説明

透光性ポリカーボネート樹脂成形体及びその製造方法

【課題】黄変が防止され、色相が良好なポリカーボネート樹脂成形体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、リン系化合物を0.02〜0.3重量部含有し、水分含有量120ppm以下の樹脂材料を射出成形して透明ポリカーボネート樹脂成形体を製造する。得られた透明ポリカーボネート樹脂成形体を、加熱してアニール処理してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性ポリカーボネート樹脂成形体及びその製造方法に関する。特に、本発明は、透明なポリカーボネート樹脂成形体の色相改善を図るようにした透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法と、この方法によって成形された透光性ポリカーボネート樹脂成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂は、機械的特性、耐熱性、耐候性に優れている上、高い光線透過率を備えているところから、幅広い用途に使用されている。この様な用途としては、例えば液晶ディスプレイにおける携帯電話用のサイドライト方式用導光板や液晶テレビ用の直下型バックライト方式の面光源体用光拡散板用途、またCD,DVDといった記録メディア、カメラやメガネ、サングラス用のレンズ等がある。
【0003】
液晶表示装置では、表示面積の増大と共に高輝度化の要望が高まり、また水銀撤廃という環境問題からも従来の蛍光管に代えて、最近ではLEDを用いることが多くなってきている。蛍光管は線光源であるため、サイドライト型導光板においては1〜3本の蛍光管を導光板端面に配置して光の出光方向を制御することにより、面状光源体を構成しているが、LEDは点光源のため、蛍光管1本に対して数十倍の個数が必要である。このため、LEDを用いたバックライトユニット全体の熱量が増加し、アクリル樹脂からなる導光板では耐熱性が不足して溶融するおそれがある。
【0004】
耐熱性に優れるポリカーボネート樹脂製の導光板は、アクリル樹脂製の導光板に比べて耐衝撃性・寸法安定性等の品質面においても優れている。
【0005】
導光板は、年々その画面サイズの大型化が進んでいる。サイドライト式のポリカーボネート樹脂製導光板の場合、大型化すると、長い光路となるために、ポリカーボネート特有の黄色透明といった色相が影響してくる。例えば、導光板を面状光源体に用いると、出光色が黄色い光となってしまったり、白色LEDでは特に460nm(青)に最も強い分光ピークを有するために光を吸収され、輝度が低くなる問題がある。
【0006】
射出成形時の温度が高温(例えば350℃以上)になると、このような問題が一層顕著になる。
【0007】
液晶テレビ用光拡散板としては、光拡散用粒子を3〜4wt%添加した、厚さ2mmのポリカーボネート樹脂板が用いられている。この光拡散板の裏面に対峙させて、約16mmの間隔で多数の蛍光管を配置している。この光拡散板は、光路が比較的短く、蛍光管の輝度により高い輝度を有する。しかしながら、蛍光管の本数を減少させたり、サイドライト式へ変更すると、光の光路が長くなり、ポリカーボネート特有の黄色透明な色相が問題となる。
【0008】
色相対策として、ポリカーボネート樹脂に染料、顔料を添加してブルーイング処理することもあるが、光源光の青を吸収してしまうため、輝度が低くなる。
【0009】
ポリカーボネート樹脂製レンズの場合、人間は一般に青色を好むために、対比色である黄色は敬遠され、成形材料にブルーイング剤を添加するブルーイング処理を行っている。ポリカーボネート製レンズは、比較的肉厚が厚いこともあり、色相が一般消費者に認識されやすいため、ブルーイングの濃度も濃くなっている。そのため、射出成形時にブルーイング剤が変色したり、ガスとなって金型を痛めて耐久性やメンテ頻度を増やす等の問題が生じている。
【0010】
特開平8−132437号公報では、押出成形されたポリカーボネート樹脂の黄変(黄着色)を抑制するために、成形用樹脂を貯留するためのホッパー内に窒素を連続的に供給し、ホッパー内の酸素濃度を0.1%未満にすることが記載されている。
【0011】
また、特開平9−59367号公報には、色相安定性を高めるために、押出機の混練部にポリカーボネート樹脂100gに対し、窒素ガスを0.1〜20NL(ノルマルリットル)供給することが記載されている。
【0012】
しかしながら、これらのように窒素ガスを多量に使用することは、コスト高の原因にもなり、好ましくない。
【0013】
特開2001−341164号公報には、射出シリンダに付設された熱可塑性樹脂供給用ホッパ内に窒素ガスを供給して該ホッパ内の酸素濃度を制御することにより、成形品の黄変を防止することが記載されているが、ホッパ内の酸素濃度レベルをどの程度にするかについての記載はない。
【特許文献1】特開平8−132437号公報
【特許文献2】特開平9−59367号公報
