説明

透明共重合ポリエステル、透明共重合ポリエステルの調製方法、および、透明共重合ポリエステルを含んでなる物品

【課題】ポリ乳酸樹脂材料が持つ透明性が低いという短所を解消し良好な靭性をもつ透明共重合ポリエステルを提供。
【解決手段】脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントA、繰り返し単位−O−CH(CH)−C(O)−を有するセグメントB、および、ポリイソシアネートに由来する構造単位Cを含有する透明共重合ポリエステルであって、該セグメントA、セグメントB、および、構造単位Cの重量比が100:(100〜2000):(0.1〜10)であり、該透明共重合ポリエステルの重量平均分子量Mwが50,000〜1,000,000である、透明共重合ポリエステル。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、透明共重合ポリエステル(透明コポリエステル)、透明共重合ポリエステルの調製方法、該方法によって調製された透明共重合ポリエステル、および、該透明共重合ポリエステルを含んでなる物品に関する。
【0002】
〔背景技術〕
ポリ乳酸はよく知られた生分解性材料である。乳酸は再生可能な資源から得られるので、乳酸産業の発展によって、石油資源に対する需要が抑制でき、また、温室効果の緩和にも有益である。しかしながら、ポリ乳酸は脆く、靱性が不十分である。したがって、ポリ乳酸の機械的特性を改善するための重要なポイントの一つは、ポリ乳酸の靱性を強化することである。
【0003】
ポリ乳酸の靱性を強化するためには、共重合が効果的な方法である。例えばCN1911983Aには、形状記憶性を有する腔内用ステントに用いる分解性重合体材料の調製方法が開示されている。該方法によれば、ラクチド、グリコリド、および、カプロラクトンのうちの2つを開環重合させてヒドロキシルを末端に持つオリゴマーを得て、このオリゴマーと直鎖状ポリエステルとに対してバルク重合を実施して分解性重合体材料を生成する。ただし、上記直鎖状ポリエステルは、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸無水物との重縮合生成物である。
【0004】
先行技術である公知の各方法は、ポリ乳酸に対して共重合を実施する方法であって、ポリ乳酸の靱性を改善することができるが、これらの方法は不透明なポリ乳酸樹脂材料しか生成できない。ポリ乳酸が元来備えている、優れた透明性を喪失することは、これらのポリ乳酸材料の応用分野を大幅に制限する。
【0005】
透明性を有する靱性が強化されたポリ乳酸材料を生成する一般的な方法は、ポリ乳酸、可塑剤、靱性強化剤などを混合することである。例えば、CN1673276Aには、ポリ乳酸、グリセロールトリアセテート、潤滑剤などを混合することによって、透明ポリ乳酸が調製可能であることが開示されている。また、CN101314666Aには、ポリ乳酸、ナノシリカ、アミド化合物などを混合することによって、透明ポリ乳酸が得られることが開示されている。さらに、CN1687205Aには、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、エポキシ化大豆油などを混合することによって、十分な分解性を有し、靱性が強化された透明ポリ乳酸材料が得られることが開示されている。CN101983986Aには、ポリ乳酸、靱性強化剤としてのメタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルとの共重合ポリエステル、可塑剤、抗酸化剤などを混合することによって、靱性が強化された透明ポリ乳酸材料が得られることが開示されている。
【0006】
ただし、混合によって調製されるポリ乳酸樹脂材料には、例えば相分離や可塑剤の滲み出しなどの問題がある。したがって、先行技術の短所を持たない靱性が強化された透明ポリ乳酸材料を提供することが望ましい。
【0007】
〔発明の概要〕
本発明の目的の1つは、透明共重合ポリエステルを提供することである。この透明共重合ポリエステルは、先行技術の共重合法で調製されるポリ乳酸樹脂材料が持つ透明性が低いという短所を解消し、良好な靱性を有する。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントA、繰り返し単位−O−CH(CH)−C(O)−(つまり、乳酸またはラクチドに由来する繰り返し単位)を有するセグメントB、および、ポリイソシアネートに由来する構造単位Cを含有する、透明共重合ポリエステルであって、該セグメントA、セグメントB、および、構造単位Cの重量比(セグメントA:セグメントB:構造単位C)が100:(100〜2000):(0.1〜10)であり、該透明共重合ポリエステルの重量平均分子量Mwが50,000〜1,000,000である、透明共重合ポリエステルが提供される。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、上記セグメントBは化学式(I)によって表わされる(ただし、qは10〜100の整数である)。
【0010】
【化1】

【0011】
本発明の一実施形態によれば、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAはランダム共重合ポリエステルセグメントである。本発明の一実施形態において、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAの重量平均分子量Mwは2,000〜40,000であり、好ましくは3,000〜40,000である。本発明の別の一実施形態において、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントA中では、脂肪族ポリエステルの繰り返し単位と芳香族ポリエステルの繰り返し単位とのモル比が1:(0.1〜10)である。さらに別の実施形態によれば、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAの末端基はジオールに由来する基である。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAは、化学式(III)によって表わされる繰り返し単位および化学式(IV)によって表わされる繰り返し単位を含有し、
【0013】
【化2】

【0014】
上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントA鎖の末端は、互いに独立して、−O−(CH−O−、または、−O−(CH−O−であり、上記化学式(III)によって表わされる繰り返し単位と化学式(IV)によって表わされる繰り返し単位とのモル比は1:(0.1〜10)であり、mは2〜10の整数であり、nは2〜8の整数であり、pは2〜10の整数であり、m、nおよびpは、互いに等しいか異なるかのいずれかである。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、上記ポリイソシアネートに由来する構造単位Cは、上記ポリイソシアネートがヒドロキシル基と反応した後に得られる構造単位である。一実施形態によれば、上記構造単位Cは化学式(II)によって表わされる(ただし、Xは二価の脂肪族基および/または二価の芳香族基であり、好適な実施形態によれば、Xは1,6−ヘキサメチレンおよび/または4,4’−メチレンジフェニルである)。
【0016】
【化3】

【0017】
一実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステルの多分散性指数(Mw/Mn)は1.2〜4であり、好ましくは1.5〜2.5である。
【0018】
本発明のもう1つの目的は、ラクチド、ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、および、ポリイソシアネートを触媒の存在下で重合することを含み、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、ラクチド、および、ポリイソシアネートの重量比(脂肪族−芳香族共重合ポリエステル:ラクチド:ポリイソシアネート)は100:(100〜2000):(0.1〜10)である、透明共重合ポリエステルの調製方法を提供することである。一実施形態によれば、上記方法で調製された透明共重合ポリエステルの重量平均分子量Mwは50,000〜1,000,000である。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、上記方法において使用する触媒は有機スズ化合物である。別の実施形態によれば、この有機スズ化合物は、オクチル酸スズ(II)、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ジラウリン酸ジブチルスズ、酒石酸スズ(II)、および、ジブチルジメトキシスズからなる群より選択される。本発明の一実施形態によれば、本発明の方法では、使用する上記有機スズ化合物の量は0.05重量部〜0.5重量部であり、好ましくは0.07重量部〜0.2重量部であり、上記ラクチド、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、および、ポリイソシアネートの総重量は100重量部である。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、上記方法において使用する脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの重量平均分子量Mwは2,000〜40,000であり、好ましくは3,000〜40,000である。別の一実施形態によれば、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの多分散性指数(Mw/Mn)は1.2〜2.5である。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステルの調製方法において、重合の反応条件には、反応温度が130℃〜190℃であり、好ましくは170℃〜190℃であること、および、反応時間が1時間〜10時間であり、好ましくは1.5時間〜5時間であることが含まれる。
【0022】
本発明のもう1つの態様は、本発明に係る透明共重合ポリエステルの調製方法で調製された透明共重合ポリエステルに関連する。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、本発明に係る透明共重合ポリエステルを含んでなる物品に関連する。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステルの透過率は、中国国家規格GB/T 2410−2008にしたがって測定すると、少なくとも50%であり、好ましくは少なくとも60%であり、好ましくは少なくとも65%であり、好ましくは少なくとも70%であり、好ましくは少なくとも75%であり、特に好ましくは少なくとも80%である。
【0025】
本発明の別の一実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステルの破壊引張強度は、中国国家規格GB/T 1040.2−2006にしたがって測定すると、19MPa〜50MPaであり、好ましくは22MPa〜50MPaであり、より好ましくは25MPa〜50MPaである。
【0026】
上記透明共重合ポリエステルが優れた生分解性を有するだけではなく、良好な靱性および透明性をも有するように、本発明の透明共重合ポリエステルは、ポリ乳酸セグメント(つまり、上述のセグメントB)および脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント(つまり、上述のセグメントA)を含有する、または、主に含有する。
