説明

透明導電性フィルム、静電容量式タッチパネルの透明電極及びタッチパネル

【課題】 繊維状導電性物質を使用し、特に静電容量式のタッチパネル用の透明電極等として使用する場合でも、異方性に由来する問題が生じずに、良好に使用できる透明導電性フィルムを提供する。
【解決手段】 帯状に延びる支持体フィルム上に繊維状導電性物質を含有する透明導電層を有する透明導電性フィルムであって、前記透明導電層中の前記繊維状導電性物質がランダムに配向しており、前記帯状に延びる支持体フィルムの長手方向に対して垂直に入射させた光による輝度LXを、前記帯状に延びる支持体フィルムの短手方向に対して垂直に入射させた光による輝度LYで除した値が1.3以下であることを特徴とする透明導電フィルム、その製造方法、及びタッチパネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維状導電性物質を含有する透明導電層を有する透明導電性フィルム、それを使用した、静電容量式タッチパネルの透明電極及びタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
透明導電層の形成材料や、該形成材料を用い透明基体上に透明導電層を形成した透明導電層フィルムは、発光、受光機能を利用した電子装置等において、重要な機能性部材として数多く用いられている。特に透明導電層をパターン化して電極やスイッチ等の機能を持たせたものは、上記電子装置の薄型化、小型化のための必須の部材となっている。
従来より、透明導電層は、可視光透過率が高く表面電気抵抗の低いこと、環境特性に優れていることから、インジウム系酸化物であるITO膜が主に用いられている。透明導電層としてのITO膜の製造方法は、主にスパッタリング法である。スパッタリング法は、ある程度大きな面積でも、表面電気抵抗の低い透明導電層を形成できる点で優れているが、成膜速度が遅く、均質な品質の導電膜を成膜するためには、装置内部のガス濃度、温度等の装置制御の精度を高めなくてはならず、これらの理由により装置の大型化に課題を有している。
【0003】
近年、新たな透明導電層として、カーボンナノチューブや導電性ナノワイヤー等の繊維状導電性物質を含有する透明導電層を有した透明導電性フィルムが検討されており(例えば特許文献1参照)、透明性が高く電気抵抗も従来のITO膜と同様に低い塗膜を形成できる透明導電性塗料とそれを用いた透明導電層パターンの形成方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。ここでは、10より高い高アスペクト比を有し、且つその断面寸法が100nm未満の導電性ナノワイヤーを使用することで、実質的に透明な導電ワイヤー網を形成し透明導電層を形成可能であることが記載されている。さらにこのような導電性ナノワイヤーとして、例えば銀ナノワイヤーを溶媒中に分散させた透明導電性塗料を、基体上に塗布、乾燥させることによって、銀ナノワイヤーが網目状に配置し、良好な透明性と導電性を有する透明導電層を得るに至る透明導電層の形成方法が提案されている。さらに、この銀ナノワイヤーを用いた透明導電層パターンの形成方法として、基体上に銀ナノワイヤーの透明導電層を形成したのちに、バインダー樹脂等を用いて銀ナノワイヤーをパターン状に固定化し、その後に、非固定化領域を適切な溶媒で洗浄またはブラッシングするか、あるいは粘着性のあるローラーで除去することによりパターンを形成する方法や、形成された透明導電層全面に光または熱により硬化可能な固定化用塗料を塗布し、パターンとして残したい部分にのみ光または熱を供給し硬化したのち、上記と同様の方法を用いて不要部分を除いてパターンを形成する方法が記載されている。
【0004】
金属ナノワイヤーやカーボンナノチューブ等の繊維状導電性物質を用いた透明導電層を有する導電性フィルム(本発明においては、薄い膜形状であり、枚葉あるいは巻き取り可能な長尺状のいわゆるシート、フィルムをまとめて「フィルム」と称す)は、バインダー及び繊維状導電性物質を含有する導電性組成物をフィルム状に成形し、あるいは、繊維状導電性物質及び溶剤を含有する塗布液を支持体フィルム上に塗布して透明導電層を形成し、該支持体上に透明導電層を有する透明導電性フィルムを形成する。
このとき、前記組成物あるいは前記塗布液中の繊維状導電性物質は、導電性膜形成時の組成物や塗布液の流れに従い、あるいは導電性膜形成時の応力に従って、一定の方向に配列する場合がある。これは特に塗布液を、ロール状の帯状に延びる支持体フィルム(長尺フィルム、あるいは支持体原反ともいう。本発明ではこれらを称して「ロール状の帯状に延びる支持体フィルム」と称し、単に「支持体フィルム」と称する場合もある。)に連続塗布する際に生じやすく、支持体フィルムの長手方向(原反流れ方向ともいう)に配列(配向ともいう)することが多い。
【0005】
前記繊維状導電性物質の配向が形成された場合、フィルムの長手方向と短手方向では、電気的特性あるいは光学的特性に差が生じる場合がある(これを異方性と称している)。
得られた透明導電性フィルムを、該異方性を考慮した用途に使用する場合には特に問題にはならない。しかし、前記透明導電性フィルムの前記透明導電層をパターン化して電極やスイッチ等として使用する場合、該異方性は問題となる。
特に、工業的に行われる手法の1つである、ロール状の帯状に延びる支持体フィルムに前記導電性組成物を連続塗布して得たロール状の透明導電性フィルムを、所望する形状に切り出して電極に適用させる方法は、ロスを少なくするために、透明導電性フィルム単位面積当たり、複数個切り出し(多数個取り)を行う。この場合、導電層自体が異方性を有すると、切り出し場所や切り出し方向によって物性の異なる電極が複数得られることとなってしまい、品質管理上問題となる場合があった。特に静電容量式のタッチパネルは、線状にパターン化されたX軸方向の電極とY軸方向の電極を交差させて貼りあわせた透明電極を使用するために、各々の電極の異方性はタッチパネルの位置検出時に誤動作が起こる問題や、パネル側から使用者が電極を認識してしまう、いわゆる視認性の問題にもつながる。
【0006】
【特許文献1】特表2006−519712号
【特許文献2】特表2009−505358号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、繊維状導電性物質を使用し、特に静電容量式のタッチパネル用の透明電極等として使用する場合でも、異方性に由来する問題が生じずに、良好に使用できる透明導電性フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、透明導電層中の前記繊維状導電性物質がランダムに配向しており、且つ、特定の光学的特性を有する透明導電性フィルムが、上記課題を解決することを見出した。
【0009】
前記繊維状導電性物質がランダムに配向することで、異方性を有せず等方性を有する導電性フィルムを得ることができる。本発明者らは、該ランダムな配向の程度が、少なくとも光学的特性で特定できることを見出し、静電容量式のタッチパネル用電極として有用であることを見出した。そして該導電性フィルムは、特定の製造方法によって得られることを見出した。
【0010】
即ち本発明は、帯状に延びる支持体フィルム上に繊維状導電性物質を含有する透明導電層を有する透明導電性フィルムであって、前記透明導電層中の前記繊維状導電性物質がランダムに配向しており、前記帯状に延びる支持体フィルムの長手方向に対して垂直に入射させた光による輝度LXを、前記帯状に延びる支持体フィルムの短手方向に対して垂直に入射させた光による輝度LYで除した値が1.3以下である透明導電フィルムを提供する。
【0011】
また本発明は、前記記載の透明導電フィルムをパターン化したX軸電極とY軸電極とを組み合わせる静電容量式タッチパネルの透明電極を提供する。
【0012】
また本発明は、帯状に延びる支持体フィルム上に繊維状導電性物質を含有する塗布液を連続塗布して塗膜を形成する工程(1)と、前記塗膜を加熱乾燥させる工程(2)とを有する透明導電性フィルムの製造方法であって、前記工程(1)と前記工程(2)との間に、常温における放置時間を設ける透明導電フィルムの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、繊維状導電性物質を使用し、特に静電容量式のタッチパネル用の電極等として使用する場合でも、異方性に由来する問題が生じずに、良好に使用できる透明導電性フィルムを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(帯状に延びる支持体フィルム)
本発明で使用する帯状に延びる支持体フィルムは、好ましくは透明であり、通常電極等の用途に使用され、支持体として十分な物理的強度と光透過性を有するものであれば特に限定されない。また、帯状に延びるとは、大抵ロール状となっている長尺の形状を指す。
表面の平滑性や機械的強度の観点から、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、シクロオレフィン等の透明または半透明樹脂のシート又はフィルムが好ましい。これらは、単層であったも多層となっていてもよく、密着性を高める目的でプラズマ等の公知の方法で表面処理されていたり、表面硬度を得る目的で表面コート材でコートされていてもよい。なかでもPETフィルムまたはPENフィルムが、機械的強度の面から特に好ましい。
前記支持体フィルムの厚みは、薄すぎると取り扱い性が難しく、一方厚すぎる場合では可視光の透過率が低下するおそれがある。従って5μm〜300μmの範囲が、取り扱いが良好で透過率に優れており好ましい。より好ましくは10μm〜250μmの範囲であり、25μm〜200μmがさらに好ましい。
【0015】
(透明導電層:繊維状導電性物質)
