多媒体フィルター(5a)上で除去される。フィルター媒体の典型的な組成は、砂と、無煙炭と、ガーネットとであり、砂フィルターなどの単一の媒体フィルターよりも一般的により効果的にろ過する。水はその後、残りの塩素を除去するために活性炭フィルター(6a)へと移動される。ほとんどの膜は、塩素等の酸化剤に対して非常に限られた耐性を有し、たとえ低濃度であっても連続的に曝露されると使用寿命が著しく短縮する。活性炭は、処理工程における段階で水中に依然として存在する有機物質も除去する。その後水は最終的に、逆浸透システム(9a)へと供給される前に、あらゆる微量の懸濁物質も除去するために5ミクロンフィルター(8a)を透過する。一般的に、この時点での目的は、濁度及びSDI値がそれぞれ1及び4またはそれより良好な最大限界を有する水を得ることである。
【0120】
図1に示した前処理工程におけるユニット操作の数によって、多くの作業者を要し、効果的な操作のために毎日作業者が注意を払わなければならない。作業者による日常的業務は、塩素、凝固剤、ポリマー、及び酸またはスケール防止剤の化学溶液の再充填と、原水品質の変化に対する化学物質注入の調整、あらゆる化学物質注入システムの較正及び修理、浄化器からのスラッジの除去、多媒体フィルターの逆洗と、精密フィルター及び活性炭媒体の交換、プラント流量の観測、調整及び記録、並びに膜が汚染された場合の膜の定期的な化学洗浄とを含むだろう。
【0121】
図2は、特に大きなROシステムで使用されている新しいUF前処理システムを示す。このシステムでは、上記図1に記載された浄化器、多媒体及び活性炭ユニットの使用が排除されている。凝固剤(2b)は、流入する有機物質をより効果的に捕捉するために、依然としてUFシステム(3b)の前に注入される。実質的には、UFシステムを使用することによって、懸濁物質、コロイド粒子、有機化合物、及び生物物質による汚染の問題の多くをROユニットからUFユニットへと移行させる。これは、蓄積した汚染物が作業効率を大幅に減少させる場合、UFユニットは定期的に逆洗され、且つ化学洗浄されなければならないことを意味する。重要な問題は、膜表面から汚染物を定期的に洗い流すために使用される水の一部を浪費することであり、その量は典型的にUFに供給される総流入水の5から15%の範囲である。これは、下流のROユニットから排除水としてさらに浪費される20から30パーセントの水に加えてさらに浪費されるものであり、全体的な水の損失は25から45%の範囲の量となる。これは、海水または都市地下水の脱塩の場合は通常は問題とはならないが、水の供給がかなり限られている世界の乾燥地域におけるROプラントの作業者にとっては主要な関心事項である。水の損失を減少させるために第1UFからの排除水流をさらに処理するために第3のより小規模な膜システムを提供する膜システム業者もいる。しかしながら、主なUFに要する既に大きな資本コストにさらに増加させ、限られた使用者にしか入手できないシステムとなる。
【0122】
図3に示す実施形態に記載された発明は、コロイド粒子、水のシルト密度指数値、溶解有機物質、金属、硫酸塩、ヒ素、リン酸塩を含む溶解アニオン、並びに溶解シリカを含む上記で説明したさまざまな汚染物質を同時に減少させるために小型の小さな設置面積の多媒体管を使用する。これは、UFまたは従来の前処理システムと比較して、作業者が払う注意を最小限にし、廃水量を比較的低減させ、資本コストを著しく低下させる。
【0123】
図3に記載された実施形態は、図1に記載された従来のシステムと比較した場合、浄化器及び活性炭ユニットを含まず、図2におけるUF前処理システムと類似している。微生物増殖を制御するために、任意で塩素または次亜塩素酸ナトリウム溶液(項目1c参照)が約1から2ppmの遊離塩素で給水中に注入される。残留するあらゆるスラッジまたはその他の懸濁物質は、下流の多媒体フィルター(2c)上で除去される。フィルター媒体の典型的な組成は、砂と、無煙炭と、ガーネットとであり、砂フィルターなどの単一の媒体フィルターよりも一般的により効果的にろ過するものであるが、それらに限定されるものではない。ほとんどのRO膜は、塩素等の酸化剤に対して非常に限られた耐性を有し、たとえ低濃度であっても連続的に曝露されると使用寿命が著しく短縮するため、この時点で存在しているあらゆる残留塩素を除去するために、水に塩素または同様の酸化剤が注入されている場合、その後水に重硫酸ナトリウムが注入される(3c)。1つ以上の特定のイオン交換樹脂及び/または吸着媒体である樹脂部材(4c)は、重硫酸ナトリウム注入地点の下流に搭載される。樹脂部材は、ここに記載したマクロ多孔性樹脂を含む。カチオンまたはアニオン型樹脂のいずれかをベース樹脂として使用することができる。アニオン樹脂がベースとして使用された場合、溶解有機物質の除去能力は著しく増加する。樹脂部材(4c)は、管の中に収容されている。管は、システムが必要とする圧力で樹脂部材を収容することができる当技術分野で周知のいかなる容器であってもよい。その後水は最終的に、逆浸透システム(6c)へと供給される前に、あらゆる微量の懸濁物質も除去するために5ミクロンフィルター(5c)または同様のものを透過させる。好ましくはROシステムへと供給する水は、濁度及びSDI値がそれぞれ1及び4またはそれより良好な最大限界を有する。
【0124】
コロイド粒子と同様に溶解シリカも除去することが望まれる場合、本発明の好ましい実施形態は、樹脂部材(4c)におけるカチオンまたはアニオン樹脂、天然ゼオライトまたはアルミナ等の鉄含浸または鉄含有媒体を組み込むことを含む。二価及び三価カチオンを除去するために、強酸カチオン樹脂を組み込むこともできる。消耗後、あらゆる樹脂は、外気温または高温のいずれかにおいてブライン及び苛性剤の混合再生剤で再生することができる。
【0125】
<マクロ多孔性樹脂の形成>
モノビニリデン及びポリビニリデンモノマーの共重合によって形成される従来のゲル樹脂は、マクロ孔を有し、細孔構造は架橋した高分子鎖間の距離によって定義される。マクロ多孔性樹脂は、ポリマー格子内に通常のゲル細孔に加えて相当量の非ゲル細孔を含む。この非ゲル細孔は、ゲル格子間に存在するチャネルから生じる。これらの微細チャネルは、細孔から隔離され且つ異なるものであり、当業者に周知であるようにあらゆる架橋共重合体中に存在する。チャネル自体は比較的小さいが、ゲル型樹脂の細孔と比較すると大きい。
【0126】
上記したように、マクロ多孔性樹脂は、米国特許第6,323,249号に記載された方法によって形成されることができ、参照により全体がここに組み込まれる。米国特許第6,323,249号に記載された方法で生成されたマクロ多孔性樹脂は、非常に大きなサイズの細孔を有するが、細孔サイズがより狭い範囲に分布されているため、ほとんどの目的において十分高い破砕強度を有する。コロイド物質を除去するための有用なサイズの範囲において、狭い細孔分布は、無駄に小さな細孔及び不必要に大きな細孔がほとんど存在しないことを意味する。
【0127】
マクロ多孔性樹脂は、適量の低分子量の水溶性重合体ポロゲン、高膨張ポロゲンの混合物の存在下で、モノエチレン性不飽和モノマーをポリビニレデンモノマーと共重合させることによって形成される。
【0128】
有用なモノエチレン性不飽和モノマーは、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、ビニルピリジン、2−メチル-ビニルピリジン、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、臭化ビニル、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、アクリル及びメタクリルエステル、並びにその他の誘導体を含む。スチレンが好ましい。
【0129】
架橋剤として使用するための有用なポリビニリデンモノマーは、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、エチレングリコール、ジメタクリル酸、ヘキサンジオールジアクリラート、メタクリル酸アリル、ジビニルケトン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパン、トリメタクリル酸、及びトリビニルベンゼンを含む。ジビニルベンゼンが好ましく、好ましくは2から100%の量で存在し、さらに好ましくは2から16%である。
【0130】
モノマー溶液を形成するために、スチレン、ジビニルベンゼン、及びポロゲンが、重合開始剤と共に混合されると、1好ましいマクロ多孔性樹脂が形成される。フリーラジカル開始剤が最も好ましい。モノマーを重合させるために使用され得るフリーラジカル生成化合物は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化第三級ブチル、過酸化水素等の過酸化物と、過硫酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過‐化合物と、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2−t−ブチルアゾ−2−シアノプロパン等のアゾ化合物とを含む。適切な濃度は、0.01から5.0%であり、さらに好ましくは0.02から3.0%である。モノマーの懸濁重合のために、モノマー相が水相に添加される。モノマーの水溶性を減少させるために、水相に塩が添加され得る。
【0131】
モノマーを重合する間に、液滴として分散されたモノマーの維持を助けるために、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリジン、ポリアクリル酸塩、ポリメチルアクリル酸塩、ジメチルジアルキルアンモニウムポリマー、亜硝酸及び二クロム酸塩、リン酸カルシウム、炭酸塩、硫酸塩、ベントナイト粘土、アラビアゴム、リグノスルホン酸塩、ゼラチン、並びにキサンタンゴム等のさまざまな懸濁剤及び安定剤をモノマーの0.01から0.5重量%の量で分散液に加えてもよい。
【0132】
混合物は70℃から90℃で6から15時間加熱され、ろ過、洗浄、乾燥される。ろ過、洗浄及び乾燥に続いて、架橋された共重合樹脂は、カチオン交換体を形成するためにスルホン化剤として硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、またはクロロスルホン酸でスルホン化されることができ、アニオン交換体を形成するためにクロロアルキル化の後にアミノ化され得る。
【0133】
アミノ化反応において、第1級、第2級、及び第3級アルキルアミンまたはアリールアミンを含む広範囲のアミンを採用することができる。エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、等のポリアルキレンポリアミンも使用することができる。アミノアルコール及びジメチルアミノエタノールも有用である。好ましい実施形態は、第4級アニオン交換体を生成するアミノ化剤としてトリアルキルアミンを採用する。通常アルキルラジカルは、4を超える炭素原子を含まない。
【0134】
浄化される水流がコロイドシリカ及び逆浸透の前に除去される必要があるその他のコロイド粒子等を有する場合、トリメチルアミン樹脂で製造された強塩基アニオン交換樹脂が好ましい。強塩基官能基を有する樹脂はコロイドシリカ及びその他のコロイド粒子の除去に好ましいが、同様のマクロ多孔性構造を有する弱塩基アニオン交換樹脂も機能するだろう。そのような弱塩基アニオン交換樹脂は、トリメチルアミンがジメチルアミン、ジエチルアミン、モノメチルアミン、エタノールアミンなどに置き換えられることを除いて強塩基樹脂と同様の方法で製造される。イオン交換官能基の違いに加えて、これらの弱塩基アニオン交換樹脂は、強塩基アニオン交換樹脂としての形態構造、特に大きな孔サイズに関して本質的に同一である。
【0135】
対応する架橋された共重合樹脂からイオン交換樹脂を生成する方法は、当該技術分野において周知である。ポリスチレンのクロロメチル化の後にアミノ化することによって生成されたアニオン交換樹脂は、米国特許第2,591,573号、第2,591,574号、第2,616,099号、第2,629,710号、第2,631,999号、第2,632,000号、第2,642,417号、第2,725,361号、第2,794,785号、第3,422,160号、第3,311,602号、第2,953,547号、4,225,677号、3,425,990号に開示されている。例えば架橋ポリスチレン等の架橋ポリマーのスルホン化によって得られた強酸カチオン交換体は、米国特許第2,366,007号、第2,466,675号、第2,500,149号、第2,631,127号、第2,664,801号に開示されている。ここで引用された全ての米国特許及び公開特許出願は、参照によってここに組み込まれる。
【0136】
マクロ多孔性樹脂は、細孔径が4,000から500,000オングストローム、またはさらにこのましくは4,000から200,000オングストローム、さらに好ましくは10,000から200,000オングストロームの範囲であり、特に高破砕強度及び高細孔容積を有することを特徴とする新規のマクロ多孔性樹脂を提供することによって、シリカ等のコロイド粒状物質を水流から取り除く。アニオン交換樹脂は、コロイドシリカまたは水和酸化物等のコロイドまたは粒状物質を除去するために使用されることができ、同時に脱イオン化およびコロイド除去を達成するためにカチオン交換樹脂と併せて使用することができる。加えて、本発明のアニオン交換樹脂は、例えばフミン酸などの比較的高分子量の酸を効果的に除去することができ、水溶液からウイルスを除去することができる。
【0137】
<定義>
“単一の化学再生剤”との用語は、単一の化学再生剤と単一の再生剤を使用した化学物質の混合物との両方を意味する。
【0138】
本明細書中で使用される高マクロ多孔性樹脂は、大きな径の細孔を有する樹脂を意味する。高マクロ多孔性樹脂の平均細孔径は、少なくとも約1,000オングストロームであり、典型的には少なくとも約20,000オングストロームの平均細孔径(D50)を有する。
【0139】
本明細書中で使用されるオルト多孔性樹脂は、10,000から500,000オングストロームの範囲の細孔径を相当数有する高マクロ多孔性樹脂である。
【0140】
本明細書中で使用される用語“同時”は、同時または数分以内を意味する。樹脂の再生または活性化とともに使用される場合、“同時の再生または活性化”は、単一の再生剤を加えることによる単一の工程段階において再生または活性化が起こることを意味する。1化学再生工程は、別の化学再生工程とは異なる速度で進行し得ることが理解される。
【0141】
“約”または“およそ”との用語は、当業者によって決定される特定の値において許容範囲内のエラーを意味し、一つには値の測定または決定方法、すなわち測定システムの限界、すなわち製剤処方等、特定の目的に必要とされる精度に依存するだろう。例えば、“約”は、技術分野における実施あたり標準偏差が1以内または1を超えることを意味することができる。また、“約”は、所定値の20%までの範囲を意味することができ、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%まで、さらに好ましくは1%までの範囲を意味することができる。また、特に生物システムまたは処理に関しては、前記用語は値の10倍以内を意味することができ、好ましくは5倍以内、さらに好ましくは2倍以内を意味することができる。特定の値が明細書中及び特許請求の範囲に記載されている場合は、特に明記しない限り“約”との用語は特定の値の許容されるエラーの範囲内であることを意味するものとする。
【0142】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形表記は、明確に示唆していない限り複数の指示対象を含む。従って、例えば“分子”は1つ以上の分子を含み、“樹脂”は1つ以上の異なる樹脂を含み、“方法”は当業者に周知のここに記載した方法で修正または置換することができる同等の段階及び方法への言及を含む。
【0143】
以下の例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために記載される。当然のことながら、本実施例に開示された技術は、当業者が本発明の実施する場合に本発明者によって発明された技術が十分に機能するように示すものであるため、実施における好ましいモードを構成すると考えられる。しかしながら、当然のことながら当業者であれば本明細書の記載を考慮して、開示された特定の実施形態において多くの変更を行うことが可能であり、本発明の精神を逸脱しない範囲で同様の結果を得ることができる。
【実施例1】
【0144】
コロイドシリカ、有機物質、濁度、及びシルト密度指数(SDI)に関して自然に多様な構成成分を有する河川からの連続的に流れる地表水を使用して本発明を実証する。河川水前処理システムは、塩素、硫酸アルミニウム、水酸化カルシウムを使用した軟化及び浄化を含み、その後砂ろ過及び活性炭が続く。使用する前に、懸濁物質を除去するためにらせん状にねじれた綿繊維の1リットルカートリッジフィルターを通して水をろ過した。その後ろ過された水を12BV/Hの流量で、それぞれが1リットルの樹脂部材を含み、両樹脂ともにPurolite社によって製造された、Daleによる米国特許第6,323,249号に記載された高多孔性及び高破砕強度を有するマクロ多孔性アニオン樹脂であるPurolite A501Pと、マクロ多孔性アクリル強塩基アニオン樹脂であるPurolite A−860との50:50の混合物から成る2つの1リットルカートリッジを交互に通過させた。試験の間、流入水の構成成分は、コロイドシリカは0.5から4.5ppmの範囲、溶解有機物質は0.6から2.5ppmの範囲、濁度は0.2から0.65NTUの範囲、シルト密度指数(SDI)は0.25から4.75SDIユニットの範囲で自然に変化した。コロイドシリカ濃度、シルト密度指数、有機物質濃度、及び濁度は、それぞれイオン交換管の入口及び出口の両方で測定した。図4は、コロイドシリカが平均給水値の1.5ppmから平均流出水値の0.75まで減少しており、テスト期間にわたってコロイドシリカの平均減少量がおよそ50%であることを示している。図5は、平均給水値の3.0から平均流出水値のおよそ1.5までのSDIの平均減少量を示す。図6は、平均給水値の0.92ppmから平均流出水値の0.25ppmまでの溶解有機物質の平均減少量を示す。図7は、平均給水値の0.22NTUから平均流出水値のおよそ0.15NTUまでの濁度の平均減少量を示す。図8、9、10及び11は、それぞれコロイドシリカ、シルト密度指数、有機物質、及び濁度の給水値の変化及び対応する流出水値の変化を示す。
