説明

透明導電性フィルム

【課題】透過光の着色とカール性が抑制され、更にパターン部と非パターン部の見栄えに優れたエッチング加工された透明導電性フィルムを提供する。
【解決手段】エッチング加工された透明導電性フィルムは、表面のパターン部が透明基材フィルムの表面から順にハードコート層、高屈折率層、低屈折率層及びITO層が積層され、表面の非パターン部が透明基材フィルムの表面から順にハードコート層及び高屈折率層が積層され、かつ裏面に機能層が形成されて構成されている。高屈折率層は光の波長400nmにおける屈折率が1.63〜2.03、膜厚が40〜99nmであり、低屈折率層は光の波長400nmにおける屈折率が1.33〜1.53、膜厚が5〜100nmであることが好ましい。また、低屈折率層はアクリル樹脂等の有機物を含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過光の着色とカール性が抑制され、更にパターン部と非パターン部の見栄えに優れたエッチング加工された透明導電性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネルには、位置検出の方法により光学方式、超音波方式、静電容量方式、抵抗膜方式などがある。抵抗膜方式のタッチパネルは、透明導電性フィルムと透明導電体層付ガラスとがスペーサーを介して対向配置されており、透明導電性フィルムに電流を流して透明導電体層付ガラスにおける電圧を計測するような構造となっている。一方、静電容量方式のタッチパネルは、基材上に透明導電層を有するものを基本的構成とし、可動部分がないことが特徴であり、高耐久性、高透過率を有するため、車載用途等において適用されている。
【0003】
前記タッチパネルに用いられる透明導電性フィルムは、透明導電体層をパターン化する場合がある。しかし、透明導電体層をパターン化するパターン部と非パターン部との相違が明確化して、表示素子としての見栄えが悪くなる。特に、静電容量方式のタッチパネルにおいては、透明導電体層が入射表面側に用いられるため、透明導電体層をパターン化した場合にも表示素子として見栄えが良好なものが求められる。
【0004】
このような問題に対して、例えば透明基材フィルムの表面から順に、熱硬化性樹脂等による第一アンダーコート層、二酸化珪素(SiO)等の無機物による第二アンダーコート層及び透明導電体層がこの順に形成されているエッチング加工された透明導電性フィルムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−76432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のエッチング加工された透明導電性フィルムにおいては、透過光が着色する傾向を示す。更に、透明基材フィルムの表面に設けられているアンダーコート層と裏面に設けられているハードコート層とは種類及び厚みが相違することから、透明導電性フィルムのカール性が強いという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、透過光の着色とカール性が抑制され、更にパターン部と非パターン部の見栄えに優れたエッチング加工された透明導電性フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、第1の発明のエッチング加工された透明導電性フィルムは、エッチング加工された透明導電性フィルムにおいて、表面のパターン部が、透明基材フィルムの表面から順に、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層、ITO層が積層されており、表面の非パターン部が、透明基材フィルムの表面から順に、ハードコート層、高屈折率層が積層されおり、裏面に機能層が形成されてなることを特徴とする。
【0009】
第2の発明のエッチング加工された透明導電性フィルムは、第1の発明において、高屈折率層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.63〜2.03、膜厚が40〜99nmであり、低屈折率層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.33〜1.53、膜厚が5〜100nmであることを特徴とする。
【0010】
第3の発明のエッチング加工された透明導電性フィルムは、第1又は第2の発明において、低屈折率層は、有機物を含むことを特徴とする。
第4の発明のエッチング加工された透明導電性フィルムは、第1から第3のいずれか1項の発明において、高屈折率層は、金属酸化物微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とからなり、前記金属酸化物微粒子が酸化チタン又は酸化ジルコニウムであることを特徴とする。
【0011】
第5の発明のエッチング加工された透明導電性フィルムは、第1から第4のいずれか1項の発明において、ハードコート層が、活性エネルギー線硬化型樹脂と微粒子とを含む組成物の重合硬化物であることを特徴とする。
【0012】
