透かし又は擬似透かし及び超小型集積回路デバイスを含む構造体
本発明は、繊維層と、半透明領域を含む下部構造体と、下部構造体の半透明領域において、透かし又は擬似透かしが、繊維層に隣接する構造体の面からのみ構造体を透過する光で観測可能であるように、繊維層によって担持されて下部構造体の半透明領域に少なくとも部分的に重ね合わされた透かし又は擬似透かしと、接触又は非接触で通信するための超小型集積回路デバイスとを含む構造体を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ文書の分野に関する。それは、構造体、特に、シート、例えば、透かし又は擬似透かし及び超小型集積回路デバイスを含むセキュリティ文書を提供する。
【背景技術】
【0002】
支払い手段、例えば、紙幣、小切手、又は公式文書、例えば、パスポート、IDカード、又は文化的イベント又はスポーツイベント入場のためのチケット、又は交通乗車券のようなセキュリティ文書の偽造又は改ざんに備えるために、例えば、透過光で観測することによって文書を認証することを可能にする透かしのような様々なセキュリティ手段を使用することが可能である。
【0003】
透かしは、フォトコピー、写真撮影、又はデジタル走査のような光学的手段による複製に対する保護を提供する。
【0004】
透かしはまた、装飾及び威光目的で、特に、筆記用紙/便箋に対して、例えば、レターヘッド又は水彩絵具用のための紙のようなアート紙に対して使用することができる。
【0005】
透かしは、従来、円網抄紙機のエンボス加工すき網上で製紙のためのパルプを堆積させることによって紙シート製造の湿潤段階中に得られ、堆積したパルプの量は、紙の残りの部分と比較すると凹部の方が厚く、凸部の方が薄い。
【0006】
平台(長網抄紙機)製紙機上で透かしロール(別名「ダンディロール」)を使用して湿潤シートにエンボス加工することによって透かしを製作することも可能である。
【0007】
1枚の紙上に擬似透かしを作ることも公知である。擬似透かしは、不透明度の差を呈示することによって透かしの体裁を再生する。このような擬似透かしは、熱の有無に関わらず圧力を印加することにより機械的に、及び/又は組成物を付加することにより、例えば、透明化物質を使用して紙の透明度を局所的に増大させることにより化学的に得ることができる。擬似透かしの色が淡い方の区画と色が濃い方の区画の間の繊維材料の密度は、従来の透かしとは異なり、均一とすることができる。
【0008】
更に、セキュリティ文書のセキュリティレベルを増大させてそれらをより改ざんしにくくするために、超小型集積回路デバイス、特に、無線ICタグ(RFID)デバイスをそこに組み込むことは公知である。例えば、アンテナに付随するチップの形態のそのようなデバイスは、持参人又は彼らが関連する物品、出版される文書の形式、又はイベントの履歴に特異の情報を格納し、かつ任意的に変更する役目をする。
【0009】
例えば、ポリマー層を互いに組み付けることによって製造されるプラスチック材料で製造されたRFID含有IDカードは公知である。このようなカードは、時々の転写により印加される表面のエンボス加工及びホログラムを除き、特に目視による認証に対して認証セキュリティ要素を殆ど又は全く含んでいない。その結果、無記入のプラスチック材料カードから開始して、このようなカード上に存在する印刷特徴、パーソナル化特徴、及び目視セキュリティ特徴を再生することは、詐欺を働く者には比較的簡単である。
【0010】
凹部又は凸部をエンボス加工することによって作られる擬似透かしを各々有する2つのポリエチレン層を含むセキュリティカードも公知であり、2つの擬似透かしは、透過光で観測される時に結合する。
【0011】
また、特許出願WO2005/062244及びWO2004/008397は、電子回路及び例えば透かしの形態のセキュリティ要素を含むセキュリティ構造体を説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2005/062244
【特許文献2】WO2004/008397
【特許文献3】米国特許第2,021,141号
【特許文献4】米国特許第1,479,337号
【特許文献5】米国特許第5,118,526号
【特許文献6】EP0,203,499
【特許文献7】FR2,353,676
【特許文献8】WO97/17493
【特許文献9】WO1999/014433
【特許文献10】DE3,718,452
【特許文献11】EP1,252,389
【特許文献12】EP1,556,228
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】W.Walenski著「透かし及び透かし以外のもの」、Druckspiegel52、No.3、66〜68頁(1997年3月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
セキュリティ文書のセキュリティを更に補強する必要性が存在する。
【0015】
特に、満足なレベルのセキュリティを呈しながら簡単に観測可能であるべきである改ざん及び偽造に対する新しいセキュリティ特徴を提供する必要性が存在する。
【0016】
本発明の目的の1つは、すなわち、超小型集積回路デバイスを含み、かつ改ざん又は偽造に対する高いレベルのセキュリティ及び抵抗性を呈するセキュリティ構造体、特に、セキュリティ文書を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち、本発明は、その態様の1つにおいて、
・繊維層と、
・光を透過させる領域(translucent region)を含む下部構造体と、
・下部構造体の光を透過させる領域又は半透明領域において、透かし又は擬似透かしが、繊維層に隣接する構造体の面からのみ構造体を透過する光で観測可能であるように、繊維層によって担持され、かつ下部構造体の半透明領域と少なくとも部分的に重ね合わされた透かし又は擬似透かしと、
・接点の有無に関わらず通信するための超小型集積回路デバイスと
を含む構造体、特に文書を提供する。
【0018】
超小型集積回路デバイスは、下部構造体によって担持することができる。
【0019】
本発明により、超小型集積回路デバイスを含むセキュリティ構造体から恩典を受け、同時に少なくとも1つの透かし又は擬似透かしの存在に関連のセキュリティからも恩典を受けることが可能である。
【0020】
透かし又は擬似透かし
構造体は、透かしが、繊維層に隣接する構造体の面、すなわち、下部構造体と接触している面から遠隔の構造体の面からのみ、半透明領域に位置合せされて構造体を透過する光で観測可能であるように、繊維層によって担持され、かつ少なくとも部分的に下部構造体の半透明領域の上に重なる透かしを含むことができる。
【0021】
変形では、構造体は、擬似透かしが、繊維層に隣接する構造体の面、すなわち、下部構造体と接触している面から遠隔の構造体の面からのみ、半透明領域に位置合せされて構造体を透過する光で観測可能であるように、繊維層によって担持され、かつ少なくとも部分的に下部構造体の半透明領域の上に重なる擬似透かしを含むことができる。
【0022】
構造体は、2つの繊維層を含むことができ、下部構造体は、繊維層の間に位置する。そのような状況の下では、繊維層の各々は、構造体を担持する繊維層に隣接する構造体の面からのみ構造体を透過して下部構造体の半透明領域に位置合せされた光で観測することができる透かし又は擬似透かしを含むことができる。このようにして、透かし又は擬似透かしは、構造体のそれぞれの異なる面から明確に観測される。
【0023】
本方法の実施形態では、構造体は、少なくとも第1の透かし又は擬似透かしを担持する第1の繊維層及び少なくとも第2の透かし又は擬似透かしを担持する第2の繊維層を含む右ページ面及び左ページ面を呈し、第1の透かし又は擬似透かしの少なくとも一部は、構造体の右ページ面からのみ透過された光で観測可能であり、第2の透かし又は擬似透かしの少なくとも一部は、構造体の左ページ面からのみ透過された光で観測可能である。更に、透かし又は擬似透かしは、下部構造体の半透明領域において少なくとも部分的に並置されることが好ましい。従って、これらの透かし又は擬似透かしは、下部構造体の半透明領域に位置合せされた構造体の一方の側又は他方の側から透過された光で同時には観測可能ではない。すなわち、下部構造体の半透明領域は、透かし又は擬似透かしが互いに結合されるのを防止する役目をすることができる。
【0024】
用語「透かし又は擬似透かし」は、構造体の厚みに現れる描かれた画像を指定するために本発明に使用する。
【0025】
透かし又は擬似透かしは、当業者に公知の様々な方法で製造することができる。
【0026】
透かしは、繊維層内にその製造中にエッチング又はプレスされるデザインとすることができる。一例として、このような透かしは、円網抄紙機のすき網における突出又は凹設圧痕によって円網抄紙機上で繊維層の製造中にパルプに薄い又は厚い領域を作り出すことにより、透けて見ることができる。その結果、不透明度の差が作り出され、パルプの密度がより大きい区画は、(乾燥した)シートを透過光で観測した時にシートの残りの部分(上質皮紙部分として公知)よりも淡く見える密度か小さい区画よりも濃く見える。エンボス加工の高さ又は深さに基づいて異なる濃度を呈する透かしは、「マルチトーン」透かしと言われる。
【0027】
透かしはまた、繊維層が、浮き彫りによる透かしのエッチングを含むダンディロールにより平台(長網抄紙機)製紙機に対してプレスされており、それによって繊維層が機械の湿潤部において形成されている間に繊維層のある一定の区画に対して強くプレスする効果、及び繊維内に含有された水を放出する効果を有する区画からのものとすることができる。
【0028】
擬似透かしはまた、ある一定の組成物を付加することにより、機械的及び/又は化学的手段によって完成繊維層内に生成することができ、このデザインは、常に透けて可視である。
【0029】
一例として、擬似透かしは、繊維層の透明度を変更するために、特に、透かしと同様に淡い区画及び濃い区画を生成するために、しかし、従来の透かしに比する精細度及び変動を呈する濃淡を生成することができる結果を得ることなく、繊維層の決められた区画上へ組成物を堆積させるか又は印刷することによって製造することができる。
【0030】
一例として、完成繊維層は、決められた区画を全体的に脂肪質の組成物に露出することによって透明化することができ、例えば、この組成物は、永久的に繊維層を透明化し、例えば、米国特許第2,021,141号に説明されているような油及び透明鉱物質で構成された組成物、又は例えば米国特許第1,479,337号に説明されているような溶媒と結合したワックスの形態の組成物である。
【0031】
米国特許第5,118,526号に説明されているように、完成繊維層をそこにワックスを局所的に高温熱伝達によりプレスすることによって透明化することも可能である。
【0032】
特許EP0,203,499に説明されているように、層の透明度を局所的熱作用の下で変化させるホットメルト材料、例えば、ポリエチレンを含む繊維層を使用することも可能である。
【0033】
例えば、特許出願FR2,353,676に説明されているように、完成繊維層をその決められた区画に繊維層の不透明度を増大させる乳白剤を付加することにより、完全に不透明にすることなく不透明化することも可能である。
【0034】
一例として、乳白剤は、顔料又は充填剤の水性懸濁液、又は化学化合物、着色化合物、又は染料の溶液とすることができる。繊維層の製造中に、薬剤は、薬剤がシートの間隙に浸透してシートが乾燥した状態で選択した区画内の処理に対してシートの不透明度を変更するように、すき網からそれを除去する前に繊維シート上に付加することができる。この製造技術には、薬剤を付加する特別な圧延デバイスを必要とするという欠点、及びシートの間隙に薬剤を浸透させる吸込みデバイスを好ましくは使用するという欠点がある。
【0035】
W.Walenski著「透かし及び透かし以外のもの」、Druckspiegel52、No.3、66〜68頁(1997年3月)という名称の文書に説明されている方法を使用して擬似透かしを製造することも可能である。上述の文書は、擬似透かしのパターンを表すマーカ部分を熱の下で付加する段階と、再湿潤した紙に対してプレスする段階とを含む非被覆紙上に擬似透かしを製作する方法を説明している。
【0036】
また、国際特許出願WO97/17493は、決められた区画に付加されたコーティングの重量を変化させ、それによってコーティングの重量が増加又は減少する区画で厚み及び不透明度の変化が起こることから生じる擬似透かしを含む被覆紙の製造を説明している。
【0037】
また、国際特許出願WO1999/014433は、被覆紙上に擬似透かしを製造する別の方法を説明しており、この方法は、再湿潤溶液が1つ又はそれよりも多くの決められた区画で被覆紙の少なくとも1つの面に付加され、溶液を蒸発させて、紙の残りの部分に対して区画内の被覆紙の密度を高めるように圧力及び熱が再湿潤被覆紙の上述の区画に印加される段階を実行することにより、最終被覆作業に続く乾燥段階の後に紙に画像を作る段階を提供している。
【0038】
最後に、擬似透かしは、特許DE3,718,452に説明されているように、繊維層の決められた区画にマークを機械的にエンボス加工することによって機械的に製造することができる。
【0039】
2つの繊維層の各々が透かし又は擬似透かしを含む時に、2つの透かし又は擬似透かしは、異なるものとすることができる。特に、透かし又は擬似透かしは、相補的とすることができる。それらは、それらの視覚効果において又は概念又は画像に対して相補的とすることができる。例えば、本発明の構造体においては、一方の側に第1の透かし又は擬似透かしとして国章を使用し、他方の側に第2の透かし又は擬似透かしとしてテキストを使用することが可能である。購買請求書と共に、発行会社のロゴ及び注文の価格をそれぞれ使用することが可能である。
【0040】
別の実施形態では、両方の透かし又は擬似透かしは、同一であり、対称的に設けられる。認証目的では、このように、構造体の両面で透かし又は擬似透かし間のアイデンティティを検証することが有利であると考えられる(例えば、常に同じ方向に見る人)。
【0041】
更に別の実施形態では、両方の透かし又は擬似透かしは、少なくとも部分的に互いに面している。
【0042】
超小型集積回路デバイス
超小型集積回路デバイスは、非接触通信技術、例えば、「ISO 14433」規格に説明されている技術に適応させることができる。
【0043】
変形においては、超小型集積回路デバイスは、接触通信の技術、例えば、「ISO 7816」規格に説明されている技術に適応させることができる。
【0044】
構造体は、接触通信のための超小型集積回路デバイス及び非接触通信のための超小型集積回路デバイス、又は接触読取り及び非接触読取りの両方を可能にする超小型集積回路デバイスを含むことができる。本発明の超小型集積回路デバイスは、特に、一方が接触を使用する技術のためのもの、他方が非接触技術のためのもの、例えば、混成スマートカードのための又は二重スマートカードのための接触/非接触両面電子モジュールのためのものである2つの電子モジュールを含むことができる。
【0045】
超小型集積回路デバイスは、外部読取器と通信することができる場合がある。用語「外部読取器」は、超小型集積回路デバイスとの通信、この通信の起動、この通信の認証、そこに収容されたデータの読取り、このデータの受信、及び適切な場合には、このデータの修正又は全体的又は部分的にその削除が可能なあらゆるデバイスを指定するのに使用される。外部読取器は、遠隔操作で作動させることができ、又はそれは、接触を必要とする場合がある。
【0046】
超小型集積回路デバイスは、チップを非接触システムのための少なくとも1つのアンテナに関連付けることから得ることができる。
【0047】
一例として、チップは、時に半導体ポリマーで製造されて一般的にメモリ又はデータ処理に適切な1つ又はそれよりも多くのマイクロプロセッサさえも含む半導体基部、一般的にドープシリコンのチップを含む。作動するために、それは、バッテリからエネルギを受け取ることができ、又は接触を通じて及び/又は接触することなく、すなわち、通信インタフェース及びアンテナを通じて遠隔操作で供給される電源により電力供給を受けることができる。一例として、チップは、誘導又は容量型の非接触電力を供給されるようなアンテナに接続することができる。搭載型アンテナ付きのチップは「トランスポンダ」と呼ばれ、一般的に高周波を使用する。
【0048】
超小型集積回路デバイスが「能動型」の時、チップは、その超小型回路に一体化されたバッテリ又は「マイクロバッテリ」を含むことができ、又は構造体に一体化されたマイクロバッテリに接続することができる。用語「バッテリ」は、任意的に充電可能とすることができる電気化学的起源のエネルギ源を指定するように理解すべきである。
【0049】
チップは、光起電性システムにより電力供給を受けることもできる。
【0050】
非接触超小型集積回路デバイスのアンテナは、有線形式、印刷形式、特に、シルクスクリーン印刷形式、エッチング形式、接着結合形式、転写形式、化学気相堆積形式、又は電気メッキ形式のものとすることができ、又は実際に、それは、超小型集積回路デバイスによって担持することができる。
【0051】
非接触超小型集積回路デバイスのアンテナは、繊維層により、下部構造体により、又は接着層により、特に、1つ又はそれよりも多くの繊維層及び/又は下部構造体を互いに組み付けるために使用される接着層によって担持することができる。
【0052】
アンテナは、下部構造体の面の1つに位置することができ、又はそれは、そこに完全に組み込むことができる。アンテナは、下部構造体上にそれが繊維層と組み付けられる前に製造することができる。
【0053】
アンテナは、繊維層と下部構造体の間に位置することができる。特に、アンテナは、下部構造体に接触している繊維層の面によって担持することができる。アンテナは、繊維層上にそれが下部構造体と組み付けられる前に製造することができる。
【0054】
超小型集積回路デバイスは、下部構造体の面の1つに位置することができる。
【0055】
超小型集積回路デバイスは、繊維層に少なくとも部分的に組み込むことができる。
【0056】
変形においては、超小型集積回路デバイスは、下部構造体に全体的に組み込むことができる。
【0057】
超小型集積回路デバイスは、特に、それが接触を有するデバイスである時には、構造体の面の1つにおいて少なくとも部分的に可視とすることができる。
【0058】
超小型集積回路デバイスは、少なくとも部分的に下部構造体に収容することができ、すなわち、超小型集積回路デバイスの厚みの全て又は一部は、下部構造によって補われる。一例として、これは、一般的に脆弱な部分である超小型集積回路デバイスを保護し、同時に同じく潜在的な詐欺者によるそれへのアクセスを特に困難にすることを可能にする。超小型集積回路デバイスの厚みはまた、1つ又はそれよりも多くの繊維層に下部構造体を組み付ける役目をする下部構造体の接着層により少なくとも部分的に補うことができる。下部構造体の厚みは、超小型集積回路デバイスのそれを超える場合がある。
【0059】
実施形態では、超小型集積回路デバイスは、下部構造体の少なくとも1つの面と面一である。超小型集積回路デバイスは、下部構造体の両方の面と面一とすることができる。
【0060】
超小型集積回路デバイスは、以下のリストから選択される電子デバイスの1つ又はそれよりも多くに関連付けられ、例えば、接続することができる。
・発光システム、特に、発光ダイオード(LED)又は有機LED(OLED)、
・表示デバイス、例えば、画面、
・センサ、
・結合アンテナ、及び
・スイッチ。
【0061】
超小型集積回路デバイスは、上述の電子デバイスの1つ又はそれよりも多くを含むことができる。変形においては、電子デバイスは、超小型集積回路デバイスから独立とすることができ、好ましくは、有線接続、光接続、又は無線接続を通じて、例えば、誘導結合により超小型集積回路デバイスに接続される。
【0062】
電子デバイスは、超小型集積回路デバイス上に存在するバッテリにより、特に、オンチップマイクロバッテリにより電力供給を受けることができる。
【0063】
電子デバイスはまた、超小型集積回路デバイス上に存在しない外部バッテリ、例えば、チップとは別である可撓性の薄い層から成るバッテリにより、又は光電池、例えば、少なくとも部分的に印刷されたセルにより電力供給を受けることができる。
【0064】
電子デバイスは、例えば、超小型集積回路デバイスと外部読取器の間の通信中に容量又は誘導結合により電力供給を受けることができる。
【0065】
電子デバイス、及び任意的に関連の電源デバイス、例えば、1つ又はそれよりも多くのバッテリは、構造体の層の1つの厚みに収容することができ、又は変形においては、それは、構造体の層の1つに印刷することができる。
【0066】
実施形態では、電子デバイスは、任意的に外側と相互作用することができる付加的なセキュリティ手段として構造体に増設される。例えば、電子デバイスは、発光デバイスを作動させるスイッチとすることができる。
【0067】
電子デバイスは、検出器に対応することができる。検出器は、少なくとも1つの物理化学的マグニチュードの変化を検出するように構成することができる。検出は、超小型集積回路デバイスから上述の変化に関連する少なくとも一部の情報を得ることが可能な外部読取器の読取フィールドの外側で行うことができ、超小型集積回路デバイスは、上述の少なくとも1つの物理化学的マグニチュードの対応する変化を検出する結果として構造体の物理一体性を犯す企みを外部読取器との通信中に外部読取器に知らせるように構成することができる。
【0068】
超小型集積回路デバイスは、有利な態様では、メモリにそれらの変化を格納するのに適切である。
【0069】
用語「物理化学的マグニチュード」は、構造体の物理的侵害又は侵入中に変更される特性又はパラメータの値により、構造体に又は構造体内又は上に存在する要素に固有の特徴的な特性又はパラメータを指定するのに使用する。
【0070】
本発明の別の実施形態では、電子デバイスは、超小型集積回路デバイス又は別の電子デバイスに例えば関連する特殊機能を追加するために構造体に組み込まれる。例えば、電子デバイスは、センサによって使用されるバッテリを再充電する光電池とすることができる。
【0071】
セキュリティ要素
構造体、特に、構造体の下部構造体及び/又は繊維層は、1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素を含むことができる。
【0072】
セキュリティ要素の中でも、一部は、日光で又は人工光で特定の家電を使用することなく裸眼により検出可能である。一例として、これらのセキュリティ要素は、着色した繊維又は薄片、又は印刷されているか又は完全に又は少なくとも部分的に金属メッキされているスレッドを含む。これらのセキュリティ要素は、「第1」レベルのものであると言われる。
【0073】
