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透明光学基材及び該基材面への光触媒無機酸化金属膜形成方法
説明

透明光学基材及び該基材面への光触媒無機酸化金属膜形成方法

【課題】 光触媒である無機酸化物金属の粒子を該基材面に対して強固に付着力させてこの膜剥離を抑制して基材面を保護し表面の耐擦傷を向上させ、可視光においても光触媒効果を活性させると共に、被膜表面を高度に親水化させる同時に、帯電防止効果も向上させ、さらにSiOの干渉縞の発生を防止するようにした。
【解決手段】
光触媒無機酸化金属膜である少なくとも酸化チタンが繊維状超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さが1〜50nm、平均繊維長さが10〜1000nm、平均アスペクト比が2〜100、比表面積が30m/g以上であり、光触媒中の無機元素が半定量値において、少なくともTiが90〜97wt%、Siが2.3〜30wt%、Agが1.4〜2.2wt%、Znが0.2〜0.3wt%含み、有機元素が定量値において少なくともCが55〜65wt%、Hが8〜12wt%、Nが0.2〜0.4wt%含み、基材面に定着させた酸化チタンを含む光触媒無機酸化金属膜が鉛筆硬度3H以上である透明光学基材とした。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡等の光学レンズ、鏡、光学プリズム、光ファイバー、液晶基板、光反射板等の透明光学基材であって、光触媒である無機酸化物金属の粒子を該基材面に対して高硬度で強固に付着力させてこの膜剥離を抑制して基材面を保護し表面の耐擦傷を向上させ、可視光においても光触媒効果を活性化させると共に、被膜表面を高度に親水化させる同時に、帯電防止効果も向上させ、さらにSiOの干渉縞の発生を防止するようにした透明光学基材に関するものである。
【発明の背景】
【0002】
近時、酸化チタンの光触媒作用を利用した脱臭及び殺菌機能を備えた各種製品が開発されている。これらの製品は、酸化チタン等の光触媒作用により、製品表面に付着した微生物や臭気物質が分解されることによる防菌、防臭する効果をねらったものである。この酸化チタンの光触媒作用は、酸化チタン粒子に紫外線を照射することにより、光触媒の表面に発生した正孔が、光触媒表面の吸着水と反応して、ラジカルOH(水酸基ラジカル)が生成され、このラジカルOHが有機物の分子結合を切断することにより、これが粒子表面へ拡散して周囲の有機物質へ酸化又は還元作用としてはたらくためと考えられている。
【0003】
酸化チタンは、その化学的特性を利用した用途が広く、例えば酸素と適当な結合力を有すると共に耐酸性を有するため、酸化還元触媒あるいは担体、紫外線の遮断力を利用した化粧材料またはプラスティックの表面コート剤、さらには高屈折を利用した反射防止コート剤、導電性を利用した帯電防止材として用いられたり、これら効果を組み合わせて機能性ハードコート材に用いられたり、さらに光触媒作用を使用した防菌剤、防汚剤、超親水性被膜などに用いられている。
【0004】
光触媒として使用される酸化チタンは無定型酸化チタンのみならず、アナタース型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びこれらの混晶体、共晶体等の結晶性の酸化チタンが好ましく、特にアナタース型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンはバンドギャップが高いので広く利用されている。
【0005】
また、前記酸化チタン粒子及び酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルの濃度としては特に制限はないが、酸化物として5〜40重量%の範囲にあり、このような濃度範囲にあれば、ゾルは安定であり、アルカリ処理時に粒子が凝集することがなく、効率的に酸化チタン粒子を製造できることが知られている。
【0006】
また、このような光触媒作用を有する酸化チタン被膜は、製膜時に高温処理(150℃〜400℃以上)が必要であるため、耐熱性のないガラス、プラスティック、木材、繊維、布などへの製膜は困難である。このため、高温処理した酸化チタン粒子を用いて被膜形成用塗布液を調整し、この塗布液を基材上に塗布して被膜を形成することによって、比較的低温で硬化膜を形成することが試みられている。しかしながら、高温処理された酸化チタン粒子は一般に粒子径が大きく、屈折率が高いために被膜中での酸化チタン粒子による光の散乱が大きく、透明性にすぐれた酸化チタン被膜が得られない欠点がある。
