説明

透明体ボトルの外観検査装置及び外観検査方法

【課題】 多様な種類のボトルに適用可能であり、ボトル底面に存在する欠陥の有無を高精度に判定することができる、透明体ボトルの外観検査装置を提供する。
【解決手段】 開口部103を有する透明体ボトルの底外面102に向けて第1の周波数の拡散光を照射可能な第1光源部3と、前記透明体ボトルの底外面102に向けて第2の周波数の平行光を照射可能な第2光源部4と、前記透明体ボトルの開口部103に隣接し、前記第1光源部3及び第2光源部4から照射された光を判別して、前記開口部103を通して前記底内面を撮像するエリアカメラ2と、前記エリアカメラ2により撮像された前記第1光源部3からの光による第1画像及び第2光源部4からの光による第2画像に基づいて、前記透明体ボトルの底面の欠陥の有無を判定する欠陥判定部6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペットボトルなどの透明ボトルの底面部の欠陥を検査するための外観検査装置及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検査対象物に存在する欠陥の有無を検査するために、検査対象物の特定領域を撮像し、この撮像画増に基づいてキズなどの有無を画像処理により判断する手法が行われている。この検査手法は、多種にわたる物品に用いられており、ペットボトルの外観検査にもこの方法が用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2003−202295号公報)では、ペットボトルの底部に対向して配置されたリング状の光源と、ペットボトルの底部と前記リング状の光源との間に配置され、中心部に開口を有した拡散板と、ペットボトルの底部から最も離間して配置され、前記リング状光源を前記拡散板とにより挟むようにして配置された拡散反射板とを備えた検査装置が開示されている。
【0004】
この装置では、リング状の光源から放射された光は、前記拡散板を透過してペットボトルの底部に入射する第1光路と、拡散板の開口を通過してペットボトルの底部に直接入射する第2光路と、拡散板で反射された後に更に拡散反射板で反射され拡散板の開口を通過してペットボトルの底部に入射する第3光路とをとる。そして、直接照明光と透過照明光とを組み合わせて撮影することで凹凸部に照射が可能となり、この凹凸部の陰が消えて他の部分と同程度の明るさの画像とすることができる。このため、凹凸部に汚れや異物があれば、この部分は暗い画像となり、これらの汚れや異物を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−202295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された検査装置は、多方向から光を照射することによりペットボトルの底面の凹凸の陰を消すことにより、欠陥を視認しやすくすることを目的とするものであるが、底面の凹凸の陰が消えることにより、ボトルの中心の位置合わせが困難になるという問題がある。すなわち、ペットボトルは、中心から放射状に凹凸が設けられており、中心軸に対する回転角度の位置あわせが必要である。ペットボトルの底面の凹凸の陰を消すことにより底部の輪郭が消え、このために位置合わせが困難となるという問題があった。
【0007】
位置合わせが高精度に行われていない場合は検査エリアの特定ができず、その結果高精度の欠陥判定ができなくなり、また、ボトル底部に存在するゲート跡の検査ができないという問題があった。
【0008】
さらに、特許文献1の装置は、環状光源を用いているため、光源の中心に対してボトルの中心を合わせることによって、ボトルの中心からみた各放射方向の陰を同じ様に消すことができるが、ボトル中心と光源中心とが一致しない場合、底部の陰影にその位置に応じた濃淡が生じる。このため、特許文献1の装置は、断面円形のボトルのみの検査しかできないという問題があった。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、多様な種類のボトルに適用可能であり、ボトル底面に存在する欠陥の有無を高精度に判定することができる、透明体ボトルの外観検査装置及び外観検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の透明体ボトルの外観検査装置及び外観検査方法を提供する。
【0011】
