説明

透明ゲルろうそく

炭化水素オイル、芯、1以上の3ブロック,ラジアルブロック又はマルチブロックの共重合体からなる熱可塑性ラバー、及び選択的に2ブロック共重合体により構成される透明ゲルろうそく。

【発明の詳細な説明】
透明ゲルろうそく技術分野 本発明は、硬いゲル形状のろうそくに関し、特に、硬く異なる相の熱可逆鉱油ゲル、好ましくは白オイルゲル形状のろうそくに関する。本発明に係るろうそくは、ブロック共重合体とその混合物とを含み、該共重合体は好ましくはスチレン−ラバーのブロックユニットから抽出される。該ろうそくは、本来は透明であり無色である。前記ろうそくは、任意に1以上の色を付けることができ、また、芳香剤や機能的な添加剤だけではなく、内部及び/又は表面上の装飾的な特徴を含みうるものである。
背景技術 従来、ワックスで形成されたろうそくが公知である。この種のろうそくの多くの装飾上の欠点は、ろうそくを不透明としてしまうワックスの使用を必要とすることであり、これにより、内部装飾形態についていえば、装飾能力が制限されてしまう。
透明なオイルの瓶ろうそくも従来公知である。しかし、本発明以前には、これらのろうそくは、液体状のものに限られていた。これらの透明な液体状のろうそくは、内部の装飾的特徴は可能とするものの、例えば、柱状のろうそくの成形は不可能である。これらの液体状のろうそくは、空気中からの埃や他の微粒子物質が蓄積することが知られているため、美的理由から定期的にオイルを廃棄する必要がある。さらに、液体状のオイルろうそくはこぼれてしまうことがあり、そのために備品などが損傷してしまうことがある。更に、別の欠点として、液体状のろうそくは、使用者によって組み立てなければならない。
米国特許5395233号には、ポプリワックスのろうそくの製造方法が開示されている。この種のろうそくは、その内部に埋め込み式の装飾的特徴を有しているが、複雑な層状構造であるために容易に製造できない。
米国特許5132355号には、装飾的なモールドを施したろうそく用の基剤として使用することができるポリエチレンブロック共重合体ゲル化剤が開示されている。しかし、このろうそくは、透明ではなく、そのために装飾的な価値が制限されてしまう。
本発明は、前記従来技術の問題点を透明な硬いゲルろうそくを提供することによって解決する。したがって、本発明のろうそくによれば、従来のワックスろうそくの持つ装飾的な成形の利点と、液体状オイルろうそくの内部の装飾上の利点と、を合わせ持つことができる。このため、本発明に係るろうそくは、従来の柱状もしくは瓶状のワックスろうそくと、液体オイル瓶ろうそくとを改良した代用品を提供するものである。
本発明は、ろうそくの炭化水素源としてブロック共重合体ゲルを含むオイルの新しい用途を伴うものである。ろうそく用の技術には、改良された美的特質を持つことが要求される。硬くて透明なろうそくで、内部に装飾的な特徴が加えられたものが、特に要求される。したがって、本発明では、異なる相の熱可逆鉱油ゲルを製造し、透明で硬いゲルのろうそくとして利用できる望ましい特性を有するようにブロック共重合体とオイルの有効な結合が提供される。
ゲルを含む鉱油を製造する現行の方法は、金属石鹸,界面活性剤(マイクロエマルジョン)、単独重合体、イオン単独及び共重合体及びブロック共重合体の使用を含む。いくつかの共通のゲル化剤は、リチウム,カルシウム,ソディウム,アルミニウム,亜鉛及びバリウムの脂肪酸石鹸である。多くの単独重合体及び共重合体が、アタクチックエチレン−プロピレンを含む一定の重合体処理レベルでゲル炭化水素システムに使用されてきた。付属の塩グループを持つ単独重合体又は共重合体も、無極性マトリクスにイオンリッチ骨材を形成する。これら組成物のイオン相互作用及び結果としての重合体の特性は、しかし、重合体重要要素の型、イオン部分の型、陽イオンの型に依存する。塩化ポリスチレンは、この種のシステムを例示するものである。界面活性剤の混合物も、ゲル鉱油/水システムに使用されてきた。界面活性剤は、ゲルオイルに対して、また、ゲル対オイルと水が1:4の混合物に対して約30重量%の割合で使用される。ポリオキシエチレン ソルビタン 単オレイン酸のような非イオン界面活性剤は、これらのタイプのシステムを例示する。
ブロック共重合体はまた、選択的なスルホン化及び特別なブロックの連続的な相分離によって、ゲルに対して物理的な交差結合を与えることが知られている。