【0007】
さらに、酸化チタン被膜の形成方法としては、酸化チタン塗布液を基材表面にスピナー法、バーコーター法、スプレー法、フレキソ法などで塗布した後、乾燥し、高温で過熱硬化することが知られている。
【背景技術】
【0008】
従来、例えば引用文献1(特開2000−075114号公報)には、「コーティング組成物が、硬化に伴いシリコーン樹脂の被膜を形成する塗膜形成要素と、この塗膜形成要素中に分散された光触媒の粒子を含有し、このコーティング組成物を基材に塗布し硬化させてシリコーン樹脂の被膜を形成した後、光触媒を光励起すると、被膜の表面のシリコーン分子のケイ素原子に結合した有機基は光触媒作用により水の存在下で水酸基に置換され、被膜の表面が高度に親水化するようにし、基材の表面を高度に親水化する親水性コーティングの形成方法および該方法の実施に用いるコーティング組成物」が提供されている。
【0009】
そして、該公報の各請求項1に「・・・付着した湿分の凝縮水および/又は水滴が前記層の表面に広がり、基材が湿分凝縮水及び/又は水滴によって曇り若しくは翳(かげ)るのが防止されるようにした防曇性鏡、防曇性レンズ、防曇性透明板状部材及びそれらの防曇方法」が記載されている。
【0010】
また、請求項3、5,11等には「光触媒性材料が、TiO、ZnO・・・であり、前記層は、更にSiO・・・を含んでおり、更に、Ag金属を含んでいる」旨記載されている。
【0011】
しかしながら、この発明においては、基材にコーティングした光触媒を光励起することにより、基材が湿分凝縮水及び水滴によって曇り若しくは翳(かげ)るのが防止されるようにしようとするものであるが、前記TiO、ZnO、SiO等の金属酸化物の粒子形状及び組成割合が充分に示されておらず、また、Agの添加量も示されていないため、具体的にどのような粒子形状及び組成割合とすれば被膜表面が高度に親水化作用を奏するのか不明である。
【0012】
また、引用文献2(特開2000−344510号公報)には、「フルオロチタン錯イオンとフルオロ珪素錯イオンとを含有する水溶液に、フッ素補足剤を混合して前記錯イオンと反応させて、この水溶液に浸漬した基板上に酸化チタンー酸化ケイ素複合膜を析出させ方法と、前記複合膜はチタンと珪素の平均組成比(モル比)Ti:Siが25:75〜1:99の範囲であり、かつ4配位酸化チタンを含むこと、この方法により製造された酸化チタンー酸化珪素複合膜及びこの複合をレンズ上に有する眼鏡用レンズで、チタンと珪素の平均組成比(モル比)Ti:Siが25:75〜1:99の範囲であり、かつ4配位酸化チタンを含む酸化チタンー酸化珪素複合膜からなる眼鏡レンズ用低反射防曇膜であって、眼鏡レンズ用等に適した機械的強度に優れ、低反射率及び高光触媒活性を有する酸化珪素−酸化チタン複合膜を提供する」旨記載されている。
【0013】
しかしながら、この発明においては、TiOに対するAg及びZnの混合割合及びTiO等の金属酸化物の粒子形状が記載されておらず、光触媒効果及び基材への粒子の付着性及び親水性等がどの程度であるか記載されていない。また、この発明においては、TiOに対するSiOの混合比率が極めて多く、上記光触媒効果が充分に得られないと共に、コーティング面にSiOの干渉縞が発生し易い。
【0014】
また、引用文献3(特開2007−270097号公報)には、「屈折率が1.5〜2.8であるルチル型酸化チタン超微粒子を核とし、特定の手法でケイ素酸化物からなる被服層を設けた被服型無機酸化物超微粒子を含有してなる樹脂組成物、また当該樹脂組成物を用いてなる光学部材」が記載されている。
【0015】
そして、「高屈折率で透明性、分散性、耐光性、耐候性等に優れた被服型無機酸化物超微粒子、該超微粒子が水あるいは有機溶媒に分散してなるゾル液及び当該超微粒子が高濃度に分散した高屈折率透明樹脂組成物及び光学材料を提供する。さらには、光学レンズ(メガネレンズ、フレネルレンズ、CD、DVDなどの情報記録機器におけるピックアップレンズ、デジタルカメラなどの撮影機器用レンズ等)光学プリズム、光導波路、光ファイバー、薄膜成形物、光学用接着剤、光半導体封止材料、回折格子、導光板、液晶基盤、光反射板、反射防止材等の光学部材の材料を提供する」旨説明されている。
【0016】
