説明

透明な基板を有する斜角をつけられたLEDチップ

【課題】発光ダイオードを改良し、特に、高エネルギー、高周波数、可視スペクトルの短い波長の部分を発し、かつ、蛍光体と共に使用され、白色光を生成する発光ダイオードの改良をすること。
【解決手段】発光ダイオードであって、透明な炭化珪素基板と、該炭化珪素基板上にIII族の窒化物材料系から形成される活性構造と、該ダイオードの上側のそれぞれのオーム接触とを備えており、該炭化珪素基板は、該炭化珪素と該III族の窒化物との間のインタフェースに対して斜角を付けられている、発光ダイオード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード(LED)の改良に関し、特に、高エネルギー、高周波数、可視スペクトルの短い波長の部分を発し、かつ、蛍光体と共に使用され、白色光を生成するLEDの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、光子半導体デバイスの一種である。特に、LEDは、p−n接合部(または機能的に均等な構造)を横切って通る順方向電流に応答して光を発し、該p−n接合部は電子と正孔との間の再結合を生じる。充分に確立された量子の法則によると、再結合は、ばらばらな量のエネルギーを発し、エネルギーが光子として解放されたときには、光子の波長(従って周波数および色)は、ダイオードを形成する半導体材料の特徴である。
【0003】
さらなる利点として、LEDはソリッドステートのデバイスであるので、LEDは、多数の他の半導体デバイスの望ましい特性、例えば、長い寿命、相対的に強固な物理的特性、高い信頼性、軽さ、および(多くの状況において)低コストなどを共有する。
【0004】
非特許文献1と非特許文献2とは、LEDを含む様々な光子デバイスの良い説明を与える。非特許文献3は、全体的にそのトピックに向けられており、特に、第8章においてIII族の窒化物のダイオードを扱う。
【0005】
再結合から発生され得るエネルギーの最大量は、発光する材料の原子価と伝導帯との間のエネルギー差によって表されるので、LEDから発せられ得る波長の範囲は、かなりの程度、LEDが形成される材料によって決定される。言い方を変えると、再結合から利用可能な最大エネルギーは、半導体のバンドギャップによって定義され、より小さいエネルギーの転移は、例えば、半導体材料内で補償されたドーピングによって獲得され得る。しかしながら、光子のエネルギーは、等しいサイズのバンドギャップを超過し得ない。
【0006】
従って、よりエネルギーの高い色、例えば、緑色、青色、紫色など(一部の場合においては紫外線の放出)を生成するために、LEDにおいて使用される半導体材料は、比較的に大きいバンドギャップを有さなければならない。結果として、炭化珪素(SiC)およびIII族の窒化物材料系などの材料は、このようなダイオードを生成する際に大きな関心となる。今度は、III族の窒化物材料は、「直接的」エミッタ(エネルギーの全てが光子として発せられる)であるので、III族の窒化物を基にしたダイオードが、青色光を生成するために、最も広範囲に使用され、かつ、市販されているLEDである。それに比べて、炭化珪素などの間接的エミッタにおいては、エネルギーの一部は光子として発せられ、また一部が振動エネルギーとして発せられる。
【0007】
半導体ダイオードから青色光を獲得することは、その光自体に関心を有するが、潜在的により大きな関心が、白色光を生成するために使用される青色光の能力に関して存在する。一部の場合において、青色発光LEDは、赤色LEDおよび緑色LED(または他のソース)と組み合わされ、白色光を生成し得る。より一般的な用途において、青色LEDは、蛍光体と組み合わされ、白色光を生成する。蛍光体は蛍光性の材料であり、通常、青色発光LEDの励起に応答して様々な周波数の光を発する鉱物である。黄色は、蛍光体に対する好適な応答性の色である。なぜならば、LEDからの青色光と、蛍光体によって発せられる黄色とが組み合わせられるときに、それらは、多くの用途に対して概ね満足な白色光の出力を与えるからである。
【0008】
結果として、III族の窒化物材料系と蛍光体とに基づいた多種多様な白色発光ダイオードが、商業用および実験用の用途に利用可能である。しかしながら、用途に従って、特定のダイオードは特定の不利な点を有する。
【0009】
例えば、III族の窒化物材料の大きな単結晶は、商業的には利用できないままであるので、III族の窒化物を基にしたダイオードは、一般的には、別の材料の結晶基板上にIII族の窒化物材料のp型エピタキシャル層とn型エピタキシャル層とのそれぞれを含む。炭化珪素基板とサファイアとが、このような基板に対する2つの最も一般的な材料である。
【0010】
サファイアは、かなり透明であり、良好な機械的な強度を有するという利点を有する。しかしながら、サファイアは、比較的に乏しい熱伝導性、III族の窒化物との比較的に不適切な格子整合性という不利な点を有する。サファイアはまた、伝導するようにドーピングされる能力が欠けており、従って、サファイアを基にしたデバイスは、一般的には、水平に配向されている。すなわち、両方のオーム接触(アノードおよびカソード)が同じ方向に面している。これは、一部の回路または構造にダイオードを組み込むことに不利であり得、活性エリアの任意の所与のサイズに対する物理的なフットプリントを増加させる傾向もある。
【0011】
それと比較して、炭化珪素は、伝導するようにドーピングされ得、従って垂直に配向された多ダイオード、すなわち、ダイオードの対向する軸端部にそれぞれのオーム接触を有するダイオードにおける基板として使用され得る。炭化珪素はまた、優れた熱伝導性を有し、サファイアよりも非常に良好な、III族の窒化物との格子整合性を提供する。
【0012】
しかしながら、炭化珪素を伝導するようにドーピングすることは、透明度を低下させ、従ってLEDの外部量子効率に不利に影響する。簡潔な背景として、注入されたキャリアに対する生成された格子の比率は、ダイオードの内部量子効率を表す。すなわち、注入されたキャリアのある割合が、光子を生成しない転移を発生させる。さらに、任意のLEDにおいて、生成された光子のうちの一部が、ダイオードの材料または(存在する場合には)パッケージング材料(一般的には、ポリマ)によって、内部に吸収されるか、または内部反射される。
【0013】
従って、用語「外部量子効率」、すなわちEQEは、この文脈において、可視光としてダイオード(またはそのパッケージ)を出る光子の割合を指すように使用される。特に、外部量子効率は、電流の流れに対する発光強度の比率(例えば、デバイスからの光子/活性エリアに注入される電子)を記述する。光子は、半導体材料自体の中への吸収を通じて;金属、誘電体、またはダイオードが作られる他の材料内の吸収を通じて;光が反射率の差により半導体から空気まで通るときの反射損失を通じて;およびスネルの法則によって定義される臨界角度を上回る角度における光の全内部反射から失われ得る。
