説明

透明性樹脂組成物及び光学フィルム

【課題】 負の複屈折性を示し、加工性に優れ、透明性、耐熱性、機械強度に優れた樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる光学フィルムを提供する。
【解決手段】 数平均分子量が1×10以上5×10以下であるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体30〜95重量%、及び特定の構造を有するスチレン系共重合体70〜5重量%からなる合計量100重量部に対し、脂肪酸アミド系滑剤及び/又は金属石鹸系滑剤が0.001〜2重量部配合されてなり、負の複屈折性を示す透明性樹脂組成物及び該樹脂組成物からなる光学フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明性、耐熱性、加工性などに優れ、負の複屈折性を示す透明性樹脂組成物及び該透明性樹脂組成物からなる抗ブロッキング性などに優れた光学フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(以下、LCDと述べる。)は低電圧、低消費電力、軽量化である特徴を活かし、携帯機器、移動体通信機器、移動体搭載機器、パーソナルコンピュータ、テレビ、家庭用電気製品、オーディオ製品、産業機器等の表示装置として広く採用されている。LCDは、2枚の偏光板で液晶分子を挟み込み、偏光板の光フィルター機能と液晶分子の複屈折特性を利用して白黒表示を行う光学素子として知られ、LCDには偏光フィルム及び偏光フィルムの保護フィルム(以下、偏光膜保護フィルムと述べる。)からなる偏光板、位相差フィルム、光拡散フィルム、透明電極フィルムなどの光学フィルムが用いられている。
【0003】
LCDに用いられる光学フィルムは、透明性、位相差などの光学特性が優れていても、異物などの欠陥やフィルム表面の凹凸などが存在し、フィルムの外観が乏しい場合、LCDの表示特性を低下させる恐れがあるため使用することは困難とされる。
【0004】
フィルムの外観を悪化させる要因の一つとして造粒工程、フィルム製造工程、延伸成形、貼り合せ、LCDの組立て等の後加工工程などにて起こり得る樹脂の熱劣化が挙げられる。
特に、造粒工程、又はフィルムの製造工程などにおいて樹脂を溶融混練する場合、樹脂同士の内部摩擦や樹脂と加工機械との接触面での外部摩擦に起因する発熱により、樹脂が熱劣化することがある。このような樹脂の熱劣化は、ヤケやゲルの発生、黄変、透明性の低下、分解ガスの発生などを引き起こし、フィルムの外観を悪化させる恐れがあるため、光学フィルム用途に使用される透明性樹脂は、摩擦力が調整されたものであることが望ましい。
【0005】
これら摩擦力を調整する目的において、一般的に滑剤が樹脂に配合される。滑剤はその作用機構によって内部滑剤と外部滑剤とに分類され、内部滑剤は分子鎖間の滑性を高め、外部滑剤は樹脂と加工機械との接触面での滑性を高めることが知られ、樹脂の加工工程において樹脂の流動性、摩擦、すべりを調整して加工性を高めるよう作用する。また、滑剤は樹脂の加工工程以外でも好ましく作用する場合がある。例えば、樹脂がフィルムに加工され、ロール状に巻き取られた後、フィルム同士がブロッキングを起こし、作業性が低下したり、フィルム同士が摩擦により傷つき、フィルムの外観が悪化する場合などがあり、その際、滑剤はフィルム表面に滑性を付与し、フィルムのブロッキングや傷つきを防止する効果を発揮することが知られる。なお、このような滑剤の摩擦力を調整する効果は、樹脂の構造や性質、滑剤以外の配合剤との組み合わせ、接触する金属表面の状態、加工条件、成形物への要求性能など、様々な要因により大きく変化することから、一概に滑剤による摩擦力の調整を論ずることは困難である。
【0006】
一方、N−フェニル置換マレイミド単位を有する共重合体は、透明性、低複屈折などの光学特性に優れ、耐熱性及び表面硬度が優れるといった特徴を有し、更に、負の複屈折性を示す樹脂とすることができることが開示されている(例えば特許文献1参照。)。なお、本発明における負の複屈折性を示す樹脂又は樹脂組成物とは、樹脂の主鎖分子を一方向に延伸配向させた際に、その配向方向と異なる方向(例えば直交する方向など)の屈折率が最大となるような光学異方性を発現する樹脂又は樹脂組成物を指し、負の複屈折性を示す樹脂として、例えばポリメチルメタクリレート(以下、PMMAと述べる。)、ポリスチレン(以下、PSと述べる。)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(以下、ASと述べる。)などが知られる。
【0007】
そして、負の複屈折性を示す樹脂は、正の複屈折性を示す樹脂と混合することにより、正の複屈折性を示す樹脂の複屈折性を低減させる効果のあることが開示されている(例えば非特許文献1〜3参照。)。また、このような負の複屈折性を示す樹脂は、負の複屈折性を示す位相差フィルムとすることができることが開示されている(例えば特許文献2参照。)。
【0008】
また、マレイミド・オレフィン共重合体系樹脂及びスチレン・アクリロニトリル共重合体系樹脂からなる樹脂組成物が開示されている(例えば特許文献3参照。)。
【0009】
更に、マレイミド・オレフィン共重合体系樹脂及びスチレン・アクリロニトリル共重合体系樹脂からなる樹脂組成物の表面平滑性等を改良するために、滑剤を配合した樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献4参照。)。
【0010】
【特許文献1】特開平05−117334号公報
【非特許文献1】J.Appl.Polym.Sci.13 pp2541 1969
【非特許文献2】Plaste und Kautschuk 29 pp618 1982
【非特許文献3】機能材料 3月号 1987 pp21
【特許文献2】特開2001−194530号公報
【特許文献3】特開昭62−100544号公報
【特許文献4】特開2003−26944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1に記載されている共重合体については、負の複屈折性を示す樹脂とすることができ、透明性、耐熱性、表面硬度などに優れるといった特徴を有するが、流動性や靱性が乏しいという課題があった。また、各種潤滑剤を添加してもよい旨の記載はなされているが、潤滑剤の種類や含有量、樹脂の色調等について何ら具体的に示されていない。
【0012】
一方、PMMA、PS、ASに関しては、負の複屈折性を有し、透明性、加工性、表面硬度などに優れるといった特徴を有するが、耐熱性が乏しく、例えば光学用フィルムとして使用することは困難である。
【0013】
また、特許文献3に記載されている樹脂組成物については、滑剤の配合に関して何ら記載されておらず、負の複屈折性に関する記載も一切みられない。
【0014】
更に、特許文献4においては、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体及びN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体組成物についてはなんら具体的に提案されておらず、さらに負の複屈折性に関する記載も一切みられない。
【0015】
