説明

透明導電膜及びその製造方法

本発明は、特殊な構造を有する銀錯体化合物と有機酸金属塩を利用して、少なくとも1層以上の複合多層膜から構成された透明導電膜を製造する方法に関する。本発明の透明導電膜の製造方法は、溶液工程を通じて、1)透明基材上に導電層の透明度を向上させる透明層を形成する段階と、2)伝導度を付与する導電層を形成する段階と、を含むことを特徴とし、3)導電膜の経時変化を防ぐための保護層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする。本発明によると、工程が簡単で、且つ伝導度と透過率に優れた大面積の透明導電膜を容易に得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊な構造を有する銀錯体化合物と有機酸金属塩を利用して、少なくとも1層以上の複合多層膜から構成された透明導電膜を形成する方法に関し、より詳細には、溶液工程を通じて、抵抗特性及び透過率に優れた透明導電膜及びこれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、透明導電膜は、表示素子の電源印加用、家電機器の電子波遮蔽膜、LCD、OLED、FED、PDP、フレキシブルディスプレイ、電子ペーパーなどの各種ディスプレイ分野の透明電極など、電気電子装備の必須的な構成要素として使用されており、現在、主に使用されている透明導電膜素材としては、ITO(Indium-Tin oxide)、ATO(Antimony-Tin Oxide、AZO(Antimony-Zinc Oxide)などのような無機酸化物導電性素材を使用している。
【0003】
透明導電膜は、前記素材を、通常的に使用されているスパッタリング法、イオンビーム法または真空蒸着法などにより製造すると、高い伝導性と透過率に優れた導電膜を製造することができるが、真空装備による設備投資費が大きくて、大量生産及び大型化に難しい点があり、特に、プラスチックフィルムのような低温工程が要求される透明基板には限界がある。スパッタリング工程により蒸着時、酸素分圧と温度などの条件によって透明導電膜の組成が変わりつつ、薄膜の透過率と抵抗が急激に変化する現象が発生する。したがって、安価化と大型化に適したスピンコーティング、スプレーコーティング、浸漬コーティング、プリンティングなどのような湿式コーティング法を利用してコーティングした後、焼成して透明導電膜を使用する方法などが提案されているが、例えば、大韓民国特許公開第1999−011487号には、金属微粒子と結合剤を利用した透明導電膜が開示されており、大韓民国特許公開第1999−064113号には、酸化錫に中空形炭化微細繊維を添加した透明導電膜用組成物が開示されており、大韓民国特許公開第2000−009405号には、酸化錫あるいは酸化インジウムに酸化ネオジミウムを添加した透明導電性光選択吸収被膜形成用塗布溶液が開示されている。また、日本特開第2003−213441号には、金や銀などの金属微粒子を含有した透明導電層形成液の製造方法に関する内容が開示されている。
【0004】
上記方法により製造された透明導電膜の表面抵抗は、10〜10Ω/□程度で、抵抗が高くて、且つ、周囲環境の変化によって、時間が経つにつれて表面抵抗が増加するなど、経時変化が起こり、初期導電性を維持できなくなる問題点があって、透明導電膜に使用するには限界を有している。
【0005】
したがって、本発明者らは、このような問題点を解決するために鋭意研究した結果、成功的に本発明に至った。即ち、本発明は、特殊な構造を有する銀錯体化合物と有機酸金属塩を利用して、少なくとも1層以上の複合多層膜から構成された透明導電膜を形成する方法に関し、より詳細には、溶液工程を通じて、抵抗特性及び透過率に優れた透明導電膜及びこれを製造する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の問題点を解決するために鋭意研究した結果、本発明者らは、特殊な構造を有する銀錯体化合物と有機酸金属塩を利用して、少なくとも1層以上の複合多層膜から構成された透明導電膜を形成することにより、抵抗特性及び透過率に優れた透明導電膜及びこれを製造する方法を提供することができるようになった。
【0007】
また、本発明の目的は、前記複合多層膜から構成された透明導電膜を、全て溶液工程を通じて容易に製造できる製造工程を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、工程が簡単で、且つ、伝導度と透過率に優れた大面積の透明導電膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、特殊な構造を有する銀錯体化合物と有機酸金属塩を利用して、少なくとも1層以上の複合多層膜から構成された透明導電膜を形成する方法に関し、より詳細には、溶液工程を通じて、抵抗特性及び透過率に優れた透明導電膜及びこれを製造する方法に関する。
【0010】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0011】
図1に示したように、本発明により製造される透明導電膜の製造方法は、銀錯体化合物と有機酸金属塩を1種または2種以上使用して、少なくとも1層以上の複合多層膜を形成させて、本発明は、溶液工程を通じて、1)透明基材1上に導電層の透明度を向上させる透明層2を形成する段階と、2)伝導度を付与する導電層3を形成する段階と、からなり、3)導電膜の経時変化を防ぐための保護層4を形成する段階をさらに含むことができる。前記透明導電膜10の製造方法は、前記図1の構造で説明されるが、前記構造は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲が前記構造の例に限定されるものではない。
【0012】
以下、本発明の各段階についてより詳細に説明する。
【0013】
前記1)段階は、透明基材に、有機酸金属塩を含む透明層溶液を塗布して透明層を形成する段階である。
【0014】
本段階は、有機酸金属塩を含む混合物を使用して、透明基材上に透明性を向上させる透明層を形成する段階である。
【0015】
前記透明基材は、コーティングやプリンティング工程を通じて容易に薄膜やパターン形成が可能な、多様な基板を使用することが可能である。例えば、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ナイロン(Nylon)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)などのような透明プラスチックフィルムやガラス基板にコーティングして薄膜を製造するか、直接プリンティングすることができる。このような基板は、水洗及び脱脂後使用するか、特別に前処理をして使用することができるが、前処理方法には、プラズマ、イオンビーム、コロナ、酸化または還元、熱、エッチング、紫外線(UV)照射、そして上記のバインダーや添加剤を使用したプライマー(primer)処理して使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
前記有機酸金属塩は、特に限定されず、本発明の目的に符合するなら、公知のいかなるものでも使用可能である。
【0017】
本発明で使用される有機酸金属塩は、本発明に符合する場合、特に限定する必要はないが、好ましくは、炭素数3〜28個の有機酸金属塩、または炭素数3〜28個の有機酸金属塩と有機酸を含む有機酸金属塩が好ましい。有機酸としては、例えば、ブチル酸(butyric acid)、バレリン酸(valeric acid)、アクリル酸(acrylic acid)、ピバル酸(pivalic acid)、n−ヘキサン酸(hexanoic acid)、t−オクタン酸(octanoic acid)、2−エチル−ヘキサン酸(2-ethyl-hexanoic acid)、ネオデカン酸(neodecanoic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、ステアリン酸(stearic acid)、オレイン酸(oleic acid)、ナフテン酸(naphthenic acid)、ドデカン酸(dodecanoic acid)またはリノール酸(linoleic acid)などの有機酸が挙げられて、有機酸金属塩の金属成分としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Al、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Euなどが挙げられて、本発明の有機酸金属塩をより具体的にいうと、n−ヘキサン酸マンガン、t−オクタン酸マグネシウム、ナフテン酸リチウム、ネオデカン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸銀、ネオデカン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸アルミニウム、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸バリウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸バナジウム、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸ストロンチウム、オレイン酸錫、t−オクタン酸インジウム、ジアクリル酸亜鉛、ネオデカン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸銅、ステアリン酸鉄、オレイン酸ニッケル、ネオデカン酸カルシウム、ネオデカン酸バリウム、ドデカン酸セシウム、リノール酸鉛、ナフテン酸セリウムなどのような有機酸金属塩などを1種以上選択して一緒に使用する。
【0018】
また、上記において、有機酸金属塩の形態は、球形、線形、板状形またはこれらの混合形態でもよく、ナノ粒子を含む粒子(particle)状態や、粉末(powder)、フレーク(flake)、コロイド(colloid)、ハイブリッド(hybrid)、ペースト(paste)、ゾル(sol)、溶液(solution)状態またはこれらを一種以上選択した混合形態など、多様な状態で使用可能である。
【0019】
このような有機酸金属塩の使用量は、本発明のインク特性に符合する限り、特に制限する必要はない。通常、その使用量は、透明層溶液の全重量に対して重量比で0.01〜10%、より好ましくは、0.01〜1%の範囲が好ましい。
【0020】
本発明において、透明性の向上のための透明層の組成物は、上記の有機酸金属塩を少なくとも一つ以上含み、必要に応じて、溶媒、安定剤、分散剤、バインダー樹脂(binder resin)、還元剤、界面活性剤(surfactant)、湿潤剤(Wetting agent)、揺変剤(thixotropic agent)またはレベリング(levelling)剤のような添加剤などを含むことができる。
【0021】
前記透明性の向上のための透明層の熱処理は、通常、80〜400℃、好ましくは90〜300℃、より好ましくは、100〜150℃で熱処理することが薄膜の物性のために好ましい。さらに、前記範囲内で低温と高温で2段階以上加熱処理することも、薄膜の均一性のために好ましい。例えば、80〜150℃で1〜30分間処理して、150〜300℃で1〜30分間処理することが好ましい。
【0022】
前記透明性向上のための透明層のコーティング方法は、インクの物性によって、それぞれスピンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フロー(flow)コーティング、ドクターブレード(doctor blade)とディスペンシング、インクジェットプリンティング、オフセットプリンティング、スクリーンプリンティング、パッド(pad)プリンティング、グラビアプリンティング、フレキソプリンティング、ステンシルプリンティング、インプリンティング(imprinting)、ゼログラフィー(xerography)、リソグラフィーなどを選択して使用することが可能である。
【0023】
本発明の2)段階は、導電層溶液を塗布して導電層を形成する段階であって、銀錯体化合物を使用して導電性を付与する導電層を形成する段階である。
【0024】
導電層を形成するための銀錯体化合物は、下記化学式1で表される銀化合物と、化学式2のアンモニウムカルバメート系化合物、化学式3のアンモニウムカーボネート系化合物、化学式4のアンモニウムバイカーボネート系化合物またはこれらの2以上の混合物とを反応させて製造する。
[化学式1]