本発明の第1態様によれば、開口部を有する透明体ボトルの底外面に向けて第1の周波数の拡散光を照射可能な第1光源部と、
前記透明体ボトルの底外面に向けて第2の周波数の平行光を照射可能な第2光源部と、
前記透明体ボトルの開口部に隣接し、前記第1光源部及び第2光源部から照射された光を判別して、前記開口部を通して前記底内面を撮像するエリアカメラと、
前記エリアカメラにより撮像された前記第1光源部からの光による第1画像及び第2光源部からの光による第2画像に基づいて、前記透明体ボトルの底面の欠陥の有無を判定する欠陥判定部と、を備えることを特徴とする、透明体ボトルの外観検査装置を提供する。
【0012】
本発明の第2態様によれば、前記第1光源部と第2光源部は、透明発光パネルで構成され、互いに同軸に設けられていることを特徴とする、第1態様の透明体ボトルの外観検査装置を提供する。
【0013】
本発明の第3態様によれば、前記第2光源部は、発光パネルの発光面に設けられた平行光フィルタを有し、前記第1光源部の下方に設けられることを特徴とする、第2態様の透明体ボトルの外観検査装置を提供する。
【0014】
本発明の第4態様によれば、前記欠陥判定部は、前記第2画像を用いて予め格納された標準画像に一致するように第1画像及び第2画像の回転角度補正を行い、前記第1画像と前記標準画像とを比較することにより、前記底面の欠陥の有無を判定することを特徴とする、第1から第3態様のいずれか1つの透明体ボトルの外観検査装置を提供する。
【0015】
本発明の第5態様によれば、開口部を有する透明体ボトルの底外面に向けて第1の周波数の拡散光及び第2の周波数の平行光を照射し、
前記透明体ボトルの開口部に隣接して配置され前記開口部を通して前記底内面を撮像するエリアカメラで、前記第1光源部及び第2光源部から照射された光を判別して、前記第1光源部からの光による第1画像及び第2光源部からの光による第2画像を撮像し、
前記第2画像を用いて予め格納された標準画像に一致するように第1画像及び第2画像の回転角度補正を行い、前記第1画像と前記標準画像とを比較することにより、前記底面の欠陥の有無を判定することを特徴とする、透明体ボトルの外観検査方法を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、透明体ボトルの底部に、拡散光及び平行光の2つの光が照射されるため、ボトル底部の凹凸の陰の写り込みが異なる2つの画像を得ることができる。すなわち、拡散光である第1光源部によって撮影された第1画像は、底部の凹凸に多方面からの光が照射されるため、凹凸の陰が薄くなった画像とすることができる。一方、平行光である第2光源部によって撮影された第2画像は、底部の凹凸に対して一方向からの光が照射されるため、凹凸の陰及び底部の輪郭が鮮明に写り込んだ画像とすることができる。したがって、これらの特徴ある2つの画像を用いることにより、透明体ボトルの底面の欠陥検査を高精度に行うことができる。
【0017】
また、光源に環状光源を用いないため、底面形状が円形以外の透明体ボトルについても鮮明に撮影を行うことができ、多様な種類のボトルに適用することができる。
【0018】
上記構成において、第1及び第2光源部を透明発光パネルで構成することにより、2つの光源部を重ねて配置することで、光軸を同じにすることができ、装置構成を小型にすることができると共に、2つの光源部による撮影条件を同じにすることができる。
【0019】
第2光源部から発光される光を平行光にするために、平行光フィルタを用いることが好ましい。平行光フィルタは、例えば、中空のハニカム構造を有したフィルタであり、面光源の発光面から拡散光として発光された光のうち、発光面に直交する方向の光のみを通過させることによって平行光に変換するものが例示できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態にかかる外観検査装置の被検査物であるペットボトルの概略構成を示す模式図である。
【図2】図1のペットボトルの底部の構成を示す部分拡大斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる透明体ボトルの外観検査装置の構成を示す模式図である。
【図4】図3の外観検査装置の第1照明装置から照射された光路を示す図である。
【図5】第1照明装置を用いた第1画像の例を示す図である。
【図6】図3の外観検査装置の第2照明装置4から照射された光路を示す図である。
【図7】第2照明装置を用いた第2画像の例を示す図である。