さらに、「請求項3、4」には、「前記の被服型無機酸化物超微粒子の結晶径の短軸、長軸が2〜20nmであり、平均凝集粒子径が10〜100nmである」旨記載されている。
【0017】
しかしながら、この発明においては、Agが添加されておらないため、高度な親水性及び帯電防止等の効果の向上が期待できず、基材面の湿分凝縮水及び水滴による曇り及び基材面への埃の付着を充分に防止することができない。
【0018】
また、引用文献4(特開平10−306258号公報)には、「(A)成分;(R(RSi(OR4−(a+b)及び[(RSi(Ox)3−cYで表される有機ケイ素化合物、並びにその加水分解物からなる群より選ばれた少なくとも1種のケイ素含有物質、(B)成分;2〜20nmの一次粒子径を有する酸化チタンー酸化ジルコニウムー酸化スズ複合コロイド粒子、を含有するコーティング組成物であって、眼鏡レンズ、カメラ用レンズ、自動車用窓ガラス、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等に付設する光学フィルター等の光学部材に耐擦傷性、表面硬度、耐摩耗性、透明性、耐熱性、耐光性、耐候性、耐水性に優れたコーティング膜を得るためのコーティング組成物及びそのコーティング組成物を利用した光学部材」が記載されている。
【0019】
しかしながら、この発明においては、Agが添加されていないため、高度な親水性及び帯電防止等の効果が得られず、基材面の湿分凝縮水及び水滴による曇り及び基材面への埃の付着を充分に防止することができない。また、無機酸化物の一次粒子径が2〜20nmと微細ではあるが、繊維状又は針状であるとの記載がなく、基材面に対してより優れた付着力と耐擦傷性が得るかどうか理解できない。
【0020】
また、引用文献5(特開2010−069469号公報)には、「密閉室内の衣服等の繊維物質に液状光触媒を噴出する光触媒噴出手段と、前記繊維物質に付着する光触媒に紫外線を照射する紫外線照射手段と、前記繊維物質に付着する液状光触媒に熱風を送風して乾燥させる熱風乾燥手段とからなり、前記光触媒噴出手段において光触媒が繊維状酸化チタン超微粒子であり、該繊維状酸化チタン超微粒子を適量分散させた透明液状光触媒を噴出するようにし、前記熱風乾燥手段における熱風の温度を30〜120℃とし、密閉室内に充満する繊維状酸化チタン超微粒子を熱風により前記繊維物質の繊維全体へ均一に固着乾燥させるようにした光触媒脱臭殺菌方法」が記載されている。
【0021】
そして、「請求項2」には「液状光触媒中の無機元素が半定量値において、少なくともTiが90〜97wt%、Siが2.3〜3.0wt%、Agが1.4〜2.2wt%、Znが0.2〜0.3wt%含む」旨、また、[請求項2]には「液状光触媒中の有機元素が定量値において少なくともCが55〜65wt%、Hが8〜12wt%、Nが0.2〜0.4wt%含む」旨、さらに、「請求項3」には「前記液状光触媒中における酸化チタンが繊維状の超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さが1〜50nm、平均繊維長さが10〜1000nm、平均アスペクト比が2〜100、比表面積が30m/g以上である」旨記載されている。
【0022】
この発明における無機質光触媒酸化物の組成範囲及び粒子形状は本発明と略同様である。しかしながら、この発明においては、これら無機質光触媒酸化物の適用対象が衣服等の繊維物質であり、本発明の如き表面平滑な透明光学基材面ではない。したがって、単に噴霧等の吹きつける熱風乾燥工法では屈折率や反射率等の光学的条件が加味される表面平滑な基材面にムラなく均一塗布することができず、また、透明光学基材面に対する無機質光触媒酸化膜の塗布した定着状態もまったく異なるものである。また、基材面への無機質光触媒酸化物の付着力及び硬度は製膜方法によっても大きく変化する。
【0023】
また、引用文献6(特開2001−038222号公報)には、「光触媒付き部材には、陶器等により構成される部材本体の一側面に光触媒層(光触媒材料)が形成されている。光触媒層は低温溶融ガラス層に、触媒活性粒状物が充填された構成であり、該触媒活性粒状物はアナターゼ(鋭錘石)を主体として構成された酸化チタン粉末の表面にAg系金属層が形成されたAg−酸化チタン系複合組成物とされている。この光触媒層は、可視光を主体とする光の照射により活性化され、光触媒付き部材付近に付着又は浮遊する汚れ、カビ、有害ガス等を酸化還元し、無害な炭酸ガス、窒素ガス等、水等に分解するもので、酸化チタンの光触媒作用を可視光で活性化させ、蛍光燈等でも十分に触媒機能が発現され、かつ人体等への影響の少ない光触媒材料、光触媒付き部材を提供する」旨記載されている。