【0014】
チップのEQEを最大化するために、基板の吸収損失は最小化されるべきである。本明細書において使用される場合、活性領域によって発せられるが、次に基板に吸収され、従ってEQEに寄与しない光子として、基板における吸収損失は定義される。完全に透明な基板に対して、このように定義されたような吸収損失は、0にまで減少される。本明細書において使用される場合、吸収損失が、10%未満であり、さらに好適には、5%未満であるときに、基板は透明であると考えられる。
【0015】
白色光を生成する目的のために蛍光体を組み込むダイオードは、多くの場合に、照明の目的を意図されているので、所与の駆動電流においてダイオードによって生成され得る光の量は、様々なダイオード構造の間の比較のための重要な要素となる。
【0016】
LEDが蛍光体と組み合わせて使用されるときに、多数の特性が外部量子効率に影響し得る。例えば、蛍光体は、通常、ポリマのパッケージング材料の中に分散されるので、このような分散の量と幾何形状とを制御することは、発せられた光子に対する蛍光体の応答全体に(積極的または消極的に)影響し得、その結果、外部量子効率に影響し得る。
【0017】
別の要素として、発光ダイオードは、他の光源と同様に、発光ダイオードが他の方向において生成する量の光よりも多くの量の光を特定の方向において生成する傾向にある。例えば、多くのダイオードは、接合部を形成するエピタキシャル層に対して直角(垂直)な方向において最大出力を生成する傾向にある。これは、一部の用途に対しては有用であり、かつ望ましくあり得るが、蛍光体がダイオードの光子と組み合わせて使用されて、白色光を生成するときには、あまり望ましくないことがあり得る。
【0018】
ダイオードが接合部に対して垂直以外の所与の方向に出力を生成する角度が、充分に認識されかつ充分に理解された器具を使用して測定され得、これらの特性を表示することを図形で助ける遠視野パターンによって表され得る。
【0019】
チップの出力を評価する1つの方法は、放射束と遠視野パターンとによる。放射束(Rf)は、多くの場合に、標準の20ミリアンペア(mA)の駆動電流においてミリワット(mW)で表される。
【0020】
遠視野パターンは、測定が行われた角度を比較したものとして、ダイオードから発せられた放射束の測定を表す。
【0021】
本明細書において報告される測定の単位は、従来のものであり、充分に理解されている。従って、光束測定は、光度測定単位であり、ルーメンで測定される。対応するが、同一ではない放射測定は、ワットで測定される放射束である。効率は、本明細書において、ダイオードを横切る電流に基づいて、ワット当たりの光束として表され、本明細書においてはミリアンペアで最も頻繁に表される。
【0022】
発光ダイオードとランプとに関するこれらの技術的要素および他の技術的要素の有益で短い要旨が、非特許文献4に述べられている。
【非特許文献1】Sze、PHYSICS OF SEMICONDUCTOR DEVICES(第2版、1981年)、第12章〜第14章
【非特許文献2】Sze、MODERN SEMICONDUCTOR DEVICE PHYSICS(1998年)、第7章
【非特許文献3】Schubert、LIGHT EMITTING DIODES(Cambridge Press、2003年)
【非特許文献4】Labsphere,Inc. North Sutton、New Hampshire、Labsphere Technical Guide「The Radiometry of Light Emitting Diodes」
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0023】
一局面において、本発明は、透明(そして潜在的に低導電率)な炭化珪素基板と、炭化珪素基板上にIII族の窒化物材料系から形成される活性構造と、ダイオードの上側におけるそれぞれのオーム接触とを含む発光ダイオードであり、炭化珪素基板の垂直な側面が、炭化珪素とIII族の窒化物との間のインタフェースに対して直角にされている。
【0024】
別の局面において、本発明は、透明(そして潜在的に低導電率)な炭化珪素基板と、炭化珪素基板上にIII族の窒化物材料系から形成される活性構造と、ダイオードの上側におけるそれぞれのオーム接触とを含む発光ダイオードであり、炭化珪素基板の垂直な側面が、炭化珪素とIII族の窒化物との間のインタフェースに対して斜角を付けられている。
【0025】
別の局面において、本発明は、LEDランプである。ランプは、リードフレームと、リードフレーム上の斜角を付けられた透明な炭化珪素基板と、リードフレームとは反対側の、炭化珪素基板上の、III族の窒化物材料系から形成される活性構造と、ダイオードの上側のそれぞれのオーム接触と、基板および活性構造の上のポリマレンズとを含む。
【0026】
別の局面において、本発明は、LEDランプである。ランプは、リードフレームと、リードフレーム上の斜角を付けられた透明な炭化珪素基板と、リードフレームとは反対側の、炭化珪素基板上の、III族の窒化物材料系から形成される活性構造と、ダイオードの上側のそれぞれのオーム接触と、基板および活性構造の上のポリマレンズと、活性構造によって発せられた光に応答し、かつ応答して様々な色の光を生成する、ポリマレンズ内に分散された蛍光体とを含む。
【0027】
本発明の上記の対象と他の対象および利点、ならびに同じ結果が達成される方法が、添付の図面と共に以下の詳細な記述に基づいてさらに明らかになる。
【0028】
本発明はさらに以下の手段を提供する。
【0029】
(項目1)
発光ダイオードであって、
透明な炭化珪素基板と、
該炭化珪素基板上にIII族の窒化物材料系から形成される活性構造と、
該ダイオードの上側のそれぞれのオーム接触と
を備えており、
該炭化珪素基板は、該炭化珪素と該III族の窒化物との間のインタフェースに対して斜角を付けられている、発光ダイオード。
【0030】
(項目2)
上記炭化珪素基板は、該炭化珪素基板と上記III族の窒化物の活性構造との間の上記インタフェースに対して、約45度と約75度との間の角度で斜角を付けられている、項目1に記載のダイオード。
【0031】
(項目3)
上記透明な炭化珪素基板は、約50ミクロンと約500ミクロンとの間の厚さであり、10%未満の吸収損失を特徴とする、項目1に記載のダイオード。
【0032】
(項目4)
上記透明な炭化珪素基板は、5%未満の吸収損失を特徴とする、項目3に記載のダイオード。
【0033】
(項目5)
上記基板は、炭化珪素の3C、2H、4H、6H、および15Rのポリタイプから成る群から選択されるポリタイプを有する単結晶である、項目1に記載のダイオード。
【0034】
(項目6)