【図8】外観検査装置の画像解析部の機能ブロック図である。
【図9】画像解析部が行う欠陥判定処理のフローチャートである。
【図10】中心特定部が行う中心特定処理の説明図である。
【図11】回転角度調整部が行う角度調整処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態にかかる透明体ボトルの外観検査装置について図面を参照しながら説明する。
【0022】
本実施形態にかかる透明体ボトルの外観検査装置1は、透明体ボトルの一例としてのペットボトル100の底面の天面にキズ、汚れなどが存在するかどうかをカメラ2によって撮像された画像を用いて良否判定を行うものである。本実施形態の外観検査装置1において検査可能な透明体ボトルは、底面が透明に構成されたものであり、他の部分が不透明に構成されているものであってもよい。例えば、開口部付近が白色不透明のペットボトルなども検査可能である。
【0023】
図1は、本実施形態にかかる外観検査装置の被検査物であるペットボトルの概略構成を示す模式図、図2は、図1のペットボトルの底部の構成を示す部分拡大斜視図である。図1に示すように、ペットボトル100は胴部101と底部102と開口部103とを有している。開口部103の下部には、サポートリング部104が設けられている。サポートリング部104は、ペットボトルの成形などにおいてその位置基準となる基準面であり、サポートリング104から開口部103の天面103aまでの距離Hは既知である。
【0024】
ペットボトルの底部102には、図2に示すようにペットボトル成型時におけるプラスチック注入口の跡であるゲート跡105と、ペットボトルの底部の強度を補強するための半径方向に放射状に延びるリブ状の凹凸部106が設けられている。
【0025】
なお、本実施形態の外観検査装置により検査可能なペットボトルは、胴部101が円形のものに限らず、矩形や楕円形のものであってもよい。ただし、開口部103を通して検査部位である底部102の撮像が可能な形状であることが必要である。ペットボトル100の輪郭については、後述するように本発明の標準データの一例としての良品データが作成されており、当該良品データは外観検査装置に格納されている。
【0026】
図3は、本発明の実施形態にかかる外観検査装置の構成を示す模式図である。本実施形態にかかる外見検査装置1では、ペットボトル100の下方に本発明の第1光源部及び第2光源部の一例としての2つの照明装置3,4が設けられている。照明装置3,4は、ペットボトル100の下方からペットボトル100の底部102を照明する
【0027】
また外見検査装置1には、それぞれ第1照明装置3,第2照明装置4から照射された光を用いて検査対象であるペットボトル100を撮像するカメラ2が設けられている。カメラ2はペットボトル100の開口部103側からペットボトル100の底部102を透過した透過光を撮影する。
【0028】
カメラ2及び各照明装置3,4には、それぞれの装置を駆動制御するための制御部5が接続されており、また、カメラ2によって撮像された画像に基づいて、欠陥の有無を判別する画像解析部6が設けられている。駆動装置5及び画像解析部6は、例えば、汎用のコンピュータを使用可能であり、本実施形態では、これらの機能を発揮するドライバプログラム及び画像解析プログラムがインストールされたコンピュータが用いられている。
【0029】
本実施形態にかかる外見検査装置1では、ペットボトル100の搬送、位置決めに当該サポートリング部104を支持するクランプ7を用いる。クランプ7は、左右に開閉可能に構成されており、対向面にサポートリング部104を収容する溝が設けられている。開いた状態のクランプ7を透明体ボトル100の側方からサポートリング部104近傍に配置し、その後、クランプ7を閉じることによって、クランプ7に対する透明体ボトル100の上下左右方向の位置を一定に保持することができる。また、サポートリング部104は肉厚が厚く強度があるため、クランプ7での固定時にしっかり固定することができ、また、ボトルの位置基準として用いられているため、カメラ2から口天面までの距離を一定にすることができる。
【0030】
カメラ2は、検査対象である透明体ボトル100の上部に設けられたエリアカメラであり、その光軸が透明体ボトル100の開口104面に対して直交するように配置されている。カメラ2には、それぞれのピクセルに例えばRGBフィルタなどのフィルタが設けられたカラーCCDが搭載されている。カメラ2は、特定の周波数の光を透過するフィルタが設けられているピクセルのみをアクティブとすることにより、当該特定の光により照射された透明体ボトル100の画像を撮像することができる。
