説明

逆走警告装置、逆走警告方法

【課題】逆走の開始前に逆走のおそれがあることを検出可能な逆走警告装置及び逆走警告方法を提供すること。
【解決手段】自車位置を検出する手段24と、自車両の車長方向の車線区分線に対する角度を検出する角度検出手段22と、自車位置が高速道路の本線を走行している場合であって、角度が略90度になった場合、乗員に警告する警告手段32、25と、を有することを特徴とする逆走警告装置100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行方向が定められた道路を逆走するおそれがある場合に警告する逆走警告装置及び逆走警告方法に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者は定められた進行方向に従い車道を走行するが、片側の車線数が複数ある場合などは対向車線を走行するようUターンしたつもりがそれまで走行していた車道を逆走してしまう場合がある。この点について、逆走を検出して乗員に警告するナビゲーション装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、逆走禁止道路情報をデータベースに記憶しておき、自車両が逆走禁止道路の順方向とは逆方向に走行した場合、運転者に警告するナビゲーション装置が記載されている。
【0003】
また、Uターンを検出するUターン検出装置が提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)。特許文献2には、自車両の旋回角度が所定範囲内かつ旋回時の平均曲率が閾値より小さい場合、自車両がUターンしたと判定するUターン検出装置が記載されている。また、特許文献3には、所定時間内に、自車両が進行方向を反転したこと及び車線区分線の横断の両方が検出された場合に車両がUターンしたことを検出するUターン検出装置が提案されている。
【0004】
また、車両のフロントカメラで前方を撮影し、画像処理して逆走を検出する逆走検出装置が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。特許文献4には、画像から中央分離帯が検出される場合は、道路標識の色情報及び道路の左側と右側の道路標識の大きさから逆走を検出し、中央分離帯が検出されない場合は、道路地図情報に記憶されている車線数と画像データから検出される車線数を比較して、自車線よりも右側の車線数が左側より少ない場合に逆走を検出する逆走検出装置が記載されている。
【特許文献1】特開2007−139531号公報
【特許文献2】特開2006−030116号公報
【特許文献3】特開2006−344164号公報
【特許文献4】特開2007−140883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、4記載の方法では車両が逆方向に走行するまでそれを検出しないため、反転前又は逆走の開始前に運転者に警告することは困難であるという問題がある。また、特許文献2又は3に記載されているようにUターンを検出する場合、Uターンが検出された時には既に車両は逆方向に反転しているので、反転前又は逆走の開始前に運転者に警告することは困難である。自車両がいったん反転してしまうと、順方向から走行してくる他車両の存在により自車両が順方向に方向転換することが困難となるので、自車両が反転する前に警告することが好ましいと考えられる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、逆走の開始前に逆走のおそれがあることを検出可能な逆走警告装置及び逆走警告方法を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、自車位置を検出する手段と、車線区分線に対する自車両の車長方向の角度を検出する角度検出手段と、自車位置が高速道路の本線を走行している場合であって、前記角度が略90度になった場合、乗員に警告する警告手段と、を有することを特徴とする逆走警告装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、角度が略90度になった場合、乗員に警告するので、Uターンする前、すなわち、逆走を開始する逆走のおそれがあることを検出でき、逆走する前に警告することができる。
【発明の効果】
【0009】