上記III族の窒化物材料は、窒化ガリウム、窒化インジウムガリウム、および窒化アルミニウムインジウムガリウムから成る群から選択される、項目1に記載のダイオード。
【0035】
(項目7)
上記活性構造は、それぞれのIII族の窒化物のエピタキシャル層の間のp−n接合部である、項目1に記載の発光ダイオード。
【0036】
(項目8)
上記活性構造は、単一量子井戸、多重量子井戸、および超格子構造から成る群から選択される、項目1に記載のダイオード。
【0037】
(項目9)
上記活性構造は、少なくとも1つの式InGa1−xNを有する窒化インジウムガリウムの発光層を含み、インジウムの原子分率Xは、約0.3以下である、項目1に記載の発光ダイオード。
【0038】
(項目10)
上記炭化珪素基板は、少なくとも約0.1オームセンチメートルの抵抗率を有する、項目1に記載の発光ダイオード。
【0039】
(項目11)
上記炭化珪素基板は、少なくとも約0.2オームセンチメートルの抵抗率を有する、項目1に記載の発光ダイオード。
【0040】
(項目12)
上記炭化珪素基板は、少なくとも約0.3オームセンチメートルの抵抗率を有する、項目1に記載の発光ダイオード。
【0041】
(項目13)
上記活性構造は、III族の窒化物材料のそれぞれのp型層およびn型層から形成され、
上記オーム接触は、金、金−スズ、亜鉛、金−亜鉛、金−ニッケル、白金、ニッケル、アルミニウム、ITO、クロム、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、項目1に記載の発光ダイオード。
【0042】
(項目14)
工業規格の5mmランプにおける20mAの駆動電流において、少なくとも35mwの放射束を有する、項目1に記載の発光ダイオード。
【0043】
(項目15)
図5の遠視野パターンを特徴とする、項目1に記載の発光ダイオード。
【0044】
(項目16)
サイドローブ発光が順方向発光と等しい遠視野パターンを特徴とする、項目1に記載の発光ダイオード。
【0045】
(項目17)
サイドローブ発光が順方向発光を上回る遠視野パターンを特徴とする、項目1に記載の発光ダイオード。
【0046】
(項目18)
最大強度が最小強度の少なくとも2倍であり、かつ、最大強度と最小強度とが、互いから約60度と約90度との間にある遠視野パターンを示す、項目1に記載の発光ダイオード。
【0047】
(項目19)
約0.3および約0.3のCIEのxおよびyの色座標において、20ミリアンペアの順方向動作電流において少なくとも2カンデラの出力を示す、項目1に記載の発光ダイオード。
【0048】
(項目20)
光変換蛍光体をパッケージされた、項目1に記載の発光ダイオードを備えている、LEDランプ。
【0049】
(項目21)
サイドルッカパッケージ内に光変換蛍光体をパッケージされた、項目20に記載の発光ダイオードを備えている、LEDランプ。
【0050】
(項目22)
上記蛍光体は、YAGを含む、項目20に記載のLEDランプ。
【0051】
(項目23)
項目1に記載の複数の発光ダイオードを備えている、ディスプレイ。
【0052】
(項目24)
複数の赤色発光ダイオードと複数の緑色発光ダイオードとをさらに備えている、項目23に記載のディスプレイ。
【0053】
(項目25)
複数の白色発光ダイオードをさらに備えている、項目23に記載のディスプレイ。
【0054】
(項目26)
上記複数の発光ダイオードは、複数の液晶ディスプレイシャッタを背面照明する、項目23に記載のディスプレイ。
【0055】
(項目27)
LEDランプであって、
リードフレームと、
該リードフレーム上の斜角を付けられた透明な炭化珪素基板と、
該リードフレームとは反対側の、該炭化珪素基板上の、III族の窒化物材料系から形成される活性構造と、
該ダイオードの上側のそれぞれのオーム接触と、
該基板および該活性構造の上のポリマレンズと、
該活性構造によって発せられた光に応答し、かつ応答して様々な色の光を生成する、該ポリマレンズ内に分散された蛍光体と
を備えている、LEDランプ。
【0056】
(項目28)
上記活性構造は、可視スペクトルの青色部分において発光し、
上記蛍光体は、該青色放射を吸収し、かつ応答して黄色放射を発する、項目27に記載のLEDランプ。
【0057】
(項目29)
上記蛍光体は、YAGを備えている、項目27に記載のLEDランプ。
【0058】
(項目30)
複数の項目29に記載のLEDランプを備えている、ディスプレイ。
【0059】
(項目31)
発光ダイオードの指向性の出力を指定する方法であって、炭化珪素基板を、該基板とIII族の窒化物のエピタキシャル層との間のインタフェースに対して鋭角で斜角を付けることを包含する、方法。
【0060】
(項目32)
上記ダイオードが、工業規格の5mmランプにおける20ミリアンペアの駆動電流において、少なくとも35mWの放射束を有する角度まで、上記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、項目31に記載の方法。
【0061】
(項目33)
サイドローブ発光が順方向発光と等しい遠視野パターンを生成する角度まで、上記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、項目31に記載の方法。
【0062】
(項目34)
サイドローブ発光が順方向発光を上回る遠視野パターンを生成する角度まで、上記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、項目31に記載の方法。
【0063】
(項目35)
最小強度の方向から60度と90度との間の方向に少なくとも2倍の強度を生成する角度まで、上記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、項目31に記載の方法。
【0064】
(項目36)
約0.3および約0.3のCIEのxおよびy色座標における20ミリアンペアの順方向動作電流において、少なくとも2カンデラの出力を生成する角度まで、上記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、項目31に記載の方法。
【0065】
(項目37)
サイドルッカパッケージにおける約0.3および約0.3のCIExおよびy色座標における20ミリアンペアの順方向動作電流において、少なくとも2カンデラの出力を生成する角度まで、上記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、項目31に記載の方法。
【0066】
(項目38)
上記インタフェースに対して約45度と約75度との間の角度まで、上記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、項目31に記載の方法。
【0067】
(項目39)
発光ダイオードであって、
