説明

透明層付き基板

【課題】製造コストが低く、透明層の不可視性に優れた透明層付き基板を提供する。
【解決手段】透明な基板1の一方の面に、透明導電層(第1の透明層)2と、これに隣接する透明隣接層(第2の透明層)3を、基板1側から透明導電層2、透明隣接層3の順に形成する。透明導電層2の屈折率(R1)と透明隣接層3の屈折率(R1)の比(R2/R1)を0.9以上1.1以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に透明層が形成されている透明層付き基板に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に複数の透明層が積層されている透明層付き基板は、フラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等)や太陽電池等の部材に様々な機能を付与するために用いられている。
透明層の機能としては、例えば、透明電極機能や電磁波シールド機能のような電気的機能や、傷つき防止や飛散防止のような物理的ダメージ保護機能、または反射防止、色補正、紫外線カット、赤外線カットのような光学的機能がある。このような機能性を有する透明層は視認されないこと(不可視性)が重要である。
【0003】
特に、或る機能を有する透明層が基板の面内に部分的に存在する場合、前記透明層の有り無しの境界線が見えてしまい、不可視性が達成され難い。この場合の例としては、透明層により電極機能や電磁波シールド機能を付与する場合が挙げられる。つまり、透明層がパターニングされている場合に不可視性が問題となることが多い。
透明層付き基板の光学的な透明性の程度は、主として透明層、空間の媒質、及び透明層に付加的に設けられる機能層の屈折率や吸収率で決まる。そこで、透明性を制御するために、透明層、基板、空間の媒質、機能層等の屈折率や吸収率に基づいた光学的設計を行い、それらの構成を決定することが考えられる。
【0004】
ただし、透明層や空間の媒質は透明層の用途に応じて定まるので、透明層付き基板の透明性を制御するために、これらの構成素材を変更することは実際上できない。そのため、素材を変更せずに、光学設計により透明層の透明性を制御することが行われている。
例えば、透明導電層(導電性機能を有する透明層)が光学的設計に基づく所定の屈折率や吸収特性となるように、透明導電層の成膜時の条件を変えることがなされている(例えば下記特許文献1および2を参照)。しかし、透明導電層自体の構成を変更すると、光学特性と導電特性の両者が変化するという問題がある。
【0005】
これに対し、光学的干渉効果を利用して、薄膜の積層体からなる透明導電層全体としての透明性を向上させることが検討、実施されている(下記の特許文献3を参照)。この場合、透明導電層自体の構成を変更する必要が無い。そして、特許文献3に記載された発明によれば透明性を向上させることが可能であるが、製造が煩雑であるためコストが増加する要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO00/063924号パンプレット
【特許文献2】特開平11−48387号公報
【特許文献3】特開2009−032548
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、製造コストが低く、透明層の不可視性に優れた透明層付き基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の透明層付き基板は、基板の少なくとも一方の面に、互いに隣接する第1および第2の透明層が積層され、前記第1の透明層の屈折率(R1)と第2の透明層の屈折率(R2)の比(R2/R1)が0.9以上1.1以下であることを特徴とする。これにより、第1の透明層と第2の透明層との間の反射が抑制されるため、第1の透明層および第2の透明層の不可視性が良好になる。
なお、屈折率R1,R2は、例えば波長550nmにおける値を使用する。
本発明の一態様の透明層付き基板において、前記第1の透明層は導電性を有する透明導電層である。
本発明の一態様の透明層付き基板において、前記第1の透明層はパターニングされている。これにより、パターニングされた第1の透明層の不可視性が良好になる。
【0009】
本発明の一態様の透明層付き基板において、前記透明導電層は導電性フィラーを含有する。
本発明の一態様の透明層付き基板において、前記基板はプラスチックフィルム又はガラス基板である。
本発明の一態様の透明層付き基板では、前記透明導電層の平均屈折率(R1)と前記第2の透明層の平均屈折率(R2)の比(R2/R1)が0.9以上1.1以下であり、前記透明導電層がパターニングされている。これにより、透明導電層とこれに隣接する第2の透明層との間の反射が抑制されるため、パターニングされている透明導電層の不可視性が良好になる。
【0010】
本発明の一態様の透明層付き基板では、前記基板の前記透明層が形成されている面および/または前記透明層が形成されていない面に別の基板が貼り合わされている。
例えば、透明導電層付き基板を、接着剤や粘着剤を介して別の透明基板と貼りあわせることにより、通常では透明導電層が形成困難な基板にも、透明導電性を付加することができる。
本発明の透明層付き基板は、タッチパネル等の電子デバイスを構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、製造コストが低く、透明層の不可視性に優れた透明層付き基板が提供される。
