説明

透明導電性フィルムおよびその製造方法

【課題】可撓性透明基材上に結晶性の透明導電体層を有する透明導電性フィルムにおいて、透明導電体層がパターン化された場合であっても、タッチパネル等に組み込んだ際に、パターン開口部とパターン形成部との境界が視認されることによる見栄えの低下を抑制する。
【解決手段】可撓性透明基材の一方の面に結晶性導電性金属酸化物からなる透明導電体層が形成された透明導電性フィルムであって、可撓性透明基材の厚みは80μm以下である。本発明の透明導電性フィルムは、140℃で30分加熱した際の寸法変化率Hと、透明導電性フィルムから透明導電体層をエッチングにより除去したものを140℃で30分加熱した際の寸法変化率Hとの差H−Hが−0.02%〜0.043%である。そのため、タッチパネル等に組み込んだ際のパターン境界での段差が低減され、見栄えの低下が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓性透明基材の一方の面に透明導電体層を有する透明導電性フィルムおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネル等に用いられる透明導電性フィルムとして、透明フィルム等の可撓性透明基材に、ITO等の導電性金属酸化物からなる透明導電体層が積層されたものが知られている。近年、多点入力(マルチタッチ)が可能な投影型静電容量方式のタッチパネルや、マトリックス型の抵抗膜方式タッチパネルが脚光を浴びているが、これらのタッチパネルでは、透明導電性フィルムの透明導電体層が、所定形状(例えばストライプ状)にパターン化されている。このような透明導電性フィルムは、可撓性透明基材上に透明導電体層を有するパターン形成部と、可撓性透明基材上に透明導電体層を有していないパターン開口部とを有している。
【0003】
透明導電体層がパターン化されている場合、透明導電体層が形成されている部分(パターン形成部)と透明導電体層が形成されていない(パターン開口部)との間の反射率差に起因して、パターンが視認され、表示素子としての見栄えが悪くなる場合がある。このような透明導電体層の有無による視認性の相違を抑制する観点から、フィルム基材と透明導電体層との間に複数の誘電体層をアンダーコート層として設け、誘電体層の屈折率等を所定範囲に調整することが提案されている(例えば、特許文献1〜4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−15861号公報
【特許文献2】特開2008−98169号公報
【特許文献3】特許第4364938号明細書
【特許文献4】特開2009−76432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、透明導電体層がパターン化されている場合は、その境界が視認され難いことが求められるが、これに加えて、表示装置の軽量化や薄型化の観点から、タッチパネル等に用いられる透明導電性フィルムの薄型化が求められている。透明導電性フィルムの厚みを小さくするためには、その厚みの大部分を占めるフィルム基材の厚みを小さくすることが必要である。しかしながら、本発明者らが検討したところ、フィルム基材の厚みを小さくすると、基材と透明導電体層との間に誘電体層が設けられていても、透明導電性フィルムをタッチパネルに組み込んだ際に、透明導電体層のパターン境界が視認され易く、見栄えが悪くなる場合があることが判明した。特に、透明導電体層の導電性金属酸化物が結晶性である場合には、パターン形成部とパターン開口部との境界が視認され易い傾向があった。
【0006】
上記に鑑みて、本発明は、基材の厚みが80μm以下と小さい場合でも、タッチパネルに組み込んだ際に、透明導電体層のパターンが視認され難い透明導電性フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑みて本発明者らが検討の結果、透明導電性フィルムを加熱した際のパターン形成部とパターン開口部との寸法変化率の差を小さくすることによって、透明導電体層のパターンが視認され難くなることを見出し、本発明に至った。
【0008】
本発明は、可撓性透明基材、および前記可撓性透明基材の一方の面に形成された結晶性導電性金属酸化物からなる透明導電体層を有する透明導電性フィルムに関する。可撓性透明基材の厚みは80μm以下である。本発明において、透明導電性フィルムを140℃で30分加熱した際の寸法変化率Hと、該透明導電性フィルムから透明導電体層をエッチングにより除去したものを140℃で30分加熱した際の寸法変化率Hとの差H−Hは、−0.02%〜0.043%である。
【0009】
さらに、本発明の一実施形態は、上記透明導電性フィルムの透明導電体層をパターン化することによって得られうる透明導電性フィルムに関する。当該実施形態において、透明導電体層はパターン化されており、透明導電性フィルムは、可撓性透明基材上に透明導電体層を有するパターン形成部と、可撓性透明基材上に透明導電体層を有していないパターン開口部とを有する。この透明導電性フィルムを140℃で30分加熱した際の、パターン形成部の寸法変化率hとパターン開口部の寸法変化率hの差h−hは、−0.02%〜0.043%であることが好ましい。
【0010】
本発明の一実施形態において、透明導電体層は結晶性のスズドープ酸化インジウムからなることが好ましい。また、パターン形成部とパターン開口部との反射率差を低減して、透明導電体層のパターンを視認され難くする観点において、可撓性透明基材は、透明フィルム基材の透明導電体層が形成されている側の面少なくとも1層のアンダーコート層を有するものであることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明は前記透明導電性フィルムの製造方法に関する。本発明の製造方法の一実施形態は、基材準備工程、製膜工程、および熱処理工程を有する。基材準備工程は、可撓性透明基材を準備する工程である。製膜工程は、可撓性透明基材上に、アモルファスの導電性金属酸化物からなるアモルファス透明導電体層を形成する工程である。熱処理工程は、アモルファス透明導電体層を加熱して、結晶性の透明導電体層に転化する工程である。本発明の製造方法においては、熱処理工程における加熱温度70℃〜140℃であることが好ましい。また、熱処理工程における、寸法変化率は0%〜−0.34%であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、さらに、透明導電体層をパターン化して、可撓性透明基材上に透明導電体層を有するパターン形成部と、可撓性透明基材上に透明導電体層を有していないパターン開口部とを有する透明導電性フィルムの製造方法に関する。パターン化は、結晶性の透明導電体層の一部をエッチングにより除去することによって行い得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明の透明導電性フィルムは、透明導電体層が形成されている状態での加熱寸法変化率と、透明導電体層を除去した後の加熱寸法変化率の差が小さい。そのため、透明導電体層をパターン化した場合におけるパターン形成部とパターン開口部の加熱寸法変化率の差の絶対値が小さくなる。このような透明導電性フィルムは、透明導電体層をパターン化後に、エッチャントを水洗した後の乾燥や、パターン配線形成のために加熱された場合でも、透明導電体層と基材との界面に生じる応力が小さいため、フィルムにうねりが生じ難い。そのため、透明導電性フィルムをガラス板等の剛性の基体と貼り合わせてタッチパネル等を形成した場合において、パターン境界での段差が低減され、パターン境界が視認されることによる見栄えの低下が抑止される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】透明導電性フィルムの一形態を示す模式的断面図である。
