説明

逆浸透膜ろ過装置及び逆浸透膜ろ過方法

【課題】低コストかつ高い回収率での水処理を実現する。
【解決手段】逆浸透膜ろ過装置10は、濃縮水が、最も上流に位置するバンクの更に上流側へと還流されて原水に混入されることはなく、全体として濃縮水系一段の構成を有しているので、処理水の水質は、従来の一過式の逆浸透膜ろ過装置と同等の良好なものとなる。又、入り口流量が最少濃縮水量を満たさないバンク18のみを含む加圧循環流路22では、濃縮水は圧力開放されないことから、濃縮水の再加圧のためのブースターポンプ24の消費電力は低く抑えられ、加圧ポンプ12の消費電力の増加を来たすことも無い。よって、従来の加圧循環式の逆浸透膜ろ過装置と同等の消費電力レベルに抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆浸透膜ろ過装置及び逆浸透膜ろ過方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、逆浸透膜(RO膜)を使用したろ過装置が実用化されているが、この逆浸透膜ろ過装置の構成には、一例として、一過式、通常循環式及び加圧循環式と称されるものがある。
ここで、一過式の逆浸透膜ろ過装置100は、図3(a)に示されるように、加圧ポンプ102の下流に逆浸透膜モジュールユニット104、106、108、110(本説明では「バンク」ともいう。)を直列に配した濃縮水系流路112が構成されている。各バンクは、ベッセルに必要本数の逆浸透膜が装填されたものである(以下同様)。
【0003】
又、逆浸透膜は、一般に、流路口径が16インチ(16”)、8インチ(8”)、4インチ(4”)、2インチ(2”)に形成されたものの中から、適宜選択されるものである。これらの逆浸透膜は、サイズに比例した最適の濃縮水量が規定されており、16インチは最大供給水量800L/minで、最少濃縮水量が160L/minである。8インチは最大供給水量200L/minで、最少濃縮水量が40L/minである。4インチは最大供給水量50L/minで、最少濃縮水量が10L/min、2インチは最大供給水量12.5L/minで、最少濃縮水量が2.5L/minである。
【0004】
図示の例では、バンク104、106は8インチの逆浸透膜が直列に4本用いられている。又、バンク108、110は、4インチの逆浸透膜が直列に6本用いられている。しかも、バンク108に関しては並列に2つのバンク108a、108bが並配置されている。これらのバンクの構成は各バンクの流入圧力と流出圧力とを考慮して、全てのバンクの入り口流量が、図中に例示されるように、最少濃縮水量を満たすように、選択されるものである(以下同様)。なお、図中符号114は、各バンクにて分離されたろ過水を回収するろ過水系流路である。
【0005】
又、通常循環式の逆浸透膜ろ過装置120は、図3(b)に示されるように、加圧ポンプ122の下流にバンク124、126を直列に配した濃縮水系流路128を備え、かつ、濃縮水系流路128から、加圧ポンプ122の上流へと濃縮水の一部を還流させるための、循環路130が設けられている。図示の例では、バンク124、126の何れも、8インチの逆浸透膜が直列に4本用いられ、バンク124に関しては並列に2つのバンク124a、124bが並配置されている。なお、図中符号132は、各バンクにて分離されたろ過水を回収するろ過水系流路である。
【0006】
更に、加圧循環式の逆浸透膜ろ過装置140は、図3(c)に示されるように、加圧ポンプ142の下流に、ブースターポンプ144、バンク146、148を直列に配した濃縮水系流路150を備え、かつ、濃縮水系流路150から、加圧ポンプ142の下流かつブースターポンプ144の上流へと濃縮水の一部を還流させるための、循環路152が設けられている。図示の例では、バンク146、148の何れも、8インチの逆浸透膜が直列に4本用いられ、バンク146に関しては並列に2つのバンク146a、146bが並配置されている。なお、図中符号154は、各バンクにて分離されたろ過水を回収するろ過水系流路である。
【0007】
又、逆浸透膜ろ過装置の省エネルギー化と回収率の向上とを目的として、一定条件下で、濃縮水系流路を流れる濃縮水の圧力を、加圧ポンプの運転エネルギーに利用する手法も発案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3963304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来技術は、以下のような問題が指摘されている。