他の形式のセキュリティ要素は、紫外線又は赤外線で発光するランプのような単に比較的簡単な家電の助けを借りて単独で検出可能である。このようなセキュリティ要素は、例えば、繊維、薄片、ストリップ、スレッド、又は粒子を含む。これらのセキュリティ要素は、例えば、365ナノメートル(nm)の波長で発光するWoodランプにより照明された時に発光して任意的に裸眼で可視とすることができる。これらのセキュリティ要素は、「第2」レベルのものであると言われる。
【0074】
更に他の形式のセキュリティ要素では、検出されるためにより高度な検出器家電が必要である。一例として、このようなセキュリティ要素は、恐らく同時に1つ又はそれよりも多くの外部励起源を受けた時に特定の信号を生成することができる。自動信号検出より、適切な場合に文書を認証することができる。例えば、これらのセキュリティ要素は、例えば、トレーサが光電子励起、電気励起、磁気励起、又は電磁励起を受けた時に特定の信号を生成することができる活性物質、粒子、又は繊維の形態のトレーサを含む。これらのセキュリティ要素は、「第3」レベルのものであると言われる。
【0075】
下部構造体及び/又は繊維層内に存在するセキュリティ要素は、第1、第2、又は第3レベルのセキュリティ特性を示すことができる。
【0076】
構造体、特に下部構造体は、とりわけ、セキュリティ要素として以下を特に含むことができる。
・特に印刷された形態の又は下部構造体の少なくとも1つの層の少なくとも1つのポリマーと混合された発光顔料及び/又は染料及び/又は干渉顔料及び/又は液晶顔料、
・特に印刷された形態の又は下部構造体の少なくとも1つの層の少なくとも1つのポリマーと混合されたフォトクロミック又はサーモクロミック顔料及び/又は染料、
・特に被覆された形態の又は下部構造体の少なくとも1つのポリマーと混合された紫外線(UV)吸収体、
・例えば「導波路」形式の特定の集光材料、例えば、ポリカーボネートを基本とし、かつLisa(登録商標)という名前で納入業者Bayerにより販売されているポリマー膜のような発光集光材料、
・干渉多層膜、
・干渉顔料又は液晶ベースの可変的光学効果を示す構造体、
・複屈折又は偏光層、
・回折構造体、
・エンボス加工画像、
・下部構造体の2つのセキュリティ要素を互いに重なり合わせ、例えば、2つのセキュリティ要素の線を互いに合わせることによってパターンを出現させる「モアレ効果」を生成するための手段、
・部分反射型屈折要素、
・透明レンズ形グリッド、
・レンズ、例えば、拡大鏡、及び
・着色フィルタ。
【0077】
構造体、特に下部構造体及び/又は繊維層はまた、とりわけ、セキュリティ要素として以下を含むことができる。
・1つ又はそれよりも多くの脱金属部分の有無に関わらず、任意的にポジ又はネガの印刷刷り込み、蛍光又はメタリック効果、角度で色彩が変化する効果又はホログラム効果を含む例えば繊維層の1つの本体又は窓に組み込まれたセキュリティスレッド、
・金属化箔、角度で色彩が変わる箔、又はホログラム箔、
・干渉顔料又は液晶に基づいて可変的な光学効果を有する層、
・可視又は不可視であり、かつ特に発光する薄片のような比較的小さい形式の平坦なセキュリティ要素、
・可視又は不可視であり、かつ特に発光するHi−lite形式の顔料又は染料の粒子又は粒子の集塊、
・特に金属性、磁気性(軟磁性及び/又は硬磁性を有する)、吸光性、又は紫外線、可視光、又は赤外線光、特に近赤外線(NIR)内の光を使用して励起可能なセキュリティ繊維、
・フォトクロミック成分又はサーモクロミック成分、及び
・発光(例えば、螢光性、燐光性)、吸光(UV光、可視光、又はIR光)、ラマン活性、磁気、マイクロ波相互作用、X線相互作用、又は導電率に関して特定かつ測定可能な特性を有する自動的に可読であるセキュリティ要素。
【0078】
先に定めたような1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素は、下部構造体及び/又は繊維層に、又は例えばスレッド、繊維、又は薄片のような下部構造体及び/又は繊維層に組み込まれた1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素に存在することができる。
【0079】
構造体はまた、例えば、特定の薬剤、例えば、詐欺者によって使用される薬剤の存在の下で着色反応を生成することができる薬剤に対する試薬のような1つ又はそれよりも多くの「改ざん防止」セキュリティ要素を含むことができる。
【0080】
繊維層
構造体は、透かし又は擬似透かしを担持することができる少なくとも1つの繊維層を含むことができ、構造体は、上述のように、各々が透かし又は擬似透かしを担持する2つの繊維層を有することが好ましい。
【0081】
2つの繊維層の2つの透かし又は擬似透かしは、有利な態様では、下部構造体の半透明領域に位置合せして結合することができない。
【0082】
繊維層の透かし又は擬似透かしは、他の繊維層の透かし又は擬似透かしの一部と結合する下部構造体の半透明領域の外側の部分と、他の繊維層の透かし又は擬似透かしのいかなる部分とも結合しない下部構造体の半透明領域内の別の部分とを含むことができる。
【0083】
各繊維層の透かし又は擬似透かしは、特に下部構造体の半透明領域に位置合せされた透かし又は擬似透かしを含む繊維層の面からのみ少なくとも部分的に可視とすることができる。各繊維層の透かし又は擬似透かしは、特に下部構造体の半透明領域から離れて透かし又は擬似透かしを含まない繊維層の面から少なくとも部分的に可視とすることができる。
【0084】
2つの繊維層の各々が、パターンを形成するために下部構造体の半透明領域の外側に互いに結合する1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かしを含むことも可能である。
【0085】
繊維層は、平台(長網抄紙機)又は円網ロール用紙抄紙機上に製造することができ、透かしは、当業者に公知の従来の製紙方法を使用して繊維層の湿潤部分に組み込むことができる。
【0086】
繊維層は、平台(長綱)又は円網ロール用紙抄紙機上で製造することができ、擬似透かしは、当業者に公知の従来の方法を使用して機械的又は化学的手段により完成した層上に製造される。
【0087】
少なくとも1つの繊維層は、印刷、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷又はフレキソ印刷、銅板印刷、活版印刷、レーザ印刷、又はインクジェット印刷を含むことができる。この印刷は、例えば、身分証明書の永久的及び/又は可変の記載に対応することができる。この印刷は、写真、例えば、文書の保持者の写真を含むことができる。
【0088】
少なくとも1つの繊維層は、例えば、納入業者Arjowigginsにより販売されているLaserguard(登録商標)又はJetguard(登録商標)形式の紙に基づくことができる。
【0089】
少なくとも1つの繊維層は、着色、蛍光性、虹色とすることができ、又はあらゆる他の光学効果又は色相を示すことができる。
【0090】
少なくとも1つの繊維層は、セルロース繊維、及び/又は合成繊維、及び/又はセルロース繊維以外の天然有機繊維、及び/又は鉱物繊維に基づくことができる。
【0091】
少なくとも1つの繊維層は、範囲60グラム/平方メートル(g/m2)〜120g/m2にあり、好ましくは範囲70g/m2〜90g/m2にある重量を示すことができる。
【0092】
少なくとも1つの繊維層は、範囲60マイクロメートル(μm)〜120μmにあり、好ましくは範囲70μm〜110μm、例えば、約100μm内の厚みを有することができる。
【0093】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの繊維層は、例えば、打ち抜きにより、レーザ切断により、又はウォータージェット切断により、例えば、製紙機上に又は製紙機から離れて製造された凹部、例えば、繊維のない空間の形態の開口部を含む。凹部は、超小型集積回路デバイスを含まず又はそれを覆わない繊維層の一部内に製造されることが好ましい。2つの繊維層の各々は、このような凹部を含むことができ、凹部は、例えば、互いに位置合せされている。従って、構造体は、下部構造体の透明度のために透明である窓を呈することができる。この窓は、セキュリティ要素を形成することができ、又は1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素、特に、光学要素を収容することができ、又はこれらの要素をより観測しやすくすることができる。例えば、1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素、特に、光学セキュリティ要素は、下部構造体内に位置することができ、かつ上述の窓越しに観測可能にすることができる。この窓は、例えば、携行者又は呈示する物品に関連する印刷、エンボス加工、又は穿孔されたパターン又は要素を示すためにパーソナル化することができる。
【0094】
第1の印刷は、下部構造体の右ページ面上に行うことができ、第2の印刷は、下部構造体の左ページ面上に行うことができ、上述の窓越しに観測した時に相補的パターンが右ページ面と左ページ面間のモアレ効果により現れることが可能である。
【0095】
少なくとも1つの繊維層に存在する凹部の各々は、範囲0.1平方センチメートル(cm2)〜10cm2内にある面積を呈することができる。凹部は、あらゆる幾何学形状、特に、矩形又は円である形状を呈することができる。
【0096】
少なくとも1つの繊維層は、例えば、範囲0.5ミリメートル(mm)〜3mm内にある直径に対して、例えば、各々が範囲0.2平方ミリメートル(mm2)〜7mm2にある面積を有する穿孔を含むことができる。このような穿孔は、構造体組立中に、例えば、下部構造体の一部を形成する接着剤、例えば、透明熱可塑性材料が1つ又はそれよりも多くの繊維層を通って拡散し、従って、より有効に互いに構造体全体を結合することを可能にするという点において有利とすることができる。
【0097】
穿孔は、構造体に付加的なセキュリティを与えるために英数字パターンのようなパターン、及び/又はデザイン、及び/又は記号を形成することができる。
【0098】
特定的な実施形態では、少なくとも1つの繊維層は、少なくとも部分的に透明であるパッチ又はストリップ、及び繊維を有さずにパッチ又はストリップに位置合せして位置する少なくとも1つの区画を含む。ストリップ又はパッチは、透明プラスチック材料を含むことができ、かつ必要に応じて、ホログラム印刷又は液晶のような1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素を含むことができる。繊維を有していない2つの区画は、それぞれ、ストリップ又はパッチが透けて見えることを可能にする通し窓を形成するために互いに位置合せされた繊維層の各々に位置することができる。
【0099】
少なくとも1つの繊維層は、繊維層に機械的改ざんに対する保護をもたらす少なくとも1つの「擦過防止」セキュリティ区画を含むことができる。この区画は、この繊維層の表面を変えるいかなる企みによっても表面を穿孔するように1組の薄くした領域を含むことができる。このようなセキュリティ区画は、特許EP1,252,389に説明されている。
【0100】
下部構造体
下部構造体は、半透明領域を含むことができ、又はその面積全体にわたって半透明とすることができる。下部構造体は、半透明及び/又は光拡散領域を含むことができ、又はその面積全体にわたって半透明及び/又は光拡散性とすることができる。
【0101】
用語「半透明」は、下部構造体により通過する十分な光が構造体を透けて見えるようにすることができることを意味するのに使用する。用語「拡散」は、下部構造体がその性質及び厚みの結果として光を拡散させることを意味するのに使用する。より具体的には、下部構造体の屈折率に基づいて、それは、光を拡散する機能を表すことができる。
【0102】
半透明領域は、下部構造体の一方の縁部から他方の縁部に広がることができる。
【0103】
半透明領域は、任意のパターンを形成することができ、例えば、とりわけ、矩形、三角形、四角形、円、長円、多角形、星形である形状とすることができる。
【0104】
半透明領域は、下部構造体と同じ厚みを有することが好ましい。
【0105】
一例として、半透明領域は、その占有率が下部構造体に対応する容積の50%をよりも大きく、より好ましくは、70%又は80%をよりも大きく、一層好ましくは90%を超えることができる。
【0106】
下部構造体は、複数の半透明領域、例えば、2つ、3つ、又は4つを超える半透明領域を含むことができる。これらの半透明領域は、任意的に規則的に例えば領域間に同一空間を取って配置することができ、又は無作為に配置することができる。半透明領域は、例えば、互いに接近したパターンを形成することができる。
【0107】
下部構造体が2つの別々の又は並置した半透明領域を有する時には、半透明領域は、異なって、例えば、透き通って見える効果を作り出すために異なるレベルの不透明度で製造することができる。
【0108】
下部構造体は、拡散特性を与える有機又は無機の充填剤、泡、又は空洞を含むことができる。
【0109】
下部構造体の厚みは、範囲100μm〜1000μmにあり、好ましくは、400μm〜600μmにあるとすることができる。
【0110】
下部構造体は、繊維層に関して上述したように1つ又はそれよりも多くの凹部を呈することができる。
【0111】
下部構造体は、単一の層とすることができ、又は2つ又はそれよりも多い層、例えば、2つ、3つ、又は4つの層、特に、繊維層及び/またポリマー層のアセンブリとして製造することができる。層は、例えば、支持構造体に対して以下に説明するような同一又は異なる材料で製造することができる。
【0112】
下部構造体は、例えば、以下で定めるような1つ又はそれよりも多くの接着剤の層を使用して、又は実際には接着剤なしで溶融又はヒートシールによって互いに組み立てられた1つ又はそれよりも多くの層を含むことができる。
【0113】
超小型集積回路に関連のアンテナは、下部構造体を構成する2つの層の間に、例えば層の一方の1つの面に接着されて位置することができる。
【0114】
下部構造体の層の厚み及び性質は、有利な態様では、下部構造体が、構造体が透過光で観測される時に繊維層の透かし又は擬似透かしを結合することを防止するように、特に、半透明領域において、不透明ではなく、かつ拡散する望ましい特性を示すように選択される。
【0115】
下部構造体は、例えば、膜又は押出層の形態で、熱可塑性材料、特に、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、炭酸ポリエステル(PEC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の層を含むことができる。
【0116】
下部構造体はまた、繊維層、特に、紙、例えば、トレーシングペーパを含むか、又はそれによって構成することができる。
【0117】
下部構造体は、複合体であり、かつ少なくとも1つのポリマー層及び1つの繊維層を含むことができ、各層は、例えば、上述の材料から選択される。
【0118】
下部構造体は、例えば、とりわけ、トウモロコシ(メイズ)澱粉、ジャガイモ澱粉、植物繊維、特に、竹繊維から選択された有機物質を含むことができる。
【0119】
下部構造体は、透かし又は擬似透かしの区域全体にわたって延びることができる。
【0120】
下部構造体は、例えば、ストリップを構成するように、透かし又は擬似透かしと位置合せした区画内で好ましくは構造体の一方の縁部から他方まで構造体の一部にわたって延びることができる。
【0121】
下部構造体は、透かし又は擬似透かしの区域の一部分のみにわたって延びることができ、従って、透かし又は擬似透かしの一部は、構造体の1つの面からのみ見ることができ、一方、下部構造体により覆われない部分は、透過光で構造体の両側から可視である。
【0122】
接着層
構造体は、例えば、繊維層と下部構造体の間に少なくとも1つの接着層を含むことができる。
【0123】
特に、構造体は、下部構造体の両側に2つの接着層を含むことができる。
【0124】
接着層は、異なる性質とすることができる。
【0125】
少なくとも1つの接着層は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンを含むことができる。
【0126】
少なくとも1つの接着層は、エチレン酢酸ビニルを含むことができる。
【0127】
一般的に、少なくとも1つの接着層は、下部構造体に関して上述したような材料を含むことができる。
【0128】
少なくとも1つの接着層は、架橋剤を含むことができる。この実施形態は、例えば、様々な層間の接着を補強することを可能にすることができる。特に、接着層の架橋剤は、放射線、特に、紫外線の作用で架橋可能にすることができる。
【0129】
下部構造体との繊維層の組み付け
繊維層は、様々な方法で、例えば、1つ又はそれよりも多くの接着層を通じて又は接着層なしで、例えば、溶融又はヒートシールにより下部構造体に組み付けることができる。
【0130】
下部構造体は、面の少なくとも1つの上でポリマー層が繊維層に直接にかつ加圧状態でヒートシールされるのを可能にすることができるポリマー層、例えば、ポリカーボネート層を呈することができる。
【0131】
下部構造体は、面の少なくとも1つ上で、低温、高温に関わらず、かつ圧力の有無に関わらず直接に下部構造体を繊維層に密封することを可能にする接着剤で被覆したポリマー層、例えば、エチレン酢酸ビニルの層で被覆したポリエチレンテレフタレートの層を呈することができる。
【0132】
繊維層は、下部構造体に面する面上で、高温中かつ加圧状態で繊維層を直接に下部構造体に接合することを可能にするのに適切な表面コーティングを呈することができる。例えば、繊維層は、ヒートシールラテックスが含浸した紙基体を含むことができる。
【0133】
繊維層は、下部構造体に面する面上で、低温、高温に関わらず、及び圧力の有無に関わらず繊維層を下部構造体に直接に密封することを可能にする接着層を呈することができる。繊維層に存在する接着層は、下部構造体に面する繊維層の面上で低温、高温に関わらず予め被覆されている液状接着剤に対応することができる。
【0134】
別の実施形態では、1つ又はそれよりも多くの接着層、好ましくは、光学的に拡散して不透明ではない層が、下部構造体と繊維層を組み付けるために使用される。一例として、接着層は、1つ又はそれよりも多くの熱可塑性材料又は感圧性膜に対応することができる。
【0135】
下部構造体は、好ましくは、使用される接着層が繊維層を下部構造体に組み付け、互いに混合し、従って、繊維層との下部構造体のより良好な締結が得られることを可能にするように、電子デバイス及び/又はアンテナの上に重ならない1つ又はそれよりも多くの開口部又は穿孔を含むことができる。
【0136】
少なくとも1つの接着層は、上述のように1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素を含むことができる。
【0137】
外側層
構造体は、下部構造体から遠隔の側で少なくとも1つの繊維層を覆う少なくとも1つの外側層を含むことができる。
【0138】
構造体は、外面上で2つの繊維層のそれぞれの1つを覆う2つの外側層を含むことができる。2つの外側層は、構造体の縁部で少なくとも部分的に互いに接合することができる。
【0139】
少なくとも1つの繊維層は、下部構造体の幅及び恐らく一方又は両方の外側層の幅よりも小さい幅のものとすることができる。
【0140】
特に、2つの繊維層は、下部構造体の幅よりも小さく、恐らく1つ又はそれよりも多くの外側層の幅よりも小さい幅を有することができる。
【0141】
上述の構成の両方では、構造体は、構造体の縁部を通じて下部構造体に接合される2つの外側層を含むことができる。
【0142】
特に、外側層は、繊維層、及び特にあらゆる永久的及び/又は可変の記述及び繊維層上で行われた印刷を保護することを可能にすることができる。
【0143】
少なくとも1つの外側層は、例えば、磨耗及び使用されることに対するより大きな抵抗を示す構造体を得るために保護層、例えば、透明ポリマーの形態、例えば、範囲100μm〜250μmにある厚みの積層のための膜又は袋の形態とすることができる。
【0144】
少なくとも1つの外側層は、下部構造体に対して上述したように、ポリマー、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、セルロースエステル、ポリオレフィン、ポリサルフォン、又はポリイミドの膜を含むことができる。
【0145】
少なくとも1つの外側層は、例えば、接着剤、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタンにより構造体の少なくとも1つの繊維層上に積層することができ、上述の接着剤は、例えば、少なくとも1つの外側層の面の1つの上へ被覆、押出し、又は転写される。
【0146】
少なくとも1つの外側層はまた、例えば、Landquartの特許EP1,556,228に説明されている方法を用いて構造体の少なくとも繊維層上へ溶融により直接に積層することができる。
【0147】
少なくとも1つの外側層は、例えば、上述したような1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素を含むことができる。一例として、セキュリティ要素は、紫外線を受けて蛍光性、燐光性であり、光学的に可変な要素、赤外線導波路、及び任意的に転写可能である印刷に対応することができる。
【0148】
スペーサ層
構造体は、繊維層を覆う外側層の間に置かれ、かつ繊維層及び下部構造体層の全厚を補う厚みのものである少なくとも1つのスペーサ層を含むことができる。
【0149】
スペーサ層は、下部構造体に実質的に同一であり、例えば、下部構造体の幅及び長さに等しい幅及び長さのものであり、かつ下部構造体に繊維層を加えたものによって形成されたアセンブリの厚みよりも大きいか又はそれに等しい厚みのものである形状の凹部を呈することができる。
【0150】
本発明の別の実施形態では、スペーサ層は、下部構造体に実質的に同一であり、例えば、下部構造体の幅及び長さに等しい幅及び長さのものであり、かつ下部構造体を下回らない厚みのものである形状の凹部を呈する。
【0151】
本発明の更に別の実施形態では、スペーサ層は、下部構造体及び繊維層の形状に実質的に同一であり、例えば、下部構造体及び繊維層の幅及び長さに等しい幅及び長さのものであり、かつ下部構造体及び繊維層によって形成されたアセンブリの厚みを下回らない厚みのものである形状の凹部を呈する。
【0152】
外側層は、最大のサイズであるスペーサ層の面、特に、上面及び底面上のみでスペーサ層を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0153】
スペーサ層は、摩耗及びその縁部に沿った使用に耐える構造体の機能を例えば改善することができる繊維質又は好ましくはポリマー質のものとすることができ、かつ繊維層及び下部構造体を湿気から保護する役目をすることもできる。