【0027】
本発明の透明共重合ポリエステルの調製方法において、上記ラクチドは、例えば有機スズ化合物などの触媒の存在下で、上記ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルに惹起されてバルク開環重合し、さらに、このラクチドを開環重合して得られる生成物は、(吸水剤および鎖延長剤としての)ポリイソシアネートの存在下で反応して、優れた生分解性を有するだけではなく、比較的良好な靱性および透明性をも有する共重合ポリエステルを生成すると考えられる。ただし、いかなる理論によっても限定されるものではない。
【0028】
本発明の透明共重合ポリエステルは良好な靱性を有しており、従来のポリ乳酸材料の脆いという欠点を解消することができ、また、良好な透明性をも有する。本発明の透明共重合ポリエステルは、各種物品を得るための、押し出し成型、フィルムブローイング、フィルム引き出し(film-drawing)成型、ボトルブローイング、射出成型、発泡成型、シーティング(sheeting)などに適している。さらに、本発明の透明共重合ポリエステルは優れた生分解性を有する。この透明共重合ポリエステルを含んでなる物品は、廃棄時には、従来の生分解プロセス(例えば発酵乾燥プロセス)によって分解可能であって、環境汚染を引き起こすことがない。
【0029】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、実施例1の透明共重合ポリエステルのH NMRスペクトルである。
【0030】
〔発明を実施するための形態〕
本発明では、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントA、繰り返し単位−O−CH(CH)−C(O)−を有するセグメントB、および、ポリイソシアネートに由来する構造単位Cを含有する透明共重合ポリエステルであって、上記セグメントA、セグメントB、および、構造単位Cの重量比が100:(100〜2000):0.1〜10であり、該透明共重合ポリエステルの重量平均分子量Mwが50,000〜1,000,000である、透明共重合ポリエステルが提供される。
【0031】
本発明の透明共重合ポリエステルに関して、この透明共重合ポリエステルは優れた生分解性を有するだけではなく、上記ポリ乳酸セグメントおよび上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントを主に含有するので、良好な靱性および透明性をも有する。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステルの破壊引張強度は、19MPa〜50MPa、好ましくは22MPa〜50MPa、より好ましくは25MPa〜50MPaになり得る。
【0033】
本発明の別の一実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステルの破断伸びは、10%〜60%、好ましくは10%〜50%になり得る。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステルの透過率は、少なくとも50%であり、好ましくは少なくとも60%であり、好ましくは少なくとも65%であり、好ましくは少なくとも70%であり、好ましくは少なくとも75%であり、特に好ましくは少なくとも80%であって、好ましくは60%〜90%であり、より好ましくは69%〜90%である。
【0035】
本発明では、破壊引張強度および破断伸びは中国国家規格GB/T 1040.2−2006にしたがって測定する。また、透過率は中国国家規格GB/T 2410−2008にしたがって測定する。
【0036】
本発明における脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントとは、2種類のジカルボン酸単位(つまり芳香族ジカルボン酸単位ならびに脂肪族ジカルボン酸単位および/または脂環式ジカルボン酸単位)と、脂肪族ジオール単位および/または脂環式ジオール単位とを含有する、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントを意味する。
【0037】
一実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステル中の上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAは、ランダム共重合ポリエステルセグメントである。「ランダム」という用語は、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント中における脂肪族ポリエステルの繰り返し単位および芳香族ポリエステルの繰り返し単位の分布が確率論にしたがうことを意味する。また、脂肪族ポリエステルの繰り返し単位とは、脂肪族二価酸、脂環式二価酸、これらのエステル、または、これらの混合物と、脂肪族ジオールおよび/または脂環式ジオールとの反応から得られるポリエステルの繰り返し単位を意味する。また、芳香族ポリエステルの繰り返し単位とは、芳香族二価酸、芳香族二価酸のエステル、芳香族二価酸の無水物、または、これらの混合物と、脂肪族ジオールおよび/または脂環式ジオールとの反応から得られるポリエステルの繰り返し単位を意味する。
【0038】
本発明では、上述の脂肪族二価酸およびそのエステル、脂環式二価酸およびそのエステル、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香族二価酸、芳香族二価酸のエステル、および、芳香族二価酸の無水物は、特に限定されるものではない。また、ポリエステルを調製するための当該技術分野において既知の化合物が使用可能である。
【0039】
上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント中の芳香族ジカルボン酸単位は、例えば、好ましくは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などに由来する。一実施形態によれば、上記芳香族ジカルボン酸単位は、芳香族ジカルボン酸の無水物から、または、アルコール(例えばメタノール)またはジオールを用いて芳香族ジカルボン酸エステルから得られる。上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント中の脂肪族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸単位は、好ましくは、炭素数が4〜20の脂肪族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸に由来するか、または、アルコールまたはジオール(例えばメタノール)を用いて脂肪族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸のエステルから得られる。上記脂肪族ジカルボン酸の例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸などがあげられる。上記脂環式二価酸は、例えばシクロヘキサンジカルボン酸であってもよい。上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント中のジオール単位は特に限定されるものではない。上記ジオール単位の例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールAなどの化合物に由来する単位があげられる。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAの重量平均分子量Mwは、2,000〜40,000であり、好ましくは2,500〜40,000であり、好ましくは3,000〜40,000であり、好ましくは3,000〜30,000であり、好ましくは3,500〜30,000であり、好ましくは3,500〜20,000、より好ましくは3,500〜10,000である。重量平均分子量は、後述の実施例において説明するように、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定する。
【0041】
一実施形態によれば、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAの多分散性指数(Mw/Mn)は、1.1〜4であり、好ましくは1.2〜2.5である。
【0042】
本発明の別の一実施形態によれば、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAにおける、脂肪族ポリエステルの繰り返し単位と芳香族ポリエステルの繰り返し単位とのモル比は1:(0.1〜10)であり、好ましくは1:(0.2〜5)、より好ましくは1:(0.5〜2)である。当業者であれば、この脂肪族ポリエステルの繰り返し単位と芳香族ポリエステルの繰り返し単位とのモル比が、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントにおける脂肪族ジカルボン酸単位および/または脂環式ジカルボン酸単位と芳香族ジカルボン酸単位とのモル比に等しいことが理解できるであろう。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAの末端基は、ジオールに由来する基である。つまり、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントの末端基は、ジオール単位である。当業者であれば、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環式ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸との総量に対して相対的に過剰な量のジオールを使用すれば、ジオールを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが得られることが理解できるであろう。
【0044】
本発明の好適な実施形態によれば、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAは、化学式(III)によって表わされる繰り返し単位および化学式(IV)によって表わされる繰り返し単位を含有し、
【0045】
【化4】

【0046】
上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントA鎖の末端が、互いに独立して、−O−(CH−O−、または、−O−(CH−O−であり、mは2〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数であり、例えばmは4であって、nは2〜8の整数であり、好ましくは2〜4の整数であり、例えばnは4であって、pは2〜10の整数であり、好ましくは2〜6の整数であり、例えばpは4であって、m、nおよびpは、互いに等しいか異なるかのいずれかであり得る。さらに好適な実施形態によれば、化学式(III)によって表わされる繰り返し単位と化学式(IV)によって表わされる繰り返し単位とのモル比は、1:(0.1〜10)、好ましくは1:(0.2〜5)、より好ましくは1:(0.5〜2)である。さらに別の実施形態では、mはpに等しい。
【0047】
好適な実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステル中のセグメントA、セグメントB、および、構造単位Cの重量比は、100:(300〜700):(1〜5)である。このような比を有する上記透明共重合ポリエステルは、靱性および透明性がさらに改善される。
