説明

透明ディスプレイ装置

【課題】複数人のユーザが透明ディスプレイ装置を挟んで対話する際に、情報共有を容易にすることができる透明ディスプレイ装置を提供すること。
【解決手段】表示面114aの裏面と表示面114bの裏面とが対向するように、表示面114aおよび表示面114bは配置される。表示部11は、表示面114aおよび表示面114bの各々において同一の文字情報を左右正像で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明ディスプレイ装置に係わり、特に、画像や文字情報を表示することが可能で、表示面が透けて見える透明ディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一対の透明電極に挟まれた発光層を有し、両面表示することが可能で、背景(表示面)が透けて見える透明ディスプレイ装置が注目されている。特に、有機EL(Electro-Luminescence)パネルを用いる透明ディスプレイ装置が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−071948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記透明ディスプレイ装置は、当該透明ディスプレイ装置の表と裏の両方に画像等を表示可能である。そこで、互いに向き合っているユーザAおよびユーザBの間に上記透明ディスプレイ装置を置いて、透明ディスプレイ装置の情報を共有しながらコミュニケーション(対話)が可能である。
【0005】
ユーザAとユーザBが透明ディスプレイ装置を挟んで対話する際に、情報共有をもっとし易くし、よりコミュニケーション(対話)がし易くなる透明ディスプレイ装置が強く要望されている。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、複数人のユーザが透明ディスプレイ装置を挟んで対話する際に、情報共有を容易にすることができる透明ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る透明ディスプレイ装置は、透光性を有する表示部を備え、前記表示部は、透光性を有する第1表示面および第2表示面を有し、前記第1表示面の裏面と前記第2表示面の裏面とが対向するように、前記第1表示面および前記第2表示面は配置され、前記表示部は、前記第1表示面および前記第2表示面の各々において同一の文字情報を左右正像で表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数人のユーザが透明ディスプレイ装置を挟んで対話する際に、情報共有を容易にすることができる透明ディスプレイ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態1に係る透明ディスプレイ装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る透明ディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
【図3A】一般的なLCDパネルの画素断面図である。
【図3B】照明を用いた構成を示す図である。
【図4A】パネルの構成を示す図である。
【図4B】画素部の構成の一例を示す上面図である。
【図5】サブ画素部の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る透明ディスプレイ装置が行う処理のフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係る透明ディスプレイ装置の動作に従ったパネルの表示例を示す図である。
【図8】比較例に係る透明ディスプレイ装置の構成を示す図である。
【図9】比較例に係る透明ディスプレイ装置の動作に従ったパネルの表示例を示す図である。
【図10】一例としての文字情報の配置構成を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る透明ディスプレイ装置の断面図である。
【図12】液晶シャッタパネルの駆動方法を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態3に係る透明ディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の実施の形態3に係る透明ディスプレイ装置の断面図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係るパネルの構成を示す図である。
【図16】画素部の構成の一例を示す上面図である。
【図17】サブ画素部の断面図である。
【図18】本発明の実施の形態3に係る透明ディスプレイ装置が行う処理のフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態3に係る透明ディスプレイ装置の動作に従ったパネルの表示例を示す図である。
【図20A】本発明の実施の形態4に係る透明ディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
【図20B】本発明の実施の形態4に係る透明ディスプレイ装置が行う処理のフローチャートである。
【図21】本発明の実施の形態4に係る透明ディスプレイ装置の動作に従ったパネルの表示例を示す図である。
【図22】本発明の実施の形態4に係る透明ディスプレイ装置の動作に従ったパネルの表示例を示す図である。
【図23】本発明の実施の形態5に係る透明ディスプレイ装置の構成を示す図である。
【図24】本発明の実施の形態5に係る透明ディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
【図25】画素部の構成の一例を示す断面図である。
【図26】本発明の実施の形態5に係る透明ディスプレイ装置が行う処理のフローチャートである。
【図27】透過率変更部のうち、透過率を変更させるための領域を説明するための図である。
【図28】本発明の実施の形態5に係る透明ディスプレイ装置の動作に従ったパネル14の表示例を示す図である。
【図29】本発明の実施の形態5の変形例1に係る透過率変更部の構成を示す図である。
【図30】本発明の実施の形態5の変形例2に係る透過率変更部の構成を示す図である。
【図31】本発明の実施の形態6に係る透明ディスプレイ装置の構成を示すブロック図である。
【図32】本発明の実施の形態6に係る透明ディスプレイ装置の断面図である。
【図33】本発明の実施の形態6に係るパネルの構成を示す図である。
【図34】画素部の構成の一例を示す上面図である。
【図35】サブ画素部の断面図である。
【図36】本発明の実施の形態6に係る透明ディスプレイ装置が行う処理のフローチャートである。
【図37】本発明の実施の形態6に係る透明ディスプレイ装置の動作に従ったパネルの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一態様に係る透明ディスプレイ装置は、透光性を有する表示部を備え、前記表示部は、透光性を有する第1表示面および第2表示面を有し、前記第1表示面の裏面と前記第2表示面の裏面とが対向するように、前記第1表示面および前記第2表示面は配置され、前記表示部は、前記第1表示面および前記第2表示面の各々において同一の文字情報を左右正像で表示する。
【0011】
すなわち、前記第1表示面の裏面と前記第2表示面の裏面とが対向するように、前記第1表示面および前記第2表示面は配置される。前記表示部は、前記第1表示面および前記第2表示面の各々において同一の文字情報を左右正像で表示する。
【0012】
ここで、互いに向き合っているユーザAおよびユーザBの間に、透明ディスプレイ装置が配置されるとする。また、ユーザAおよびユーザBは、それぞれ、第1表示面および第2表示面を見ているとする。
【0013】
この場合、前記第1表示面および前記第2表示面の各々において同一の文字情報が左右正像で表示されるため、ユーザAおよびユーザBは、当該文字情報を容易に認識することができる。そのため、複数人のユーザが透明ディスプレイ装置を挟んで対話する際に、情報共有を容易にすることができる。
【0014】
また、好ましくは、前記表示部は画像を表示する場合、前記第1表示面では前記画像を左右正像で表示し、前記第2表示面では前記画像を左右逆像で表示する。
【0015】
また、好ましくは、前記表示部は、前記第1表示面に対し垂直な方向において互いに一致する、前記第1表示面内の位置および前記第2表示面内の位置に前記画像を表示する。
【0016】
この構成により、互いに向き合っているユーザAおよびユーザBは、同じ位置を見ながら、対話等をすることができる。そのため、情報共有を容易にすることができる。
【0017】
また、好ましくは、前記表示部は、前記第1表示面に対し垂直な方向において互いに一致する、前記第1表示面内の位置および前記第2表示面内の位置に前記同一の文字情報を表示する。
【0018】
この構成により、互いに向き合っているユーザAおよびユーザBは、同じ位置を見ながら、対話等をすることができる。そのため、情報共有を容易にすることができる。
【0019】
また、好ましくは、前記透明ディスプレイ装置は、さらに、前記第1表示面および前記第2表示面に表示するための文字情報の向きを制御する文字情報表示方向制御部を備え、前記文字情報表示方向制御部は、前記表示部に、前記第1表示面および前記第2表示面の各々において前記同一の文字情報を左右正像で表示させる。
【0020】
また、好ましくは、前記文字情報表示方向制御部は、前記表示部に、前記第1表示面に対し垂直な方向において一致する、前記第1表示面内の領域および前記第2表示面内の領域において所定期間毎に前記同一の文字情報を左右正像で表示させるための時分割表示処理を行う。
【0021】
また、好ましくは、前記透明ディスプレイ装置は、さらに、前記第1表示面および前記第2表示面に表示するための動画像の特徴を判定する動画像判定部と、前記動画像判定部による判定結果に基づいて、前記第1表示面および前記第2表示面の各々において該動画像を表示する向きを制御する表示方向制御部とを備える。
【0022】
また、好ましくは、前記動画像はオブジェクト画像を示し、前記動画像判定部は、前記オブジェクト画像の所定時間における移動距離が閾値以上であるか否かを判定し、前記表示方向制御部は、前記動画像判定部により前記オブジェクト画像の所定時間における移動距離が閾値以上であると判定された場合、前記表示部に、前記第1表示面および前記第2表示面の各々において前記動画像を左右正像で表示させる。
【0023】
また、好ましくは、前記表示部は、前記第1表示面および前記第2表示面が設けられた1つのパネルを有する。
【0024】
また、好ましくは、前記表示部は、前記第1表示面および前記第2表示面がそれぞれ設けられた第1パネルおよび第2パネルを有する。
【0025】
また、好ましくは、前記透明ディスプレイ装置は、さらに、前記第1表示面の裏面と対向するように設けられた透過率変更部を備え、前記透過率変更部は、前記表示部が前記第1表示面に少なくとも画像および文字情報を表示する場合、前記透過率変更部のうち、前記第1表示面に表示される前記画像を含む領域である画像領域の透過率と、前記透過率変更部のうち、前記第1表示面に表示される前記文字情報を含む領域である文字領域の透過率とを異ならせる。
【0026】
すなわち、前記透過率変更部は、前記表示部が前記第1表示面に少なくとも画像および文字情報を表示する場合、前記透過率変更部のうち、前記第1表示面に表示される前記画像を含む領域である画像領域の透過率と、前記透過率変更部のうち、前記第1表示面に表示される前記文字情報を含む領域である文字領域の透過率とを異ならせる。
【0027】
これにより、画像領域に対応する画像と、文字領域に対応する文字情報とが識別しやすくなる。したがって、第1表示面に表示される表示内容の視認性の低下を抑制することができる。
【0028】
また、好ましくは、前記透過率変更部は、前記文字領域の透過率を、前記画像領域の透過率より大きくする。
【0029】
これにより、文字情報よりも、画像領域に対応する画像の視認性を向上することができる。
【0030】
また、好ましくは、前記透過率変更部は、該透過率変更部のうち、少なくとも前記画像領域および前記文字領域以外の領域である背景領域の透過率を、前記文字領域の透過率より大きくする。
【0031】
また、好ましくは、前記透明ディスプレイ装置は、さらに、前記表示部が前記第1表示面に少なくとも画像および文字情報を表示する場合、前記画像領域および前記文字領域の位置を特定し、前記画像領域の透過率と前記文字領域の透過率とを異ならせるよう、前記透過率変更部を制御する透過率制御部を備える。
【0032】
また、好ましくは、前記透過率変更部は、前記表示部が前記第1表示面に、前記文字情報と、画像としての静止画像および動画像とを表示する場合、(i)前記透過率変更部のうち、前記第1表示面に表示される前記静止画像を含む静止画像領域の透過率を、前記透過率変更部のうち、前記第1表示面に表示される前記動画像を含む動画像領域の透過率より大きくするとともに、(ii)前記文字領域の透過率を前記静止画像領域の透過率より大きくする。
【0033】
これにより、静止画像よりも、動画像の視認性を向上することができる。
【0034】
以下に、本発明の一実施の形態を説明するが、当然ながら本発明はこれらの形態に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。また、以下の説明では、同一の構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
【0035】
(比較例)
以下、図面を参照しながら、比較例に係る透明ディスプレイ装置900について説明する。
【0036】
図8は、比較例に係る透明ディスプレイ装置900の構成を示す図である。
【0037】
図8(a)は、比較例に係る透明ディスプレイ装置900の斜視図である。図8(a)において、X,Y,Z方向の各々は、互いに直交する。以下の図に示されるX,Y,Z方向の各々も、互いに直交する。以下においては、Y方向に沿ったY軸の方向を、Y軸方向ともいう。Y軸方向は、Y方向と、当該Y方向の反対の方向とを含む方向である。
【0038】
図8(b)は、比較例に係る透明ディスプレイ装置900の断面図である。
【0039】
図8(a)および図8(b)に示すように、透明ディスプレイ装置900は、パネル914を有する。パネル914は、透過型両面発光パネルである。パネル914には、表示面914a,914bが設けられる。表示面914aの裏面と表示面914bの裏面とが対向するように、表示面914aおよび表示面914bは配置される。表示面914a,914bの各々は、可視光に対して透明な表示面である。パネル914は、表示面914aおよび表示面914bが並ぶY軸方向に対し透光性を有する。
【0040】
図9は、比較例に係る透明ディスプレイ装置900の動作に従ったパネル914の表示例を示す図である。図9(a)は、表示面914aの表示例を示す。図9(b)は、表示面914bの表示例を示す。
【0041】
図9(a)に示すように、この透明ディスプレイ装置900は、互いに向き合っているユーザ401とユーザ402との間に、当該透明ディスプレイ装置900を配置して使用される。この場合、ユーザ401およびユーザ402は、それぞれ、表示面914aおよび表示面914bに表示される情報を共有しながら、コミュニケーションすることが可能である。
【0042】
表示面914a側にいるユーザ401は、表示面914aに表示されるオブジェクト画像302を、正しい向きで見る。オブジェクト画像302は、例えば、猫を示す画像である。
【0043】
本明細書において、表示対象物の左右方向(水平方向)において左右が反転していない当該表示対象物の正しい像を、左右正像ともいう。例えば、「表示対象物を左右正像で表示する」とは、「表示対象物を正しい像(向き)で表示する」ということである。例えば、図9(a)において、オブジェクト画像302は、左右正像で表示される。
【0044】
一方、表示面914b側にいるユーザ402には、表示面914bにおいて、左右方向(水平方向)において左右反転したオブジェクト画像302が見える。
【0045】
本明細書において、表示対象物の左右方向(水平方向)において左右が反転した当該表示対象物の像を、左右逆像ともいう。例えば、「表示対象物を左右逆像で表示する」とは、「表示対象物を左右反転した像(向き)で表示する」ということである。例えば、図9(b)において、オブジェクト画像302は、左右逆像で表示される。