【特許文献3】特開2001−341164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解消し、黄変が防止され色相が良好な透光性ポリカーボネート樹脂成形体を製造する方法及びこの方法で成形されたポリカーボネート樹脂成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明(請求項1)の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法は、ポリカーボネート樹脂とリン系化合物とを含む樹脂材料を射出成形して透光性ポリカーボネート樹脂成形体を製造する方法において、該樹脂材料中のリン系化合物の割合が、該ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.02〜0.3重量部であり、該樹脂材料の水分含有量が120ppm以下であること特徴とするものである。
【0016】
請求項2の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法は、前記リン系化合物がリン系熱安定剤であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項3の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法は、前記樹脂材料の水分含有量が100ppm以下であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法は、前記樹脂材料が真空乾燥されたものであることを特徴とするものである。
【0019】
請求項5の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法は、前記樹脂材料をホッパー中に貯蔵しておき、該ホッパーから樹脂供給路を介して射出成形機へ該樹脂を供給して成形を行うようにした透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法であって、該ホッパーと該樹脂供給路との連結部分であるホッパー下に窒素ガスを供給し、ホッパー内の酸素濃度を6.0体積%以下とすることを特徴とするものである。
【0020】
請求項6の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法は、前記酸素濃度が0.2〜5.0体積%となるように窒素ガスを供給することを特徴とするものである。
【0021】
請求項7の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法は、前記樹脂材料が、光を拡散させるための微粒子を含むことを特徴とするものである。
【0022】
請求項8の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法は、前記樹脂材料が蛍光増白剤を含むことを特徴とするものである。
【0023】
請求項9の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法は、射出成形された成形体を加熱してアニール処理することを特徴とするものである。
【0024】
本発明の透光性ポリカーボネート樹脂成形体(請求項10)は、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法によって製造されたものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、ポリカーボネート樹脂100重量部に対してリン系化合物を0.02〜0.3重量部を含有し、水分含有量が120ppm以下好ましくは100ppm以下の樹脂を射出成形することにより、黄変が防止されたポリカーボネート樹脂成形体を得ることができる。この理由については、水分中の酸素がポリカーボネート樹脂と反応して黄変が生じることが抑制されるためであると推察される。
【0026】
リン系化合物としてリン系熱安定剤を用いると、光線透過率と色相が向上する。
【0027】
前記樹脂材料は、真空乾燥により容易に水分含有量を120ppm以下に低下させることができる。
【0028】
樹脂を貯蔵しておくホッパーから成形機へ樹脂材料を供給する樹脂供給路とホッパーとの連結部であるホッパー下に窒素ガスを供給してホッパー下の酸素濃度を6.0体積%以下とすることにより、ポリカーボネート樹脂の黄変がさらに十分に防止される。
【0029】
このホッパー下の雰囲気の酸素濃度は6.0体積%以下であれば十分であり、0.2〜5.0体積%と前記特許文献1,2の場合よりも高くてもよい。このように酸素濃度をそれほど低くする必要がないところから、窒素ガスの使用量が特許文献1,2の場合に比べて少量で足り、製造コストが低減される。
【0030】
ポリカーボネート樹脂成形体を光拡散板等として用いる場合には、樹脂材料に、光を拡散させるための微粒子を含有させる。
【0031】
樹脂材料は、蛍光増白剤を含んでもよい。蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部に放射する作用を有する。
【0032】
前記樹脂材料を射出成形することにより、導光板、光拡散板、レンズ類等が製造される。
【0033】