[化学式2]

[化学式3]

[化学式4]

(式中、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフロロボレート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びこれらの誘導体から選ばれる置換基であり、
nは、1〜4の整数であり、
〜Rは、互いに独立して、水素、C〜C30の脂肪族や脂環族アルキル基またはアリールやアラルキル(aralkyl)基、官能基が置換されたアルキル及びアリール基、ヘテロ環化合物と高分子化合物、及びこれらの誘導体から選択される置換基であって、RとRまたはRとRは、互いに独立して、ヘテロ原子が含まれるか含まれないアルキレンで連結されて環を形成することができる。)
【0025】
前記化学式1の化合物を具体的に挙げると、酸化銀、チオシアネート化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸化銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀、及びこれらの誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
そして、R〜Rは、具体的に例えば、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、ヒドロキシ、メトキシ、メトキシエチル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル及びその誘導体、そしてポリアリルアミンやポリエチレンアミンのような高分子化合物及びこれらの誘導体から選択できるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
化合物として具体的に例えば、前記化学式2のアンモニウムカルバメート系化合物は、アンモニウムカルバメート(ammonium carbamate)、エチルアンモニウムエチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカルバメート、2―メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウムジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウムモルホリンカルバメート、ピリジニウムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルバイカルバメート、ベンジルアンモニウムベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカルバメート、及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた1種または2種以上の混合物が挙げられて、前記化学式3のアンモニウムカーボネート系化合物は、アンモニウムカーボネート(ammonium carbonate)、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、及びこれらの誘導体から選択される1種または2種以上の混合物が挙げられて、前記化学式4のアンモニウムバイカーボネート系化合物は、アンモニウムバイカーボネート(ammonium bicarbonate)、イソプロピルアンモニウムバイカーボネート、t−ブチルアンモニウムバイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムバイカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムバイカーボネート、ピリジニウムバイカーボネート、トリエチレンジアミニウムバイカーボネート、及びこれらの誘導体から選択される1種または2種以上の混合物が含まれる。
【0028】
一方、上記のアンモニウムカルバメート系化合物、アンモニウムカーボネート系化合物またはアンモニウムバイカーボネート系化合物の種類及び製造方法は、特に制限する必要はない。例えば、米国特許第4,542,214号(1985.9.17)では、第1アミン、第2アミン、第3アミンまたは少なくとも一つ以上のこれらの混合物と二酸化炭素からアンモニウムカルバメート系化合物を製造することができると記述しており、前記アミン1モル当たり水0.5モルをさらに添加すると、アンモニウムカーボネート系化合物が得られ、水1モル以上を添加する場合は、アンモニウムバイカーボネート系化合物が得られる。この際、常圧または加圧状態で、特別な溶媒無しに製造することができるが、溶媒を使用する場合、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオクサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素系、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒、またはこれらの混合溶媒などが挙げられ、二酸化炭素は、気相状態でバブリング(bubbling)するか、固相ドライアイスを使用することができ、超臨界(supercritical)状態でも反応できる。本発明で使用されるアンモニウムカルバメート系、アンモニウムカーボネート系またはアンモニウムバイカーボネート系誘導体の製造には、前記の方法の他にも、最終物質の構造が同じであれば、公知のいかなる方法を使用してもよい。即ち、製造のための溶媒、反応温度、濃度または触媒などを特に限定する必要はなく、製造収率にも影響しない。
【0029】
このように製造されたアンモニウムカルバメート系、アンモニウムカーボネート系またはアンモニウムバイカーボネート系化合物と銀化合物とを反応させて有機銀錯体化合物または銀錯体混合物を製造することができる。例えば、化学式1に示したような、少なくとも一つ以上の銀化合物と、化学式2〜4に示したような化合物またはこれらの混合物とを、窒素雰囲気の常圧または加圧状態で、溶媒無しに直接反応させることができて、溶媒を使用する場合は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、カルビトールアセテートのようなアセテート類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオクサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタンのような炭化水素系、ベンゼン、トルエンのような芳香族、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒、またはこれらの混合溶媒などを使用することができる。
【0030】
本発明による銀錯体化合物または銀錯体混合物は、本願発明者らにより出願された大韓民国特許出願第2006-11083号にその製造方法が記載されている。
【0031】
本発明において、導電性付与のための導電層の組成物は、上記の銀錯体化合物または銀錯体混合物を含み、必要に応じて、溶媒、安定剤、分散剤、薄膜補助剤、バインダー樹脂(binder resin)、還元剤、界面活性剤(surfactant)、湿潤剤(Wetting agent)、揺変剤(thixotropic agent)またはレベリング(levelling)剤のような添加剤などを含むことができる。
【0032】
前記安定剤として例えば、第1アミン、第2アミンまたは第3アミンのようなアミン化合物や、上記のアンモニウムカルバメート、アンモニウムカーボネート、アンモニウムバイカーボネート系化合物、またはホスフィン(phosphine)、ホスファイト(phosphate)やホスフェート(phosphate)のようなリン化合物、チオールや硫化物(sulfide)のような硫黄化合物及びこれらの混合物から選択される。
【0033】