【0154】
スペーサ層は、透明、半透明、又は不透明とすることができる。
【0155】
スペーサ層は、下部構造体に関して上述したように、1つ又はそれよりも多くの材料によって構成することができる。
【0156】
スペーサ層は、範囲100μm〜1000μm、好ましくは範囲400μm〜600μmにある厚みを有することができる。
【0157】
スペーサ層は、上述したような1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素を含むことができる。特に、スペーサ層は、例えば、スペーサ層内に堆積また混合されている発光顔料及び/又は染料、及び/又は干渉顔料及び/又は液晶顔料を含むことができる。
【0158】
スペーサ層は、例えば、フィルタとして作用することにより、例えば、光を偏光させるか又は誘導することにより、セキュリティ機能を実行することができる。特に、スペーサ層は、発光起源のものである光の集光器とすることができる。
【0159】
少なくとも1つのスペーサ層は、発光体、特に、発光ダイオードを含むことができる。
【0160】
光は、スペーサ層を通過するか又はスペーサ層を通って拡散することができ、かつあらゆる適切なデバイスにより任意的に集光又は検出することができる。
【0161】
構造体
本発明の構造体は、範囲0.2mm〜3mm、好ましくは範囲760μm〜840μmにある最終厚みを呈することができる。構造体は、身分証明書、特に、IDカード又はパスポート、支払い手段、特に、支払いカード、請求証又は領収証、文化的イベント又はスポーツイベント会場に入ることができるチケット、ポイントカード、又は真正性証明書とすることができる。
【0162】
構造体は、厚みが一定とすることができる。変形においては、構造体は、異なる厚みを呈することができ、特に、構造体は、その縁部より中心部分が肉厚とすることができる。
【0163】
本発明はまた、その態様の別のものにおいて、右ページ面と左ページ面及び少なくとも1つの透かしを有するシートを提供し、従って、この透かしは、このシートの面の1つからのみ透過光で少なくとも部分的に観測可能である。
【0164】
本発明は、その実施の非限定的な例の以下の詳細説明を読み、かつ添付図面の概略図及び断片図を吟味するとより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の例示的な構造体の断面図である。
【図2】図1の構造体の右ページ面の面図である。
【図3】図1の構造体の左ページ面の面図である。
【図4】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図5】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図6】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図7】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図8】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図9】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図10】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図11】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図12】接触を通じた通信のための組み込まれた超小型回路デバイスを含む本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図13】図12の構造体の右ページ面の面図である。
【図14】接触を通じた通信のための組み込まれた超小型回路デバイスを含む本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図15】図14の構造体の右ページ面の面図である。
【図16】接触を通じた通信のための組み込まれた超小型回路デバイスを含む本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図17】図16の構造体の右ページ面の面図である。
【図18】本発明の構造体の別の例の断面図である。
【図19】図18の構造体の右ページ面の面図である。
【図20】図18の構造体の左ページ面の面図である。
【図21】本発明の構造体の別の例の断面図である。
【図22】図21の構造体の下部構造体の面図である。
【発明を実施するための形態】
【0166】
図面では、図示の様々な要素の間の比率は、明瞭さを理由として必ずしも縮尺通りではない。
【0167】
図1は、本発明による構造体1の例を示している。
【0168】
構造体1は、下部構造体3が間に位置する2つの繊維層2a及び2bを含み、下部構造体3は、非接触超小型集積回路デバイス4及びその上に設けられたアンテナ5を有するポリマー中間層を含む。この例においては、下部構造体3は、完全に半透明である。
【0169】
構造体1は、下部構造体3と繊維層2aの間に置かれた接着層7a及び下部構造体3と繊維層2bの間に置かれた別の接着層7bも含む。
【0170】
繊維層2a及び2b、接着層7a及び7b、及び下部構造体3によりこのように形成されるアセンブリは、袋とも呼ばれる一端に沿って予め密封されている外殻6の形態である2つの外側層6a及び6bの間に置かれている。この例においては、外殻6は、透明である。
【0171】
様々な重畳された層によって構成されるアセンブリの厚みのために、構造体1は、その中心部分では構造体1の縁部より大きな厚みを呈する。
【0172】
説明した例においては、外殻6は、内面上にポリエチレン熱可塑性材料で被覆したポリエチレンテレフタレートの膜で製造される。
【0173】
この例における接着層7a及び7bは、冷間圧延による積層に適切なポリエチレン熱可塑性フィルムの形態である。ポリエチレン層7aは、圧延中に超小型集積回路デバイス4のいずれかの側に絡みついて、ポリエチレン熱可塑性材料層で超小型集積回路デバイス4を部分的又は完全に補う。
【0174】
この例においては、下部構造体3は、少なくとも100μmの厚みを有する透明ポリエチレンテレフタレート膜の形態である単一の層を含む。
【0175】
その面の1つでは、下部構造体3は、超小型集積回路デバイス4を担持し、超小型集積回路デバイス4は、名称Mifare(登録商標)の下で納入業者フィリップスにより販売されているチップの形態とすることができる。
【0176】
超小型集積回路デバイス4は、アンテナ5、例えば、下部構造体3の面の1つにエッチングされた銅製アンテナに接続されている。
【0177】
一例として、繊維層2a及び2bは、90g/m2に等しい重量を呈する。
【0178】
繊維層2aは、例えば、図示のようにチェッカー盤の形態の透かし又は擬似透かし8aを含み、繊維層2bは、例えば、心臓形又は関連の腎臓形の形態で透かし又は擬似透かし8bを含む。
【0179】
透かし又は擬似透かし8a及び8bの各々は、構造体1の一方の側からのみ見ることができる。特に、透かし又は擬似透かし8aは、繊維層2aが現れる構造体1の右側からのみ見え、透かし又は擬似透かし8bは、繊維層2bが現れる構造体1の左側からのみ見える。
【0180】
図2は、図1つの構造体1の右ページ面の面図である。
【0181】
この図では、構造体1が左側から照明される時に構造体1の右側の透かし又は擬似透かし8aのみが観測されることを見ることができる。
【0182】
図3は、図1の構造体1の左ページ面の面図である。
【0183】
この図では、構造体1の右ページ面が照明される時に構造体1の左側の透かし又は擬似透かし8bのみが可視であることを見ることができる。
【0184】
図4は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0185】
この例においては、構造体1は、例えば、図1の例と同一の外殻6及び2つの繊維層2a及び2bを含む。外殻6は、従って、同様にこの例においては透明である。
【0186】
構造体1はまた、非接触超小型集積回路デバイス4と面の1つの上にアンテナ5とを含むデバイスを有する半透明の繊維中間層を含む下部構造体3を含む。下部構造体3は、有利な態様では、完全に半透明である。
【0187】
一例として、下部構造体3は、トレーシングペーパで製造されており、その重量は、例えば、65g/m2に等しい。
【0188】
集積回路デバイス4は、例えば、銀を基本としてシルクスクリーン印刷されたアンテナ5に接続された「フリップチップ」形式のチップとすることができる。
【0189】
繊維層2a及び2bの各々は、例えば、25g/m2で例えば繊維層2a及び2bの内面上に予め被覆された感圧接着剤の形態のそれぞれの接着層7a又は7bも含む。
【0190】
図5は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0191】
構造体1は、例えば、図1の例と同一の外殻6及び2つの繊維層2a及び2bを含む。外殻6は、従って、同様にこの例においては透明である。繊維層2a及び2bの両方は、それぞれの接着層7a及び7bにより内面上で被覆され、それによって繊維層を次に下部構造体3に接合することができる。
【0192】
構造体1は、3つの中間層3a、3b、及び3cを含む下部構造体3も含む。この例においては、下部構造体3は、完全に半透明である。
【0193】
一例として、層3aは、超小型集積回路デバイス4とその面の1つの上に設けられたアンテナ5とを有する透明ポリエチレンテレフタレートの膜である。
【0194】
一例として、超小型集積回路デバイス4は、名称Mifare(登録商標)で納入業者フィリップスにより販売されているチップであり、それは、例えば、エッチングされた銅製アンテナであるアンテナ5に接続されている。
【0195】
一例として、層3bは、層3cが被覆された透明ポリエチレンテレフタレートの膜であり、この層は、例えば、透明ポリエチレン及びエチレン酢酸ビニル熱可塑性材料の層とすることができる。層3cは、上述のデバイスの厚みを補うように超小型集積回路デバイス4の厚みよりも大きいか又はそれに等しい厚みを呈する。
【0196】
図6は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0197】
構造体1は、透明袋を形成するようにポリエチレンで被覆されたポリエチレンテレフタレートの外殻6を含む。
【0198】
外殻6は、例えば、125μmに等しいポリエステルの厚み及び50μmに等しいポリエチレンの厚みを含む175μmに等しい構造体1の中心部分の厚みを呈することができる。
【0199】
構造体1は、例えば、重量が90g/m2であり、かつ95μmに等しい厚みの2つの繊維層2a及び2bも含む。
【0200】
構造体1は、ポリエチレンテレフタレート及びエチレン酢酸ビニル(図示せず)の複数の透明層によって形成することができる下部構造体3も含み、これらの透明層の一部は、アンテナ5に接続したチップモジュールの形態の超小型集積回路デバイス4を組み込むのに適切な少なくとも1つの凹部を呈する。下部構造体3は、有利な態様では、完全に半透明である。
【0201】
2つの接着層7a及び7bは、繊維層2a及び2bとの結合をもたらすように下部構造体3の両側にも存在する。接着層7a及び7bは、例えば、エチレン酢酸ビニルの層をヒートシールすることによって構成され、それによって下部構造体3を2つの繊維層2aと2bの間に直接に積層することができる。
【0202】
下部構造体に2つの接着層7a及び7bを加えたものの全厚は、560μmである。
【0203】
図7は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0204】
構造体1は、例えば、それぞれ、図6の例の外殻6及び繊維層2a及び2bと同一の外殻6及び2つの繊維層2a及び2bを含む。
【0205】
構造体1の繊維層2a及び2bは、熱活性化されかつ熱硬化性であるそれぞれの接着層7a及び7bで内面上に予め被覆され、これらの層は、閉鎖イソシアネートと混合されたポリウレタンベースの液状接着剤の形態で付加される。
【0206】
構造体1は、例えば、260μmの厚みを有する下部構造体3も含む。この例においては、下部構造体は、完全に半透明である。
【0207】
下部構造体3は、例えば、130μmに等しい厚みを有し、かつ例えば超音波により固定された面の1つの上の銅製線状アンテナ5を有する紙層3aを含み、かつ非接触形超小型集積回路デバイス4が部分的に受け取られる凹部を含む。
【0208】
下部構造体3は、例えば、130μmに等しい厚みを有する紙層3bも含み、同様に、層3a内の凹部と位置合せして超小型集積回路デバイス4の少なくとも一部を受け取る凹部を含む。
【0209】
一例として、超小型集積回路デバイス4は、納入業者フィリップスにより販売されている「MOB 6」形式のチップモジュールである。
【0210】
図4〜図7の例の全てにおいて、例えば、図1の例に関して上述したように、構造体1の繊維層2a及び2bは、1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かしを含む。
【0211】
図8は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0212】
構造体1は、4つの層3a、3b、3c、及び3dから成る下部構造体3を含み、かつ完全に非接触超小型集積回路デバイス4を組み込んでいる。
【0213】
この例においては、層3aは、凹部なしでポリカーボネートの層によって構成され、100μmの厚みを呈する。
【0214】
この例においては、層3bは、100μmの厚みを有し、かつ超小型集積回路デバイス4の一部4aが受け取られる凹部を示すポリカーボネートの層によって構成され、この部分4aは、特に、納入業者フィリップスの子会社である納入業者NXPにより販売されている「MOB 4」形式モジュールの基部に対応する。層3bは、超小型集積回路デバイス4に接続されている面の1つの上の線状アンテナ5も含む。
【0215】
この例においては、層3cは、200μmの厚みを有し、かつ超小型集積回路デバイス4の一部4bが受け取られる凹部を示すポリカーボネートの層によって構成され、この部分4bは、特に、「MOB 4」形式モジュールの埋込突起に対応する。
【0216】
この例の下部構造体3の繊維3dは、凹部なしでかつ100μmの厚みを有するポリカーボネート層によって構成される。
【0217】
下部構造体3は、従って、有利な態様では完全に半透明である。
【0218】
構造体1は、例えば、重量が80g/m2であり、かつ1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かし、例えば、上述の透かし又は擬似透かし8a又は8bを呈することができる2つの繊維層2a及び2bを含む。
【0219】
構造体1は、例えば、100μmに等しい厚みを有する透明ポリカーボネートの保護膜によって構成される2つの外側層6a及び6bを有する。
【0220】
構造体1は、繊維層2a及び2b及び下部構造体3の厚みを補い、かつ800μmの厚みを有するISO型カードに関する仕様書を満たすように構造体1が実質的に一定である厚みを呈することを可能にするスペーサ層9も含む。
【0221】
一例として、スペーサ層9は、例えば、下部構造体3及び繊維層2a及び2bによって形成されたアセンブリの幅及び長さに等しい幅及び長さ(すなわち、80mmx50mm)の凹部を示し、かつ例えば600μmに等しい下部構造体3及び繊維層2a及び2bによって形成されたアセンブリの厚みに等しい厚みを呈する透明ポリカーボネートの層によって構成される。
【0222】
この例において及び図10のもの以外の以下の例において、スペーサ層9は、Z軸に沿ったものよりも大きいX及びY軸に沿った寸法を呈することができる。特に、Z軸に沿ったスペーサ層9の高さは、X及びY軸に沿った長さ及び/又は幅よりも小さいとすることができる。外側層6a及び6bは、X軸と平行な面、すなわち、上面及び底面上でのみスペーサ層9を覆う必要がある。
【0223】
図9は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0224】
構造体1は、完全に半透明であり、2つの層3a及び3bを呈し、かつ非接触超小型集積回路デバイス4の一部を組み込んでいる下部構造体3を含む。
【0225】
この例においては、下部構造体3の層3aは、130μmの厚みを有するポリカーボネート層によって構成され、超小型集積回路デバイス4の一部4aが受け取られる凹部を呈し、この部分4aは、納入業者フィリップスの子会社である納入業者NXPにより販売されているMOB形式モジュール4の基部を受け取る役目をする。部分4aは、面の1つの上に線状アンテナSを支持し、このアンテナは、超小型集積回路デバイス4に接続されている。
【0226】
この例においては、層3bは、130μmの厚みを有するポリカーボネート層によって構成され、層3a内の凹部に位置合せされており、かつ超小型集積回路デバイス4の一部4bを受け取る凹部を呈し、部分4bは、「MOB 4」形式モジュールの埋込突起に対応する。
【0227】
構造体1は、例えば、重量が70g/m2であり、かつ70μmの厚みを有する2つの繊維層2a及び2bを含む。
【0228】
繊維層2aは、層3a及び3b内の凹部に位置合せされて超小型集積回路デバイス4の一部4bを受け取る凹部も含み、部分4bは、「MOB 4」形式モジュールの埋込突起に対応する。
【0229】
構造体1は、例えば、透明ポリカーボネートの保護膜によって構成され、かつ例えば、200μmに等しい厚みを呈する2つの外側層6a及び6bも含む。
【0230】
最後に、スペーサ層9が、繊維層2aと2b及び下部構造体3の厚みを補うために構造体1に組み込まれている。
【0231】
一例として、スペーサ層9は、透明ポリカーボネートで製造され、例えば、80mmx50mmに等しい下部構造体3及び繊維層2a及び2bによって形成されたアセンブリの幅及び長さに等しい幅及び長さの凹部を呈し、かつ例えば400μmに等しい下部構造体3及び繊維層2a及び2bによって形成されたアセンブリの厚みに例えば等しい厚みを呈する。
【0232】
図10は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0233】
構造体1は、非接触超小型集積回路デバイス4がその中に完全に組み込まれている3つの層3a、3b、及び3cを示す完全に半透明な下部構造体3を含む。
【0234】
一例として、層3aは、凹部を含まず、かつ200μmの厚みを呈するポリカーボネートの層によって構成される。
【0235】
一例として、層3bは、100μmに等しい厚みのポリカーボネートの層であり、かつ例えば「MOB 4」形式モジュールの基部に対応する超小型集積回路デバイス4の一部4bが受け取られる凹部を呈する。層3bは、面の1つの上の線状アンテナ5も支持し、アンテナは、超小型集積回路デバイス4に接続されている。一例として、層3cは、200μmに等しい厚みのポリカーボネートの層によって構成され、かつ例えば、「MOB 4」形式モジュールの埋込突起に対応する超小型集積回路デバイス4の一部4aが受け取られる凹部を呈する。
【0236】
構造体はまた、重量が例えば65g/m2である2つの繊維層2a及び2bも含み、2つの繊維層2a及び2bは、例えば、下部構造体3の外側層6a及び6bの幅よりも小さい幅の下部構造体3及び外側層6a及び6bのものよりも小さい寸法を有する。
【0237】
その結果、積層中に、透明ポリカーボネートから作られ、かつこの例においては100μmに等しい厚みを有する外側層6a及び6bは、繊維層を有していない構造体1の縁部で、例えば、同様にポリカーボネートで製造される下部構造体3と融合することができる。有利な態様では、この実施形態は、繊維層2a及び2bが、様々なポリカーボネート層の間に可能な限り最良の接触が得られるように細かくて圧縮可能である時に好ましい。
【0238】
図11は、図8に示す構造体1の実施形態の変形を示している。この例においては、付加的なセキュリティ特徴が構造体1に組み込まれている。
【0239】
一例として、下部構造体3の層3dは、内面上に印刷20を含み、この印刷は、365nmの紫外線(UV)光の下で黄色の蛍光を発する。
【0240】
一例として、繊維層2a及び2bの各々は、他の凹部と位置合せし、かつ下部構造体3の下位層3dの蛍光印刷20と位置合せした凹部11を含む。一例として、凹部11は、構造体1の両側からの反射及び透過で観測可能である透明窓を形成する役目をする。透明窓を形成する凹部11は、例えば、エンブレムの形状とすることができる。繊維層2aは、例えば、1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素、例えば、可視青色繊維、365nmの紫外線(UV)光の下で緑の蛍光を発する不可視薄片を含むことができる。繊維層2bは、1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素、例えば、全て365nmの紫外線(UV)光の下で、例えば、赤色に蛍光を発する不可視繊維、青い蛍光を発する不可視薄片、オレンジ色の蛍光を発する不可視Hi−liteを含むことができる。
【0241】
繊維層2aは、特に凹部11の領域から離れて、例えば、窓内に挿入されている2mmの幅を有する平坦なストリップの形態のセキュリティスレッド21を含むことができる。
【0242】
繊維層2bは、熱伝達により付加され、外繊維6bにより保護され、かつ特に凹部11から離れたホログラフィック箔22を含むことができる。一例として、箔22は、6μmの厚みを有することができ、かつ厚みの補償を必要としないとすることができる。
【0243】
スペーサ9は、365nmの紫外線(UV)光の下で赤色の蛍光を発する透明ポリカーボネートで製造される。
【0244】
従って、反射状態で日光の下で観測することにより、外側層6aのそばで青色繊維及びセキュリティスレッド21を見て、外側層6bのそばでホログラフィック箔22及び青色薄片を見ることができる。
【0245】
反射状態で紫外線の下で観測することにより、例えば、赤色で蛍光を発するスペーサ層9の幅に対応する構造体1の透明縁部を見て、凹部11によって形成された窓において黄色の蛍光の印刷を見ることができる。繊維層2a及び2b内の発光セキュリティ特徴及びどの面が観測されるかによって発光の方法が異なる構造体1のセキュリティ特徴(Hi−lite薄片、繊維)を見ることも可能である。
【0246】
図12は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0247】
構造体1は、完全に半透明であり、例えば、ポリカーボネートの層により例えば構成され、かつ接触を有する超小型集積回路デバイス10の一部10bを受け取る凹部を呈する単一の繊維下部構造体3を含む。