【0048】
好適な実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は、好ましくは、50,000〜500,000であり、好ましくは60,000〜300,000であり、より好ましくは70,000〜200,000である。
【0049】
好適な実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステルの多分散性指数は、1.2〜4であり、好ましくは1.5〜2.5である。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、本発明の透明共重合ポリエステル中のセグメントBは化学式(I)によって表わされる。ただし、qは10〜100の整数であり、好ましくは15〜90の整数であり、より好ましくは20〜80の整数である。
【0051】
【化5】

【0052】
本発明の一実施形態によれば、上記セグメントBは、ラクチドの開環重合の結果として得ることができる。本発明において使用するラクチドは、乳酸の環状二量体形成によって形成される化合物であり、立体異性を有する単量体を含む。つまり、ラクチドの異性体には、L−ラクチド、D−ラクチド、D−ラクチドとL−ラクチドとの混合物、D,L−ラクチド、および、メソ−ラクチドを含める。本発明では、D,L−ラクチドおよびL−ラクチドを使用することが好ましい。好適な実施形態によれば、使用するラクチドは、最終的に得られる透明共重合ポリエステルがより良好な透明性を有するように、L−ラクチドである。
【0053】
本発明では、上記ラクチドは、市場で入手可能な各種ラクチド製品であってもよい。L−ラクチドは市場で入手可能であるが、L−ラクチドを従来の方法で調製してもかまわない。例えば、CN101585827A(特に同文献の実施例1〜8)に開示されている方法で、L−ラクチドを得てもかまわない。
【0054】
上述のように、本発明の透明共重合ポリエステル中の構造単位Cは、ポリイソシアネートに由来する。このポリイソシアネートには特に限定されるものではなく、当該技術分野において一般に知られている各種ポリイソシアネートが使用可能である。
【0055】
適切なポリイソシアネートは、化学式X−(NCO)sで表わされるポリイソシアネートである。ただし、s=2〜5であり、好ましくはsは2または3である。また、Xは、炭素数が4〜36、好ましくは炭素数が5〜14の脂肪族炭化水素ラジカル、炭素数が6〜15の脂環式炭化水素ラジカル、炭素数が8〜22、好ましくは炭素数が6〜15の芳香族炭化水素ラジカル、または、炭素数が7〜15の芳香脂肪族(araliphatic)炭化水素ラジカルを表わす。
【0056】
上記ポリイソシアネートの例としては、1,4−、1,3−、および/または、1,2−シクロヘキサン−ジイソシアネート、1−メチル−2,4−ジイソシアナト−シクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジイソシアナト−シクロヘキサン、テトラメチレン−ジイソシアネート、オクタメチレン−ジイソシアネート、デカメチレン−ジイソシアネート、ドデカメチレン−ジイソシアネート、H−2,4−、および/または、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタン、m−、および/または、p−キシリレン−ジイソシアネート、2,4−ジイソシアナトトルエン、および/または、2,6−ジイソシアナトトルエン、イソプロペニルジメチルトルイレン−ジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−、および/または、−p−キシリレン−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート、トリメチルヘキサン−ジイソシアネート、テトラメチルヘキサン−ジイソシアネート、ノナン−トリイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロン−ジイソシアネート)、4,4’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタン、および/または、2,4’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタン、および/または、2,2’−ジイソシアナト−ジシクロヘキシルメタン、ならびに、これらのモノ−、および、ジメチル置換誘導体などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。
【0057】
一実施形態によれば、上記ポリイソシアネートはジイソシアネートである。
【0058】
本発明のさらに別の実施形態によれば、上記構造単位Cは化学式(II)によって表わされる。ただし、Xは二価の脂肪族基および/または二価の芳香族基であり、好ましくは、Xはアルキレンおよび/またはアリーレンである。該アルキレンは、例えば、炭素数が5〜14、好ましくは炭素数が3〜12のアルキレンであってもよく、より好ましくは1,6−ヘキサメチレンであってもよい。該アリーレンは、例えば、炭素数が8〜22、好ましくは炭素数が6〜20のアリーレンであってもよく、より好ましくは4,4’−メチレンジフェニルであってもよい。
【0059】
【化6】

【0060】
好適な実施形態によれば、上記ポリイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネート、および/または、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートである。
【0061】
当業者であれば、本発明では、ポリイソシアネートに由来する上記構造単位Cは、上記ポリイソシアネートのイソシアネート基がヒドロキシル基と反応した後に得られる構造単位であることが理解できるであろう。
【0062】
本発明は、ラクチド、ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、および、ポリイソシアネートを触媒の存在下で重合することを含む、透明共重合ポリエステルの調製方法にさらに関する。一実施形態では、この方法において使用する上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、ラクチド、および、ポリイソシアネートの重量比は100:(100〜2000):(0.1〜10)である。
【0063】
当業者であれば、本発明の透明共重合ポリエステルは、本発明の透明共重合ポリエステルの調製方法によって調製可能であることが理解できるであろう。したがって、当業者であれば、本発明に係る透明共重合ポリエステル中の脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAは、上記調製方法ではヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルに対応(または、由来)し、繰り返し単位−O−CH(CH)−C(O)−を有するセグメント(B)は、ラクチドの開環重合に由来し、構造単位Cは上記ポリイソシアネートに由来することが理解できるであろう。したがって、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントA、繰り返し単位−O−CH(CH)−C(O)−を有するセグメントB、および、ポリイソシアネートに由来する構造単位Cについて特定した各種性質や特性が、上記方法におけるラクチド、ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、および、ポリイソシアネートに適用可能であることは明らかである。
【0064】
例えば、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAは、上記調製方法におけるヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルに対応(または、由来)するため、ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、末端基が異なることを除けば、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAとほぼ同じ物質である。したがって、ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントAと同じ性質や特性(例えば、繰り返し単位の種類、繰り返し単位の比、重量平均分子量、多分散性指数など)を有する。例えば、ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの重量平均分子量Mwは、2,000〜40,000であり、好ましくは2,500〜40,000であり、好ましくは3,000〜40,000であり、好ましくは3,000〜30,000であり、好ましくは3,500〜30,000であり、好ましくは3,500〜20,000、より好ましくは3,500〜10,000である。また、例えば、ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの多分散性指数(Mw/Mn)は、1.1〜4であり、好ましくは1.2〜2.5である。
【0065】
本発明に係る透明共重合ポリエステルの調製方法において使用するヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルは、ポリエステルの従来の調製方法で生成可能である。このようなヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製方法は、当業者には周知である。
【0066】
例えば、ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製方法は、次の各ステップ(1)、(2)、(3)を含んでもよい。
【0067】
(1)(a)芳香族二価酸、芳香族二価酸のエステル、芳香族二価酸の無水物、または、これらの混合物、(b)脂肪族ジオールおよび/または脂環式ジオール、ならびに、(c)脂肪族二価酸、脂環式二価酸、これらのエステル、または、これらの混合物からなる各単量体と第1の触媒とを反応ケトルに添加し、エステル転移反応および/またはエステル化反応を実施するステップ。ただし、単量体(a)の総量と単量体(c)の総量とのモル比は、1:(0.1〜10)、好ましくは1:(0.2〜5)、より好ましくは1:(0.5〜2)である。
【0068】
(2)ステップ(1)で得た反応系を真空下でプレポリマー形成し、プレポリマーを得るステップ。
【0069】
(3)ステップ(2)において調製したプレポリマーおよび第2の触媒を真空下で重縮合し、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを得るステップ。
ただし、上記第1の触媒は、チタン化合物、アンチモン化合物、および、亜鉛化合物から選択される少なくとも1つの化合物である。また、上記第2の触媒は、希土類金属化合物から選択される少なくとも1つの化合物であり、この希土類金属は、例えば、ランタノイド元素、スカンジウム、および、イットリウムから選択される少なくとも1つの希土類金属である。
【0070】
