説明

透明導電膜形成方法

【課題】有機膜上に、光透過性、導電性が従来より高い透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法を提供する。
【解決手段】
有機膜上に透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、酸素ガスを含まない雰囲気中に、金属酸化物の粒子を放出させ、有機膜上に到達させ、有機膜上に金属酸化物膜27を形成する金属酸化物膜形成工程と、金属酸化物膜27を酸化又は還元して第一の透明導電膜27’を形成する金属酸化物膜改質工程とを有している。成膜中に有機膜が酸素ガス又は酸素イオン、ラジカルで損傷することがない。また金属酸化物膜27を酸化又は還元させ、その酸素含有量を増減させることにより所望の膜質の透明導電膜27’が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電膜形成方法に係り、特に有機EL表示装置、有機EL照明、有機イメージセンサ、有機太陽電池などの有機半導体素子に用いられる透明導電膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来の透明導電膜形成方法を用いて形成された有機半導体素子102の内部構成図である。
この有機半導体素子102は、基板111を有し、この基板111表面には、電極層121と、正孔注入層122と、正孔輸送層123と、有機発光層124と、電子輸送層125と、電子注入層126と、透明導電膜128とがこの順序で積層されて配置されている。
【0003】
正孔注入層122と、正孔輸送層123と、有機発光層124と、電子輸送層125は有機膜であり、電子注入層126は有機膜、金属ドープ有機膜、又は15nm以下の薄い膜厚の半透明金属膜である。
【0004】
電極層121と透明導電膜128に、不図示の電源の正端子と負端子をそれぞれ接続し、電極層121と透明導電膜128との間に電圧を印加すると、正孔注入層122から正孔輸送層123に正孔が注入され、電子注入層126から電子輸送層125に電子が注入される。正孔は正孔輸送層123内を輸送されて有機発光層124内に移動し、電子は電子輸送層125内を輸送されて有機発光層124内に移動する。有機発光層124内では正孔と電子は再結合して発光する。
【0005】
電子輸送層125と、電子注入層126と、透明導電膜128とは、光透過性を有しており、有機発光層124内で生じた発光光は、電子輸送層125と、電子注入層126と、透明導電膜128とを順に透過して、外部へと放出される。
【0006】
従来の透明導電膜形成方法では、酸素ガス雰囲気中で、有機膜122〜126(電子注入層126が金属ドープ有機膜又は金属膜の場合には、有機膜122〜125と、金属ドープ有機膜又は金属膜126)上に透明導電膜128を直接成膜していた。成膜雰囲気中に酸素ガスを添加した際、酸素ガス、特にリアクティブスパッタ法で成膜するときに生じた酸素イオンや酸素ラジカルが電子注入層126やその下地の有機膜122〜125と反応し、これらの膜にダメージを与えるという問題があった。
【0007】
そこで、従来の透明導電膜形成方法では、電子注入層126やその下地の有機膜122〜125へのダメージを減らすために、成膜方法や成膜条件を制限し、例えばスパッタの成膜パワーを減少し、プラズマ中の粒子のエネルギーを減少させ、透明導電膜128を形成していた。しかし、この結果、透明導電膜128の導電性や透明性などの所要性能が低下し、有機半導体素子102の性能に影響してしまった。
【0008】
また、従来の透明導電膜形成方法では、透明導電膜128を成膜した後で、透明導電膜128全体の膜質を変えることはなく、導電性や光透過性を向上することができなかった。従って、有機半導体構造の膜122〜126の上に、上述のように制限された成膜条件で成膜した透明導電膜128は、そのままの膜質で放置するしかなかった。
【0009】
特許文献1では、上部透明導電膜を形成する場合の有機層へのダメージを回避するために、有機層上に障壁層を予め形成する方法が開示されているが、障壁層によって光透過性が低下したり、透明導電膜の導電性に影響するという不都合があった。
【0010】
特許文献2、3では、透明導電膜のホール注入性(仕事関数)を改善するために、形成したITO基板表面を改質する技術が開示されているが、ITO膜の表面だけしか改質することができず、ITO膜全体の導電性や光透過性などの性能を向上することはできないという不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−259628号公報
【特許文献2】特開2000−133064号公報