【実施例2】
【0145】
およそ2ppmのシリカ、pH8.2、総溶解物質量およそ210ppm、総有機炭素(TOC)として測定された総有機物質含有量1.5から2.5ppmを含有するフィラデルフィア市の給水を処理することによって本発明を実証する。シリカ堆積問題を伴ってROが使用される米国の多くの場所で測定された典型的なレベルに合わせてシリカ濃度を16.8ppmにするために、水に追加のシリカを人工的に混入させた。1リットルのArsenXnp(実験コードD9908)の16から50U.S.メッシュサイズのサンプルを含む樹脂部材をカートリッジに装着し、1時間あたり12ベッドボリュームの流量で水を樹脂部材に通過させた。流出水におけるシリカの量が、図12に示すように流入値の50%に到達するまで流入及び流出溶解シリカ濃度を定期的に測定した。樹脂に負荷されたシリカの割合を測定するために物質収支を用いた。およそ1200リットルの水を処理した後の流出水中のシリカの50%漏出点において、樹脂に負荷された総シリカ量は、樹脂1リットルあたりおよそ8グラムであることが測定された。
【実施例3】
【0146】
2400psigのブローダウン水流の蒸気発生ボイラーからの水を、ArsenXnp(実験コードD9908)を含む樹脂部材1リットルが負荷された1リットルカートリッジに、1時間あたり57ベッドボリュームの流量で通過させることによって回復及び処理した。ブローダウン水は、平均77ppmの非常に高濃度のシリカ及び比較的高いpH9.5を有した。流入及び流出シリカ濃度は、流出水におけるシリカ濃度が流入水におけるシリカ濃度とほぼ同等になるまで定期的に測定した。樹脂に負荷されたシリカの割合を測定するために物質収支を用いると、図13に示すように総計161リットルの水を処理した樹脂1リットルあたりおよそ6,000ミリグラムのシリカが測定された。媒体1リットルあたり8.7gのSiO2が搭載され、試験終了時点でのシリカ流出量はおよそ60%であった。
【実施例4】
【0147】
ArsenXnpとしても知られるD9908鉄含浸アニオン樹脂のサンプル18mlをガラスカラム及びチャレンジ溶液に入れ、NSF53と称した。チャレンジ溶液は、外気温において20BV/Hの流速で樹脂を通過させた。チャレンジ溶液は、Ca51ppm、Mg17.8ppm、Na114ppm、SO467ppm、PO41.64ppm、HCO397.6ppm、Cl140ppm、SiO222ppm、pH7.7を有した。96時間の間4時間毎に流出水サンプルを抽出し、シリカ濃度及びpHを分析した。結果は図14に示され、96時間後に樹脂1リットルあたりおよそ17グラムのシリカを負荷し、試験終了時のシリカ流出量はおよそ60%であることが示唆される。
【実施例5】
【0148】
ArsenXnpとしても知られるD9908鉄含浸アニオン樹脂のサンプル18mlをガラスカラム及びチャレンジ溶液に入れ、NSF53と称した。チャレンジ溶液は、外気温において20BV/Hの流速で樹脂を通過させた。チャレンジ溶液は、Ca46.8ppm、Mg13.8ppm、Na117ppm、SO460ppm、PO40.01ppm、HCO3125ppm、Cl140ppm、SiO229ppm、pH8.0を有した。96時間の間4時間毎に流出水サンプルを抽出し、シリカ濃度及びpHを分析した。結果は図15に示され、96時間後に樹脂1リットルあたりおよそ34グラムのシリカを負荷し、試験終了時のシリカ流出量はおよそ52%であることが示唆される。その後、外気温において4%苛性ソーダ溶液6ベッドボリュームによる2BV/Hの流量の並行流で樹脂のサンプルを再生した。その後、樹脂を上記チャレンジ溶液での2回目のローディングサイクルにさらし、流出水サンプルを再度抽出し分析した。2回目のサイクルでの樹脂へのシリカ負荷量は、樹脂1リットルあたりシリカ26グラムであり、また1回目の試験の負荷量のおよそ76パーセントであった。
【実施例6】
【0149】
両樹脂ともにPurolite社によって製造されたDaleによる米国特許第6,323,249号に記載された高多孔性及び高破砕強度を有するマクロ多孔性アニオン樹脂であるPurolite A501Pと、マクロ多孔性アクリル強塩基アニオン樹脂であるPurolite A−860との50:50の混合物が入った1リットルカートリッジを含む2つのフィールドパイロットを使用して、再生の容易性及び再生剤を複数回再使用できる性能を実証した。
【0150】
コロイドシリカ、有機物質、濁度、及びシルト密度指数(SDI)に関して自然に多様な構成成分を有する河川からの連続的に流れる地表水を使用して本発明の側面を実証する。河川水前処理システムは、塩素、硫酸アルミニウム、水酸化カルシウムを使用した軟化及び浄化を含み、その後砂ろ過及び活性炭が続く。使用する前に、懸濁物質を除去するためにらせん状にねじれた綿繊維の1リットルカートリッジフィルターを通して水をろ過した。その後ろ過された水を12BV/Hの流量で、計72時間2つのカートリッジを通過させた。試験の間、流入水の構成成分は、コロイドシリカは0.5から4.5ppmの範囲、溶解有機物質は0.6から2.5ppmの範囲、濁度は0.2から0.65NTUの範囲、シルト密度指数(SDI)は0.25から4.75SDIユニットの範囲で自然に変化した。コロイドシリカ濃度、シルト密度指数、有機物質濃度、及び濁度は、それぞれイオン交換管の入口及び出口の両方で測定した。
【0151】
2試験の平均結果は、図16に示すように、初期の樹脂がコロイドシリカ、SDI及び有機物質をそれぞれ60%、42%及び73%減少させたことを示した。その後、NaCl160グラムとNaOH32グラムの混合物を含む10%塩化ナトリウム/2%苛性ソーダ溶液を使用して外気温で流量2BV/Hで樹脂サンプルを再生した。その後カートリッジを上記と同じ給水に2回目及び3回目のローディングサイクルにさらし、同じ再生剤溶液で2回再生した。2サイクルのコロイドシリカ、SDI及び有機物質の平均減少は、それぞれ50%、49%及び79%であった(Alk.Brine(4reg))。
【0152】
その後、同じ流入水及び樹脂1リットルあたり160グラムのNaClを注入した10%NaClを含む再生溶液を使用して、前述の実験の外気温の代わりに40℃において2度の追加のローディング及び再生サイクルを実施した。これら2実験のコロイドシリカ、SDI及び有機物質の平均減少率は、それぞれ37%、64%及び74%であった(アルカリ塩水(40C Brine(2reg))。
【0153】
その後、同じ流入水及び以下2段階の方法を含む再生剤溶液で4度の追加のローディング及び再生サイクルを実施した。第1段階は、160g/l及び32g/lを注入した10%NaCl/2%NaOHを含み、40℃に加熱した。第2段階は、外気温で64g/lを注入した10%NaClのみの溶液を含む。コロイドシリカ、SDI及び有機物質の平均減少率は、それぞれ62%、44%及び75%であった(40C Alk.Brine, Brine(4reg))。
【0154】
その後、同じ流入水及び上記最後の4サイクルと同一の再生剤溶液を使用して、40℃に加熱する代わりに外気温で2度の追加のローディング及び再生サイクルを実施した。コロイドシリカ、SDI及び有機物質の平均減少率は、それぞれ64%、39%及び71%であった(Alk.Brine, Brine(2reg))。
【0155】
この実験で実証されたように、複数回のローディング及び再生サイクル後の有機物質の減少量は、それぞれの試験された再生剤において同様であった。SDIの最適な減少は、40C Brineを使用した再生が最良であり、アルカリ塩水も良好であった。コロイドシリカの最適な減少は、アルカリ塩水及び塩水を使用した再生が最も好適であった。温度制御は必要ないが、塩水を追加する段階は有用である。
【0156】
濁度の最適な減少は、アルカリ塩水を外気温で使用した再生であり、32%の減少が得られた。
【符号の説明】
【0157】
1a、1b、1c 塩素注入
2a、2b 凝固剤注入
3a ポリマー注入
4a 浄化器
5a、2c 多媒体フィルター
6a 活性炭フィルター
8a、5c 5ミクロンフィルター
9a、6c 逆浸透システム
3b UFシステム
3c 重硫酸ナトリウム注入
4c 樹脂部材
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、逆浸透膜及びナノろ過膜を使用した水の浄化に関する。本発明は特に、逆浸透膜またはナノろ過膜処理システムへと供給される水に膜表面及び通路の汚染を減少させる前処理を行うイオン交換樹脂システムを利用した水の浄化システム及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2007年1月19日に出願された同時係属出願である特許文献1及び2007年3月26日に出願された特許文献2の優先権を主張するものであり、参照により全体がここに組み込まれる。
【0003】
逆浸透(RO)及びナノろ過(NF)膜システムによって、電力、化学プロセス、半導体、製薬業界に定期的に脱塩水が提供されている。汽水及び海水の携帯脱塩用途にも同様にこれらの膜システムが採用されており、世界人口が増加し、浄水が少なくなるにつれてこれらの膜はさらに重要な役割を果たすようになるであろう。
【0004】
急速な成長率にもかかわらず、膜処理された水のコストは、給水中に通常存在する汚染物質に関連する多くの運用問題の影響を受け続けている。問題の中心となるのは、原子及び分子等の0.0001ミクロン(1オングストローム)より大きな平均直径を有する物質を排除することができるRO膜、及び0.0005ミクロン(5オングストローム)より大きな平均直径を有する溶解種を排除するNF膜を備えた基本的に離散フィルターである半透過膜である。
【0005】
多くの給水中に自然に存在する懸濁またはコロイド粒子(例えば、沈泥、粘土、有機物、アルミニウム、鉄及びシリカのコロイド種)及び大きな有機分子(例えば、フミン酸及びフルボ酸)等のこれらのサイズより大きな汚染物質は、直ちに排除される。これらの汚染物質は、膜プラントから排除された水流中で濃縮され、膜の高感度表面及び細孔に堆積及び汚染することが可能な濃度まで濃縮される可能性を有している。
【0006】
さらに、カルシウム、バリウム及びストロンチウム硫酸塩並びに炭酸塩の難溶性塩、もしくはリン酸またはフッ化カルシウム塩は、排除された水流中で濃縮される間に溶解度を超過して膜の表面上にスケールとして沈殿する可能性がある。給水中に存在する鉄、マンガン及びアルミニウム等の金属は、酸素の侵入によって酸化される可能性があり、そのような金属酸化物は、膜の表面上に堆積することが可能である。例えば給水または膜を介して細菌が侵入することができる場合、メンテナンス業務実施後の殺菌が不十分なために、十分な栄養素(有機物質)がある場合細菌粘液量が急速に増加する。このようなバイオフィルムは膜表面を覆うことができ、膜にわたる圧力降下を著しく増加させる。
【0007】
ROシステムを通して水を処理することによって、排除されて廃水となる水の割合が多くなる。この排除水流は、最終透過水へと漏出する少量を除いて膜の細孔より大きなサイズの事実上全ての汚染物質を含有する。従って、排除水流は、遊離した堆積物または膜表面で形成されるが排除水流によって運ばれる汚染物とともに、給水中に最初から存在する大部分の溶解塩を含有するだろう。堆積物及び汚染物の大部分は、一般的に膜表面に付着し、最終的には膜の化学的洗浄が必要となる程度に膜を通る流れを制限する。しかしながら、膜を頻繁に化学洗浄すると、使用寿命が短くなり、関連する作業費用が高くなる。
【0008】
効率的運転を維持するために、システム設計者は膜表面及び通路をできるだけ清潔で汚染物及び微生物による閉塞のないよう保てるよう目指している。膜及び通路が汚染されるために水流の制限が増大し、結果として圧力降下が増大するためにポンプコストが高くなる。膜にわたって圧力降下が増大するために、処理される(透過)水の体積が減少すると同時に塩分が上昇する。対応して、廃棄される排除水の体積は増加する。この予期される効率の低下は、システムのサイズ及びコストを増加することによって浸透製品は補償される。膜業界では、水の特定の体積流量を処理するのに必要とされる膜要素の総表面積を決定するために、膜によって処理される給水の“シルト密度指数(Silt Density Index)”または(SDI)値と称される用語を使用する。1から7の範囲の数値で、1の値が最小の汚染を表し、値が増加するにつれて汚染状況が急速に悪化することを表す。地表水給水がよりコロイド汚染物質を含有している場合に特有のSDI値3から5の範囲では、1日1平方フィートの膜表面積あたり水8から14ガロン(8から14GFD)以下の流量が業界基準で認められている。典型的にSDI値3未満を有する良好な給水等のSDIが1から3の範囲のより良質の水では、1日1平方フィートの膜表面積あたり水14から20ガロン(14から20GFD)の水流量でより効率的な設計が成される。より汚染の可能性の高い水に必要なより大きな膜表面積は、装置を適合させるために必要な空間の増加以外に、より多くの膜の構成要素及び膜を保持するための圧力容器のための高い資本コストを必要とする。さらに、より多量の水が排除されなければならないためさらに多くの水を購入しなければならない点及び廃水の排出費用が高くなるため、運転コストも高くなる。ある最低レベル以上に透過製品を維持するために、汚染物、堆積物、微生物粘液塊を除去するために膜の定期的な化学洗浄を実施することができるように膜プラントは定期的に運転を中止しなければならない。一般的に、膜にわたる圧力降下(膜透過圧またはTMPとして知られている)が約15%増加した場合または透過水製品が約15%減少した場合、または透過水の塩分(または総溶解固形物)が約15%増加した場合、膜の化学洗浄が推奨される(非特許文献1参照)。
【0009】
従来の膜システムは、一般的に汽水で流入水の20から30%、海水処理で65%程度の大部分の水を排除水として廃棄する。これは主な運転コストの要素であるが、一部分において、特にシリカ、並びに菌等のその他の汚染物質並びにバリウム、ストロンチウム、カルシウム、同様の金属の硫酸塩及び炭酸塩等の難溶性化合物の溶解度または安全限界を超過しない必要がある。RO膜システムには、汚染、スケール、及び生物学的問題を最小化する多くの前処理段階が組み込まれている。数ミクロンサイズまたはそれより大きな浮遊物質は、砂、または砂及び無煙炭及びガーネット等のろ過媒体の混合物を使用した従来のろ過方法によって比較的容易に取り除くことができる。一方で、直径0.0008ミクロン(80オングストローム)程度から約1ミクロン(10,000オングストローム)のサイズで変化するコロイド粒子は、ずっと大きな除去上の困難を示す。このようなコロイド粒子は、水相中に無制限に浮遊し続けるため、そのようなろ過媒体における隙間を通過することができる。イオン交換樹脂は、軟水化用(すなわち強酸カチオン樹脂)及び有機物除去用(すなわち強塩基樹脂)の前置フィルターとして有用であるが、コロイド粒子の除去には適用できなかった。軟水化または溶解有機物質に使用される樹脂の破砕強度は平均粒子あたり平均175から500グラムの範囲と高いにもかかわらず、コロイド除去のために使用されてきたマクロ多孔性樹脂(例えば、Rohm&Haas IRA−938)は、非常に容易に破砕されていた。従って、樹脂にわたる圧力降下の急速な増加及び樹脂自身の破損した断片による膜の微粒子汚染のリスクの増加ために、膜ろ過の前置フィルターに使用することは不可能であった。コロイド除去に以前使用された多孔性樹脂IRA−938の破砕強度は、粒子あたり8グラムと測定され、破壊荷重粒子あたり175から500グラムを有するより頑丈な標準イオン交換樹脂と比較して極端に低かった。IRA−938の主な破砕及び物理的故障問題のために、この樹脂は商業的に使用することができず、製造中止となった。
【0010】
表面水源のための典型的な従来の前処理システムは通常、
(a)微生物を制御するための給水源への塩素注入と、
(b)浮遊物質及びいくつかのコロイド粒子及び有機物質を減少させるための浄化器または静的ミキサーのいずれか一方の上流への凝固剤及び高分子電解質凝集剤薬品注入と、
(c)残留浮遊固体をろ過するための砂、無煙炭、及びガーネットから成る下流多媒体フィルターと、
(d)膜への損傷を避けるために残留塩素を除去するため且つ存在するいかなる残留有機物質(例えば、フミン酸及びフルボ酸)を除去するための1つ以上の活性炭フィルターと、
(e)硬度を除去するためのナトリウム型強酸カチオン樹脂を使用したイオン交換水軟化装置と、
(f)上記(e)の代わりとして、カルシウム及びバリウム塩の炭酸塩及び硫酸塩からのスケーリングを制御するための酸及び/またはスケール抑制剤の薬品注入と、
(g)水が膜へと供給される直前に残留浮遊物質を捕捉するための最終5ミクロンフィルターカートリッジと、
を含むいくつかのユニット操作を含むだろう。
【0011】