第6の発明のエッチング加工された透明導電性フィルムは、第1から第5のいずれか1項の発明において、透明基材フィルムの裏面に形成される機能層が、ハードコート層、防眩層、指紋なじみ層、軟質樹脂層、反射防止層又は防眩性反射防止層であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明のエッチング加工された透明導電性フィルムでは、パターン部に透明基材フィルム表面から順にハードコート層、高屈折率層、低屈折率層及びITO層が積層され、非パターン部にハードコート層及び高屈折率層が積層されており、パターン部と非パターン部との透過率差を小さく抑えることができる。従って、パターン部と非パターン部との間の明確化による不具合が解消され、見栄えが良好となる。また、パターン部は、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層及びITO層が積層されていることから、透過光の着色が抑えられる。更に、透明基材フィルムの裏面には機能層が形成されていることからカール性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】透明導電性フィルムのカール試験におけるカール状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
<エッチング加工された透明導電性フィルム>
本実施形態のエッチング加工された透明導電性フィルムは、表面のパターン部が、透明基材フィルムの表面から順に、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層及びITO層が積層され、表面の非パターン部が、透明基材フィルムの表面から順に、ハードコート層及び高屈折率層が積層されおり、裏面に機能層が形成されている。
【0016】
次に、エッチング加工された透明導電性フィルムの構成要素について順に説明する。
〔透明基材フィルム〕
透明基材フィルムは透明導電性フィルムの基材(ベース材)となるものであって、透明樹脂フィルム等が用いられ、特に制限されない。透明樹脂フィルムを形成する樹脂材料として具体的には、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、トリアセテートセルロース(TAC)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。それらの中でも、汎用性などの観点からトリアセテートセルロース(TAC)系樹脂及びポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂が好ましい。
【0017】
透明基材フィルムの厚みは通常10〜5000μm、好ましくは25〜1000μm、さらに好ましくは25〜500μmである。
〔ハードコート層〕
続いて、ハードコート層について説明する。ハードコート層は、従来公知のものでよく、特に制限されない。ハードコート層を形成する材料は特に限定されず、例えば活性エネルギー線硬化型樹脂又は反応性珪素化合物等の硬化物である。活性エネルギー線硬化型樹脂は、例えば単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート等である。反応性珪素化合物は、例えばテトラエトキシシラン等である。
【0018】
これらのうち生産性及び硬度を両立させる観点より、鉛筆硬度(評価法:JIS−K5600−5−4)がH以上となる活性エネルギー線硬化型樹脂を含む組成物の重合硬化物であることが好ましい。ハードコート層を形成する材料は、前記材料を2種類以上混合したもの、紫外線硬化性ハードコート材として市販されているもの、あるいはこれら以外に本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分をさらに添加したものを用いることができる。
【0019】
また、アニール処理後のカール性を抑制する観点より、活性エネルギー線硬化型樹脂と微粒子とを含む組成物の重合硬化物であることが好ましい。微粒子としては、無機微粒子としてコロイダルシリカ等が挙げられ、有機微粒子として例えば塩化ビニル、(メタ)アクリル単量体、スチレン及びエチレンから選択される少なくとも1種の単量体を重合して得られる重合体等から形成される微粒子が挙げられる。
〔高屈折率層〕
高屈折率層は、従来公知のものでよく、特に制限されない。高屈折率層を形成する材料は特に限定されず、例えば金属酸化物微粒子と、活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合してなる高屈折率用塗液を紫外線(UV)硬化させた硬化物により形成される。高屈折率層は、それぞれの屈折率と比重から、光の波長400nmにおける屈折率が好ましくは1.63〜2.03になるように調製する。乾燥硬化後の膜厚は好ましくは40〜99nmであり、更に好ましくは40〜80nmである。この範囲外では、透明導電性フィルムにおける透過色の黄色味の着色が明確となる。
【0020】
金属酸化物微粒子としては、例えば錫ドープ酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム等が挙げられる。中でも、屈折率の観点から、酸化チタン及び酸化ジルコニウムが好ましく、光の波長400nmにおける屈折率は、製法によって異なるが、2.0〜3.0が好ましい。光の波長400nmにおける屈折率が2.0未満の場合、活性エネルギー線硬化型樹脂の量が少量となり、塗膜強度が弱くなる。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、光の波長400nmにおける屈折率が1.4〜1.7であることが好ましい。
〔低屈折率層〕