【特許文献3】特開2010−182637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、有機膜上に、光透過性、導電性が従来より高い透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明は、有機膜上に透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、酸素ガスを含まない雰囲気中に、金属酸化物の粒子を放出させ、前記粒子を前記有機膜上に到達させ、前記有機膜上に金属酸化物膜を形成する金属酸化物膜形成工程と、前記金属酸化物膜を酸化して第一の透明導電膜を形成する金属酸化物膜改質工程と、を有する透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記金属酸化物膜改質工程では、前記金属酸化物膜の表面が露出した状態を維持しながら、前記金属酸化物膜を、化学構造中に酸素を含有する酸素含有ガスのプラズマに曝して酸化させる透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記酸素含有ガスは、O2と、H2Oと、CO2と、COと、N2Oのうちいずれか一種類のガス又は二種類以上の混合ガスである透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記金属酸化物膜改質工程では、前記金属酸化物膜に酸素イオンを注入して酸化させる透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、有機膜上に透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、酸素ガスを含まない雰囲気中に、金属酸化物の粒子を放出させ、前記粒子を前記有機膜上に到達させ、前記有機膜上に金属酸化物膜を形成する金属酸化物膜形成工程と、前記金属酸化物膜を還元して第一の透明導電膜を形成する金属酸化物膜改質工程と、を有する透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記金属酸化物膜改質工程では、前記金属酸化物膜の表面が露出した状態を維持しながら、前記金属酸化物膜を、不活性ガス又は還元性ガスのうちいずれか一方のガスのプラズマに曝して還元させる透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記不活性ガスは、Arと、Heと、Neと、Krと、Xeのうちいずれか一種類のガスを含有する透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記還元性ガスは、H2と、COと、N2のうちいずれか一種類のガスを含有する透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記金属酸化物膜改質工程では、前記金属酸化物膜にArイオンと、Heイオンと、Neイオンと、Krイオンと、Xeイオンと、Hイオンと、Nイオンのうちいずれか一種類の陽イオンを注入して還元させる透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記金属酸化物膜形成工程では、金属酸化物材料を加熱して、酸素ガスを含まない雰囲気中に、前記金属酸化物材料から前記金属酸化物の蒸気を放出させ、前記蒸気を前記有機膜上に到達させ、前記有機膜上に前記金属酸化物膜を形成する透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記金属酸化物膜形成工程では、酸素ガスを含まないスパッタガスの雰囲気中で、金属酸化物のターゲットをスパッタし、前記ターゲットから前記金属酸化物の粒子を放出させ、前記粒子を前記有機膜上に到達させ、前記有機膜上に前記金属酸化物膜を形成する透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記スパッタガスは、Arと、Heと、Neと、Krと、Xeのうちいずれか一種類のガス又は二種類以上の混合ガスである透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記第一の透明導電膜は、錫ドープ酸化インジウム(ITO)と、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)と、アルミニウムドープ酸化インジウム(AZO)と、GZOと、ZnOと、SnO2と、In23と、酸化チタンと、酸化タングステンと、酸化Taと、酸化Moのうちいずれか一種類又は二種類以上の金属酸化物を含有する膜である透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記金属酸化物膜形成工程では、前記有機膜上に前記金属酸化物膜を1nm以上50nm以下の膜厚で形成する透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記金属酸化物膜形成工程と、前記金属酸化物膜改質工程とを、交互に複数回繰り返す透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記金属酸化物膜改質工程の後に、酸素ガスを含む雰囲気中に、金属酸化物の粒子を放出させ、前記粒子を前記第一の透明導電膜上に到達させ、前記第一の透明導電膜上に第二の透明導電膜を形成する第二の透明導電膜