【0248】
構造体1は、各々が1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かし、例えば、上述のような透かし又は擬似透かし8a及び8bを含むことができる2つの繊維層2a及び2bも有する。
【0249】
繊維層2aは、超小型集積回路デバイス10の一部10aの少なくとも一部を受け取る凹部を含む。
【0250】
超小型集積回路デバイス10の一部10a及び10bは、接着層7により互いに接続することができる。
【0251】
構造体1は、この例においては、透明ポリカーボネートで製造された2つの外側層6a及び6bも含み、外側層6bは、超小型集積回路デバイス10の一部10aが少なくとも部分的に受け取られる凹部を呈する。
【0252】
構造体1は、例えば、透明ポリカーボネートのスペーサ層9も含み、スペーサ層は、中間層3及び繊維層2a及び2bによって形成されたアセンブリの形状に実質的に同一である形状、及び例えば下部構造体3及び繊維層2a及び2bによって構成されるアセンブリの厚みに等しい厚みの凹部を呈する。
【0253】
構造体1は、従って、この例においては、超小型集積回路デバイス10を受け取る役目をする外側層6b、繊維層2a、及び下部構造体3内に形成された3つの凹部を呈し、このデバイスは、従って、例えば、外側層6b内の構造体1の表面内で見え、従って、アクセス可能とすることができる。
【0254】
図13は、図12の構造体1の平面図である。
【0255】
この図は、超小型集積回路デバイス10、特に、超小型集積回路デバイス10の一部10aは、構造体1の表面を通じて見え、従って、アクセス可能であることを示している。
【0256】
超小型集積回路デバイス10は接触を有し、従って、外部読取器と通信することができるスマートカードのチップに同等である。
【0257】
図14は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0258】
この例においては、構造体1は、非接触超小型集積回路デバイス4及び接触を有する超小型集積回路デバイス10を含む。
【0259】
下部構造体3は、特にポリカーボネートで製造された複数の層のアセンブリによって構成される。一例として、下部構造体3は、非接触超小型集積回路デバイス4の一部4aが受け取られる凹部、例えば、先に定めたようなモジュールを含む層3aを含むことができる。層3aは、線状アンテナ5を面の1つで支えることができ、このアンテナは、超小型集積回路デバイス4に接続されている。下部構造体3は、有利な態様では、完全に半透明である。
【0260】
下部構造体3は、非接触超小型集積回路デバイス4、例えば、先に定めたようなデバイスの一部4bが受け取られる凹部を有する層3bを含むことができる。
【0261】
構造体1は、2つの繊維層2a及び2b、外側層6a及び6b、及び図12を参照して定めたようなスペーサ層9を含むことができる。下部構造体3の外側層6b、繊維層2b及び層3bは、接触を有する超小型集積回路デバイス10を受け取る役目をする凹部を含むことができる。
【0262】
図17は、図14の構造体1の平面図である。
【0263】
この図においては、繊維層2a及び下部構造体3の外側層6bが透明であるので、非接触超小型集積回路デバイス4に接続したアンテナ5を特に見ることができる。
【0264】
図16は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0265】
この例においては、構造体1は、「二重インタフェース」形式の超小型集積回路デバイス4、すなわち、非接触インタフェース及び接触を有するインタフェースの両方を含む超小型集積回路デバイスを含む。
【0266】
下部構造体3は、例えば、図15のものと同一の2つの層3a及び3bを有し、層の一方は、導電材料30により超小型集積回路デバイス4に接続した線状アンテナ5を含む。下部構造体は、従って、有利な態様では、完全に半透明である。
【0267】
超小型集積回路デバイス4は、図12及び図14の例の超小型集積回路デバイス10に対して説明したのと同様に外側層6b、繊維層2a、及び下部構造体3に収容される。
【0268】
層3bは、端子31がアンテナ5に接触するために受け取られること可能にする凹部も示している。
【0269】
図17は、構造体1の図14の例の平面図である。
【0270】
この図においては、特に、構造体1を形成する様々な層の透明度のために、アンテナ5と共に構造体1の超小型集積回路デバイス4を見ることができる。
【0271】
図12〜図17の例の全てにおいては、構造体1の厚みは、一定であり、例えば、範囲690μm〜840μm、特に、範囲760μm〜840μmにあることが好ましい。
【0272】
図18は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0273】
この例においては、構造体1は、それぞれの接着層7a及び7bが内面上に被覆されている2つの繊維層2a及び2bを有する。
【0274】
繊維層2aはまた、複数の同一の透かし50を有する。
【0275】
繊維層2aは、図18の構造体1の右ページ面を示す図19で分るように、複数の同一の透かし50を有する。
【0276】
光を拡散し、かつ1つ又はそれよりも多くの層を含む完全に半透明のストリップの形態の下部構造体3は、接着層7a及び7bが被覆された繊維層2aと2bの間に置かれている。下部構造体3は、有利な態様では、繊維層2a及び2bの寸法よりも小さい寸法及び特に幅を呈する。図19及び図20で分るように、下部構造体3は、幅方向に構造体1の一端から他端に延びている。
【0277】
アンテナ搭載型形式(AOB)チップの形態の超小型集積回路デバイス4は、下部構造体3に組み込まれている。
【0278】
繊維層2a及び2b接着層7a及び7b及び下部構造体3によって形成されたアセンブリは、袋とも呼ばれる一端に沿って予め密封されている透明外殻6の形態の2つの外側層6aと6bの間に置かれている。
【0279】
有利な態様では、繊維層20の透かし50の少なくとも一部、更に好ましくは繊維層2bの透かし60の少なくとも一部は、更に好ましくは下部構造体3の上に重なる。
【0280】
図19に示すように構造体1の右ページ面が下部構造体3に位置合せして観測される時には、繊維層2aの透かし50のみが見え、繊維層2bの透かし60は見えない。
【0281】
図20に示すように構造体1の右ページ面が下部構造体3に位置合せして観測される時には、繊維層2aの透かし60のみが見え、繊維層2bの透かし50は見えない。
【0282】
有利な態様では、図19及び図20で分るように、下部構造体3の上に重ならない繊維層2a及び2bの透かし50及び60は、構造体1の右側及び左側の両方から見える。更に、これらの透かし50及び60は、この例においては網の中の蝶を表す結合から生じるパターンを生成するように結合することができる。
【0283】
従って、この例においては、繊維層2a及び2bの透かしは、下部構造体3から離れてのみ結合させることができる。
【0284】
図21は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0285】
構造体1は、図18の構造体1のものに同一である2つの繊維層2a及び2b、2つの接着層7a及び7b及び外殻6を含む。
【0286】
これとは対照的に、この例においては、構造体1は、長さ方向及び幅方向に構造体1の一端から他端に延びる下部構造体3を含む。
【0287】
下部構造体3は、例えば、互いに星の形態でパターンを形成する複数の半透明領域16を並置することによって例えば得られる半透明領域15を含む。
【0288】
繊維層2a及び2bは、好ましくは下部構造体3の半透明領域内で少なくとも部分的に上に重なる例えば上述の種類の1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かしを含むことができる。
【0289】
図18の構造体に対して説明したようにかつ図19及び図20に示すように、半透明領域15に位置合せされた透かし又は擬似透かしの各部分は、透かし又は擬似透かしを担持する繊維層を含む構造体1の側からのみ見える。半透明領域15から離れると、繊維層2aの透かし又は擬似透かしは、例えば、繊維層2bの透かし又は擬似透かしと結合することができる。
【0290】
図22は、半透明領域15によって形成されたパターンを見ることができる図21の下部構造体3の面図を示している。
【0291】
上述の例の全てにおいて、超小型集積回路デバイス4又は10は、少なくとも1つの物理化学的量(magnitude)、特に、このような超小型集積回路デバイスを含む層、例えば、下部構造体3の特性を示す物理化学的量の変化を検出するように構成された検出器の形態の1つ又はそれよりも多くの電子デバイスを含み、又は電子デバイスに関連付けることができる。その結果、物理化学的量の変化を検出した結果として構造体の物理的一体性を破る企てを通報することを可能にすることができる。
【0292】
用語「含む」は、特に断らない限り「少なくとも1つを含む」ことと同義である。
【符号の説明】
【0293】
1 構造体
2a、2b 繊維層
3 下部構造体
4 非接触超小型集積回路デバイス
5 アンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、セキュリティ文書の分野に関する。それは、構造体、特に、シート、例えば、透かし又は擬似透かし及び超小型集積回路デバイスを含むセキュリティ文書を提供する。
【背景技術】
【0002】
支払い手段、例えば、紙幣、小切手、又は公式文書、例えば、パスポート、IDカード、又は文化的イベント又はスポーツイベント入場のためのチケット、又は交通乗車券のようなセキュリティ文書の偽造又は改ざんに備えるために、例えば、透過光で観測することによって文書を認証することを可能にする透かしのような様々なセキュリティ手段を使用することが可能である。
【0003】
透かしは、フォトコピー、写真撮影、又はデジタル走査のような光学的手段による複製に対する保護を提供する。
【0004】
透かしはまた、装飾及び威光目的で、特に、筆記用紙/便箋に対して、例えば、レターヘッド又は水彩絵具用のための紙のようなアート紙に対して使用することができる。
【0005】
透かしは、従来、円網抄紙機のエンボス加工すき網上で製紙のためのパルプを堆積させることによって紙シート製造の湿潤段階中に得られ、堆積したパルプの量は、紙の残りの部分と比較すると凹部の方が厚く、凸部の方が薄い。
【0006】
平台(長網抄紙機)製紙機上で透かしロール(別名「ダンディロール」)を使用して湿潤シートにエンボス加工することによって透かしを製作することも可能である。
【0007】
1枚の紙上に擬似透かしを作ることも公知である。擬似透かしは、不透明度の差を呈示することによって透かしの体裁を再生する。このような擬似透かしは、熱の有無に関わらず圧力を印加することにより機械的に、及び/又は組成物を付加することにより、例えば、透明化物質を使用して紙の透明度を局所的に増大させることにより化学的に得ることができる。擬似透かしの色が淡い方の区画と色が濃い方の区画の間の繊維材料の密度は、従来の透かしとは異なり、均一とすることができる。
【0008】
更に、セキュリティ文書のセキュリティレベルを増大させてそれらをより改ざんしにくくするために、超小型集積回路デバイス、特に、無線ICタグ(RFID)デバイスをそこに組み込むことは公知である。例えば、アンテナに付随するチップの形態のそのようなデバイスは、持参人又は彼らが関連する物品、出版される文書の形式、又はイベントの履歴に特異の情報を格納し、かつ任意的に変更する役目をする。
【0009】
例えば、ポリマー層を互いに組み付けることによって製造されるプラスチック材料で製造されたRFID含有IDカードは公知である。このようなカードは、時々の転写により印加される表面のエンボス加工及びホログラムを除き、特に目視による認証に対して認証セキュリティ要素を殆ど又は全く含んでいない。その結果、無記入のプラスチック材料カードから開始して、このようなカード上に存在する印刷特徴、パーソナル化特徴、及び目視セキュリティ特徴を再生することは、詐欺を働く者には比較的簡単である。
【0010】
凹部又は凸部をエンボス加工することによって作られる擬似透かしを各々有する2つのポリエチレン層を含むセキュリティカードも公知であり、2つの擬似透かしは、透過光で観測される時に結合する。
【0011】
また、特許出願WO2005/062244及びWO2004/008397は、電子回路及び例えば透かしの形態のセキュリティ要素を含むセキュリティ構造体を説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2005/062244
【特許文献2】WO2004/008397
【特許文献3】米国特許第2,021,141号
【特許文献4】米国特許第1,479,337号
【特許文献5】米国特許第5,118,526号
【特許文献6】EP0,203,499
【特許文献7】FR2,353,676
【特許文献8】WO97/17493
【特許文献9】WO1999/014433
【特許文献10】DE3,718,452
【特許文献11】EP1,252,389
【特許文献12】EP1,556,228
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】W.Walenski著「透かし及び透かし以外のもの」、Druckspiegel52、No.3、66〜68頁(1997年3月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
セキュリティ文書のセキュリティを更に補強する必要性が存在する。
【0015】
特に、満足なレベルのセキュリティを呈しながら簡単に観測可能であるべきである改ざん及び偽造に対する新しいセキュリティ特徴を提供する必要性が存在する。
【0016】
本発明の目的の1つは、すなわち、超小型集積回路デバイスを含み、かつ改ざん又は偽造に対する高いレベルのセキュリティ及び抵抗性を呈するセキュリティ構造体、特に、セキュリティ文書を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
すなわち、本発明は、その態様の1つにおいて、
・繊維層と、
・光を透過させる領域(translucent region)を含む下部構造体と、
・下部構造体の光を透過させる領域又は半透明領域において、透かし又は擬似透かしが、繊維層に隣接する構造体の面からのみ構造体を透過する光で観測可能であるように、繊維層によって担持され、かつ下部構造体の半透明領域と少なくとも部分的に重ね合わされた透かし又は擬似透かしと、
・接点の有無に関わらず通信するための超小型集積回路デバイスと
を含む構造体、特に文書を提供する。
【0018】
超小型集積回路デバイスは、下部構造体によって担持することができる。
【0019】
本発明により、超小型集積回路デバイスを含むセキュリティ構造体から恩典を受け、同時に少なくとも1つの透かし又は擬似透かしの存在に関連のセキュリティからも恩典を受けることが可能である。
【0020】
透かし又は擬似透かし
構造体は、透かしが、繊維層に隣接する構造体の面、すなわち、下部構造体と接触している面から遠隔の構造体の面からのみ、半透明領域に位置合せされて構造体を透過する光で観測可能であるように、繊維層によって担持され、かつ少なくとも部分的に下部構造体の半透明領域の上に重なる透かしを含むことができる。
【0021】
変形では、構造体は、擬似透かしが、繊維層に隣接する構造体の面、すなわち、下部構造体と接触している面から遠隔の構造体の面からのみ、半透明領域に位置合せされて構造体を透過する光で観測可能であるように、繊維層によって担持され、かつ少なくとも部分的に下部構造体の半透明領域の上に重なる擬似透かしを含むことができる。
【0022】
構造体は、2つの繊維層を含むことができ、下部構造体は、繊維層の間に位置する。そのような状況の下では、繊維層の各々は、構造体を担持する繊維層に隣接する構造体の面からのみ構造体を透過して下部構造体の半透明領域に位置合せされた光で観測することができる透かし又は擬似透かしを含むことができる。このようにして、透かし又は擬似透かしは、構造体のそれぞれの異なる面から明確に観測される。
【0023】
本方法の実施形態では、構造体は、少なくとも第1の透かし又は擬似透かしを担持する第1の繊維層及び少なくとも第2の透かし又は擬似透かしを担持する第2の繊維層を含む右ページ面及び左ページ面を呈し、第1の透かし又は擬似透かしの少なくとも一部は、構造体の右ページ面からのみ透過された光で観測可能であり、第2の透かし又は擬似透かしの少なくとも一部は、構造体の左ページ面からのみ透過された光で観測可能である。更に、透かし又は擬似透かしは、下部構造体の半透明領域において少なくとも部分的に並置されることが好ましい。従って、これらの透かし又は擬似透かしは、下部構造体の半透明領域に位置合せされた構造体の一方の側又は他方の側から透過された光で同時には観測可能ではない。すなわち、下部構造体の半透明領域は、透かし又は擬似透かしが互いに結合されるのを防止する役目をすることができる。
【0024】
用語「透かし又は擬似透かし」は、構造体の厚みに現れる描かれた画像を指定するために本発明に使用する。
【0025】
透かし又は擬似透かしは、当業者に公知の様々な方法で製造することができる。
【0026】
透かしは、繊維層内にその製造中にエッチング又はプレスされるデザインとすることができる。一例として、このような透かしは、円網抄紙機のすき網における突出又は凹設圧痕によって円網抄紙機上で繊維層の製造中にパルプに薄い又は厚い領域を作り出すことにより、透けて見ることができる。その結果、不透明度の差が作り出され、パルプの密度がより大きい区画は、(乾燥した)シートを透過光で観測した時にシートの残りの部分(上質皮紙部分として公知)よりも淡く見える密度か小さい区画よりも濃く見える。エンボス加工の高さ又は深さに基づいて異なる濃度を呈する透かしは、「マルチトーン」透かしと言われる。
【0027】
透かしはまた、繊維層が、浮き彫りによる透かしのエッチングを含むダンディロールにより平台(長網抄紙機)製紙機に対してプレスされており、それによって繊維層が機械の湿潤部において形成されている間に繊維層のある一定の区画に対して強くプレスする効果、及び繊維内に含有された水を放出する効果を有する区画からのものとすることができる。
【0028】
擬似透かしはまた、ある一定の組成物を付加することにより、機械的及び/又は化学的手段によって完成繊維層内に生成することができ、このデザインは、常に透けて可視である。
【0029】
一例として、擬似透かしは、繊維層の透明度を変更するために、特に、透かしと同様に淡い区画及び濃い区画を生成するために、しかし、従来の透かしに比する精細度及び変動を呈する濃淡を生成することができる結果を得ることなく、繊維層の決められた区画上へ組成物を堆積させるか又は印刷することによって製造することができる。
【0030】
一例として、完成繊維層は、決められた区画を全体的に脂肪質の組成物に露出することによって透明化することができ、例えば、この組成物は、永久的に繊維層を透明化し、例えば、米国特許第2,021,141号に説明されているような油及び透明鉱物質で構成された組成物、又は例えば米国特許第1,479,337号に説明されているような溶媒と結合したワックスの形態の組成物である。
【0031】
米国特許第5,118,526号に説明されているように、完成繊維層をそこにワックスを局所的に高温熱伝達によりプレスすることによって透明化することも可能である。
【0032】
特許EP0,203,499に説明されているように、層の透明度を局所的熱作用の下で変化させるホットメルト材料、例えば、ポリエチレンを含む繊維層を使用することも可能である。
【0033】
例えば、特許出願FR2,353,676に説明されているように、完成繊維層をその決められた区画に繊維層の不透明度を増大させる乳白剤を付加することにより、完全に不透明にすることなく不透明化することも可能である。
【0034】
一例として、乳白剤は、顔料又は充填剤の水性懸濁液、又は化学化合物、着色化合物、又は染料の溶液とすることができる。繊維層の製造中に、薬剤は、薬剤がシートの間隙に浸透してシートが乾燥した状態で選択した区画内の処理に対してシートの不透明度を変更するように、すき網からそれを除去する前に繊維シート上に付加することができる。この製造技術には、薬剤を付加する特別な圧延デバイスを必要とするという欠点、及びシートの間隙に薬剤を浸透させる吸込みデバイスを好ましくは使用するという欠点がある。
【0035】
W.Walenski著「透かし及び透かし以外のもの」、Druckspiegel52、No.3、66〜68頁(1997年3月)という名称の文書に説明されている方法を使用して擬似透かしを製造することも可能である。上述の文書は、擬似透かしのパターンを表すマーカ部分を熱の下で付加する段階と、再湿潤した紙に対してプレスする段階とを含む非被覆紙上に擬似透かしを製作する方法を説明している。
【0036】
また、国際特許出願WO97/17493は、決められた区画に付加されたコーティングの重量を変化させ、それによってコーティングの重量が増加又は減少する区画で厚み及び不透明度の変化が起こることから生じる擬似透かしを含む被覆紙の製造を説明している。
【0037】
また、国際特許出願WO1999/014433は、被覆紙上に擬似透かしを製造する別の方法を説明しており、この方法は、再湿潤溶液が1つ又はそれよりも多くの決められた区画で被覆紙の少なくとも1つの面に付加され、溶液を蒸発させて、紙の残りの部分に対して区画内の被覆紙の密度を高めるように圧力及び熱が再湿潤被覆紙の上述の区画に印加される段階を実行することにより、最終被覆作業に続く乾燥段階の後に紙に画像を作る段階を提供している。
【0038】
最後に、擬似透かしは、特許DE3,718,452に説明されているように、繊維層の決められた区画にマークを機械的にエンボス加工することによって機械的に製造することができる。
【0039】
2つの繊維層の各々が透かし又は擬似透かしを含む時に、2つの透かし又は擬似透かしは、異なるものとすることができる。特に、透かし又は擬似透かしは、相補的とすることができる。それらは、それらの視覚効果において又は概念又は画像に対して相補的とすることができる。例えば、本発明の構造体においては、一方の側に第1の透かし又は擬似透かしとして国章を使用し、他方の側に第2の透かし又は擬似透かしとしてテキストを使用することが可能である。購買請求書と共に、発行会社のロゴ及び注文の価格をそれぞれ使用することが可能である。
【0040】
別の実施形態では、両方の透かし又は擬似透かしは、同一であり、対称的に設けられる。認証目的では、このように、構造体の両面で透かし又は擬似透かし間のアイデンティティを検証することが有利であると考えられる(例えば、常に同じ方向に見る人)。