上述のヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製方法では、ステップ(1)〜(3)において用いる単量体、触媒、反応条件などは、以下の点を除けば、CN1807485Aに記載のとおりである。すなわち、ステップ(3)の重縮合条件には、温度が200℃〜260℃であり、絶対圧が0Pa〜800Paであり、反応時間が0.1時間〜2時間であり、また、単量体(b)の量が単量体(a)と単量体(c)との総量に対して相対的に過剰であり、さらに、単量体(a)と単量体(c)との総量の、単量体(b)の量に対するモル比が好ましくは1:(1.1〜1.3)であることが含まれてもよい。
【0071】
上記ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製方法では、単量体(b)の量が単量体(a)と単量体(c)との総量に対して相対的に過剰であるので、調製によって得られる脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの末端基はどちらもヒドロキシルである。
【0072】
本発明に係る透明共重合ポリエステルの調製方法において使用するポリイソシアネートは、鎖延長剤として作用する一般的な各種ポリイソシアネートであってもよい。例えば、上述のポリイソシアネートが使用可能である。好ましくは、1,6−ヘキサメチレン−ジイソシアネートおよび/または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが使用可能である。
【0073】
本発明に係る方法において使用するラクチドは、例えば、上述のラクチドであってもよい。
【0074】
本発明に係る透明共重合ポリエステルの調製方法において使用する触媒は、ラクチドのバルク開環重合を開始および促進することができる任意の触媒である。本発明の方法において、上記触媒は、特に限定されるものではない。一実施形態によれば、上記触媒は有機スズ化合物である。好適な実施形態によれば、この有機スズ化合物は、オクチル酸スズ(II)、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ジラウリン酸ジブチルスズ、酒石酸スズ(II)、および、ジブチルジメトキシスズからなる群より選択される1つ以上の有機スズ化合物である。
【0075】
本発明に係る透明共重合ポリエステルの調製方法では、上記触媒の量は、特に限定されるものではない。ラクチドの開環重合に対して触媒として作用するために一般に使用される量が、採用可能である。本発明の好適な実施形態によれば、使用する上記有機スズ化合物の量は0.05重量部〜0.5重量部であり、好ましくは0.07重量部〜0.2重量部であって、上記ラクチド、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、および、ポリイソシアネートの総重量は100重量部である。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、本発明に係る透明共重合ポリエステルの調製方法は、130℃〜250℃、好ましくは130℃〜190℃、より好ましくは170℃〜190℃の温度で実施される。本発明の別の一実施形態によれば、本発明に係る透明共重合ポリエステルの調製方法は、1時間〜20時間、好ましくは1時間〜10時間、より好ましくは1.5時間〜5時間実施される。
【0077】
好適な実施形態では、本発明に係る透明共重合ポリエステルの調製方法において、上記ラクチド、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、ポリイソシアネート、および、触媒を収納する反応容器が油浴内に設置され、重合温度は、油浴の温度を重合が定温で実施されるように調節することによって制御される。本発明に係る透明共重合ポリエステルの調製方法は、不活性ガスの存在下で実施されてもよい。本発明に係る方法では、好ましくは、上記ラクチド、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、および、ポリイソシアネートの混合が、不活性ガスの存在下で実施される。この不活性ガスは、例えば、窒素、または、その他の一般的な不活性ガス(例えばアルゴン)であってもよい。
【0078】
好適な実施形態では、本発明に係る透明共重合ポリエステルの調製方法において、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、ラクチド、および、ポリイソシアネートの重量比は100:(300〜700):(1〜5)である。一実施形態では、本発明に係る方法で得られる透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は、50,000〜1,000,000である。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、上記透明共重合ポリエステルの調製方法は、上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、ラクチド、および、ポリイソシアネートの反応で得られる生成物を、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタンなど)を用いて溶解させ、沈殿剤(例えば、メタノール、エタノールなど)に沈殿させ、その結果の得られる沈殿物を乾燥させて、生成した透明共重合ポリエステルを回収することをさらに含む。
【0080】
さらに、本発明は、上述の方法で調製した透明共重合ポリエステルを提供する。当業者であれば理解できるであろうが、上記方法で調製した透明共重合ポリエステルは、本発明に係る透明共重合ポリエステルに関して、上記において特定した性質や特性を有する。
【0081】
さらに、本発明は、本発明に係る透明共重合ポリエステルを含んでなる物品に関する。これらの物品は、本発明の透明共重合ポリエステルを必須成分として含有する組成物、または、本発明の透明共重合ポリエステルからなる組成物を含んでなる。例えば、透明共重合ポリエステルの含有量は、該組成物の重量に対して5重量%〜100重量%であり、好ましくは少なくとも50重量%であり、好ましくは少なくとも60重量%であり、好ましくは少なくとも70重量%であり、好ましくは少なくとも80重量%であり、より好ましくは少なくとも90重量%であってもよい。一実施形態によれば、透明共重合ポリエステルの含有量は、該組成物の95重量%〜100重量%であってもよい。
【0082】
当業者であれば理解できるであろうが、上記物品を製作するための組成物は、各種添加剤をさらに含有してもよい。この添加剤の例としては、可塑剤、熱安定剤、潤滑剤、ブロッキング防止剤、造核剤、生分解促進剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、抗菌薬、着色料、賦形剤や、さらに、これらの混合物などがあげられるが、これらの例に限定されるものではない。好ましくは、添加剤は、例えば、ジ亜リン酸ペンタエリスリトールビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(pentaerythritol bis(2,4-di-tert-butylphenyl) diphosphite)、亜リン酸トリフェニルなどであってもよい。添加剤の含有量は、上記組成物の重量に対して0.01重量%〜5重量%であってもよい。
【0083】
当業者であれば理解できるであろうが、本発明の物品は、樹脂産業またはプラスチック産業で用いられる各種形成プロセスによって得られる。例えば、本発明の物品の生成は、従来の押し出し成型、射出成型、ボトルブローイング、発泡成型、シーティング(sheeting)、フィルムブローイング、フィルム引き出し(film-drawing)成型などによって実施可能である。
【0084】
例えば、物品を押し出し成型プロセスによって製造する場合、このプロセスは、上記透明共重合ポリエステルと添加剤とを一様に混合し、融解するまで(例えば約170℃〜210℃まで)加熱し、随意的に、融解過程の間に陰圧を補助的に用いて(絶対圧は、例えば約0.05MPa〜0.095MPa)例えば水などの低分子物質を除去し、さらに、融解物をブランクシート状に押し出した後、25℃〜50℃の温度まで冷却することを含んでもよい。
【0085】
また、上述のように、さまざまな特徴、性質、または、特性が別々の実施形態、段落、または、文において記載されていても、当業者であれば、これらの特徴、性質、または、特性は好適に組み合わせることが可能であって、別々の実施形態、段落、または、文に記載されているからといって、これらの特徴、性質、または、特性は組み合わせることができない、および/または、組み合わせることが好ましくないということを意味するものではないことが理解できるであろう。
【0086】
〔実施例〕
以下の各例を用いて本発明についてさらに説明するが、これは本発明の範囲を限定するものではない。
【0087】
実施例および比較例では、以下の各物質を使用した。
・Sigma−Aldrich Inc.社のL−ラクチド
・Acros Organics Inc.社の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
・Acros Organics Inc.社の4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
・Beijing Chemical Reagent Co., Ltd,社のテトラブチルチタネート
・Mitsubishi Chemical Holdings Corporation社(日本)のポリブチレンサクシネート(商品名GS−PLA)
・Acros Organics Inc.社のオクチル酸スズ(II)
・Alfa Aesar.社のトリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)
・CN1807485Aの例A2にしたがって調製したアセチルアセトランタン
・CN1807485Aの例A5にしたがって調製したステアリン酸ランタン。
【0088】
分子量(数平均分子量および重量平均分子量)および多分散性指数は、Waters−208 High Performance Liquid Chromatographを用いて(Waters 2410 RI検出器とともに用い、流速は1.5ml/分、30℃、テトラヒドロフラン(THF)を溶出剤とした)、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定する。測定結果は、単分散直鎖状ポリスチレン規格によって較正する。
【0089】
核磁気共鳴装置(NMR)AVANCE 300(Bruker社)を用いて、H NMRを得る。溶媒はCDClであり、TMSを内部標準として使用する。
【0090】
破壊引張強度および破断伸びは、中国国家規格GB/T 1040.2−2006にしたがって測定する。
【0091】
透過率は、中国国家規格GB/T 2410−2008にしたがって測定する。
【0092】
生分解性は、中国国家規格GB/T 20197−2006にしたがって測定する。
【0093】
〔実施例1〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
2.2molのテレフタル酸と、5molの1,4−ブタンジオールと、1.6mmolのテトラブチルチタネートとを、500mlの三頸フラスコに仕込んで加熱し、温度を180℃で維持してNの存在下で攪拌しながら還流させた。蒸留によって生成された水は、水が生成されなくなるまで回収した。この系に2.5molのコハク酸をさらに加えて加熱し、温度を200℃で維持して攪拌しながら還流させた。蒸留によって生成された水は、水が生成されなくなるまで回収した。次に、この系を、230℃の温度および約400Paの絶対圧の下で約1時間プレポリマー形成させた。最後に、0.85mmolのアセチルアセトランタンを系に加えて、230℃の温度および約200Pa未満の絶対圧の下で約1時間凝縮重合させた。この結果、脂肪族と芳香族との白色の共重合ポリエステルが得られた。この脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの重量平均分子量は10,000であり、多分散性指数は2.2である。