スチレン−イソプレン、スチレン−ブタジエン及びスチレン エチレン酸化物共重合体を含むブロックシステムが、この交差結合のために使用されてきた。
本発明に係るろうそくの特長は、以下に述べられ、当業者により容易に理解されるが、硬い異相の、熱可逆鉱油ゲルをろうそくの炭化水素部分として使用することにより提供される。
発明の概要 したがって、本発明の第1の目的は、ろうそく、好ましくは透明な瓶ろうそくとして使用した場合に有効な有利な特性を有する、異相の、熱可逆ゲル組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、一定の3ブロック,ラジアルブロック及び/又はマルチブロックの共重合体、及び選択的に2ブロック共重合体から形成され、ろうそくとして使用した場合に有効な特性を有する鉱油ゲル組成物を提供することである。
本発明の更に別の目的は、3ブロック,ラジアルブロック及び/又はマルチブロックの共重合体、及び選択的に2ブロック共重合体を結合した重合体を使用して、異相の熱可逆鉱油ゲルで構成される透明又は色付のろうそくを製造する方法を含む。該共重合体は、スチレン−ラバーブロック共重合体などの熱可塑性ラバーを基材とするのが好ましい。
本発明の他の目的及び特長は、以下の説明で明らかにされる。
前記目的及び特長を満たすため、本発明によれば、 (a)炭化水素オイルと、 (b)以下のグループから選択された少なくとも1ブロックの共重合体と、 1)3ブロック共重合体 2)ラジアルブロック共重合体 3)マルチブロック共重合体 (c)選択的に、2ブロック共重合体と、 (d)芯を含んで構成された透明又は色付のろうそくであって、更に選択的には、安定剤,酸化防止剤,着色剤,芳香剤及び又は機能的な添加剤などを含んで構成されるろうそくが提供される。
図面の簡単な説明 図1は、本発明の一実施例に係る透明な瓶ろうそくを示す。
発明の詳細な説明 本発明によれば、ブロック共重合体内に表れる物理的な交差結合の程度を制御することによって、ろうそくとしての用途に望ましい特性を有した、異なる相の熱可逆鉱油ゲルが形成できることがわかった。特に、このようなゲルは、硬くて透明なろうそくを提供できることが判った。
本発明では、ろうそくのゲルのコンシステンシーが、一定の重合体好ましくは3ブロック、ラジアルブロック及び/又はマルチブロックの共重合体、及び選択的に2ブロックの共重合体の量,比率及び型式を変えることにより制御されて、所望の流動学的な特性を持つゲルを提供し、その結果新規な硬いろうそくを提供する。したがって、本発明は、本質的には透明であるが、要求に応じて1以上の着色剤を使用して着色できるろうそくを提供する。本発明のろうそくは、瓶状のろうそく、特に透明な瓶状のろうそくであることが好ましい。
本発明によれば、3ブロック、ラジアルブロック及び/又はマルチブロックの共重合体、及び選択的に2ブロックの共重合体を結合した重合体が、しっかりと交差結合した硬いゲルを提供することが明らかとなった。
製造構成は、物理的な交差重合によって3次元の網目構造ないしゲルを形成するブロック共重合体から実現される。これらブロック共重合体の交差結合は、ドメインとして考えられる特定のブロックの略顕微鏡レベルの微粒子の構成に依存する。不溶性ドメインの交差結合は、不溶性ブロックドメインの長さ,溶性ブロックドメインの長さ及び交差結合しうる箇所の数を含む前記網目構造の交差結合の密度に影響を与える要素によって得られる。例えば、分岐状又は星状の重合体及び他のマルチブロック共重合体は、3ブロック又は2ブロック重合体より多くの交差結合を持つ。ブロックがさらされる溶剤又は可塑剤の種類もまた、これらの特性に影響を与える。
あるゲルでは、3ブロック共重合体内に存在する不溶性ブロックの濃度によって、収縮による液体のゲルからの分離が発生する。スチレンにより例示されるように、前記不溶性ブロックの濃度が高いほど、相の分離及び交差結合がより多く発生する。しかし、本発明によれば、発生する離液の量は、そのようなシステムを、離液が見られない3ブロック、ラジアルブロック及び/又はマルチブロックの共重合体、及び選択的に2ブロックの共重合体に混合することによって制御することができることが、さらに判明した。