【0041】
更に別の実施形態では、両方の透かし又は擬似透かしは、少なくとも部分的に互いに面している。
【0042】
超小型集積回路デバイス
超小型集積回路デバイスは、非接触通信技術、例えば、「ISO 14433」規格に説明されている技術に適応させることができる。
【0043】
変形においては、超小型集積回路デバイスは、接触通信の技術、例えば、「ISO 7816」規格に説明されている技術に適応させることができる。
【0044】
構造体は、接触通信のための超小型集積回路デバイス及び非接触通信のための超小型集積回路デバイス、又は接触読取り及び非接触読取りの両方を可能にする超小型集積回路デバイスを含むことができる。本発明の超小型集積回路デバイスは、特に、一方が接触を使用する技術のためのもの、他方が非接触技術のためのもの、例えば、混成スマートカードのための又は二重スマートカードのための接触/非接触両面電子モジュールのためのものである2つの電子モジュールを含むことができる。
【0045】
超小型集積回路デバイスは、外部読取器と通信することができる場合がある。用語「外部読取器」は、超小型集積回路デバイスとの通信、この通信の起動、この通信の認証、そこに収容されたデータの読取り、このデータの受信、及び適切な場合には、このデータの修正又は全体的又は部分的にその削除が可能なあらゆるデバイスを指定するのに使用される。外部読取器は、遠隔操作で作動させることができ、又はそれは、接触を必要とする場合がある。
【0046】
超小型集積回路デバイスは、チップを非接触システムのための少なくとも1つのアンテナに関連付けることから得ることができる。
【0047】
一例として、チップは、時に半導体ポリマーで製造されて一般的にメモリ又はデータ処理に適切な1つ又はそれよりも多くのマイクロプロセッサさえも含む半導体基部、一般的にドープシリコンのチップを含む。作動するために、それは、バッテリからエネルギを受け取ることができ、又は接触を通じて及び/又は接触することなく、すなわち、通信インタフェース及びアンテナを通じて遠隔操作で供給される電源により電力供給を受けることができる。一例として、チップは、誘導又は容量型の非接触電力を供給されるようなアンテナに接続することができる。搭載型アンテナ付きのチップは「トランスポンダ」と呼ばれ、一般的に高周波を使用する。
【0048】
超小型集積回路デバイスが「能動型」の時、チップは、その超小型回路に一体化されたバッテリ又は「マイクロバッテリ」を含むことができ、又は構造体に一体化されたマイクロバッテリに接続することができる。用語「バッテリ」は、任意的に充電可能とすることができる電気化学的起源のエネルギ源を指定するように理解すべきである。
【0049】
チップは、光起電性システムにより電力供給を受けることもできる。
【0050】
非接触超小型集積回路デバイスのアンテナは、有線形式、印刷形式、特に、シルクスクリーン印刷形式、エッチング形式、接着結合形式、転写形式、化学気相堆積形式、又は電気メッキ形式のものとすることができ、又は実際に、それは、超小型集積回路デバイスによって担持することができる。
【0051】
非接触超小型集積回路デバイスのアンテナは、繊維層により、下部構造体により、又は接着層により、特に、1つ又はそれよりも多くの繊維層及び/又は下部構造体を互いに組み付けるために使用される接着層によって担持することができる。
【0052】
アンテナは、下部構造体の面の1つに位置することができ、又はそれは、そこに完全に組み込むことができる。アンテナは、下部構造体上にそれが繊維層と組み付けられる前に製造することができる。
【0053】
アンテナは、繊維層と下部構造体の間に位置することができる。特に、アンテナは、下部構造体に接触している繊維層の面によって担持することができる。アンテナは、繊維層上にそれが下部構造体と組み付けられる前に製造することができる。
【0054】
超小型集積回路デバイスは、下部構造体の面の1つに位置することができる。
【0055】
超小型集積回路デバイスは、繊維層に少なくとも部分的に組み込むことができる。
【0056】
変形においては、超小型集積回路デバイスは、下部構造体に全体的に組み込むことができる。
【0057】
超小型集積回路デバイスは、特に、それが接触を有するデバイスである時には、構造体の面の1つにおいて少なくとも部分的に可視とすることができる。
【0058】
超小型集積回路デバイスは、少なくとも部分的に下部構造体に収容することができ、すなわち、超小型集積回路デバイスの厚みの全て又は一部は、下部構造によって補われる。一例として、これは、一般的に脆弱な部分である超小型集積回路デバイスを保護し、同時に同じく潜在的な詐欺者によるそれへのアクセスを特に困難にすることを可能にする。超小型集積回路デバイスの厚みはまた、1つ又はそれよりも多くの繊維層に下部構造体を組み付ける役目をする下部構造体の接着層により少なくとも部分的に補うことができる。下部構造体の厚みは、超小型集積回路デバイスのそれを超える場合がある。
【0059】
実施形態では、超小型集積回路デバイスは、下部構造体の少なくとも1つの面と面一である。超小型集積回路デバイスは、下部構造体の両方の面と面一とすることができる。
【0060】
超小型集積回路デバイスは、以下のリストから選択される電子デバイスの1つ又はそれよりも多くに関連付けられ、例えば、接続することができる。
・発光システム、特に、発光ダイオード(LED)又は有機LED(OLED)、
・表示デバイス、例えば、画面、
・センサ、
・結合アンテナ、及び
・スイッチ。
【0061】
超小型集積回路デバイスは、上述の電子デバイスの1つ又はそれよりも多くを含むことができる。変形においては、電子デバイスは、超小型集積回路デバイスから独立とすることができ、好ましくは、有線接続、光接続、又は無線接続を通じて、例えば、誘導結合により超小型集積回路デバイスに接続される。
【0062】
電子デバイスは、超小型集積回路デバイス上に存在するバッテリにより、特に、オンチップマイクロバッテリにより電力供給を受けることができる。
【0063】
電子デバイスはまた、超小型集積回路デバイス上に存在しない外部バッテリ、例えば、チップとは別である可撓性の薄い層から成るバッテリにより、又は光電池、例えば、少なくとも部分的に印刷されたセルにより電力供給を受けることができる。
【0064】
電子デバイスは、例えば、超小型集積回路デバイスと外部読取器の間の通信中に容量又は誘導結合により電力供給を受けることができる。
【0065】
電子デバイス、及び任意的に関連の電源デバイス、例えば、1つ又はそれよりも多くのバッテリは、構造体の層の1つの厚みに収容することができ、又は変形においては、それは、構造体の層の1つに印刷することができる。
【0066】
実施形態では、電子デバイスは、任意的に外側と相互作用することができる付加的なセキュリティ手段として構造体に増設される。例えば、電子デバイスは、発光デバイスを作動させるスイッチとすることができる。
【0067】
電子デバイスは、検出器に対応することができる。検出器は、少なくとも1つの物理化学的マグニチュードの変化を検出するように構成することができる。検出は、超小型集積回路デバイスから上述の変化に関連する少なくとも一部の情報を得ることが可能な外部読取器の読取フィールドの外側で行うことができ、超小型集積回路デバイスは、上述の少なくとも1つの物理化学的マグニチュードの対応する変化を検出する結果として構造体の物理一体性を犯す企みを外部読取器との通信中に外部読取器に知らせるように構成することができる。
【0068】
超小型集積回路デバイスは、有利な態様では、メモリにそれらの変化を格納するのに適切である。
【0069】
用語「物理化学的マグニチュード」は、構造体の物理的侵害又は侵入中に変更される特性又はパラメータの値により、構造体に又は構造体内又は上に存在する要素に固有の特徴的な特性又はパラメータを指定するのに使用する。
【0070】
本発明の別の実施形態では、電子デバイスは、超小型集積回路デバイス又は別の電子デバイスに例えば関連する特殊機能を追加するために構造体に組み込まれる。例えば、電子デバイスは、センサによって使用されるバッテリを再充電する光電池とすることができる。
【0071】
セキュリティ要素
構造体、特に、構造体の下部構造体及び/又は繊維層は、1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素を含むことができる。
【0072】
セキュリティ要素の中でも、一部は、日光で又は人工光で特定の家電を使用することなく裸眼により検出可能である。一例として、これらのセキュリティ要素は、着色した繊維又は薄片、又は印刷されているか又は完全に又は少なくとも部分的に金属メッキされているスレッドを含む。これらのセキュリティ要素は、「第1」レベルのものであると言われる。
【0073】
他の形式のセキュリティ要素は、紫外線又は赤外線で発光するランプのような単に比較的簡単な家電の助けを借りて単独で検出可能である。このようなセキュリティ要素は、例えば、繊維、薄片、ストリップ、スレッド、又は粒子を含む。これらのセキュリティ要素は、例えば、365ナノメートル(nm)の波長で発光するWoodランプにより照明された時に発光して任意的に裸眼で可視とすることができる。これらのセキュリティ要素は、「第2」レベルのものであると言われる。
【0074】
更に他の形式のセキュリティ要素では、検出されるためにより高度な検出器家電が必要である。一例として、このようなセキュリティ要素は、恐らく同時に1つ又はそれよりも多くの外部励起源を受けた時に特定の信号を生成することができる。自動信号検出より、適切な場合に文書を認証することができる。例えば、これらのセキュリティ要素は、例えば、トレーサが光電子励起、電気励起、磁気励起、又は電磁励起を受けた時に特定の信号を生成することができる活性物質、粒子、又は繊維の形態のトレーサを含む。これらのセキュリティ要素は、「第3」レベルのものであると言われる。
【0075】
下部構造体及び/又は繊維層内に存在するセキュリティ要素は、第1、第2、又は第3レベルのセキュリティ特性を示すことができる。
【0076】
構造体、特に下部構造体は、とりわけ、セキュリティ要素として以下を特に含むことができる。
・特に印刷された形態の又は下部構造体の少なくとも1つの層の少なくとも1つのポリマーと混合された発光顔料及び/又は染料及び/又は干渉顔料及び/又は液晶顔料、
・特に印刷された形態の又は下部構造体の少なくとも1つの層の少なくとも1つのポリマーと混合されたフォトクロミック又はサーモクロミック顔料及び/又は染料、
・特に被覆された形態の又は下部構造体の少なくとも1つのポリマーと混合された紫外線(UV)吸収体、
・例えば「導波路」形式の特定の集光材料、例えば、ポリカーボネートを基本とし、かつLisa(登録商標)という名前で納入業者Bayerにより販売されているポリマー膜のような発光集光材料、
・干渉多層膜、
・干渉顔料又は液晶ベースの可変的光学効果を示す構造体、
・複屈折又は偏光層、
・回折構造体、
・エンボス加工画像、
・下部構造体の2つのセキュリティ要素を互いに重なり合わせ、例えば、2つのセキュリティ要素の線を互いに合わせることによってパターンを出現させる「モアレ効果」を生成するための手段、
・部分反射型屈折要素、
・透明レンズ形グリッド、
・レンズ、例えば、拡大鏡、及び
・着色フィルタ。
【0077】
構造体、特に下部構造体及び/又は繊維層はまた、とりわけ、セキュリティ要素として以下を含むことができる。
・1つ又はそれよりも多くの脱金属部分の有無に関わらず、任意的にポジ又はネガの印刷刷り込み、蛍光又はメタリック効果、角度で色彩が変化する効果又はホログラム効果を含む例えば繊維層の1つの本体又は窓に組み込まれたセキュリティスレッド、
・金属化箔、角度で色彩が変わる箔、又はホログラム箔、
・干渉顔料又は液晶に基づいて可変的な光学効果を有する層、
・可視又は不可視であり、かつ特に発光する薄片のような比較的小さい形式の平坦なセキュリティ要素、
・可視又は不可視であり、かつ特に発光するHi−lite形式の顔料又は染料の粒子又は粒子の集塊、
・特に金属性、磁気性(軟磁性及び/又は硬磁性を有する)、吸光性、又は紫外線、可視光、又は赤外線光、特に近赤外線(NIR)内の光を使用して励起可能なセキュリティ繊維、
・フォトクロミック成分又はサーモクロミック成分、及び
・発光(例えば、螢光性、燐光性)、吸光(UV光、可視光、又はIR光)、ラマン活性、磁気、マイクロ波相互作用、X線相互作用、又は導電率に関して特定かつ測定可能な特性を有する自動的に可読であるセキュリティ要素。
【0078】
先に定めたような1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素は、下部構造体及び/又は繊維層に、又は例えばスレッド、繊維、又は薄片のような下部構造体及び/又は繊維層に組み込まれた1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素に存在することができる。
【0079】
構造体はまた、例えば、特定の薬剤、例えば、詐欺者によって使用される薬剤の存在の下で着色反応を生成することができる薬剤に対する試薬のような1つ又はそれよりも多くの「改ざん防止」セキュリティ要素を含むことができる。
【0080】
繊維層
構造体は、透かし又は擬似透かしを担持することができる少なくとも1つの繊維層を含むことができ、構造体は、上述のように、各々が透かし又は擬似透かしを担持する2つの繊維層を有することが好ましい。
【0081】
2つの繊維層の2つの透かし又は擬似透かしは、有利な態様では、下部構造体の半透明領域に位置合せして結合することができない。
【0082】
繊維層の透かし又は擬似透かしは、他の繊維層の透かし又は擬似透かしの一部と結合する下部構造体の半透明領域の外側の部分と、他の繊維層の透かし又は擬似透かしのいかなる部分とも結合しない下部構造体の半透明領域内の別の部分とを含むことができる。
【0083】
各繊維層の透かし又は擬似透かしは、特に下部構造体の半透明領域に位置合せされた透かし又は擬似透かしを含む繊維層の面からのみ少なくとも部分的に可視とすることができる。各繊維層の透かし又は擬似透かしは、特に下部構造体の半透明領域から離れて透かし又は擬似透かしを含まない繊維層の面から少なくとも部分的に可視とすることができる。
【0084】
2つの繊維層の各々が、パターンを形成するために下部構造体の半透明領域の外側に互いに結合する1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かしを含むことも可能である。
【0085】
繊維層は、平台(長網抄紙機)又は円網ロール用紙抄紙機上に製造することができ、透かしは、当業者に公知の従来の製紙方法を使用して繊維層の湿潤部分に組み込むことができる。
【0086】
繊維層は、平台(長綱)又は円網ロール用紙抄紙機上で製造することができ、擬似透かしは、当業者に公知の従来の方法を使用して機械的又は化学的手段により完成した層上に製造される。
【0087】
少なくとも1つの繊維層は、印刷、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷又はフレキソ印刷、銅板印刷、活版印刷、レーザ印刷、又はインクジェット印刷を含むことができる。この印刷は、例えば、身分証明書の永久的及び/又は可変の記載に対応することができる。この印刷は、写真、例えば、文書の保持者の写真を含むことができる。
【0088】
少なくとも1つの繊維層は、例えば、納入業者Arjowigginsにより販売されているLaserguard(登録商標)又はJetguard(登録商標)形式の紙に基づくことができる。
【0089】
少なくとも1つの繊維層は、着色、蛍光性、虹色とすることができ、又はあらゆる他の光学効果又は色相を示すことができる。
【0090】
少なくとも1つの繊維層は、セルロース繊維、及び/又は合成繊維、及び/又はセルロース繊維以外の天然有機繊維、及び/又は鉱物繊維に基づくことができる。
【0091】
少なくとも1つの繊維層は、範囲60グラム/平方メートル(g/m2)〜120g/m2にあり、好ましくは範囲70g/m2〜90g/m2にある重量を示すことができる。
【0092】
少なくとも1つの繊維層は、範囲60マイクロメートル(μm)〜120μmにあり、好ましくは範囲70μm〜110μm、例えば、約100μm内の厚みを有することができる。
【0093】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの繊維層は、例えば、打ち抜きにより、レーザ切断により、又はウォータージェット切断により、例えば、製紙機上に又は製紙機から離れて製造された凹部、例えば、繊維のない空間の形態の開口部を含む。凹部は、超小型集積回路デバイスを含まず又はそれを覆わない繊維層の一部内に製造されることが好ましい。2つの繊維層の各々は、このような凹部を含むことができ、凹部は、例えば、互いに位置合せされている。従って、構造体は、下部構造体の透明度のために透明である窓を呈することができる。この窓は、セキュリティ要素を形成することができ、又は1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素、特に、光学要素を収容することができ、又はこれらの要素をより観測しやすくすることができる。例えば、1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素、特に、光学セキュリティ要素は、下部構造体内に位置することができ、かつ上述の窓越しに観測可能にすることができる。この窓は、例えば、携行者又は呈示する物品に関連する印刷、エンボス加工、又は穿孔されたパターン又は要素を示すためにパーソナル化することができる。
【0094】
第1の印刷は、下部構造体の右ページ面上に行うことができ、第2の印刷は、下部構造体の左ページ面上に行うことができ、上述の窓越しに観測した時に相補的パターンが右ページ面と左ページ面間のモアレ効果により現れることが可能である。
【0095】
少なくとも1つの繊維層に存在する凹部の各々は、範囲0.1平方センチメートル(cm2)〜10cm2内にある面積を呈することができる。凹部は、あらゆる幾何学形状、特に、矩形又は円である形状を呈することができる。
【0096】
少なくとも1つの繊維層は、例えば、範囲0.5ミリメートル(mm)〜3mm内にある直径に対して、例えば、各々が範囲0.2平方ミリメートル(mm2)〜7mm2にある面積を有する穿孔を含むことができる。このような穿孔は、構造体組立中に、例えば、下部構造体の一部を形成する接着剤、例えば、透明熱可塑性材料が1つ又はそれよりも多くの繊維層を通って拡散し、従って、より有効に互いに構造体全体を結合することを可能にするという点において有利とすることができる。
【0097】
穿孔は、構造体に付加的なセキュリティを与えるために英数字パターンのようなパターン、及び/又はデザイン、及び/又は記号を形成することができる。
【0098】
特定的な実施形態では、少なくとも1つの繊維層は、少なくとも部分的に透明であるパッチ又はストリップ、及び繊維を有さずにパッチ又はストリップに位置合せして位置する少なくとも1つの区画を含む。ストリップ又はパッチは、透明プラスチック材料を含むことができ、かつ必要に応じて、ホログラム印刷又は液晶のような1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素を含むことができる。繊維を有していない2つの区画は、それぞれ、ストリップ又はパッチが透けて見えることを可能にする通し窓を形成するために互いに位置合せされた繊維層の各々に位置することができる。
【0099】
少なくとも1つの繊維層は、繊維層に機械的改ざんに対する保護をもたらす少なくとも1つの「擦過防止」セキュリティ区画を含むことができる。この区画は、この繊維層の表面を変えるいかなる企みによっても表面を穿孔するように1組の薄くした領域を含むことができる。このようなセキュリティ区画は、特許EP1,252,389に説明されている。
【0100】
下部構造体
下部構造体は、半透明領域を含むことができ、又はその面積全体にわたって半透明とすることができる。下部構造体は、半透明及び/又は光拡散領域を含むことができ、又はその面積全体にわたって半透明及び/又は光拡散性とすることができる。
【0101】
用語「半透明」は、下部構造体により通過する十分な光が構造体を透けて見えるようにすることができることを意味するのに使用する。用語「拡散」は、下部構造体がその性質及び厚みの結果として光を拡散させることを意味するのに使用する。より具体的には、下部構造体の屈折率に基づいて、それは、光を拡散する機能を表すことができる。
【0102】
半透明領域は、下部構造体の一方の縁部から他方の縁部に広がることができる。
【0103】
半透明領域は、任意のパターンを形成することができ、例えば、とりわけ、矩形、三角形、四角形、円、長円、多角形、星形である形状とすることができる。
【0104】
半透明領域は、下部構造体と同じ厚みを有することが好ましい。
【0105】
一例として、半透明領域は、その占有率が下部構造体に対応する容積の50%をよりも大きく、より好ましくは、70%又は80%をよりも大きく、一層好ましくは90%を超えることができる。
【0106】
下部構造体は、複数の半透明領域、例えば、2つ、3つ、又は4つを超える半透明領域を含むことができる。これらの半透明領域は、任意的に規則的に例えば領域間に同一空間を取って配置することができ、又は無作為に配置することができる。半透明領域は、例えば、互いに接近したパターンを形成することができる。
【0107】
下部構造体が2つの別々の又は並置した半透明領域を有する時には、半透明領域は、異なって、例えば、透き通って見える効果を作り出すために異なるレベルの不透明度で製造することができる。
【0108】
下部構造体は、拡散特性を与える有機又は無機の充填剤、泡、又は空洞を含むことができる。
【0109】
下部構造体の厚みは、範囲100μm〜1000μmにあり、好ましくは、400μm〜600μmにあるとすることができる。
【0110】
下部構造体は、繊維層に関して上述したように1つ又はそれよりも多くの凹部を呈することができる。
【0111】
下部構造体は、単一の層とすることができ、又は2つ又はそれよりも多い層、例えば、2つ、3つ、又は4つの層、特に、繊維層及び/またポリマー層のアセンブリとして製造することができる。層は、例えば、支持構造体に対して以下に説明するような同一又は異なる材料で製造することができる。
【0112】
下部構造体は、例えば、以下で定めるような1つ又はそれよりも多くの接着剤の層を使用して、又は実際には接着剤なしで溶融又はヒートシールによって互いに組み立てられた1つ又はそれよりも多くの層を含むことができる。
【0113】
超小型集積回路に関連のアンテナは、下部構造体を構成する2つの層の間に、例えば層の一方の1つの面に接着されて位置することができる。
【0114】