本発明で使用する繊維状導電性物質は、分岐がなく、ほぐれやすく、かつ繊維状物質の均一な分布密度を得やすく、その結果繊維と繊維のからまりの間に大きな開口部を形成し、良好な光透過率を実現することができるワイヤー状のものが好ましい。このような形状をした導電性物質の例としては、カーボンナノチューブやワイヤー状の導電性金属である金属ナノワイヤーを挙げることができる。本発明において金属ナノワイヤーとは、形状が直線または曲線の細い棒状で、材質が金属であるナノメートルサイズの微細な導電性物質である。微細な導電性物質が繊維状、好ましくはワイヤー状であると、それらが互いに絡み合って網の目状となることで、少ない量の導電性物質であっても良好な電気伝導経路を形成することができ、導電性層の抵抗値をより低下させることができ好ましい。さらにこのような網の目状を形成した場合、網の目の隙間部分の開口が大きいので、たとえ繊維状の導電性物質そのものが透明でなかったとしても、塗膜として良好な透明性を達成することが可能である。
【0016】
金属ナノワイヤーの金属として、具体的には鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、オスミウム、イリジウム、白金、金が挙げられ、導電性の観点から銅、銀、白金、金が好ましく、白金メッキ、または金メッキされた銀がより好ましい。金属ナノワイヤーの少なくとも一つの断面寸法は、500nm未満であることが好ましく、200nm未満であることがさらに好ましく、100nm未満であることが一層好ましい。金属ナノワイヤーとしては、アスペクト比としては10を越えることが好ましい。アスペクト比としては50を越えることがさらに好ましく、100を越えるアスペクト比を有することが一層好ましい。金属ナノワイヤーの形状や大きさは走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡で確認することができる。
【0017】
金属ナノワイヤーは、当技術分野で既知の方法で調製可能である。例えば溶液中で硝酸銀を還元する方法や、前駆体表面にプローブの先端部から印可電圧又は電流を作用させ、プローブ先端部で金属ナノワイヤーを引き出し、該金属ナノワイヤを連続的に形成する方法等が挙げられる(特開2004−223693公報)。溶液中で硝酸銀を還元する方法としては、より具体的には、銀ナノワイヤーは、エチレングリコール等のポリオール、およびポリビニルピロリドンの存在下で、硝酸銀等の銀塩の液相還元することにより合成可能である。均一サイズの銀ナノワイヤーの大量生産は、例えば、Xia,Y.etal.,Chem.Mater.(2002)、14、4736−4745 およびXia, Y.etal., Nano letters(2003)3(7)、955−960 に記載される方法に準じて調製可能であるが、特にこれらに記載の方法に限定するものではない。
このような導電性を有する金属ナノワイヤーが前記支持体フィルム上に適度な間隔を保ちながら互いに絡み合った状態を有することで、実質的に透明な導電網が形成可能である。具体的な金属種や軸長さ、アスペクト比等は使用目的等に応じて適宜定めればよい。
【0018】
前記繊維状導電性物質は、適宜分散媒に分散させて塗料とすることで、連続塗布法等にも使用可能となる。分散媒である液体としては、特に限定されることなく、既知の各種分散媒を使用することができる。例えば、ヘキサン等の飽和炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、エチレンクロライド、クロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。また、分散媒の種類により、分散剤を使用することもできる。これらの中でも、極性を有する分散媒が好ましく、特にメタノール、エタノール等のアルコール類、NMP等のアミド類のような水と親和性のあるものは、分散剤を使用しなくても分散性が良好であり好適である。これら液体は、単独でも2種類以上の混合したものでも使用することができる。
【0019】
また、分散媒として水も使用可能である。水を用いる場合には、前記支持体フィルム表面が疎水性の場合は、水をはじきやすく、塗布する際に均一な膜が得られにくい。このような場合には、水にアルコールを混合するとか、あるいは疎水性の前記支持体フィルム表面への濡れ性を改善するような界面活性剤を選定し、添加することで均一な膜を得る。
用いる分散媒としての液体の量は、特に制限されず、前記微細な導電性物質の分散液が塗布に適した粘度を有するようにすればよい。例えば、前記透明導電性物質100重量部に対して、液体100〜100,000重量部程度と広範囲に設定可能であって、前記繊維状導電性物質と分散媒の種類、使用する撹拌、分散装置に応じて適宜選択することができる。
【0020】
前記繊維状導電性物質の分散媒中への分散は、透明導電性物質と分散媒である液体の混合物に対し必要に応じて公知の分散手法を適用することにより行うことができる。ただし、良好な透明性と導電性を有する透明導電層を形成するためには、前記繊維状導電性物質の特性が分散処理前後で大きく変化せず、混合物の透明性が失われないことが重要である。特に前記繊維状導電性物質が金属ナノワイヤーの場合には、折れにより導電性の低下や透明性の低下が引き起こされるため、金属ナノワイヤーの形状を破壊しない分散手法の選択が重要である。
前記繊維状導電性物質の分散液は、導電性能の向上の点においてはバインダー樹脂を含まないことが好ましい。導電性層においては、バインダー樹脂を用いなければ前記繊維状導電性物質同士の接触が阻害されることがない。従って、前記繊維状導電性物質相互間の導電性が確保され、得られる透明導電層の電気抵抗値をより低く抑えることができる。また、前記繊維状導電性物質の分散液がバインダー樹脂を含まなくすることによって、基体上に透明導電層を形成したときに、後述のパターン化工程において透明導電層が該透明基体から容易に剥離可能である点でも好ましい。更に、透明導電層の保護層用塗料による前記支持体フィルム上への固定化は、保護層用塗料を透明導電層に含浸させ支持体フィルムに到達させることにより行われるため、前記繊維状導電性物質の分散液がバインダー樹脂を含まないことは、透明導電層がより間隙を多く含んでいることを意味しており、保護層用塗料の含浸による固定化を阻害しない点で好ましい。
【0021】
ただし、前記支持体フィルム上の導電層の導電性や剥離性を低下させず、保護層用塗料中の樹脂による導電層の固定化工程を損なわない程度の量であれば、樹脂を含むことも可能であり、その種類と量は、上記特性が得られる範囲で適宜選択可能である。
上記の添加量範囲において前記繊維状導電性物質の分散液は、粘度調整、腐食防止、基体への接着性向上、および前記繊維状導電性物質の分散を制御するために、前記樹脂及びその他の添加剤を含んでもよい。適切な添加剤および結合剤の例として、カルボキシメチルセルロース(CMC)、2−ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ポリビニルアルコール(PVA)、トリプロピレングリコール(TPG)、およびキサンタンゴム(XG)、およびエトキシレート、アルコキシレート、エチレンオキシド、および酸化プロピレンなどの界面活性剤、およびそれらの共重合体、スルホン酸塩、硫酸塩、ジスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、リン酸エステル、およびふっ素系界面活性剤が挙げられるがそれだけに限定されない。
さらに2−アルコキシエタノール、β−ジケトン、アルキルアセテート、等を非ポリマー系有機化合物を膜形成剤として使用することもできる。
【0022】
本発明において、前記繊維状導電性物質がランダムに配向するとは、透明導電層中の前記繊維状導電性物質が、少なくとも導電層面内においてランダムに配向することを示す。ランダムに配向している即ち塗布方向を含む面内の特定方向に配向していないかどうかは、SEM写真等で確認することができる。
本発明においては、透明導電層中の前記繊維状導電性物質がランダムに配向しており、且つ、その光学的特性を特定の範囲内とすることで、例えば静電容量式のタッチパネル用の電極等として使用する場合でも、異方性に由来する問題が生じずに、良好に使用できる透明導電性フィルムを得ることができる。
【0023】
(光学的特性)
本発明において光学的特性とは、具体的には、前記帯状に延びる支持体フィルムの長手方向に対して垂直に入射させた光による輝度LXを、前記帯状に延びる支持体フィルムの短手方向に対して垂直に入射させた光による輝度LYで除した値を指す。具体的には、以下の方法による。
【0024】
光学的特性は、透明導電性フィルムを、図13に示す方法で測定する。
黒台紙10を下に敷いた透明電極サンプル6に、45度以上の入射角となるようにLED光源8「シグマ光機社製のツインアームLED照明(STA−1)」から、LED光7を照射した。輝度(cd/m2)は、測定位置の正面から輝度測定装置9「多点輝度計EyeWin390c(アイ・システム社製)」を使用して測定する。
LED光7を、図13中7−1(支持体フィルムの長手方向Aに対して垂直となる)の方向から、図13中12で表される破線内の範囲の中に入射させることで得た輝度を測定し、破線12の範囲内の任意の3点の平均輝度を測定し、その平均をLXとする。また、図13中7−2(支持体フィルムの短手方向Bに対して垂直となる)方向から、図13中11で表される二重線内の範囲の中に入射させることで得た輝度を測定し、二重線11の範囲内の任意の3点の平均輝度を測定し、その平均をLYとする。
光学的特性は、得られたLXをLYで除した値を、光学的特性とする。すなわち以下の式となる。
【0025】
【数1】

【0026】