そこで、本発明は、透明性、耐熱性、加工性などに優れた負の複屈折性を示す透明性樹脂組成物及び該透明性樹脂組成物からなる抗ブロッキング性などに優れた光学フィルムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題に関し、本発明者は鋭意検討した結果、特定の構造を有するN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体、特定の構造を有するスチレン系共重合体並びに脂肪酸アミド系滑剤及び/又は金属石鹸系滑剤を特定の割合で配合してなる透明性樹脂組成物が、負の複屈折性を示し、透明性、耐熱性、加工性などに優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0017】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で示される単位と下記一般式(II)で示される単位からなり、数平均分子量が1×10以上5×10以下であるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体30〜95重量%、及び、スチレン系単量体と、シアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体からなるスチレン系共重合体70〜5重量%からなる合計量100重量部に対し、脂肪酸アミド系滑剤及び/又は金属石鹸系滑剤0.001〜2重量部を配合してなり、負の複屈折性を示すことを特徴とする透明性樹脂組成物及び該透明性樹脂組成物からなる光学フィルムに関するものである。
【0018】
【化1】

(ここで、R1はフェニル基、ナフチル基、ハロゲン系元素,カルボン酸,カルボン酸エステル,水酸基,シアノ基,ニトロ基,炭素数1〜8の直鎖状アルキル基,炭素数1〜8の分岐状アルキル基により置換されたフェニル基又はナフチル基を示す。)
【0019】
【化2】

(ここで、R2、R3は各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
以下に本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明に用いられるN−フェニルマレイミド・オレフィン共重合体は、上記一般式(I)で示される単位と上記一般式(II)で示される単位からなる共重合体であり、数平均分子量1×10以上5×10以下を有するN−フェニルマレイミド・オレフィン共重合体である。
【0021】
一般式(I)で示される単位のR1は、フェニル基、ナフチル基、ハロゲン系元素,カルボン酸,カルボン酸エステル,水酸基,シアノ基,ニトロ基,炭素数1〜8の直鎖状アルキル基,炭素数1〜8の分岐状アルキル基により置換されたフェニル基又はナフチル基を示す。ここで、ハロゲン系元素としは、例えばフッ素、臭素、塩素、沃素等を挙げることができ、カルボン酸エステルとしては、例えばメチルカルボン酸エステル、エチルカルボン酸エステル等を挙げることができ、炭素数1〜8の直鎖状アルキル基又は炭素数1〜8の分岐状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−ヘプチル基、3−ヘプチル基、n−オクチル基、2−オクチル基、3−オクチル基等を挙げることができ、特に耐熱性、透明性、機械強度に優れた樹脂組成物となることから、一般式(I)で示されるR1はフェニル基、2−メチルフェニル基であることが好ましい。
【0022】
また、一般式(II)で示される単位のR2及びR3は、各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数が6を超える場合、得られる樹脂組成物の耐熱性が劣るものとなる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、機械強度に優れる樹脂組成物となることからメチル基であることが好ましい。
【0023】
そして、このようなN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体は、例えば一般式(I)で示される単位を誘導するマレイミド類と一般式(II)で示される単位を誘導するオレフィン類とのラジカル共重合反応により得ることができる。
【0024】
その際、一般式(I)で示される単位を誘導するマレイミド類としては、例えばマレイミド化合物のN置換基として無置換フェニル基又は置換フェニル基を導入したマレイミド類、またはナフチル基を導入したマレイミド類を挙げることができ、具体的にはN−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−n−プロピルフェニル)マレイミド、N−(2−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−n−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−s−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−t−ブチルフェニル)マレイミド、N−(2−n−ペンチルフェニル)マレイミド、N−(2−t−ペンチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジメチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジ−n−プロピルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−メチル−6−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−メチル−6−イソプロピルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(2−ブロモフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジクロロフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジブロモフェニル)マレイミド、N−2−ビフェニルマレイミド、N−2−ジフェニルエーテルマレイミド、N−(2−シアノフェニル)マレイミド、N−(2−ニトロフェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリメチルフェニル)マレイミド、N−(2,4−ジメチルフェニル)マレイミド、N−パーブロモフェニルマレイミド、N−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−ナフチルマレイミドなどが挙げられ、その中でも特に耐熱性、透明性、機械強度に優れる樹脂組成物となることからN−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミドであることが好ましい。また、N−フェニル置換マレイミド単位は1種又は2種以上組み合わされたものでもよく、その比率は特に制限はない。
【0025】
一般式(II)で示される単位を誘導する化合物としては、例えばイソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等のオレフィン類が例示でき、このうち特に耐熱性、機械強度に優れる樹脂組成物となることからイソブテンが好ましい。
【0026】
また、本発明に用いられるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体を構成する一般式(I)で示される単位と一般式(II)で示される単位の割合は本発明の目的を達成できる範囲において任意であり、その中でも特に機械的強度、透明性、耐熱性に優れる樹脂組成物となることから一般式(I)で示される単位が40〜70モル%の範囲であることが好ましく、さらに50〜70モル%の範囲であることが好ましい。