即ち、具体的に例えば、アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、イソアミルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、イソオクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ドコデシルアミン、シクロプロピルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アリールアミン、ヒドロキシアミン、アンモニウムヒドロキシド、メトキシアミン、2−エタノールアミン、メトキシエチルアミン、2-ヒドロキシプロピルアミン、メトキシプロピルアミン、シアノエチルアミン、エトキシアミン、n−ブトキシアミン、2−ヘキシルオキシアミン、メトキシエトキシエチルアミン、メトキシエトキシエトキシエチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジエタノールアミン、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、2,2−(エチレンジオキシ)ビスエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、アミノアセトアルデヒドジメチルアセタール、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、アニリン、アニシジン、アミノベンゾニトリル、ベンジルアミン及びその誘導体、そしてポリアリールアミンやポリエチレンイミンのような高分子化合物及びその誘導体などのようなアミン化合物が挙げられる。
【0034】
アンモニウムカルバメート系化合物を具体的に例えば、アンモニウムカルバメート(ammonium carbamate)、エチルアンモニウムエチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカルバメート、2―メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウムジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウムモルホリンカルバメート、ピリジニウムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルバイカルバメート、ベンジルアンモニウムベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカルバメート及びこれらの誘導体などがあり、アンモニウムカーボネート系化合物は、アンモニウムカーボネート(ammonium carbonate)、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、及びこれらの誘導体が挙げられて、アンモニウムバイカーボネート系化合物を具体的に例えば、アンモニウムバイカーボネート(ammonium bicarbonate)、イソプロピルアンモニウムバイカーボネート、t−ブチルアンモニウムバイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムバイカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムバイカーボネート、ピリジニウムバイカーボネート、トリエチレンジアミニウムバイカーボネート、及びこれらの誘導体などが挙げられる。
【0035】
また、リン化合物としては、化学式RP、(RO)Pまたは(RO)POで表現されるリン化合物であって、ここでRは、炭素数1〜20のアルキルまたはアリール基を示し、代表的に、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジベンジルホスフェート、トリエチルホスフェートなどが挙げられる。そして、硫黄化合物として、例えば、ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、ジエチルサルファイト、テトラヒドロチオフェン、アリルジサルファイド、メルカプトベンゾチアゾール、アルキルメルカプトアセテート、オクチルチオグリコレートなどがある。このような安定剤の使用量は、本発明のインク特性に符合する限り、特に制限する必要はない。しかし、その含量が銀化合物に対してモル比で0.1%〜90%がよく、より好ましくは、1〜50%である。この範囲を超過する場合、薄膜の伝導度の低下が生じ得て、それ未満の場合、インクの貯蔵安定性が低下する可能性がある。
【0036】
また、薄膜補助剤は、有機酸及び有機酸誘導体が使用できて、1種または2種以上の混合物から構成される。有機酸の例としては、酢酸(acetic acid)、シュウ酸(oxalic acid)、クエン酸(citric acid)、乳酸(Lactic acid)、マレイン酸(maleic acid)、アクリル酸(acrylic acid)、ブチル酸(butyric acid)、バレリン酸(valeric acid)、ピバル酸(pivalic acid)、n−ヘキサン酸(hexanoic acid)、t−オクタン酸(octanoic acid)、2−エチル−ヘキサン酸(2-ethyl-hexanoic acid)、ネオデカン酸(neodecanoic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、ステアリン酸(stearic acid)、オレイン酸(oleic acid)、ナフテン酸(naphthenic acid)、ドデカン酸(dodecanoic acid)、リノール酸(linoleic acid)などの有機酸が使用でき、有機酸誘導体としては、酢酸アンモニウム塩、クエン酸アンモニウム塩、ラウリン酸アンモニウム塩、乳酸アンモニウム塩、マレイン酸アンモニウム塩、シュウ酸アンモニウム塩などの有機酸アンモニウム塩と、Au、Cu、Zn、Ni、Co、Pd、Pt、Ti、V、Mn、Fe、Cr、Zr、Nb、Mo、W、Ru、Cd、Ta、Re、Os、Ir、Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Pb、Bi、Sm、Eu、Ac、Thなどのような金属を含む有機酸金属塩が使用できる。有機酸金属塩の例としては、シュウ酸マンガン、酢酸金、シュウ酸パラジウム、2−エチルヘキサン酸銀、オクタン酸銀、ネオデカン酸銀、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルトなどが挙げられる。前記薄膜補助剤の使用量は、特に限定されないが、銀錯体化合物または混合物に対して、モル比で0.1〜25%が好ましい。この範囲を超過する場合は、均一な薄膜形成が難しく、これ未満の場合は、薄膜にクラックが生じ得る問題点がある。
【0037】
そして、銀溶液の粘度調節や円滑な薄膜形成のために溶媒が必要な場合があるが、この際使用できる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキシプロパノール、ブタノール、エチルヘキシルアルコール、テルピネオールのようなアルコール類、エチレングリコール、グリセリンのようなグリコール類、エチルアセテート、ブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテートのようなアセテート類、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドンのようなケトン類、ヘキサン、ヘプタン、ドデカン、パラフィンオイル、ミネラルスピリットのような炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素系、そしてクロロホルムやメチレンクロライド、カーボンテトラクロライドのようなハロゲン置換溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、またはこれらの混合溶媒などを使用することができる。