【0024】
そして、「請求項5、6」には「・・・酸化チタンの構成相のうち、最も重量含有比率の高い相がアナターゼ型相である酸化チタン系粒子の表面に、Agを主成分とするAg系金属を付着させ、そのAg系金属を付着させた酸化チタン系粒子を400〜700℃にて熱処理することにより得られる・・・」旨記載されている。
【0025】
しかしながら、この発明においては、Ag系金属を付着させた酸化チタン系粒子であるが、Agを付着させるために高温の熱処理を必要とし、また、光触媒金属酸化物の粒子は超微粒な繊維状でなく(図3参照)、高い新水性、帯電防止等の光触媒作用及び高硬度であって基材表面へ強固な付着性を有するものではない。
【0026】
さらに、光触媒コーティング方法については、基材がセラミック、ガラス、金属などの無機系材料の場合は、酸化チタン表面に生じて反応を誘起させる活性酸素種(OHラジカル、Oラジカル等)が基材を分解することがないので、光触媒を直接コーティングすることができる(通常は、酸化チタンを水、溶剤、バインダー、PH調整剤などと混ぜ合わせた組成物として基材面に塗布する)。しかしながら、基材がプラスティックの場合には、前記の方法で塗布すると高分子が活性酸素種により分解されてしまうので、基材表面に保護層を設ける必要がある。このような保護層には無機及び有機系のシリカやフッ素化合物がよく利用されている。したがって、例えば、特許文献7〜10に示されるような、バリアー層物質を含む液と光触媒組成物との2液を使う方法やバリアー物質、光触媒、その他の物質を含む1液コーティング方法が高分子基材用にかいはつされている。
【0027】
しかしながら、このような方法によると他の物質と一緒に光触媒微粒子を高分子基材面に塗布するため、微粒子がバインダー成分中に埋もれて本来の高い活性が得られない。また、繊維や不織布の場合に光触媒微粒子が剥離したり水洗いを繰返すと光触媒が取れて失われたりする。光触媒を高分子基材中に練りこむ方法の場合には、表面に露出している光触媒微粒子の割合が非常に少ない。
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は、光触媒である無機酸化物金属の粒子を超微粒繊維状として、無機酸化物金属を透明光学基材面に対して極めて強固に付着力させて膜剥離を抑制し、該金属酸化物コーティング膜は基材面の凹凸に均一に定着して表面摩擦計数を減少させ、膜の硬度が向上するので基材面を保護し充分な表面耐擦傷を得ることができる。また、Agを適当量含有することにより可視光においも光触媒活性を向上できると共に、被膜表面を高度に親水化させるため基材面に付着した水滴が基材面に広がることにより曇りを防止する。また、帯電防止効果も向上させることができるので埃の付着が抑制される。さらに、SiOの混合比率を低くできるのでSiOの干渉縞の発生を防止すると共に、SiOの混合比率が低い分ZnOを添加することによりその吸着性によりコーティング膜の基材への付着性をさらに強固にすることができる透明光学基材及び該基材面への光触媒無機酸化金属膜形成方法を提供することを課題とする。
【0029】
また、酸化チタン等の光触媒が基材のコーティングに使用するバインダー成分中に埋もれるのを防止し、かつ表面に光触媒繊維状微粒子が緻密重なり合ってにかつ強く結合された、高活性で剥離しない特にプラスティック基材である透明光学基材面への光触媒無機酸化金属膜形成方法を提供することを課題とする。
【0030】
引用文献1 特開2000−075114号公報
引用文献2 特開2000−344510号公報
引用文献3 特開2007−270097号公報
引用文献4 特開平10−306258号公報
引用文献5 特開2010−069469号公報
引用文献6 特開2001−038222号公報
引用文献7 特開2000−318089号公報
引用文献8 特開2001−277418号公報
引用文献9 特開2001−089708号公報
引用文献10 特開2005−035198号公報
【課題を解決する手段】
【0031】