【図2】透明導電体層がパターン化された透明導電性フィルムの模式的断面図である。
【図3】粘着剤層付き透明導電性フィルムの一形態を示す断面図である。
【図4】透明導電性フィルムを他の基体と貼り合わせた形態を示す模式的断面図である。
【図5】透明導電体層がパターン化された透明導電性フィルムの一形態を示す模式的平面図である。
【図6】パターン境界における表面形状(段差)の測定結果の一例を表す図である。
【図7】透明導電性フィルムを基体と貼り合わせた際にパターン境界に段差が生じることを概念的に説明するための図である。
【図8】実施例および比較例における、(H−H)の値とパターン境界における段差との関係をプロットしたものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図2は、パターン化された透明導電体層を有する透明導電性フィルムの一形態を示す模式的断面図である。図2に示す透明導電性フィルム101は、可撓性透明基材1の一方の片面に、パターン化された透明導電体層2を有している。可撓性透明基材は、透明フィルム基材11の表面に、必要に応じてアンダーコート層12等が形成されたものである。透明導電性フィルム101は、透明導電体層2が形成されているパターン形成部Pと、透明導電体層が形成されていないパターン開口部Oとから構成されている。図3は、可撓性透明基材1の透明導電体層2が形成されていない側の面に粘着剤層3を有する粘着剤層付き透明導電性フィルムの一形態を示す模式的断面図である。図4は、この粘着剤層3を介して透明導電性フィルムがガラス等の剛性の基体50に貼り合わせられている形態を示す模式的断面図である。
【0016】
まず、上記のような構成を有する透明導電性フィルムにおいて、可撓性透明基材1の厚みを小さくした場合に、透明導電体層2のパターン境界が視認され易くなる原因について検討した。厚み23μmのPETフィルム基材11上にアンダーコート層12を介してパターン化された結晶性ITOからなる透明導電体層2が形成された透明導電性フィルム101を粘着剤層3を介してガラス板50に貼り合わせた場合の、透明導電体層側の表面形状プロファイルの一例を図6に示す。図6においては、透明導電体層が形成されているパターン形成部Pと、透明導電体層が形成されていないパターン開口部Oとの境界で、150nm以上の高低差(段差)が生じている。この例において、パターン境界における高低差は透明導電体層の厚み(20nm)よりもはるかに大きく、この段差がパターン境界を視認され易くしている要因であると考えられた。
【0017】
このように、ガラス板に貼り合わせた透明導電性フィルムのパターン境界において大きな段差が生じる原因についてさらに検討したところ、ガラス板に貼り合わせる前の透明導電性フィルムには、図7(b)に概念的に示すように、パターン形成部Pの透明導電体層2形成面側を凸として波状のうねりが発生していた。このようにうねりが生じているフィルムが、粘着剤層を介して平坦なガラス板に貼り合わせられると、ガラス板の方がフィルムよりも剛性が大きいために、フィルムのうねり自体はほぼ解消されて平坦となる。一方で、透明導電性フィルムのうねりが解消されて平坦となる際には、凸状に湾曲していたパターン形成部Pの境界部にひずみが集中するために、図7(c)に概念的に示すように、透明導電体層が端部の境界付近で盛り上がり、これが境界に段差を生じる原因であると推定される。なお、図4および図7(c)においては、透明導電性フィルム100の可撓性透明基材1側が粘着剤層3を介して剛性の基体50と貼り合わせられた形態が図示されているが、透明導電体層2側が剛性の基体と貼り合わせられた場合においても、フィルムのうねりが原因でパターン境界に段差が生じ、パターン境界が視認され易くなっているものと考えられる。
【0018】
段差を解消して、パターン境界を視認され難くするためには、ガラス等の剛性基体に貼り合わせられる前の透明導電性フィルムのうねりを解消することが重要であると考えられた。さらに、透明導電性フィルムにうねりが生じる原因について考察したところ、透明導電体層をエッチング等によりパターン化する際、およびエッチング後にフィルムを加熱した際に、うねりが生じやすいことが判明した。一般に、透明導電体層をエッチングによりパターン化した後には、エッチャントが水洗され、その後に加熱乾燥が行われる。また、透明導電性フィルム上にはIC等と透明導電体層とを電気的に接続するために、銀ペースト等によってパターン配線が形成されるが、この際にも加熱が行われる。
【0019】
本発明は、透明導電体層のパターン化や加熱の際にうねりが発生することを抑制すれば、ガラス板等の剛性基体に透明導電性フィルムが貼り合わせられた場合の段差が低減し、パターン境界が視認され難くなるとの推定原理に基づいてなされたものである。そして、さらに検討の結果、パターン形成部とパターン開口部との加熱寸法変化率が略同等であれば、うねりの発生が抑制され、ガラス等と貼り合わせた場合でも、パターン境界が視認され難くなることが見出された。換言すれば、本発明は、基材上に透明導電体層が形成された透明導電性フィルム(パターン形成部に相当)の加熱寸法変化と、当該透明導電性フィルムから透明導電体層を除去した際(パターン開口部に相当)の加熱寸法変化とが略同等であれば、パターン境界が視認され難くなるとの知見に基づいてなされたものである。
【0020】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、一形態にかかる透明導電性フィルムの模式的断面図である。図1においては、透明フィルム基材11上にアンダーコート層12が形成された可撓性透明基材1上に、透明導電体層2が形成された透明導電性フィルム100が図示されている。図1においては、可撓性透明基材1としてフィルム基材11上にアンダーコート層12が形成されたものが図示されているが、可撓性透明基材1はアンダーコート層を有していなくともよい。また、フィルム基材11の透明導電体層2が形成されていない側の面に、ハードコート層、ブロッキング防止層、反射防止層等の機能性層(不図示)が形成されていてもよい。
【0021】
<可撓性透明基材>
(フィルム基材)
可撓性透明基材1を構成する透明フィルム基材11としては、特に制限されないが、透明性を有する各種のプラスチックフィルムが用いられる。例えば、その材料として、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等が挙げられる。これらの中で特に好ましいのは、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂である。