近年、業界では、コロイド粒子の制御、逆浸透ユニットの前の前置フィルターとしての直径0.001ミクロン(10オングストローム)を超える孔を備えた限外ろ過法(UF)及び直径0.1ミクロン(1000オングストローム)を超える孔を備えた精密ろ過膜(MF)の利用のためのますます高価な技術を採用している。UF膜前置フィルターは、上記で概説した従来の浄化及び多媒体ろ過法と比較してコロイド粒子を制御する優れた結果を示してきた。さらに、膜の前に適切な化学凝固剤を供給すれば、UF膜は水中の有機物質を減少させる能力を有する。ROより前に前処理として使用される限外ろ過及び精密ろ過については、非特許文献2及び非特許文献3においてさらに議論されており、参照により全体がここに組み込まれる。しかしながら、これらの前処理は、操作者のエラーの増加、多額の資本投資、高額の維持費用、及びUFユニットからのさらなる廃水に関連する不都合を有する。
【0012】
外気温で約150mg/lの限られた溶解度及び多くの標準的前処理方法を使用したこの汚染物質の除去の困難性のために、水流から溶融シリカを除去することもまた主要な関心事である。水中に存在するシリカの主な形態である単量体のシリカは、より大きな分子へと重合することができる。これらは、水のpH及び温度に応じて膜表面に堆積することができる。カルシウムまたは鉄が存在する場合、それらはシリカと共反応することができ、また反応を触媒して膜へのシリカ堆積の可能性を著しく増加させる。
【0013】
特許文献3(参照によりここに組み込まれる)において、半導体製造に必要とされる高純度水を供給する微量のシリカ及びホウ素が下流のイオン交換混床に悪影響を及ぼすような高純度水製造のための“HERO”、または“高効率RO(High Efficiency RO)”処理と称されるものが説明されている。シリカを除去する代わりに、この技術は、カルシウム、バリウム及びストロンチウム等の水中の共沈殿二価汚染物の除去に焦点を合わせる。この技術はさらに、水のpHを約10まで上昇させることによってシリカの溶解度を増加させる。この技術の主要な基本骨格は、(a)膜表面の難溶性塩を沈殿させる傾向にある高pHで存在するその他の種と一緒にカチオンを除去すること及び(b)非酸化物アルカリ度を可能な限り最大限除去することである。これを達成するために、‘319による好ましい実施形態は、水素型弱酸カチオン管によって生成されたCO2を放出するために脱炭酸管とともに、一方は水素型において、もう一方はナトリウム型において作用する2つの弱酸カチオン管を連続して使用することを含む多くの費用のかかる前処理段階を実施する。これらのユニットは、熟練の操作者が酸及び苛性化学薬品の取り扱い及び制御、水のサンプリング及び試験に継続して(すなわち、毎日)注意を払う必要がある。脱炭酸後、追加の費用で水を再びポンプでくみ上げなければならず、水をROへと供給する前に、好ましくは10を超えてpHを上昇させるために苛性剤を注入しなければならない。pHの上昇及び水からの二価カチオンの除去によってシリカの溶解度が上がると、通常の溶解度の限界150ppmを超えた濃度をROからの排除濃縮水において維持することが可能となり、成功した例では450ppm以上のシリカが報告されている。結果として、ROシステムが‘319は、水中のその他の汚染物質の程度に依存して85から95%の著しく上昇した透過回復で運転することができることを提案する。‘319において説明された発明の別の主要な価格問題は、実質的に1未満のアルカリ性の硬度を含有する原水における性能が乏しいことである。樹脂はアルカリ性に付随した二価カチオンのみ除去することができるため、そのような条件下において、弱酸カチオン樹脂の二価硬度カチオンを除去する能力は非常に低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願公開第60/885,855号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第60/908,172号明細書
【特許文献3】米国特許第2002/0153319号明細書
【0015】
【非特許文献1】Daniel Comstock, “Ultrapure Water Magazine”, 2000年9月,p30−36
【非特許文献2】Steve Siverns,“Using Ultrafiltration as a pretreatment before RO”Ultrapure Water Magazine, 2006年5月
【非特許文献3】Mark Mierzejewski,“Ultrapure Water Magazine”,2004年10月,p29−35
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、従来技術の方法と比較して低下したサイズまたはコスト(すなわち、セットアップコストの低下、運転コストの低下、前処理材料の再生に関連したコストの低下)を有する追加のまたは向上した前処理方法及び膜システムが必要である。シリカ及び/またはその他のコロイド粒子を除去する前処理方法または膜システムを提供すると有利である。さらに、水のシルト密度指数(SDI)値を実質的に減少させるシステムを提供すると有利である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、汚染、堆積、または化学沈殿、膜の使用寿命を短縮するあらゆるものからROまたはNF膜を保護する新規の方法及び前処理システムを提供する。
【0018】
1実施形態において、本発明は、a)樹脂部材が細孔の大部分が1,000から500,000オングストロームの細孔径及び少なくとも24g/ビーズ(710μmビーズ径)の破砕強度またはチャティロン値(chatillon value)を有する高マクロ多孔性樹脂を含む樹脂部材が入った管に水を通過させることによって水を前処理する段階と、b)透過水を生成するために樹脂部材から出てくる水を逆浸透膜またはナノろ過膜へと供給する段階とを含む水の浄化方法を含む。
【0019】
本発明の別の側面は、a)高細孔率及び高破砕強度を有する高マクロ多孔性樹脂(すなわち、10,000から500,000オングストロームの細孔径及び少なくとも24g/ビーズ(710μmビーズ径)の破砕強度またはチャティロン値を有する)を含む樹脂部材が入った管に水を供給する段階と、b)透過水を浄化するために樹脂部材から逆浸透システムまたはナノろ過システムへと水を供給する段階と、c)樹脂部材の化学洗浄が推奨された場合、樹脂部材を同時に再生または活性化するために、単一の化学薬品または複数の化学薬品の混合物の1つの溶液を使用して樹脂部材を再生する段階と、を含む水の処理法を提供する。
【0020】
本発明の別の側面は、a)酸化鉄がイオン交換樹脂に付着した鉄含有媒体または鉄含浸剤を含む樹脂部材が入った管に水を供給する段階と、b)樹脂部材から逆浸透システム、ナノろ過システム、脱塩ユニット、冷却塔またはボイラーへと水を供給する段階と、c)樹脂部材の化学洗浄が推奨された場合、樹脂部材をアルカリ溶液またはアルカリ性及びブライン溶液で再生する段階と、を含む溶解シリカを含有する水の処理方法を提供する。
【0021】
1実施形態において、マクロ多孔性樹脂の細孔容積は、少なくとも0.36ml/g(乾燥)である。別の実施形態において、細孔容積は0.36〜0.6ml/gである。さらに別の実施形態において、細孔容積は0.36〜1.5ml/gである。
【0022】
別の実施形態において、樹脂部材の化学洗浄が推奨された場合、樹脂部材を同時に再生または活性化するために、単一の化学薬品または複数の化学薬品の混合物の1つの溶液を使用して樹脂部材を再生する段階をさらに含む。さらに別の好ましい実施形態において、化学再生剤は、1回より多く使用される(すなわち、少なくとも2回、少なくとも4回、またはそれ以上)。
【0023】
別の好ましい実施形態において、マクロ多孔性樹脂はスルホン化され、且つ強酸カチオン交換樹脂を含む。別の好ましい実施形態において、マクロ多孔性樹脂は、クロロメチル化され、その後アミノ化され、且つ、マクロ多孔性樹脂は塩基アニオン交換樹脂を含む。
【0024】
さらに別の実施形態において、(a)モノエチレン単量体、(b)ポリエチレン単量体、(c)フリーラジカル開始剤、(d)20〜40pphポリ(アルキレンオキシド)孔形成剤または20〜40pphポリ(アルキレンオキシド)及びトルエンの混合物細孔形成剤の溶液を重合してマクロ多孔性樹脂を形成した。好ましい実施形態において、ポリ(アルキレンオキシド)は20〜33pphから存在する。
【0025】
別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は10,000から200,000オングストロームの範囲の細孔径を有する。別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は1,000から200,000オングストロームの範囲の細孔径及び平均細孔径(D50)31,000から70,000オングストロームを有する。別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は5,000から100,000オングストロームの範囲の細孔径を有する。
【0026】
別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は、175g/ビーズ平均から475g/ビーズ平均またはそれより高い破砕強度またはチャティロン値を有する。別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は、10,000から500,000オングストロームの範囲の平均細孔径、少なくとも0.60ml/g(乾燥)の細孔容積、及び少なくとも24g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値(すなわち、オルトポーラス樹脂)を有する。別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は、10,000から200,000オングストロームの範囲の平均細孔径、少なくとも0.60ml/g(乾燥)の細孔容積、及び少なくとも24g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値を有する。さらに別の実施形態において、マクロ多孔性樹脂は、5,000から100,000オングストロームの範囲の平均細孔径、少なくとも0.60ml/g(乾燥)の細孔容積、及び少なくとも24g/ビーズから175g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値を有する。
【0027】
好ましい1実施形態において、樹脂部材によって水のシルト密度指数(SDI)及び/またはコロイド粒子含有量は少なくとも25%減少する。SDIが少なくとも50%減少すると好ましい。SDIが少なくとも75%減少するとさらに好ましい。好ましい1実施形態において、段階b)の後、SDIは2.5未満である。段階b)の後、SDIが2.0未満であればさらに好ましく、段階b)の後、SDIが1.5未満であればさらに好ましい。
【0028】
別の好ましい実施形態において、樹脂部材は、鉄含浸剤または鉄含有媒体を更に含む。樹脂部材によって処理された水の溶解シリカが少なくとも20%減少すると好ましい。好ましい実施形態において、鉄含浸剤または鉄含有媒体は塩鉄である。別の好ましい実施形態において、鉄含浸剤または鉄含有媒体は、イオン交換樹脂に付着した酸化鉄である。
【0029】
さらに別の実施形態において、樹脂部材は1つ以上の強塩基樹脂をさらに含む。好ましくは、樹脂部材によって、処理された水の総有機炭素(TOC)含有量が少なくとも20%以上、好ましくは40%、さらに好ましくは60%減少する。好ましい実施形態において、樹脂部材は、2つの異なる強塩基樹脂またはBiQuant樹脂(トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、及びトリヘキシルアンモニウムから選択された第4級アンモニウム基を有する樹脂)等の2つの異なる強塩基官能基を有する樹脂を含む。
【0030】
別の実施形態において、樹脂部材は強酸樹脂をさらに含む。樹脂部材によって、処理された水の二価カチオン含有量が少なくとも20%減少すると好ましい。
【0031】
さらに別の実施形態において、段階b)は水から汚染物質を除去し、これらの汚染物質は、少なくとも8nmの直径を有するコロイド粒子、溶解有機物質、溶解二価または三価金属カチオン、溶解硫酸塩またはヒ酸塩、及び溶解シリカまたはリン酸塩の内の少なくとも2つを含む。少なくとも3種類の汚染物質を除去すればさらに好ましい。
【0032】
本発明の別の実施形態において、水の浄化または処理方法は、圧力ポンプを使用して樹脂部材が入った管に流入する水を、5から200ポンド/平方インチの範囲の圧力値まで加圧する段階をさらに含む。さらに別の実施形態において、段階b)の間の水圧は少なくとも5ポンド/平方インチであり、管を通る流量は一日あたり逆浸透膜またはナノろ過膜表面を少なくとも8から20ガロン/平方フィート通過できる。
【0033】
好ましい実施形態において、再生段階は、樹脂部材を繰り返し通過させるように樹脂部材が入った管からの流出物を回復して管に再導入することによって化学再生剤を再循環する段階を含む。
【0034】
好ましい実施形態において、化学再生剤は、塩化物イオン、アルカリ塩基、または塩化物塩及びアルカリ塩基の混合物の溶液を含む。別の好ましい実施形態において、化学再生剤は、塩化ナトリウム及び苛性ソーダの混合物を含む。さらに別の好ましい実施形態において、化学再生剤は、1回を超えて(少なくとも2回、少なくとも4回、またはそれ以上)使用される。
【0035】
さらに別の実施形態において、樹脂部材は、ポリスチレンまたはアクリルポリマーマトリックス型アニオン交換樹脂、イオン交換樹脂に塩鉄または酸化鉄等が付着した鉄含浸剤または鉄含有媒体、または強酸カチオン交換樹脂の少なくとも1つをさらに含む。
【0036】
別の好ましい実施形態において、管に供給する水と比較した流出水の溶解シリカの平均減少量は、少なくとも20%である。別の実施形態において、管に供給する水は少なくとも1ppmのシリカを有する。さらに別の実施形態において、段階b)において水は脱塩ユニットに供給され、段階c)の化学再生剤は脱塩装置のアニオン管から流出する苛性溶液である。
【0037】
さらに別の実施形態において、水の浄化または処理方法は、圧力ポンプを使用して樹脂部材が入った管に流入する水を、5から200ポンド/平方インチの範囲の圧力値まで加圧する段階をさらに含む。さらに別の実施形態において、段階b)の間の水圧は少なくとも5ポンド/平方インチであり、管を通る流量は一日あたり逆浸透膜またはナノろ過膜表面を少なくとも8から20ガロン/平方フィート通過できる。さらなる実施形態において、水は段階b)における800psiを超えて稼動するボイラーへと供給される。
【0038】
別の実施形態において、水は段階b)における脱塩ユニットへと供給され、そこで樹脂部材はさらに強塩基樹脂を含む。
【0039】
さらに別の実施形態において、再生剤を樹脂部材を繰り返して通過させるために、樹脂部材が入った管からの流出物を回復して管に再導入することによって再循環され得る。
【0040】
本発明の別の側面は、本明細書中に記載した樹脂及びポリスチレンまたはアクリルポリマーマトリックス型アニオン交換樹脂、鉄含浸剤または鉄含有媒体、または強酸カチオン交換樹脂の内の1つ以上を逆浸透膜またはナノろ過膜と流体連結して使用する水処理システムを含み、樹脂部材は単一の化学再生溶液を使用して再生されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】地表水が供給される逆浸透膜システムのための典型的な従来の前処理システムのフローシートを示す。
【図2】地表水が供給される限外ろ過を使用した逆浸透膜システムのための第2の典型的な従来の前処理システムのフローシートを示す。
【図3】本発明の地表水前処理システムの好ましい実施形態のフローシートを示す。
【図4】1実施形態の樹脂部材のコロイドシリカ減少及び除去能力を示す(平均50%除去)。
【図5】1実施形態の樹脂部材のシルト密度指数減少及び除去能力を示す(平均49%減少)。
【図6】1実施形態の樹脂部材の有機物質減少及び除去能力を示す(平均74%除去)。
【図7】1実施形態の樹脂部材の濁度能力を示す(平均31%)。
【図8】1実施形態の樹脂部材のコロイドシリカ減少及び除去能力を示す(平均50%除去)。
【図9】1実施形態の樹脂部材のシルト密度指数減少及び除去能力を示す(平均49%除去)。
【図10】1実施形態の樹脂部材の有機物質減少及び除去能力を示す(平均74%除去)。
【図11】1実施形態の樹脂部材の濁度減少及び除去能力を示す(平均31%除去)。
【図12】高容量鉄含浸樹脂を使用した1実施形態の樹脂部材の溶解シリカ除去能力を示す。
【図13】高容量鉄含浸樹脂を使用した1実施形態の樹脂部材の溶解シリカ除去能力を示す。
【図14】pH7.7のNSF53チャレンジ水からのシリカ除去を示す。
【図15】pH8.0で再生剤を再使用したシリカの除去及び再生を示す。
【図16】異なる再生剤を再使用した複数の再生剤によるフィールドパイロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、地表水が供給される逆浸透膜システムのための典型的な従来の前処理システムのフローシートを示す。
【0043】
図2は、地表水が供給される限外ろ過を使用した逆浸透膜システムのための第2の典型的な従来の前処理システムのフローシートを示す。
【0044】
図3は、本発明の地表水前処理システムの好ましい実施形態のフローシートを示す。
【0045】
図4は、1実施形態の樹脂部材のコロイドシリカ減少及び除去能力を示す(平均50%除去)。
【0046】
図5は、1実施形態の樹脂部材のシルト密度指数減少及び除去能力を示す(平均49%減少)。
【0047】