【0031】
第1照明装置3は、ペットボトル100の下部に設けられカメラの光軸と同軸に設けられており、特定の周波数の光を発光する面光源である。発光面の寸法は、ペットボトル100の底面よりも大きく構成されている。本実施形態では、第1照明装置3は、おおむね450〜490nmの青色光を発光する面光源であり、透明発光パネルが用いられている。第1照明装置3は、発光面全体から拡散光を発光する。
【0032】
第2照明装置4は、第1照明装置3の下に積層した状態に設けられ第1照明装置3の光軸と同軸に特定の周波数の光を発光する面光源である。本実施形態では、第2照明装置4は、おおむね620〜750nmの赤色光を発光する面光源が用いられる。
【0033】
第2照明装置4の発光面には、平行光フィルタ8が設けられている。平行光フィルタ8は、例えば、中空のハニカム構造体を内包させたシート状のフィルタであり、ハニカム構造体の中空方向に沿った方向に射出された光のみが透過することができるため、第2照明装置4からの光を平行光とすることができる。この構成を取ることにより、コンパクトな構成で平行光を得ることができる。
【0034】
各照明装置3,4から照射されるそれぞれ異なる周波数を有する光は、カメラ2によって判別され、これらの光で照射された透明体ボトル100の画像がそれぞれ撮像される。すなわち、カメラ2は、それぞれの照明装置3,4により照射された2種類の透明体ボトル100の画像(第1画像、第2画像)を出力することができる。
【0035】
第1画像及び第2画像は、1つのカメラで撮像された画像であるため、撮影位置、画角、焦点距離などを等しくする画像であり、画像中の各画素はそれぞれ被写体である透明体ボトル100の同じ位置を撮像している。このため、後述する画像解析において、両画像の比較を行なう場合には、各画素の座標に基づいて処理を行うことで容易に両画像間の対応を取ることができる。
【0036】
図4に、本実施形態にかかる外観検査装置の第1照明装置から照射された光路を示す。図4に示すように、第1照明装置3は、ある任意の発光面3aからは、あらゆる方向に対して同じ照度を有する拡散光を照射する発光装置である。すなわち、当該第1照明装置3によって照射されたペットボトル100底面102の任意の点102aには、あらゆる方向の光路(L1〜L4)を通って光が照射され、底面102を通過して開口部103に近接して設けられているカメラに入射する。このため、第1照明装置3によって照射された底面には、凹凸部106の陰影106aが薄く撮像される。
【0037】
図5に第1照明装置を用いた第1画像の例を示す。図5の(a)、(b)はそれぞれ、別のサンプルとしてのペットボトルを用いた第1画像を示すものである。図5に示すように、底部102の陰影が薄く撮像されている。一方で、凹凸部の陰影が明確ではないため、その凹凸部の境界や輪郭もはっきりせず、濃淡の差が顕著に表れていない。
【0038】
図6に本実施形態にかかる外観検査装置の第2照明装置4から照射された光路を示す。図6に示すように、第2発光装置4の発光面には、透明光フィルタ8が設けられており、フィルタ8の任意の発光点4aからは、発光面に直交する方向に平行光が発光され、第1照明装置3を透過してペットボトル100に照射される。すなわち、当該第2照明装置4によって照射されたペットボトル100底面102の任意の点102aには、光路L11に示すように発光面に対して直角な方向の光のみが照射され、底面102を通過して開口部103に近接して設けられているカメラに入射する。このため、第1照明装置3によって照射された底面には、凹凸部106の陰影がはっきりと撮像される。
【0039】
図7に第2照明装置を用いた第2画像の例を示す。図7の(a)、(b)はそれぞれ、別のサンプルとしてのペットボトルを用いた第1画像を示すものである。図7に示すように、底部102の陰影がはっきりと撮像されており、凹凸部の陰影の濃淡の差が顕著に表れている。
【0040】
また、図5及び図7に示す画像は、予めナイフなどを用いて底部102に切れ込みキズ51、52をそれぞれ設けたペットボトルを撮像したものである。図5及び図7を比較すると明らかなように、第2画像では、凹凸部の陰影とキズ51,52の濃淡差が顕著ではなく、後述する画像解析部によるキズと凹凸の陰影との差別化が困難な場合がある。一方、図5に示す第1画像では、凹凸の陰影に較べてキズが明確に撮像されており、両者の差別化が比較的容易であり、画像解析において判定の精度を高くすることができる。