【0022】
透明導電性フィルムにうねりや段差を生じ難くする観点からは、基材フィルムの厚みを大きくして、剛性を高めることが好ましいが、薄型化の観点から、本発明における基材フィルムの厚みは80μm以下である。なお、後述するようにフィルム基材11上にアンダーコート層等が形成されている場合であっても、これらの層の厚みはフィルム基材に比して遥かに小さい。そのため、一般にフィルム基材11の厚みが80μm以下であれば、可撓性透明基材の厚みも80μm以下となる。
【0023】
薄型化の観点からは、フィルム基材の厚みは小さいことが好ましいが、厚みが過度に小さいと、ハンドリング性に劣る等の問題を生じるため、フィルム基材の厚みは10μm以上であることが好ましい。フィルム基材の厚みが、10〜60μm、さらには10〜30μmの薄型の場合においても本発明は好適である。また、フィルム基材11を上記範囲のように薄くすれば、透明導電性フィルムの総厚みが薄くなることに加え、例えば、透明導電体層2をスパッタリング法等により形成する際、フィルム基材の内部から発生する揮発成分量が少なくなり、結果的に欠陥の少ない透明導電体層を形成することができる。
【0024】
フィルム基材は、加熱時の寸法安定性が高いことが好ましい。一般にプラスチックフィルムは加熱によって膨張や収縮による寸法変化を生じる。これに対して、金属酸化物からなる透明導電体層は寸法変化を生じ難いため、基材フィルムに寸法変化が生じると、可撓性透明基材と透明導電体層との界面にひずみが生じ、これがうねりを発生させる原因となる。そのため、基材フィルムは熱変形温度が高いことが好ましい。
【0025】
透明フィルム基材11は、表面に予めスパッタリング、コロナ放電、火炎、紫外線照射、電子線照射、化成、酸化などのエッチング処理や下塗り処理を施してもよい。これにより、この上に設けられる透明導電体層2またはアンダーコート層12のフィルム基材11に対する密着性を向上させることができる。また、透明導電体層2またはアンダーコート層12を設ける前に、必要に応じてフィルム基材表面を溶剤洗浄や超音波洗浄などにより除塵、清浄化してもよい。
【0026】
透明フィルム基材11はそのまま可撓性透明基材1として用いることもできるが、その表面にハードコート層やブロッキング防止層を設けたものであってもよい。また、透明導電体層がパターン化された場合に、パターン境界が視認され難くする観点においては、透明フィルム基材11の透明導電体層形成側表面にアンダーコート層12が形成されていることが好ましい。
【0027】
(アンダーコート層)
アンダーコート層12は、無機物、有機物、又は、無機物と有機物との混合物により形成することができる。例えば、無機物として、NaF(1.3)、NaAlF(1.35)、LiF(1.36)、MgF(1.38)、CaF(1.4)、BaF(1.3)、SiO(1.46)、LaF(1.55)、CeF(1.63)、Al(1.63)などの無機物〔上記各材料の括弧内の数値は屈折率である〕が挙げられる。これらのなかでも、SiO、MgF、Alなどが好ましく用いられる。特に、SiOが好適である。上記の他、酸化インジウムに対して、酸化セリウムを10〜40重量部程度、酸化錫を0〜20重量部程度含む複合酸化物を用いることができる。
【0028】
上記有機物としてはアクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、シロキサン系ポリマー、有機シラン縮合物などが挙げられる。これら有機物は、少なくとも1種が用いられる。特に、有機物としては、メラミン樹脂とアルキド樹脂と有機シラン縮合物の混合物からなる熱硬化型樹脂を使用するのが望ましい。
【0029】
アンダーコート層12は、透明フィルム基材11と透明導電体層2との間に設けることができ、導電層としての機能を有しないものである。すなわち、アンダーコート層は、パターン化された透明導電体層2の間を絶縁する誘電体層として設けられる。従って、アンダーコート層は、通常、表面抵抗が、1×10Ω/□以上であり、好ましくは1×10Ω/□以上、さらに好ましくは1×10Ω/□以上である。なお、アンダーコート層の表面抵抗の上限に特に制限はない。一般的には、アンダーコート層の表面抵抗の上限は測定限界である、1×1013Ω/□程度であるが、1×1013Ω/□を超えるものであってもよい。
【0030】
アンダーコート層の屈折率は、透明導電体層2の屈折率とアンダーコート層12の屈折率との差が、0.1以上を有するものとするのが好ましい。透明導電体層の屈折率とアンダーコート層の屈折率の差は、0.1以上0.9以下、さらには0.1以上0.6以下であるのが好ましい。なお、アンダーコート層の屈折率は、通常、1.3〜2.5、さらには1.38〜2.3、さらには1.4〜2.3であるのが好ましい。
【0031】
透明フィルム基材11に最も近いアンダーコート層(例えば、図1におけるアンダーコート層12a)は、有機物により形成されていることが、透明導電体層2をエッチングによりパターン化する上で好ましい。そのため、アンダーコート層12が1層からなる場合には、アンダーコート層12は、有機物により形成するのが好ましい。
【0032】
アンダーコート層12が、図1に示すように2層からなる場合、あるいは3層以上からなる場合には、少なくとも、透明フィルム基材11から最も離れたアンダーコート層を例えば、図1におけるアンダーコート層12b)は、無機物により形成されていることが、透明導電体層2をエッチングによりパターン化する上で好ましい。アンダーコート層12が3層以上からなる場合には、フィルム基材11から第二層目より上のアンダーコート層についても無機物により形成されていることが好ましい。
【0033】
無機物により形成されたアンダーコート層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセス、またはウェット法(塗工法)などにより形成できる。アンダーコート層を形成する無機物としては、前述の通り、SiOが好ましい。ウェット法では、シリカゾル等を塗工することによりSiO膜を形成することができる。
【0034】
以上から、アンダーコート層を12層設ける場合には、第一アンダーコート層12aを有機物により形成し、第二アンダーコート層12bを無機物により形成するのが好ましい。
【0035】
アンダーコート層の厚みは、特に制限されるものではないが、光学設計や、透明フィルム基材11からのオリゴマー発生防止効果の点から、通常、1〜300nm程度であり、好ましくは5〜300nmである。なお、アンダーコート層12が2層以上からなる場合、各層の厚みは、5〜250nm程度であることが好ましく、10〜250nmであることがより好ましい。
【0036】
<透明導電体層>