成形されたポリカーボネート樹脂成形体を加熱してアニール処理することにより成形体の透光性を高くすることができる。
【0034】
このように、本発明によれば、無色透明で、耐熱性、強度、寸法安定性に優れた高品質のポリカーボネート成形体を提供することが出来る。また、メンテナンス性の向上、添加剤の低減等による生産性向上及びコストダウンを図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0036】
本発明の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法は、ポリカーボネート樹脂とリン系化合物とを含む樹脂材料を射出成形して透明ポリカーボネート樹脂成形体を製造する方法において、該樹脂材料中のリン系化合物の割合が、該ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.02〜0.3重量部であり、該樹脂材料の水分含有量が120ppm以下であること特徴とするものである。
【0037】
[樹脂材料]
<ポリカーボネート樹脂>
本発明に用いるポリカーボネート樹脂は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲンと反応させる界面重合法(ホスゲン法)、又は炭酸ジエステルと反応させる溶融法(エステル交換法)等により得られる樹脂であり、直鎖状又は分岐状の熱可塑性重合体又は共重合体である。
【0038】
原料として用いる芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(すなわちビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン(すなわちテトラメチルビスフェノールA)等のビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系ジヒドロキシ化合物、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン(すなわちテトラブロムビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン(すなわちテトラクロロビスフェノールA)等のハロゲンを含むビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系ジヒドロキシ化合物の他、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられる。中でもハロゲンを含んでいてもよい、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系ジヒドロキシ化合物が好ましく、特には、ビスフェノールAが好ましい。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いても、複数種類を任意の割合で適宜選択して用いてもよい。
【0039】
なお、ポリカーボネート樹脂の分子量を適宜調節するために、分子量調節剤を添加してもよい。分子量調節剤としては、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を使用することができ、具体的には、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−ブロムフェノール、p−tert−ブチルフェノール及びp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。この分子量調節剤は、任意の量を添加することができるが、ポリカーボネート樹脂が下記の粘度平均分子量となるように添加することが好ましい。
【0040】
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、12000〜26000程度であることが好ましい。この粘度平均分子量が低すぎると、得られる成形品の靭性が低くなり、実用的ではなくなる場合がある。逆に高すぎても、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の流動性が低下するため、射出成形では厚肉部品への適用に限定され、大型部品へ適用できない場合がある。
【0041】
本発明に用いるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、特に14000〜25000程度であることが好ましい。
【0042】
なお、本発明でいう粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ粘度計を用いて、20℃にて、ポリカーボネート樹脂の塩化メチレン溶液の粘度を測定し極限粘度(η)を求め、次のSchnellの粘度式から算出される値を示す。
〔η〕=1.23×10-4Mv0.83
【0043】
<リン系化合物>
本発明に用いる樹脂材料は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、リン系化合物を0.02〜0.3重量部、好ましくは0.03〜0.1重量部含有する。リン系化合物としては、ポリカーボネート樹脂組成物の光線透過率と色相を向上させるため、リン系熱安定剤が好ましい。リン系熱安定剤としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル等が好ましい。