光学的特性が1.3以下であることは、ロール状の透明導電性フィルムを、所望する形状に切り出して電極に適用させる方法において、どの位置、どの向きで切り出しても静電容量式のタッチパネル用の電極として使用して問題のない程度の電極が得られることを指す。これは具体的には、LED光源からの導電性フィルム表面の反射量が、繊維状導電性物質の配向方向と入射面の関係に応じて変化することを利用している。導電性フィルム表面の反射量は入射角が小さくなるほど減少し、入射角が大きくなるほど増加する。
本発明の「光学的特性が1.3以下である」は、光の反射量からランダムな配向を規定したものであり、より好ましくは、1.1以下である。該範囲とすることで、光の角度の違いによってもパターンの見え方にほとんど差異がなく、良好な視認性が得られる。
光学的特性が1.3を超える透明導電フィルムをタッチパネル用の透明電極として使用した場合、パネルを見る角度によっては使用者がパターンを認識してしまう恐れがある。
【0027】
このように透明導電層の異方性は、電気的異方性については繊維状導電性物質の配向方向と細線状パターンの方向性との関係で生じ、光学的異方性については繊維状導電性物質の配向方向と観察方向との関係で生じる。
【0028】
(タッチパネル用透明電極の電気的特性と光学的特性)
本発明においては、前記透明導電性フィルムを、後述の方法でパターン化したX軸電極とY軸電極を組み合わせて静電容量式のタッチパネル用電極とするが、その電極は、前記光学的特性を有する透明導電性フィルムから得られたものであるため、前記と同様の光学的特性を有する。
本発明においては、静電容量式のタッチパネル用電極とした後、前記と同様の測定を行て光学的特性を評価してもよい。
【0029】
一方、前記繊維状導電性物質の異方性を起因とする電気的特性も、静電容量式のタッチパネル用電極の動作に影響を与える。もし前記繊維状導電性物質の配向が形成された場合、繊維状導電性物質に沿って長手方向に電流が流れやすくなる。
【0030】
本発明者らは、前記電気的特性が、静電容量式のタッチパネル用透明電極で使用するパターン化したX軸電極の電気抵抗値とY軸電極の電気抵抗値で評価できることを見出し、パターン化したX軸電極の電気抵抗値をY軸電極の電気抵抗値で除した値が1.5以下であることで、静電容量式のタッチパネル用透明電極として有用に動作しうることを見出した。
【0031】
本発明において、前記電気的特性で使用する電極サンプルは、以下のように作成したものである。
【0032】
(電極サンプル)
(1)帯状に延びる支持体フィルムとして、厚み125μmの高透明PETフィルム「帝人デュポンフィルム社製HF1C22−125」を使用し、該フィルム上に繊維状導電性物質を含有する透明導電層を有する透明導電性フィルムを、50mm×50mm角に切り出す。
【0033】
(2)切り出した2枚のサンプルを、図1、図2、図4、及び図5のいずれかの細線状パターンでパターン化し、透明電極パターンを形成する。図1、図2、図4、及び図5において、1は透明導電層をパターン化した透明電極であり、2は前記パターン化において除去または電気的に絶縁された非導電部位(パターン化において完全に導電層が除去された場合は、該部位は支持体フィルムがむき出しとなっており、パターン化において完全に導電層が除去されていない場合は、前記繊維状導電性物質が残存しているが電気的には絶縁状態である)である。図1及び図4における縦に長いパターンは、タッチパネル用のY軸電極となり、図2及び図5における横に長いパターンは、タッチパネル用のX軸電極となる。
【0034】
前記透明電極1の長さは50mmであり幅は5mmであり、隣り合う透明電極1の間隔は、5mmである。また図1、図2、図4、及び図5において、Aは支持体フィルムの長手方向を表し、Bは支持体フィルムの短手方向を表す。すなわち図1の透明電極パターンは、支持体の長手方向に平行なY軸電極を設けた例であり、図2の透明電極パターンは、支持体の短手方向に平行なX軸電極を設けた例であり、図4の透明電極パターンは、支持体の長手方向に平行なY軸電極を設けた例であり、図5の透明電極パターンは、支持体の長手方向に平行なX軸電極を設けた例である。
なお「長手方向」とは前述の通り前記帯状に延びる支持体フィルムの長手方向を指し、「短手方向」とは、前記帯状に延びる支持体フィルムの短手方向を指している。
【0035】
一方、光学的特性で使用する電極サンプルは、以下(3)の方法で作成する。
(3)前記(1)〜(2)の方法で得た透明電極パターンを重ねあわせて、電極サンプルを作成する。なおこのようにパターン化した透明電極を重ねあわせた透明電極は、通常タッチパネル用の透明電極として使用するものである。具体的には、図1及び図2の透明電極パターンは、図1と図2とをそのまま(天地反転あるいは回転等させずに)の状態で重ねあわせて接着し、図3の電極サンプルを得る。また、図4と図5の透明電極パターンは、図4と図5とをそのままの状態で重ねあわせて接着し、図6に示す電極サンプルを得る。
即ち、図3の電極サンプルは、支持体の長手方向に平行となるY軸電極と支持体の短手方向に平行となるX軸電極を組み合わせた電極であり、図6のタッチパネル用電極は、支持体の長手方向に平行となるY軸電極と支持体の長手方向に平行となるX軸電極を組み合わせた電極である。
接着方法としては、DIC社製の光学粘着シート「ZB7032W 厚み50μm」を介して、例えば図1の透明電極パターン(Y軸電極)/光学粘着シート/図2の透明電極パターン(X軸電極)となるように積層し圧着した。
【0036】
なお、前記(1)〜(2)で得た、図1の透明電極パターンを「パターン(YS1)」と称し、図2の透明電極パターンを「パターン(XS1)」と称し、図3の電極サンプルを(S1)と称し、図4の透明電極パターンを「パターン(YS2)」と称し、図5の透明電極パターンを「パターン(XS2)」と称し、図6の電極サンプルを(S2)と称する。
【0037】
(電気的特性)
透明電極の電気的特性は、前記電気的特性で使用する電極サンプルの、タッチパネル用電極の元となるX軸電極とY軸電極の電気抵抗値から評価する。例えば、図3の電極(S1)は、図1の透明電極パターン「パターン(YS1)」と、図2の透明電極パターン「パターン(XS1)」の電気抵抗値を、下記の方法で測定する。
透明電極パターンの、複数ある透明電極1のうちの1本の両末端に、図14に示す方法でテスター13を繋いで、電気抵抗を測定する。1つの透明電極パターン上にある複数の透明電極1はすべて測定を行い、その平均値を「電気抵抗値」とする。
得られた、X軸電極の電気抵抗値(R)をY軸電極の電気抵抗値(R)で除した値を、電気的特性とする。すなわち以下の式となる。
【0038】
【数2】


【0039】
前記測定方法で測定した電気的特性が1.5以下である、とは、特に前述の、ロール状の透明導電性フィルムを、所望する形状に切り出して電極に適用させる方法において、どの位置、どの向きで切り出しても、静電容量式のタッチパネル用の電極として使用して問題のない程度の電極が得られることを指す。
本発明の「電気的特性が1.5以下である」は、電流の流れからランダムな配向を規定したものであり、より好ましくは、1.3以下である。
電気的特性が1.5を超える透明導電フィルムをタッチパネル用の透明電極として使用した場合、タッチパネルに近接した指の容量に起因した電圧変化の検出の際に、X−Y電極の積算データを正確に捉える確率がやや下がる傾向にあり、より精密さを求められるタッチパネルでは、位置検出時に誤動作が起こる可能性がある。
このように透明導電層の異方性は、電気的異方性については繊維状導電性物質の配向方向と細線状パターンの方向性との関係で生じ、光学的異方性については繊維状導電性物質の配向方向と観察方向との関係で生じる。
【0040】
(光学的特性)
一方、透明電極の光学的特性は、前記光学的特性で使用する電極サンプルを、図13に示す方法で測定した。
黒台紙10を下に敷いた電極サンプル6に、45度以上の入射角となるようにLED光源8「シグマ光機社製ツインアームLED照明(STA−1)」から、LED光7を照射した。輝度(cd/m2)は、測定位置の正面から輝度測定装置9「多点輝度計EyeWin390c(アイ・システム社製)」を使用して測定する。
LED光7を、図13中7−1(支持体フィルムの長手方向Aに対して垂直となる)の方向から、図13中12で表される破線内の範囲の中に入射させることで得た輝度を測定し、破線12の範囲内のX軸電極とY軸電極が重なっている部分を除く電極部分の任意の3点の平均輝度を測定し、その平均をLXとする。また、図13中7−2(支持体フィルムの短手方向Bに対して垂直となる)方向から、図13中11で表される二重線内の範囲の中に入射させることで得た輝度を測定し、二重線11の範囲内のX軸電極とY軸電極が重なっている部分を除く電極部分の任意の3点の平均輝度を測定し、その平均をLYとする。また、LED光の入射方向(図13中7−1、7−2)は、支持体フィルムの長手方向、あるいは短手方向に対してとする。得られたLをLで除した値を、光学的特性とする。すなわち以下の式となる。
【0041】
【数3】


【0042】
(透明導電性フィルム 製造方法)
本発明の透明導電性フィルムは、前記帯状に延びる支持体フィルム上に繊維状導電性物質を含有する透明導電層を形成して得られる。透明導電層を形成する方法は、生産性の観点から前述の通り塗布法が好ましい。
塗布方法としてはスプレーコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、インクジェットコート、スクリーンコート、ディップコートなど公知の塗布方法を用いることができる。また、フィルムの製造工程で塗布層を設けるインラインコート方式、フィルム製造後に塗布層を設けるオフラインコート方式により設けることができる。
【0043】