【0094】
(2)透明共重合ポリエステルの調製
L−ラクチド(60g)と(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(30g)とをそれぞれ反応器に仕込んだ。80mgのオクチル酸スズ(II)と、0.28gの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとをさらに加えて、一様に混ぜ合わせた。上記反応器を窒素で5時間パージングし、次に、反応器を窒素雰囲気下で温度が170℃の油浴に入れた。反応を5時間継続させた後、反応器を冷却した。反応後に得られる生成物をクロロホルムで溶解し、無水メタノール中で沈殿させた。この結果得られた沈殿物を乾燥させて、本発明の透明共重合ポリエステルを収率96%で得た。この透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は100,000であり、多分散性指数は1.86である。
【0095】
H NMR(300MHz、CDCl、δ、ppm):8.1(s、−C−、積分面積1.00)、5.1〜5.2(m、−OCH(CH)C(O)−、積分面積2.04)、4.1〜4.5(m、−CHOC(O)−、積分面積2.10)、2.6(t、−C(O)CHCHC(O)−、積分面積1.03)、1.7〜2.0(m、−OCHCH−、積分面積2.05)、1.5〜1.6(d、−OCH(CH)C(O)−、積分面積6.25)、1.5(m、−C(O)NH−CHCHCH−、0.51)(図1参照)。
【0096】
この透明共重合ポリエステルについて、上記化学式(I)中のqをH NMRのデータから算出すると約16であった。qの平均値は、化学シフトが約5.1ppm〜5.2ppm(S5.2)であるポリ乳酸セグメントが示す特徴的なプロトンのピークの積分面積、および、化学シフトが約1.5ppm(S1.5)である1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートの2つのメチレン基のプロトンのピークの積分面積から、q=S5.2×4/S1.5として算出する。
【0097】
(3)(2)で得られた透明共重合ポリエステルを190℃の温度および0.09MPaの絶対圧の下で融解させた。この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して25℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートA1を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0098】
(4)(2)で調製した透明共重合ポリエステル(99重量部)と亜リン酸トリフェニル(1重量部)とを攪拌して一様に混ぜ合わせ、この結果得られた混合物を190℃の温度および0.09MPaの絶対圧の下で融解させた。次に、この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して25℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートB1を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0099】
〔比較例1〕
上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを同量(モル換算)のポリブチレンサクシネート(GS−PLA、Mwは約60,000)に置き換えた以外は実施例1を繰り返すことによって、比較例としての共重合ポリエステルを調製した。この比較例としての共重合ポリエステルは黄色の重合体であり、重量平均分子量は82,000であり、多分散性指数は2.15である。
【0100】
実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートD1を上述のように調製した重合体で形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0101】
実施例1と同様の手順で、上述のように調製した重合体(99重量部)と亜リン酸トリフェニル(1重量部)とを一様に混ぜ合わせた後、この混合物で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートE1を形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0102】
〔比較例2〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
2.2molのテレフタル酸と、5molの1,4−ブタンジオールと、1.6mmolのテトラブチルチタネートとを、500mlの三頸フラスコに仕込んで加熱し、温度を200℃で維持してNの存在下で攪拌しながら還流させた。蒸留によって生成された水は、水が生成されなくなるまで回収した。この系に2.5molのコハク酸をさらに加えて加熱し、温度を220℃で維持して攪拌しながら還流させた。蒸留によって生成された水は、水が生成されなくなるまで回収した。次に、この系を、240℃の温度および約400Paの絶対圧の下で約1時間プレポリマー形成させた。最後に、0.85mmolのステアリン酸ランタンを系に加えて、240℃の温度および約200Pa未満の絶対圧の下で約3時間凝縮重合させた。この結果、脂肪族と芳香族との白色の共重合ポリエステルが得られた。この脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの重量平均分子量は55,000であり、多分散性指数は1.89である。
【0103】
(2)比較例としての共重合ポリエステルの調製
実施例1で使用した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(Mw10,000)を(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(Mw55,000)に置き換えた以外は実施例1のステップ(2)と同様の手順で、比較例としての共重合ポリエステルを調製した。比較例としての共重合ポリエステルを収率93%で得た。この比較例としての共重合ポリエステルの重量平均分子量は122,000であり、多分散性指数は2.18である。
【0104】
(3)実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートD2を上述のように調製した共重合ポリエステルで形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0105】
(4)実施例1と同様の手順で、上述のように調製した共重合ポリエステル(99重量部)と亜リン酸トリフェニル(1重量部)とを一様に混ぜ合わせた後、この混合物で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートE2を形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0106】
〔実施例2〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
実施例1で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを使用した。
【0107】
(2)透明共重合ポリエステルの調製
L−ラクチド(60g)と(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(30g)とをそれぞれ反応器に仕込んだ。80mgのオクチル酸スズ(II)と、0.28gの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとをさらに加えて、一様に混ぜ合わせた。上記反応器を窒素で5時間パージングし、次に、反応器を窒素雰囲気下で温度が190℃の油浴に入れた。反応を1.5時間継続させた後、反応器を冷却した。反応後に得られる生成物をクロロホルムで溶解し、無水メタノール中で沈殿させた。この結果得られた沈殿物を乾燥させて、本発明の透明共重合ポリエステルを収率90%で得た。この透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は83,000であり、多分散性指数は2.11である。
【0108】
H NMR(300MHz、CDCl、δ、ppm):8.1(s、−C−、積分面積1.00)、5.1〜5.2(m、−OCH(CH)C(O)−、積分面積2.12)、4.1〜4.5(m、−CHOC(O)−、積分面積2.10)、2.6(t、−C(O)CHCHC(O)−、積分面積1.02)、1.7〜2.0(m、−OCHCH−、積分面積2.00)、1.5〜1.6(d、−OCH(CH)C(O)−、積分面積6.31)、1.5(m、−C(O)NH−CHCHCH−、積分面積0.31)。
【0109】
実施例1と同様の手順で、上記式(I)中のqを算出すると約27であった。
【0110】
(3)実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートA2を、上述のように調製した共重合ポリエステルで形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0111】
(4)(2)で調製した透明共重合ポリエステル(99.5重量部)と亜リン酸トリフェニル(0.5重量部)とを攪拌して一様に混ぜ合わせ、この結果得られた混合物を200℃の温度および0.08MPaの絶対圧の下で融解させた。次に、この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して30℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートB2を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0112】
〔実施例3〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
実施例1で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを使用した。
【0113】
(2)透明共重合ポリエステルの調製
L−ラクチド(60g)と(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(30g)とをそれぞれ反応器に仕込んだ。80mgのオクチル酸スズ(II)と、1.04gの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとをさらに加えて、一様に混ぜ合わせた。上記反応器を窒素で5時間パージングし、次に、反応器を窒素雰囲気下で温度が170℃の油浴に入れた。反応を5時間継続させた後、反応器を冷却した。反応後に得られる生成物をクロロホルムで溶解し、無水メタノール中で沈殿させた。この結果得られた沈殿物を乾燥させて、本発明の透明共重合ポリエステルを収率93%で得た。この透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は97,000であり、多分散性指数は1.79である。
【0114】