逆走の開始前に逆走のおそれがあることを検出可能な逆走警告装置及び逆走警告方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するために最良の形態について図面を参照しながら、実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0011】
本実施例の逆走警告装置100は、高速道路の本線上において、車速が所定以下となった時の車長方向を基準に旋回角度を検出し、旋回角度が所定値(例えば、90度程度)になったことを検出して、自車両が逆走するおそれがあることを検出する。高速道路の本線はUターン走行できない構造になっているのでUターンする可能性は極めて小さいとしてよい。このため高速道路の本線で、車速が所定値以下の状態で旋回角度が所定値を超えた場合、高速道路を逆走するおそれがあることを確実に検出することができる。
【0012】
なお、高速道路には、進入するためのランプ等や、一般道、同じ高速道路の他の車線又は他の高速道路と、分離・合流するための側線、分離線又は合流線(以下、ランプ等と合わせ単に側線という)が接続されており、自車両が側線を走行可能となっているが、側線が90度以上湾曲していたり螺旋状の構造を有する場合がある。また、高速道路にはパーキングエリアが設けられており、パーキングエリアでは車速が所定値以下の状態で右左折又は旋回することがある。しかし、本実施例の逆走警告装置は側線やパーキングエリアでは逆走のおそれがあるか否かを判定しないので、低速な状態で旋回角度が所定値を超えても逆走のおそれありと誤判定することもない。
【0013】
図1は、本実施例の逆走警告装置100のブロック図を示す。逆走警告装置100は、制御部20により制御され、制御部20には車速センサ21、ジャイロセンサ22、地図DB(Data Base)23、GPS(Global Positioning System)受信機24及びメータパネル25がCAN(Controller Area Network)や専用線を介して接続されている。制御部20はCPU、RAM、ROM及び入出力インターフェイスを備えたコンピュータ等により構成され、例えば、ナビゲーションシステムを制御するナビECU(Electronic Control Unit)が兼用することができる。ナビECUは自車両の位置、車速、走行方向を検出しているので、逆走警告装置100の実現に要請される機能を備えており、兼用することで車載スペースを節約し重量増を抑制することができる。
【0014】
車速センサ21は、自車両の各輪に備えられたロータの円周上に定間隔で設置された凸部が通過する際の磁束の変化をパルス波形に整形して、単位時間あたりのパルス数に基づき各輪毎に車輪速を計測する。車輪速にタイヤの外径や凸部の間隔に応じて定めた補正値を乗じれば車速が得られる。
【0015】
ジャイロセンサ22は、例えばマイクロマシニングで形成された震動片型ジャイロセンサであり、自車両の旋回速度に応じて生じるコリオリ力を電極間の変化による電圧信号として取り出す。旋回速度すなわちヨーレートを時間に対し積分すると旋回角度が得られるので、ジャイロセンサ22の出力を時間積分することで旋回角度を検出することができる。
【0016】
地図DB23はHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等で構成され、緯度や経度などの位置情報に対応づけて道路地図情報を記憶している。道路地図情報は、道路を構成するリンクのリンク情報と、リンクとリンクを接続するノード(交差点やリンク上の所定間隔毎の点)のノード情報とを対応づけたテーブル状のデータベースである。リンク情報にはリンク長、幅員、接続ノード、接続方向等が含まれるため、道路地図情報により実際の道路網が再現される。また、地図DB23は、リンク毎に高速道路や一般道などの道路種別、さらに高速道路であれば本線、側線及びパーキングエリアを区別する情報が登録されている。なお、高速道路と同様の意味で自動車専用道路という言葉が用いられる場合があるが、本実施形態では両者を区別せず高速道路という。
【0017】
GPS受信機24は、地球の周りを周回する好ましくは4つ以上のGPS衛星を捕捉して、各GPS衛星からの電波の到達時間に基づき、自車両の位置(緯度・経度・標高)を検出する。位置の知られた基準局が発信するFM放送の電波を利用して、GPSの計測結果の誤差を修正して高精度に自車両の位置を検出してもよい。
【0018】