本発明に係るろうそくの組成は、重合体を炭化水素オイルと組合せた混合物を使用する。炭化水素オイルは、白オイルが好ましい。これに限定されないが、精製された、芳香族−遊離のパラフィン性及びナフテン性のオイル、溶剤、例えば、ポリブテン、ポリプロプレン、ポリデシン、ポリテルペンなどの合成液の水素化合系又は非水素化合系のオリゴマー、を含む他のオイルが本発明に係るろうそくに有用である。
使用される重合体は、3ブロック、ラジアルブロック及び/又はマルチブロックの共重合体、及びこれらの混合物及び選択的に2ブロックの共重合体で構成されるグループから選択された少なくとも1つの共重合体で構成される。しかし、3ブロック、ラジアルブロック及び/又はマルチブロックの共重合体の少なくとも1つがろうそくの組成物として存在することが要求される。
本発明における3ブロック、ラジアルブロック及び/又はマルチブロックの共重合体は、各々少なくとも2つの熱力学的に不相溶性のセグメントを含んでいる。重合体に関して熱力学的に不相溶性であるという表現は、該重合体が少なくとも2つの不相溶性のセグメント、例えば少なくとも1つの硬いセグメントと少なくとも1つの柔らかいセグメントとを含んでいることを意味する。一般に、3ブロック重合体では、前記セグメントの比は、1つは硬く、1つは柔らかく、1つは硬いか、又は、A−B−A共重合体である。マルチブロック及びラジアルブロック共重合体は硬い特性と柔らかい特性とがあることを条件として、硬いセグメントと柔らかいセグメントとの任意の結合を含む。選択的な2ブロック共重合体では、ブロックは硬いセグメント及び柔らかいセグメントに関して規則的である。
本発明の組成を形成するのに特に有効な商業的に利用できる熱可塑性ラバー型重合体が、シェル ケミカル株式会社により登録商標「Kraton」で販売されている。該「Kraton」のラバー重合体は、高強度と低粘着性との独特の組合せを有し、線形の2ブロック,3ブロック及びラジアルブロックからなる独特の分子構造を有するエラストマーとして記載される。該「Kraton」ラバーの各分子は、スチレンの単量体ユニットと、ラバー単量体及び/又はコモノマーユニットのブロックセグメントにより構成されると言われている。各ブロックセグメントは100以上の単量体又はコモノマーユニットで構成される。最も普通の構造は、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)及びスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)の前記線形のABAブロック型であり、これは、「Kraton」のDラバーシリーズである。
この一般的なタイプの第2世代の重合体は、前記「Kraton」のGシリーズである。この共重合体は、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン型(S−EB−S)構造である。「Kraton」のGシリーズは、このシリーズの共重合体が水素化合され、このためにより熱的に安定なので、即ち、該Gシリーズの重合体を前記オイル(ラバーブロック内に不飽和物を有する前記Dシリーズの重合体)と混合しているときの分解の発生がより抑制される傾向があるので、本発明を実施するのに好ましい。「Kraton」のGシリーズラバーは、パラフィン性及びナフテン性のオイルと相溶性であることが示され、また、3ブロック共重合体はラバーのグレードと密度に依存して「Jello」(登録商標)から強い弾性ゴム材料に硬さを変えられる製品を作るのに、オイル中にその重量の20倍以上溶解させることが報告されている。選択的に混合された2ブロック重合体は、前記スチレン−エチレンプロピレン(S−EP)及びスチレン−エチレンブチレン(S−EB)、スチレン−ブタジエン(SB)及びスチレン−イソプレン(SI)などのAB型を含む。
前記「Kraton」ラバー分子のABA構造は、ポリスチレンエンドブロック及びエラストマーミッドブロックを有している。このシリーズの重合体は、接着剤、シーラント及びコーティングにおける配合剤又は添加剤、道路や屋根ふき用アスファルトモディフィケーション、重合体モディフィケーション,熱硬化性モディフィケーション及び粘度指数向上剤,グリース及びゲルとしての使用を含むオイルモディフィケーションであることが示されている。「Kraton」のGシリーズのあるグレードのものは、また、多等級の自動車オイルを公式化する粘着性調整剤として有効であることが指摘されている。
