説明

透明ろうそく用ゲル組成物

【課題】 透明性に優れ、製造操作が容易な透明ろうそく用ゲル組成物を提供することにある。
【解決手段】 ミネラルオイルと、ポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンとのトリブロック共重合体からなるゲル化剤とを含有する透明ろうそく用ゲル組成物。さらにこの組成物に、脂肪酸グリセライドおよび/あるいは脂肪酸モノエステルと香料とを加えた透明ろうそく用ゲル組成物本ゲル組成物は透明性に優れたおり、また熔融温度が比較的低く、製造操作が容易であり、容器に充填して使用するのに適している。さらに煤の発生が少なく、炎の大きさが一定であり、持続して燃焼する利点を有する。また香料の添加による濁りが見られず、燃焼時に組成物の全表面が均等に薄く融けるため、香りの放散性が優れている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明ろうそく用ゲル組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、ミネラルオイルと、ポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンとのトリブロック共重合体からなるゲル化剤とを含有する透明ろうそく用組成物に関する。さらに本発明は上記組成物に脂肪酸グリセライド、脂肪酸モノエステルおよび香料を配合した透明ろうそく用ゲル組成物に関する。本発明の透明ろうそく用ゲル組成物は比較的熔融点が低く容器に充填して使用するのに適している。
【0002】
【従来の技術】従来透明ろうそく組成物として、ミネラルオイルに熱可塑性ポリアミドを混合したもの(特公昭50−28442号、特公昭54−12948号、特公昭59−37318号)、可燃性有機溶剤化合物をゲル化剤で固化させたもの(特開昭58−201900号)あるいは植物油にベンジリデンソルビトール類を混合したもの(特開昭58−217597号)等が知られている。これらの組成物を用いて透明なろうそくを作製することはできるが、着火が困難である、立ち消えを生じる、炎の大きさが一定しない、煤が発生する、粘度が高すぎて製造操作が困難である等、多くの問題点があり、透明ろうそくの組成物として満足のいくものではなかった。これらの問題を改善した透明ろうそく用組成物として、ミネラルオイルにポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンとのジブロックとトリブロックとの少なくとも二種の共重合体の混合物からなる熱可塑性エラストマーを配合してゲル化したものが提案されている(米国特許第5,578,089号)。この組成物は、ミネラルオイルがゲル化剤から離漿するのが防止されているが、ジブロックの熱可塑性エラストマーを混合して使用しているために、ゲル強度が著しく上昇し、ミネラルオイルとの混合操作が困難であり、燃焼時に煤を発生しやすく、さらに消火後の透明ろうそくの外観が著しく悪いなどの問題点を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点がなく、消火した後にも優れた外観を保ち、安定でかつ持続的な燃焼が得られる、容器に充填して用いるのに適した透明ろうそく用ゲル組成物を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ミネラルオイルと、ポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンとのトリブロック共重合体からなるゲル化剤とを含有する透明ろうそく用ゲル組成物に関する。本発明は、さらに上記ミネラルオイルと、上記ゲル化剤と、脂肪酸グリセライドとを含有する透明ろうそく用ゲル組成物に関する。そして本発明は、上記ミネラルオイルと、上記ゲル化剤と、脂肪酸グリセライドと、脂肪酸モノエステルと、香料とを含有する透明ろうそく用ゲル組成物に関する。
【0005】本発明で用いられるミネラルオイルは、セーボルト(Saybolt)粘度計により100°Fの温度で測定した粘度が70〜350、好ましくは100〜300セーボルト秒数/100°F(saybolt sec./100°F)のものであり、軽質流動パラフィンおよび重質流動パラフィンのどちらでも使用できる。このようなミネラルオイルは常温で液状のC15〜C30炭化水素の混合物である。粘度が70saybolt sec./100°F以下のものは、十分なゲル強度を得られず、350saybolt sec./100°Fより高いものは、透明度が十分ではなく、また粘度の上昇が著しく、ゲル化剤との熔融混合操作が困難であるため好ましくない。上記ミネラルオイルは単独あるいは粘度が異なるものを二種以上適宜組み合わせて使用することができる。