【0027】
本発明に用いられるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体は、数平均分子量(Mn)が1×10以上5×10以下であり、特に靱性と成形加工性のバランスに優れる樹脂組成物となることから1×10以上5×10以下であることが好ましい。ここで、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体の数平均分子量が5×10を超える場合、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体の溶融粘度が高くなりすぎるため、樹脂組成物の流動性が乏しくなり、成形加工性が劣るものとなる。一方、数平均分子量が1×10未満の場合、樹脂組成物の機械強度が乏しくなる。ここで、本発明における数平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により求めた標準ポリスチレン換算値のことである。
【0028】
本発明に用いられるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体は、特に耐熱性、透明性、機械強度に優れた樹脂組成物となることから、N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体、N−(2−メチルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体であることが好ましい。
【0029】
更に、本発明に用いられるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体は、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲で他のモノマー成分より誘導される単位を含有するものであってもよく、そのような他のモノマー成分としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸又はそのエステル類;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸又はそのエステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピオビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;無水マレイン酸;アクリロニトリルより選ばれる1種類以上の化合物が挙げられ、その含有率としては5モル%以下であることが好ましい。
【0030】
本発明に用いられるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体は、一般式(I)で示される単位を誘導する化合物及び一般式(II)で示される単位を誘導する化合物を公知の方法により重合することで得ることができる。このような重合方法として、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法のいずれの方法によっても得ることができ、その中でも特に透明性、色調に優れる樹脂組成物が得られることから溶液重合法、懸濁重合法により得られるものであることが好ましい。
【0031】
重合反応の際に用いる重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、パーブチルネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
【0032】
溶液重合法、沈殿重合法において用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸イソプロピル、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などが挙げられる。
【0033】
その際の重合温度は、開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができるが、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
【0034】
また、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体は、別法として無水マレイン酸・オレフィン共重合体をアミン化合物を用いて、後イミド化することによっても得ることができる。
【0035】
このような後イミド化反応は、例えば無水マレイン酸・オレフィン共重合体をメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒;芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと記す。)などの溶媒に溶解あるいは分散させ、アミン化合物と50〜250℃の温度で反応させることによりアミド化反応とイミド化反応を連続的に行う方法、アミン化合物と反応させてアミド体を得た後、該アミド体を加熱して脱水閉環させ、イミド化を行う方法等により製造することができる。
【0036】
アミン化合物としては、例えばアニリン、2−メチルアニリン、2−エチルアニリン、2−n−プロピルアニリン、2−イソプロピルアニリン、2−n−ブチルアニリン、2−s−ブチルアニリン、2−t−ブチルアニリン、2−n−ペンチルアニリン、2−t−ペンチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、2,6−ジエチルアニリン、2,6−ジ−n−プロピルアニリン、2,6−ジ−イソプロピルアニリン、2−メチル−6−エチルアニリン、2−メチル−6−イソプロピルアニリン、2−クロロアニリン、2−ブロモアニリン、2,6−ジクロロアニリン、2,6−ジブロモアニリン、2−ビフェニルアミン、2−ジフェニルエーテルアミン、2−シアノアニリン、2−ニトロアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、2,4−ジメチルアニリン、パーブロモアニリン、2−メチル−4−ヒドロキシアニリン、2,6−ジエチル−4−ヒドロキシアニリン、ナフチルアミンなどが挙げられ、その中でも特に耐熱性、透明性、機械強度に優れる樹脂組成物となることから、一般式(I)で示される単位を誘導するアミン化合物としてアニリン、2−メチルアニリンが好ましい。
【0037】
本発明に用いられるスチレン系共重合体は、スチレン系単量体と、シアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体からなる共重合体である。
【0038】
ここで、一般的に樹脂の複屈折特性は、樹脂を構成する分子鎖の構成単位、すなわち単量体残基単位あたりの光学異方性とその配向状態により決定されるものであり、単量体残基単位あたりの光学異方性は固有複屈折として表され、配向状態は配向関数として表される。また、固有複屈折は分子鎖軸方向の単量体残基単位あたりの分極率とそれに直交する方向の分極率の差、すなわち単量体残基単位の分極率異方性に比例し、更に単量体残基単位の分極率異方性は個々の分子結合あたりの分極率寄与の和として算出され、この値の正負により、樹脂の複屈折の正負が推測できることが知られる。そして、分極率異方性の大きいフェニル基を置換基として有する単量体残基単位、例えばスチレン系単量体残基単位の場合、分極率異方性はフェニル基と分子鎖軸とのなす角度により大きく影響されるものとなる。例えばポリスチレンの場合、フェニル基の面が主鎖分子軸とより垂直な面内にある場合、上記固有複屈折が負の値を示し易くなることが「Polym.Prep.Jpn.,(38),10,3539,1989」、「Polym.Prep.Jpn.,(51),3,431,2002」等の文献によって理論的且つ実験的に示されている。