約50ミクロンと約500ミクロンとの間の厚さであり、かつ、10パーセント未満の吸収損失を特徴とする炭化珪素基板と、
該炭化珪素基板上の、III族の窒化物材料系から形成される活性構造と、
該ダイオードの上側のそれぞれのオーム接触と、
該炭化珪素基板と該III族の窒化物の活性構造との間のインタフェースに対して実質的に垂直な側壁を有する炭化珪素基板と
を備えている、発光ダイオード。
【0068】
(項目40)
約0.3および約0.3のCIEのxおよびy色座標における20ミリアンペアの順方向動作電流において、少なくとも2カンデラの出力を示す、項目39に記載の発光ダイオード。
【0069】
(項目41)
上記透明な炭化珪素基板は、5パーセント未満の吸収損失を特徴とする、項目39に記載の発光ダイオード。
【0070】
(項目42)
上記基板は、炭化珪素の3C、2H、4H、6H、および15Rのポリタイプから成る群から選択されるポリタイプを有する単結晶である、項目39に記載のダイオード。
【0071】
(項目43)
上記III族の窒化物材料は、窒化ガリウム、窒化インジウムガリウム、および窒化アルミニウムインジウムガリウムから成る群から選択される、項目39に記載のダイオード。
【0072】
(項目44)
上記活性構造は、少なくとも1つの式InGa1−xNを有する窒化インジウムガリウムの発光層を含み、インジウムの原子分率Xは、約0.3以下である、項目39に記載の発光ダイオード。
【0073】
(項目45)
上記炭化珪素基板は、少なくとも約0.1オームセンチメートルの抵抗率を有する、項目39に記載の発光ダイオード。
【0074】
(項目46)
上記炭化珪素基板は、少なくとも約0.2オームセンチメートルの抵抗率を有する、項目39に記載の発光ダイオード。
【0075】
(項目47)
上記炭化珪素基板は、少なくとも約0.3オームセンチメートルの抵抗率を有する、項目39に記載の発光ダイオード。
【0076】
(項目48)
工業規格の5mmランプにおける20mAの駆動電流において、少なくとも35mwの放射束を有する、項目39に記載の発光ダイオード。
【0077】
(項目49)
光変換蛍光体をパッケージされた、項目39に記載の発光ダイオードを備えている、LEDランプ。
【0078】
(項目50)
複数の項目39に記載の発光ダイオードを備えているディスプレイ。
【0079】
(摘要)
透明(そして潜在的に低導電率)な炭化珪素基板と、炭化珪素基板上にIII族の窒化物材料系から形成される活性構造と、ダイオードの上側におけるそれぞれのオーム接触とを含む発光ダイオードが開示される。炭化珪素基板は、炭化珪素とIII族の窒化物との間のインタフェースに対して斜角を付けられている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
図1は、概して10で示されている、本発明に従ったダイオードの上部平面図の写真である。図1は、ダイオード11の上部面を例示しており、該ダイオード11は、一般的に、III族の窒化物のうちの1つで形成されている。多数の充分に確立されかつ充分に理解された理由のために、p−n接合部を形成し、III族の窒化物材料の再結合(従って光子)を生成するために、エピタキシャル層が使用される。これらの材料は、一般的には、窒化ガリウム(GaN)と、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)と、窒化インジウムガリウム(InGaN)と、一部の場合において窒化インジウムアルミニウムガリウム(InAlGaN)を含む。
【0081】
III族の窒化物材料系は、概して、ダイオードの関係において充分に理解されている。特に、窒化インジウムガリウムは、ダイオードの活性構造の中の層のうちの1つ以上に対する好適な材料であり得る。なぜならば、発せられた光子の波長が、結晶内のインジウムの原子分率によって、ある程度制御され得るからである。しかしながら、この調整能力は限定的なものである。なぜならば、結晶内のインジウムの量を増加させることは、その化学的安定性を減少させる傾向にあるからである。
【0082】
材料系に対する他の考慮は、結晶の安定性および格子整合、ならびにランプまたは一部の他の最終用途の中へのダイオードの製作の間の、高温の工程を含む様々な工程に耐える能力を含む。これらの考慮も当該分野においては充分に理解されており、本明細書においては詳細に記述しない。
【0083】
図1はまた、それぞれのオーム接触12およびオーム接触13を例示する。本発明において、これらのオーム接触の両方がダイオードから同じ方向に面している(従って、時には「上側接触」または「側方接触」と呼ばれる)。デバイスの同じ側に接触を配置することが、電流経路からヘテロインタフェース(heterointerface)(例えば、SiCとGaNのインタフェース)を取り除くことによって、結果生じるデバイスの順方向電圧を減少させ得る。このより低い電圧は、一部のLEDの用途に対して有利であり得る。しかしながら、それぞれの接触が、ダイオードの異なる部分(詳細には、それぞれn型の部分およびp型の部分)にそれぞれ触れるので、接触12および接触13は、互いからわずかに垂直方向にずらされ得る(図3)。例示的な実施形態において、オーム接触は、金、金−スズ、亜鉛、金−亜鉛、金−ニッケル、白金、ニッケル、アルミニウム、酸化インジウムスズ(ITO)、クロム、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0084】
III族の窒化物層に接触12および接触13の両方を配置することによって、本発明は、他の場合には、垂直に向けられたダイオードにおいて、炭化珪素とIII族の窒化物との間のインタフェースを横切ることを必要とされる順方向電圧(V)を減少させ得る。
【0085】
図2は、ダイオード10の側面正面の写真である。図2の分解能はエピタキシャル層の間を区別しておらず、従って、活性部分は、ひとまとめにされた矢印15によって示されている。同様に、図2は接触12と接触13とを明確には例示していない。
【0086】
図3は、図2と概ね同じ方向に向けられた概略的断面図である。従って、図3は、斜角をつけられた炭化珪素基板14と、活性領域15と、オーム接触12およびオーム接触13とを含む。
【0087】
炭化珪素基板14は実質的に透明である。本明細書において使用される場合、関連の吸収損失が10%未満、さらに好適には、5%を未満のときに、基板は透明であると考えられる。透明性を制御するために、ドーピングは、半絶縁または絶縁であると考えられる量に減少される(またはドーパントは導入されさえしない)。半絶縁および絶縁という用語は、正確な数というよりも定性的に使用される傾向にあるが、概して、半絶縁炭化珪素の結晶、基板、またはエピタキシャル層は、7E17cm−3以上の総キャリア(net carrier)のドーピングを有し、少なくとも約0.10オームセンチメートル(O−cm)の抵抗率を示す。例示的な実施形態において、炭化珪素基板は、少なくとも0.15O−cm、もしくは0.2O−cm、または0.3O−cmもの抵抗率を有する。