前記塗布法を用いる場合は、前記分散媒に前記繊維状導電性物質を分散させた塗料を使用するため、塗布後は分散媒を乾燥させる必要がある。乾燥は100℃での加熱乾燥であるが、このとき、加熱乾燥までの間に、常温における放置時間を設けることで、前記透明導電層中の前記繊維状導電性物質をランダムに配向させることができる。放置時間としては、80〜200秒の間が好ましく、より好ましくは90〜160秒の間がより好ましく、120〜150秒であることがさらに好ましい。放置時間が80秒未満であると、得られる透明導電層の前記電気的特性あるいは光学的特性が所望の値とならないおそれが高くなり、一方200秒以上放置してしまうと、繊維状繊維状透明導電性物質同士の凝集が進んだり、あるいは均一な塗膜が形成されないおそれがある。
【0044】
前記透明導電層の膜厚は、用途により適宜調整することができるが、薄くなる程導電性が低下する傾向にあり、一方厚すぎるとヘイズ値の上昇、全光線透過率の低下等で透明性が低下する傾向にある。これらのことから、例えばタッチパネル用の透明電極層として使用する場合は、10nm〜10μmの間で適宜調整を行うことが多い。特に繊維状透明導電性物質として金属ナノワイヤーを使用する場合は、該金属ナノワイヤーそのものが透明ではないために、膜厚の増加によって透明性が低下する傾向が強いので、より薄い膜厚の透明導電層を形成することが多い。この場合きわめて開口部の多い透明導電層であるが、接触式の膜厚計で測定したときに平均膜厚として10nm〜500nmの膜厚範囲がこのましく、30nm〜300nmがより好ましく、50nm〜150nmが最も好ましい。
【0045】
前記透明導電層は繊維状透明導電性物質、または繊維状透明導電性物質とバインダー樹脂及び既述のその他添加剤を含有する。バインダー樹脂を使用するときの添加量は透明導電層中の繊維状透明導電性物質が基体に対して良好に固定され、以後の工程において容易に欠落しないために必要で最小限の量の添加にとどめることが好ましい。
【0046】
なお、前記透明導電層は、更に導電性を高める目的で、塗布形成後の透明導電層における繊維状透明導電性物質同士の交差部分における接触点を増すとともに、接触面積を増やしその接触を確実にするための加圧工程を行うことが可能である。
繊維状透明導電性物質の交差部分を加圧する工程とは、具体的には透明導電層面を加圧する工程であって、網目状に分散している繊維状透明導電性物質の透明導電層に真上から圧力を加えて、透明導電層を圧縮し、内部の繊維状透明導電性物質の接触点を増やす工程である。この工程によって繊維状透明導電性物質間の接触抵抗が下がることになる。
本工程は通常塗膜面を加圧する公知の方法であれば特に制限はないが、塗布によって得られた層を、例えば、加圧可能な2枚の平板間に透明導電層を配置し、一定時間加圧する平板プレス法や、加圧可能な2本のロールの間に透明導電層を挟み込んで線加圧し、ロールを回転させることによって面全体を加圧するカレンダー法などが挙げられる。
ロールによるカレンダー法において、前記透明導電層を加圧する圧力は、500kN/m〜50000kN/m、好ましくは1000kN/m〜10000kN/m、より好ましくは2000kN/m〜5000kN/mである。
【0047】
本発明の透明導電性フィルムをタッチパネル用等の電極として使用する場合は、必要に応じてパターン化し、複数のパターン化された透明導電性フィルムを組み合わせて透明電極として使用する。本発明の透明導電性フィルムを作成後連続してパターン化する場合は、後述のパターン化した後に、固定化するための保護層を設けてもよいし、あるいは、透明導電性フィルムを作成後、後日パターン化を行う場合は、移送時や保存時の保護目的で、パターン化前に後述の保護層を設ける。
【0048】
(透明導電層のパターン化方法)
前記透明導電層をパターン化する場合は、公知のパターン化方法を選択することができる。例えば、
(A)スクリーン印刷等の各種印刷法等を用い、バインダー樹脂等を用いて帯状に延びる支持体フィルム上に繊維状透明導電性物質をパターン状に固定化し、その後に、非固定化領域を適切な溶媒で洗浄またはブラッシングするか、あるいは粘着性のあるローラーで除去することにより透明導電性パターンを形成する方法。
(B)帯状に延びる支持体フィルム上に繊維状透明導電性物質の透明導電層を形成したのちに、該透明導電層全面に光または熱により硬化可能なレジスト塗料を塗布し、パターンとして残したい部分にのみ光または熱を供給し硬化したのち、上記(A)と同様の方法を用いて不要部分を除いて透明導電性パターンを形成する方法。
(C)帯状に延びる支持体フィルム上に繊維状透明導電性物質の透明導電層を形成したのちに、別途準備したネガティブパターン化された接着領域を有する層を有するシートを、前記透明電極層に貼り付けたのち剥離し、基体上に透明導電層のパターンを形成する方法。
(D)帯状に延びる支持体フィルム上に繊維状透明導電性物質の透明導電層を形成したのちに、繊維状透明導電性物質除去剤を含有する液をパターン電極を形成する上で不要となる部分にパターン印刷した後、上記(A)と同様の方法を用いて不要部分を除いて透明導電性パターンを形成する方法。
等がある。本発明においては(B)又は(C)の方法が、高精細でパターン化された断線、短絡のない透明導電層パターンを、容易にかつ低コストで形成することができ好ましい。
【0049】
前記(B)の方法において使用する光または熱により硬化可能なレジスト塗料としては、通常、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ等の透明導電層をエッチングするために使用されているレジスト塗料を使用することができるが、露光によりパターンを形成させることができることから、フォトリソグラフィ用のレジスト塗料を使用することが好ましい。パターンを露光する際の露光条件も、前記レジスト塗料に適した露光条件で行うことが好ましい。また、現像に使用する現像液は、硝酸、過硫酸アンモニウム、及びその同等物、あるいは過マンガン酸カリウム等の酸化剤等を使用することができる。
【0050】
また、前記(C)の方法は、具体的に以下の工程1〜工程6で説明する。
工程1:帯状に延びる支持体フィルム上に繊維状導電性物質を含有する剥離可能な透明導電層を塗布により形成する。
工程2:別途基材上に、ネガティブパターン化された接着領域を有する層を形成する。
工程3:前記支持体フィルムと前記支持体とを、前記透明導電層と前記接着領域を有する層の該接着領域とが互いに密着するように貼り合わせる。
工程4:前記支持体を前記支持体フィルムから剥離し、前記接着領域を有する層の該接着領域と密着した部分の前記透明導電層を、接着領域を有する層の該接着領域上へと移行させることにより、前記支持体フィルム上に透明導電層のパターンを形成する。
工程5:前記透明導電層のパターンを形成した前記支持体フィルム全面に、保護層用塗料を塗布し、透明導電層を前記支持体フィルム上に固定化する。
なお本発明においてネガティブパターンとは、基体上に形成すべき透明導電層のパターン(ポジティブパターン)と、ネガとポジの逆になった同縮尺のパターンを表すものとする。
【0051】
工程1は前述の通りである。
工程2即ち別途基材上に、ネガティブパターン化された接着領域を有する層を形成する工程において、「別途基材上に形成されたネガティブパターン化された接着領域を有する層」は、即ち、前記支持体フィルム上に形成された透明導電層を部分的に剥離するための剥離材である。(以後「支持体上に予めネガティブパターン化された感熱接着剤層を有する剥離材」を単に「剥離材」と称する場合がある。)
剥離材としては、シート状の基材上に透明導電層を部分的に剥離するためのネガティブパターン化された接着領域を有する層が形成されているものならば広く使用することができる。このような剥離材の作製方法としては、支持体上に接着機能を有し、あるいは発現しうる機能性塗膜を一様に形成した後、光等で部分的にかつパターン化して接着機能を発現あるいは失活させて行うことができる。あるいは最初から接着剤を用いて支持体上にネガティブパターンを直接印刷して剥離材を作製してもよい。
【0052】
接着剤をネガティブパターン化して基材上に印刷するためには、ネガティブパターンに対応した印刷版の作製が必要となる。このため光硬化性組成物等の一様な機能性塗膜を、部分的な光照射等でその接着機能を部分的に発現あるいは失活させる方法を用いる方が、種々のパターンに容易に切り替え可能な点で好ましい。
このような剥離材の作製は、例えば基材上に接着性を有する光硬化性組成物を塗布して均一な塗膜を形成し、ネガティブパターン状にマスキングを行ったまま光照射し、ネガティブパターン以外の塗膜部分を硬化させ、該部分の接着性を失わせて、ネガティブパターン状の接着領域を作製することで行うことができる。
【0053】
剥離材の作製に使用できる接着性を有する光硬化性組成物としては、例えばアクリル酸アルキルエステル系やメタクリル酸アルキルエステル系などポリマー内に光重合性の不飽和結合を導入した重合性ポリマーに、たとえばテトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどの光重合性の多官能オリゴアーを添加し、光照射による硬化収縮や弾性率の低下を利用したものなどが使用できる。
このような剥離材を用いて実際の剥離工程を行う場合には、該基材の接着機能を有する層に予め光照射を行い、特定のパターンに接着性を発現あるいは接着性を失わせて、透明導電層の部分的剥離を行うことができる。あるいは光未照射の剥離材を透明導電層に貼り合わせて後、マスキングを介して貼り合わせ面に光照射を行い、部分的に接着性を発現あるいは接着性を失わせて、透明導電層の部分的剥離を行うこともできる。
【0054】
単一パターンの剥離材を多量に作製する場合には、光照射のような均一塗膜に部分的な接着領域を作製するプロセスが不要な、基材上への直接印刷を用いる方が製造効率の点で好ましい。特に接着剤として感熱接着剤を用いると、常温では接着性の無い通常の印刷塗膜でありながら、剥離工程中に加えられる加熱手順によって一時的に接着機能が発現され、温度低下後は速やかに接着機能が失われるため、剥離工程前後の剥離材の取り扱い性が良好である。