【0039】
そして、本発明においては、該スチレン系共重合体、つまりフェニル基を側鎖に有する単量体残基単位を有する共重合体を用いることにより、該フェニル基の立体な配置、配座により、より効率的に負の複屈折性を発現させることが可能となり、高い負の複屈折性を示すものとなる。また、本発明においては、流動性に優れる該スチレン系共重合体と一般的に高溶融粘度を示すN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体とを配合することから流動性に優れる組成物となり、その結果、溶融加工時の熱劣化が抑制され、更に機械的強度が向上するなどといった効果が得られるものである。
【0040】
本発明に用いられるスチレン系共重合体は、構成単位としてスチレン系単量体の他に、シアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体からなる共重合体であり、該構成単量体は、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体の構造、屈折率などに照合することから、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体と配合した際には透明性、耐熱性、加工性、機械強度などのバランスに優れた負の複屈折性を示す樹脂組成物となる。
【0041】
ここで、スチレン系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、ヒドロキシスチレン、アミノスチレン、シアノスチレン、ニトロスチレン、クロロメチルスチレン、アセトキシスチレン、p−ジメチルアミノメチルスチレン等のスチレン系単量体が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
【0042】
シアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
【0043】
アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート等が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
【0044】
メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等が挙げられ、これらは単独又は2種以上用いても良い。
【0045】
本発明に用いられるスチレン系共重合体におけるスチレン系単量体残基単位とシアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体残基単位(以下、他単量体残基単位と記す。)は、任意であり、その中でもスチレン単量体残基単位/他単量体残基単位=95/5〜60/40(モル比)であることが好ましく、特に高い負の複屈折性を示し、透明性、耐熱性、熱安定性に優れた樹脂組成物となることから、スチレン単量体残基単位/他単量体残基単位=90/10〜70/30(モル比)であることが好ましい。
【0046】
また、本発明に用いられるスチレン系共重合体の重量平均分子量(Mw)は任意であり、その中でも1×10以上5×10以下であることが好ましく、特に機械強度、靱性と成形性のバランスに優れる樹脂組成物となることから1×10以上5×10以下であることが好ましい。
【0047】
該スチレン系共重合体としては、例えばスチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリル酸メチル共重合体、スチレン・アクリル酸エチル共重合体、スチレン・アクリル酸ブチル共重合体、スチレン・アクリル酸へキシル共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・メタクリル酸エチル共重合体、スチレン・メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン・アクリル酸へキシル共重合体等を挙げることができ、その中でも特に耐熱性、透明性、機械強度に優れたものとなることから、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・アクリル酸ブチル共重合体、スチレン・メタクリル酸エチル共重合体であることが好ましい。
【0048】
該スチレン系共重合体の合成方法としては、公知の重合方法が利用でき、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの方法により、スチレン系単量体とシアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体を重合することにより製造することが可能である。また、市販品として入手したものであっても良い。
【0049】
本発明の透明性樹脂組成物は、該N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体30〜95重量%及び該スチレン系共重合体70〜5重量%からなる合計量100重量部に対し、脂肪酸アミド系滑剤及び/又は金属石鹸系滑剤0.001〜2重量部を配合してなる負の複屈折性を示す透明性樹脂組成物であり、特に耐熱性、加工性、機械強度のバランスに優れた透明性樹脂組成物となることから該N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体40〜80重量%及びスチレン系共重合体60〜20重量%からなるものであることが好ましい。ここで、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体が30重量%未満である場合、得られる樹脂組成物の耐熱性が著しく乏しくなる。一方、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体が95重量%を超える場合、樹脂組成物の機械強度、流動性が著しく乏しくなり、得られる樹脂組成物の成形加工が困難となる。
【0050】
本発明の透明性樹脂組成物は、脂肪酸アミド系滑剤及び/又は金属石鹸系滑剤を含有するものであり、これら滑剤は、透明性樹脂組成物の造粒工程、一次成形加工工程等において、樹脂の流動性、摩擦、すべりを調整して加工性を高めるよう作用し、その結果、樹脂の熱劣化、ヤケやゲルの発生、黄変、透明性の低下、分解ガスの発生などが抑制される。また、樹脂をフィルム等に成形加工した場合などにおいて、滑剤はフィルムのブロッキングや傷つきを防止する効果を発揮する。
【0051】
本発明に用いられる脂肪酸アミド系滑剤及び/又は金属石鹸系滑剤はN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体及びスチレン系共重合体の合計量100重量部に対して0.001〜2重量部の範囲で配合され、特に0.005〜1重量部の範囲であることが好ましく、更に0.01〜0.5重量部の範囲であることが好ましい。ここで、脂肪酸アミド系滑剤及び/又は金属石鹸系滑剤の配合量が0.001重量部未満である場合、得られる樹脂組成物は加工性に乏しいものとなり、そのような樹脂組成物からなるフィルム等の成形物は色調、透明性、外観などに劣るものとなる。一方、脂肪酸アミド系滑剤及び/又は金属石鹸系滑剤の配合量が2重量部を超える場合、樹脂組成物の透明性を低下させる場合がある。