1988年1月28日に公開されたフランシス他による国際特許出願公開WO88/00603号には、1以上の本発明に係る組成物として使用可能であるブロック共重合体について述べられている。これらのブロック共重合体は、比較的硬いブロック及び比較的弾性的なブロックを含むブロック共重合体の親和性のある混合物で構成することができるゲル乃至ゲル状液体増量重合体組成物として記載されている。付加的な重合体又は共重合体材料は、前記ブロック共重合体の硬いブロックと少なくとも部分的な相溶性を有し、また、前記ブロック共重合体の硬いブロックより高温のガラス転移軟化若しくは溶融化温度を有する。前記共重合体は、更に少なくともブロック共重合体100に対し、重量にしてエキステンダー液500を有し、該エキステンダー液は、前記ブロック共重合体の弾性的なブロックを引き延ばし軟化するために存在する。前記エキステンダー液は、炭化水素オイル及び/又は合成オイルとすることができる。これらのゲル又はゲル状組成物は、本発明に係るろうそくに使用することができる型のゲルの一例である。
この公開された出願のすへての内容は本発明中に含まれる。前記国際特許出願公開WO88/00603号はまた、1986年6月3日公開のガルマラ(Garmarra)他の発明に係るヨーロッパ特許出願公開224389号について言及している。このヨーロッパ特許出願はスチレン−ジエンブロック共重合体組成物を開示しており、特に、3ブロック共重合体と炭化水素オイルとの混合物を開示している。この混合物は、(a)スチレンブロック/エチレン−ブチレンブロックが14/86〜30/70のスチレン/エチレン−ブチレン比、及び(b)スチレンブロック/エチレン−ブチレンブロックが31/69〜35/65のエチレン−ブチレン比の3ブロック共重合体で構成され、かつ、共重合体Aと共重合体Bとの比が略15/85〜85/15である。これらの組成物は、特に密封剤として有効である。この公開されたヨーロッパ特許出願に記載されたタイプのブロック共重合体も、本発明に係るろうそくの形成に使用できる。ヨーロッパ特許出願公開224389号
も、また、関連技術としてここに含まれる。
米国特許5221534号は、鉱油と、2及び3ブロック共重合体の混合物と、を有するゲルについて開示している。これらのゲルは、健康と美容用の酸の組成物として有効である。これら健康と美容用の酸の組成物は、少なくとも2つの2ブロック又は3ブロックの共重合体及び効果的な量の1以上の化粧品成分を含んでいる。米国特許5221534号においてより好ましい組成物は、2ブロックと3ブロックの共重合体を共に含み、重合体混合比は、2ブロック重合体/3ブロック重合体は約5/95重量%〜95/5重量%である。米国特許5221534号に開示されるゲルも、化粧品添加剤を除き、本発明に係るろうそくに使用され得る。米国特許5221534号の全ての内容もまた、関連技術としてここに含まれる。
米国特許4369284号は、食用オイル及び専用等級の白石油鉱油を含む3ブロック共重合体及びオイルから作られた透明なゲルについて記載している。前記3ブロック共重合体は、その中にエチレン及びブチレンのセンターブロックに対して特定のスチレンエンドブロックを持っている。該エチレン及びブチレンのセンターブロックに対するエンドブロックの比は、31/69と40/60の間で与えられる。しかし、本発明では、前記エチレン及びブチレンのセンターブロックに対するエンドブロックの比が31/69より小さくするのが好ましい。前記米国特許4369284号の実施例における重合体の含有量は、5.9〜25%である。米国特許4369284号に開示されている内容は、全体としてここに含まれる。
米国特許5132355号は、A−B−A型のポリエチレンブロック共重合体について開示してあり、ここでAは「硬い」ブロックであり、Bは「柔らかい」
ブロックである。この2ブロック共重合体から形成されたゲルは、パラフィンワックスと一緒に使用すれば、複合モールド成形されるろうそく用として有効である。
本発明の好ましい実施例では、重合体又は重合体の混合物が、天然又は合成の炭化水素オイル又はこれらの混合物等、担体ビヒクルとの混合剤として形成される。炭化水素オイルは、パラフィン性オイル,ナフテン性オイル,天然鉱油などでよい。白オイルが、特に好ましい。