制御部20は、GPS受信機24が検出した自車両の位置情報を起点にして、ジャイロセンサ22が検出する自車両の進行方向に車速センサ21が検出する走行距離を累積して、自車両の位置を高精度に推定する。また、自車両の周囲の道路地図を利用して、推定された位置に対し最も確からしい道路に自車両の位置をマッチングするマップマッチングにより自車両の位置を補正する。
【0019】
メータパネル25は、逆走が検出されると警報音を吹鳴したり警告メッセージをスピーカから出力し、また、液晶やヘッドアップディスプレイなどの表示部に警告メッセージや逆走を意味するアイコンを表示するなどして運転者に警告する。なお、聴覚的な警告と視覚的な警告はいずれか一方のみ出力してもよい。
【0020】
また、制御部20は、CPUがプログラムを実行するか又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアにより実装される、自車両が逆走するおそれがあるか否かを判定する逆走判定部31及び逆走のおそれがあると判定された場合にメータパネル25に警告を要求する警告要求部32を有する。
【0021】
逆走警告装置100が逆走を検出する手順について図2のフローチャート図を用いて説明する。図2のフローチャート図は、例えば車両が高速道路に進入するとスタートし、所定のサイクル時間毎に繰り返し実行される。
【0022】
高速道路に進入すると、逆走判定部31は自車両の位置から高速道路の本線を走行しているか否かを判定する(S10)。なお、路側に敷設された通信部から高速道路の本線を走行中である旨の情報を受信することで判定してもよい。高速道路の本線を走行していない場合(S10のNo)、図2の処理はそのまま終了する。
【0023】
高速道路の本線を走行している場合(S10のYes)、逆走判定部31は車速センサ21が検出する車速が車速判定閾値Vよりも小さいか否かを判定する(S20)。車速判定閾値Vは予め定められた定数であるが、Uターンするためには著しく車速を下げる必要があるため、この減速時の一般的な車速を車速判定閾値(例えば、V=20〔km/h〕)とする。車速が車速判定閾値Vよりも小さくない場合(S20のNo)、図2の処理はそのまま終了する。
【0024】
車速が車速判定閾値Vよりも小さい場合(S20のYes)、逆走判定部31は車速が車速判定閾値V未満となった時又はステップS20の判定時の進行方向を記憶する(S30)。したがって、車速が車速判定閾値Vよりも小さくなった際の進行方向がゼロ度(基準値)になる。なお、ステップS30の処理は1度のみ実行される。
【0025】
そして、ゼロ度とした進行方向を基準に自車両の旋回角度の計測を開始する(S40)。上述したように、ジャイロセンサ22の出力を時間積分することで旋回角度を検出できるので、例えば、微少時間毎のヨーレートを累積することで旋回角度が検出される。
【0026】
図3(a)は自車両がUターンする過程を模式的に示す図を、図3(b)は自車両のUターン過程における旋回角度の一例を、それぞれ示す。図3(a)では車速が車速判定閾値Vよりも小さくなった時を状態「I」で示す。したがって、図3(b)では状態「I」の旋回角度がゼロになっている。
【0027】
自車両がUターンを継続し、状態「II」を経て状態「III」となると自車両の車長方向はちょうど幅員方向を向くので、状態「III」では旋回角度が約90度である。さらに、自車両がUターンを継続し、状態「IV」を経て状態「V」となると自車両は車道の逆方向に反転するので、状態「V」では旋回角度が約180度となる。
【0028】
図2に戻り、逆走判定部31は車速が車速判定閾値Vを超えるまでの間、旋回角度が反転判定閾値θを超えたか否かの判定を繰り返す(S50)。反転判定閾値θを90度とすれば、図3(a)の状態「III」で自車両の逆走を検出することができる。旋回角度が反転判定閾値θを超えるまでの間に、車速が車速判定閾値V以上となった場合、図2の処理はそのまま終了するので、例えば、渋滞に巻き込まれ旋回角度が反転判定閾値θを超えるまでに車速が増大すれば、逆走のおそれがあると誤判定することを防止できる。
【0029】
旋回角度がθを超えた場合(S50のYes)、逆走判定部31は自車両が逆走の直前であると判定でき、警告要求部32により聴覚又は視覚の少なくとも一方により運転者に警告する(S60)。
【0030】