【0088】
これらの特性を有する結晶を含む炭化珪素の結晶の生成が、例えば、第Re34,861号およびその特許第4,866,005号に述べられている。半絶縁特性を有するSiC結晶の生成は、第6,218,680号、第6,403,982号、第6,396,080号、および第6,639,247号に述べられている。これらのそれぞれの内容もまた、その全体が本明細書において参考として援用される。
【0089】
斜角をつけられた基板の角度は、図3において、シータ(Θ)という文字によって示されており、内部反射を最小化し、それによって、充分に理解されているスネルの法則の原理に従って外部量子効率を最大化するように選択される。従って、炭化珪素基板とIII族の窒化物の活性構造との間のインタフェースに対して測定される場合に、角度Θは、0度より大きく、90度未満であるが、約45度から75度の間の角度が、この目的のためには最も好ましい。斜角を付けられた縁は、エッチングか、鋸切断か、レーザ切断か、またはダイオードの残りの構造または機能を干渉しないその他任意の従来の技術によって製作され得る。
【0090】
図3はまた、III族の窒化物材料のエピタキシャル層16およびエピタキシャル層17のそれぞれを例示する。2つの層は、p−n接合の基本的な構造と一致するように例示されているが、さらなる層が含まれ得るということが理解される。例えば、より高い導電率のp型層が含まれ、p型層に対するオーム接触の能力を高め得るか、またはさらなる層が、単一量子井戸もしくは多重量子井戸または超格子構造などの機能的な目的のために含まれ得る。これらもまた充分に理解されており、本発明を理解するために詳細に記述される必要はない。図1に例示されているように、オーム接触12は、n型層17にされている一方で、オーム接触13はp型層16にされている。図3に概略的に例示され、かつ、図1からさらに明らかであるように、オーム接触13は、電流拡散部分20および電流拡散部分21を含み、p型層におけるオーム接触13の能力を高める。
【0091】
透明な炭化珪素基板14を組み込むことによって、本発明は、光の抽出の目的に理想的である基板を提供し、本発明はまた、炭化珪素のヒートシンクの利点(例えば、サファイアと比較して)と、基板とエピタキシャル層との間のより良好な結晶適合特性(やはり一般的にサファイアと比較して)とを提供する。
【0092】
おそらくより重要なことに、結果としてのデバイスは、「高輝度」として分類され得るが、他の高輝度のダイオードよりも非常に容易に製作され得る。用語「高輝度」は、本質的に定性的なものであるが、該用語は、非公式ではあるが、日光または充分に照明された屋内の環境などの明るい周囲の光の条件の下で有益に見ることができるダイオードを指す。より公式には、本明細書に記述されるもののようなLEDに対する「高輝度」は、概して、20mA駆動電流において少なくとも30mwの放射束、好適には、20mAの駆動電流において35mwを上回る放射束を有するLEDを指す。
【0093】
背景技術において記述されたように、垂直に向けられたダイオードは、特定の利点を有するが、製造の間、垂直に向けられたダイオードは、比較的に困難作業である前から後ろへのアラインメントにおける特定の精度を必要とする。それに比べて、(多数の他のタイプのLEDと同様に、一般的には、概ね円形のウェハ上に多数形成される)本発明に従ったダイオードは、ウェハの両面というよりもウェハの片面に製作部品の全てを有する。結果として、本発明のダイオードは、同様な輝度特性を有する垂直ダイオードよりも容易に製作され得る。
【0094】
別の利点として、相対的に高い輝度が、ミラー技術を全く使用することなく獲得され得る。
【0095】
図4および図5は、積分球において測定された発光ダイオードの遠視野のパターンを表す(Labsphere、上記の11ページ)。図4は、従来の幾何形状(すなわち立体の長方形)を有するサファイア基板におけるIII族の窒化物の発光ダイオードの遠視野のパターンを表す。
【0096】
図5は、2つの上側接触を有する、本発明に従った斜角の付いたチップの遠視野のパターンを表す。
【0097】
図4および図5におけるパターンはそれぞれ、同様な4組の線を含む。これらの線は、毎回、前の(または他の)測定に対して90度チップを回転して各それぞれのチップを4回スキャンすることによって獲得され得る。これは図6に概略的に表されている。
【0098】
より従来的なサファイアを基にしたチップにおいて(図4)、遠視野のパターンは、比較的に似た量の放射束が、全方向に発せられるということを示す。このチップにおいて、遠視野のパターンは、主に、p型の接触材料の透明度とチップの寸法とによって決定される。しかしながら、これらのパラメータにおける遠視野の依存は比較的に弱く、その結果、サファイアを基にしたチップからの遠視野のパターンは、図4に示されたものにやや固定されている。当然、この遠視野のパターンは、特定の用途に対しては許容可能であり得る。
【0099】
SiCを基にしたべベルカット(bevel cut)チップにおいて(図5)、遠視野のパターンは、前のパラグラフに記述されたパラメータだけでなく、斜面の長さおよび角度によっても決定される。斜面は、チップがチップの上部に対してチップの側方から比較的わずかな光を発することをもたらすようにカスタマイズされ得る。これは特定の用途においては有利であり得る。斜面は、例えば、長方形を基にしたチップの短い寸法から発せられる光と比較した場合、長方形を基にしたチップの長い寸法から発せられる光よりも多くの光を優先的に発するようにさらに最適化され得る。このSiCを基にしたチップの特徴が、図5に例示されている。この場合、ダイオードから垂直に(チャートにおいては0度)というよりも、ダイオードの側面(チャートにおいてはそれぞれが90度の方向に向けられている)からの非常により多くの光の抽出によって、チップの能力は強調される。この非常に余分な比例した量の、ダイオードの側面から発せられる光が、特に蛍光体と結合されたときに、青い光を白い光に変換する際の好ましい増加と、完全にパッケージされたLEDの外部出力における対応する増加とを提供し得る。さらに、「調節可能」な遠視野特性が、LEDチップからの未処理の出力を犠牲にすることなく達成され得る。
【0100】
本明細書において使用される場合、図4および図5における−90°または90°に向かう遠視野の発光は、サイドローブの発光と呼ばれる。対応するように、0°に向かう発光は、順方向の発光と呼ばれる。
【0101】