形成工程を有する透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記第二の透明導電膜は、錫ドープ酸化インジウム(ITO)と、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)と、アルミニウムドープ酸化インジウム(AZO)と、GZOと、ZnOと、SnO2と、In23と、Nb25と、酸化チタンと、酸化タングステンと、酸化Taと、酸化Moのうちいずれか一種類又は二種類以上の金属酸化物を含有する膜である透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記金属酸化物膜改質工程の後に、前記第一の透明導電膜が形成された処理対象物を、前記有機膜のガラス転位温度以下の加熱温度で加熱処理するアニール工程を有する透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記第二の透明導電膜形成工程の後に、前記第二の透明導電膜が形成された処理対象物を、前記有機膜のガラス転位温度以下の加熱温度で加熱処理するアニール工程を有する透明導電膜形成方法である。
本発明は透明導電膜形成方法であって、前記加熱温度は、50℃以上200℃以下である透明導電膜形成方法である。
【発明の効果】
【0014】
有機膜上に、酸素ガスを含まない雰囲気中で、金属酸化物膜を形成するので、酸素ガス又は酸素イオン、酸素ラジカルにより有機膜が損傷することがなく、有機膜の性能が劣化しない。
金属酸化物膜を形成した後、金属酸化物膜を酸化又は還元させて、その酸素含有量を増加又は減少させ、予め決めておいた基準値にすることができるので、所望の膜質の第一の透明導電膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)(b):本発明の透明導電膜形成方法を説明するための図
【図2】有機半導体素子製造装置の第一例の模式図
【図3】(a)〜(d):有機膜成膜工程を説明するための図
【図4】第二の透明導電膜形成工程を説明するための図
【図5】本発明の透明導電膜形成方法を用いて形成された有機半導体素子の内部構成図
【図6】改質室の第一例の内部構成図
【図7】改質室の第二例の内部構成図
【図8】有機半導体素子製造装置の第二例の模式図
【図9】従来の透明導電膜形成方法を用いて形成された有機半導体素子の内部構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の透明導電膜形成方法を、有機半導体素子の製造方法を一例に説明する。
(有機膜成膜工程)
図2の符号30は、有機半導体素子製造装置の一例を示している。
【0017】
この有機半導体素子製造装置30は、搬送室31を有しており、搬送室31には、搬入・搬出室32と、第一、第二の有機成膜室33、34と、蒸着室35と、第一のPVD室36と、改質室37と、第二のPVD室38と、封止室39とが、ゲートバルブ40を介してそれぞれ接続されている。
各室31〜39内とゲートバルブ40内とは、大気から遮断され、不図示の真空排気装置により、真空排気されている。
【0018】
搬送室31内には、搬送装置41が配置されており、ゲートバルブ40を介して搬送室31と他の各室32〜39との間で基板の搬入、搬出ができるように構成されている。
搬入・搬出室32内には、成膜処理前の処理対象物10が複数枚予め搬入されている。図3(a)を参照し、ここでは、処理対象物10は、基板11と、基板11の表面に形成された電極層21とを有している。
【0019】
図2を参照し、搬入・搬出室32内の処理対象物10を、搬送装置41によって、搬入・搬出室32内から搬出し、第一の有機成膜室33内に搬入する。
第一の有機成膜室33内には、不図示の二つの蒸発源が配置され、一方の蒸発源内には正孔注入層の有機材料が配置され、他方の蒸発源内には正孔輸送層の有機材料が配置されている。
【0020】
正孔注入層の有機材料が配置された蒸発源から正孔注入層の有機材料の蒸気を放出させ、図3(b)を参照し、電極層21の表面に到着させて、電極層21の表面に正孔注入層22を形成し、次いで、正孔輸送層の有機材料が配置された蒸発源から正孔輸送層の有機材料の蒸気を放出させ、正孔注入層22の表面に到着させて、正孔注入層22の表面に正孔輸送層23を形成する。
【0021】
正孔輸送層23を形成した後、正孔注入層22と正孔輸送層23とが形成された処理対象物10を、図2を参照し、搬送装置41によって、第一の有機成膜室33内から搬出し、第二の有機成膜室34内に搬入する。
第二の有機成膜室34内には、不図示の蒸発源が配置され、蒸発源内には有機発光層の有機材料が配置されている。
【0022】
この蒸発源から有機発光層の有機材料の蒸気を放出させ、図3(c)を参照し、正孔輸送層23の表面に到達させ、正孔輸送層23の表面に有機発光層24を形成する。
有機発光層24を形成した後、有機発光層24が形成された処理対象物10を、図2を参照し、搬送装置41によって、第二の有機成膜室34内から搬出し、蒸着室35内に搬入する。