【0041】
なお、上記のようにクランプ7により透明体ボトル100のサポートリング部104を保持することにより透明体ボトル100の開口部101のみがクランプ7の上方に位置することとなる。これにより、図2に示すようにクランプ7は、開口部101の外周領域を遮光することで、透明体ボトル100の外側に第2照明装置4の光が写り込むのを防止することができる。クランプ7によって、開口部101の外周領域を遮光することで、天面部102、面取り部103のコントラストを大きくすることができ、後述する画像解析部6による欠陥の判別を高精度とすることができる。
【0042】
次に、画像解析部による画像解析について説明する。図8は、外観検査装置の画像解析部の機能ブロック図である。図9は、画像解析部が行う欠陥判定処理のフローチャートである。
【0043】
本発明の欠陥判定部の一例としての画像解析部6は、中心特定部10、角度調整部11、検査領域特定部12、輝度値判定部13とを備え、さらに、良品の撮像データである標準データ14を備えている。画像解析部6は、カメラ2により撮像された2種類の第1画像及び第2画像を用いて両画像中の検査エリアの特定を行い、検査エリア内の輝度値の変化量に基づいて欠陥の有無を判定する。
【0044】
画像解析部6は、図9に示すフローチャートに示した処理手順により画像解析処理を行なう。画像解析部6の中心特定部10は、まず、底部102の中心を算出する(#1)。中心特定部10は、予め記憶されている標準データ14に基づいて仮想輪郭線20を作成する。仮想輪郭線20は、図10に示すように、標準データ14の底部102の輪郭と相似形に構成される。図10では、仮想輪郭線20は、底部102の輪郭より小さいものが用いられる。なお、仮想輪郭線20は、ペットボトル100の底部の輪郭であるから、円形に限定されるものではなく、四角形又は楕円形などの形状であってもよい。
【0045】
次いで、中心特定部10は、図10に示すように、第2画像を用いて底部102に対応する底部領域102aの外側境界を示す外側輪郭円21を、各画素の輝度値を参照して特定する。さらに、仮想輪郭線20の中心から放射状に伸びる複数の仮想線22を作成し、仮想輪郭線20と外側輪郭円21とで区切られる各仮想線22の長さができるだけ均一になるように、第2画像を移動させ、第2画像の被写体中心位置を特定する。
【0046】
第2画像の被写体中心位置を特定したあと、角度調整部11は、標準データの検査除外エリアに凹凸部の陰影106aの陰影が含まれるように、被写体中心位置を中心として第2画像を回転補正させる(#2)。検査除外エリア23は、予め標準データに基づいて定められており、凹凸部106の陰影部分の周辺領域が設定されている。角度調整部11は、中心特定部10によって特定された被写体中心位置を中心として第2画像を回転させ、当該検査除外エリア23に存在する画素の輝度値が最も小さくなるような回転角度に第2画像及び第1画像を画像変換する。
【0047】
検査領域特定部12は、外側輪郭円21で囲まれた領域のうち、検査除外エリア23を除く領域を検査エリアとして特定する(#3)。
【0048】
輝度値判定部13は、検査領域特定部12により特定された検査領域について、第1画像を用いて、画素の輝度値を比較する(#4)。その上で、輝度の変化量について、所定の閾値を超えて高い値を示す部分を欠陥として判定する。
【0049】
本実施形態によれば、2つの照明装置を用い、異なる光路を通ってカメラに到達した光を識別して撮影することにより、各光路の光に特有の画像を撮像することができる。撮像された画像は、陰影の撮影状態が異なるため、透明体ボトル100の底部102の欠陥判定において、2つの画像を使い分けることにより高精度に欠陥判定を行うことができる。
【0050】
すなわち、第1照明装置による第1画像は凹凸の陰影が薄く撮像される一方、輪郭なども不鮮明となった画像である。一方で、第2画像は、凹凸の陰影がはっきりと撮像され、欠陥の判定に用いる輝度値の比較においては誤差が大きい一方、輪郭が鮮明であり、画像の検査領域の特定などには好適な画像である。本実施形態によれば、これらの2種類の画像を用いることにより、検査領域の特定及び欠陥の判定のいずれにおいても高精度な処理を行うことができる。
【0051】