LEDに対する長所の一般的な性能指数は、一定の入力電流において生成される放射束であり、20mAがLEDに対する工業規格である。一定の駆動電流に対して、放射束は、主に、1)エピタキシャル層の内部量子効率(IQE)と、2)チップアーキテクチャと、3)パッケージング方法とによって決定される。青色LEDが、特にパッケージングプロセスにおける適切な蛍光体の組み込みを介した白色光の生成に対して、より広範囲に適合されると、必要とされる放射束は同様に増加する。さらに、より高いチップの能力を達成するために、エピタキシャル層の成長、チップアーキテクチャ、およびパッケージング方法は、相応してより複雑になり、かつ、労力を要するものになる。チップアーキテクチャに関して、この複雑さは、チップ設計におけるミラーおよびテクスチャリングの組み込みを含む。テクスチャリングおよびミラーなどの追加の光抽出要素の組み込みは、製造プロセスに費用を追加するので、できる限り単純な製造プロセスを維持することが有利である。本明細書に記述されるチップは、費用を追加する光抽出要素を含むことなく、所望の高い出力を達成する。
【0102】
図7において、2つの異なるチップアーキテクチャの光抽出効率が比較されており、この好ましい特性を例示する。この図に対して、光抽出技術の相対的な効率が直接的に比較され得るように、エピタキシャル層のIQEとパッケージング方法とが一定にされている。この場合、SiC上の透明なベベルカットチップの光抽出効率は、光抽出向上要素としてミラーを使用する同様なサイズのチップの光抽出効率と比較される。図に見られ得るように、任意の単位で描かれている光抽出効率は、2つの異なるチップの幾何形状に対してほぼ同じである。透明なチップに対するチップアーキテクチャが、ミラーなどの複雑な光抽出要素を含まないので、これはとくに顕著である。
【0103】
しかしながら、図7は、ダイオードの性能または目的に対して「より良好またはより悪い」としてダイオードを定量化することを意図されていないが、本発明に従ったチップは、他の高性能なチップに対して製造を単純化しながら、同様な光抽出効率を与え得るということを示すということが理解されるべきである。さらに、本発明に従ったチップは、前のバージョンを改良するように蛍光体を用いて出力を制御する機会を提供しながら、上記を行う。
【0104】
さらにわずかに異なる関係で述べられているように、図7は、本発明に従ったダイオードは、関連するが似てはいないより複雑なダイオードと比較して、同様なまたは改善された光抽出能力を提供することを示す。さらに、本発明に従ったダイオードに関連する遠視野パターンは、厚さ、活性エリア、および幾何形状、ならびに形状を含む適切なチップ設計を介して調節可能である。
【0105】
図8は、全体が24で示されているLEDランプに関してダイオード10を例示する。図8は概略的なものであり、スケールを合わせては描かれておらず、特に、ダイオード10のサイズは、ランプ24全体と比較して誇張されているということが理解される。
【0106】
(図3と同じ参照番号を有する)図3を参照したダイオードに記述された要素に加えて、ランプ24は、一般的にはポリマで形成されているレンズ25を含む。ダイオード10によって発せられた波長によって、レンズ25のポリマは、発せられた光に対して比較的に不活性であるように選択されるべきである。特定のポリシロキサンを基にした樹脂(多くの場合に「シリコーン」樹脂と呼ばれる)が、レンズに適切である。なぜならば、該樹脂は、一部の他のポリマと比較して、ほとんど光化学的劣化に影響されないからである。概して、本明細書において使用される場合、ポリシロキサンという用語は、(一般的には有機側鎖基を有する)−(−Si−O−)−のバックボーンに構成された任意のポリマを指す。
【0107】
ランプ24はまた、点を打たれた楕円26として例示された蛍光体を含む。これは、概略的な表示であり、蛍光体26の特定の位置は、多くの目的のために調整され得るか、または一部の場合にはレンズ25全体に均一に分散され得るということがやはり理解され得る。一般的かつ広く入手可能な黄色変換蛍光体(yellow conversion phosphor)は、YAG(イットリウム−アルミニウム−ガーネット)で形成されており、上に記述されたシリコーンベースの樹脂を使用するときには、約6ミクロンの平均粒子サイズ(粒子を横切る最大寸法)が適切である。他の蛍光体が、過度の実験を行うことなく、当業者によって選択され得る。
【0108】
ランプ24は、概略的に27で示された、適切な外部リード30および外部リード31を有するリードフレームを含む。オーム接触12は、ワイヤ32によって外部リード31に接続されており、相応して、オーム接触13は、対応するワイヤ33によって外部リード30に接続されている。やはり、これらは概略的に示されており、これらの要素は、オーム接触12とオーム接触13との間、ワイヤ32とワイヤ33との間、またはそれぞれの外部リード30と外部リード31との間のあらゆる短絡を回避するように配置されているということが理解される。
【0109】
図9は、ダイオード10またはランプ24がまたディスプレイに組み込まれ得るということを概略的に例示する。ディスプレイは、概して、充分に理解されており、本発明の利点を当業者に伝えるために、本明細書において記述される必要はない。一部の場合において、本発明に従ったダイオード10またはランプ24は、複数の赤色発光ダイオードおよび緑色発光ダイオードそれぞれと共にディスプレイに含まれ、赤色、緑色、および青色の発光に基づいたフルカラーのディスプレイを形成し得る。
【0110】
他の文脈において、本発明に従った蛍光体を組み込むランプ24が使用され、別のタイプのディスプレイに対するバックライトとして白色光を発生させ得る。1つの一般的なタイプのディスプレイは、液晶シャッタ34を使用して、発光ダイオードによって作成された白色バックライティングから適切なスクリーン35に色を生成する。
【0111】
図10は、色温度線と共に、波長(ナノメートル)とCIEのxおよびy色座標とで表されたCIE色度図の1つの再生である。この特定の図は、2007年4月にアクセスされた、Echo productions、CIE−1931 System;http://www.colorsystem.com/projekte/engl/37ciee.htmから取られた。しかしながら、CIE色度図は、多数のソースから広く入手可能であり、当業者によって充分に理解されている。更なる背景の説明は、上記のSchubert、セクション11.4からセクション11.8で入手可能である。発光ダイオードの特質は、発光ダイオードの色の出力がチャートの位置として表されるようなものである。本発明に従った白色発光ダイオードは、例えば、「Side−View Surface Mount White LED」に対する2006年4月24日出願の、同一人に譲渡され、かつ、同時係属出願第60/745,478号の比較的に非効率的な「サイドルッカ」または「サイドエミッティング」パッケージを含む様々な適切なLEDパッケージに組み込まれ得、該出願の内容は、その全体が本明細書において参考として援用される。