ゲルに形成されるとき、共重合体又はその混合物は、組成物の総重量の約2〜約30%で構成される。オイルに含まれる重合体の総重量は、約3〜約20重量%の範囲とするのが好ましく、約5〜約15重量%或いはより好ましくは約7%〜約12重量%の範囲とすることもできる。本発明における共重合体の総重量を、約8.6重量%とするのが最も好ましい。
本発明に係る製品は、系統化して説明すると、炭化水素オイル即ち担体ビヒクルオイルの約70〜約98重量%を有し、約2〜約30%重量%の3ブロック、ラジアルブロック及び/又はマルチブロックの共重合体を有し、かつ、選択的に0〜約10重量%の2ブロックの共重合体を有して構成される。
本発明の好ましい組成物は、約4〜約20重量%の重合体混合物と、約80〜約96重量%の適宜な炭化水素オイル好ましくは白オイルとを含む。好ましい重合体は「Kraton」のGタイプ、特に「Kraton」のG−1650の3ブロック重合体である。
「Kraton」のG−1650は、約0.91の比重を有するSEBS3ブロック共重合体であり、D-412-張力ジョーテスター分離速度10in/minのASTM方法で測定すると、約500psiの張力を有すると言われている。「Kraton」のG−1650のラバー内容量に対するスチレンの量は、製造業者によれば約29/71と言われ、ブルックフィールド(Brookfield)粘度は約8000(トルエン溶液,77°F,25重量%での毎秒サイクル)である。ショア(Shore)
A硬さは、約75である。
選択的な2ブロック共重合体で好ましいのは、「Kraton」のG1702である。
本発明の特に好ましい実施例では、組成物がオイル、特に滑らかな均質の硬さを持つことで知られる天然又は合成の白オイルと結合するこれまで述べたような「Kraton」の3ブロック共重合体で構成される。
本発明に係るろうそくは、前記炭化水素オイルの中に、1以上の3ブロック、ラジアルブロック及び/又はマルチブロックの共重合体、又はこれらの混合物を所望の量だけ混合することにより形成される。2ブロック共重合体も、選択的に含ませることができる。炭化水素オイル中に含まれる各共重合体の量及び混合物の量は、最終的なゲルの形態を決定する。一般に、共重合体の内容量が多いほど、硬いゲルとなる。本発明に係るゲルは、硬くて透明なゲルである。
前記ろうそくは、重合体とオイルとを混合し、該混合物を約50°Cから90°Cに加熱して、共重合体又は共重合体混合物をオイル中に溶かすことにより形成される。混合は、任意の従来方法によって行うことができ、特に、着色剤,芳香剤その他の添加と同時に行うのが好ましい。冷却すると、硬くて透明なゲルが形成される。組成物が溶けている状態のときに、芯を加えるのが好ましい。変形態様としては、成形されたゲルを加熱して、芯を付加し、冷却によってゲルを再成形することができる。
本発明の更に別の実施例では、まず炭化水素オイルが約50°Cから約90°Cまで加熱され、この時点で、共重合体の混合物を、既述したような所望の重量%添加する。前記共重合体がオイル中に溶けるのに十分な時間が経過した後、組成物を、芯を含んだモールド若しくは瓶の中に注ぐか、又は、変形例として芯をその後で加え、組成物が硬いゲルになるまで冷却されるようにする。本発明に係る方法及び本開示内容を考慮して当業者に自明な同様の変形態様は、本発明の範囲に属するものである。
本発明に係るろうそくを形成する上で特に好ましいのは、モールド若しくは瓶の中で重合体の組成物を冷却することである。モールドは、例えば、柱状ろうそくに所望の外観を与えるのに用いられる。従来の瓶、透明なガラス、色付きガラス乃至例えば彫刻,エッチングカット等装飾されたガラス、その他のものが、本発明に係るろうそくの保持部材として使用される。透明なガラス瓶を瓶ろうそく用に使用するのが好ましい。
図1は、本発明の1実施例に係る透明なガラス瓶ろうそくである。該ろうそくは、透明で硬く、熱的に可逆な鉱油ゲル5及び芯7の入った透明なガラス瓶3で構成される。
前記ろうそくは、典型的な多孔性材料で、特にろうそくデザイン用に適した厚さを持つ芯が採用される。この場合、ろうを塗ってもよく塗らなくてもよい。芯は、従来からあり、当業者によく知られたものが使用される。該芯は、所望により、色付きの炎,火花を与えるように、例えば、縞模様を施し、色付けし、特別な効果を出す材料を注入若しくはコーティングして装飾的形態にすることができる。