【0006】ミネラルオイルの配合量は透明ゲル組成物全量に対して20〜85重量%(以下、本明細書において別段の定義をしない限り%は重量%を意味する)好ましくは50〜70%の範囲から適宜選択される。ミネラルオイルの使用量が20%未満の場合、安定で持続的な燃焼を得ることができない。
【0007】本発明において、ゲル化剤として用いられるポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンのブロック共重合体は、それ自体公知であってゴムの性能を有したプラスチック材料のスチレン系熱可塑性エラストマーである。このものは両末端相にポリスチレン相を持つブロックコポリマーで、ゴム中間相としてはポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンなどがあり、具体的にはポリブタジエン、ポリイソプレン、そして水素添加型のポリエチレン/ブチレン、ポリエチレン/プロピレンが挙げられる。
【0008】ブロック共重合体には、ジブロック、トリブロック、マルチブロックなどの種類がある。ジブロック共重合体は一般式A−B、トリブロック共重合体は、一般式A−B−A、A−B−C、マルチブロック共重合体は一般式−(A−B)n−と表示される。ここにAおよびCは硬質ブロックを表わし、Bは軟質ブロックを表わす。
【0009】本発明において使用するブロック共重合体は、ポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンのトリブロック共重合体であり、一般式A−B−Aで表されるもので一般式中のAは硬質ブロックであるポリスチレン相(S)、Bは軟質ブロックであるゴム中間相を示しており、具体的にはポリブタジエン(B)、ポリイソプレン(I)、そして水素添加型のポリエチレン/ブチレン(EB)、ポリエチレン/プロピレン(EP)が挙げられる。ジブロック共重合体は融点が高く、ミネラルオイルと熔融混合するのが困難であり、得られる混合物の融点も高い。従って、室温でそれ自体で形状を保つことのできる透明ろうそくの組成物には適しているが、容器に充填し、芳香性に優れた透明ろうそくの組成物には適していない。
【0010】上記のポリスチレン・ポリオレフィン・ポリスチレンブロック共重合体(SBS、SIS)の例としてシェル化学社製の「クレイトンD」(商品名)が挙げられ、またポリスチレン・ポリオレフィン・ポリスチレンブロック共重合体の水素添加物(S−EB−S、S−EP−S)の例として同じくシェル化学社製の「クレイトンG」(商品名)が挙げられる。本発明で使用する際の上記ブロック共重合体は製造操作の観点からパウダー状であることが好ましい。
【0011】ポリスチレンとポリオレフィンあるいは水素添加されたポリオレフィンの共重合体の配合量は、透明ゲル組成物に対して0.5〜20%、好ましくは1〜10%の範囲から適宜選択される。配合量が0.5%未満の場合、十分なゲル強度を得ることができず、配合量が20%を超えると著しい粘度の上昇による製造上の困難を伴うため好ましくない。
【0012】本発明に用いられる脂肪酸トリグリセライドは煤発生の抑制のために使用される。脂肪酸グリセライドの種類としては、脂肪酸のトリグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライドのいずれも使用することが出来る。脂肪酸トリグリセライドの例としては、トリアセチルグリセリル、トリアセチルヒドロキシステアリン酸グリセリル、トリアセチルリシノール酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリエルシン酸グリセリル、トリオキシステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・イソステアリン・アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・ラウリン酸)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・リノール酸)グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリルなどが挙げられる。脂肪酸ジグリセライドの例としては、ジステアリン酸グリセリル、ジアラキドン酸グリセリル、ジイソステアリンン酸グリセリドなどが挙げられ、脂肪酸モノグリセライドの例としてはエルカ酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、オキシステアリン酸グリセリルなどが挙げられる。これらは夫々単独でも二種以上適宜組み合わせて用いても良い。また、オリーブ油などの脂肪酸グリセライドを豊富に含んだ動植物性天然油脂を単独あるいは上記脂肪酸グリセライドと併用することができる。