このパッケージにおいて、光変換は、パッケージの内側におけるかなりの数の光の反射を伴い、チップから発せられる光子は、パッケージから出る前に、1回以上、チップに反射し得るか、またはチップを通過し得る。本発明に従った白色LEDは、1)発せられた光子が、より吸収する基板を有するチップを組み込む同様なパッケージにあるよりも、チップによって再吸収されにくい、および2)遠視野が、適切なチップ設計と形状とを介して調節され、白色変換効率およびパッケージからの光抽出を高め得るという2つの理由により、このタイプのパッケージに特に適している。適切な蛍光体と組み合わせて、本明細書において記述されたもののようなダイオードを使用することによって、工業規格でパッケージされた、遠視野パターンを有する0.6mmのサイドルッカパッケージにおいて、(0.3,0.3)付近のCIE色座標における20mAの順方向動作電流において2.0カンデラ(cd)を上回る光強度が、達成される。これはまた、約7000度の色温度に対応する。この場合、工業規格の遠視野は、110度を上回る最大強度の半分において全幅を有する遠視野として記述され得る。より高いCIE座標、より狭い遠視野、およびより幅が広い(例えば、0.8mm)パッケージに対する光強度は、相応してより高くなる。
【0112】
図面および明細書において、本発明の好適な実施形態が述べられ、特定の用語が利用されてきたが、それらの用語は、概略的かつ記述的な意味でのみ使用されており、限定の目的で使用されていない。本発明の範囲は特許請求の範囲において定義される。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1は、上部平面図の方向における、本発明に従ったダイオードの写真である。
【図2】図2は、側面立面図の方向における、本発明に従ったダイオードの第2の写真である。
【図3】図3は、本発明に従ったダイオードの概略的断面図である。
【図4】図4は、サファイアを基にした発光ダイオードの遠視野パターンである。
【図5】図5は、本発明に従った発光ダイオードの遠視野パターンである。
【図6】図6は、図4および図5に描かれた測定に対するLEDチップの方向を例示する概略図である。
【図7】図7は、2つの異なるLEDチップアーキテクチャの相対的な効率を比較した正規化された光抽出効率の図である。
【図8】図8は、本発明に従ったダイオードを組み込むLEDランプの概略図である。
【図9】図9は、本発明に従ったダイオードを組み込むディスプレイの概略図である。
【図10】図10は、CIE色度図の1つのバージョンの再生である。
【符号の説明】
【0114】
11 ダイオード
12、13 オーム接触
14 炭化珪素基板
15 活性領域
16 III族の窒化物材料のエピタキシャル層、p型層
17 エピタキシャル層、n型層
20、21 電流拡散部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードであって、
透明な炭化珪素基板と、
該炭化珪素基板上にIII族の窒化物材料系から形成される活性構造と、
該ダイオードの上側のそれぞれのオーム接触と
を備えており、
該炭化珪素基板は、該炭化珪素と該III族の窒化物との間のインタフェースに対して斜角を付けられている、発光ダイオード。
【請求項2】
前記炭化珪素基板は、該炭化珪素基板と前記III族の窒化物の活性構造との間の前記インタフェースに対して、約45度と約75度との間の角度で斜角を付けられている、請求項1に記載のダイオード。
【請求項3】
前記透明な炭化珪素基板は、約50ミクロンと約500ミクロンとの間の厚さであり、10%未満の吸収損失を特徴とする、請求項1に記載のダイオード。
【請求項4】
前記透明な炭化珪素基板は、5%未満の吸収損失を特徴とする、請求項3に記載のダイオード。
【請求項5】
前記基板は、炭化珪素の3C、2H、4H、6H、および15Rのポリタイプから成る群から選択されるポリタイプを有する単結晶である、請求項1に記載のダイオード。
【請求項6】
前記III族の窒化物材料は、窒化ガリウム、窒化インジウムガリウム、および窒化アルミニウムインジウムガリウムから成る群から選択される、請求項1に記載のダイオード。
【請求項7】
前記活性構造は、それぞれのIII族の窒化物のエピタキシャル層の間のp−n接合部である、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項8】
前記活性構造は、単一量子井戸、多重量子井戸、および超格子構造から成る群から選択される、請求項1に記載のダイオード。
【請求項9】
前記活性構造は、少なくとも1つの式InGa1−xNを有する窒化インジウムガリウムの発光層を含み、インジウムの原子分率Xは、約0.3以下である、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記炭化珪素基板は、少なくとも約0.1オームセンチメートルの抵抗率を有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項11】
前記炭化珪素基板は、少なくとも約0.2オームセンチメートルの抵抗率を有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項12】
前記炭化珪素基板は、少なくとも約0.3オームセンチメートルの抵抗率を有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項13】
前記活性構造は、III族の窒化物材料のそれぞれのp型層およびn型層から形成され、
前記オーム接触は、金、金−スズ、亜鉛、金−亜鉛、金−ニッケル、白金、ニッケル、アルミニウム、ITO、クロム、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項14】
工業規格の5mmランプにおける20mAの駆動電流において、少なくとも35mwの放射束を有する、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項15】
図5の遠視野パターンを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項16】
サイドローブ発光が順方向発光と等しい遠視野パターンを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項17】
サイドローブ発光が順方向発光を上回る遠視野パターンを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項18】
最大強度が最小強度の少なくとも2倍であり、かつ、最大強度と最小強度とが、互いから約60度と約90度との間にある遠視野パターンを示す、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項19】