【0046】
ここで、Y軸方向において互いに同じ位置の領域である、表示面914a内の領域および表示面914b内の領域を、それぞれ、第1領域および第2領域ともいう。
【0047】
例えば、図9(b)において、第2領域に表示されるオブジェクト画像302は、第1領域に表示されるオブジェクト画像302を、左右反転したオブジェクト画像である。すなわち、第1領域に表示されるオブジェクト画像302は左右正像で表示され、第2領域に表示されるオブジェクト画像302は左右逆像で表示される。
【0048】
同じく文字列「CAT」を示す文字情報301も、表示面914aでは左右正像で表示され、表示面914bでは左右逆像で表示される。すなわち、図9(b)において、第2領域に表示される文字情報301は、第1領域に表示される文字情報301を、左右反転した文字情報である。すなわち、第1領域に表示される文字情報301と、第2領域に表示される文字情報301とは、互いに左右が逆である。
【0049】
オブジェクト画像302については、ユーザ401とユーザ402とが指を差し合って情報を共有するので、ユーザ402が左右逆像のオブジェクト画像302を見ても問題はない。
【0050】
しかしながら、図9(b)のように、文字列「CAT」を示す文字情報301については、ユーザ402には文字列「CAT」を左右反転した文字列が見える。そのため、ユーザ402は、文字情報301を、ユーザ401が認識している「CAT」と違う意味で認識してしまう。
【0051】
このように、文字情報は、透明ディスプレイ装置900の表示面914aでは左右逆像で表示され、表示面914bでは左右逆像で表示されるので、ユーザ401およびユーザ402のお互いが情報共有する点で課題が生じる。本発明は、このような課題を解決する。
【0052】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において、「透明」とは、「透明または透光性を有する」という概念を含むとする。また、本明細書において、「透過率」はパネルに入射される可視光の明るさ(光量)に対する、パネルを通過する可視光の明るさ(光量)の割合を指す。言い換えれば、「透過率」は、可視光に対する透過率である。
【0053】
さらに、本明細書において、文字情報とは、一般的に、シフトJIS、ユニコードまたはIVS等の文字コードにより特定可能な文字または記号等を示す情報である。すなわち、文字情報は、文字または記号を示す情報である。
【0054】
例えば、文字情報は、文字のみを示してもよいし、文字および記号を示してもよい。すなわち、文字情報は、少なくとも文字を示す情報である。なお、文字情報が、文字のみを示す場合、当該文字情報は、文字に相当する。また、文字情報は、上記文字または記号が一方向に移動するテロップであってもよい。
【0055】
また、本明細書において、画像は、動画像および静止画像のいずれであってもよい。静止画像は、例えば、写真、イラストなどを示す画像である。
【0056】
図1は、本発明の実施の形態1に係る透明ディスプレイ装置100の構成を示す図である。図1(a)は、実施の形態1に係る透明ディスプレイ装置100の斜視図である。図1(b)は、実施の形態1に係る透明ディスプレイ装置100の断面図である。
【0057】
図1(a)および図1(b)に示すように、透明ディスプレイ装置100は、画像、文字等を表示するための表示面114a,114bが設けられた表示部11を有する。なお、表示部11については後述する。表示面114aの裏面と表示面114bの裏面とが対向するように、表示面114aおよび表示面114bは配置される。
【0058】
表示面114a,114bの各々は、可視光に対して透明な表示面である。すなわち、表示面114a,114bの各々は、透光性を有する。本明細書において、当該透光性とは、可視光を透過させる性質である。透明ディスプレイ装置100は、表示面114aおよび表示面114bが並ぶY軸方向に対し透光性を有する。
【0059】
表示面114a,114bの各々の解像度およびサイズは、同じである。なお、表示面114a,114bの各々の解像度およびサイズは、異なっていてもよい。
【0060】
図2は、本発明の実施の形態1に係る透明ディスプレイ装置100の構成を示すブロック図である。なお、図2では、説明のために画像データ供給部24も示している。
【0061】
図2に示すように、透明ディスプレイ装置100は、表示部11と、表示制御部12と、信号処理部13とを備える。
【0062】
表示部11は、パネル14と、図示しないドライブ回路とを有する。パネル14は、透過型両面発光パネルである。パネル14には、前述の表示面114a,114bが設けられる。すなわち、表示部11は、表示面114aおよび表示面114bが設けられた1つのパネルを有する。
【0063】
前述したように、表示面114aの裏面と表示面114bの裏面とが対向するように、表示面114aおよび表示面114bは配置される。つまり、表示面114aおよび表示面114bは、特定方向としてのY軸方向に沿って並ぶ。
【0064】
また、表示面114a,114bの各々は、可視光に対して透明な表示面である。すなわち、表示部11は、表示面114aおよび表示面114bが並ぶY軸方向において少なくとも透光性を有する。なお、表示部11は、Y軸方向に限定されず、Y軸方向を例えば30度傾けた方向に対し透光性を有してもよい。すなわち、表示部11は、透光性を有する。
【0065】
実施の形態1では、パネル14は、例えば、アクティブマトリックスタイプの有機ELパネルである。また、表示部11に含まれる上記ドライブ回路は、該パネル14を駆動する回路である。
【0066】
表示部11は、1つのパネル14を含む。パネル14は、一例として、60Hzの周波数で駆動する。すなわち、パネル14は、1秒間に60フレームを表示する。なお、パネル14は、60Hzに限定されず、60Hz以上の周波数で駆動してもよい。
【0067】
また、本実施の形態では、パネル14は、有機ELパネルであるとして説明するがこれに限定されない。
【0068】
例えば、パネル14は、LCD(Liquid Crystal Display)パネルであってもよい。図3Aは一般的なLCDパネルの画素断面図である。
【0069】
LCDパネルは、一般的にガラス基板41とガラス基板48との間に封入された液晶層45と、出入りする光をコントロールする偏光板40,49と、液晶を駆動するための透明電極43,47と、液晶分子を一定方向に並べるための配光膜44,46と、色を表示するためのカラーフィルタ42とを含む。
【0070】
通常の液晶ディスプレイでは、LCDパネルに加え、バックライトユニットを備え、LCDパネルの背後にある照明により光を透過させ、透過する光を制御して画像を表示する。しかし、バックライトユニットは、一般的に非透過なので背景が遮断されるので、背景が見えない。
【0071】
従って、背景を見えるようにするために、図3Bに示すように、パネル14の両側にいるユーザ(観察者)401,402を照明で明るく照らし、ユーザ401,402の各々の反射光を相手側に透過させる。これにより、ユーザ401,402は、対面するユーザの表情やしぐさを確認しながら、画像の表示を同時に見ることが可能となる。
【0072】
またパネル14は、PDP(Plasma Display Panel)、無機ELを用いたパネル、無機LEDを用いたパネルであってもよい。
【0073】
前述の無機ELは、例えば、ZnS、CdS、ZnSe(Gaドープ:Ga、GaSe、GaAs、Alドープ:Al、AlSe、Inドープ:In、InSe)などである。また、前述の無機LEDは、P型とN型をド−プしたGaN半導体である。
【0074】
表示制御部12は、第1パネル制御回路15を有する。第1パネル制御回路15は、パネル14の画像表示を制御する。
【0075】
信号処理部13は、パネル14に表示するための画像および文字情報等を、表示制御部12に送信する。信号処理部13は、画像表示方向制御部16と文字情報表示方向制御部17とを有する。
【0076】
画像データ供給部24は、パネル14に表示するための画像等を信号処理部13に供給する。画像データ供給部24は、例えば、アンテナ25と、チューナ26と、復調回路27と、入力端子28と、記憶装置29とを有する。
【0077】
アンテナ25は、画像が重畳された放送波を受信する。以下においては、画像が重畳された放送波から得られる画像を、放送受信画像ともいう。
【0078】
チューナ26は、特定の周波数帯域の放送波を選択し、当該放送波を、復調回路27へ送信する。復調回路27は、放送波を復調することにより、放送受信画像を取得し、当該放送受信画像を出力する。
【0079】
入力端子28は、外部から画像を得るための端子である。以下においては、入力端子28が、外部から取得した画像を、外部入力画像ともいう。
【0080】
記憶装置29は、画像としてのコンテンツデータを記憶する。以下においては、記憶装置29に記憶される画像を、内部記憶画像ともいう。以下においては、放送受信画像、外部入力画像および内部記憶画像の各々を、単に、画像ともいう。当該画像は、動画像または静止画像である。
【0081】
入力端子28には、画像および文字情報の一方または両方が入力される。
【0082】
画像データ供給部24は、さらに、画像選択回路30を有する。画像選択回路30は、放送受信画像、外部入力画像および内部記憶画像を受信する。また、画像選択回路30は、受信する各画像に対応する文字情報も受信する。
【0083】
画像選択回路30は、放送受信画像、外部入力画像および内部記憶画像のいずれかを選択し、選択した画像および当該画像に対応する文字情報を、それぞれ、画像表示方向制御部16および文字情報表示方向制御部17へ送信する。
【0084】
なお、画像選択回路30は、画像とともに、当該画像の座標も、画像表示方向制御部16へ送信する。当該画像の座標は、当該画像を表示する位置である。また、画像選択回路30は、文字情報とともに、当該文字情報の座標も、文字情報表示方向制御部17へ送信する。当該文字情報の座標は、当該文字情報を表示する位置である。
【0085】
当該座標は、例えば、座標(y(整数)、x(整数))で表現される。xは、水平方向の座標である。yは垂直方向の座標である。例えば、画像の座標が(10,20)である場合、当該画像は、表示面114a内の座標(10,20)の位置を、当該画像の左上の位置として表示される。
【0086】
なお、本実施の形態では、1つのパネル14を用いる。そのため、表示面114bにおける座標は、表示面114aの座標を水平方向に反転した座標に相当する。ここで、表示面114a,114bの各々のサイズは、一例として、横1920画素×縦1080画素のサイズであるとする。また、一例として、座標xは0〜1919の値で表現され、座標yは、0〜1079の値で表現されるとする。この場合、表示面114aの左上端の座標(0,0)は、表示面114bの座標(0,1919)に相当する。
【0087】
図4Aは、パネル14の構成を示す図である。
【0088】
図4Aに示すように、パネル14は、複数の画素部PX10を含む。複数の画素部PX10は、行列状に配置される。複数の画素部PX10の各々は、外部から供給される信号に応じて発光する。
【0089】
パネル14に含まれる複数の画素部PX10が構成する一方の平面および他方の平面が、それぞれ、表示面114aおよび表示面114bである。1つの画素部PX10は、1つの画素に対応する。したがって、表示面114aおよび表示面114bの各々は、複数の画素から構成される。
【0090】
図4Bは、画素部PX10の構成の一例を示す上面図である。
【0091】
図4Bに示すように、画素部PX10は、サブ画素部PXR,PXG,PXBから構成される。サブ画素部PXR,PXG,PXBは、それぞれ、赤、緑および青色の光を発する画素部である。以下においては、サブ画素部PXR,PXG,PXBの各々を、単に、サブ画素部PXとも表記する。
【0092】
図5は、サブ画素部PXの断面図である。
【0093】
図5に示すように、サブ画素部PXは、主に、ガラス基板P11と、アノード電極P13と、発光層P14と、カソード電極P15と、保護層P16と、透明シールP17とを含む。
【0094】
ガラス基板P11上には、Al配線P12が形成される。当該Al配線P12の上方には、アノード電極P13が積層される。アノード電極P13は、ITO(透明導電膜)で構成される透明な電極である。
【0095】
発光層P14は、光を発する有機EL層である。サブ画素部PXが、例えば、サブ画素部PXRである場合、発光層P14は、主に赤色の光を放射する。
【0096】
発光層P14は、アノード電極P13上に積層される。カソード電極P15は、光透過性を有する。カソード電極P15は、発光層P14の上部に積層される。保護層P16は、透明な層である。保護層P16は、カソード電極P15の上部に積層される。透明シールP17は、保護層P16の上部に形成される。カソード電極P15側の保護層P16は、発光層P14を劣化させる水分の浸入を防ぐものである。透明シールP17は、ガラス基板である。
【0097】
このような構造のパネル14の発光層P14に所定の電圧を印加すると、発光層P14自体が光を発し、その光は光透過性のカソード電極P15を経由して上部方向に照射される。一方、発光層P14自体が発する光は、下部側の透明なアノード電極P13を経由してガラス基板P11を透過して下部方向にも照射される。このようにして、発光層P14が発する光が、アノード電極P13側及びカソード電極P15側の両面に照射される。
【0098】
なお、サブ画素部PXにおいて、透明シールP17方向に進む光の光量は、ガラス基板P11方向に進む光の光量より大きい。すなわち、図1(b)に示されるように、表示面114aを通過する光の光量は、表示面114bを通過する光の光量より大きい。
【0099】
本実施の形態では、サブ画素部PXのうち透明シールP17側に形成される面が、表示面114aであるとする。また、サブ画素部PXのうちガラス基板P11側に形成される面が、表示面114bであるとする。なお、表示面114a,114bの各々の形成位置は、上記位置と反対であってもよい。
【0100】
再び、図4Bを参照して、サブ画素部PXR,PXG,PXBは、それぞれ、発光領域LR1.1,LR1.2,LR1.3を含む。発光領域LR1.1,LR1.2,LR1.3の各々は、対応するサブ画素部PXの発光層P14に形成される領域である。例えば、発光領域LR1.1は、サブ画素部PXRに含まれる発光層P14に形成される領域である。
【0101】
本実施の形態では、要約すると、比較例で述べた課題を解決するために以下の処理を行う。ここで、2人のユーザが、パネル14の両側から当該パネル14を見る(観察する)とする。この場合、パネル14の表示面114a,114bのうちY軸方向において同じ位置に画像および文字情報を表示する際、画像は表示面114a,114bの一方で左右逆像で表示し、文字情報は表示面114a,114bの両方で左右正像で表示させる。これにより、2人のユーザが透明ディスプレイ装置100(パネル14の表示面114a,114b)を挟んで対話する際に、情報共有が容易となる。
【0102】
次に、図6および図7を用いて、透明ディスプレイ装置100の具体的な使用形態を説明する。
【0103】
図6は、本発明の実施の形態1に係る透明ディスプレイ装置100が行う処理のフローチャートである。
【0104】
図7は、本発明の実施の形態1に係る透明ディスプレイ装置100の動作に従ったパネル14の表示例を示す図である。図7(a)は、表示面114aの表示例を示す。図7(b)は、表示面114bの表示例を示す。
【0105】
ここで、一例として、画像データ供給部24は、オブジェクト画像302および当該オブジェクト画像302の座標を、画像表示方向制御部16へ送信するとする。以下においては、オブジェクト画像302の座標を、画像座標Aともいう。
【0106】
また、画像データ供給部24は、文字情報301および当該文字情報301の座標を、文字情報表示方向制御部17へ送信するとする。以下においては、文字情報301の座標を、文字座標Aともいう。
【0107】
文字情報301は、一例として、文字列「CAT」を示す。また、ユーザ401およびユーザ402は、透明ディスプレイ装置100を挟んで向き合っているとする。また、ユーザ401およびユーザ402は、それぞれ、表示面114aおよび表示面114bを見ているとする。
【0108】