図6は、1実施形態の樹脂部材の有機物質減少及び除去能力を示す(平均74%除去)。
【0048】
図7は、1実施形態の樹脂部材の濁度能力を示す(平均31%)。
【0049】
図8は、1実施形態の樹脂部材のコロイドシリカ減少及び除去能力を示す(平均50%除去)。流入コロイドシリカ値が0.5から4.5ppmの範囲で自然に多様な構成成分を有する同じ地表水を処理するために、2つの樹脂部材の容量を含む2つの1リットルカートリッジを交互に使用した試験パイロットシステムのデータを示し、カートリッジを通した処理後の水がコロイドシリカ0.1から2.8ppmの範囲の減少した値を有し、コロイドシリカは代表値及び平均値約50%減少している。各カートリッジを通る流量は、12ベッドボリューム/時間に制御され、各カートリッジは、樹脂部材の再生または活性化のために取り外される前に計864リットルを処理した。1つのカートリッジが再生のために取り外される間、代わりのカートリッジが装着される。カートリッジ1の流出値は、再生1及び2後の値を表す記号“C1Reg.1”及び“C1Reg2”とともに“Virgin#1”、“C1Reg.1”、及び“C1Reg#2”で表される。カートリッジ2の流出値は、1回目の使用及び1回目の再生後の値を表す記号“Virgin#2”及び“C2Reg#1”で表される。
【0050】
図9は、1実施形態の樹脂部材のシルト密度指数減少及び除去能力を示す(平均49%除去)。流入コロイドシリカ値が0.5から4.5ppmの範囲で自然に多様な構成成分を有する同じ地表水を処理するために、2つの樹脂部材の容量を含む2つの1リットルカートリッジを交互に使用した試験パイロットシステムのデータを示し、カートリッジを通した処理後の水がコロイドシリカ0.1から2.8ppmの範囲の減少した値を有し、コロイドシリカは代表値及び平均値約50%減少している。各カートリッジを通る流量は12ベッドボリューム/時間に制御され、各カートリッジは、樹脂部材の再生または活性化のために取り外されるまでに計864リットルを処理した。再生のために1つのカートリッジが取り外される間、代わりのカートリッジが装着される。カートリッジ1の流出値は、再生1及び2後の値を表す記号“C1Reg.1”及び“C1Reg2”とともに“Virgin#1”、“C1Reg.1”、及び“C1Reg#2”で表される。カートリッジ2の流出値は、1回目の使用及び1回目の再生後の値を表す記号“Virgin#2”及び“C2Reg#1”で表される。
【0051】
図10は、1実施形態の樹脂部材の有機物質減少及び除去能力を示す(平均74%除去)。流入コロイドシリカ値が0.5から4.5ppmの範囲で自然に多様な構成成分を有する同じ地表水を処理するために、2つの樹脂部材の容量を含む2つの1リットルカートリッジを交互に使用した試験パイロットシステムのデータを示し、カートリッジを通した処理後の水がコロイドシリカ0.1から2.8ppmの範囲の減少した値を有し、コロイドシリカは代表値及び平均値約50%減少している。各カートリッジを通る流量は12ベッドボリューム/時間に制御され、各カートリッジは、樹脂部材の再生または活性化のために取り外されるまでに計864リットルを処理した。再生のために1つのカートリッジが取り外される間、代わりのカートリッジが装着される。カートリッジ1の流出値は、再生1及び2後の値を表す記号“C1Reg.1”及び“C1Reg2”とともに“Virgin#1”、“C1Reg.1”、及び“C1Reg#2”で表される。カートリッジ2の流出値は、1回目の使用及び1回目の再生後の値を表す記号“Virgin#2”及び“C2Reg#1”で表される。
【0052】
図11は、1実施形態の樹脂部材の濁度減少及び除去能力を示す(平均31%除去)。流入コロイドシリカ値が0.5から4.5ppmの範囲で自然に多様な構成成分を有する同じ地表水を処理するために、2つの樹脂部材の容量を含む2つの1リットルカートリッジを交互に使用した試験パイロットシステムのデータを示し、カートリッジを通した処理後の水がコロイドシリカ0.1から2.8ppmの範囲の減少した値を有し、コロイドシリカは代表値及び平均値約50%減少している。各カートリッジを通る流量は12ベッドボリューム/時間に制御され、各カートリッジは、樹脂部材の再生または活性化のために取り外されるまでに計864リットルを処理した。再生のために1つのカートリッジが取り外される間、代わりのカートリッジが装着される。カートリッジ1の流出値は、再生1及び2後の値を表す記号“C1Reg.1”及び“C1Reg2”とともに“Virgin#1”、“C1Reg.1”、及び“C1Reg#2”で表される。カートリッジ2の流出値は、1回目の使用及び1回目の再生後の値を表す記号“Virgin#2”及び“C2Reg#1”で表される。
【0053】
図12は、高容量鉄含浸樹脂を使用した1実施形態の樹脂部材の溶解シリカ除去能力を示す。この図は、pH8.2において16.8ppmのシリカを含む典型的な流入水を流量12ベッドボリューム/時間で処理した場合に、シリカ50%流出点までに樹脂1リットルあたり平均8000mgのシリカが除去されたことを示す。
【0054】
図13は、高容量鉄含浸樹脂を使用した1実施形態の樹脂部材の溶解シリカ除去能力を示す。シリカは、ブローダウン形態の2400psigの蒸気発生装置から除去される。
シリカ77ppm及びpH9.5の不利な高濃度の下で、著しく高速の57ベッドボリューム/時間においてシリカ除去能力を示す。シリカ50%流出点までに樹脂1リットルあたりおよそ6000mgのシリカが除去された。
【0055】
図14は、pH7.7のNSF53チャレンジ水からのシリカ除去を示す。この試験では、96時間後に樹脂1リットルあたり約17グラムのシリカが負荷され、試験終了時のシリカ流出はおよそ60%である。
【0056】
図15は、pH8.0で再生剤を再使用したシリカの除去及び再生を示す。この試験では、96時間後に樹脂1リットルあたり約34グラムのシリカが負荷され、試験終了時のシリカ流出はおよそ52%である。同じチャレンジ溶液及び排水サンプルでの第2サイクルの間に、樹脂1リットルあたり26グラムのシリカが負荷され、また1回目の試験の負荷量の76パーセントである。
【0057】
図16は、異なる再生剤を再使用した複数の再生剤によるフィールドパイロットを示す。初期の樹脂はコロイドシリカ、SDI及び有機物質をそれぞれ60%、42%及び73%減少させた。追加の負荷及び再生サイクル後のコロイドシリカ、SDI及び有機物質の減少量を示す。
【0058】
<樹脂部材>
本発明は、膜処理システムに供給される水の前処理に使用することができる高マクロ多孔性樹脂である樹脂部材を含む。膜処理システムは、逆浸透膜システムまたはナノろ過膜システムを含み得る。この樹脂部材は1つ以上のイオン交換樹脂及び/もしくはイオン交換管において積層されたまたは混合された吸着媒体を含む。実施形態によっては、樹脂によって複数の汚染物質が水流から除去されるため、樹脂部材を多汚染制御混合物として説明することができる。これらの汚染物質は、コロイド、溶解有機物質、溶解シリカ、並びに二価及び三価カチオンを含むがそれらに限定されるものではない。ここでは、樹脂部材は吸着剤も含み得る。
【0059】
樹脂部材は、水の供給または処理の流れからの以下の1つ以上の汚染物質の濃度を同時に除去または減少させるために効果的である。
i.シリカ、有機物質、鉄、マンガン、アルミニウム、銅、鉛、及びニッケルの典型的なコロイドから成る0.0008ミクロン(80オングストローム)以上の範囲の直径を有するコロイド粒子
ii.溶解有機物質(フミン酸、フルボ酸、タンニン酸等の自然発生有機物質)
iii.カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、マンガン、アルミニウム、銅、鉛、及びニッケル等の溶解二価または三価金属カチオン
iv.硫酸塩及び重炭酸塩を含む溶解アニオン種
v.溶解シリカ、リン酸塩、ヒ酸塩、及び同様のオキシアニオン
【0060】
2つ以上の上記汚染物質を減少または除去すると好ましい。3つ以上の上記汚染物質を減少または除去するとさらに好ましい。4つ以上の上記汚染物質を減少または除去するとさらに好ましい。5つ以上の上記汚染物質を減少または除去するとさらに好ましい。樹脂部材によって除去される汚染物質の数は、原水中の汚染物質の特性及び濃度、及び前処理フィルター等の使用される水浄化システムにおけるその他の要素に依存するだろう。
【0061】
1実施形態において、コロイド汚染物質を減少または除去する単一の多孔性樹脂を使用する。
【0062】
1実施形態において、樹脂部材は、コロイド汚染物質を減少または除去するための多孔性樹脂と、溶解有機汚染物質を除去する強塩基樹脂とを備える。
【0063】
別の実施形態において、コロイド汚染物質を減少または除去するための多孔性樹脂と、溶解有機汚染物質を除去する強塩基樹脂と、溶解シリカを除去する吸着媒体とを備える。有機除去及びコロイド汚染物質除去を兼ね備えた樹脂等のように、2つ以上の樹脂を事前に組み合わせてもよい。
【0064】
別の実施形態において、樹脂部材は、2つ以上の強塩基樹脂を含み得る。別の実施形態において、樹脂部材は軟化樹脂として強酸成分を含む。
【0065】
ここでは、“汚染物質を減少させる”との用語は、水流から少なくとも25%の測定可能な汚染物質(または複数の汚染物質)を除去することを意味する。少なくとも40%の汚染物質を除去するとさらに好ましい。少なくとも60%の汚染物質を除去するとさらに好ましい。少なくとも70%の汚染物質を除去するとさらに好ましく、少なくとも80%の汚染物質を除去するとさらに好ましい。汚染物質の濃度を管または装置の入り口と管または装置の出口とで比較した場合に、少なくとも90%以上の汚染物質が除去されるとさらに好ましい。
【0066】
ここでは、“汚染物質を除去する”との用語は、水流から少なくとも95%の測定可能な汚染物質(または複数の汚染物質)を除去することを意味する。少なくとも98%の汚染物質を除去するとさらに好ましい。少なくとも99%の汚染物質を除去するとさらに好ましく、少なくとも99.5%の汚染物質を除去するとさらに好ましい。汚染物質の濃度を管または装置の入り口と管または装置の出口とで比較した場合に、少なくとも99.9%以上の汚染物質が除去されているとさらに好ましい。
【0067】
ここでは、“径”及び“サイズ”との用語は、コロイドに言及する場合、両者ともコロイド粒子の平均直径として定義される。
【0068】
樹脂部材はさらに、逆浸透、ナノろ過、または同様の膜システムによって水を処理するための前処理において、水または処理の流れのシルト密度指数(SDI)値を減少させるために効果的である。SDI値は、試験を受ける供給水の流れのサンプルを30psigの定圧で保持し、0.45ミクロンの濾材を通過させる標準工業試験に由来する数値である。標準500ml容器を充填するのに要する時間を測定し、試験の開始直後に最初の測定値が採られ、別の測定値は15分後に採られる。シルト密度指数(SDI)と称される数値は数式を使用して比較及び計算される。数値は1から7の範囲わたり、1が最良であり汚染が最も少ないことを表し、数値が増加するにつれて汚染状況が急速に悪化する。樹脂部材を通過する水流のSDI値の減少の典型的な比率は、25%から100%の範囲である。SDIが少なくとも40%減少すると好ましい。SDIが少なくとも50%減少するとさらに好ましく、SDIが少なくとも60%減少するとさらに好ましい。SDIが少なくとも70%減少するとさらに好ましく、SDIが少なくとも80%減少するとさらに好ましい。SDIが少なくとも90%減少するとさらに好ましく、SDIが少なくとも95%減少するとさらに好ましい。
【0069】
好ましい実施形態において、樹脂部材は以下の2つ以上の組み合わせを使用する。
i.主にコロイド粒子及びいくつかの溶解有機物質を除去するための高孔率及び高破砕強度を有するマクロ多孔性樹脂
ii.主に溶解有機物質及び硫酸塩及び重炭酸塩等のアニオン種を除去するためのポリエチレンまたはアクリル高分子マトリックスの強塩基または弱塩基アニオン交換樹脂
iii.吸着機構によって主に溶解シリカ、ヒ素、リン酸塩及び同様のオキシアニオンを除去するためのカチオンまたはアニオン樹脂、アルミナ、天然ゼオライト、砂または同様のろ過媒体等の物質を使用した鉄含浸または鉄含有媒体
iv.カルシウム、マグネシウム、バリウム、ストロンチウム、鉄、マンガン、アルミニウム、銅、鉛及びニッケル等の主に溶解二価または三価金属カチオンを除去するための強酸カチオン交換樹脂
【0070】
好ましい実施形態において、高孔率及び高破砕強度を有する樹脂部材は、マクロ多孔性樹脂とii、iii、及びivの1つ以上との組み合わせを含む。
【0071】
[高孔率及び高破砕強度を有するマクロ多孔性樹脂]
1実施形態において、樹脂部材の一部として使用されるマクロ多孔性樹脂は、Daleによる米国特許第6,323,249号等に記載され、参照により全体がここに組み込まれる、高孔率及び高破砕強度を有するマクロ多孔性樹脂コロイドスカベンジャー樹脂である。この樹脂における大きなマクロ孔の直径は、典型的に5,000から100,000オングストローム、さらに好ましくは10,000から200,000オングストロームの範囲であり、吸着及びイオン交換現象と組み合わせると、コロイド粒子の除去に理想的である。この樹脂のメッシュサイズが16から50U.S.メッシュであると好ましい。カチオンまたはアニオン型樹脂のいずれかをベース樹脂として利用することができる。アニオン樹脂をベースとして使用する場合、溶解有機物質を除去する性能は著しく増加する。本発明のマクロ多孔性樹脂の合成を以下で説明する。
【0072】
マクロ多孔性樹脂はさらに、少なくとも0.36ml/g(乾燥)の細孔容積を有する。細孔容積は、約0.6ml/g(乾燥)を超え得るかまたは、0.36から1.5ml/g(乾燥)の間であり得る。
【0073】
マクロ多孔性樹脂は、高破砕強度を有し、チャティロン値は少なくとも24g/ビーズ(710μmビーズ径)と定義される。チャティロン値が少なくとも50g/ビーズであればさらに好ましく、少なくとも100g/ビーズであればさらに好ましい。チャティロン値が200g/ビーズであればさらに好ましい。低破砕強度を有する樹脂は、圧力をかけた管内に樹脂を入れて操作する必要があり、粒子を繰り返し消耗及び再生サイクルにさらさなければならないために粒子が破砕する傾向にあるという不都合を有するため、高破砕強度は本発明の重要な側面である。破砕された粒子は管から流出して膜フィルターを汚染する可能性があり、低破砕強度を有する樹脂の残りの樹脂の効果も減少する。
【0074】
別の実施形態において、樹脂部材の一部として使用するマクロ多孔性樹脂は、米国特許出願公報第60/908,172号に記載され、参照によりここに組み込まれる、高孔率及び高破砕強度を有するオルトポーラス樹脂である。本発明において使用されるオルトポーラス樹脂は、典型的なマクロ多孔性樹脂と比較して特に大きな孔を有する。孔サイズは樹脂材料を通した拡散及び流れの運動に影響を与える。オルトポーラス樹脂は、相互貫入重合体ネットワーク(IPN)を生成することによって形成され得る。これは、(a)初期マクロ多孔性共重合体を準備する段階と、(b)再膨潤させる段階と、(c)重合させる段階と、によってなされる。オルトポーラス樹脂を使用する場合、平均細孔径は約10,000〜500,000オングストロームの間である。
【0075】
本発明のオルトポーラス樹脂は、いくつかの段階で形成される。第1段階は、(a)脂肪族アルコール等、すなわちメチルイソブチルカルビノール、イソブチルアルコール等のフリーラジカル開始剤及びポロゲンを有する単量体の均一な混合物の液滴を懸濁させ、(b)水溶液中で、その後(c)熱重合させることによる共重合体の合成を含む。第2段階は、第1段階で作製した第0オーダーのIPNを水性懸濁液中で別の単量体混合物と混合して(再膨潤)第1オーダーのIPNを形成することを含む。第3段階では、第1オーダーのIPNをさらなる単量体と混合して第2オーダーのIPNを形成する。1実施形態において、第2オーダーのIPNを種として使用することによって、第3オーダーのIPNを形成する。
【0076】
共重合体及びIPNを形成するために使用する重合性単量体の混合物は、モノエチレン性不飽和単量体及びポリビニレデン単量体を含む。開始剤、懸濁剤、安定剤等を、単量体混合物または水相に適宜加えてよい。
【0077】
単量体溶液を形成するためにスチレン、ジビニルベンゼン、及びポロゲンを重合開始剤と混合すると、1好ましいマクロ多孔性樹脂が形成される。フリーラジカル開始剤が最も望ましい。単量体を重合させるために使用され得るフリーラジカル生成化合物は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化第3級ブチル等の過酸化物、過硫酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等のペルオキシ化合物、及びアゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2−t−ブチルアゾ−2−シアノプロパン等のアゾ化合物を含む。適切な濃度は、0.01から5.0%であり、好ましくは0.02から3.0%である。単量体の懸濁重合のために単量体相を水相に加える。単量体の水溶性を減少させるために、塩を水相に加えてもよい。
【0078】
ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(ビニルピロリジン)、ポリアクリル酸塩、ポリメチルアクリル酸塩、ジメチルジアルキルアンモニウムポリマー、亜硝酸塩及び二クロム酸塩、リン酸カルシウム塩、炭酸塩、硫酸塩、ベントナイト粘土、アラビアゴム、リグノスルホン酸塩、ゼラチン及びキサンタンゴム等のさまざまな懸濁剤及び安定剤を、粒子と同様に重合する間に液滴として分散された単量体を維持するために、単量体の重量0.01から1.0%の範囲の量で水分散液に加えてよい。