本発明に係るろうそくは、また、ろうそくの望ましい特性に影響を与えたり該特性を減じたりすることがない範囲で、安定剤,酸化防止剤,粘着防止剤,着色剤,芳香剤等の1以上の従来から使用される添加剤を含むものであってもよい。
酸化防止剤については、特定の基準がBHTに対して設定され、それによれば、一般に約0.01重量%が採用されている。
着色剤は、ゲルの組成物が一般に透明であるので、所望すれば、本発明では有効である。このように、本発明に係るろうそくは、着色剤を採用した場合、該着色剤の量をコントロールすることにより、所望に応じて完全に半透明なものから深く色付けされたものまで変化させることができる。該ろうそくは、多色としたり、色付けされた層を持つようにすることもできる。後者は、1つの色付けされた層を形成し、該層を冷却し、第2の色付けされた層で覆う、などによって形成できる。
他のデザインとして、単色乃至多色の渦巻きのようにすることもできる。このような渦巻きは、ゲル組成物を冷却中であって完全に凍結する前に、色を加え、ゆっくりとかき回すことによって得られる。同様なデザインの変形例は、本明細書を考慮すれば当業者には容易になしうるものであり、本発明の範囲に属するものである。
本発明に係るろうそくの装飾上の別のメリットは、装飾的特徴物をろうそく本体内部に埋め込むことができることである。このような装飾的特徴物は、ろうそくのゲル組成物内において要求に応じて不溶性又は溶性のどちらでもよい。このような装飾的特徴物の使用によって、装飾的特徴においてこれまで不可能であったものに対する可能性が得られ、実質的にどのような装飾物も、このような装飾的特徴物が逆に望ましくない方法でろうそくの燃焼能力に良くない影響を与えるのでなければ、ろうそく本体内部に含ませることができる。
上記の点にも関わらず、本発明では、所望に応じて、ろうそくの燃焼を妨げる装飾的及び他の機能的な物品を、ろうそく内に装着するようにしてもよい。例えば、適切なろうそくのデザインでは、ろうそくの周囲近傍に配置されてはいるが、芯や炎とは繋がっていない装飾的特徴物はろうそくの動作に悪影響を及ぼさないので、所望の形態とすることができる。このような装飾的特徴物は、例えば、溶解物を十分に冷却した後であるが完全に凍結するより前に、ゲル組成物に加えることによって、ろうそく内に配置することができる。
典型的な不溶性の装飾的特徴物は、星(状のもの),光り物,火花(状のもの),リボンなどを含む。
特別な効果、例えば、火花を発し、炎を色付かせるなど、又は、これらを混合した効果を出すような他の装飾的な添加剤を、ろうそくのゲル組成物に通常の量で要求に応じて加えることもできる。
芳香剤、例えば、シナモン,スパイス,ヤマモモ,松,エッセンスオイルなども従来のワックスろうそくが心地よい香りの添加剤を用いるのと同様の方法によって、本発明に係るろうそくには有効である。従来のオイルベース,固形及び他の芳香剤が利用でき、これらは当業者には公知である。これらの芳香剤は、本発明に係る組成物のオイル中に含有させて使用することができる。変形態様としては、芳香剤が特に揮発性を有している場合は、組成物の冷却中であって完全に凍結する前に添加するのが好ましい。
芳香剤は一般にゲル組成物全体の約20重量%まで使用される。しかし、芳香剤添加剤を、本発明に係るろうそくの組成物におけるこれら芳香剤添加剤の溶解特性レベルまで使用できることは、当業者には明らかである。したがって、ここにクレームされた本発明は、特別な芳香剤添加剤の重量%に関して限定されるものではない。
本発明に係るろうそくは、また、防虫剤などの機能的な添加剤を含んで、このような添加剤を含む従来のろうそくと同様の能力を有して使用できる。これらの添加剤は、本発明では、当業者に知られた従来の量が使用される。例えば、米国特許5387418号では、本発明に係るろうそくに使用することができる防虫剤化合物の1例が開示されている。シトロネラ(Citronella)は本発明に使用することができる別の防虫剤の例である。