まず、一過式の逆浸透膜ろ過装置100は、処理水水質が良く、加圧ポンプ122の消費電力も低く抑えることができるという利点があるが、一方では、使用可能な逆浸透膜の大きさが、事実上、上記の4種類に限られていることから、回収率の向上若しくは供給水量の増減に対し、最適な装置構成とすることが困難な場合がある。又、各バンクの流入圧力と流出圧力とを考慮して、全てのバンクの入り口流量が最少濃縮水量を満たすようにバンクを構成するためには、各バンクに使用される逆浸透膜の大きさを変え、バンクの数を増やす等、装置構成を複雑化することになり、設備の設置コスト、メンテナンスコストの増大を来たすものである。
【0010】
一方、通常循環式の逆浸透膜ろ過装置120は、循環路130によって、濃縮水系流路128から、加圧ポンプ122の上流へと濃縮水の一部を還流させることで、バンクの入り口流量は最少濃縮水量を満たすことになり、バンクの構成は一過式の逆浸透膜ろ過装置100よりも単純化される。しかしながら、循環水は加圧ポンプ122の上流に返送されることによって圧力開放され、再度加圧されることから、加圧ポンプ122の消費電力が増大してしまう。又、濃縮水が最も上流に位置するバンクの更に上流側へと還流されて原水に混入されることから、原水以上の濃度の水処理を行うこととなり、水質向上も困難である。
【0011】
これに対し、加圧循環式の逆浸透膜ろ過装置140は、循環路152によって、濃縮水系流路150から、加圧ポンプ142の下流かつブースターポンプ144の上流へと濃縮水の一部が返送されるので、濃縮水は圧力開放されず、加圧ポンプ142及びブースターポンプ144の消費電力の増加は回避される。よって、通常循環式の逆浸透膜ろ過装置120よりも、装置全体の消費電力を抑えることができる。しかしながら、通常循環式の逆浸透膜ろ過装置120と同様に、濃縮水が最も上流に位置するバンクの更に上流側へと還流されて原水に混入されることから、原水以上の濃度の水処理を行うこととなり、処理水の水質向上は困難である。
【0012】
なお、濃縮水系流路を流れる濃縮水の圧力を加圧ポンプの運転エネルギーに利用する手法によっても、浸透圧が低い水を70〜90%といった高い回収率とするためには、最少濃縮水膜面流速が確保できず、高効率の処理は不可能である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コストかつ高い回収率での水処理を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0014】
(1)濃縮水系一段構成の逆浸透膜ろ過装置であって、加圧ポンプの下流に逆浸透膜を備える複数のバンクが配置され、入り口流量が最少濃縮水量を満たさないバンクのみを含む加圧循環流路が設けられている逆浸透膜ろ過装置(請求項1)。
本項に記載の逆浸透膜ろ過装置は、濃縮水が、最も上流に位置するバンクの更に上流側へと還流されて原水に混入されることはなく、全体として濃縮水系一段の構成を有している。又、入り口流量が最少濃縮水量を満たさないバンクのみを含む加圧循環流路では、濃縮水は圧力開放されないことから、加圧ポンプの消費電力の増加を来たすことも無い。又、加圧循環流路に含まれないバンクの負荷を軽く設定して逆浸透膜の閉塞を回避し、その一方で、逆浸透膜に加わる負荷を下流に位置するバンクに集中させ、加圧循環に係るバンクの流量調整をブースターポンプにより任意に行い、加圧循環に係るバンクの逆浸透膜の閉塞を、流量調整によって積極的に制御するものである。
【0015】
(2)上記(1)項において、前記加圧循環流路のブースターポンプは、還流ライン又は該当するバンクの直前に設けられている逆浸透膜ろ過装置(請求項2)。
本項に記載の逆浸透膜ろ過装置は、上記(1)項記載の作用を奏するものであるかぎり、入り口流量が最少濃縮水量を満たさないバンクを含む加圧循環流路の昇圧制御を行うブースターポンプが、還流ラインに配置されていても、該当するバンクの直前に配置されていても良く、加圧循環流路のレイアウトは自由である。
【0016】
(3)上記(1)、(2)項において、回収率50%〜90%で、かつ、供給水量が500L/min以下である逆浸透膜ろ過装置(請求項3)。
本項に記載の逆浸透膜ろ過装置は、上記(1)項記載の作用を、回収率50%〜90%で、かつ、供給水量が500L/min以下の水処理条件にて奏するものである。
【0017】