【0079】
カチオン交換体を形成するために、オルトポーラス共重合体を、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、またはクロロスルホン酸でスルホン化することができ、代わりに、アニオン交換体を形成するために、クロロアルキル化及び実質的にアミン化してよい。
【0080】
第1級、第2級、第3級アルキルアミン、またはアリールアミンを含む広範囲のアミンをアミン化反応において採用することができる。エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、及びイミノビスプロピルアミン等のポリアルキレンポリアミンも使用することができる。アミノアルコール及びジメチルアミノエタノールもヘキサメチレンテトラアミンと同様に有用である。好ましい実施形態は、第4級アニオン交換体を生成するアミノ化剤としてトリアルキルアミンを採用する。一般的に、アルキルラジカルは4つより多く炭素原子を含まない。
【0081】
実施形態によっては、トリメチルアミン樹脂を使用する強酸アニオン交換が好ましい。弱酸アニオン交換樹脂も調整され、これらの樹脂は、第3級アミンがジメチルアミン、ジエチルアミン、モノメチルアミン、エタノールアミン等の非3級アミンに変わることを除いて強塩基樹脂と同じ方法で調整される。
【0082】
本発明のこの実施形態に記載されたマクロ多孔性樹脂は、特に高い破砕強度を有する。従って、1実施形態において、チャティロン値は少なくとも200g/ビーズ平均(710μmビーズ径)である。チャティロン値が300g/ビーズであればさらに好ましい。チャティロン値が400g/ビーズであればさらに好ましい。1実施形態において、破砕強度は475g/ビーズである。低破砕強度を有する樹脂は、圧力をかけた管内に樹脂を入れて操作する必要があり、粒子を繰り返し消耗及び再生サイクルにさらさなければならないために粒子が破砕する傾向にあるという不都合を有するため、高破砕強度は本発明の重要な側面である。破砕された粒子は管から流出して膜フィルターを汚染する可能性があり、低破砕強度を有する樹脂の残りの樹脂の効果も減少する。
【0083】
[鉄含浸または鉄含有媒体]
任意で、樹脂部材に鉄含浸または鉄含有媒体が組み込まれ得る。粒状酸化鉄または水酸化鉄ベースの吸着剤は、長い間ヒ素除去用に市販されており、溶解シリカ吸着に優れた性能を示し、本発明の樹脂部材に使用され得る。しかしながら、主に純酸化鉄または水酸化鉄ベースの多くの製品は、下流の装置を塞ぎ得る微粒子を生成して故障する傾向にある。従って、本発明において有用な好ましい鉄含浸または鉄含有媒体は、米国特許第7291578号に記載されたArsenXnp(ピュロライト社、フィラデルフィア、製造)及び米国特許出願公報第2006/0037913号に記載されたResintech ASM−10HP(Resintech社、ニュージャージー、製造)等の鉄含浸カチオン及びアニオン樹脂を含み、参照により全体がここに組み込まれる。ArsenXnp樹脂を製造する間に、酸化鉄のナノ粒子が樹脂ビーズのマトリックスの深い内部に堆積される。樹脂ビーズは、ナノ粒子が堅く結合した堅固なマトリックスを提供し、水及びその汚染物をビーズの内外へ効率的に拡散する。従って、熱塩水においてシリカを処理するために塩鉄をシリカ含有水に加えることに代えて、シリカ含有水を単に鉄含有含浸媒体床に通過させ、酸化鉄のナノ粒子上への吸着によって複合体となるように鉄含浸樹脂のマトリックス中にシリカを拡散させる。
【0084】
ArsenXnp樹脂は吸着によって主にヒ素及びその他のオキシアニオンを除去するために開発されたものであるが、粒状物の物理的故障の問題がなく他の鉄ベースの吸着剤のように優れたシリカ除去性能を示す。実際に、水処理を技術者が初めに、飲料水システムからヒ素を除去する際にそのような鉄含有製品によるシリカの吸着に気付いた。しかし、水化学に依存してArsenXnp樹脂は典型的に、40,000から100,000ベッドボリューム程度のヒ素の容量に対して処理される水の約1000から2000ベッドボリュームのみのシリカ吸着性能を示すため、技術者にとってシリカを除去する能力は単に水からヒ素を吸着するために不要な競合を提供すると考えられていた。従って、ArsenXnp樹脂のシリカ吸着は、媒体上の同一の吸着サイトにとって、重要な汚染物質であるヒ素と競合するため、むしろ妨害汚染物として考えられていた。ArsenXnp樹脂の再生の独自の方法は、通常2%の苛性剤及び1%の塩を含む単純な塩水及び苛性溶液を利用して、シリカ、りん酸塩およびヒ素を媒体から除去または溶出することができる。溶液を好ましくは50℃まで加熱し、1時間に約2ベッドボリュームの流量でゆっくりと樹脂床を2−20ベッドボリューム、好ましくは約6ベッドボリューム通過させることによってシリカ及びその他の汚染物の除去効率が向上する。ArsenXnpは一回の使用後廃棄することが可能であるが、好ましい実施形態において、消耗後繰り返し再生し、最終的に廃棄する前に複数回再使用する。この実施形態は、総費用を抑えるために望ましい。従ってArsenXnp樹脂は、原水流が特に高濃度で溶解シリカを含む場合の処理にとって、樹脂部材において好ましい部材である。イオン交換樹脂が少なくとも24g/ビーズ(好ましくはより高い)の破砕強度を有するようなイオン交換樹脂に付着した酸化鉄を有する鉄含浸または鉄含有媒体は、圧力の要件のため、損傷し易い媒体が使用できないさまざまなシステムにおいて溶解シリカの除去に使用することができる。これらのシステムは、逆浸透システム、ナノろ過システム、脱塩ユニット、冷却塔、ボイラーなどを含む。
【0085】
樹脂部材は、例えば、高多孔性及び高破砕強度を有するマクロ多孔性樹脂、強塩基アニオン交換樹脂、及びArsenXnp樹脂を含み得る。樹脂部材は、単一のカテゴリーから2つ以上の部材を含み得る。例えば、異なる金属カチオンを除去するために2つの強塩基カチオン交換樹脂を含み得る。これらの部材は、樹脂部材を含む管内に均一に混合または層形成され得る。その他の構成の部材も想定される。
【0086】
樹脂部材は、損傷することなく管に適用される圧力に耐えることができなければならない。樹脂部材中のマクロ多孔性樹脂の破砕強度は、少なくとも24g/ビーズ平均でなければならない。破砕強度が少なくとも50g/ビーズであればさらに好ましい。マクロ多孔性樹脂のチャティロン値が少なくとも100g/ビーズであればさらに好ましい。マクロ多孔性樹脂のチャティロン値が少なくとも200g/ビーズ平均であればさらに好ましい。
【0087】
全般的な破砕強度を増大させ得る樹脂中のその他の部材も破砕に対して安定でなければならない。好ましくはマクロ多孔性樹脂及び任意でその他の樹脂または吸収部材を含む樹脂部材は、少なくとも24g/ビーズのチャティロン値で定義される高破砕強度を有する。樹脂部材のチャティロン値が少なくとも50g/ビーズであればさらに好ましい。樹脂部材のチャティロン値が少なくとも100g/ビーズであればさらに好ましい。樹脂部材のチャティロン値が少なくとも200g/ビーズであればさらに好ましい。強酸カチオン交換樹脂及び塩基アニオン交換樹脂等の一般的に使用されるイオン交換樹脂は、ここで定義される“高い”破砕強度より著しく高い破砕強度を有する。本明細書中において、“高”は、コロイド物質を吸着可能な他の大きな孔のマクロ多孔性樹脂と比較しての意味で使用されるものであり、多孔性を考慮しない全ての入手可能または一般的な樹脂と比較しての意味で使用されるものではない。
【0088】
<利点>
前記樹脂部材により、従来のシステムと比較して、同じ流量の水を処理するためにより小さいサイズのRO膜の使用が可能となり、本発明の方法及びシステムによってSDIを2ユニット未満に低下させるため、SDI値が2ユニットを超える場合に可能な8から14GFDの流動速度と比較して、1日あたり膜表面1平方フィートあたり14から18ガロン(GFD)の流動速度の設計が可能となる(Hydranautics Design Limits, www.hydranautics.com/docs/trc/Dsgn_Lmt.pdf参照)。従って、必要な膜の数及び必要な膜システムのサイズは減少する。
【0089】
本発明の方法及びシステムを使用すると水の損失が著しく低下する。UFシステムに必要な継続的な逆洗及びフラッシングの水が5%から15%の範囲であるのに対して、樹脂部材の定期的な再生に使用される水等の損失は典型的に1%未満である。
【0090】
本発明の方法及びシステムにおける樹脂部材を使用することによってさらに、従来の処理システムと比較した必要なユニット操作または処理段階の数並びに関連する人件費及び運営費を減少させることが可能となる。
【0091】
さらなる利点は、従来のシステム及びUF前処理システムと比較して低い資本コスト、従来の処理システムと比較して減少した機器設置面積、溶解硫酸塩、ヒ酸塩、リン酸塩、及び同様のオキシアニオンの除去または減少等の従来のシステムまたはUF前処理システムが対応していない汚染物質の除去または減少を含む。
【0092】
本発明において記載された方法及びシステムの利点は、樹脂部材が入った管に使用可能である小型のサイズである。樹脂部材は、小型イオン交換管において積層または混合された再生可能なイオン交換/吸着樹脂を使用することができる。小さな設置面積を有する管を使用することができることによって、低価格の管の使用が可能となり、システムにおける水の流量を減少させることなく浄化システムに要する空間を小さくすることが可能となる。
【0093】
本発明に記載された方法及びシステムの別の利点は、浄化工程の作動に関連する費用が低下することである。以前の前処理方法は、通常工程を監視するための作業者を必要とする。例えば、シリカ汚染物質を減少させるために使用する従来の高温石灰軟化装置/洗浄装置は、水の加熱、広い空間、及び連続的に監視して化学物質の供給を調整するための熟練した作業者を必要とする。同様に、米国特許出願公報2002/0153319号に記載された浄化技術は、一方が水素型で作用し、他方がナトリウム型で作用する連続した2つの弱酸カチオン管を、水素型弱酸カチオン管によって生成されるCO2を放出するための脱炭酸管とともに使用することを含む多くの費用のかかる前処理段階を必要とする。これらのユニットでは、継続的に熟練した作業者が、酸及び苛性化学薬品の取り扱い及び制御、水のサンプリング及び試験に日常的に注意を払わなければならない。これに対して、樹脂部材は重要な作業者の監視を必要としない。
【0094】
<汚染物質>
地表水は典型的に、濁度が1NTU(nephelometric turbidity unit)を超える高レベルの懸濁物質及び大部分がフミン酸及びフルボ酸化合物から成る数ppmの濃度の溶解有機物質を含む。これらの地表水のほとんどには、沈泥、粘土、シリカ、鉄、アルミニウム及び有機物質から成るさまざまな濃度のコロイド粒子が存在している。結果として、地表水は典型的に5より大きなシルト密度指数の値を有する。典型的に、コロイドシリカの濃度は、0.2から3ppmの範囲である。本発明の樹脂部材は特に、RO膜上の汚染物、化学堆積物、及び化学沈殿物を減少させるようなこれらの汚染物質の除去に有用である。
【0095】
[シリカ除去]
本発明の樹脂部材は、特にシリカの除去に有用である。給水における溶解シリカの除去または減少は、常にRO浄化における主な関心事項であった。シリカは外気温で約150mg/lの溶解度を有し、ROシステムからの廃棄/濃縮廃水流においてその溶解限界値を超過すると、膜表面に除去困難な堆積物を形成し得る。実際、シリカ堆積物及び生物汚染物を防ぐ必要性は、通常20から30%の範囲である多くの典型的なROシステムからの排除水の漏出の主な原因である。シリカを多く(すなわち30−70ppmまたはそれ以上)含む水にとって、このことは特に問題となり得、ROより前でのシリカ拡散剤の相当量の注入及び50%以上に近づくさらに高比率で水を除去する非効率な設計が必要となる。シリカ拡散剤業者は通常約200飽和パーセントのシリカ制御における成功を主張するが、膜製造業者はシリカ堆積物を最小化するための独自の内部警報点を一般的に100飽和%に設定している(Hydranautics−Chemical Pretreatment for RO and NF−March2002参照)、http://www.membranes.com/docs/tab/TAB111.pdf.。堅いクラスト様の傾向にあるシリカ堆積物のための膜洗浄は、ダウンタイム、必要とされる高価な化学薬品、並びに膜の永久的な損傷及び寿命短縮のリスクの観点から非常に高コストとなり得る。
【0096】
シリカを水酸化マグネシウムと共沈殿させてスラッジを形成させる従来の高温石灰軟化装置/洗浄装置において、地表水からシリカを部分的に除去することは可能である。しかしながら、このようなシステムは、水の加熱、広い空間、並びに連続的な監視及び化学物質の供給の調整の必要性を含む要件のために大規模なプラントに限定されるため、広範囲には使用されていない。さらに、後期沈殿を避け、且つRO膜への損傷を避けるために、通常pH10を超える処理される水に酸を加えることによってpHを低下させる調整を行わなければならない。溶解シリカの問題解決に貢献する際に、システムは高温石灰軟化装置からのキャリーオーバー中にコロイド及び懸濁物質を保持する傾向を有するため、コロイド粒子による汚染の可能性が高まる。典型的な下流の多媒体は、懸濁物質を除去することができるが、コロイド粒子を除去する能力はわずかしかなく、膜のかなりの汚染の可能性が残る。
【0097】
酸化鉄上でのシリカの除去は、熱塩水の浄化において使用されてきた確立された技術であり、塩化第二鉄等の塩鉄を使用して、塩水中に存在するシリカを沈殿させてその後ろ過することが可能な酸化/水酸化鉄のスラッジを形成する。鉄/シリカスラッジの形成によって、水が逆浸透膜へと到達する前に懸濁及びコロイド物質を効率的にろ過することが困難であるという高温石灰軟化装置と同様の問題が発生する。
【0098】
本発明の樹脂部材は、高い割合(85から95パーセント近く)の水が透過水として回復でき、排除水として消費される水がずっと減少するため、膜システムへの給水中の溶解シリカを減少させるために使用することができる。排除水流におけるシリカは、膜表面上での沈殿を避けるために150ppm以下に制御される。そのため、例えば流入水が50ppmのシリカ含有量を有する場合、排除水中のシリカは150ppmを超えないように3倍(150/50)しか濃縮されることができず、水の3/1または33%が排除水となることと同じである(透過における少量のシリカリークを無視した場合)。従って、回復される透過水は約66%である。しかしながら、流入水中のシリカが例えば25ppmまで減少された場合、除去水は6倍(150/25)まで濃縮されることができ、これは排除水量が総流入水の約6分の1または約16.7パーセントに減少することと同じである。従って、透過水として回復される割合は約83%まで増加する。この例を使用すると、除去水量が初期レベルの50%に減少すると同時に、有用な透過水の量が初期レベルと比較して25%以上増加することがわかる。透過水の販売からの収益が25%以上増加すると同時に、排除水の処理に関連する全ての費用は、50%減少することが予測される。
【0099】
<樹脂の孔構造及び破砕強度(脆砕性)の分析>
マクロ多孔性樹脂の細孔構造は、高分子格子間の空間またはチャネルによって形成される。細孔構造は、特徴的な細孔の分布及び範囲を有している。マクロ多孔性樹脂に多くの細孔の測定方法が適用されたが、真に絶対的なものはない。水銀圧入法による特性解析は、直接的、再現可能、且つ一貫性があることが認められた。水銀圧入法とは、水銀を圧入することによって、圧力と各圧力で吸収された水銀の容積の割合とから径を測定するものであり、多孔性物質における細孔のサイズの分布を測定するために長い間使用されてきた。この方法は、純水銀を直径dの毛管に圧入するのに必要な圧力が(−4σcosθ)/dの関係にあることに基づいている。ここで、σは水銀の表面張力、θは水銀と多孔性物質との接触角である(Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. (1921)7:115)。特定の物質において表面張力及び接触角は一定であるため、既知の圧力で水銀を細孔へ侵入させることで対応する細孔径が示され、侵入した水銀の量から与えられた径の細孔の多孔率または容積が示される。
【0100】
本明細書において使用される用語“破砕強度”は、個々の樹脂粒子を破壊するために必要な機械的負荷を意味し、“脆砕性”と同じ意味で使用される。破砕強度は、各ビーズが710μm±35μmの粒径を有する少なくとも10、通常25のビーズを含むサンプルの個別の破砕強度の統計的平均であり、破砕強度はビーズが割れるまたは破損するのに加えられる力である。
【0101】
本発明のマクロ多孔性樹脂の破砕強度は、強塩基アニオン交換樹脂を形成するために樹脂がアミノ化された場合、約24g/ビーズであり、好ましくは少なくとも30g/ビーズであり、さらに好ましくは少なくとも40g/ビーズであり、さらに好ましくは少なくとも50g/ビーズである。強酸型カチオン交換樹脂(すなわちスルホン酸基、例えばポリスチレンスルホン酸ナトリウムまたはポリAMPS)、その他の強塩基樹脂(すなわちトリメチルアンモニウム基(すなわちポリAPTAC))、弱酸樹脂(すなわちカルボン酸基)、及び弱塩基樹脂(すなわちポリエチレンアミン等のアミノ基)に形成されたマクロ多孔性樹脂の破砕強度も同様である。
【0102】
破砕強度は、チャティロン試験を使用して測定することができる。チャティロン試験の名前は、John Chatillon and Sons, New York, N.Y.によって製造された装置に由来し、樹脂の脆砕性を測定するために設計された。この装置は、2つの平行な板の間に配置された場合に樹脂ビーズを割るまたは砕くために必要な力(グラム)を測定する。板は“ブレイクポイント”に達するまで均一な速度で徐々に近付けられる。この試験の目的は、実際の使用条件の下で個々の樹脂ビーズに与えられる摩擦力及び圧力をシミュレートすることである。