低屈折率層は、従来公知のものでよく、特に制限されない。該低屈折率層は、光の波長400nmにおける屈折率が好ましくは1.33〜1.53、乾燥硬化後の膜厚が好ましくは5〜100nmの範囲となるように、公知の低屈折率層用塗液を用いることにより形成される。屈折率と膜厚がこれらの範囲外では透明導電性フィルムにおける透過色の黄色味の着色が明確となる。また、低屈折率層用塗液には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいても差し支えない。その他の成分は特に制限されるものではなく、例えば無機又は有機顔料、重合体、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤、レベリング剤等が挙げられる。
【0021】
低屈折率層の形成方法としては、低屈折率層用塗液を高屈折率層上に塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化させるウエットコーティング法により、高屈折率層上に低屈折率層が形成される。ドライコーティング法では、表面の非パターン部が、透明基材フィルムの表面から順に、ハードコート層、高屈折率層の順に積層された構成とならないため、パターン部と非パターン部の屈折率差が大きく、判別が明瞭となり、見栄えが悪くなって好ましくない。
〔ITO層〕
ITO層(錫ドープ酸化インジウム層)は、従来公知のものでよく特に制限されない。このITO層は、膜厚が好ましくは5〜50nmであり、光の波長400nmにおける屈折率が好ましくは1.85〜2.55の範囲となるように従来公知の方法で形成される。膜厚と屈折率がこれらの範囲外では透明導電フィルムにおける透過色の黄色味の着色が明確となるため好ましくない。
〔機能層〕
透明基材フィルムの裏面には、機能層が設けられる。この機能層は、従来公知のものでよく、特に制限されない。該機能層は、例えばハードコート層、防眩層、指紋なじみ層、軟質樹脂層、反射防止層又は防眩性反射防止層などである。
〔透明導電性フィルムのカール性〕
本発明のエッチング加工された透明導電性フィルムは、該透明導電性フィルムを縦50mm、横100mmにカットし、150℃で1時間アニール処理した後、機能層を下にして平滑な面に透明導電性フィルムを静置した場合、四隅の反りあがりの平均値が0.5〜15.0(mm)となることが好ましい。すなわち、機能層を下にしたときには、四隅が平滑な面に接することが好ましい。
【0022】
四隅の反りあがりの平均値を上述の範囲とするための具体的な手段としては、透明基材フィルム裏面の機能層の総膜厚aと、表面のハードコート層の膜厚bとの関係を、好ましくは2.0a≧b≧0.6a、より好ましくは2.0a≧b≧0.9a、特に好ましくは1.1a≧b≧0.9aに設定する。透明基材フィルム表面のハードコート層の膜厚bが0.6aより小さくなると、アニール処理した際、エッチング加工された透明導電性フィルムが表面を凸にしてカールしていまい、タッチパネルの形態で絶縁不良を生じる可能性がある。一方、透明基材フィルム表面のハードコート層の膜厚bが2.0aより大きくなってしまうと、カールの度合いが強くなり、タッチパネル形成時に不具合が生じることがある。
〔透明導電性フィルムのパターン化〕
透明導電性フィルムのパターン化は、従来公知の方法でよく、特に制限されない。例えば、パターンを形成するためのマスクにより透明導電性フィルムを覆い、無機酸水溶液等のエッチング液により、透明導電性フィルムをエッチングする。エッチング液として無機酸水溶液を用いてエッチングを行った場合、ITO層が除去されると共に、有機物を含む低屈折率層も除去される。ここで、エッチング加工後にITO層が残っている部分をパターン部、ITO層が除去された部分を非パターン部と定義する。
【実施例】
【0023】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を更に具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。尚、屈折率(ITO層以外の層の屈折率)、透過色、透過率、見栄え評価及びカール試験は以下のように測定した。
<屈折率>
(1)屈折率1.63のPETフィルム〔商品名「A4100」、東洋紡績(株)製〕上に、バーコーターにより、各層用塗液をそれぞれ乾燥硬化後の膜厚で100〜500nmになるように層の厚さを調製して塗布した。
(2)乾燥後、紫外線照射装置〔岩崎電気(株)製〕により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJの紫外線を照射し硬化した。硬化後のPETフィルム裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計〔「FE-3000」、大塚電子(株)製〕により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、下記に示すn-Cauchyの波長分散式(式1)の定数を求め、光の波長400nmにおける屈折率を求めた。
【0024】
N(λ)=a/λ+b/λ+c (式1)
a、b、c:波長分散定数
<透過色>
色差計〔「SQ−2000」、日本電色工業(株)製〕を用いて透過色、b*を測定した。
<透過率>
分光光度計〔「UV−1600PC」(株)島津製作所製〕を用いて透過スペクトルを測定した。透過スペクトルより500〜600nmの透過率を読み取り、その平均値をそれぞれパターン部の透過率、非パターン部の透過率とした。
<見栄え評価>
黒い板の上に、サンプルを表面が上になるように置き、目視によりパターン部と非パターン部の判別ができるか否かを下記基準で評価した。
【0025】