【0013】脂肪酸グリセライドの配合量は、透明ゲル組成物全量に対して0.1〜40%、好ましくは1〜20%、更に好ましくは5〜15%の範囲から適宜選択される。配合量が0.1%未満の場合、煤発生の抑制効果が得られず、40%を超えると十分なゲル強度を得ることができない。
【0014】本発明において脂肪酸モノエステルは、ゲル化剤の溶解温度を下げ、製造工程上の利便性をもたらすと共に香料などの添加物によるゲル組成物の不透明化や香料の匂い立ちを改善するために用いられる。脂肪酸モノエステルの種類としては、ミネラルオイルに相溶するもので、常温で液状のものであれば特に制限はないが、好ましくはラウリン酸メチル、ラウリン酸イソステアリル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチルなどが挙げられる。
【0015】これらの脂肪酸モノエステルは夫々単独でも二種以上適宜組み合わせて用いることもできる。また、前記脂肪酸グリセライドと適宜組み合わせて用ることもできる。
【0016】脂肪酸モノエステルの配合量は、透明ゲル組成物に対して0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲から適宜選択される。配合量が0.1重量%未満の場合、溶解温度を下げる効果が得られず、ゲル組成物の透明度が低下する。また、配合量が30重量%を超えると、煤の発生、燃焼の安定性などに支障をきたす。
【0017】本発明の透明ゲル組成物には香料を配合することができる。本発明に用いられる香料はリモネンなどのモノテルペン系炭化水素、アビエチンなどのジテルペン系炭化水素、リナロールなどのテルペン系アルコール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール系、シトラールなどのテルペン系アルデヒド、メントンなどのテルペン系ケトン、p−メチルアセトフェノンなどの芳香族ケトン、ジフェニルエーテルなどのフェノール誘導体パラサイメンなどの芳香族炭化水素、デカナール等の脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、シトラールジメチルアセタールなどのアセタール類、イソシアルアセテートなどのカルボン酸エステル、α、β、γ−イオノンなどの脂環式ケトン、ムスコンなどの大環状ケトン、ローズオキサイドなどの環状エーテル、インドールなどの複素環式化合物、ギ酸ゲラニルなどの脂肪族酸エステル、安息香酸メチルなどの芳香族酸エステル、γ−ヘプチルブチロンラクトンなどのラクトン類などを任意に調合して得ることができるが、上記に限定されるものではない。
【0018】また、香料の溶解助剤として常温で液体かつ揮発性のイソパラフィンなどを香料と混合することにより用いることができる。香料の配合量は、透明ゲル組成物に対して0.1〜30%、好ましくは1〜10%の範囲から適宜選択される。配合量が0.1%未満の場合、満足な香り放散が期待できない。また、配合量が30%を超えると、煤の発生、燃焼の安定性などに支障をきたす。本発明のゲル組成物には、また、上記成分の他に必要に応じてその性質を損なわない範囲で他の成分を添加することができる。添加可能な成分としては、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素等が挙げられる。
【0019】本発明の透明ろうそく用ゲル組成物は、容器に充填し、燃焼用の芯を固定して使用される。容器の材質はろうそくを燃焼させたときに損傷しない限り、特に制限はなく、陶器、ガラス、プラスチック、紙などが用いられ、透明な容器が特に好ましい。容器の開口部の大きさには特に制限はないが、燃焼時にゲル組成物の表面全体が薄く液状化される程度の面積を有するのが香料の匂い立ちの点から好ましい。ろうそくの芯については特に制限はなく、通常ろうそくに用いられる芯材であればよいが、好ましくはそれ自体が自立する強度を有した芯、例えば中心に金属芯が含まれる(ヒューズ芯)などが挙げられる。