【0044】
亜リン酸エステルとしては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、モノブチルジフエニルホスファイト、モノオクチルジフエニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の亜リン酸のトリエステル、ジエステル及びモノエステル等が挙げられる。
【0045】
リン酸エステルとしては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、2−エチルフェニルジフェニルホスフェート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスフォナイト等が挙げられる。
【0046】
これらのリン系化合物の中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2.6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト等の亜リン酸エステルが好ましく、中でもビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト及びトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイトが特に好ましい。なお、リン系化合物は、これらを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0047】
リン系熱安定剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.02〜0.3重量部、好ましくは0.03〜0.1重量部、更に好ましくは0.04〜0.05重量部である。リン系熱安定剤の配合量が0.02重量部未満では効果が小さく、0.3重量部を超えてもそれ以上の添加効果は見られず、むしろ加水分解が発生し易くなる傾向がある。
【0048】
<樹脂材料の水分含有量>
本発明に用いる樹脂材料は、前記ポリカーボネート樹脂とリン系化合物とを含み、水分含有量が120ppm以下、好ましくは100ppm以下特に好ましくは80ppm以下のものである。
【0049】
樹脂材料中の水分を120ppm以下とすることにより、水分中の酸素とポリカーボネート樹脂とが反応して成形体が黄変することが防止される。
【0050】
なお、本発明において、水分含有量とは、ポリカーボネート樹脂ペレット又はフレークについてカールフィッシャー水分計によって測定した値である。
【0051】
樹脂材料中の水分含有量を上記の値以下とするには、樹脂材料を真空乾燥することが好ましい。なお、真空乾燥機により10kPa以下、90〜130℃にて、2時間以上、例えば3〜4時間真空乾燥することにより、水分含有量を120ppm以下とすることができる。絶対真空度まで減圧した真空乾燥機を用いて100〜130℃にて2hr以上乾燥することで80ppm以下まで水分量を低減させることができる。
【0052】
なお、通常のポリカーボネート樹脂の射出成形においては、ペレットを熱風循環乾燥機にて120℃にて4時間以上乾燥させるが、ペレット中には130ppmの水分が残存する。ポリカーボネート樹脂ペレットが若干溶融してブロッキングしない程度の135℃で行っても、水分含有量は、殆ど低下しない。このように水分を多く含んだ状態では、成形不良として知られるシルバーストリークの発生はなく、通常は問題なく成形が行われている。しかしこの水分含有量で射出成形したものは、樹脂温度を290℃程度として成形しても、水分中の酸素とポリカーボネートが反応して黄変が生じる。
【0053】
<添加剤>
前記樹脂材料には、機能及び用途に応じて、微粒子、蛍光増白剤などの種々の添加剤を添加することができる。
【0054】
≪微粒子≫
本発明の透光性ポリカーボネート樹脂成形体を光拡散板として使用する場合には、光拡散用の微粒子を添加する。
【0055】
微粒子としては、光拡散剤として使用される、従来公知のものを適宜選択して使用することができる。具体的には、無機化合物又は有機化合物の各種の粒子が使用可能であり、特に制限はないが重量平均粒径が0.7〜30μm、特に1〜20μmとりわけ2〜10μm程度であることが好ましい。ここで、重量平均粒径の測定は、例えば、コールター法(Coulter Multisizer)により行う。
【0056】
重量平均粒径が極端に小さいと、樹脂組成物の光拡散性が劣り、光源が透けて見えたり、視認性に劣る場合がある。逆に極端に平均粒径が大きいと、添加量に対する拡散効果が低いので、輝度が低下する場合がある。
【0057】
上記微粒子としては、具体的には例えば、硫酸バリウム、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ガラス等に代表される無機微粒子;シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等の有機微粒子;が挙げられる。中でも有機微粒子が好ましい。