請求項1の発明は、液状光触媒中の無機酸化金属である少なくとも酸化チタンが繊維状超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さが1〜50nm、平均繊維長さが10〜1000nm、平均アスペクト比が2〜100、比表面積が30m/g以上であり、光触媒中の無機元素が半定量値において少なくともTiが90〜97wt%、Siが2.3〜3.0wt%、Agが1.4〜2.2wt%、Znが0.2〜0.3wt%含み、有機元素が定量値において少なくともCが55〜65wt%、Hが8〜12wt%、Nが0.2〜0.4wt%含み、基材面に定着させた酸化チタンを含む光触媒無機酸化金属膜が鉛筆硬度で約3H以上である透明光学基材を提供するものである。
【0032】
この発明においては、光触媒である無機酸化物金属の粒子を上記請求項に示す如き繊維状超微粒子としているので、無機酸化物金属を透明光学基材面に対してコーティングした場合に極めて高硬度に硬化させることが出来るので、基材表面の耐擦傷を向上させて基材面を保護することができ、かつ強固に付着力させることが出来るので膜剥離を抑制することが出来る。
【0033】
また、請求項に示す前記繊維状超微粒子に対してAgを適当量含有することによりTi−Ag系光触媒においてもより光触媒活を向上させることができると共に、さらに、可視光においも被膜表面をより高度に親水化させるため、基材面に付着した水滴を崩し広がらせて曇りを防止する同時に、該繊維状超微粒酸化チタン粒子は比表面積が大きく光触媒活性が向上する上に、Agを添加することと繊維状超微粒酸化チタン粒子が重なりあって定着することの相乗効果により酸化チタン金属膜が極めて電気を通し易い状態となるため、帯電防止効果が大幅に高くなる。そのため埃の基材面への付着がほとんど生じない。
【0034】
さらに、SiOの混合比率を低くできるので塗布面におけるSiOの干渉縞の発生を防止すると共に、SiOの混合比率が低い分ZnOを適量添加してそれ自体の吸着性によりコーティング膜の基板への付着性をさらに強固にすることができる。
【0035】
さらに、CHN比により低温で乾燥硬化できるため、光学透明基材が、例えば、プラスティックのような熱に弱いものに対してでも、基材に熱の支障なく使用できる。
【0036】
請求項2の発明は、無機酸化金属である少なくとも酸化チタンが繊維状超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さが1〜50nm、平均繊維長さが10〜1000nm、平均アスペクト比が2〜100、比表面積が30m/g以上であり、光触媒中の無機元素が半定量値において少なくともTiが90〜97wt%、Siが2.3〜3.0wt%、Agが1.4〜2.2wt%、Znが0.2〜0.3wt%含み、有機元素が定量値において少なくともCが55〜65wt%、Hが8〜12wt%、Nが0.2〜0.4wt%含み、酸化チタン等の無機酸化物金属を有機バインダーと合わせた合計含量の約15%以上とした液状光触媒中に、透明光学基材を約1分以上浸漬した後、120℃以下で乾燥させて無機酸化金属を基材面に高密度に定着させるようにした透明光学基材面への光触媒無機酸化金属膜形成方法を提供するものである。
【0037】
この発明においては、光触媒である無機酸化物金属の粒子が超微粒繊維状であるので、無機酸化物金属を透明光学基材面に対して極めて高密度で強固に付着力させて膜剥離を抑制し、該金属酸化物コーティング膜は基材面の凹凸に均一に定着して表面摩擦計数を減少させ、膜の硬度が向上するので基材面を保護し充分な表面耐擦傷を得ることができる。また、Agの添加と相俟って可視光においも光触媒活性を向上させると共に、被膜表面を高度に親水化させて曇りを防止する。また、帯電防止効果も向上させることができるので埃の付着の抑制を向上させることが出来る。さらに、酸化チタン等の無機酸化物金属を有機バインダーと合わせた含量が約15%以上としているので、主に酸化チタンがバインダー成分中に埋もれるのを防止し、かつ表面に酸化チタンの繊維状微粒子が緻密重なり合って、基材面において互いに極めて高密度に結合させると共に、前記本発明の光触媒活性作用(膜剥離抑制、表面摩擦計数、膜硬度向上、表面耐擦傷、可視光光触媒活性、超親水性曇り防止、帯電防止効果等)をさらに向上させることが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0038】