H NMR(300MHz、CDCl、δ、ppm):8.1(s、−C−、積分面積1.00)、5.1〜5.2(m、−OCH(CH)C(O)−、積分面積2.33)、4.1〜4.5(m、−CHOC(O)−、積分面積2.11)、2.6(t、−C(O)CHCHC(O)−、積分面積1.08)、1.7〜2.0(m、−OCHCH−、積分面積1.99)、1.5〜1.6(d、−OCH(CH)C(O)−、積分面積7.07)、1.5(m、−C(O)NH−CHCHCH−、積分面積0.30)。
【0115】
実施例1と同様の手順で、上記化学式(I)中のqを算出すると約31であった。
【0116】
(3)実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートA3を、上述のように調製した共重合ポリエステルで形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0117】
(4)(2)で調製した透明共重合ポリエステル(98.5重量部)と亜リン酸トリフェニル(1.5重量部)とを攪拌して一様に混ぜ合わせ、この結果得られた混合物を180℃の温度および0.07MPaの絶対圧の下で融解させた。次に、この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して25℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートB3を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0118】
〔実施例4〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
実施例1で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを使用した。
【0119】
(2)透明共重合ポリエステルの調製
L−ラクチド(60g)と(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(20g)とをそれぞれ反応器に仕込んだ。77mgのオクチル酸スズ(II)と、0.26gの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとをさらに加えて、一様に混ぜ合わせた。上記反応器を窒素で5時間パージングし、次に、反応器を窒素雰囲気下で温度が170℃の油浴に入れた。反応を5時間継続させた後、反応器を冷却した。反応後に得られる生成物をクロロホルムで溶解し、無水メタノール中で沈殿させた。この結果得られた沈殿物を乾燥させて、本発明の透明共重合ポリエステルを収率94%で得た。この透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は98,000であり、多分散性指数は1.98である。
【0120】
H NMR(300MHz、CDCl、δ、ppm):8.1(s、−C−、積分面積1.00)、5.1〜5.2(m、−OCH(CH)C(O)−、積分面積3.22)、4.1〜4.5(m、−CHOC(O)−、積分面積2.10)、2.6(t、−C(O)CHCHC(O)−、積分面積1.03)、1.7〜2.0(m、−OCHCH−、積分面積1.95)、1.5〜1.6(d、−OCH(CH)C(O)−、積分面積11.93)、1.5(m、−C(O)NH−CHCHCH−、積分面積0.26)。
【0121】
実施例1と同様の手順で、上記化学式(I)中のqを算出すると約50であった。
【0122】
(3)実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートA4を、上述のように調製した共重合ポリエステルで形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0123】
(4)(2)で調製した透明共重合ポリエステル(99重量部)と亜リン酸トリフェニル(1重量部)とを攪拌して一様に混ぜ合わせ、この結果得られた混合物を190℃の温度および0.09MPaの絶対圧の下で融解させた。次に、この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して25℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートB4を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0124】
〔実施例5〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
実施例1で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを使用した。
【0125】
(2)透明共重合ポリエステルの調製
L−ラクチド(60g)と(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(20g)とをそれぞれ反応器に仕込んだ。81mgのオクチル酸スズ(II)と、0.28gの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとをさらに加えて、一様に混ぜ合わせた。上記反応器を窒素で5時間パージングし、次に、反応器を窒素雰囲気下で温度が190℃の油浴に入れた。反応を1.5時間継続させた後、反応器を冷却した。反応後に得られる生成物をクロロホルムで溶解し、無水メタノール中で沈殿させた。この結果得られた沈殿物を乾燥させて、本発明の透明共重合ポリエステルを収率87%で得た。この透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は88,000であり、多分散性指数は2.13である。
【0126】
H NMR(300MHz、CDCl、δ、ppm):8.1(s、−C−、積分面積1.00)、5.1〜5.2(m、−OCH(CH)C(O)−、積分面積3.34)、4.1〜4.5(m、−CHOC(O)−、積分面積2.10)、2.6(t、−C(O)CHCHC(O)−、積分面積1.03)、1.7〜2.0(m、−OCHCH−、積分面積1.95)、1.5〜1.6(d、−OCH(CH)C(O)−、積分面積13.98)、1.5(m、−C(O)NH−CHCHCH−、積分面積0.27)。
【0127】
実施例1と同様の手順で、上記化学式(I)中のqを算出すると約49であった。
【0128】
(3)実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートA5を、上述のように調製した共重合ポリエステルで形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0129】
(4)(2)で調製した透明共重合ポリエステル(99重量部)と亜リン酸トリフェニル(1重量部)とを攪拌して一様に混ぜ合わせ、この結果得られた混合物を190℃の温度および0.09MPaの絶対圧の下で融解させた。次に、この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して25℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートB5を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0130】
〔実施例6〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
実施例1で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを使用した。
【0131】
(2)透明共重合ポリエステルの調製
L−ラクチド(60g)と(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(20g)とをそれぞれ反応器に仕込んだ。80mgのオクチル酸スズ(II)と、1.00gの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとをさらに加えて、一様に混ぜ合わせた。上記反応器を窒素で5時間パージングし、次に、反応器を窒素雰囲気下で温度が170℃の油浴に入れた。反応を5時間継続させた後、反応器を冷却した。反応後に得られる生成物をクロロホルムで溶解し、無水メタノール中で沈殿させた。この結果得られた沈殿物を乾燥させて、本発明の透明共重合ポリエステルを収率87%で得た。この透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は92,000であり、多分散性指数は2.25である。
【0132】
H NMR(300MHz、CDCl、δ、ppm):8.1(s、−C−、積分面積1.00)、5.1〜5.2(m、−OCH(CH)C(O)−、積分面積3.58)、4.1〜4.5(m、−CHOC(O)−、積分面積2.09)、2.6(t、−C(O)CHCHC(O)−、積分面積1.03)、1.7〜2.0(m、−OCHCH−、積分面積1.90)、1.5〜1.6(d、−OCH(CH)C(O)−、積分面積13.12)、1.5(m、−C(O)NH−CHCHCH−、積分面積0.29)。
【0133】
実施例1と同様の手順で、上記化学式(I)中のqを算出すると約49であった。
【0134】
(3)実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートA6を、上述のように調製した共重合ポリエステルで形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0135】
(4)(2)で調製した透明共重合ポリエステル(99重量部)と亜リン酸トリフェニル(1重量部)とを攪拌して一様に混ぜ合わせ、この結果得られた混合物を190℃の温度および0.09MPaの絶対圧の下で融解させた。次に、この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して25℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートB6を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0136】
〔実施例7〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
実施例1で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを使用した。
【0137】
(2)透明共重合ポリエステルの調製
L−ラクチド(60g)と(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(10g)とをそれぞれ反応器に仕込んだ。80mgのオクチル酸スズ(II)と、0.24gの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとをさらに加えて、一様に混ぜ合わせた。上記反応器を窒素で5時間パージングし、次に、反応器を窒素雰囲気下で温度が170℃の油浴に入れた。反応を5時間継続させた後、反応器を冷却した。反応後に得られる生成物をクロロホルムで溶解し、無水メタノール中で沈殿させた。この結果得られた沈殿物を乾燥させて、本発明の透明共重合ポリエステルを収率95%で得た。この透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は96,000であり、多分散性指数は1.78である。
【0138】