透明導電体層2は、結晶性の導電性金属酸化物により形成される。透明導電体層を構成する導電性金属酸化物は特に限定されず、インジウム、スズ、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム、タングステンからなる群より選択される少なくとも1種の金属の導電性金属酸化物が用いられる。当該金属酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属原子を含んでいてもよい。例えばスズドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)などが好ましく用いられる。中でも、ITOが最も好適である。また、可撓性透明基材1がアンダーコート層12を有する場合、透明導電体層は、アンダーコート層12との屈折率の差が0.1以上であることが好ましい。
【0037】
透明導電体層2の厚みは特に制限されないが、10nm以上とするのが好ましく、15〜40nmであることがより好ましく、20〜30nmであることがさらに好ましい。透明導電体層の厚みが15nm以上であると、表面抵抗が例えば1×103Ω/□以下の良好な連続被膜が得られ易い。また、透明導電体層2の厚みが40nm以下であると、より透明性の高い層とすることができる。
【0038】
透明導電体層2の形成方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。具体的には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法を例示できる。また、必要とする膜厚に応じて適宜の方法を採用することもできる。透明導電体層として、可撓性透明基材1上に高温で製膜を行うことによって、そのまま結晶性の膜を形成することもできる。しかしながら、基材の耐熱性等を考慮すると、結晶性の透明導電体層は、一旦基材上にアモルファス膜を形成した後、該アモルファス膜を可撓性透明基材とともに加熱・結晶化することによって形成することが好ましい。
【0039】
本発明においては、透明導電性フィルムを140℃で30分加熱した際の寸法変化率Hと、該透明導電性フィルムから透明導電体層をエッチングにより除去したものを140℃で30分加熱した際の寸法変化率Hとの差(H−H)が−0.043%〜0.02%であることが好ましい。なお、寸法変化率の符号が正である場合は膨張、負である場合は収縮を表す。したがって、(H−H)が負である場合は、透明導電体層が除去された後の基材は、透明導電体層が形成された状態に比して寸法が小さい(熱収縮し易い)ことを意味する。
【0040】
透明導電性フィルムの寸法変化率(熱収縮率)が方向によって異なる場合は、いずれか一方向の加熱寸法変化率が前記範囲であることが好ましい。後に詳述するように、本発明の透明導電性フィルムは透明導電体層がパターン化されて実用に供され得るが、図5に示すように、透明導電体層がストライプ状にパターン化されている場合は、パターン化方向(パターンが並んでいる方向)における加熱寸法変化率が前記範囲であることが好ましい。なお、本明細書において、「加熱寸法変化率」とは、特に断りのない限り、140℃で30分加熱した際の加熱前後での所定方向の寸法の変化率を表し、寸法変化率(%)は、加熱前の2点間距離L、および加熱後の2点間距離Lを用いて、100×(L−L)/Lで定義される。
【0041】
前述のように、透明導電体層がパターン化された透明導電性フィルムにおいて、パターン形成部とパターン開口部との加熱寸法変化率が略同等であれば、加熱時のうねりの発生が抑制され、ガラス等と貼り合わせた場合でも、パターン境界が視認され難くなる。パターン形成部は、結晶性の透明導電体層が形成された部分であり、パターン開口部は透明導電体層がエッチング等により除去された部分であるから、透明導電体層が形成された透明導電性フィルムの加熱寸法変化と、当該透明導電性フィルムから透明導電体層を除去した際の加熱寸法変化とが略同等であれば、うねりおよび段差の発生が抑制され、パターン境界が視認され難くなる。
【0042】
透明導電体層2が除去された後の可撓性透明基材1は、140℃程度に加熱されると寸法変化を生じ易い。例えば、透明フィルム基材11として二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合、140℃程度に加熱されると熱収縮を生じ易く、Hは負の値を有する。一方、結晶性の透明導電体層の加熱寸法変化率(の絶対値)は、一般に、プラスチックフィルムの加熱寸法変化率に比して小さい。そのため、可撓性透明基材1上に結晶性の透明導電体層2が形成された透明導電性フィルムの加熱寸法変化率Hの絶対値は、透明導電体層が除去された可撓性透明基材の加熱寸法変化率Hの絶対値に比して小さい。
【0043】
なお、結晶性の透明導電体層2が形成されていれば、透明導電性フィルムとしての見かけ上の寸法変化率Hは小さいものの、可撓性透明基材1(透明フィルム基材11)が熱変形を生じるものである場合は、両者の寸法変化の差によって、図7(a)に概念的に示すように、可撓性透明基材1と透明導電体層2との界面に応力が生じる。このように界面に応力が存在する状態で透明導電体層2がパターン化されると、透明導電体層が除去されたパターン開口部では基材/透明導電体層界面の応力が解消される一方で、透明導電体層が形成されているパターン形成部では界面の応力が開放されない。そのため、図7(b)に概念的に示すように、パターン形成部の透明導電体層2側を凸として、フィルムに波状のうねりが生じるものと考えられる。
【0044】
これらを勘案すると、140℃で30分加熱を行った際の加熱寸法変化率の差(H−H)の絶対値は小さい方が好ましい。一般には、透明導電体層が形成されている場合の加熱寸法変化は小さいのに対して、透明導電体層が除去された場合は加熱収縮が生じ易い。そのため、H−Hは負の値となりやすく、正の値を取るとしても+0.02%以下であることが多い。H−Hが負の値を取る場合において、その絶対値は0.043%以下であることが好ましく、0.035%以下であることがより好ましく、0.030%以下であることがさらに好ましい。
【0045】
上記のように、H−Hの絶対値を小さくするためには、可撓性透明基材上に透明導電体層が製膜された後に、可撓性透明基材に寸法変化を生じ得る外部作用を小さくすることが好ましい。このような外部作用は、典型的には加熱による基材の熱収縮である。前述のように、基材の耐熱性を考慮した場合、結晶性の透明導電体層は、一旦基材上にアモルファス膜を形成した後、該アモルファス膜を基材とともに加熱・結晶化することによって形成される。この結晶化のための加熱は、可撓性透明基材に熱収縮を生じ易いため、これが可撓性透明基材に寸法変化を生じ得る外部作用となる。また、アモルファス膜を結晶化する際に基材が収縮すると、透明導電体層は圧縮応力付与下で結晶化されるため、圧縮残留応力を有する結晶膜が形成される。このような残留圧縮応力も透明導電体層と可撓性透明基材との界面にひずみを生じて、うねりや段差を生じる要因になると考えられる。そのため、本発明においては、アモルファス膜を結晶化する際に、基材が熱収縮を生じ難いような加熱条件を選択することが好ましい。
【0046】
基材に生じる熱収縮を小さくするためには、結晶化のための熱処理工程における加熱温度を低くすることが好ましい。一方、熱処理工程における加熱温度が過度に低いと、結晶化が進行しなかったり、結晶化に長時間を要し、生産性に劣る傾向がある。好ましい加熱条件は、可撓性透明基材や透明導電体層を構成する材料や厚みに基づいて適宜選択し得る。