液状光触媒の作成;繊維状酸化チタン超微粒子の生成は、酸化チタン系複合酸化物が水に分散してなる水分散ゾルを、少なくともSiO、AgO、ZnOのアルカリ金属水酸化物の存在下で水熱処理することにより得られる。これら繊維状酸化チタンの粒子径は、繊維幅及び厚さが1〜50nm、繊維長さが10〜1000nm、アスペクト比が2〜100以上が好ましく使用され、酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルを用いる。上記粒子径であれば安定な水分散ゾルが得られ、非常に高いレベルで単独の粒子分散性に優れた繊維状酸化チタン超微粒子が得られる。
【0039】
前記酸化チタン粒子、酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルの濃度としては、酸化物として2〜50重量%の範囲にあることが好ましい。このような濃度範囲であれば、ゾルは安定であり、アルカリ処理時に粒子が凝集することもなく、効率的に繊維状酸化チタン超微粒子を生成させることができる。
【0040】
上記のように、特にSiO、AgO、ZnOのアルカリ金属水酸化物が含まれると、繊維状酸化チタン超微粒子が生成しやすく、繊維状酸化チタン超微粒子の紫外線吸収領域や光触媒活性を調整することができ、さらに熱的安定性や化学的安定性を得ることができる。上記酸化チタン以外の酸化物の含有量は1〜25重量%、好ましくは3〜8重量%である。このような範囲において繊維状酸化チタン超微粒子は高いレベルで生成する。
【0041】
本実施例では、複合酸化チタン超微粒子に対してチタン過酸化物または複合チタン過酸化物と、有機高分子化合物とからなるバインダーを使用する。このようなチタン過酸化物または複合チタン過酸化物は通常溶液状態(透明液状光触媒)となる。このようなチタン過酸化物または複合チタン過酸化物は、前記複合酸化チタン微粒子と同程度の屈折率を有しているので、被膜構成成分による光の散乱がなく、透明性に優れた液状光触媒とすることができる。
【0042】
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiOとして濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調整した。この水溶液を、温度を5℃に調整した濃度15%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。ついで生成したゲルを濾過洗浄し、TiOとして濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
【0043】
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調整した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiOとして濃度は0.5重量%であった。ついで95℃で10時間加熱して酸化チタン粒子分散液とし、この酸化チタン粒子分散液に分散液中のTiOに対するモル比が0.016となるようにテトラメチルアンモニウムハイドロオキサドを添加した。ついで、SiO、AgO、ZnOを若干量添加して、230℃で5時間水熱処理して複合酸化チタン粒子分散液、即ち本発明で使用する透明液状光触媒を調整した。この時の酸化チタンは、平均繊維幅及び厚さが1〜50nm、平均繊維長さが10〜1000nm、平均アスペクト比が2〜100の繊維状酸化チタン超微粒子であった。
【0044】
液状光触媒組成の測定;上記透明液状光触媒の無機元素及び有機元素の組成比の測定結果を以下に示す。尚、透明液状光触媒の組成を把握するために、この透明液状光触媒から水を蒸発させて、溶解成分のみを濃縮採取し、それに含まれる無機元素及び有機元素の量を調べた。試料溶液をビーカーに入れ、120℃のホットプレートを用いて水を蒸発させ、触媒成分を濃縮採取した。有機物の存在が予想されるのでCHN分析も追加した。
【0045】
無機元素の定性・半定量(蛍光X線法);
以下の装置・条件で測定し、含有元素の定性・半定量を行った。
装置;理学電気(株)製 全自動蛍光X線分析装置、RIX−3000
管球;Rh管球 測定径;25mmφ
【0046】

【0047】
CHNの定量(燃焼熱伝導度法);
装置;ヤナコ製 MT−700CN

【0048】
測定結果の解析
前記測定結果より、液状光触媒に含まれる元素量は、以下のように計算される。

【0049】
上記無機元素の含有量は、下記式で測定値から算出した。
無機元素含有量=無機元素測定値×(100−CHN含有量)/100