剥離材として基材上にネガティブパターン化された感熱接着剤層を直接印刷する方法を用いる時は、本発明で使用する剥離材は、基材上に、ネガティブパターン化された感熱接着剤層を有している。剥離材は、基材上に感熱接着剤と溶剤を含有する感熱接着剤層用塗料を、所望の導電性パターンに対して、反対のネガティブパターンを形成して塗布することにより形成することができる。
【0055】
感熱接着剤は、常温では粘着性を全く示さないが、加熱する事により粘着性が発現する。基材上に形成する感熱接着剤層の感熱接着剤としては、前記支持体フィルム上に形成された透明導電層と、基材の双方に対して親和性があり、両者を強力に接着できる感熱接着剤であれば、特に限定されることなく公知の種々の感熱接着剤を用いることができる。粘着性の発現する温度としては、前記支持体フィルムが熱可塑性プラスチックである場合は該熱可塑性プラスチックのガラス転移温度を大きく上回らない温度で粘着性を発現することが好ましい。またその温度に加温されたときに透明導電層の金属ナノワイヤーの間隙に浸透し良好に密着することが好ましい。さらに加熱の後には、常温程度で支持体を剥離する際に、金属ナノワイヤーと支持体の両方に強い接着力を示すことが好ましい。
【0056】
そのような感熱接着剤としては、例えば、ポリウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、塩酢ビ(塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体)系接着剤、アクリル系接着剤等を挙げることができる。中でも常温以上のガラス転移温度Tgを持ち、カルボン酸基、スルホン酸基などの酸基を有し、非晶性ポリエステル樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂を主剤とする感熱接着剤が好ましく、ガラス転移温度としては20〜100℃の範囲が好ましい。また、感熱温度を操作する目的で、上記主剤と相溶性を有し、ガラス転移温度Tgが異なる樹脂を適量配合してもよい。
【0057】
感熱接着剤には、必要に応じて、ブロッキング防止剤として、ポリオレフィン系樹脂粒子を添加することができる。なかでも、ポリエチレン樹脂粒子またはポリプロピレン樹脂粒子の添加が好ましく、より具体的には、高密度ポリエチレン樹脂粒子、低密度ポリエチレン樹脂粒子、変性型ポリエチレン樹脂粒子、分解型低密度ポリエチレン樹脂粒子、分解型ポリプロピレン樹脂粒子の添加が好ましい。また、これらポリエチレン樹脂粒子、分解型ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子および分解型ポリプロピレン樹脂粒子の重量平均粒子径は0.1〜25μmであるが、粒子が扁平状、リン片状の場合は長軸長が3〜25μmの範囲が好ましく、分子量は1,000〜29,000の範囲、融点は100〜150℃の範囲にあることがそれぞれ好ましい。
【0058】
感熱接着剤層用塗料に用いる溶剤は、感熱接着剤に使用するバインダー樹脂を良好に溶解または分散すれば、特に限定なくいずれの非腐食性溶媒も使用可能である。より適切な溶媒の例としては、水、アルコール類、ケトン類の他、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物類、シクロヘキサン等の炭化水素、またはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤が挙げられる。さらに溶媒は、揮発性であり、200℃以下の沸点を有することが好ましく、150℃下がより好ましく、100℃ 以下の沸点を有することがさらに好ましい。
【0059】
前記剥離材に使用する基材としては、主に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂などのプラスチックからなるシートを用いることができる。なかでも透明導電層と感熱接着剤層とを互いに密着させ加熱貼り合わせる工程において、熱変形を起こさないものが好ましい。
【0060】
前記基材は本発明の目的を妨げない程度に着色していても良く、さらに単層で使うこともできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして使っても良い。このうち透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、価格の点からポリエチレンテレフタレートフィルムが最も適している。
前記基材の厚みは、薄いと耐熱性が乏しく、厚いと熱容量が大きくなり感熱接着剤の加熱による粘着性の発現に長い加熱時間が必要となるため、5μm〜100μmが好ましい。さらに好ましくは、10μm〜50μmであり、15μm〜30μmの膜厚であることがさらに好ましい。
【0061】
前記基材上の感熱接着剤層は、得ようとする所望の透明導電性パターンを反転した、いわゆるネガティブパターン状に形成する。
接着剤のネガティブパターン形成方法としては、公知の印刷方法が使用でき、加熱により粘着性を発現した感熱接着剤層が、次工程において基材上の透明導電層に良好に接着するための十分な感熱接着剤の厚みを形成できれば、特に制限はなく公知の方法を使用できる。例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、グラビアオフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法等が使用できる。また、感熱接着剤層の厚みは、0.05μm〜5.0μmが好ましく、0.1μm〜2.0μmがより好ましく、0.2μm〜1.0μmがさらに好ましい。
【0062】
このような前記剥離材を用いると、パターン化のための光照射処理や、要剥離部分の湿式処理による除去等の処理が不要となる。前記剥離材はロール状の基材に感熱接着剤層用塗料の塗布又は印刷によって連続的に形成することが可能であり、これをそのまま次工程である剥離工程に用いることができる。
【0063】
(透明導電層のパターン化工程)
透明導電層のパターン化工程は、工程3即ち前記支持体フィルムと前記基材とを、前記透明導電層と前記感熱接着剤層とが互いに密着するように貼り合わせる工程と、工程4即ち前記基材を前記支持体フィルム上から剥離し、前記感熱接着剤層と密着した部分の前記透明導電層を、感熱接着剤層上へと移行させることにより、基体上に所望の透明導電層を残してパターンを形成する工程とからなる。
貼り合わせを行う工程においては、前記透明導電層を設けた前記支持体フィルムと、前記剥離材とを、前記透明導電層と前記感熱接着剤層とが互いに密着するように貼り合わせ加熱及び加圧する。特に透明導電層がバインダー樹脂を含まず、あるいは含んでいても含有量が少ないときは、感熱接着剤層の加熱、加圧により、感熱接着剤は軟化し透明導電層の金属ナノワイヤーの間隙、あるいは繊維状繊維状透明導電性物質の網目内に浸透して、感熱接着剤と透明導電層内の繊維状導電性物質が接着する。
その後、貼り合わせ部分の感熱接着剤層を常温程度に冷却後、前記剥離材を前記支持体フィルムから剥離し、前記感熱接着剤層と接着した部分の透明導電層を、前記剥離材のネガティブパターン化された感熱接着剤層上へと剥離、転写させることにより、基体上に透明導電層のポジティブパターンが残り、基体上に所望の透明導電層のパターンが完成する。
【0064】
本発明の製造方法における貼り合わせ方法としては、貼り合わせ時における加熱、加圧により基体の熱変形を発生することのない方法であれば、特に限定されることはない。例えば、加熱、加圧可能な2枚の平板間に、前記透明導電層を有する前記支持体フィルムと前記剥離材における基材上の感熱接着剤層とを配置して、一定時間加熱加圧する平板ラミネート法や、どちらか一方、または両方が加熱可能な2本のロール対のニップ間に、前記透明導電層を有する前記支持体フィルムと前記剥離材を搬送し挟み込んで、加熱、線加圧し、ロールを回転させることによって面全体を加圧するロールラミネート法などが挙げられる。
【0065】
本発明においては、支持体フィルムとして長尺状の支持体フィルムを使用するために、後者のロールラミネート法が好ましい。ロールラミネート法は、ロールツーロールでの連続処理が可能であり、優れた生産効率を有する。ロールラミネート方式のロールは、前述の通り、どちらか一方または両方が加熱可能なロールであればよい。またロールの材質は、使用する支持体フィルムあるいは基材が熱変形を生じずに、透明導電層と感熱接着材層が良好に熱接着することができれば特に限定されることはない。具体的には、金属ロールが主体の剛体ロールと、耐熱ゴム製が主体の弾性ロールの組み合わせが好ましく、金属/金属、金属/弾性、弾性/弾性の全ての組み合わせが使用可能である。中でも、ロール対のニップ間で感熱接着剤の粘着性を発現させるため、ニップ巾が広く、加熱時間が長くできる弾性/弾性、弾性/金属のロール対が好ましい。
【0066】
また、貼り合わせ時の処理条件としては、前記支持体フィルムが熱可塑性プラスチックの場合は前記支持体フィルムの熱変形を発生させずに感熱接着剤の透明導電層に対する粘着性を発現させる温度、圧力条件を適宜選択すればよい。例えば、処理温度は70℃〜150℃が好ましく、80℃〜130℃がより好ましく、90℃〜120℃がさらに好ましい。圧力はロール線圧で、10kN/m〜60kN/mの範囲で良好な転写状態が得られる最小線圧を選択すればよい。また、必要に応じて、貼り合わせ前に感熱接着剤層部分を予備加熱してもよい。
【0067】
前記剥離材を前記支持体フィルムから剥離する工程においては、貼り合わせ後常温程度まで冷却し、前記剥離材を前記支持体フィルムから剥離する。前記剥離材の基材上に形成された感熱接着剤層のネガティブパターンに対応し、剥離工程で感熱接着剤層と接着された透明導電層は、感熱接着剤層と共に前記支持体フィルムから剥離され、感熱接着剤の形成された部分に対応していない透明導電層は基体上に透明導電層のポジティブパターンとして残り、透明導電層のパターンが前記支持体フィルム上に完成する。なお剥離前に冷却用の空気を吹き付ける等の冷却手段を講じることは、剥離を良好に行い未剥離部分の発生等のパターン化欠陥を防ぐ目的で有効である。