他の機能的な添加剤の例としては、ろうそく内の適宜な位置に難燃性付与剤を配置することができ、その位置でろうそくの火が自動的に消えるようにする。このように、ろうそくが例えば底から1インチの位置で自己消炎することを所望する場合には、難燃性付与剤を含む本発明に係る組成物の第1の層を、1インチの高さ位置に注入すればよい。前記第1の層の冷却後、難燃性付与剤を含まないゲル組成物の次の層で、第1の層の上を覆うことができる。使用時には、前記難燃性付与剤を充填した箇所に達するまで、ろうそくは正常に燃えるが、その箇所で自己消炎する。難燃性付与剤は、当業者に知られており、従来使用されているレベルで使用される。
本発明に係るろうそくの形成の際は、可能ならば、炭化水素オイルに所望の量の添加剤を添加するのが最も好ましい。添加剤をろうそくの基本組成物を混合しているとき、又は、前記組成物がゲル化するように冷却されている間に、添加することもできる。
以下の実施例は、本発明を説明するために示されるが、これに限定されるものではない。各実施例では各部分は別記しない限り、重量で示したものである。
これらの実施例では、2ブロック及び3ブロック重合体は、シェルケミカル株式会社製の「Kraton」の重合体が使用される。
実施例1 「Kraton」熱可塑性ラバーを、種々の化合物中のDrakeol−7中に、種々の割合(%)で溶かした。これらのゲルを、鉱油中に示されるブロック共重合体を、約50°Cから70°Cで溶解することによって形成した。溶液は、透明なガラス瓶に注入し、冷却した。結果を表1に示す。


前記各混合物は、固形(非流動)であるが柔らかいゲルであり、かつ、僅かに半透明なゲルを作り出す混合物5及び6を除いて硬くて透明なゲルを作り出すことが分かった。ゲル2及び4は、非常に硬かった。
実施例2 混合物は、84.99重量%のDrakeol−7、約15重量%の「Kraton」1650 3ブロック共重合体及び約0.01重量%のBHTを有するものを用意し、実施例2の手順で処理する。冷却処理をして、組成物をガラス瓶に注入し、標準的なろうそくの芯を前記ゲルに加え、ゲル化が完了するまで所定の位置に保持する。結果物であるろうそくは、透明であり、数時間むらなく燃える。
実施例3 混合物は、84.99重量%のDrakeol−7、約8重量%の「Kraton」1650 3ブロック共重合体、約2重量%の「Kraton」G−1702 2ブロック共重合体及び約0.01重量%のBHTを有するものを用意し、実施例2の手順で処理する。冷却処理をして、組成物を透明な緑色ガラス瓶に注入し、標準的なろうそくの芯を前記ゲルに加え、ゲル化が完了するまで所定の位置に保持する。結果物であるろうそくは、瓶内で透明であり、数時間むらなく燃える。
実施例4 混合物は、87.49重量%のDrakeol−7、約8重量%の「Kraton」1650 3ブロック共重合体、約4.5重量%の「Kraton」G−1720 2ブロック共重合体及び約0.01重量%のBHTを有するものを用意し、実施例2の手順で処理する。冷却前に、組成物を透明なガラス瓶に注入し、標準的なろうそくの芯を前記ゲルに加え、ゲル化が完了するまで所定の位置に保持する。
結果物であるろうそくは、瓶内で透明であり、数時間むらなく燃える。
実施例5 混合物は、91.39重量%のDrakeol−7、約8.5重量%の「Kraton」1650 3ブロック共重合体、約0.1重量%の「Kraton」G−1720 2ブロック共重合体及び約0.01重量%のBHTを有するものを用意し、実施例2の手順で処理する。冷却前に、組成物を透明なガラス瓶に注入し、標準的なろうそくの芯を前記ゲルに加え、ゲル化が完了するまで所定の位置に保持する。結果物であるろうそくは、瓶内で透明であり、数時間むらなく燃える。
実施例6 混合物は、91.99重量%のDrakeol−7、約8重量%の「Kraton」1650 3ブロック共重合体及び約0.01重量%のBHTを有するものを用意し、実施例2の手順で処理する。冷却前に、組成物を透明なガラス瓶に注入し、標準的なろうそくの芯を前記ゲルに加え、ゲル化が完了するまで所定の位置に保持する。結果物であるろうそくは、瓶内で透明であり、数時間むらなく燃える。
本発明は、以上のように幾つかの好ましい実施例を参照して説明してきた。しかし、これらの変形態様は当業者により明らかであり、本発明はこれらに限定されるものではない。

【特許請求の範囲】
1.約70〜約98重量%の炭化水素オイル、3ブロック,ラジアルブロック及びマルチブロック共重合体からなるグループから選択された約2〜約30重量%の共重合体、0〜約10重量%の2ブロック共重合体、及び芯によって構成されたろうそくを構成する製造品。