【0038】
前記導電性付与のための導電層の熱処理は、通常80〜400℃、好ましくは、90〜300℃、より好ましくは100〜150℃で熱処理することが薄膜の物性のために好ましい。付加的に、前記範囲内で、低温と高温で2段階以上加熱処理することも、薄膜の均一性のために好ましい。例えば、80〜150℃で1〜30分間処理して、150〜300℃で1〜30分間処理することが好ましい。
【0039】
前記導電性付与のための導電層のコーティング方法は、インクの物性によって、それぞれスピンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フロー(flow)コーティング、ドクターブレード(doctor blade)とディスペンシング、インクジェットプリンティング、オフセットプリンティング、スクリーンプリンティング、パッド(pad)プリンティング、グラビアプリンティング、フレキソプリンティング、ステンシルプリンティング、インプリンティング(imprinting)、ゼログラフィー(xerography)、リソグラフィーなどを選択して使用することが可能である
【0040】
本発明の3)段階は、無機酸化物またはメルカプタン化合物を塗布して導電層の保護層を形成する段階であって、導電膜の経時変化を防ぐための保護層を形成する段階である。
【0041】
本発明により形成された保護層は、無機物酸化物、例えば、シリカ(SiO2)、二酸化チタン、ジルコニア、酸化亜鉛などをゾル、コロイド状態として使用するか、またはメルカプタン化合物を使用することができて、特に好ましくは、炭素数が2〜24個のアルキルまたはアリールグループが導入されたメルカプタン、例えば、1−ヘキシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、ベンゾメルカプタン、メルカプトアセト酸、メルカプトベンジルアルコール、メルカプトエタノール、メルカプトエチルエーテル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリジン、メルカプトフェノール、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオールまたは2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどを使用することができる。前記保護層の物質は、1種または2種以上混合して、多様な方法により使用することができる。
【0042】
前記保護層の熱処理は、通常50〜300℃、好ましくは、60〜200℃、より好ましくは70〜150℃で熱処理することが薄膜の物性のために好ましい。付加的に、前記範囲内で、低温と高温で2段階以上加熱処理することも、薄膜の均一性のために好ましい。例えば、80〜150℃で1〜30分間処理して、150〜300℃で1〜30分間処理することが好ましい。
【0043】
前記保護層のコーティング方法は、インクの物性によって、それぞれスピンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フロー(flow)コーティング、ドクターブレード(doctor blade)とディスペンシング、インクジェットプリンティング、オフセットプリンティング、スクリーンプリンティング、パッド(pad)プリンティング、グラビアプリンティング、フレキソプリンティング、ステンシルプリンティング、インプリンティング(imprinting)、ゼログラフィー(xerography)、リソグラフィーなどを選択して使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による透明導電膜の断面図である。
【図2】本発明の実施例18に係る透明導電膜の透過率測定グラフである。
【図3】本発明の実施例23に係る透明導電膜の透過率測定グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
*透明層溶液の製造
(実施例1)
攪拌器付き250mlシュレンク(Schlenk)フラスコにメタノール10mlとナフテン酸5gを添加して80℃で攪拌しながら、28重量%アンモニア水溶液2mlを添加して1時間反応させ、20重量%バリウムニトレート水溶液9.3mlをシュレンク(Schlenk)フラスコに徐々に滴加した後、ナフテン酸バリウム(barium naphthenate)溶液を製造する。この溶液を濾過してナフテン酸バリウムを取って、ヘキサンで再び溶かして濾過した後、不純物の除去されたナフテン酸バリウム溶液を製造する。この溶液をバリウム含量が0.3重量%になるようにヘキサンで希釈し、透明層用インク組成物を製造した。
【0047】
(実施例2)
攪拌器付き250mlシュレンク(Schlenk)フラスコにメタノール10mlとネオデカン酸5gを添加して80℃で攪拌しながら、28重量%アンモニア水溶液4mlを添加して1時間反応させ、30重量%カルシウムニトレート水溶液8mlをシュレンク(Schlenk)フラスコに徐々に滴加した後、ネオデカン酸カルシウム(calcium neodecanoate)溶液を製造する。この溶液を濾過してネオデカン酸カルシウムを取って、ヘキサンで再び溶かして濾過した後、不純物の除去されたネオデカン酸カルシウム溶液を製造する。この溶液をカルシウム含量が0.3重量%になるようにヘキサンで希釈し、透明層用インク組成物を製造した。
【0048】
(実施例3)
攪拌器付き250mlシュレンク(Schlenk)フラスコにメタノール10mlとナフテン酸5gを添加して80℃で攪拌しながら、28重量%アンモニア水溶液2mlを添加して1時間反応させ、20重量%アルミニウムニトレート水溶液13.4mlをシュレンク(Schlenk)フラスコに徐々に滴加した後、ナフテン酸アルミニウム(aluminum naphthenate)溶液を製造する。この溶液を濾過してナフテン酸アルミニウムを取って、ヘキサンで再び溶かして濾過した後、不純物の除去されたナフテン酸アルミニウム溶液を製造する。この溶液をアルミニウム含量が0.2重量%になるようにヘキサンで希釈し、透明層用インク組成物を製造した。
【0049】
(実施例4)
攪拌器付き250mlシュレンク(Schlenk)フラスコにメタノール10mlとネオデカン酸5gを添加して80℃で攪拌しながら、28重量%アンモニア水溶液4mlを添加して1時間反応させ、20重量%コバルトニトレート水溶液21.1mlをシュレンク(Schlenk)フラスコに徐々に滴加した後、ネオデカン酸コバルト(cobalt neodecanoate)溶液を製造する。この溶液を濾過してネオデカン酸コバルトを取って、ヘキサンで再び溶かして濾過した後、不純物の除去されたネオデカン酸コバルト溶液を製造する。この溶液をコバルト含量が0.2重量%になるようにヘキサンで希釈し、透明層用インク組成物を製造した。
【0050】
(実施例5)
攪拌器付き250mlシュレンク(Schlenk)フラスコにメタノール10mlとナフテン酸5gを添加して80℃で攪拌しながら、28重量%アンモニア水溶液2mlを添加して1時間反応させ、45重量%マンガンニトレート水溶液1.9mlをシュレンク(Schlenk)フラスコに徐々に滴加した後、ナフテン酸マンガン(manganese naphthenate)溶液を製造する。この溶液を濾過してナフテン酸マンガンを取って、ヘキサンで再び溶かして濾過した後、不純物の除去されたナフテン酸マンガン溶液を製造する。この溶液をマンガン含量が0.4重量%になるようにヘキサンで希釈し、透明層用インク組成物を製造した。
【0051】
(実施例6)