すなわち、有機物由来と考えられるCHNの含有量(約70%)を全量から除き、その残りの(約30%)を無機元素含有量で割り振った。ただし、本測定では、必ず含まれているO(酸素)の含有量を把握できないため、無機元素の含有量には“<”を付した。Tiの形態をTiOと仮定すると、含まれるTiとOとの重量比は100:67となり、上表の推算値は次表のように換算される。
【0050】

【0051】
CNは有機バインダーに由来する元素と判断され、含有物の約70%以上(その他、酸素Oが存在している可能性も高い)を占めている。Ti(TiO)は光触媒の主成分である。また、上記酸化チタン等の無機酸化物金属は有機バインダーと合わせた合計含量の約18%以上となるので、特に酸化チタンがバインダー成分中に埋もれるのを防止し、かつ表面に酸化チタンの繊維状微粒子が緻密重なり合って、基材面において互いに極めて高密度に結合させる。さらに、CNH比により低温で乾燥できるため、光学透明基材が、例えば、プラスティックのような熱に弱いものに対してでも、基材に熱の影響なく使用できる。
【0052】
実験例;眼鏡用プラスティックレンズ基材面へ上記光触媒無機酸化物を塗膜した。即ち、無機酸化金属である少なくとも酸化チタンが繊維状超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さが1〜50nm、平均繊維長さが10〜1000nm、平均アスペクト比が2〜100、比表面積が30m/g以上であり、光触媒中の無機元素が半定量値において少なくともTiが90〜97wt%、Siが2.3〜3.0wt%、Agが1.4〜2.2wt%、Znが0.2〜0.3wt%含み、有機元素が定量値において少なくともCが55〜65wt%、Hが8〜12wt%、Nが0.2〜0.4wt%含み、酸化チタン等の無機酸化物金属を有機バインダーと合わせた合計含量の約15%以上とした液状光触媒中に、ポリカーボネート樹脂からなる眼鏡用プラスティックレンズ基材を約10分間浸漬した後、約80℃で乾燥させて無機酸化金属を基材面に高密度に定着させるようにした。上記プラスティックレンズ基材としては、その他ポリウレタン、ポリメタクリレート、ポリ乳酸系樹脂等が利用できる。浸漬時間は、30秒以上、乾燥温度は120℃未満が許容される。
【0053】
上記の鉛筆硬度試験の結果、光触媒である無機酸化物金属の粒子を上記に示す如き繊維状超微粒子とすることにより、無機酸化物金属を透明光学基材面に対してコーティングした場合に約4H以上と極めて高硬度に硬化させることができた。したがって、基材表面の耐擦傷を向上させて基材面を保護することができる。
【0054】
剥離試験の結果、無機酸化物金属を透明光学基材面に対して強固に付着力させることが出来るので膜剥離も抑制することができた。
【0055】
曇り測定においては眼鏡レンズ面に息を吹きかけた結果、2秒以内に曇りが消えた。即ち、繊維状超微粒子に対してAgを適当量含有することによりTi−Ag系光触媒においてもより光触媒活を向上させることができると共に、さらに、可視光においも被膜表面をより高度に親水化させるため、基材面に付着した水滴を崩れ広がらせて曇りを防止できることができる。
【0056】
さらに、帯電測定の結果、該繊維状超微粒酸化チタン粒子は比表面積が大きく光触媒活性が向上する上に、繊維上酸化チタン微粒子が面接触により高密度に積層することにより、またAgとの相乗効果により金属膜が電気を通し易い状態となるため帯電防止効果が極めて高くなる。そのため埃の基材面への付着がほとんど生じない。Agは、主に抗菌作用物質として添加された成分であるが、その含有量はTiOに比べて遥かに少ないものと判断される。また、Agの添加により暗い密閉室内であっても高い光触媒活性作用を得ることができることは当然である。
【0057】
Znは光触媒の吸着性向上のために添加されたものである。酸性のTiOに塩基性のZnOを添加する場合もある。SiOの混合比率が低い分ZnOを適量添加することによりその吸着性によりコーティング膜の付着性をさらに強固にすることができる。
【0058】
Siはバインダー成分(シリカゾル)であり、粘度を低くすることができ、流動性も高めることができる。加えて、酸化チタン等の無機酸化物金属を有機バインダーと合わせた含量が約15%以上であり、酸化チタンがSiバインダー成分(シリカゾル)中に埋もれるのを防止し、したがって、基材面に酸化チタンの繊維状微粒子が緻密重なり合って、光触媒酸化金属繊維粒子が互いに極めて高密度に結合させると共に、前記本発明の光触媒活性作用(膜剥離抑制、表面摩擦計数、膜硬度向上、表面耐擦傷、可視光光触媒活性、超親水性曇り防止、帯電防止効果等)をさらに向上させることが出来る。尚、K,Clは本質的成分ではない。本発明では、SiOの混合比率を低くできるのでSiOの干渉縞の発生も防止することが出来る。