◎:パターン部と非パターン部の判別が困難。
○:パターン部と非パターン部とをわずかに判別できる。
×:パターン部と非パターン部とをはっきりと判別できる。
<カール試験>
縦50mm、横100mmにカットしたサンプルを150℃の恒温槽に1時間静置してアニール処理(前処理)を行う。この前処理後、図1に示すように、透明導電性フィルム11を平坦面12に機能層又はITO層を下にして置き、四隅の反り上がり量D1、D2、D3及びD4を測定し、それらの平均値(カール平均値)を測定する。機能層を下にした場合に反り上がる場合は+(プラス)表記、ITO層を下にした場合に反り上がる場合は−(マイナス)表記とする。
〔製造例1、ハードコート層用塗液(HC−1)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート80質量部、トリアクリル酸テトラメチロールメタン20質量部、1,6−ビス(3−アクリロイルオキシー2−ヒドロキシプロピルオキシ)ヘキサン20質量部、光重合開始剤〔商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕4質量部、イソブチルアルコール100質量部を混合してハードコート層用塗液(HC)を調製した。
〔製造例2、ハードコート層用塗液(HC−2)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50質量部、シリカゲル微粒子分散液〔商品名:XBA−ST、日産化学(株)製〕50質量部、光重合開始剤〔商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕4質量部、イソプロピルアルコール100質量部を混合してハードコート層用塗液(HC−2)を調製した。
〔製造例3、高屈折率層用塗液(H−1)の調製〕
平均粒径が0.02μmの酸化ジルコニウム微粒子を79質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー〔1分子中にアクリロイル基を6個有するウレタンアクリレート(6官能ウレタンアクリレート)、分子量1400、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕21質量部、光重合開始剤〔商品名「IRGACURE 184」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕5質量部を混合し高屈折率層用塗液(H−1)を調製した。H−1の硬化物の屈折率を上記<屈折率の測定方法>で測定した場合、1.73であった。
〔製造例4、高屈折率層用塗液(H−2)の調製〕
平均粒径が0.02μmの酸化ジルコニウム微粒子を66質量部、ウレタンアクリレートオリゴマー〔日本合成化学工業(株)製、紫光UV-7600B〕34質量部、光重合開始剤〔商品名「IRGACURE 184」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕5質量部を混合し、高屈折率層用塗液(H−2)を調製した。
〔製造例5、低屈折率層用塗液(L−1)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート10質量部、シリカ微粒子分散液〔商品名「XBA−ST」、日産化学(株)製〕90質量部、ブチルアルコール900質量部、光重合開始剤〔商品名、「IRGACURE 907」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製〕5質量部を混合し、低屈折率層用塗液(L−1)を調製した。
(実施例1)
製造例1で調製したハードコート液(HC−1)をロールコーターにて、厚さ125μmのPETフィルム上に、乾燥膜厚が4μmになるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、ハードコート処理PETフィルムを作製した。
【0026】
このハードコート処理PETフィルムの裏面に製造例1で調製したハードコート液(HC−1)をロールコーターにて、乾燥膜厚が4μmになるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、両面ハードコートフィルムを作製した。
【0027】
得られた両面ハードコートフィルムの片面上に、製造例2で作製した高屈折率層用塗液H−1をロールコーターにて乾燥膜厚が60nmとなるよう塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させた。次いで、製造例4で作製した低屈折率層用塗液L−1を用いて、ロールコーターにて乾燥膜厚が20nmとなるよう塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより、透明導電用フィルムを作製した。
【0028】
次いで、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行い、膜厚30nmのITO層を形成し、透明導電性フィルムを作製した。この透明導電性フィルムのITO層に、ストライプ状にパターン化されているフォトレジストを塗布し、乾燥硬化した後、25℃、5質量%の塩酸(塩化水素水溶液)に1分間浸漬して透明導電性フィルムのエッチングを行い、エッチング加工された透明導電性フィルムを作製した。
(実施例2)
高屈折率用塗液をH−2とした以外は、全て実施例1と同様の条件でエッチング加工された透明導電性フィルムを作製した。