【0052】
本発明に用いられる脂肪酸アミド系滑剤としては、例えばラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸アミド;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;N−ステアリルステアリン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド等の置換アミド;メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等のメチロールアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド等の不飽和脂肪酸ビスアミド;m−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド等が挙げられ、その中でも、樹脂組成物の加工性が優れ、極めて透明性に優れたものとなることから、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミドであることが特に好ましい。
【0053】
本発明に用いられる金属石鹸系滑剤とは、高級脂肪酸の金属塩を指し、例えばステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸カドミウム、ラウリン酸カドミウム、リシノール酸カドミウム、ナフテン酸カドミウム、2−エチルヘキソイン酸カドミウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、2−エチルヘキソイン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、2塩基性ステアリン酸鉛、ナフテン酸鉛等が挙げられ、その中でも、樹脂組成物の加工性が優れ、極めて透明性に優れたものとなることから、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛であることが特に好ましい。
【0054】
また、本発明の透明性樹脂組成物は、炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤、エステル系滑剤、アルコール系滑剤等のその他滑剤を含有しても良い。
【0055】
本発明の透明性樹脂組成物は、N−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体、スチレン系共重合体並びに脂肪酸アミド系滑剤及び/又は金属石鹸系滑剤を一般的な混合、混練を行うことにより製造することができ、その際の混合、混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、ロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を挙げることができる。また、溶媒中にそれぞれの成分を溶解、あるいは分散させて混合する方法であっても良い。
【0056】
さらに、本発明の透明性樹脂組成物には可視光線、紫外線、近赤外線などの光の照射による熱着色や光劣化を防止する目的で、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤などを必要に応じて含有しても良い。また、流動性、靱性を付与する目的にて、透明性を損なわない範囲において、可塑剤を必要に応じて含有しても良い。更に、酸化防止剤、顔料、帯電防止剤、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、染料、オイルなどを必要に応じて含有しても良く、透明性が損なわれない場合においてのみその他の樹脂を含有しても良い。
【0057】
本発明の透明性樹脂組成物は、従来公知の成形方法により成形体とすることができ、例えば射出成形、射出圧縮成形、ガスアシスト法射出成形、押出成形、多層押出成形、回転成形、熱プレス成形、ブロー成形、発泡成形などの方法により、射出成形体、チューブ、シート、フィルム、パイプ、ボトルなどに成形することができる。その中でも特に、透明性、耐熱性、外観の優れたフィルムとなることから光学フィルムとすることが好ましい。該光学フィルムとしては、高い透明性が要求されるLCDなどの表示装置に用いることが可能となることから、ヘイズが1%以下且つ黄色度2%以下であることが好ましく、特にヘイズが0.7%以下且つ黄色度1%以下であることが好ましい。また、該光学フィルムはフィルム表面の滑性が優れたものであることが好ましく、フィルムのブロッキングが少なくなることによる作業性の向上や、フィルム表面が傷つき難くなるなどの効果が得られることから、静摩擦係数及び動摩擦係数が5以下であることが好ましく、特に4以下であることが好ましい。
【0058】
本発明の透明性樹脂組成物は高い負の複屈折性を示し、耐熱性、加工性、機械強度に優れることから、負の複屈折性を示す位相差フィルムとすることが好ましい。該位相差フィルムの製造方法としては、例えば溶液キャスティング法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法などの公知公用の方法により原反フィルムとした後、該原反フィルムを延伸成形加工することにより得られる。延伸加工工程は、原反フィルムを成形する工程内で連続して行う工程、原反フィルムを一旦巻き取った後、該フィルムを延伸加工装置に供して延伸加工する工程、等がある。また、フィルムの延伸方法は、一般的にフィルム面内方向に延伸するフラット法延伸とチューブ状に膨らませて延伸するチューブラ法延伸に大分類されるが、厚み及び延伸倍率の精度の高いフラット法延伸が特に好ましい。またフラット法延伸は、一軸延伸法と二軸延伸法に分類され、一軸延伸法としては、自由幅一軸延伸法と一定幅一軸延伸法がある。一方、二軸延伸法としては、二段階自由幅二軸延伸法、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法があり、さらに逐次二軸延伸には全テンター方式とロールテンター方式がある。本発明の透明性樹脂組成物から位相差フィルムを製造するための延伸方法は、上記延伸方法のいずれを用いても良く、要求される3次元屈折率および位相差量を得るために最も適した方法を選択する。
【0059】
特に、上記一軸延伸法による場合、延伸方向をフィルム面内のx軸とし、フィルム面内の直交方向をy軸、フィルム面外の垂直方向をz軸とし、x軸方向屈折率をnx、y軸方向屈折率をny、z軸方向屈折率をnzとした場合に三次元屈折率がnz≧ny>nx又はny≧nz>nxとなる位相差フィルムとすることが好ましい。また、上記二軸延伸による場合、延伸方向をフィルム面内のx軸及びフィルム面内のy軸とし、フィルム面外の垂直方向をz軸とし、x軸方向屈折率をnx、y軸方向屈折率をny、z軸方向屈折率をnzとした場合に三次元屈折率がnz>ny≧nx又はnz>nx≧nyとなる位相差フィルムとすることが好ましい。
【0060】
更に、延伸成形加工する際には、高い負の複屈折性を示し、位相差の精度に優れることから、示差走査熱量計により昇温速度10℃/分で測定した樹脂組成物のガラス転移温度−20℃〜ガラス転移温度+20℃の温度範囲で延伸することが好ましい。
【0061】