【0020】本発明の透明ろうそく用ゲル組成物を用いた透明ろうそくは、前記ミネラルオイル、ゲル化剤、脂肪酸グリセライド、脂肪酸モノエステルを90〜95℃で加熱溶解して、芯を固定した容器に充填することにより調製される。香料を添加する場合は、上記の如くして加熱溶解したものに香料を添加し、加熱を止めて撹拌し、直ちに芯を固定した容器に充填する。
【0021】以下に、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0022】
【実施例】実施例 1ミネラルオイル(230saybolt sec./100°F)98%、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン(水素添加型)トリブロック共重合体(シェル化学社製商品名:クレイトン G1654)2%の混合物を130℃で加熱溶解し、容器に充填して放置し、冷却し、無色透明ゲル組成物を得た。
【0023】実施例 2ミネラルオイル(230saybolt sec./100°F)88%、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン(水素添加型)トリブロック共重合体(シェル化学社製商品名:クレイトン G1654)4%、オリーブオイル(オレイン酸が主な構成脂肪酸)8%の混合物を130℃で加熱溶解し、実施例1と同様にして無色透明ゲル組成物を得た。
【0024】実施例 3ミネラルオイル(230saybolt sec./100°F)84%、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン(水素添加型)トリブロック共重合体(シェル化学社製商品名:クレイトン G1654)4%、オリーブオイル8%、ミリスチン酸イソプロピル4%の混合物を90℃で加熱溶解し、実施例1と同様にして無色透明ゲル組成物を得た。
【0025】実施例 4ミネラルオイル(230saybolt sec./100°F)79%、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン(水素添加型)トリブロック共重合体(シェル化学社製商品名:クレイトン G1654)4%、オリーブオイル8%、ミリスチン酸イソプロピル4%の混合物を90℃で加熱溶解後、70℃まで冷却し、香料(小川香料(株)グリーン6B13344)5%を添加し、実施例1と同様にして無色透明ゲル組成物を得た。
【0026】実施例 5ミネラルオイル(230saybolt sec./100°F)41%、ミリスチン酸イソプロピル4%及びミネラルオイルーカプリル・カプリン酸トリグリセリルー水素添加型スチレン−ブタジエントリブロック共重合体混合物(AIGLON社製商品名:トランスゲル510)50%の混合物を95℃で加熱溶解後、70℃まで冷却し、香料(小川香料(株)グリーン6B13344)5%を添加し、実施例1と同様にして無色の透明ゲル組成物を得た。
【0027】実施例 6粘度がそれぞれ、70、230または350saybolt sec./100°Fであるミネラルオイル96%、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン(水素添加型)トリブロック共重合体(シェル化学社製 商品名:クレイトン G1654)4%の混合物を130℃で加熱溶解し、容器に充填して放置し、冷却し、ゲル組成物を得た。粘度70saybolt sec./100°Fのミネラルオイルから得られたゲル組成物は融解温度70〜80℃の透明ゲル、粘度230saybolt sec./100°Fのミネラルオイルから得られたゲル組成物は融解温度80〜90℃の透明ゲルであり、粘度350saybolt sec./100°Fのミネラルオイルから得られたゲル組成物はやや不透明であり、沸騰水中でも融解しなかった。上記組成物はすべてに離漿現象は見られなかった。
【0028】実施例 7ミネラルオイル(230saybolt sec./100°F)88%、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン(水素添加型)トリブロック共重合体(シェル化学社製商品名:クレイトン G1654)4%からなる混合物に、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピルまたはアジピン酸ジオクチルをそれぞれ8%加えた混合物を調製し、次いでこれを130℃で加熱溶解し、実施例1と同様にしてゲル組成物を得た。いずれも弾力性のある、融解温度70〜80℃の透明なゲルであった。