また、2種類の画像を1つのカメラで同時に撮像することができるため、検査時間を短くすることができる。
【0052】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。例えば、第2照明装置4において、平行光を得るための構成は上記実施形態に限定されるものではない。一例としては、第2照明装置として点光源を用い、凸レンズを点光源から当該レンズの焦点距離だけ離れた位置に配置させることで平行光を得ることができる。
【0053】
また、上記実施形態では、カラーCCDを搭載したカメラを用い、カメラのドライバにより各波長の光を識別するように構成しているが、例えば、モノクロCCDを用いたカメラを用い、カメラの光軸上に透過波長を切り替え可能に構成されたカラーフィルタ装置を配置してもよい。この場合、同時に複数の画像の撮像は不可能であるが、CCDのすべてのピクセルを用いて撮像可能であるため、比較的高精細の画像を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ペットボトルの製造業、ペットボトルを用いた飲料の製造業等において、ペットボトルの品質管理に用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 外観検査装置
2 カメラ
3 第1照明装置
4 第2照明装置
5 制御部
6 画像解析部
7 クランプ
8 平行光フィルタ
10 中心特定部
11 角度調整部
12 検査領域特定部
13 輝度値判定部
20 仮想輪郭線
21 外側輪郭円
23 仮想線
24 検査除外エリア
100 ペットボトル
101 胴部
102 開口部
103 面取り部
104 サポートリング部
105 ゲート跡
106 凹凸部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する透明体ボトルの底外面に向けて第1の周波数の拡散光を照射可能な第1光源部と、
前記透明体ボトルの底外面に向けて第2の周波数の平行光を照射可能な第2光源部と、
前記透明体ボトルの開口部に隣接し、前記第1光源部及び第2光源部から照射された光を判別して、前記開口部を通して前記底内面を撮像するエリアカメラと、
前記エリアカメラにより撮像された前記第1光源部からの光による第1画像及び第2光源部からの光による第2画像に基づいて、前記透明体ボトルの底面の欠陥の有無を判定する欠陥判定部と、を備えることを特徴とする、透明体ボトルの外観検査装置。
【請求項2】
前記第1光源部と第2光源部は、透明発光パネルで構成され、互いに同軸に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の透明体ボトルの外観検査装置。
【請求項3】
前記第2光源部は、発光パネルの発光面に設けられた平行光フィルタを有し、前記第1光源部の下方に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の透明体ボトルの外観検査装置。
【請求項4】
前記欠陥判定部は、前記第2画像を用いて予め格納された標準画像に一致するように第1画像及び第2画像の回転角度補正を行い、前記第1画像と前記標準画像とを比較することにより、前記底面の欠陥の有無を判定することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載の透明体ボトルの外観検査装置。
【請求項5】
開口部を有する透明体ボトルの底外面に向けて第1の周波数の拡散光及び第2の周波数の平行光を照射し、
前記透明体ボトルの開口部に隣接して配置され前記開口部を通して前記底内面を撮像するエリアカメラで、前記第1光源部及び第2光源部から照射された光を判別して、前記第1光源部からの光による第1画像及び第2光源部からの光による第2画像を撮像し、
前記第2画像を用いて予め格納された標準画像に一致するように第1画像及び第2画像の回転角度補正を行い、前記第1画像と前記標準画像とを比較することにより、前記底面の欠陥の有無を判定することを特徴とする、透明体ボトルの外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−242148(P2012−242148A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110058(P2011−110058)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】