(4)加圧ポンプの下流に、逆浸透膜を備えるバンクを濃縮水系一段構成に配置し、入り口流量が最少濃縮水量を満たさないバンクのみに、加圧循環を行う逆浸透膜ろ過方法(請求項4)。
本項に記載の逆浸透膜ろ過方法は、濃縮水が、最も上流に位置するバンクの更に上流側へと還流されて、原水に混入されることはなく、全体として濃縮水系一段の構成で水処理を行うものである。又、入り口流量が最少濃縮水量を満たさないバンクのみ加圧循環を行うに当り、加圧循環中の濃縮水は圧力開放されないことから、加圧ポンプの消費電力の増加を来たすことも無い。又、逆浸透膜に加わる負荷を、下流に位置するバンクに集中させ、加圧循環に係るバンクの流量調整をブースターポンプにより任意に行うことが可能であることから、加圧循環流路に含まれないバンクの負荷を軽く設定して逆浸透膜の閉塞を回避し、加圧循環に係るバンクの逆浸透膜に集中する閉塞を、流量調整によって積極的に制御するものである。
【0018】
(5)上記(4)項において、前記加圧循環流路において、還流ライン又は濃縮水系管路の該当するバンクの直前にて昇圧を行う逆浸透膜ろ過方法(請求項5)。
本項に記載の逆浸透膜ろ過方法は、上記(4)項記載の作用を奏するものであるかぎり、入り口流量が最少濃縮水量を満たさないバンクを含む加圧循環流路の昇圧制御を行うブースターポンプを、還流ラインに配置しても、該当するバンクの直前に配置してもよく、加圧循環流路のレイアウトは自由である。
【0019】
(6)上記(4)、(5)項において、回収率50%〜90%で、かつ、供給水量が500L/min以下で処理を行う逆浸透膜ろ過方法(請求項6)。
本項に記載の逆浸透膜ろ過方法は、上記(4)項記載の作用を、回収率50%〜90%で、かつ、供給水量が500L/min以下の水処理条件にて奏するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明はこのように構成したので、低コストかつ高い回収率での水処理を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る、逆浸透膜ろ過装置の構成を模式的示すものであり、(a)は加圧循環流路のブースターポンプを還流ラインに設けた場合を、(b)は同ブースターポンプをバンクの直前に設けた場合を示している。
【図2】本発明の実施の形態に係る、濃縮水系一段構成の逆浸透膜ろ過装置により得られた浄化水の成分を、原水、通常循環式の逆浸透膜ろ過装置により得られた浄化水、及び、加圧循環式逆浸透膜ろ過装置により得られた浄化水の、各成分と比較した図表である。
【図3】従来の、逆浸透膜ろ過装置の構成を模式的示すものであり、(a)は一過式の逆浸透膜ろ過装置、(b)は通常循環式の逆浸透膜ろ過装置、(c)は加圧循環式の逆浸透膜ろ過装置である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、従来技術と同一部分若しくは相当する部分については同一符号で示し、詳しい説明を省略する。
【0023】
本発明の実施の形態に係る逆浸透膜ろ過装置10は、図1に示されるように、濃縮水系一段構成の逆浸透膜ろ過装置であって、加圧ポンプ12の下流に逆浸透膜を備える複数のバンク14、16、18が直列に配置されている。そして、入り口流量が最少濃縮水量を満たさないバンク18にのみ、濃縮水系流路20からバンク18へと濃縮水の一部を還流させるための、加圧循環流路22が設けられ、加圧循環経路22にはブースターポンプ24が配置されている。ブースターポンプ24は、図1(a)に示されるように、還流ライン26に設けられていても良く、又、図1(b)に示されるように、加圧循環流路22に係るバンク18の直前に設けられていても良い。図中符号28は、各バンクにて分離されたろ過水を回収するろ過水系流路である。
なお、図示の例では、バンク14、16、18の何れも、8インチの逆浸透膜が4本用いられ、加圧ポンプ12には、比較的低価格の多段渦巻きポンプが用いられている。一方、ブースターポンプ24には、締切り押し込み許容圧が高いキャンドポンプが用いられている。
【0024】
又、図示の例では、加圧ポンプ12の供給水量は130L/min、バンク14から流出する濃縮水量は91.2L/min、バンク16から流出する濃縮水量は52.4L/minである。前述の如く、8インチの逆浸透膜は最少濃縮水量が40L/minであり、バンク16からバンク18に流入する濃縮水量はこの最少濃縮水量を上回っているが、バンク18でろ過水が分離された後に排出される濃縮水量は、当然に40L/minを下回ることになる。