【0058】
有機微粒子としては、有機高分子を構成する主鎖同士が架橋した、架橋構造を有する有機微粒子が好ましく、中でも本発明のポリカーボネート樹脂成形体の加工過程、例えば射出成形時において実用的に変形せず微粒子状態を維持しているものが好ましい。
【0059】
即ち、有機微粒子としては、ポリカーボネート樹脂の成形温度(例えば約360℃)まで加熱しても、ポリカーボネート樹脂中に実質的に溶融しないものが好ましい。この様な微粒子としては、架橋したアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂の有機微粒子が挙げられ、中でも、部分架橋したメタクリル酸メチルをベースとしたポリマー微粒子ポリ(ブチルアクリレート)のコア/ポリ(メチルメタクリレート)のシェルを有するポリマー、ゴム状ビニルポリマーのコアとシェルを含んだコア/シェルモノホルジーを有するポリマーが好ましい。
【0060】
微粒子は、光拡散性の点から、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との屈折率差(△n)が0.01以上であり、且つ該ポリカーボネート樹脂(A)と非相溶性であることが好ましい。ここで屈折率とは、温度25℃におけるd線(587.562nm、He)に対する屈折率である。実際の測定は、ポリカーボネート樹脂の屈折率(npc)は、Vブロック法(カルニュー光学社製、形式KPR)により行い、微粒子の屈折率(nld)は、ベッケ法(標準溶液と比較する方法)により行う。
【0061】
光拡散板の後方に配置された光源が透けて見えるなどの不具合を抑制し、また輝度を十分なものとするために、この屈折率差は0.05〜0.5、特に0.07〜0.3程度であることが好ましい。屈折率の差をこの範囲とすることにより、光拡散性も十分なものとなる。
【0062】
なお、本発明に用いるポリカーボネート樹脂として好適なビスフェノールAよりなる芳香族ポリカーボネート樹脂の屈折率は約1.58である。
【0063】
上記微粒子の配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部特に0.5〜5重量部程度であることが好ましい。微粒子の配合量が少なすぎると光拡散性が不足し、光源が透けて見えるという問題が生じ易くなり、逆に多すぎると、光線透過率が低下し十分な輝度を得にくくなる。
【0064】
≪蛍光増白剤≫
本発明で用いる透光性ポリカーボネート樹脂は、蛍光増白剤を含有してもよい。蛍光増白剤は、光線の紫外部のエネルギーを吸収し、このエネルギーを可視部に放射する作用を有するものである。例えば、蛍光増白剤としては、従来公知の蛍光染料の他に、有機EL用として従来公知の白色有機発光体や青色有機発光体等が挙げられる。
【0065】
蛍光染料よりなる蛍光増白剤としては、合成樹脂等の色調を白色あるいは青白色に改善するために用いられるものであれば特に制限は無く、例えばベンゾオキサゾール系、スチルベンゼン系、ベンズイミダゾール系、ナフタルイミド系、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系等の化合物が挙げられる。
【0066】
これらの蛍光染料の中でも、熱安定性の点から、ベンゾオキサゾール系化合物及びクマリン系化合物から選ばれる、白色系又は青色系の蛍光染料が好ましく、具体的には、耐熱性の観点から、分子量300〜1000程度の、いわゆる高分子量の蛍光染料が好ましく、特にベンゾオキサゾール系化合物やクマリン系化合物が好ましい。
【0067】
ベンゾオキサゾール系化合物としては、具体的には、4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−4’−(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)フラン等を挙げることができ、中でも、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン等のスチルベンベンゾオキサゾール系化合物が好ましい。
【0068】
クマリン系化合物としては、具体的には、3−フェニル−7−アミノクマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’,3’,5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−クロロ)−クマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’,3’,5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−メトキシ)−クマリン、3−フェニル−7−ナフトトリアゾールクマリン、4−メチル−7−ヒドロキシクマリン等を挙げることができ、中でも、3−フェニル−7−ナフトトリアゾールクマリン等のフェニルアリルトリアゾリルクマリン系化化合物が好ましい。
【0069】