H NMR(300MHz、CDCl、δ、ppm):8.1(s、−C−、積分面積1.00)、5.1〜5.2(m、−OCH(CH)C(O)−、積分面積4.09)、4.1〜4.5(m、−CHOC(O)−、積分面積2.03)、2.6(t、−C(O)CHCHC(O)−、積分面積1.05)、1.7〜2.0(m、−OCHCH−、積分面積1.91)、1.5〜1.6(d、−OCH(CH)C(O)−、積分面積13.21)、1.5(m、−C(O)NH−CHCHCH−、積分面積0.22)。
【0139】
実施例1と同様の手順で、上記化学式(I)中のqを算出すると約74であった。
【0140】
(3)実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートA7を、上述のように調製した共重合ポリエステルで形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0141】
(4)(2)で調製した透明共重合ポリエステル(99重量部)と亜リン酸トリフェニル(1重量部)とを攪拌して一様に混ぜ合わせ、この結果得られた混合物を190℃の温度および0.09MPaの絶対圧の下で融解させた。次に、この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して25℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートB7を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0142】
〔実施例8〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
実施例1で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを使用した。
【0143】
(2)透明共重合ポリエステルの調製
L−ラクチド(60g)と(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(10g)とをそれぞれ反応器に仕込んだ。80mgのオクチル酸スズ(II)と、0.23gの1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとをさらに加えて、一様に混ぜ合わせた。上記反応器を窒素で5時間パージングし、次に、反応器を窒素雰囲気下で温度が190℃の油浴に入れた。反応を1.5時間継続させた後、反応器を冷却した。反応後に得られる生成物をクロロホルムで溶解し、無水メタノール中で沈殿させた。この結果得られた沈殿物を乾燥させて、本発明の透明共重合ポリエステルを収率90%で得た。この透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は90,000であり、多分散性指数は2.08である。
【0144】
H NMR(300MHz、CDCl、δ、ppm):8.1(s、−C−、積分面積1.00)、5.1〜5.2(m、−OCH(CH)C(O)−、積分面積4.39)、4.1〜4.5(m、−CHOC(O)−、積分面積2.18)、2.6(t、−C(O)CHCHC(O)−、積分面積1.06)、1.7〜2.0(m、−OCHCH−、積分面積1.88)、1.5〜1.6(d、−OCH(CH)C(O)−、積分面積14.21)、1.5(m、−C(O)NH−CHCHCH−、積分面積0.31)。
【0145】
実施例1と同様の手順で、上記化学式(I)中のqを算出すると約57であった。
【0146】
(3)実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートA8を、上述のように調製した共重合ポリエステルで形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0147】
(4)(2)で調製した透明共重合ポリエステル(99重量部)と亜リン酸トリフェニル(1重量部)とを攪拌して一様に混ぜ合わせ、この結果得られた混合物を190℃の温度および0.09MPaの絶対圧の下で融解させた。次に、この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して25℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートB8を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0148】
〔実施例9〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
2.2molのテレフタル酸と、5molの1,4−ブタンジオールと、1.6mmolのテトラブチルチタネートとを、500mlの三頸フラスコに仕込んで加熱し、温度を200℃で維持してNの存在下で攪拌しながら還流させた。蒸留によって生成された水は、水が生成されなくなるまで回収した。この系に2.5molのコハク酸をさらに加えて加熱し、温度を220℃で維持して攪拌しながら還流させた。蒸留によって生成された水は、水が生成されなくなるまで回収した。次に、この系を、240℃の温度および約400Paの絶対圧の下で約1時間プレポリマー形成させた。最後に、0.85mmolのステアリン酸ランタンを系に加えて、240℃の温度および約200Pa未満の絶対圧の下で約1.5時間凝縮重合させた。この結果、脂肪族と芳香族との白色の共重合ポリエステルが得られた。この脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの重量平均分子量は31,000であり、多分散性指数は1.67である。
【0149】
(2)透明共重合ポリエステルの調製
L−ラクチド(60g)と(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(30g)とをそれぞれ反応器に仕込んだ。80mgのトリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)と、0.56gの4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとをさらに加えて、一様に混ぜ合わせた。上記反応器を窒素で5時間パージングし、次に、反応器を窒素雰囲気下で温度が170℃の油浴に入れた。反応を5時間継続させた後、反応器を冷却した。反応後に得られる生成物をクロロホルムで溶解し、無水メタノール中で沈殿させた。この結果得られた沈殿物を乾燥させて、本発明の透明共重合ポリエステルを収率87%で得た。この透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は81,000であり、多分散性指数は1.72である。
【0150】
H NMR(300MHz、CDCl、δ、ppm):8.1(s、−C−、積分面積1.00)、5.1〜5.2(m、−OCH(CH)C(O)−、積分面積1.82)、4.1〜4.5(m、−CHOC(O)−、積分面積2.01)、3.75(s、−C−CH−C−、積分面積0.09)、2.6(t、−C(O)CHCHC(O)−、積分面積1.07)、1.7〜2.0(m、−OCHCH−、積分面積1.95)、1.5〜1.6(d、−OCH(CH)C(O)−、積分面積5.54)。
【0151】
実施例1と同様の手順で、上記化学式(I)中のqを算出すると約40であった。qは、5.1ppm〜5.2ppm(S5.2)および3.75ppm(S3.75)における各ピークの積分面積比から、q=S5.2×2/S3.75として算出した。
【0152】
(3)実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートA9を、上述のように調製した共重合ポリエステルで形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0153】
(4)(2)で調製した透明共重合ポリエステル(99重量部)と亜リン酸トリフェニル(1重量部)とを攪拌して一様に混ぜ合わせ、この結果得られた混合物を190℃の温度および0.09MPaの絶対圧の下で融解させた。次に、この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して25℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートB9を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0154】
〔実施例10〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
実施例9で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを使用した。
【0155】
(2)透明共重合ポリエステルの調製
L−ラクチド(60g)と(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(30g)とをそれぞれ反応器に仕込んだ。80mgのトリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)と、1.28gの4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとをさらに加えて、一様に混ぜ合わせた。上記反応器を窒素で5時間パージングし、次に、反応器を窒素雰囲気下で温度が170℃の油浴に入れた。反応を5時間継続させた後、反応器を冷却した。反応後に得られる生成物をクロロホルムで溶解し、無水メタノール中で沈殿させた。この結果得られた沈殿物を乾燥させて、本発明の透明共重合ポリエステルを収率92%で得た。この透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は81,000であり、多分散性指数は1.84である。
【0156】
H NMR(300MHz、CDCl、δ、ppm):8.1(s、−C−、積分面積1.00)、5.1〜5.2(m、−OCH(CH)C(O)−、積分面積2.09)、4.1〜4.5(m、−CHOC(O)−、積分面積2.01)、3.75(s、−C−CH−C−、積分面積0.11)、2.6(t、−C(O)CHCHC(O)−、積分面積1.01)、1.7〜2.0(m、−OCHCH−、積分面積2.05)、1.5〜1.6(d、−OCH(CH)C(O)−、積分面積7.01)。
【0157】
実施例9と同様の手順で、上記化学式(I)中のqを算出すると約38であった。
【0158】
(3)実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートA10を、上述のように調製した共重合ポリエステルで形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0159】
(4)(2)で調製した透明共重合ポリエステル(99重量部)と亜リン酸トリフェニル(1重量部)とを攪拌して一様に混ぜ合わせ、この結果得られた混合物を190℃の温度および0.09MPaの絶対圧の下で融解させた。次に、この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して25℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートB10を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0160】
〔実施例11〕
(1)脂肪族−芳香族共重合ポリエステルの調製
実施例9で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを使用した。
【0161】
(2)透明共重合ポリエステルの調製