【0029】比較例 1脂肪族ポリアミド樹脂(ヘンケル社製 商品名:バーサミド940)9%、ラウリルアルコールエチレンオキシド3モル付加物61%、ミネラルオイル(70saybolt sec./100°F)25%の混合物を120℃で加熱溶解後、90℃まで冷却し、香料(小川香料(株)グリーン6B13344)5%を添加し、撹拌した後容器に充填して放置し、冷却して黄色の透明ゲル組成物を得た。
【0030】試験例 1実施例1〜5及び比較例1で得られたゲル組成物について透明性、物性、温度安定性、香りの蒸散性、製造操作性を評価した。
【0031】評価基準香りの強さ直径1mmの芯を中央に固定した開口部30mm、高さ50mmのガラス容器にゲル組成物30gを熔融時に充填し、冷却した。このゲル組成物試験体を容積1500リットルの評価ボックス内に置き、密閉して2分間燃焼させたときの香りの強さを官能により評価し、下記の基準に従って採点した。
非常に強い:5やや強い :4普通 :3やや弱い :2非常に弱い:1
【0032】物 性上記のゲル組成物試験体についてa)炎の大きさ、b)煤の発生、c)熔融部の着色、d)硬さを評価した。
a)炎の大きさ上記試験体を30分間燃焼させ、炎の大きさを観察した。
良好 :炎の大きさが一定で持続燃焼する。
やや良好:炎の大きさが不安定であるが持続燃焼する。
不良 :炎の大きさが不安定で炎が消える。
b)煤上記試験体を10分間燃焼させ、煤の発生の状態を観察した。
なし :煤は発生しない。
ややあり:燃焼直後に煤が発生するが、次第に無くなる。
あり :煤を発生しながら燃焼する。
c)熔融部の着色上記試験体を30分間燃焼させ、消火後熔融部の着色状態を観察した。
なし :着色は無い。
ややあり:わずかに着色が見られる。
あり :着色が見られる。
d)硬さ上記試験体を横転させて1時間放置し、容器からのゲル組成物の流出を観察した。
良好 :ゲル組成物の流出は全く見られない。
やや良好:ゲル組成物の流出は見られないが、ゲル組成物が傾く。
不良 :ゲル組成物の流出が見られる。
結果を表1に示す。
【0033】
【表1】


【0034】
【発明の効果】ミネラルオイルとポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンとのトリブロック共重合体からなるゲル化剤とを含む本発明の透明ろうそく用ゲル組成物は、透明性に優れており、容器に充填して使用するのに適しており、炎の大きさが一定であり、持続して燃焼する利点を有する。ミネラルオイルとポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンとのトリブロック共重合体からなるゲル化剤と脂肪酸グリセライドとを含む本発明の透明ろうそく用ゲル組成物は、煤の発生が少なく炎の大きさが一定であり、持続して燃焼する利点を有する。ミネラルオイルとポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンとのトリブロック共重合体からなるゲル化剤と脂肪酸グリセライドと脂肪酸モノエステルと香料とを含む本発明の透明ろうそく用ゲル組成物は、上記利点に加えて熔融温度が比較的低く製造操作が容易であり、香料添加による濁りが見られず燃焼時に組成物全体が均等に薄く熔融するため、香りの放散性が優れており、消火後の外観も良好である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ミネラルオイルと、ポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンとのトリブロック共重合体からなるゲル化剤とを含有する透明ろうそく用ゲル組成物。
【請求項2】 ミネラルオイルと、ポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンとのトリブロック共重合体からなるゲル化剤と、脂肪酸グリセライドとを含有する透明ろうそく用ゲル組成物。
【請求項3】 ミネラルオイルと、ポリスチレンとポリオレフィンもしくは水素添加されたポリオレフィンとのトリブロック共重合体からなるゲル化剤と、脂肪酸グリセライドと、脂肪酸モノエステルと、香料とを含有する透明ろうそく用ゲル組成物。

【公開番号】特開2000−219892(P2000−219892A)
【公開日】平成12年8月8日(2000.8.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−24180
【出願日】平成11年2月1日(1999.2.1)
【出願人】(591011410)小川香料株式会社 (173)
【Fターム(参考)】