【0025】
そこで、本発明の実施の形態では、バンク16から流出する濃縮水量に、循環ライン26により還流される濃縮水量38L/minが加わることで、バンク16への供給水量90L/minが確保され、バンク18でろ過水が分離された後に排出される濃縮水量も、51L/minが確保される。
そして、濃縮水系流路から、最終的に排出される濃縮水は13L/minである。このように、本発明の実施の形態に係る逆浸透膜ろ過装置10は、供給水量が500L/min以下で、かつ、回収率90%の逆浸透膜ろ過装置として構成されている。なお、上記各数値はあくまでも一例である。
【0026】
又、各バンク14、16、18に用いられる逆浸透膜のサイズは、適宜選択するものであり、図示の例では、現状で最も流通量が多く低コストの8インチのみを使用したものである。なお、いずれのサイズの逆浸透膜を選択する場合であっても、各バンク14、16、18逆浸透膜の膜ろ過流速は、0.1m/dから1.0m/dの条件で使用されることが望ましい。又、逆浸透膜は、中空糸膜、スパイラル膜、チューブラー膜等が適宜用いられ、その材質も、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルホン等が適宜選択される。又、適宜、RO膜に換えていわゆるルーズROあるいはNF膜(ナノフィルター)を用いることも可能である。更に、各バンク14、16、18を構成するベッセルの、逆浸透膜の装填本数も、1本から6本までのものを適宜採用する。
【0027】
更に、ブースターポンプ24の流量は、加圧循環経路22に流量計を設置して実流量を計測し、流量をフィードバック制御することが望ましい。このフィードバック制御は、図示しない制御装置(パーソナルコンピュータ等の演算装置により構成される。)により実行されるものであり、流量の制御手法も、適宜、比例増加、比例減少、若しくは、複数段階の流量制御を行うこととする。
【0028】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
まず、本発明の実施の形態に係る逆浸透膜ろ過装置10は、濃縮水が、最も上流に位置するバンクの更に上流側へと還流されて原水に混入されることはなく、全体として濃縮水系一段の構成を有しているので、処理水の水質は、従来の一過式の逆浸透膜ろ過装置100と同等の良好なものとなる。又、入り口流量が最少濃縮水量を満たさないバンク18のみを含む加圧循環流路22では、濃縮水は圧力開放されないことから、濃縮水の再加圧のためのブースターポンプ24の消費電力は低く抑えられ、加圧ポンプ12の消費電力の増加を来たすことも無い。よって、従来の加圧循環式の逆浸透膜ろ過装置140と同等の消費電力レベルに抑えることができる。
【0029】
又、加圧循環流路22に含まれないバンク14、16の負荷を軽く設定して逆浸透膜の閉塞を回避し、その一方で、逆浸透膜に加わる負荷を下流に位置するバンク18に集中させ、加圧循環に係るバンク18の流量調整をブースターポンプ24により任意に行い、バンク18の逆浸透膜の閉塞を、流量調整によって積極的に制御することができる。よって、逆浸透膜ろ過装置10全体としてのメンテナンスに要する手間やコストを低減させることができる。
【実施例】
【0030】
図2の図表には、本発明の実施の形態に係る、濃縮水系一段構成の逆浸透膜ろ過装置により得られた浄化水の成分が、原水、通常循環式の逆浸透膜ろ過装置により得られた浄化水、及び、加圧循環式逆浸透膜ろ過装置により得られた浄化水の、各成分の各々と比較されている。具体的条件は、以下の通りである。
【0031】
(原水)
アンモニア性窒素(MH4−N)濃度が13mg/L、全有機炭素(TOC)濃度が3.0mg/L、全溶解性物質(TDS)濃度が420mg/L、シリカ(SiO)濃度が5mg/Lであった。
【0032】
(本発明)
加圧ポンプ12には、グルンドフォルス株式会社製「CRN5−20 AJG−E−HQQE」、ブースターポンプ24には帝国電気製作所製「F−42−119F2AL−0204R1−AV」を用いた。又、逆浸透膜にはGE製「AK8040F(400)」を、ベッセルにはコードライン社製「80A30 4エレメント」を用いた。
そして、加圧ポンプ12により130L/minで一時間の通水の後、ろ過水系流路28のろ過水を採水して、水質分析に供した。また、その際、クランプメータにマルチ計測器(株)製「AC/DCミニクランプメータ M290RWS」を用いて電圧・電流測定を行った。