なお、逆走するおそれが必ずしも確実でなくても逆走の開始前に警告することが好ましいので、例えば反転判定閾値θを80度程度に設定しておいてもよい。高速道路の本線において所定速度以下で旋回角度が80度以上になることは希と考えてよく、仮に単なる車線変更を逆走のおそれ有りと誤判定しても不要警報が発せられるおそれは少ない。また、逆走のおそれがあることを確実に検出するため、例えば反転判定閾値θを100度に設定しておいてもよい。
【0031】
本実施例の逆走警告装置100は、高速道路の本線であることを検出し高速道路の本線を走行中の場合にのみ車速及び旋回速度から逆走のおそれがあることを検出するので、逆走の開始前又は逆走開始直後に運転者に警告することができ、高速道路の逆走を未然に防止することができる。
【0032】
〔切り返しをする場合(車線数の影響)〕
図3(a)に示したように高速道路は複数車線であることが多く、例えば3車線以上であれば切り返しすることなくUターンが可能である場合が多い。この場合、道路が4車線以上でも、本実施例の方法で逆走するおそれがあることを検出できる。これに対し、2車線以下の高速道路や回転半径の大きな車両で3車線の高速道路でUターンする場合、自車両が切り返しする場合があるが、本実施例の逆走警告装置100は、自車両が切り返しする場合でも同様に逆走のおそれがあることを検出することができる。
【0033】
図4(a)は自車両がUターンする過程を模式的に示す図を、図4(b)は自車両のUターン過程における旋回角度の一例を、それぞれ示す。なお、図4において図3と同一部分の説明は省略する。図4(a)の高速道路は片側が2車線である。このため、自車両は状態「III」の後、切り返しをして状態「S」となっている。状態Sの時の旋回角度は既に180度に近いので、反転判定閾値θを例えば100度とした場合でも、状態「III」から状態「S」の間で逆走のおそれがあることを検出することができる。
【0034】
また、逆走の開始前に車線区分線は必ず水平となるので、反転判定閾値θを例えば80度〜90度としておけば、その後の切り返しに関係なく逆走のおそれがあることを検出することができる。
【0035】
なお、自車両が切り返しをする場合、シフトポジションセンサが「後退」を示すので、シフトポジションセンサの信号から切り返しを検出し、後退走行時には車速が車速判定閾値V以上となっても、ステップS20の判定を禁止する。これにより後退走行時に車速が車速判定閾値V以上となっても、切り返しの前後において逆走のおそれがあることを検出できる。
【実施例2】
【0036】
本実施例では、バックカメラ26が撮影する画像を処理して逆走のおそれがあることを検出する逆走警告装置100について説明する。高速道路には走行レーンを区切る車線区分線が路面標示されているが、車線区分線は走行レーンに平行な直線状の形状を有する。このため、自車両がUターンして逆走を開始するまでの間に、自車両の車長方向と車線区分線は必ず直角となる状態を経ると考えられ、バックカメラ26により撮影された車線区分線の角度を監視することで逆走のおそれがあることを検出できる。
【0037】
図5は、本実施例の逆走警告装置100のブロック図を示す。なお、図5において図1と同一構成部分には同一の符号を付しその説明は省略する。本実施例の逆走警告装置100は、バックカメラ26及び画像処理部27を有する。
【0038】
バックカメラ26は、自車両の後部のバンパの略中央やリアガラスの上側略中央に、光軸を車両後方かつやや下向きに向けて配置される。バックカメラ26は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の光電変換素子を内蔵した撮像手段により構成される。バックカメラ26は光電変換素子の電圧を読み出しこのアナログ信号をA/D変換して所定の輝度階調のデジタルデータ(以下、画像データという)に変換する。なお、バックカメラ26はモノクロカメラであるが、カラー撮影が可能であってもよく又ステレオカメラであってもよい。バックカメラ26は、後方の所定範囲の画像データを1秒間に15〜30フレームの速度で撮影し、順次メモリに記憶していく。
【0039】