この場合、ステップS100の表示処理では、画像表示方向制御部16は、画像データ供給部24から送信されるオブジェクト画像302および画像座標Aを受信し、当該オブジェクト画像302および画像座標Aを、第1パネル制御回路15へ送信する。
【0109】
第1パネル制御回路15は、パネル14の表示面114a内の画像座標Aの位置に、オブジェクト画像302を表示するよう、ドライブ回路を用いてパネル14を制御する。なお、ドライブ回路を用いたパネル14の制御は、周知な制御であるので詳細な説明は行わない。これにより、表示面114aにオブジェクト画像302が表示される。
【0110】
また、表示面114a,114bは透明であるため、表示面114aにオブジェクト画像302が表示された場合、表示面114bにもオブジェクト画像302が表示される。
【0111】
すなわち、パネル14を含む前記表示部11は、前記特定方向(Y軸方向)において互いに一致する、表示面114a内の位置および表示面114b内の位置に画像(オブジェクト画像302)を表示する。
【0112】
これにより、図7(a)に示すように、表示面114aには、オブジェクト画像302が左右正像で表示される。そのため、表示面114aをみるユーザ401は、オブジェクト画像302を、正しい向きで見る。すなわち、ユーザ401は、オブジェクト画像302を、左右正像でみる。
【0113】
一方、図7(b)に示すように、表示面114bには、オブジェクト画像302が左右逆像で表示される。そのため、表示面114bをみるユーザ402は、左右反転したオブジェクト画像302を見る。すなわち、ユーザ402は、オブジェクト画像302を、左右逆像でみる。
【0114】
上記のように、パネル14を含む前記表示部11は、画像を表示する場合、表示面114aでは前記画像を左右正像で表示し、表示面114bでは前記画像を左右逆像で表示する。
【0115】
また、文字情報表示方向制御部17は、表示面114aおよび表示面114bに表示するための文字情報の向きを制御する。具体的には、文字情報表示方向制御部17は、第1パネル制御回路15等を利用して、前記表示部11に、表示面114aおよび表示面114bの各々において同一の文字情報を左右正像で表示させる。
【0116】
さらに、具体的には、ステップS100の表示処理において、文字情報表示方向制御部17は、画像データ供給部24から送信される文字情報301および文字座標Aを用いて、時分割表示処理を行う。具体的には、前記文字情報表示方向制御部17は、第1パネル制御回路15等を利用して、前記表示部11に、前記特定方向(Y軸方向)において一致する、表示面114a内の領域および表示面114b内の領域において所定期間毎に前記同一の文字情報を左右正像で表示させるための時分割表示処理を行う。
【0117】
さらに、具体的には、時分割表示処理では、まず、文字情報表示方向制御部17が、文字情報301を左右反転させた文字情報(以下、左右反転文字情報ともいう)を生成する。そして、文字情報表示方向制御部17は、文字情報301、左右反転文字情報および時分割表示指示を、第1パネル制御回路15へ送信する。
【0118】
ここで、時分割表示指示は、所定期間毎に、表示面114a内の文字座標Aの位置に、文字情報301と左右反転文字情報とを交互に表示させるための指示である。上記所定期間は、例えば、1秒である。
【0119】
第1パネル制御回路15は、時分割表示指示に従って、所定期間毎に、表示面114a内の文字座標Aの位置に、文字情報301と左右反転文字情報とを交互に表示させるよう、ドライブ回路を用いてパネル14を制御する。なお、ドライブ回路を用いたパネル14の制御は、周知な制御であるので詳細な説明は行わない。
【0120】
これにより、表示面114aには、所定期間毎に、文字情報301と左右反転文字情報とが交互に表示される。また、表示面114a,114bは透明であるため、表示面114bには、所定期間毎に、左右反転文字情報と文字情報301とが交互に表示される。
【0121】
この場合、パネル14を含む前記表示部11は、特定方向(Y軸方向)において互いに一致する、表示面114a内の位置および表示面114bの位置に、同一の文字情報を表示する。また、前記表示部11は、表示面114aおよび表示面114bの各々において同一の文字情報を異なるタイミングで左右正像で表示する。
【0122】
なお、表示面114aに文字情報301が表示されているときには、表示面114bには、文字情報301を左右反転させた左右反転文字情報が表示される。また、表示面114aに左右反転文字情報が表示されているときには、表示面114bには、文字情報301が表示される。
【0123】
以下においては、表示面114aに文字情報301が左右正像で表示される期間を第1所定期間という。また、以下においては、表示面114bに文字情報301が左右正像で表示される期間を第2所定期間という。
【0124】
上記処理により、図7(a)に示すように、第1所定期間においては、表示面114aには、文字情報301が左右正像で表示される。そのため、表示面114aをみるユーザ401は、第1所定期間においては、文字情報301を正しい向きで見る。すなわち、ユーザ401は、第1所定期間においては、文字情報301を左右正像でみる。
【0125】
一方、図7(b)に示すように、第2所定期間においては、表示面114bには、文字情報301が左右正像で表示される。そのため、表示面114bをみるユーザ402は、第2所定期間においては、文字情報301を正しい向きで見る。すなわち、ユーザ401は、第2所定期間においては、文字情報301を左右正像でみる。
【0126】
以上説明したように、本実施の形態によれば、パネル14のY軸方向の同じ位置において、画像は表示面114bで左右逆像で表示され、文字情報は表示面114a,114bの各々において異なるタイミングで左右正像で表示される。これにより、文字の視認性を向上させることができる。
【0127】
また、互いに向き合っているユーザ401およびユーザ402の間に透明ディスプレイ装置100を配置することにより、ユーザ401およびユーザ402は、相手の指差しまたは表情等を確認しながら、会話(対話)が可能となる。また、文字視認性の向上と、画像における互いの指差しの位置が一致することにより、お互いの情報共有が容易となる。したがって、複数人のユーザが透明ディスプレイ装置を挟んで対話する際に、情報共有を容易にすることができる。
【0128】
なお、パネル14の表示面114a,114bの一方または両方にタッチパネルを備える構成としてもよい。この構成において、タッチ操作により、ユーザ自身で、画像および文字情報の左右正像と左右逆像とを切り替えるようにしてもよい。また、画像および文字情報の移動、回転、拡大、縮小、コピー、消去などの編集操作も可能となる。
【0129】
尚、切り替え操作や、編集操作は、タッチパネルに限られず、パネルの端部に設けたスイッチなどの何らかのセンサ−を利用して行ってもよい。
【0130】
なお、図2に示される、本実施の形態の透明ディスプレイ装置100の構成は、一例であり、これに限定されない。例えば、表示制御部12は、表示部11に含まれてもよい。この構成の場合、例えば、文字情報表示方向制御部17は、表示部11内の第1パネル制御回路15に対し制御を行うことになる。すなわち、この場合、文字情報表示方向制御部17は、表示部11に対し制御を行う。
【0131】
(実施の形態1の変形例)
次に、実施の形態1の変形例における処理について図10を用いて説明する。
【0132】
図10は、一例としての文字情報の配置構成を示す図である。
【0133】
透明ディスプレイ装置100は、図10(a)のように、2つの画素を1つの画素として文字情報を表示するように制御してもよい。この場合、第1パネル制御回路15は、図10(a)において、A1を示す画素には、左右正像の文字情報を表示し、A2を示す画素には、左右逆像の文字情報を表示するようパネル14を制御する。
【0134】
この場合、表示される文字情報の垂直方向の解像度は低下するものの、実施の形態1のように、文字情報が明確に左右逆像で表示されることを防ぐことができる。
【0135】
また、透明ディスプレイ装置100は、図10(b)のように、4つの画素を1つの画素として文字情報を表示するように制御してもよい。この場合、第1パネル制御回路15は、図10(b)において、A1を示す画素には、左右正像の文字情報を表示し、A2を示す画素には、左右逆像の文字情報を表示するようパネル14を制御する。
【0136】
この場合、表示される文字情報の水平方向および垂直方向の解像度は低下するものの、実施の形態1のように、文字情報が明確に左右逆像で表示されることを防ぐことができる。なお、高精細のパネルを用いれば、人間の目には、表示面に表示される文字情報の一部に、左右逆像の部分が含まれていることは認識しにくくなる。
【0137】
以上のような処理が行われることにより、本実施の形態の変形例では、実施の形態1より、文字情報の視認性を向上させることができる。
【0138】
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2に係る透明ディスプレイ装置100Aの断面図である。
【0139】
図11に示すように、透明ディスプレイ装置100Aは、図1(b)の透明ディスプレイ装置100と比較して、表示部11の代わりに表示部11Aを備える点が異なる。透明ディスプレイ装置100Aのそれ以外の構成は、透明ディスプレイ装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0140】
表示部11Aは、パネル14Aを有する。パネル14Aは、図1(b)のパネル14と、液晶シャッタパネルSH1,SH2とを含む。液晶シャッタパネルSH1は、表示面114aを覆うように設けられる。液晶シャッタパネルSH1のうち、表示面114aと対向する面の反対側には、表示面115aが形成される。
【0141】
液晶シャッタパネルSH1は、第1パネル制御回路15の制御により、表示面114aを構成する複数の画素の各々に対応する発光層P14が発する光を遮断するか否かを制御することができる。
【0142】
液晶シャッタパネルSH2は、表示面114bを覆うように設けられる。液晶シャッタパネルSH2のうち、表示面114bと対向する面の反対側には、表示面115bが形成される。液晶シャッタパネルSH2は、第1パネル制御回路15の制御により、表示面114bを構成する複数の画素の各々に対応する発光層P14からの光を遮断するか否かを制御することができる。
【0143】
図12は、液晶シャッタパネルの駆動方法を説明するための図である。
【0144】
図12(a)は、1つの画素に対応する、液晶シャッタパネルSH1,SH2およびパネル14の断面図である。図12(b)は、図12(a)に示される液晶シャッタパネルSH2が動作した状態を示す。図12(c)は、図12(a)に示される液晶シャッタパネルSH1が動作した状態を示す。
【0145】
ここで、パネル14および液晶シャッタパネルSH1,SH2は、一例として、120Hzの周波数で駆動するとする。すなわち、パネル14および液晶シャッタパネルSH1,SH2は、1秒間に120フレームを表示する。
【0146】
また、一例として、画像データ供給部24は、オブジェクト画像302および画像座標A(オブジェクト画像302の座標)を、画像表示方向制御部16へ送信するとする。また、画像データ供給部24は、文字情報301および文字座標A(文字情報301の座標)を、文字情報表示方向制御部17へ送信するとする。
【0147】
また、ユーザ401およびユーザ402は、透明ディスプレイ装置100Aを挟んで向き合っているとする。ユーザ401およびユーザ402は、それぞれ、表示面115aおよび表示面115bを見ているとする。
【0148】
この場合、実施の形態1と同様に画像表示方向制御部16は処理を行う。そして、第1パネル制御回路15が、パネル14の表示面114a内の画像座標Aの位置に、オブジェクト画像302を表示するよう、パネル14を制御する。これにより、表示面114aにオブジェクト画像302が表示される。
【0149】
第1パネル制御回路15は、表示面114aにオブジェクト画像302が表示されている期間、オブジェクト画像302を構成する各画素に対応する、液晶シャッタパネルSH1,SH2の一部が、発光層P14からの光を透過するように、該液晶シャッタパネルSH1,SH2を制御する(図12(a)参照)。
【0150】
これにより、実施の形態1と同様、表示面115aにオブジェクト画像302が表示されるとともに、表示面115bには、左右反転したオブジェクト画像302が表示される。
【0151】
一方、文字情報表示方向制御部17は、画像データ供給部24から送信される文字情報301および文字座標Aを用いて、時分割表示処理Aを行う。
【0152】
ここで、図12(d)の信号SG1のHレベルの部分は、左右正像の文字情報301を示すとする。また、図12(d)の信号SG2のHレベルの部分は、左右正像の文字情報301を示すとする。
【0153】
時分割表示処理Aでは、文字情報表示方向制御部17は、文字情報301および時分割表示指示Aを、第1パネル制御回路15へ送信する。具体的には、文字情報表示方向制御部17は、信号SG1、信号SG2および時分割表示指示Aを、第1パネル制御回路15へ送信する。
【0154】
ここで、時分割表示指示Aは、信号SG1または信号SG2がHレベルである期間において、表示面114a内の文字座標Aの位置に、Hレベルの信号(信号SG1または信号SG2)が示す文字情報301を表示させるための指示である。
【0155】
第1パネル制御回路15は、時分割表示指示Aに従って、表示面114a内の文字座標Aの位置に、Hレベルの信号(信号SG1または信号SG2)が示す文字情報301を表示させるよう、ドライブ回路を用いてパネル14を制御する。
【0156】
この処理により、図12(d)の時刻t1から時刻t2までの期間T11では、Hレベルの信号SG1が示す文字情報301が、表示面114aに表示される。図12(d)の時刻t2から時刻t3まので期間T12では、Hレベルの信号SG2が示す文字情報301が、表示面114aに表示される。期間T11,T12は、例えば、1/120秒である。
【0157】
また、第1パネル制御回路15は、上記のパネル14の制御と並行して、期間T11において、図12(b)のように、文字情報301を構成する各画素に対応する、液晶シャッタパネルSH2の一部が、発光層P14からの光を遮断するように、該液晶シャッタパネルSH2を制御する。これにより、期間T11において、表示面115bに、左右逆像の文字情報301が表示されることを防ぐことができる。これにより、表示面115aをみるユーザ401は、文字情報301を左右正像でみる。
【0158】
また、第1パネル制御回路15は、上記のパネル14の制御と並行して、期間T12において、図12(c)のように、文字情報301を構成する各画素に対応する、液晶シャッタパネルSH1の一部が、発光層P14からの光を遮断するように、該液晶シャッタパネルSH1を制御する。これにより、期間T12において、表示面115aに、左右逆像の文字情報301が表示されることを防ぐことができる。これにより、表示面115bをみるユーザ402は、文字情報301を左右正像でみる。
【0159】
以上説明したように、本実施の形態によれば、表示面115a,115bに、文字情報を左右正像で表示するとともに、表示面115a,115bに、左右逆像の文字情報が表示されることを防ぐ。これにより、本実施の形態では、実施の形態1よりも、文字情報の視認性を向上させることができる。
【0160】
(実施の形態3)
本実施の形態では、複数のパネルを用いた構成について説明する。
【0161】
図13は、本発明の実施の形態3に係る透明ディスプレイ装置100Bの構成を示すブロック図である。なお、図13では、説明のために画像データ供給部24も示している。
【0162】
図14は、本発明の実施の形態3に係る透明ディスプレイ装置100Bの断面図である。
【0163】
図13および図14に示すように、透明ディスプレイ装置100Bは、図2の透明ディスプレイ装置100と比較して、表示部11の代わりに表示部11Bを備える点と、表示制御部12の代わりに表示制御部12Bを備える点とが異なる。透明ディスプレイ装置100Bのそれ以外の構成は、透明ディスプレイ装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0164】
表示部11Bは、パネル14Bを有する。詳細は後述するが、パネル14Bは、パネル14aと、パネル14bとから構成される。パネル14a,14bの各々は、実施の形態1のパネル14である。すなわち、パネル14a,14bの各々は、パネル14と同じ構成を有する。