【0047】
以下、透明導電体層として可撓性透明基材上にアモルファスITO膜を形成した後、アモルファスITO膜を加熱結晶化することによって結晶性ITOからなる透明導電体層を形成する場合の好ましい形態について説明する。
【0048】
(アモルファス透明導電体層の製膜)
アモルファスITO膜は気相法によって形成される。気相法としては、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等があげられるが、均一な薄膜が得られる点からスパッタリング法が好ましく、DCマグネトロンスパッタリング法を好適に採用し得る。なお、「アモルファスITO」とは、完全に非晶質であるものに限られず、少量の結晶成分を有していてもよい。ITOがアモルファスであるか否かの判定は、基材上にITO膜が形成された積層体を常温で濃度5wt%の塩酸に15分間浸漬した後、水洗・乾燥し、15mm間の端子間抵抗をテスタにて測定することが可能である。アモルファスITO膜は塩酸によりエッチングされて消失するために、塩酸への浸漬により抵抗が増大する。本明細書においては、塩酸への浸漬・水洗・乾燥後に、15mm間の端子間抵抗が10kΩを超える場合に、導電性金属酸化物膜がアモルファスであるものとする。
【0049】
可撓性透明基材上に形成されるアモルファスITO膜は、比較的低温での加熱でも結晶化し得るものであることが好ましい。具体的には、アモルファスITO膜は、140℃で加熱した場合に180分以内、より好ましくは120分以内、さらに好ましくは90分以内に結晶化が完了し得るものであることが好ましい。また、アモルファスITO膜は、100℃で加熱した場合に900分以内、より好ましくは600分以内、さらに好ましくは360分以内に結晶化が完了し得るものであることが好ましい。ITO膜の結晶化が完了しているか否かは、前記のアモルファスITOの判定と同様に、塩酸への浸漬・水洗・乾燥を行い、15mm間の端子間抵抗から判断し得る。端子間抵抗が10kΩ以内であれば、結晶性ITOへ転化しているものと判断される。
【0050】
アモルファスITO膜は、例えばスパッタに用いるターゲットの種類や、スパッタ時の到達真空度、導入ガス流量、製膜温度(基板温度)等を調整することで、完全結晶化に要する温度や時間を調節することができる。
【0051】
スパッタターゲットとしては、金属ターゲット(In−Snターゲット)または金属酸化物ターゲット(In−SnOターゲット)が好適に用いられる。ターゲット中のSn量は、InとSnとを加えた重さに対し、0.5重量%〜15重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましく、2〜6重量%であることがさらに好ましい。SnはIn結晶格子に取り込まれる量以外は不純物的な働きをするために、ITOの結晶化を妨げる傾向がある。そのため、Snの量が少ないほど、ITO膜は結晶化し易い傾向がある。一方、Snの量が少なすぎると、結晶化後のITO膜の抵抗が高くなる傾向があるため、Snの含有量は上記範囲であることが好ましい。
【0052】
このようなターゲットを用いたスパッタ製膜にあたり、まず、スパッタ装置内の真空度(到達真空度)を、好ましくは1×10−3Pa以下、より好ましくは1×10−4Pa以下となるまで排気して、スパッタ装置内の水分や基材から発生する有機ガスなどの不純物を取り除いた雰囲気とすることが好ましい。水分や有機ガスの存在は、スパッタ製膜中に発生するダングリングボンドを終結させ、ITOの結晶成長を妨げるからである。
【0053】
つぎに、このように排気したスパッタ装置内に、Ar等の不活性ガスを導入して、スパッタ製膜が行われる。スパッタターゲットとして金属ターゲット(In−Snターゲット)を用いる場合は、不活性ガスとともに、反応性ガスである酸素ガスを導入してスパッタ製膜が行われる。不活性ガスに対する酸素の導入量は0.1体積%〜15体積%であることが好ましく、0.1体積%〜10体積%であることがより好ましい。また、製膜時の圧力は0.05Pa〜1.0Paであることが好ましく、0.1Pa〜0.7Paであることがより好ましい。製膜圧力が高すぎると製膜速度が低下する傾向があり、逆に圧力が低すぎると放電が不安定となる傾向がある。
【0054】
スパッタ製膜時の基板温度は40℃〜190℃であることが好ましく、80℃〜180℃であることがより好ましい。製膜温度が高すぎると、熱しわによる外観不良や、基材の熱劣化を生じる場合がある。逆に製膜温度が低すぎると、ITO膜の透明性等の膜質が低下する場合がある。
【0055】
(熱処理による結晶化)
このようにして得られた可撓性透明基材1とアモルファスITO膜との積層体は熱処理に供され、アモルファスITO膜が加熱されることにより結晶性ITO膜に転化される。前述のように、透明導電性フィルムから結晶性ITO膜を除去する前後での加熱寸法変化率の差H−Hの絶対値を小さくするためには、基材が熱収縮を生じ難いような加熱条件を選択することが好ましい。
【0056】
基材に生じる熱収縮を小さくするためには、結晶化のための加熱温度を低くすることが好ましい。基材の熱収縮を抑制する観点からは、結晶化の際の加熱温度は低い方が好ましいが、加熱温度が低すぎると、結晶化が進行しなかったり、結晶化に長時間を要し、生産性に劣る傾向がある。かかる観点からは、加熱温度は、70℃〜140℃が好ましく、70℃〜130℃がより好ましく、70℃〜110℃がさらに好ましい。
【0057】
アモルファスITO膜を結晶性ITO膜に転化するための熱処理工程において、可撓性透明基材上にITO膜が形成された積層体の寸法変化は、0%〜−0.34%であることが好ましい。なお、結晶化のための熱処理工程における寸法変化(%)は、加熱処理に供する前のITO膜の一方向における2点間の距離Dが、熱処理熱後にDに変化した場合において、100×(D−D)/Dで定義される。前述のように、熱処理工程における寸法変化は、主に可撓性透明基材の寸法変化(熱収縮)に起因するものであるが、結晶化の際に基材の収縮によって透明導電体層に圧縮応力が付与されると、結晶化後の透明導電体層が残留圧縮応力を有し、基材と透明導電体層との界面にひずみを生じる。一方、結晶化時の寸法変化を上記範囲とすれば、結晶化後の透明導電体層と可撓性透明基材との界面における応力が低減される。そのため、透明導電体層をパターン化した際や、その後にさらに加熱が行われた際に、フィルムのうねりの発生が抑制され、パターン化後の透明導電体層をガラス板等の剛性基体と貼り合わせた場合におけるパターン境界の段差が小さくなる傾向がある。
【0058】
このようにして得られる透明導電性フィルムは、そのまま各種装置の透明電極や、タッチパネルの形成に用いることもできるが、透明導電体層2の一部をエッチング等により除去して透明導電体層をパターン化することが好ましい。
【0059】
<透明導電体層のパターン化>
