説明

透明なシート状化粧品

【課題】 外観に優れ、貼りやすく、使用中に皮膚状態の改善効果等が見える等といった優れた効果のある、透明なシート状化粧品を提供する。
【解決手段】 本発明は、バイオセルロースと高屈折率水溶性成分とを含有し、外観が透明であることを特徴とするシート状化粧品に関する。好ましくは、前記高屈折率水溶性成分が、多価アルコール類または糖類から選ばれる1種または2種以上の混合物である。さらに好ましくは、前記多価アルコール類または糖類が、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジグリセリン、ポリグリセリン、グルコース、ソルビトール、ショ糖から選ばれる1種または2種以上の混合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外観に優れ、貼りやすく、使用中に皮膚状態の改善効果等が見える等といった優れた効果のある、透明なシート状化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオセルロースは、不織布に比べて繊維のキメが細かく、保水力に優れている(特許文献1および2)。このようなバイオセルロースの特性を生かし、顔用マスクなどに利用するシート状化粧品を製造する試みもなされている(特許文献3)。しかしながら、バイオセルロースに生理活性成分やその他の成分を含浸させ、シート状化粧品を製造する際には、バイオセルロースとその他の成分との屈折率の違いから、不透明にならざるを得ないといった問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−229063号公報
【特許文献2】特開平03−157402号公報
【特許文献3】特開2006−298846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、使用感や外観に優れ、貼りやすく、使用中に皮膚状態の改善効果等が見えるといった優れた効果のある、透明なシート状化粧品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、バイオセルロースと高屈折率水溶性成分とを含有し、外観が透明であることを特徴とするシート状化粧品に関する。
【0006】
好ましくは、前記高屈折率水溶性成分が、多価アルコール類または糖類から選ばれる1種または2種以上の混合物である、外観が透明であることを特徴とするシート状化粧品に関する。
【0007】
さらに好ましくは、本発明は、前記多価アルコール類または糖類が、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジグリセリン、ポリグリセリン、グルコース、ショ糖の中から選ばれる1種または2種以上の混合物である、外観が透明であることを特徴とするシート状化粧品に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用感や外観に優れ、貼りやすく、使用中に皮膚状態の改善効果等が見える等といった優れた効果のある、透明なシート状化粧品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1はシート状化粧品A(左)とシート状化粧品B(右)の写真である。
【図2】図2はシート状化粧品A(左)とシート状化粧品B(右)の写真である。黒板の上に文字「マ」を付し、その上にシート状化粧品を置いたものである。
【図3】図3はシート状化粧品Aを顔用マスクに成型した写真である。黒板の上に文字「○」を付し、その上にシート状化粧品を置いたものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、下記実施形態の記載により限定して解釈するべきでなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0011】
本発明は、バイオセルロースと高屈折率水溶性成分とを含有し、外観が透明であることを特徴とするシート状化粧品に関する。好ましくは、前記高屈折率水溶性成分が、多価アルコール類または糖類から選ばれる1種または2種以上の混合物である。さらに好ましくは、前記多価アルコール類または糖類が、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジグリセリン、ポリグリセリン、グルコース、ソルビトール、ショ糖から選ばれる1種または2種以上の混合物である。
【0012】
本発明に用いるバイオセルロースとは、微生物が産生するセルロースであり、直径4nmのミクロフィブリルが多数集ったフィブリルからなる。酢酸菌などを静置培養することにより、空気−液体培地界面にバイオセルロース膜が形成される。
【0013】
たとえば、培養によってバイオセルロース膜を形成させた後、水で洗浄し、培地を除去し、次いでアルカリ処理を行い、微生物および不純物を除去する。アルカリ処理は、生成されたバイオセルロース膜の約10倍量のアルカリ溶液(例えば2%程度の水酸化ナトリウム溶液)で、1〜2時間煮沸すればよい。その後、中性になるまで水洗し、目的のバイオセルロース膜を得ることができる。
【0014】
本発明に用いる高屈折率水溶性成分とは、屈折率(D線により、20℃で測定)が好ましくは1.40以上の水溶性成分であり、さらに好ましくは1.43以上である。
【0015】
本発明に用いる多価アルコール類とは、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコール、イソプレングリコール等の多価アルコール類である。また、本発明に用いる糖類とは、グルコース、ショ糖、ソルビトール等の糖類が挙げられる。これらのうち、透明性を容易に確保できることや湿潤作用に優れる1種または2種以上の混合物であることが好ましい。
【0016】
本発明における「外観が透明であるシート状化粧品」とは、肉眼で見て、明らかに透明と感じ取れる程度の透明感があるシート状化粧品である。文字が記載されている板の上に、シート状化粧品置いたときに、文字があることが容易に判る程度の透明性が確保されていることが好ましい。
【0017】
本発明における外観が透明であることを特徴とするシート状化粧品は、シート状化粧品を不透明にしない限りにおいて、必要に応じて、通常化粧品に使用可能な、生理活性成分、増粘剤、油剤、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、色素、塩類、溶媒、キレート剤、中和剤、pH調整剤等の成分を配合することができる。
【0018】
本発明の好ましいシート状化粧品の処方例は、シート状化粧品を不透明にしない限り制限は無いが、少なくとも以下の(A)〜(D)成分の組み合わせにより、透明性が得られればよい。その他の生理活性成分などを含んでも良いのは言うまでも無い。
(A)グリセリン 5〜60重量%
(B)多価アルコール類、糖類の1種または2種以上の混合物 0〜65重量%
(C)ヒアルロン酸ナトリウム 0.001〜1重量%
(D)精製水 残量
【0019】
本発明の透明なシート状化粧品の形状としては特に制限が無く、シート状化粧品を不透明にしない限りにおいて、楕円形、円形、ハート形、半円形、半楕円形、正方形、長方形、台形等にすることができる。また、位置合わせや使用性改善の目的で凸部や凹部を設けても構わない。さらに、使用部位によりそれぞれ形状や厚さや接着力を変化させてよい。
【0020】
本発明の透明なシート状化粧品の適用部位としては、顔用、目元用、口元用、腕部用、脚部用、胸部用、腹部用、首部用等が挙げられる。貼り付け面積が大きい部位では、シート状化粧品の粘着力を上昇させるか、厚さを薄目にすることが好ましい。
【0021】
本発明の透明なシート状化粧品のシートの厚さとしては特に制限が無く、シート状化粧品を不透明にしない限りにおいて、全体が均一であっても、部分的に厚さが異なっていても良いが、密着性、透明性、強度を確保するため、0.3〜1.5mmの厚さが好ましい。
【0022】
本発明の透明なシート状化粧品は透明であるので、外観に優れ、貼りやすく、使用中に皮膚状態の改善効果等が見えるなどの優れた効果を有している。前記効果以外にも、適用部位や配合する生理活性成分により様々な効果が期待できる。例えば、小じわの改善効果、皮膚のターンオーバーの改善、マッサージ効果、保湿効果、血行促進、くまの改善効果、冷却効果、スリミング効果、整形効果などが期待できる。これらの効果は、透明なシート状化粧品のパック効果と配合されている成分による効果との相乗効果により得られる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定して解釈すべきではなく、特許請求の範囲における記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【0024】
(実施例1)
下記の表1の処方になるように、バイオセルロースのシート状化粧品Aを製造した。
(表1)