【0165】
パネル14Bの一方の面および他方の面には、画像、文字等を表示するための表示面114a,114cが形成される。
【0166】
図15は、本発明の実施の形態3に係るパネル14Bの構成を示す図である。
【0167】
図15に示すように、パネル14Bは、複数の画素部PX11を含む。複数の画素部PX11は、行列状に配置される。複数の画素部PX11の各々は、外部から供給される信号に応じて発光する。パネル14Bに含まれる複数の画素部PX11が構成する一方の平面および他方の平面が、それぞれ、表示面114aおよび表示面114cである。1つの画素部PX11は、1つの画素に対応する。したがって、表示面114aおよび表示面114cの各々は、複数の画素から構成される。
【0168】
図16は、画素部PX11の構成の一例を示す上面図である。図16に示すように、画素部PX11は、サブ画素部P1.R,P1.G,P1.Bから構成される。サブ画素部P1.R,P1.G,P1.Bは、それぞれ、赤、緑および青色の光を発する画素部である。以下においては、サブ画素部P1.R,P1.G,P1.Bの各々を、単に、サブ画素部P1とも表記する。
【0169】
図17は、サブ画素部P1の断面図である。
【0170】
図17に示されるように、サブ画素部P1は、図5のサブ画素部PXを2つ用いて構成される。具体的には、サブ画素部P1は、2つのサブ画素部PXにそれぞれ対応する2つのガラス基板P11を貼り合わせた構造を有する。すなわち、パネル14Bは、パネル14aのガラス基板P11と、パネル14bのガラス基板P11とを貼り合わせることにより構成される。すなわち、パネル14Bは、図1(b)のパネル14(例えば、パネル14a)のうち、多くの光量を発する面が、表示面114aまたは表示面114cとなるように、パネル14a,14bが貼り合わされたパネルである。
【0171】
この構成により、表示面114aおよび表示面114cに表示される画像、文字等の視認性を向上させることができる。
【0172】
以上の構成により、前記表示部11Bは、表示面114aおよび表示面114cがそれぞれ設けられたパネル14aおよびパネル14bを有する。また、表示面114aの裏面と表示面114cの裏面とが対向するように、表示面114aおよび表示面114cは配置される。つまり、表示面114aおよび表示面114cは、特定方向としてのY軸方向に沿って並ぶ。
【0173】
表示面114cは、可視光に対して透明な表示面である。すなわち、表示面114cは、透光性を有する。すなわち、表示部11Bは、表示面114aおよび表示面114cが並ぶY軸方向に対し透光性を有する。
【0174】
なお、表示部11Bは、3つ以上のパネルで構成されてもよい。
【0175】
表示制御部12は、第1パネル制御回路20および第2パネル制御回路21を有する。第1パネル制御回路20は、パネル14aの表示を制御する。第2パネル制御回路21は、パネル14bの表示を制御する。
【0176】
信号処理部13は、パネル14a,14bに表示するための画像および文字情報等を、表示制御部12Bへ送信する。信号処理部13は、画像表示方向制御部16と、文字情報表示方向制御部17とを有する。
【0177】
次に、図18および図19を用いて、透明ディスプレイ装置100Bが行う処理について説明する。
【0178】
図18は、本発明の実施の形態3に係る透明ディスプレイ装置100Bが行う処理のフローチャートである。
【0179】
図19は、本発明の実施の形態3に係る透明ディスプレイ装置100Bの動作に従ったパネル14Bの表示例を示す図である。図19(a)は、表示面114aの表示例を示す。図19(b)は、表示面114cの表示例を示す。
【0180】
ここで、一例として、画像データ供給部24は、オブジェクト画像302および画像座標A(オブジェクト画像302の座標)を、画像表示方向制御部16へ送信するとする。また、画像データ供給部24は、文字情報301および文字座標A(文字情報301の座標)を、文字情報表示方向制御部17へ送信するとする。文字情報301は、一例として、文字列「CAT」を示す。
【0181】
また、ユーザ401およびユーザ402は、透明ディスプレイ装置100Bを挟んで向き合っているとする。ユーザ401およびユーザ402は、それぞれ、表示面114aおよび表示面114cを見ているとする。
【0182】
この場合、ステップS100Aの表示処理Aでは、画像表示方向制御部16は、オブジェクト画像302および画像座標Aを受信する。
【0183】
そして、画像表示方向制御部16は、受信したオブジェクト画像302を左右反転させた画像(以下、左右反転画像ともいう)を生成する。
【0184】
そして、画像表示方向制御部16は、オブジェクト画像302および画像座標Aを、第1パネル制御回路20へ送信するとともに、画像表示方向制御部16は、左右反転画像および画像座標Aを、第2パネル制御回路21へ送信する。
【0185】
なお、第1パネル制御回路20がオブジェクト画像302等を受信するタイミングは、第2パネル制御回路21が左右反転画像等を受信するタイミングと同じである。
【0186】
第1パネル制御回路20は、パネル14aの表示面114a内の画像座標Aの位置に、オブジェクト画像302を表示するよう、ドライブ回路を用いてパネル14aを制御する。これにより、表示面114aにオブジェクト画像302が表示される。
【0187】
第2パネル制御回路21は、パネル14bの表示面114cにおいて、画像座標Aを水平方向に反転した座標の位置に、左右反転画像を表示するよう、ドライブ回路を用いてパネル14bを制御する。ここで、表示面114cにおける、画像座標Aを水平方向に反転した座標の位置と、表示面114a内の画像座標Aの位置とは、特定方向(Y軸方向)において一致する。
【0188】
これにより、表示面114cに、オブジェクト画像302を左右反転した左右反転画像が表示される。
【0189】
上記処理により、図19(a)に示すように、表示面114aには、実施の形態1と同様、オブジェクト画像302が左右正像で表示される。一方、図19(b)に示すように、表示面114cには、実施の形態1と同様、オブジェクト画像302が左右逆像で表示される。
【0190】
なお、第1パネル制御回路20がパネル14aを制御するタイミングは、第2パネル制御回路21がパネル14bを制御するタイミングと同じである。すなわち、第1パネル制御回路20および第2パネル制御回路21は、同期して、それぞれ、パネル14aおよびパネル14bを駆動する。
【0191】
上記のように、パネル14a,14bを含む前記表示部11Bは画像を表示する場合、表示面114aでは前記画像を左右正像で表示し、表示面114cでは前記画像を左右逆像で表示する。
【0192】
すなわち、特定方向(Y軸方向)において互いに一致する、表示面114a内の位置および表示面114cの位置に、それぞれ、オブジェクト画像302および左右反転画像が同一タイミングで表示される。
【0193】
これにより、表示面114aをみるユーザ401は、Y軸方向において同じ位置に表示される、左右正像のオブジェクト画像302および左右反転画像を見る。ただし、ユーザ401がみる左右反転画像は、パネル14bのうち、表示面114cと反対側の面に表示される画像である。パネル14bのうち、表示面114cと反対側の面の発光量は、表示面114cの発光量より小さい。
【0194】
そのため、ユーザ401は、表示面114aに表示されるオブジェクト画像302は、明確に視認できるが、左右反転画像はほとんど視認できない。したがって、ユーザ401は、左右正像のオブジェクト画像302を、明確に視認することができる。
【0195】
また、表示面114cをみるユーザ402は、Y軸方向において同じ位置に表示される、左右反転画像および左右逆像のオブジェクト画像302を見る。ただし、ユーザ402がみるオブジェクト画像302は、パネル14aのうち、表示面114aと反対側の面に表示される画像である。パネル14aのうち、表示面114aと反対側の面の発光量は、表示面114aの発光量より小さい。
【0196】
そのため、ユーザ402は、表示面114cに表示される左右反転画像(左右逆像のオブジェクト画像302)は、明確に視認できるが、パネル14aが表示する左右逆像のオブジェクト画像302ほとんど視認できない。したがって、ユーザ402は、左右反転画像(左右逆像のオブジェクト画像302)を、明確に視認することができる。
【0197】
また、文字情報表示方向制御部17は、表示面114aおよび表示面114cに表示するための文字情報の向きを制御する。具体的には、文字情報表示方向制御部17は、第1パネル制御回路20、第2パネル制御回路21等を利用して、前記表示部11Bに、表示面114aおよび表示面114cの各々において同一の文字情報を左右正像で表示させる。
【0198】
さらに、具体的には、ステップS100Aの表示処理Aにおいて、文字情報表示方向制御部17は、文字情報301および文字座標Aを受信する。
【0199】
そして、文字情報表示方向制御部17は、文字情報301および文字座標Aを、第1パネル制御回路20および第2パネル制御回路21へ送信する。
【0200】
なお、文字情報表示方向制御部17が文字情報301等を送信するタイミングは、画像表示方向制御部16が前述の左右反転画像等を送信するタイミングと同じである。すなわち、画像表示方向制御部16と、文字情報表示方向制御部17とは、同期して動作する。
【0201】
第1パネル制御回路20は、パネル14aの表示面114a内の文字座標Aの位置に、文字情報301を表示するよう、ドライブ回路を用いてパネル14aを制御する。これにより、表示面114aに文字情報301が左右正像で表示される。
【0202】
また、第2パネル制御回路21は、パネル14bの表示面114cにおいて、文字座標Aを水平方向に反転した座標の位置に、文字情報301を表示するよう、ドライブ回路を用いてパネル14bを制御する。ここで、表示面114cにおける、文字座標Aを水平方向に反転した座標の位置と、表示面114aにおける文字座標Aの位置とは、特定方向(Y軸方向)において一致する。これにより、表示面114cに、文字情報301が左右正像で表示される。
【0203】
なお、第1パネル制御回路20がパネル14aを制御するタイミングは、第2パネル制御回路21がパネル14bを制御するタイミングと同じである。すなわち、第1パネル制御回路20および第2パネル制御回路21は、同期して、それぞれ、パネル14aおよびパネル14bを駆動する。
【0204】
この場合、パネル14Bを含む前記表示部11Bは、特定方向(Y軸方向)において互いに一致する、表示面114a内の位置および表示面114cの位置に同一の文字情報を表示する。また、前記表示部11Bは、表示面114aおよび表示面114cの各々において同一タイミングに、同一の文字情報を左右正像で表示する。
【0205】
すなわち、特定方向(Y軸方向)において互いに一致する、表示面114a内の位置および表示面114cの位置に、左右正像の同一の文字情報301が同一タイミングで表示される。
【0206】
これにより、表示面114aをみるユーザ401は、Y軸方向において同じ位置に表示される、左右正像の文字情報301および左右逆像の文字情報301を見る。ただし、ユーザ401がみる当該左右逆像の文字情報301は、パネル14bのうち、表示面114cと反対側の面に表示される文字情報である。パネル14bのうち、表示面114cと反対側の面の発光量は、表示面114cの発光量より小さい。
【0207】
そのため、ユーザ401は、表示面114aに表示される文字情報301は、明確に視認できるが、左右逆像の文字情報301はほとんど視認できない。したがって、ユーザ401は、左右正像の文字情報301を、明確に視認することができる。
【0208】
なお、ユーザ401と同様に、ユーザ402は、表示面114cに表示される左右正像の文字情報301を、明確に視認することができる。
【0209】
以上説明したように、本実施の形態によれば、パネル14BのY軸方向の同じ位置において、画像は、表示面114cにおいて左右逆像で表示され、文字情報は表示面114a,114cの各々において同一タイミングで左右正像で表示される。これにより、2つのパネルを同期して駆動させる構成において、文字の視認性を向上させることができる。
【0210】
また、互いに向き合うユーザ401およびユーザ402の間に透明ディスプレイ装置100Bを配置することにより、ユーザ401およびユーザ402は、相手の指差しまたは表情等を確認しながら、会話(対話)が可能となる。また、文字視認性の向上と、画像における互いの指差しの位置が一致することにより、お互いの情報共有が容易となる。したがって、複数人のユーザが透明ディスプレイ装置を挟んで対話する際に、情報共有を容易にすることができる。
【0211】
また、本実施の形態によれば、さらに、2つの透過型両面発光のパネルを用いることにより、高い輝度と解像度を維持することが可能となる。また、パネル14Bが表示する画像および文字等の画質の向上や視認性の向上を図ることができる。
【0212】
なお、図13に示される、本実施の形態の透明ディスプレイ装置100Bの構成は、一例であり、これに限定されない。例えば、表示制御部12Bは、表示部11Bに含まれてもよい。この構成の場合、例えば、文字情報表示方向制御部17は、表示部11B内の第1パネル制御回路20および第2パネル制御回路21に対し制御を行うことになる。すなわち、この場合、文字情報表示方向制御部17は、表示部11Bに対し制御を行う。
【0213】
(実施の形態4)
本実施の形態では、動画像の特徴に応じた処理を行う構成について説明する。
【0214】
図20Aは、本発明の実施の形態4に係る透明ディスプレイ装置100Cの構成を示すブロック図である。なお、図20Aでは、説明のために画像データ供給部24も示している。
【0215】
図20Aに示すように、透明ディスプレイ装置100Cは、図2の透明ディスプレイ装置100と比較して、動画像判定部31をさらに備える点が異なる。透明ディスプレイ装置100Cのそれ以外の構成は、透明ディスプレイ装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0216】
図20Bは、本発明の実施の形態4に係る透明ディスプレイ装置100Cが行う処理のフローチャートである。
【0217】
図21は、本発明の実施の形態4に係る透明ディスプレイ装置100Cの動作に従ったパネル14の表示例を示す図である。図21(a)は、表示面114aの表示例を示す。図21(b)は、表示面114bの表示例を示す。
【0218】
本実施の形態では、パネル14は、一例として、文字情報301、オブジェクト画像302および動画像303を示すとする。オブジェクト画像302は、例えば、写真、イラスト等の静止画像である。動画像303は、例えば、動きの変化が大きいオブジェクト画像303aを示す動画像である。
【0219】
本実施の形態では、要約すると、互いに向き合うユーザ401およびユーザ402の間に透明ディスプレイ装置100Cを配置した場合、文字情報301は、表示面114a,114bにおいて、左右正像で表示される。また、静止画像としてのオブジェクト画像302は、一方の表示面(表示面114b)において、左右逆像で表示される。
【0220】
また、図21に示される、動きの変化が大きいオブジェクト画像303aを示す動画像303は、文字情報301と同様に、表示面114a,114bにおいて、左右正像で表示される。
【0221】
次に、図20Bおよび図21を用いて、透明ディスプレイ装置100Cが行う処理について説明する。
【0222】
ここで、一例として、画像データ供給部24は、オブジェクト画像302および画像座標A(オブジェクト画像302の座標)を、画像表示方向制御部16へ送信するとする。また、画像データ供給部24は、文字情報301および文字座標A(文字情報301の座標)を、文字情報表示方向制御部17へ送信するとする。
【0223】
また、画像データ供給部24は、動画像303および当該動画像303の座標を、動画像判定部31へ送信するとする。以下においては、動画像303の座標を、動画像座標Aともいう。
【0224】
また、ユーザ401およびユーザ402は、透明ディスプレイ装置100Cを挟んで向き合っているとする。ユーザ401およびユーザ402は、それぞれ、表示面114aおよび表示面114bを見ているとする。
【0225】
この場合、ステップS100Bの表示処理Bでは、動画像判定部31は、動画像303および動画像座標Aを受信すると、動画像判定処理を行う。