負の複屈折性を示す該位相差フィルムは、LCD用の光学補償部材として好適に用いることができ、例えばSTN型LCD、TFT−TN型LCD、OCB型LCD、VA型LCD、IPS型LCDなどのLCD用の位相差フィルム;1/2波長板;1/4波長板;逆波長分散特性フィルム;偏光板の視野角補償フィルムなどの光学補償部材を挙げることができる。また、その他の光学フィルムとして、例えば有機EL、PDP、複写機、プリンター、ファクシミリ、タッチパネル、光ファイル等の情報機器に使用される位相差フィルム、反射防止フィルム;LCDなどのフラットパネルディスプレイに使用される偏光膜保護フィルム、リフレクターフィルム、セパレーターフィルム、光拡散フィルム、透明電極フィルム基板、ディスプレイ表面の保護フィルム、アンチグレアフィルム、アンチリフレクションフィルム、電磁波遮蔽フィルム、紫外線吸収フィルム、遠赤外線吸収フィルムなどにも好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0062】
本発明により得られる透明性樹脂組成物は、負の複屈折性を有し、透明性、耐熱性、加工性などに優れることから、光学フィルムなどとして好適に使用することができる。
【実施例】
【0063】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
【0064】
実施例に示された諸物性は以下の方法により測定した。
【0065】
〜数平均分子量〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い測定したマレイミド・オレフィン共重合体の溶出曲線により、標準ポリスチレン換算値として求めた。
【0066】
〜ガラス移温度〜
示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/分の昇温速度にて測定した。
【0067】
〜ヘイズ〜
JIS K7136に準拠して測定した。
【0068】
〜黄色度〜
JIS K7105に準拠して測定した。
【0069】
〜静摩擦係数、動摩擦係数〜
JIS K7125に準拠して測定した。
【0070】
〜3次元屈折率〜
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−WR)を用い、測定波長589nmにて測定した。
【0071】
合成例1(N−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体の合成)
ステンレス製オートクレーブにN−フェニルマレイミド128重量部、t−ブチルパーオキシピバレート0.19重量部及びメチルエチルケトン390重量部を仕込み、窒素で数回パージした後、液化イソブテンを83重量部仕込み、60℃で8時間重合を行った。反応終了後の溶液を室温まで冷却した後、メタノール1000重量部に徐々に添加して再沈澱処理を行い、次いでろ過、乾燥することにより共重合体を得た。
【0072】
H−NMR測定から、生成した共重合体はN−フェニルマレイミド残基/イソブテン残基=0.57/0.43(モル比)のN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は90000であり、ガラス転移温度は208℃であった。
【0073】
合成例2(N−(2−メチルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体の合成)
ステンレス製オートクレーブにN−(2−メチルフェニル)マレイミド137重量部、t−ブチルパーオキシピバレート0.19重量部及びメチルエチルケトン390重量部を仕込み、窒素で数回パージした後、液化イソブテンを83重量部仕込み、60℃で8時間重合を行った。反応終了後の溶液を室温まで冷却した後、メタノール1000重量部に徐々に添加して再沈澱処理を行い、次いでろ過、乾燥することにより共重合体を得た。
【0074】
H−NMR測定から、生成した共重合体はN−(2−メチルフェニル)フェニルマレイミド残基/イソブテン残基=0.56/0.44(モル比)のN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は89000であり、ガラス転移温度は205℃であった。
【0075】
合成例3(N−メチルマレイミド・イソブテン共重合体の合成)
ステンレス製オートクレーブに無水マレイン酸・イソブテン共重合体(株式会社クラレ製、商品名イソバン10)100重量部及び溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと記す。)500重量部を充填し、室温で攪拌して無水マレイン酸・イソブテン共重合体をNMPに溶解させた。次いで、メチルアミン40重量部を室温で導入した後、80℃に昇温して1時間攪拌することにより無水マレイン酸単位のアミド化反応を行った。引き続き、205℃に昇温し、1時間攪拌することによりイミド化反応を行った後、室温まで冷却し、イソプロパノールを用いて再沈殿処理して共重合体を得た。
【0076】
元素分析、赤外吸収スペクトル測定及び13C−NMR測定から、生成した共重合体はN−メチルマレイミド残基及びイソブテン残基の比は0.50/0.50(モル比)のN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は90000であり、ガラス転移温度は159℃であった。
【0077】
合成例4(スチレン・アクリル酸ブチル共重合体の合成)
ステンレス製オートクレーブに脱イオン水100重量部、スチレン80重量部、アクリル酸ブチル20重量部、ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02重量部、硫酸ナトリウム0.2重量部を充填し、攪拌しつつ105℃に昇温した。次いで、少量のスチレンに溶解したジ−t−ブチルパーオキサイド0.01重量部を添加した。その後、145℃に昇温し、重合反応を行った後、室温に冷却し、ろ過、洗浄、乾燥して共重合体を得た。
【0078】
H−NMR測定から、生成した共重合体はスチレン残基/アクリル酸ブチル残基=0.83/0.17(モル比)のスチレン・アクリル酸ブチル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は100000であり、ガラス転移温度は92℃であった。
【0079】
合成例5(スチレン・メタクリル酸エチル共重合体の合成)
ステンレス製オートクレーブに脱イオン水100重量部、スチレン75重量部、メタクリル酸エチル25重量部、ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.02重量部、硫酸ナトリウム0.2重量部を充填し、攪拌しつつ105℃に昇温した。次いで、少量のスチレンに溶解したジ−t−ブチルパーオキサイド0.01重量部を添加した。その後、145℃に昇温し、重合反応を行った後、室温に冷却し、ろ過、洗浄、乾燥して共重合体を得た。
【0080】
H−NMR測定から、生成した共重合体はスチレン残基/メタクリル酸エチル残基=0.77/0.23(モル比)のスチレン・メタクリル酸エチル共重合体であることを確認した。また、数平均分子量は100000であり、ガラス転移温度は100℃であった。
【0081】
実施例1
合成例1により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体50重量%及びスチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN050、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=25:75)50重量%からなる合計量100重量部に対し、脂肪酸アミド系滑剤として、エチレンビスステアリン酸アミド0.2重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は135℃であった。