画像処理部27はメモリに記憶された画像データを読み出し車線区分線を認識し、車線区分線に対する自車両の車長方向の角度(以下、単にヨー角という)を検出する。図6(a)は車線区分線に対する車長方向のヨー角を模式的に示す図である。車線区分線の検出は、例えばLKAS(Lane Keeping Assist System)などで周知の方法を用いる。具体的には、1本の車線区分線は路面に対し高周波成分たるエッジを有するので、画像データの輝度値を水平方向及び垂直方向に微分すると、白線の両端にピークが得られそれを結んだエッジ線が推定できる。推定した複数のエッジ線から車線区分線の幅を考慮して一対となる複数組の車線区分線の候補線を抽出し、複数組の車線区分線の候補線のなかから、輝度や路面とのコントラストから定められる閾値や幅の閾値、線状の形状である等の特徴からマッチングなどの手法を適用して、白線と認められる1本の白線を選定する。選定した白線が有する複数エッジをハフ変換することで撮影された左右又は左右いずれかの白線の直線式が得られる。
【0040】
図6(b)(c)は撮影された画像データ及び車長方向の検出を説明する図である。自車両の車長方向が車線区分線と略平行の場合(ヨー角はゼロ)、画像データは図6(b)のようになり、自車両の車長方向が車線区分線と略垂直の場合(ヨー角は90度)、画像データは図6(c)のようになる。ここで、路面に対するバックカメラ26の光軸がなす角度は固定であるので、ヨー角に応じて、撮影された車線区分線と例えば画像データの所定の基準線とがなす角度αは一意に定まる。したがって、ヨー角に対応づけて、撮影された車線区分線と基準線とがなす角度αを予め登録しておけば、撮影された車線区分線と基準線とがなす角度αから、車長方向(ヨー角)を検出することができる。なお、図6(b)(c)では画像データに垂直な線を基準線とした。
【0041】
したがって、逆走判定部31は角度αから自車両のヨー角を検出し、ヨー角と反転判定閾値θとを比較することで逆走のおそれがあることを検出することができる。
【0042】
逆走警告装置100が逆走を検出する手順について図7のフローチャート図を用いて説明する。図7のフローチャート図は、例えば車両が高速道路に進入するとスタートし、所定のサイクル時間毎に繰り返しされる。
【0043】
高速道路に進入すると、逆走判定部31は自車両の位置から高速道路の本線を走行しているか否かを判定する(S10)。高速道路の本線を走行していない場合(S10のNo)、図2の処理はそのまま終了する。
【0044】
高速道路の本線を走行している場合(S10のYes)、逆走判定部31は車速センサ21が検出する車速が車速判定閾値Vよりも小さいか否かを判定する(S20)。ステップS20の判定は実施例1と同様である。
【0045】
車速が車速判定閾値Vよりも小さい場合(S20のYes)、逆走判定部31は画像データから検出した角度αからヨー角を算出する(S35)。画像データは順次メモリに記憶されるので、逆走判定部31は各画像データからヨー角を算出する。
【0046】
そして、逆走判定部31はヨー角が反転判定閾値θを超えたか否かを判定する(S55)。
図8(a)は自車両がUターンする過程を模式的に示す図を、図8(b)は自車両のUターン途中における画像データの一例を、それぞれ示す。図8(a)では車速が車速判定閾値Vよりも小さくなった時を状態「I」で示す。状態「I」では自車両の車長方向は車線区分線と略平行であるので、図6(b)と同様に画像データでは車線区分線が略ハの字になる。
【0047】
自車両がUターンを継続すると、画像データにおける車線区分線は時計回りに回転し、状態「III」になると画像データの車線区分線は水平方向を向く。すなわち、状態「III」の時、自車両の車長方向と車線区分線とは直交しヨー角が90度になる。さらに、自車両がUターンを継続すると、図4(a)の自車両は状態「IV」を経て状態「V」となり、これに伴い画像データにおける車線区分線は時計回りに回転し、状態「V」では再び、画像データの車線区分線が略ハの字になる。
【0048】
図7に戻り、逆走判定部31は車速が車速判定閾値Vを超えるまでの間、ヨー角が反転判定閾値θを超えたか否かの判定を繰り返す(S55)。反転判定閾値θを90度とすれば、図8(a)の状態「III」で自車両の逆走のおそれがあることを検出することができる。また、反転判定閾値θを80度程度に設定しておけばより早期に逆走のおそれがあることを検出でき、反転判定閾値θを100度に設定しておけば逆走のおそれがあることを確実に検出できる。
【0049】
ヨー角が反転閾値θを超えた場合(S55のYes)、逆走判定部31は自車両が逆走するおそれがあると判定し、警告要求部32により聴覚又は視覚の少なくとも一方により運転者に警告する(S60)。
【0050】