本発明の透明層付き基板は、不可視性に優れるため、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等に好適に使用できる。特に、透明電極機能および/または電磁波シールド材として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の透明層付き基板の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の透明層付き基板の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の透明層付き基板の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の透明層付き基板の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の透明層付き基板を製造できる塗布装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の透明層付き基板の実施形態について説明する。
図1に示す透明層付き基板では、透明な基板1の一方の面に、透明導電層(第1の透明層)2と、これに隣接する透明隣接層(第2の透明層)3が、基板1側から透明導電層2、透明隣接層3の順に形成されている。透明導電層2の屈折率(R1)と透明隣接層3の屈折率(R1)の比(R2/R1)は0.9以上1.1以下である。
【0014】
図2に示す透明層付き基板では、透明な基板1の一方の面に、透明導電層(第1の透明層)2と、これに隣接する透明隣接層(第2の透明層)3が、基板1側から透明導電層2、透明隣接層3の順に形成されている。透明導電層2の屈折率(R1)と透明隣接層3の屈折率(R1)の比(R2/R1)は0.9以上1.1以下である。また、透明な基板1の他方の面に反射防止層4が形成されている。
【0015】
図3に示す透明層付き基板では、透明な基板1の一方の面に、パターニングされた透明導電層(第1の透明層)21と、これに隣接する透明隣接層(第2の透明層)3が、基板1側から透明導電層21、透明隣接層3の順に形成されている。透明隣接層3の一部は、パターニングされた透明導電層21に隣接せず、基板1上に存在する。すなわち、この例では、透明導電層21が基板1の面内に部分的に存在している。透明導電層21の屈折率(R1)と透明隣接層3の屈折率(R1)の比(R2/R1)は0.9以上1.1以下である。
【0016】
図4に示す透明層付き基板では、透明な基板1の一方の面に、パターニングされた透明導電層(第1の透明層)21と、これに隣接する透明隣接層(第2の透明層)3が、基板1側から透明隣接層3、透明導電層21の順に形成されている。この例では、透明導電層21が基板1の面内に部分的に存在している。透明導電層21の屈折率(R1)と透明隣接層3の屈折率(R1)の比(R2/R1)は0.9以上1.1以下である。
【0017】
第2の透明層(透明隣接層)は、ウエットコーティングやドライコーティングのいかなる成膜方法で形成されてもよい。
ドライコーティングには、真空蒸着法、スパッタリング等の物理的気相析出法、プラズマCVD法などの真空成膜プロセスが挙げられ、なかでも大面積に均一な膜質の薄膜を形成するために、プロセスが安定し、薄膜が緻密化するスパッタリング法が望ましい。特に好ましくは、公知のロール・ツー・ロール法を用いて該積層体を連続して形成することである。
【0018】
ドライコーティングによって第2の透明層を形成する場合、用いられる材料は、第1の透明層の屈折率(R1)と第2の透明層の屈折率(R2)の比(R2/R1)が0.9以上1.1以下になるように適宜調製される。例えば、屈折率の低い材料として、酸化マグネシウム、二酸化珪素、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化セリウム、フッ化アルミニウムなどが挙げられる。また、屈折率の高い材料として、酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化タンタルなどが挙げられる。これらの材料を一種類または二種類以上組み合わせて用いることにより、第2の透明層の屈折率(R2)を調整することができる。
【0019】
ウエットコーティングによって第2の透明層を形成する場合は、基板上に第2の透明層形成塗液を塗布し塗膜を形成する工程と、塗膜を乾燥し溶媒を除去する工程を行う。さらに、第2の透明層形成材料に硬化性を持たせた場合は、熱や電離放射線等の硬化方法で適宜硬化する工程を含む。
ウエットコーティングによって第2の透明層を形成する場合、透明層の屈折率(R1)と第2の透明層の屈折率(R2)の比(R2/R1)が0.9以上1.1以下になるようにする方法としては、屈折率の異なるバインダを混合する方法、屈折率の異なる固体及び/または気体粒子を分散する方法などがあげられる。
【0020】
用いられる材料としては、3官能以上のアクリレートを主成分とするモノマー又は架橋性オリゴマーのような光硬化性樹脂などが挙げられる。3官能以上のアクリレートモノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエステルアクリレートなどが挙げられる。上記樹脂のほか、屈折率の異なる公知のバインダを混合することによって第2の透明層の屈折率(R2)を調整することができる。
【0021】
また、上記樹脂のほかに、酸化ジルコニウム、酸化チタン、中空シリカ等の無機微粒子を樹脂に分散させて、樹脂の屈折率を調整こともできる。
溶剤については、上記樹脂などを溶解、分散するものであれば特に限定しない。具体的には、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、等が挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0022】
第2の透明層を形成するための塗液には、いわゆるハジキ、ムラなどの塗膜欠陥の発生を防止するために、表面調整剤と呼ばれる添加剤を加えても良い。表面調整剤は、その働きに応じて、レベリング剤、消泡剤、界面張力調整剤、表面張力調整剤とも呼ばれるが、いずれも形成される塗膜の表面張力を一定にする働きや低下させる働きを備える。