約0.3および約0.3のCIEのxおよびyの色座標において、20ミリアンペアの順方向動作電流において少なくとも2カンデラの出力を示す、請求項1に記載の発光ダイオード。
【請求項20】
光変換蛍光体をパッケージされた、請求項1に記載の発光ダイオードを備えている、LEDランプ。
【請求項21】
サイドルッカパッケージ内に光変換蛍光体をパッケージされた、請求項20に記載の発光ダイオードを備えている、LEDランプ。
【請求項22】
前記蛍光体は、YAGを含む、請求項20に記載のLEDランプ。
【請求項23】
請求項1に記載の複数の発光ダイオードを備えている、ディスプレイ。
【請求項24】
複数の赤色発光ダイオードと複数の緑色発光ダイオードとをさらに備えている、請求項23に記載のディスプレイ。
【請求項25】
複数の白色発光ダイオードをさらに備えている、請求項23に記載のディスプレイ。
【請求項26】
前記複数の発光ダイオードは、複数の液晶ディスプレイシャッタを背面照明する、請求項23に記載のディスプレイ。
【請求項27】
LEDランプであって、
リードフレームと、
該リードフレーム上の斜角を付けられた透明な炭化珪素基板と、
該リードフレームとは反対側の、該炭化珪素基板上の、III族の窒化物材料系から形成される活性構造と、
該ダイオードの上側のそれぞれのオーム接触と、
該基板および該活性構造の上のポリマレンズと、
該活性構造によって発せられた光に応答し、かつ応答して様々な色の光を生成する、該ポリマレンズ内に分散された蛍光体と
を備えている、LEDランプ。
【請求項28】
前記活性構造は、可視スペクトルの青色部分において発光し、
前記蛍光体は、該青色放射を吸収し、かつ応答して黄色放射を発する、請求項27に記載のLEDランプ。
【請求項29】
前記蛍光体は、YAGを備えている、請求項27に記載のLEDランプ。
【請求項30】
複数の請求項29に記載のLEDランプを備えている、ディスプレイ。
【請求項31】
発光ダイオードの指向性の出力を指定する方法であって、炭化珪素基板を、該基板とIII族の窒化物のエピタキシャル層との間のインタフェースに対して鋭角で斜角を付けることを包含する、方法。
【請求項32】
前記ダイオードが、工業規格の5mmランプにおける20ミリアンペアの駆動電流において、少なくとも35mWの放射束を有する角度まで、前記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
サイドローブ発光が順方向発光と等しい遠視野パターンを生成する角度まで、前記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
サイドローブ発光が順方向発光を上回る遠視野パターンを生成する角度まで、前記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
最小強度の方向から60度と90度との間の方向に少なくとも2倍の強度を生成する角度まで、前記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
約0.3および約0.3のCIEのxおよびy色座標における20ミリアンペアの順方向動作電流において、少なくとも2カンデラの出力を生成する角度まで、前記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
サイドルッカパッケージにおける約0.3および約0.3のCIExおよびy色座標における20ミリアンペアの順方向動作電流において、少なくとも2カンデラの出力を生成する角度まで、前記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記インタフェースに対して約45度と約75度との間の角度まで、前記炭化珪素基板に斜角を付けることを包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
発光ダイオードであって、
約50ミクロンと約500ミクロンとの間の厚さであり、かつ、10パーセント未満の吸収損失を特徴とする炭化珪素基板と、
該炭化珪素基板上の、III族の窒化物材料系から形成される活性構造と、
該ダイオードの上側のそれぞれのオーム接触と、
該炭化珪素基板と該III族の窒化物の活性構造との間のインタフェースに対して実質的に垂直な側壁を有する炭化珪素基板と
を備えている、発光ダイオード。
【請求項40】
約0.3および約0.3のCIEのxおよびy色座標における20ミリアンペアの順方向動作電流において、少なくとも2カンデラの出力を示す、請求項39に記載の発光ダイオード。
【請求項41】
前記透明な炭化珪素基板は、5パーセント未満の吸収損失を特徴とする、請求項39に記載の発光ダイオード。
【請求項42】
前記基板は、炭化珪素の3C、2H、4H、6H、および15Rのポリタイプから成る群から選択されるポリタイプを有する単結晶である、請求項39に記載のダイオード。
【請求項43】
前記III族の窒化物材料は、窒化ガリウム、窒化インジウムガリウム、および窒化アルミニウムインジウムガリウムから成る群から選択される、請求項39に記載のダイオード。
【請求項44】
前記活性構造は、少なくとも1つの式InGa1−xNを有する窒化インジウムガリウムの発光層を含み、インジウムの原子分率Xは、約0.3以下である、請求項39に記載の発光ダイオード。
【請求項45】
前記炭化珪素基板は、少なくとも約0.1オームセンチメートルの抵抗率を有する、請求項39に記載の発光ダイオード。
【請求項46】
前記炭化珪素基板は、少なくとも約0.2オームセンチメートルの抵抗率を有する、請求項39に記載の発光ダイオード。
【請求項47】
前記炭化珪素基板は、少なくとも約0.3オームセンチメートルの抵抗率を有する、請求項39に記載の発光ダイオード。
【請求項48】
工業規格の5mmランプにおける20mAの駆動電流において、少なくとも35mwの放射束を有する、請求項39に記載の発光ダイオード。
【請求項49】
光変換蛍光体をパッケージされた、請求項39に記載の発光ダイオードを備えている、LEDランプ。
【請求項50】
複数の請求項39に記載の発光ダイオードを備えているディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−270819(P2008−270819A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111759(P2008−111759)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(506078378)クリー, インコーポレイティッド (26)
【Fターム(参考)】