蒸着室35内には、不図示の二つの蒸発源が配置され、一方の蒸発源内には電子輸送層の有機材料が配置され、他方の蒸発源内には電子注入層の有機材料が配置されている。
【0023】
電子輸送層の有機材料が配置された蒸発源から電子輸送層の有機材料の蒸気を放出させ、図3(d)を参照し、有機発光層24の表面に到達させて、有機発光層24の表面に電子輸送層25を形成し、次いで、電子注入層の有機材料が配置された蒸発源から電子注入層の有機材料の蒸気を放出させ、電子輸送層25の表面に到達させて、電子輸送層25の表面に電子注入層26を形成する。
【0024】
なお、電子注入層26は有機膜に限定されず、電子注入層の有機材料と金属材料の蒸気を電子輸送層25の表面に一緒に到達させて金属ドープ有機膜からなる電子注入層26を形成してもよいし、電子注入層の金属材料の蒸気を電子輸送層25の表面に到達させて金属膜からなる電子注入層26を形成してもよい。金属膜からなる電子注入層26を形成する場合には、電子注入層26の膜厚は15nm以下が好ましい。15nmより厚くなると、光透過性が得られないからである。
【0025】
(金属酸化物膜形成工程)
電子注入層26を形成した後、電子注入層26が表面に露出する処理対象物10を、搬送装置41によって、蒸着室35内から搬出し、第一のPVD室36内に搬入する。
本実施例では、第一のPVD室36には第一のスパッタガス供給装置42が接続されており、第一のPVD室36内には不図示の第一のターゲットが配置されている。
【0026】
第一のターゲットは、錫ドープ酸化インジウム(ITO)と、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)と、アルミニウムドープ酸化インジウム(AZO)と、GZOと、ZnOと、SnO2と、In23と、酸化チタンと、酸化タングステンと、酸化Taと、酸化Moのうちいずれか一種類又は二種類以上の金属酸化物から構成されている。
【0027】
金属酸化物膜の成膜条件と、その成膜条件で形成される金属酸化物膜の酸素含有量との間には対応関係がある。本実施例では、金属酸化物膜の成膜条件を予め決めておき、その成膜条件で形成される金属酸化物膜の酸素含有量を予めEPMA等の分析装置を用いた測定試験やシミュレーションで求めて、記憶しておく。
【0028】
第一のPVD室36内に成膜対象物10を搬入した後、成膜対象物10の表面に露出する電子注入層26の表面を第一のターゲットの表面と対向させ、第一のスパッタガス供給装置42から第一のPVD室36内にスパッタガスを供給する。
【0029】
スパッタガスは、Arと、Heと、Neと、Krと、Xeのうちいずれか一種類のガス又は二種類以上の混合ガスであり、酸素ガスを含まない。
酸素ガスを含まないスパッタガスの雰囲気中で、プラズマを生成し、予め決めておいた成膜条件で、第一のターゲットをスパッタし、第一のターゲットからスパッタ粒子を放出させ、図1(a)を参照し、電子注入層26の表面にスパッタ粒子を到達させ、電子注入層26の表面に金属酸化物膜27を形成する。
【0030】
金属酸化物膜27は、第一のターゲットと同じ金属酸化物から構成されており、第一のターゲットは酸素原子を含んでいるから、形成される金属酸化物膜27は酸素原子を含んでいる。
本実施例では、予め決めておいた成膜条件で成膜しており、形成された金属酸化物膜27の酸素含有量は、あらかじめ記憶しておいた酸素含有量と同じになる。すなわち、形成された金属酸化物膜27の酸素含有量が分かる。
スパッタガスは酸素ガスを含まないので、金属酸化物膜27の形成中に、電子注入層26やその下地の各有機膜22〜25が酸素イオンや酸素ラジカルと反応して損傷することはない。
【0031】
金属酸化物膜27の膜厚が1nm以上50nm以下の所望の膜厚に達したら、スパッタを停止する。金属酸化物膜27の膜厚が薄いほど、後述する金属酸化物膜改質工程において、金属酸化物膜27全体を酸化又は還元させやすいが、膜厚が1nm未満であると金属酸化物膜27の下地の各層22〜26も酸化又は還元反応を受けてしまう。また、金属酸化物膜27が50nmより厚いと、金属酸化物膜27全体を酸化又は還元させることが困難である。
【0032】
(金属酸化物膜改質工程)
金属酸化物膜27を形成した後、表面に金属酸化物膜27が露出する処理対象物10を、搬送装置41によって、第一のPVD室36内から搬出し、改質室37内に搬入する。
【0033】
図6の符号37aは、この改質室37の一例を示している。
改質室37aは、真空槽61と、酸素含有ガス源621と、不活性ガス源622と、還元性ガス源623と、第一、第二、第三の流量制御装置631、632、633と、プラズマ発生源64とを有している。
【0034】
真空槽61には真空排気装置66と真空計67がそれぞれ接続され、真空槽61内は所望の圧力の真空雰囲気にされている。
プラズマ発生源64は、真空槽61の壁面に気密に挿通され、一部が真空槽61内に、他の一部が真空槽61の外側に配置されており、供給されたガスのプラズマを生成し、真空槽61内に放出させるように構成されている。
【0035】