表面調整剤として通常用いられる添加剤としては、シリコーン系添加剤、フッ素系添加剤、アクリル系添加剤等が挙げられる。シリコーン系添加剤にあっては、ポリジメチルシロキサンを基本構造とする誘導体であり、ポリジメチルシロキサン構造の側鎖を変性したものが用いられる。例えば、ポリエーテル変性ジメチルシロキサンがシリコーン添加剤として用いられる。また、フッ素系添加剤としては、パーフルオロアルキル基を備える化合物が用いられる。
【0023】
また、塗液中に先に述べた表面調整剤のほかにも、他の機能性添加剤を加えても良い。ただし、これらの添加剤は形成される透明層の透明性を損なわないほうが好ましい。機能性添加剤としては、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、撥水剤、密着性向上剤、安定剤などを使用でき、それにより、形成される第2の透明層自体に機能を持たせたり、また、耐久性を向上したりすることができる。
【0024】
基板へのコーティング方法は、ディップコーティング法、スピンコーティング法、フローコーティング法、スプレーコーティング法、ロールコーティング法、グラビアロールコーティング法、エアドクターコーティング法、プレードコーティング法、ワイヤードクターコーティング法、ナイフコーティング法、リバースコーティング法、トランスファロールコーティング法、バーコーティング法、マイクログラビアコーティング法、キスコーティング法、キャストコーティング法、スロットオリフィスコーティング法、カレンダーコーティング法、ダイコーティング法等を用いることができる。
【0025】
図5に、一例として塗布装置の模式図を示した。塗布装置は、ダイヘッド50と塗液タンク52が配管51によって接続され、送液ポンプ53によって、塗液タンク52の透明層形成用塗液がダイヘッド50内に送液される構造となっている。ダイヘッド50に送液された塗液はスリット間隙から塗液を吐出し、基板1上に塗膜が形成される。巻き取り式の基板1を用い回転ロール55を使用することにより、ロール・ツー・ロール方式により連続して基板上に塗膜を形成することができる。
【0026】
塗液を塗布し、基板上に形成された塗膜は溶媒を除去するために乾燥される。
なお、乾燥手段としては加熱、送風、熱風などが例示される。また、自然乾燥により溶媒を除去することも可能である。
第2の透明層形成材料に熱硬化性を持たせた場合は、上記溶媒除去と同時あるいは続いて硬化のための熱を加える、及び/または別途、後工程で熱を加えることにより硬化させることができる。
【0027】
第2の透明層形成材料に電離放射線硬化性を持たせた場合は、電離放射線として紫外線、電子線を用いることができる。紫外線硬化の場合は、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク等の光源が利用できる。また、電子線硬化の場合はコックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される電子線が利用できる。電子線は、50〜1000KeVのエネルギーを有するのが好ましい。100〜300KeVのエネルギーを有する電子線がより好ましい。
【0028】
第1の透明層の成膜方法は、上述の第2の透明層の形成方法と同様に、ウエットコーティングやドライコーティングのいかなる成膜方法でも良い。
第1の透明層(透明機能層)の機能は限定されないが、第1の透明層の一例として導電性を有する透明導電層が挙げられる。
第1の透明層が透明導電層である場合、透明導電層を構成する材料は、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズのいずれか、または、それらの2種類もしくは3種類の混合酸化物、さらには、その他添加物が加えられた物等が挙げられ、目的・用途により種々の材料が使用できる。特に限定されるものではないが、酸化インジウムスズ(ITO)を使用することが好ましい。
【0029】
また、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリフェニレンスルフィド、ポリピリジルビニレン、及びポリアジンなどの導電性ポリマーを用いることもできる。
基板としては、ガラス基板やプラスチックフィルムなどを用いることができる。プラスチックフィルムとしては適度の透明性、機械強度を有していれば良い。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シクロオレフィンポリマー、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)等のフィルムを用いることができる。中でも、液晶表示装置の前面にハードコートフィルムを設ける場合、トリアセチルセルロース(TAC)は光学異方性がないため、好ましく用いられ、液晶表示装置の前面に用いない場合はポリエチレンテレフタレート(PET)が機械的強度、耐熱性、コスト等のバランスに優れ、好ましく用いられる。
本発明の透明層付き基板は以上により製造されるため、特許文献3に記載された発明と比較して製造コストが低くなる。
【実施例】
【0030】
以下に、本発明の実施例を示す。この実施例では図3に示す構成の透明層付き基板を作製した。
[実施例1]
基板1として、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製の「U46」)を用いた。先ず、この基板1に、ITO(屈折率2.05:酸化インジウム90%,酸化スズ10%)膜を、デュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)法により、厚さ20nmで形成した。このITO膜の表面抵抗率は450Ω/□であった。
【0031】
次に、このITO膜の上に、スクリーン印刷によりレジストパターンを塗布し、100℃で15分乾燥した。レジストとしては、関西ペイント社製の「アレスSPR−081」を使用した。レジストの乾燥後に、基板1を1質量%塩酸溶液に室温で15分浸し、レジストパターンが存在しない部分のITO膜を溶解させた。