【0082】
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度270℃、冷却ロールの温度116℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得た。
【0083】
引き続き、得られたフィルムから50×50mmの小片を切り出し、二軸延伸装置((株)井元製作所製)を用いて、温度145℃、チャック間距離40mm、延伸速度100mm/分の条件で2倍に自由幅一軸延伸することにより光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、負の複屈折性を示しており、透明性、色調、滑性、外観に優れ位相差フィルムとして適用できるものであった。本フィルムを用いて物性を測定した結果を表1に示す。
【0084】
実施例2
合成例1により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体50重量%及びスチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN080、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=29:71)50重量%からなる合計量100重量部に対し、金属石鹸系滑剤として、ステアリン酸カルシウム0.2重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は136℃であった。
【0085】
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度270℃、冷却ロールの温度116℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得た。
引き続き、得られたフィルムから50×50mmの小片を切り出し、二軸延伸装置((株)井元製作所製)を用いて、温度145℃、チャック間距離40mm、延伸速度100mm/分の条件で2倍に自由幅一軸延伸することにより光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、負の複屈折性を示しており、透明性、色調、滑性、外観に優れ位相差フィルムとして適用できるものであった。本フィルムを用いて物性を測定した結果を表1に示す。
【0086】
実施例3
合成例1により得られたN−フェニルマレイミド・イソブテン共重合体50重量%及びスチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN050、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=25:75)50重量%からなる合計量100重量部に対し、脂肪酸アミド系滑剤として、メチレンビスステアリン酸アミド0.15重量部、金属石鹸系滑剤として、ステアリン酸マグネシウム0.15重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は135℃であった。
【0087】
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度270℃、冷却ロールの温度116℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得た。
引き続き、得られたフィルムから50×50mmの小片を切り出し、二軸延伸装置((株)井元製作所製)を用いて、温度145℃、チャック間距離40mm、延伸速度100mm/分の条件で2倍に自由幅一軸延伸することにより光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、負の複屈折性を示しており、透明性、色調、滑性、外観に優れ位相差フィルムとして適用できるものであった。本フィルムを用いて物性を測定した結果を表1に示す。
【0088】
実施例4
合成例2により得られたN−(2−メチルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体60重量%及び合成例4により得られたスチレン・アクリル酸ブチル共重合体40重量%からなる合計量100重量部に対し、金属石鹸系滑剤として、ステアリン酸カルシウム0.2重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は135℃であった。
【0089】
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度270℃、冷却ロールの温度115℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得た。
引き続き、得られたフィルムから50×50mmの小片を切り出し、二軸延伸装置((株)井元製作所製)を用いて、温度145℃、チャック間距離40mm、延伸速度100mm/分の条件で2倍に自由幅一軸延伸することにより光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、負の複屈折性を示しており、透明性、色調、滑性、外観に優れ位相差フィルムとして適用できるものであった。本フィルムを用いて物性を測定した結果を表1に示す。
【0090】
実施例5
合成例2により得られたN−(2−メチルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体50重量%及び合成例5により得られたスチレン・メタクリル酸エチル共重合体50重量%からなる合計量100重量部に対し、金属石鹸系滑剤として、ステアリン酸カルシウム0.2重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は134℃であった。
【0091】
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度270℃、冷却ロールの温度115℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得た。
引き続き、得られたフィルムから50×50mmの小片を切り出し、二軸延伸装置((株)井元製作所製)を用いて、温度145℃、チャック間距離40mm、延伸速度100mm/分の条件で2倍に自由幅一軸延伸することにより光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、負の複屈折性を示しており、透明性、色調、滑性、外観に優れ位相差フィルムとして適用できるものであった。本フィルムを用いて物性を測定した結果を表1に示す。
【0092】
実施例6
実施例1にて得られたフィルムから50×50mmの小片を切り出し、二軸延伸装置((株)井元製作所製)を用いて、温度145℃、チャック間距離40mm、延伸速度100mm/分の条件で1.5倍に同時二軸延伸することにより光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは、負の複屈折性を示しており、透明性、色調、滑性、外観に優れ位相差フィルムとして適用できるものであった。本フィルムを用いて物性を測定した結果を表1に示す。
【0093】
比較例1
合成例2により得られたN−(2−メチルフェニル)マレイミド・イソブテン共重合体100重量部に対し、金属石鹸系滑剤として、ステアリン酸カルシウム0.2重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は205℃であった。