白色有機発光体や青色有機発光体としては、例えば、ジスチリルビフェニル系青色蛍光発光材、アリールエチニルベンゼン系青色蛍光発光材、キンキピリジン系蛍光発光材、セキシフェニル系青色蛍光発光材、ジメシチルボリルアントラセン系蛍光発光材、キナクリドン系蛍光発光材等が挙げられる。
【0070】
蛍光増白剤の添加量は、ポリカーボネート樹脂と微粒子との合計100重量部に対して、0.0005〜0.1重量部であり、中でも0.001〜0.1重量部であることが好ましく、更には0.001〜0.05重量部、特に0.005〜0.02重量部とすることが好ましい。添加量が少ないと、添加に見合う十分な面発光性や発光面の色調の改良効果が得られない場合があり、逆に多すぎても、発光面の色調の改良効果は小さく、かえって色調(色相)のムラが生じる場合がある。
【0071】
≪その他の添加剤≫
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、更に種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤、熱安定剤、流動性改良剤、難燃剤、難燃助剤、凝集防止剤等が挙げられる。
【0072】
[樹脂材料(組成物)の製造方法]
ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート原料樹脂にリン系化合物及び必要に応じて添加される添加剤の所定量を混合し、好ましくは更に混練することにより製造される。混合及び混練の装置としては、通常の熱可塑性樹脂に適用されるものが採用され、例えばリボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ドラムタンブラー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリユー押出機、多軸スクリュ押出機等を使用することができる。混練の温度条件は通常、230〜300℃、好ましくは235〜280℃、更に好ましくは240〜260℃である。
【0073】
[射出成形プロセス]
<射出成形機>
このポリカーボネート樹脂組成物を用いて射出成形を行うには、上記樹脂組成物のペレット又はフレークを溶融可塑化して射出成形機から所望の形状の金型内に樹脂材料を射出し、冷却固化して脱型すればよい。射出成形機は射出圧縮成形機であってもよい。
【0074】
射出成形機としては、一般的に使用されるインライン式射出成形機、プリプラ式射出成形機等を用いることができる。これらの射出成形機のスクリュとしては、表面が研磨されたものか、又は表面に皮膜が形成された光学部品成形用スクリュを用いることが好ましい。
【0075】
この表面皮膜としてCrN、TiNを設けることにより、スクリュ表面が樹脂との剥離性に優れたものとなる。
【0076】
皮膜を形成する方法としては、真空蒸着法やスパッタ法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法、IVD法(イオン・ベーパー・デポジション法)等の物理的気相成長法(PVD法)を挙げることができる。特に好ましいのは、イオンプレーティング法である。皮膜厚さは1〜30μm程度が好ましい。
【0077】
<窒素ガスの供給>
射出成形機は、一般に、射出用シリンダと、このシリンダに供給される樹脂材料を溜めるホッパー等を備えている。
【0078】
本発明では、このシリンダに樹脂材料を供給するホッパーよりも下側に窒素ガスを供給して、雰囲気中の酸素濃度を低下させることにより、成形体の透明度を高めることができる。
【0079】
なお、通常の射出成形機では、樹脂材料を貯蔵しておくホッパーから射出シリンダへ樹脂材料を供給する樹脂供給路と該ホッパーとの連結部、即ち、スクリュで樹脂材料を可塑化する直前部位をホッパー下と称し、ここから材料をスクリュへ供給する。また、その上部には材料投入あるいは搬送用ホッパー(ここではホッパードライヤー、ローダー、ホース等可塑化部へ搬送する一時的なストック箇所を指す)が設置されている。
【0080】
窒素ガスは空気より軽いため、窒素ガス導入部位はホッパーより下であることが望ましい。酸素濃度はホッパーに取り付けた酸素濃度計で測定して確認することが好ましい。窒素ガスを供給する場合、ホッパーの開口部あるいは繋ぎ目等の空気が流れ込む部位を完全にOリング、シーラント等を用いて塞いでほぼ密閉状態とすることが好ましい。また、連続成形するためにホッパーローダー等のホースを接続した場合は、密閉することが難しいため、ホッパーストック部位に一時的に金属シャッターを設け、ある程度の時間密閉することが好ましい。
【0081】
ホッパー下に窒素を供給することにより、黄変が抑制される理由については、酸素濃度が低くなることによりポリカーボネート樹脂の酸化反応が抑制されるためであると考えられる。
【0082】
本発明においては、このようにホッパー下に窒素ガスを供給する場合、ホッパー内の酸素濃度を6.0体積%以下、特に0.2〜5.0体積%とすることが好ましい。
【0083】
本発明では、このホッパー下等に窒素ガスを供給しなくても十分に透明なポリカーボネート樹脂成形体を製造することができるが、ホッパー下の酸素濃度が上記範囲内になるように窒素ガスを供給することにより、透明度が十分に高いポリカーボネート樹脂成形体を製造することができる。