次に、この基板1を2質量%水酸化ナトリウム水溶液に室温で5分浸して、レジストパターンを剥離した。これにより、基板1の上に、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21が形成された。
【0032】
次に、第2の透明層3として、酸化チタンが分散した紫外線硬化型ハードコーティング剤(東洋インキ社製の「TYTシリーズ」:屈折率1.85)を、スピンコーティング法により塗布し、70℃で1分乾燥した後、高圧水銀灯で硬化し、厚さ700nmで形成した。この例において、屈折率の比(R2/R1)は1.85/2.05=0.90である。
このようにして得られた透明層付き基板は、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を有するが、三波長蛍光灯で確認したところ、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を視認できなかった。
【0033】
[実施例2]
第2の透明層3として、酸化スズ(屈折率2.00)をデュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)法により、厚さ600nmで形成した。これ以外は実施例1と同様にして、透明層付き基板を得た。この例において、屈折率の比(R2/R1)は2.00/2.05=0.98である。
【0034】
このようにして得られた透明層付き基板は、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を有するが、三波長蛍光灯で確認したところ、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を視認できなかった。
【0035】
[実施例3]
第2の透明層3として、酸化ニオブ(屈折率2.30)をデュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)法により、厚さ600nmで形成した。これ以外は実施例1と同様にして、透明層付き基板を得た。この例において、屈折率の比(R2/R1)は2.25/2.05=1.10である。
【0036】
このようにして得られた透明層付き基板は、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を有するが、三波長蛍光灯で確認したところ、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を視認できなかった。
【0037】
[比較例1]
第2の透明層3として、酸化ジルコニウムが分散した紫外線硬化型ハードコーティング剤(JSR社製の「KZ6661」:屈折率1.65)を、スピンコーティング法により塗布し、70℃で1分乾燥した後、高圧水銀灯で硬化し、厚さ650nmで形成した。これ以外は実施例1と同様にして、透明層付き基板を得た。この例において、屈折率の比(R2/R1)は1.65/2.05=0.80である。
このようにして得られた透明層付き基板は、三波長蛍光灯で確認したところ、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を視認できた。
【0038】
[比較例2]
第2の透明層3として、酸化チタン(屈折率2.45)をデュアルマグネトロンスパッタリング(DMS)法により、厚さ600nmで形成した。これ以外は実施例1と同様にして、透明層付き基板を得た。この例において、屈折率の比(R2/R1)は2.45/2.05=1.20である。
このようにして得られた透明層付き基板は、三波長蛍光灯で確認したところ、パターニングされた透明導電層(ITO膜)21を視認できた。
【符号の説明】
【0039】
1 基板
2 第1の透明層
21 パターニングされた第1の透明層
3 第2の透明層
4 反射防止層
50 ダイヘッド
52 塗液タンク
51 配管
53 送液ポンプ
52 塗液タンク
55 回転ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の少なくとも一方の面に、互いに隣接する第1および第2の透明層が積層され、前記第1の透明層の屈折率(R1)と第2の透明層の屈折率(R2)の比(R2/R1)が0.9以上1.1以下であることを特徴とする透明層付き基板。
【請求項2】
前記第1の透明層は導電性を有する透明導電層である請求項1記載の透明層付き基板。
【請求項3】
前記第1の透明層はパターニングされている請求項1記載の透明層付き基板。
【請求項4】
前記透明導電層は導電性フィラーを含有する請求項2記載の透明層付き基板。
【請求項5】
前記基板はプラスチックフィルム又はガラス基板である請求項1記載の透明層付き基板。
【請求項6】
前記透明導電層の平均屈折率(R1)と前記第2の透明層の平均屈折率(R2)の比(R2/R1)が0.9以上1.1以下であり、前記透明導電層がパターニングされている請求項4記載の透明層付き基板。
【請求項7】
前記基板の前記透明層が形成されている面および/または前記透明層が形成されていない面に別の基板が貼り合わされている請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明層付き基板。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載された透明層付き基板を有する電子デバイス。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載された透明層付き基板を有するタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−69644(P2013−69644A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209313(P2011−209313)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】