攪拌器付き250mlシュレンク(Schlenk)フラスコにメタノール10mlとナフテン酸5gを添加して80℃で攪拌しながら、28重量%アンモニア水溶液2mlを添加して1時間反応させ、20重量%ジンクニトレート水溶液10.6mlをシュレンク(Schlenk)フラスコに徐々に滴加した後、ナフテン酸亜鉛(zinc naphthenate)溶液を製造する。この溶液を濾過してナフテン酸亜鉛を取って、ヘキサンで再び溶かして濾過した後、不純物の除去されたナフテン酸亜鉛溶液を製造する。この溶液をジンク含量が0.3重量%になるようにヘキサンで希釈し、透明層用インク組成物を製造した。
【0052】
(実施例7)
攪拌器付き250mlシュレンク(Schlenk)フラスコにメタノール10mlとナフテン酸5gを添加して80℃で攪拌しながら、28重量%アンモニア水溶液2mlを添加して1時間反応させ、20重量%マグネシウムニトレート水溶液9.2mlをシュレンク(Schlenk)フラスコに徐々に滴加した後、ナフテン酸マグネシウム(magnesium naphthenate)溶液を製造する。この溶液を濾過してナフテン酸マグネシウムを取って、ヘキサンで再び溶かして濾過した後、不純物の除去されたナフテン酸マグネシウム溶液を製造する。この溶液をマグネシウム含量が0.2重量%になるようにヘキサンで希釈し、透明層用インク組成物を製造した。
【0053】
(実施例8)
実施例1で製造された溶液と実施例2で製造された溶液とを50/50vol%の比率で混合して透明層用溶液を製造した。
【0054】
(実施例9)
実施例4で製造された溶液と実施例7で製造された溶液とを50/50vol%の比率で混合して透明層用溶液を製造した。
【0055】
*導電層用溶液の製造
(実施例10)
攪拌器付き250mlのシュレンク(Schlenk)フラスコに、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート33.7g(141.9ミリモル)を入れて、酸化銀10.0g(43.1ミリモル)を添加し、常温で2時間攪拌しながら反応させた。反応が進行されるにつれて、最初は黒色懸濁液(Slurry)から錯化合物が生成されるにつれて段々色が薄くなり、最終的には粘度0.31pa.sの黄色の透明な液状銀錯体化物43.7gが得られて、熱分析(TGA)の結果、銀含量は22.0重量%であった。この銀錯化合物を、銀含量が0.75重量%になるようにメタノールで希釈して、導電層用溶液を製造した。
【0056】
(実施例11)
実施例10の方法により製造するが、銀含量が1.0重量%になるようにメタノールで希釈し、導電層用溶液を製造した。
【0057】
(実施例12)
実施例10の方法により製造するが、銀含量が0.3重量%になるようにメタノールで希釈し、導電層用溶液を製造した。
【0058】
*保護層用溶液の製造
(実施例13)
5nm大きさのシリカゾル(製品名:NYASIL 5、製造社:NYACOL社)溶液を、シリカ含量が1重量%になるようにメタノールで希釈し、保護層用溶液を製造した。
【0059】
(実施例14)
1−ヘキシルメルカプタン(製造社:Aldrich社)10gとメタノール350gを混合した後、1時間攪拌して保護層用溶液を製造した。
【0060】
*透明導電膜の製造
(実施例15)
透明導電膜の製造のために、スピンコーティング用ガラス基板を用意した後、まずエタノールを利用してガラス基板表面の塵を除去した後、乾燥機で50℃で乾燥した。30分間以上乾燥されたガラス基板をスピンコーターに位置させて、実施例2の組成物20mlをガラス基板上に注いで30rpmで回転させて透明層を形成し、100℃で1分間乾燥した後、実施例12の組成物20mlを透明層上に注いで30rpmで回転させて導電層を形成し、2分間120℃で乾燥して透明導電膜を製造した。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0061】
(実施例16)
透明導電膜の製造のために、スピンコーティング用ガラス基板を用意した後、まずエタノールを利用してガラス基板表面の塵を除去した後、乾燥機で50℃で乾燥した。30分間以上乾燥されたガラス基板をスピンコーターに位置させて、実施例2の組成物20mlをガラス基板上に注いで30rpmで回転させて透明層を形成し、100℃で1分間乾燥した後、実施例12の組成物20mlを透明層上に注いで30rpmで回転させて導電層を形成した。2分間120℃で乾燥した後、実施例13の組成物を300rpmで回転させて保護層を形成し、透明導電膜を製造した。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0062】
(実施例17)
実施例11の組成物を使用して導電層を形成したことを除いては、実施例16と同様な方法により行った。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0063】
(実施例18)
実施例1の組成物を使用して透明層を形成して、実施例14の組成物を保護層に使用したことを除いては、実施例16と同様な方法により行った。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0064】
(実施例19)
実施例3の組成物を使用して透明層を形成したことを除いては、実施例16と同様な方法により行った。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0065】
(実施例20)
実施例4の組成物を使用して透明層を形成したことを除いては、実施例16と同様な方法により行った。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0066】
(実施例21)
実施例5の組成物を使用して透明層を形成したことを除いては、実施例16と同様な方法により行った。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0067】
(実施例22)
実施例6の組成物を使用して透明層を形成したことを除いては、実施例16と同様な方法により行った。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0068】
(実施例23)
実施例7の組成物を使用して透明層を形成したことを除いては、実施例16と同様な方法により行った。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0069】
(実施例24)
実施例8の組成物を使用して透明層を形成したことを除いては、実施例16と同様な方法により行った。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0070】
(実施例25)
実施例9の組成物を使用して導電層を形成したことを除いては、実施例16と同様な方法により行った。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0071】
(比較例1)
透明導電膜の製造のために、スピンコーティング用ガラス基板を用意した後、まずエタノールを利用してガラス基板表面の塵を除去した後、乾燥機で50℃で乾燥した。30分間以上乾燥されたガラス基板をスピンコーターに位置させて、実施例12の組成物20mlをガラス基板上に注いで30rpmで回転させて透明導電膜を形成した後、120℃で2分間乾燥した。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0072】
(比較例2)
透明導電膜の製造のために、スピンコーティング用ガラス基板を用意した後、まず一般洗浄液を利用してガラス基板表面の塵を除去した後、乾燥機で50℃で乾燥した。30分間以上乾燥されたガラス基板をスピンコーターに位置させて、PEDOT/PSS(Bayer社製品)20mlをガラス基板上に注いで30rpmで回転させて透明導電膜を形成した後、120℃で2分間乾燥した。製造された透明導電膜の面抵抗、透過率及び経時変化の結果を表1に示した。
【0073】
[表1]
実施例及び比較例で製造された透明導電膜の物性データ