2.更に、瓶を含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の製造品。
3.前記ろうそくが、酸化防止剤,安定剤,芳香剤,着色剤,防虫剤及び難燃性付与剤からなるグループから選択された添加剤を含んで構成されたことを特徴とする請求項2に記載の製造品。
4.前記ろうそくが、更に、酸化防止剤を含んで構成されたことを特徴とする請求項3に記載の製造品。
5.前記ろうそくが、更に、芳香剤を含んで構成されたことを特徴とする請求項3に記載の製造品。
6.前記ろうそくが、更に、着色剤を含んで構成されたことを特徴とする請求項3に記載の製造品。
7.前記ろうそくが、更に、防虫剤を含んで構成されたことを特徴とする請求項3に記載の製造品。
8.前記ろうそくが、約85〜約98重量%の炭化水素オイルと、3ブロック,ラジアルブロック及びマルチブロック共重合体からなるグループから選択された約2〜約15重量%の共重合体により構成されたことを特徴とする請求項1に記載の製造品。
9.前記ろうそくが、約93〜約98重量%の炭化水素オイルと、3ブロック,ラジアルブロック及びマルチブロック共重合体からなるグループから選択された約7〜約10重量%の共重合体、0〜約10重量%の2ブロック共重合体を含んで構成されたことを特徴とする請求項8に記載の製造品。
10.約70〜約98重量%の炭化水素オイル、3ブロック,ラジアルブロック及びマルチブロック共重合体からなるグループから選択された約2〜約30重量%の共重合体、0〜約10重量%の2ブロック共重合体、及び芯によって構成されたろうそく。
11.瓶ろうそくであることを特徴とする請求項10に記載のろうそく。
12.酸化防止剤,安定剤,芳香剤,着色剤及び防虫剤からなるグループから選択された添加剤を更に含んで構成されたことを特徴とする請求項10に記載のろうそく。
13.更に、着色剤を含んで構成されたことを特徴とする請求項12に記載のろうそく。
14.透明であることを特徴とする請求項12に記載のろうそく。
15.約70〜約98重量%の炭化水素オイル、3ブロック,ラジアルブロック及びマルチブロック共重合体からなるグループから選択された約2〜約30重量%の共重合体、0〜約10重量%の2ブロック共重合体から構成される組成物を混合し、 前記組成物を溶解物となるまで加熱し、 前記溶解物を瓶に移し、 前記溶解物に芯を配置し、 前記溶解物を冷却して硬いゲルろうそくを形成する、 ステップにより構成されることを特徴とする瓶ろうそくの製造方法。
16.前記組成物は、約85〜約98重量%の炭化水素オイルと、3ブロック,ラジアルブロック及びマルチブロック共重合体からなるグループから選択された約2〜約15重量%の共重合体により構成されていることを特徴とする請求項15に記載の瓶ろうそくの製造方法。
17.前記組成物は、約90〜約98重量%の炭化水素オイルと、3ブロック,ラジアルブロック及びマルチブロックからなるグループから選択された約2〜約10重量%の共重合体、0〜約10重量%の2ブロック共重合体により構成されたことを特徴とする請求項16に記載の瓶ろうそくの製造方法。
18.炭化水素オイルを加熱し、 前記加熱された炭化水素オイルに、各々共重合体オイル組成物の総重量に対して、3ブロック,ラジアルブロック及びマルチブロック共重合体からなるグループから選択された約2〜約30重量%の共重合体及び0〜約10重量%の2ブロック共重合体を加え、 前記加熱されたオイル中の共重合体を、溶解物となるまで加熱し、 前記溶解物を瓶又はモールドに移し、 前記溶解物に芯を配置し、 前記溶解物を冷却して硬いゲルろうそくを形成する、 ステップにより構成されることを特徴とするろうそくの製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表平11−511498
【公表日】平成11年(1999)10月5日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−510598
【出願日】平成8年(1996)8月28日
【国際出願番号】PCT/US96/13993
【国際公開番号】WO97/08282
【国際公開日】平成9年(1997)3月6日
【出願人】
【氏名又は名称】ペンゾイル プロダクツ カンパニー