酸素含有ガス源621と、不活性ガス源622と、還元性ガス源623は、真空槽61の外側に配置され、ガス導入管65を介してプラズマ発生源64に接続されている。酸素含有ガス源621と、不活性ガス源622と、還元性ガス源623とから、化学構造中に酸素を含有する酸素含有ガスと、不活性ガスと、還元性ガスとが、それぞれガス導入管65を通ってプラズマ発生源64に供給されるようになっている。
【0036】
第一、第二、第三の流量制御装置631、632、633は、酸素含有ガスと、不活性ガスと、還元性ガスとがそれぞれ通るガス導入管65の途中にそれぞれ取り付けられている。第一の流量制御装置631は、酸素含有ガス源621からプラズマ発生源64に供給される酸素含有ガスの流量を調節できるようにされ、第二の流量制御装置632は、不活性ガス源622からプラズマ発生源64に供給される不活性ガスの流量を調節できるようにされ、第三の流量制御装置633は、還元性ガス源623からプラズマ発生源64に供給される還元性ガスの流量を調節できるようにされている。
【0037】
また、酸素含有ガスと、不活性ガスと、還元性ガスとがそれぞれ通るガス導入管65の途中には開閉可能なバルブ69がそれぞれ取り付けられている。
プラズマ発生源64と対向する位置には基板保持部68が配置されている。
真空槽61内に成膜対象物10を搬入した後、金属酸化物膜27の表面がプラズマ発生源64と対向する向きで、成膜対象物10を基板保持部68に保持させる。
【0038】
有機膜上に形成する透明導電膜の酸素含有量(以下、基準値と呼ぶ)を、透明導電膜の目的(欲しい膜質)によって、予め決めておく。
金属酸化物膜形成工程後の金属酸化物膜27に含まれる酸素含有量は、金属酸化物膜形成工程の成膜条件から分かっており、この酸素含有量を予め決めておいた基準値と比較して、基準値より少なければ、プラズマ発生源64から酸素含有ガスのプラズマを放出させ、基準値より多ければ、プラズマ発生源64から不活性ガスと還元性ガスのいずれか一方のガス又は両方の混合ガスのプラズマを放出させる。
【0039】
ここでは、酸素含有ガスは、O2と、H2Oと、CO2と、COと、N2Oのうちいずれか一種類のガス又は二種類以上の混合ガスである。
不活性ガスは、ここではArと、Heと、Neと、Krと、Xeのうちいずれか一種類のガス又は二種類以上の混合ガスを含有し、還元性ガスは、H2と、COと、N2のうちいずれか一種類のガス又は二種類以上の混合ガスを含有する。
【0040】
成膜対象物10の金属酸化物膜27の表面は、プラズマ発生源64に向けられており、金属酸化物膜27は、表面が露出した状態を維持しながら、プラズマ発生源64から放出されたプラズマに曝される。
【0041】
金属酸化物膜27は、酸素含有ガスのプラズマに曝されると酸化反応して酸素含有量が増加し、不活性ガスと還元性ガスのいずれか一方のガス又は両方の混合ガスのプラズマに曝されると還元反応して酸素含有量が減少し、図1(b)を参照し、金属酸化物膜27は予め決めておいた基準値と同じ酸素含有量の第一の透明導電膜27’になる。
【0042】
酸素原子を含有する金属酸化物膜27を酸化又は還元反応させることにより、酸素原子を含有しない金属膜を酸化反応させる方法よりも短時間で容易に、その酸素含有量を予め決めておいた基準値に変更することができる。
【0043】
また、金属酸化物膜27の表面が露出した状態を維持しながら酸化又は還元反応させることにより、金属酸化物膜27の表面に付着物が付着してプラズマに対して陰を作ることはなく、酸化又は還元反応のムラが生じにくい。
【0044】
本実施例では、金属酸化物膜27をプラズマに曝すことにより、酸化又は還元ガスに曝す方法よりも反応速度が速く、生産性がよい。
なお、金属酸化物膜形成工程と金属酸化物膜改質工程とを交互に複数回繰り返して、第一の透明導電膜27’を複数層積層させてもよい。
【0045】
(第二の透明導電膜形成工程)
第一の透明導電膜27’を形成した後、第一の透明導電膜27’が形成された処理対象物10を、図2を参照し、搬送装置41によって、改質室37内から搬出し、第二のPVD室38内に搬入する。
第二のPVD室38には第二のスパッタガス供給装置45と反応ガス供給装置46とが接続されており、第二のPVD室38内には不図示の第二のターゲットが配置されている。
【0046】
第二のターゲットは、ITOと、IZOと、AZOと、GZOと、ZnOと、SnO2と、In23と、Nb25と、酸化チタンと、酸化タングステンと、酸化Taと、酸化Moのうちいずれか一種又は二種以上の金属酸化物から構成されている。
【0047】
成膜対象物10の第一の透明導電膜27’の表面を第二のターゲットの表面と対向させ、第二のPVD室38内に第二のスパッタガス供給装置45からスパッタガスを供給し、反応ガス供給装置46から酸素ガスを供給する。
【0048】
スパッタガスと酸素ガスとの混合ガスの雰囲気中で、プラズマを生成し、第二のターゲットをスパッタし、第二のターゲットからスパッタ粒子を放出させ、図4を参照し、第一の透明導電膜27’の表面にスパッタ粒子を到達させ、第一の透明導電膜27’の表面に第二の透明導電膜28を形成する。第二の透明導電膜28は、第二のターゲットと同じ金属酸化物から構成されている。