図2に模式的に示す透明導電性フィルム101は、透明導電体層2がパターン化されており、透明導電体層2が形成されているパターン形成部Pと、透明導電体層が形成されていないパターン開口部Oとから構成されている。透明導電体層2のパターン化はエッチングにより行なわれることが好ましい。パターン化の形状は、透明導電性フィルムが適用される用途に応じて、各種形状を形成することができる。パターン形成部Pの形状としては、例えば、図5に示すストライプ状の他、スクエア状等が挙げられる。なお、図5では、パターン形成部Pの幅がパターン開口部Oの幅より大きく図示されているが、本発明は当該形態に制限されるものではない。
【0060】
透明導電体層2のパターン化は、透明導電体層2をエッチングすることにより行うことが好ましい。エッチングに際しては、パターンを形成するためのマスクにより透明導電体層2の一部(パターン形成部)を覆って、透明導電体層のマスクにより覆われていない部分(パターン開口部)をエッチャントに曝すことによって除去する。
【0061】
前述のように透明導電体層2は、ITOやATO等の導電性金属酸化物が好適に用いられるため、エッチャントとしては、酸が好適に用いられる。酸としては、例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、およびこれらの混合物、ならびにそれらの水溶液が挙げられる。
【0062】
本発明においては、透明導電体層をパターン化する前における、透明導電性フィルムの加熱寸法変化率Hと、透明導電性フィルムから透明導電体層をエッチングにより除去したものの加熱寸法変化率Hとの差の絶対値が小さい。そのため、透明導電体層がパターン化された場合においては、パターン形成部Pの加熱寸法変化率hとパターン開口部の加熱寸変化率hの差h−hの絶対値も小さくなる。そのため、エッチャントを水洗した後の乾燥や、パターン配線形成時等に、透明導電性フィルムが加熱される場合でも、パターン形成部Pとパターン開口部Oとの加熱寸法変化の差に起因するうねりの発生が抑制され、タッチパネル等に組み込んだ際のパターン境界の段差による視認性の悪化も抑制される。
【0063】
パターン形成部Pの加熱寸法変化率hとパターン開口部Oの加熱寸変化率hの差h−hは、−0.043%〜0.02%であることが好ましい。また、(H−H)に関して前述したのと同様に、(h−h)は負の値となりやすく、正の値を取るとしても+0.02%以下である。h−hが負の値を取る場合において、その絶対値は0.043%以下であることが好ましく、−0.035%以下であることがより好ましく、−0.025%以下であることがさらに好ましい。
【0064】
<アンダーコート層のパターン化>
透明導電体層2がパターン化される場合において、アンダーコート層も同様にパターン化してもよい。すなわち、可撓性透明基材1がアンダーコート層を2層以上有する場合には、透明導電体層2のみをパターン化することができる他、図2に示すように、透明導電体層2をパターン化した後に、少なくとも、透明フィルム基材11から最も離れたアンダーコート層12bを透明導電体層2と同様にエッチング等によりパターン化してもよい。透明導電体層のパターンを視認され難くする観点からは、透明フィルム基材11から第一層目のアンダーコート層12a以外のアンダーコート層を透明導電体層2と同様にエッチングしてパターン化することが好ましい。
【0065】
アンダーコート層12のエッチングに際しては、透明導電体層をエッチングした場合と同様のパターンを形成するためのマスクによりアンダーコート層を覆って、エッチャントにより、マスクで覆われていない部分のアンダーコート層をエッチングにより除去する。透明フィルム基材11から第二層目より上のアンダーコート層は、前述の通り、SiO等の無機物が好適に用いられるため、エッチャントとしては、アルカリが好適に用いられる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム等の水溶液、およびこれらの混合物が挙げられる。なお、二層目より上のアンダーコート層12bをエッチングによりパターン化する場合は、透明フィルム基材11に最も近い第一層目のアンダーコート層12aは、酸またはアルカリによって、エッチングされないような有機物により形成するのが好ましい。
【0066】
なお、2層以上のアンダーコート層を介して、パターン化された透明導電体層2が設けられている場合、各層の屈折率(n)、厚み(d)、及び前記各層の光学厚み(n×d)の合計は、以下の通りとすることが好ましい。これにより、パターン形成部Pとパターン開口部Oとの反射率の差を小さく設計でき、パターン境界が視認され難くなる。
【0067】
フィルム基材11から第一層目のアンダーコート層12aは、屈折率(n)が1.5〜1.7であることが好ましく、1.5〜1.65であることがより好ましく、1.5〜1.6であるのがさらに好ましい。厚み(d)は5〜220nmが好ましく、5〜150nmがより好ましく5〜50nmがさらに好ましい。
【0068】
フィルム基材11から第二層目のアンダーコート層12bは、屈折率(n)が1.4〜1.5であることが好ましく、1.41〜1.49であることがより好ましく、1.42〜1.48であることがさらに好ましい。厚み(d)は5〜80nmが好ましく、5〜65nmがより好ましく、5〜50nmがさらに好ましい。
【0069】
透明導電体層2は、屈折率(n)が1.9〜2.1であることが好ましく、1.9〜2.05であることがより好ましく、1.9〜2.0であることがさらに好ましい。厚み(d)は15〜30nmが好ましく、15〜28nmがより好ましく、15〜25nmがさらに好ましい。
【0070】
前記各層(第一層目のアンダーコート層12a、第二層目のアンダーコート層12b、透明導電体層2)の光学厚み(n×d)の合計は15〜483nmであることが好ましく、30〜400nmであることがより好ましく、30〜350nmであるのがさらに好ましい。
【0071】
また、パターン形成部Pのアンダーコート層および透明導電体層の光学厚みの合計と、パターン開口部Oのアンダーコート層の光学厚みの差(Δnd)は、40〜130nmであることが好ましく、40〜120nmであることがより好ましく、40〜110nmであることがさらに好ましい。
【0072】
上記のように透明導電体層2がパターン化された透明導電性フィルムは、タッチパネル等に好適に用いられる。特に、透明導電体層がパターン化されて複数の透明電極を有することから、投影型静電容量方式のタッチパネルや、マトリックス型の抵抗膜方式タッチパネルに好適に用いられる。タッチパネル等への適用に際しては、図3に示すように、可撓性透明基材1の透明導電体層2が形成されていない側の面に粘着剤層3を有する粘着剤層付き透明導電性フィルムを形成してもよい。この粘着剤層付き透明導電性フィルムを、粘着剤層3を介して、例えば図4に示すように、基体50に貼り合わせて用いることができる。この際、基体50としてガラス板等の剛性の基体が用いられても、透明導電性フィルムのうねりが抑制されていれば、パターン境界での段差の発生が抑制され、視認性に優れるタッチパネルを形成することができる。また、透明導電体層2が設けられている側に粘着剤層を設けて、タッチパネルのウィンドウ層等の他の基体と貼り合わせた場合でも、同様にパターン境界での段差が抑制されるために、視認性に優れるタッチパネルを形成することができる。
【0073】