【0074】
(1)経時変化の評価:透明導電膜の製造30日後の面抵抗の変化を測定
○:面抵抗の変化がない場合
△:面抵抗の変化が10%以内
×:面抵抗の変化が10%以上
(2)伝導度の評価:パターン1cm×3cmの長方形サンプルを製作後、これを(AIT)CMT−SR1000Nで面抵抗測定。
(3)透過率の評価:パターン2cm×2cmの正方形サンプルを製作後、分光光度計(PerkinElmer Model lambla-650)で透過率測定。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、特殊な構造を有する銀錯体化合物と有機酸金属塩を利用して、少なくとも1層以上の複合多層膜から構成された透明導電膜及びその製造方法に関する。
【0076】
本発明は、溶液工程を通じて、抵抗特性及び透過率に優れた透明導電膜及びこれを製造する方法を提供する。
【0077】
本発明によると、製造工程が簡単で、且つ伝導度と透過率に優れた大面積の透明導電膜を得ることができる。
【0078】
また、本発明の透明導電膜を使用して、表示素子の電源印加用、家電機器の電子波遮蔽膜、そしてLCD、OLED、FED、PDP、フレキシブルディスプレイ、電子ペーパーなどの各種ディスプレイ分野の透明電極など、電気電子装備の必須的な構成要素として使用されている導電膜を提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 基材層
2 透明層
3 導電層
4 保護層
10 透明導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材に、有機酸金属塩を含む透明層溶液を塗布して透明層を形成する段階と、
前記透明層に、下記化学式1で表される銀化合物と、化学式2のアンモニウムカルバメート系化合物、化学式3のアンモニウムカーボネート系化合物、化学式4のアンモニウムバイカーボネート系化合物またはこれらの混合物とを反応させて得られる銀錯体化合物を含有する導電層溶液を塗布して導電層を形成する段階と、
を含むことを特徴とする、透明導電膜の製造方法。
[化学式1]