【0049】
酸素ガスを含む雰囲気中でスパッタリングを行うことにより、酸素ガスを含まない雰囲気中でスパッタリングを行うよりも酸素含有量の高い透明導電膜を形成することができ、また酸素ガスを含まない雰囲気中でスパッタリングした後に酸化させるよりも高速に透明導電膜を形成することができる。
電子注入層26は第一の透明導電膜27’で覆われており、電子注入層26やその下地の各有機膜22〜25がプラズマ中の酸素イオンや酸素ラジカルと反応して損傷することはない。
【0050】
(封止膜成膜工程)
第二の透明導電膜28が形成された処理対象物10を、図2を参照し、搬送装置41によって、第二のPVD室38内から搬出し、封止室39内に搬入する。
封止室39内では、図5を参照し、第二の透明導電膜28の表面に光透過性を有する封止膜29を形成して、有機半導体素子2を得る。
【0051】
得られた有機半導体素子2を、図2を参照し、搬送装置41によって、封止室39内から搬出し、搬入・搬出室32内に搬入する。次いで、搬入・搬出室32内から大気中に搬出する。図5を参照し、封止膜29により、封止膜29の下地の各層22〜28が大気中の水分や反応ガスと反応して劣化することが防止され、有機半導体素子2の性能が保持される。
【0052】
(加熱工程)
なお、上述の金属酸化物膜改質工程の後、第二の透明導電膜形成工程の前に、第一の透明導電膜27’が形成された成膜対象物10を、各有機膜22〜26のガラス転位温度以下の加熱温度で加熱処理してもよいし、第二の透明導電膜形成工程の後に、第二の透明導電膜28が形成された処理対象物10を、各有機膜22〜26のガラス転位温度以下の加熱温度で加熱処理してもよい。
【0053】
加熱処理により、第一の透明導電膜27’の膜質を均一化することができる。
加熱温度は、50℃以上200℃以下が好ましい。50℃より低いと、加熱不足で第一の透明導電膜27’の膜質を均一化することができず、200℃より高いと、熱により有機膜22〜26が損傷するおそれがある。
【0054】
(金属酸化物膜形成工程の別例)
本発明の金属酸化物膜形成工程は、酸素を含まない雰囲気中でのPVD法であれば、上述の金属酸化物膜形成工程に限定されない。
【0055】
金属酸化物膜形成工程の別例を説明する。
電子注入層26を形成した後、電子注入層26が表面に露出する処理対象物10を、搬送装置41によって、蒸着室35内から搬出し、第一のPVD室36内に搬入する。
本実施例では、第一のPVD室36内には、不図示の蒸着源が配置され、蒸着源内には金属酸化物膜の金属酸化物材料が配置されている。
【0056】
金属酸化物材料は、ITOと、IZOと、AZOと、GZOと、ZnOと、SnO2と、In23と、酸化チタンと、酸化タングステンと、酸化Taと、酸化Moのうちいずれか一種又は二種以上の金属酸化物から構成されている。
【0057】
金属酸化物膜の成膜条件と、その成膜条件で形成される金属酸化物膜の酸素含有量との間には対応関係がある。金属酸化物膜の成膜条件を予め決めておき、その成膜条件で形成される金属酸化物膜の酸素含有量を予め試験やシミュレーションで求めて、記憶しておく。
【0058】
酸素ガスを含まない真空雰囲気中で、予め決めておいた成膜条件で、蒸着源から金属酸化物材料の蒸気を放出させ、図1(a)を参照し、電子注入層26の表面に蒸気を到達させ、電子注入層26の表面に金属酸化物膜27を形成する。
【0059】
金属酸化物膜27は、金属酸化物材料と同じ金属酸化物から構成されており、金属酸化物材料は酸素原子を含んでいるから、形成される金属酸化物膜27は酸素原子を含んでいる。
本実施例では、予め決めておいた成膜条件で成膜しており、形成された金属酸化物膜27の酸素含有量は、あらかじめ記憶しておいた酸素含有量と同じになる。すなわち、形成された金属酸化物膜27の酸素含有量が分かる。
真空雰囲気中に酸素ガスを含まないので、金属酸化物膜27の形成中に、電子注入層26やその下地の各有機膜22〜25が酸素ガスと反応して損傷することはない。
【0060】
(金属酸化物膜改質工程の別例)
本発明の金属酸化物膜改質工程は、金属酸化物膜27を酸化又は還元させて所望の膜質の第一の透明導電膜27’を形成することができるならば、上述の金属酸化物膜改質工程に限定されない。
【0061】
金属酸化物膜改質工程の別例を説明する。
金属酸化物膜27を形成した後、表面に金属酸化物膜27が露出する処理対象物10を、搬送装置41によって、第一のPVD室36内から搬出し、改質室37内に搬入する。
【0062】
図7の符号37bは、この改質室37の一例を示している。
符号37bの改質室の構造のうち、上述の符号37aの改質室の構造と同じ部分には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0063】
符号37bの改質室は、符号37aの改質室のプラズマ発生源64の代わりにイオン銃74と基板バイアス電源79とを有している。