【0226】
動画像判定処理では、動画像判定部31は、表示面114aおよび表示面114bに表示するための動画像の特徴を判定する。そして、表示方向制御部としての文字情報表示方向制御部17は、動画像判定部31による判定結果に基づいて、表示面114aおよび表示面114bの各々において該動画像を表示する向きを制御する。
【0227】
さらに、具体的には、動画像判定処理では、まず、動画像判定部31が、受信した動画像303の特徴に基づいて、当該動画像の表示態様を、第1表示態様および第2表示態様のいずれとするか判定する。
【0228】
第1表示態様は、静止画像としてのオブジェクト画像302と同様な表示態様である。すなわち、第1表示態様は、2つの表示面の一方において表示対象物を左右正像で表示し、2つの表示面の他方において表示対象物を左右逆像で表示するという表示態様である。
【0229】
第2表示態様は、文字情報301と同様な表示態様である。すなわち、第2表示態様は、2つの表示面の両方において表示対象物を左右正像で表示するという表示態様である。
【0230】
具体的には、動画像判定処理では、動画像判定部31が、受信した動画像303が示すオブジェクト画像303aの所定時間における移動距離が閾値以上であるか否かを判定する。
【0231】
動画像判定部31は、例えば、動画像を構成する10フレームにおいて、オブジェクト画像303aの移動距離が、所定の閾値以上である場合、移動距離が閾値以上であると判定する。この場合、動画像判定部31は、当該動画像303の表示態様を、第2表示態様とするための処理を行う。具体的には、動画像判定部31は、動画像303および動画像座標Aを、文字情報表示方向制御部17へ送信する。
【0232】
動画像303および動画像座標Aを受信した文字情報表示方向制御部17は、実施の形態1で説明した文字情報301を表示部11に表示させるための処理と同様な処理を、動画像303に対して行う。なお、動画像303に対して行われる当該同様な処理(以下、動画像対象処理ともいう)の詳細な説明は繰り返さない。
【0233】
この動画像対象処理により、表示方向制御部としての文字情報表示方向制御部17は、前記動画像判定部31により前記オブジェクト画像303aの所定時間における移動距離が閾値以上であると判定された場合、前記表示部11に、表示面114aおよび表示面114bの各々において前記動画像303を左右正像で表示させる。
【0234】
また、動画像対象処理により、動画像303は表示面114a,114bの各々において異なるタイミングで左右正像で表示される。
【0235】
なお、動画像判定処理において、オブジェクト画像303aの所定時間における移動距離が閾値未満であると判定された場合、動画像判定部31は、動画像303を第1表示態様で表示させるために、当該動画像303を、画像表示方向制御部16へ送信する。この場合、画像表示方向制御部16は、オブジェクト画像を表示させるための処理と同様な処理を、動画像303に対して行う。この場合、表示面114aにおいては、左右正像の動画像303が表示され、表示面114bにおいては、左右逆像の動画像303が表示される。
【0236】
また、オブジェクト画像302を受信する画像表示方向制御部16の動作は、実施の形態1と同様なので詳細な説明は繰り返さない。また、文字情報301を受信する文字情報表示方向制御部17の動作は、実施の形態1と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0237】
これにより、オブジェクト画像の動きの速い動画像303の視認性を向上させることができる。また、ユーザ401およびユーザ402の互いの指さしの位置を一致させることができ、情報共有がさらに容易となる。したがって、複数人のユーザが透明ディスプレイ装置を挟んで対話する際に、情報共有を容易にすることができる。
【0238】
ここで、一例として、図22(a)に示されるように、動画像303が、動きの変化が小さい動画像であるとする。すなわち、動画像303は、動きの遅いオブジェクト画像303aを示すとする。
【0239】
この場合、動画像判定処理において、オブジェクト画像303aの所定時間における移動距離が閾値未満であると判定されたとする。この場合、動画像判定部31は、動画像303を第1表示態様で表示させるために以下の処理を行う。
【0240】
動画像判定部31は、当該動画像303および動画像座標Aを、画像表示方向制御部16へ送信する。この場合、画像表示方向制御部16は、動画像303等を受信すると、オブジェクト画像を表示させるための処理と同様な処理を、動画像303に対して行う。この場合、図22(a)および図22(b)に示されるように、表示面114aにおいては、左右正像の動画像303が表示され、表示面114dにおいては、左右逆像の動画像303が表示される。
【0241】
これにより、変化の小さい動画像に含まれる文字情報の視認性の良さを確保しつつ、互いの指さしの位置を一致させることができ、情報共有がさらに容易となる。
【0242】
なお、動画像の特徴から動画像の表示方向を判定する手法としては、上記方法に限定されない。例えば、フレーム間の変化量を算出し、その変化量が少ない場合には、動画像の表示態様を第1表示態様とすると判定する。
【0243】
なお、フレーム間の変化量の算出方法には特に制限はなく、フレーム間の類似度に基づいて算出する手法や、オプティカルフローや統計変化量に基づく算出手法など、公知の手法を用いることができる。
【0244】
また、フレーム間の変化量に限らず、動画像において文字情報が占める割合を算出し、その割合が多い場合には文字情報と同じ表示方向と判定する手法等を用いてもよい。なお、動画像から文字を抽出する方法に特に制限はない。例えば、色情報クラスタリング、2値化処理、ノイズ除去処理等を施した後、パターン辞書照合により文字を抽出する手法等の公知の手段を用いることができる。
【0245】
動画像の特徴に基づいて、静止画像と同じ表示方向に制御するか、もしくは文字情報と同じ表示方向に制御するかを判定する閾値は、ユーザが動画像を見て設定してもよい。
【0246】
また、表示面内でユーザが注目する領域、例えば文字や人間の顔などのフレーム間の変化量から、自動で、静止画像と同じ表示方向に制御するか、もしくは文字情報と同じ表示方向に制御するかを判定してもよい。
【0247】
なお、図20Aに示される、本実施の形態の透明ディスプレイ装置100Cの構成は、一例であり、これに限定されない。例えば、表示制御部12は、表示部11に含まれてもよい。この構成の場合、例えば、文字情報表示方向制御部17は、表示部11内の第1パネル制御回路15に対し制御を行うことになる。すなわち、この場合、例えば、文字情報表示方向制御部17は、表示部11に対し制御を行う。
【0248】
また、本実施の形態の動画像判定部31は、例えば、図13の透明ディスプレイ装置100Bに設けてもよい。この場合、動画像判定部31は、透明ディスプレイ装置100Cの構成と同様に、画像選択回路30と、信号処理部13との間に設けられる。
【0249】
(実施の形態5)
次に、表示面に表示される画像、文字等を容易に識別できる構成について説明する。
【0250】
図23は、本発明の実施の形態5に係る透明ディスプレイ装置102の構成を示す図である。図23(a)は、実施の形態5に係る透明ディスプレイ装置102の斜視図である。図23(b)は、実施の形態5に係る透明ディスプレイ装置102の断面図である。
【0251】
図23(a)および図23(b)に示すように、透明ディスプレイ装置102は、画像、文字等を表示するための表示面114a,114dが設けられた表示部11Nを有する。なお、表示部11Nについては後述する。表示面114aの裏面と表示面114dの裏面とが対向するように、表示面114aおよび表示面114dは配置される。
【0252】
表示面114a,114dの各々は、前記特定方向(Y軸方向)に対し垂直に設けられる。
【0253】
表示面114a,114dの各々は、可視光に対して透明な表示面である。すなわち、表示面114a,114dの各々は、透光性を有する。本明細書において、当該透光性とは、可視光を透過させる性質である。透明ディスプレイ装置102(表示部11N)は、表示面114aおよび表示面114dが並ぶY軸方向に対し透光性を有する。
【0254】
表示面114a,114dの各々の解像度およびサイズは、同じである。なお、表示面114a,114dの各々の解像度およびサイズは、異なっていてもよい。
【0255】
図24は、本発明の実施の形態5に係る透明ディスプレイ装置102の構成を示すブロック図である。なお、図24では、説明のために画像データ供給部24も示している。
【0256】
図24に示すように、透明ディスプレイ装置102は、図2の透明ディスプレイ装置100と比較して、表示部11の代わりに表示部11Nを備える点と、透過率制御部501をさらに備える点とが異なる。透明ディスプレイ装置102のそれ以外の構成は、透明ディスプレイ装置100と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0257】
表示部11Nは、パネル14と、透過率変更部510と、図示しないドライブ回路とを有する。
【0258】
パネル14の構成は、実施の形態1で説明したので詳細な説明は繰り返さない。
【0259】
透過率変更部510は、表示面114aの裏面と対向するように設けられる。詳細は後述するが、透過率変更部510は、該透過率変更部510の透過率を変更する機能を有する。透過率変更部510の形状は、一例として、板状である。
【0260】
パネル14と透過率変更部510とにより1つのパネル(以下、パネルAともいう)が構成される。パネルAには、表示面114a,114dが設けられる。すなわち、表示部11Nは、表示面114aおよび表示面114dが設けられた1つのパネルAを有する。
【0261】
信号処理部13は、パネル14に表示するための画像および文字情報等を、表示制御部12に送信する。
【0262】
画像データ供給部24は、パネル14に表示するための画像等を信号処理部13に供給する。
【0263】
次に、透過率変更部510の構成について詳細に説明する。
【0264】
前述の図4Aのように、パネル14は、複数の画素部PX10を含む。
【0265】
図25は、画素部PX10の構成の一例を示す断面図である。なお、図25には、説明のために、透過率変更部510も示される。
【0266】
図4Bおよび図25に示すように、画素部PX10は、サブ画素部PXR,PXG,PXBから構成される。以下においては、サブ画素部PXR,PXG,PXBの各々を、単に、サブ画素部PXとも表記する。
【0267】
サブ画素部PXR,PXG,PXBの各々の構成は、図5を用いて説明したサブ画素部PXの構成と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0268】
本実施の形態では、例えば、サブ画素部PXBのうち透明シールP17側に形成される面が、表示面114aであるとする。また、例えば、サブ画素部PXBのうちガラス基板P11側に形成される面が、表示面114bであるとする。なお、表示面114a,114bの各々の形成位置は、上記位置と反対であってもよい。
【0269】
次に、透過率変更部510について説明する。
【0270】
透過率変更部510は、第1偏光板511と、第1基板512と、第1透明電極513と、液晶層514と、第2透明電極515と、第2基板516と、第2偏光板517とを含む。
【0271】
液晶層514は、光の遮断する量を変化させる光遮断層である。液晶層514の上部および下部には、それぞれ、第1透明電極513および第2透明電極515はが形成される。すなわち、第1透明電極513と第2透明電極515との間には液晶層514が形成されている。
【0272】
第1透明電極513の上部には、第1基板512が形成される。第1基板512の上部には、第1偏光板511が形成される。
【0273】
第2透明電極515の下部には、第2基板516が形成される。第2基板516の下部には、第2偏光板517が形成される。
【0274】
第1透明電極513および第2透明電極515は、互いに対向するように配置される。第1基板512および第2基板516は、互いに対向するように配置される。第1偏光板511および第2偏光板517は、互いに対向するように配置される。
【0275】
また、透過率変更部510は、外部からの指示に従って、第1透明電極513および第2透明電極515に電圧を印加する制御部(図示せず)をさらに備える。
【0276】
液晶層514は、制御部により印加される電圧が、第1透明電極513および第2透明電極515に印加されることによって、当該液晶層514を透過する光の量を変化させる。すなわち、液晶層514は、当該液晶層514に向かう光を遮断または透過させる。
【0277】
本実施の形態では、透過率変更部510のうち、第2偏光板517側に形成される面が、表示面114dであるとする。
【0278】
次に、透過率変更部510の動作について説明する。例えば、透過率変更部510がTN(Twisted Nematic)液晶装置であるとする。この場合、第1透明電極513と第2透明電極515に印加される電圧によって、液晶層514内の液晶の配列が変化する。すなわち、電圧が印加されない状態(オフ状態)であれば液晶層514内の液晶は、90度だけツイスト(twist)配列する。一方、電圧が印加される状態(オン状態)であれば液晶層514の液晶は、基板(例えば、第1基板512)に対して垂直に配列する。
【0279】
ここで、図25において、仮に、光源が、第1偏光板511の上方にあるとして説明する。
【0280】
この場合、電圧が印加されない状態(オフ状態)では、第1偏光板511は、光源から出射された光のうち第1偏光軸と一致する第1線偏光だけを透過させる。
【0281】
第1線偏光は90度だけツイスト配列した液晶を含む液晶層514を通過することによって、偏光状態が第2透過軸と一致する第2線偏光に変化する。第2線偏光は第2偏光板517の透過軸と一致しており、そのまま基板を通過する。
【0282】
一方、電圧が印加される状態(オン状態)では、第1偏光板511は、光源から出射された光のうち第1偏光軸と一致する第1線偏光だけを透過させる。第1線偏光は、基板に対し垂直に配列された液晶を含む液晶層514をそのまま通過するが、この第1線偏光は第2偏光板517によって遮断される。
【0283】
このように、透過率変更部510の第1偏光板511および第2偏光板517は、光が液晶層514を通過する間、電圧の大きさに応じた、偏光軸の回転角度によって透過光の強さが調節され、黒色と白色との間の階調(Gray)を表すことができるようになる。
【0284】
なお、本実施の形態では、光源は、一例として、第2偏光板517(表示面114d)側の近傍にあるとする。当該光源は、照明等からの光等が反射した間接光を発する部分であるとする。なお、当該光源は、光を発するランプ等であってもよい。
【0285】
透過率変更部510は、パネル14に含まれる画素部PX10の数と同じ数の画素部PX20で構成される。ここで、表示面114dと平行な方向は、Z軸方向であるとする。
【0286】
透過率変更部510における1つの画素部PX20のZ軸方向のサイズと、1つの画素部PX10のZ軸方向のサイズは同じである。
【0287】
透過率変更部510の1つの画素部PX20には、パネル14の1つの画素部PX10が積層される。そのため、表示部11Nは、1画素単位で、表示部11N(パネル14)の透過率を調整出来る。
【0288】
具体的には、透過率変更部510は、透過率制御部501の制御により、透過率変更部510のうち、パネル14を構成する複数の画素部PX10の各々に対応する領域の透過率を変更する。当該複数の画素部PX10の各々に対応する領域は、複数の画素部PX20から構成される。すなわち、透過率変更部510は、各画素部PX20に対応する第1透明電極513および第2透明電極515に印加される電圧の大きさに応じて、透過率変更部510のうち、当該画素部PX10を覆う領域(画素部PX20)の透過率を変更する。
【0289】
以下においては、画素部PX20の第1透明電極513と第2透明電極515に印加される電圧を、単に、画素部PX20に印加される電圧ともいう。
【0290】
例えば、透過率変更部510は、画素部PX20に印加される電圧が大きい程、当該画素部PX20の透過率を100に近づける。透過率が100の画素部PX20は、当該画素部PX20に向かう光をほぼ100%透過させる。
【0291】