【0103】
試験の仕様は、周知の標準の手順によって、樹脂を適切な型(カチオン樹脂では水素またはナトリウム、アニオン樹脂では塩化物の型)に変換することを含む。変換された樹脂は、試験に先立って、−20+30U.S.メッシュサイズでふるわれ、少なくとも15分間脱イオン水を完全に含水される。実際の試験は、チャティロン装置において破砕板を最低実用速度で下降させ、単一の樹脂ビーズ(小さな水滴で覆われている)上で行われる。個々の破砕力はグラム/ビーズで装置から記録され、結果は、最低脆砕基準を満たすビーズの割合、平均(最低20ビーズ、典型的には30ビーズ)、標準偏差、95%信頼区間、として示される。
【0104】
<処理効果の分析>
給水中の粒子によって膜が汚染される傾向は、シルト密度指数(SDI)と称される標準試験を使用して測定することができる。この試験において、給水のサンプルを0.45ミクロンのフィルターを通過させ、フィルターが汚染される時間を測定する。この値からSDI値が計算される。典型的な値は1から6の範囲である。値が高ければ、水が高い汚染リスクを示すことを意味する。膜業者は、性能保証を与えるとすれば通常SDI値4以下を必要とし、一般的にはSDI値3以下であることが好ましい。適切に設計された従来の前処理システムは、通常5未満を達成し、3以下を達成することもある。水中の懸濁物質の一般的指標は濁度であり、ネフェロ分析濁度ユニット(NTU)と称されるユニットにおいて測定される。NTUは、特定の波長において懸濁粒子によって散乱または減衰する、または入射光の経路から方法特有の角度(すなわち90°)で吸収される光の強度によって定義される。ほとんどのRO設計者は、最大濁度は1NTUと指定している。長期間の信頼できる動作のためには、SDIおよび濁度の値はそれぞれ2.5SDIユニット及び0.5NTUであることが好ましい。
【0105】
本発明において、樹脂部材が入った管から流出される水のSDIは4未満である。さらに好ましくは3.5未満であり、さらに好ましくは3未満であり、さらに好ましくは2.5未満である。好ましい実施形態において、SDIは2.0未満であり、さらに好ましい実施形態においてSDIは1.0未満である。SDIを分析する別の方法は、管の流入水および流出水のSDI値の比において提供される。
【0106】
<洗浄>
本発明の樹脂部材の利点は、再生の容易さである。これは、時間の節約、作業者の費用の減少、及び多くの場合再生費用の減少を通じて理解される。塩化ナトリウム及び苛性ソーダの混合物などの単一量の化学再生剤を使用することによって、樹脂部材内のあらゆるイオン交換樹脂及び/または吸着媒体は同時に再生または活性化される。単一の再生剤は、外気温または最高100℃以下に上昇した温度で適用される。
【0107】
1実施形態において、化学再生剤は、塩化カリウム、塩化カルシウムまたは塩化アンモニウム等の塩化物塩と、苛性カリ、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、及びナトリウムまたはカリウムのセスキ炭酸塩等のアルカリまたは塩基との混合物を含む。
【0108】
別の実施形態において、化学再生剤は、塩化ブライン溶液を含む。
【0109】
別の実施形態において、化学再生剤は、アルカリ塩基を含む。
【0110】
樹脂部材は、1回通過単位で洗浄され得る。本実施形態において、再生剤混合物は、樹脂部材が入った管を一度通過させた後廃棄される。好ましい流量は、2から8ベッドボリューム/時間の範囲であり、ベッドボリュームは、管における樹脂及び吸着剤を合わせた容量によって占有されるものと同等の液体容量によって定義される。2から4ベッドボリューム/時間であればさらに好ましい。
【0111】
1つの再生剤混合物を使用して全ての樹脂及び吸着媒体を再生することによって、再生費用、労働力、関連する希釈及び洗浄水、並びに排出規制に従って廃水のアルカリ性を中和するための費用を含む廃水処理費用が節約される。
【0112】
さらに、再生剤混合物は、その後の再生において樹脂部材を再生させるために再利用され得る。1実施形態において、化学洗浄が推奨された場合、樹脂部材を洗浄するために単一の再生剤混合物は2、3、4、5、6、7、8、9、10回以上使用される。再生剤の最初の濃度を維持するためにあらゆる回避できる減少を補うために、追加の新しい化学物質が再生剤混合物に追加され得る。樹脂部材を再生するよう推奨されたときに毎回再生剤混合物を特定の回数再利用する必要はないことが理解されているが、再生剤混合物を再利用できることは実質的な費用の節約へとつながる。
【0113】
再生剤混合物の繰り返し再利用できる性能によって、化学再生剤の費用節約、関連する労働力、廃水廃棄費用、及び排出規制に従って廃水のアルカリ性を中和するための費用を含む樹脂部材システムの作動に関連する費用は著しく減少する。
【0114】
別の好ましい実施形態において、再度樹脂のベッドボリュームを通過させるために管からの流出液を回収し、ポンプを使用して溶液を管の注入口へと戻すことを複数回繰り返すことによって、化学再生剤は樹脂部材が入った管を通して繰り返し再循環される。化学再生剤を再循環する好ましい速度は、2から40ベッドボリューム/時間であり、さらに好ましい速度は8から40ベッドボリューム/時間である。再生剤を一度通過させる方法において通常使用されるものより高速で再循環することによって、かなりの時間、関連する人件費が節約され、樹脂部材管が給水を膜へと処理することができない間の時間を短縮する作動の柔軟性がもたらされる。
【0115】
樹脂から溶離または剥離された汚染物質を含む流出水を、再生剤を再導入するとすぐに樹脂へと再導入しなければならないため、従来の再生方法は循環方法を使用していない。従来の再生剤を一度通過させる方法は、再生剤が樹脂床を通って一端から他端まで移動するため、樹脂から汚染物質を徐々に剥離させるように設計されている。より新しい再生剤が使用された再生剤に取って代わるため、樹脂から再生剤へと剥離される汚染物質の全体的な量は継続的に増加し、汚染物質が剥離される効率はますます高くなる。樹脂上に残る汚染物質の部分は、再生剤によって抽出された部分と化学平衡に達し、化学再生剤には樹脂の汚染物質及び再生剤に対する選択性に比例して、原則的に汚染物質を樹脂から取り除く再生剤との同様の化学平衡が存在する。
【0116】
水の脱塩は、イオン交換工程の参照基準であり、原水中に存在する95から99パーセントの溶解物質を取り除かなければならない。同様に、ボイラー給水として使用するためまたはROシステムに供給するためのイオン交換による水の軟化は、約1ppmの非常に低レベルまで硬度を除去する必要があり、典型的に原水から約99パーセントの除去を示している。このため、そのような品質が常に達成されなければならないものであれば、再生剤を再利用または再循環することは容認されるものではない。従って、ROの軟化が必要とされる場合に、再生剤の再利用及び/または再循環を含む実施形態は、ナトリウム型の強酸カチオン樹脂が、カルシウム及びマグネシウム等の二価及び三価カチオンの除去に利用される発明の側面には適用できない。しかしながら、再生剤の再利用及び/または再循環は、樹脂部材が溶解シリカ、コロイドシリカ及び有機物質の除去のための樹脂及び/または吸着剤を含む場合には適当である。このような場合において、再生に使用されるアルカリ及び塩水の濃度及び品質は、化学量論的要件を超えて(数百パーセント)非常に高く、このような場合において本発明によって達成される汚染物質除去の割合(典型的に25から75%)は、目標レベルの品質に到達するために最高純度の再生剤を使用する必要はない。さらに、樹脂部材からのシリカの抽出は、苛性ソーダ溶液において非常に高い溶解度を有する(25パーセント超)シリカによって大幅に促進される。再生剤を一度だけ使用する場合と比較して樹脂部材システムの作動費用を低減することができ、従来の前処理システムよりさらに費用を節約できるという利点を提供するため、再生剤の再利用は発明の好ましい実施形態である。
【0117】
<実施形態の概要>
図1は、浄化器、多媒体フィルター、及びカーボンフィルターを利用する従来の前処理方法を示し、図2は前処理としてのUF膜システムの使用を示す。図1に示すような従来のシステムは、大きな労働力を要し、作業者エラーが起こり易く、機器の設置面積が大きい。図2に示すようなUF前処理ユニットは、大きな資本を必要とし、RO自体からの廃水に加えてそれ自体が相当量の水を消耗する。
【0118】
図1に示す従来の前処理システムにおいて、微生物増殖を制御するために、塩素または次亜塩素酸ナトリウム溶液(項目1a参照)が約1から2ppmの遊離塩素で給水中に注入される。水酸化アルミニウムのゼラチン質のスラッジを形成及び濃縮させるために、硫酸アルミニウム等の凝固剤(2a)と、高分子電解質高分子化学物質(3a)とがppm濃度で浄化器(4a)の前に注入される。大きな表面積を有するスラッジは、流入地表水中に存在するいかなる懸諾及びコロイド粒子も捕捉することができる。その後スラッジは、定期的に除去されその後乾燥及び廃棄される、浄化器の底部に定着させることによって大部分が除去される浄化器の不活性領域へと移動される。典型的に地表水中に存在するフミン酸及びフルボ酸の種類の有機物質も、凝固剤の添加によって生成されたスラッジ中に捕捉されることによって部分的に除去される。
【0119】
浄化器の排水管から持ち越される残りの浮遊スラッジは、その後下流の多媒体フィルター(5a)上で除去される。フィルター媒体の典型的な組成は、砂と、無煙炭と、ガーネットとであり、砂フィルターなどの単一の媒体フィルターよりも一般的により効果的にろ過する。水はその後、残りの塩素を除去するために活性炭フィルター(6a)へと移動される。ほとんどの膜は、塩素等の酸化剤に対して非常に限られた耐性を有し、たとえ低濃度であっても連続的に曝露されると使用寿命が著しく短縮する。活性炭は、処理工程における段階で水中に依然として存在する有機物質も除去する。その後水は最終的に、逆浸透システム(9a)へと供給される前に、あらゆる微量の懸濁物質も除去するために5ミクロンフィルター(8a)を透過する。一般的に、この時点での目的は、濁度及びSDI値がそれぞれ1及び4またはそれより良好な最大限界を有する水を得ることである。
【0120】
図1に示した前処理工程におけるユニット操作の数によって、多くの作業者を要し、効果的な操作のために毎日作業者が注意を払わなければならない。作業者による日常的業務は、塩素、凝固剤、ポリマー、及び酸またはスケール防止剤の化学溶液の再充填と、原水品質の変化に対する化学物質注入の調整、あらゆる化学物質注入システムの較正及び修理、浄化器からのスラッジの除去、多媒体フィルターの逆洗と、精密フィルター及び活性炭媒体の交換、プラント流量の観測、調整及び記録、並びに膜が汚染された場合の膜の定期的な化学洗浄とを含むだろう。
【0121】
図2は、特に大きなROシステムで使用されている新しいUF前処理システムを示す。このシステムでは、上記図1に記載された浄化器、多媒体及び活性炭ユニットの使用が排除されている。凝固剤(2b)は、流入する有機物質をより効果的に捕捉するために、依然としてUFシステム(3b)の前に注入される。実質的には、UFシステムを使用することによって、懸濁物質、コロイド粒子、有機化合物、及び生物物質による汚染の問題の多くをROユニットからUFユニットへと移行させる。これは、蓄積した汚染物が作業効率を大幅に減少させる場合、UFユニットは定期的に逆洗され、且つ化学洗浄されなければならないことを意味する。重要な問題は、膜表面から汚染物を定期的に洗い流すために使用される水の一部を浪費することであり、その量は典型的にUFに供給される総流入水の5から15%の範囲である。これは、下流のROユニットから排除水としてさらに浪費される20から30パーセントの水に加えてさらに浪費されるものであり、全体的な水の損失は25から45%の範囲の量となる。これは、海水または都市地下水の脱塩の場合は通常は問題とはならないが、水の供給がかなり限られている世界の乾燥地域におけるROプラントの作業者にとっては主要な関心事項である。水の損失を減少させるために第1UFからの排除水流をさらに処理するために第3のより小規模な膜システムを提供する膜システム業者もいる。しかしながら、主なUFに要する既に大きな資本コストにさらに増加させ、限られた使用者にしか入手できないシステムとなる。
【0122】
図3に示す実施形態に記載された発明は、コロイド粒子、水のシルト密度指数値、溶解有機物質、金属、硫酸塩、ヒ素、リン酸塩を含む溶解アニオン、並びに溶解シリカを含む上記で説明したさまざまな汚染物質を同時に減少させるために小型の小さな設置面積の多媒体管を使用する。これは、UFまたは従来の前処理システムと比較して、作業者が払う注意を最小限にし、廃水量を比較的低減させ、資本コストを著しく低下させる。
【0123】
図3に記載された実施形態は、図1に記載された従来のシステムと比較した場合、浄化器及び活性炭ユニットを含まず、図2におけるUF前処理システムと類似している。微生物増殖を制御するために、任意で塩素または次亜塩素酸ナトリウム溶液(項目1c参照)が約1から2ppmの遊離塩素で給水中に注入される。残留するあらゆるスラッジまたはその他の懸濁物質は、下流の多媒体フィルター(2c)上で除去される。フィルター媒体の典型的な組成は、砂と、無煙炭と、ガーネットとであり、砂フィルターなどの単一の媒体フィルターよりも一般的により効果的にろ過するものであるが、それらに限定されるものではない。ほとんどのRO膜は、塩素等の酸化剤に対して非常に限られた耐性を有し、たとえ低濃度であっても連続的に曝露されると使用寿命が著しく短縮するため、この時点で存在しているあらゆる残留塩素を除去するために、水に塩素または同様の酸化剤が注入されている場合、その後水に重硫酸ナトリウムが注入される(3c)。1つ以上の特定のイオン交換樹脂及び/または吸着媒体である樹脂部材(4c)は、重硫酸ナトリウム注入地点の下流に搭載される。樹脂部材は、ここに記載したマクロ多孔性樹脂を含む。カチオンまたはアニオン型樹脂のいずれかをベース樹脂として使用することができる。アニオン樹脂がベースとして使用された場合、溶解有機物質の除去能力は著しく増加する。樹脂部材(4c)は、管の中に収容されている。管は、システムが必要とする圧力で樹脂部材を収容することができる当技術分野で周知のいかなる容器であってもよい。その後水は最終的に、逆浸透システム(6c)へと供給される前に、あらゆる微量の懸濁物質も除去するために5ミクロンフィルター(5c)または同様のものを透過させる。好ましくはROシステムへと供給する水は、濁度及びSDI値がそれぞれ1及び4またはそれより良好な最大限界を有する。
【0124】
コロイド粒子と同様に溶解シリカも除去することが望まれる場合、本発明の好ましい実施形態は、樹脂部材(4c)におけるカチオンまたはアニオン樹脂、天然ゼオライトまたはアルミナ等の鉄含浸または鉄含有媒体を組み込むことを含む。二価及び三価カチオンを除去するために、強酸カチオン樹脂を組み込むこともできる。消耗後、あらゆる樹脂は、外気温または高温のいずれかにおいてブライン及び苛性剤の混合再生剤で再生することができる。
【0125】
<マクロ多孔性樹脂の形成>
モノビニリデン及びポリビニリデンモノマーの共重合によって形成される従来のゲル樹脂は、マクロ孔を有し、細孔構造は架橋した高分子鎖間の距離によって定義される。マクロ多孔性樹脂は、ポリマー格子内に通常のゲル細孔に加えて相当量の非ゲル細孔を含む。この非ゲル細孔は、ゲル格子間に存在するチャネルから生じる。これらの微細チャネルは、細孔から隔離され且つ異なるものであり、当業者に周知であるようにあらゆる架橋共重合体中に存在する。チャネル自体は比較的小さいが、ゲル型樹脂の細孔と比較すると大きい。
【0126】
上記したように、マクロ多孔性樹脂は、米国特許第6,323,249号に記載された方法によって形成されることができ、参照により全体がここに組み込まれる。米国特許第6,323,249号に記載された方法で生成されたマクロ多孔性樹脂は、非常に大きなサイズの細孔を有するが、細孔サイズがより狭い範囲に分布されているため、ほとんどの目的において十分高い破砕強度を有する。コロイド物質を除去するための有用なサイズの範囲において、狭い細孔分布は、無駄に小さな細孔及び不必要に大きな細孔がほとんど存在しないことを意味する。
【0127】
マクロ多孔性樹脂は、適量の低分子量の水溶性重合体ポロゲン、高膨張ポロゲンの混合物の存在下で、モノエチレン性不飽和モノマーをポリビニレデンモノマーと共重合させることによって形成される。
【0128】
有用なモノエチレン性不飽和モノマーは、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、第三級ブチルスチレン、ビニルピリジン、2−メチル-ビニルピリジン、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、酢酸ビニル、ステアリン酸ビニル、臭化ビニル、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、アクリル及びメタクリルエステル、並びにその他の誘導体を含む。スチレンが好ましい。
【0129】
架橋剤として使用するための有用なポリビニリデンモノマーは、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、エチレングリコール、ジメタクリル酸、ヘキサンジオールジアクリラート、メタクリル酸アリル、ジビニルケトン、ジビニルスルホン、トリメチロールプロパン、トリメタクリル酸、及びトリビニルベンゼンを含む。ジビニルベンゼンが好ましく、好ましくは2から100%の量で存在し、さらに好ましくは2から16%である。