本実施例の逆走警告装置100は、高速道路の本線であることを検出し高速道路の本線を走行中の場合にのみ車速及び画像データを解析して取得した車長方向(ヨー角)から逆走のおそれがあることを検出するので、逆走の開始前又は逆走開始直後に運転者に警告することができ、高速道路の逆走を未然に防止することができる。
【0051】
なお、本実施例では画像データからヨー角を数値で検出しヨー角と反転判定閾値θを比較したが、例えば画像データの車線区分線が水平になったことから逆走のおそれがあることを検出してもよい。画像データの車線区分線が水平となったことは画像データのみから検出できるので、バックカメラ26の光軸が車軸に垂直であれば、ヨー角に対応づけて、撮影された車線区分線と基準線とがなす角度αを予め登録しておく必要がないのでコスト増を抑制できる。また、この場合、水平となった車線区分線がさらに時計周りに回転したこと(図8(b)の状態「III」から状態「IV」への遷移)を検出して逆走のおそれがあることを検出してもよい。状態間の遷移状態を判定対象とすることで、誤判定を防止しやすくできる。
【0052】
また、図8では三車線の道路を例に説明したが、一車線又は二車線の道路であってもバックカメラ26は左右のいずれかの車線区分線を撮影するので、同様にヨー角を算出でき又は画像データの車線区分線が水平になったことを検出できる。また、自車両が切り返しされても、逆走の開始前に車線区分線は必ず水平となる。したがって、本実施例の逆走警告装置100は、実施例1と同様に車線数に関わらず逆走のおそれがあることを検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】逆走警告装置のブロック図の一例である(実施例1)。
【図2】逆走警告装置が逆走を検出する手順を示すフローチャート図である(実施例1)。
【図3】車両がUターンする過程を模式的に示す図、及び、車両のUターン過程における旋回角度の一例を示す図である。
【図4】車両がUターンする過程を模式的に示す図、及び、車両のUターン過程における旋回角度の一例を示す図である(切り返し)。
【図5】逆走警告装置のブロック図の一例である(実施例2)。
【図6】撮影された画像データ及び車両の方向の検出を説明する図である。
【図7】逆走警告装置が逆走を検出する手順を示すフローチャート図である(実施例2)。
【図8】車両がUターンする過程を模式的に示す図、及び、車両のUターン途中における画像データの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
20 制御部
21 車速センサ
22 ジャイロセンサ
23 地図DB
24 GPS受信機
26 バックカメラ
31 逆走判定部
32 警告要求部
100 逆走警告装置




【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定以下の車速で逆走のおそれを検出する逆走警告装置であって、
自車位置を検出する手段と、
車線区分線に対する自車両の車長方向の角度を検出する角度検出手段と、
自車位置が高速道路の本線を走行している場合であって、前記角度が略90度になった場合、逆走のおそれがあることを検出する逆走検出手段と、
を有することを特徴とする逆走警告装置。
【請求項2】
前記角度検出手段は、車速が所定以下になった際の前記車長方向を基準に、ヨーレートを時間積分して前記角度を検出する、
ことを特徴とする請求項1記載の逆走警告装置。
【請求項3】
前記逆走検出手段が逆走のおそれがあることを検出した場合、乗員に警告する警告手段、を有することを特徴とする請求項1又は2記載の逆走警告装置。
【請求項4】
所定以下の車速で逆走のおそれを検出する逆走警告方法であって、
自車両が高速道路の本線を走行していることを検出するステップと、
角度検出手段が車線区分線に対する自車両の車長方向の角度を検出するステップと、
逆走検出手段が、前記角度が略90度になった場合、逆走のおそれがあることを検出するステップと、
を有することを特徴とする逆走警告方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−250964(P2009−250964A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103498(P2008−103498)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】