下部構造体の層の厚み及び性質は、有利な態様では、下部構造体が、構造体が透過光で観測される時に繊維層の透かし又は擬似透かしを結合することを防止するように、特に、半透明領域において、不透明ではなく、かつ拡散する望ましい特性を示すように選択される。
【0115】
下部構造体は、例えば、膜又は押出層の形態で、熱可塑性材料、特に、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、炭酸ポリエステル(PEC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の層を含むことができる。
【0116】
下部構造体はまた、繊維層、特に、紙、例えば、トレーシングペーパを含むか、又はそれによって構成することができる。
【0117】
下部構造体は、複合体であり、かつ少なくとも1つのポリマー層及び1つの繊維層を含むことができ、各層は、例えば、上述の材料から選択される。
【0118】
下部構造体は、例えば、とりわけ、トウモロコシ(メイズ)澱粉、ジャガイモ澱粉、植物繊維、特に、竹繊維から選択された有機物質を含むことができる。
【0119】
下部構造体は、透かし又は擬似透かしの区域全体にわたって延びることができる。
【0120】
下部構造体は、例えば、ストリップを構成するように、透かし又は擬似透かしと位置合せした区画内で好ましくは構造体の一方の縁部から他方まで構造体の一部にわたって延びることができる。
【0121】
下部構造体は、透かし又は擬似透かしの区域の一部分のみにわたって延びることができ、従って、透かし又は擬似透かしの一部は、構造体の1つの面からのみ見ることができ、一方、下部構造体により覆われない部分は、透過光で構造体の両側から可視である。
【0122】
接着層
構造体は、例えば、繊維層と下部構造体の間に少なくとも1つの接着層を含むことができる。
【0123】
特に、構造体は、下部構造体の両側に2つの接着層を含むことができる。
【0124】
接着層は、異なる性質とすることができる。
【0125】
少なくとも1つの接着層は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンを含むことができる。
【0126】
少なくとも1つの接着層は、エチレン酢酸ビニルを含むことができる。
【0127】
一般的に、少なくとも1つの接着層は、下部構造体に関して上述したような材料を含むことができる。
【0128】
少なくとも1つの接着層は、架橋剤を含むことができる。この実施形態は、例えば、様々な層間の接着を補強することを可能にすることができる。特に、接着層の架橋剤は、放射線、特に、紫外線の作用で架橋可能にすることができる。
【0129】
下部構造体との繊維層の組み付け
繊維層は、様々な方法で、例えば、1つ又はそれよりも多くの接着層を通じて又は接着層なしで、例えば、溶融又はヒートシールにより下部構造体に組み付けることができる。
【0130】
下部構造体は、面の少なくとも1つの上でポリマー層が繊維層に直接にかつ加圧状態でヒートシールされるのを可能にすることができるポリマー層、例えば、ポリカーボネート層を呈することができる。
【0131】
下部構造体は、面の少なくとも1つ上で、低温、高温に関わらず、かつ圧力の有無に関わらず直接に下部構造体を繊維層に密封することを可能にする接着剤で被覆したポリマー層、例えば、エチレン酢酸ビニルの層で被覆したポリエチレンテレフタレートの層を呈することができる。
【0132】
繊維層は、下部構造体に面する面上で、高温中かつ加圧状態で繊維層を直接に下部構造体に接合することを可能にするのに適切な表面コーティングを呈することができる。例えば、繊維層は、ヒートシールラテックスが含浸した紙基体を含むことができる。
【0133】
繊維層は、下部構造体に面する面上で、低温、高温に関わらず、及び圧力の有無に関わらず繊維層を下部構造体に直接に密封することを可能にする接着層を呈することができる。繊維層に存在する接着層は、下部構造体に面する繊維層の面上で低温、高温に関わらず予め被覆されている液状接着剤に対応することができる。
【0134】
別の実施形態では、1つ又はそれよりも多くの接着層、好ましくは、光学的に拡散して不透明ではない層が、下部構造体と繊維層を組み付けるために使用される。一例として、接着層は、1つ又はそれよりも多くの熱可塑性材料又は感圧性膜に対応することができる。
【0135】
下部構造体は、好ましくは、使用される接着層が繊維層を下部構造体に組み付け、互いに混合し、従って、繊維層との下部構造体のより良好な締結が得られることを可能にするように、電子デバイス及び/又はアンテナの上に重ならない1つ又はそれよりも多くの開口部又は穿孔を含むことができる。
【0136】
少なくとも1つの接着層は、上述のように1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素を含むことができる。
【0137】
外側層
構造体は、下部構造体から遠隔の側で少なくとも1つの繊維層を覆う少なくとも1つの外側層を含むことができる。
【0138】
構造体は、外面上で2つの繊維層のそれぞれの1つを覆う2つの外側層を含むことができる。2つの外側層は、構造体の縁部で少なくとも部分的に互いに接合することができる。
【0139】
少なくとも1つの繊維層は、下部構造体の幅及び恐らく一方又は両方の外側層の幅よりも小さい幅のものとすることができる。
【0140】
特に、2つの繊維層は、下部構造体の幅よりも小さく、恐らく1つ又はそれよりも多くの外側層の幅よりも小さい幅を有することができる。
【0141】
上述の構成の両方では、構造体は、構造体の縁部を通じて下部構造体に接合される2つの外側層を含むことができる。
【0142】
特に、外側層は、繊維層、及び特にあらゆる永久的及び/又は可変の記述及び繊維層上で行われた印刷を保護することを可能にすることができる。
【0143】
少なくとも1つの外側層は、例えば、磨耗及び使用されることに対するより大きな抵抗を示す構造体を得るために保護層、例えば、透明ポリマーの形態、例えば、範囲100μm〜250μmにある厚みの積層のための膜又は袋の形態とすることができる。
【0144】
少なくとも1つの外側層は、下部構造体に対して上述したように、ポリマー、例えば、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、セルロースエステル、ポリオレフィン、ポリサルフォン、又はポリイミドの膜を含むことができる。
【0145】
少なくとも1つの外側層は、例えば、接着剤、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエステルウレタン、ポリエーテルウレタンにより構造体の少なくとも1つの繊維層上に積層することができ、上述の接着剤は、例えば、少なくとも1つの外側層の面の1つの上へ被覆、押出し、又は転写される。
【0146】
少なくとも1つの外側層はまた、例えば、Landquartの特許EP1,556,228に説明されている方法を用いて構造体の少なくとも繊維層上へ溶融により直接に積層することができる。
【0147】
少なくとも1つの外側層は、例えば、上述したような1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素を含むことができる。一例として、セキュリティ要素は、紫外線を受けて蛍光性、燐光性であり、光学的に可変な要素、赤外線導波路、及び任意的に転写可能である印刷に対応することができる。
【0148】
スペーサ層
構造体は、繊維層を覆う外側層の間に置かれ、かつ繊維層及び下部構造体層の全厚を補う厚みのものである少なくとも1つのスペーサ層を含むことができる。
【0149】
スペーサ層は、下部構造体に実質的に同一であり、例えば、下部構造体の幅及び長さに等しい幅及び長さのものであり、かつ下部構造体に繊維層を加えたものによって形成されたアセンブリの厚みよりも大きいか又はそれに等しい厚みのものである形状の凹部を呈することができる。
【0150】
本発明の別の実施形態では、スペーサ層は、下部構造体に実質的に同一であり、例えば、下部構造体の幅及び長さに等しい幅及び長さのものであり、かつ下部構造体を下回らない厚みのものである形状の凹部を呈する。
【0151】
本発明の更に別の実施形態では、スペーサ層は、下部構造体及び繊維層の形状に実質的に同一であり、例えば、下部構造体及び繊維層の幅及び長さに等しい幅及び長さのものであり、かつ下部構造体及び繊維層によって形成されたアセンブリの厚みを下回らない厚みのものである形状の凹部を呈する。
【0152】
外側層は、最大のサイズであるスペーサ層の面、特に、上面及び底面上のみでスペーサ層を少なくとも部分的に覆うことができる。
【0153】
スペーサ層は、摩耗及びその縁部に沿った使用に耐える構造体の機能を例えば改善することができる繊維質又は好ましくはポリマー質のものとすることができ、かつ繊維層及び下部構造体を湿気から保護する役目をすることもできる。
【0154】
スペーサ層は、透明、半透明、又は不透明とすることができる。
【0155】
スペーサ層は、下部構造体に関して上述したように、1つ又はそれよりも多くの材料によって構成することができる。
【0156】
スペーサ層は、範囲100μm〜1000μm、好ましくは範囲400μm〜600μmにある厚みを有することができる。
【0157】
スペーサ層は、上述したような1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素を含むことができる。特に、スペーサ層は、例えば、スペーサ層内に堆積また混合されている発光顔料及び/又は染料、及び/又は干渉顔料及び/又は液晶顔料を含むことができる。
【0158】
スペーサ層は、例えば、フィルタとして作用することにより、例えば、光を偏光させるか又は誘導することにより、セキュリティ機能を実行することができる。特に、スペーサ層は、発光起源のものである光の集光器とすることができる。
【0159】
少なくとも1つのスペーサ層は、発光体、特に、発光ダイオードを含むことができる。
【0160】
光は、スペーサ層を通過するか又はスペーサ層を通って拡散することができ、かつあらゆる適切なデバイスにより任意的に集光又は検出することができる。
【0161】
構造体
本発明の構造体は、範囲0.2mm〜3mm、好ましくは範囲760μm〜840μmにある最終厚みを呈することができる。構造体は、身分証明書、特に、IDカード又はパスポート、支払い手段、特に、支払いカード、請求証又は領収証、文化的イベント又はスポーツイベント会場に入ることができるチケット、ポイントカード、又は真正性証明書とすることができる。
【0162】
構造体は、厚みが一定とすることができる。変形においては、構造体は、異なる厚みを呈することができ、特に、構造体は、その縁部より中心部分が肉厚とすることができる。
【0163】
本発明はまた、その態様の別のものにおいて、右ページ面と左ページ面及び少なくとも1つの透かしを有するシートを提供し、従って、この透かしは、このシートの面の1つからのみ透過光で少なくとも部分的に観測可能である。
【0164】
本発明は、その実施の非限定的な例の以下の詳細説明を読み、かつ添付図面の概略図及び断片図を吟味するとより良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の例示的な構造体の断面図である。
【図2】図1の構造体の右ページ面の面図である。
【図3】図1の構造体の左ページ面の面図である。
【図4】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図5】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図6】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図7】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図8】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図9】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図10】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図11】本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図12】接触を通じた通信のための組み込まれた超小型回路デバイスを含む本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図13】図12の構造体の右ページ面の面図である。
【図14】接触を通じた通信のための組み込まれた超小型回路デバイスを含む本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図15】図14の構造体の右ページ面の面図である。
【図16】接触を通じた通信のための組み込まれた超小型回路デバイスを含む本発明の構造体の他の例を示す図である。
【図17】図16の構造体の右ページ面の面図である。
【図18】本発明の構造体の別の例の断面図である。
【図19】図18の構造体の右ページ面の面図である。
【図20】図18の構造体の左ページ面の面図である。
【図21】本発明の構造体の別の例の断面図である。
【図22】図21の構造体の下部構造体の面図である。
【発明を実施するための形態】
【0166】
図面では、図示の様々な要素の間の比率は、明瞭さを理由として必ずしも縮尺通りではない。
【0167】
図1は、本発明による構造体1の例を示している。
【0168】
構造体1は、下部構造体3が間に位置する2つの繊維層2a及び2bを含み、下部構造体3は、非接触超小型集積回路デバイス4及びその上に設けられたアンテナ5を有するポリマー中間層を含む。この例においては、下部構造体3は、完全に半透明である。
【0169】
構造体1は、下部構造体3と繊維層2aの間に置かれた接着層7a及び下部構造体3と繊維層2bの間に置かれた別の接着層7bも含む。
【0170】
繊維層2a及び2b、接着層7a及び7b、及び下部構造体3によりこのように形成されるアセンブリは、袋とも呼ばれる一端に沿って予め密封されている外殻6の形態である2つの外側層6a及び6bの間に置かれている。この例においては、外殻6は、透明である。
【0171】
様々な重畳された層によって構成されるアセンブリの厚みのために、構造体1は、その中心部分では構造体1の縁部より大きな厚みを呈する。
【0172】
説明した例においては、外殻6は、内面上にポリエチレン熱可塑性材料で被覆したポリエチレンテレフタレートの膜で製造される。
【0173】
この例における接着層7a及び7bは、冷間圧延による積層に適切なポリエチレン熱可塑性フィルムの形態である。ポリエチレン層7aは、圧延中に超小型集積回路デバイス4のいずれかの側に絡みついて、ポリエチレン熱可塑性材料層で超小型集積回路デバイス4を部分的又は完全に補う。
【0174】
この例においては、下部構造体3は、少なくとも100μmの厚みを有する透明ポリエチレンテレフタレート膜の形態である単一の層を含む。
【0175】
その面の1つでは、下部構造体3は、超小型集積回路デバイス4を担持し、超小型集積回路デバイス4は、名称Mifare(登録商標)の下で納入業者フィリップスにより販売されているチップの形態とすることができる。
【0176】
超小型集積回路デバイス4は、アンテナ5、例えば、下部構造体3の面の1つにエッチングされた銅製アンテナに接続されている。
【0177】
一例として、繊維層2a及び2bは、90g/m2に等しい重量を呈する。
【0178】
繊維層2aは、例えば、図示のようにチェッカー盤の形態の透かし又は擬似透かし8aを含み、繊維層2bは、例えば、心臓形又は関連の腎臓形の形態で透かし又は擬似透かし8bを含む。
【0179】
透かし又は擬似透かし8a及び8bの各々は、構造体1の一方の側からのみ見ることができる。特に、透かし又は擬似透かし8aは、繊維層2aが現れる構造体1の右側からのみ見え、透かし又は擬似透かし8bは、繊維層2bが現れる構造体1の左側からのみ見える。
【0180】
図2は、図1つの構造体1の右ページ面の面図である。
【0181】
この図では、構造体1が左側から照明される時に構造体1の右側の透かし又は擬似透かし8aのみが観測されることを見ることができる。
【0182】
図3は、図1の構造体1の左ページ面の面図である。
【0183】
この図では、構造体1の右ページ面が照明される時に構造体1の左側の透かし又は擬似透かし8bのみが可視であることを見ることができる。
【0184】
図4は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0185】
この例においては、構造体1は、例えば、図1の例と同一の外殻6及び2つの繊維層2a及び2bを含む。外殻6は、従って、同様にこの例においては透明である。
【0186】
構造体1はまた、非接触超小型集積回路デバイス4と面の1つの上にアンテナ5とを含むデバイスを有する半透明の繊維中間層を含む下部構造体3を含む。下部構造体3は、有利な態様では、完全に半透明である。
【0187】
一例として、下部構造体3は、トレーシングペーパで製造されており、その重量は、例えば、65g/m2に等しい。
【0188】
集積回路デバイス4は、例えば、銀を基本としてシルクスクリーン印刷されたアンテナ5に接続された「フリップチップ」形式のチップとすることができる。
【0189】
繊維層2a及び2bの各々は、例えば、25g/m2で例えば繊維層2a及び2bの内面上に予め被覆された感圧接着剤の形態のそれぞれの接着層7a又は7bも含む。
【0190】
図5は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0191】
構造体1は、例えば、図1の例と同一の外殻6及び2つの繊維層2a及び2bを含む。外殻6は、従って、同様にこの例においては透明である。繊維層2a及び2bの両方は、それぞれの接着層7a及び7bにより内面上で被覆され、それによって繊維層を次に下部構造体3に接合することができる。
【0192】
構造体1は、3つの中間層3a、3b、及び3cを含む下部構造体3も含む。この例においては、下部構造体3は、完全に半透明である。
【0193】
一例として、層3aは、超小型集積回路デバイス4とその面の1つの上に設けられたアンテナ5とを有する透明ポリエチレンテレフタレートの膜である。
【0194】
一例として、超小型集積回路デバイス4は、名称Mifare(登録商標)で納入業者フィリップスにより販売されているチップであり、それは、例えば、エッチングされた銅製アンテナであるアンテナ5に接続されている。
【0195】
一例として、層3bは、層3cが被覆された透明ポリエチレンテレフタレートの膜であり、この層は、例えば、透明ポリエチレン及びエチレン酢酸ビニル熱可塑性材料の層とすることができる。層3cは、上述のデバイスの厚みを補うように超小型集積回路デバイス4の厚みよりも大きいか又はそれに等しい厚みを呈する。
【0196】
図6は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0197】
構造体1は、透明袋を形成するようにポリエチレンで被覆されたポリエチレンテレフタレートの外殻6を含む。
【0198】
外殻6は、例えば、125μmに等しいポリエステルの厚み及び50μmに等しいポリエチレンの厚みを含む175μmに等しい構造体1の中心部分の厚みを呈することができる。
【0199】
構造体1は、例えば、重量が90g/m2であり、かつ95μmに等しい厚みの2つの繊維層2a及び2bも含む。
【0200】
構造体1は、ポリエチレンテレフタレート及びエチレン酢酸ビニル(図示せず)の複数の透明層によって形成することができる下部構造体3も含み、これらの透明層の一部は、アンテナ5に接続したチップモジュールの形態の超小型集積回路デバイス4を組み込むのに適切な少なくとも1つの凹部を呈する。下部構造体3は、有利な態様では、完全に半透明である。
【0201】
2つの接着層7a及び7bは、繊維層2a及び2bとの結合をもたらすように下部構造体3の両側にも存在する。接着層7a及び7bは、例えば、エチレン酢酸ビニルの層をヒートシールすることによって構成され、それによって下部構造体3を2つの繊維層2aと2bの間に直接に積層することができる。
【0202】
下部構造体に2つの接着層7a及び7bを加えたものの全厚は、560μmである。
【0203】
図7は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0204】
構造体1は、例えば、それぞれ、図6の例の外殻6及び繊維層2a及び2bと同一の外殻6及び2つの繊維層2a及び2bを含む。
【0205】
構造体1の繊維層2a及び2bは、熱活性化されかつ熱硬化性であるそれぞれの接着層7a及び7bで内面上に予め被覆され、これらの層は、閉鎖イソシアネートと混合されたポリウレタンベースの液状接着剤の形態で付加される。
【0206】
構造体1は、例えば、260μmの厚みを有する下部構造体3も含む。この例においては、下部構造体は、完全に半透明である。
【0207】
下部構造体3は、例えば、130μmに等しい厚みを有し、かつ例えば超音波により固定された面の1つの上の銅製線状アンテナ5を有する紙層3aを含み、かつ非接触形超小型集積回路デバイス4が部分的に受け取られる凹部を含む。
【0208】
下部構造体3は、例えば、130μmに等しい厚みを有する紙層3bも含み、同様に、層3a内の凹部と位置合せして超小型集積回路デバイス4の少なくとも一部を受け取る凹部を含む。
【0209】
一例として、超小型集積回路デバイス4は、納入業者フィリップスにより販売されている「MOB 6」形式のチップモジュールである。
【0210】
図4〜図7の例の全てにおいて、例えば、図1の例に関して上述したように、構造体1の繊維層2a及び2bは、1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かしを含む。
【0211】
図8は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0212】
構造体1は、4つの層3a、3b、3c、及び3dから成る下部構造体3を含み、かつ完全に非接触超小型集積回路デバイス4を組み込んでいる。
【0213】
この例においては、層3aは、凹部なしでポリカーボネートの層によって構成され、100μmの厚みを呈する。
【0214】
この例においては、層3bは、100μmの厚みを有し、かつ超小型集積回路デバイス4の一部4aが受け取られる凹部を示すポリカーボネートの層によって構成され、この部分4aは、特に、納入業者フィリップスの子会社である納入業者NXPにより販売されている「MOB 4」形式モジュールの基部に対応する。層3bは、超小型集積回路デバイス4に接続されている面の1つの上の線状アンテナ5も含む。
【0215】