【0068】
本発明のパターン化された透明導電層の形成方法においては、剥離材に感熱接着剤でネガティブパターンを形成し、透明導電層から不要部分を剥離する。剥離材による透明導電層のパターン化は、剥離材の基材上に塗布された感熱接着剤の有無だけで決定され、透明導電層の未剥離部分に対応する剥離材の部分には感熱接着剤は塗布されていない。このため透明導電層を確実に支持体フィルム上に残すことができ、また透明導電層上に不要な感熱接着剤が残って透明導電層の光透過率を低下させる恐れがない。
【0069】
前記ネガティブパターンを用いて剥離により透明導電層の剥離を行う方法は、残った透明導電層はそれが形成されたときと同様に、少ない樹脂分が前記支持体フィルムに近い側に集中し、繊維状導電性物質と前記支持体フィルムとを固定し前記支持体フィルムから離れた側は繊維状導電性物質が樹脂から露出した状態にある。このため、後述の保護層用塗料が透明導電層中に良好に浸漬し、透明導電層中の繊維状導電性物質を前記支持体フィルムに良好に固定させることができる。保護層用塗料の塗布前は、基本的に透明導電層表面は繊維状導電性物質が露出して、表面固有抵抗が低く導電性が良好な状態となっているので、この上から保護層用塗料を透明導電層に浸漬させて、使用目的に合致した表面固有抵抗とすることができる。
さらに保護層用塗料を塗布して透明導電層を固定化する前にパターンを形成することにより、透明導電層の感熱接着剤と接した部分から、該接着剤が透明導電層内の繊維状導電性物質内に浸漬しやすく、透明導電層を前記支持体フィルムから良好に剥離することができる。
【0070】
(保護層)
本発明の透明導電性フィルムは、前述の通り、前記透明導電層を保護する目的で保護層を設けることが好ましい。保護層は、前述の方法で透明電極層をパターン化した場合は、所望のパターンを形成した後に、前記支持体フィルム上及び前記支持体フィルム上に形成された透明導電層の全面に保護層用塗料の塗布を行うことにより得られる。
また、パターン化が後日となる場合には、移送時や保存時の保護を目的で、パターン前に保護層を設ける。
保護層用塗料は塗布後、溶媒成分を乾燥させ、必要に応じ含有される樹脂成分を硬化し保護層を形成することによって行われる。本工程によって透明導電層の表面が被覆され保護されるとともに、保護層用塗料は透明導電層中の前記繊維状導電性物質の間隙を充填しつつ支持体フィルムに到達し、硬化したときに透明導電層全体を支持体フィルム上に強固に固定化し、透明導電層付き支持体フィルムを形成する。
【0071】
前記保護層用塗料は、重合、架橋プロセスを経て硬化形成しうるものに限定されないが、塗膜の耐久性、耐擦過性の観点から、可視光線または紫外線、電子線、加熱等による単量体の重合、あるいは架橋剤による高分子化合物の架橋を経て固定化されたものであることが好ましい。具体的には、バインダー樹脂と反応性モノマーあるいは反応性オリゴマーとを含む塗料、あるいは、反応性モノマーあるいは反応性オリゴマーからなる塗料等が挙げられる。
【0072】
バインダー樹脂として固体高分子マトリクスの形成に用いる有機ポリマーは、炭素骨格に結合した極性官能基を有するものが好ましい。極性官能基としては、カルボキシル基、エステル基、ケトン基、ニトリル基、アミノ基、燐酸基、スルホニル基、スルホン酸基、ポリアルキレングリコール基、およびアルコール性水酸基などが例示される。バインダーとして有用なポリマーの例には、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリウレタン、アクリルウレタン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、およびセルロースなどがある。また、無機ポリマーの例には、テトラアルコキシシランの加水分解・縮合により生成するシロキサン系ポリマーがある。
【0073】
重合によって有機ポリマーからなる固体高分子マトリクスを形成する場合、単量体である重合性の有機モノマーもしくはオリゴマーの例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、グリシジルアクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリエステルアクリレートなどで代表されるアクリレートおよびメタクリレート型のモノマーおよびオリゴマー;モノ(2−メタクロイルオキシエチル) アシッドホスフェート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ビニルトルエンなどの他のビニルモノマー;ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどのエポキシド化合物、などがある。
【0074】
重合によって無機ポリマーからなる固体高分子マトリクスを形成する場合、単量体である重合性の無機モノマーの例は、Si、Ti、Zr、Al、Sn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Pb、Ag、In、Sb、Pt、Auなどの金属の鉱酸塩、有機酸塩、アルコキシド、および錯体(キレート)である。これらは加水分解または熱分解を経て重合し、最終的に無機物(金属酸化物、水酸化物、炭化物、金属など)になるので、本発明では無機モノマーとして扱う。これらの無機モノマーは、その部分加水分解物の状態で使用することもできる。次に各金属化合物の具体例を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0075】
上記のポリマー系バインダー(有機ポリマー、無機ポリマー)樹脂、またはポリマー系バインダーを形成する有機または無機のモノマーまたはオリゴマーの1種または2種以上を必要により有機溶媒で溶解または希釈して、粘度が25cps以下、好ましくは10cps以下の液体を調製し、第1工程で形成された塗膜の含浸に使用する。この液体の粘度が25cpsより高いと、塗膜含浸時に、支持体フィルムに達するように塗膜内部に十分に液体が浸透せず、目的とする密着性および膜強度の向上効果を得ることができない。また、液体が高粘度であると、過剰の液体が第1工程で形成された透明導電層の上に堆積して、導電性微粉末を含有しない絶縁性の層を形成するので、導電性が著しく低下する。
溶解または希釈に用いる有機溶媒は特に制限されず、上記バインダーまたはバインダーを形成するモノマーを溶解可能であれば、液状有機化合物、および水も溶媒として使用可能である。
この含浸用液体としても用いられる保護層用塗料には、必要により、硬化触媒(熱硬化の場合) 、光重合開始剤(紫外線硬化の場合)、架橋剤、加水分解触媒(例、酸)、重合開始剤、安定剤(例えば、酸化防止剤および製品寿命長期化のための紫外線安定剤、および保存期間改善のための重合防止剤)界面活性剤、pH調整剤などを添加することができる。さらに金属ナノワイヤーの腐食を防止する腐食防止剤をさらに含んでもよい。
適切な溶媒の例として、水、アルコール類、ケトン類、環状エーテル化合物類(テトラヒドロフラン等)、炭化水素( 例えば、シクロヘキサン) 、または芳香族系溶剤( ベンゼン、トルエン、キシレン等) が挙げられる。さらに好ましくは、溶媒は、揮発性であり、200℃ 以下、150℃ 以下、または100℃ 以下の沸点を有する。
【0076】
保護層を形成する方法としては公知のウェットコート方法であれば特に制限はない。具体的には、スプレーコート、バーコート、ロールコート、ダイコート、インクジェットコート、スクリーンコート、ディップコートなどが挙げられる。
【0077】
保護層用塗料によって透明導電層を含浸しつつ保護層を形成するとき、塗布、乾燥後の保護層の膜厚は、保護層用塗料塗布前の透明導電層に対して薄すぎると耐擦過性、耐摩耗性、耐候性等の保護層としての機能が低下し、厚すぎると導体としての接触抵抗が増加する。
保護層用塗料の塗布は透明導電層の膜厚が50〜150nmの範囲で形成されているときは、塗布、乾燥後の膜厚が30〜150nmであることが好ましく、透明導電層の膜厚を考慮して表面抵抗率、ヘイズ等が所定の値を実現出来るよう調整することができる。40〜175nmがより好ましく、50〜150nmが最も好ましい。保護層用塗料の乾燥後の膜厚は、透明導電層の膜厚にもよるが、30nm以上の膜厚であると金属ナノワイヤーが保護層表面に露出し過ぎず保護層による保護機能がより良好に働く傾向にあり、150nm以下の膜厚であると透明繊維状透明導電性物質の表面に厚すぎる被膜が形成されずより良好な導電性能が確保できる傾向にある。
前記保護層は、前記パターン化した後に設けてもよいし、パターン前に設けてもよい。固定化するための保護層を設けてもよいし、あるいは、透明導電性フィルムを作成後、後日パターン化を行う場合は、移送時や保存時の保護目的で、パターン化前に後述の保護層を設ける。
【0078】
(静電容量式タッチパネル用の透明導電性フィルム)
本発明の透明導電性フィルムは、前記パターン化方法で、前記透明導電層を所望の形状のX軸電極形状、あるいはY軸電極形状にパターン化することで、X軸電極、Y軸電極を作成することができる。
前記X軸電極あるいはY軸電極が作成された支持体フィルムを、前記X軸電極と前記Y軸電極とが、僅かな隙間を保持して互いに重なり合わない様に配置して積層することで、静電容量式タッチパネル用の透明導電性フィルムを得ることができる。例えば、X軸電極は、菱形状の透明電極領域が狭いチャンネルによって複数、直線上(例えばX方向)に、菱形状電極の角同士を連結して形成し、さらにこれらの列の複数が菱形状の透明電極の、菱形の残りの角を近接させて、等間隔で配列して形成する。一方Y軸電極は、同様の構造で前記X方向と直角方向となるように形成する。これらを重ねあわせるには、前記X軸電極の非形成部分に重なりあって、結果的にX方向の菱形状透明電極部が、Y方向の菱形状透明電極部と僅かな隙間を保持して互いに重なり合わない様に配置する。