【0130】
モノマー溶液を形成するために、スチレン、ジビニルベンゼン、及びポロゲンが、重合開始剤と共に混合されると、1好ましいマクロ多孔性樹脂が形成される。フリーラジカル開始剤が最も好ましい。モノマーを重合させるために使用され得るフリーラジカル生成化合物は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化第三級ブチル、過酸化水素等の過酸化物と、過硫酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過‐化合物と、アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2−t−ブチルアゾ−2−シアノプロパン等のアゾ化合物とを含む。適切な濃度は、0.01から5.0%であり、さらに好ましくは0.02から3.0%である。モノマーの懸濁重合のために、モノマー相が水相に添加される。モノマーの水溶性を減少させるために、水相に塩が添加され得る。
【0131】
モノマーを重合する間に、液滴として分散されたモノマーの維持を助けるために、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリジン、ポリアクリル酸塩、ポリメチルアクリル酸塩、ジメチルジアルキルアンモニウムポリマー、亜硝酸及び二クロム酸塩、リン酸カルシウム、炭酸塩、硫酸塩、ベントナイト粘土、アラビアゴム、リグノスルホン酸塩、ゼラチン、並びにキサンタンゴム等のさまざまな懸濁剤及び安定剤をモノマーの0.01から0.5重量%の量で分散液に加えてもよい。
【0132】
混合物は70℃から90℃で6から15時間加熱され、ろ過、洗浄、乾燥される。ろ過、洗浄及び乾燥に続いて、架橋された共重合樹脂は、カチオン交換体を形成するためにスルホン化剤として硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、またはクロロスルホン酸でスルホン化されることができ、アニオン交換体を形成するためにクロロアルキル化の後にアミノ化され得る。
【0133】
アミノ化反応において、第1級、第2級、及び第3級アルキルアミンまたはアリールアミンを含む広範囲のアミンを採用することができる。エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン、等のポリアルキレンポリアミンも使用することができる。アミノアルコール及びジメチルアミノエタノールも有用である。好ましい実施形態は、第4級アニオン交換体を生成するアミノ化剤としてトリアルキルアミンを採用する。通常アルキルラジカルは、4を超える炭素原子を含まない。
【0134】
浄化される水流がコロイドシリカ及び逆浸透の前に除去される必要があるその他のコロイド粒子等を有する場合、トリメチルアミン樹脂で製造された強塩基アニオン交換樹脂が好ましい。強塩基官能基を有する樹脂はコロイドシリカ及びその他のコロイド粒子の除去に好ましいが、同様のマクロ多孔性構造を有する弱塩基アニオン交換樹脂も機能するだろう。そのような弱塩基アニオン交換樹脂は、トリメチルアミンがジメチルアミン、ジエチルアミン、モノメチルアミン、エタノールアミンなどに置き換えられることを除いて強塩基樹脂と同様の方法で製造される。イオン交換官能基の違いに加えて、これらの弱塩基アニオン交換樹脂は、強塩基アニオン交換樹脂としての形態構造、特に大きな孔サイズに関して本質的に同一である。
【0135】
対応する架橋された共重合樹脂からイオン交換樹脂を生成する方法は、当該技術分野において周知である。ポリスチレンのクロロメチル化の後にアミノ化することによって生成されたアニオン交換樹脂は、米国特許第2,591,573号、第2,591,574号、第2,616,099号、第2,629,710号、第2,631,999号、第2,632,000号、第2,642,417号、第2,725,361号、第2,794,785号、第3,422,160号、第3,311,602号、第2,953,547号、4,225,677号、3,425,990号に開示されている。例えば架橋ポリスチレン等の架橋ポリマーのスルホン化によって得られた強酸カチオン交換体は、米国特許第2,366,007号、第2,466,675号、第2,500,149号、第2,631,127号、第2,664,801号に開示されている。ここで引用された全ての米国特許及び公開特許出願は、参照によってここに組み込まれる。
【0136】
マクロ多孔性樹脂は、細孔径が4,000から500,000オングストローム、またはさらにこのましくは4,000から200,000オングストローム、さらに好ましくは10,000から200,000オングストロームの範囲であり、特に高破砕強度及び高細孔容積を有することを特徴とする新規のマクロ多孔性樹脂を提供することによって、シリカ等のコロイド粒状物質を水流から取り除く。アニオン交換樹脂は、コロイドシリカまたは水和酸化物等のコロイドまたは粒状物質を除去するために使用されることができ、同時に脱イオン化およびコロイド除去を達成するためにカチオン交換樹脂と併せて使用することができる。加えて、本発明のアニオン交換樹脂は、例えばフミン酸などの比較的高分子量の酸を効果的に除去することができ、水溶液からウイルスを除去することができる。
【0137】
<定義>
“単一の化学再生剤”との用語は、単一の化学再生剤と単一の再生剤を使用した化学物質の混合物との両方を意味する。
【0138】
本明細書中で使用される高マクロ多孔性樹脂は、大きな径の細孔を有する樹脂を意味する。高マクロ多孔性樹脂の平均細孔径は、少なくとも約1,000オングストロームであり、典型的には少なくとも約20,000オングストロームの平均細孔径(D50)を有する。
【0139】
本明細書中で使用されるオルト多孔性樹脂は、10,000から500,000オングストロームの範囲の細孔径を相当数有する高マクロ多孔性樹脂である。
【0140】
本明細書中で使用される用語“同時”は、同時または数分以内を意味する。樹脂の再生または活性化とともに使用される場合、“同時の再生または活性化”は、単一の再生剤を加えることによる単一の工程段階において再生または活性化が起こることを意味する。1化学再生工程は、別の化学再生工程とは異なる速度で進行し得ることが理解される。
【0141】
“約”または“およそ”との用語は、当業者によって決定される特定の値において許容範囲内のエラーを意味し、一つには値の測定または決定方法、すなわち測定システムの限界、すなわち製剤処方等、特定の目的に必要とされる精度に依存するだろう。例えば、“約”は、技術分野における実施あたり標準偏差が1以内または1を超えることを意味することができる。また、“約”は、所定値の20%までの範囲を意味することができ、好ましくは10%まで、さらに好ましくは5%まで、さらに好ましくは1%までの範囲を意味することができる。また、特に生物システムまたは処理に関しては、前記用語は値の10倍以内を意味することができ、好ましくは5倍以内、さらに好ましくは2倍以内を意味することができる。特定の値が明細書中及び特許請求の範囲に記載されている場合は、特に明記しない限り“約”との用語は特定の値の許容されるエラーの範囲内であることを意味するものとする。
【0142】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において使用される単数形表記は、明確に示唆していない限り複数の指示対象を含む。従って、例えば“分子”は1つ以上の分子を含み、“樹脂”は1つ以上の異なる樹脂を含み、“方法”は当業者に周知のここに記載した方法で修正または置換することができる同等の段階及び方法への言及を含む。
【0143】
以下の例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために記載される。当然のことながら、本実施例に開示された技術は、当業者が本発明の実施する場合に本発明者によって発明された技術が十分に機能するように示すものであるため、実施における好ましいモードを構成すると考えられる。しかしながら、当然のことながら当業者であれば本明細書の記載を考慮して、開示された特定の実施形態において多くの変更を行うことが可能であり、本発明の精神を逸脱しない範囲で同様の結果を得ることができる。
【実施例1】
【0144】
コロイドシリカ、有機物質、濁度、及びシルト密度指数(SDI)に関して自然に多様な構成成分を有する河川からの連続的に流れる地表水を使用して本発明を実証する。河川水前処理システムは、塩素、硫酸アルミニウム、水酸化カルシウムを使用した軟化及び浄化を含み、その後砂ろ過及び活性炭が続く。使用する前に、懸濁物質を除去するためにらせん状にねじれた綿繊維の1リットルカートリッジフィルターを通して水をろ過した。その後ろ過された水を12BV/Hの流量で、それぞれが1リットルの樹脂部材を含み、両樹脂ともにPurolite社によって製造された、Daleによる米国特許第6,323,249号に記載された高多孔性及び高破砕強度を有するマクロ多孔性アニオン樹脂であるPurolite A501Pと、マクロ多孔性アクリル強塩基アニオン樹脂であるPurolite A−860との50:50の混合物から成る2つの1リットルカートリッジを交互に通過させた。試験の間、流入水の構成成分は、コロイドシリカは0.5から4.5ppmの範囲、溶解有機物質は0.6から2.5ppmの範囲、濁度は0.2から0.65NTUの範囲、シルト密度指数(SDI)は0.25から4.75SDIユニットの範囲で自然に変化した。コロイドシリカ濃度、シルト密度指数、有機物質濃度、及び濁度は、それぞれイオン交換管の入口及び出口の両方で測定した。図4は、コロイドシリカが平均給水値の1.5ppmから平均流出水値の0.75まで減少しており、テスト期間にわたってコロイドシリカの平均減少量がおよそ50%であることを示している。図5は、平均給水値の3.0から平均流出水値のおよそ1.5までのSDIの平均減少量を示す。図6は、平均給水値の0.92ppmから平均流出水値の0.25ppmまでの溶解有機物質の平均減少量を示す。図7は、平均給水値の0.22NTUから平均流出水値のおよそ0.15NTUまでの濁度の平均減少量を示す。図8、9、10及び11は、それぞれコロイドシリカ、シルト密度指数、有機物質、及び濁度の給水値の変化及び対応する流出水値の変化を示す。
【実施例2】
【0145】
およそ2ppmのシリカ、pH8.2、総溶解物質量およそ210ppm、総有機炭素(TOC)として測定された総有機物質含有量1.5から2.5ppmを含有するフィラデルフィア市の給水を処理することによって本発明を実証する。シリカ堆積問題を伴ってROが使用される米国の多くの場所で測定された典型的なレベルに合わせてシリカ濃度を16.8ppmにするために、水に追加のシリカを人工的に混入させた。1リットルのArsenXnp(実験コードD9908)の16から50U.S.メッシュサイズのサンプルを含む樹脂部材をカートリッジに装着し、1時間あたり12ベッドボリュームの流量で水を樹脂部材に通過させた。流出水におけるシリカの量が、図12に示すように流入値の50%に到達するまで流入及び流出溶解シリカ濃度を定期的に測定した。樹脂に負荷されたシリカの割合を測定するために物質収支を用いた。およそ1200リットルの水を処理した後の流出水中のシリカの50%漏出点において、樹脂に負荷された総シリカ量は、樹脂1リットルあたりおよそ8グラムであることが測定された。
【実施例3】
【0146】
2400psigのブローダウン水流の蒸気発生ボイラーからの水を、ArsenXnp(実験コードD9908)を含む樹脂部材1リットルが負荷された1リットルカートリッジに、1時間あたり57ベッドボリュームの流量で通過させることによって回復及び処理した。ブローダウン水は、平均77ppmの非常に高濃度のシリカ及び比較的高いpH9.5を有した。流入及び流出シリカ濃度は、流出水におけるシリカ濃度が流入水におけるシリカ濃度とほぼ同等になるまで定期的に測定した。樹脂に負荷されたシリカの割合を測定するために物質収支を用いると、図13に示すように総計161リットルの水を処理した樹脂1リットルあたりおよそ6,000ミリグラムのシリカが測定された。媒体1リットルあたり8.7gのSiO2が搭載され、試験終了時点でのシリカ流出量はおよそ60%であった。
【実施例4】
【0147】
ArsenXnpとしても知られるD9908鉄含浸アニオン樹脂のサンプル18mlをガラスカラム及びチャレンジ溶液に入れ、NSF53と称した。チャレンジ溶液は、外気温において20BV/Hの流速で樹脂を通過させた。チャレンジ溶液は、Ca51ppm、Mg17.8ppm、Na114ppm、SO467ppm、PO41.64ppm、HCO397.6ppm、Cl140ppm、SiO222ppm、pH7.7を有した。96時間の間4時間毎に流出水サンプルを抽出し、シリカ濃度及びpHを分析した。結果は図14に示され、96時間後に樹脂1リットルあたりおよそ17グラムのシリカを負荷し、試験終了時のシリカ流出量はおよそ60%であることが示唆される。
【実施例5】
【0148】
ArsenXnpとしても知られるD9908鉄含浸アニオン樹脂のサンプル18mlをガラスカラム及びチャレンジ溶液に入れ、NSF53と称した。チャレンジ溶液は、外気温において20BV/Hの流速で樹脂を通過させた。チャレンジ溶液は、Ca46.8ppm、Mg13.8ppm、Na117ppm、SO460ppm、PO40.01ppm、HCO3125ppm、Cl140ppm、SiO229ppm、pH8.0を有した。96時間の間4時間毎に流出水サンプルを抽出し、シリカ濃度及びpHを分析した。結果は図15に示され、96時間後に樹脂1リットルあたりおよそ34グラムのシリカを負荷し、試験終了時のシリカ流出量はおよそ52%であることが示唆される。その後、外気温において4%苛性ソーダ溶液6ベッドボリュームによる2BV/Hの流量の並行流で樹脂のサンプルを再生した。その後、樹脂を上記チャレンジ溶液での2回目のローディングサイクルにさらし、流出水サンプルを再度抽出し分析した。2回目のサイクルでの樹脂へのシリカ負荷量は、樹脂1リットルあたりシリカ26グラムであり、また1回目の試験の負荷量のおよそ76パーセントであった。
【実施例6】
【0149】
両樹脂ともにPurolite社によって製造されたDaleによる米国特許第6,323,249号に記載された高多孔性及び高破砕強度を有するマクロ多孔性アニオン樹脂であるPurolite A501Pと、マクロ多孔性アクリル強塩基アニオン樹脂であるPurolite A−860との50:50の混合物が入った1リットルカートリッジを含む2つのフィールドパイロットを使用して、再生の容易性及び再生剤を複数回再使用できる性能を実証した。
【0150】
コロイドシリカ、有機物質、濁度、及びシルト密度指数(SDI)に関して自然に多様な構成成分を有する河川からの連続的に流れる地表水を使用して本発明の側面を実証する。河川水前処理システムは、塩素、硫酸アルミニウム、水酸化カルシウムを使用した軟化及び浄化を含み、その後砂ろ過及び活性炭が続く。使用する前に、懸濁物質を除去するためにらせん状にねじれた綿繊維の1リットルカートリッジフィルターを通して水をろ過した。その後ろ過された水を12BV/Hの流量で、計72時間2つのカートリッジを通過させた。試験の間、流入水の構成成分は、コロイドシリカは0.5から4.5ppmの範囲、溶解有機物質は0.6から2.5ppmの範囲、濁度は0.2から0.65NTUの範囲、シルト密度指数(SDI)は0.25から4.75SDIユニットの範囲で自然に変化した。コロイドシリカ濃度、シルト密度指数、有機物質濃度、及び濁度は、それぞれイオン交換管の入口及び出口の両方で測定した。
【0151】
2試験の平均結果は、図16に示すように、初期の樹脂がコロイドシリカ、SDI及び有機物質をそれぞれ60%、42%及び73%減少させたことを示した。その後、NaCl160グラムとNaOH32グラムの混合物を含む10%塩化ナトリウム/2%苛性ソーダ溶液を使用して外気温で流量2BV/Hで樹脂サンプルを再生した。その後カートリッジを上記と同じ給水に2回目及び3回目のローディングサイクルにさらし、同じ再生剤溶液で2回再生した。2サイクルのコロイドシリカ、SDI及び有機物質の平均減少は、それぞれ50%、49%及び79%であった(Alk.Brine(4reg))。
【0152】
その後、同じ流入水及び樹脂1リットルあたり160グラムのNaClを注入した10%NaClを含む再生溶液を使用して、前述の実験の外気温の代わりに40℃において2度の追加のローディング及び再生サイクルを実施した。これら2実験のコロイドシリカ、SDI及び有機物質の平均減少率は、それぞれ37%、64%及び74%であった(アルカリ塩水(40C Brine(2reg))。
【0153】
その後、同じ流入水及び以下2段階の方法を含む再生剤溶液で4度の追加のローディング及び再生サイクルを実施した。第1段階は、160g/l及び32g/lを注入した10%NaCl/2%NaOHを含み、40℃に加熱した。第2段階は、外気温で64g/lを注入した10%NaClのみの溶液を含む。コロイドシリカ、SDI及び有機物質の平均減少率は、それぞれ62%、44%及び75%であった(40C Alk.Brine, Brine(4reg))。
【0154】
その後、同じ流入水及び上記最後の4サイクルと同一の再生剤溶液を使用して、40℃に加熱する代わりに外気温で2度の追加のローディング及び再生サイクルを実施した。コロイドシリカ、SDI及び有機物質の平均減少率は、それぞれ64%、39%及び71%であった(Alk.Brine, Brine(2reg))。
【0155】
この実験で実証されたように、複数回のローディング及び再生サイクル後の有機物質の減少量は、それぞれの試験された再生剤において同様であった。SDIの最適な減少は、40C Brineを使用した再生が最良であり、アルカリ塩水も良好であった。コロイドシリカの最適な減少は、アルカリ塩水及び塩水を使用した再生が最も好適であった。温度制御は必要ないが、塩水を追加する段階は有用である。