一方、透過率変更部510は、画素部PX20に印加される電圧が小さい程(0に近い程)、当該画素部PX20の透過率を0に近づける。透過率が0の画素部PX20は、当該画素部PX20に向かう光を遮断する。
【0292】
なお、透過率変更部510は、画素部PX20に印加される電圧が小さい程(0に近い程)、当該画素部PX20の透過率を100に近づけてもよい。
【0293】
例えば、ある画素部PX20に電圧が印加されていない場合、当該画素部PX20の透過率は100である。この場合、当該光源からの光は、表示面114d(第2偏光板517)から、透過率が100の画素部PX20内における、液晶層514、第1偏光板511等を通過して、表示面114aに向かって進む。
【0294】
次に、透明ディスプレイ装置102が行う処理について説明する。
【0295】
図26は、本発明の実施の形態5に係る透明ディスプレイ装置102が行う処理のフローチャートである。
【0296】
図27は、透過率変更部510のうち、透過率を変更させるための領域を説明するための図である。図27(a)は、表示面114aの表示例を示す図である。図27(b)は、透過率変更部510における各領域を説明するための図である。
【0297】
図28は、本発明の実施の形態5に係る透明ディスプレイ装置102の動作に従ったパネル14の表示例を示す図である。図28(a)は、表示面114aの表示例を示す。図28(b)は、表示面114dの表示例を示す。
【0298】
ここで、一例として、画像データ供給部24は、オブジェクト画像302および画像座標Aを、画像表示方向制御部16へ送信するとする。
【0299】
また、画像データ供給部24は、文字情報301および文字座標Aを、文字情報表示方向制御部17へ送信するとする。
【0300】
また、画像データ供給部24は、動画像303および動画像座標Aを、画像表示方向制御部16へ送信するとする。
【0301】
また、ユーザ401およびユーザ402は、透明ディスプレイ装置102を挟んで向き合っているとする。また、ユーザ401およびユーザ402は、それぞれ、表示面114aおよび表示面114dを見ているとする。
【0302】
また、間接光が、第2偏光板517(表示面114d)側から、表示面114aに向かって照射されているとする。間接光は、照明等からの光等が反射した光である。すなわち、光源は、第2偏光板517(表示面114d)側の近傍にあるとする。また、さらに、他の間接光が、表示面114a側から、表示面114dに向かって照射されているとする。
【0303】
この場合、ステップS100Mの表示処理Mでは、画像表示方向制御部16は、画像データ供給部24から送信されるオブジェクト画像302、画像座標A、動画像303および動画像座標Aを受信し、当該オブジェクト画像302、画像座標A、動画像303および動画像座標Aを、第1パネル制御回路15および透過率制御部501へ送信する。
【0304】
また、文字情報表示方向制御部17は、文字情報301および文字座標Aを、第1パネル制御回路15および透過率制御部501へ送信する。
【0305】
そして、表示制御処理N1と、透過率変更処理Nと、時分割表示処理とが独立して並列に実行される。
【0306】
時分割表示処理は、実施の形態1と同様、文字情報表示方向制御部17により行われる。すなわち、前記文字情報表示方向制御部17は、第1パネル制御回路15等を利用して、前記表示部11Nに、前記特定方向(Y軸方向)において一致する、表示面114a内の領域および表示面114d内の領域において所定期間毎に同一の文字情報を左右正像で表示させるための時分割表示処理を行う。なお、時分割表示処理は、実施の形態1で説明したので詳細な説明は繰り返さない。
【0307】
これにより、表示面114aには、所定期間毎に、表示面114a内の文字座標Aの位置に、文字情報301と左右反転文字情報とが交互に表示される。また、表示面114a,114b,114dは透明であるため、表示面114dには、所定期間毎に、左右反転文字情報と文字情報301とが交互に表示される。すなわち、前記表示部11Nは、表示面114aおよび表示面114dの各々において同一の文字情報を異なるタイミングで左右正像で表示する。
【0308】
表示制御処理N1では、第1パネル制御回路15は、文字情報301以外の受信したデータ(例えば、画像)およびその座標に基づいて、受信した各データを、パネル14の表示面114a内の対応する座標の位置に、当該データを表示するよう、ドライブ回路を用いてパネル14を制御する。なお、ドライブ回路を用いたパネル14の制御は、周知な制御であるので詳細な説明は行わない。
【0309】
例えば、第1パネル制御回路15は、パネル14の表示面114a内の画像座標Aの位置に、オブジェクト画像302を表示するよう、ドライブ回路を用いてパネル14を制御する。これにより、表示面114aにオブジェクト画像302が表示される。
【0310】
第1パネル制御回路15は、オブジェクト画像302に対する上記処理と同様な処理を、動画像303に対しても行う。これにより、図28(a)に示されるように、表示面114aには、オブジェクト画像302、動画像303が表示される。
【0311】
透過率変更処理Nでは、透過率制御部501は、受信したデータ(例えば、画像)およびその座標に基づいて、透過率変更部510のうち、透過率を変更させる領域を特定する。
【0312】
具体的には、透過率制御部501は、透過率変更部510のうち、文字情報301を含む領域を、文字領域301Rとして特定する。文字領域301Rのサイズは、文字情報301のサイズと同じサイズ、または、文字情報301のサイズより大きいサイズである。文字領域301Rは、前記透過率変更部510のうち、前記表示面114aに表示される前記文字情報301を前記特定方向(Y軸方向)に対し垂直な方向において含む領域である。
【0313】
なお、文字領域301Rは、文字情報301が示す各文字の形状と同じ形状の領域であってもよい。
【0314】
また、透過率制御部501は、オブジェクト画像302を含む境界線302L(図27(a)参照)を生成する。そして、透過率制御部501は、透過率変更部510のうち、境界線302L内の領域を、静止画像領域302Rとして特定する(図27(b)参照)。
【0315】
静止画像領域302Rは、前記透過率変更部510のうち、前記表示面114aに表示される前記静止画像(オブジェクト画像302)を前記特定方向(Y軸方向)に対し垂直な方向において含む領域である。
【0316】
なお、特定される静止画像領域302Rは、オブジェクト画像302の形状と同じ形状の領域であってもよい。
【0317】
また、透過率制御部501は、透過率変更部510のうち、動画像303を含む領域を、動画像領域303Rとして特定する。動画像領域303Rのサイズは、動画像303のサイズと同じサイズ、または、動画像303のサイズより大きいサイズである。
【0318】
動画像領域303Rは、前記透過率変更部510のうち、前記表示面114aに表示される前記動画像303を前記特定方向(Y軸方向)に対し垂直な方向において含む領域である。
【0319】
なお、文字領域301R、静止画像領域302Rおよび動画像領域303Rの各々の形状は、矩形に限定されず、例えば、楕円形等であってもよい。
【0320】
静止画像領域302Rおよび動画像領域303Rの各々は、前記透過率変更部510のうち、表示面114aに表示される画像(オブジェクト画像302または動画像303)を前記特定方向(Y軸方向)に対し垂直な方向において含む画像領域である。
【0321】
また、透過率制御部501は、透過率変更部510のうち、文字領域301R、静止画像領域302Rおよび動画像領域303R以外の領域を背景領域304として特定する。
【0322】
なお、特定される背景領域304は、表示面114aの表示状態により異なる。例えば、表示制御処理N1および時分割表示処理により、表示面114aに、文字情報301、オブジェクト画像302が表示された場合、背景領域は、透過率変更部510のうち、文字領域301Rおよび静止画像領域302R以外の領域である。すなわち、背景領域304は、透過率変更部510の一部の領域であって、かつ、パネル14において発光してない領域を覆う領域である。
【0323】
文字領域301R、静止画像領域302Rおよび動画像領域303Rの領域の種類は、それぞれ、文字領域、静止画像領域および動画像領域である。
【0324】
そして、透過率制御部501は、特定した領域の種類に応じて、当該領域の透過率を、透過率変更部510に変更させる。具体的には、透過率制御部501は、特定した各領域の透過率が、以下の式1を満たすように、透過率変更部510を制御する。
【0325】
背景透過率>文字透過率>静止画像透過率>動画像透過率 ・・・(式1)
【0326】
式1において、背景透過率、文字透過率、静止画像透過率および動画像透過率は、それぞれ、背景領域304の透過率、文字領域301Rの透過率、静止画像領域302Rの透過率および動画像領域303Rの透過率である。
【0327】
すなわち、前記透過率変更部510は、前記表示部11Nが前記表示面114aに、前記文字情報301と、画像としての静止画像(オブジェクト画像302)および動画像303とを表示する場合、静止画像領域302Rの透過率を、動画像領域303Rの透過率より大きくするとともに、前記文字領域301Rの透過率を前記静止画像領域302Rの透過率より大きくする。
【0328】
つまり、前記透過率変更部510は、前記文字領域301Rの透過率を、画像領域(静止画像領域302R、動画像領域303R)の透過率より大きくする。言い換えれば、前記透過率変更部510は、前記表示部11Nが表示面114aに少なくとも画像および文字情報を表示する場合、画像領域の透過率(例えば、静止画像領域302R)と、文字領域301Rの透過率とを異ならせる。
【0329】
また、前記透過率変更部510は、該透過率変更部510のうち、少なくとも前記画像領域(静止画像領域302R、動画像領域303R)および前記文字領域301R以外の領域である背景領域304の透過率を、前記文字領域301Rの透過率より大きくする。
【0330】
ここで、一例として、背景透過率、文字透過率、静止画像透過率および動画像透過率は、それぞれ、90、60、30、10であるとする。
【0331】
この場合、例えば、透過率制御部501は、前述の制御部を利用して、動画像領域303Rを構成する複数の画素部PX20の透過率を10にするための電圧を、当該複数の画素部PX20に印加する。透過率制御部501は、背景領域304、文字領域301Rおよび静止画像領域302Rに対しても、動画像領域303Rに対する上記処理と同様な処理を行う。これにより、式1を満たすように、各領域の透過率が変更される。
【0332】
以上により、透過率変更処理Nは終了する。
【0333】
これにより、文字情報301、オブジェクト画像302、動画像303の順で、コントラストが高くなる。すなわち、動画像303のコントラストは、他の領域のコントラストよりも高くなる。
【0334】
なお、前述したように、間接光が、第2偏光板517(表示面114d)側から、表示面114aに向かって照射されている。そのため、表示面114aをみるユーザ401は、静止画像としてのオブジェクト画像302よりも、動画像303を容易に認識することができる。また、表示面114aをみるユーザ401は、文字情報301よりも、画像としてのオブジェクト画像302および動画像303を容易に認識することができる。
【0335】
したがって、本実施の形態によれば、表示面114aをみるユーザ401は、画像と文字情報とを容易に識別することができる。つまり、本実施の形態によれば、表示面114aに表示される表示内容の視認性の低下を抑制することができる。
【0336】
また、本実施の形態では、時分割表示処理により、表示部11は、表示面114aおよび表示面114bの各々において同一の文字情報を異なるタイミングで左右正像で表示する。
【0337】
そのため、実施の形態1と同様な効果が得られる。すなわち、文字の視認性を向上させることができる。また、複数人のユーザが透明ディスプレイ装置102を挟んで対話する際に、情報共有を容易にすることが可能な透明ディスプレイ装置を提供することができる。
【0338】
表示処理Mの表示制御処理N1および透過率変更処理Nは、画像データ供給部24が送信するデータの種類によって変化する。例えば、画像データ供給部24が、オブジェクト画像302および画像座標Aを、画像表示方向制御部16へ送信し、文字情報301および文字座標Aを文字情報表示方向制御部17へ送信したとする。
【0339】
この場合、表示面114aにオブジェクト画像302を表示するための表示制御処理N1と、当該表示制御処理N1に対応する透過率変更処理Nと、時分割表示処理とが行わる。つまり、表示制御処理N1および時分割表示処理により、表示面114aには、文字情報301、オブジェクト画像302が表示される。
【0340】
また、この場合、透過率変更処理Nにおいて、透過率制御部501は、前記表示部11Nが表示面114aに少なくとも画像(オブジェクト画像302)および文字情報を表示する場合、前記画像領域および前記文字領域の位置を特定し、前記画像領域の透過率と前記文字領域の透過率とを異ならせるよう、前記透過率変更部510を制御する。また、前記透過率変更部510は、該透過率変更部510のうち、少なくとも前記画像領域および前記文字領域301R以外の領域である背景領域304の透過率を、前記文字領域301Rの透過率より大きくする。なお、透過率変更処理Nは、前述した処理と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0341】
なお、透過率変更処理Nにおいて、文字情報301と、画像としてのオブジェクト画像302および動画像303の一方とが処理対象の場合、透過率制御部501は、特定した各領域の透過率が、以下の式2を満たすように、透過率変更部510を制御してもよい。
【0342】
背景透過率>文字透過率>画像透過率 ・・・(式2)
【0343】
式2において、画像透過率は、画像領域の透過率である。画像領域とは、静止画像領域302Rの透過率または動画像領域303Rの透過率である。なお、この場合の透過率変更処理Nは、前述した処理と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0344】
なお、式2を満たす制御は、オブジェクト画像302および動画像303の両方が処理対象の場合に行われてもよい。この場合、式2の画像透過率は、静止画像領域302Rの透過率および動画像領域303Rの透過率である。この場合、静止画像領域302Rの透過率および動画像領域303Rの透過率は同じになるように制御される。
【0345】
なお、表示処理Mでは、文字が所定の方向に移動するテロップを処理対象としてもよい。この場合、テロップが示す文字の見易さを重視する場合、表示処理Mの透過率変更処理N1では、透過率制御部501が、以下の式3を満たすように、透過率変更部510を制御してもよい。
【0346】
背景透過率>文字透過率>テロップ透過率>静止画像透過率>動画像透過率…(式3)
【0347】
式3において、テロップ透過率とは、動画像領域303Rと同様、透過率変更部510のうち、テロップに対応する領域である。式3を満たすように、透過率変更処理N1が行われることにより、テロップが示す文字の視認性を向上させることができる。
【0348】
また、テロップが示す文字の動きを重視する場合、表示処理Mの透過率変更処理N1では、透過率制御部501が、以下の式4を満たすように、透過率変更部510を制御してもよい。
【0349】
背景透過率>文字透過率>静止画像透過率>テロップ透過率>動画像透過率…(式4)
【0350】
式4を満たすように、透過率変更処理N1が行われることにより、テロップが示す文字の動きの視認性を向上させることができる。
【0351】
また、テロップの注目度を重視する場合、表示処理Mの透過率変更処理N1では、透過率制御部501が、以下の式5を満たすように、透過率変更部510を制御してもよい。
【0352】
背景透過率>文字透過率>静止画像透過率>動画像透過率>テロップ透過率…(式5)
【0353】
式5を満たすように、透過率変更処理N1が行われることにより、テロップの視認性を向上させることができる。すなわち、ユーザに、テロップを注目させることができる。
【0354】
なお、ユーザ同士が、指をさしてコミュニケーションを図る場合には、上記各領域の透過率の順序をユ−ザ−が任意に変えても良い。
【0355】