【0084】
上記の酸素濃度の範囲は前記特許文献1,2と比べて高い範囲であるため、窒素ガスの使用量を大幅に低減できる。従ってランニングコストを抑えることができ、また、クリーンルーム内での作業の安全性を高めることができる。
【0085】
[アニール処理]
得られたポリカーボネート樹脂成形体を熱風循環乾燥機、脱湿乾燥機、真空乾燥機、遠赤外加熱機等を用いて加熱してアニール処理することによって、成形体内部の歪が除去され、複屈折が小さくなり、透明感を高めることができる。特に光学部品に使用する場合、通常よりも輝度が向上し、透過特性や集光特性も向上する。
【0086】
上記熱処理は、110〜140℃特に120〜130℃で0.2〜5時間特に0.5〜4時間程度行うことが好ましいが、これに限定されない。
【0087】
[全光線透過率(%)]
本発明の透明ポリカーボネート樹脂成形体は、300mmの長さにおける全光線透過率が65%以上特に67%以上の高透明性のものである。
【0088】
[本発明の透明ポリカーボネート樹脂成形体の用途]
本発明のポリカーボネート樹脂成形体の用途としては、液晶装置用バックライトに組み込まれる導光板、拡散板があげられる。また、このポリカーボネート樹脂成形体は、メガネレンズ、サングラスレンズ、カメラレンズ、fθレンズを含む各種レンズ、防犯カメラ用ドームカバー、自動車用クリアランスランプやメーター、パチンコ部品、表示機を含む各種導光体、ヘッドランプ、テールランプ等の光透過性部品に適用可能である。
【実施例】
【0089】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0090】
実施例及び比較例で用いた原料は次の通りである。
ポリカーボネート樹脂 三菱エンジニアリングプラスチックス製「ユーピロンH4
000F」(粘度平均分子量16000)
リン系化合物 旭電化製PEP−36:ビス(2,6−ジ−tert−
ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトール−
ジ−ホスファイト
【0091】
[実施例1]
ポリカーボネート樹脂100重量部に対して上記リン系化合物を0.05重量部添加して混合した後、スクリュー径40mmのベント付単軸押出機(田辺プラスチック機械社製「VS−40」)によりシリンダー温度250℃で溶融混練及び押出成形してストランドとし、これをカットして、樹脂材料のペレットを得た。
【0092】
このペレットを、120℃にて約5時間真空乾燥機(真空圧力60Pa)により乾燥した。このペレットの水分量を測定したところ68ppmであった。なお、水分計としては、イヤインスツルメント製カールフィッシャー水分測定装置CA−100を用い、気化装置としてはダイヤインスツルメント製自動気化装置VA−100を用いた。サンプルペレット重量は1.0gとした。測定温度は280℃である。
【0093】
乾燥したペレットを直ちに射出成形機に供給して射出成形し、下記条件にて試験片を成形した。
≪成形条件≫
金型温度:120℃
樹脂温度:320℃
射出圧力:80MPa
射出速度:100mm/sec
サイクル:1分
試験片:幅5mm、長さ300mm、厚さ4mm
射出成形機:プリプラ式射出成形機(ソディックプラステック製TR100−EH
(型締力1000KN))
スクリュー:工具鋼NPR1(不二越製)にアークイオンプレーティング法にて4m
m厚のCrN皮膜を形成したもの。表面粗さはRa;0.6μm
【0094】
なお、ホッパーに酸素濃度計を取り付け、嵌合部材や隙間のある部位をOリングやシーラントで密閉した。ホッパー下から窒素ガスを供給し、ホッパー内の酸素濃度を3体積%とした。
【0095】
得られた試験片は、非常にきれいで無色透明であり、アクリル樹脂と比較しても遜色ない色相を有していた。得られた試験片について、下記条件により全光線透過率(%)、黄変度(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0096】
さらに、得られた試験片を120℃、2時間熱風循環乾燥機にて加熱して、アニール処理を行い、全光線透過率(%)、黄変度(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0097】
≪全光線透過率(%)及び黄変度(YI)の測定条件≫
分光光度計(日本電色工業社製「ASA−1型」)を使用して、実施例及び比較例で成形した試験片の300mmの長さにおける全光線透過率(%)、YIを測定した。全光線透過率(%)の数値は、白色LEDでピーク強度を有する460nmの透過率を示した。 なお、透過率は通常3mm肉厚で測定するが、本発明の効果がより分かるように300mmで測定した。
【0098】
[実施例2]
ホッパー下への窒素ガス供給を停止したこと以外は、実施例1と同様にして試験片を製造し、アニール処理前後の各試験片についてそれぞれ全光線透過率(%)及び黄変度(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0099】
[実施例3]