この例においては、層3cは、200μmの厚みを有し、かつ超小型集積回路デバイス4の一部4bが受け取られる凹部を示すポリカーボネートの層によって構成され、この部分4bは、特に、「MOB 4」形式モジュールの埋込突起に対応する。
【0216】
この例の下部構造体3の繊維3dは、凹部なしでかつ100μmの厚みを有するポリカーボネート層によって構成される。
【0217】
下部構造体3は、従って、有利な態様では完全に半透明である。
【0218】
構造体1は、例えば、重量が80g/m2であり、かつ1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かし、例えば、上述の透かし又は擬似透かし8a又は8bを呈することができる2つの繊維層2a及び2bを含む。
【0219】
構造体1は、例えば、100μmに等しい厚みを有する透明ポリカーボネートの保護膜によって構成される2つの外側層6a及び6bを有する。
【0220】
構造体1は、繊維層2a及び2b及び下部構造体3の厚みを補い、かつ800μmの厚みを有するISO型カードに関する仕様書を満たすように構造体1が実質的に一定である厚みを呈することを可能にするスペーサ層9も含む。
【0221】
一例として、スペーサ層9は、例えば、下部構造体3及び繊維層2a及び2bによって形成されたアセンブリの幅及び長さに等しい幅及び長さ(すなわち、80mmx50mm)の凹部を示し、かつ例えば600μmに等しい下部構造体3及び繊維層2a及び2bによって形成されたアセンブリの厚みに等しい厚みを呈する透明ポリカーボネートの層によって構成される。
【0222】
この例において及び図10のもの以外の以下の例において、スペーサ層9は、Z軸に沿ったものよりも大きいX及びY軸に沿った寸法を呈することができる。特に、Z軸に沿ったスペーサ層9の高さは、X及びY軸に沿った長さ及び/又は幅よりも小さいとすることができる。外側層6a及び6bは、X軸と平行な面、すなわち、上面及び底面上でのみスペーサ層9を覆う必要がある。
【0223】
図9は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0224】
構造体1は、完全に半透明であり、2つの層3a及び3bを呈し、かつ非接触超小型集積回路デバイス4の一部を組み込んでいる下部構造体3を含む。
【0225】
この例においては、下部構造体3の層3aは、130μmの厚みを有するポリカーボネート層によって構成され、超小型集積回路デバイス4の一部4aが受け取られる凹部を呈し、この部分4aは、納入業者フィリップスの子会社である納入業者NXPにより販売されているMOB形式モジュール4の基部を受け取る役目をする。部分4aは、面の1つの上に線状アンテナSを支持し、このアンテナは、超小型集積回路デバイス4に接続されている。
【0226】
この例においては、層3bは、130μmの厚みを有するポリカーボネート層によって構成され、層3a内の凹部に位置合せされており、かつ超小型集積回路デバイス4の一部4bを受け取る凹部を呈し、部分4bは、「MOB 4」形式モジュールの埋込突起に対応する。
【0227】
構造体1は、例えば、重量が70g/m2であり、かつ70μmの厚みを有する2つの繊維層2a及び2bを含む。
【0228】
繊維層2aは、層3a及び3b内の凹部に位置合せされて超小型集積回路デバイス4の一部4bを受け取る凹部も含み、部分4bは、「MOB 4」形式モジュールの埋込突起に対応する。
【0229】
構造体1は、例えば、透明ポリカーボネートの保護膜によって構成され、かつ例えば、200μmに等しい厚みを呈する2つの外側層6a及び6bも含む。
【0230】
最後に、スペーサ層9が、繊維層2aと2b及び下部構造体3の厚みを補うために構造体1に組み込まれている。
【0231】
一例として、スペーサ層9は、透明ポリカーボネートで製造され、例えば、80mmx50mmに等しい下部構造体3及び繊維層2a及び2bによって形成されたアセンブリの幅及び長さに等しい幅及び長さの凹部を呈し、かつ例えば400μmに等しい下部構造体3及び繊維層2a及び2bによって形成されたアセンブリの厚みに例えば等しい厚みを呈する。
【0232】
図10は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0233】
構造体1は、非接触超小型集積回路デバイス4がその中に完全に組み込まれている3つの層3a、3b、及び3cを示す完全に半透明な下部構造体3を含む。
【0234】
一例として、層3aは、凹部を含まず、かつ200μmの厚みを呈するポリカーボネートの層によって構成される。
【0235】
一例として、層3bは、100μmに等しい厚みのポリカーボネートの層であり、かつ例えば「MOB 4」形式モジュールの基部に対応する超小型集積回路デバイス4の一部4bが受け取られる凹部を呈する。層3bは、面の1つの上の線状アンテナ5も支持し、アンテナは、超小型集積回路デバイス4に接続されている。一例として、層3cは、200μmに等しい厚みのポリカーボネートの層によって構成され、かつ例えば、「MOB 4」形式モジュールの埋込突起に対応する超小型集積回路デバイス4の一部4aが受け取られる凹部を呈する。
【0236】
構造体はまた、重量が例えば65g/m2である2つの繊維層2a及び2bも含み、2つの繊維層2a及び2bは、例えば、下部構造体3の外側層6a及び6bの幅よりも小さい幅の下部構造体3及び外側層6a及び6bのものよりも小さい寸法を有する。
【0237】
その結果、積層中に、透明ポリカーボネートから作られ、かつこの例においては100μmに等しい厚みを有する外側層6a及び6bは、繊維層を有していない構造体1の縁部で、例えば、同様にポリカーボネートで製造される下部構造体3と融合することができる。有利な態様では、この実施形態は、繊維層2a及び2bが、様々なポリカーボネート層の間に可能な限り最良の接触が得られるように細かくて圧縮可能である時に好ましい。
【0238】
図11は、図8に示す構造体1の実施形態の変形を示している。この例においては、付加的なセキュリティ特徴が構造体1に組み込まれている。
【0239】
一例として、下部構造体3の層3dは、内面上に印刷20を含み、この印刷は、365nmの紫外線(UV)光の下で黄色の蛍光を発する。
【0240】
一例として、繊維層2a及び2bの各々は、他の凹部と位置合せし、かつ下部構造体3の下位層3dの蛍光印刷20と位置合せした凹部11を含む。一例として、凹部11は、構造体1の両側からの反射及び透過で観測可能である透明窓を形成する役目をする。透明窓を形成する凹部11は、例えば、エンブレムの形状とすることができる。繊維層2aは、例えば、1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素、例えば、可視青色繊維、365nmの紫外線(UV)光の下で緑の蛍光を発する不可視薄片を含むことができる。繊維層2bは、1つ又はそれよりも多くのセキュリティ要素、例えば、全て365nmの紫外線(UV)光の下で、例えば、赤色に蛍光を発する不可視繊維、青い蛍光を発する不可視薄片、オレンジ色の蛍光を発する不可視Hi−liteを含むことができる。
【0241】
繊維層2aは、特に凹部11の領域から離れて、例えば、窓内に挿入されている2mmの幅を有する平坦なストリップの形態のセキュリティスレッド21を含むことができる。
【0242】
繊維層2bは、熱伝達により付加され、外繊維6bにより保護され、かつ特に凹部11から離れたホログラフィック箔22を含むことができる。一例として、箔22は、6μmの厚みを有することができ、かつ厚みの補償を必要としないとすることができる。
【0243】
スペーサ9は、365nmの紫外線(UV)光の下で赤色の蛍光を発する透明ポリカーボネートで製造される。
【0244】
従って、反射状態で日光の下で観測することにより、外側層6aのそばで青色繊維及びセキュリティスレッド21を見て、外側層6bのそばでホログラフィック箔22及び青色薄片を見ることができる。
【0245】
反射状態で紫外線の下で観測することにより、例えば、赤色で蛍光を発するスペーサ層9の幅に対応する構造体1の透明縁部を見て、凹部11によって形成された窓において黄色の蛍光の印刷を見ることができる。繊維層2a及び2b内の発光セキュリティ特徴及びどの面が観測されるかによって発光の方法が異なる構造体1のセキュリティ特徴(Hi−lite薄片、繊維)を見ることも可能である。
【0246】
図12は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0247】
構造体1は、完全に半透明であり、例えば、ポリカーボネートの層により例えば構成され、かつ接触を有する超小型集積回路デバイス10の一部10bを受け取る凹部を呈する単一の繊維下部構造体3を含む。
【0248】
構造体1は、各々が1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かし、例えば、上述のような透かし又は擬似透かし8a及び8bを含むことができる2つの繊維層2a及び2bも有する。
【0249】
繊維層2aは、超小型集積回路デバイス10の一部10aの少なくとも一部を受け取る凹部を含む。
【0250】
超小型集積回路デバイス10の一部10a及び10bは、接着層7により互いに接続することができる。
【0251】
構造体1は、この例においては、透明ポリカーボネートで製造された2つの外側層6a及び6bも含み、外側層6bは、超小型集積回路デバイス10の一部10aが少なくとも部分的に受け取られる凹部を呈する。
【0252】
構造体1は、例えば、透明ポリカーボネートのスペーサ層9も含み、スペーサ層は、中間層3及び繊維層2a及び2bによって形成されたアセンブリの形状に実質的に同一である形状、及び例えば下部構造体3及び繊維層2a及び2bによって構成されるアセンブリの厚みに等しい厚みの凹部を呈する。
【0253】
構造体1は、従って、この例においては、超小型集積回路デバイス10を受け取る役目をする外側層6b、繊維層2a、及び下部構造体3内に形成された3つの凹部を呈し、このデバイスは、従って、例えば、外側層6b内の構造体1の表面内で見え、従って、アクセス可能とすることができる。
【0254】
図13は、図12の構造体1の平面図である。
【0255】
この図は、超小型集積回路デバイス10、特に、超小型集積回路デバイス10の一部10aは、構造体1の表面を通じて見え、従って、アクセス可能であることを示している。
【0256】
超小型集積回路デバイス10は接触を有し、従って、外部読取器と通信することができるスマートカードのチップに同等である。
【0257】
図14は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0258】
この例においては、構造体1は、非接触超小型集積回路デバイス4及び接触を有する超小型集積回路デバイス10を含む。
【0259】
下部構造体3は、特にポリカーボネートで製造された複数の層のアセンブリによって構成される。一例として、下部構造体3は、非接触超小型集積回路デバイス4の一部4aが受け取られる凹部、例えば、先に定めたようなモジュールを含む層3aを含むことができる。層3aは、線状アンテナ5を面の1つで支えることができ、このアンテナは、超小型集積回路デバイス4に接続されている。下部構造体3は、有利な態様では、完全に半透明である。
【0260】
下部構造体3は、非接触超小型集積回路デバイス4、例えば、先に定めたようなデバイスの一部4bが受け取られる凹部を有する層3bを含むことができる。
【0261】
構造体1は、2つの繊維層2a及び2b、外側層6a及び6b、及び図12を参照して定めたようなスペーサ層9を含むことができる。下部構造体3の外側層6b、繊維層2b及び層3bは、接触を有する超小型集積回路デバイス10を受け取る役目をする凹部を含むことができる。
【0262】
図17は、図14の構造体1の平面図である。
【0263】
この図においては、繊維層2a及び下部構造体3の外側層6bが透明であるので、非接触超小型集積回路デバイス4に接続したアンテナ5を特に見ることができる。
【0264】
図16は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0265】
この例においては、構造体1は、「二重インタフェース」形式の超小型集積回路デバイス4、すなわち、非接触インタフェース及び接触を有するインタフェースの両方を含む超小型集積回路デバイスを含む。
【0266】
下部構造体3は、例えば、図15のものと同一の2つの層3a及び3bを有し、層の一方は、導電材料30により超小型集積回路デバイス4に接続した線状アンテナ5を含む。下部構造体は、従って、有利な態様では、完全に半透明である。
【0267】
超小型集積回路デバイス4は、図12及び図14の例の超小型集積回路デバイス10に対して説明したのと同様に外側層6b、繊維層2a、及び下部構造体3に収容される。
【0268】
層3bは、端子31がアンテナ5に接触するために受け取られること可能にする凹部も示している。
【0269】
図17は、構造体1の図14の例の平面図である。
【0270】
この図においては、特に、構造体1を形成する様々な層の透明度のために、アンテナ5と共に構造体1の超小型集積回路デバイス4を見ることができる。
【0271】
図12〜図17の例の全てにおいては、構造体1の厚みは、一定であり、例えば、範囲690μm〜840μm、特に、範囲760μm〜840μmにあることが好ましい。
【0272】
図18は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0273】
この例においては、構造体1は、それぞれの接着層7a及び7bが内面上に被覆されている2つの繊維層2a及び2bを有する。
【0274】
繊維層2aはまた、複数の同一の透かし50を有する。
【0275】
繊維層2aは、図18の構造体1の右ページ面を示す図19で分るように、複数の同一の透かし50を有する。
【0276】
光を拡散し、かつ1つ又はそれよりも多くの層を含む完全に半透明のストリップの形態の下部構造体3は、接着層7a及び7bが被覆された繊維層2aと2bの間に置かれている。下部構造体3は、有利な態様では、繊維層2a及び2bの寸法よりも小さい寸法及び特に幅を呈する。図19及び図20で分るように、下部構造体3は、幅方向に構造体1の一端から他端に延びている。
【0277】
アンテナ搭載型形式(AOB)チップの形態の超小型集積回路デバイス4は、下部構造体3に組み込まれている。
【0278】
繊維層2a及び2b接着層7a及び7b及び下部構造体3によって形成されたアセンブリは、袋とも呼ばれる一端に沿って予め密封されている透明外殻6の形態の2つの外側層6aと6bの間に置かれている。
【0279】
有利な態様では、繊維層20の透かし50の少なくとも一部、更に好ましくは繊維層2bの透かし60の少なくとも一部は、更に好ましくは下部構造体3の上に重なる。
【0280】
図19に示すように構造体1の右ページ面が下部構造体3に位置合せして観測される時には、繊維層2aの透かし50のみが見え、繊維層2bの透かし60は見えない。
【0281】
図20に示すように構造体1の右ページ面が下部構造体3に位置合せして観測される時には、繊維層2aの透かし60のみが見え、繊維層2bの透かし50は見えない。
【0282】
有利な態様では、図19及び図20で分るように、下部構造体3の上に重ならない繊維層2a及び2bの透かし50及び60は、構造体1の右側及び左側の両方から見える。更に、これらの透かし50及び60は、この例においては網の中の蝶を表す結合から生じるパターンを生成するように結合することができる。
【0283】
従って、この例においては、繊維層2a及び2bの透かしは、下部構造体3から離れてのみ結合させることができる。
【0284】
図21は、本発明の構造体1の別の例を示している。
【0285】
構造体1は、図18の構造体1のものに同一である2つの繊維層2a及び2b、2つの接着層7a及び7b及び外殻6を含む。
【0286】
これとは対照的に、この例においては、構造体1は、長さ方向及び幅方向に構造体1の一端から他端に延びる下部構造体3を含む。
【0287】
下部構造体3は、例えば、互いに星の形態でパターンを形成する複数の半透明領域16を並置することによって例えば得られる半透明領域15を含む。
【0288】
繊維層2a及び2bは、好ましくは下部構造体3の半透明領域内で少なくとも部分的に上に重なる例えば上述の種類の1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かしを含むことができる。
【0289】
図18の構造体に対して説明したようにかつ図19及び図20に示すように、半透明領域15に位置合せされた透かし又は擬似透かしの各部分は、透かし又は擬似透かしを担持する繊維層を含む構造体1の側からのみ見える。半透明領域15から離れると、繊維層2aの透かし又は擬似透かしは、例えば、繊維層2bの透かし又は擬似透かしと結合することができる。
【0290】
図22は、半透明領域15によって形成されたパターンを見ることができる図21の下部構造体3の面図を示している。
【0291】
上述の例の全てにおいて、超小型集積回路デバイス4又は10は、少なくとも1つの物理化学的量(magnitude)、特に、このような超小型集積回路デバイスを含む層、例えば、下部構造体3の特性を示す物理化学的量の変化を検出するように構成された検出器の形態の1つ又はそれよりも多くの電子デバイスを含み、又は電子デバイスに関連付けることができる。その結果、物理化学的量の変化を検出した結果として構造体の物理的一体性を破る企てを通報することを可能にすることができる。
【0292】
用語「含む」は、特に断らない限り「少なくとも1つを含む」ことと同義である。
【符号の説明】
【0293】
1 構造体
2a、2b 繊維層
3 下部構造体
4 非接触超小型集積回路デバイス
5 アンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維層(2a、2b)と、
半透明領域を含む下部構造体(3)と、
前記下部構造体の前記半透明領域において、透かし又は擬似透かし(8a、8b)が、前記繊維層(2a、2b)に隣接する構造体(1)の面からのみ構造体(1)を透過した光で観測可能であるように、該繊維層(2a、2b)によって担持され、かつ該下部構造体(3)の該半透明領域に少なくとも部分的に重ね合わされた透かし又は擬似透かし(8a、8b)と、
接触又は非接触で通信するための超小型集積回路デバイス(4、10)と、
を含むことを特徴とする構造体(1)。
【請求項2】
透かし(8a、8b)が、前記繊維層(2a、2b)に隣接する構造体(1)の前記面からのみ前記半透明領域に位置合せされた構造体(1)を透過する光で観測可能であるような方法で、該繊維層(2a、2b)によって担持され、かつ少なくとも部分的に前記下部構造体(3)の該半透明領域の上に重なる透かし(8a、8b)を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
擬似透かし(8a、8b)が、前記繊維層(2a、2b)に隣接する構造体(1)の前記面からのみ前記半透明領域に位置合せされた構造体(1)を透過する光で観測可能であるような方法で、該繊維層(2a、2b)によって担持され、かつ少なくとも部分的に前記下部構造体(3)の該半透明領域の上に重なる擬似透かし(8a、8b)を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
2つの繊維層(2a、2b)を含み、前記下部構造体(3)は、該繊維層(2a、2b)の間に位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項5】
前記2つの繊維層(2a、2b)の各々は、構造体を担持する該繊維層に隣接する構造体の前記面からのみ構造体(1)を透過する光で観測可能である透かし又は擬似透かし(8a、8b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項6】
前記下部構造体(3)は、半透明であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項7】
前記下部構造体(3)は、光を拡散することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項8】
前記下部構造体(3)は、100μmから1000μmの範囲にある厚みを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項9】
前記下部構造体は、400μmから600μmの範囲にある厚みを有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項10】
前記下部構造体(3)は、2つ又はそれよりも多い層、特に、繊維層及び/又はポリマー層のアセンブリで製造されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項11】
前記下部構造体(3)は、単一の層を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項12】
前記下部構造体(3)は、有機又は無機充填剤と、泡と、下部構造体に拡散特性を付与する空洞とを含むことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項13】
前記下部構造体(3)は、ポリマーの少なくとも1つの層、特に、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、炭酸ポリエステル(PEC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の少なくとも1つの層を特に膜又は押出し層の形態で含むことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項14】
前記下部構造体(3)は、少なくとも1つの繊維層を含むことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項15】
前記繊維層は、紙で、特に、トレーシングペーパで製造されることを特徴とする請求項14に記載の構造体。
【請求項16】
前記繊維層(2a、2b)は、セルロース繊維、及び/又は合成繊維、及び/又はセルロース繊維以外の天然有機繊維、及び/又は鉱物繊維に基づいていることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項17】
前記繊維層(2a、2b)は、特に、オフセット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷又はフレキソ印刷、銅板印刷、活版印刷、レーザ印刷、又はインクジェット印刷によって印刷可能であることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項18】