また、透過率変更部は、透過率が変化するものである必要はなく、透過率の異なるガラス板なども使用出来る。例えば、透過率変更部において、予め、文字領域、画像領域等の位置を決めておく。そして、文字領域、画像領域等の位置に、例えば、式1を満たすような複数種類の透過率のガラス板を使用する。
【0356】
また、透明ディスプレイ装置102は、図20Aの動画像判定部31を備える構成としてもよい。この場合、実施の形態4の表示処理Bと同様な処理が動画像303に対し行われることにより、動画像の特徴に応じて、当該動画像の表示方向も制御することができる。
【0357】
(実施の形態5の変形例1)
なお、実施の形態5の透明ディスプレイ装置102は、透過率変更部510の代わりに以下の透過率変更部520を備えてもよい。
【0358】
図29は、本発明の実施の形態5の変形例1に係る透過率変更部520の構成を示す図である。図29には、説明のため画素部PX10も示す。なお、図29では、図25の透過率変更部510と同様、1つの画素部PX10に対応する透過率変更部520の構成を示す。
【0359】
透過率変更部520は、電気泳動装置である。電気泳動装置は、非発光型表示デバイスであって、例えば、電気泳動現象を利用した電気泳動表示装置が知られている。ここで、電気泳動現象とは、溶媒中に帯電粒子を分散させた溶液に電界を印加したとき、分散により自然に帯電粒子がクーロン力で泳動する現象である。または、電気泳動現象は、カプセル型の粒子中に溶液を入れて電気衝撃を加えると粒子が移動し、電気的表示を現わす形態である。
【0360】
透過率変更部520は、第1透明基板521と、一対の第1透明電極522と、一対の第2透明電極523と、第2透明基板526とを含む。
【0361】
第1透明基板521は、ガラス基板P11に接触するように設けられる。第1透明基板521および第2透明基板526は、所定の間隔だけ離隔して互いに対向するように設けられる。
【0362】
そして、第1透明基板521の下部には、第1透明電極522が形成される。また、第2透明基板526の上部には、第1透明電極522が形成される。すなわち、一対の第1透明電極522は、対向するように設けられる。
【0363】
また、第1透明基板521および第2透明基板526のうち、画素部PX10に対応する部分の両端部には、一対の第2透明電極523が設けられる。この一対の第2透明電極523、第1透明基板521および第2透明基板526により囲まれた空間には、溶媒524が充填される。溶媒524は、光遮断層として機能する。
【0364】
溶媒524には、少なくとも一つの帯電粒子524aが分散している。帯電粒子524aは黒色を有する。帯電粒子524aは、溶媒524の正極性または負極性の良好な帯電特性を示す材料で形成される。帯電特性を示す材料は、例えば、無機物顔料、有機顔料、カーボンブラック、またはこれらの材料を含有した樹脂を用いることができる。
【0365】
また、溶媒524は、帯電粒子524aと反応しないように、絶縁性を有する材料から形成される。溶媒524は、例えばイソパラフィン、シリコンオイルおよびキシレン、トルエンなどの透明な非極性溶媒から形成される。
【0366】
上述した溶媒524および帯電粒子524aには、帯電粒子524aの帯電を制御し安定化させるための荷電制御剤を添加することもできる。荷電制御剤としては、例えばコハク酸イミド、モノアゾ染料の金属錯塩、サリチル酸、有機4級アンモニウム塩やニグロシン系化合物などがある。
【0367】
また、溶媒524には、帯電粒子524aなどの凝集を防止し、分散状態を維持するための分散剤をさらに添加することもできる。このような分散剤としては、例えばリン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどのリン酸多価金属塩、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、さらに無機塩、無機酸化物、あるいは有機高分子材料などがある。
【0368】
なお、溶媒524と帯電粒子524aとの組み合わせに特に制限はないが、帯電粒子524aの重力による沈降を避けるため、溶媒524と帯電粒子524aとは、ほぼ同一割合に設定することが望ましい。
【0369】
また、透過率変更部520は、さらに、第1透明電極522または第2透明電極523に電圧を印加する制御部(図示せず)が備える。制御部に設けられたスイッチにより、第1透明電極522および第2透明電極523に選択的に電圧を印加することができる。
【0370】
透過率変更部520(電気泳動装置)の厚さは、約50〜500μmの範囲の値である。
【0371】
一方、上述した溶媒524や帯電粒子524aは、第1透明電極522と第2透明電極523に印加される電圧によって光を遮断したり透過させたりする光遮断層の役目をする。すなわち、透過率変更部520は、透過率変更部510と同様、各画素部PX10に対応する第1透明電極513および第2透明電極515に印加される電圧の大きさに応じて、透過率変更部520のうち、当該画素部PX10を覆う領域の透過率を変更する。
【0372】
(実施の形態5の変形例2)
また、実施の形態5の透明ディスプレイ装置102は、透過率変更部510の代わりに以下の透過率変更部530を備えてもよい。
【0373】
図30は、本発明の実施の形態5の変形例2に係る透過率変更部530の構成を示す図である。図30には、説明のため画素部PX10も示す。なお、図30では、図25の透過率変更部510と同様、1つの画素部PX10に対応する透過率変更部530の構成を示す。
【0374】
透過率変更部530は、エレクトロクロミック装置である。一般に、電圧を印加すると可逆的に電解酸化または還元反応が起こり、可逆的に着色および脱色する現象をエレクトロクロミズムという。このような現象を利用したエレクトロクロミック装置は、光量制御素子、または、セグメントを利用した数字表示やエレクトロクロミックディスプレイなどの表示素子として使用されている。上記光量制御素子は、例えば、防眩ミラー(antiglaremirror)や調光ガラス、ミラー類または有機発光ダイオードなどの輝度調整素子などである。
【0375】
エレクトロクロミック装置は、エレクトロクロミック装置を構成するエレクトロクロミック層の材料形態によって溶液型、完全固体型などに大きく分類することができる。
【0376】
透過率変更部530は、図29の透過率変更部520と比較して、溶媒524の代わりに電解質534が使用される点が異なる。透過率変更部530のそれ以外の構成は、透過率変更部520と同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0377】
電解質534は、例えば、水系、非水系液体(電解液)、または、半固体(高分子電解質)等で構成される。以下においては、電解質534により形成される層を、エレクトロクロミック層という。
【0378】
エレクトロクロミック層の着色剤534aとしては、ビオロゲン以外にも例えば芳香族アミン、酸化還元錯体、フタロシアニン、ヘテロ環形成化合物、フルオラン、スチリル、アントラキノン、フタル酸ジエステルなどが挙げられる。
【0379】
以下、簡単に透過率変更部530の動作を説明する。
【0380】
一対の第1透明電極522の間に所定の電圧を印加すると、エレクトロクロミック層で還元反応が起きてエレクトロクロミック層が透明から濃い黒色に変色し、ブラックマトリクスの役割を果たすようになる。これにより、透明ディスプレイ装置102は前面発光することができる。また、エレクトロクロミック層で酸化反応が起きる場合には濃い黒色から透明に変色し、両面発光することになる。
【0381】
なお、透過率変更部530は、透過率変更部510と同様、各画素部PX10に対応する一対の第1透明電極522に印加される電圧の大きさに応じて、透過率変更部530のうち、当該画素部PX10を覆う領域の透過率を変更する。
【0382】
(実施の形態6)
本実施の形態では、複数のパネルを用いた構成について説明する。
【0383】
図31は、本発明の実施の形態6に係る透明ディスプレイ装置102Bの構成を示すブロック図である。なお、図31では、説明のために画像データ供給部24も示している。
【0384】
図32は、本発明の実施の形態6に係る透明ディスプレイ装置102Bの断面図である。
【0385】
図31および図32に示すように、透明ディスプレイ装置102Bは、図13の透明ディスプレイ装置100Bと比較して、表示部11Bの代わりに表示部11NAを備える点と、透過率制御部501をさらに備える点が異なる。透明ディスプレイ装置102Bのそれ以外の構成は、透明ディスプレイ装置100Bと同様なので詳細な説明は繰り返さない。
【0386】
表示部11NAは、パネル14NAを有する。詳細は後述するが、パネル14NAは、パネル14aと、パネル14bと、透過率変更部510とから構成される。パネル14a,14bの各々は、実施の形態1のパネル14である。すなわち、パネル14a,14bの各々は、パネル14と同じ構成を有する。
【0387】
パネル14NAの一方の面および他方の面には、画像、文字等を表示するための表示面114a,114cが形成される。
【0388】
図33は、本発明の実施の形態6に係るパネル14NAの構成を示す図である。
【0389】
図33に示すように、パネル14NAは、複数の画素部PX12を含む。複数の画素部PX12は、行列状に配置される。複数の画素部PX12の各々は、外部から供給される信号に応じて発光する。パネル14NAに含まれる複数の画素部PX12が構成する一方の平面および他方の平面が、それぞれ、表示面114aおよび表示面114cである。1つの画素部PX12は、1つの画素に対応する。したがって、表示面114aおよび表示面114cの各々は、複数の画素から構成される。
【0390】
図34は、画素部PX12の構成の一例を示す上面図である。図34に示すように、画素部PX12は、サブ画素部P2.R,P2.G,P2.Bから構成される。サブ画素部P2.R,P2.G,P2.Bは、それぞれ、赤、緑および青色の光を発する画素部である。以下においては、サブ画素部P2.R,P2.G,P2.Bの各々を、単に、サブ画素部P2とも表記する。
【0391】
図35は、サブ画素部P2の断面図である。
【0392】
図35に示されるように、サブ画素部P2は、図25のサブ画素部PX(例えば、サブ画素部PXR)を2つ用いて構成される。具体的には、サブ画素部P2は、2つのサブ画素部PXにそれぞれ対応する2つのガラス基板P11により、透過率変更部510を挟む構造を有する。すなわち、パネル14NAは、パネル14aのガラス基板P11と、パネル14bのガラス基板P11とにより、透過率変更部510を挟むことにより構成される。つまり、前記透過率変更部510は、パネル14aおよびパネル14bの間に設けられる。
【0393】
すなわち、パネル14NAは、図1(b)のパネル14(例えば、パネル14a)のうち、多くの光量を発する面が、表示面114aまたは表示面114cとなるように、パネル14a,14bが設けられたパネルである。
【0394】
この構成により、表示面114aおよび表示面114cに表示される画像、文字等の視認性を向上させることができる。すなわち、実施の形態6に係る透明ディスプレイ装置102Bでは、2つのパネルを用いることにより、高い輝度と解像度を維持することが可能となり、画質の向上や視認性の向上という効果を得ることができる。
【0395】
以上の構成により、前記表示部11NAは、表示面114aおよび表示面114cがそれぞれ設けられたパネル14aおよびパネル14bを有する。また、表示面114aの裏面と表示面114cの裏面とが対向するように、表示面114aおよび表示面114cは配置される。つまり、表示面114aおよび表示面114cは、特定方向としてのY軸方向に沿って並ぶ。
【0396】
表示面114cは、可視光に対して透明な表示面である。すなわち、表示面114cは、透光性を有する。すなわち、表示部11NAは、表示面114aおよび表示面114cが並ぶY軸方向に対し透光性を有する。
【0397】
なお、表示部11NAは、3つ以上のパネルで構成されてもよい。
【0398】
次に、図36および図37を用いて、透明ディスプレイ装置102Bが行う処理について説明する。
【0399】
図36は、本発明の実施の形態6に係る透明ディスプレイ装置102Bが行う処理のフローチャートである。
【0400】
図37は、本発明の実施の形態6に係る透明ディスプレイ装置102Bの動作に従ったパネル14NAの表示例を示す図である。図37(a)は、表示面114aの表示例を示す。図37(b)は、表示面114cの表示例を示す。
【0401】
ここで、一例として、画像データ供給部24は、オブジェクト画像302および画像座標Aを、画像表示方向制御部16へ送信するとする。また、画像データ供給部24は、文字情報301および文字座標Aを、文字情報表示方向制御部17へ送信するとする。
【0402】
また、ユーザ401およびユーザ402は、透明ディスプレイ装置102Bを挟んで向き合っているとする。ユーザ401およびユーザ402は、それぞれ、表示面114aおよび表示面114cを見ているとする。
【0403】
この場合、ステップS100MAの表示処理MAでは、画像表示方向制御部16は、オブジェクト画像302および画像座標Aを受信する。
【0404】
そして、画像表示方向制御部16は、受信したオブジェクト画像302を左右反転させた画像(以下、左右反転画像ともいう)を生成する。
【0405】
そして、画像表示方向制御部16は、オブジェクト画像302および画像座標Aを、第1パネル制御回路20および透過率制御部501へ送信するとともに、画像表示方向制御部16は、左右反転画像および画像座標Aを、第2パネル制御回路21へ送信する。
【0406】
なお、第1パネル制御回路20がオブジェクト画像302等を受信するタイミングは、第2パネル制御回路21が左右反転画像等を受信するタイミングと同じである。
【0407】
そして、表示制御処理NAと、透過率変更処理Nとが独立して並列に実行される。
【0408】
表示制御処理NAでは、第1パネル制御回路20は、パネル14aの表示面114a内の画像座標Aの位置に、オブジェクト画像302を表示するよう、ドライブ回路を用いてパネル14aを制御する。これにより、表示面114aにオブジェクト画像302が表示される。
【0409】
第2パネル制御回路21は、パネル14bの表示面114cにおいて、画像座標Aを水平方向に反転した座標の位置に、左右反転画像を表示するよう、ドライブ回路を用いてパネル14bを制御する。ここで、表示面114cにおける、画像座標Aを水平方向に反転した座標の位置と、表示面114aにおける受信した座標の位置とは、特定方向(Y軸方向)において一致する。
【0410】
これにより、表示面114cに、オブジェクト画像302を左右反転した左右反転画像が表示される。
【0411】
上記処理により、図37(a)に示すように、表示面114aには、オブジェクト画像302が左右正像で表示される。一方、図37(b)に示すように、表示面114cには、オブジェクト画像302が左右逆像で表示される。
【0412】
なお、第1パネル制御回路20がパネル14aを制御するタイミングは、第2パネル制御回路21がパネル14bを制御するタイミングと同じである。すなわち、第1パネル制御回路20および第2パネル制御回路21は、同期して、それぞれ、パネル14aおよびパネル14bを駆動する。
【0413】
上記のように、パネル14a,14bを含む前記表示部11NAは画像を表示する場合、表示面114aでは前記画像を左右正像で表示し、表示面114cでは前記画像を左右逆像で表示する。
【0414】
すなわち、特定方向(Y軸方向)において互いに一致する、表示面114a内の位置および表示面114cの位置に、それぞれ、オブジェクト画像302および左右反転画像が同一タイミングで表示される。
【0415】
これにより、前述したパネル14a,14bの各々における一方の面および他方の面の発光量の差により、実施の形態3と同様な効果が得られる。すなわち、表示面114aをみるユーザ401は、左右正像のオブジェクト画像302を、明確に視認することができる。また、表示面114cをみるユーザ402は、左右反転画像(左右逆像のオブジェクト画像302)を、明確に視認することができる。
【0416】
また、文字情報表示方向制御部17は、表示面114aおよび表示面114cに表示するための文字情報の向きを制御する。具体的には、文字情報表示方向制御部17は、第1パネル制御回路20、第2パネル制御回路21等を利用して、前記表示部11NAに、表示面114aおよび表示面114cの各々において同一の文字情報を左右正像で表示させる。