(実施例3)
ハードコート層用塗液をHC−2とした以外は、全て実施例1と同様の条件でエッチング加工された透明導電性フィルムを作製した。
(比較例1)
製造例1で調製したハードコート液(HC−1)をロールコーターにて、厚さ125μmのPETフィルム上に、乾燥膜厚が4μmになるように塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射し、硬化させることにより、ハードコート処理PETフィルムを作製した。
【0029】
上記ハードコート処理PETフィルムの反対面に製造例3で作製した高屈折率層用塗液H−2をロールコーターにて乾燥膜厚が150nmとなるよう塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化した以外は、全て実施例1と同様の条件でエッチング加工された透明導電性フィルムを作製した。
(比較例2)
低屈折率層をドライコーティング法により、乾燥膜厚が20nmとなるように積層した以外は、全て実施例1と同様の条件でエッチング加工された透明導電性フィルムを作製した。
(比較例3)
厚さ125μmのPETフィルムに、インジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行い、膜厚30nmのITO層を形成し、透明導電性フィルムを作製した。
【0030】
次いで、透明導電性フィルムのITO層に、ストライプ状にパターン化されているフォトレジストを塗布し、乾燥硬化した後、25℃、5質量%の塩酸(塩化水素水溶液)に、1分間浸漬して、透明導電性フィルムのエッチングを行い、エッチング加工された透明導電性フィルムを作製した。
【0031】
以上の実施例1、2及び3並びに比較例1〜3の透明導電性フィルムについて、透過色、透過率、見栄え評価及びカール試験を行い、それらの結果を表1に示した。
【0032】
【表1】

表1に示した結果より、実施例1及び2では、透過色の着色がほとんどなく、透過率が高く、パターン部と非パターン部の見栄えに優れ、カール性が十分に抑制された。実施例3では、前記効果に加えて、より一層カール性が抑制された。
【0033】
その一方、比較例1では、透明基材フィルムの表面にハードコート層が設けられておらず、更に高屈折率層の膜厚が厚いことから、透過光が着色し、パターン部と非パターン部の見栄えが悪く、更にカール性も悪化した。比較例2では、低屈折率層をドライコーティング法により形成したことから、エッチング時に非パターン部に低屈折率層が残り、透過光が着色し、パターン部と非パターン部の見栄えが悪くなった。比較例3では、透明基材フィルム上にハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層が設けられていないことから、透過光が着色し、パターン部と非パターン部の見栄えが悪い結果であった。
【符号の説明】
【0034】
11…透明導電性フィルム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッチング加工された透明導電性フィルムにおいて、
表面のパターン部が、透明基材フィルムの表面から順に、ハードコート層、高屈折率層、低屈折率層、ITO層が積層されており、表面の非パターン部が、透明基材フィルムの表面から順に、ハードコート層、高屈折率層が積層されおり、裏面に機能層が形成されてなるエッチング加工された透明導電性フィルム。
【請求項2】
高屈折率層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.63〜2.03、膜厚が40〜99nmであり、低屈折率層は、光の波長400nmにおける屈折率が1.33〜1.53、膜厚が5〜100nmである請求項1に記載のエッチング加工された透明導電性フィルム。
【請求項3】
低屈折率層は、有機物を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエッチング加工された透明導電性フィルム。
【請求項4】
高屈折率層は、金属酸化物微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とからなり、前記金属酸化物微粒子が酸化チタン又は酸化ジルコニウムである請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエッチング加工された透明導電性フィルム。
【請求項5】
ハードコート層が、活性エネルギー線硬化型樹脂と微粒子とを含む組成物の重合硬化物であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエッチング加工された透明導電性フィルム。
【請求項6】
透明基材フィルムの裏面に形成される機能層が、ハードコート層、防眩層、指紋なじみ層、軟質樹脂層、反射防止層又は防眩性反射防止層である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエッチング加工された透明導電性フィルム。

【図1】
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【公開番号】特開2011−134482(P2011−134482A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290978(P2009−290978)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】