【0094】
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度320℃、冷却ロールの温度150℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得た。
引き続き、得られたフィルムから50×50mmの小片を切り出し、二軸延伸装置((株)井元製作所製)を用いて、温度220℃、チャック間距離40mm、延伸速度100mm/分の条件で2倍に自由幅一軸延伸することにより延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムは、負の複屈折性を示すものの、透明性、色調が乏しく、黒いヤケ状異物を多数含むものであった。本フィルムを用いて物性を測定した結果を表2に示す。
【0095】
比較例2
スチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN080、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=29:71)100重量部に対し、金属石鹸系滑剤として、ステアリン酸カルシウム0.2重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は105℃であった。
【0096】
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度240℃、冷却ロールの温度90℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得た。
【0097】
引き続き、得られたフィルムから50×50mmの小片を切り出し、二軸延伸装置((株)井元製作所製)を用いて、温度115℃、チャック間距離40mm、延伸速度100mm/分の条件で2倍に自由幅一軸延伸することにより延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムは、負の複屈折性を示すものの、耐熱性に乏しいものであった。本フィルムを用いて物性を測定した結果を表2に示す。
【0098】
比較例3
エチレンビスステアリン酸アミドを配合しなかった点以外は、実施例と同様にして樹脂組成物、フィルム、延伸フィルムを得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は136℃であった。
【0099】
得られた延伸フィルムは、負の複屈折性を示すものの、黄変が認められ、黒いヤケ状異物を含むものであった。本フィルムを用いて物性を測定した結果を表2に示す。
【0100】
比較例4
合成例3により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体65重量%及びスチレン・アクリロニトリル共重合体(ダイセルポリマー製、商品名セビアンN080、重量平均分子量=130000、アクリロニトリル残基単位:スチレン残基単位(重量比)=29:71)35重量%からなる合計量100重量部に対し、金属石鹸系滑剤として、ステアリン酸亜鉛0.2重量部をドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供して押出し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のガラス転移温度は132℃であった。
【0101】
次いで、得られた樹脂組成物をTダイスを設置した二軸押出機に供し、Tダイスの温度270℃、冷却ロールの温度110℃の条件で押出し、厚み100μmのフィルムを得た。
【0102】
引き続き、得られたフィルムから50×50mmの小片を切り出し、二軸延伸装置((株)井元製作所製)を用いて、温度142℃、チャック間距離40mm、延伸速度100mm/分の条件で2倍に自由幅一軸延伸することにより延伸フィルムを得た。得られた延伸フィルムは、正の複屈折性を示した。また互いに直交する軸方向の屈折率差である複屈折は、フィルム面内方向及びフィルム厚み方向のいずれにおいても非常に小さく、位相差フィルムとして使用できるものではなかった。
【0103】
【表1】

【0104】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示される単位と下記一般式(II)で示される単位からなり、数平均分子量が1×10以上5×10以下であるN−フェニル置換マレイミド・オレフィン共重合体30〜95重量%、及び、スチレン系単量体と、シアン化ビニル化合物、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の単量体からなるスチレン系共重合体70〜5重量%からなる合計量100重量部に対し、脂肪酸アミド系滑剤及び/又は金属石鹸系滑剤0.001〜2重量部を配合してなり、負の複屈折性を示すことを特徴とする透明性樹脂組成物。
【化1】

(ここで、R1はフェニル基、ナフチル基、ハロゲン系元素,カルボン酸,カルボン酸エステル,水酸基,シアノ基,ニトロ基,炭素数1〜8の直鎖状アルキル基,炭素数1〜8の分岐状アルキル基により置換されたフェニル基又はナフチル基を示す。)
【化2】

(ここで、R2、R3は各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【請求項2】
脂肪酸アミド系滑剤がエチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の脂肪酸アミド系滑剤であることを特徴とする請求項1に記載の透明性樹脂組成物。
【請求項3】
金属石鹸系滑剤がステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の金属石鹸系滑剤であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の透明性樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の透明性樹脂組成物からなることを特徴とする光学フィルム。
【請求項5】
ヘイズ1%以下、黄色度2%以下、静摩擦係数及び動摩擦係数が5以下であることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
【請求項6】
請求項4又は5のいずれかに記載の光学フィルムであって、負の複屈折性を示し、延伸方向をフィルム面内のx軸とし、該x軸に対するフィルム面内の直交方向をy軸、該x軸に対するフィルム面外の垂直方向をz軸とし、x軸方向屈折率をnx、y軸方向屈折率をny、z軸方向屈折率をnzとした場合に三次元屈折率の関係がnz≧ny>nx又はny≧nz>nxとなることを特徴とする位相差フィルム。
【請求項7】
請求項4又は5のいずれかに記載の光学フィルムであって、負の複屈折性を示し、延伸方向をフィルム面内のx軸及びフィルム面内のy軸とし、フィルム面外の垂直方向をz軸とし、x軸方向屈折率をnx、y軸方向屈折率をny、z軸方向屈折率をnzとした場合に三次元屈折率の関係がnz>ny≧nx又はnz>nx≧nyとなることを特徴とする位相差フィルム。

【公開番号】特開2006−45369(P2006−45369A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228978(P2004−228978)
【出願日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】