粘着剤層3としては、透明性を有するものであれば特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性及び接着性等の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性等にも優れるという点からは、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
【0074】
粘着剤層3の構成材料である粘着剤の種類によっては、適当な粘着用下塗り剤を用いることで基材との投錨力を向上させることが可能なものがある。従って、そのような粘着剤を用いる場合には、可撓性透明基材1に粘着用下塗り剤を用いることが好ましい。
【0075】
前記粘着剤層には、ベースポリマーに応じた架橋剤を含有させることができる。また、粘着剤層には必要に応じて例えば天然物や合成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。また透明微粒子を含有させて光拡散性が付与された粘着剤層3とすることもできる。
【0076】
前記粘着剤層は、通常、ベースポリマー又はその組成物を溶剤に溶解又は分散させた固形分濃度が10〜50重量%程度の粘着剤溶液として用いられる。前記溶剤としては、トルエンや酢酸エチル等の有機溶剤や水等の粘着剤の種類に応じたものを適宜に選択して用いることができる。
【0077】
この粘着剤層は、例えば、ガラス等の剛性基体や他のプラスチックフィルム基体等とのの接着後に於いては、そのクッション効果により、基材1の一方の面に設けられた透明導電体層2の耐擦傷性やタッチパネル用としての打点特性、いわゆるペン入力耐久性および面圧耐久性を向上させる機能を有し得る。そのため、特にマトリックス型の抵抗膜方式のタッチパネルに用いる場合においては、粘着剤層にクッション効果を持たせることが好ましい。具体的には、粘着剤層3の弾性係数を1〜100N/cmの範囲、厚みを1μm以上、通常5〜100μmの範囲に設定するのが望ましい。粘着剤層の厚みが上記範囲であると、クッション効果が十分発揮され、かつ粘着剤層による密着力も十分となり得る。粘着剤層の厚みが上記範囲よりも薄いと上記耐久性や密着性が十分確保できず、また上記範囲よりも厚いと透明性などの外観に不具合が発生する場合がある。なお、透明導電性フィルムが静電容量方式のタッチパネルに用いられる場合には、上記のような粘着剤層によるクッション効果は必ずしも求められるものではないが、各種基体との密着性や、粘着剤層付き透明導電性フィルムのハンドリングを容易とする観点からは、粘着剤層3は上記と同様の厚みおよび弾性係数を有することが好ましい。
【実施例】
【0078】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の実施例において、1μm以上の厚みを有するものに関しては、ミツトヨ製マイクロゲージ式厚み計にて測定を行った。アンダーコート層およびITO膜の厚みは、リガク製 蛍光X線分析装置 ZSX100eを用いて、Si原子とIn原子によるピーク強度を検量線にフィッティングすることにより厚みを算出した。
【0079】
[実施例1]
(アンダーコート層の形成)
透明フィルム基材として、厚み23μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱樹脂製 商品名「ダイアホイル」、ガラス転移温度80℃、屈折率1.66)を用い、このPETフィルム上に、アンダーコート層を形成した。
まず、メラミン樹脂:アルキド樹脂:有機シラン縮合物を、固形分で2:2:1の重量比で含む熱硬化型樹脂組成物を、固形分濃度が8重量%となるようにメチルエチルケトンで希釈した。この溶液を、PETフィルムの一方主面に塗布し、150℃で2分間加熱硬化させ、膜厚50nm、屈折率1.54の第一アンダーコート層を形成した。次いで、シロキサン系熱硬化型樹脂(コルコート製 商品名「コルコートP」)を、固形分濃度が1重量%となるようにメチルエチルケトンで希釈し、この溶液を前記の第一アンダーコート層上に塗布して、150℃で1分間加熱硬化させ、膜厚30nm、屈折率1.45のSiO薄膜(第二アンダーコート層)を形成した。
【0080】
(アモルファスITO膜の製膜)
平行平板型の巻き取り式マグネトロンスパッタ装置に、ターゲット材料として、酸化インジウムと酸化スズとを97:3の重量比で含有する焼結体を装着した。2層のアンダーコート層が形成されたPETフィルム基材を搬送しながら、脱水、脱ガスを行い、5×10−3Paとなるまで排気した。この状態で、基材の加熱温度を120℃とし、圧力が4×10−1Paとなるように、98%:2%の流量比でアルゴンガスおよび酸素ガスを導入して、DCスパッタリング法により製膜を行い、基材上に厚み20nmのアモルファスITO膜を形成した。
【0081】
(ITO膜の結晶化)
可撓性透明基材上にアモルファスITO膜が形成された上記の積層体から300mm四方の枚葉体を切り出し、80℃に設定された乾燥オーブン中で9600分加熱を行って、ITO膜を結晶化した。塩酸に浸漬後の抵抗値から、ITO膜の結晶化が完了していることが確認された。
【0082】
(結晶化時の寸法変化の評価)
可撓性透明基材上にアモルファスITO膜が形成された結晶化前の積層体から、基材の搬送方向(MD方向)を長辺とする100mm×10mmの短冊状の試験片を切り出し、ITO膜面に、スパッタ製膜時の搬送方向(以下、「MD方向」)に約80mmの間隔で2点の標点(傷)を形成した後、上記と同一の加熱温度および時間でITO膜の結晶化を行い、加熱結晶化前の標点間距離Lおよび、加熱後の標点間距離Lを、二次元測長機により測定して、結晶化時の寸法変化=100×(L−L)/L(%)を求めた。
【0083】
(透明導電性フィルムの加熱寸法変化率の評価)
ITO膜を結晶化後の透明導電性フィルムから、MD方向を長辺とする100mm×10mmの短冊状の試験片を切り出し、ITO膜面に約80mmの間隔で2点の標点(傷)を形成した後、140℃で30分の加熱処理をおこない、上記と同様にして、加熱前後の標点間距離から、加熱寸法変化率Hを求めた。
【0084】
(透明導電体層除去後の加熱寸法変化率の評価)
ITO膜を結晶化後の透明導電性フィルムから、MD方向を長辺とする100mm×10mmの短冊状の試験片を切り出し、この試験片を50℃に加温した10wt%塩酸水溶液に5分間浸漬させ、透明導電体層のエッチング処理を行った。透明導電体層を除去後の試料を、十分な量の純水に浸漬することによって水洗した後、温度23℃、湿度55%の環境に24時間静置して乾燥させた。その後、フィルム表面に約80mmの間隔で2点の標点(傷)を形成した、140℃で30分の加熱処理をおこない、上記と同様にして、加熱前後の標点間距離から、加熱寸法変化率Hを求めた。
【0085】
(ITO膜のパターン化および段差の評価)
ITO膜を結晶化後の透明導電性フィルムから、MD方向を長辺とする60mm×50mmの矩形の試験片を切り出し、ITO膜の表面に幅2mmのポリイミドテープを2mm間隔で複数貼り合わせた。この際、MD方向がパターン化方向となるように、MD方向と直交する方向(以下、「TD方向」)にテープを貼り合わせた。この試験片を50℃に加温した10wt%塩酸水溶液に5分間浸漬させ、非マスキング部(ポリイミドテープが貼り合わせられていない部分)の透明導電体層のエッチング処理を行った。透明導電体層を除去後の試料を、十分な量の純水に浸漬することによって水洗した後、ポリイミドテープをゆっくりと剥離し、140℃で30分間の加熱を行い乾燥させた。