イオン銃74は、真空槽61の壁面に気密に挿通され、一部が真空槽61内に配置されて基板保持部68と対向され、他の一部が真空槽61の外側に配置されており、供給されたガスのプラズマを生成し、プラズマ中のイオンを真空槽61内に放出させるように構成されている。
【0064】
酸素含有ガス源621と、不活性ガス源622と、還元性ガス源623は、ガス導入管65を介してイオン銃74に接続されている。酸素含有ガス源621と、不活性ガス源622と、還元性ガス源623とから、酸素含有ガスと、不活性ガスと、還元性ガスとが、それぞれガス導入管65を通ってイオン銃74に供給されるようになっている。
【0065】
真空槽61は接地電位に置かれている。
基板バイアス電源79は基板保持部68に電気的に接続され、基板保持部68に接地電位に対して正電圧又は負電圧を印加できるようになっている。
【0066】
真空槽61内に処理対象物10を搬入した後、金属酸化物膜27の表面がイオン銃74と対向する向きで、処理対象物10を基板保持部68に保持させる。
有機膜上に形成する透明導電膜の酸素含有量(基準値)を、透明導電膜の目的(欲しい膜質)によって、予め決めておく。
【0067】
金属酸化物膜形成工程後の金属酸化物膜27に含まれる酸素含有量は、金属酸化物膜形成工程の成膜条件から分かっており、この酸素含有量を予め決めておいた基準値と比較して、基準値より少なければ、イオン銃74に酸素含有ガスを供給して酸素イオンを放出させ、基準値より多ければ、イオン銃74に不活性ガスと還元性ガスのいずれか一方のガス又は両方の混合ガスを供給して陽イオンを放出させる。
【0068】
陽イオンはここでは、Arイオンと、Heイオンと、Neイオンと、Krイオンと、Xeイオンと、Hイオンと、Nイオンのうちいずれか一種類又は二種類以上の陽イオンである。
本実施例では、基板バイアス電源79から基板保持部68に正電圧と負電圧とを交互に印加する。
【0069】
放出されたイオンの電荷とは逆極性の電圧が基板保持部68に印加されると、放出されたイオンは基板保持部68に引き寄せられて、処理対象物10の表面に露出する金属酸化物膜27に入射し、金属酸化物膜27内に侵入する。
【0070】
金属酸化物膜27は、酸素イオンが注入されると酸化反応して酸素含有量が増加し、陽イオンが注入されると還元反応して酸素含有量が減少し、金属酸化物膜27は予め決めておいた基準値と同じ酸素含有量の第一の透明導電膜27’になる。
【0071】
イオン銃74から放出させるイオンの量又は基板保持部68に印加する電圧の絶対値を増加又は減少させて、金属酸化物膜27の反応速度又は反応深度を増加又は減少させてもよい。
また、基板保持部68の一部分に他の部分とは異なる値の電圧を印加して、第一の透明導電膜27’の一部分を他の部分とは異なる膜質にしてもよい。
本実施例では、基板保持部68に正電圧と負電圧とを交互に印加しており、入射するイオンによって第一の透明導電膜27’の表面が削られることが抑制される。
【0072】
なお、本発明の透明導電膜形成方法に用いる装置は、図2を参照し、上述の枚葉式の有機半導体素子製造装置30の構成に限定されず、図8を参照し、各室35〜39がゲートバルブ40を介してこの順に直列に接続されたインライン式の有機半導体素子製造装置30’でもよい。
上述の説明では、本発明の透明導電膜形成方法を用いて、光を放出する有機半導体素子2を形成したが、イメージセンサや太陽電池等の光の入射を受ける有機半導体素子を形成してもよい。
【符号の説明】
【0073】
27……金属酸化物膜
27’……第一の透明導電膜
28……第二の透明導電膜


【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機膜上に透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、
酸素ガスを含まない雰囲気中に、金属酸化物の粒子を放出させ、前記粒子を前記有機膜上に到達させ、前記有機膜上に金属酸化物膜を形成する金属酸化物膜形成工程と、
前記金属酸化物膜を酸化して第一の透明導電膜を形成する金属酸化物膜改質工程と、
を有する透明導電膜形成方法。
【請求項2】
前記金属酸化物膜改質工程では、前記金属酸化物膜の表面が露出した状態を維持しながら、前記金属酸化物膜を、化学構造中に酸素を含有する酸素含有ガスのプラズマに曝して酸化させる請求項1記載の透明導電膜形成方法。
【請求項3】
前記酸素含有ガスは、O2と、H2Oと、CO2と、COと、N2Oのうちいずれか一種類のガス又は二種類以上の混合ガスである請求項2記載の透明導電膜形成方法。
【請求項4】
前記金属酸化物膜改質工程では、前記金属酸化物膜に酸素イオンを注入して酸化させる請求項1記載の透明導電膜形成方法。
【請求項5】
有機膜上に透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、
酸素ガスを含まない雰囲気中に、金属酸化物の粒子を放出させ、前記粒子を前記有機膜上に到達させ、前記有機膜上に金属酸化物膜を形成する金属酸化物膜形成工程と、
前記金属酸化物膜を還元して第一の透明導電膜を形成する金属酸化物膜改質工程と、
を有する透明導電膜形成方法。
【請求項6】