結果、ろ過水のアンモニア性窒素濃度が0.5mg/L、全有機炭素濃度が0.1mg/L、全溶解性物質濃度が10.4mg/L、シリカ濃度が0.2mg/Lであった。
なお、加圧ポンプ12及びブースターポンプ24の消費電力は、合計2.26kWであった。
【0033】
(通常循環式)
加圧ポンプ122(図3(b))には、グルンドフォルス株式会社製「CRN10−10 AJG−E−HQQE」を用いた。又、逆浸透膜にはGE製「AK8040F(400)」を、ベッセルにはコードライン社製「80A30 4エレメント」を用いた。
そして、加圧ポンプ122により130L/minで一時間の通水の後、ろ過水系流路132(図3(b))のろ過水を採水して、水質分析に供した。また、その際、クランプメータにマルチ計測器(株)製「AC/DCミニクランプメータ M290RWS」を用いて電圧・電流測定を行った。
結果、ろ過水のアンモニア性窒素濃度が1.05mg/L、全有機炭素濃度が0.24mg/L、全溶解性物質濃度が33.75mg/L、シリカ濃度が0.4mg/Lであった。
なお、加圧ポンプ122の消費電力は、合計2.97kWであった。
【0034】
(加圧循環式)
加圧ポンプ142(図3(c))には、グルンドフォルス株式会社製「CRN5−20 AJG−E−HQQE」、ブースターポンプ144(図3(c))には帝国電気製作所製「F−42−119F2AL−0204R1−AV」を用いた。又、逆浸透膜にはGE製「AK8040F(400)」を、ベッセルにはコードライン社製「80A30 4エレメント」を用いた。
そして、加圧ポンプ142により130L/minで一時間の通水の後、ろ過水系流路154(図3(c))のろ過水を採水して、水質分析に供した。また、その際、クランプメータにマルチ計測器(株)製「AC/DCミニクランプメータ M290RWS」を用いて電圧・電流測定を行った。
結果、ろ過水のアンモニア性窒素濃度が1.05mg/L、全有機炭素濃度が0.24mg/L、全溶解性物質濃度が33.75mg/L、シリカ濃度が0.4mg/Lであった。
なお、加圧ポンプ12及びブースターポンプ24の消費電力は、合計2.35kWであった。
【0035】
以上のように、本発明の実施の形態に係る逆浸透膜ろ過装置10によれば、回収率50%〜90%で、かつ、供給水量が500L/min以下という条件下において、従来の逆浸透ろ過装置と比較して、最も低コストかつ高い回収率での水処理が実現された。
【符号の説明】
【0036】
10:逆浸透膜ろ過装置、12:加圧ポンプ、 14、16、18:バンク、20:濃縮水系流路、22:加圧循環流路、24:ブースターポンプ、26:還流ライン、28:ろ過水系流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃縮水系一段構成の逆浸透膜ろ過装置であって、加圧ポンプの下流に逆浸透膜を備える複数のバンクが配置され、入り口流量が最少濃縮水量を満たさないバンクのみを含む加圧循環流路が設けられていることを特徴とする逆浸透膜ろ過装置。
【請求項2】
前記加圧循環流路のブースターポンプは、還流ライン又は該当するバンクの直前に設けられていることを特徴とする請求項1記載の逆浸透膜ろ過装置。
【請求項3】
回収率50%〜90%で、かつ、供給水量が500L/min以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の逆浸透膜ろ過装置。
【請求項4】
加圧ポンプの下流に、逆浸透膜を備えるバンクを濃縮水系一段構成に配置し、入り口流量が最少濃縮水量を満たさないバンクのみに、加圧循環を行うことを特徴とする逆浸透膜ろ過方法。
【請求項5】
前記加圧循環流路において、還流ライン又は濃縮水系管路の該当するバンクの直前にて昇圧を行うことを特徴とする請求項4記載の逆浸透膜ろ過方法。
【請求項6】
回収率50%〜90%で、かつ、供給水量が500L/min以下で処理を行うことを特徴とする請求項4又は5記載の逆浸透膜ろ過方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−136283(P2011−136283A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297631(P2009−297631)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(596136316)株式会社ウェルシィ (18)
【Fターム(参考)】