【0086】
このようにして得られたITO膜がパターン化された試験片を、ITO膜面を上にした状態で、ハンドローラーを用いて、厚み23μmのアクリル系粘着剤層を介してガラス板に貼り合わせた。小坂研究所社製の微細形状測定機(型番「ET4000」)を用いて、カットオフ値0.8mm、速度0.2mm/秒でITO膜形成面側の試料表面を走査させ、透明導電体層が形成されているパターン形成部と透明導電体層が除去されたパターン開口部との境界における段差を計測した。また、目視にて、パターン形成部とパターン開口部との判別ができるか否かを評価した。目視距離は20cm、目視角度はサンプル面から40度とした。
【0087】
[実施例2、3、5〜7、および比較例1〜5、7,8]
実施例1と同様に可撓性透明基材上にアモルファスITO膜を形成した後、表1に示す温度および条件でITO膜を結晶化した。その他は実施例1と同様にして、ITO膜のパターン化および各種の評価を行った。
【0088】
[実施例4および比較例6]
実施例1と同様に可撓性透明基材上にアモルファスITO膜のおよびITO膜の結晶化をおこなった。ただし、実施例4および比較例6においては、表1に示す温度および条件でITO膜を結晶化したほか、結晶化時の寸法変化、および透明導電性フィルムの加熱寸法変化率の評価において、TD方向を長辺とする短冊状の試験片を切り出して、TD方向における寸法変化率を測定した。また、ITO膜のパターン化および段差の評価において、TD方向がパターン化方向となるようにポリイミドテープを貼り合わせてマスキングを行って、透明導電体層をエッチングによりパターン化した。
【0089】
上記各実施例および比較例の透明導電性フィルムの作製条件および評価結果を表1に示す。なお、パターンの目視評価は下記の4段階で評価した結果を示している。
◎:パターン形成部とパターン開口部の判別が困難である。
○:パターン形成部とパターン開口部とをわずかに判別できる。
△:パターン形成部とパターン開口部とを判別できる。
×:パターン形成部とパターン開口部とをはっきりと判別できる。
【0090】
【表1】

【0091】
表1から明らかなように、パターン境界での段差が小さいほど、パターン境界が視認され難いことがわかる。また、図8は、各実施例および比較例のH−Hに対して、パターン境界の段差をプロットしたものである。図8によれば、H−Hの絶対値が大きくなるにしたがって段差が大きくなり、基材の種類や厚み、および透明導電体層のパターン化方向に関わらず、H−Hの値と段差とが高い相関を示していることがわかる。したがって、H−Hを所定範囲とすることで、段差が低減され、パターン境界が視認され難くなることがわかる。
【0092】
各実施例および比較例を対比すると、結晶化のための熱処理工程における加熱温度が低いほど、H−Hの絶対値が小さく、段差が抑制されていることがわかる。一方で、導電性金属酸化物の結晶化速度はアーレニウス式に従うことから、加熱温度が低くなると熱処理に要する時間が指数関数的に大きくなる。なお、表1では示していないが、熱処理温度を90度とした場合において、結晶化に要する時間は約2100時間であった。このことから、パターン境界が目視されない範囲で、加熱結晶化のための温度を高くすれば、生産性を大幅に損なうことなく、透明導電体層をパターン化した場合でもパターン境界が目視され難い透明導電性フィルムが得られることがわかる。
【符号の説明】
【0093】
1 可撓性透明基材
2 透明導電体層
3 粘着剤層
11 透明フィルム基材
12 アンダーコート層
50 基体
100 透明導電性フィルム
101 透明導電性フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性透明基材、および前記可撓性透明基材の一方の面に形成された結晶性導電性金属酸化物からなる透明導電体層を有する透明導電性フィルムであって、
前記可撓性透明基材の厚みは80μm以下であり、
該透明導電性フィルムを140℃で30分加熱した際の寸法変化率Hと、該透明導電性フィルムから透明導電体層をエッチングにより除去したものを140℃で30分加熱した際の寸法変化率Hとの差H−Hが−0.02%〜0.043%である、透明導電性フィルム。
【請求項2】
可撓性透明基材、および前記可撓性透明基材の一方の面に形成された結晶性導電性金属酸化物からなる透明導電体層を有する透明導電性フィルムであって、
前記透明導電体層はパターン化されており、該透明導電性フィルムは、可撓性透明基材上に透明導電体層を有するパターン形成部と、可撓性透明基材上に透明導電体層を有していないパターン開口部とを有し、
前記可撓性透明基材の厚みは80μm以下であり、
該透明導電性フィルムを140℃で30分加熱した際の、前記パターン形成部の寸法変化率hと前記パターン開口部の寸法変化率hの差h−hが−0.02%〜0.043%である、透明導電性フィルム。
【請求項3】
前記透明導電体層は結晶性のスズドープ酸化インジウムからなる、請求項1または2に記載の透明導電性フィルム。
【請求項4】
前記可撓性透明基材は、透明フィルム基材および透明導電体層が形成されている側の面に形成された少なくとも1層のアンダーコート層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電性フィルム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電性フィルムを製造する方法であって、
可撓性透明基材を準備する基材準備工程、
可撓性透明基材上に、アモルファスの導電性金属酸化物からなるアモルファス透明導電体層を形成する製膜工程、および
前記アモルファス透明導電体層を加熱して、結晶性の透明導電体層に転化する熱処理工程、を有し、
前記熱処理工程における加熱温度が、70℃〜140℃である、
透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記熱処理工程における、寸法変化率が0%〜−0.34%である、請求項5に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項7】
さらに前記結晶性の透明導電体層の一部をエッチングにより除去して、可撓性透明基材上に透明導電体層を有するパターン形成部と、可撓性透明基材上に透明導電体層を有していないパターン開口部とにパターン化をおこなうパターン化工程を有する、請求項5または6に記載の透明導電性フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−43372(P2013−43372A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182738(P2011−182738)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】