前記金属酸化物膜改質工程では、前記金属酸化物膜の表面が露出した状態を維持しながら、前記金属酸化物膜を、不活性ガス又は還元性ガスのうちいずれか一方のガスのプラズマに曝して還元させる請求項5記載の透明導電膜形成方法。
【請求項7】
前記不活性ガスは、Arと、Heと、Neと、Krと、Xeのうちいずれか一種類のガスを含有する請求項6記載の透明導電膜形成方法。
【請求項8】
前記還元性ガスは、H2と、COと、N2のうちいずれか一種類のガスを含有する請求項6記載の透明導電膜形成方法。
【請求項9】
前記金属酸化物膜改質工程では、前記金属酸化物膜にArイオンと、Heイオンと、Neイオンと、Krイオンと、Xeイオンと、Hイオンと、Nイオンのうちいずれか一種類の陽イオンを注入して還元させる請求項5記載の透明導電膜形成方法。
【請求項10】
前記金属酸化物膜形成工程では、金属酸化物材料を加熱して、酸素ガスを含まない雰囲気中に、前記金属酸化物材料から前記金属酸化物の蒸気を放出させ、前記蒸気を前記有機膜上に到達させ、前記有機膜上に前記金属酸化物膜を形成する請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の透明導電膜形成方法。
【請求項11】
前記金属酸化物膜形成工程では、酸素ガスを含まないスパッタガスの雰囲気中で、金属酸化物のターゲットをスパッタし、前記ターゲットから前記金属酸化物の粒子を放出させ、前記粒子を前記有機膜上に到達させ、前記有機膜上に前記金属酸化物膜を形成する請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の透明導電膜形成方法。
【請求項12】
前記スパッタガスは、Arと、Heと、Neと、Krと、Xeのうちいずれか一種類のガス又は二種類以上の混合ガスである請求項11記載の透明導電膜形成方法。
【請求項13】
前記第一の透明導電膜は、錫ドープ酸化インジウム(ITO)と、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)と、アルミニウムドープ酸化インジウム(AZO)と、GZOと、ZnOと、SnO2と、In23と、酸化チタンと、酸化タングステンと、酸化Taと、酸化Moのうちいずれか一種類又は二種類以上の金属酸化物を含有する膜である請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の透明導電膜形成方法。
【請求項14】
前記金属酸化物膜形成工程では、前記有機膜上に前記金属酸化物膜を1nm以上50nm以下の膜厚で形成する請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の透明導電膜形成方法。
【請求項15】
前記金属酸化物膜形成工程と、前記金属酸化物膜改質工程とを、交互に複数回繰り返す請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載の透明導電膜形成方法。
【請求項16】
前記金属酸化物膜改質工程の後に、酸素ガスを含む雰囲気中に、金属酸化物の粒子を放出させ、前記粒子を前記第一の透明導電膜上に到達させ、前記第一の透明導電膜上に第二の透明導電膜を形成する第二の透明導電膜形成工程を有する請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の透明導電膜形成方法。
【請求項17】
前記第二の透明導電膜は、錫ドープ酸化インジウム(ITO)と、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)と、アルミニウムドープ酸化インジウム(AZO)と、GZOと、ZnOと、SnO2と、In23と、Nb25と、酸化チタンと、酸化タングステンと、酸化Taと、酸化Moのうちいずれか一種類又は二種類以上の金属酸化物を含有する膜である請求項16記載の透明導電膜形成方法。
【請求項18】
前記金属酸化物膜改質工程の後に、前記第一の透明導電膜が形成された処理対象物を、前記有機膜のガラス転位温度以下の加熱温度で加熱処理するアニール工程を有する請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の透明導電膜形成方法。
【請求項19】
前記第二の透明導電膜形成工程の後に、前記第二の透明導電膜が形成された処理対象物を、前記有機膜のガラス転位温度以下の加熱温度で加熱処理するアニール工程を有する請求項16又は請求項17のいずれか1項記載の透明導電膜形成方法。
【請求項20】
前記加熱温度は、50℃以上200℃以下である請求項18又は請求項19のいずれか1項記載の透明導電膜形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−62185(P2013−62185A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200897(P2011−200897)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】