【0079】
前記X軸電極が形成された支持体フィルムと前記Y軸電極が形成された支持体フィルムは、積層する際に粘着剤や接着剤、固定テープ等によって固定化することが好ましい。粘着層としては光学用の接着剤あるいは粘着剤として公知のものであれば、特に限定はなく使用することができる。中でも充分な透明性を有し、かつ良好な接着力を有しているものが好ましい。
粘着層は、前記パターン化した導電層の上に積層される。例えば、視認側(指が接触する側)から順に、少なくともフロントカバー、Y軸電極、透明基体、X軸電極、基板がこの順に積層された構造を有するタッチパネルの場合は、前記粘着層はフロントカバーとY軸電極、透明基体とX軸電極の間に設けられる。
【0080】
前記タッチパネル用の透明導電フィルムは、表示パネルと画像表示モジュールとの間に設けてタッチパネル装置として使用する。タッチパネル装置に使用する画像表示モジュールは、特に制限されず、小型電子端末に通常使用されるLCDモジュールや、有機ELモジュールなどが使用できる。
【実施例】
【0081】
以下に、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでない。
【0082】
(銀ナノワイヤーの合成)
銀ナノワイヤーは、Y.Sun、B.Gates、B.Mayers、& Y.Xia,“Crystalline silver nanowires by soft solution processing” 、Nano letters 、 (2002) 、2(2) 165〜168に記載されるポリオールを用いた方法の後、ポリビニルピロリドン(PVP)の存在下で、エチレングリコールに硫酸銀を溶解し、これを還元することによって合成されたナノワイヤーである。すなわち本発明においてはCambrios Technologies Corporation 米国仮出願第60/815,627号に記載される修正されたポリオール方法によって、合成されたナノワイヤーを用いた。
【0083】
(透明導電層の作製)
透明導電層を形成する金属ナノワイヤーとして、上記方法で合成された短軸径約70nm〜80nm、アスペクト比100以上の銀ナノワイヤーを水性媒体中に0.1%w/v含有する水分散体(Cambrios Technologies Corporation社製 ClearOhmTM, Ink−A AQ)を、2本リバースロール塗工機を使用し帯状に延びる支持体フィルム上にウエット厚み20μmに塗布した。帯状に延びる支持体フィルムとしては、厚み125μmの高透明PETフィルム(帝人デュポンフィルム社製HF1C22−125)を使用した。
塗布後、加熱乾燥させるまでの放置時間は90秒〜150秒の間とし、実際の時間は表に記載した。
放置後、100℃のオーブンで加熱乾燥を行い、帯状に延びる支持体フィルム上に繊維状導電性物質を含有する導電層を有する透明導電性フィルムを得た。
【0084】
(ネガティブパターン化された感熱接着剤層を有する支持体からなる剥離用基材の作製)
CRISVON NT−810−45(DIC社製ポリウレタン樹脂、45%溶液)100重量部をメチルエチルケトン 62.5重量部、トルエン 62.5重量部に溶解させ感熱接着剤とした。このポリウレタン樹脂の代表的物性値は、粘弾性測定(昇温速度3℃/分)で得られるtanδのピーク値から得られるガラス転移温度が42℃、引っ張り速度300mm/分で得られる引張破断強度が277×10E5Pa、引張破断伸度が665%、高圧式フローテスター(ダイス:1φ×1L、加圧:98N)の測定で得られる流動開始温度が90℃である。上記の感熱接着剤用液を厚み23μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム社製テイジンテトロンフィルムG2)を基材として、その上にネガティブパターン印刷を行った。
ネガティブパターン印刷は、後述のパターンのネガティブパターンをグラビア印刷法にて印刷した。印刷塗膜を乾燥後、感熱接着剤層の厚みが0.5μm〜1.0μmとなるように塗布を行い、感熱接着剤がネガティブパターン印刷された剥離用基材を得た。
【0085】
(パターン)
パターンは以下の2種を使用した。
(1)細線パターン
細線パターンは、図1、図2、図4、及び図5に従い、図1の透明電極パターン「パターン(YS1)」、図2の透明電極パターン「パターン(XS1)」、図4の透明電極パターン「パターン(YS2)」、図5の透明電極パターン「パターン(XS2)」を作成した。細線パターンは、細線幅5mm、細線長50mmであり、間隔は5mmである。
【0086】
(2)ダイヤモンドパターン
ダイヤモンドパターンは、一辺の長さが3mmで内角が90度であるダイヤモンド形状の静電エレメントのパターンと線幅600μmの細線パターンとが交互に連続した直線状のパターン(Yパターン)、一辺の長さが3mmで内角が90度であるダイヤモンド形状の静電エレメントのパターンと線幅400μmの細線パターンとが交互に連続した直線状のパターン(Xパターン)とを複数形成した。
また図7、図8、図10、図11において、Aは支持体フィルムの長手方向を表し、Bは支持体フィルムの短手方向を表す。すなわち図7の透明電極パターンは、支持体の長手方向に平行となるダイヤモンドパターンのY軸電極を設けた図であり、図8の透明電極パターンは、支持体の短手方向に平行となるダイヤモンドパターンのX軸電極を設けた図であり、図10の透明電極パターンは、支持体の長手方向に平行となるダイヤモンドパターンのY軸電極を設けた図であり、図11の透明電極パターンは、支持体の長手方向に平行となるダイヤモンドパターンのX軸電極を設けた図である。
ここで、図7の透明電極パターンを「パターン(YD1)」と称し、図8の透明電極パターンを「パターン(XD1)」と称し、図9の電極を(D1)と称し、図10の透明電極パターンを「パターン(YD2)」と称し、図11の透明電極パターンを「パターン(XD2)」と称し、図12の電極を(D2)と称する。
【0087】
(透明導電層のパターン化工程)
前記ロール状の塗布物として作成した透明導電層の形成された基体と、ネガティブパターン化された感熱接着剤層を有する剥離用基材とを走行させつつ、透明導電層と感熱接着剤層が互いに向き合うように重ね、金属製加熱ロールと、耐熱シリコンロールによる加熱、加圧ニップを持つラミネーターを使用して、加熱ロール温度115℃、ロールニップ圧(線圧)30kN/m、速度3m/分の条件で連続的に貼り合わせを行った。貼り合わせた材料を走行させながら、貼り合わせ部分の温度が室温程度まで下がった時点で、基体から支持体を連続的に剥離し、基体上に透明導電層(2)が所望のパターン状に残ったパターン化された導電層を有する透明導電性フィルムを得た。
【0088】
(保護層用塗料の塗布による保護層の形成(透明導電層の固定))
保護層用塗料として、紫外線硬化樹脂(Cambrios Technologies Corporation社製、不揮発分40%)100部を、ソルミックスAP−1(日本アルコール販売社製)1950部、イソプロピルアルコール975部、ダイアセトンアルコール975部の混合溶剤によく溶解させ保護層用塗料とした。
この保護層用塗料を、前記パターン化された導電層を有する透明導電性フィルムの全面に、2本リバースロール塗工機を使用し、該保護層用塗料で透明導電層中の網目状ナノワイヤーの間隙を充填しつつ、ウエット厚み10μmに塗布、乾燥し、その後紫外線を照射して乾燥厚み約0.1μmの保護層塗膜を形成した。
【0089】
(透明電極の形成方法)
透明電極は、前記得られた透明電極パターンを貼りあわせ、透明電極とした。
具体的には、図1に示す支持体フィルムの長手方向と細線パターン方向とが平行となるように配置したパターン(YS1)と、図2に示す支持体フィルムの短手方向と細線パターン方向とが平行になるように配置したパターン(XS1)とを、互いの細線パターンの方向が垂直に交わるように貼りあわせた透明電極を、図3に示す電極(S1)とし、図4に示す支持体フィルムの長手方向と細線パターン方向とが平行となるように配置したパターン(YS2)と、図5に示す支持体フィルムの長手方向と細線パターン方向とが平行になるように配置したパターン(XS2)とを、互いの細線パターンの方向が垂直に交わるように貼りあわせた透明電極を、図6に示す電極(S2)とし、図7に示す支持体フィルムの長手方向とダイヤモンドパターン方向とが平行となるように配置したパターン(YD1)と、図8に示す支持体フィルムの短手方向とダイヤモンドパターン方向とが平行になるように配置したパターン(XD1)とを、互いのダイヤモンドパターンの方向が垂直に交わるように貼りあわせた透明電極を、図9に示す電極(D1)とし、図10に示す支持体フィルムの長手方向とダイヤモンドパターン方向とが平行となるように配置したパターン(YD2)と、図11に示す支持体フィルムの長手方向とダイヤモンドパターン方向とが平行になるように配置したパターン(XD2)とを、互いのダイヤモンドパターンの方向が垂直に交わるように貼りあわせた透明電極を、図12に示す電極(D2)とした。
貼りあわせ方法としては、前記導電層を同一方向(例えば上向き)に向けて、粘着シート(DIC社製の光学粘着シート、ZB7032W、厚み50μm)を介して重ね合わせ、圧着させて貼りあわせた。
【0090】
なお、支持体フィルムの長手方向と細線あるいはダイヤモンドパターン方向とが平行となるように配置したパターンを「MD」と称し、支持体フィルムの短手方向と細線あるいはダイヤモンドパターン方向とが平行となるように配置したパターンを「TD」と称した。