【0025】
(比較例1)
精製水にバイオセルロースを含浸させ、シート状化粧品Bを作成した。
【0026】
(評価)
実施例1のシート状化粧品Aと比較例1のシート状化粧品Bの透明感を肉眼で評価した結果、明らかにAの方が透明であった。シート状化粧品AおよびBの写真は図1〜3である。図1左および図2左はシート状化粧品A、図1右および図2右はシート状化粧品Bである。図3はシート状化粧品Aを顔用マスクに成型したものである。
【0027】
図1より、シート状化粧品Aは透明であるが、シート状化粧品Bは白っぽく透明でないことが明らかである。また、図2や図3のようにシート状化粧品Aでは、板の上の文字「マ」や「○」が鮮明に見えるが、シート状化粧品Bでは文字が見えにくい。このことからも、AはBより透明であることが分かる。
【0028】
このように本発明者らは、使用感や外観に優れ、貼りやすく、使用中に皮膚状態の改善効果等が見える等といった優れた効果のある、透明なシート状化粧品を提供することができた。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、使用感や外観に優れ、貼りやすく、使用中に皮膚状態の改善効果等が見える等といった優れた効果のある、透明なシート状化粧品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオセルロースと高屈折率水溶性成分を含有し、外観が透明であることを特徴とするシート状化粧品。
【請求項2】
請求項1に記載の高屈折率水溶性成分が、多価アルコール類または糖類から選ばれる1種または2種以上の混合物である、外観が透明であることを特徴とするシート状化粧品。
【請求項3】
請求項2に記載の多価アルコール類または糖類が、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジグリセリン、ポリグリセリン、グルコース、ショ糖の中から選ばれる1種または2種以上の混合物である、外観が透明であることを特徴とするシート状化粧品。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−260806(P2010−260806A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111863(P2009−111863)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(398028503)株式会社東洋新薬 (182)
【Fターム(参考)】