【0417】
さらに、具体的には、ステップS100MAの表示処理MAにおいて、文字情報表示方向制御部17は、文字情報301および文字座標Aを受信する。
【0418】
そして、文字情報表示方向制御部17は、文字情報301および文字座標Aを、第1パネル制御回路20、第2パネル制御回路21および透過率制御部501へ送信する。
【0419】
なお、文字情報表示方向制御部17が文字情報301等を送信するタイミングは、画像表示方向制御部16が前述の左右反転画像等を送信するタイミングと同じである。すなわち、画像表示方向制御部16と、文字情報表示方向制御部17とは、同期して動作する。
【0420】
表示制御処理NAでは、第1パネル制御回路20は、パネル14aの表示面114a内の文字座標Aの位置に、文字情報301を表示するよう、ドライブ回路を用いてパネル14aを制御する。これにより、表示面114aに文字情報301が左右正像で表示される。
【0421】
また、第2パネル制御回路21は、パネル14bの表示面114cにおいて、文字座標Aを水平方向に反転した座標の位置に、文字情報301を表示するよう、ドライブ回路を用いてパネル14bを制御する。ここで、表示面114cにおける、文字座標Aを水平方向に反転した座標の位置と、表示面114aにおける文字座標Aの位置とは、特定方向(Y軸方向)において一致する。これにより、表示面114cに、文字情報301が左右正像で表示される。
【0422】
なお、第1パネル制御回路20がパネル14aを制御するタイミングは、第2パネル制御回路21がパネル14bを制御するタイミングと同じである。すなわち、第1パネル制御回路20および第2パネル制御回路21は、同期して、それぞれ、パネル14aおよびパネル14bを駆動する。
【0423】
この場合、パネル14NAを含む前記表示部11Bは、特定方向(Y軸方向)において互いに一致する、表示面114a内の位置および表示面114cの位置に同一の文字情報を表示する。また、前記表示部11NAは、表示面114aおよび表示面114cの各々において同一タイミングに、同一文字を左右正像で表示する。
【0424】
すなわち、特定方向(Y軸方向)において互いに一致する、表示面114a内の位置および表示面114cの位置に、左右正像の同一の文字情報301が同一タイミングで表示される。
【0425】
これにより、前述したパネル14a,14bの各々における一方の面および他方の面の発光量の差により、実施の形態3と同様な効果が得られる。すなわち、表示面114aをみるユーザ401は、左右正像の文字情報301を、明確に視認することができる。
【0426】
なお、ユーザ401と同様に、ユーザ402は、表示面114cに表示される左右正像の文字情報301を、明確に視認することができる。
【0427】
なお、透過率変更処理Nは、実施の形態5と同様な処理が行なわれるので詳細な説明は繰り返さない。この処理により、領域の種類に応じて、各領域に対応する画像、文字等のコントラストを変化させることができる。
【0428】
以上説明したように、本実施の形態によれば、パネル14NAのY軸方向の同じ位置において、画像は、表示面114cにおいて左右逆像で表示され、文字情報は表示面114a,114cの各々において同一タイミングで左右正像で表示される。これにより、2つのパネルを同期して駆動させる構成において、文字の視認性を向上させることができる。
【0429】
また、互いに向き合うユーザ401およびユーザ402の間に透明ディスプレイ装置102Bを配置することにより、ユーザ401およびユーザ402は、相手の指差しまたは表情等を確認しながら、会話(対話)が可能となる。また、文字視認性の向上と、画像における互いの指差しの位置が一致することにより、お互いの情報共有が容易となる。したがって、複数人のユーザが透明ディスプレイ装置を挟んで対話する際に、情報共有を容易にすることができる。
【0430】
また、本実施の形態に係る透明ディスプレイ装置102Bは、2つのパネルを用いる構成である。これにより、高い輝度と解像度を維持することが可能となり、画質の向上や視認性の向上という効果を得ることができる。
【0431】
また、本実施の形態では、さらに、実施の形態5と同様に透過率変更処理Nが行われることにより、領域の種類に応じて、各領域に対応する画像、文字等のコントラストを変化させることができる。これにより、実施の形態5と同様な効果が得られる。例えば、文字情報301よりも、静止画像としてのオブジェクト画像302の視認性を向上させることができる。また、本実施の形態の構成において透過率変更処理Nにおいて、さらに動画像303も処理される場合、文字情報301よりも、画像としてのオブジェクト画像302および動画像303の視認性を向上させることができる。
【0432】
なお、図31に示される、本実施の形態の透明ディスプレイ装置102Bの構成は、一例であり、これに限定されない。例えば、表示制御部12Bは、表示部11NAに含まれてもよい。この構成の場合、例えば、文字情報表示方向制御部17は、表示部11NA内の第1パネル制御回路20および第2パネル制御回路21に対し制御を行うことになる。すなわち、この場合、文字情報表示方向制御部17は、表示部11NAに対し制御を行う。
【0433】
また、透明ディスプレイ装置102Bは、図20Aの動画像判定部31を備える構成としてもよい。この場合、実施の形態4の表示処理Bと同様な処理が動画像303に対し行われることにより、動画像の特徴に応じて、当該動画像の表示方向も制御することができる。
【0434】
(その他の変形例)
以上、本発明に係る透明ディスプレイ装置および表示制御方法について、前記各実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これら実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、当業者が思いつく変形を本実施の形態に施したものも、本発明に含まれる。
【0435】
例えば、上記各実施の形態で扱う文字情報は、文字が所定の方向に移動するテロップであってもよい。この場合、当該テロップは、上記各実施の形態と同様に、文字情報と同様に表示制御される。すなわち、テロップは、例えば、表示部11の表示面114a,114bの両方において、左右正像で表示される。
【0436】
例えば、各実施の形態における表示部(例えば、表示部11)は、Y軸方向に対し透光性を有するとしたがこれに限定されない。各実施の形態における表示部は、Y軸を、90度未満の所定角度(例えば45度)傾けた軸に対しても透光性を有してもよい。
【0437】
また、上記の各実施の形態の透明ディスプレイ装置を構成する複数の構成要素の全てまたは一部は、ハードウエアで構成されてもよい。また、上記の透明ディスプレイ装置を構成する構成要素の全てまたは一部は、CPU(Central Processing Unit)等により実行されるプログラムのモジュールであってもよい。
【0438】
また、上記の各実施の形態の透明ディスプレイ装置を構成する複数の構成要素の全てまたは一部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されてもよい。システムLSIは、複数の構成要素を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。
【0439】
例えば、信号処理部13は、1個のシステムLSI(集積回路)から構成されてもよい。
【0440】
また、本発明は、透明ディスプレイ装置が備える特徴的な構成部の動作をステップとする表示制御方法として実現してもよい。また、本発明は、そのような表示制御方法に含まれる各ステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現してもよい。また、本発明は、そのようなプログラムを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体として実現されてもよい。また、当該プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して配信されてもよい。
【0441】
また、上記実施の形態で用いた全ての数値は、本発明を具体的に説明するための一例の数値である。すなわち、本発明は、上記実施の形態で用いた各数値に制限されない。
【0442】
また、透明ディスプレイ装置の構成は、本発明を具体的に説明するための一例の構成である。例えば、実施の形態1に係る透明ディスプレイ装置は、図2に示される全ての構成要素を備えなくてもよい。つまり、本発明に係る透明ディスプレイ装置は、本発明の効果を実現できる最小限の構成のみを備えればよい。
【0443】
また、本発明に係る表示制御方法は、各実施の形態の表示処理(例えば、図6の表示処理)に相当する。
【0444】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0445】
本発明に係る透明ディスプレイ装置は、複数人のユーザが当該透明ディスプレイ装置を挟んで対話する際に、情報共有を容易にすることができ有用である。例えば、本発明に係る透明ディスプレイ装置は、映画館のチケット売り場、または、病院などの細菌を隔離する部屋の中にいる人とその部屋を外側から見る人の間を隔てなければならないなどの状況において有用である。
【符号の説明】
【0446】
P11 ガラス基板
P13 アノード電極
P14 発光層
P15 カソード電極
P16 保護層
P17 透明シール
PX10,PX11,PX12,PX20 画素部
11,11A,11B,11N,11NA 表示部
12,12B 表示制御部
13 信号処理部
14,14a,14b,14A,14B,14NA,914 パネル
15,20 第1パネル制御回路
21 第2パネル制御回路
24 画像データ供給部
31 動画像判定部
100,100A,100B,100C,102,102B,900 透明ディスプレイ装置
114a,114b,114c,114d,115a,115b,914a,914b 表示面
301R 文字領域
302,303a オブジェクト画像
302R 静止画像領域
303R 動画像領域
304 背景領域
501 透過率制御部
510,520,530 透過率変更部
511 第1偏光板
512 第1基板
513,522 第1透明電極
514 液晶層
515,523 第2透明電極
516 第2基板
517 第2偏光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する表示部を備え、
前記表示部は、透光性を有する第1表示面および第2表示面を有し、
前記第1表示面の裏面と前記第2表示面の裏面とが対向するように、前記第1表示面および前記第2表示面は配置され、
前記表示部は、前記第1表示面および前記第2表示面の各々において同一の文字情報を左右正像で表示する
透明ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記表示部は画像を表示する場合、前記第1表示面では前記画像を左右正像で表示し、前記第2表示面では前記画像を左右逆像で表示する
請求項1に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記第1表示面に対し垂直な方向において互いに一致する、前記第1表示面内の位置および前記第2表示面内の位置に前記画像を表示する
請求項2に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記第1表示面に対し垂直な方向において互いに一致する、前記第1表示面内の位置および前記第2表示面内の位置に前記同一の文字情報を表示する
請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記透明ディスプレイ装置は、さらに、
前記第1表示面および前記第2表示面に表示するための文字情報の向きを制御する文字情報表示方向制御部を備え、
前記文字情報表示方向制御部は、前記表示部に、前記第1表示面および前記第2表示面の各々において前記同一の文字情報を左右正像で表示させる
請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記文字情報表示方向制御部は、前記表示部に、前記第1表示面に対し垂直な方向において一致する、前記第1表示面内の領域および前記第2表示面内の領域において所定期間毎に前記同一の文字情報を左右正像で表示させるための時分割表示処理を行う
請求項5に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記透明ディスプレイ装置は、さらに、
前記第1表示面および前記第2表示面に表示するための動画像の特徴を判定する動画像判定部と、
前記動画像判定部による判定結果に基づいて、前記第1表示面および前記第2表示面の各々において該動画像を表示する向きを制御する表示方向制御部とを備える
請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記動画像はオブジェクト画像を示し、
前記動画像判定部は、前記オブジェクト画像の所定時間における移動距離が閾値以上であるか否かを判定し、
前記表示方向制御部は、前記動画像判定部により前記オブジェクト画像の所定時間における移動距離が閾値以上であると判定された場合、前記表示部に、前記第1表示面および前記第2表示面の各々において前記動画像を左右正像で表示させる
請求項7に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記第1表示面および前記第2表示面が設けられた1つのパネルを有する
請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記表示部は、前記第1表示面および前記第2表示面がそれぞれ設けられた第1パネルおよび第2パネルを有する
請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記透明ディスプレイ装置は、さらに、
前記第1表示面の裏面と対向するように設けられた透過率変更部を備え、
前記透過率変更部は、前記表示部が前記第1表示面に少なくとも画像および文字情報を表示する場合、前記透過率変更部のうち、前記第1表示面に表示される前記画像を含む領域である画像領域の透過率と、前記透過率変更部のうち、前記第1表示面に表示される前記文字情報を含む領域である文字領域の透過率とを異ならせる
請求項1〜10のいずれか1項に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記透過率変更部は、前記文字領域の透過率を、前記画像領域の透過率より大きくする
請求項11に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記透過率変更部は、該透過率変更部のうち、少なくとも前記画像領域および前記文字領域以外の領域である背景領域の透過率を、前記文字領域の透過率より大きくする
請求項11または12に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記透明ディスプレイ装置は、さらに、
前記表示部が前記第1表示面に少なくとも画像および文字情報を表示する場合、前記画像領域および前記文字領域の位置を特定し、前記画像領域の透過率と前記文字領域の透過率とを異ならせるよう、前記透過率変更部を制御する透過率制御部を備える
請求項11〜13のいずれか1項に記載の透明ディスプレイ装置。
【請求項15】
前記透過率変更部は、前記表示部が前記第1表示面に、前記文字情報と、画像としての静止画像および動画像とを表示する場合、(i)前記透過率変更部のうち、前記第1表示面に表示される前記静止画像を含む静止画像領域の透過率を、前記透過率変更部のうち、前記第1表示面に表示される前記動画像を含む動画像領域の透過率より大きくするとともに、(ii)前記文字領域の透過率を前記静止画像領域の透過率より大きくする
請求項11〜13のいずれか1項に記載の透明ディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2013−41100(P2013−41100A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177715(P2011−177715)
【出願日】平成23年8月15日(2011.8.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】