【0156】
濁度の最適な減少は、アルカリ塩水を外気温で使用した再生であり、32%の減少が得られた。
【符号の説明】
【0157】
1a、1b、1c 塩素注入
2a、2b 凝固剤注入
3a ポリマー注入
4a 浄化器
5a、2c 多媒体フィルター
6a 活性炭フィルター
8a、5c 5ミクロンフィルター
9a、6c 逆浸透システム
3b UFシステム
3c 重硫酸ナトリウム注入
4c 樹脂部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)樹脂部材が入った管に水を通過させることによって水を前処理する段階と、
b)透過水を生成するために前記樹脂部材からの水を逆浸透膜またはナノろ過膜へと供給する段階と、を含み、
前記樹脂部材が、1,000から500,000オングストロームの細孔径及び少なくとも24g/ビーズ(ビーズ径710μm)の破砕強度またはチャティロン値を有する相当数の細孔を有する高マクロ多孔性樹脂を含むことを特徴とする水の浄化方法。
【請求項2】
前記マクロ多孔性樹脂が、少なくとも0.36ml/g(乾燥)の細孔容積を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マクロ多孔性樹脂が、(a)モノエチレンモノマーと、(b)ポリエチレンモノマーと、(c)フリーラジカル開始剤と、(d)20〜40pphポリアルキレンオキシド細孔形成剤または20〜40pphポリアルキレンオキシド細孔形成剤及びトルエンの混合物との溶液を重合させることによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マクロ多孔性樹脂が、175g/ビーズから475g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マクロ多孔性樹脂が、10,000から500,000Åの範囲の平均細孔径と、少なくとも0.60mg/l(乾燥)の細孔容積と、少なくとも24g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値とを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記マクロ多孔性樹脂が、10,000から200,000Åの範囲の細孔径と、少なくとも0.60mg/l(乾燥)の細孔容積と、少なくとも24g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値とを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記マクロ多孔性樹脂が、5,000から100,000Åの範囲の細孔径と、少なくとも0.60mg/l(乾燥)の細孔容積と、少なくとも24g/ビーズから175g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値とを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マクロ多孔性樹脂が、スルホン酸化され、且つ強酸カチオン交換樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マクロ多孔性樹脂がクロロメチル化された後アミノ化され、且つ前記マクロ多孔性樹脂が塩基性アニオン交換樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記樹脂部材が、水のシルト密度指数(SDI)及び/またはコロイド粒子含有量を少なくとも20%減少させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記樹脂部材が、さらにイオン含浸またはイオン含有媒体を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記樹脂部材が、処理された水の溶解シリカを少なくとも20%減少させることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記樹脂部材が、さらに1つ以上の強酸樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記樹脂部材が、処理された水の総有機炭素(TOC)含有量を少なくとも20%減少させることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記樹脂部材が、さらに1つ以上の強酸樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記樹脂部材が、処理された水の二価カチオン含有量を少なくとも20%減少させることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
a)樹脂部材が入った管に水を供給する段階と、
b)透過水を生成するために前記樹脂部材からの水を逆浸透システムまたはナノろ過システムへと供給する段階と、
c)前記樹脂部材の化学洗浄が推奨される場合、前記樹脂部材を同時に再生または活性化するために、単一の化学物質または化学物質の混合物の1溶液を使用して前記樹脂部材を再生する段階と、
を含み、
前記樹脂部材が、10,000から500,000オングストロームの平均細孔径及び少なくとも24g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値を有する高マクロ多孔性樹脂を含むことを特徴とする水の浄化方法。
【請求項18】
前記再生する段階が、前記樹脂部材が入った前記管からの流出水を回収し、前記樹脂部材を繰り返し通過させるように前記管へと再導入することによる、前記化学再生剤の再循環を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化学再生剤が、塩化物イオン、アルカリ塩基、または塩化物塩及びアルカリ塩基の混合物の溶液を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記樹脂部材が、ポリスチレンまたはアクリルポリマーマトリックス型のアニオン交換樹脂、イオン含浸またはイオン含有媒体、もしくは強酸カチオン交換樹脂の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記マクロ多孔性樹脂が、(a)モノエチレンモノマーと、(b)ポリエチレンモノマーと、(c)フリーラジカル開始剤と、(d)20〜40pphポリアルキレンオキシド細孔形成剤または20〜40pphポリアルキレンオキシド細孔形成剤及びトルエンの混合物との溶液を重合させることによって形成されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項22】
a)樹脂部材が入った管に水を供給する段階と、
b)前記樹脂部材からの水を逆浸透システム、ナノろ過システム、脱塩ユニット、冷却塔またはボイラーへと供給する段階と、
c)前記樹脂部材の化学洗浄が推奨される場合、アルカリ溶液またはアルカリ及びブライン溶液で前記樹脂部材を再生する段階と、
を含み、
前記樹脂部材が、イオン交換樹脂に付着した酸化鉄であるイオン含浸またはイオン含有媒体を含むことを特徴とする溶解シリカを含む水の処理方法。
【請求項23】
1,000から500,000オングストロームの平均細孔径及び少なくとも24g/ビーズ(ビーズ径710μm)の破砕強度またはチャティロン値を有するマクロ多孔性樹脂と、
ポリスチレンまたはアクリルポリマーマトリックス型のアニオン交換樹脂、イオン含浸またはイオン含有媒体、もしくは強酸カチオン交換樹脂の1つ以上と、
を含んで逆浸透膜またはナノろ過膜と流体連結された樹脂部材を含み、
前記樹脂部材が、単一の化学再生剤溶液を使用して再生可能であることを特徴とする水の処理システム。
【請求項24】
前記マクロ多孔性樹脂が、スルホン酸化され、且つ強酸カチオン交換樹脂を含むかまたは、前記マクロ多孔性樹脂が、クロロメチル化された後アミノ化され、且つ前記マクロ多孔性樹脂が塩基性アニオン交換樹脂を含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
水のシルト密度指数(SDI)を少なくとも20%、処理された水の溶解シリカを少なくとも20%、処理された水の総有機炭素(TOC)含有量を少なくとも20%減少させることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項1】
a)樹脂部材が入った管に水を通過させることによって水を前処理する段階と、
b)透過水を生成するために前記樹脂部材からの水を逆浸透膜またはナノろ過膜へと供給する段階と、を含み、
前記樹脂部材が、1,000から500,000オングストロームの細孔径及び少なくとも24g/ビーズ(ビーズ径710μm)の破砕強度またはチャティロン値を有する相当数の細孔を有する高マクロ多孔性樹脂を含むことを特徴とする水の浄化方法。
【請求項2】
前記マクロ多孔性樹脂が、少なくとも0.36ml/g(乾燥)の細孔容積を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マクロ多孔性樹脂が、(a)モノエチレンモノマーと、(b)ポリエチレンモノマーと、(c)フリーラジカル開始剤と、(d)20〜40pphポリアルキレンオキシド細孔形成剤または20〜40pphポリアルキレンオキシド細孔形成剤及びトルエンの混合物との溶液を重合させることによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マクロ多孔性樹脂が、175g/ビーズから475g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マクロ多孔性樹脂が、10,000から500,000Åの範囲の平均細孔径と、少なくとも0.60mg/l(乾燥)の細孔容積と、少なくとも24g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値とを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記マクロ多孔性樹脂が、10,000から200,000Åの範囲の細孔径と、少なくとも0.60mg/l(乾燥)の細孔容積と、少なくとも24g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値とを有することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記マクロ多孔性樹脂が、5,000から100,000Åの範囲の細孔径と、少なくとも0.60mg/l(乾燥)の細孔容積と、少なくとも24g/ビーズから175g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値とを有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マクロ多孔性樹脂が、スルホン酸化され、且つ強酸カチオン交換樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マクロ多孔性樹脂がクロロメチル化された後アミノ化され、且つ前記マクロ多孔性樹脂が塩基性アニオン交換樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記樹脂部材が、水のシルト密度指数(SDI)及び/またはコロイド粒子含有量を少なくとも20%減少させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記樹脂部材が、さらにイオン含浸またはイオン含有媒体を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記樹脂部材が、処理された水の溶解シリカを少なくとも20%減少させることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記樹脂部材が、さらに1つ以上の強酸樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記樹脂部材が、処理された水の総有機炭素(TOC)含有量を少なくとも20%減少させることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記樹脂部材が、さらに1つ以上の強酸樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記樹脂部材が、処理された水の二価カチオン含有量を少なくとも20%減少させることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
a)樹脂部材が入った管に水を供給する段階と、
b)透過水を生成するために前記樹脂部材からの水を逆浸透システムまたはナノろ過システムへと供給する段階と、
c)前記樹脂部材の化学洗浄が推奨される場合、前記樹脂部材を同時に再生または活性化するために、単一の化学物質または化学物質の混合物の1溶液を使用して前記樹脂部材を再生する段階と、
を含み、
前記樹脂部材が、10,000から500,000オングストロームの平均細孔径及び少なくとも24g/ビーズの破砕強度またはチャティロン値を有する高マクロ多孔性樹脂を含むことを特徴とする水の浄化方法。
【請求項18】
前記再生する段階が、前記樹脂部材が入った前記管からの流出水を回収し、前記樹脂部材を繰り返し通過させるように前記管へと再導入することによる、前記化学再生剤の再循環を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化学再生剤が、塩化物イオン、アルカリ塩基、または塩化物塩及びアルカリ塩基の混合物の溶液を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記樹脂部材が、ポリスチレンまたはアクリルポリマーマトリックス型のアニオン交換樹脂、イオン含浸またはイオン含有媒体、もしくは強酸カチオン交換樹脂の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記マクロ多孔性樹脂が、(a)モノエチレンモノマーと、(b)ポリエチレンモノマーと、(c)フリーラジカル開始剤と、(d)20〜40pphポリアルキレンオキシド細孔形成剤または20〜40pphポリアルキレンオキシド細孔形成剤及びトルエンの混合物との溶液を重合させることによって形成されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項22】
a)樹脂部材が入った管に水を供給する段階と、
b)前記樹脂部材からの水を逆浸透システム、ナノろ過システム、脱塩ユニット、冷却塔またはボイラーへと供給する段階と、
c)前記樹脂部材の化学洗浄が推奨される場合、アルカリ溶液またはアルカリ及びブライン溶液で前記樹脂部材を再生する段階と、
を含み、
前記樹脂部材が、イオン交換樹脂に付着した酸化鉄であるイオン含浸またはイオン含有媒体を含むことを特徴とする溶解シリカを含む水の処理方法。
【請求項23】
1,000から500,000オングストロームの平均細孔径及び少なくとも24g/ビーズ(ビーズ径710μm)の破砕強度またはチャティロン値を有するマクロ多孔性樹脂と、
ポリスチレンまたはアクリルポリマーマトリックス型のアニオン交換樹脂、イオン含浸またはイオン含有媒体、もしくは強酸カチオン交換樹脂の1つ以上と、
を含んで逆浸透膜またはナノろ過膜と流体連結された樹脂部材を含み、
前記樹脂部材が、単一の化学再生剤溶液を使用して再生可能であることを特徴とする水の処理システム。
【請求項24】
前記マクロ多孔性樹脂が、スルホン酸化され、且つ強酸カチオン交換樹脂を含むかまたは、前記マクロ多孔性樹脂が、クロロメチル化された後アミノ化され、且つ前記マクロ多孔性樹脂が塩基性アニオン交換樹脂を含むことを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
水のシルト密度指数(SDI)を少なくとも20%、処理された水の溶解シリカを少なくとも20%、処理された水の総有機炭素(TOC)含有量を少なくとも20%減少させることを特徴とする請求項23に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図4】
【図8】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図4】
【図8】
【公表番号】特表2010−516450(P2010−516450A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546498(P2009−546498)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/051222
【国際公開番号】WO2008/089279
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509202905)ザ・ピュロライト・カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/051222
【国際公開番号】WO2008/089279
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(509202905)ザ・ピュロライト・カンパニー (1)
【Fターム(参考)】
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