【発明の効果】
【0059】
この発明においては、光触媒である無機酸化物金属の粒子を繊維状超微粒子としているので、無機酸化物金属を透明光学基材面に対してコーティングした場合に極めて硬度に硬化させることが出来るので、基材表面の耐擦傷を向上させて基材面を保護することができ、かつ強固に付着力させることが出来るので膜剥離を抑制することが出来る。
【0060】
また、前記繊維状超微粒子に対してAgを適当量含有することによりTi−Ag系光触媒においてもより光触媒活を向上させることができると共に、さらに、可視光においも被膜表面をより高度に親水化させるため、基材面に付着した水滴を崩れ広がらせて曇りを防止する同時に、該繊維状超微粒酸化チタン粒子は比表面積が大きく光触媒活性が向上する上に、Agとの相乗効果により酸化チタン金属膜が電気を通し易い状態となるため、帯電防止効果が極めて高くなる。そのため埃の基材面への付着がほとんど生じない。
【0061】
さらに、SiOの混合比率を低くできるのでSiOの干渉縞の発生を防止すると共に、SiOの混合比率が低い分ZnOを適量添加することによりその吸着性によりコーティング膜の付着性をさらに強固にすることができる。
【0062】
CNH比により低温で乾燥できるため、光学透明基材が、例えば、プラスティックのような熱に弱いものに対してでも、基材に熱の支障なく使用できる。
【0063】
また、上記の酸化物が残存することにより得られる酸化チタンの紫外線吸収領域、誘電率、光触媒活性、プロトン導電性、固体酸特性等を調整することができ、さらに熱的安定性や化学的安定性等を調節することもできる。また、Agを添加することにより、暗い密閉室内であっても高い光触媒活性作用を得ることができる。さらに、Siを含むことにより、粘度を低くすることができ流動性も高めることができる。
【0064】
また、CHNの有機元素が上記の範囲にあると、前記熱風乾燥手段における熱風の温度を繊維に支障のない120℃以下と極めて低い温度で繊維状酸化チタンを衣服の繊維に強固に固着させることができると共に、乾燥速度を極めて速くすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状光触媒中の無機酸化金属である少なくとも酸化チタンが繊維状超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さが1〜50nm、平均繊維長さが10〜1000nm、平均アスペクト比が2〜100、比表面積が30m/g以上であり、光触媒中の無機元素が半定量値において少なくともTiが90〜97wt%、Siが2.3〜3.0wt%、Agが1.4〜2.2wt%、Znが0.2〜0.3wt%含み、有機元素が定量値において少なくともCが55〜65wt%、Hが8〜12wt%、Nが0.2〜0.4wt%含み、基材面に定着させた酸化チタンを含む光触媒無機酸化金属膜が鉛筆硬度で約3H以上である透明光学基材。
【請求項2】
無機酸化金属である少なくとも酸化チタンが繊維状超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さが1〜50nm、平均繊維長さが10〜1000nm、平均アスペクト比が2〜100、比表面積が30m/g以上であり、光触媒中の無機元素が半定量値において少なくともTiが90〜97wt%、Siが2.3〜3.0wt%、Agが1.4〜2.2wt%、Znが0.2〜0.3wt%含み、有機元素が定量値において少なくともCが55〜65wt%、Hが8〜12wt%、Nが0.2〜0.4wt%含み、酸化チタン等の無機酸化物金属を有機バインダーと合わせた合計含量の約15%以上とした液状光触媒中に、透明光学基材を約1分以上浸漬した後、120℃以下で乾燥させて無機酸化金属を基材面に高密度に定着させるようにした透明光学基材面への光触媒無機酸化金属膜形成方法。

【公開番号】特開2012−93685(P2012−93685A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252298(P2010−252298)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(510313991)西日本緑化株式会社 (2)
【Fターム(参考)】