少なくとも1つの繊維層(2a、2b)は、60g/m2から120g/m2の範囲にある重量を呈することを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項19】
少なくとも1つの繊維層(2a、2b)は、凹部(11)を含むことを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項20】
各々が凹部(11)を含む2つの繊維層(2a、2b)を含み、該2つの凹部(11)は、特に、窓を形成するように互いに位置合せされていることを特徴とする請求項19に記載の構造体。
【請求項21】
接触を有する通信のための超小型集積回路デバイス(10)と、接触のない通信のための超小型集積回路デバイス(4)とを含むことを特徴とする請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項22】
以下のリスト:
・発光システム、特に、発光ダイオード又は有機LED、
・表示デバイス、例えば、画面、
・センサ、
・結合アンテナ、及び
・スイッチ
から選択された1つ又はそれよりも多くの電子デバイスに関連付けられ、例えば、接続された接触又は非接触で通信するための超小型集積回路デバイス(4、10)を含むことを特徴とする請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項23】
前記電子デバイスは、前記超小型集積回路デバイス上に存在するバッテリによって電力供給を受けることが可能であることを特徴とする請求項22に記載の構造体。
【請求項24】
前記電子デバイスは、前記超小型集積回路デバイス上に存在しない外部バッテリによって電力供給を受けることが可能であることを特徴とする請求項22に記載の構造体。
【請求項25】
前記超小型集積回路デバイス(4、10)は、前記下部構造体(3)の前記面の1つの上に置かれていることを特徴とする請求項1から請求項24のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項26】
前記超小型集積回路デバイス(4、10)は、前記繊維層(2a、2b)の1つに少なくとも部分的に組み込まれていることを特徴とする請求項1から請求項25のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項27】
前記超小型集積回路デバイス(4、10)は、前記下部構造体(3)に完全に組み込まれていることを特徴とする請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項28】
前記超小型集積回路デバイス(4、10)に関連付けられたアンテナ(5)を含み、該アンテナは、特に、巻かれたアンテナ、エッチングされたアンテナ、シルクスクリーン印刷されたアンテナ、又は接着的に結合されたアンテナであることを特徴とする請求項1から請求項27のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項29】
前記アンテナ(5)は、前記下部構造体(3)を構成する2つの層の間に位置していることを特徴とする請求項1から請求項28のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項30】
繊維層(2a、2b)と前記下部構造体(3)の間に少なくとも1つの接着層(7a、7b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項29のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項31】
前記下部構造体(3)の両側に2つの接着層(7a、7b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項30のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項32】
前記下部構造体(3)から遠隔の側で少なくとも1つの繊維層(2a、2b)を覆う少なくとも1つの透明外側層(6、6a、6b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項31のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項33】
2つの繊維層と、前記下部構造体(3)から遠隔の側で該2つの繊維層(2a、2b)のそれぞれのものを覆う2つの透明外側層(6、6a、6b)とを含むことを特徴とする請求項1から請求項32のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項34】
前記2つの外側層(6、6a、6b)は、少なくとも部分的に構造体(1)の縁部で結合されることを特徴とする請求項33に記載の構造体。
【請求項35】
前記外側層(6、6a、6b)の間に置かれたスペーサ層(9)を含み、該スペーサ層(9)は、前記繊維層(2a、2b)及び前記下部構造体(3)の全厚を補う厚みを有することを特徴とする請求項33又は請求項34に記載の構造体。
【請求項36】
前記スペーサ層(9)は、透明、半透明、又は不透明であることを特徴とする請求項35に記載の構造体。
【請求項37】
少なくとも1つの繊維層(2a、2b)が、前記下部構造体(3)の幅よりも小さい幅、恐らくは前記外側層(6、6a、6b)の1つの幅よりも小さい幅を有することを特徴とする請求項1から請求項36のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項38】
前記下部構造体(3)の幅よりも小さく、任意的に1つ又はそれよりも多くの外側層(6、6a、6b)の幅よりも小さい幅の2つの繊維層(2a、2b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項37のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項39】
パターンを形成するように前記下部構造体(3)の前記半透明領域の外側で互いに結合する1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かしを各々が含む2つの繊維層(2a、2b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項38のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項40】
前記下部構造体(3)及び/又は前記繊維層(2a、2b)及び/又は前記外側層(6、6a、6b)及び/又は前記接着層(7a、7b)及び/又は前記スペーサ層(9)は、1つ又はそれよりも多くの可視の又は隠れたセキュリティ要素を含むことを特徴とする請求項1から請求項39のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項41】
前記下部構造体(3)は、紫外線(UV)吸収体を含むことを特徴とする請求項1から請求項40のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項42】
一定の厚みを有することを特徴とする請求項1から請求項41のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項43】
変化する厚みのもの、特に、構造体(1)の縁部よりもその中心部分で大きい厚みのものであることを特徴とする請求項1から請求項41のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項44】
身分証明書、特に、IDカード、又はパスポート、支払いの手段、特に、支払いカード、購買請求書又は領収書、文化的又はスポーツイベントへの入場券、ポイントカード、真正性証明書であることを特徴とする請求項1から請求項43のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項1】
繊維層(2a、2b)と、
半透明領域を含む下部構造体(3)と、
前記下部構造体の前記半透明領域において、透かし又は擬似透かし(8a、8b)が、前記繊維層(2a、2b)に隣接する構造体(1)の面からのみ構造体(1)を透過した光で観測可能であるように、該繊維層(2a、2b)によって担持され、かつ該下部構造体(3)の該半透明領域に少なくとも部分的に重ね合わされた透かし又は擬似透かし(8a、8b)と、
接触又は非接触で通信するための超小型集積回路デバイス(4、10)と、
を含むことを特徴とする構造体(1)。
【請求項2】
透かし(8a、8b)が、前記繊維層(2a、2b)に隣接する構造体(1)の前記面からのみ前記半透明領域に位置合せされた構造体(1)を透過する光で観測可能であるような方法で、該繊維層(2a、2b)によって担持され、かつ少なくとも部分的に前記下部構造体(3)の該半透明領域の上に重なる透かし(8a、8b)を含むことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
擬似透かし(8a、8b)が、前記繊維層(2a、2b)に隣接する構造体(1)の前記面からのみ前記半透明領域に位置合せされた構造体(1)を透過する光で観測可能であるような方法で、該繊維層(2a、2b)によって担持され、かつ少なくとも部分的に前記下部構造体(3)の該半透明領域の上に重なる擬似透かし(8a、8b)を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の構造体。
【請求項4】
2つの繊維層(2a、2b)を含み、前記下部構造体(3)は、該繊維層(2a、2b)の間に位置することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項5】
前記2つの繊維層(2a、2b)の各々は、構造体を担持する該繊維層に隣接する構造体の前記面からのみ構造体(1)を透過する光で観測可能である透かし又は擬似透かし(8a、8b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項6】
前記下部構造体(3)は、半透明であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項7】
前記下部構造体(3)は、光を拡散することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項8】
前記下部構造体(3)は、100μmから1000μmの範囲にある厚みを有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項9】
前記下部構造体は、400μmから600μmの範囲にある厚みを有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項10】
前記下部構造体(3)は、2つ又はそれよりも多い層、特に、繊維層及び/又はポリマー層のアセンブリで製造されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項11】
前記下部構造体(3)は、単一の層を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項12】
前記下部構造体(3)は、有機又は無機充填剤と、泡と、下部構造体に拡散特性を付与する空洞とを含むことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項13】
前記下部構造体(3)は、ポリマーの少なくとも1つの層、特に、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、炭酸ポリエステル(PEC)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、又はアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の少なくとも1つの層を特に膜又は押出し層の形態で含むことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項14】
前記下部構造体(3)は、少なくとも1つの繊維層を含むことを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項15】
前記繊維層は、紙で、特に、トレーシングペーパで製造されることを特徴とする請求項14に記載の構造体。
【請求項16】
前記繊維層(2a、2b)は、セルロース繊維、及び/又は合成繊維、及び/又はセルロース繊維以外の天然有機繊維、及び/又は鉱物繊維に基づいていることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項17】
前記繊維層(2a、2b)は、特に、オフセット印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷又はフレキソ印刷、銅板印刷、活版印刷、レーザ印刷、又はインクジェット印刷によって印刷可能であることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項18】
少なくとも1つの繊維層(2a、2b)は、60g/m2から120g/m2の範囲にある重量を呈することを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項19】
少なくとも1つの繊維層(2a、2b)は、凹部(11)を含むことを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項20】
各々が凹部(11)を含む2つの繊維層(2a、2b)を含み、該2つの凹部(11)は、特に、窓を形成するように互いに位置合せされていることを特徴とする請求項19に記載の構造体。
【請求項21】
接触を有する通信のための超小型集積回路デバイス(10)と、接触のない通信のための超小型集積回路デバイス(4)とを含むことを特徴とする請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項22】
以下のリスト:
・発光システム、特に、発光ダイオード又は有機LED、
・表示デバイス、例えば、画面、
・センサ、
・結合アンテナ、及び
・スイッチ
から選択された1つ又はそれよりも多くの電子デバイスに関連付けられ、例えば、接続された接触又は非接触で通信するための超小型集積回路デバイス(4、10)を含むことを特徴とする請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項23】
前記電子デバイスは、前記超小型集積回路デバイス上に存在するバッテリによって電力供給を受けることが可能であることを特徴とする請求項22に記載の構造体。
【請求項24】
前記電子デバイスは、前記超小型集積回路デバイス上に存在しない外部バッテリによって電力供給を受けることが可能であることを特徴とする請求項22に記載の構造体。
【請求項25】
前記超小型集積回路デバイス(4、10)は、前記下部構造体(3)の前記面の1つの上に置かれていることを特徴とする請求項1から請求項24のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項26】
前記超小型集積回路デバイス(4、10)は、前記繊維層(2a、2b)の1つに少なくとも部分的に組み込まれていることを特徴とする請求項1から請求項25のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項27】
前記超小型集積回路デバイス(4、10)は、前記下部構造体(3)に完全に組み込まれていることを特徴とする請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項28】
前記超小型集積回路デバイス(4、10)に関連付けられたアンテナ(5)を含み、該アンテナは、特に、巻かれたアンテナ、エッチングされたアンテナ、シルクスクリーン印刷されたアンテナ、又は接着的に結合されたアンテナであることを特徴とする請求項1から請求項27のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項29】
前記アンテナ(5)は、前記下部構造体(3)を構成する2つの層の間に位置していることを特徴とする請求項1から請求項28のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項30】
繊維層(2a、2b)と前記下部構造体(3)の間に少なくとも1つの接着層(7a、7b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項29のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項31】
前記下部構造体(3)の両側に2つの接着層(7a、7b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項30のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項32】
前記下部構造体(3)から遠隔の側で少なくとも1つの繊維層(2a、2b)を覆う少なくとも1つの透明外側層(6、6a、6b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項31のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項33】
2つの繊維層と、前記下部構造体(3)から遠隔の側で該2つの繊維層(2a、2b)のそれぞれのものを覆う2つの透明外側層(6、6a、6b)とを含むことを特徴とする請求項1から請求項32のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項34】
前記2つの外側層(6、6a、6b)は、少なくとも部分的に構造体(1)の縁部で結合されることを特徴とする請求項33に記載の構造体。
【請求項35】
前記外側層(6、6a、6b)の間に置かれたスペーサ層(9)を含み、該スペーサ層(9)は、前記繊維層(2a、2b)及び前記下部構造体(3)の全厚を補う厚みを有することを特徴とする請求項33又は請求項34に記載の構造体。
【請求項36】
前記スペーサ層(9)は、透明、半透明、又は不透明であることを特徴とする請求項35に記載の構造体。
【請求項37】
少なくとも1つの繊維層(2a、2b)が、前記下部構造体(3)の幅よりも小さい幅、恐らくは前記外側層(6、6a、6b)の1つの幅よりも小さい幅を有することを特徴とする請求項1から請求項36のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項38】
前記下部構造体(3)の幅よりも小さく、任意的に1つ又はそれよりも多くの外側層(6、6a、6b)の幅よりも小さい幅の2つの繊維層(2a、2b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項37のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項39】
パターンを形成するように前記下部構造体(3)の前記半透明領域の外側で互いに結合する1つ又はそれよりも多くの透かし又は擬似透かしを各々が含む2つの繊維層(2a、2b)を含むことを特徴とする請求項1から請求項38のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項40】
前記下部構造体(3)及び/又は前記繊維層(2a、2b)及び/又は前記外側層(6、6a、6b)及び/又は前記接着層(7a、7b)及び/又は前記スペーサ層(9)は、1つ又はそれよりも多くの可視の又は隠れたセキュリティ要素を含むことを特徴とする請求項1から請求項39のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項41】
前記下部構造体(3)は、紫外線(UV)吸収体を含むことを特徴とする請求項1から請求項40のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項42】
一定の厚みを有することを特徴とする請求項1から請求項41のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項43】
変化する厚みのもの、特に、構造体(1)の縁部よりもその中心部分で大きい厚みのものであることを特徴とする請求項1から請求項41のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項44】
身分証明書、特に、IDカード、又はパスポート、支払いの手段、特に、支払いカード、購買請求書又は領収書、文化的又はスポーツイベントへの入場券、ポイントカード、真正性証明書であることを特徴とする請求項1から請求項43のいずれか1項に記載の構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
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【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
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【図17】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2011−525672(P2011−525672A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515553(P2011−515553)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051191
【国際公開番号】WO2010/007287
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(510340263)アルジョウィギンス セキュリティ インテグレイル ソリューションズ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【国際出願番号】PCT/FR2009/051191
【国際公開番号】WO2010/007287
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(510340263)アルジョウィギンス セキュリティ インテグレイル ソリューションズ (1)
【Fターム(参考)】
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