[化学式2]

[化学式3]

[化学式4]

(式中、Xは、酸素、硫黄、ハロゲン、シアノ、シアネート、カーボネート、ニトレート、ニトライト、サルフェート、ホスフェート、チオシアネート、クロレート、パークロレート、テトラフロロボレート、アセチルアセトネート、カルボキシレート、及びこれらの誘導体から選ばれる置換基であり、
nは、1〜4の整数であり、
〜Rは、互いに独立して、水素、C〜C30の脂肪族や脂環族アルキル基またはアリールやアラルキル(aralkyl)基、官能基が置換されたアルキル及びアリール基、ヘテロ環化合物と高分子化合物、及びこれらの誘導体から選択される置換基であって、RとRまたはRとRは、互いに独立して、ヘテロ原子が含まれるか含まれないアルキレンで連結されて環を形成することができる。)
【請求項2】
透明基材が、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ナイロン(Nylon)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)またはガラスであることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項3】
有機酸金属塩が、炭素数3〜28個の有機酸を含む有機酸金属塩であることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項4】
有機酸金属塩の有機酸が、ブチル酸(butyric acid)、バレリン酸(valeric acid)、アクリル酸(acrylic acid)、ピバル酸(pivalic acid)、n−ヘキサン酸(hexanoic acid)、t−オクタン酸(octanoic acid)、2−エチル−ヘキサン酸(2-ethyl-hexanoic acid)、ネオデカン酸(neodecanoic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、ステアリン酸(stearic acid)、オレイン酸(oleic acid)、ナフテン酸(naphthenic acid)、ドデカン酸(dodecanoic acid)またはリノール酸(linoleic acid)から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項5】
有機酸金属塩における金属が、Li、Na、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Al、Ga、In、Tl、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、SmまたはEuから選択されることを特徴とする、請求項3に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項6】
有機酸金属塩が、n−ヘキサン酸マンガン、t−オクタン酸マグネシウム、ナフテン酸リチウム、ネオデカン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸銀、ネオデカン酸亜鉛、ステアリン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸アルミニウム、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸バリウム、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸バナジウム、ナフテン酸ジルコニウム、ナフテン酸ストロンチウム、オレイン酸錫、t−オクタン酸インジウム、ジアクリル酸亜鉛、ネオデカン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸銅、ステアリン酸鉄、オレイン酸ニッケル、ネオデカン酸カルシウム、ネオデカン酸バリウム、ドデカン酸セシウム、リノール酸鉛またはナフテン酸セリウムから1種以上選択されて、単独または混合されて使用されることを特徴とする、請求項5に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項7】
有機酸金属塩が、透明層溶液の全重量に対して0.01〜10重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項8】
前記銀化合物が、酸化銀、チオシアネート化銀、シアン化銀、シアネート化銀、炭酸銀、硝酸銀、亜硝酸銀、硫酸銀、燐酸銀、過塩素酸化銀、四フッ素ボレート化銀、アセチルアセトネート化銀、酢酸銀、乳酸銀、シュウ酸銀、及びこれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項9】
〜Rが、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、ヘキシル、エチルヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アリール、ヒドロキシ、メトキシ、メトキシエチル、メトキシプロピル、シアノエチル、エトキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、ヘキサメチレンイミン、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン、カルボキシメチル、トリメトキシシリルプロピル、トリエトキシシリルプロピル、フェニル、メトキシフェニル、シアノフェニル、フェノキシ、トリル、ベンジル、ポリアリルアミン、ポリエチレンアミン、及びこれらの誘導体から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項10】
前記化学式2のアンモニウムカルバメート系化合物は、アンモニウムカルバメート(ammonium carbamate)、エチルアンモニウムエチルカルバメート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカルバメート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカルバメート、イソブチルアンモニウムイソブチルカルバメート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカルバメート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカルバメート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカルバメート、2―メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカルバメート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカルバメート、ジブチルアンモニウムジブチルカルバメート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカルバメート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカルバメート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカルバメート、モルホリニウムモルホリンカルバメート、ピリジニウムエチルヘキシルカルバメート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルバイカルバメート、ベンジルアンモニウムベンジルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカルバメート、及びこれらの誘導体からなる群から選ばれた1種または2種以上の混合物であり、前記化学式3のアンモニウムカーボネート系化合物は、アンモニウムカーボネート(ammonium carbonate)、エチルアンモニウムエチルカーボネート、イソプロピルアンモニウムイソプロピルカーボネート、n−ブチルアンモニウムn−ブチルカーボネート、イソブチルアンモニウムイソブチルカーボネート、t−ブチルアンモニウムt−ブチルカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウム2−エチルヘキシルカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウム2−メトキシエチルカーボネート、2−シアノエチルアンモニウム2−シアノエチルカーボネート、オクタデシルアンモニウムオクタデシルカーボネート、ジブチルアンモニウムジブチルカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムジオクタデシルカーボネート、メチルデシルアンモニウムメチルデシルカーボネート、ヘキサメチレンイミンアンモニウムヘキサメチレンイミンカーボネート、モルホリンアンモニウムモルホリンカーボネート、ベンジルアンモニウムベンジルカーボネート、トリエトキシシリルプロピルアンモニウムトリエトキシシリルプロピルカーボネート、トリエチレンジアミニウムイソプロピルカーボネート、及びこれらの誘導体から選択される1種または2種以上の混合物であり、前記化学式4のアンモニウムバイカーボネート系化合物は、アンモニウムバイカーボネート(ammonium bicarbonate)、イソプロピルアンモニウムバイカーボネート、t−ブチルアンモニウムバイカーボネート、2−エチルヘキシルアンモニウムバイカーボネート、2−メトキシエチルアンモニウムバイカーボネート、2−シアノエチルアンモニウムバイカーボネート、ジオクタデシルアンモニウムバイカーボネート、ピリジニウムバイカーボネート、トリエチレンジアミニウムバイカーボネート、及びこれらの誘導体から選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項11】
導電層溶液が、溶媒、安定剤、薄膜補助剤、分散剤、バインダー樹脂、還元剤、界面活性剤、湿潤剤、揺変剤またはレベリング剤から選択される1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項12】
前記溶媒が、水、アルコール、グリコール、アセテート、エーテル、ケトン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、またはハロゲン化炭化水素系溶媒から選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項11に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項13】
前記安定剤が、アミン化合物、下記化学式2のアンモニウムカルバメート系化合物、下記化学式3のアンモニウムカーボネート系化合物、下記化学式4のアンモニウムバイカーボネート系化合物、リン化合物または硫黄化合物から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項11に記載の透明導電膜の製造方法。
[化学式2]