サイクルを2分としたこと以外は、実施例1と同様にして試験片を製造し、アニール処理前後の各試験片についてそれぞれ全光線透過率(%)及び黄変度(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0100】
[実施例4]
サイクルを2分とし、ホッパー下への窒素ガス供給を停止したこと以外は、実施例1と同様にして試験片を製造し、アニール処理前後の各試験片についてそれぞれ全光線透過率(%)及び黄変度(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0101】
[実施例5〜8]
実施例1で製造したペレットを実施例1と同一の乾燥条件で真空乾燥した後、防湿性の袋に密閉して1週間保管したところ、樹脂材料の水分含有量は106ppmとなった。この樹脂材料を用いたこと以外は、実施例1〜4と同様に試験片を製造し、アニール処理前後の各試験片について全光線透過率(%)及び黄変度(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0102】
なお、実施例5は実施例1に対応し、実施例6は実施例2に対応し、実施例7は実施例3に対応し、実施例8は実施例4に対応する。
【0103】
[比較例1〜4]
樹脂材料ペレットの乾燥を、熱風循環乾燥機(120℃、5〜6時間)により行ったこと以外は、実施例1〜4と同様に試験片を製造した。乾燥後の樹脂材料の水分含有量は135ppmであった。製造した、アニール処理前の試験片について全光線透過率(%)及び黄変度(YI)を測定した。結果を表1に示す。
【0104】
なお、比較例1が実施例1に対応し、比較例2が実施例2に対応し、比較例3が実施例3に対応し、比較例4が実施例4に対応する。
【0105】
【表1】

【0106】
表1により明らかなように、乾燥後の樹脂材料の水分含有量が少ないと大幅に全光線透過率(%)及び黄変度(YI)が改善される。
【0107】
さらに、実施例では、長いサイクル(2分)の場合であっても、全光線透過率(%)及び黄変度(YI)に優れた透明ポリカーボネート樹脂を得ることができる。
【0108】
また、アニール処理を施すことにより、透明性がさらに向上する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂とリン系化合物とを含む樹脂材料を射出成形して透光性ポリカーボネート樹脂成形体を製造する方法において、
該樹脂材料中のリン系化合物の割合が、該ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.02〜0.3重量部であり、
該樹脂材料の水分含有量が120ppm以下であること特徴とする透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
【請求項2】
前記リン系化合物がリン系熱安定剤であることを特徴とする請求項1に記載の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂材料の水分含有量が100ppm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂材料が真空乾燥されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂材料をホッパー中に貯蔵しておき、該ホッパーから樹脂供給路を介して射出成形機へ該樹脂を供給して成形を行うようにした透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法であって、
該ホッパーと該樹脂供給路との連結部分であるホッパー下に窒素ガスを供給し、ホッパー内の酸素濃度を6.0体積%以下とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
【請求項6】
前記酸素濃度が0.2〜5.0体積%となるように窒素ガスを供給することを特徴とする請求項5に記載の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂材料が、光を拡散させるための微粒子を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂材料が蛍光増白剤を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
【請求項9】
射出成形された成形体を加熱してアニール処理することを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の透光性ポリカーボネート樹脂成形体の製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法によって製造された透光性ポリカーボネート成形体。

【公開番号】特開2009−185205(P2009−185205A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27752(P2008−27752)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】