すなわち、前記パターンのうち、「MD」は、パターン(YS1)、パターン(YS2)、パターン(XS2)パターン(YD1)、パターン(YD2)、パターン(XD2)であり、「TD」はパターン(XS1)、パターン(XD1)である。したがって電極(S1)、電極(D1)は、パターン「MD」と「TD」の組み合わせであり、これを「MD/TD」配列と表記する。一方電極(S2)、電極(D2)は、「MD/MD」配列である。
【0091】
(参考例、比較参考例 透明導電性フィルムの製造方法)
透明導電層を塗布後、加熱乾燥させるまでの放置時間を40〜150秒の範囲で振り、前記方法に従い透明導電性フィルムを作成した。得られた透明導電性フィルムの表面抵抗率、及び光学特定を評価した。
【0092】
〔表面抵抗率の評価方法〕
透明導電性フィルムを、5cm四方に切り出し測定用サンプルを作成した。任意の箇所5箇所を選定し、4探針法抵抗率計(三菱アナリテック社製「ロレスタ−EP」)を用いて、4探針プローブを押し当て表面抵抗率を測定し、5箇所の平均を表面抵抗率とした。
【0093】
〔光学特性(全光線透過率、ヘーズ)の評価方法〕
透明導電性フィルムを、10cm四方に切り出し測定用サンプルを作成した。
任意の箇所5箇所を選定し、測定値の平均をとった。測定は積分球式全光線透過率測定機(日本電色工業社製NDH−2000)を用いて、全光線透過率(Tt){JIS K−7361に準拠、NDH−2000測定方法1}とヘーズ(曇り度)(Hz){JIS K−7136に準拠、NDH−2000測定方法3}を測定した。
【0094】
評価結果を表1に示す。
【0095】
【表1】

【0096】
(実施例 透明電極パターン、及びタッチパネル用電極の製造方法)
前記参考例で得た透明導電性フィルム(1)〜(3)を使用し、前記パターン化方法に従い、パターン(YS1)、パターン(XS1)、及びそれを貼りあわせた電極(S1)、パターン(YS2)、パターン(XS2)、及びそれを貼りあわせた電極(S2)、パターン(YD1)、パターン(XD1)、及びそれを貼りあわせた電極(D1)、パターン(YD2)、パターン(XD2)、及びそれを貼りあわせた電極(D2)をそれぞれ作成した。
得られたパターン、及び透明電極について、電気的特性、及び光学的特性について評価した。
【0097】
(電気的特性の評価方法)
実施例で得られた各々のパターンについて、図14に示す方法でテスター13を繋いで、電気抵抗を測定した。1つの透明電極パターン上にある複数の透明電極1はすべて測定を行い、その平均値を「電気抵抗値」とした。
得られた、X軸電極の電気抵抗値(R)をY軸電極の電気抵抗値(R)で除した値を、電気的特性とした。すなわち以下の式となる。
【0098】
【数4】

【0099】
(光学的特性の評価方法)
光学的特性は、透明導電性フィルムを、図13に示す方法で測定した。
黒台紙10を下に敷いた透明電極サンプル6に、45度以上の入射角となるようにLED光源8「シグマ光機社製ツインアームLED照明(STA−1)」から、LED光7を照射した。輝度(cd/m2)は、測定位置の正面から輝度測定装置9「多点輝度計EyeWin390c(アイ・システム社製)」を使用して測定した。
LED光7を、図13中7−1(支持体フィルムの長手方向Aに対して垂直となる)の方向から、図13中12で表される破線内の範囲の中に入射させることで得た輝度を測定し、破線12の範囲内のX軸電極とY軸電極が重なっている部分を除く電極部分の任意の3点の平均輝度を測定し、その平均をLXとした。また、図13中7−2(支持体フィルムの短手方向Bに対して垂直となる)方向から、図13中11で表される二重線内の範囲の中に入射させることで得た輝度を測定し、二重線11の範囲内のX軸電極とY軸電極が重なっている部分を除く電極部分の任意の3点の平均輝度を測定し、その平均をLYとした。また、LED光の入射方向(図13中7−1、7−2)は、支持体フィルムの長手方向、あるいは短手方向に対してとした。
光学的特性は、得られたLをLで除した値を、光学的特性とした。すなわち以下の式となる。
【0100】
【数5】


【0101】
(比較例 透明電極パターン、及びタッチパネル用電極の製造方法))
実施例1と同様にして、前記比較参考例で得た透明導電性フィルム(H1)〜(H3)を評価した。
【0102】
結果を表2、表3に示す。なお表2は、細線パターンの電極S1及びS2の評価結果であり、表3は、ダイヤモンドパターンの電極D1、D2の評価結果である。
【0103】
【表2】


※1 参考例で得た透明導電性フィルムのサンプル名である。


【0104】
【表3】


※1 参考例で得た透明導電性フィルムのサンプル名である。
【0105】
この結果、実施例1〜6の細線パターンからなる透明電極、実施例7〜12にダイヤモンドパターンからなる透明電極、いずれも、電気的特性が1.5以下であり、光学的特性が1.3以下であった。
【0106】
(実施例 タッチパネル用電極)
実施例7〜12で得た透明電極を使用して、タッチパネルとしたときの視認性を評価した。フロントカバーとして、コーニング社製の光学ガラスと、実施例7〜12で得られた透明電極とを、粘着シート(DIC社製の光学粘着シート、ZB7032W、厚み50μm)を介して重ね合わせた。フロントカバー側から、透明電極のダイヤモンドパターンが視認できるか目視で確認したところ、いずれも、ダイヤモンドパターンは視認されなかった。したがって、実施例7〜12で得た透明電極は、いずれも、タッチパネル用の透明電極として有用であることがわかる。
【0107】
(比較例 タッチパネル用電極)
比較例7〜12で得た透明電極を使用した以外は実施例13と同様にして、タッチパネルとしたときの視認性を評価した。その結果、比較例7〜12で得た透明電極は、フロントカバー側から、透明電極のダイヤモンドパターンが視認されてしまった。従って、光学的特性が1.3を超える透明電極は、視認性に劣ることがわかる。
【符号の説明】
【0108】
A:支持体フィルムの長手方向
B:支持体フィルムの短手方向
1:透明導電層をパターン化した透明電極(細線幅5mm、細線長50mmの細線パターン)
2:パターン化において除去または電気的に絶縁された非導電部位(パターン化において完全に導電層が除去された場合は、該部位は支持体フィルムがむき出しとなっており、パターン化において完全に導電層が除去されていない場合は、前記繊維状導電性物質が残存しているが電気的には絶縁状態である)
3:導電層(一辺の長さが3mmで内角が90度であるダイヤモンド形状の静電エレメントのパターンと線幅600μmの細線パターンとが交互に連続した直線状のパターン(Yパターン))
4:導電層が除去された部位
5:導電層(一辺の長さが3mmで内角が90度であるダイヤモンド形状の静電エレメントのパターンと線幅400μmの細線パターンとが交互に連続した直線状のパターン(Xパターン))
6:電極(S1)、(S2)、(D1)、(D2)のいずれか
7:入射光(LED光)
8:光源
9:輝度計
10:黒台紙
11:LY任意の箇所
12:LX任意の箇所
13:テスター部
14:抵抗測定装置
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】透明電極パターン(YS1)
【図2】透明電極パターン(SX1)
【図3】電極サンプル(S1)
【図4】透明電極パターン(YS2)
【図5】透明電極パターン(SX2)
【図6】電極サンプル(S2)
【図7】透明電極パターン(YD1)
【図8】透明電極パターン(SD1)
【図9】電極サンプル(D1)
【図10】透明電極パターン(YD2)
【図11】透明電極パターン(SD2)
【図12】電極サンプル(D2)
【図13】光学的特性の測定方法の斜視図と、平面図である。
【図14】電気的特性の測定方法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状に延びる支持体フィルム上に繊維状導電性物質を含有する透明導電層を有する透明導電性フィルムであって、
前記透明導電層中の前記繊維状導電性物質がランダムに配向しており、前記帯状に延びる支持体フィルムの長手方向に対して垂直に入射させた光による輝度LXを、前記帯状に延びる支持体フィルムの短手方向に対して垂直に入射させた光による輝度LYで除した値が1.3以下であることを特徴とする透明導電フィルム。
【請求項2】
前記繊維状導電性物質は銀ナノワイヤーである請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の透明導電フィルムをパターン化したX軸電極とY軸電極とを組み合わせることを特徴とする静電容量式タッチパネルの透明電極。
【請求項4】
前記透明電極で使用するパターン化したX軸電極の電気抵抗値をY軸電極の電気抵抗値で除した値が1.5以下である請求項3に記載の透明電極。
【請求項5】
帯状に延びる支持体フィルム上にバインダー樹脂及び繊維状導電性物質を含有する塗布液を連続塗布して塗膜を形成する工程(1)と、前記塗膜を加熱乾燥させる工程(2)とを有する透明導電性フィルムの製造方法であって、
前記工程(1)と前記工程(2)との間に、常温における放置時間を設けることを特徴とする透明導電フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記常温における放置時間が80〜200秒の範囲である請求項5に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項7】
請求項3または4に記載の静電容量式タッチパネルの透明電極を使用することを特徴とするタッチパネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−151095(P2012−151095A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−268938(P2011−268938)
【出願日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】