[化学式3]

[化学式4]

(上記化学式2乃至4において、R〜Rは、互いに独立して、水素、C〜C30の脂肪族や脂環族アルキル基またはアリールやアラルキル(aralkyl)基、官能基が置換されたアルキル及びアリール基、ヘテロ環化合物と高分子化合物、及びこれらの誘導体から選択される置換基であって、RとRまたはRとRは、互いに独立して、ヘテロ原子が含まれるか含まれないアルキレンで連結されて環を形成することができる。)
【請求項14】
リン化合物が、下記化学式5乃至7で表される化合物から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の透明導電膜の製造方法。
[化学式5]

[化学式6]
(RO)
[化学式7]
(RO)PO
(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキルまたはアリール基から選択される置換基である。)
【請求項15】
硫黄化合物が、ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、ジエチルサルファイド、テトラヒドロチオフェン、アリルジサルファイド、メルカプトベンゾチアゾール、アルキルメルカプトアセテート、またはオクチルチオグリコレートから選択されることを特徴とする、請求項13に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項16】
薄膜補助剤が、有機酸、有機酸アンモニウム塩、または有機酸金属塩から選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項11に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項17】
有機酸が、酢酸(acetic acid)、シュウ酸(oxalic acid)、クエン酸(citric acid)、乳酸(Lactic acid)、マレイン酸(maleic acid)、アクリル酸(acrylic acid)、ブチル酸(butyric acid)、バレリン酸(valeric acid)、ピバル酸(pivalic acid)、n−ヘキサン酸(hexanoic acid)、t−オクタン酸(octanoic acid)、2−エチル−ヘキサン酸(2-ethyl-hexanoic acid)、ネオデカン酸(neodecanoic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、ステアリン酸(stearic acid)、オレイン酸(oleic acid)、ナフテン酸(naphthenic acid)、ドデカン酸(dodecanoic acid)またはリノール酸(linoleic acid)から選択されて、有機酸金属塩の金属が、Au、Cu、Zn、Ni、Co、Pd、Pt、Ti、V、Mn、Fe、Cr、Zr、Nb、Mo、W、Ru、Cd、Ta、Re、Os、Ir、Al、Ga、Ge、In、Sn、Sb、Pb、Bi、Sm、Eu、AcまたはThから選択されることを特徴とする、請求項16に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項18】
導電層の形成後、無機酸化物またはメルカプタン化合物を塗布して保護層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項19】
無機酸化物が、シリカ(SiO2)、二酸化チタン、ジルコニア、または酸化亜鉛から選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項18に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項20】
メルカプタン化合物は、炭素数が2〜24個のアルキルまたはアリールグループが導入されたメルカプタン化合物から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項21】
メルカプタン化合物が、1−ヘキシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、オクタデシルメルカプタン、ベンゾメルカプタン、メルカプトアセト酸、メルカプトベンジルアルコール、メルカプトエタノール、メルカプトエチルエーテル、メルカプトイミダゾール、メルカプトピリジン、メルカプトフェノール、1,2−エタンジチオール、1,2−プロパンジチオールまたは2,3−ジメルカプト−1−プロパノールから選択される1種または2種以上の混合物であることを特徴とする、請求項19に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項22】
塗布方法が、スピンコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フロー(flow)コーティング、ドクターブレード(doctor blade)とディスペンシング、インクジェットプリンティング、オフセットプリンティング、スクリーンプリンティング、パッド(pad)プリンティング、グラビアプリンティング、フレキソプリンティング、ステンシルプリンティング、インプリンティング(imprinting)、ゼログラフィー(xerography)、リソグラフィー方法から選択されることを特徴とする、請求項1または18に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項23】
透明層溶液の塗布後、導電層溶液の塗布後、または無機酸化物の塗布後に、熱処理段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1または18に記載の透明導電膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−531033(P2010−531033A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512086(P2010−512086)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003352
【国際公開番号】WO2008/153356
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(505335441)インクテック カンパニー リミテッド (19)
【Fターム(参考)】