L−ラクチド(60g)と(1)で調製した脂肪族−芳香族共重合ポリエステル(20g)とをそれぞれ反応器に仕込んだ。80mgのトリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)と、1.12gの4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとをさらに加えて、一様に混ぜ合わせた。上記反応器を窒素で5時間パージングし、次に、反応器を窒素雰囲気下で温度が170℃の油浴に入れた。反応を5時間継続させた後、反応器を冷却した。反応後に得られる生成物をクロロホルムで溶解し、無水メタノール中で沈殿させた。この結果得られた沈殿物を乾燥させて、本発明の透明共重合ポリエステルを収率88%で得た。この透明共重合ポリエステルの重量平均分子量は74,000であり、多分散性指数は2.04である。
【0162】
H NMR(300MHz、CDCl、δ、ppm):8.1(s、−C−、積分面積1.00)、5.1〜5.2(m、−OCH(CH)C(O)−、積分面積2.99)、4.1〜4.5(m、−CHOC(O)−、積分面積2.01)、3.75(s、−C−CH−C−、積分面積0.10)、2.6(t、−C(O)CHCHC(O)−、積分面積1.01)、1.7〜2.0(m、−OCHCH−、積分面積2.05)、1.5〜1.6(d、−OCH(CH)C(O)−、積分面積9.13)。
【0163】
実施例9と同様の手順で、上記化学式(I)中のqを算出すると約60であった。
【0164】
(3)実施例1と同様の手順で、サイズが15cm×15cm×2mmのシートA11を、上述のように調製した共重合ポリエステルで形成した。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表1に示す。
【0165】
(4)(2)で調製した透明共重合ポリエステル(99重量部)と亜リン酸トリフェニル(1重量部)とを攪拌した一様に混ぜ合わせ、この結果得られた混合物を190℃の温度および0.09MPaの絶対圧の下で融解させた。次に、この結果得られた融解物をブランクシート状に押し出した後、冷却して25℃の温度で硬化させて、サイズが15cm×15cm×2mmのシートB11を得た。次に、このシートの生分解性、破壊引張強度、破断伸び、および、透過率について試験を行った。結果を下記の表2に示す。
【0166】
【表1】

【0167】
【表2】

【0168】
表1および表2のデータから、本発明の透明共重合ポリエステルおよびその物品が良好な生分解性を有するだけではなく、良好な靱性および透明性をも有することがわかる。特に、本発明に係る脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを用いて調製された共重合体およびその物品は、実施例1と比較例1とを比較すればわかるように、脂肪族ポリエステルを用いて調製された共重合体およびその物品に比べて、より良好な透明性を有する。比較例2の共重合体およびその物品は、実施例1と比較例2とを比較すればわかるように、透明性が低い。比較例2の低い透明性は、採用した脂肪族−芳香族共重合ポリエステルが持つ相対的に高い重量平均分子量に起因すると考えられる。
【0169】
好適には、本明細書でも使用されているように、「第1」や「第2」などの言葉はいかなる重要性の順序を示すものでもなく、個々の要素を区別するために使用されているに過ぎない。また、「the」、「a」、および、「an」という単語は量の限定を示すものではなく、言及される部材が少なくとも1つ存在していることを示すものである。さらに、本明細書に開示される全ての範囲は端点を含めた範囲であって、独立的に組み合わせ可能である。
【0170】
開示内容については例としての実施形態を参照しながら説明したが、当業者には、実施形態の各要素に対して各種の変更が可能であり、また、等価物で置換可能であって、これらの変更や置き換えは開示の範囲を逸脱するものではないことは理解されるであろう。さらに、特定の状況または材料を開示内容の教唆に合わせて構成するために、さまざまな修正を加えてもよく、この修正は必須の範囲から逸脱するものではない。したがって、開示内容は、本開示を実施するために考案されたモードとして開示された特定の実施形態に限定されるべきものではなく、開示内容は、添付の請求項の範囲を超えない全ての実施形態を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】実施例1の透明共重合ポリエステルのH NMRスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント(A)、繰り返し単位−O−CH(CH)−C(O)−を有するセグメント(B)、および、ポリイソシアネートに由来する構造単位(C)を含有する、透明共重合ポリエステルであって、
該脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント(A)、繰り返し単位−O−CH(CH)−C(O)−を有するセグメント(B)、および、ポリイソシアネートに由来する構造単位(C)の重量比が100:(100〜2000):(0.1〜10)であり、
該透明共重合ポリエステルの重量平均分子量Mwが50,000〜1,000,000であることを特徴とする、透明共重合ポリエステル。
【請求項2】
上記繰り返し単位−O−CH(CH)−C(O)−を有するセグメント(B)が化学式(I)
【化1】

によって表わされる(ただし、qは10〜100の整数である)、請求項1に記載の透明共重合ポリエステル。
【請求項3】
上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント(A)がランダム脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメントである、請求項1または2に記載の透明共重合ポリエステル。
【請求項4】
上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント(A)の重量平均分子量Mwが2,000〜40,000であり、好ましくは3,000〜40,000である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明共重合ポリエステル。
【請求項5】
上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント(A)中では、脂肪族ポリエステルの繰り返し単位と芳香族ポリエステルの繰り返し単位とのモル比が1:0.1〜10である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明共重合ポリエステル。
【請求項6】
上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント(A)の末端基がジオールに由来する基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明共重合ポリエステル。
【請求項7】
上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント(A)が、化学式(III)によって表わされる繰り返し単位および化学式(IV)によって表わされる繰り返し単位を含有し、
【化2】

上記脂肪族−芳香族共重合ポリエステルセグメント(A)鎖の末端が、互いに独立して、−O−(CH−O−、または、−O−(CH−O−であり、
上記化学式(III)によって表わされる繰り返し単位と化学式(IV)によって表わされる繰り返し単位とのモル比が1:(0.1〜10)であり、
mは2〜10の整数であり、
nは2〜8の整数であり、
pは2〜10の整数であり、
m、nおよびpは、互いに等しいか異なるかのいずれかである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明共重合ポリエステル。
【請求項8】
上記ポリイソシアネートに由来する構造単位(C)が、上記ポリイソシアネートのイソシアネート基がヒドロキシル基と反応した後に得られる構造単位である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の透明共重合ポリエステル。
【請求項9】
上記構造単位(C)が化学式(II)によって表わされ、
【化3】

Xは二価の脂肪族基および/または二価の芳香族基であり、好ましくは、1,6−ヘキサメチレンおよび/または4,4’−メチレンジフェニルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の透明共重合ポリエステル。
【請求項10】
上記透明共重合ポリエステルの多分散性指数が1.2〜4であり、好ましくは1.5〜2.5である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の透明共重合ポリエステル。
【請求項11】
ラクチド、ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、および、ポリイソシアネートを触媒の存在下で重合することを含み、
上記ヒドロキシルを末端に持つ脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、ラクチド、および、ポリイソシアネートの重量比が100:(100〜2000):(0.1〜10)であることを特徴とする、透明共重合ポリエステルの調製方法。
【請求項12】
上記触媒が有機スズ化合物であり、
好ましくは、該有機スズ化合物が、オクチル酸スズ(II)、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、ジラウリン酸ジブチルスズ、酒石酸スズ(II)、および、ジブチルジメトキシスズからなる群より選択される、請求項11に記載の透明共重合ポリエステルの調製方法。
【請求項13】
上記重合の反応条件には、反応温度が130℃〜190℃であり、好ましくは170℃〜190℃であること、および、反応時間が1時間〜10時間であり、好ましくは1.5時間〜5時間であることが含まれる、請求項11または12に記載の透明共重合ポリエステルの調製方法。
【請求項14】
上記有機スズ化合物の量が0.05重量部〜0.5重量部であり、
上記ラクチド、脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、および、ポリイソシアネートの総重量が100重量部であることを特徴とする、請求項12に記載の透明共重合ポリエステルの調製方法。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれか一項に記載の透明共重合ポリエステルの調製方法で調製された、透明共重合ポリエステル。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の透明共重合ポリエステルを含んでなる物品。

【図1】
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【公開番号】特開2013−47339(P2013−47339A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−178964(P2012−178964)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【出願人】(503191287)中国石油化工股▲ふん▼有限公司 (35)
【出願人】(510016575)中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院 (8)
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
【Fターム(参考)】